(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-22
(45)【発行日】2023-10-02
(54)【発明の名称】化学機械研磨中の振動のモニタリング
(51)【国際特許分類】
B24B 37/013 20120101AFI20230925BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230925BHJP
B24B 37/04 20120101ALI20230925BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20230925BHJP
B24B 37/16 20120101ALI20230925BHJP
B24B 37/22 20120101ALI20230925BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20230925BHJP
【FI】
B24B37/013
H01L21/304 622S
H01L21/304 622K
B24B37/04
B24B37/12 D
B24B37/16
B24B37/22
B24B49/10
(21)【出願番号】P 2020547185
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(86)【国際出願番号】 US2019021999
(87)【国際公開番号】W WO2019178194
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スウェデク, ボグスロー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベンヴェニュ, ドミニク ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チー チュン
(72)【発明者】
【氏名】ウィズウェル, ニコラス エー.
(72)【発明者】
【氏名】オスターヘルド, トーマス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】オー, ジョンフン
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0013085(US,A1)
【文献】特開2010-064220(JP,A)
【文献】特表2007-510164(JP,A)
【文献】特開2005-203729(JP,A)
【文献】特開2000-301454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0042975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-3/60
B24B21/00-51/00
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨装置であって、
研磨パッドを支持し、凹部を有するプラテンであって、前記研磨パッドは、研磨層及びバッキング層と、パッドの一部分であって、前記凹部の領域内で前記研磨層内にある材料であって前記パッドの一部分よりも軟性の材料によって前記研磨パッドの残部に連結されている、パッドの一部分とを有する、プラテンと、
前記凹部内の可撓性膜であって、前記可撓性膜の下の前記凹部内に加圧可能な空間を画定する可撓性膜と、
信号を生成するためのインシトゥ振動モニタリングシステムであって、前記可撓性膜によって支持されかつ前記研磨パッドの下面に連結するよう配置された振動センサを含む、インシトゥ振動モニタリングシステムとを備える、装置。
【請求項2】
前記バッキング層に開孔を備え、前記振動センサは、前記研磨層の下面に直接接触する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記材料が前記パッドの一部分を横方向に完全に取り囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記研磨パッドの前記一部分と前記研磨パッドの前記残部とが、同じ材料組成を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記研磨層は溝を有し、前記溝の底部に前記材料が配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記加圧可能な空間は、前記可撓性膜の中に完全に含まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記可撓性膜は、前記可撓性膜の下の前記空間を密封するよう、前記凹部の端から端まで延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記空間を加圧し、かつ前記振動センサを付勢して前記研磨パッドと接触させるためのポンプを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記振動センサから信号を受信し、かつ研磨終点を検出するよう構成されたコントローラを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
コントローラが、下層の露出を検出するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
研磨する方法であって、
基板を研磨パッドと接触させることと、
前記基板と前記研磨パッドとの間に相対運動を発生させることと、
振動センサを支持する可撓性膜が前記振動センサの下のチャンバを加圧することによって、前記振動センサを付勢して前記研磨パッドの下面と接触させることと、
前記
振動センサを使用して基板を音響的にモニタすることとを含み、
前記研磨パッドは、研磨層及びバッキング層と、パッドの一部分であって、前記チャンバの領域内で前記研磨層内にある材料であって前記パッドの一部分よりも軟性の材料によって前記研磨パッドの残部に連結されている、パッドの一部分とを有する、方法。
【請求項12】
前記
振動センサからの信号に基づいて下層の露出を検出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記チャンバを加圧することは、バルーンを膨張させることを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]この開示は、化学機械研磨のインシトゥ(その場)のモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路は、典型的には、シリコンウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を順次堆積させることによって、基板上に形成される。製造ステップの1つは、非平面の表面の上に充填層を堆積させることと、この充填層を平坦化することとを伴う。特定の応用では、充填層が、パターニングされた層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、導電性充填層が、パターニングされた絶縁層上に堆積されて、絶縁層のトレンチ又は穴を充填しうる。平坦化の後に、絶縁層の隆起パターンの間に残っている金属層の部分が、基板上の薄膜回路間の導電経路を提供するビア、プラグ、及びラインを形成する。他の応用(酸化物研磨など)では、充填層は、非平面の表面の上に所定の厚さが残されるまで平坦化される。加えて、フォトリソグラフィーでは、通常、基板表面の平坦化が必要になる。
【0003】
[0003]化学機械研磨(CMP)は、認知されている一平坦化方法である。この平坦化方法では、典型的には、基板がキャリア又は研磨ヘッドに装着されることが必要になる。基板の露出表面は、典型的には、回転する研磨パッドに当接して配置される。キャリアヘッドは、基板に制御可能な荷重を提供して、基板を研磨パッドに押し付ける。典型的には、研磨パッドの表面に砥粒研磨スラリが供給される。
【0004】
[0004]CMPにおける問題の1つは、研磨プロセスが完了したかどうか(すなわち、基板層が望ましい平坦度若しくは厚さに平坦化されたかどうか)、又は、望ましい量の材料がいつ除去されたのかを、判定することである。スラリ分布、研磨パッド状態、研磨パッドと基板との間の相対スピード、及び基板に対する荷重におけるばらつきは、材料除去速度のばらつきを引き起こしうる。これらのばらつきのみならず、基板層の初期厚さのばらつきも、研磨終点に到達するのに必要な時間のばらつきを引き起こす。したがって、研磨終点は通常、単に研磨時間の関数として決定可能ではない。
【0005】
[0005]一部のシステムでは、基板は、例えばプラテン又はキャリアヘッドを回転させるためにモータが必要とするトルクをモニタすることによって、研磨中にインシトゥでモニタされる。研磨の音響モニタリングも提案されてきた。しかし、既存のモニタリング技法は、増大しつつある半導体デバイス製造業者の要求を満たさない可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]上述したように、化学機械研磨の音響モニタリングが提案されてきた。センサと、プラテンに対して可動な研磨パッドの一部分との両方を設けることによって、センサは、この部分に選択的に局所化された振動挙動を獲得しうる。
【0007】
[0007]一態様では、化学機械研磨装置は、研磨パッドを支持するためのプラテンを含み、このプラテンは、凹部と、凹部内の可撓性膜と、信号を生成するためのインシトゥ振動モニタリングシステムとを有する。インシトゥ音響モニタシステムは、可撓性膜によって支持され、かつ研磨パッドの下面に連結するよう配置された、振動センサを含む。
【0008】
[0008]実行形態は、以下の特徴のうちの一又は複数を含みうる。
【0009】
[0009]研磨パッドは、研磨層及びバッキング層を有しうる。バッキング層には開孔があってよく、振動センサは、研磨層の下面に直接接触しうる。研磨パッドは、パッドの一部分であって、パッドのこの部分よりも軟性の材料によって研磨パッドの残部に連結されている、パッドの一部分を有しうる。この材料は、パッドのこの部分を、横方向に完全に取り囲みうる。研磨パッドと研磨パッドの残部は、同じ材料組成を有しうる。研磨層は溝を有することがあり、材料はこれらの溝の底部に配置されうる。
【0010】
[0010]可撓性膜の下の空間は、加圧可能でありうる。可撓性膜は、膨張可能なバルーンを提供しうる。可撓性膜は、可撓性膜の下の空間を密封するよう、凹部の端から端まで延在しうる。ポンプが空間を加圧し、かつ、振動センサを付勢して研磨パッドに接触させうる。
【0011】
[0011]コントローラは、振動センサから信号を受信し、かつ研磨終点を検出するよう構成されうる。コントローラは、下層の露出を検出するよう構成されうる。
【0012】
[0012]実行形態は、以下の実現可能性のある利点のうちの一又は複数を含みうる。音響センサ又は振動センサは、より強い信号を有しうる。下層の露出がより確実に検出されうる。研磨のより確実な停止が可能になり、ウエハ間均一性が向上しうる。
【0013】
[0013]一又は複数の実施形態の詳細について、添付の図面及び以下の説明に明記する。その他の態様、特徴、及び利点も、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から、自明となろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014]研磨装置の一例の概略断面図を示す。
【
図2】[0015]研磨パッドの一部分と係合している振動モニタリングセンサの概略断面図を示す。
【
図3】[0016]振動モニタリングセンサを有するプラテンの概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0017]様々な図面における類似の参照記号は、類似の要素を示している。
【0016】
[0018]一般に、化学機械研磨において、材料除去プロセスは、研磨パッドと基板との間の連続的なスティックスリップ動作(stick/slip action)を伴うことがある。このスティックスリップ動作は、プロセス条件及び研磨されている材料に応じて、特有の振動特性(例えば周波数又は振幅)を発生させるはずである。一部の半導体チップ製造プロセスでは、上にある層(金属、酸化ケイ素、又はポリシリコンなど)は、下にある層(酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は高誘電率誘電体などといった誘電体)が露出するまで研磨される。下層が露出すると、研磨パッドと基板との間のスティックスリップ動作が変化し、ひいては、研磨パッドにおける振動(例えば、振動の周波数スペクトル)も変化する。研磨終点は、この振動の変化を検出することによって決定されうる。
【0017】
[0019]モニタされるべき振動は、連続的なスティックスリップ動作の一部として、研磨パッドが引き伸ばされ、解放される時に生じうる。かかる振動は、単に研磨パッドと基板との摩擦によって生じたノイズ(時に音響信号と称されることもある)と必ずしも同じというわけではなく、他の摩擦ノイズとは異なる周波数範囲で発生しうる。
【0018】
[0020]しかし、音響モニタリングに関する潜在的な問題は、振動の減衰である。詳細には、研磨パッドが(例えば接着剤によって)プラテンに固定されていると、このことが、研磨パッドの振動を減衰させる傾向がある。ゆえに、信号を良好に伝達するよう構成された研磨パッドを有し、かつ、低信号減衰の位置にセンサを有することができれば、それが有利である。
【0019】
[0021]
図1は、研磨装置100の一例を示している。研磨装置100は、回転可能なディスク形状のプラテン120を含み、このプラテン上に研磨パッド110が置かれている。プラテンは、軸125を中心として回転するよう動作可能である。例えば、モータ121(例えばDC誘導モータ)が、駆動シャフト124を回して、プラテン120を回転させうる。
【0020】
[0022]研磨パッド110は、外側研磨層112と、より軟性のバッキング層114とを有する、二層研磨パッドでありうる。一部の実行形態では、研磨パッド110の研磨層112の上面に、スラリを搬送する複数の溝116(
図2参照)が形成される。溝116は、研磨層112の厚さを部分的に通るが貫通はせずに延在する。
【0021】
[0023]研磨装置100は、研磨液132(砥粒スラリなど)を研磨パッド110上に供給するための、ポート130を含みうる。研磨装置は、研磨パッド110をばらつきのない砥粒状態を維持するために研磨パッド110を研磨する、研磨パッドコンディショナも含みうる。
【0022】
[0024]研磨装置100は、少なくとも1つのキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140は、基板10を研磨パッド110に当接させて保持するよう動作可能である。各キャリアヘッド140は、それぞれの基板に関連する研磨パラメータ(例えば圧力)の個別制御を有しうる。
【0023】
[0025]キャリアヘッド140は、基板10を可撓性膜144の下に保持するための、保持リング142を含みうる。キャリアヘッド140は、膜によって画定された、個別に制御可能な一又は複数の加圧可能チャンバ(例えば3つのチャンバ146a~146c)も含む。これらのチャンバは、可撓性膜144の(ひいては基板10上の)関連ゾーンに、個別に制御可能な圧力を印加しうる。説明を容易にするために、
図1には3つのチャンバのみが示されているが、1つ若しくは2つのチャンバ、又は4つ以上のチャンバ(例えば5つのチャンバ)があってもよい。
【0024】
[0026]キャリアヘッド140は、支持構造物150(例えばカルーセル又は軌道)から懸架され、かつ、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154(例えばDC誘導モータ)に接続される。これにより、キャリアヘッドは軸155を中心に回転しうる。各キャリアヘッド140は、オプションで、例えば、カルーセル150のスライダに沿って、カルーセル自体の回転往復運動(oscillation)によって、又はトラックに沿って摺動することによって、横方向に往復しうる。典型的な動作においては、プラテンはその中心軸125を中心に回転し、各キャリアヘッドは、その中心軸155を中心に回転し、かつ研磨パッドの上面で端から端まで、横方向に平行移動する。
【0025】
[0027]1つのキャリアヘッド140のみが図示されているが、更なる基板を保持するためにより多くのキャリアヘッドが設けられてよく、これにより、研磨パッド110の表面積が効率的に使用されうる。
【0026】
[0028]コントローラ190(プログラマブルコンピュータなど)が、モータ121、154に接続されて、プラテン120及びキャリアヘッド140の回転速度を制御する。例えば、各モータは、関連する駆動シャフトの回転速度を測定するエンコーダを含みうる。フィードバック制御回路(モータ自体、コントローラの一部、又は別個の回路の中にありうる)が、測定された回転速度をエンコーダから受信し、駆動シャフトの回転速度がコントローラから受信した回転速度に確実に一致するよう、モータに供給される電流を調整する。
【0027】
[0029]研磨装置100は、少なくとも1つの、インシトゥパッド振動モニタリングシステム160を含む。インシトゥパッド振動モニタシステム160は、一又は複数の振動センサ162を含む。各振動センサ162は、プラテン120の上側の一又は複数の場所に設置されうる。詳細には、インシトゥ音響モニタリングシステムは、基板10の材料が変形させられた時に応力エネルギーによって引き起こされる、音響放出を検出するよう構成されうる。
【0028】
[0030]プラテン120の角位置を感知するために、位置センサ(例えば、プラテンのリムに接続された光インタラプタ、又はロータリエンコーダ)が使用されうる。これにより、信号の、センサ162が基板に近接している時(例えば、センサ162がキャリアヘッド又は基板の下にある時)に測定され部分だけが、終点検出に使用されることが可能になる。
【0029】
[0031]
図1及び
図2に示している実行形態では、振動センサ162は、プラテン120の凹部164の中又は上に配置され、かつ、研磨パッド110の下面に接触している。一部の実行形態では、バッキング層114に開孔118が形成され、振動センサ162は、研磨層112の下面に直接接触している。
【0030】
[0032]センサ162は、回路168によって、回転連結(例えば水銀スリップリング)を通じて、電力供給源及び/又はその他の信号処理電子機器166に接続されうる。信号処理電子機器166は、次いでコントローラ190に接続されうる。センサ162からの信号は、内蔵された内部増幅器によって増幅されうる。センサ162からの信号は次いで、(例えば電子機器166内の)高速データ取得ボードに至るまでに、必要であれば更に増幅され、フィルタリングされ、かつA/Dポートを通じてデジタル化されうる。センサ162からのデータは、1~3Mhzで記録されうる。
【0031】
[0033]振動センサ162は、凹部164内に配置された可撓性かつ膨張可能な膜170によって支持されうる。一部の実行形態では、膜170は、凹部164の底部と振動センサ162との間にバルーン様構造物172を形成する。あるいは、膜170は、単に凹部164の一部分に伸縮するように張り渡されて、膜170の上面の下に加圧可能な空間を形成しうる。
【0032】
[0034]膜170の下又は内部の空間を加圧することで、センサ162が付勢されて、研磨パッド110と接触することになりうる。その一方で、可撓性膜(例えばバルーン様構造物)は、センサ162が、3つの軸(研磨パッドの表面に平行な2つの軸と、研磨パッドの表面に対して垂直な1つの軸)の全てにおいて、プラテン120から有効に切り離されることを可能にする。これにより、センサ162は、プラテン120の構造的影響によって妨げられることなく、動作することが可能になる。
【0033】
[0035]加えて、
図2及び
図3を参照するに、研磨パッド110の、センサ162と接触する部分180は、より軟性の材料182によって、研磨パッドの残部から振動的に隔離されうる。これにより、センサ162に当接した(attached)パッドの一部分180を、研磨パッド110の残部に対して平行移動させることが可能になる。ゆえに、センサ162は、研磨パッド110の残部(例えば、研磨パッドとプラテンと当接部)の構造的剛性によって妨げられることなく、作動することが可能になる。より軟性の材料182は、部分180を完全に取り囲みうる。パッドの一部分180は、円形や長方形などであってよい。パッドの一部分180は、研磨層112の残部と同じ材料のものである。
【0034】
[0036]
図2は、溝116の底部に配置された軟質材料182を示しているが、これが必要というわけではない。軟質材料182は、研磨層112の全厚の領域内に配置されてよく、バッキング層114を通って延在することも可能である(例えば
図1参照)。
【0035】
[0037]振動センサ162は、プラテン120の中心(例えば、回転軸125のところ)にも、プラテン120の縁エッジにも、又は中間点(例えば、直径20インチのプラテンの回転軸から5インチのところ)にも、配置されうる。
【0036】
[0038]
図1を再度参照するに、研磨パッドの一部分180が基板10の下で回転するにつれ、この部分180と基板10との間のスティックスリップ動作により、特定の振動特性が生じる。しかし、部分180及びセンサ162は研磨パッド110及びプラテン120の残部から独立しているので、センサは、パッドの一部分180から選択的に振動挙動を獲得しうる。
【0037】
[0039]一部の実行形態では、凹部164内にガスが導入されうる。例えば、圧力源180(例えばポンプ又はガス供給ライン)から、プラテン120内の配管及び/又は通路によって提供される導管182を通って凹部164内に、ガス(例えば空気又は窒素)が導入されうる。出口ポート184が、凹部164と外部環境とを接続し、凹部164からのガスの排出を可能にしうる。ガス流は、凹部164内へのスラリの漏れを低減しかつ/又は凹部164内に漏れたスラリを出口ポート184を通じてパージ排出して、電子機器又はその他の構成要素の損傷とセンサ162の汚染の可能性を低減するために、凹部164を加圧しうる。
【0038】
[0040]センサ162からの信号には、終点検出又はフィードバック制御若しくはフィードフォワード制御のいずれかのために、例えばコントローラ190において、例えば増幅、予備フィルタリング、及びデジタル化の後に、データ処理が行われうる。
【0039】
[0041]一部の実行形態では、信号の周波数解析が実施される。例えば、周波数スペクトラムを生成するために、信号に高速フーリエ変換(FFT)が実施されうる。特定の周波数帯域がモニタされてよく、この周波数帯域における強度が閾値を超えた場合、それは下層の露出を示すことがあり、このことが、終点をトリガするために使用されうる。あるいは、選択された周波数範囲における局所的な最大値又は最小値の幅が閾値を超えた場合、それは下層の露出を示すことがあり、このことが、終点をトリガするために使用されうる。
【0040】
[0042]別の例としては、信号を低周波成分と高周波成分とに分解するために、信号にウェーブレットパケット変換(WPT)が実施されうる。この分解は、信号をより細かい成分に分割するために必要であれば、繰り返されうる。周波数成分のうちの1つの強度がモニタされてよく、この成分の強度が閾値を超えた場合、それは下層の露出を示すことがあり、このことが、終点をトリガするために使用されうる。
【0041】
[0043]デバイス基板は、例えば閾値が実験的に決定された後に、研磨されうる。デバイス基板が研磨ステーションで研磨され、振動信号が、インシトゥ振動モニタシステムから収集される。
【0042】
[0044]下層の露出を検出するために、信号がモニタされる。例えば、特定の周波数範囲がモニタされてよく、その強度がモニタされ、かつ閾値と比較されうる。
【0043】
[0045]研磨終点が検出されると研磨の停止がトリガされるが、終点のトリガの後も、研磨は所定の時間量にわたって継続しうる。代替的又は追加的には、収集済みデータ及び/又は終点検出時点は、後続の処理動作(例えば後続のステーションでの研磨)における基板の処理を制御するためにフィードフォワードされうるか、又は、同じ研磨ステーションでの後続基板の処理を制御するためにフィードバックされうる。
【0044】
[0046]この明細書に記載されている実行形態及び全ての機能的動作は、デジタル電子回路において、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア(この明細書で開示されている構造的手段及びその構造的等価物を含む)において、又はこれらの組合せにおいて、実装されうる。本書に記載の実行形態は、データ処理装置(例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行されるため、又はかかるデータ処理装置の動作を制御するための、一又は複数の非一時的なコンピュータプログラム製品(すなわち、機械可読記憶デバイスにおいて有形に具現化される一又は複数のコンピュータプログラム)として、実装されうる。
【0045】
[0047]コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても既知である)は、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書かれてよく、かつ、任意の形態で(例えば、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットとして)デプロイされうる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応するわけではない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一のファイルに、又は複数の協調ファイル(例えば、一又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコード部分を記憶するファイル)に、記憶されうる。コンピュータプログラムは、一ケ所にある1つの若しくは複数のコンピュータで、又は、複数ケ所に分散されかつ通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータで、実行されるようデプロイされうる。
【0046】
[0048]この明細書に記載のプロセス及びロジックフローは、一又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施されてよく、一又は複数のプログラマブルプロセッサは、入力データで動作しかつ出力を生成することによって機能を実施するよう、一又は複数のコンピュータプログラムを実行する。プロセス及びロジックフローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)といった特殊用途のロジック回路によって実施されてもよく、装置が、かかる特殊用途のロジック回路として実装されることも可能である。
【0047】
[0049]「データ処理装置(data processing apparatus)」という語は、例としてはプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを含む、データを処理するための全ての装置、デバイス、及び機械を包含する。この装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムのための実行環境を創出するコード(例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はこれらのうちの一又は複数の組み合わせを構成するコード)を含みうる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例としては、汎用と特殊用途の両方のマイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の一又は複数のプロセッサを含む。
【0048】
[0050]コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、全ての形態の不揮発性のメモリ、媒体、及びメモリデバイスを含む。かかるメモリ、媒体、及びメモリデバイスは、例としては、半導体メモリデバイス(EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(内蔵ハードディスク又は着脱可能ディスクなど)、光磁気ディスク、並びにCD ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊用途ロジック回路によって補完されうるか、又は特殊用途ロジック回路に組み込まれうる。
【0049】
[0051]上述した研磨装置及び研磨方法は、多種多様な研磨システムに適用されうる。研磨パッドとキャリアヘッドのいずれか又は両方が動いて、研磨面とウエハとの間に相対運動をもたらしうる。例えば、プラテンは、回転するのではなく軌道周回する(orbit)こともある。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又は他の何らかの形状)のパッドでありうる。終点検出システムの態様の一部は、直線研磨システム(例えば、研磨パッドが直線的に動く連続ベルト又はリールツーリールベルトである場合)にも適用可能でありうる。研磨層は、標準的な(例えば、充填剤を伴う又は伴わないポリウレタンの)研磨材料、軟性材料、又は固定砥粒材料でありうる。相対的な位置付けについての語が使用されているが、研磨面及びウエハは、垂直配向又は他の何らかの配向で保持されうると、理解すべきである。
【0050】
[0052]この明細書は多くの具体的事項を内包しているが、これらは、特許請求されうるものの範囲に対する制限としてではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特有でありうる特徴の説明として、解釈されるべきである。一部の実行形態では、方法は、上にある材料と下にある材料との別の組み合せ、及び、別の種類のインシトゥモニタリングシステム(例えば光学的モニタリングシステム又は渦電流モニタリングシステム)からの信号にも、適用されうる。