(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】注出用スパウト
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20230926BHJP
B65D 47/24 20060101ALI20230926BHJP
B65D 51/18 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B65D33/38
B65D47/24 120
B65D51/18 BRG
(21)【出願番号】P 2019189392
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080217(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0028631(KR,A)
【文献】特表平11-511711(JP,A)
【文献】実開昭61-032048(JP,U)
【文献】実開昭54-013647(JP,U)
【文献】実開平04-089701(JP,U)
【文献】特開2010-247898(JP,A)
【文献】特開2018-062351(JP,A)
【文献】特開2014-208541(JP,A)
【文献】特開平07-232728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B65D 47/24
B65D 51/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器の装着筒部に装着される内側栓体と、
前記内側栓体に、軸方向に移動可能に外挿される外側スリーブと、を備え、
前記内側栓体は、前記装着筒部に装着される注出筒部と、前記注出筒部に設けられた封止突部と、を有し、
前記注出筒部は、前記外側スリーブに収容され、
前記外側スリーブは、前記封止突部に応じた形状の先端開口部を有するスリーブ本体と、前記スリーブ本体の外周面から突出するストッパ突部と、を有し、前記軸方向の移動によって、前記封止突部が前記先端開口部を閉止する閉止位置と、前記先端開口部が開放される開放位置とを切り替え可能であ
り、
前記内側栓体に対する前記外側スリーブの前記軸方向への移動を規制する規制部材をさらに備え、
前記規制部材は、前記外側スリーブに、取り外し可能に設けられる、
注出用スパウト。
【請求項2】
前記先端開口部は、非円形であり、
前記封止突部は、前記先端開口部に応じた形状とされている、
請求項1記載の注出用スパウト。
【請求項3】
前記封止突部は、前記先端開口部を閉止する栓部と、
前記注出筒部から突出して前記栓部を支持する一対の板状の支持部と、
前記栓部から前記注出筒部に向けて突出する中間壁部と、を備え、
前記一対の支持部は、間隔をおいて、向かい合って配置され、
前記中間壁部は、一方の前記支持部から他方の前記支持部にかけて形成され、前記栓部と前記支持部とによって区画された空間を2つに区画する、
請求項1または2に記載の注出用スパウト。
【請求項4】
前記ストッパ突部は、
前記スリーブ本体の外周面から径方向外側に突出するフランジ部と、
前記スリーブ本体の外周面からの突出長さが前記フランジ部に比べて小さい切り欠き部と、を有する、
請求項1~
3のうちいずれか1項に記載の注出用スパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出用スパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、詰め替え容器用スパウトである注出用スパウトが開示されている。特許文献1の注出用スパウトは、基部と、筒部とを有する内側栓体を備える。基部は、詰め替え容器のパウチに取り付けられる。筒部は、基部からパウチの外方に突出している。筒部には、パウチに充填された内容物が流れる流路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の注出用スパウトでは、詰め替え容器から包装容器(充填対象容器)へと、簡単な操作によって、内容物を安定して注出できることが望まれていた。
【0005】
本発明は、簡単な操作により内容物を安定して注出できる注出用スパウトを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、内容物が収容される容器の装着筒部に装着される内側栓体と、前記内側栓体に、軸方向に移動可能に外挿される外側スリーブと、を備え、前記内側栓体は、前記装着筒部に装着される注出筒部と、前記注出筒部に設けられた封止突部と、を有し、前記注出筒部は、前記外側スリーブに収容され、前記外側スリーブは、前記封止突部に応じた形状の先端開口部を有するスリーブ本体と、前記スリーブ本体の外周面から突出するストッパ突部と、を有し、前記軸方向の移動によって、前記封止突部が前記先端開口部を閉止する閉止位置と、前記先端開口部が開放される開放位置とを切り替え可能である注出用スパウトを提供する。
【0007】
前記先端開口部は、非円形であり、前記封止突部は、前記先端開口部に応じた形状とされていることが好ましい。
【0008】
前記注出用スパウトでは、前記封止突部は、前記先端開口部を閉止する栓部と、前記注出筒部から突出して前記栓部を支持する一対の板状の支持部と、前記栓部から前記注出筒部に向けて突出する中間壁部と、を備え、前記一対の支持部は、間隔をおいて、向かい合って配置され、前記中間壁部は、一方の前記支持部から他方の前記支持部にかけて形成され、前記栓部と前記支持部とによって区画された空間を2つに区画することが好ましい。
【0009】
前記注出用スパウトは、前記内側栓体に対する前記外側スリーブの軸方向への移動を規制する規制部材をさらに備え、前記規制部材は、前記外側スリーブに、取り外し可能に設けられることが好ましい。
【0010】
前記ストッパ突部は、前記スリーブ本体の外周面から径方向外側に突出するフランジ部と、前記スリーブ本体の外周面からの突出長さが前記フランジ部に比べて小さい切り欠き部と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一つの態様の注出用スパウトによれば、簡単な操作により内容物を安定して注出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の注出用スパウトを示す斜視図である。
【
図2】実施形態の注出用スパウトを示す分解斜視図である。
【
図3】実施形態の注出用スパウトを示す縦断面図である。
【
図4】実施形態の注出用スパウトを示す縦断面図である。
【
図6】実施形態の注出用スパウトおよびスパウト基部を示す側面図である。
【
図7】実施形態の注出用スパウトおよびスパウト基部を示す側面図である。
【
図8】実施形態の注出用スパウトを示す縦断面図である。
【
図9】実施形態の注出用スパウトを示す縦断面図である。
【
図10】実施形態の注出用スパウトを示す斜視図である。
【
図11】実施形態の注出用スパウトを示す縦断面図である。
【
図12】実施形態の注出用スパウトを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[注出用スパウト]
実施形態の注出用スパウト1について、
図1~
図6を参照して説明する。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を採用することがある。
図1に示すように、X方向およびY方向は、内側栓体2および外側スリーブ3の中心軸Cに直交する。Y方向はX方向と直交する。Z方向は内側栓体2および外側スリーブ3の中心軸Cと平行である。平面視とは、Z方向と平行に見ることをいう。
【0014】
図1は、実施形態の注出用スパウト1を示す斜視図である。
図2は、注出用スパウト1を示す分解斜視図である。
図3は、注出用スパウト1を示す縦断面図である。
図3はXZ平面に沿う断面図である。
図4は、注出用スパウト1を示す縦断面図である。
図4はYZ平面に沿う断面図である。
図5は、スパウト基部101を示す側面図である。
図6は、注出用スパウト1およびスパウト基部101を示す側面図である。
【0015】
図6に示すように、注出用スパウト1は、スパウト基部101(
図5参照)に装着される。パウチ部102には、内容物(図示略)が収容される。内容物は、例えば、液体、粉体等の有体物からなる流体である。液体の内容物としては、例えば、液体化粧料、液体洗剤、および醤油等の液体調味料などを挙げることができる。粉体の内容物としては、例えば、塩、砂糖、胡椒、顆粒状調味料、および粉末洗剤などを挙げることができる。
【0016】
詰め替え容器100(容器)は、スパウト基部101と、パウチ部102と、注出用スパウト1と、を備える。
図5に示すように、スパウト基部101は、取付部103と、装着筒部104とを備える。取付部103は、長さ方向(
図5における左右方向)に沿って中央部から離れるほど幅(
図5における奥行き方向の寸法)が狭くなる形状(いわゆる舟形状)であってよい。取付部103は、パウチ部102を構成するフィルムに挟み込まれる。取付部103の両側面は、例えば、パウチ部102を構成するフィルムに溶着される。
【0017】
装着筒部104は、円筒形状とされる。装着筒部104は、取付部103の第1主面103a(
図5における上面)から突出する。取付部103および装着筒部104には、流路105が形成されている。流路105は、取付部103の第2主面103b(第1主面103aとは反対の面)から装着筒部104の先端にかけてスパウト基部101を貫通する。装着筒部104の中心軸方向から見た流路105の形状は、例えば、円形状である。流路105は、パウチ部102の内容物を、装着筒部104の先端開口104aから注出させることができる。
装着筒部104の外周面には、雄ネジ部106が形成されている。
スパウト基部101は、例えば、合成樹脂製である。
【0018】
パウチ部102は、例えば、可撓性を有するフィルムで構成される。パウチ部102は、内部に内容物を収容できる包装容器である。パウチ部102は、例えば、合成樹脂製である。
【0019】
図2に示すように、注出用スパウト1は、内側栓体2と、外側スリーブ3と、規制部材4と、を備える。注出用スパウト1は、例えば、合成樹脂製である。
内側栓体2および外側スリーブ3は、共通の中心軸Cを有する。すなわち、内側栓体2と外側スリーブ3とは、互いに同軸に配置される。中心軸Cに沿う方向を軸方向と呼ぶ。中心軸Cは、装着筒部104(
図5参照)の中心軸と一致する。
図3および
図4における上方を先端方向と呼ぶ。
図3および
図4における下方を基端方向と呼ぶ。中心軸Cを通り、かつ中心軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Cに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Cから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。中心軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0020】
内側栓体2は、注出筒部6と、封止突部7とを備える。注出筒部6および封止突部7は、例えば、一体に形成される。
【0021】
注出筒部6は、頂壁11と、周壁12と、封止筒部13(
図3および
図4参照)とを備える。頂壁11は、円板状とされる。頂壁11には、開口部14が形成されている。開口部14は、頂壁11を厚さ方向に貫通する。開口部14は、平面視において円形状である。
【0022】
周壁12は、中心軸Cを有する円筒状とされている。周壁12は、頂壁11の周縁から基端方向に延出する。
周壁12の外周面には、複数の液止めリブ15が形成されている。液止めリブ15は、周壁12の外周面から径方向外側に突出して形成されている。液止めリブ15は、周壁12の周方向に沿う環状とされる。複数の液止めリブ15は、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。液止めリブ15は、外側スリーブ3の後述するスリーブ本体31(
図3および
図4参照)の内周面と接触する。
【0023】
図3および
図4に示すように、周壁12の内周面には、ネジ部16が形成されている。ネジ部16は、装着筒部104の雄ネジ部106(
図5参照)に螺合する。
【0024】
封止筒部13は、頂壁11の基端面11bから軸方向に沿って基端方向に突出する。封止筒部13は、円筒状とされる。封止筒部13の外径は周壁12の内径より小さいため、封止筒部13は周壁12から径方向内側に離れて形成されている。封止筒部13の突出長さは、周壁12の軸方向長さより短い。封止筒部13は、装着筒部104(
図5参照)に挿入され、装着筒部104の内周面に当接して流路105を密封する。
注出筒部6は、全体が外側スリーブ3に収容されている。なお、注出筒部は、一部のみが外側スリーブに収容されていてもよい。
【0025】
図2に示すように、封止突部7は、注出筒部6に連設されている。封止突部7は、一対の支持部17,17と、栓部18と、中間壁部19とを備える。
支持部17は、例えば、YZ平面に沿う矩形板状とされている。支持部17は、頂壁11の先端面11aから先端方向に突出する。一対の支持部17,17は、X方向に間隔をおいて、向かい合って配置されている。一対の支持部17,17は、形状および大きさが互いに同じである。支持部17,17は、栓部18を支持する。
【0026】
栓部18は、支持部17の先端部に設けられている。栓部18は、例えば、XY平面に沿う矩形板状とされている。栓部18は、先端開口部35に応じた形状とされる。栓部18は、先端開口部35に嵌合して先端開口部35を閉止できる形状とされている。栓部18のX方向の寸法は、先端開口部35のX方向の寸法と同じ、または先端開口部35のX方向の寸法よりやや小さい。栓部18のY方向の寸法は、先端開口部35のY方向の寸法と同じ、または先端開口部35のY方向の寸法よりやや小さい。
【0027】
栓部18は、注出筒部6の頂壁11に対して、先端方向に離れた位置に設けられる。栓部18と、支持部17,17とによって区画される空間を「放出空間23」という。放出空間23は、平面視において、開口部14の少なくとも一部に重なる。そのため、注出筒部6から開口部14を通して放出された内容物の少なくとも一部は、放出空間23に導入される。
【0028】
栓部18および先端開口部35は非円形であるため、栓部18が先端開口部35に嵌合した状態では、栓部18と外側スリーブ3との相対的な中心軸C回りの回転が規制される。そのため、外側スリーブ3に加えられた周方向の力は内側栓体2に伝達される。栓部18は、外側スリーブ3と内側栓体2との相対的な回転を規制する回転規制機構として機能する。
【0029】
中間壁部19は、XZ平面に沿う矩形板状とされている。中間壁部19は、栓部18の基端面18b(
図4参照)から注出筒部6に近づく方向に突出する。中間壁部19は、一方の支持部17から他方の支持部17にかけて形成されている。中間壁部19は、放出空間23(栓部18と、支持部17,17とによって区画される空間)を2つに区画する(
図4参照)。中間壁部19の端部は、平面視において、支持部17,17のY方向の中央部に位置する。そのため、平面視において、支持部17,17と中間壁部19とは「H」形状となる配置をとる。
【0030】
図4に示すように、中間壁部19の突出方向の先端部19aは、下方(基端方向。注出筒部6に近づく方向)に行くほど薄くなるように形成されている。中間壁部19の先端部19aは、頂壁11の先端面11aと同じ高さ位置に達している。
注出口22は、注出筒部6の先端(詳しくは頂壁11)と封止突部7との間に形成された開口である。
【0031】
図1および
図2に示すように、外側スリーブ3は、スリーブ本体31と、ストッパ突部32と、を有する。外側スリーブ3は、内側栓体2に外挿される。外側スリーブ3は、内側栓体2に対して軸方向に移動可能である。
【0032】
スリーブ本体31は、スリーブ頂壁33と、スリーブ周壁34と、を有する。スリーブ頂壁33は、円板状とされる。スリーブ頂壁33には、先端開口部35が形成されている。先端開口部35は、スリーブ頂壁33を厚さ方向に貫通する。先端開口部35は、平面視において矩形状である。先端開口部35は、封止突部7(詳しくは栓部18)が脱着可能に嵌合する。先端開口部35は、栓部18が嵌合することによって閉止される。
【0033】
スリーブ周壁34は、中心軸Cを有する円筒状である。スリーブ周壁34は、スリーブ頂壁33の周縁から基端方向に延出する。スリーブ周壁34の外周面には、滑り止め用のローレット36が形成されている。ローレット36は、周方向に並ぶ複数の凸部37によって構成されている。凸部37は、軸方向に沿って直線状に延在する。凸部37は、スリーブ周壁34の外周面から径方向外側に突出する。
スリーブ周壁34内には、注出筒部6が摺動自在に嵌合する。スリーブ周壁34の内周面には、注出筒部6の液止めリブ15が摺動自在に接触する。
【0034】
図3および
図4では、スリーブ頂壁33の先端開口部35に栓部18が嵌合することによって、先端開口部35が閉止されている。この外側スリーブ3の位置を「閉止位置P1」という。閉止位置P1では、栓部18の先端面18aは、例えば、スリーブ頂壁33の先端面33aと面一となる。
【0035】
図1および
図2に示すように、ストッパ突部32は、スリーブ本体31の外周面から径方向外側に突出する。ストッパ突部32は、中心軸Cと直交する板状とされる。
ストッパ突部32は、スリーブ本体31から径方向外側に突出する突出量は、周方向の位置により異なる。ストッパ突部32は、一対のフランジ部32a,32aと、一対の切り欠き部32b,32bと、を有する。
【0036】
一対のフランジ部32a,32aは、中心軸C回りに回転対称となる位置にある。すなわち、2つのフランジ部32a,32aは、中心軸C回りに180°ずれた位置にある。
切り欠き部32bは、フランジ部32aとは周方向の異なる位置に形成される。切り欠き部32bは、フランジ部32aと周方向に隣り合う。一対の切り欠き部32b,32bは、中心軸C回りに回転対称となる位置にある。すなわち、2つの切り欠き部32b,32bは、中心軸C回りに180°ずれた位置にある。
【0037】
フランジ部32aがスリーブ本体31から径方向外側に突出する突出量に比べて、切り欠き部32bがスリーブ本体31から径方向外側に突出する突出量は小さい。なお、切り欠き部32bは、スリーブ本体31から径方向外側に突出しなくてもよい。
【0038】
図1に示すように、規制部材4は、内側栓体2(
図3および
図4参照)に対する外側スリーブ3の軸方向の移動を規制する。規制部材4は、規制本体41と、把持部42とを備える。規制本体41は、帯状に形成される。規制本体41は、外側スリーブ3の基端側に設けられる。規制本体41は、概略、周方向に延在する。
【0039】
把持部42は、規制本体41の一端部に形成される。把持部42は、複数の滑り止め凸部43を有する。複数の滑り止め凸部43は、規制本体41の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
【0040】
規制部材4は、例えば、複数の破断可能な弱化部44(
図3および
図4参照)を介して外側スリーブ3に接続される。弱化部44は、例えば、規制部材4と外側スリーブ3とを接続する薄肉部、ブリッジ等である。この弱化部44を破断することにより、規制部材4は、外側スリーブ3に取り外し可能となる。
【0041】
図6は、規制部材4を取り外す前の注出用スパウト1を示す。
図7は、規制部材4を取り外した注出用スパウト1を示す。規制部材4がない状態では、外側スリーブ3は、内側栓体2に対して軸方向に移動可能である。
【0042】
図10~
図12に示すように、内側栓体2を軸方向の先端側へ移動すると、栓部18が先端開口部35から離れ、先端開口部35が開口される。この外側スリーブ3の位置を「開放位置P2」という。外側スリーブ3は、軸方向の移動によって、閉止位置P1と開放位置P2とを切り替え可能である。
【0043】
[注出用スパウトの使用方法]
次に、注出用スパウト1の使用方法について説明する。
図5および
図6に示すように、スパウト基部101の装着筒部104に対して、注出用スパウト1を装着する。外側スリーブ3を把持して注出用スパウト1を巻締め方向に回転させると、注出筒部6のネジ部16(
図3および
図4参照)は、装着筒部104の雄ネジ部106(
図5参照)にネジ嵌合する。栓部18は先端開口部35に嵌合しているため、注出用スパウト1を巻締め方向に回転させる際には、外側スリーブ3に加えられた周方向の力は内側栓体2に伝達される。
【0044】
図8および
図9に示す符号120は、詰め替え容器100の内容物を詰め替える対象の包装容器(充填対象容器)である。
図8および
図9において包装容器120は、正立姿勢をとっている。包装容器120の正立姿勢とは、包装容器120の容器口首部121が、上側に向く姿勢である。包装容器120は、例えば合成樹脂製のボトル形容器である。包装容器120は、容器口首部121と、容器肩部122と、図示しない容器胴部と、を有する。
【0045】
容器口首部121は、軸方向に延びる筒状である。容器口首部121は、例えば円筒状である。容器口首部121の内径は、外側スリーブ3のスリーブ本体31の外径よりも大きい。
図9に示すように、容器口首部121の内径D1と、スリーブ本体31の外径D2との差(D1-D2)は、0.5mm以上が好ましい。
【0046】
容器口首部121の軸方向の両端部のうち、一端部は開口端部であり、他端部は容器肩部122に連設されている。
容器肩部122は、容器口首部121の軸方向の他端部から径方向外側に拡がる。容器肩部122の径方向外端部は、容器胴部(図示略)に連なる。容器胴部は、詰め替えられた内容物を収容する。
【0047】
図8および
図9において注出用スパウト1は、倒立姿勢とされている。注出用スパウト1の倒立姿勢とは、外側スリーブ3の先端開口部35が下側を向く姿勢である。
注出用スパウト1の一部は容器口首部121に挿入されている。ストッパ突部32(詳しくはフランジ部32a)の先端側の面は、容器口首部121の軸方向の一端部(開口端部)に接触している。具体的には、フランジ部32aの先端側の面は、容器口首部121の開口端部に接触する。
【0048】
切り欠き部32bは、平面視において、容器口首部121の内周面に比べて径方向内側に位置する。そのため、切り欠き部32bと、容器口首部121の内周面との間には、径方向の隙間が形成される。
【0049】
次に、注出用スパウト1を通して、詰め替え容器100の内容物を包装容器120に注出させる手順について説明する。
図6および
図7に示すように、規制部材4の把持部42(
図1参照)を操作者が把持し、この把持部42を径方向外側かつ周方向へと移動させて、弱化部44を破断させ、規制本体41を外側スリーブ3から取り外す。外側スリーブ3は、閉止位置P1(
図3および
図4参照)にある。
【0050】
図8および
図9に示すように、詰め替え容器100を倒立姿勢とし、注出用スパウト1を、包装容器120の容器口首部121内に挿入する。フランジ部32aの先端面は、容器口首部121の開口端部に接触する。
【0051】
図10、
図11および
図12に示すように、この状態から、容器口首部121および外側スリーブ3に対して、パウチ部102およびスパウト基部101とともに、内側栓体2を軸方向の先端側へ押し込む。すなわち、外側スリーブ3を開放位置P2に配置する。これにより、栓部18は先端開口部35から離れ、先端開口部35および注出口22は開放される。
【0052】
図12に示すように、先端開口部35が開口されると、パウチ部102の内容物は、スパウト基部101の流路105(
図5参照)を経て開口部14を通り、放出空間23に至る。内容物は、中間壁部19によって2つに分流され、注出口22から包装容器120内に流入する。
図12において白抜き矢印は、内容物が包装容器120内に流れる向きを示している。黒矢印は、包装容器120内から外部に流出する空気の流れを示している。
【0053】
[注出用スパウトが奏する効果]
注出用スパウト1によれば、外側スリーブ3に対して内側栓体2を押し下げる簡単な操作により、内側栓体2と外側スリーブ3とが軸方向に相対移動して先端開口部35が開放され、詰め替え容器100の内容物が包装容器120に詰め替えられる。
【0054】
注出用スパウト1は、倒立姿勢としても、内側栓体2と外側スリーブ3とが相対移動するまでは先端開口部35は開かれない。そのため、容器口首部121に外側スリーブ3を挿入するまでに内容物をこぼす心配が少ない。よって、注出用スパウト1は、簡単な操作によって、詰め替え容器100から包装容器120へと内容物を安定して注出できる。
【0055】
注出用スパウト1では、スパウト基部101として、汎用のスパウトを使用できる。そのため、製造コスト低減を図ることができる。
【0056】
注出用スパウト1は、注出筒部6が外側スリーブ3に収容されるため、軸方向の寸法を小さくすることができる。よって、注出用スパウト1は、小型化が可能である。
【0057】
注出用スパウト1は、先端開口部35が非円形であり、封止突部7の栓部18が先端開口部35に応じた形状であるため、外側スリーブ3に加えられた周方向の力は内側栓体2に伝達される。そのため、注出用スパウト1は、スパウト基部101の装着筒部104に容易に装着できる。
【0058】
封止突部7は、支持部17,17と、栓部18と、中間壁部19を備える。中間壁部19は、栓部18と支持部17,17とによって区画された放出空間23を2つに区画する(
図4参照)。そのため、放出空間23に放出された内容物は、中間壁部19によって2つに分流され、包装容器120内に導入される。よって、詰め替え容器100の内容物を効率よく包装容器120に充填することができる。
【0059】
注出用スパウト1は、外側スリーブ3に規制部材4が設けられているため、外側スリーブ3が意図せず先端側へ移動して先端開口部35が開放されるのを抑えることができる。
【0060】
注出用スパウト1は、ストッパ突部32がフランジ部32aを有する。そのため、容器口首部121の開口端部にフランジ部32aを係止させて、内側栓体2を押し下げることで、内側栓体2と外側スリーブ3とを軸方向に安定して相対移動させることができる。これにより、詰め替え容器100の内容物を包装容器120に安定的に充填することができる。
【0061】
注出用スパウト1は、容器口首部121と外側スリーブ3との隙間から切り欠き部32bを通して、包装容器120内の空気を外部に排出させることができる。すなわち、詰め替え容器100から包装容器120に流入する内容物と、包装容器120内の空気とを容易に置換することができる。これにより、包装容器120に流入する内容物の脈動等が抑えられ、内容物の詰め替え作業をスムーズに行うことができる。
【0062】
注出用スパウト1では、注出筒部6の液止めリブ15が、スリーブ本体31の内周面と接触する。液止めリブ15により、外側スリーブ3と注出筒部6との接触面積が小さく抑えられ、外側スリーブ3の注出筒部6に対する摺動抵抗が小さくなる。また液止めリブ15により、外側スリーブ3と注出筒部6との間を内容物が軸方向に通過することが抑制される。
【0063】
前述の実施形態では、注出用スパウト1が詰め替え容器100に用いられる例を挙げたが、注出用スパウト1が適用される詰め替え容器は、この例に限定されない。例えば、注出用スパウト1が適用される詰め替え容器は、パウチ部に代えて、剛性の高い容器を用いてもよい。
【0064】
前述の実施形態では、先端開口部35および栓部18が矩形状とされているが、先端開口部および栓部の形状は、外側スリーブに加えられた周方向の力が内側栓体に伝達される形状であれば、矩形状に限定されない。例えば、先端開口部および栓部の形状は、楕円形状、多角形状(三角形状等)などの非円形状であってよい。先端開口部および栓部の形状は、外側スリーブおよび内側栓体の中心軸に対して偏心していれば円形状であってもよい。
【0065】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0066】
1…注出用スパウト、2…内側栓体、3…外側スリーブ、4…規制部材、6…注出筒部、7…封止突部、17…支持部、18…栓部、19…中間壁部、23…放出空間(栓部と支持部とによって区画される空間))、31…スリーブ本体、32…ストッパ突部、32a…フランジ部、32b…切り欠き部、35…先端開口部、100…詰め替え容器(容器)、104…装着筒部、C…中心軸、D1…容器口首部の内径、D2…スリーブ本体の外径、P1…閉止位置、P2…開放位置