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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ヒトノロウイルスの増殖
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/00 20060101AFI20230927BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20230927BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230927BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20230927BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20230927BHJP
【FI】
C12N7/00
C12Q1/70
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
C12N5/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020510836
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019012649
(87)【国際公開番号】W WO2019189049
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2018059354
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度 国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業、大学発新産業創出プログラム、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000173692
【氏名又は名称】一般財団法人阪大微生物病研究会
(74)【代理人】
【識別番号】100137512
【弁理士】
【氏名又は名称】奥原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100178571
【弁理士】
【氏名又は名称】関本 澄人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】幸 義和
(72)【発明者】
【氏名】清野 宏
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/059449(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/154795(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/147975(WO,A1)
【文献】Scientific Reports, 2017年,Vol.7,12621 (p.1-12),DOI:10.1038/s41598-017-12736-2
【文献】Science,2016年09月23日,Vol.353, Issue 6306,p.1387-1393
【文献】Viruses,2015年07月13日,Vol.7,p.3835-3856
【文献】Nature,2011年02月03日,Vol.470,p.105-109
【文献】Stem Cell Reports,2018年01月09日,Vol.10,p.314-328
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12Q 1/70
G01N 33/50
G01N 33/15
C12N 5/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトノロウイルス(HuNoV)を増殖させる方法であって、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にHuNoVを感染させる工程および該腸管上皮細胞を培養する工程を含み、当該ヒトノロウイルスの遺伝子型がGII.3、GII.17、GII.6またはGI.7であり、当該ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理しないことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞が単層を形成していることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞が、パーミアブルサポート上で培養されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
HuNoVの増殖阻害物質のスクリーニング方法であって、当該HuNoVの遺伝子型がGII.3、GII.17、GII.6またはGI.7であり、以下(a)および(b)の工程を含み、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理しないことを特徴とする、前記方法
(a)ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にHuNoVを感染させる工程および、
(b)ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞またはHuNoVと、候補物質を接触させる工程
【請求項5】
以下の(c)の工程をさらに含む請求項に記載のスクリーニング方法。
(c)候補物質を接触させたヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞中におけるHuNoVの増殖量を測定する工程


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、iPS(induced pluripotent stem cells)細胞から誘導した腸管上皮細胞を用いて、ヒトノロウイルスを増殖させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノロウイルス(Norovirus)は、十二指腸から小腸上部の細胞に侵入し、非細菌性急性胃腸炎を引き起こす病原性ウイルスで、エンベロープを持たないカリシウイルス科に属する。ヒトノロウイルス(Human Norovirus:HuNoV)は、ゲノム配列に基づいて3つの遺伝子群(GI、GIIおよびGIV)に分類され、少なくとも25種の遺伝子型が存在するとされている。高い多様性を示すノロウイルスであるが、ここ数年では、GI.2、GI.3、GI.4、GI.6、GII.2、GII.3、GII.4、GII.6、GII.14、GII.17などの遺伝子型のウイルスの流行がみられ、特にGII.4は、多くの胃腸炎患者から検出されている。GII.17は、2014年頃から流行が確認された新規遺伝子型のウイルスであり、今後この型およびその変異体による大流行が懸念される。
【0003】
HuNoVはヒトが唯一の感受性動物であるが、HuNoVのインビトロでの感染・増殖系は確立されていなかった。2014年に、インビトロにおいて血液型抗原を産生する腸内細菌と共感染させることで、HuNoVがB細胞に感染し、増殖・培養し得ることが報告された(非特許文献1)が、その増殖および培養量が非常に低く、実用に耐え得るレベルではなかった上、再現性がないことが問題となっている。
一方で、腸管上皮幹細胞マーカーの同定を皮切りとして、ヒトの腸管上皮細胞の初代培養が可能になり、2016年に、このヒト小腸組織検体由来の腸管上皮細胞を用いることで、GII.4型のHuNoVが増殖し得ることが報告された(非特許文献2および特許文献1)。しかし、GII.4以外の型(GI.1, GII.3, GII.17)については、胆汁で処理した細胞でしか増殖させることはできなかった。
【0004】
HuNoVをインビトロで感染・増殖させる系は、このウイルスによる感染増殖機構の解明や治療剤候補などの開発を行うためにも早急に確立される必要がある。しかしながら、これまでに報告されている系は、再現性に問題のある系(非特許文献1)や、ヒト検体由来の細胞を用いるという倫理的な問題を有し、組成不明な胆汁で処理する必要がある系(非特許文献2および特許文献1)などであって、依然として、実用レベルには達していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/059449号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【文献】Jonesら, Science 346:755-759 2014
【文献】Ettayebiら, Science 353:1387-1393 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、倫理的な問題を回避し、胆汁非処理の細胞内でHuNoVを増殖させる方法の確立を解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、iPS細胞から腸管上皮細胞を分化誘導し、当該細胞にHuNoVを感染させたところ、当該腸管上皮細胞を胆汁で処理しなくても、ウイルスが増殖することを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成されてものである。
【0009】
すなわち、本発明は以下の(1)~(7)である。
(1)HuNoVを増殖させる方法であって、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にHuNoVを感染させる工程および該腸管上皮細胞を培養する工程を含む、前記方法。
(2)前記ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理しないことを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(3)前記ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞が単層を形成していることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞が、パーミアブルサポート上で培養されることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5)以下(a)および(b)の工程を含む、HuNoVの増殖阻害物質のスクリーニング方法。
(a)ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にHuNoVを感染させる工程および、
(b)ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞またはHuNoVと、候補物質を接触させる工程
(6)以下の(c)の工程をさらに含む上記(5)に記載のスクリーニング方法。
(c)候補物質を接触させたヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞中におけるHuNoVの増殖量を測定する工程
(7)前記ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理しないことを特徴とする上記(5)または(6)に記載のスクリーニング方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ヒトiPS細胞から分化誘導した腸管上皮細胞(以下「ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞」とも記載する)を用いて、インビトロにて、HuNoVの感染・増殖を可能ならしめる方法に関するものである。従って、本発明により、従来技術において生じていた倫理上の問題を回避することが可能になる。
【0011】
また、ヒト腸管上皮細胞初代培養を用いる従来法では、HuNoVを増殖させるために、組成が不明確な胆汁で細胞を処理する必要があった。本発明にかかる方法ではその必要がなくなり、HuNoVの増殖メカニズムの検討をより正確に行うことが可能となる。そのため、HuNoV感染症の治療剤(例えば、HuNoVの増殖阻害剤など)などのスクリーニングをより正確に実施できる。
【0012】
さらには、本発明によりHuNoV感染症に対するワクチンや治療剤の有効性をより正確に評価できる。
【0013】
また、HuNoVの不活性化の検討(ノロウイルス感染症を防ぐための食物の調理法あるいは吐瀉物の処理のガイドラインの作製等への応用)についても正確に実施できる。
【0014】
上記薬剤スクリーニング、ワクチンや治療剤の評価、不活性化の検討などを行うにあたり、iPS細胞由来の細胞を用いることができるため、倫理的な問題を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】単層化したヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞の構造。Transwell上に単層化したヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞に存在するE-cadherin、VillinおよびHBGAを免疫染色し観察した顕微鏡写真を示す。単層化した腸管上皮細胞に局在するE-cadherin、VillinおよびHBGAと核を例示的に矢印で示した。
図2】単層化したヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞へのHuNoVの感染性の検討。Transwell上に単層化したヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にGII.4のVLPを添加し、細胞内に侵入するかどうかを確認した。細胞内に侵入したVLPを例示的に矢印で示した。
図3】ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞内でのHuNoV GII.4型の増殖レベルを測定した結果。ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理した条件(胆汁(+))および胆汁で処理しない条件(胆汁(-))において、HuNoV GII.4型ウイルスを感染させ、その増殖レベルを測定した結果を示す。感染後3時間および72時間の培養上清中のウイルスコピー数をグラフ化した。グラフ内の数字は、感染後3時間のウイルスコピー数に対する感染後72時間のウイルスコピー数の倍率を表す。左のグラフはGII.4 17-53株、右のグラフはGII.4 17-231株の結果である。
図4】ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞内でのHuNoV GII.3型(16-50株)の増殖レベルを測定した結果。ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理した条件(胆汁(+))および胆汁で処理しない条件(胆汁(-))において、HuNoV GII.3型(16-50株)ウイルスを感染させ、その増殖レベルを測定した結果を示す。感染後3時間および72時間の培養上清中のウイルスコピー数をグラフ化した。グラフ内の数字は、感染後3時間のウイルスコピー数に対する感染後72時間のウイルスコピー数の倍率を表す。
図5】ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞内でのHuNoV GII.17型(16-421株)の増殖レベルを測定した結果。ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理した条件(胆汁(+))および胆汁で処理しない条件(胆汁(-))において、HuNoV GII.17型(16-421株)ウイルスを感染させ、その増殖レベルを測定した結果を示す。感染後3時間および72時間の培養上清中のウイルスコピー数をグラフ化した。グラフ内の数字は、感染後3時間のウイルスコピー数に対する感染後72時間のウイルスコピー数の倍率を表す。
図6】ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞内でのHuNoV GII.6型(16B27株)の増殖レベルを測定した結果。ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理した条件(胆汁(+))および胆汁で処理しない条件(胆汁(-))において、HuNoV GII.6型(16B27株)ウイルスを感染させ、その増殖レベルを測定した結果を示す。感染後3時間および72時間の培養上清中のウイルスコピー数をグラフ化した。グラフ内の数字は、感染後3時間のウイルスコピー数に対する感染後72時間のウイルスコピー数の倍率を表す。
図7】ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞内でのHuNoV GI.7型(18-36株)の増殖レベルを測定した結果。ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理した条件(胆汁(+))および胆汁で処理しない条件(胆汁(-))において、HuNoV GI.7型(18-36株)ウイルスを感染させ、その増殖レベルを測定した結果を示す。感染後3時間および72時間の培養上清中のウイルスコピー数をグラフ化した。グラフ内の数字は、感染後3時間のウイルスコピー数に対する感染後72時間のウイルスコピー数の倍率を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施形態は、HuNoVを増殖させる方法であって、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にHuNoVを感染させる工程および該腸管上皮細胞を培養する工程を含む、前記方法である。
第1の実施形態における増殖の対象となるHuNoVは、カリシウイルス科に属し、ヒトに感染するノロウイルスの遺伝子型を有するウイルスであれば、いかなるものであってもよく、今後出現する新規遺伝子型のウイルスも含まれる。当該HuNoVの型として、限定はしないが、例えば、GI.2、GI.3、GI.4、GI.6、GI.7、GII.2、GII.3、GII.4、GII.6、GII.14、GII.17など、好ましくは、GI.1、GI.7、GII.2、GII.3、GII.4、GII.6、GII.17、さらに好ましくは、GI.7、GII.3、GII.4、GII.6、GII.17およびこれらのバリアントを挙げることができる。
【0017】
第1の実施形態で使用されるヒトiPS細胞は、線維芽細胞などのヒト由来体細胞へ数種類の初期化因子の遺伝子を導入することなどにより、分化多能性を獲得した細胞であれば特に限定されるものではない。ここで、分化多能性の獲得に必要な初期化因子の遺伝子としては、例えば、Nanog、Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc、Lin28などが知られている。これらの遺伝子のうち、例えば、Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Mycの組合せ、Oct3/4、Sox2、Nanog、Lin28の組合せ、Oct3/4、Sox2、Klf4の組合せなどすでに公知の組み合わせを選択して体細胞に導入してもよく、Oct3/4、Sox2、Klf4を好適な組み合わせとして挙げることができる。
【0018】
ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞への誘導は、公知の方法に基づいて行うことができる。ヒトiPS細胞から腸管上皮オルガノイドの誘導は、基本的には、例えば、McCrackenら, Nat. Protoc., 6:1920-1928 2011およびTakahashiら, Stem Cell Reports 10:314-328 2018などを参照して、実施することができる。第1の実施形態で使用する腸管上皮細胞の調製を開始するにあたり、細胞外マトリクスでコーティングしたプラスティックディッシュまたはパーミアブルサポート上に適当な密度となるようにヒトiPS細胞を播種することが望ましく、細胞の播種密度は、例えば、20~30%(1~3×104/0.32cm2)程度にすることが望ましい。また、ここで使用する細胞外マトリクスは、市販品を使用することも可能であり、特に限定しないが、例えば、Matrigel(登録商標)(Becton Dickinson社)などを使用してもよい。ただし、市販の細胞外マトリクスを使用する場合、異なるロットで誘導される腸管上皮細胞の性質が異なる場合があるので、予備的な実験を行い、所望の腸管上皮細胞が誘導されるものを使用するとよい。
上記パーミアブルサポートは、多孔性メンブレンを有するインサートとこれを挿入して培養するための培養容器(ウェル)から構成されており、市販品(例えば、Corning International 社、Thermo Scientific社など)を入手して使用することができる。
【0019】
ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞を誘導する場合、内胚葉系細胞への分化に適したサプリメント、シグナル伝達因子、成長因子、血清および抗生物質などを培地に添加してもよく、例えば、アクチビンAおよびWNT3aなどのシグナル伝達因子、FGF2およびEGFなどの成長因子を添加してもよい(McCrackenら, Nat. Protoc., 6:1920-1928 2011およびTakahashiら, Stem Cell Reports 10:314-328 2018などを参照のこと)。また、iPS細胞から内胚葉系へ分化させる培地キット(Thermo Fisher社;PSC Definitive Endoderm(DE) Induction Kitなど)などを使用することもできる。
【0020】
第1の実施形態において、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞へのHuNoV感染は、非特許文献2および特許文献1など、公知の方法に基づいて行うことができる。
ウイルス感染の前に、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を単層化することが望ましい。腸管上皮細胞の単層化は、例えば、Takahashiら, EBioMedicine 23:34-45 2017、非特許文献2および特許文献1などに記載されている方法を参照して実施してもよい。また、腸管上皮細胞へのウイルスの感染は、例えば、非特許文献2および特許文献1などに記載されている方法に従って行うことができる。ここで、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を単層化する場合、細胞外マトリクス(例えば、前出のMatrigelやType Iコラーゲン(Nitta Gelatin社)など)でコーティングしたプラスティックディッシュまたはパーミアブルサポート上で単層化してもよく、パーミアブルサポート上での単層化がより好ましい。
【0021】
これまでに報告されているヒト小腸組織検体由来の腸管上皮細胞を用いたHuNoVの増殖方法(非特許文献2および特許文献1)においては、GII.3型やGII.17型のウイルスは、胆汁非処理のヒト小腸組織検体由来腸管上皮細胞中では増殖させることができなかった。これに対し、本発明にかかるヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を用いると、細胞を胆汁で処理しなくても、これらのウイルスを増殖させることが可能である。もちろん、胆汁で処理した細胞中においてもウイルス増殖は可能であるが、後述するスクリーニング方法(本発明の第2の実施形態)などにおいては、細胞を胆汁で処理しない条件の方が好ましい。ウイルスの増殖を阻害する物質を探索するために行うスクリーニングにおいては、未同定物質のスクリーニング系への混入は可能なかぎり回避した方がよく、胆汁のような未同定物質を含む可能性のあるものを、当該スクリーニング系で使用することは避ける方が好ましい。
【0022】
本発明の第2の実施形態は、少なくとも以下(a)および(b)の工程を含む、HuNoVの増殖阻害物質のスクリーニング方法である。
(a)ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にHuNoVを感染させる工程および、
(b)ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞またはHuNoVと候補物質を接触させる工程
【0023】
工程(a)は、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にHuNoVを感染させる工程である。
ウイルスの腸管上皮細胞への侵入を阻害することで、ウイルスの増殖を阻害する物質をスクリーニングする場合には、必ずしも、複製能を有するウイルス粒子を用いる必要はなく、例えば、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞にウイルス様粒子(virus like particle:VLP)を侵入させることでもよい。これに対し、ウイルスの腸管上皮細胞内での複製を阻害する物質をスクリーニングする場合には、細胞への侵入および細胞内での複製能を有するウイルス粒子を用いる方が望ましい。
VLPおよびウイルス粒子の細胞内への侵入は、VLPおよびウイルス粒子を免疫染色等して、蛍光顕微鏡等で確認することができる。
【0024】
工程(b)は、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞またはHuNoVと、候補物質(HuNoVの増殖阻害能の有無を評価する物質)を接触させる工程である。ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞に候補物質を接触させるとは、例えば、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を培養している培養容器に候補物質を添加するなどして、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞と候補物質を接触させること、または候補物質が接触可能な状態にすることである。この場合、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞内に候補物質を侵入させるための処理を行ってもよい。また、HuNoVと候補物質を接触させるとは、例えば、HuNoVと候補物質を混合して接触させること、または接触可能な状態にすることである。この場合、HuNoVと候補物質を混合して、適宜、インキュベートしたのち、工程(a)を実施してもよく、当該工程(a)は、候補物質と混合したHuNoVをヒトiPS細胞由来腸管腸上皮細胞に感染させてもよい。
【0025】
なお、工程(a)と工程(b)の順番は、いずれを先に行っても、または工程(a)と工程(b)を同時に行ってもよく(つまり、HuNoVの感染と候補物質と腸管上皮細胞との接触を同時に行ってもよく)、スクリーニングの目的に応じて、適宜決定することができる。工程(a)および/または工程(b)の後、適当な培養条件で、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を培養維持してもよい。
また、前述のように、スクリーニングの結果を正しく評価するためには、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を胆汁で処理しない方が好ましい。
【0026】
本発明の第2の実施形態には、以下の(c)の工程がさらに含まれてもよい。
(c)候補物質を接触させたヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞中におけるHuNoVの複製量を測定する工程
工程(c)は、工程(a)および(b)の後の工程で、候補物質のウイルス侵入・複製に対する影響を調べる工程である。
腸管上皮細胞内におけるノロウイルスの複製量は、当業者において周知の方法に基づいて、ウイルス粒子数をゲノムコピー数として測定し、調べることができる。例えば、感染後の培養上清または腸管上皮細胞、もしくはその両者からRNAを抽出し、リアルタイムPCR法でノロウイルスゲノムコピー数を検出し、当該サンプル中に存在していたノロウイルスの粒子数をゲノムコピー数に基づいて概算することができる。測定したノロウイルスのコピー数をコントロール(例えば、感染後短時間で測定したウイルス数)と比較して、ノロウイルスの複製の有無および複製の程度を評価することができる。
【0027】
本明細書において引用されたすべての文献の開示内容は、全体として明細書に参照により組み込まれる。また、本明細書全体において、単数形の「a」、「an」および「the」の単語が含まれる場合、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限り、単数のみならず複数のものを含むものとする。
以下に実施例を示してさらに本発明の説明を行うが、実施例は、あくまでも本発明の実施形態の例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0028】
1.材料と方法
1-1.細胞
腸管上皮細胞の誘導には、国立大学法人東京大学医科学研究所・ステムセルバンクから入手したヒトiPS細胞株、TkDN4-M株(Oct3/4、Sox2、Klf4を導入;Takayamaら, J. Exp. Med., 207:2817-2830 2010)を使用した。細胞は、TCプロテクター(DSファーマバイオメディカル社)に懸濁し、-80℃で保存していたものを融解し、復元培養して用いた。
【0029】
1-2.iPS細胞の培養
ヒトiPS細胞は、Essential 8 medium(Thermo Fisher Scientific社:#A1517001)中、フィーダー細胞フリーの条件でビトロネクチン(Thermo Fisher Scientific社:#A14700)コートしたプレート上で、コロニーの状態で維持した。細胞は、コンフルエントになる前に、3、4日毎に継代した。
【0030】
1-3.iPS細胞から内胚葉系細胞への分化誘導
オルガノイドは、すでに報告されているプロトコール(McCracken et al., Nat. Prot. 6:1920, 2011)に若干の変更を加えた方法により、ヒトiPS細胞(クローン:TkDN4-M)から分化誘導させた。hESC-qualified Matrigel(Becton Dickinson社:#354277)でコートしたプレート上に、80-90%程度コンフルエントになるように培養したiPS細胞を、DE1培地(表1)中で24時間培養した後、DE2培地(表1)中で24時間、さらに、DE3培地(表1)中で24時間培養し、胚体内胚葉(definitive endoderm:DE)に分化させた。
【0031】
【表1】
【0032】
1-4.内胚葉系細胞からスフェロイド(中腸-後腸)の誘導
中腸-後腸については、DE細胞(胚体内胚葉細胞)を中腸、後腸分化用培地中(表1)4日間培養した。
【0033】
1-5.スフェロイドからオルガノイドへの培養
浮遊してきたスフェロイドを回収し、腸成長用培地(表1)中、Matrigel(Becton Dickinson社:#354232)内で、2、3日毎に培地交換をしながら14日間、3次元培養を行った。得られたオルガノイドは、下記1-6に記載の通り、Takahashiらの方法(Takahashiら, Stem Cell Reports 10:314-328 2018)に従って、数回継代した後、回収した。
【0034】
1-6.オルガノイドの維持、継代
オルガノイドは、2~3×104/50 μL Matrigel(=10 μL培養用培地(表1)(+10 μM Y-27632(和光純薬工業:#253-00513))+40 μL Matrigel)/ウェルで継代してから5~7日後に、4-well分から細胞を回収した。培地をアスピレーションで除去後、1 mL/ウェルのD-PBS (-)で1度洗浄した。0.5 mL/ウェルの10 μM Y-27632を含むTyrpLE Express(Thermo Fisher Scientific社:#12605010)を加え、マイクロピペットでMatrigelごと細胞塊を回収し、15 mL チューブに移した。その後の処置効率化のため、1本の15 mL チューブには、4-ウェル分(約2 mL)を最大量とした。チューブの蓋を閉めた後、37℃の水浴で5分間インキュベートした。クリーンベンチ内で蓋を開け、マイクロピペットを用いて細胞塊を破砕した。細胞懸濁液を、メッシュを通してステムフル15 mL チューブ(住友ベークライト:#MS-90150)に移した。この状態の懸濁液を数マイクロリットル取り、細胞数計数に用いた。残りの細胞懸濁液に、10% FBS/基本培地(表1)を適量加え、TrypLE Expressの酵素反応を停止した後、遠心(400 g、25℃、5分)により細胞を沈殿させた。沈殿した細胞を2~3×106/mLになるように培養用培地(+10 μM Y-27632)で懸濁した。40 μLを1.5 mL チューブに取り、氷上で数分間冷却した。ここに160 μLのMatrigelを加え、ピペッティングにより懸濁し、そこから50 μL/ウェルの量を、24-ウェルプレートに添加した(2~3×104/50 μL Matrigel/ウェル)。プレートを37℃、5% CO2インキュベーターに10分間静置し、Matrigelを固化させた。培養用培地(+10 μM Y-27632)を500 μL/ウェルで加え、37℃、5% CO2インキュベーターで2日間培養し、Y-27632を含まない培養用培地に培地交換した。
【0035】
1-7.オルガノイドから単層化腸管上皮細胞の調製
2~3×104/50 μL Matrigel/ウェルで継代してから5~7日後に、4-ウェル分から細胞を回収する。培地をアスピレーションで除去後、1 mL/ウェルのD-PBS (-)で1度洗浄した。0.5 mL/ウェルのTyrpLE Express(+10 μM Y-27632)を加え、マイクロピペットでMatrigelごと細胞塊を回収し、15 mLチューブに移した。その後の処置効率化のため、1本の15 mL チューブには、4-ウェル分(約2 mL)を最大量とした。チューブの蓋を閉めた後、37℃の水浴で5分間インキュベートした。クリーンベンチ内で蓋を開け、マイクロピペットを用いて細胞塊を破砕した。細胞懸濁液をメッシュを通してステムフル15 mL チューブに移した。この状態の懸濁液を数マイクロリットル取り、細胞数計数に用いた。残りの細胞懸濁液に、10% FBS/基本培地を適量加え、TrypLE Expressの酵素反応を停止した後、遠心(400 g、25℃、5分)により細胞を沈殿させた。沈殿した細胞を1~4×105/mLになるように培養用培地(+10 μM Y-27632)で懸濁した。
【0036】
細胞外マトリクス(2.5% Matrigel、または0.1% I型コラーゲン(新田ゼラチン:#638-00781))でコーティングしたプラスティックディッシュ、もしくはパーミアブルサポート(Transwell:Corning 3413もしくは3470)に播種した。播種した細胞数は1~4×104/0.32 mm2とする。播種されたプレートを遠心(350 g、25℃、1分)することにより、細胞を速やかにプレート底に接着させた。
播種の24時間後に培地を分化用培地(表1)に置換した。
さらに48時間後、培地を0.015~0.03% ブタ胆汁(SIGMA社)添加または非添加の分化用培地に置換した。
その後、さらに48時間後にHuNoVの感染を開始した。
【0037】
1-8.オルガノイドの保存
2~3×104/50 μL Matrigel/ウェルで継代してから5~7日後に、細胞を回収した。培地をアスピレーションで除去後、1 mL/ウェルのD-PBS (-)で1度洗浄した。0.5 mL/ウェルのTyrpLE Express(+10 μM Y-27632)を加え、マイクロピペットでMatrigelごと細胞塊を回収し、15 mL チューブに移した。その後の処置効率化のため、1本の15 mL チューブには、4-ウェル分(約2 mL)を最大量とした。チューブの蓋を閉めた後、37℃の水浴で5分間インキュベートした。クリーンベンチ内で蓋を開け、マイクロピペットを用いて細胞塊を破砕した。10% FBS/基本培地を適量加え、TrypLE Expressの酵素反応を停止した後、遠心(400 g、25℃、5分)により細胞を沈殿させた。沈殿した細胞を、回収に用いた細胞1-ウェル分につき2 mL(4-ウェル分から回収した場合8 mL)のCELLBANKER-1(タカラバイオ: #TKR-CB011)(+10 μM Y-27632)で懸濁し、1 mLずつクライオチューブに分注し、速やかに-80℃で保存した。
【0038】
1-9.腸管上皮細胞へのHuNoVの感染
本実施例で使用したHuNoVは、大阪健康安全基盤研究所から入手した。
具体的には、HuNoVに感染した患者の糞便を100 mg/mlになるようにPBSに懸濁して、0.22 μMのFilterを通して滅菌、不純物除去を行ってウイルス原液とした。
公定法に基づいたリアルタイムPCRを用いて原液中のウイルスのゲノムコピー数を算定し、1-ウェル(0.32 mm2)あたり1~2×106コピーのウイルスを上記1-7で調製した単層化腸管上皮細胞に、基本培地(胆汁非添加)中にて3時間感染させた。
【0039】
その後、基本培地で洗浄した後、さらに培養する場合には、0.015~0.03 %ブタ胆汁の添加または非添加の分化用培地中で培養を行った。
なお、後述する実験結果において、胆汁(+)の条件とは、上記1-7に記載の感染前2日から0.015~0.03 %ブタ胆汁を添加した分化用培地で培養後、血清および胆汁非添加の分化用培地に変えてHuNoVを感染させ、3時間培養後、洗浄し、0.015~0.03 %胆汁を添加した分化用培地でさらに培養した。一方、胆汁(-)の条件では、胆汁を一切添加せずに、上記の工程を行った。
【0040】
2.結果
2-1.iPS由来単層化腸管上皮細胞
Transwell 上に単層化したiPS細胞由来腸管上皮細胞を、メンブレンごと4%パラホルムアルデヒドで固定し、OCTコンパウンドに埋め込み凍結させ、約7 μMの凍結切片を作製した。作製した凍結切片に対し、抗Villin1抗体、抗E-カドヘリン抗体、ローダミン標識UEA1、Alexa633標識ファロイジン等を反応させ、必要に応じ適切な蛍光標識2次抗体を反応させて免疫組織染色用サンプルとした。サンプルをスライドグラスとカバーガラス間に封入するときに、核染色に用いるDAPIを含んだ試薬(ProLongTM Diamond Antifade Mountant with DAPI, Thermo Fisher Scientifi, #P36962)を用いた。調製したサンプルを蛍光顕微鏡ないしは共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行った。
図1のiPS細胞由来ヒト腸管上皮細胞は、Transwell上で極性を持たせ単層化したもので、Villin1(Villin1は吸収上皮細胞のマーカー)が管腔側で発現していることが確認できた(図1左)。また、E-cadherinの染色像も確認でき、タイトジャンクションがきちんと形成されていることも確認できた(図1)。HuNoVの感染には、血液型抗原(HBGA)が必要と考えられている。最も代表的なものがα1,2フコースで、ヒトではFUT2によって修飾される糖鎖である。この糖鎖はレクチンの一種であるUEA1で検出できる。上記1-7に記載したTranswell上のiPS由来単層化腸管上皮細胞においても、血液型抗原が十分に発現していることがUEA1染色により明らかになった(図1右)。
【0041】
2-2.iPS細胞由来腸管上皮細胞に対するHuNoVの感染性の検討
生きたHuNoVを感染させる前に、ゲノムを持たないVLPを用いて、ここで作製した腸管上皮細胞にVLPが侵入できるかどうかを検討した。
GII.4型のVLPは既報に基づいて調製した。上記1-7に記載したTranswell上の単層化腸管上皮細胞に、VLP 300 ngを添加し、CO2インキュベーター内で3時間静置した。基本培地で2度洗浄後、上記2-1に記載したように切片を調製し、抗Villin1抗体、抗GII.4 VLP抗体およびAlexa633標識ファロイジンを用いて、染色した。
図2に示すように、GII.4 VLPが腸管上皮細胞内に侵入していることが確認できた。
【0042】
2-3.iPS細胞由来腸管上皮細胞へのHuNoV感染に対する胆汁処理の影響
これまでに、ヒト小腸組織検体由来の腸管上皮細胞へのHuNoV(少なくとも、GII.3、GII.17およびGI.1)の感染には、当該腸管上皮細胞を胆汁で処理する必要があった(非特許文献2および特許文献1)。そこで、iPS細胞由来腸管上皮細胞に対するHuNoVの感染についても、細胞を胆汁処理する必要があるかどうかの検討を行った。
GII.4(17-53株および17-231株)については、胆汁非処理の条件で、感染後72時間の細胞内のウイルスコピー数が、感染後3時間のウイルスコピー数の約140倍~440倍程度(17-53株が約143倍、17-231株が約430倍)に増加しており(図3)、iPS細胞由来腸管上皮細胞では、胆汁非処理であっても、ウイルスが感染し増殖可能であることが確認された。
また、GII.3、GII.17、GII.6およびGI.7についても、同様に、胆汁非処理のiPS細胞由来腸管上皮細胞に感染し増殖可能であることが確認された(図4図5図6および図7)。感染後3時間の細胞内のウイルスコピー数と比べて、感染後72時間の細胞内のウイルスコピー数が、GII.3(16-50株)では約16倍に(図4)、GII.17(16-421株)では約28.0倍(図5)、GII.6(16B27株)では約16倍に(図6)、GI.7(18-36株)では約3.0倍(図7)、に増加していた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、iPS細胞から誘導した腸管上皮細胞を用いて、HuNoVを増殖させる方法を提供する。この方法は、検体由来の組織を用いる必要がなく、倫理的なハードルが低いことから、HuNoV感染症の治療剤のスクリーニングなどを可能ならしめ、医療分野においての利用が期待される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7