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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-25
(45)【発行日】2023-10-03
(54)【発明の名称】高温処理用静電チャックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230926BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230926BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230926BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20230926BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20230926BHJP
   H01L 21/205 20060101ALN20230926BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20230926BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H02N13/00 D
C23C16/458
C23C14/50 A
H01L21/205
H01L21/31 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022079222
(22)【出願日】2022-05-13
(62)【分割の表示】P 2021204088の分割
【原出願日】2015-10-09
(65)【公開番号】P2022119820
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】62/065,503
(32)【優先日】2014-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/878,955
(32)【優先日】2015-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】パルキー ビジャイ ディー
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530833(JP,A)
【文献】特開2014-060421(JP,A)
【文献】特表2013-535842(JP,A)
【文献】特表2003-508893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H02N 13/00
C23C 16/458
C23C 14/50
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電パックであって、
セラミック材料を含む上部パックプレートと、
上部パックプレートに結合された下部パックプレートであって、下部パックプレートの中心から複数の異なる距離で下部パックプレート上に分布する複数の構造体を含み、セラミック材料を含み、
a)下部パックプレート内に埋設された複数のねじ付きインサートであって、複数のねじ付きインサートの各々のねじ付きインサートは、複数の構造体の構造体内に配置され、複数のねじ付きインサートの各々は、第1の複数のねじ締結具の1つを収容するねじ付きインサート、又は
b)下部パックプレート内に少なくとも部分的に埋設された第2の複数のねじ締結具であって、第2の複数のねじ締結具の各々のねじ締結具のヘッドは、複数の構造体の構造体内に配置されるねじ締結具の少なくとも1つを含む下部パックプレートを含み、
複数の構造体は、下部パックプレートの底面に複数の穴を含み、複数の穴の各々の穴は、a)複数のねじ付きインサートの1つへのアクセスを提供するか、又は、b)複数のねじ締結具の1つのシャフトが底面から突き出ることを可能にする、静電パック。
【請求項2】
a)複数のねじ付きインサートが複数のモリブデンねじ付きインサートを含むか、又は、b)第2の複数のねじ締結具が複数のモリブデンねじ締結具を含む、請求項1に記載の静電パック。
【請求項3】
複数の構造体の各々内の荷重分散材料を含み、荷重分散材料は、複数の構造体の各々の構造体に均等に力を分散するように構成されている、請求項1に記載の静電パック。
【請求項4】
荷重分散材料が、ワッシャ、グラフォイル、又はアルミニウム箔のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の静電パック。
【請求項5】
セラミック材料はAl又はAlNを含む、請求項1に記載の静電パック。
【請求項6】
複数の穴は複数のボルト穴であり、複数の構造体は複数のボルト穴用の座ぐり穴を含み、複数のねじ付きインサート又は第2の複数のねじ締結具のヘッドの少なくとも1つが座ぐり穴内に配置される、請求項1記載の静電パック。
【請求項7】
複数のねじ付きインサート又は第2の複数のねじ締結具の少なくとも1つが、金属接合によって複数の構造体の表面に結合されている、請求項1に記載の静電パック。
【請求項8】
上部パックプレートは、金属接合によって下部パックプレートに結合された電気的に絶縁性の上部パックプレートである、請求項1に記載の静電パック。
【請求項9】
下部パックプレート内の追加の穴と、
追加の穴の壁上の金属層であって、高周波(RF)信号のための導電性経路を提供する電族層を備える、請求項8に記載の静電パック。
【請求項10】
追加の穴は、静電パックの中心の穴である、請求項9に記載の静電パック。
【請求項11】
金属層は、アルミニウム、銅、金、銀、又は、アルミニウム、銅、金、又は銀のいずれかの合金を含む、請求項9に記載の静電パック。
【請求項12】
上部パックプレートは、拡散接合によって下部パックプレートに結合された電気的に絶縁性の上部パックプレートである、請求項1に記載の静電パック。
【請求項13】
複数のねじ付き付きインサートは、複数のキャプティブナット、圧入インサート、又はモールドインインサートを含む、請求項1に記載の静電パック。
【請求項14】
複数の構造体は複数のねじ付きインサートと比較して特大であり、セラミック材料と比較して複数のねじ付きインサートのより大きな熱膨張係数に対応する、請求項1に記載の静電パック。
【請求項15】
複数のねじ付きインサートは、複数のねじ付きインサートが500℃に加熱されたときに、複数のねじ付きインサートが複数の構造体に力を及ぼさないようなサイズである、請求項14に記載の静電パック。
【請求項16】
複数の構造体は、第1の複数のねじ付きインサートに取り付けられたときに、複数のねじ締結具によって静電パックに均一な荷重を発生させるように配置される、請求項1に記載の静電パック。
【請求項17】
上部パックプレート及び下部パックプレートの各々は8~25mmの厚さを有する、請求項1に記載の静電パック。
【請求項18】
上部パックプレートが、1つ以上の加熱要素、及び基板を静電的に固定するための1つ以上の電極を含む、請求項1に記載の静電パック。
【請求項19】
複数のねじ付き付きインサートは複数のヘリカルインサートを含む、請求項1に記載の静電パック。
【請求項20】
複数のねじ付き付きインサートが、複数の金属製ねじ付きインサートを含む、請求項1に記載の静電パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの実施形態は、概して、高温処理に使用可能な基板支持アセンブリ(静電チャックアセンブリとも呼ばれる)に関する。
【背景】
【0002】
静電チャックは、様々な用途(例えば、物理蒸着、エッチング、又は化学蒸着)に使用される処理チャンバ内での基板処理中に、基板(例えば、半導体ウェハ)を保持するために広く使用されている。静電チャックは、典型的には、誘電体又は半導電性セラミックス材料を含む単一のチャック本体内に埋め込まれた1以上の電極を含み、その全域に亘って静電クランプ領域を生成することができる。
【0003】
静電チャックは、機械式クランプ装置及び真空チャックよりもいくつかの利点を提供する。例えば、静電チャックは、機械式クランプによって引き起こされる応力誘起クラックを低減し、基板のより広い領域を処理のために露出させることができ(エッジエクスクルージョンがほとんど又は全くなく)、低圧又は高真空環境で使用することができる。更に、静電チャックは、基板をより均一にチャッキング面に保持することができ、基板温度をより高度に制御することができる。
【0004】
集積回路の製造に用いられる様々な処理は、基板処理のために高温及び/又は広い温度範囲を必要とする可能性がある。しかしながら、エッチング処理における静電チャックは、典型的には最高約120℃の温度範囲で動作する。約120℃を超える温度では、多くの静電チャックのコンポーネントは、様々な問題(例えば、AlO静電チャックにおけるデチャッキング、腐食性化学物質によるプラズマ浸食、接合信頼性など)に起因して機能しなくなり始めるだろう。
【概要】
【0005】
本明細書に記載された本発明のいくつかの実施形態は、1以上の加熱素子と、基板を静電的に固定するための1以上の電極とを含む電気絶縁性上部パックプレートと、金属接合で上部パックプレートに接合された下部パックプレートとを有するパックを含む静電チャックアセンブリを網羅する。下部パックプレートは、下部パックプレートの中心から異なる距離で下部パックプレートの底面の上に分布する複数の構造体を含み、構造体の各々は、締結具を収容する。静電チャックアセンブリは、締結具によってパックに結合された冷却プレートを更に含む。締結具はそれぞれ、冷却プレートをパックに結合するためにほぼ等しい締結力を印加する。
【0006】
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態は、1以上の加熱素子と、基板を静電的に固定するための1以上の電極とを有するAlN又はAl上部パックプレートを含む静電パックを網羅する。静電パックは、金属接合によって上部パックプレートに接合された下部パックプレートを更に含む。下部パックプレートは、a)モリブデン、b)AlSi合金で溶浸されたSiC多孔質体、又はc)AlN又はAlなどのセラミックスからなる。下部パックプレートは、下部パックプレートの中心から異なる距離で下部パックプレートの底面の上に分布する複数の構造体を更に含み、構造体の各々は、締結具を収容する。
【0007】
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態は、静電チャックアセンブリを製造する方法を網羅する。本方法は、下部パックプレート内に複数の構造体を形成する工程を含む。本方法は、パックを形成するために下部パックプレートを上部パックプレートに金属接合で接合する工程であって、上部パックプレートは、1以上の加熱素子と、基板を静電的に固定するための1以上の電極とを含む工程を更に含む。本方法は、パーフルオロポリマー(PFP)製ガスケット又はPFP製Oリングのうちの少なくとも1つを冷却プレートの少なくとも一部の上面に配置する工程を更に含む。本方法は、下部パックプレート内に形成された複数の構造体のそれぞれの中に複数の締結具のうちの1つを挿入する工程を更に含む。本方法は、複数の締結具を締め付けることによって冷却プレートをパックに結合する工程を更に含む。複数の締結具は、冷却プレートをパックに結合するためにほぼ等しい締結力を印加するようにほぼ等しく締め付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、添付図面の図の中で、限定としてではなく、例として示され、同様の参照符号は同様の要素を示す。この開示における「一」又は「1つの」実施形態への異なる参照は、必ずしも同じ実施形態への参照ではなく、そのような参照は、少なくとも1つを意味することに留意すべきである。
図1】処理チャンバの一実施形態の断面側面図である。
図2】基板支持アセンブリの一実施形態の分解図を示す。
図3】静電チャックアセンブリの一実施形態の断面上面図を示す。
図4】静電チャックアセンブリの一実施形態の断面側面図で示す。
図5】静電チャックアセンブリの別の一実施形態の断面側面図である。
図6】静電チャックアセンブリを製造する処理の一実施形態を示す。
【実施形態の詳細な説明】
【0009】
本発明の実施形態は、基板支持アセンブリと、締結具の集合体によって冷却プレートに結合されたパックを含む静電チャックアセンブリとを提供する。パックを冷却プレートに固定するために、複数の締結具が使用される。複数の締結具は、パックの中心から異なる距離に配置される。一実施形態では、第1セットの締結具は、パックの中心から第1の半径に配置され、第2セットの締結具は、パックの中心から第2の半径に配置される。複数の締結具は、冷却プレートの上面又は表面全域に亘ってほぼ均一に分布させ、締結力を均等に分配して、パックを冷却プレートに結合することができる。締結具は、各締結具によって印加される締結力がほぼ同じとなることを保証するために、すべて同じ量で締め付けることができる。これは、パックとパックの上の冷却プレートとの間の均一な熱伝達特性を促進する。
【0010】
一実施形態では、静電チャックアセンブリは、金属接合によって下部パックプレートに結合された電気絶縁性上部パックプレートを有するパックを含む。金属接合は、アルミニウム接合、AlSi合金接合、又は他の金属接合とすることができる。上部パックプレートは、1以上の加熱素子と、基板を静電的に固定するための1以上の電極とを含む。下部パックプレートは、下部パックプレートの中心から異なる距離で下部パックプレートの底面に分布する複数の構造体を含む。構造体の各々は、複数の締結具のうちの1つを収容する。静電チャックアセンブリは、締結具によってパックに結合された冷却プレートを更に含む。冷却プレートは、ベース部(冷却ベースと呼ばれる)と、複数のばねによってベース部に接続されたばね付勢された内側ヒートシンクとを含み、複数のばねは、内側ヒートシンクをパックに対して押し付ける力を印加する。締結具はそれぞれ、冷却プレートをパックに結合する(例えば、冷却プレートのベース部をパックに結合する)ためにほぼ等しい締結力を印加する。このほぼ等しい締結力は、冷却プレートとパックとの間の均一な熱伝達を促進することができる。更に、ばね付勢された内側ヒートシンクもまた、冷却プレートとパックとの間の均一な熱伝達を促進することができる。
【0011】
図1は、内部に静電チャックアセンブリ150が配置された半導体処理チャンバ100の一実施形態の断面図である。静電チャックアセンブリ150は、以下でより詳細に説明されるように、下部パックプレートに結合された上部パックプレートを有する静電パック(パック166)を含む。パック166は、以下でより詳細に説明されるように、複数の締結具によって冷却プレートに結合される。
【0012】
処理チャンバ100は、内部容積106を囲むチャンバ本体102及び蓋104を含む。チャンバ本体102は、アルミニウム、ステンレス鋼、又は他の適切な材料から製造することができる。チャンバ本体102は、一般的に、側壁108及び底部110を含む。外側ライナ116は、側壁108に隣接して配置され、チャンバ本体102を保護することができる。外側ライナ116は、耐プラズマ性又は耐ハロゲン含有ガス性材料で製造及び/又はコーティングすることができる。一実施形態では、外側ライナ116は、酸化アルミニウムから製造される。別の一実施形態では、外側ライナ116は、イットリア、イットリウム合金、又はそれらの酸化物から製造される、又はイットリア、イットリウム合金又は、それらの酸化物でコーティングされる。
【0013】
排気ポート126は、チャンバ本体102内に画定されることができ、内部容積106をポンプシステム128に結合することができる。ポンプシステム128は、排気し、処理チャンバ100の内部容積106の圧力を調整するために使用される1以上のポンプ及びスロットルバルブを含むことができる。
【0014】
蓋104は、チャンバ本体102の側壁108上に支持することができる。蓋104は、処理チャンバ100の内部容積106へのアクセスを可能にするように開放することができ、閉じている間、処理チャンバ用のシールを提供することができる。ガスパネル158を処理チャンバ100に結合して、蓋104の一部であるガス分配アセンブリ130を介して内部容積106に処理ガス及び/又は洗浄ガスを供給することができる。処理ガスの例は、ハロゲン含有ガス(とりわけ、C、SF、SiCl、HBr、NF、CF、CHF、CH、Cl、及びSiFなど)、及び他のガス(例えば、O又はNO)を含む処理チャンバを含み、処理チャンバ内で処理するために使用することができる。キャリアガスの例は、N、He、Ar、及び処理ガスに対して不活性な他のガス(例えば、非反応性ガス)を含む。ガス分配アセンブリ130は、ガス分配アセンブリ130の下流面に複数の開口132を有し、ガス流を基板144の表面に向けることができる。追加的又は代替的に、ガス分配アセンブリ130は、ガスがセラミックスガスノズルを通して供給される中心穴を有することができる。ガス分配アセンブリ130は、セラミックス材料(例えば、炭化ケイ素、酸化イットリウムなど)によって製造及び/又はコーティングされ、ハロゲン含有化学物質への耐性を提供し、ガス分配アセンブリ130が腐食するのを防いでもよい。
【0015】
基板支持アセンブリ148は、ガス分配アセンブリ130の下の処理チャンバ100の内部容積106に配置される。基板支持アセンブリ148は、処理中に基板144を保持する。内側ライナ118は、基板支持アセンブリ148の周辺部にコーティングされてもよい。内側ライナ118は、耐ハロゲン含有ガス性材料(例えば、外側ライナ116を参照して論じられたもの)とすることができる。一実施形態では、内側ライナ118は、外側ライナ116と同じ材料から製造することができる。
【0016】
一実施形態では、基板支持アセンブリ148は、台座152を支持する取り付けプレート162と、静電チャックアセンブリ150とを含む。一実施形態では、静電チャックアセンブリ150は、複数の締結具によって静電パック(以下、本明細書ではパック166と呼ぶ)に結合された冷却プレートと本明細書で呼ばれる熱伝導性ベースを更に含む。実施形態に説明される静電チャックアセンブリ150は、静電チャック164を含む。実施形態で説明される静電チャックアセンブリ150は、ジョンソン・ラーベック及び/又はクーロン静電チャッキング用に使用することができる。
【0017】
一実施形態では、保護リング146は、パック166の外周でパック166の一部の上に配置される。一実施形態では、パック166は、保護層136でコーティングされる。あるいはまた、パック166は、保護層136でコーティングされなくてもよい。保護層136は、セラミックス(例えば、Y(イットリア又は酸化イットリウム)、YAl(YAM)、Al(アルミナ)、YAl12(YAG)、YAlO(YAP)、石英、SiC(炭化ケイ素)、Si(窒化ケイ素)、サイアロン、AlN(窒化アルミニウム)、AlON(酸窒化アルミニウム)、TiO(チタニア)、ZrO(ジルコニア)、TiC(炭化チタン)、ZrC(炭化ジルコニウム)、TiN(窒化チタン)、TiCN(炭窒化チタン)、Y安定化ZrO(YSZ)など)とすることができる。保護層はまた、セラミックス複合材料(例えば、Alマトリックス内に分布したYAl12、Y-ZrO固溶体、又はSiC-Si固溶体)であってもよい。保護層はまた、酸化イットリウム(イットリア及びYとしても知られている)含有固溶体を含むセラミックス複合材料であってもよい。例えば、保護層は、化合物YAl(YAM)と固溶体Y2-xZr(Y-ZrO固溶体)とからなるセラミックス複合材料であってもよい。なお、純粋な酸化イットリウムならびに酸化イットリウム含有固溶体は、ZrO、Al、SiO、B、Er、Nd、Nb、CeO、Sm、Yb、又は他の酸化物のうちの1以上でドープされてもよい。なお、純粋な窒化アルミニウムならびにZrO、Al、SiO、B、Er、Nd、Nb、CeO、Sm、Yb、又は他の酸化物のうちの1以上でドープされた窒化アルミニウムを使用することもできる。あるいはまた、保護層は、サファイア又はMgAlONであってもよい。
【0018】
パック166は、金属接合で接合された上部結合プレート(図示せず)及び下部結合プレート(図示せず)を含む。上部パックプレートは、180℃以上の温度で半導体処理に使用可能な(例えば、1014オーム・メートルよりも大きい電気抵抗率を有する)誘電体又は電気絶縁性材料とすることができる。一実施形態では、上部パックプレートは、約20℃~約500℃で使用可能な材料で構成される。一実施形態では、上部パックプレートはAlNである。AlN上部パックプレートは、ドープされていなくても、ドープされていてもよい。例えば、AlNは、酸化サマリウム(Sm)、酸化セリウム(CeO)、二酸化チタン(TiO)、又は遷移金属酸化物でドープすることができる。一実施形態では、上部パックプレートはAlである。Al上部パックプレートは、ドープされていなくても、ドープされていてもよい。例えば、Alは、二酸化チタン(TiO)又は遷移金属酸化物でドープすることができる。
【0019】
下部パックプレートは、上部パックプレートの熱膨張係数に一致する熱膨張係数を有することができる。一実施形態では、下部パックプレートは、AlSi合金(AlSiSiCと呼ばれる)で溶浸されたSiC多孔質体である。あるいはまた、下部パックプレートは、AlN又はAlであってもよい。一実施形態では、下部パックプレートは、ドープされていないAlN又はドープされていないAlである。一実施形態では、下部パックプレートは、上部パックプレートと同じ材料で構成される。AlSiSiC材料、AlN、又はAlは、例えば、反応性エッチング環境又は不活性環境内で使用することができる。
【0020】
一実施形態では、下部パックプレートはモリブデンである。例えば、パック166が不活性環境内で使用される場合、モリブデンを使用することができる。不活性環境の例としては、不活性ガス(例えば、Ar、O、Nなど)を内部に流す環境が挙げられる。例えば、パック166が金属堆積用に基板をチャックする場合、モリブデンを使用することができる。モリブデンはまた、腐食環境内における用途(例えば、エッチング用途)のために、下部パックプレート用に使用されてもよい。このような実施形態では、下部パックプレートが上部パックプレートに接合された後、下部パックプレートの露出面は、耐プラズマコーティングでコーティングされてもよい。耐プラズマコーティングは、プラズマ溶射プロセスを介して行われてもよい。耐プラズマコーティングは、例えば、下部パックプレートの側壁及び下部パックプレートの露出した水平段差を覆うことができる。一実施形態では、耐プラズマコーティングはAlである。あるいはまた、耐プラズマコーティングは、Y又はY含有酸化物であってもよい。あるいはまた、耐プラズマコーティングは、保護層136に関して記載された材料のいずれかであってもよい。
【0021】
取り付けプレート162は、チャンバ本体102の底部110に結合され、ユーティリティ(例えば、流体、電力線、センサリードなど)を冷却プレート164及びパック166まで経路付け(ルーティング)するための通路を含む。冷却プレート164及び/又はパック166は、1以上のオプションの埋設型加熱素子176、オプションの埋設型断熱器(サーマルアイソレータ)174、及び/又はオプションの導管168、170を含み、基板支持アセンブリ148の横方向の温度プロファイルを制御することができる。一実施形態では、サーマルガスケット138が、冷却プレート164の少なくとも一部の上に配置される。
【0022】
導管168、170は、導管168、170を通して温度調節流体を循環させる流体源172に流体結合させることができる。一実施形態では、導管168、170の間に埋設型断熱器174を配置することができる。埋設された加熱素子176は、ヒータ電源178によって調整される。導管168、170及び埋設された加熱素子176は、パック166の温度を制御するために利用され、それによってパック166及び処理される基板(例えば、ウェハ)を加熱及び/又は冷却することができる。一実施形態では、パック166は、異なる温度を維持することができる2つの別個の加熱ゾーンを含む。別の一実施形態では、パック166は、異なる温度を維持することができる4つの異なる加熱ゾーンを含む。静電パック166及び熱伝導ベース164の温度は、コントローラ195を使用して監視することができる複数の温度センサ190、192を使用して監視することができる。
【0023】
パック166は、パック166の上面に形成することができる複数のガス通路(例えば、溝、メサ、及び他の表面構造体)を更に含むことができる。ガス通路は、パック166内に穿孔された穴を介して熱伝達(又は裏面)ガス(例えば、He)の供給源に流体結合することができる。動作中、裏面ガスは、制御された圧力でガス通路に供給されて、パック166と基板144との間の熱伝達を向上させることができる。
【0024】
一実施形態では、パック166は、チャッキング電源182によって制御される少なくとも1つのクランプ電極180を含む。クランプ電極180(チャッキング電極とも呼ばれる)は、処理チャンバ100内で処理ガス及び/又は他のガスから形成されたプラズマを維持するための整合回路188を介して1以上のRF電源184、186に更に結合させることができる。1以上のRF電源184、186は、一般的に、約50kHz~約3GHzの周波数及び最大約10、000ワットの電力を有するRF信号を生成可能である。一実施形態では、RF信号が金属ベースに印加され、交流電流(AC)がヒータに印加され、直流電流(DC)がクランプ電極180に印加される。
【0025】
図2は、基板支持アセンブリ148の一実施形態の分解図を示す。基板支持アセンブリ148は、パック166及び台座152を含む静電チャックアセンブリ150の分解図を示す。静電チャックアセンブリ150は、パック166ならびにパック166に取り付けられた冷却プレート164を含む。図示されるように、Oリング240は、冷却プレート164の上面の周囲に沿って冷却プレート164に加硫処理することができる。あるいはまた、Oリングは、冷却板164の上面に加硫処理されることなく配置されてもよい。本明細書では、冷却プレート164の少なくとも一部に加硫処理されるOリング及びガスケットを参照して実施形態を説明する。しかしながら、Oリング及び/又はガスケットは、その代わりに、下部パックプレートに加硫処理されてもよいことが理解されるべきである。あるいはまた、Oリング及び/又はガスケットは、いずれの表面にも加硫処理されなくてもよい。一実施形態では、Oリング240は、パーフルオロポリマー(PFP)製Oリングである。あるいはまた、他のタイプの高温Oリングを使用してもよい。一実施形態では、断熱性高温Oリングが使用される。Oリング240は、第1の厚さの第1段と、第2の厚さの第2段とを有する階段状のOリングとすることができる。これは、締結具を締め付けるために使用される力の量を、PFP製Oリング240の設定圧縮量後に劇的に増加させることによって、締結具の均一な締め付けを促進することができる。
【0026】
追加のOリング(図示せず)がまた、ケーブルが通る冷却プレート164の中心で穴280の周囲の冷却プレートの上面に加硫処理されてもよい。他のより小さいOリングもまた、他の開口の周り、リフトピンの周りなどの冷却プレート164に加硫処理されてもよい。あるいはまた、ガスケット(例えば、PFP製ガスケット)が、冷却プレート164の上面に加硫処理されてもよい。ガスケット又はOリング240に使用可能なPFPの例は、デュポン(商標名)のECCtreme(商標名)、デュポンのKALREZ(商標名)及びダイキン(商標名)のDUPRA(商標名)である。Oリング240又はガスケットは、チャンバ内部容積と静電チャックアセンブリ150内の内部容積との間の真空シールを提供する。静電チャックアセンブリ150内の内部容積は、導管及び配線を引き回すために台座152内に開放空間を含む。
【0027】
冷却プレート164は、締結具が挿入される多数の構造体242を更に含む。ガスケットが使用される場合、ガスケットは、構造体242の各々において切欠きを有することができる。締結具は、構造体242のそれぞれを通って延在し、パック166内に形成された追加の構造体内に挿入される締結具(又は追加の締結具)の追加部分に取り付けられる。例えば、ボルトは、冷却プレート164内の構造体242を通って延在し、パック166の構造体内に配置されたナット内にねじ込まれてもよい。冷却プレート164内の各構造体242は、パック166の下部パックプレート232内の類似の構造体(図示せず)と整列してもよい。
【0028】
パック166は、その上に配置された基板144の形状及びサイズに実質的に一致することができる環状周辺部を有するディスク状の形状を有する。パック166の上面は、外側リング216、複数のメサ206、210、及びメサ210の間のチャネル208、212を有することができる。パック166は、金属接合によって下部パックプレート232に接合された上部パックプレート230を含む。一実施形態では、上部パックプレート230は、電気的に絶縁性のセラミックス材料によって製造することができる。セラミックス材料の好適な例としては、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)などが挙げられる。
【0029】
一実施形態では、下部パックプレート232に使用される材料は、下部パックプレート232材料の熱膨張係数(CTE)が電気絶縁性上部パックプレート230材料の熱膨張係数と実質的に一致するように適切に選択し、これによってCTEの不一致を最小にし、熱サイクル中にパック166に損傷を与える可能性のある熱機械的応力を回避することができる。一実施形態では、下部パックプレート232はモリブデンである。一実施形態では、下部パックプレートはアルミナである。一実施形態では、下部パックプレートはAlNである。
【0030】
一実施形態では、導電性金属マトリックス複合(MMC)材料が下部パックプレート232に使用される。MMC材料は、金属マトリックスと、マトリックス全体に埋め込まれて分散された強化材料とを含む。金属マトリックスは、単一の金属又は2以上の金属又は金属合金を含むことができる。使用可能な金属は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、コバルトニッケル合金(CoNi)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、金(Au)、銀(Ag)、又はそれらの様々な組み合わせを含むが、これらに限定されない。補強材料は、MMCの所望の構造強度を提供するように選択することができ、例えば、熱伝導率及びCTEなどのMMCの他の特性に所望の値を提供するように選択することもできる。使用可能な補強材料の例は、シリコン(Si)、炭素(C)、又は炭化ケイ素(SiC)を含むが、他の材料を使用することもできる。
【0031】
下部パックプレート232用のMMC材料は、好ましくは、所望の導電性を提供し、静電チャックアセンブリ150の動作温度範囲にわたって、上部パックプレート230の材料のCTEに実質的に一致するように選択される。一実施形態では、温度は、約20℃~約500℃の範囲とすることができる。一実施形態では、CTEを一致させることは、MMC材料が上部パックプレート230の材料内でも使用される少なくとも1つの材料を含むようにMMC材料を選択することに基づく。一実施形態では、上部パックプレート230はAlNを含む。一実施形態では、MMC材料は、AlSi合金で溶浸されたSiC多孔質体を含む。
【0032】
MMCの構成材料及び組成百分率は、望ましい設計目的を満たす工学的材料を提供するように選択することができる。例えば、下部パックプレート232と上部パックプレート230のCTEを密接に一致させるようにMCC材料を適切に選択することによって、下部パックプレート232と上部パックプレート230との間の界面における熱機械的応力が低減される。
【0033】
下部パックプレート232は、締結具を受け入れるための多数の構造体(図示せず)を含むことができる。構造体は、下部パックプレート232の表面全域にわたってほぼ均一に分布されてもよく、下部パックプレート232の中心からの第1の距離の第1セットの構造体と、下部パックプレート232の中心から第2の距離の第2セットの構造体を含むことができる。
【0034】
パック166の下に取り付けられた冷却プレート164は、円盤状の主部224と、主部224から外向きに延在し、台座152上に位置する環状フランジとを有することができる。一実施形態では、冷却プレート164は、金属(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)又は他の適切な材料によって形成することができる。あるいはまた、冷却プレート164は、パック166の熱膨張係数を一致させるために、複合セラミックス(例えば、アルミニウム-シリコン合金溶浸SiC又はモリブデン)によって製造することができる。冷却プレート164は、良好な強度及び耐久性ならびに熱伝達特性を提供するべきである。
【0035】
図3は、パック166の一実施形態の断面上面図を示す。図示されるように、パック166は、パック166によって支持されることができる基板又はウェハの半径と実質的に同様とすることができる半径R3を有する。パック166は、複数の構造体305を更に含む。構造体は、パック166が取り付けられる冷却プレート内の同様の構造体と一致させることができる。各構造体305は締結具を収容する。例えば、ボルトの頭部が、ボルトの頭部を収容するのに十分な大きさの開口部の内側になり、ボルトのシャフトが、パック166の底面から外へと延在するように、ボルト(例えば、ステンレス鋼ボルト、亜鉛メッキ鋼ボルトなど)を各構造体内に配置することができる。ボルトは、冷却プレート内の対応する構造体内に配置されたナットに締め付けることができる。あるいはまた、構造体305は、ナットを収容するような大きさとすることができ、冷却プレート内の対応する構造体によって収容されるボルトのシャフトを受け入れることができる穴を含むことができる。別の一例では、ヘリカルインサート(例えば、Heli-Coil(商標名))又は他のねじ付きインサート(例えば、圧入インサート、モールドインインサート、キャプティブナットなど)を、ねじ穴を追加するための1以上の構造体内に挿入することができる。冷却プレートの内部に配置され、冷却プレートから突出しているボルトは、その後、冷却プレートをパックに固定するためにねじ付きインサートにねじ込まれてもよい。あるいはまた、ねじ付きインサートを冷却プレート内に使用してもよい。
【0036】
構造体305は、締結具のより大きな熱膨張係数を調整するために、締結具のサイズに比べてわずかに大きくすることができる。一実施形態では、締結具は、締結具が500又は600℃に加熱されたときに、締結具が構造体に力を及ぼさないようなサイズにされる。
【0037】
図示のように、複数のセットの構造体305がパック166に含まれてもよい。構造体305の各セットは、パック166の中心から特定の半径又は距離で等間隔に配置することができる。例えば、図示のように、第1セットの構造体305が半径R1に配置され、第2セットの構造体305が半径R2に配置される。追加のセットの構造体がまた、追加の半径に配置されてもよい。
【0038】
一実施形態では、構造体は、パック166上に均一な荷重を生成するように配置される。一実施形態では、構造体は、ボルトが約30~70平方センチメートル毎(例えば、50平方センチメートル毎)に位置するように配置される。一実施形態では、12インチのパック166に対して、3セットの構造体が使用される。第1セットの構造体は、パック166の中心から約4インチに位置し、約4つの構造体を含むことができる。第2セットの構造体は、パック166の中心から約6インチに位置し、約6つの構造体を含むことができる。第3セットの構造体は、パック166の中心から約8インチに位置し、約8つの構造体を含むことができる。一実施形態では、パック166は、2~3の異なる半径でセットに配置された約8~24個の構造体を含み、各構造体は締結具を収容する。
【0039】
図4は、静電チャックアセンブリ150の一実施形態の断面側面図を示す。静電チャックアセンブリ150は、上部パックプレート230と、金属接合450によって共に接合された下部パックプレート232とから構成されるパック166を含む。一実施形態では、金属接合の方法として拡散接合が使用されるが、他の接合方法を使用することもできる。一実施形態では、上部パックプレート230及び下部パックプレート232は、アルミニウムを含む材料(例えば、AlN又はAl)を含む。金属接合450は、上部パックプレート230と下部パックプレート232との間の接合領域に配置されたアルミニウム箔の「中間層」を含むことができる。圧力と熱を加えて、アルミニウム箔と上部パックプレート230との間、及びアルミニウム箔と下部パックプレート232との間に拡散接合を形成することができる。別の一実施形態では、拡散接合は、上部パックプレート230及び下部パックプレート232のために使用される材料に基づいて選択される他の中間層材料を使用して形成されてもよい。別の一実施形態では、上部パックプレート230は、直接的な拡散接合を用いて下部パックプレート232に直接接合されてもよく、この場合、中間層は接合を形成するために使用されない。
【0040】
耐プラズマ高温Oリング445は、パーフルオロポリマー(PFP)で作ることができる。Oリング445は、無機添加剤(例えば、SiC)を有するPFPであってもよい。Oリングは、交換可能であってもよい。Oリング445が劣化したとき、これを取り除くことができ、新たなOリングを上部パックプレート230の上に引き伸ばして、上部パックプレート230と下部パックプレート232との間の界面のパック166の周囲に配置することができる。Oリング445は、金属接合450をプラズマによる浸食から保護することができる。
【0041】
上部パックプレート230は、メサ210、チャネル212、及び外側リング216を含む。上部パックプレート230は、クランプ電極180及び1以上の加熱素子176を含む。クランプ電極180は、チャッキング電源182に結合され、整合回路188を介してRFプラズマ電源184及びRFバイアス電源186に結合される。上部パックプレート230及び下部パックプレート232は、追加的にガス供給孔(図示せず)を含むことができ、これを通してガス供給源440は、裏面ガス(例えば、He)をポンピングする。
【0042】
上部パックプレート230は、約3~25mmの厚さを有することができる。一実施形態では、上部パックプレート230は、約3mmの厚さを有する。クランプ電極180は、上部パックプレート230の上面から約1mmのところに配置することができ、加熱素子176は、クランプ電極180の下の約1mmのところに配置することができる。加熱素子176は、約10~200ミクロンの厚さを有するスクリーン印刷された加熱素子とすることができる。あるいはまた、加熱素子は、上部パックプレート230の厚さの約1~3mmを使用する抵抗コイルであってもよい。このような実施形態では、上部パックプレート230は、約5mmの最小厚さを有することができる。一実施形態では、下部パックプレート232は、約8~25mmの厚さを有する。
【0043】
加熱素子176は、上部パックプレート230を加熱するためのヒータ電源178に電気的に接続されている。上部パックプレート230は、電気絶縁材料(例えば、AlN)を含むことができる。下部パックプレート232及び上部パックプレート232は、同じ材料で作ることができる。一実施形態では、下部パックプレート232は、上部パックプレート230に使用される材料とは異なる材料で作られる。一実施形態では、下部パックプレート232は、金属マトリックス複合材料から構成される。一態様では、金属マトリックス複合材料は、アルミニウム及びシリコンを含む。一実施形態では、金属マトリックス複合材料は、AlSi合金で溶浸したSiC多孔質体である。
【0044】
下部パックプレート232は、流体源172と流体連通する1以上の導管170(本明細書では冷却チャネルとも呼ばれる)を有する冷却プレート164に結合され、熱伝達する。冷却プレート164は、複数の締結具405によってパック166に結合される。締結具405は、ねじ締結具(例えば、ナットとボルトのペア)とすることができる。図示のように、下部パックプレート232は、締結具405を収容するための複数の構造体430を含む。冷却プレート164は、同様に、締結具405を収容するための複数の構造体432を含む。一実施形態では、構造体は座ぐり穴を有するボルト穴である。図示のように、構造体430は、下部パックプレート232を通って延在する貫通形状である。あるいはまた、構造体430は、貫通形状でなくてもよい。一実施形態では、構造体430は、T字形のボルト頭部を、又はスロット内に挿入され、その後90度回転することができる長方形のナットを収容するスロットである。一実施形態では、締結具は、ワッシャ、グラフォイル、アルミニウム箔、又は構造体に対して均一に締結具の頭部からの力を分配する他の荷重分散材料を含む。
【0045】
(図示されるような)一実施形態では、PFP製Oリング410は、冷却プレート164の周囲で冷却プレートに加硫処理される(又は他の方法で配置される)。あるいはまた、PFP製Oリング410は、下部冷却プレート232の底面に加硫処理されてもよい。締結具405は、PFP製Oリング410を圧縮するために締め付けることができる。締結具405は全て、ほぼ同じ力で締め付けられ、パック166と冷却プレートとの間の分離部415を、パック166と冷却プレート164との間の界面全体に亘ってほぼ同一(均一)であるようにすることができる。これは、冷却プレート164とパック166との間の熱伝達特性が均一になることを保証することができる。一実施形態では、分離部415は約2~10ミルである。例えば、PFP製Oリング410がグラフォイル層なしで使用される場合、分離部は2~10ミルであってもよい。グラフォイル層がPFP製Oリング410と共に使用される場合、分離部は約10~40ミルとすることができる。より大きな分離部は、熱伝達を減少させ、パック166と冷却プレート164との間の界面をサーマルチョークとして作用させる。一実施形態では、伝導性ガスを分離部415内に流して、パック166と冷却プレート164との間の熱伝達を改善することができる。
【0046】
分離部415は、パック166と冷却プレート164との間の接触領域を最小化する。更に、パック166と冷却プレート164との間にサーマルチョークを維持することによって、パック166は、冷却プレート164よりもはるかに高い温度に維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、パック166は、摂氏180~300度の温度まで加熱することができ、一方、冷却プレート164は、摂氏約120℃未満の温度を維持することができる。パック166及び冷却プレート164は、熱サイクル中に独立して自由に膨張又は収縮する。
【0047】
分離部415は、加熱されたパック166から冷却された冷却プレート164への熱伝導経路を制限することによって、サーマルチョークとして機能することができる。真空環境では、伝熱媒体が供給されない限り、熱伝達は、主に放射過程となるかもしれない。パック166は、基板処理中に真空環境内に配置される可能性があるので、加熱素子176によって生成された熱は、分離部415を横切ってより非効率的に伝達させることができる。したがって、熱伝達に影響を及ぼす分離部及び/又は他の要因を調整することによって、パック166から冷却プレート164へ流れる熱流束を制御することができる。基板の効率的な加熱を提供するために、上部パックプレート230から離れて伝導される熱の量を制限することが望ましい。
【0048】
一実施形態(図示せず)では、PFP製Oリング410の周囲内のパック166と冷却プレート164との間に、グラフォイル層が配置される。グラフォイルは、約10~40ミルの厚さを有することができる。締結具405は、グラフォイル層ならびにPFP製Oリング410を圧縮するように締め付けることができる。グラフォイルは熱伝導性とすることができ、パック166と冷却プレート164との間の熱伝達を改善することができる。
【0049】
一実施形態(図示せず)では、冷却プレート164は、PFP製Oリング410が加硫処理されることができるベース部を含む。冷却プレート164は、1以上のばねによってベース部に接続されたばね付勢された内側ヒートシンクを更に含むことができる。ばねは、内側ヒートシンクをパック166に押し付ける力を印加する。ヒートシンクの表面は、パック166とヒートシンクとの間の熱伝達特性を制御する所定の粗さ及び/又は表面形状(例えば、メサ)を有することができる。更に、ヒートシンクの材料は、熱伝達特性に影響を与える可能性がある。例えば、アルミニウム製のヒートシンクは、ステンレス鋼製のヒートシンクよりも熱を良好に伝達するだろう。一実施形態では、ヒートシンクは、ヒートシンクの上面にグラフォイル層を含む。
【0050】
図5は、静電チャックアセンブリ505の別の一実施形態の断面側面図を示す。一実施形態では、静電チャックアセンブリ505は、図1及び図2の静電チャックアセンブリ150に対応する。静電チャックアセンブリ505は、上部パックプレート515と下部パックプレート520とで構成される静電パック510を含む。一実施形態では、静電パック510は、図3のパック166に対応する。一実施形態では、上部パックプレート515は、金属接合550によって下部パックプレート520に接合される。一実施形態では、金属接合の方法として拡散接合が使用される。しかしながら、他の接合方法を用いて金属接合を生成することもできる。
【0051】
上部パックプレート515は、電気絶縁性(誘電性)セラミックス(例えば、AlN又はAl)で構成されている。上部パックプレート515は、クランプ電極527と1以上の加熱素子529を含む。クランプ電極527は、チャッキング電源(図示せず)に結合され、整合回路(図示せず)を介してRFプラズマ電源(図示せず)及びRFバイアス電源(図示せず)に結合することができる。加熱素子529は、上部パックプレート515を加熱するためのヒータ電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0052】
上部パックプレート515は、約3~10mmの厚さを有することができる。一実施形態では、上部パックプレート515は、約3~5mmの厚さを有する。クランプ電極527は、上部パックプレート515の上面から約0.3~1mmに位置することができ、加熱素子529は、クランプ電極527の下、約2mmに位置することができる。加熱素子529は、約10~200ミクロンの厚さを有するスクリーン印刷された加熱素子とすることができる。あるいはまた、加熱素子529は、上部パックプレート515の厚さの約1~3mmを使用する抵抗コイルであってもよい。このような実施形態では、上部パックプレート515は、約5mmの最小厚さを有することができる。
【0053】
下部パックプレート520は、上部パックプレート515と類似又は一致する熱膨張係数(CTE)を有する材料で構成される。下部パックプレート520用に使用される材料は、下部パックプレート520材料のCTEが電気絶縁性上部パックプレート515材料のCTEと実質的に一致するように適切に選択し、これによってCTEの不一致を最小にし、熱サイクル中に静電チャックアセンブリ505に損傷を与える可能性のある熱機械的応力を回避することができる。したがって、上部パックプレート515がAlNである場合、下部パックプレート520もまたAlNとすることができる。同様に、上部パックプレートがAlである場合、下部パックプレート520もまたAlとすることができる。その他の材料(例えば、モリブデン、又はAlSiSiCなどの導電性金属マトリックス複合体(MMC))もまた下部パックプレート520に使用してもよい。
【0054】
一実施形態では、下部パックプレート520は、約8~25mmの厚さを有する。更なる一実施形態では、下部パックプレート520は、約8~20mmの厚さを有する。更なる一実施形態では、下部パックプレート520は、約12mmの厚さを有する。
【0055】
一実施形態では、下部パックプレート520は、耐プラズマセラミックスコーティング(図示せず)でコーティングされた粗面化された外壁を有する。耐プラズマセラミックスコーティングは、保護層136を参照して論じた耐プラズマセラミックスコーティングのいずれかに対応することができる。
【0056】
金属接合550は、上部パックプレート515と下部パックプレート520との間の接合領域に配置されたアルミニウム箔の「中間層」を含むことができる。圧力と熱を加えて、アルミニウム箔と上部パックプレート515との間、及びアルミニウム箔と下部パックプレート520との間に拡散接合を形成することができる。他の実施形態では、拡散接合は、上部パックプレート515及び下部パックプレート520のために使用される材料に基づいて選択される他の中間層材料を使用して形成されてもよい。一実施形態では、金属接合550は、約0.2~0.3mmの厚さを有する。一実施形態では、上部パックプレート515は、直接的な拡散接合を用いて下部パックプレート520に直接接合されてもよく、この場合、中間層は接合を形成するために使用されない。
【0057】
上部パックプレート515は、下部パックプレート520の直径よりも大きな直径を有していてもよい。一実施形態では、上部パックプレート515及び下部パックプレート520は、それぞれ約300mmの直径を有する。
【0058】
冷却プレート594のエッジは、上部パックプレート515の直径と同様の直径を有することができる。耐プラズマ高温Oリング545は、上部パックプレート515と冷却プレート594のベース部595との間に配置することができる。このOリング545は、静電チャックアセンブリ505の内部と処理チャンバとの間に真空シールを提供することができる。Oリング545は、パーフルオロポリマー(PFP)から製造することができる。一実施形態では、Oリング545は、無機添加剤(例えば、SiC)を有するPFPである。Oリング545は、交換可能であってもよい。Oリング545が劣化したとき、これを取り除くことができ、新たなOリングを上部パックプレート515の上に引き伸ばして、上部パックプレート515と冷却プレート594との間の界面の上部パックプレート515の周囲に配置することができる。Oリング545は、金属接合550をプラズマによる浸食から保護することができる。
【0059】
冷却プレート594は、ベース部(冷却ベースとも呼ばれる)595と、ヒートシンク(例えば、内部ヒートシンク)536とを含む。ヒートシンク536は、ヒートシンク536を下部パックプレート520に押し付けるように動作する1以上のばね570によってベース部595に結合することができ、一実施形態では、ばね570は、コイルばねである。ばね570は、ヒートシンク536を静電パック510に押し付ける力を印加する。ヒートシンク536は、流体源(図示せず)と流体連通する1以上の導管535(本明細書では冷却チャネルとも呼ばれる)を有することができる。ヒートシンク536の表面は、静電パック510とヒートシンク536との間の熱伝達特性に影響を及ぼす所定の粗さ及び/又は表面構造体(例えば、メサ)を有してもよい。更に、ヒートシンク536の材料は、熱伝達特性に影響を与えることができる。例えば、アルミニウム製ヒートシンク536は、ステンレス鋼製ヒートシンク536よりも熱を良好に伝達するだろう。一実施形態では、取り付けプレート540が冷却プレート594の下に配置され、冷却プレート594に結合される。
【0060】
下部パックプレート520は、締結具526を受け入れるための多数の構造体524を含むことができる。冷却プレート594は、同様に、締結具526を収容するための複数の構造体528を含むことができる。代替的に、又は追加的に、取り付けプレート540は、締結具を受け入れるための複数の構造体を含むことができる。構造体528は、構造体524と鉛直方向に整列することができる。構造体524、528は、下部パックプレート520及び冷却プレート594を通って貫通形状とすることができる。あるいはまた、構造体524、528は、貫通形状でなくてもよい。一実施形態では、構造体524、528は、座ぐり穴を有するボルト穴である。一実施形態では、構造体524、528は、T字形のボルト頭部を、又はスロット内に挿入され、その後90度回転することができる長方形のナットを収容するスロットである。
【0061】
一実施形態では、冷却プレート594は、構造体528、524に挿入される複数の締結具526によって静電パック510に結合される。締結具526は、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、モリブデン、又は他の金属とすることができる。締結具526は、ねじ締結具(例えば、ナットとボルトのペア)とすることができる。一実施形態では、締結具526は、ワッシャ、グラフォイル、アルミニウム箔、又は締結具の頭部から締結具に対して均一に力を分配するための他の荷重拡散材料を含む。一実施形態では、ヘリカルインサート(例えば、ヘリコイル(Heli-Coil)(商標名))又は他のねじ付きインサート(例えば、圧入インサート、モールドインインサート、キャプティブナットなど)を構造体524内に挿入して、これにねじ穴を追加することができる。冷却プレート594の内側(例えば、冷却プレート594のベース部595内の構造体524の内側)に配置され、冷却プレート594から突出しているボルトは、その後、冷却プレートをパックに固定するためにねじ付きインサートにねじ込むことができる。あるいはまた、ねじ付きインサートは、冷却プレート内で使用してもよい。
【0062】
一実施形態では、キャプティブナット、モールドインサート、圧入インサート、又は他のねじ付きインサートが、構造体524の内側に配置される。更なる一実施形態では、ねじ付きインサートの少なくとも一部が、構造体524への挿入前にろう付けされる。あるいはまた、金属箔を、ねじ付きインサートと構造体524の表面との間に配置してもよい。次いで、ねじ付きインサートを構造体524に固定するために、金属接合(例えば、拡散接合)の手順を実行してもよい。これは、組立中に増加した力の印加のための増加した耐久性を提供することができる。
【0063】
ヒートシンク536及び/又は冷却プレート594のベース部595は、静電パック510からの熱を吸収することができる。(図示のような)一実施形態では、低熱伝導性ガスケット525が、ヒートシンク536上に配置される。低熱伝導性ガスケット525は、例えば、ヒートシンク536に加硫処理される(又はその上に配置される)PFP製ガスケットとすることができる。一実施形態では、低熱伝導性ガスケットは、約0.2ワット/メートルケルビン(W/(m・K))以下の熱伝導率を有する。締結具526は、ほぼ同じ力で締め付けることができ、ばね570は、低熱伝導性ガスケット525を均一に圧縮するように、ヒートシンク536を下部パックプレート520に押し付けることができる。低熱伝導性ガスケット525は、熱伝達を減少させ、サーマルチョークとして機能することができる。
【0064】
一実施形態では、低熱伝導性ガスケット525の上に、グラフォイル層(図示せず)が配置される。グラフォイルは、約10~40ミルの厚さを有することができる。締結具526及び/又はばね570は、グラフォイル層ならびに低熱伝導性ガスケット525を圧縮することができる。グラフォイルは、熱伝導性とすることができ、ヒートシンク536を横切る横方向の熱伝達を改善することができる。
【0065】
静電パック510と冷却プレート594との間にサーマルチョークを維持することによって、静電パック510は、冷却プレート594よりもはるかに高い温度に維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、静電パック510は、摂氏200~300度の温度まで加熱することができ、一方、冷却プレート594は、摂氏約120℃未満の温度を維持することができる。一実施形態では、冷却プレート594を約60℃以下の温度に維持しながら、静電パック510を約250℃の温度まで加熱することができる。したがって、実施形態では、静電パック510と冷却プレート594との間で最大190℃のデルタが維持される。静電パック510及び冷却プレート594は、熱サイクル中に独立して自由に膨張又は収縮する。
【0066】
いくつかの実施形態では、処理中に静電パック510を貫通して支持された基板までRF信号を供給することが望ましい場合がある。一実施形態では、このようなRF信号の静電パック510を貫通しての伝達を促進するために、RFガスケット590と呼ばれる導電性ガスケットが、冷却プレート594のベース部595上に配置される。RFガスケットは、10-3オーム・メートルのオーダー以上の導電率を有し、最高約300℃の温度でばね作用を保持することができる。一実施形態では、RFガスケットは、金、銅、又は銀で被覆されたインコネル(クロムと鉄を含むニッケルの合金)である。RFガスケット590は、冷却プレート594のベース部595を下部パックプレート520に電気的に接続することができる。
【0067】
下部パックプレート520が低い導電率を有する実施形態(例えば、下部パックプレート520がAlN又はAlである場合)では、下部パックプレート520がRFガスケットに接触する場所の下部パックプレート520に穴を穿孔することができる。次いで、穴は、高導電性材料(例えば、金属(例えば、10-3オーム・メートルのオーダー以上の導電率を有する金属棒))で充填されてもよい。例えば、穴は、アルミニウム、タングステン、銅、ニッケル、モリブデン、銀、金などで充填することができる。したがって、導電路522が下部パックプレート520内に形成され、RF信号を金属接合550に電気的に接続することができる。一実施形態では、導電性パッドが、導電性経路522の周りの下部パックプレート520の表面に形成される。これは、金属接合550及びRFガスケット590への良好な電気的接触を確実にすることができる。一実施形態では、導電性経路522のために形成された穴を中心とする下部パックプレート520に浅い凹部が穿孔される。浅い凹部はまた、金属又は他の導電性材料で充填されてもよい。図示の例では、RFガスケット590及び導電性経路522は、ヒートシンク536の外側に(例えば、ヒートシンク536より静電チャックアセンブリ505の中心から更に離れたところに)ある。あるいはまた、RFガスケット590及び導電性経路522は、静電チャックアセンブリ505の中心近くに形成されてもよい。
【0068】
一実施形態では、金属接合550とRFガスケット590との間の導電性経路は、下部パックプレート520の外壁を金属層でコーティングすることによって形成される。金属層は、アルミニウム、銅、金、銀、これらの合金、又は他の金属とすることができる。下部パックプレート520の上部及び底部もまた、良好な電気的接触を保証するために、外壁の近くにおいて金属層で被覆されてもよい。そのような実施形態では、RFガスケット590は、下部パックプレート520の外壁の近くに配置することができる。
【0069】
別の一実施形態では、金属接合550とRFガスケット590との間の導電性経路は、下部パックプレート520内の中心穴の壁を金属層でコーティングすることによって形成される。金属層は、アルミニウム、銅、金、銀、これらの合金、又は他の金属とすることができる。下部パックプレート520の上部及び底部は、良好な電気的接触を保証するために、外壁の近くにおいて金属層で被覆されてもよい。そのような実施形態では、RFガスケット590は、下部パックプレート520の中心の近くに配置することができる。
【0070】
一実施形態では、サーマルスペーサ585は、冷却プレート594のベース部595上に(例えば、RFガスケット590に隣接して)配置される。サーマルスペーサ585は、冷却プレート595のベース部594が下部パックプレート520と接触しないことを確実にするために使用することができる。一実施形態では、Oリング580が、サーマルスペーサ585に隣接して配置される。一実施形態では、Oリング580は、PFP製Oリングとすることができる。Oリング580は、真空シールを促進するために使用することができる。
【0071】
一実施形態では、1以上のガス穴532、542が、冷却プレート594、下部パックプレート520、及び上部パックプレート515内に穿孔される。ガス穴532、542は、チャックされた基板の裏面に裏面ガス(例えば、ヘリウム)を供給するために使用することができる。一実施形態では、上部パックプレート515は、多孔質プラグ534で終端を迎えるガス穴532を含む。ガス穴532は、多孔質プラグ534をより大きな直径の穴に挿入することができるように、より大きな直径の穴によって座ぐり加工された貫通穴とすることができる。多孔質プラグ534は、AlN又はAlなどの多孔質セラミックスとすることができる。多孔質プラグ534は、アーク放電を防止する、及び/又は静電パック505内にプラズマが生成されるのを防止することができる。多孔質プラグは、約30%~約60%の間の空孔率を有することができる。
【0072】
一実施形態では、ヒートシンク536は穴を含み、冷却プレート594のベース部595は、ヒートシンク536内の穴を通って延びる突起544を含む。穴542は、突起544内に(例えば、突起544の中心に)穿孔されてもよい。一実施形態では、Oリング538は、突起544の上部に配置されている。締結具526は、締め付けられたときにOリング538を圧縮することができる。Oリング538は、Oリング545及び/又はOリング580と同じタイプのOリングであってもよい。
【0073】
図6は、静電チャックアセンブリを製造するための処理600の一実施形態を示す。処理600のブロック605では、構造体が下部パックプレート内に形成される。下部パックプレートは、AlSiSiCプレート、AlNプレート、Alプレート、又はモリブデンプレートとすることができる。下部パックプレート内に形成された構造体は、締結具を収容するための構造体を含むことができる。更に、1以上のガス穴を下部パックプレートに穿孔することができる。更に、1以上の他の穴を下部パックプレートに穿孔し、金属棒又は他の導電性材料で充填して、RF信号用の導電性経路を提供することができる。一実施形態では、下部パックプレート内の1以上の他の穴の両端に浅い穴が穿孔され、金属又は他の導電性材料で充填される。上部パックプレートもまた、1以上のガス供給穴を形成するように加工することができる。一実施形態では、上部パックプレート内のガス供給穴は、座ぐり加工され、座ぐりは、多孔質プラグで充填される。
【0074】
ブロック610では、下部パックプレートは上部パックプレートに金属接合されてパックを形成する。上部パックプレートは、埋め込まれた加熱素子及びクランプ電極を有する電気絶縁性材料(誘電体)とすることができる。一実施形態では、金属接合は、上部パックプレートと下部パックプレートとの間にAl又はAlSi合金の金属箔を配置することによって形成される。一実施形態では、金属箔は、約50ミクロンの厚さとすることができる。金属箔と上部パックプレートと下部パックプレートとの間に拡散接合を形成するために圧力と熱が印加されてもよい。
【0075】
一実施形態では、上部パックプレートを下部パックプレートに接合する前に、ねじ付きインサートが、下部パックプレート内に形成された構造体内に配置される。一実施形態では、ねじ付きインサートは、ろう付けされる。別の一実施形態では、構造体へのねじ付きインサートの配置の前に、金属箔が構造体内に配置される。金属接合プロセスの間、ねじ付きインサートは、金属接合によって下部パックプレートに接合されてもよい。
【0076】
ブロック615では、PFP製ガスケット又はOリングが、冷却プレートの上面上に配置される。一実施形態では、PFP製ガスケット又はOリングは、冷却プレートの上面に加硫処理される。冷却プレートは、例えば、冷却流体を流すための複数のチャネルを備えたアルミニウム又はアルミニウム合金の冷却プレートとすることができる。冷却プレートはまた、内部に構造体を形成することができる。冷却プレート内の構造体及び下部パックプレート内の構造体はそれぞれ、締結具(例えば、ボルト及び/又はナット)を収容することができる。一実施形態では、冷却プレートは、ベース部及びヒートシンクを含む。PFP製ガスケットは、ヒートシンク上に配置することができ、いくつかの実施形態では、構造体は、ベース部内に形成することができる。一実施形態では、グラフォイル層がPFP製ガスケットの上に形成される。
【0077】
ブロック620では、締結具が、下部パックプレート及び/又は冷却プレート内の構造体内に挿入される。一実施形態では、下部パックプレートが上部パックプレートに接合される前に、締結具(又は締結具の少なくとも一部)が下部パックプレート内に挿入される。そのような実施形態では、締結具は、パック内に恒久的に埋め込むことができる。ブロック625では、パックは、締結具を締め付けることによって(例えば、下部パックプレート内の構造体から冷却プレート内の構造体内にあるナット内に突出するボルトを通すことによって)冷却プレートに結合される。
【0078】
前述の説明は、本発明のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、具体的なシステム、コンポーネント、方法等の例などの多数の具体的な詳細を説明している。しかしながら、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施することができることが当業者には明らかであろう。他の例において、周知のコンポーネント又は方法は、本発明を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明しないか、単純なブロック図形式で提示されている。したがって、説明された具体的な詳細は、単なる例示である。特定の実装では、これらの例示的な詳細とは異なる場合があるが、依然として本発明の範囲内にあることが理解される。
【0079】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」への参照は、その実施形態に関連して記載された特定の構成、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。したがって、本明細書を通じて様々な場所における「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指すものではない。また、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」を意味することを意図している。「約」又は「ほぼ」という用語が本明細書で使用される場合、これは提示される公称値が±10%以内で正確であることを意味することを意図している。
【0080】
本明細書内の本方法の操作は、特定の順序で図示され説明されているが、特定の操作を逆の順序で行うように、又は特定の操作を少なくとも部分的に他の操作と同時に実行するように、各方法の操作の順序を変更することができる。別の一実施形態では、異なる操作の命令又は副操作は、断続的及び/又は交互の方法とすることができる。一実施形態では、複数の金属接着操作は、単一工程として実行される。
【0081】
なお、上記の説明は例示であり、限定的ではないことを意図していることが理解されるべきである。上記の説明を読み理解することにより、多くの他の実施形態が当業者にとって明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6