(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】レーザー加工装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/035 20140101AFI20230926BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20230926BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20230926BHJP
B23K 26/067 20060101ALI20230926BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
B23K26/035
B23K26/00 M
B23K26/064 Z
B23K26/067
H01L21/78 B
(21)【出願番号】P 2019220511
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】一宮 佑希
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176223(JP,A)
【文献】特開2018-152494(JP,A)
【文献】特開2017-064745(JP,A)
【文献】特開2017-069340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/035
B23K 26/00
B23K 26/064
B23K 26/067
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向、及び該X軸方向に直交するY軸方向で規定される被加工物を保持する保持面を備えた保持手段と、該保持面に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該保持面に保持された被加工物で反射した光を撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した画像を表示する表示手段と、を備え、該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振する発振器と、該レーザー光線を反射して該X軸方向及び該Y軸方向に直交するZ軸方向に導き、且つ被加工物にて反射した光を透過するスプリッターと、該発振器と該スプリッターとの間に配設され該発振器が発振したレーザー光線の出力を調整するアッテネータと、該アッテネータと該スプリッターとの間に配設されレーザー光線の集光特性を調整する空間光変調器と、該空間光変調器を操作する操作手段と、該スプリッターで反射したレーザー光線を該保持面に保持された被加工物に集光する集光器と、該集光器と該保持手段とを相対的にZ軸方向に接近、及び離反させレーザー光線の集光点の位置を調整するZ軸調整手段と、から少なくとも構成されたレーザー加工装置の調整方法であって、
該空間光変調器がZ軸方向においてレーザー光線の第一の集光点及び第二の集光点の2個の集光点を形成するように該操作手段を操作し、該Z軸調整手段によって該保持面に保持された検査板の上面にレーザー光線の第一の集光点を位置付けて照射して該撮像手段により撮像し、該表示手段に表示された該第一の集光点のX座標及びY座標位置を求め、該Z軸調整手段によって該検査板の上面にレーザー光線の第二の集光点を位置付けて照射して該撮像手段により撮像し、該表示手段に表示された該第二の集光点のX座標及びY座標位置を求め、該第一の集光点のX座標及びY座標位置と、該第二の集光点のX座標及びY座標位置とが一致するように該空間光変調器の光軸位置を調整することにより、該空間光変調器の光軸を該集光器の中心に一致させる、レーザー加工装置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に空間光変調器を備えたレーザー加工装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
レーザー加工装置は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該保持手段とレーザー光線照射手段と、を相対的に加工送りする送り手段と、を含み、該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光する集光器と、該発振器と該集光器との間に配設されスポット形状を整形するマスク、又は集光点を2個以上生成する光学系と、から構成されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0004】
また、上記したマスク及び集光点を2個以上生成する光学系の代替えとして空間光変調器(透過型(LC)、反射型(LCOS))が知られており、該空間光変調器を利用することにより、レーザー光線のスポット形状を整形したり、集光器によって形成される集光点を2個以上生成したりする等、レーザー光線の集光特性を自在に調整することができる(例えば特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-319198号公報
【文献】特開2005-028438号公報
【文献】国際公開第2008/088043号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した空間光変調器を使用する場合、集光器を構成する集光レンズの中心と、空間光変調器から発せられる光線の光軸とにずれが生じると、所望の位置にレーザー光線の集光点を位置付けることができず、特に、複数の位置に集光点を位置付けて加工する場合に高精度な加工が困難になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、集光器の中心と、空間光変調器から発せられるレーザー光線の光軸とを適切に一致させることができるレーザー加工装置の調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、X軸方向、及び該X軸方向に直交するY軸方向で規定される被加工物を保持する保持面を備えた保持手段と、該保持面に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該保持面に保持された被加工物で反射した光を撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した画像を表示する表示手段と、を備え、該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振する発振器と、該レーザー光線を反射して該X軸方向及び該Y軸方向に直交するZ軸方向に導き、且つ被加工物にて反射した光を透過するスプリッターと、該発振器と該スプリッターとの間に配設され該発振器が発振したレーザー光線の出力を調整するアッテネータと、該アッテネータと該スプリッターとの間に配設されレーザー光線の集光特性を調整する空間光変調器と、該空間光変調器を操作する操作手段と、該スプリッターで反射したレーザー光線を該保持面に保持された被加工物に集光する集光器と、該集光器と該保持手段とを相対的にZ軸方向に接近、及び離反させレーザー光線の集光点の位置を調整するZ軸調整手段と、から少なくとも構成されたレーザー加工装置の調整方法であって、該空間光変調器がZ軸方向においてレーザー光線の第一の集光点及び第二の集光点の2個の集光点を形成するように該操作手段を操作し、該Z軸調整手段によって該保持面に保持された検査板の上面にレーザー光線の第一の集光点を位置付けて照射して該撮像手段により撮像し、該表示手段に表示された該第一の集光点のX座標及びY座標位置を求め、該Z軸調整手段によって該検査板の上面にレーザー光線の第二の集光点を位置付けて照射して該撮像手段により撮像し、該表示手段に表示された該第二の集光点のX座標及びY座標位置を求め、該第一の集光点のX座標及びY座標位置と、該第二の集光点のX座標及びY座標位置とが一致するように該空間光変調器の光軸位置を調整することにより、該空間光変調器の光軸を該集光器の中心に一致させる、レーザー加工装置の調整方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレーザー加工装置の調整方法は、空間光変調器がZ軸方向においてレーザー光線の第一の集光点及び第二の集光点の2個の集光点を形成するように操作手段を操作し、Z軸調整手段によって保持面に保持された検査板の上面にレーザー光線の第一の集光点を位置付けて照射して撮像手段により撮像し、表示手段に表示された第一の集光点のX座標及びY座標位置を求め、Z軸調整手段によって検査板の上面にレーザー光線の第二の集光点を位置付けて照射して撮像手段により撮像し、表示手段に表示された第二の集光点のX座標及びY座標位置を求め、該第一の集光点のX座標及びY座標位置と、該第二の集光点のX座標及びY座標位置とが一致するように該空間光変調器の光軸位置を調整することにより、該空間光変調器の光軸を該集光器の中心に一致させるようにしていることから、集光器の中心と、空間光変調器の光軸の中心とを適切に一致させることができ、空間光変調器を使用してレーザー加工を実施する際にも、高精度な加工を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1に示すレーザー加工装置に備えられたレーザー光線照射手段の光学系を示すブロック図である。
【
図3】空間光変調器によって集光特性が調整されたレーザー光線の集光点を示す概念図であり、(a)集光器の中心と空間光変調器の光軸とが一致している場合の第一の集光点と第二の集光点の位置を示す概念図、(b)集光器の中心と空間光変調器の光軸がずれている場合であって、第一の集光点と、第二の集光点とのY軸方向のずれを示す概念図、(c)集光器の中心と空間光変調器の光軸がずれている場合であって、第一の集光点と、第二の集光点とのX軸方向のずれを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に基づいて構成されるレーザー加工装置の調整方法に係る実施形態について添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明の調整方法を実施するのに好適なレーザー加工装置1の全体斜視図が示されており、以下にその詳細について説明する。
【0013】
図1に示すレーザー加工装置1は、被加工物を保持する保持手段20と、保持手段20を移動させる移動手段30と、保持手段20に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段40と、表示手段50と、アライメント手段60を備えている。
【0014】
保持手段20は、図中に矢印Xで示すX軸方向において移動自在に基台2に載置される矩形状のX軸方向可動板21と、図中に矢印Yで示すY軸方向において移動自在にX軸方向可動板21に載置される矩形状のY軸方向可動板22と、Y軸方向可動板22の上面に固定された円筒状の支柱23と、支柱23の上端に固定された矩形状のカバー板26とを含む。カバー板26には、カバー板26上に形成された長穴を通って上方に延びる円形状のチャックテーブル25が配設されている。チャックテーブル25は、図示しない回転駆動手段により回転可能に構成されている。チャックテーブル25の上面を構成するX軸方向、及び該X軸方向に直交するY軸方向により規定される保持面25aは、多孔質材料から形成されて通気性を有し、支柱23の内部を通る流路によって図示しない吸引手段に接続されている。チャックテーブル25には、保護テープTを介して被加工物を支持する環状のフレームFを固定するためのクランプ27も配設される。なお、本実施形態においてレーザー光線が照射される被加工物は、
図1に示すように、保護テープTを介して環状のフレームFによって保持されたレーザー光線照射手段40の調整に用いられる検査板10であり、上面10aには錫膜がコーティングされている。
【0015】
移動手段30は、基台2上に配設され、保持手段20をX軸方向に加工送りするX軸方向送り手段31と、Y軸可動板22をY軸方向に割り出し送りするY軸方向送り手段32と、を備えている。X軸方向送り手段31は、パルスモータ33の回転運動を、ボールねじ34を介して直線運動に変換してX軸方向可動板21に伝達し、基台2上の案内レール2a、2aに沿ってX軸方向可動板21をX軸方向において進退させる。Y軸方向送り手段32は、パルスモータ35の回転運動を、ボールねじ36を介して直線運動に変換してY軸方向可動板22に伝達し、X軸方向可動板21上の案内レール21a、21aに沿ってY軸方向可動板22をY軸方向において進退させる。なお、図示は省略するが、X軸方向送り手段31、Y軸方向送り手段32、及びチャックテーブル25には、位置検出手段が配設されており、チャックテーブル25のX軸方向の位置、Y軸方向の位置、周方向の回転位置が正確に検出され、後述する制御手段100(
図2を参照)に伝達される。そして、その位置情報に基づいて制御手段100から指示される指示信号により、X軸方向送り手段31、Y軸方向送り手段32、及び図示しないチャックテーブル25の回転駆動手段が駆動されて、保持手段20上の所望の位置にチャックテーブル25を位置付けることができる。
【0016】
図1に示すように、移動手段30の側方には、枠体4が立設される。枠体4は、基台2上に配設される垂直壁部4a、及び垂直壁部4aの上端部から水平方向に延びる水平壁部4bと、を備えている。枠体4の水平壁部4bの内部には、レーザー光線照射手段40を含む光学系が収容されている。
【0017】
図2を参照しながら、
図1に示すレーザー加工装置1に備えられたレーザー光線照射手段40を含む光学系について説明する。レーザー光線照射手段40には、所定の特性を備えたパルス状のレーザー光線LB0を発振する発振器41と、発振器41から発振されたレーザー光線LB0の出力を調整するアッテネータ42と、アッテネータ42から出力されたレーザー光線LB0の位相の空間分布を調整して集光特性が調整されたレーザー光線LB1を出力する空間光変調器43と、空間光変調器43を操作する操作手段43Aと、空間光変調器43から出力されたレーザー光線LB1を反射してチャックテーブル25の保持面25aに向かうZ軸方向(上下方向)に導き、保持面25aに保持された被加工物で反射した光を透過するスプリッター44と、を備えている。
【0018】
レーザー光線照射手段40はさらに、スプリッター44で反射したレーザー光線LB1を保持面25aに保持された被加工物に集光する集光レンズ46を含む集光器45と、図示を省略する駆動モータ等の駆動手段によって動作し集光器45と保持手段20とを相対的にZ軸方向で接近及び離反させ、レーザー光線LB1の集光点の位置を調整するZ軸調整手段45Aとを備えている。なお、集光器45は、枠体4の水平壁部4bの先端部下面に位置付けられる(
図1を参照)。
【0019】
また、上記した空間光変調器43は、空間光変調器43によって出力されるレーザー光線LB1の光軸の位置を調整する光軸調整手段43Bを含んでいる。光軸調整手段43Bを操作して空間光変調器43を
図2における上下方向で移動させることにより、保持面25aを規定するY軸方向における位置調整がなされ、図面に垂直な方向で空間光変調器43を移動させることにより保持面25aを規定するX軸方向における位置調整がなされる。光軸調整手段43Bは、例えば、空間光変調器43をX軸方向、Y軸方向に移動させる調整ネジ等により構成される。該光学系は、上記したレーザー光線照射手段40に加え、保持面25aに保持された被加工物上で反射しスプリッター44を透過した光を撮像する撮像手段47を備えている。
【0020】
図2に示すように、レーザー加工装置1は、制御手段100を備えている。制御手段100は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央演算処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果等を一時的に格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている(詳細についての図示は省略)。この制御手段100によって上記した移動手段30、レーザー光線照射手段40が制御されるほか、空間光変調器43によって所望の集光特性が得られるように、操作手段43Aに対して制御信号を出力し、撮像手段47によって撮像された画像を取り込んで記憶すると共に表示手段50に画像情報を出力する。
【0021】
なお、上記したレーザー加工装置1では、Z軸調整手段45Aを集光器45側に設置したが、保持手段20側に設置してもよく、保持手段20のチャックテーブル25をZ軸方向において上下動させることによって、被加工物上に対するレーザー光線LB1の集光点の位置を調整することもできる。
【0022】
レーザー加工装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、このレーザー加工装置1を例にして、本実施形態の調整方法、より具体的には、集光器45の集光レンズ46の中心と、空間光変調器43から出力されてスプリッター44によって反射されるレーザー光線LB1の光軸とがずれているか否かを確認し、ずれている場合に、空間光変調器43の光軸を、集光器45の中心に一致させる調整方法について、以下に説明する。
【0023】
レーザー加工装置1に配設された空間光変調器43の光軸を集光器45の集光レンズ46の中心に一致させるための調整を実施するに際し、まず、
図1に基づいて説明したように、保護テープTを介して環状のフレームFに保持された検査板10を用意する。検査板10は、レーザー加工装置1によってレーザー加工が施される半導体ウエーハを模して形成された円盤上の薄板(ダミーウエーハ)であり、上面10aに錫箔がコーティングされている。なお、検査板10は、必ずしも錫箔がコーティングされた薄板に限定されず、例えば、ミラーウエーハであってもよい。
【0024】
上記した検査板10を用意したならば、チャックテーブル25の保持面25aに載置して、図示しない吸引手段を作動して吸引保持し、クランプ27によって固定する。チャックテーブル25に検査板10を固定したならば、上記した移動手段30を作動して、検査板10をレーザー光線照射手段40の集光器45の直下に位置付ける。必要に応じて、検査板10を集光器45の直下に位置付ける前に、一旦アライメント手段60の直下に位置付けて、検査板10の上面10aにおけるレーザー光線を照射する照射位置をアライメント手段60によって撮像して検出するようにしてもよい。
【0025】
検査板10をレーザー光線照射手段40の集光器45の直下に位置付けたならば、制御手段100から操作手段43Aに制御信号を送り、空間光変調器43に投入されるレーザー光線LB0が、
図3(a)~(c)に示すように、チャックテーブル25上のZ軸方向(上下方向)において、間隔を開けて第一の集光点P1及び第二の集光点P2の2個の集光点が形成される集光特性を備えたレーザー光線LB1に調整される状態とする。本実施形態においては、第一の集光点P1と第二の集光点P2とは、Z軸方向において200μmの距離になるように設定されている。なお、レーザー光線LB1が、空間光変調器43によって上記したような2つの集光点を形成する集光特性に調整されて出力される場合、例えば、レーザー光線LB1に含まれ第一の集光点P1を形成する一方のレーザー光線LB1aは平行光であり、レーザー光線LB1に含まれ第二の集光点P2を形成する他方のレーザー光線LB1bは拡散光である場合が想定されるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。また、前記した集光点P1と集光点P2の集光器45からの距離は、予め制御手段100に記憶されている。
【0026】
まず、予め制御手段100に記憶されている集光器45から第一の集光点P1までの距離に基づいてZ軸調整手段45Aを作動し、集光器45の位置を調整して、チャックテーブル25の保持面25aに保持された検査板10の上面10aにレーザー光線LB1aの第一の集光点P1を位置付ける。そして、発振器41を作動して、レーザー光線LB0を発振し、空間光変調器43からレーザー光線LB1を出力する。これにより、検査板10の上面10aに第一の集光点P1の位置に対応する打痕が形成される。そして、その打痕は、上記したスプリッター44を介して撮像手段47に捉えられて制御手段100に記憶されると共に、
図2に示された表示手段50上に表示される。表示手段50に表示された打痕(=第一の集光点P1)の位置を表示手段50上で特定することにより、第一の集光点P1のX座標、Y座標位置(P1(X,Y))が演算され、制御手段100に記憶される。
【0027】
上記したように、第一の集光点P1のX座標、Y座標位置(P1(X,Y))が求められたならば、次いで、Z軸調整手段45Aを作動して、集光器45の位置を調整し(200μm上昇させる)、検査板10の上面10aにレーザー光線LB1bの第二の集光点P2を位置付ける。そして、発振器41を作動して、レーザー光線LB0を発振し、空間光変調器43からレーザー光線LB1を出力する。これにより、検査板10の上面10aに第二の集光点P2に対応する新たな打痕が形成される。そして、その打痕は、上記したスプリッター44を介して撮像手段47に捉えられて制御手段100に記憶されると共に、
図2に示された表示手段50上に表示される。表示手段50に表示された新たな打痕(=第二の集光点P2)を表示手段50上で特定することにより、第二の集光点P2のX座標、Y座標位置(P2(X,Y))が算出され、制御手段100に記憶される。
【0028】
ここで、仮に、第一の集光点P1、第二の集光点P2がZ軸方向(上下方向)で重なり、保持面25a上のX座標及びY座標位置で一致する場合(又は一致していると見なせる範囲で近接している場合)は、
図3(a)に示すように、集光器45の集光レンズ46の中心C1と、空間光変調器43から出力されてスプリッター44によって反射されるレーザー光線LB1の光軸C2とが一致している場合であると判断される。よって、この場合は、集光器45の集光レンズ46の中心C1と、空間光変調器43から出力されてスプリッター44によって反射されるレーザー光線LB1の光軸C2との位置調整を実施する必要がないと判断され、本実施形態の調整は終了する。これに対し、
図2の表示手段50、
図3(b)、及び
図3(c)に示すように、第一の集光点P1の位置と、第二の集光点P2の位置がずれていると判断される場合は、集光器45の集光レンズ46の中心C1と、スプリッター44によって反射され集光器45に導かれるレーザー光線LB1の光軸C2とがずれている場合であると判断されるから、以下のごとく、そのずれを調整する。
【0029】
集光器45の集光レンズ46の中心C1と、レーザー光線LB1の光軸C2とを一致させるためには、第一の集光点P1と、第二の集光点P2とが、保持面25a上のX座標及びY座標位置で一致するように光軸調整手段43Bを操作して、空間光変調器43から出力されるレーザー光線LB1の光軸C2の位置を修正すればよい。
【0030】
より具体的には、
図2の表示手段50に示されている第一の集光点P1の位置から第二の集光点P2の位置までを結んだ直線の方向が、集光レンズ46の中心C1に対してレーザー光線LB1の光軸C2の位置を修正すべき方向を示している。よって、この方向に基づいて、レーザー光線LB1の光軸C2の位置を調整する方向を決定する。そして、第一の集光点P1の位置座標P1(X,Y)と、第二の集光点P2の位置座標P2(X,Y)に基づいて、両者の距離を算出し、この距離に基づいてレーザー光線LB1の光軸C2を移動させる移動距離を演算する。なお、この移動距離については、予め実験等により、集光器45の集光レンズ46の中心C1とレーザー光線LB1の光軸C2とのずれ量と、該ずれ量に応じた第一の集光点P1と第二の集光点P2とのずれ量との相関関係を求めて制御手段100に記憶させておき、該相関関係に基づいて、集光器45の集光レンズ46の中心C1に、レーザー光線LB1の光軸C2を一致させるレーザー光線LB1の光軸C2の移動距離を演算する。
【0031】
上記したように、レーザー光線LB1の光軸C2を移動させる方向、及び移動距離を演算したならば、該演算結果に基づいて、光軸調整手段43Bを操作して、空間光変調器43の光軸C2の位置を移動させる。その結果、
図3(a)に示すように、集光器45の集光レンズ46の中心C1と、レーザー光線LB1の光軸C2とを一致させることができる。
【0032】
本発明は、上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態では、検査板10として、上面10aに錫箔をコーティングしたものを用意し、レーザー光線LB1を照射することにより、第一の集光点P1、第二の集光点P2に対応する位置に打痕を形成し、撮像手段47によって、該打痕を検出するようにしたが、レーザー光線照射手段40から照射されるレーザー光線LB1の出力を、検査板10の上面10aに対して打痕を形成しない程度の弱い出力に調整して照射し、検査板10の上面10aにて反射させ、該反射光を撮像手段47によって撮像して、第一の集光点P1、第二の集光点P2のX座標、Y座標位置を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1:レーザー加工装置
2:基台
10:検査板(被加工物)
10a:上面
20:保持手段
25:チャックテーブル
25a:保持面
27:クランプ
30:移動手段
31:X軸方向送り手段
32:Y軸方向送り手段
40:レーザー光線照射手段
41:発振器
42:アッテネータ
43:空間光変調器
43A:操作手段
43B:光軸調整手段
44:スプリッター
45:集光器
45A:Z軸調整手段
46:集光レンズ
47:撮像手段
50:表示手段
60:アライメント手段
100:制御手段