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特許7356334多段液溜式凝縮蒸発器、該多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置
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  • 特許-多段液溜式凝縮蒸発器、該多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置 図1
  • 特許-多段液溜式凝縮蒸発器、該多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置 図2
  • 特許-多段液溜式凝縮蒸発器、該多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】多段液溜式凝縮蒸発器、該多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/04 20060101AFI20230927BHJP
   F25J 5/00 20060101ALI20230927BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230927BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20230927BHJP
   F28F 13/04 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F25J3/04 101
F25J5/00
F28F3/08 301Z
F28D9/00
F28F13/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019227196
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021096028
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】江越 信明
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/027889(WO,A1)
【文献】特開2019-174070(JP,A)
【文献】特表2003-535300(JP,A)
【文献】特開昭63-267877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J1/00-5/00
F28F3/08
F28F13/04
F28D9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発する液体が通流する複数段に仕切られた蒸発通路と、該蒸発通路に供給及び流出する液体を溜める液溜部と、該液溜部の液体を上側の液溜部から下側の液溜部に流すための液体連通通路と、前記液体と熱交換して凝縮するガスが通流する凝縮通路とを備えた多段液溜式凝縮蒸発器であって、
プレートとフィンからなる前記蒸発通路と前記凝縮通路を隣接して積層して形成される熱交換部からなる熱交換器コアと、該熱交換器コアの幅方向の少なくとも片側の側面に前記蒸発通路の段数に対応して形成された液溜部と、を有し、
前記凝縮通路は、少なくとも2段に仕切られており、
該凝縮通路の各段の上部にそれぞれ設けられて各段の凝縮通路にガスを供給するガスヘッダーと、前記ガスヘッダーに供給されたガスを凝縮通路に導入させるための凝縮導入流路と、前記凝縮通路の各段の下部にそれぞれ設けられて前記ガスが凝縮して生成された液を収集する液ヘッダーと、凝縮によって生成した液体を前記液ヘッダーに流出させるための凝縮流出流路とを備えたことを特徴とする多段液溜式凝縮蒸発器。
【請求項2】
前記熱交換コアが、前記熱交換部と該熱交換部の積み高さ方向の少なくとも片側に前記液体連通通路を形成する液体連通部を備えていることを特徴とする請求項1記載の多段液溜式凝縮蒸発器。
【請求項3】
空気から酸素と窒素を採取する複式精留システムからなる空気分離装置であって、
請求項1又は2に記載の多段液溜式凝縮蒸発器を主凝縮器として備えることを特徴とする空気分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの蒸発区域に設けられた液溜内の液体を蒸発通路に導入して凝縮流路を流れる気体との熱交換によりサーモサイフォン作用を利用して蒸発させると共に、前記気体を凝縮させる多段液溜式凝縮蒸発器、該多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
凝縮蒸発器は、複式精留塔からなる空気分離装置の低圧蒸留塔(以下、「低圧塔」という)塔底からの液体酸素と高圧蒸留塔(以下、「高圧塔」という)塔頂からの窒素ガスとを間接熱交換させることにより、液体酸素の一部を蒸発気化させて、低圧塔の上昇ガスを生成するとともに、窒素ガスを凝縮液化して、高圧塔及び低圧塔の還流液を生成するのに用いられている。
【0003】
このような凝縮蒸発器として凝縮通路と蒸発通路からなるプレートフィン型熱交換器が用いられており、特許文献1には、上端から下端まで連通した凝縮通路と、上下に複数仕切られた蒸発区域をもつ蒸発通路からなる多段液溜式凝縮蒸発器が開示されている。
このような多段液溜式凝縮蒸発器においては、複数仕切られた蒸発区域には液体酸素を溜める液溜めが多段に設けられており、各液溜めから蒸発通路に流入する液体酸素の液ヘッドが小さいので、沸点上昇が抑制され、液体酸素を効率的に蒸発させることができる。
よって、窒素ガスとの温度差を小さくでき、高圧塔の圧力が低くなり、運転コストを削減できるという利点がある。
【0004】
図3は従来の多段液溜式凝縮蒸発器の熱交換器ブロック110の概略を示したものである。熱交換ブロック110は、上下に連通する凝縮通路10と、6つの蒸発区域E1、E2、E3、E4、E5、E6に仕切られた蒸発通路2からなる熱交換部3と、熱交換部3の積み高さ方向の両側面に設けられた液体連通部5とを備えた熱交換コア7と、熱交換器コア7の幅方向の両側に形成された5段の液溜部6とを備えている。
【0005】
凝縮対象となる窒素ガスは、頂部のガスヘッダー80を経て凝縮通路10に流入し、隣接した蒸発通路2を流れる液体酸素との熱交換により凝縮し、底部の液ヘッダー90を経て排出される。
一方、窒素ガスと熱交換する液体酸素は、熱交換ブロック110の最上段の液溜部6に供給され、凝縮通路10を流れる窒素ガスとの熱交換により、蒸発区域E1の下部にある蒸発導入口21から蒸発通路2に流入し、蒸発しながら上昇し、気液二相で蒸発区域上部にある蒸発導出口22から液溜部に流出する。
【0006】
液溜部6に流出した酸素ガスは、液溜部6の上部から排出され、蒸発しなかった液体酸素は再び液溜部6に戻される。液溜部6の液面が液体連通部5の連通導入口51より高くなると、液体酸素はその連通導入口51より連通通路を経て、蒸発区域E2の連通導出口52から液溜部6に供給される。蒸発区域E2~E5においても同様の蒸発が行われるが、蒸発区域E5の液溜部6から液体連通部5に導入された液体酸素は、通路底部から熱交換ブロック110を収容する容器(図示なし)の底部に供給され、蒸発区域E6にてその一部が蒸発する。各蒸発区域で生成した酸素ガスは容器で収集され、その一部が製品GOとして採取される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6087326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多段液溜式凝縮蒸発器において酸素ガスと窒素ガスとの温度差を小さくするために伝熱面積を増加させる場合、一般的には蒸発区域の数(段数)が増やされる。
しかしながら、蒸発区域の数を増やすと、熱交換効率が悪くなるという問題がある。この点を、蒸発区域数を4、5、6とした多段液溜式凝縮蒸発器A、B、Cを例に挙げて説明する。
凝縮通路では、頂部から流入した窒素ガスが底部でその全量が液化するので、液化した液流量を100とした場合、各多段液溜式凝縮蒸発器A、B、Cにおける凝縮通路の各蒸発区域での液流量分布は表1に示す通りになる。
なお、表1では、多段液溜式凝縮蒸発器を単に凝縮蒸発器と表記している。
【0009】
【表1】
【0010】
表1に示すように蒸発区域数が4である多段液溜式凝縮蒸発器Aの場合、最下段の蒸発区域4(表中では単に「区域4」と表記)の出口で液流量が100となるので、各蒸発区域に対応する凝縮通路において凝縮量が等しいと仮定すると、各蒸発区域での凝縮量は25となる。すなわち、蒸発区域1の液流量は入口で0、出口で25となり、蒸発区域2では入口で25、出口で50、蒸発区域3では入口で50、出口で75、蒸発区域4では入口で75、出口で100となる。なお、表中では、各区域の入口と出口の液流量を平均した液流量をカッコ内に記載している。
【0011】
表1に示されるように、いずれの多段液溜式凝縮蒸発器においても蒸発区域が下方ほど液流量が増加している。そして、蒸発区域が増えるに従って最下の蒸発区域での液流量が多くなっていることが分かる。
表1から明らかなように蒸発区域数を増やすことは、凝縮通路にとっては液流量が多い伝熱面積を増加させることになる。その結果、液流量が多い蒸発区域の通路内では液膜厚さが大きくなるため、凝縮の効率が低下する。そのため、蒸発区域の数を増やして伝熱面積を増加させても、酸素ガスと窒素ガスとの温度差が相応して小さくならず、多段液溜式凝縮蒸発器のサイズが非効率に大きくなり、さらには、多段液溜式凝縮蒸発器を含む低温機器を収容するためのコールドボックスも大きくなり、設備コストが増大するという問題がある。
【0012】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、凝縮効率低下を抑制し、サイズをコンパクト化できる多段液溜式凝縮蒸発器、及び該多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係る多段液溜式凝縮蒸発器は、蒸発する液体が通流する複数段に仕切られた蒸発通路と、該蒸発通路に供給及び流出する液体を溜める液溜部と、該液溜部の液体を上側の液溜部から下側の液溜部に流すための液体連通通路と、前記液体と熱交換して凝縮するガスが通流する凝縮通路とを備えたものであって、
プレートとフィンからなる前記蒸発通路と前記凝縮通路を隣接して積層して形成される熱交換部からなる熱交換器コアと、該熱交換器コアの幅方向の少なくとも片側の側面に前記蒸発通路の段数に対応して形成された液溜部と、を有し、
前記凝縮通路は、少なくとも2段に仕切られており、
該凝縮通路の各段の上部にそれぞれ設けられて各段の凝縮通路にガスを供給するガスヘッダーと、前記ガスヘッダーに供給されたガスを凝縮通路に導入させるための凝縮導入流路と、前記凝縮通路の各段の下部にそれぞれ設けられて前記ガスが凝縮して生成された液を収集する液ヘッダーと、凝縮によって生成した液体を前記液ヘッダーに流出させるための凝縮流出流路とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記熱交換コアが、前記熱交換部と該熱交換部の積み高さ方向の少なくとも片側に前記液体連通通路を形成する液体連通部を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
(3)また、空気から酸素と窒素を採取する複式精留システムからなる空気分離装置であって、上記(1)又は(2)に記載の多段液溜式凝縮蒸発器を主凝縮器として備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、凝縮通路が少なくとも2段に仕切られており、該凝縮通路の各段の上部にそれぞれ設けられて各段の凝縮通路にガスを供給するガスヘッダーと、ガスヘッダーに供給されたガスを凝縮通路に導入させるための凝縮導入流路と、前記凝縮通路の各段の下部にそれぞれ設けられて前記ガスが凝縮して生成された液を収集する液ヘッダーと、凝縮によって生成した液体を前記液ヘッダーに流出させるための凝縮流出流路とを備えたことにより、多段液溜式凝縮蒸発器の凝縮効率低下を抑制し、サイズをコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る多段液溜式凝縮蒸発器の熱交換ブロックの説明図である。
図2図1に示した多段液溜式凝縮蒸発器を備えた空気分離装置の説明図である。
図3】従来の多段液溜式凝縮蒸発器の熱交換ブロックの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態に係る多段液溜式凝縮蒸発器を、その主要構成部である熱交換ブロック11を示した図1に基づいて説明する。なお、図1において従来例を示した図3と同部分及び対応する部分には同一の符号を付してある。
本発明の一実施の形態に係る多段液溜式凝縮蒸発器の熱交換ブロック11は、図1に示すように、蒸発する液体酸素が通流する6段(E1~E6)に仕切られた蒸発通路2と、蒸発通路2に供給及び流出する液体を溜める液溜部6と、液溜部6の液体を上側の液溜部6から下側の液溜部6に流すための液体連通通路を形成する液体連通部5と、液体酸素と熱交換して凝縮する窒素ガスが通流する凝縮通路1とを備えている。
【0019】
本実施の形態では、プレートとフィンからなる蒸発通路2と凝縮通路1を積層して形成される熱交換部と、液体連通部5からなる熱交換器コア7によって形成されている。
そして、液溜部6は、熱交換器コア7を挟んで両側に蒸発通路2の各段に対応して設けられている。
また、凝縮通路1は、上段凝縮区域(C1)と下段凝縮区域(C2)の2段に仕切られており、上段凝縮区域(C1)及び下段凝縮区域(C2)の上部には、上段凝縮区域(C1)及び下段凝縮区域(C2)のそれぞれに凝縮導入流路111を経て窒素ガスを供給するガスヘッダー8がそれぞれ設けられている。
また、上段凝縮区域(C1)及び下段凝縮区域(C2)の下部には、上段凝縮区域(C1)及び下段凝縮区域(C2)で液化した液化窒素を凝縮流出流路112を経て収集する液ヘッダー9がそれぞれ設けられている。
【0020】
液体連通部5によって形成される液体連通通路は、熱交換コア7の上端から下端まで流体が連続して流れるように設けられている。すなわち、本実施の形態では、凝縮通路1は上段凝縮区域(C1)と下段凝縮区域(C2)の2段に仕切られているが、液体連通通路は、図3に示した従来例と同様に途中で仕切られて、流体が排出、供給されることなく、熱交換コアの上端から下端まで連続している。
【0021】
なお、本実施の形態の液体連通通路は、熱交換コア7の積み高さ方向の両側にプレートとフィンによって形成された液体連通部5によって構成されているが、本発明における液体連通通路は熱交換コア7と一体的に設けることは必須ではなく、熱交換コア7とは別に、例えば各液溜部6を連結するパイプ等によって形成してもよい。
また、本実施の形態では液体連通部5は、熱交換コア7の積み高さ方向の両側に設けた例を示したが、本発明の液体連通部5は、片側に設けるものであってもよい。
【0022】
上記のように構成された本実施の形態の多段液溜式凝縮蒸発器の作用について説明する。
液体酸素は、最上段の液溜部6に供給され、凝縮通路1を流れる窒素ガスとの熱交換により、蒸発区域E1の下部にある蒸発導入口21から蒸発通路2に流入し、蒸発しながら上昇し、気液二相で蒸発区域E1の上部にある蒸発導出口22から液溜部6に流出する。
液溜部6に流出した酸素ガスは、液溜部6の上部から排出され、蒸発しなかった液体酸素は再び液溜部6に戻される。液溜部6の液面が液体連通部5の連通導入口51より高くなると、液体酸素はその連通導入口51より液体連通部5を経て、蒸発区域E2の連通導出口52から下段の液溜部6に供給される。
【0023】
蒸発区域E2においても同様に蒸発と連通通路による3段目への液供給が行われ、つづく蒸発区域E3、E4、E5、E6と繰り返される。ただし、蒸発区域E6では、蒸発区域E5の液体連通部5に導入された液体酸素が、通路底部から熱交換ブロック11を収納する容器(図示なし)の底部に供給され、その一部が蒸発する。
【0024】
一方、窒素ガスは、熱交換ブロック11の頂部と中部に設けたガスヘッダー8から流入し、頂部から流入した窒素ガスは上段凝縮区域(C1)にて、中部から流入した窒素ガスは下段凝縮区域(C2)にて、それぞれ蒸発通路2を流れる液体酸素との熱交換により凝縮し、液体窒素として中部、底部に設けた液ヘッダー9により各々排出される。
【0025】
表2は、図1に示した発明例の多段液溜式凝縮蒸発器における凝縮通路1での液流量分布を、同じ伝熱面積をもつ従来の多段液溜式凝縮蒸発器(図3)と比較したものである。
なお、液流量は、従来の多段液溜式凝縮蒸発器の底部での液流量を100としたものである。
【0026】
【表2】
【0027】
発明例の凝縮通路での液流量は、上段凝縮区域(C1)では、従来例と同じであるが、上段凝縮区域(C1)で生成した液体は、すべて中部に設けた液ヘッダー9から排出されるとともに、中部のガスヘッダー8から液化率ゼロのガスが下段凝縮区域(C2)に流入されるので、下段凝縮区域(C2)での液流量が、従来よりも少ない。
具体的には、発明例と従来例の総凝縮量は100で同一であるが、区域4、5、6において、従来の多段液溜式凝縮蒸発器での平均液流量は58、75、92であるのに対し、発明例の多段液溜式凝縮蒸発器では8、25、42と少なく、下段凝縮区域(C2)での伝熱性能低下が抑制されることが分かる。
上記のように構成された本実施の形態では、多段液溜式凝縮蒸発器が従来例のものよりも約15%コンパクト化されることを確認している。
【0028】
図2は、図1に示した熱交換ブロック11を有する多段液溜式凝縮蒸発器を用いた場合の空気分離装置の一例を示したものであり、図1と同一部分には同一の符号を付している。
空気分離装置13は、主な構成として、コールドボックス800内に収容された高圧塔14、低圧塔15と1つ熱交換器ブロック11が容器16に収容されてなる多段液溜式凝縮蒸発器17を備えている。
原料空気は、空気圧縮機18で圧縮され、空気予冷器19で予冷され、空気精製器20で精製され、高圧塔14の底部に供給され、塔内を流下する還流液との気液接触により、上昇しながら低沸点成分である窒素が濃縮し、塔頂にて窒素ガスが生成する。
【0029】
また、塔内を流下する還流液は下降しながら高沸点成分である酸素が富化し、塔底にて酸素富化液体空気が生成される。酸素富化液体空気は、低圧塔15に供給され、塔内の上昇ガスとの気液接触により流下しながら高沸点成分である酸素が濃縮し、塔底にて液体酸素が生成する。また上昇ガスは上昇しながら低沸点成分である窒素が濃縮し、塔頂にて窒素ガスが生成する。
【0030】
高圧塔14の塔頂に生成した窒素ガスは、管路140を経て熱交換ブロック11の頂部及び中部のガスヘッダー8にそれぞれに供給され、液体酸素供給管141を経て供給された液体酸素との熱交換により凝縮し、中部及び底部の液ヘッダー9から排出され、管路142を通じて高圧塔14に戻されるとともに低圧塔15の還流液となる。
一方、液体酸素供給管141を経て供給された液体酸素は蒸発し、その一部が製品GOとして採取されるとともに、低圧塔15の上昇ガスとなる。
【0031】
上記の空気分離装置13においては、本発明に係る多段液溜式凝縮蒸発器17を用いることにより、伝熱性能低下が抑制され多段液溜式凝縮蒸発器17の小型化が可能となっており、これに伴い、コールドボックス800も小さくなり、設備コストを低減することができる。
また、小型化を実現しつつ伝熱性能低下が抑制されることで、凝縮通路1に流入する窒素ガス圧力、つまり高圧塔14の圧力上昇を抑えることができ、運転コストの増加を抑制することができる。
【符号の説明】
【0032】
1、 10 凝縮通路
111 凝縮導入流路
112 凝縮流出流路
2 蒸発通路
21 蒸発導入口
22 蒸発導出口
3 熱交換部
5 液体連通部
51 連通導入口
52 連通導出口
6 液溜部
7 熱交換コア
8、80 ガスヘッダー
9、90 液ヘッダー
11、110 熱交換ブロック
13 空気分離装置
14 高圧塔
140、142 管路
141 液体酸素供給管
15 低圧塔
16 容器
17 多段液溜式凝縮蒸発器
18 空気圧縮機
19 空気予冷器
20 空気精製器
800 コールドボックス
C1 上段凝縮区域
C2 下段凝縮区域
E1~E6 蒸発区域
図1
図2
図3