(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】ウエーハ分割装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20230926BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230926BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
H01L21/78 X
H01L21/78 Y
H01L21/78 N
H01L21/78 P
H01L21/68 A
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019213864
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018227203
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】政田 孝行
(72)【発明者】
【氏名】川口 吉洋
(72)【発明者】
【氏名】松田 智人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄平
(72)【発明者】
【氏名】稲員 進
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】武末 直也
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀明
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-206136(JP,A)
【文献】特開2015-133370(JP,A)
【文献】特開2002-334852(JP,A)
【文献】特開2018-181921(JP,A)
【文献】特開2007-305687(JP,A)
【文献】特開2005-109043(JP,A)
【文献】特開2011-100920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/677
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープに貼着されフレームの開口部に支持されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハ分割装置であって、
粘着テープに貼着されフレームの開口部に支持されたウエーハを複数収容するカセットを載置しZ軸方向に昇降可能なカセットテーブルと、
該カセットテーブルに載置されたカセットからフレームを把持してZ軸方向に直交するX軸方向に搬出および搬入する第一の搬出入手段と、
該第一の搬出入手段によって搬入されたフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第一のガイドレールと該一対の第一のガイドレールの間隔をZ軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向に広げフレームのZ軸方向の通過を許容するガイドレール開閉部とを備えた第一の仮受け手段と、
該第一の仮受け手段に支持されたフレームを保持する保持部を備えると共にX軸方向の回転軸で180度回転してフレームの表裏を反転させる反転手段と、
反転されたフレームをY軸方向に移動する搬送手段と、
Y軸方向に移動したフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第二のガイドレールを有する第二の仮受け手段と、
該第二の仮受け手段に支持されたフレームをX軸方向に移動する第二の搬出入手段と、
該第二の仮受け手段のX軸方向片側に配設され該第二の搬出入手段によって移動したフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第三のガイドレールと該一対の第三のガイドレールの間隔をY軸方向に広げフレームのZ軸方向の通過を許容するガイドレール作動部とを備えた第三の仮受け手段と、
該第三の仮受け手段のZ軸方向下部に配設され該第三の仮受け手段に支持されたフレームを支持しZ軸方向に昇降させるフレーム昇降手段と、
該第三の仮受け手段のZ軸方向上部に配設され該フレーム昇降手段に支持されたフレームが上昇した際にフレームとウエーハとの間にある粘着テープを拡張しウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割する円筒部を備えた分割手段と、
該円筒部の内部に配設されチップに分割されたウエーハを吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブルと、
該フレーム昇降手段側に配設され弛んだ粘着テープを加熱して収縮させるテープ収縮手段と、から少なくとも構成され、
該搬送手段は、該第二の搬出入手段によって該第三の仮受け手段から該第二の仮受け手段に搬出され粘着テープが収縮したフレームを該第一の仮受け手段まで搬送するウエーハ分割装置。
【請求項2】
該第一の仮受け手段を挟むように該カセットテーブルと反対側に配設されウエーハを洗浄する洗浄手段と、
該第一の仮受け手段に搬送されたウエーハを支持しているフレームを該洗浄手段に搬入および搬出する第三の搬出入手段と、
を備える請求項1記載のウエーハ分割装置。
【請求項3】
該第一の仮受け手段の直下に配設され、少なくともウエーハの大きさに対応する大きさの透明板を備えた透明テーブルを備え、
該反転手段は、該透明テーブルの上部に配設され該第三の搬出入手段によって該第一の仮受け手段に搬出された洗浄済みのウエーハを支持しているフレームを保持する保持部を備え180度回転してフレームの表裏を反転させ該透明テーブルにフレームを載置し、
更に、
該反転手段を該透明テーブルから該第一の仮受け手段まで昇降させる昇降手段と、
該反転手段によって表裏が反転しウエーハが上を向いたフレームを載置した該透明テーブルを該第一の仮受け手段の直下から該第二の仮受け手段の方向に移動するテーブル移動手段と、
該第二の仮受け手段の下方に配設され、該テーブル移動手段によって移動した該透明テーブルに載置されたフレームに支持されたウエーハを覆い不活性ガスを供給するチャンバーと、
該チャンバーの下方に配設されフレームに貼着された粘着テープに紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を備える請求項2記載のウエーハ分割装置。
【請求項4】
該反転手段は、該第一の仮受け手段に支持されたフレームを保持する保持部を備えると共にX軸方向の回転軸で180度回転してフレームの表裏を反転させる第一の反転手段と、該透明テーブルの上部に配設され該第三の搬出入手段によって該第一の仮受け手段に搬出された洗浄済みのウエーハを支持しているフレームを保持する保持部を備え180度回転してフレームの表裏を反転させ該透明テーブルにフレームを載置する第二の反転手段とを有する請求項3記載のウエーハ分割装置。
【請求項5】
該搬送手段は、該第一の反転手段によって反転されたフレームをY軸方向に移動する第一の搬送手段と、該第二の搬出入手段によって該第三の仮受け手段から該第二の仮受け手段に搬出され粘着テープが収縮したフレームを該第一の仮受け手段まで搬送する第二の搬送手段とを有する請求項4記載のウエーハ分割装置。
【請求項6】
該第二の反転手段の保持部は、一方の保持部と反対側の他方の保持部とを有し、
該紫外線照射手段によって粘着テープに紫外線が照射されウエーハが上を向いたフレームを載置した該透明テーブルが該テーブル移動手段によって該第一の仮受け手段の直下に位置づけられた際、
該第二の反転手段は、該透明テーブルに載置されたフレームを該一方の保持部で保持すると共に、該第一の仮受け手段に支持された洗浄済みのウエーハを支持している次のフレームを該他方の保持部で保持し、180度回転して該一方の保持部で保持したフレームを該第一の反転手段に保持させ、該他方の保持部で保持した次のフレームを該透明テーブルに載置し、
該第一の反転手段は、X軸方向の回転軸で180度回転して保持したフレームを該第一の仮受け手段に支持させ、
該第一の搬出入手段は、該第一の仮受け手段に支持されたフレームを該カセットに搬出する請求項4記載のウエーハ分割装置。
【請求項7】
該第三の仮受け手段の該一対の第三のガイドレールはZ軸方向上部の上段ガイドレール部とZ軸方向下部の下段ガイドレール部とを備え、
該第二の仮受け手段に位置づけられチップに分割される前のウエーハを支持しているフレームは、該第二の搬出入手段によって該第二の仮受け手段から該第三の仮受け手段の該上段ガイドレール部に搬入され、
該上段ガイドレール部に支持されたフレームを該フレーム昇降手段によって上昇させ該分割手段によってウエーハをチップに分割した後、チップに分割されたウエーハを支持しているフレームは該下段ガイドレール部に支持され、
該第二の仮受け手段に位置づけられチップに分割される前の次のウエーハを支持しているフレームは該第二の搬出入手段によって該第二の仮受け手段から該第三の仮受け手段の該上段ガイドレール部に搬入され、
該下段ガイドレール部に支持されチップに分割されたウエーハを支持しているフレームは該第二の搬出入手段によって該第二の仮受け手段に搬出される請求項1記載のウエーハ分割装置。
【請求項8】
該第二の仮受け手段を二等分するY軸を対称軸として、
該第二の搬出入手段と同じ構成を有する鏡構造の第二の搬出入手段と、
該第三の仮受け手段と同じ構成を有する鏡構造の第三の仮受け手段と、
該フレーム昇降手段と同じ構成を有する鏡構造のフレーム昇降手段と、
該分割手段と同じ構成を有する鏡構造の分割手段と、
該吸引テーブルと同じ構成を有する鏡構造の吸引テーブルと、
該テープ収縮手段と同じ構成を有する鏡構造のテープ収縮手段と、
が配設される請求項1記載のウエーハ分割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに貼着されフレームの開口部に支持されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハ分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハ(たとえばシリコン(Si)製ウエーハ)は、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
レーザー加工装置は、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインに対応する内部に位置づけてレーザー光線をウエーハに照射し改質層を分割予定ラインに沿って形成した後、ウエーハに外力を付与してウエーハを個々のデバイスチップに分割している(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ウエーハを個々のデバイスチップに分割する際に、改質層を含むウエーハの粉塵が飛散してデバイスチップの表面に付着し、デバイスチップの品質を低下させるという問題がある。
【0006】
また、ガラス、サファイア等から形成されたウエーハの分割予定ラインに対応する内部に改質層を形成して個々のチップに分割する際も上記同様の問題が生じる。
【0007】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、ウエーハを個々のチップに分割する際に飛散する粉塵がチップの表面に付着することがなく、チップの品質の低下を防止することができるウエーハ分割装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が提供するのは以下のウエーハ分割装置である。すなわち、粘着テープに貼着されフレームの開口部に支持されたウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハ分割装置であって、粘着テープに貼着されフレームの開口部に支持されたウエーハを複数収容するカセットを載置しZ軸方向に昇降可能なカセットテーブルと、該カセットテーブルに載置されたカセットからフレームを把持してZ軸方向に直交するX軸方向に搬出および搬入する第一の搬出入手段と、該第一の搬出入手段によって搬入されたフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第一のガイドレールと該一対の第一のガイドレールの間隔をZ軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向に広げフレームのZ軸方向の通過を許容するガイドレール開閉部とを備えた第一の仮受け手段と、該第一の仮受け手段に支持されたフレームを保持する保持部を備えると共にX軸方向の回転軸で180度回転してフレームの表裏を反転させる反転手段と、反転されたフレームをY軸方向に移動する搬送手段と、Y軸方向に移動したフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第二のガイドレールを有する第二の仮受け手段と、該第二の仮受け手段に支持されたフレームをX軸方向に移動する第二の搬出入手段と、該第二の仮受け手段のX軸方向片側に配設され該第二の搬出入手段によって移動したフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第三のガイドレールと該一対の第三のガイドレールの間隔をY軸方向に広げフレームのZ軸方向の通過を許容するガイドレール作動部とを備えた第三の仮受け手段と、該第三の仮受け手段のZ軸方向下部に配設され該第三の仮受け手段に支持されたフレームを支持しZ軸方向に昇降させるフレーム昇降手段と、該第三の仮受け手段のZ軸方向上部に配設され該フレーム昇降手段に支持されたフレームが上昇した際にフレームとウエーハとの間にある粘着テープを拡張しウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割する円筒部を備えた分割手段と、該円筒部の内部に配設されチップに分割されたウエーハを吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブルと、該フレーム昇降手段側に配設され弛んだ粘着テープを加熱して収縮させるテープ収縮手段と、から少なくとも構成され、該搬送手段は、該第二の搬出入手段によって該第三の仮受け手段から該第二の仮受け手段に搬出され粘着テープが収縮したフレームを該第一の仮受け手段まで搬送するウエーハ分割装置である。
【0009】
好ましくは、該第一の仮受け手段を挟むように該カセットテーブルと反対側に配設されウエーハを洗浄する洗浄手段と、該第一の仮受け手段に搬送されたウエーハを支持しているフレームを該洗浄手段に搬入および搬出する第三の搬出入手段と、を備える。
該第一の仮受け手段の直下に配設され、少なくともウエーハの大きさに対応する大きさの透明板を備えた透明テーブルを備え、該反転手段は、該透明テーブルの上部に配設され該第三の搬出入手段によって該第一の仮受け手段に搬出された洗浄済みのウエーハを支持しているフレームを保持する保持部を備え180度回転してフレームの表裏を反転させ該透明テーブルにフレームを載置し、更に、該反転手段を該透明テーブルから該第一の仮受け手段まで昇降させる昇降手段と、該反転手段によって表裏が反転しウエーハが上を向いたフレームを載置した該透明テーブルを該第一の仮受け手段の直下から該第二の仮受け手段の方向に移動するテーブル移動手段と、該第二の仮受け手段の下方に配設され、該テーブル移動手段によって移動した該透明テーブルに載置されたフレームに支持されたウエーハを覆い不活性ガスを供給するチャンバーと、該チャンバーの下方に配設されフレームに貼着された粘着テープに紫外線を照射する紫外線照射手段と、を備えるのが好適である。
該反転手段は、該第一の仮受け手段に支持されたフレームを保持する保持部を備えると共にX軸方向の回転軸で180度回転してフレームの表裏を反転させる第一の反転手段と、該透明テーブルの上部に配設され該第三の搬出入手段によって該第一の仮受け手段に搬出された洗浄済みのウエーハを支持しているフレームを保持する保持部を備え180度回転してフレームの表裏を反転させ該透明テーブルにフレームを載置する第二の反転手段とを有するのが好ましい。
該搬送手段は、該第一の反転手段によって反転されたフレームをY軸方向に移動する第一の搬送手段と、該第二の搬出入手段によって該第三の仮受け手段から該第二の仮受け手段に搬出され粘着テープが収縮したフレームを該第一の仮受け手段まで搬送する第二の搬送手段とを有するのが公的である。
該第二の反転手段の保持部は、一方の保持部と反対側の他方の保持部とを有し、該紫外線照射手段によって粘着テープに紫外線が照射されウエーハが上を向いたフレームを載置した該透明テーブルが該テーブル移動手段によって該第一の仮受け手段の直下に位置づけられた際、該第二の反転手段は、該透明テーブルに載置されたフレームを該一方の保持部で保持すると共に、該第一の仮受け手段に支持された洗浄済みのウエーハを支持している次のフレームを該他方の保持部で保持し、180度回転して該一方の保持部で保持したフレームを該第一の反転手段に保持させ、該他方の保持部で保持した次のフレームを該透明テーブルに載置し、該第一の反転手段は、X軸方向の回転軸で180度回転して保持したフレームを該第一の仮受け手段に支持させ、該第一の搬出入手段は、該第一の仮受け手段に支持されたフレームを該カセットに搬出するのが好都合である。
該第三の仮受け手段の該一対の第三のガイドレールはZ軸方向上部の上段ガイドレール部とZ軸方向下部の下段ガイドレール部とを備え、該第二の仮受け手段に位置づけられチップに分割される前のウエーハを支持しているフレームは、該第二の搬出入手段によって該第二の仮受け手段から該第三の仮受け手段の該上段ガイドレール部に搬入され、該上段ガイドレール部に支持されたフレームを該フレーム昇降手段によって上昇させ該分割手段によってウエーハをチップに分割した後、チップに分割されたウエーハを支持しているフレームは該下段ガイドレール部に支持され、該第二の仮受け手段に位置づけられチップに分割される前の次のウエーハを支持しているフレームは該第二の搬出入手段によって該第二の仮受け手段から該第三の仮受け手段の該上段ガイドレール部に搬入され、該下段ガイドレール部に支持されチップに分割されたウエーハを支持しているフレームは該第二の搬出入手段によって該第二の仮受け手段に搬出されるのが好ましい。
該第二の仮受け手段を二等分するY軸を対称軸として、該第二の搬出入手段と同じ構成を有する鏡構造の第二の搬出入手段と、該第三の仮受け手段と同じ構成を有する鏡構造の第三の仮受け手段と、該フレーム昇降手段と同じ構成を有する鏡構造のフレーム昇降手段と、該分割手段と同じ構成を有する鏡構造の分割手段と、該吸引テーブルと同じ構成を有する鏡構造の吸引テーブルと、該テープ収縮手段と同じ構成を有する鏡構造のテープ収縮手段と、が配設されるのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明が提供するウエーハ分割装置は、粘着テープに貼着されフレームの開口部に支持されたウエーハを複数収容するカセットを載置しZ軸方向に昇降可能なカセットテーブルと、該カセットテーブルに載置されたカセットからフレームを把持してZ軸方向に直交するX軸方向に搬出および搬入する第一の搬出入手段と、該第一の搬出入手段によって搬入されたフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第一のガイドレールと該一対の第一のガイドレールの間隔をZ軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向に広げフレームのZ軸方向の通過を許容するガイドレール開閉部とを備えた第一の仮受け手段と、該第一の仮受け手段に支持されたフレームを保持する保持部を備えると共にX軸方向の回転軸で180度回転してフレームの表裏を反転させる反転手段と、反転されたフレームをY軸方向に移動する搬送手段と、Y軸方向に移動したフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第二のガイドレールを有する第二の仮受け手段と、該第二の仮受け手段に支持されたフレームをX軸方向に移動する第二の搬出入手段と、該第二の仮受け手段のX軸方向片側に配設され該第二の搬出入手段によって移動したフレームを支持するX軸方向に延在する一対の第三のガイドレールと該一対の第三のガイドレールの間隔をY軸方向に広げフレームのZ軸方向の通過を許容するガイドレール作動部とを備えた第三の仮受け手段と、該第三の仮受け手段のZ軸方向下部に配設され該第三の仮受け手段に支持されたフレームを支持しZ軸方向に昇降させるフレーム昇降手段と、該第三の仮受け手段のZ軸方向上部に配設され該フレーム昇降手段に支持されたフレームが上昇した際にフレームとウエーハとの間にある粘着テープを拡張しウエーハを分割予定ラインに沿って個々のチップに分割する円筒部を備えた分割手段と、該円筒部の内部に配設されチップに分割されたウエーハを吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブルと、該フレーム昇降手段側に配設され弛んだ粘着テープを加熱して収縮させるテープ収縮手段と、から少なくとも構成され、該搬送手段は、該第二の搬出入手段によって該第三の仮受け手段から該第二の仮受け手段に搬出され粘着テープが収縮したフレームを該第一の仮受け手段まで搬送するので、粘着テープに貼着されたウエーハが下を向いた状態でウエーハに外力を付与して個々のチップに分割することで、ウエーハを個々のチップに分割する際に飛散する粉塵がチップの表面に付着することがなく、チップの品質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に従って構成されたウエーハ分割装置の斜視図。
【
図2】
図1に示すカセットテーブルと、このカセットテーブルに載置されるカセットの斜視図。
【
図3】
図1に示すウエーハ分割装置から第一の反転手段、第一の搬送手段および第二の搬送手段を省略したウエーハ分割装置の一部斜視図。
【
図4】
図1に示す第一の反転手段および第一の搬送手段の斜視図。
【
図5】
図1に示す第二の仮受け手段、第三の仮受け手段、フレーム昇降手段およびテープ収縮手段の斜視図。
【
図6】
図1に示す分割手段および吸引テーブルの斜視図。
【
図8】
図1に示す洗浄手段の上方および下方から見た斜視図。
【
図9】
図1に示す透明テーブル、テーブル移動手段および紫外線照射手段の斜視図。
【
図10】
図1に示す第二の反転手段および昇降手段の斜視図。
【
図11】フレーム昇降手段のフレーム支持部にフレームが固定された状態を示す断面図。
【
図12】デバイスごとのチップにウエーハが分割された状態を示す断面図。
【
図13】吸引テーブルによってチップとチップの間隔がウエーハの分割時の間隔に維持されていると共に、フレームとウエーハとの間にある弛んだ粘着テープが加熱されている状態を示す断面図。
【
図14】フレームとウエーハとの間にある粘着テープが収縮されたため、吸引テーブルによる吸引が解除されてもチップとチップの間隔がウエーハの分割時の間隔に維持されている状態を示す断面図。
【
図15】紫外線照射工程を実施している状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成されたウエーハ分割装置の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に示すとおり、全体を符号2で示すウエーハ分割装置は、
図1に矢印Zで示すZ軸方向に昇降可能なカセットテーブル4と、カセットテーブル4をZ軸方向に昇降させるカセットテーブル昇降手段6とを備える。なお、
図1に矢印Xで示すX軸方向はZ軸方向に直交する方向であり、
図1に矢印Yで示すY軸方向はX軸方向およびZ軸方向に直交する方向である。また、X軸方向およびY軸方向が規定する平面は実質上水平である。
【0014】
図1と共に
図2を参照して説明すると、図示の実施形態のカセットテーブル4は矩形状であり、カセットテーブル4の上面には一対の係合突起4aが形成されている。
図2に示すとおり、カセットテーブル4に載置されるカセット8は、上下方向に間隔をおいて複数のウエーハ10を収容するようになっている。カセット8の下面には、カセットテーブル4の一対の係合突起4aに対応する一対の係合凹所8aが形成されており、カセット8がカセットテーブル4の上面に載置された際に、カセット8の係合凹所8aにカセットテーブル4の係合突起4aが係合することにより、カセットテーブル4におけるカセット8の位置ずれが防止される。
【0015】
図2に示すとおり、カセット8には、ウエーハ分割装置2によって分割される複数のウエーハ10が収容されている。円盤状のウエーハ10の表面10aは、格子状の分割予定ライン12によって複数の矩形領域に区画され、複数の矩形領域のそれぞれにはデバイス14が形成されている。ウエーハ10は、周縁が環状のフレーム16に固定された粘着テープ18に裏面10b側が貼着され、粘着テープ18を介してフレーム16の開口部16aに支持されている。また、このウエーハ10には、レーザー加工装置(図示していない。)を用いて、ウエーハ10に対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ライン12に対応する内部に位置づけてレーザー光線をウエーハ10に照射することにより、強度が低下した分割起点としての改質層(図示していない。)が分割予定ライン12に沿って形成されている。
【0016】
図2を参照して説明を続けると、カセットテーブル昇降手段6は、Z軸方向に延びるハウジング20と、ハウジング20内に配置されZ軸方向に延びるボールねじ22と、ボールねじ22の下端部に連結されたモータ24とを有する。ボールねじ22のナット部22aはカセットテーブル4に固定されている。そして、カセットテーブル昇降手段6においては、モータ24の回転運動をボールねじ22によって直線運動に変換してカセットテーブル4に伝達し、カセットテーブル4をZ軸方向に昇降させるようになっている。
【0017】
図1に示すとおり、カセットテーブル4に載置されたカセット8からフレーム16を把持してZ軸方向に直交するX軸方向に搬出および搬入する第一の搬出入手段26がカセットテーブル4に隣接して配置されている。
【0018】
第一の搬出入手段26は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されX軸方向に延びるハウジング28と、X軸方向に移動自在にハウジング28に支持されたX軸可動部材30と、X軸可動部材30をX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示していない。)とを含む。X軸送り手段は、X軸可動部材30に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。また、X軸可動部材30には、Z軸方向に移動自在にZ軸可動部材32が支持されていると共に、Z軸可動部材32をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)が設けられている。Z軸送り手段は、Z軸可動部材32に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0019】
図1を参照して第一の搬出入手段26についての説明を続ける。Z軸可動部材32はX軸可動部材30に連結された基端からY軸方向に延びており、Z軸可動部材32の先端側のX軸方向片側端面(
図1において手前側の端面)には、Z軸方向に間隔をおいて一対の把持片34が装着されている。一対の把持片34は、カセットテーブル4に載置されたカセット8に対面する位置に位置づけられている。また、エア駆動式の一対の把持片34は互いの間隔を拡張自在かつ縮小自在に構成されている。
【0020】
そして、第一の搬出入手段26においては、X軸送り手段でX軸可動部材30を移動させると共に、Z軸送り手段でZ軸可動部材32を移動させることにより、一対の把持片34のX軸方向位置およびZ軸方向位置を調整した上で、一対の把持片34の間隔を縮小させることにより、カセットテーブル4に載置されたカセット8内のフレーム16を一対の把持片34で把持するようになっている。また、第一の搬出入手段26は、X軸送り手段を作動させることにより、一対の把持片34で把持したフレーム16をX軸方向に移動して、カセット8から下記第一の仮受け手段36にフレーム16を搬入すると共に、第一の仮受け手段36からカセット8にフレーム16を搬出するようになっている。
【0021】
図3に示すとおり、カセットテーブル4のX軸方向片側には第一の仮受け手段36が配置されている。第一の仮受け手段36は、第一の搬出入手段26によって搬入されたフレーム16を支持するX軸方向に延在する一対の第一のガイドレール38と、一対の第一のガイドレール38の間隔をZ軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向に広げフレーム16のZ軸方向の通過を許容するガイドレール開閉部40とを備える。
【0022】
図3を参照して第一の仮受け手段36についての説明を続ける。断面L字状に形成された第一のガイドレール38は、Y軸方向に間隔をおいて一対配置されている。ガイドレール開閉部40は、一対の第一のガイドレール38に連結された複数のエアシリンダまたは電動シリンダでよく、一対の第一のガイドレール38でフレーム16を支持可能な支持位置と、この支持位置よりも一対の第一のガイドレール38の間隔が広くフレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置との間で一対の第一のガイドレール38のY軸方向間隔を変更するようになっている。なお、一対の第一のガイドレール38は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して、Y軸方向に移動自在に支持されている。
【0023】
図1に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、第一の仮受け手段36に支持されたフレーム16を保持する保持部を備えると共にX軸方向の回転軸で180度回転してフレーム16の表裏を反転させる第一の反転手段42と、第一の反転手段42をY軸方向に移動する第一の搬送手段44とを備える。
【0024】
図4を参照して第一の搬送手段44について説明する。第一の搬送手段44は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されY軸方向に延びるハウジング46と、Y軸方向に移動自在にハウジング46に支持されたY軸可動部材48と、Y軸可動部材48をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にY軸可動部材48に支持されたZ軸可動部材50と、Z軸可動部材50をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。Y軸送り手段は、Y軸可動部材48に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよく、Z軸送り手段は、Z軸可動部材50に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0025】
図4に示すとおり、第一の反転手段42は、第一の搬送手段44のZ軸可動部材50の下端に回転自在に支持されX軸方向に延びる回転軸52と、X軸方向に延びる軸線を中心として回転軸52を回転させるモータ(図示していない。)と、第一の仮受け手段36に支持されたフレーム16を保持する保持部54とを含む。保持部54は、回転軸52の先端に連結された基板56と、基板56の片面に設けられた複数の吸引パッド58とを有し、各吸引パッド58は吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0026】
そして、第一の反転手段42においては、吸引手段を作動させて吸引パッド58に吸引力を生成することにより、第一の仮受け手段36に支持されたフレーム16を保持部54の吸引パッド58で吸引保持するようになっていると共に、モータで回転軸52を180度回転させることにより、保持部54で保持したフレーム16の表裏を反転させるようになっている。
【0027】
また、第一の搬送手段44は、Y軸送り手段でY軸可動部材48を移動させると共に、Z軸送り手段でZ軸可動部材50を移動させることにより、第一の反転手段42をY軸方向およびZ軸方向に移動するようになっている。
【0028】
図1に示すとおり、第一の搬送手段44のハウジング46のY軸方向一端側(
図1における左側)の下方には、Y軸方向に移動した第一の反転手段42に保持されたフレーム16を支持するX軸方向に延在する一対の第二のガイドレール60を有する第二の仮受け手段62が配置されている。断面L字状に形成された第二のガイドレール60は、フレーム16を支持可能な程度にY軸方向に間隔をおいて一対配置されており、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されている。
【0029】
図1および
図3を参照して説明すると、第二の仮受け手段62に支持されたフレーム16をX軸方向に移動する第二の搬出入手段64が第二の仮受け手段62に隣接して配置されている。第二の搬出入手段64は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されX軸方向に延びるハウジング66と、X軸方向に移動自在にハウジング66に支持されたX軸可動部材68と、X軸可動部材68をX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示していない。)とを含む。X軸送り手段は、X軸可動部材68に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0030】
図3を参照して第二の搬出入手段64についての説明を続ける。X軸可動部材68はハウジング66に支持された基端からY軸方向に延びており、X軸可動部材68の先端側のX軸方向片側端面(
図3において奥側の端面)には、Z軸方向に間隔をおいて一対の把持片70が装着されている。一対の把持片70は、第二の仮受け手段62に支持されたフレーム16を把持可能な位置に位置づけられている。また、エア駆動式の一対の把持片70は互いの間隔を拡張自在かつ縮小自在に構成されている。
【0031】
そして、第二の搬出入手段64においては、X軸送り手段でX軸可動部材68を移動させることにより、一対の把持片70のX軸方向位置を調整した上で、一対の把持片70の間隔を縮小させることにより、第二の仮受け手段62に支持されたフレーム16を一対の把持片70で把持するようになっている。また、第二の搬出入手段64は、X軸送り手段を作動させることにより、一対の把持片70で把持したフレーム16をX軸方向に移動して、第二の仮受け手段62から下記第三の仮受け手段72にフレーム16を搬入すると共に、第三の仮受け手段72から第二の仮受け手段62にフレーム16を搬出するようになっている。
【0032】
図3および
図5に示すとおり、第二の仮受け手段62のX軸方向片側には、第三の仮受け手段72が配設されている。第三の仮受け手段72は、第二の搬出入手段64によって移動したフレーム16を支持するX軸方向に延在する一対の第三のガイドレール74と、一対の第三のガイドレール74の間隔をY軸方向に広げフレーム16のZ軸方向の通過を許容するガイドレール作動部76とを備える。
【0033】
図5を参照して第三の仮受け手段72の説明を続ける。図示の実施形態では、第三の仮受け手段72の一対の第三のガイドレール74は、Y軸方向に間隔をおいて配置されている。一対の第三のガイドレール74は、X軸方向に延在する側面壁78と、Z軸方向に間隔をおいて側面壁78から突出する上部片80および下部片82とを有する。図示の実施形態の一対の第三のガイドレール74においては、一対の上部片80によってZ軸方向上部の上段ガイドレール部が構成され、一対の下部片82によってZ軸方向下部の下段ガイドレール部が構成されている。以下、上部片だけでなく上段ガイドレール部にも符号80を付して説明し、また、下部片だけでなく下段ガイドレール部にも符号82を付して説明する。そして、一対の第三のガイドレール74においては、第二の搬出入手段64によって移動したフレーム16を、上段ガイドレール部80または下段ガイドレール部82で支持するようになっている。
【0034】
ガイドレール作動部76は、一対の第三のガイドレール74に連結された複数のエアシリンダまたは電動シリンダでよく、一対の第三のガイドレール74でフレーム16を支持可能な支持位置と、この支持位置よりも一対の第三のガイドレール74の間隔が広くフレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置との間で一対の第三のガイドレール74のY軸方向間隔を変更するようになっている。
【0035】
図示していないが、第三の仮受け手段72は、さらに、一対の第三のガイドレール74をZ軸方向に移動させるガイドレール昇降部を備える。Z軸方向に延びる複数のエアシリンダまたは電動シリンダを有する構成でよいガイドレール昇降部は、一対の第三のガイドレール74をZ軸方向に移動させ、第二の仮受け手段62の第二のガイドレール60のフレーム保持面60aと同じ高さに、上段ガイドレール部(上部片)80または下段ガイドレール部(下部片)82を位置づけるようになっている。なお、一対の第三のガイドレール74は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに移動自在に支持されている。
【0036】
図5に示すとおり、第三の仮受け手段72のZ軸方向下部には、第三の仮受け手段72に支持されたフレーム16を支持しZ軸方向に昇降させるフレーム昇降手段84が配設されている。フレーム昇降手段84は、基台86と、基台86の上面からZ軸方向に延びる複数の昇降部88と、複数の昇降部88の上端に連結されフレーム16を支持する環状のフレーム支持部90とを含む。昇降部88はエアシリンダまたは電動シリンダから構成され得る。フレーム支持部90の外周側面には一対の平坦部91が形成されており、フレーム支持部90のY軸方向の幅はフレーム16の幅よりも若干小さい。また、フレーム支持部90の外周縁には、フレーム支持部90にフレーム16を固定するための複数のクランプ92が付設されている。
【0037】
そして、フレーム昇降手段84においては、フレーム支持部90を昇降手段88で上昇させ、一対の第三のガイドレール74に支持されているフレーム16の下面にフレーム支持部90の上面を接触させた後、第三の仮受け手段72のガイドレール作動部76によって、フレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置に一対の第三のガイドレール74が位置づけられると、第三の仮受け手段72に支持されたフレーム16をフレーム支持部90で支持すると共に、複数のクランプ92でフレーム16をフレーム支持部90に固定するようになっている。また、フレーム昇降手段84は、複数の昇降部88を作動させることにより、フレーム支持部90で支持したフレーム16をZ軸方向に昇降させるようになっている。
【0038】
図3に示すとおり、第三の仮受け手段72のZ軸方向上部には、フレーム昇降手段84に支持されたフレーム16が上昇した際にフレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を拡張しウエーハ10を分割予定ライン12に沿って個々のチップに分割する円筒部94を備えた分割手段96が配設され、円筒部94の内部には、チップに分割されたウエーハ10を吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引テーブル98が配設され、フレーム昇降手段84側には、弛んだ粘着テープ18を加熱して収縮させるテープ収縮手段100が配設されている。
【0039】
図3および
図6を参照して分割手段96について説明する。分割手段96の円筒部94は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されている。また、
図6に示すとおり、円筒部94の下端には、環状に配置された複数の円筒状ローラー102が回転自在に付設されている。
【0040】
そして、分割手段96においては、フレーム昇降手段84に支持されたフレーム16が上昇した際に、フレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を円筒部94によって拡張し、ウエーハ10を分割予定ライン12に沿ってデバイス14ごとの個々のチップに分割するようになっている。また、図示の実施形態では、円筒部94の下端に付設された複数のローラー102が粘着テープ18に接触した際、ローラー102が回転することでローラー102と粘着テープ18との摩擦抵抗が小さくなり、粘着テープ18の拡張が滑らかに遂行される。
【0041】
図3および
図6を参照して吸引テーブル98について説明する。吸引テーブル98は、円盤状に形成されており、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されている。
図6に示すとおり、吸引テーブル98の下面には、多孔質の円形状吸着チャック104が配置されており、この吸着チャック104は、吸引テーブル98の上面から上方に延びる円筒状流路部材106を介して吸引手段(図示していない。)に接続されている。また、吸着チャック104の下面は、分割手段96の円筒部94の下端に整合している。そして、吸引テーブル98においては、分割手段96によってウエーハ10が個々のチップに分割された後、吸引手段で吸着チャック104の下面に吸引力を生成することにより、チップに分割されたウエーハ10を吸引保持してチップとチップの間隔をウエーハ10の分割時の間隔に維持するようになっている。
【0042】
図示の実施形態では
図5に示すとおり、テープ収縮手段100は、フレーム昇降手段84の基台86の上面から上方に延びる複数の支柱108と、複数の支柱108の上端に連結された環状のヒーター110とを含む。ヒーター110の上面からは上方に向かって温風が噴出されるようになっており、この温風はヒーター110の上端における温度がたとえば250℃に設定されている。
【0043】
そして、テープ収縮手段100においては、分割手段96によってウエーハ10が個々のチップに分割された後、チップに分割されたウエーハ10が吸引テーブル98によって吸引保持されてチップとチップの間隔が維持された状態で、フレーム昇降手段84に支持されたフレーム16が下降した際に、ヒーター110から温風を噴出することにより、ウエーハ10とフレーム16との間にある弛んだ粘着テープ18を加熱して収縮させるようになっている。
【0044】
図1に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、第二の搬出入手段64によって第三の仮受け手段72から第二の仮受け手段62に搬出され粘着テープ18が収縮したフレーム16を第一の仮受け手段36まで搬送する第二の搬送手段112を備える。
【0045】
図1および
図7を参照して第二の搬送手段112について説明する。第二の搬送手段112は、第一の搬送手段44のハウジング46とX軸方向に間隔をおいて適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されY軸方向に延びるハウジング114と、Y軸方向に移動自在にハウジング114に支持されたY軸可動部材116と、Y軸可動部材116をY軸方向に移動させるY軸送り手段(図示していない。)と、Z軸方向に移動自在にY軸可動部材116に支持されたZ軸可動部材118と、Z軸可動部材118をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。Y軸送り手段は、Y軸可動部材116に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよく、Z軸送り手段は、Z軸可動部材118に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0046】
図7に示すとおり、第二の搬送手段112は、さらに、第二の仮受け手段62に支持されたフレーム16を保持する保持部120を含む。この保持部120は、Z軸可動部材118の下端に連結された基板122と、基板122の下面に設けられた複数の吸引パッド124とを有し、各吸引パッド124は吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0047】
そして、第二の搬送手段112においては、吸引手段を作動させて吸引パッド124に吸引力を生成することにより、第二の搬出入手段64によって第三の仮受け手段72から第二の仮受け手段62に搬出され粘着テープ18が収縮したフレーム16を保持部120の吸引パッド124で吸引保持するようになっている。また、第二の搬送手段112は、Y軸送り手段でY軸可動部材116を移動させると共に、Z軸送り手段でZ軸可動部材118を移動させることにより、保持部120で吸引保持したフレーム16を第二の仮受け手段62から第一の仮受け手段36まで搬送するようになっている。
【0048】
図3に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、さらに、第一の仮受け手段36を挟むようにカセットテーブル4と反対側に配設されウエーハ10を洗浄する洗浄手段126と、第一の仮受け手段36に搬送されたウエーハ10を支持しているフレーム16を洗浄手段126に搬入および搬出する第三の搬出入手段128とを備えるのが好ましい。
【0049】
図示の実施形態では
図3に示すとおり、第三の搬出入手段128は、第一の搬出入手段26のZ軸可動部材32の先端側のX軸方向他側端面(
図3において奥側の端面)に、Z軸方向に間隔をおいて装着された一対の保持片130から構成されている。また、エア駆動式の一対の保持片130は互いの間隔を拡張自在かつ縮小自在に構成されている。
【0050】
そして、第三の搬出入手段128においては、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でX軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させることにより、一対の保持片130のX軸方向位置およびZ軸方向位置を調整した上で、一対の保持片130の間隔を縮小させることにより、第一の仮受け手段36に搬送されたウエーハ10を支持しているフレーム16を一対の保持片130で保持するようになっている。
図3を参照することによって理解されるとおり、一対の保持片130は、第一の搬出入手段26の一対の把持片34よりも大きく、把持片34と比較してフレーム16をより堅固に保持することができる。また、第三の搬出入手段128は、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段を作動させることにより、一対の保持片130で保持したフレーム16を第一の仮受け手段36から洗浄手段126に搬入すると共に、洗浄手段126から第一の仮受け手段36にフレーム16を搬出するようになっている。
【0051】
なお、図示の実施形態の第三の搬出入手段128は、第一の搬出入手段26のハウジング28、X軸可動部材30、X軸送り手段、Z軸可動部材32およびZ軸送り手段を共用しているが、第一の搬出入手段26とは別個のハウジング、X軸可動部材、X軸送り手段、Z軸可動部材およびZ軸送り手段を備えていてもよい。
【0052】
図8を参照して洗浄手段126について説明する。洗浄手段126は、第三の搬出入手段128によって搬入されたフレーム16を保持する保持部132と、保持部132を回転させるモータ134とを含む。保持部132は、適宜のブラケット(図示していない。)を介して回転自在に支持された円盤状の保持板136と、保持板136の下面に配置され吸引手段(図示していない。)に接続された多孔質の円形状吸着チャック138と、保持板136の周縁に付設された複数のクランプ140とを有する。モータ134は保持板136の上方に配置されており、モータ134から下方に延びる回転軸142が保持板136の上面に接続されている。また、保持板136の下方には、保持板136の下面に向かって洗浄水を噴射する洗浄水噴射手段(図示していない。)と、保持板136の下面に向かって乾燥空気を噴射する乾燥空気噴射手段(図示していない。)とが配置されている。
【0053】
そして、洗浄手段126においては、吸引手段を作動させて吸着チャック138に吸引力を生成し、ウエーハ10が下を向いた状態で第三の搬出入手段128によって搬入されたフレーム16に支持されたウエーハ10を粘着テープ18側から吸着チャック138で吸引保持すると共に、複数のクランプ140でフレーム16を保持板136に固定することにより、第三の搬出入手段128からフレーム16を受け取るようになっている。また、洗浄手段126は、モータ134で保持板136を回転させつつ、洗浄水噴射手段から洗浄水を噴射することによりウエーハ10を洗浄することができると共に、保持板136の回転による遠心力でウエーハ10から洗浄水を除去することができる。さらに、洗浄手段126は、乾燥空気噴射手段から乾燥空気を噴射することにより、保持板136の回転による遠心力では除去しきれなかった洗浄水をウエーハ10から除去してウエーハ10を乾燥させることができる。
【0054】
図示の実施形態では
図3に示すとおり、ウエーハ分割装置2は、さらに、第一の仮受け手段36の直下に配設され、少なくともウエーハ10の大きさに対応する大きさの透明板を備えた透明テーブル144と、透明テーブル144の上部に配設され第三の搬出入手段128によって第一の仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を保持する保持部を備え180度回転してフレーム16の表裏を反転させ透明テーブル144にフレーム16を載置する第二の反転手段146と、第二の反転手段146を透明テーブル144から第一の仮受け手段36まで昇降させる昇降手段148と、第二の反転手段146によって表裏が反転しウエーハ10が上を向いたフレーム16を載置した透明テーブル144を第一の仮受け手段36の直下から第二の仮受け手段62の方向に移動するテーブル移動手段150とを備える。
【0055】
図9を参照して透明テーブル144について説明する。透明テーブル144は矩形板状に形成されており、X軸方向に間隔を置いてY軸方向に延びる一対の案内レール152上にY軸方向に移動自在に搭載されている。透明テーブル144の中央部分には、ウエーハ10の大きさよりも若干大きい円形状の透明板154(たとえばガラス板)が配置されている。また、透明テーブル144には、吸引手段(図示していない。)に接続された複数のフレーム吸引孔156が形成されており、複数のフレーム吸引孔156は透明板154の周囲に配置されている。そして、透明テーブル144においては、吸引手段でフレーム吸引孔156に吸引力を生成することにより、透明テーブル144の上面に載せられたフレーム16を吸引保持するようになっている。なお、透明テーブル144のうち透明板154以外の部分は透明でない。
【0056】
図9に示すとおり、テーブル移動手段150は、ナット部158aが透明テーブル144に連結されY軸方向に延びるボールねじ158と、ボールねじ158を回転させるモータ160とを有する。そして、テーブル移動手段150においては、ボールねじ158によりモータ160の回転運動を直線運動に変換して透明テーブル144に伝達し、第一の仮受け手段36の直下から第二の仮受け手段62の方向(Y軸方向)に一対の案内レール152に沿って透明テーブル144を移動するようになっている。
【0057】
図10を参照して昇降手段148について説明する。昇降手段148は、Z軸方向に延びるハウジング162と、Z軸方向に移動自在にハウジング162に支持されたZ軸可動部材164と、Z軸可動部材164をZ軸方向に昇降させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。Z軸送り手段は、Z軸可動部材164に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0058】
図3および
図10に示すとおり、第二の反転手段146は、昇降手段148のZ軸可動部材164の先端に装着された回転軸支持部材166と、回転軸支持部材166に回転自在に支持されX軸方向に延びる回転軸168と、X軸方向に延びる軸線を中心として回転軸168を回転させるモータ(図示していない。)と、透明テーブル144の上部に配設され第三の搬出入手段128によって第一の仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を保持する保持部170とを含む。
【0059】
図10を参照して第二の反転手段146についての説明を続ける。第二の反転手段146の保持部170は、回転軸168の先端に連結された基板172と、基板172の一方の面に設けられた複数の吸引パッド174と、基板172の他方の面に設けられた複数の吸引パッド176とを有し、各吸引パッド174、176は吸引手段(図示していない。)に接続されている。図示の実施形態の第二の反転手段146の保持部170においては、基板172の一方の面に設けられた複数の吸引パッド174によって一方の保持部が構成され、基板172の他方の面に設けられた複数の吸引パッド176によって他方の保持部が構成されている。以下、基板172の一方の面の吸引パッドだけでなく一方の保持部にも符号174を付して説明し、また、基板172の他方の面の吸引パッドだけでなく他方の保持部にも符号176を付して説明する。
【0060】
そして、第二の反転手段146においては、吸引手段を作動させて一方の保持部174または他方の保持部176に吸引力を生成することにより、第三の搬出入手段128によって第一の仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を一方の保持部174または他方の保持部176で吸引保持するようになっている。
【0061】
また、昇降手段148は、Z軸送り手段でZ軸可動部材164を昇降させることにより、第二の反転手段146を透明テーブル144から第一の仮受け手段36まで昇降させるようになっている。
【0062】
図1および
図3に示すとおり、第二の仮受け手段62の下方には、テーブル移動手段150によって移動した透明テーブル144に載置されたフレーム16に支持されたウエーハ10を覆い、不活性ガスを供給するチャンバー178が配設されている。
【0063】
チャンバー178は、円形天面壁180と、天面壁180の周縁から垂下する円筒状のスカート壁182と、天面壁180の上面中央部分から上方に延びる円筒状の不活性ガス供給部184とを有する。天面壁180の周縁側部分には複数の大気開放孔186が形成され、不活性ガス供給部184は不活性ガス供給手段(図示していない。)に接続されている。また、チャンバー178は適宜のブラケット(図示していない。)に昇降自在に支持されており、チャンバー178を昇降させるチャンバー昇降手段(図示していない。)がチャンバー178に接続されている。チャンバー昇降手段は、天面壁180に連結されたエアシリンダまたは電動シリンダから構成され得る。
【0064】
そして、チャンバー178においては、テーブル移動手段150によって透明テーブル144がチャンバー178の下方に移動すると、チャンバー昇降手段によって下降し、透明テーブル144に載置されたフレーム16に支持されたウエーハ10を天面壁180およびスカート壁182によって覆うようになっている。また、チャンバー178は、ウエーハ10を覆った後、不活性ガス供給手段を作動させて、チャンバー178内に不活性ガス(たとえば窒素(N2)ガス)を供給することによって、大気開放孔186からチャンバー178内の酸素(O2)を排出するようになっている。
【0065】
図1および
図3に示すとおり、チャンバー178の下方には、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線を照射する紫外線照射手段188が配設されている。紫外線照射手段188は、筐体190と、筐体190の上面に配置された円形状の透明板192(たとえばガラス板)と、透明板192の下方に配置され紫外線を照射する紫外線光源(図示していない。)とを含む。透明板192の大きさは、ウエーハ10の大きさよりも若干大きい。
【0066】
そして、紫外線照射手段188においては、透明テーブル144に載置されたフレーム16に支持されたウエーハ10がチャンバー178によって覆われ、次いでチャンバー178内に不活性ガスが供給された後、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線光源から紫外線を照射し、粘着テープ18の粘着力を低下させるようになっている。これによって粘着テープ18からチップをピックアップする工程において、円滑にチップをピックアップすることができる。また、図示の実施形態では、チャンバー178内に不活性ガスが供給され、チャンバー178内から酸素が排出されるので、粘着テープ18の粘着層と酸素との反応による粘着層の粘着性が維持されやすくなることを抑制し、効果的に粘着テープ18の粘着力を低下させることができる。
【0067】
次に、上述したとおりのウエーハ分割装置2を用いて、粘着テープ18に貼着されフレーム16の開口部16aに支持されたウエーハ10を分割予定ライン12に沿って個々のデバイス14ごとのチップに分割するウエーハ分割方法について説明する。
【0068】
ウエーハ分割装置2を用いるウエーハ分割方法では、まず、粘着テープ18に貼着されフレーム16の開口部16aに支持されたウエーハ10を複数収容したカセット8をカセットテーブル4に載置するカセット載置工程を実施する。カセット8内では、ウエーハ10の表面10aが上を向いており、ウエーハ10が上側に位置し、粘着テープ18が下側に位置している。また、上述したとおり、カセット8内のウエーハ10には、強度が低下した分割起点としての改質層が分割予定ライン12に沿って形成されている。
【0069】
カセット載置工程を実施した後、カセットテーブル4に載置されたカセット8からフレーム16を第一の搬出入手段26の一対の把持片34で把持して第一の仮受け手段36に搬入する第一の搬入工程を実施する。
【0070】
第一の搬入工程では、まず、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でX軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させ、カセット8内の任意のフレーム16の端部に一対の把持片34を位置づける。次いで、一対の把持片34でフレーム16の端部を把持した後、第一の搬出入手段26のX軸送り手段でフレーム16をX軸方向に移動して、カセットテーブル4に載置されたカセット8から第一の仮受け手段36にフレーム16を搬入する。そして、一対の把持片34によるフレーム16の把持を解除して、第一の仮受け手段36にフレーム16を支持させる。なお、第一の搬入工程の際、一対の第一のガイドレール38はフレーム16を支持可能な支持位置に位置づけられている。また、第一の仮受け手段36にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が上側、粘着テープ18が下側に位置している。
【0071】
第一の搬入工程を実施した後、第一の仮受け手段36に支持されたフレーム16を第一の反転手段42の保持部54で保持すると共にX軸方向の回転軸52を180度回転してフレーム16の表裏を反転させる第一の反転工程を実施する。
【0072】
第一の反転工程では、まず、第一の搬送手段44のY軸送り手段およびZ軸送り手段でY軸可動部材48およびZ軸可動部材50を移動させ、第一の反転手段42の吸引パッド58を上に向けた保持部54を、第一の仮受け手段36の下方に位置づける。次いで、前記した第一の搬入工程を実施し、その後、第一の搬送手段44のZ軸送り手段で保持部54を上昇させ、吸引パッド58をフレーム16に密着させる。次いで、吸引パッド58に接続された吸引手段を作動させて吸引パッド58に吸引力を生成し、吸引パッド58でフレーム16を吸引保持する。次いで、第一の搬送手段44のZ軸送り手段で保持部54を更に上昇させ、吸引パッド58で吸引保持したフレーム16を第一の仮受け手段36から上方に離間させる。そして、第一の反転手段42のモータで回転軸52を180度回転させ、吸引パッド58で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが下を向くことになり、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置する。
【0073】
第一の反転工程を実施した後、第一の反転手段42を第一の搬送手段44でY軸方向に移動させ、第一の反転手段42の保持部54で保持したフレーム16を第二の仮受け手段62に搬送して支持させる第一の搬送工程を実施する。
【0074】
第一の搬送工程では、まず、第一の搬送手段44のY軸送り手段で第一の反転手段42をY軸方向に移動して、第一の反転手段42の保持部54を第二の仮受け手段62の上方に搬送する。次いで、第一の搬送手段44のZ軸送り手段で保持部54を下降させ、保持部54の吸引パッド58で吸引保持したフレーム16を第二の仮受け手段62の第二のガイドレール60のフレーム保持面60aに接触させる。次いで、吸引パッド58に接続された吸引手段の作動を停止させて吸引パッド58の吸引力を解除し、第二の仮受け手段62にフレーム16を支持させる。なお、第二の仮受け手段62にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0075】
第一の搬送工程を実施した後、第二の仮受け手段62に支持されたフレーム16を第二の搬出入手段64の一対の把持片70で把持しX軸方向に移動して、第二の仮受け手段62から第三の仮受け手段72にフレーム16を搬入する第二の搬入工程を実施する。
【0076】
第二の搬入工程では、まず、第二の搬出入手段64のX軸送り手段でX軸可動部材68を移動させ、第二の仮受け手段62に支持されたフレーム16の端部に一対の把持片70を位置づける。次いで、一対の把持片70でフレーム16の端部を把持した後、第二の搬出入手段64のX軸送り手段でフレーム16をX軸方向に移動して、第二の仮受け手段62から第三の仮受け手段72の上段ガイドレール部80または下段ガイドレール部82にフレーム16を搬入する。そして、一対の把持片70によるフレーム16の把持を解除して、上段ガイドレール部80または下段ガイドレール部82にフレーム16を支持させる。なお、第二の搬入工程の際、上段ガイドレール部80または下段ガイドレール部82は、フレーム16を支持可能な支持位置に位置づけられていると共に、第二の仮受け手段62の第二のガイドレール60の保持面60aと同じ高さに位置づけられている。また、第三の仮受け手段72にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0077】
第二の搬入工程を実施した後、第三の仮受け手段72に支持されたフレーム16をフレーム昇降手段84で支持しZ軸方向に上昇させ、フレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を分割手段96の円筒部94で拡張しウエーハ10を分割予定ライン12に沿ってデバイス14ごとの個々のチップに分割する分割工程を実施する。
【0078】
分割工程では、まず、第三の仮受け手段72のガイドレール作動部76で一対の第三のガイドレール74の間隔を広げると共に、フレーム支持部90を上昇させて、第三の仮受け手段72からフレーム昇降手段84のフレーム支持部90にフレーム16を受け渡す。次いで、
図11に示すとおり、複数のクランプ92でフレーム16をフレーム支持部90に固定する。次いで、フレーム昇降手段84の昇降部88を作動させ、フレーム支持部90に固定されたフレーム16をZ軸方向に上昇させることにより、
図12に示すとおり、フレーム16とウエーハ10との間にある粘着テープ18を分割手段96の円筒部94で拡張しウエーハ10を分割予定ライン12に沿ってデバイス14ごとの個々のチップに分割する。図示の実施形態では
図11および
図12に示すとおり、分割工程では、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。このように、粘着テープ18に貼着されたウエーハ10が下を向いた状態でウエーハ10に外力を付与して個々のチップに分割することで、ウエーハ10を個々のチップに分割する際に飛散する粉塵がチップの表面に付着することがなく、チップの品質の低下を防止することができる。
【0079】
分割工程を実施した後、デバイス14ごとのチップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル98で吸引保持してチップとチップの間隔を維持する吸引工程を実施する。
【0080】
吸引工程では、吸引テーブル98の吸着チャック104の下面に吸引力を生成し、デバイス14ごとのチップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル98で吸引保持する。これによってチップとチップの間隔を、ウエーハ10をチップに分割した時の間隔に維持することができる。
【0081】
吸引工程を実施した後、チップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル98で吸引保持した状態のまま、チップに分割されたウエーハ10とフレーム16との間にある弛んだ粘着テープ18をテープ収縮手段100で加熱して収縮させるテープ収縮工程を実施する。
【0082】
テープ収縮工程では、まず、フレーム昇降手段84の昇降部88でフレーム支持部90を下降させ、
図13に示すとおり、チップに分割されたウエーハ10の高さにフレーム16の高さを整合させる。この際、チップに分割されたウエーハ10を吸引テーブル98で吸引保持した状態を継続し、チップとチップの間隔をウエーハ10の分割時の間隔に維持する。次いで、テープ収縮手段100のヒーター110の上面から上方に向かって温風を噴出させ、チップに分割されたウエーハ10とフレーム16との間にある弛んだ粘着テープ18を加熱して収縮させる。これによって、
図14に示すとおり、吸引テーブル98の吸引力を解除しても、チップとチップの間隔がウエーハ10の分割時の間隔に維持される。
【0083】
テープ収縮工程を実施した後、粘着テープ18が収縮したフレーム16をフレーム昇降手段84から第二の仮受け手段62に搬出する第一の搬出工程を実施する。
【0084】
第一の搬出工程では、まず、第三の仮受け手段72のガイドレール昇降部で一対の第三のガイドレール74を昇降させ、上段ガイドレール部80の高さをフレーム16の高さに整合させる。次いで、複数のクランプ92によるフレーム16の固定を解除する。次いで、ガイドレール作動部76で一対の第三のガイドレール74の間隔を通過位置から支持位置に狭めることにより、フレーム昇降手段84のフレーム支持部90から第三の仮受け手段72の上段ガイドレール部80にフレーム16を受け渡す。
【0085】
次いで、第二の搬出入手段64のX軸送り手段でX軸可動部材68を移動させ、第三の仮受け手段72に支持されたフレーム16の端部に一対の把持片70を位置づける。次いで、一対の把持片70でフレーム16の端部を把持した後、第二の搬出入手段64のX軸送り手段でフレーム16をX軸方向に移動して、第三の仮受け手段72から第二の仮受け手段62にフレーム16を搬出する。そして、一対の把持片70によるフレーム16の把持を解除して、第二の仮受け手段62にフレーム16を支持させる。なお、第二の仮受け手段62にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0086】
なお、第二の仮受け手段62から第三の仮受け手段72にフレーム16を搬入する上述の第二の搬入工程において、第二の仮受け手段62に位置づけられチップに分割される前のウエーハ10を支持しているフレーム16を、第二の搬出入手段64によって第二の仮受け手段62から第三の仮受け手段72の上段ガイドレール部80に搬入すると共に、上段ガイドレール部80に支持されたフレーム16をフレーム昇降手段84によって上昇させ分割手段96によってウエーハ10をチップに分割した後、上述の第一の搬出工程において、チップに分割されたウエーハ10を支持しているフレーム16を下段ガイドレール部82に支持させるようにしてもよい。また、第二の仮受け手段62に位置づけられチップに分割される前の次のウエーハ10(次に分割工程が実施されるウエーハ10)を支持しているフレーム16を第二の搬出入手段64によって第二の仮受け手段62から第三の仮受け手段72の下段ガイドレール部82に搬入すると共に、上段ガイドレール部80に支持されチップに分割されたウエーハ10を支持しているフレーム16を第二の搬出入手段64によって第二の仮受け手段62に搬出するようにしてもよい。
【0087】
詳述すると、チップに分割されたウエーハ10を支持しているフレーム16を上段ガイドレール部80に支持させると共に、第二の仮受け手段62に位置づけられた分割前の次のウエーハ10を支持しているフレーム16を一対の把持片70で把持して、第二の仮受け手段62の第二のガイドレール60の保持面60aと同じ高さに位置づけられている第三の仮受け手段72の下段ガイドレール部82に搬入する。次いで、第三の仮受け手段72のガイドレール昇降部で一対の第三のガイドレール74を下降させ、第二の仮受け手段62の第二のガイドレール60のフレーム保持面60aに上段ガイドレール部80を整合させる。そして、下段ガイドレール部82に支持された分割後のウエーハ10を支持しているフレーム16を一対の把持片70で把持して、第三の仮受け手段72の下段ガイドレール部82から第二の仮受け手段62に搬出する。このようにすることで、一対の把持片70がフレーム16を把持していない状態で、第二の搬出入手段64のX軸可動部材68が移動することがなく、生産性の向上を図ることができる。
【0088】
第一の搬出工程を実施した後、第二の搬出入手段64によって第三の仮受け手段72から第二の仮受け手段62に搬出され粘着テープ18が収縮したフレーム16(分割後のウエーハ10を支持しているフレーム16)を第一の仮受け手段36まで第二の搬送手段112によって搬送する第二の搬送工程を実施する。
【0089】
第二の搬送工程では、まず、第二の搬送手段112のY軸送り手段でY軸可動部材116を移動させ、第二の仮受け手段62に支持されたフレーム16の上方に第二の搬送手段112の保持部120を位置づける。次いで、第二の搬送手段112のZ軸送り手段で保持部120を下降させ、吸引パッド124をフレーム16に密着させると共に、吸引パッド124でフレーム16を吸引保持する。次いで、第二の搬送手段112のZ軸送り手段で保持部120を上昇させ、吸引パッド124で吸引保持したフレーム16を第二の仮受け手段62から上方に離間させる。
【0090】
次いで、第二の搬送手段112のY軸送り手段で保持部120を第一の仮受け手段36の上方に位置づける。次いで、第二の搬送手段112のZ軸送り手段で保持部120を下降させ、吸引パッド124で吸引保持したフレーム16を第一の仮受け手段36に接触させる。次いで、吸引パッド124の吸引力を解除し、第一の仮受け手段36にフレーム16を支持させる。なお、第一の仮受け手段36にフレーム16が支持された際、チップに分割されたウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0091】
図示の実施形態では、第二の搬送工程を実施した後、第一の仮受け手段36に搬送されたウエーハ10を支持しているフレーム16を洗浄手段126に搬入する第三の搬入工程を実施する。なお、洗浄手段126によるウエーハ10の洗浄を省略する場合には、第二の搬送工程を実施した後、第一の仮受け手段36に搬送されたフレーム16を第一の搬出入手段26でカセット8に搬出するようにしてもよい。
【0092】
第三の搬入工程では、まず、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でX軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させ、第一の仮受け手段36に搬送されたフレーム16を保持可能な位置に第三の搬出入手段128の一対の保持片130を位置づける。次いで、一対の保持片130でフレーム16を保持した後、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でフレーム16をX軸方向およびZ軸方向に移動して、第一の仮受け手段36から洗浄手段126の保持部132の下面にフレーム16を搬入する。この際、保持部132の吸着チャック138の下面に、チップに分割されたウエーハ10を位置づける。次いで、吸着チャック138で粘着テープ18側からウエーハ10を吸引保持すると共に、複数のクランプ140でフレーム16を保持板136に固定する。そして、一対の保持片130によるフレーム16の保持を解除し、保持部132にウエーハ10およびフレーム16を保持させる。なお、保持部132にウエーハ10およびフレーム16が保持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0093】
第三の搬入工程を実施した後、チップに分割されたウエーハ10を洗浄する洗浄工程を実施する。
【0094】
洗浄工程では、まず、モータ134で保持板136を回転させつつ、チップに分割されたウエーハ10に向かって洗浄水噴射手段から洗浄水を噴射する。これによって、ウエーハ10を洗浄することができると共に、保持板136の回転による遠心力でウエーハ10から洗浄水を除去することができる。次いで、モータ134で保持板136を回転させつつ、ウエーハ10に向かって乾燥空気噴射手段から乾燥空気を噴射することにより、保持板136の回転による遠心力では除去しきれなかった洗浄水をウエーハ10から除去してウエーハ10を乾燥させることができる。このような洗浄工程はウエーハ10を下に向けた状態で実施するため、洗浄工程の際に生じる汚れがチップに残留することがない。
【0095】
洗浄工程を実施した後、洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を洗浄手段126から第一の仮受け手段36に搬出する第二の搬出工程を実施する。
【0096】
第二の搬出工程では、まず、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でX軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させ、洗浄手段126の保持部132に保持されているフレーム16を保持可能な位置に第三の搬出入手段128の一対の保持片130を位置づける。次いで、一対の保持片130でフレーム16を保持する。次いで、洗浄手段126の保持部132の吸着チャック138の吸引力を解除すると共に、複数のクランプ140によるフレーム16の固定を解除し、第三の搬出入手段128にフレーム16を受け渡す。次いで、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でフレーム16をX軸方向およびZ軸方向に移動して、洗浄手段126から第一の仮受け手段36にフレーム16を搬出する。そして、一対の保持片130によるフレーム16の保持を解除して、第一の仮受け手段36にフレーム16を支持させる。なお、第一の仮受け手段36にフレーム16が支持された際、ウエーハ10が下側、粘着テープ18が上側に位置している。
【0097】
第二の搬出工程を実施した後、第三の搬出入手段128によって第一の仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16を第二の反転手段146の保持部170で保持すると共に、X軸方向の回転軸168を180度回転してフレーム16の表裏を反転させ透明テーブル144にフレーム16を載置する第二の反転工程を実施する。
【0098】
第二の反転工程では、まず、第一の仮受け手段36の下方に位置する第二の反転手段146を昇降手段148で上昇させ、第一の仮受け手段36に搬出された洗浄済みのウエーハ10を支持しているフレーム16に一方の保持部174または他方の保持部176を密着させると共に、一方の保持部174または他方の保持部176でフレーム16を吸引保持する。次いで、第一の仮受け手段36のガイドレール開閉部40で、フレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置まで一対の第一のガイドレール38の間隔を広げ、第一の仮受け手段36から第二の反転手段146にフレーム16を受け渡す。次いで、第二の反転手段146のモータで回転軸168を180度回転させ、一方の保持部174または他方の保持部176で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが上を向くことになり、ウエーハ10が上側に位置し、粘着テープ18が下側に位置することになる。次いで、第二の反転手段146を昇降手段148で下降させ、第一の仮受け手段36の直下に位置している透明テーブル144の上面にフレーム16を接触させる。この際、チップに分割されたウエーハ10は透明テーブル144の透明板154の上方に位置する。次いで、一方の保持部174または他方の保持部176の吸引力を解除し、透明テーブル144にフレーム16を載置する。そして、透明テーブル144のフレーム吸引孔156に吸引力を生成し、透明テーブル144の上面でフレーム16を吸引保持する。
【0099】
第二の反転工程を実施した後、第二の反転手段146によって表裏が反転しウエーハ10が上を向いたフレーム16を載置した透明テーブル144を第一の仮受け手段36の直下から第二の仮受け手段62の方向にテーブル移動手段150によって移動させ、チャンバー178の下方かつ紫外線照射手段188の上方に位置づける第一のテーブル移動工程を実施する。
【0100】
第一のテーブル移動工程を実施した後、テーブル移動手段150によって移動した透明テーブル144に載置されたフレーム16に支持されたウエーハ10をチャンバー178で覆いチャンバー178内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程を実施する。
【0101】
不活性ガス供給工程では、まず、チャンバー昇降手段でチャンバー178を下降させ、
図15に示すとおり、チャンバー178のスカート壁182の下端を透明テーブル144の上面に接触させる。これによって、透明テーブル144に載置されたフレーム16に支持されたウエーハ10を天面壁180およびスカート壁182で覆うことができる。次いで、不活性ガス供給手段を作動させ、チャンバー178内に不活性ガス(たとえば窒素(N
2)ガス)を供給し、大気開放孔186からチャンバー178内の酸素(O
2)を排出する。
【0102】
不活性ガス供給工程を実施した後、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線を照射する紫外線照射工程を実施する。
【0103】
紫外線照射工程では、フレーム16に貼着された粘着テープ18に紫外線照射手段188の紫外線光源から紫外線を照射し、粘着テープ18の粘着力を低下させる。これによって、粘着テープ18からチップをピックアップする工程において、円滑にチップをピックアップすることができる。また、図示の実施形態では、チャンバー178内に不活性ガスを供給し、チャンバー178内から酸素を排出しているので、粘着テープ18の粘着層と酸素との反応による粘着層の粘着性が維持されやすくなることを抑制し、効果的に粘着テープ18の粘着力を低下させることができる。そして、粘着テープ18の粘着力を低下させた後、チャンバー178内への不活性ガスの供給を停止すると共に、チャンバー昇降手段でチャンバー178を上昇させる。
【0104】
紫外線照射工程を実施した後、紫外線照射手段188によって粘着テープ18に紫外線が照射されウエーハ10が上を向いたフレーム16を載置した透明テーブル144をテーブル移動手段150によって第一の仮受け手段36の直下に位置づける第二のテーブル移動工程を実施する。
【0105】
第二のテーブル移動工程を実施した後、透明テーブル144に載置されたフレーム16を第二の反転手段146の保持部170で保持すると共にX軸方向の回転軸168を180度回転して、保持部170で保持したフレーム16を第一の反転手段42に保持させる第三の反転工程を実施する。
【0106】
第三の反転工程では、まず、第二の反転手段146を昇降手段148で下降させ、透明テーブル144に載置されたフレーム16に第二の反転手段146の一方の保持部174または他方の保持部176を密着させると共に、一方の保持部174または他方の保持部176でフレーム16を吸引保持する。次いで、透明テーブル144のフレーム吸引孔156の吸引力を解除する。次いで、第二の反転手段146の保持部170が180度回転可能な程度に、第二の反転手段146を昇降手段148で上昇させる。次いで、第二の反転手段146のモータで回転軸168を180度回転させ、一方の保持部174または他方の保持部176で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが下を向くことになり、ウエーハ10が下側に位置し、粘着テープ18が上側に位置することになる。
【0107】
次いで、ウエーハ10を保持している第二の反転手段146の上方に第一の搬送手段44のY軸送り手段で第一の反転手段42を位置づけると共に、第一の反転手段42の吸引パッド58を下に向ける。次いで、第一の搬送手段44のZ軸送り手段で第一の反転手段42を下降させ、第二の反転手段146に保持されたフレーム16に第一の反転手段42の吸引パッド58を密着させると共に、吸引パッド58でフレーム16を吸引保持する。第一の反転手段42が下降する際、第一の仮受け手段36の第一のガイドレール38はガイドレール開閉部40によって、フレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置に位置づけられており、第一の反転手段42は一対の第一のガイドレール38間を通過する。そして、第二の反転手段146の一方の保持部174または他方の保持部176の吸引力を解除し、第一の反転手段42にフレーム16を保持させる。
【0108】
なお、上述の第三の反転工程において、紫外線照射手段188によって粘着テープ18に紫外線が照射されウエーハ10が上を向いたフレーム16を載置した透明テーブル144がテーブル移動手段150によって第一の仮受け手段36の直下に位置づけられた際、透明テーブル144に載置されたフレーム16(紫外線照射工程が実施されたウエーハ10を支持しているフレーム16)を第二の反転手段146の一方の保持部174で保持すると共に、第一の仮受け手段36に支持された洗浄済みのウエーハ10を支持している次のフレーム16(次に紫外線照射工程が実施されるウエーハ10を支持しているフレーム16)を第二の反転手段146の他方の保持部176で保持し、X軸方向の回転軸168を180度回転して一方の保持部174で保持したフレーム16を第一の反転手段42に保持させ、他方の保持部176で保持した次のフレーム16を透明テーブル144に載置するようにしてもよい。
【0109】
詳述すると、まず、第二の反転手段146の他方の保持部176を上に向け、第二の反転手段146を昇降手段148で上昇させ、第一の仮受け手段36に支持された洗浄済みのウエーハ10を支持している次のフレーム16に他方の保持部176を密着させると共に、他方の保持部176で次のフレーム16を吸引保持する。次いで、第一の仮受け手段36のガイドレール開閉部40で、フレーム16のZ軸方向の通過を許容する許容位置まで一対の第一のガイドレール38の間隔を広げ、第一の仮受け手段36から第二の反転手段146にフレーム16を受け渡す。次いで、第二の反転手段146を昇降手段148で下降させ、透明テーブル144に載置されたフレーム16に第二の反転手段146の一方の保持部174を密着させると共に、一方の保持部174でフレーム16を吸引保持する。次いで、第二の反転手段146の保持部170が180度回転可能な程度に、昇降手段148で第二の反転手段146を上昇させる。
【0110】
次いで、第二の反転手段146のモータで回転軸168を180度回転させ、一方の保持部174で吸引保持したフレーム16を上側に位置づけると共に、他方の保持部176で吸引保持したフレーム16を下側に位置づける。次いで、第二の反転手段146を昇降手段148で下降させ、第一の仮受け手段36の直下に位置している透明テーブル144の上面に他方の保持部176で吸引保持したフレーム16を接触させる。次いで、一方の保持部174の吸引力を解除し、透明テーブル144にフレーム16を載置する。
【0111】
次いで、第一の搬送手段44のZ軸送り手段で第一の反転手段42を下降させ、第二の反転手段146の一方の保持部174に吸引保持されたフレーム16に第一の反転手段42の吸引パッド58を密着させると共に、吸引パッド58でフレーム16を吸引保持する。そして、第二の反転手段146の一方の保持部174の吸引力を解除し、第一の反転手段42にフレーム16を保持させる。このようにすることで、紫外線照射工程が実施されたウエーハ10を支持しているフレーム16についての第三の反転工程と、次に紫外線照射工程が実施されるウエーハ10を支持しているフレーム16についての第二の反転工程とを効率よく実施することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0112】
第三の反転工程を実施した後、第一の反転手段42で保持したフレーム16をX軸方向の回転軸52で180度回転して第一の仮受け手段36に支持させる第四の反転工程を実施する。
【0113】
第四の反転工程では、まず、第一の反転手段42のモータで回転軸52を180度回転させ、吸引パッド58で吸引保持したフレーム16の表裏を反転させる。これによって、ウエーハ10の表面10aが上を向くことになり、ウエーハ10が上側に位置し、粘着テープ18が下側に位置する。次いで、第一の搬送手段44のZ軸送り手段で第一の反転手段42を上昇させ、許容位置に位置づけられている一対の第一のガイドレール38間を通過させ、第一の反転手段42で保持したフレーム16を第一の仮受け手段36の上方に位置づける。次いで、ガイドレール開閉部40で一対の第一のガイドレール38を支持位置に位置づける。次いで、第一の搬送手段44のZ軸送り手段で第一の反転手段42を下降させ、第一の反転手段42で保持したフレーム16を一対の第一のガイドレール38に接触させる。そして、吸引パッド58の吸引力を解除し、第一の仮受け手段36にフレーム16を支持させる。
【0114】
第四の反転工程を実施した後、第一の仮受け手段36に支持されたフレーム16をカセット8に搬出する第三の搬出工程を実施する。
【0115】
第三の搬入工程では、まず、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でX軸可動部材30およびZ軸可動部材32を移動させ、第一の仮受け手段36で支持したフレーム16の端部(カセット8から遠い方のX軸方向端部)に一対の把持片34を位置づける。次いで、一対の把持片34でフレーム16の端部を把持した後、第一の搬出入手段26のX軸送り手段およびZ軸送り手段でフレーム16をX軸方向およびZ軸方向に移動して、第一の仮受け手段36からカセット8にフレーム16を搬出して収納する。そして、一対の把持片34によるフレーム16の把持を解除し、カセット8にフレーム16を支持させる。なお、カセット8にフレーム16が収納された際、ウエーハ10が上側、粘着テープ18が下側に位置している。
【0116】
以上のとおりであり、図示の実施形態のウエーハ分割装置2においては、粘着テープ18に貼着されたウエーハ10が下を向いた状態でウエーハ10に外力を付与して個々のチップに分割するので、ウエーハ10を個々のチップに分割する際に飛散する粉塵がチップの表面に付着することがなく、チップの品質の低下を防止することができる。
【0117】
なお、ウエーハ分割装置2には、さらに、第二の仮受け手段62を二等分するY軸を対称軸として、第二の搬出入手段64と同じ構成を有する鏡構造の第二の搬出入手段と、第三の仮受け手段72と同じ構成を有する鏡構造の第三の仮受け手段と、フレーム昇降手段84と同じ構成を有する鏡構造のフレーム昇降手段と、分割手段96と同じ構成を有する鏡構造の分割手段と、吸引テーブル98と同じ構成を有する鏡構造の吸引テーブルと、テープ収縮手段100と同じ構成を有する鏡構造のテープ収縮手段とが配設されていてもよい。これによって、第二の仮受け手段62から鏡構造の第三の仮受け手段にフレーム16を搬入する第二の搬入工程と、分割工程と、吸引工程と、テープ収縮工程と、粘着テープ18が収縮したフレーム16を鏡構造のフレーム昇降手段から第二の仮受け手段62に搬出する第一の搬出工程とを、鏡構造の第二の搬出入手段と、鏡構造の第三の仮受け手段と、鏡構造のフレーム昇降手段と、鏡構造の分割手段と、鏡構造の吸引テーブルと、鏡構造のテープ収縮手段とで実施することができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0118】
なお、図示の実施形態のウエーハ分割装置2においては、第一・第二の反転手段42、146および第一・第二の搬送手段44、112を有する例を説明したが、ウエーハ分割装置2は第一の反転手段42および第一の搬送手段44を含んでいなくてもよい。すなわち、第一の反転工程を第二の反転手段146によって実施すると共に、第一の搬送工程を第二の搬送手段112によって実施するようにしてもよい。具体的には、第一の反転工程を実施する際、第一の仮受け手段36に支持されたフレーム16を第二の反転手段146の保持部170で保持すると共にX軸方向の回転軸168を180度回転してフレーム16の表裏を反転させ、また、第一の搬送工程を実施する際、第二の反転手段146の保持部170から第二の搬送手段112の保持部120によってフレーム16を受け取り、保持部120で保持したフレーム16を第二の仮受け手段62に搬送して支持させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
2:ウエーハ分割装置
4:カセットテーブル
8:カセット
10:ウエーハ
10a:ウエーハの表面
10b:ウエーハの裏面
12:分割予定ライン
16:フレーム
16a:フレームの開口部
18:粘着テープ
26:第一の搬出入手段
36:第一の仮受け手段
38:第一のガイドレール(第一の仮受け手段)
40:ガイドレール開閉部(第一の仮受け手段)
42:第一の反転手段
44:第一の搬送手段
52:回転軸(第一の反転手段)
54:保持部(第一の反転手段)
60:第二のガイドレール(第二の仮受け手段)
62:第二の仮受け手段
64:第二の搬出入手段
72:第三の仮受け手段
74:第三のガイドレール(第三の仮受け手段)
76:ガイドレール作動部(第三の仮受け手段)
80:上部片(第三のガイドレールの上段ガイドレール部)
82:下部片(第三のガイドレールの下段ガイドレール部)
84:フレーム昇降手段
94:円筒部
96:分割手段
98:吸引テーブル
100:テープ収縮手段
112:第二の搬送手段
126:洗浄手段
128:第三の搬出入手段
144:透明テーブル
146:第二の反転手段
148:昇降手段
150:テーブル移動手段
154:透明板(透明テーブル)
170:保持部(第二の反転手段)
174:吸引パッド(第二の反転手段の一方の保持部)
176:吸引パッド(第二の反転手段の他方の保持部)
178:チャンバー
188:紫外線照射手段