(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20230926BHJP
C08F 20/04 20060101ALI20230926BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08F20/04
(21)【出願番号】P 2019506978
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2018011453
(87)【国際公開番号】W WO2018174175
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2017059805
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】小野田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 健太
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-110510(JP,A)
【文献】特開2015-048386(JP,A)
【文献】特開平11-188727(JP,A)
【文献】特開2012-041439(JP,A)
【文献】特開2005-021704(JP,A)
【文献】特開平11-335574(JP,A)
【文献】特開2007-291351(JP,A)
【文献】特開2002-121291(JP,A)
【文献】特開2000-001507(JP,A)
【文献】特開2005-036035(JP,A)
【文献】特開2004-002562(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158976(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/12
C08F 20/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性エチレン性不飽和単量体を、過硫酸塩及び水溶性アゾ系化合物を含む重合開始剤を用いて重合して、架橋重合体の含水ゲルを製造する含水ゲル製造工程;及び
前記含水ゲルを粗砕する粗砕工程
を含む吸水性樹脂の製造方法であって、
前記粗砕工程における前記含水ゲルの温度が35℃以下
(但し、24℃を除く)であり、
前記重合開始剤全体に対する前記水溶性アゾ系化合物の割合が35~80モル%である、吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性エチレン性不飽和単量体の総量のうち、70~100モル%が(メタ)アクリル酸およびその塩から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記含水ゲルの含水率が30~70質量%である、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記粗砕工程における前記含水ゲルの温度が25℃以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記粗砕工程により得られた粗砕物を乾燥して乾燥物を得る乾燥工程、および前記乾燥物を粉砕する粉砕工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
含水ゲルを粗砕する粗砕工程
を含む、吸水性樹脂の製造方法であって、
前記粗砕工程における前記含水ゲルの温度が35℃以下
(但し、24℃を除く)である、吸水性樹脂の製造方法。
但し、前記粗砕工程が以下(A)~(C)のいずれかを満たす場合を除く。
(A)互いにかみあう方向に回転する1対のローラー型カッターに前記含水ゲルをくい込ませて短ざく状に切断し、ついでえられた短ざく状の前記含水ゲルを回転刃と固定刃によって細片状に切断する。
(B)前記含水ゲルを互いに対向して設けられた送り速度の異なる対の螺旋状の回転刃で挟んで剪断する。
(C)前記含水ゲルをはさみによって裁断する。
【請求項7】
前記粗砕工程における前記含水ゲルの温度が35℃以下(但し、20℃~25℃を除く)である、請求項6に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記粗砕工程における前記含水ゲルの温度が20℃以下である、請求項6に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、近年、紙おむつや生理用品等の衛生材料、保水剤や土壌改良剤等の農園芸材料、止水剤や結露防止剤等の工業資材等、種々の吸収性物品の分野で広く使用されている。吸水性樹脂は、その用途に応じた多くの種類のものが知られているが、なかでも、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合させることにより得られる架橋構造を有する重合体(以下、架橋重合体と記す)からなる吸水性樹脂が主に用いられている。その製造方法として、架橋重合体の含水ゲルを水溶液重合、懸濁重合等により製造し、その後乾燥する方法等が挙げられる。
【0003】
特許文献1では、その製造方法として、例えば、かかる架橋重合体の含水ゲル(以下、架橋重合体の含水ゲルと記す)を、水溶液重合法により調製し、塊状物として得られる架橋重合体の含水ゲルを45~90℃の温度に加温し粗砕後、乾燥し、乾燥物を粉砕し、必要により粒度調整および表面架橋を施すことにより最終製品としての吸水性樹脂が得られることが開示されている。
【0004】
特許文献2では、容器内で、架橋構造を有する含水ゲル状重合体に、剪断力をかけて粒子状に細分化する粒子状含水ゲル状重合体の製造方法において、40~110℃の温度に加温した含水ゲル状重合体に0.01~1.5kg/cm2 の荷重をかけながら繰り返し剪断力をかけることを特徴とする粒子状含水ゲル状重合体の製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献3では、架橋構造を有する含水ゲル状重合体を、孔径3~20mmの孔および1~20mmの厚さを有する多孔板より押し出すことにより粒子状含水ゲル状重合体の製造方法であって、該含水ゲル状重合体の温度が、35~90℃である、粒子状含水ゲル状重合体の製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献4では、スクリュー、供給口、押出口、多孔板、およびバレルを備えた、吸水性樹脂を製造するために使用するゲル粉砕装置であって、ゲル粉砕工程において40℃~120℃で使用することを特徴とするゲル粉砕装置を使用して吸水性樹脂を製造することが開示されている。
【0007】
これらの方法では、いずれも、含水ゲルの温度を、35℃もしくは40℃より高い温度に設定して、多孔板や加圧蓋等の特定の装置を用いて含水ゲルの粗砕を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平9-309916号公報
【文献】特開平5-112654号公報
【文献】特開平6-41319号公報
【文献】国際公開2015/030129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
重合反応装置の種類にもよるが、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合することにより得られる架橋重合体は、含水ゲルの塊状物として得られる。通常、得られた架橋重合体の含水ゲルは粗砕後、乾燥に供され、次いで、乾燥物を粉砕し、必要により粒度調整および表面架橋を行うことで最終製品の吸水性樹脂を得る。しかしながら、本発明者らが検討した結果、得られた吸水性樹脂は、製造条件によっては、製造ロット間にバラツキが生じやすいという問題があり、特に粒度分布の再現性が低いことがわかった。
【0010】
本発明は、吸水性樹脂の粒度分布の再現性が改善され、製造ロット間のバラツキの少ない吸水性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、吸水性樹脂の製造方法において、架橋重合体の含水ゲルの温度を35℃以下に設定して当該含水ゲルを粗砕する工程を含むことで、得られる吸水性樹脂の粒度分布の再現性が高くなることを見いだした。
【0012】
即ち、本発明は、架橋重合体の含水ゲルを粗砕する粗砕工程を含む吸水性樹脂の製造方法であって、粗砕工程における前記含水ゲルの温度が35℃以下である、吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法を用いることで、得られる吸水性樹脂の粒度分布の再現性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
<架橋重合体の含水ゲル製造工程>
本発明における架橋重合体の含水ゲルは、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む水溶液(以下、「単量体水溶液」ともいう。)中の水溶性エチレン性不飽和単量体を重合することで得ることができる。
【0016】
〔水溶性エチレン性不飽和単量体〕
本発明において用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリ」および「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と記す。以下同様。)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα,β-不飽和カルボン酸およびその塩等のカルボン酸系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物等;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸およびそれらの塩等のスルホン酸系単量体等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
具体的には水溶性エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸およびその塩から選択される少なくとも1種であることが好ましい。(メタ)アクリル酸およびその塩に、他の水溶性エチレン性不飽和単量体を共重合させて用いてよい。この場合、水溶性エチレン性不飽和単量体の総量のうち、70~100モル%用いられることが好ましく、80~100モル%用いられることがより好ましく、90~100モル%用いられることがよりさらに好ましい。
【0018】
水溶性エチレン性不飽和単量体が(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のように酸基を有する場合、必要に応じてその酸基が予めアルカリ性中和剤により中和されたものを用いることができる。このようなアルカリ性中和剤としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア等が挙げられる。これらのアルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態にして用いてもよい。前記のアルカリ性中和剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、酸基の中和は、原料である水溶性エチレン性不飽和単量体の重合前に行ってもよく、重合中または重合後に行ってもよい。
【0019】
アルカリ性中和剤による水溶性エチレン性不飽和単量体の中和度は、得られる吸水性樹脂の浸透圧を高めることで吸水性能を高め、かつ余剰のアルカリ性中和剤の存在に起因する安全性等に問題が生じないようにする観点から、通常、10~100モル%であることが好ましく、30~90モル%であることがより好ましく、40~85モル%であることがさらに好ましく、50~80モル%であることがよりさらに好ましい。ここで、中和度は水溶性エチレン性不飽和単量体が有する全ての酸基に対する中和度とする。
【0020】
前記単量体水溶液中における前記水溶性エチレン性不飽和単量体の濃度は、通常20質量%以上飽和濃度以下とすればよく、25~70質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。
【0021】
〔内部架橋剤〕
本発明の方法において、架橋重合体はその内部架橋構造として、重合反応による自己架橋に加え、内部架橋剤による架橋を有していることが好ましい。内部架橋剤としては、例えば重合性不飽和基を2個以上有する化合物が用いられる。例えば、(ポリ)エチレングリコール(本明細書において、例えば、「ポリエチレングリコール」と「エチレングリコール」を合わせて「(ポリ)エチレングリコール」と記す。以下同様)、(ポリ)プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、および(ポリ)グリセリン等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;前記のポリオールとマレイン酸およびフマル酸等の不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉;アリル化セルロース;ジアリルフタレート;N,N’,N”-トリアリルイソシアヌレート;ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの中では、前記ポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0022】
また、前記重合性不飽和基を2個以上有する化合物の他に反応性官能基を2個以上有する化合物を内部架橋剤として用いることができる。例えば、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のグリシジル基含有化合物;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、低温での反応性に優れている観点から、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルが好ましい。これら内部架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
内部架橋剤を使用する場合、その使用量は、得られる吸水性樹脂の保水能等の吸水性能を十分に高めるために、水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して、0.0001モル以上が好ましく、0.001モル以上がより好ましく、0.003モル以上がさらに好ましく、0.01モル以上がよりさらに好ましい。
【0024】
内部架橋剤の添加は、架橋重合体を不溶化させ、好適な吸水能をもたらすものの、内部架橋剤の添加量の増大は、得られる吸水性樹脂の吸水能の低下につながることから、内部架橋剤の量は、水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して、例えば0.50モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.25モル以下であり、さらに好ましくは0.05モル以下である。
【0025】
〔その他成分〕
単量体水溶液には、必要に応じて、連鎖移動剤、増粘剤、無機フィラー等の添加剤が含まれていてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸、亜リン酸等が挙げられる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、ポリアクリルアミド等が挙げられる。無機フィラーとしては、例えば、金属酸化物、セラミック、粘度鉱物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
〔重合〕
本発明における含水ゲル製造工程において、水溶液中の水溶性エチレン性不飽和単量体を、必要に応じて架橋剤の存在下に、重合開始剤を用いて重合させる。本発明における水溶性エチレン性不飽和単量体の重合としては、水溶液重合、乳化重合、逆相懸濁重合等が用いられる。本発明においては、水溶液重合により架橋重合体の含水ゲルを得ることが好ましい。
【0027】
重合方式としては、単量体水溶液を撹拌しない状態(例えば、静置状態)で重合する静置重合方式、反応装置内で単量体水溶液を攪拌しながら重合する攪拌重合方式等であってよい。本発明においては、水溶液重合において、静置重合方式である水溶液静置重合により架橋重合体の含水ゲルを得ることが好ましい。静置重合方式では重合完了時、架橋重合体の含水ゲルが、反応容器中に存在した単量体水溶液と略同じ体積を占める単一のブロック状の含水ゲルとして得られる。なお、前記単量体水溶液には、適宜、水以外の水溶性有機溶媒等が配合されていてもよい。
【0028】
製造の形態は、回分、半連続、連続等であってよい。例えば、水溶液重合において、静置重合方式であり、連続の形態である、水溶液静置連続重合においては、連続重合装置に単量体水溶液を連続的に供給しながら重合反応を行い、連続的な(例えば帯状の)含水ゲルを得ることができる。
【0029】
〔重合開始剤〕
重合は前記単量体水溶液に重合開始剤を添加し、必要により加熱、光照射等を行うことで開始される。重合開始剤は、水溶性ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
【0030】
重合開始剤として使用される過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物類;過酸化水素等の過酸化物が挙げられる。これらの過酸化物の中でも、良好な吸水性能を有する吸水性樹脂が得られる観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素を用いることが好ましく、さらに、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。これらの過酸化物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、過硫酸塩と過酸化水素とを組み合わせて用いることができる。
【0031】
重合開始剤として使用されるアゾ系化合物としては、例えば、2,2’-アゾビス[2-(N-フェニルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-クロロフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-ベンジルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(2-ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等の水溶性アゾ系化合物等を挙げることができる。良好な吸水性能を有する吸水性樹脂が得られやすいという観点から、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩および2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物が好ましい。これらのアゾ系化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
良好な吸水性能を有する吸水性樹脂が得られやすいという観点から、重合開始剤は前記の2種類以上を組み合わせて使用することが好ましく、なかでも、過酸化物と水溶性アゾ系化合物を組み合わせることがより好ましい。例えば、過硫酸ナトリウムおよび2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩の組み合わせや、過硫酸ナトリウム、過酸化水素および2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩の組み合わせ等が挙げられる。また前記重合開始剤と、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、およびL-アスコルビン酸等の還元剤と組み合わせて用いて、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
【0033】
重合開始剤を複数組み合わせて使用する場合、アゾ系化合物の重合開始剤全体に対する使用量は、吸水性能を高める観点から、10~100モル%であってよく、25~90モル%がより好ましく、30~85モル%がさらに好ましく、35~80モル%がよりさらに好ましい。
【0034】
重合開始剤の総使用量は、急激な重合反応を回避し、かつ、重合反応時間を短縮する観点から、重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して0.005~1モルが好ましく、0.01~0.5モルがより好ましく、0.0125~0.1モルがさらに好ましく、0.015~0.05モルがよりさらに好ましい。
【0035】
重合温度は、使用する重合開始剤によって異なるので一概には決定することができないが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより生産性を高めるとともに、重合熱をより容易に除去して円滑に反応を行う観点から、0~130℃が好ましく、10~110℃がより好ましい。重合時間は、使用する重合開始剤の種類や量、反応温度等に応じて適宜設定されるが、1~200分が好ましく、5~100分がより好ましい。
【0036】
〔架橋重合体の含水ゲル〕
本発明において、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して得られる架橋重合体は含水ゲルの状態である。架橋重合体の含水ゲルの含水率は、粗砕工程が実施しやすいという観点から30~80質量%が好ましく、40~75質量%がより好ましく、50~70質量%がさらに好ましい。含水率は、単量体水溶液の水分量、もしくは重合後の乾燥や加湿などの操作により調整される。なお、本発明において、含水ゲル状重合体の含水率とは、含水ゲル状重合体の総質量に占める水の含量を質量%で表わしたものである。
【0037】
<含水ゲルの粗砕工程>
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、架橋重合体の含水ゲルの粗砕工程を含む。含水ゲルの粗砕処理後のサイズは、例えば、0.1~10mm程度のサイズ、好ましくは0.1~5mm程度のサイズであることが好ましい。ここでサイズは含水ゲル1つ当たりの最大の大きさを意味する。
【0038】
粗砕工程における含水ゲルの温度は35℃以下であり、好ましくは33℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下である。
【0039】
粗砕工程における含水ゲルの温度は0℃以上であってよく、例えば5℃以上であり、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上である。
【0040】
粗砕工程における含水ゲルの温度は前記範囲内であれば、粉砕工程中に変動していてもよく、変動する場合の温度範囲は、所定温度に対して、例えばプラスマイナス10℃以内、好ましくはプラスマイナス5℃以内、より好ましくはプラスマイナス3℃以内である。
【0041】
含水ゲルの温度を前記温度へ調節する方法としては、高温の含水ゲルを所定時間静置する方法、含水ゲルを低温の気体に所定時間接触させる方法、含水ゲルを保持する容器を冷媒浴などに所定時間浸すことにより前記の温度に調節する方法等が挙げられる。通常、重合後の含水ゲルは高温であるので、冷却により温度調節が達成されることが好ましい。
【0042】
含水ゲルの粗砕装置としては、ニーダー(例えば、加圧式ニーダー、双腕型ニーダー等)、ミートチョッパーおよびカッターミル、ファーマミル等の粗砕装置を用いることができる。なかでも、双腕型ニーダー、ミートチョッパー、カッターミルがより好ましい。粗砕装置は下記の含水ゲル乾燥物の粉砕装置と同一種類であってもよい。
【0043】
<含水ゲル粗砕物の乾燥工程>
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、前記粗砕工程で得られた含水ゲル粗砕物を乾燥する乾燥工程を含む。粗砕物中の水を含む溶媒を加熱や送風により除去することで、粗砕物を乾燥する。乾燥の方法は、自然乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の一般的方法により含水ゲルから溶媒を除去すればよい。乾燥は、常圧下、減圧下、乾燥効率を高めるために窒素等の気流下等で行うことができ、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥が常圧で行われる場合の乾燥温度は、好ましくは70~250℃であり、より好ましくは80~200℃である。乾燥工程は架橋重合体の含水率が20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下になるまで行われる。
【0044】
<乾燥物の粉砕工程>
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、前記乾燥工程で得られた乾燥物を、粉砕して粉砕物を得る粉砕工程を含む。
【0045】
前記乾燥物の粉砕は、公知の粉砕機を使用することができ、例えば、ローラーミル(ロールミル)、スタンプミル、ジェットミル、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ロータビータミル等)、容器駆動型ミル(回転ミル、振動ミル、遊星ミル等)等が使用できる。好ましくは、高速回転粉砕機が使用される。粉砕機は、出口側に多孔板やスクリーン、グリッド等の、粉砕粒子の最大粒径を制御する開口部を有していてもよい。開口部の形状は多角形、円形等であってよく、開口部の最大径は0.1~5mmであってよく、0.3~3.0mmが好ましく、0.5~1.5mmがより好ましい。
【0046】
本発明の製造方法は、さらに、その他工程、例えば、粒度調整を行う分級工程、表面架橋工程等を含んでいてよい。
【0047】
<粉砕物の分級工程>
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、粉砕工程で得られた粉砕物を分級する分級工程を含んでいてもよい。なお、分級後の粒子を再度粉砕して、粉砕工程と分級工程とを繰り返すなど、複数の分級工程があってもよいし、後述する表面架橋工程後に分級工程があってもよい。ここで、分級とは、ある粒子群を、粒径に応じて、2つあるいはそれ以上の数の、粒度分布の異なる粒子群に分ける操作のことをいう。
【0048】
粉砕物の分級は、公知の分級方法を使用することができ、例えば、スクリーン分級、風力分級等であってよく、スクリーン分級であることが好ましい。スクリーン分級としては、振動篩、ロータリシフタ、円筒攪拌篩、ブロワシフタ、ロータップ式振とう器等が挙げられる。スクリーン分級とはスクリーンを振動させることによって、スクリーン上の粒子を、スクリーンの網目を通過する粒子と通過しない粒子とに分級する方法をいう。風力分級とは、空気の流れを利用して粒子を分級する方法をいう。
【0049】
本発明において、吸水性樹脂の粒径は、全重量の90%以上が、850μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、粒径とはふるい分け法により測定される値を意味する。
【0050】
本発明において、吸水性樹脂は、中位粒径が100~800μmであることが好ましく、150~600μmであることがより好ましく、200~500μmであることがさらに好ましく、240~450μmであることがよりさらに好ましい。中位粒径は、後述の実施例に記載の方法に従って測定される。
【0051】
本発明の製造方法は、乾燥物の粉砕を行う回数が少ない場合、または、乾燥物の粉砕時間が短い場合であっても、所望の粒度分布の粉砕物を再現性よく得ることができ、工業的に有利である。さらに、粉砕の回数または時間を減らすことにより、長い時間の機械的負荷にさらされることによる吸水性樹脂の性能の劣化を避けることも可能となる。
【0052】
<表面架橋工程>
本発明の製造方法においては、架橋重合体に対して、さらに水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する架橋剤(表面架橋剤と記す。)を添加して反応させてもよい(表面架橋処理と記す。)。表面架橋剤を添加し表面架橋処理を行うことにより、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度が高まるので、得られる吸水性樹脂の荷重下吸水能、ゲル強度あるいは通液性等の吸水性能を高めることができる。
【0053】
前記表面架橋剤の添加は、粗砕工程後のいずれかの時期に行えばよく、架橋重合体の含水ゲル、架橋重合体の含水ゲルの粗砕物、粗砕物の乾燥物、もしくは乾燥物の粉砕物に対して行うことができるが、なかでも、粗砕物の乾燥物、もしくは乾燥物の粉砕物に対して行うことが好ましい。表面架橋剤の添加方法は、例えば、吸水性樹脂に表面架橋剤溶液を添加してもよいし、吸水性樹脂に表面架橋剤溶液を噴霧添加してもよい。表面架橋剤の添加形態は、表面架橋剤を均一に分散する観点から、表面架橋剤を水または/およびアルコール等の溶媒に溶解し、表面架橋剤溶液として添加することが好ましい。また、表面架橋工程は、1回または2回以上の複数回に分割して実施してもよい。
【0054】
前記表面架橋剤としては、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-3-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物および/またはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリオール類が好ましく、ポリグリシジル化合物がより好ましい。これらの表面架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えばポリグリシジル化合物とポリオール類を組み合わせて使用してよい。
【0055】
表面架橋剤の添加量は、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を適度に高める観点から、通常、重合に使用した水溶性エチレン性不飽和単量体の総量100モルに対して、好ましくは0.0001~1モル、より好ましくは0.001~0.5モルである。
【0056】
表面架橋工程は、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して1~200質量部の範囲の水の存在下で行うことが好ましい。適宜、水または/およびアルコール等の水溶性有機溶媒を用いることで水分量を調整することができる。なお、含水ゲル中の吸水性樹脂の固形分は、重合反応に用いた水溶性エチレン性不飽和単量体の仕込量より算出でき、同時に単量体水溶液に含まれる水分量も算出できる。すなわち、含水ゲル製造工程以降の各工程における含水ゲルに含まれる水分量は、単量体水溶液に含まれる水分量から、重合後の含水ゲルから除去した水分量を差し引くことで算出できる。このように、表面架橋工程時の水分量を調整することによって、より好適に吸水性樹脂の粒子表面近傍における架橋を施すことができる。
【0057】
表面架橋剤の処理温度は、使用する表面架橋剤に応じて適宜設定され、20~250℃であってよく、処理時間は、1~200分が好ましく、5~100分がより好ましい。
【実施例】
【0058】
以下に、本発明を実施例および比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0059】
各実施例および比較例における架橋重合体の含水ゲルの含水率は以下に示す方法により評価した。
【0060】
(含水率)
架橋重合体2.0gを、あらかじめ恒量(Wa(g))としたアルミホイールケース(8号)にとり精秤した(Wb(g))。前記サンプルを、内温を105℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製)で2時間乾燥させた後、デシケーター中で放冷して、乾燥後の質量(Wc(g))を測定した。以下の式から、架橋重合体の水分率を算出した。
含水率(質量%)=[(Wb-Wa)-(Wc-Wa)]/(Wb-Wa)×100
【0061】
(吸水性樹脂の粒度分布測定)
JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き500μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、および受け皿の順に組み合わせた。
【0062】
組み合わせた最上の篩に、吸水性樹脂50gを入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。分級後、850μmの篩上の吸水性樹脂と受け皿上の吸水性樹脂を除去した。その後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として算出し、粒度分布を求めた。
【0063】
(中位粒径)
前記(吸水性樹脂の粒度分布測定)に従って、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として算出し、粒度分布を求めた。その粒度分布に関して粒径の大きい方から順に各篩上の質量百分率を積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒径を中位粒径とした。
【0064】
[実施例1]
2Lのセパラブルフラスコに195.36gの100%アクリル酸を仕込んだ。セパラブルフラスコ内を撹拌しながら135.13gのイオン交換水を加え、さらに氷浴下で357.93gの30%水酸化ナトリウムを滴下した。その後、104.73gの100%アクリル酸を加えてアクリル酸部分中和液を作製した。
2L容のポリ瓶に、前述のアクリル酸部分中和液780g、内部架橋剤溶液として2%ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキサイドの平均繰り返し単位:9)水溶液43.78g、イオン交換水180.7g、を混合させてモノマー水溶液を調製した。このモノマー水溶液をステンレス製円形バット(内径200mm、深さ60mm)中に仕込み、上部からフィルムで封をしたのち、窒素を吹き込むことで溶液中の溶存酸素を0.1ppm以下とした。引き続き窒素雰囲気下にて、前記モノマー水溶液の温度を18℃に調節し、次いで5%過硫酸ナトリウム水溶液1.58g、5%2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩水溶液1.58g、0.5%L-アスコルビン酸水溶液1.50gおよび0.35%過酸化水素水溶液1.70gを順番に攪拌下で滴下した。過酸化水素を滴下後、撹拌を停止した。直ちに重合が開始し、9分後にモノマー水溶液の温度は86℃のピーク温度に達した。引き続き、前記のバットを80℃の湯浴に浸し、10分間保持し、架橋重合体の含水ゲルを得た。
続いて、バットから取り出した前記含水ゲルに温度計を挿入し、23℃の室内で50分間静置して、所定温度(30℃)に調節した。冷却後の架橋重合体の含水ゲルの含水率は63%であった。架橋重合体の含水ゲルを、1L容の双腕型ニーダーで粗砕したのち、180℃で30分間乾燥して乾燥物を得た。その後、乾燥物を粉砕機(ロータビータミル)を用いてスクリーンの穴サイズ1mmで粉砕した。粉砕後に850μm以上の粉砕物と150μm未満の粉砕物を除去することで、中位粒径が280μmの吸水性樹脂(1)を得た。
前記と同様の操作を5回行い、吸水性樹脂(1)の篩毎の粒度分布の平均と変動係数CV(=粒度分布の標準偏差/粒度分布の平均×100)を求めた。結果を表1および表2に示す。
【0065】
[実施例2]
実施例1と同様にして、架橋重合体の含水ゲルを得た。得られた架橋重合体の含水ゲルを、23℃の室内で50分間静置したのち、さらに氷水浴上に5分間静置して、所定温度(20℃)に調節した。冷却後の架橋重合体の含水ゲルの含水率は63%であった。その後、実施例1と同様に粗砕、乾燥、粉砕した。粉砕後に850μm以上の粉砕物と150μm未満の粉砕物を除去し、中位粒径が250μmの吸水性樹脂(2)を得た。
前記と同様の操作を5回行い、吸水性樹脂(2)の篩毎の粒度分布の平均と変動係数CVを求めた。結果を表1および表2に示す。
【0066】
[比較例1]
実施例1と同様にして、架橋重合体の含水ゲルを得た。得られた架橋重合体の含水ゲルを23℃の室内で1分間静置して、所定温度(70℃)に調節した。冷却後の架橋重合体の含水ゲルの含水率は64%であった。その後、実施例1と同様に粗砕、乾燥、粉砕した。粉砕後に850μm以上の粉砕物と150μm未満の粉砕物を除去し、中位粒径が330μmの比較吸水性樹脂(1)を得た。
前記と同様の操作を5回行い、比較吸水性樹脂(1)の篩毎の粒度分布の平均と変動係数CVを求めた。結果を表1および表2に示す。
【0067】
[比較例2]
実施例1と同様にして、架橋重合体の含水ゲルを得た。得られた架橋重合体の含水ゲルを23℃の室内で20分間静置して、所定温度(45℃)に調節した。冷却後の架橋重合体の含水ゲルの含水率は64%であった。その後、実施例1と同様に粗砕、乾燥、粉砕した。粉砕後に850μm以上の粉砕物と150μm未満の粉砕物を除去し、中位粒径が250μmの比較吸水性樹脂(2)を得た。
前記と同様の操作を5回行い、比較吸水性樹脂(2)の篩毎の粒度分布の平均と変動係数CVを求めた。結果を表1および表2に示す。
【0068】
【0069】
【産業上の利用可能性】
【0070】
紙おむつや生理用品等の衛生材料、保水剤や土壌改良剤等の農園芸材料、止水剤や結露防止剤等の工業資材等、種々の吸収性物品に好適に使用することができる。