(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】基板処理システム及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230926BHJP
C23C 14/56 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01L21/68 A
C23C14/56 G
(21)【出願番号】P 2019207255
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0062555
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 康信
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-148387(JP,A)
【文献】特開2019-023750(JP,A)
【文献】特開2011-215526(JP,A)
【文献】特開平11-288990(JP,A)
【文献】特開2011-042868(JP,A)
【文献】特開平08-267344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
C23C 14/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、
前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、
を含む、基板処理システムであって、
前記基板搬送システムは、
前記基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を制御する搬送制御部と、
を含み、
前記搬送制御部は、前記基板の
前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御する
ものであり、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、
所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新する
ことを特徴とする
基板処理システム。
【請求項2】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、
前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、
を含む、基板処理システムであって、
前記基板搬送システムは、
前記基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を制御する搬送制御部と、
を含み、
前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御するものであり、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、
前記処理装置は、前記基板搬送システムの前記搬送手段によって前記処理装置内に搬入された前記基板を支持するための基板支持ユニットをさらに含み、
前記パラメータ値は、前記処理装置内に進入した前記搬送手段の位置に対する前記基板支持ユニットの相対位置のオフセット補正値である
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項3】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、
前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、
を含む、基板処理システムであって、
前記基板搬送システムは、
前記基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を制御する搬送制御部と、
を含み、
前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御するものであり、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、
前記処理装置は、前記処理装置内の前記基板とマスクを密着させるための密着手段をさらに含み、
前記パラメータ値は、前記密着手段による前記基板と前記マスクとの間の密着動作時のずれを事前にオフセット補正するためのオフセット補正値である
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項4】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、
前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、
を含む、基板処理システムであって、
前記基板搬送システムは、
前記基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を制御する搬送制御部と、
を含み、
前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御するものであり、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、
前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、
前記処理装置は、前記基板の識別情報である基板識別情報と、前記パラメータ値を格納するためのパラメータ格納部をさらに含み、
前記パラメータ値は、前記基板識別情報と関連付けられて格納される
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項5】
前記搬送制御部は、前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板の搬送ルートを制御する
ことを特徴とする請求項1
から4のいずれか1項に記載の
基板処理システム。
【請求項6】
前記搬送制御部は、
前記原板からの
前記切り出し位置が第1の切り出し位置である第1基板と
前記原板からの
前記切り出し位置が第2の切り出し位置である第2基板とが異なる
前記搬送ルートに沿って搬送されるように前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする請求項
5に記載の
基板処理システム。
【請求項7】
前記搬送制御部は、前記第1基板が、複数の
前記搬送ルートのうち、前記第1基板に対応するものとして選択された少なくとも2つの
前記搬送ルートのいずれかに沿って搬送されるように前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする請求項
6に記載の
基板処理システム。
【請求項8】
前記基板の
前記搬送ルートに関する情報である搬送ルート情報を含む情報を格納する格納部をさらに含み、
前記搬送ルート情報は、前記基板の前記切り出し位置に応じて異なり、
前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの
前記切り出し位置に関する情報と、前記格納部に格納された前記情報とに基づいて、前記搬送手段を制御する
ことを特徴とする請求項
5から
7のいずれか1項に記載の
基板処理システム。
【請求項9】
前記情報は、前記基板の識別情報である基板識別情報をさらに含み、
前記搬送ルート情報は、前記基板識別情報と関連付けられて格納される
ことを特徴とする請求項
8に記載の
基板処理システム。
【請求項10】
前記搬送ルート情報は、前記基板を、前記基板に対して所定の処理を行う複数の処理装置のうち、どの処理装置に搬送するかを表す情報を含む
ことを特徴とする請求項
8に記載の
基板処理システム。
【請求項11】
前記搬送ルート情報は、前記基板を前記複数の処理装置のうちの少なくとも2つに順に搬送するための情報を含む
ことを特徴とする請求項
10に記載の
基板処理システム。
【請求項12】
前記搬送ルート情報は、前記基板を前記処理装置内の複数のセット位置のうち、どのセット位置に搬送するかを表す情報をさらに含む
ことを特徴とする請求項
10または
11に記載の
基板処理システム。
【請求項13】
前記搬送制御部は、前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板の搬送ルートを決定し、
前記搬送手段は、決定された前記搬送ルートに沿って前記基板を搬送する
ことを特徴とする請求項1から
12のいずれか1項に記載の
基板処理システム。
【請求項14】
前記切り出し位置に関する情報を取得する取得部をさらに含み、
前記搬送制御部は、取得された前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板の
前記搬送ルートを決定する
ことを特徴とする請求項
13に記載の
基板処理システム。
【請求項15】
前記取得部は、前記搬送手段の上流装置から前記切り出し位置に関する情報を取得することを特徴とする請求項
14に記載の
基板処理システム。
【請求項16】
前記搬送制御部は、前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を、前記基板に対して所定の処理を行う複数の処理装置のうち、どの処理装置に搬送するかを決定することを特徴とする請求項1から
12のいずれか1項に記載の
基板処理システム。
【請求項17】
前記処理装置は、
前記基板をセットするための複数のセット位置を有し、
前記搬送制御部は、前記切り出し位置に関する情報に基づいて、どのセット位置に前記基板をセットするかを決定する
ことを特徴とする請求項
16に記載の
基板処理システム。
【請求項18】
原板から所定の大きさに切り出された基板
に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送する
ための基板搬送
システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、
前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階
と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
前記処理制御部が、所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新する段階と、
を有することを特徴とする
基板処理方法。
【請求項19】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板搬送システムの前記搬送手段によって前記処理装置内に搬入された前記基板を支持するための基板支持ユニットを含み、
前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
を有し、
前記パラメータ値は、前記処理装置内に進入した前記搬送手段の位置に対する前記基板支持ユニットの相対位置のオフセット補正値である
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項20】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記処理装置内の前記基板とマスクを密着させるための密着手段を含み、
前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
を有し、
前記パラメータ値は、前記密着手段による前記基板と前記マスクとの間の密着動作時のずれを事前にオフセット補正するためのオフセット補正値である
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項21】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板の識別情報である基板識別情報と、前記基板の切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値を格納するためのパラメータ格納部を含み、
前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記パラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
前記処理制御部が、所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新する段階と、
を有し、
前記パラメータ値は、前記基板識別情報と関連付けられて格納される
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項22】
前記基板を搬送する段階では、
前記原板からの
前記切り出し位置が第1の切り出し位置である第1基板と
前記原板からの
前記切り出し位置が第2の切り出し位置である第2基板とを異なる搬送ルートに沿って搬送する
ことを特徴とする請求項
18から21のいずれか1項に記載の
基板処理方法。
【請求項23】
前記基板を搬送する段階では、前記第1基板を複数の
前記搬送ルートのうちの少なくとも2つのいずれかに沿って搬送する
ことを特徴とする請求項
22に記載の
基板処理方法。
【請求項24】
前記基板の前記搬送ルートに関する搬送ルート情報を
前記基板の基板識別情報と関連付けて格納部に格納する段階をさらに含み、
前記基板を搬送する段階では、格納された前記搬送ルート情報に基づいて、前記基板を搬送する
ことを特徴とする請求項
22に記載の
基板処理方法。
【請求項25】
前記切り出し位置に関する情報に基づいて前記基板の
前記搬送ルートを決定する段階をさらに含み、
前記基板を搬送する段階では、決定された前記搬送ルートに沿って前記基板を搬送することを特徴とする請求項
22から
24のいずれか一項に記載の
基板処理方法。
【請求項26】
前記基板の
前記切り出し位置に関する情報を取得する段階をさらに含み、
前記搬送ルートを決定する段階では、前記取得する段階で取得した前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板の
前記搬送ルートを決定する
ことを特徴とする請求項
25に記載の
基板処理方法。
【請求項27】
前記基板を搬送する段階では、前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を、前記基板に対して所定の処理を行う複数の処理装置のうち、どの処理装置に搬送するかを決定する
ことを特徴とする請求項
18から
26のいずれか1項に記載の
基板処理方法。
【請求項28】
前記処理装置は、
前記基板をセットするための複数のセット位置を有し、
前記基板を搬送する段階では、前記切り出し位置に関する情報に基づいて、どのセット位置に前記基板をセットするかを決定する
ことを特徴とする請求項
27に記載の
基板処理方法。
【請求項29】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、
前記原板からの切り出し位置が異なる
前記基板を予め決められた順序で
前記基板搬送システムに搬入する段階と、
前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、
搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、
を含み、
前記搬送ルートを付与する段階では、
前記切り出し位置が異なる
前記基板に異なる
前記搬送ルートが付与されるように、
前記搬送ルートの付与順序を決める
ものであり、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
前記処理制御部が、所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新する段階と、
をさらに含む
ことを特徴とする
基板処理方法。
【請求項30】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板搬送システムの前記搬送手段によって前記処理装置内に搬入された前記基板を支持するための基板支持ユニットを含み、
前記原板からの切り出し位置が異なる基板を予め決められた順序で前記基板搬送システムに搬入する段階と、
前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、
搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、
を含み、
前記搬送ルートを付与する段階では、前記切り出し位置が異なる前記基板に異なる前記搬送ルートが付与されるように、前記搬送ルートの付与順序を決めるものであり、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
をさらに含み、
前記パラメータ値は、前記処理装置内に進入した前記搬送手段の位置に対する前記基板支持ユニットの相対位置のオフセット補正値である
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項31】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記処理装置内の前記基板とマスクを密着させるための密着手段を含み、
前記原板からの切り出し位置が異なる前記基板を予め決められた順序で前記基板搬送システムに搬入する段階と、
前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、
搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、
を含み、
前記搬送ルートを付与する段階では、前記切り出し位置が異なる前記基板に異なる前記搬送ルートが付与されるように、前記搬送ルートの付与順序を決めるものであり、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
をさらに含み、
前記パラメータ値は、前記密着手段による前記基板と前記マスクとの間の密着動作時のずれを事前にオフセット補正するためのオフセット補正値である
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項32】
原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理
装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、
前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、
前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板の識別情報である基板識別情報と、前記基板の切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値を格納するためのパラメータ格納部を含み、
前記原板からの前記切り出し位置が異なる前記基板を予め決められた順序で前記基板搬送システムに搬入する段階と、
前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、
搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、
を含み、
前記搬送ルートを付与する段階では、前記切り出し位置が異なる前記基板に異なる前記搬送ルートが付与されるように、前記搬送ルートの付与順序を決めるものであり、
前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、
前記処理制御部が、前記パラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、
をさらに含み、
前記パラメータ値は、前記基板識別情報と関連付けられて格納される
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項33】
前記基板搬送システムに搬入する段階は、
前記原板からの
前記切り出し位置が異なる
前記基板を交互に前記基板搬送システムに搬入する
ことを特徴とする請求項
29から32のいずれか1項に記載の
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理システム及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、フラットパネル表示装置として有機EL表示装置が脚光を浴びている。有機EL表示装置は、自発光ディスプレイであり、応答速度、視野角、薄型化などの特性が液晶パネルディスプレイより優れており、モニタ、テレビ、スマートフォンに代表される各種携帯端末などで既存の液晶パネルディスプレイを早いスピードで代替している。また、自動車用ディスプレイ等にも、その応用分野を広げている。
【0003】
有機EL表示装置を構成する有機発光素子(有機EL素子:OLED)は、2つの向かい合う電極(カソード電極、アノード電極)の間に発光を起こす有機物層が形成された基本構造を有する。有機発光素子の機能層と電極金属層は、成膜装置の真空容器内で、画素パターンが形成されたマスクを介して基板に成膜物質を成膜することで製造される。基板上の所望の位置に所望のパターンで成膜物質を成膜するためには、成膜装置内に基板を安定的に搬送して、マスクと基板との間の相対的位置を精密に調整する必要がある。
【0004】
最近の有機EL表示装置の製造ラインにおける、薄膜トランジスタの回路の形成などのバックプレーン工程は、原板を対象に行うが、以後の工程(例えば、有機物層と金属層を形成する成膜工程)は、該原板を所定の大きさに切り出した複数の基板のそれぞれを対象に行う場合がある。例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる6世代製造ラインでは、バックプレーン工程はフルサイズ(約1500mm×約1850mm)の原板を対象に行い、成膜工程などは、原板を2つに分割したハーフカットサイズ(約1500mm×約925mm)の基板を対象に行う。
【0005】
特許文献1(特開2009-283696号公報)には、TFT液晶表示装置の製造のための露光装置において、原板からの切り出し位置に基づいて、基板の露光パターンのレイアウトのずれを補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、原板から所定の大きさに切り出された基板を処理装置に搬送し、所定の処理を行う基板処理システムでは、該基板の切り出し位置によって、基板の処理装置への搬送時や、成膜のための基板とマスクとのアライメント時に基板の挙動に差が生じる場合があることがわかった。このような基板の切り出し位置による挙動の差は、成膜工程などの基板処理工程の精度に影響を及ぼし得る。つまり、切り出し位置が異なる基板は基板の搬送時やアライメント時に挙動が異なることがあるので、切り出し位置が異なる基板を同じ方法で搬送したり、アライメントしたりする場合、アライメント精度や基板処理工程の精度が低下することがあるという課題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑み、原板から所定の大きさに切り出された基板を処理装置に搬送して成膜などの基板処理工程を行う際に、該基板処理工程の精度の低下を抑制するための
技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送
するための基板搬送システムと、を含む、基板処理システムであって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御するものであり、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、前記処理制御部は、前記基板の切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新することを特徴とする基板処理システムである。
本発明の第2態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む、基板処理システムであって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御するものであり、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、前記処理制御部は、前記基板の切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、前記処理装置は、前記基板搬送システムの前記搬送手段によって前記処理装置内に搬入された前記基板を支持するための基板支持ユニットをさらに含み、前記パラメータ値は、前記処理装置内に進入した前記搬送手段の位置に対する前記基板支持ユニットの相対位置のオフセット補正値であることを特徴とする基板処理システムである。
本発明の第3態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む、基板処理システムであって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御するものであり、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、前記処理制御部は、前記基板の切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、前記処理装置は、前記処理装置内の前記基板とマスクを密着させるための密着手段をさらに含み、前記パラメータ値は、前記密着手段による前記基板と前記マスクとの間の密着動作時のずれを事前にオフセット補正するためのオフセット補正値であることを特徴とする基板処理システムである。
本発明の第4態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む、基板処理システムであって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記搬送制御部は、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記搬送手段を制御するものであり、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、前記処理制御部は、前記基板の切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御するものであり、前記処理制御部は、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御するものであり、前記処理装置は、前記基板の識別情報である基板識別情報と、前記パラメータ値を格納するためのパラメータ格納部をさらに含み、前記パラメータ値は、前記基板識別情報と関連付けられて格納されることを特徴とする基板処理システムである。
本発明の第5態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、前記処理制御部が、所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新する段階と、を有することを特徴とする基板処理方法である。
本発明の第6態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板搬送システムの前記搬送手段によって前記処理装置内に搬入された前記基板を支持するための基板支持ユニットを含み、前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、有し、前記パラメータ値は、前記処理装置内に進入した前記搬送手段の位置に対する前記基板支持ユニットの相対位置のオフセット補正値であることを特徴とする基板処理方法である。
本発明の第7態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記処理装置内の前記基板とマスクを密着させるための密着手段を含み、前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、を有し、前記パラメータ値は、前記密着手段による前記基板と前記マスクとの間の密着動作時のずれを事前にオフセット補正するためのオフセット補正値であることを特徴とする基板処理方法である。
本発明の第8態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板の識別情報である基板識別情報と、前記基板の切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値を格納するためのパラメータ格納部を含み、前記搬送制御部が、前記基板の前記原板からの前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板を搬送する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記パラメータ
値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、前記処理制御部が、所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新する段階と、
を有し、前記パラメータ値は、前記基板識別情報と関連付けられて格納されることを特徴とする基板処理方法である。
本発明の第9態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部を含み、前記原板からの切り出し位置が異なる前記基板を予め決められた順序で前記基板搬送システムに搬入する段階と、前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、を含み、前記搬送ルートを付与する段階では、前記切り出し位置が異なる前記基板に異なる前記搬送ルートが付与されるように、前記搬送ルートの付与順序を決めるものであり、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、前記処理制御部が、所定の切り出し位置の前記基板に対して前記パラメータ値が更新された場合、同じ切り出し位置の前記基板に対する処理を行う他の処理装置での該パラメータ値を更新する段階と、をさらに含むことを特徴とする基板処理方法である。
本発明の第10態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板搬送システムの前記搬送手段によって前記処理装置内に搬入された前記基板を支持するための基板支持ユニットを含み、前記原板からの切り出し位置が異なる基板を予め決められた順序で前記基板搬送システムに搬入する段階と、前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、を含み、前記搬送ルートを付与する段階では、前記切り出し位置が異なる前記基板に異なる前記搬送ルートが付与されるように、前記搬送ルートの付与順序を決めるものであり、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、をさらに含み、前記パラメータ値は、前記処理装置内に進入した前記搬送手段の位置に対する前記基板支持ユニットの相対位置のオフセット補正値であることを特徴とする基板処理方法である。
本発明の第11態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記処理装置内の前記基板とマスクを密着させるための密着手段を含み、前記原板からの切り出し位置が異なる前記基板を予め決められた順序で前記基板搬送システムに搬入する段階と、前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、を含み、前記搬送ルー
トを付与する段階では、前記切り出し位置が異なる前記基板に異なる前記搬送ルートが付与されるように、前記搬送ルートの付与順序を決めるものであり、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、をさらに含み、前記パラメータ値は、前記密着手段による前記基板と前記マスクとの間の密着動作時のずれを事前にオフセット補正するためのオフセット補正値であることを特徴とする基板処理方法である。
本発明の第12態様は、原板から所定の大きさに切り出された基板に対して所定の処理を行うための複数の処理装置と、前記原板から所定の大きさに切り出された前記基板を搬送するための基板搬送システムと、を含む基板処理システムにより実行される基板処理方法であって、前記基板搬送システムは、前記基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する搬送制御部と、を含み、前記処理装置は、前記基板に対する処理工程を制御するための処理制御部と、前記基板の識別情報である基板識別情報と、前記基板の切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値を格納するためのパラメータ格納部を含み、前記原板からの前記切り出し位置が異なる前記基板を予め決められた順序で前記基板搬送システムに搬入する段階と、前記基板搬送システムに搬入された前記基板に、予め決められた順序で複数の搬送ルートのいずれか一つの搬送ルートを付与する段階と、搬入された前記基板を付与された前記搬送ルートに沿って搬送する段階と、を含み、前記搬送ルートを付与する段階では、前記切り出し位置が異なる前記基板に異なる前記搬送ルートが付与されるように、前記搬送ルートの付与順序を決めるものであり、前記処理制御部が、前記基板の前記切り出し位置に関する情報に基づいて、前記基板に対する処理工程を制御する段階と、前記処理制御部が、前記パラメータ値に基づいて、前記基板に対する所定の処理を制御する段階と、をさらに含み、前記パラメータ値は、前記基板識別情報と関連付けられて格納されることを特徴とする基板処理方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原板から所定の大きさに切り出された基板を処理装置に搬送して成膜などの基板処理工程を行う際に、基板処理工程の精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、電子デバイスの製造ラインの模式図である。
【
図2】
図2は、原板と原板から切り出された基板との関係を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による基板搬送システムの機能ブロック図及び複数の処理装置への基板搬送ルートを示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による基板搬送システムの格納部に格納された情報テーブルを示す図である。
【
図5】
図5は、上流装置の格納部に格納された情報テーブルを示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態による基板搬送システムの格納部に格納された他の情報テーブルを示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による他の基板搬送システムの機能ブロック図及び複数の処理装置への基板搬送ルートを示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による他の基板搬送システムの機能ブロック図及び複数の処理装置への基板搬送ルートを示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の実施形態による基板処理システムの処理装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態及び実施例を説明する。ただし、以下の実施形態及び実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範
囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に特定的な記載がない限り、本発明の範囲をこれに限定しようとする趣旨ではない。
【0013】
本発明は、基板に洗浄や成膜などの基板処理工程を行うために基板を処理装置に搬送する基板搬送システム、及び基板搬送方法に関するもので、特に、原板から所定の大きさに切り出された基板に対する処理工程を行うための複数の処理装置がある場合に、基板をどの処理装置に搬送するか(つまり、基板の搬送ルート)を、該基板の切り出し位置に基づいて制御する技術に関するものである。
【0014】
本発明は、基板が投入される処理装置で基板を洗浄したり基板の表面に所望のパターンの薄膜材料層を形成したりする装置に好ましく適用することができる。基板の材料としては、ガラス、樹脂、金属、シリコンなどの任意の材料を選ぶことができ、また、成膜材料としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物)などの任意の材料を選ぶことができる。本発明の技術は、具体的には、電子デバイスや光学部材の製造装置に適用可能であり、特に、有機電子デバイス(例えば、有機EL表示装置、薄膜太陽電池、有機CMOSイメージセンサ)の製造装置に好適である。その中でも、有機EL表示装置の製造装置は、本発明の好ましい適用例の一つである。
【0015】
<電子デバイス製造ライン>
図1は、電子デバイスの製造ライン1の構成を模式的に示す平面図である。
図1の電子デバイスの製造ライン1は、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる製造ラインである。以下では、有機EL表示装置の製造ラインを例にあげて、電子デバイスの製造ライン1の構造を説明する。
【0016】
電子デバイスの製造ライン1では、上流装置から搬入される基板12を、複数のクラスタ100、200、300に順次搬送しながら、前処理、有機EL層の成膜、金属層の成膜などの処理を行った後、処理が完了した基板12を下流装置に搬出する。
このため、電子デバイスの製造ライン1は、前処理クラスタ100、有機物成膜クラスタ200および金属成膜クラスタ300を含む。
【0017】
前処理クラスタ100と金属成膜クラスタ300との間には、有機EL素子の構造に従って、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)やホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)などの共通層を形成するための有機物成膜クラスタ、発光層(EML:Emitting Layer)を形成するための有機物成膜クラスタ、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)や電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などの他の共通層を成膜するための有機物成膜クラスタなど、複数の有機物成膜クラスタ200が設置される。なお、電子輸送層や電子注入層など、上述の一部の層については金属成膜クラスタ300において成膜が行われることもある。
【0018】
上流装置では、薄膜トランジスタ回路の形成などのバックプレーン工程が実施される。このような上流装置における工程は、原板を対象にして行われる。そして、バックプレーン工程が完了した原板は、例えば上流装置の最終段で所定の大きさを有する複数の基板12に切り出されて、製造ライン1、より具体的には前処理クラスタ100に順次送られる。
そして、下流装置では、例えば、金属層の成膜工程が完了した基板12に対し、封止工程及びダイシング工程などが実施される。
【0019】
電子デバイスの製造ライン1の処理対象物である基板12は、原板から所定の大きさに
切り出されたものである。例えば、基板12は、前述の6世代フルサイズ(約1500mm×約1850mm)の原板をハーフカットサイズ(約1500mm×約925mm)に切り出したものである。しかし、基板12は原板を2つに分割したものに限定されず、3つ以上、例えば、4つに切り出されたものであってもよい。また、本発明における、原板は6世代に限られず、他の世代の原板(例えば、8世代または10.5世代の原板)などであってもよい。以下、基板12が原板のハーフカットサイズを有する場合を中心に本発明の実施例について説明する。
【0020】
電子デバイスの製造ライン1の前処理クラスタ100は、有機物などの成膜工程の前に、基板12に対する前処理工程を実施するためのものである。前処理工程は、上流装置でのバックプレーン工程や切断工程中に発生した汚染物を基板12の表面から除去するための洗浄工程を含む。洗浄工程は、例えば、プラズマ洗浄であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0021】
前処理クラスタ100は、大気状態で上流装置から基板12が搬入された後、真空状態に減圧して基板12を下流側に渡すロード室150a、150bを含む。
図1には、ロード室150a、150bが複数、すなわち、2つが図示されているが、これは切り出し位置の異なる2つの種類の基板12(例えば、
図2の第1カット基板12aと第2カット基板12b)をそれぞれ異なるロード室150a、150bに搬入させるためである。しかし、これは例示であって、3つ以上のロード室が設けられてもよい。また、上流装置との間には一つのロード室のみが設けられ、異なる切り出し位置を有する基板が交互に該ロード室を介して前処理クラスタ100に搬入されてもよい。
【0022】
また、前処理クラスタ100は、基板12に対し洗浄工程を実施するための複数の処理装置、すなわち、複数の洗浄装置(110a、110b、110c、110d:110)を含む。複数の洗浄装置110それぞれでは、異なる基板12に対し洗浄工程が実施される。前処理クラスタ100においては、洗浄装置110が処理装置である。
【0023】
また、前処理クラスタ100は、複数の洗浄装置110の中央に配置される第1搬送室130を含む。第1搬送室130内には、上流装置または、前処理クラスタ100のロード室150a、150bから所定の大きさに切り出された基板12を受け取って、複数の洗浄装置110のいずれか一つの洗浄装置に搬送し、また、洗浄工程が完了した基板12を洗浄装置110から下流(例えば、
図1の第1バッファ室160)に搬送するための第1搬送手段140が設置される。第1搬送手段140は、例えば、多関節アームに、基板12を保持するロボットハンドが取り付けられた構造を有するロボットである。
【0024】
第1搬送手段140が複数の洗浄装置110のうちの、どの洗浄装置に基板12を搬送するか、つまり、前処理クラスタ100における基板12の搬送ルートA、B、C、Dについては後述する。
前処理クラスタ100には、前処理クラスタ100で前処理工程が完了した基板12を下流側の他のクラスタ、つまり、有機物成膜クラスタ200に受け渡すための第1バッファ室160が連結される。
【0025】
また、第1バッファ室160と、その下流側のパス室、すなわち、第1パス室250との間には、基板12の方向を変える第1旋回室170が設置される。これにより、前処理クラスタ100と有機物成膜クラスタ200で基板12の向きが同じになり、基板処理が容易になる。
【0026】
電子デバイスの製造ライン1の有機物成膜クラスタ200は、基板12上に有機物層を形成するためものである。例えば、
図1に図示された一つの有機物成膜クラスタ200で
は、基板12上に第1有機物層と第2有機物層が順次成膜される。
【0027】
有機物成膜クラスタ200は、第1有機物層を成膜するための複数の第1有機物成膜装置210a、210bと、第2有機物層を成膜するための複数の第2有機物成膜装置210c、210dとを含む。
【0028】
複数の第1有機物成膜装置210a、210bそれぞれ、及び、複数の第2有機物成膜装置210c、210dそれぞれは、2枚の基板をセットすることができる2-ステージ構造を有する。つまり、有機物成膜装置において、一つのステージAにセットされた基板に対して成膜工程が行われる間、他のステージBにセットされた基板に対してはアライメントなどの処理が行われる。一つの有機物成膜装置内の2つのステージは、成膜源を共有しており、有機物成膜装置内の成膜源は、2つのステージ間を移動することができるように構成される。ただし、本発明の一実施形態による有機物成膜装置は、2-ステージ構造に限定されず、一つのステージだけを有してもよく、3つ以上のステージを有してもよい。
【0029】
有機物成膜クラスタ200は、複数の有機物成膜装置(210a、210b、210c、210d:210)の中央に配置される第2搬送室230をさらに含む。第2搬送室230内には第2搬送手段240が設置される。第2搬送手段240は、例えば、第1パス室250から基板12を受け取り、第1有機物成膜装置210a、210bに搬送し、第1有機物層の成膜が完了した基板12を、第1有機物成膜装置210a、210bから第2有機物成膜装置210c、210dに搬送し、また、第2有機物層の成膜が完了した基板12を第2有機物成膜装置210c、210dから下流に搬送する。第2搬送手段240は、第1搬送手段140と同様に、多関節アームに、基板12を保持するロボットハンドが取り付けられた構造を有するロボットである。ただし、第2搬送手段240の具体的な構造は、第1搬送手段140と異なってもよい。
【0030】
第2搬送手段240が複数の有機物成膜装置210のうちの、どの成膜装置および/または、該成膜装置(例えば、210a)のどのステージ(例えば、210a1、210a2)に基板12を搬送するか、つまり、有機物成膜クラスタ200における基板12の具体的な搬送ルートA、B、C、Dについては後述する。
【0031】
有機物成膜クラスタ200は、使用前後のマスクが収納される複数の第1マスクストックチャンバ220をさらに含む。第1マスクストックチャンバ220には、有機物成膜装置210における成膜工程に用いられるマスク、及び使用済みのマスクが二つのカセットに分けて収納される。第2搬送手段240は、使用済みのマスクを有機物成膜装置210から第1マスクストックチャンバ220のカセットに搬送し、第1マスクストックチャンバ220の他のカセットに収納された新しいマスクを有機物成膜装置210に搬送する。
【0032】
有機物成膜クラスタ200には、第1旋回室170からの基板12を有機物成膜クラスタ200に受け渡す第1パス室250と、有機物成膜クラスタ200で成膜工程が完了した基板12を下流に受け渡すための第2バッファ室260が連結される。金属成膜クラスタ300の直前のバッファ室とその下流側のパス室との間には、基板12の向きを変える第2旋回室270が設置される。これにより、有機物成膜クラスタ200と金属成膜クラスタ300で基板12の向きが同じになり、基板処理が容易になる。
【0033】
有機EL表示装置の製造ライン1の金属成膜クラスタ300は、基板12上に金属層(金属酸化物層を含む)を形成するためのものであって、有機物層が形成された基板12に対し金属層の成膜工程が行われる複数の金属成膜装置(310a、310b、310c、310d:310)と、使用前後のマスクが収納される第2マスクストックチャンバ32
0と、その中央に配置される第3搬送室330とを備える。金属成膜クラスタ300には、上流側の旋回室270から基板12を金属成膜クラスタ300に受け渡す第2パス室350と、金属成膜クラスタ300で成膜工程が完了した基板12を下流装置に受け渡すためのアンロード室360が連結される。
【0034】
第3搬送室330内には、第3搬送手段340が設置される。第3搬送手段340は、上流側のパス室350から基板12を受け取って金属成膜装置310に送り、金属層の成膜が完了した基板12を金属成膜装置310からアンロード室360に送る。第3搬送手段340は、第2搬送手段240と同様に、多関節アームに、基板12を保持するロボットハンドが取り付けられた構造を有するロボットである。
【0035】
第3搬送手段340が複数の金属成膜装置310の中、どの成膜装置に基板12を搬送するか、つまり、金属成膜クラスタ300における基板12の搬送ルートA、B、C、Dについては後述する。
【0036】
第2マスクストックチャンバ320には、金属成膜装置310での成膜工程に使用されるマスク及び使用済みのマスクが二つのカセットに分けて収納される。第3搬送手段340は、使用済みのマスクを金属成膜装置310から第2マスクストックチャンバ320のカセットに搬送し、第2マスクストックチャンバ320の他のカセットに収納された新しいマスクを金属成膜装置310に搬送する。
【0037】
有機物成膜クラスタ200および金属成膜クラスタ300において、搬送手段240、340との基板12のやり取り、基板12とマスクの相対位置の調整(アライメント)、マスク上への基板12の固定、あるいは、合着、成膜(蒸着または、スパッタリング)等の一連の成膜プロセスは、成膜装置210、310によって行われる。成膜装置210、310は、成膜時に基板の成膜面が重力方向下方に向けた状態で成膜されるデポアップの構成であってもよく、成膜時に基板の成膜面が重力方向上方に向けた状態で成膜されるデポダウンの構成であってもよく、基板が垂直に立てられた状態、つまり、基板の成膜面が重力方向と略平行な状態で成膜が行われる構成(サイドデポ)であってもよい。
【0038】
前述の有機EL表示装置の製造ライン1において、クラスタ100、200、300を構成する装置やチャンバ、例えば、洗浄装置110と成膜装置210、310のような処理装置、マスクストックチャンバ220、320、搬送室130、230、330、バッファ室160、260、ロード室150a、150b、アンロード室360、パス室250、350、旋回室170、270等の各チャンバは、有機EL表示パネルの製造過程において、真空状態に維持される。
【0039】
前述のように、基板12が原板のどの部分から切り出されたのかによって、搬送手段140、240、340による基板12の洗浄装置110/成膜装置210、310への搬送時、成膜装置210、310での基板12とマスクとのアライメント時、あるいは、基板12のマスク上への固定時の挙動に差が生じる。
このような挙動の変化が起きる原因の一つに、切り出し位置に応じて基板12の形状がわずかに異なることが挙げられる。すなわち、基板12の形状の違いに応じて重心の位置やうねり方(うねりのモード)が異なるために、搬送時の挙動(ガタつきや振動、滑り等)も変化してしまう。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、電子デバイスの製造ライン1の各クラスタ100、200、300のように、処理工程を実施するための複数の処理装置110、210、310が具備されている場合に、基板12が原板のどの位置から切り出されたのかに基づいて、搬送手段140、240、340による基板12の搬送を制御する。より具体的には、原
板からの切り出し位置に応じて、基板12の搬送ルートが変わるように、基板12の搬送を制御する。
【0041】
また、本発明の他の実施形態においては、前述のような基板12の搬送ルート制御によって複数の処理装置110、210、310のいずれかに搬送されてきた基板12に対し、該基板12の切り出し位置に基づいて決められた工程パラメータを適用して、処理を行う。つまり、本発明の一実施形態による基板12の搬送ルート制御によれば、一つの処理装置110、210、310には同じ切り出し位置の基板12が搬送されてくるので、当該処理装置110、210、310では当該切り出し位置の基板12の挙動に合わせた工程パラメータに適用して処理を行う。
【0042】
<基板搬送システム及び基板搬送方法>
以下、
図2~
図8を参照して本発明の一実施例による基板搬送システム及び基板搬送方法について説明する。
【0043】
本発明の一実施例による基板搬送システムは、搬入される基板を、所定の処理工程を行うための複数の処理装置に、および/または、一つの処理装置内に複数の基板をセットすることができる場合(例えば、処理装置が複数のステージで構成された場合)、複数のステージ(または、セット位置)に振分けて搬送する。すなわち、搬送ルートの決定とは、処理装置の決定、および/または、処理装置内の複数の基板をセットできる場合のセット位置の決定を意味する。あるいは、搬送ルートの決定とは、複数の処理装置のうちの2つ以上の処理装置(および/またはセット位置)を選択し、選択された2つ以上の処理装置への搬送順序の決定を意味する。
【0044】
本発明の一実施例による基板搬送システムによって搬送される基板12は、原板10から所定の大きさに切り出されたものである。例えば、
図2に図示したように、原板10は、
図1に図示した上流装置でハーフカットサイズの2つの基板12、すなわち、第1カット基板12aと第2カット基板12bに切り出され、基板搬送システムは、このように切り出された基板12を所定の搬送ルートに沿って搬送する。ただし、本実施例による基板搬送システムによって搬送される基板12は、原板10が2つに分割されたものに限定されず、3つ以上、例えば、4つに切り出されたものであってもよい。
【0045】
本願明細書において、基板12の切り出し位置は、基板12が原板10のどの位置から切り出されたのかを表す。例えば、
図2で、第1カット基板12aは、原板10からの切り出し位置が左側であり、第2カット基板12bは、原板10からの切り出し位置が右側である。なお、本明細書においては、異なる原板から切り出された複数の第1カット基板12aを総称して第1カット基板12a、複数の第2カット基板12bを総称して第2カット基板12bと呼ぶことがある。
好ましくは、上流装置は、カット後の基板12のそれぞれに、後述する基板識別情報(S001,S002,S003…)を付与するとともに、切り出し位置情報と関連付けて、メモリに保存または後続の装置に送信する。
【0046】
前述したように、基板は原板からの切り出し位置によって、搬送時やアライメント時、またはマスクとの合着時における挙動に差があるので、本発明の一実施例による基板搬送システムは、前処理クラスタ100、有機物成膜クラスタ200および金属成膜クラスタ300それぞれにおいて、基板の切り出し位置に関する情報に基づいて、搬送手段を制御する。典型的には、原板10からの切り出し位置が第1の切り出し位置である第1基板(第1カット基板12a)と原板10からの切り出し位置が第2の切り出し位置である第2基板(第2カット基板12b)とが異なる搬送ルートに沿って搬送されるように、搬送手段を制御する。
【0047】
図3、
図7、
図8はそれぞれ本発明の一実施例による基板搬送システム、及びその搬送方法を説明するための機能ブロック図および模式図であり、
図3は、
図1の前処理クラスタ100に、
図7は、
図1の有機物成膜クラスタ200に、そして、
図8は、
図1の金属成膜クラスタ300にそれぞれ対応する。また、
図3、
図7および
図8では、図示の便宜のために搬送手段140、240、340の図示は省略して、代わりに基板12の搬送ルートを示した。
【0048】
図3の(a)に図示したように、前処理クラスタ100の基板搬送システム(以下、「第1基板搬送システム」)は、ロード室150a、150bから、複数の洗浄装置110a、110b、110c、110dのいずれか一つの洗浄装置に基板12を搬送する第1搬送手段140と、第1搬送手段140の搬送動作を制御する第1搬送制御部182とを含む。
【0049】
本実施例によれば、第1搬送制御部182は、第1搬送室130に搬入される基板12の原板10からの切り出し位置に基づいて、例えば、基板12が第1カット基板12aなのか、あるいは、第2カット基板12bなのかに基づいて、第1搬送手段140を制御することにより、基板12の搬送ルートを制御する。
【0050】
より具体的に、第1搬送制御部182は、原板10からの切り出し位置が異なる基板12がそれぞれ異なる搬送ルートに搬送されるように基板12の搬送ルートを制御する。これによれば、第1カット基板12aの搬送ルートと第2カット基板12bの搬送ルートはそれぞれ異なることになる。原板10からの切り出し位置によって搬送ルートを切り替えることで、1つの処理装置に切り出し位置の異なる様々な基板がランダムに搬送される頻度を低減することができる。さらには、本発明の一実施例によれば、1つの処理装置に対して切り出し位置の同じ基板のみが搬送されるようにすることもできる。これにより、同じ処理装置において同じ切り出し位置の基板を処理することになるので、アライメント精度や基板処理工程の精度をさらに高めることができる。
【0051】
また、第1搬送制御部182は、原板10からの切り出し位置が同じである基板12であっても、搬送ルートが異なるように基板12の搬送ルートを制御することもできる。従って、複数の第1カット基板12aそれぞれの搬送ルートまたは、複数の第2カット基板12bそれぞれの搬送ルートは、同一または異なってもよい。換言すれば、複数の第1カット基板12aのそれぞれは、複数の搬送ルートのうちから、前記第1カット基板12aに対応するものとして選択された、少なくとも2つの搬送ルートのいずれかに沿って搬送される。また、第2カット基板12bが複数の搬送ルートのうちの少なくとも2つのいずれかに沿って搬送されるようにしてもよい。このようにすることで、各基板の搬送ルートの自由度を高め、電子デバイス製造ライン全体のタクトタイムを短縮することができるようになる。
【0052】
このような搬送ルートの制御のために、第1搬送制御部182は、搬送室130に搬入される基板12の切り出し位置に基づいて、該基板12の搬送ルートを決定する。例えば、
図3の(b)に図示したように、第1搬送制御部182は、基板12の搬送ルートを、基板の切り出し位置に基づいて、Aルート、Bルート、CルートおよびDルートのいずれか一つに決定する。
【0053】
この時、第1搬送制御部182は、切り出し位置がそれぞれ異なる基板12はそれぞれ異なる搬送ルートに沿って搬送されるように、各々の基板12の搬送ルートを決める。例えば、第1カット基板12aに対して、AルートとBルートのいずれか一つの搬送ルートを割り当てる場合、第2カット基板12bに対しては、CルートとDルートのいずれか一
つの搬送ルートを割り当てる。そして、第1搬送手段140は、第1搬送制御部182によって決定された搬送ルートに沿って、第1カット基板12aは、第1洗浄装置110aまたは第2洗浄装置110bに送り、第2カット基板12bは、第3洗浄装置110cまたは第4洗浄装置110dに送る。したがって、切り出し位置が異なる基板12は、少なくともそれぞれ異なる洗浄装置110に搬送される。
【0054】
図3(b)の場合のように、基板12が有することのできる切り出し位置の数より、基板12が搬送されることのできる洗浄装置110の数が多い場合、第1搬送制御部182は、特定の切り出し位置を有する基板12が搬送されうる二つ以上の洗浄装置110のうちから任意に選択された洗浄装置に搬送されるように搬送ルートを決めることができる。これによれば、第1搬送制御部182は、切り出し位置が同じである基板12が異なる搬送ルートに沿って搬送されるように搬送ルートを決定することもできる。例えば、第1搬送制御部182は、複数の第1カット基板12a中、一部はAルートに、残りはBルートに搬送ルートを決めて、複数の第2カット基板12a中、一部はCルートに、残りはDルートに搬送ルートを決めることができる。この際、一例として、第1搬送制御部182は、第1搬送室130に順次搬入される同じ切り出し位置の基板12に対しては、選択できる複数の搬送ルートの中から交互に搬送ルートを選択してもよい。
【0055】
第1搬送制御部182は、切り出し位置に基づいて決定された搬送ルートに関する情報を、基板識別情報と関連付けて、
図4に示すようなテーブルの形で第1格納部184に格納することができる。
【0056】
つまり、第1基板搬送システムは、基板12の搬送ルートに関する情報である搬送ルート情報を格納する第1格納部184をさらに含むことができる。ここで、搬送ルート情報は、基板12に対し洗浄処理を行う複数の洗浄装置110の中、どの洗浄装置に搬送するかに関する情報を含む。例えば、「A」の搬送ルート情報は、
図3の(b)に図示したように、ロード室150aを介して前処理クラスタ100に進入した基板12を第1洗浄装置110aに搬送し、第1洗浄装置110aで洗浄が完了した基板12を第1バッファ室160に搬送することを表す。同様に、「B」の搬送ルート情報は、基板12を第2洗浄装置110bを介して搬送することを表し、「C」の搬送ルート情報および「D」の搬送ルート情報は、基板12をそれぞれ第3洗浄装置110cおよび第4洗浄装置110dを介して搬送することを表す。
【0057】
本発明の一実施例によれば、第1基板搬送システムは、基板12の原板10からの切り出し位置を表す切り出し位置情報を取得するための第1取得部186をさらに含むことができる。
【0058】
第1取得部186は、前処理クラスタ100の上流側に配置されている装置、例えば、上流装置との通信を通じて切り出し位置情報を取得することができる。前述したように、有機EL表示装置の製造ラインにおいては、バックプレーン工程が完了した原板10は、上流装置で複数の基板12に切り出される。この際、上流装置では、原板10から切り出された基板12それぞれに対し切り出し位置情報を付与して、これを、
図5に図示したように、基板12を識別できる基板識別情報と関連付けてテーブルの形で保存しておくことができる。
【0059】
本実施例における第1取得部186による切り出し位置情報の取得は、基板12が上流装置からロード室150を介して搬送室130に搬入される際、該基板12に関する切り出し位置情報も共に、上流装置との通信を通じて受信するようにすることで行われる。ただ、本発明はこれに限定されず、例えば、基板の切り出し位置に基づいて基板に形成されたマークやオリエンテーションフラットなどを検出するなどの他の方法によって、基板の
切り出し位置に関する情報を取得することもできる。マークやオリエンテーションフラットの検出方法としては、典型的には画像認識などを利用できる。
【0060】
第1取得部186により取得された切り出し位置情報は、
図5や
図6に図示したように、第1格納部184に基板識別情報と関連付けられて格納されてもよい。
【0061】
前述のように、第1搬送制御部182は、第1取得部186によって取得された基板12の切り出し位置情報に基づいて、該基板12の搬送ルートを決めることができる。例えば、第1取得部186により取得された基板12の切り出し位置情報が「第1カット」である場合には、該基板12の搬送ルートをAルートとBルートの中の一つに決め、「第2カット」である場合には、当該基板12の搬送ルートをCルートとDルートの中の一つに決めることができる。
【0062】
そして、第1搬送制御部182は、決定された搬送ルートを表す搬送ルート情報を、基板識別情報および切り出し位置情報と関連付けて第1格納部184に格納することができる。例えば、第1搬送制御部182は、
図6に図示したように、決定された搬送ルート情報を、基板識別情報および切り出し位置情報と関連付けてテーブルの形で格納することができる。基板識別情報と関連付けられて第1格納部184に格納されている搬送ルート情報は、有機物成膜クラスタ200および/または、金属成膜クラスタ300において、各基板12の搬送ルートを制御するのに活用することができる。
【0063】
前述した本実施例では、どの切り出し位置の基板がどの順序で基板搬送システムに搬入されるのかに関係なく、第1搬送制御部182が搬入される基板12の切り出し位置に応じて、異なる切り出し位置の基板が異なる搬送ルートに搬送されるように制御する構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。つまり、本実施例では、搬入される基板の切り出し位置に応じて、基板の搬送ルートを制御したが、本発明はこれに限定されず、逆に、搬送ルートの付与順序を予め決めておいて、これに合わせて、搬入される基板の切り出し位置が変わるように制御してもよい。
【0064】
例えば、本発明の変形実施例によれば、搬入される基板12の搬送ルートは、所定の順序で複数の搬送ルートの中から付与される。
例えば、A、B、C、Dのルートがある場合、搬送ルートの付与順序を、
A→B→C→D→A→B→C→…
に予め決めておく。そして、本変形実施例では、予め決められた搬送ルートの順序に合わせて、搬入される基板の切り出し位置が異なるように基板の搬入順序を制御する。例えば、
第1カット基板12a→第1カット基板12a→第2カット基板12b→第2カット基板12b→第1カット基板12a→第1カット基板12a→第2カット基板12b→…
の順に第1基板搬送システムに進入するように制御する。これにより、切り出し位置の異なる基板12が異なる搬送ルートに搬送されるように制御することができ、同じ処理装置(洗浄装置)には同じ切り出し位置の基板のみが搬送されるように制御される。
【0065】
このような本変形実施例によれば、搬送ルートの付与順序が予め決められているので、第1搬送制御部182による搬送ルート制御をよりシンプルにすることができる。このような本変形例において、搬送ルートの付与順序におじて、異なる切り出し位置の基板12が交互に搬入されるように制御してもよい。
【0066】
次に、
図7を参照して、有機物成膜クラスタ200の基板搬送システム(以下、「第2基板搬送システム」)とこれによる基板搬送方法について説明する。以下では、説明の重複を避けるために、第1基板搬送システムとこれによる基板搬送方法との差異を中心に説
明する。したがって、ここで具体的に説明されていない事項は、これと明白に反対となる記載がない限り、または、当業者にその転用が不可能な場合を除き、前述の第1基板搬送システムについて説明した事項が同じく適用される。
【0067】
図7の(a)に図示したように、第2基板搬送システムは、複数の第1有機物成膜装置210a、210bおよび複数の第2有機物成膜装置210c、210dに基板12を搬送できる第2搬送手段240と、第2搬送手段240の搬送動作を制御する第2搬送制御部282とを含む。ここで、第2搬送制御部282は、第2搬送室230に搬入される基板12の原板10からの切り出し位置、例えば、基板12が第1カット基板12aなのか、または、第2カット基板12bなのかに基づいて、基板12の搬送ルートを制御する。そして、第2搬送手段240は、第2搬送制御部282による搬送ルートの制御に応じて、基板12を搬送する。
【0068】
第2基板搬送システムは、基板12の搬送ルートに関する情報である搬送ルート情報を含む情報を格納する第2格納部284をさらに含むことができる。
【0069】
ここで、第2格納部284に格納される搬送ルート情報は、基板12に対して第1有機層の成膜を行う第1有機物成膜装置210a、210bの中、どの有機物成膜装置に基板12を搬送するかに関する情報と、第2有機層の成膜を行う第2有機物成膜装置210c、210dの中、どの有機物成膜装置に基板12を搬送するかに関する情報とを含む。即ち、第2格納部284に格納される搬送ルート情報は、基板12を複数の有機物成膜装置のうちの少なくとも2つに順に搬送するための情報を含む。
【0070】
例えば、「Aルート」と「Bルート」の搬送ルート情報は、基板12を第1有機物成膜装置210a、210bのうち有機物成膜装置210aに、また、第2有機物成膜装置210c、210dのうち有機物成膜装置210cに順次搬送することを表す。同様に、「Cルート」と「Dルート」の搬送ルート情報は、基板12を有機物成膜装置210bと有機物成膜装置210dを介して順次搬送することを表す。
【0071】
また、有機物成膜装置210a、210b、210c、210dそれぞれは、前述したように、一つの有機物成膜装置内に複数のセット位置(例えば、ステージ)を含むことができるので、第2格納部284に格納される搬送ルート情報は、
図7の(b)に図示したように、各有機物成膜装置210a、210b、210cまたは、210d内の複数のセット位置(例えば、ステージ)の中、どの位置に搬送するかに関する情報をさらに含むことができる。
【0072】
例えば、「Aルート」の搬送ルート情報は、基板12を有機物成膜装置210aの第1セット位置210a1と、有機物成膜装置210cの第1セット位置210c1に順次搬送することを表し、「Bルート」の搬送ルート情報は、基板12を有機物成膜装置210aの第2セット位置210a2と、有機物成膜装置210cの第2セット位置210c2に順次搬送することを表す。同様に、「Cルート」の搬送ルート情報は、基板12を有機物成膜装置210bの第1セット位置210b1と、有機物成膜装置210dの第1セット位置210d1に搬送することを表し、「Dルート」の搬送ルート情報は、基板12を有機物成膜装置210bの第2セット位置210b2と有機物成膜装置210dの第2セット位置210d2に順次搬送することを表す。
【0073】
ただし、本発明の一実施例による第2基板搬送システムの第2格納部284に格納される搬送ルート情報は、
図7の(b)に例示された搬送ルートに限定されず、異なる切り出し位置の基板が有機物成膜装置とセット位置の異なる組み合わせにより決められる搬送ルートに搬送されることができる限り、他の搬送ルートを有することもできる。
【0074】
第2基板搬送システムの第2格納部284には、第1基板搬送システムの第1格納部184と同様に、基板識別情報が搬送ルート情報と関連付けられて共に記録される。例えば、第2格納部284には、
図4に図示したように、搬送ルート情報が基板識別情報に関連付けられた所定のテーブルの形で格納される。
【0075】
本実施例によれば、基板12の切り出し位置が異なると、搬送ルートも異なるように制御されるので、第2格納部284に格納される基板12の搬送ルート情報は、該基板12の切り出し位置に応じて異なるように設定される。例えば、第2格納部284に格納される、第1カット基板12aと第2カット基板12bそれぞれの搬送ルート情報は異なるように設定される。
【0076】
したがって、本実施例による第2基板搬送システムにおいては、第2搬送制御部282が、搬入される基板12の基板識別情報に基づいて、第2格納部284から該基板識別情報と関連付けられて記憶されている搬送ルート情報を読み取って、これに基づいて該基板の搬送ルートを制御することができる。
【0077】
本実施例において、第2格納部284に格納されるいずれかの基板12の搬送ルート情報は、第1基板搬送システムの第1格納部184に格納された該基板12の搬送ルート情報と対応するように設定されてもよい。つまり、第2基板搬送システムにおける基板の切り出し位置に応じて選択可能な搬送ルートの総数と、第1基板搬送システムおける基板の切り出し位置に応じて選択可能な搬送ルートの総数が同じならば、該基板12に対して第2基板搬送システムの第2格納部284に格納された搬送ルート情報と、第1基板搬送システムの第1格納部184に格納された搬送ルート情報とが互いに対応するように設定してもよい。
【0078】
例えば、ある第1カット基板12aに対して、第1基板搬送システムで設定された搬送ルートが「A」である場合、第2基板搬送システムにおいても、該第1カット基板12aの搬送ルートが「A」になるように設定されてもよい。このために、第2基板搬送システムの第2格納部284に格納される搬送ルート情報は、第1基板搬送システムの第1格納部184に格納される搬送ルート情報を参照して設定されてもよい。これによれば、電子デバイスの製造ライン1内の各基板搬送システムにおける搬送ルート制御を簡単にすることができる。
【0079】
前述のように、有機物成膜クラスタ200内の処理装置である有機物成膜装置210は、前処理成膜クラスタ100内の処理装置である洗浄装置110や金属成膜クラスタ100内の処理装置である金属成膜装置310とは違って、一つの処理装置内に複数のセット位置(すなわち、ステージ)を有するので、搬送ルート情報が「A」と同じであっても、これによって表れる具体的な搬送ルートは、基板12がどの有機物成膜装置に搬送されるかだけでなく、該有機物成膜装置のどのセット位置に搬送されるかをも含む。
【0080】
ただし、本発明はこのような構成に限定されず、第2基板搬送システムにおける基板12の搬送ルートは、第1基板搬送システムの第1格納部184の搬送ルート情報と独立的に、基板12の切り出し位置に基づいて、設定されてもよい。これにより、電子デバイスの製造ライン1上の任意の処理装置が故障した場合や、クラスタ同士の間で処理装置の数またはセット位置の数が異なる場合に、柔軟に基板の搬送を制御することができる。
【0081】
例えば、第2搬送制御部282は、第2搬送室230に搬入される基板12の切り出し位置に基づいて、該基板12の搬送ルートを決定し、第2搬送手段240は、第2搬送制御部282によって決定された搬送ルートに沿って該基板12を搬送してもよい。
【0082】
より具体的に、第2搬送制御部282は、切り出し位置が異なる基板12が異なる搬送ルートを有するように、各基板12の搬送ルートを決めることができる。そして、異なる切り出し位置を有する基板12が交互に搬送室230に搬入される場合ならば、第2搬送制御部282は、切り出し位置が異なる基板12が異なる搬送ルートに沿って搬送されるように、所定の順序で、基板12の搬送ルートを付与することもできる。
【0083】
また、基板12が有することができる切り出し位置の数より、基板12が搬送されることができる有機物成膜装置210および/または、有機物成膜装置210内のセット位置の数が多い場合には、第2搬送制御部282は、特定の切り出し位置を有する基板12は二つ以上の有機物成膜装置(例えば、210aおよび210b)から選択された有機物成膜装置および/または、該有機物成膜装置内のセット位置に送られるように搬送ルートを決めることができる。これによれば、第2搬送制御部282は、基板12の切り出し位置が同じであっても、異なる搬送ルートになるように搬送ルートを決めることができる。
【0084】
この際、第2搬送制御部282は、第2搬送室230に順次搬入される同じ切り出し位置の基板12に対しては、選択可能な複数の搬送ルートから交互に選択して該基板1の搬送ルートにすることができる。例えば、
第1カット基板12a→第2カット基板12b→第2カット基板12b→第1カット基板12a→第2カット基板12b→第1カット基板12a→第1カット基板12a
という順に基板12が搬送室130に順次搬入される場合、第2搬送制御部282は、一番目、四番目、六番目および七番目に搬入される4つの第1カット基板12aに対しては、
Aルート→Bルート→Aルート→Bルート
の順に搬送ルートを割り当てることができる。そして、第2搬送制御部282は、二番目、三番目および五番目に搬入される第2カット基板12bに対しては、
Cルート→Dルート→Cルート
の順に搬送ルートを割り当てることができる。
【0085】
第2搬送制御部282は、以上のように、切り出し位置に基づいて決定された搬送ルートに関する情報を、搬送ルート情報として第2格納部284に格納することができる。この際、第2搬送制御部282は、該基板12の搬送ルート情報を、
図4に図示したようなテーブルの形で、基板識別情報と関連付けて格納することができる。
【0086】
第2基板搬送システムは、基板12の原板10からの切り出し位置を示す切り出し位置情報を取得するための第2取得部286をさらに含むことができる。第2取得部286は、第2基板搬送システムの上流側の装置、例えば、
図1に図示した上流装置または、前処理クラスタ100との通信を通じて該基板12の切り出し位置情報を取得するか、または、第1パス室250を通じて第2搬送室230に搬入される基板12から切り出し位置情報を検出して取得することもできる。上流装置に記録されている基板識別情報およびこれと関連付けられた切り出し位置情報の一例は
図5に図示している。
【0087】
第2搬送制御部282は、第2取得部286が取得した基板12の切り出し位置情報に基づいて、該基板12の搬送ルートを決めることができる。そして、第2搬送制御部282は、決められた搬送ルートを表す搬送ルート情報を、基板識別情報と関連付けて第2格納部284に格納することができる。例えば、第2搬送制御部282は、
図6に図示したように、決められた搬送ルート情報を、基板識別情報およびこれと関連付けられた切り出し位置情報とともに関連付けて、第2格納部284にテーブルの形で格納することができる。
【0088】
また例えば、第2搬送制御部282は、既に決められた基板12の搬送ルートを他の搬送ルートに変更することもできる。
【0089】
次に、
図8を参照して、金属成膜クラスタ300の基板搬送システム(以下、「第3基板搬送システム」)と、これによる基板搬送方法について説明する。以下では、説明の重複を避けるために、第1基板搬送システムまたは第2基板搬送システムとこれによる基板搬送方法との差異を中心に説明する。
【0090】
図8の(a)に図示したように、第3基板搬送システムは、複数の金属成膜装置310a、310b、310c、310d)のいずれか一つの金属成膜装置に基板12を搬送する第3搬送手段340と、第3搬送手段340の搬送動作を制御する第3搬送制御部382とを含む。第3搬送制御部382は、第3搬送室330に搬入される基板12の原板10からの切り出し位置に基づいて、基板12の搬送ルートを制御する。そして、第3搬送手段340は、第3搬送制御部382による搬送ルートの制御に応じて基板12を搬送する。
【0091】
第3基板搬送システムは、基板12の搬送ルートに関する情報である搬送ルート情報を格納する第3格納部384をさらに含むことができる。ここで、搬送ルート情報は、基板12に対し金属層成膜を行う金属成膜装置310a、310b、310c、310dの中、どの金属成膜装置に基板12を搬送するのかに関する情報を含む。例えば、「A」の搬送ルート情報は、基板12を金属成膜装置310aに搬送することを表し、「B」の搬送ルート情報は、基板12を金属成膜装置310bに搬送することを表す。同様に、「C」の搬送ルート情報は、基板12を金属成膜装置310cに搬送することを表し、「D」の搬送ルート情報は、基板12を金属成膜装置310dに搬送することを表す。
【0092】
第3基板搬送システムの第3格納部384には、第1基板搬送システムの第1格納部184または第2基板搬送システムの第2格納部284と同様に、基板識別情報が搬送ルート情報と関連付けられて所定のテーブル形で記録される。
【0093】
本実施例において、第3格納部384に格納されるある基板12の搬送ルート情報は、第1基板搬送システムの第1格納部184に格納された該基板12の搬送ルート情報および/または、第2基板搬送システムの第2格納部284に格納された該基板12の搬送ルート情報と対応するように設定されてもよい。つまり、第3基板搬送システムにおける基板の切り出し位置に応じて選択可能な搬送ルートの総数と、第1基板搬送システムにおける基板の切り出し位置に応じて選択可能な搬送ルートの総数および/または、第2基板搬送システムにおける基板の切り出し位置に応じて選択可能な搬送ルートの総数が同じであれば、該基板12に対して第3基板搬送システムの第3格納部384に格納された搬送ルート情報と、第1基板搬送システムの第1格納部184および/または、第2基板搬送システムの第2格納部284に格納された搬送ルート情報が互いに対応するように設定することができる。
【0094】
例えば、ある第2カット基板12aに対して、第1基板搬送システムおよび/または、第2基板搬送システムで設定された搬送ルートが「B」である場合、第3基板搬送システムにおいても該第2カット基板12aの搬送ルートが「B」になるように設定されてもよい。このために、第3基板搬送システムの第3格納部384に格納される搬送ルート情報は、第1基板搬送システムの第1格納部184に格納される搬送ルート情報および/または、第2基板搬送システムの第2格納部284に格納される搬送ルート情報を参照して設定されてもよい。これによれば、電子デバイスの製造ライン1内の各基板搬送システムにおける搬送ルート制御を簡単にすることができる。
【0095】
ただし、第3基板搬送システムの第3格納部384に格納される情報は、第1基板搬送システムの第1格納部184および第2基板搬送システムの第2格納部284に格納される情報とは独立的に設定されることもできる。
【0096】
即ち、第3基板搬送システムの第3搬送制御部382は、第3搬送室330に搬入される基板12の切り出し位置に基づいて、該基板12の搬送ルートを決定し、第3搬送手段340は、第3搬送制御部382によって決められた搬送ルート上の金属成膜装置310a、310b、310cまたは、310dに基板12を搬送する。例えば、
図8の(b)に図示したように、基板12の搬送ルートがAルート、Bルート、Cルートまたは、Dルートに決定されれば、第3搬送手段340は、決められた搬送ルートに沿って、金属成膜装置310a、金属成膜装置310b、金属成膜装置310cまたは、金属成膜装置310dに該基板12を搬送する。
【0097】
この場合に、第3搬送制御部382は、切り出し位置が異なる基板12は異なる搬送ルートに沿って搬送されるように、各々基板12の搬送ルートを決めることができる。そして、異なる切り出し位置を有する基板12が交互に第3搬送室330に搬入される場合、第3搬送制御部382は、切り出し位置が異なる基板12は異なる搬送ルートになるように所定の順序で、基板12の搬送ルートを付与することもできる。
【0098】
また、基板12が有することのできる切り出し位置の数より、基板12が搬送されることのできる金属成膜装置310の数が多い場合には、第3搬送制御部382は、特定の切り出し位置を有する基板12が、二つ以上の金属成膜装置(例えば、310aおよび310b)から選択された金属成膜装置に送られるように搬送ルートを決めることができる。これによれば、第3搬送制御部382は、基板12の切り出し位置が同じであっても、異なる搬送ルートになるように搬送ルートを決めることができる。
【0099】
この際、第3搬送制御部382は、第3搬送室330に順次搬入される同じ切り出し位置の基板12に対しては、選択可能な複数の搬送ルートから交互に選択して該基板12の搬送ルートにすることができる。
【0100】
第3搬送制御部382は、以上のように、切り出し位置に基づいて決定された搬送ルートに関する情報を、搬送ルート情報として第3格納部384に格納することができる。この時、第3搬送制御部382は、該基板12の搬送ルート情報を、
図4に図示したようなテーブルの形で、基板識別情報と関連付けて格納することができる。
【0101】
第3基板搬送システムは、基板12の原板10からの切り出し位置を表す切り出し位置情報を取得するための第3取得部386をさらに含むことができる。第3取得部386は、上流側装置、例えば、上流装置、前処理クラスタ100または、有機物成膜クラスタ200との通信を通じて該基板12の切り出し位置情報を取得するか、または、第2パス室350を介して第3搬送室330に搬入される基板12から切り出し位置情報を検出することによって取得することもできる。上流装置に記録されている基板識別情報およびこれと関連付けられた切り出し位置情報の一例は
図5に図示している。
【0102】
このような構成において、第3搬送制御部382は、第3取得部386が取得した基板12の切り出し位置情報に基づいて、該基板12の搬送ルート決定することができる。そして、第3搬送制御部382は、決められた搬送ルートを表す搬送ルート情報を、基板識別情報および取得された切り出し位置情報と関連付けて、
図6に図示したテーブルの形で、第3格納部384に格納することができる。
また例えば、第3搬送制御部382は、既に決められたの基板12の搬送ルートを他の搬送ルートに変更することもできる。
【0103】
前述の本発明の実施例では、基板搬送システムの搬送制御部182、282、382と、格納部184、284、384がクラスタ毎に設置されることを前提に説明したが、本発明はこれに限定されず、搬送制御部182、282、382および/または、格納部184、284、384は統合されて設置されてもよい。例えば、搬送制御部182、282、382が基板搬送システム毎に設置され、格納部184、284、384は統合されて設置されてもよい。このような構成において、統合された格納部には、第1基板搬送システムにおける搬送ルート情報、第2基板搬送システムにおける搬送ルート情報、第3基板搬送システムにおける搬送ルート情報がそれぞれ基板識別情報および/または、切り出し位置情報と関連づけられて格納されてもよい。各搬送制御部としては例えば、既存の処理回路や情報処理装置などを利用できる。格納部184、284、384としては例えば、既存の記憶装置などを利用できる。また、搬送制御部182、282、382は、後述する成膜制御部が兼ねてもよい
【0104】
<基板処理システムおよび基板処理方法>
本発明の一実施形態による基板処理システムは、原板10から所定の大きさに切り出された基板12に対して所定の処理を行うための複数の処理装置(洗浄装置110、有機物成膜装置210、金属成膜装置310と、基板12を搬送するための基板搬送システムとを含む。例えば、
図1に図示した前処理クラスタ100、有機物成膜クラスタ200、および金属成膜クラスタ300それぞれは、本発明の一実施形態による基板処理システムを構成する。
【0105】
基板搬送システムは、前述のように、基板12の切り出し位置に基づいて、その搬送ルート、例えば、複数の処理装置(洗浄装置110、有機物成膜装置210、金属製膜装置310)の中、どの処理装置に基板12を搬送するかを制御する。すなわち、切り出し位置が異なる基板12が異なる処理装置に搬送されるように制御する。原板10からの切り出し位置によって搬送ルートを切り替えることで、1つの処理装置に切り出し位置の異なる様々な基板がランダムに搬送される頻度を低減することができる。さらには、本発明の一実施例によれば、1つの処理装置に対して切り出し位置の同じ基板のみが搬送されるようにすることもできる。これにより、同じ処理装置において同じ基板を処理することになるので、アライメント精度や基板処理工程の精度をさらに高めることができる。
【0106】
したがって、いずれか一つの処理装置に搬入されてくる基板の切り出し位置が変わる頻度が減り、該処理装置では、自分に搬送されてくる基板12の切り出し位置に基づいて、該処理装置で行われる処理工程に用いられる工程パラメータを更新する頻度を減らすことができる。さらには、切り出し位置が同じである基板12のみが搬送されるようにすることもでき、該処理装置では、自分に搬送されてくる基板12の切り出し位置に基づいて、該処理装置で行われる処理工程に用いられる工程パラメータを固定させることができる。これによって、該処理装置での処理工程における工程パラメータの制御を簡単にすることができ、処理工程の精度を高めることができる。
【0107】
このために、本発明の一実施形態による基板処理システムの処理装置は、基板の切り出し位置に基づいて設定された工程パラメータを適用して、基板に対する処理工程を制御する処理制御部と、基板の識別情報である基板識別情報と該基板の処理工程に適用される工程パラメータ値を関連づけて格納するパラメータ格納部とを含む。
【0108】
以下では、本実施形態による基板処理システムの処理装置として、
図9に図示した成膜装置を例にあげて、基板の切り出し位置に基づいた処理装置での処理工程について具体的に説明する。
【0109】
図9は、成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。
図9の成膜装置は、
図1および
図7に図示した有機物成膜装置210、または、
図1および
図8に図示した金属成膜装置310に対応する装置である。ただ、
図9には、
図1および
図7の2-ステージ有機物成膜装置210の一つのステージだけが図示されている。以下では、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を用いて説明する。成膜時に基板が水平面(XY平面)と平行になるように配置された場合、基板の短辺方向(短辺に平行な方向)をX方向、長辺方向(長辺に平行な方向)をY方向とする。また、Z軸の周りの回転角をθで表示する。
【0110】
図9を参照すれば、成膜装置は真空容器400を具備する。真空容器400の内部は真空雰囲気や窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気に維持される。真空容器400の内部には、基板支持ユニット410と、マスク支持ユニット420と、冷却板430と、成膜源440が設置される。
【0111】
基板支持ユニット410は、搬送手段240、340から受け取った基板12を支持する手段であり、基板ホルダとも呼ぶ。マスク支持ユニット420は、マスクMを支持して固定する手段である。成膜時には、マスクMの上に基板12が載置される。
【0112】
冷却板430は、成膜時に基板12(のマスクMと反対側の面)に密着して成膜時の基板12の温度上昇を抑制することによって成膜材料の変質や劣化を抑制する板状部材である。冷却板430は、マグネット板を兼ねていてもよい。マグネット板はマグネットによってマスクMを引き寄せることで、成膜時の基板12とマスクMの密着性を高める密着手段の一例である。
【0113】
成膜源440は、成膜材料を収容する容器(るつぼ)と、容器を加熱するヒータとを含む。真空容器400の上部(外側)には、基板Zアクチュエータ450、クランプZアクチュエータ451、冷却板Zアクチュエータ452、XYθアクチュエータ(不図示)が設置される。これらのアクチュエータは、例えば、モータとボールねじ、モータとリニアガイドなどで構成される。
【0114】
基板Zアクチュエータ450は、基板支持ユニット410の全体を昇降(Z方向移動)させるための駆動手段である。クランプZアクチュエータ451は、基板支持ユニット410の挟持機構を開閉させるための駆動手段である。冷却板Zアクチュエータ452は、冷却板230を昇降させるための駆動手段である。XYθアクチュエータは、基板12のアライメントのための駆動手段であり、基板支持ユニット410および冷却板430の全体を、X方向移動、Y方向移動、θ回転させる。本実施形態では、マスクMを固定させた状態で基板12の位置をX、Y、θ方向に調整する構成にしたが、マスクMの位置を調整するか、または、基板12とマスクMの両方の位置を調整することによって基板12とマスクMのアライメントを行ってもよい。
【0115】
真空容器400の上部(外側)には、基板12およびマスクMのアライメントのために、基板12およびマスクMの相対位置を測定するカメラ460、461が設置されている。カメラ460、461は、真空容器400に設置された窓を介して、基板12とマスクMを撮影する。その画像から基板12上のアライメントマーク、及びマスクM上のアライメントマークを認識することによって、XYθ方向における位置の相対的ずれを計測することができる。
【0116】
成膜装置は、処理制御部に該当する成膜制御部470を備える。成膜制御部470は、基板Zアクチュエータ450、クランプZアクチュエータ451、冷却板Zアクチュエータ452、XYθアクチュエータおよびカメラ460、461の制御の他にも、搬送手段240、340との間での基板12のやり取り、基板12とマスクMのアライメント、成
膜源440の制御などの機能を有する。
【0117】
成膜制御部470は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータによって構成することができる。この場合、成膜制御部470の機能は、メモリまたはストレージに格納されたプログラムをプロセッサが実行することによって実現される。コンピュータとしては汎用のパーソナルコンピュータを使用してもよく、エンベデッド型のコンピュータまたはPLC(programmable logic controller)を使用しても良い。また、成膜制御部470の機能の一部または、全部をASICやFPGAのような回路で構成しても良い。また、成膜装置別に成膜制御部470が設置されていてもよく、一つの成膜制御部470が該クラスタの複数の成膜装置を全部制御することにしてもよい。
【0118】
本実施例の一側面によると、成膜制御部470は、基板12の切り出し位置に基づいて、基板12に対する成膜工程を制御することができる。例えば、成膜制御部470は、基板12が第1カット基板12aなのか、または、第2カット基板12bなのかによって、搬送手段240、340による基板12の真空容器400への搬入工程または、真空容器400に搬入された基板12とマスクMの密着工程を制御することができる。
【0119】
より具体的に、成膜制御部470は、基板12の切り出し位置に基づいて設定されたパラメータ値に基づいて、基板12に対する成膜工程を制御することができる。例えば、基板12が第1カット基板12aなのか、または、第2カット基板12bなのかに応じて、搬送手段240、340による基板12の真空容器400への搬入工程のパラメータ値、または、真空容器400に搬入された基板12とマスクMの密着工程のパラメータ値が異なるように設定することができる。そして、成膜制御部470は、基板12の切り出し位置に応じて設定されたパラメータ値を適用して、搬入工程または、密着工程などを制御することができる。
【0120】
特に、本発明の一実施形態による基板搬送システムは、基板の切り出し位置が異なると、該基板12を異なる成膜装置に搬送するので、成膜装置には同じ切り出し位置の基板12のみが搬送される。これにより、該成膜装置では、該切り出し位置の基板12の挙動特性に合わせて、基板の搬入工程や密着工程に用いられるパラメータ値を最適化した値に固定することができる。これによって、該成膜装置に異なる切り出し位置の基板が全て搬送されてくる場合に比べて、基板12の搬入工程やマスクとの密着工程に用いられるパラメータの制御が簡単になり、工程誤差を低減することができる。また、基板の切り出し位置が変わることによるパラメータの変更が行われないので、該工程の処理速度を向上させることができる。
【0121】
ここで、前記搬入工程のパラメータ値は、搬送手段240、340による基板12の真空容器400への搬入時に、真空容器400内に進入した搬送手段240、340の位置に対する基板支持ユニット410の相対位置のオフセット補正値であってもよい。そして、前記密着工程のパラメータ値は、密着手段である冷却板430による基板12とマスクMとの間の密着工程時のずれを事前に補正するためのオフセット補正値であってもよい。オフセット補正については後述する。
【0122】
基板の切り出し位置に応じて固定されたパラメータ値が、搬入工程または密着工程などに長い間適用されると、例えば、搬送手段240、340の変形などの様々な原因により、該切り出し位置の基板に対してパラメータ値が修正または更新されなければならないこともある。
【0123】
この場合に、特定の成膜装置で所定の切り出し位置の基板に対してパラメータ値が更新
されると、成膜制御部470は、同じ切り出し位置の基板に対する処理を行う他の成膜装置での該パラメータ値も更新されるように制御することができる。例えば、
図1または
図8に図示した金属成膜クラスタ300において、金属成膜装置310aで処理される第1カット基板12aに適用されるパラメータ値が更新された場合、金属成膜装置310bで処理される第1カット基板12aに適用されるパラメータ値も更新することができる。
【0124】
成膜装置は、基板12の識別情報とパラメータ値を格納するためのパラメータ格納部480をさらに含むことができる。
パラメータ格納部480には、パラメータ値が基板12の識別情報、つまり、基板識別情報と関連付けられてテーブルの形で格納される。実施例によっては、パラメータ格納部480には、基板識別情報と関連付けられた、基板12の切り出し位置を表す切り出し位置情報も格納される。
【0125】
<オフセット補正>
前述のように、基板12は、搬送手段240、340によって成膜装置の真空容器400内に搬入され、マスクMとのアライメントを経て成膜が行われることになるが、真空容器400内への基板搬入時、または、真空容器400での基板12とマスクMの密着時に、切り出し位置によって基板12の挙動が異なり、これは、基板搬送精度やアライメント精度、最終的には成膜精度に影響を与える。これに対し、基板12の切り出し位置による搬送誤差や位置ずれを相殺するオフセット量を決定し、このオフセット量に基づいて成膜装置の基板支持ユニット410およびマスク支持ユニット420の少なくとも一方を移動させるオフセット補正を行ってもよい。
【0126】
より具体的に、搬送手段140、240によって基板12を真空容器400内に搬入する時に、真空容器400内での基板12の受け取り位置が、基板12の切り出し位置に応じてずれる(異なる)可能性がある。これは、上述のとおり、切り出し位置によって基板12の形状がわずかに異なることにより、重心の位置や基板のうねり方が切り出し位置に応じて異なることで、搬送時のロボットハンド上での挙動(例えば、ガタつきや振動、滑り等)が切り出し位置ごとに異なることなどが要因として考えられる。このような基板受け取り時の位置ずれを補正するために、真空容器400内に基板12が搬入される前に、ずれ量を相殺するように予めオフセットを与え、基板支持ユニット410を移動させておくことができる。与えられるオフセットの大きさは、基板12の切り出し位置によって異なる。このようなオフセット補正により、真空容器400内への基板12の搬入工程に、基板12の切り出し位置が反映される。例えば、第1カット基板12aに対して成膜を行う成膜装置であれば、第1カット基板12aの形状等の特性に応じた好適な位置で基板12を受け取れるように、予め基板支持ユニット410を移動させる。または、第2カット基板12bに対して成膜を行う成膜装置であれば、第2カット基板12bの特性に応じたオフセット補正を行っておく。これにより、決まった位置で基板12を受け取ることができる。
【0127】
また、基板12とマスクMとの間のアライメントが完了した後に、基板とマスクを密着または合着して固定する過程で、冷却板430やマグネット板の下降のような機械的、物理的動作によって、基板12とマスクMと間の相対位置が再度ずれる可能性がある。この時、基板12とマスクMがずれる量は、基板12の切り出し位置によって異なることがある。このような、アライメント完了後の基板とマスクの密着過程での位置ずれを補正するために、冷却板430やマグネット板の下降などが行なわれた以後の時点で、アライメント用カメラで基板12およびマスクMのアライメントマークを撮影して、発生した位置ずれを計測する。そして、このような計測により確認された位置ずれ量だけをオフセット量としてアライメント工程に反映することによって、前述のアライメント完了後の基板とマスクの密着過程で位置ずれが発生しても、基板とマスクを所望の相対的な位置精度を持っ
て密着させることができる。
【0128】
このようなオフセットの大きさは、基板12の切り出し位置に応じて異なるので、特定の切り出し位置の基板12に対して成膜工程を行う成膜装置においては、該切り出し位置の基板12の挙動特性を考慮して、オフセットの大きさを最適化した値に固定することができる。これにより、アライメント工程時に基板12の切り出し位置に応じる基板の挙動特性が予め反映されるので、第1カット基板12aに対して成膜を行う成膜装置なのか、または、第2カット基板12bに対して成膜を行う成膜装置なのかによって、基板12とマスクMのアライメントが精密で、かつ、簡単に行われる。
【0129】
前述の二つの場合それぞれにおいて、オフセット補正に必要なオフセット量は、非生産用の基板を予め投入して位置ずれ量を測定し、測定された位置ずれ量に基づいて決めてもよい。
【0130】
このようなオフセット補正は成膜装置別に行われる。つまり、成膜装置に対しては、個別的にオフセット値がパラメータ格納部480に格納されており、オフセット値の学習および更新も個別的に行われる。しかし、本発明の実施例によれば、特定の切り出し位置を有する基板12に対して成膜が行われるいずれか一つの成膜装置に対するオフセット値が更新されると、この基板12と同じ切り出し位置を有する基板12に対して成膜が行われる他の成膜装置でもオフセット値の更新を同様に行うことができる。例えば、第1カット基板12aに対して成膜を実施するルートA上の成膜装置210、310に対してオフセット値の更新が行われると、第1カット基板12aに対して成膜を実施するルートB上の成膜装置210、310においても、同様にオフセット値の更新を行うことができる。
上記実施例は本発明の一例を示したことであり、本発明は上記実施例の構成に限定されず、その技術思想の範囲内で適切に変形してもよい。
【符号の説明】
【0131】
10:原板
12:基板
140、240、340:搬送手段
182、282、382:搬送制御部
110:処理装置(洗浄装置)
210:処理装置(有機物成膜装置)
310:処理装置(金属成膜装置)