(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】エアシャッタ装置及びエアシャッタ装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
F24F9/00 D
F24F9/00 J
(21)【出願番号】P 2019178801
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渕上 英紀
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 延王
(72)【発明者】
【氏名】川津 洋一
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-133913(JP,A)
【文献】特開2018-179410(JP,A)
【文献】特開2016-093769(JP,A)
【文献】特開2004-077113(JP,A)
【文献】実開昭52-053471(JP,U)
【文献】特開2015-167918(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0055325(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の出入り方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、
前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、
前記エアカーテンを通過する前記物品の存在を示す信号に応答して、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御するための制御部と、
を備え
、
前記エア噴出部は1個以上のファンを含み、
前記風量調節部は、前記ファンの回転数を制御する回転数制御部で構成され、
前記エアカーテンを通過する複数種の前記物品のそれぞれについて、該物品の種類に応じた前記ファンの最適回転数が予め定められており、
前記制御部は、前記エアカーテンを通過する前記物品の種類に応じた前記最適回転数に前記ファンの回転数を調節するように構成された
エアシャッタ装置。
【請求項2】
物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の出入り方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、
前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、
前記エアカーテンを通過する前記物品の存在を示す信号に応答して、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御するための制御部と、
を備え、
前記エアカーテンの形成領域のうち前記エアカーテンを通過する前記物品が占める領域に関する情報を検出するための第2センサを備え、
前記制御部は、前記第2センサの検出信号に応じて前記エアカーテンの漏れを抑制する風量となるように前記風量調節部を制御するように構成され
たエアシャッタ装置。
【請求項3】
物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の出入り方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、
前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、
前記エアカーテンを通過する前記物品の存在を示す信号に応答して、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御するための制御部と、
を備え、
前記エアカーテンを通過する前記物品を検知するための第1センサを備え、
前記制御部は、前記第1センサから前記信号を取得するように構成され、
前記物品の搬送方向に沿って第1空間及び該第1空間とは異なる温度の第2空間が設けられると共に、前記エアカーテンは前記第2空間の入口に設けられ、
前記第1センサは前記第2空間に対し前記エアカーテンの外側に設けられた温度センサで構成されてい
るエアシャッタ装置。
【請求項4】
前記エアカーテンを通過する前記物品を検知するための第1センサを備え、
前記制御部は、前記第1センサから前記信号を取得するように構成された請求項1
又は2に記載のエアシャッタ装置。
【請求項5】
前記エアカーテンを通過する前記物品の種類が予め定められ、前記制御部は、前記物品が前記エアカーテンを通過する時、前記風量が前記物品の種類に応じて予め定められた風量となるように前記風量調節部を制御するように構成された請求項
2に記載のエアシャッタ装置。
【請求項6】
前記第2センサは、前記物品の出入り方向の形状変化を検知可能に構成され、
前記制御部は、前記第2センサが検知した前記物品の前記出入り方向の形状変化に応じて前記エアカーテンにおける前記物品の通過中に前記風量を変化させるように前記風量調節部を制御するように構成された請求項
2に記載のエアシャッタ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記物品が前記エアカーテンを通過中に前記エアカーテンの面積に対する前記物品の面積占有率が低減したとき、前記風量を増加させるように前記風量調節部を制御するように構成された請求項
6に記載のエアシャッタ装置。
【請求項8】
前記温度センサは、前記エアカーテンの上下方向に離散的に配置された複数の温度センサで構成され、
前記エアカーテン形成部は、上下方向に配置された複数のエアカーテン形成部で構成され、
前記制御部は、前記複数の温度センサの検出値から前記複数のエアカーテン形成部の各々の風量を決定するように構成された請求項
3に記載のエアシャッタ装置。
【請求項9】
前記エア噴出部は1個以上のファンを含み、
前記風量調節部は、前記ファンの回転数を制御する回転数制御部で構成されている請求項
2乃至8の何れか一項に記載のエアシャッタ装置。
【請求項10】
前記エア噴出部は前記風量を制御するためのダンパを備え、
前記風量調節部は前記ダンパの開度を制御する開度制御部で構成されている請求項
2乃至8の何れか一項に記載のエアシャッタ装置。
【請求項11】
物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の搬送方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、
前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、を備えたエアシャッタ装置の運転方法であって、
前記物品が前記エアカーテンを通過するとき、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御する風量調節ステップを備え
、
前記エアカーテンの形成領域のうち前記エアカーテンを通過する前記物品が占める領域に関する物品占有領域情報を検出し、
前記風量調節ステップでは、前記物品占有領域情報に応じて前記エアカーテンの漏れを抑制する風量となるように前記風量調節部を制御する
エアシャッタ装置の運転方法。
【請求項12】
物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の搬送方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、
前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、を備えたエアシャッタ装置の運転方法であって、
前記エアカーテンを通過する前記物品を第1センサにより検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記物品が前記エアカーテンを通過することが検出されたとき、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御する風量調節ステップを備え、
前記物品の搬送方向に沿って第1空間及び該第1空間とは異なる温度の第2空間が設けられると共に、前記エアカーテンは前記第2空間の入口に設けられ、
前記第1センサは前記第2空間に対し前記エアカーテンの外側に設けられた温度センサである
エアシャッタ装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアシャッタ装置及びエアシャッタ装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍庫の出入口や冷凍トラックの荷台など、熱遮断が必要な出入口にエアシャッタ装置が設けられている。冷凍庫へ被冷凍品を出し入れしたり、荷台の積み荷を積み降しする際に、出入口にエアカーテンを形成して冷凍庫や荷台の外部へ冷気が流出するのを抑制するようにしている。別な例では、塗装設備や乾燥設備の出入口で被塗装品や被乾燥品が出入りするとき、内部の熱が逃げないようにエアシャッタ装置が用いられる。特許文献1及び2にはこのような用途に用いられたエアシャッタ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3897732号公報
【文献】特許第6240591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアシャッタ装置では、物品がエアカーテンを通過する時に、空気流が物品に当たって大きな乱流が生じ、エアカーテンの遮断効果が低下する問題がある。特許文献1には特に物品通過時の遮断効果の低下を抑制するための対策は開示されていない。特許文献2には、物品通過時に物品に当たる空気流を部分的に消滅させることにより、乱流の発生を抑制する手段が開示されている。しかし、特許文献2に開示された方式では、たとえ部分的であってもエアカーテンの一部領域が消失するため、遮断効果が低下することは免れない。また、駆動装置として用いられるファンなどの稼働中に噴出する空気流を遮断するため、電力消費の無駄が生じる。
【0005】
本開示は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、エアカーテンを物品が通過する時、エアカーテンの一部を消失させずに大きな乱流の発生を抑制することで、遮断効果を維持可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るエアシャッタ装置は、物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の出入り方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、前記エアカーテンを通過する前記物品の存在を示す信号に応答して、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御するための制御部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエアシャッタ装置の運転方法は、物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の搬送方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、を備えたエアシャッタ装置の運転方法であって、前記物品が前記エアカーテンを通過するとき、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御する風量調節ステップを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエアシャッタ装置及びエアシャッタ装置の運転方法によれば、エアカーテンを物品が通過するとき、エアカーテンの一部を消失させずに風量を低下させる制御を実施することで、大きな乱流の発生を抑制できると共に、エアカーテンによる熱の遮断効果を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的平面図である。
【
図2】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的正面図である。
【
図3】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的正面図である。
【
図4】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的正面図である。
【
図5】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的平面図である。
【
図6】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的正面図である。
【
図7】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的平面図である。
【
図8】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的平面図である。
【
図9】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的正面図である。
【
図10】一実施形態に係る制御部のブロック線図である。
【
図11】一実施形態に係るエアシャッタ装置の運転方法の工程図である。
【
図12】
図11に示す運転方法において、物品を検知した物品検知センサの数に対応したファン周波数を示す表である。
【
図13】一実施形態に係るエアシャッタ装置の運転方法の工程図である。
【
図14】
図13に示す運転方法において、物品の空間占有率に適したファン周波数を示す線図である。
【
図15】一実施形態に係るエアシャッタ装置の模式的平面図である。
【
図16】一実施形態に係るエアシャッタ装置の運転方法の工程図である。
【
図17】
図16に示す運転方法において、各物品に適したファン周波数等を示す表である。
【
図18】一実施形態に係るエアシャッタ装置の運転方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
図1~
図9は、幾つかの実施形態に係るエアシャッタ装置10(10A、10B、10C、10D、10E、10F)を示す。
図1及び
図2はエアシャッタ装置10(10A)の模式的平面図及び模式的正面図である。
図3はエアシャッタ装置10(10B)の模式的正面図である。
図4はエアシャッタ装置10(10C)の模式的正面図である。
図5及び
図6は、エアシャッタ装置10(10D)の模式的平面図及び模式的正面図である。
図7は、エアシャッタ装置10(10E)の模式的平面図である。
図8及び
図9はエアシャッタ装置10(10F)の模式的平面図及び模式的正面図である。
【0012】
エアシャッタ装置10(10A~10F)は、物品Gの出入口にエアカーテン形成部12(12a、12b)を備えている。エアカーテン形成部12は、物品Gの出入口Eを挟んで対向配置されたエア噴出部14及びエア吸引部16を有し、物品Gの出入口Eに物品Gの出入り方向(矢印b方向)と直交する方向にエアカーテンAを形成する。エア噴出部14から空気流aが噴出し、噴出した空気流aはエア吸引部16で吸入されてエアカーテンAが形成される。
なお、本明細書で「物品Gの出入り方向と直交する方向」とは物品Gの出入り方向と直交する方向に対して30°以内の傾きを有する方向を含むものとする。
【0013】
さらに、エア噴出部14から噴出する空気流aの風量を調節するための風量調節部20(20a、20b)と、風量調節部20を制御可能な制御部22とを備えている。制御部22は、エアカーテンAを通過する物品Gの存在を示す信号に応答して、物品GがエアカーテンAを通過する時、物品GがエアカーテンAを通過しない時よりも空気流aの風量が低下するように風量調節部20を制御する。この時、エアカーテンAの形成領域の一部でもエアカーテンAが形成されない領域が発生しないように、風量調節部20を制御する。これによって、物品GがエアカーテンAを通過する時に、エアカーテンAに大きな乱流が発生するのを抑制できると共に、エアカーテンAの形成領域の全域で空気流aを維持するため、エアカーテンAによる熱遮断効果を維持できる。また、塵埃等の侵入を防ぐこともできる。
【0014】
一実施形態では、エア噴出部14は、図示のように1個以上のファン18を備え、ファン18の回転によってエア吸引部16に向けて噴出する空気流aが形成される。エア吸引部16は、エア噴出部14から噴出された空気流aを吸引することで、エアカーテンAが形成される。
一実施形態では、
図1~
図9に示すように、上下方向に2組のエアカーテン形成部12(12a、12b)が設けられている。
【0015】
一実施形態では、物品Gの出入口Eを挟んで一対のダクト24及び26が立設され、エアカーテン形成部12(12a、12b)はダクト24及び26に設けられる。図示した実施形態では、一方のダクト24内の上部及び他方のダクト26内の下部に夫々ファン18を含むエア噴出部14が設けられ、これらエア噴出部14と同じ高さで対向する他側ダクトにエア吸引部16が設けられている。また、
図2に示すように、エア噴出部14及びエア吸引部16の互いに対向する面にエア噴出口14a及びエア吸引口16aが形成される。エア噴出口14a及びエア吸引口16aは
図2以外の図では省略されている。こうして、ダクト24、26及びエア噴出口14a、エア吸引口16aを通りかつ2組のエアカーテン形成部12(12a、12b)を通る1つの循環流が形成され、この循環流によってエアカーテンAが形成される。なお、図示した実施形態では、2組のエアカーテン形成部12(12a、12b)で1つの循環流を形成しているが、さらにエアカーテン形成部12の数を増やし、2つ以上の循環流を上下方向に並べて形成してもよい。
【0016】
一実施形態では、
図1に示すように、エアカーテンAの形成領域を出入口とし、外気から遮断された作業空間32が形成され、エアカーテンAを横切るように延在する搬送路30が設けられる。物品Gは搬送路30上を搬送されてエアカーテンAを通過して作業空間32に搬入される。作業空間32は、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、フリーザ等に形成される冷蔵(冷凍)空間であり、あるいは、塗装設備、乾燥設備等に形成される高温空間である。
【0017】
一実施形態では、
図2などに示すように、エア噴出部14は1個以上のファン18を備え、風量調節部20は、ファン18の回転数を制御する回転数制御部20(20a)で構成されている。回転数制御部20(20a)でファン18の回転数を制御することで、空気流aの精度良い風量調節が可能になるため、エアカーテンAの乱流発生を効果的に抑制できる。回転数制御部20(20a)は例えばインバータ装置などで構成される。
【0018】
一実施形態では、
図3に示すように、エアシャッタ装置10(10B)は、エア噴出部14は風量を制御するためのダンパ28を備え、風量調節部20はダンパ28の開度を制御する開度制御部20(20b)で構成されている。このように、ダンパ28で空気流aの風量を調節可能になるため、風量調節部20を簡素化できる。
【0019】
図10は、一実施形態に係る制御部22の構成を示す。制御部22は、後述する物品検知センサ34や領域検知センサ50等の外部センサの検出信号が入力されるインタフェイス40と、物品Gのエアカーテン非通過時又は通過時の風量制御パターンや、物品Gの種類に応じた風量制御パターン等が入力された記憶部(ROM)42と、インタフェイス40から入力される信号と、記憶部42に記憶された制御パターンとから、回転数制御部20(20a)又は開度制御部20(20b)を制御するCPU44と、を備えている。
【0020】
一実施形態では、作業空間32を有する設備(冷蔵庫、塗装設備等の上記設備)の作動を制御する上位制御部46からインタフェイス40に、搬送路30を搬送される物品Gの情報が送られる。CPU44はこの情報から物品GがエアカーテンAを通過する時間を演算し、物品GがエアカーテンAを通過するタイミングに合わせて回転数制御部20(20a)又は開度制御部20(20b)を制御する。
【0021】
一実施形態では、
図1に示すように、エアシャッタ装置10(10A)は、エアカーテンAを通過する物品Gを検知するための物品検知センサ34(34a)(第1センサ)を備えている。物品検知センサ34(34a)は、例えば光電センサなどの近接センサで構成される。制御部22は、物品検知センサ34(34a)から発信される物品検知信号を取得し、この信号から物品GがエアカーテンAを通過する時間を演算する。これによって、制御部22は物品GがエアカーテンAを通過する時間に合わせて、空気流aの風量制御をタイミング良く実施できる。
【0022】
一実施形態では、物品検知センサ34(34a)はエアカーテンAに対して物品Gの搬送方向上流側に設けられ、記憶部42に予め搬送路30の移動速度が記憶されている。制御部22は、物品検知センサ34(34a)からエアカーテンAまでの距離と物品Gの移動速度とから、物品GがエアカーテンAに到達する時間を演算する。別な実施形態では、物品検知センサ34(34a)はエアカーテンAの入口に設けられ、制御部22は、物品検知センサ34(34a)が物品Gを検知するタイミングに合わせて風量制御を実施する。
【0023】
一実施形態では、
図10に示す記憶部42には、予め物品Gの種類と物品Gの種類毎に設定された風量制御パターンとが記憶されている。制御部22は、物品GがエアカーテンAを通過する時、空気流aの風量が物品Gの種類に応じて予め定められた風量となるように風量調節部20を制御する。このように、制御部22は予め定められた風量制御パターンを実行するだけであるので、制御機構を簡素化できる。物品Gは一種類のみの場合と、複数種類の場合があり、一種類のみの物品GがエアカーテンAを通過する場合には、制御部22は、一種類のみの風量制御パターンを実施する。複数種類の物品GがエアカーテンAを通過する場合は、予め定められた複数種類の物品Gの通過順序に応じた順序で複数種類の風量制御パターンが実施される。
【0024】
一実施形態では、
図4~
図7に示すように、エアシャッタ装置10(10C、10D、10E)は、エアカーテンAの形成領域のうちエアカーテンAを通過する物品Gが占める領域に関する情報を検出可能な領域検知センサ50(50a、50b、50c)(第2センサ)を備えている。制御部22は、物品GがエアカーテンAを通過する時、領域検知センサ50の検出信号に応じて、空気流aがエアカーテンAの漏れを抑制する風量となるように風量調節部20を制御する。物品Gが占める領域は物品Gの形状や大きさによって決まる。この実施形態では、物品Gが占める領域を検知可能であるため、検知した領域に適した風量調節が可能になる。そのため、乱流の発生やエアカーテンAの漏れを精度良く抑制できる。
【0025】
一実施形態では、
図4に示すエアシャッタ装置10(10C)において、領域検知センサ50(50a)は、エアカーテン形成部12の入口側で上下方向に離散的に設けられた複数の物品検知センサで構成される。形状や大きさが異なる物品G
1~G
4がエアカーテン形成部12の入口に搬送されてきた時、物品を検知するセンサの位置及び個数によって物品Gの形状や大きさを認識できる。
【0026】
一実施形態では、
図5及び
図6に示すエアシャッタ装置10(10D)において、エアカーテン形成部12の入口側に設けられた領域検知センサ50(50b)は、物品Gの出入り方向(矢印b方向)の形状変化を検知可能に構成され、制御部22は、物品GがエアカーテンAを通過する時、領域検知センサ50(50b)が検知した物品Gの出入り方向の形状変化に応じて、風量調節部20を制御して空気流aの風量を変化可能に構成されている。例えば、制御部22は、エアカーテンAの面積に対する物品Gの面積占有率が増加したとき、空気流aの風量を低下させ、エアカーテンAの面積に対する物品Gの面積占有率が低減したとき、空気流aの風量を増加させる。
【0027】
このように、物品Gの出入り方向の形状変化に応じて空気流aの風量を変化させることで、木目細かい風量制御が可能になる。これによって、物品Gが出入り方向に沿って複雑な形状を有する場合でも、乱流の発生やエアカーテンAの漏れを精度良く抑制できる。
【0028】
一実施形態では、
図5及び
図6に示すように、領域検知センサ50(50b)は、エアカーテン形成部12の入口側に設けられたエリアセンサで構成される。このエリアセンサによって、物品GがG→G’→G’’と移動する間エアカーテンAにおける物品Gの占める領域の変化を検知できる。
【0029】
一実施形態では、
図7に示すように、エアシャッタ装置10(10E)は、エアカーテン形成部12の上流側に領域検知センサ50(50c)を備えている。領域検知センサ50(50c)は、物品Gを撮像可能な撮像部とこの撮像部で撮像した画像を処理する画像処理部を含んでいる。撮像部は例えばCCDカメラなどで構成される。エアカーテン形成部12に接近してくる物品Ga、Gb、・・・を撮像部で撮像し、撮像した画像を画像処理部で画像処理することで、各物品Gの形状や大きさを認識できる。こうして、各物品Gの形状や大きさに合わせた精度良い風量制御が可能になる。
【0030】
なお、物品検知センサ34と領域検知センサ50とを1個のセンサで兼用することもできる。
【0031】
図8及び
図9に示すエアシャッタ装置10(10F)は、温度が異なる2つの空間に跨って物品Gが搬送される場合の実施形態である。この実施形態では、1つの空間は外側空間So(第1空間)であり、もう1つの空間は作業空間32(第2空間)である。作業空間32は外側空間Soに対してエアカーテンAを介して隔離されている。別な実施形態では、外部から隔離され異なる温度の2つの作業空間の間を物品が搬送される場合である。
【0032】
図8及び
図9において、外側空間So及び作業空間32は物品Gの搬送方向(矢印b方向)に沿って配置されている。エアカーテンAは作業空間32の入口に設けられ、物品検知センサ34(34b)は、作業空間32に対しエアカーテンAの外側に設けられた温度センサで構成されている。外側空間Soと作業空間32とは温度が異なるため、物品GがエアカーテンAを通過してエアカーテンAに漏れが発生した時、温度センサの検出値によってそれを検知できる。従って、温度センサは物品Gのエアカーテン通過時を検知できる。従って、物品GがエアカーテンAを通過する時、該温度センサの検出値を指標として空気流aの風量を低下する風量調節を行うことで、エアカーテンAにおける乱流の発生やエアカーテンAの漏れを抑制できる。
【0033】
図8及び
図9に示す実施形態において、物品検知センサ34(34b)としての温度センサは、エアカーテンAの上下方向に離散的に配置された複数の温度センサで構成されている。また、エア噴出部14及びエア吸引部16を含むエアカーテン形成部12は、上下方向に配置された複数のエアカーテン形成部12(12a、12b)で構成されている。制御部22は、複数の温度センサの検出値から複数のエアカーテン形成部12のエア噴出部14の各々から噴出される空気流aの風量を決定するように構成されている。これによって、制御部22は、複数の温度センサの検出値からエアカーテン形成領域のどの領域で漏れが発生しているかを検知できる。この検知結果から複数のエアカーテン形成部12の各々の風量を決定するため、エアカーテン形成領域を分割した複数の部分領域毎に木目細かい風量調節が可能となる。
【0034】
上記実施形態において、複数の温度センサの検出値に予め優先順位を付け、優先順位の高い温度センサの検出値を優先してエアカーテンAの漏れ指標とする。例えば、塗装設備や乾燥設備等のように、作業空間32の温度が外側空間Soより高い場合において、エアカーテンAに空気漏れが発生した場合、作業空間32の高温空気はエアカーテンAの形成領域のうち上部領域から漏れる傾向がある。そこで、上方に配置された温度センサの検出値を優先して評価することで、エアカーテンAの漏れを正確に把握できる。
【0035】
また、上記実施形態は、塗装設備のように、自動車のボデーなどの物品Gが外側空間に対して密閉された加温ゾーン(第1空間)から冷却ゾーン(第2空間)に連続的に搬送され、加温ゾーン及び冷却ゾーンの出入口にエアカーテンが形成されている場合にも適用できる。
【0036】
なお、
図8及び
図9に示す実施形態において、エアカーテン形成部12の上流側で追加的に物品検知センサ34(34a)を設け、物品検知センサ34(34a)で温度センサより先に物品Gの接近を検知させるようにしてもよい。
また、上記幾つかの実施形態では、物品Gが作業空間32に進入する入口にエアシャッタ装置を設け、物品Gが入口側エアカーテンAを通過する時間に合わせて風量制御を実施してもよく、あるいは物品Gが作業空間32から搬出される出口にエアシャッタ装置を設け、物品Gが出口側エアカーテンAを通過する時間に合わせて風量制御を実施してもよい。
【0037】
(運転方法)
一実施形態に係るエアシャッタ装置10の運転方法は、エア噴出部14及びエア吸引部16を含むエアカーテン形成部12と、エア噴出部14から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部20と、を備えたエアシャッタ装置において、物品GがエアカーテンAを通過する時、空気流aが物品Gの非通過時よりも低い風量となるようにエア噴出部14を作動させるように風量調節部20を制御する(風量調節ステップ)。この場合、制御部22は、エアカーテンAの形成領域の一部でもエアカーテンAが形成されない領域が発生しないように、風量調節部20を制御する。このように、物品Gの通過時に物品Gの非通過時よりも低い風量に制御することで、大きな乱流の発生を抑制できると共に、エアカーテンAの形成領域の全域で空気流aを維持するため、エアカーテンAによる熱遮断効果を維持できる。また、塵埃等の侵入を防ぐこともできる。
【0038】
図11は、一実施形態に係るエアシャッタ装置の運転方法を示すフローチャートである。この実施形態は、
図4に示すエアシャッタ装置10(10C)を用いた運転方法である。この実施形態では、上述のように、エアカーテン形成部12の上流側又は入口側に上下方向で離散的に設けられた複数の物品検知センサ34(34a)が設けられている。物品GがエアカーテンAを通過する前、エアシャッタ装置10(10C)のエア噴出部14に設けられたファン18は最適周波数F(Hz)で稼働している(ステップS10)。物品検知センサ34(34a)が物品G(G
1~G
4の1つ)を検知すると(ステップS12)、制御部22は、物品Gを検知した物品検知センサ34(34a)の個数を記憶部42に記憶する(ステップS14)。物品検知センサ34(34a)による検知後、物品検知センサ34(34a)からエアカーテンAまでの距離と、搬送路30の速度とから求められる時間だけタイマによって風量制御の開始を遅延させることで、物品GがエアカーテンAに到達する時間と風量を低下させる制御の開始時間とを一致させる(ステップS16)。
【0039】
その後、物品検知センサ34(34a)が物品Gを検知する度に、物品Gを検知した物品検知センサ34(34a)の数に応じてファン18の駆動周波数を低周波数に変更し、ファン18の回転数を低下させる(風量調節ステップS18~S28)。最後の物品GがエアカーテンAを通過しタイマにより所定時間経過した後に、物品非通過時の通常運転に戻る(ステップS30)。
【0040】
図12は、物品Gを検知した物品検知センサ34(34a)の個数と、その検知数に応じて設定されるファン18の最適周波数F(Hz)を示す。同図からわかるように、物品Gを検知した物品検知センサ34(34a)の個数が多いほど、即ち、検知した物品が大きいほどファン18の周波数F(Hz)を低くし、ファン18の回転数を下げている。これによって、エアカーテンAの大きな乱流の発生を抑制でき、かつファン18を停止させないため、エアカーテンAによる熱遮断効果を維持できる。
図11の風量調節ステップS18~S28では、物品Gを検知した物品検知センサ34(34a)の数が徐々に増加するフローとなっているが、物品G
1~G
4の順序によっては、物品Gを検知した物品検知センサ34(34a)の個数が減少する場合もあり、この場合、ファン18の周波数F(Hz)を高くし、ファン18の回転数を上げるステップが必要となる。
【0041】
図13は、別な実施形態に係るエアシャッタ装置の運転方法を示すフローチャートである。この実施形態は、
図5及び
図6に示すエアシャッタ装置10(10D)を用いた運転方法である。物品GがエアカーテンAを通過する前、エアシャッタ装置10(10D)のエア噴出部14に設けられたファン18は最適周波数F(Hz)で運転している(ステップS40)。エリアセンサなどで構成される領域検知センサ50(50b)が、エアカーテンAに近づく物品Gを検知し(ステップS42)、引き続きエアカーテンAを通過中の物品Gの側面の投影面形状を記録する(ステップS44)。領域検知センサ50(50b)で物品Gを検知後、タイマによって、エアカーテンAまでの距離と搬送路30の速度とから求められる時間まで制御部22による風量制御を遅延させることで、物品GがエアカーテンAを通過する時期と風量制御の開始時期とを一致させる(ステップS46)。
【0042】
その後、領域検知センサ50(50b)で検知したエアカーテンAの形成領域に対する
物品Gの側面の投影面全域に亘る空間占有率(%)を算出する(ステップS48)。そして、算出した空間占有率に応じてファン18の駆動周波数を低周波数に変更し、ファン18の回転数を低下させる(風量調節ステップS50)。最後の物品GがエアカーテンAを通過した後、物品非通過時の通常運転に戻る(ステップS52)。
【0043】
図14は、物品Gの側面の投影面における空間占有率とファン18の最適周波数F(Hz)との関係の一例を示す線図である。同図からわかるように、空間占有率が大きいほど、ファン周波数F(Hz)を低くし、ファン18の回転数を下げている。これによって、大きな乱流の発生を抑制でき、かつファン18を停止させないため、エアカーテンAによる熱遮断効果を維持できる。
【0044】
図15は、さらに別な実施形態を示す。この実施形態では、物品Gの搬送方向(矢印b方向)に沿って2台のエアシャッタ装置10(10a、10b)を2台並列に並べている。そして、2台のエアシャッタ装置10(10a、10b)の夫々で、物品Gの通過投影面から算出される空間占有率に応じたファン周波数F(Hz)でファン18を駆動する風量調節ステップを実施する。これによって、エアカーテンAの遮断効果を向上できる。
【0045】
図16は、別な実施形態に係るエアシャッタ装置の運転方法を示すフローチャートである。この実施形態は、
図7に示すエアシャッタ装置10(10E)を用いた運転方法である。物品GがエアカーテンAを通過する前、エアシャッタ装置10(10E)のエア噴出部14に設けられたファン18は最適周波数F(Hz)で運転している(ステップS60)。撮像部及び画像処理部等で構成される領域検知センサ50(50c)が、エアカーテン形成部12に接近してくる物品Ga、Gb、・・・を検知し(ステップS62)、これを撮像し、画像処理部で画像処理することで、各物品の形状や大きさを認識する(ステップS64)。
【0046】
領域検知センサ50(50c)で物品を検知後、タイマによって、エアカーテンAまでの距離と搬送路30の速度とから求められる時間まで制御部22による風量制御を遅延させることで、物品GがエアカーテンAを通過する時間と風量制御の開始時間とを一致させる(ステップS66)。各物品がエアカーテンAを通過する時、各物品の形状や大きさに応じた最適な低周波数F(Hz)に調節してファン18を駆動する(風量調節ステップS68)。最後の物品GがエアカーテンAを通過しタイマにより所定時間経過後に、物品非通過時の通常運転に戻る(ステップS70)。
【0047】
図17は、領域検知センサ50(50c)によって形状や大きさが認識された物品Ga、Gb、Gc及びGdと、エアカーテンAを通過する時間及び最適周波数との関係を示す表である。物品Gbと物品Gcとを比較すると、
図7に示すように、物品Gcより大きい物品Gbのほうが低い周波数が割り当てられ、ファン18の回転数をより低くして乱流の発生を抑制している。
【0048】
図18は、さらに別なエアシャッタ装置の運転方法を示すフローチャートである。この実施形態は、
図8及び
図9に示すエアシャッタ装置10(10F)を用いた運転方法である。エアシャッタ装置10(10F)は、上述のように、物品検知センサ34(34b)として、エアカーテンAの上下方向に離散的に配置された複数の温度センサを備えている。物品GがエアカーテンAを通過する前、エアシャッタ装置10(10F)のエア噴出部14に設けられたファン18は最適周波数F(Hz)で運転している(ステップS80)。物品GがエアカーテンAに近づく前に、上記温度センサにより検知された温度を目標値Tsとして制御部22の記憶部42に記憶させる。追加的に物品検知センサ34(34a)を備えている場合、物品検知センサ34(34a)がエアカーテンAに近づく物品Gを検知し、物品検知センサ34(34a)を備えていない場合、温度センサの検出値によって物品GがエアカーテンAを通過したのを検知する(ステップS84)。
【0049】
物品GがエアカーテンAを通過した時の温度センサの検出値をTnとして記憶部42に記憶する(ステップS86)。次に、ファン18の駆動周波数が下限値でないことを確認し(ステップS88)、ファン18の周波数が下限値であるとき、これ以上周波数を下げようがないので、物品検知前のステップS82に戻る。ファン18の周波数F(Hz)が下限値でなく、かつ温度センサの検出値Tnが目標値Tsより閾値DT1より上昇しているとき(ステップS90)、物品GがエアカーテンAを通過したことによりエアカーテンAの空気膜が乱され、漏れが起っていると判断する。そして、ファン18の駆動周波数F(Hz)を温度上昇分に応じてDF1(Hz)だけ下げる(風量調節ステップS92)。これによって、ファン18の回転数を下げ、エア噴出部14の空気吹出量を下げることで、エアカーテンAの乱れを解消する。
【0050】
温度上昇分が閾値以下となるようにこの操作を繰り返し、エアカーテンAの乱れが解消するような最適周波数に変更する(ステップS94及びS96)。なお、温度上昇が閾値DT3を下回った時、空気流aの風量が不足したことによる漏れが起ったと判断し、ファン18の駆動周波数F(Hz)をDF1(Hz)だけ上げる(ステップS98及びS100)。その後、目標値Tsを新たな目標値Tnに更新し(ステップS102)、タイマにより温度センサを一定の時間間隔毎に計測する制御周期を設定した後(ステップS104)、上記制御を再び繰り返す。物品GがエアカーテンAを通過した後は、物品Gが通過しない時の通常の運転周波数に戻る。これによって、大きな乱流の発生を抑制できると共に、エアカーテンAによる熱遮断効果を高く維持できる。
【0051】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0052】
(1)一つの態様に係るエアシャッタ装置は、物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の出入り方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、前記エアカーテンを通過する前記物品の存在を示す信号に応答して、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御するための制御部と、を備える。
【0053】
このような構成によれば、物品のエアカーテン通過時に、エアカーテンの一部を消失させずに物品の非通過時よりも低い風量に制御することで、大きな乱流の発生を抑制できると共に、エアカーテンによる熱の遮断効果を維持できる。また、塵埃等の侵入を防ぐこともできる。
【0054】
(2)別の態様に係るエアシャッタ装置は、(1)に記載のエアシャッタ装置であって、前記エアカーテンを通過する前記物品を検知するための第1センサ(例えば、
図1に示す物品検知センサ34(34a)、
図8、9に示す物品検知センサ34(34b))を備え、前記制御部は、前記第1センサから前記信号を取得するように構成されている。
【0055】
このような構成によれば、制御部は第1センサから物品検知信号を取得することで、風量制御をタイミング良く実施できる。
【0056】
(3)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(1)又は(2)に記載のエアシャッタ装置であって、前記エアカーテンを通過する前記物品の種類が予め定められ、前記制御部は、前記物品が前記エアカーテンを通過する時、前記風量が前記物品の種類に応じて予め定められた風量となるように前記風量調節部を制御するように構成されている。
【0057】
このような構成によれば、制御部による風量制御パターンが予め定められているので、制御機構を簡素化できる。
【0058】
(4)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(1)乃至(3)の何れかに記載のエアシャッタ装置であって、前記エアカーテンの形成領域のうち前記エアカーテンを通過する前記物品が占める領域に関する情報を検出するための第2センサ(
図4に示す領域検知センサ50(50a)、
図6に示す領域検知センサ50(50b)、
図7に示す領域検知センサ50(50c))を備え、前記制御部は、前記第2センサの検出信号に応じて前記エアカーテンの漏れを抑制する風量となるように前記風量調節部を制御するように構成されている。
【0059】
このような構成によれば、上記第2センサによってエアカーテン形成領域のうちエアカーテンを通過する物品が占める領域を検知可能であるため、検知した領域、即ち、物品の形状や大きさに適した風量制御を行うことができる。これによって、乱流の発生やエアカーテンの漏れを精度良く抑制できる。
【0060】
(5)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(4)に記載のエアシャッタ装置であって、前記第2センサは、前記物品の出入り方向の形状変化を検知可能に構成され、前記制御部は、前記第2センサが検知した前記物品の前記出入り方向の形状変化に応じて前記エアカーテンにおける前記物品の通過中に前記風量を変化させるように前記風量調節部を制御するように構成されている。
【0061】
このような構成によれば、第2センサによって物品の出入り方向の形状変化を検知可能であるため、物品が出入り方向に沿って複雑な形状を有する場合でも、物品の出入り方向の形状変化に応じた木目細かい風量制御を行うことができ、これによって、乱流の発生やエアカーテンの漏れを精度良く抑制できる。
【0062】
(6)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(5)に記載のエアシャッタ装置であって、前記制御部は、前記物品が前記エアカーテンを通過中に前記エアカーテンの面積に対する前記物品の面積占有率が低減したとき、前記風量を増加させるように前記風量調節部を制御するように構成される。
【0063】
このような構成によれば、物品の面積占有率が低減したときのエアカーテンの遮断効果を維持できる。
【0064】
(7)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(2)に記載のエアシャッタ装置であって、前記物品の搬送方向に沿って第1空間(例えば、
図8に示す外側空間So)及び該第1空間とは異なる温度の第2空間(例えば、
図8に示す作業空間32)が設けられると共に、前記エアカーテンは前記第2空間の入口に設けられ、前記第1センサは前記第2空間に対し前記エアカーテンの外側に設けられた温度センサで構成されている。
【0065】
このような構成によれば、上記温度センサの検出値から、第2空間からの空気の漏れを検知できる。従って、温度センサの検出値を指標として風量制御を行うことで、乱流の発生やエアカーテンの漏れを精度良く抑制できる。
【0066】
(8)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(7)に記載のエアシャッタ装置であって、前記温度センサは、前記エアカーテンの上下方向に離散的に配置された複数の温度センサ(例えば、
図8及び9に示す物品検知センサ34(34b))で構成され、前記エアカーテン形成部は、上下方向に配置された複数のエアカーテン形成部で構成され、前記制御部は、前記複数の温度センサの検出値から前記複数のエアカーテン形成部の各々の風量を決定するように構成されている。
【0067】
このような構成によれば、制御部は、上記複数の温度センサの各々の検出値からエアカーテン形成領域のどの領域で漏れが発生しているかを検知できる。この検知結果から複数のエアカーテン形成部の各々の風量を決定するため、エアカーテン形成領域を分割した複数の部分領域毎に木目細かい風量制御が可能となる。
【0068】
(9)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(1)乃至(8)の何れかに記載のエアシャッタ装置であって、前記エア噴出部は1個以上のファンを含み、前記風量調節部は、前記ファンの回転数を制御する回転数制御部で構成されている。
【0069】
このような構成によれば、エア噴出部のファンの回転数を制御することで、精度良い風量調節が可能になる。
【0070】
(10)さらに別な態様に係るエアシャッタ装置は、(1)乃至(8)の何れかに記載のエアシャッタ装置であって、前記エア噴出部は風量を制御するためのダンパを備え、前記風量調節部は前記ダンパの開度を制御する開度制御部で構成されている。
【0071】
このような構成によれば、上記ダンパで風量調節が可能になるため、風量調節部を簡素化できる。
【0072】
(11)一つの態様に係るエアシャッタ装置の運転方法は、物品の出入口を挟んで対向配置されたエア噴出部及びエア吸引部を含み、前記出入口に前記物品の搬送方向と直交する方向にエアカーテンを形成するエアカーテン形成部と、前記エア噴出部から噴出するエアの風量を調節するための風量調節部と、を備えたエアシャッタ装置の運転方法であって、前記物品が前記エアカーテンを通過するとき、前記エアカーテンにおける前記物品の非通過時よりも低い前記風量にて前記エア噴出部を作動させ、前記エアカーテンを維持するように前記風量調節部を制御する風量調節ステップを備える。
【0073】
このような方法によれば、物品のエアカーテン通過時に、エアカーテンの一部を消失させずに風量制御を実施することで、大きな乱流の発生を抑制できると共に、エアカーテンによる熱の遮断効果を維持できる。また、塵埃等の侵入を防ぐこともできる。
【符号の説明】
【0074】
10(10A、10B、10C、10D、10E、10F、10a、10b)
エアシャッタ装置
12(12a、12b) エアカーテン形成部
14 エア噴出部
14a エア噴出口
16 エア吸引部
16a エア噴出口
18 ファン
20(20a、20b) 風量調節部
20a 回転数制御部
20b 開度制御部
22 制御部
24,26 ダクト
28 ダンパ
30 搬送路
32 作業空間
34(34a、34b) 物品検知センサ
40 インタフェイス
42 記憶部
44 CPU
46 上位制御部
50(50a、50b、50c) 領域検知センサ
A エアカーテン
E 出入口
F(Hz) ファン周波数
G(G1、G2、G3、G4、Ga、Gb、Gc、Gd) 物品
So 外側空間
Tn 検出値(温度)
Ts 目標値(温度)
a 空気流