(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】基板乾燥装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230927BHJP
F26B 15/12 20060101ALI20230927BHJP
C25D 21/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H01L21/304 651L
H01L21/304 651G
F26B15/12 E
C25D21/00 B
(21)【出願番号】P 2020020565
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】大橋 弘尭
(72)【発明者】
【氏名】對馬 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 郁弥
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-154111(JP,A)
【文献】特開2001-050660(JP,A)
【文献】米国特許第06418640(US,B1)
【文献】特開2015-192141(JP,A)
【文献】特開2002-158205(JP,A)
【文献】特開平11-214349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
F26B 15/12
C25D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角型基板の外周部を把持する把持部と、
前記把持部により把持された基板に気体を噴きつけて前記基板を乾燥させる基板用ノズルと、
前記把持部に気体を噴きつけて前記基板を乾燥させる把持部用ノズルと、
を備え、
前記基板用ノズルは、前記基板に対して一方向に相対移動可能であって、前記基板に向けて前記一方向へ気体を噴出可能であり、
前記把持部用ノズルは、前記基板に対して前記一方向に相対移動可能であって、前記一方向と交わる方向へ気体を噴出可能であり、
前記把持部用ノズルは、前記一方向に対して前記基板用ノズルの後方に配設されている、基板乾燥装置。
【請求項2】
前記基板用ノズルはスリット状の開口部から気体を噴出可能であり、
前記開口部の延在方向の長さは、前記基板の幅より大きい、請求項1に記載の基板乾燥装置。
【請求項3】
前記基板用ノズルと前記把持部用ノズルとは、一体変位可能である、請求項1または2に記載の基板乾燥装置。
【請求項4】
前記把持部用ノズルは、
前記基板の表面に気体を噴きつける上側把持部用ノズルと、
前記基板の裏面に気体を噴きつける下側把持部用ノズルと、
を含み、
前記上側把持部用ノズル及び前記下側把持部用ノズルはそれぞれ、前記基板に対して傾斜するように設けられている、請求項1~3のいずれかに記載の基板乾燥装置。
【請求項5】
前記基板を支持する支持部と、
前記支持部に気体を噴きつけて前記基板を乾燥させる支持部用ノズルと、
をさらに備え、
前記支持部用ノズルは、前記基板に対して前記一方向に相対移動可能であって、前記一方向と交わる方向へ気体を噴出可能であり、前記一方向に対して前記基板用ノズルの前方に配設されている、請求項1~4のいずれかに記載の基板乾燥装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記基板を支持する支持ピンを含む、請求項5に記載の基板乾燥装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記基板の面が水平になるように前記基板を支持する、請求項5または6に記載の基板乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に気体を噴きつけて乾燥させる基板乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の基板に配線やバンプを形成する手法として、電解めっき法が広く用いられている。近年では、めっき対象として一般的であった円形基板に加えて、角型基板に対してもめっきをすることが求められている。
【0003】
一般に、基板にめっき処理を施した後には、基板の洗浄がなされる。その後、基板に付着した水分等の処理液を取り除く乾燥処理が行われる。角型基板に関しては、基板両面に向けて気体を噴射させ、基板両面に残存する処理液を吹き飛ばす態様で取り除く乾燥方法が知られている。例えば、特許文献1に記載されているように、基板をローラにて搬送しつつ、基板両面に気体を噴きつけて乾燥する方法が知られている。また、特許文献2に記載されているように、基板の端部を把持しながら基板両面に気体を噴きつける方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-6404号公報
【文献】特開2002-158205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板をローラにて搬送させる方法では、搬送時においてローラに基板が当たる等により基板の損傷が生じる虞があった。一方、基板を把持する方法ではこの損傷が生じる虞はない。しかし、基板における把持部の当接箇所近傍に十分に気体が噴きつけられず、この位置において基板の乾燥が不十分となる可能性があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、角型基板に対して十分に乾燥を行える基板乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は基板乾燥装置である。この基板乾燥装置は、角型基板の外周部を把持する把持部と、把持部により把持された基板に気体を噴きつけて基板を乾燥させる基板用ノズルと、把持部に気体を噴きつけて基板を乾燥させる把持部用ノズルと、を備える。基板用ノズルは、基板に対して一方向に相対移動可能であって、基板に向けて一方向へ気体を噴出可能である。把持部用ノズルは、基板に対して一方向に相対移動可能であって、一方向と交わる方向へ気体を噴出可能である。把持部用ノズルは、一方向に対して基板用ノズルの後方に配設されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基板処理装置によれば、角型基板に対して十分に乾燥を行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る基板乾燥装置の全体構成を表す斜視図である。
【
図3】クランプ機構の構成及び動作を表す側面図である。
【
図4】支持部による基板Wの支持状態を表す斜視図である。
【
図5】支持機構による基板Wの支持態様を表す図である。
【
図8】ノズルの配置関係について表す概念図である。
【
図9】ノズルの配置関係について表す概念図である。
【
図10】乾燥処理時の乾燥機構の駆動状態を表す図である。
【
図11】基板に対するノズルの位置関係について示す概念図である。
【
図12】気体噴出時における基板の状態を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る基板乾燥装置1の全体構成を表す斜視図である。
本実施形態においては、角型の基板Wにめっき処理後の洗浄処理が施された後の、水分等の処理液が付着したままの基板Wが基板乾燥装置1によって乾燥される。基板Wは長方形状を有する。基板Wの表面(上面)及び裏面(下面)には、めっき処理によって形成される回路等が設けられる実装領域と、回路等が設けられない非実装領域とが存在する。基板Wは、非実装領域において支持される態様で基板乾燥装置1に搬送される。
【0012】
基板乾燥装置1は、ベース部2と、支持機構4と、乾燥機構6を備える。ベース部2は、基板乾燥装置1の骨組みをなす。支持機構4は、基板Wを支持する。乾燥機構6は、支持機構4に対して移動しつつ、基板Wを乾燥させる。ベース部2は、4本の支柱8を含む。支柱8をかけ渡すように一対のガイド部材10a、10bが設けられている(これらを特に区別しないときには「ガイド部材10」と総称する)。ガイド部材10a、10bは、それぞれ水平に延在し、互いに平行とされている。支持機構4は、乾燥処理時に基板Wを水平に保持するための一対の把持ユニット12a、12bを有する(これらを特に区別しないときには「把持ユニット12」と総称する)。把持ユニット12aはガイド部材10aに吊持され、把持ユニット12bはガイド部材10bに吊持されている。以下、ガイド部材10の延在方向を「前後方向」と呼ぶことがある。
【0013】
把持ユニット12は、ガイド部材10と平行に延在する支持台14と、支持台14の延在方向に配設された一対のクランプ機構16を有する。一対の把持ユニット12が有する合計4つのクランプ機構16により基板Wを挟持し、基板Wを水平に支持する。クランプ機構16は、「把持部」として機能する。
【0014】
支持機構4は、枠形状の支持部18を含む。支持部18は、図示しない機構によってベース部2に支持されている。支持部18は、基板Wを下方から支持する。支持部18及びクランプ機構16について詳細は後述する。
【0015】
乾燥機構6は、一対のガイド部材10に沿って移動可能に支持されている。ガイド部材10の延在方向である「前後方向」は、乾燥機構6の移動方向に対応する。ガイド部材10aの上面には、乾燥機構6を移動させるパルスモータ20が設けられている。ガイド部材10bの上面には、乾燥機構6の移動をガイドするガイドレール22が設けられている。乾燥機構6は、一対のガイド部材10に吊持される支持台24と、支持台24に支持されるノズル機構26を有する。ノズル機構26は基板Wに対して上下から窒素等の気体を噴出する。ノズル機構26について詳細は後述する。
【0016】
基板乾燥装置1には、制御部28が設けられている。制御部28は、マイクロコンピュータからなり、各種演算処理を実行するCPU、制御プログラム等を格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、電源遮断後も記憶内容を保持する不揮発性メモリ、入出力インタフェース、計時用のタイマ等を備える。制御部28は、ノズル機構26を含む各機構の制御を行う。なお、本実施形態では制御部28が各機構を駆動制御することとしたが、機構ごとに制御部を備えてもよい。その場合、各機構の制御部を統括する統括制御部を備えてもよい。
【0017】
基板乾燥装置1には、気体を貯留する気体供給源40が備えられている。また、気体供給源40とノズル機構26とをつなぐ3つの配管30が設けられている。配管30にはそれぞれバルブ32が設けられ、制御部28によってその開閉が制御される。制御部28によるバルブ32の開閉制御やノズル機構26への気体の導出等について詳細は後述する。
【0018】
図2は、基板乾燥装置1の構成を表す縦断面図であり、
図1のA-A矢視断面に対応する。
図3は、クランプ機構16の構成及び動作を表す側面図である。
図3(a)はアンクランプ状態を示し、
図3(b)はクランプ状態を示す。
【0019】
クランプ機構16は、支持台14に固定されるベース48と、ベース48に支持される上下一対の把持部50と、把持部50を駆動するエアシリンダ52を有する。把持部50は、T字状のアーム54と、アーム54の先端部に固定された挟持部材56を含む。アーム54の基端部がベース48に回動可能に接続されている。挟持部材56はロッド状の部材である。アーム54の先端部がU字状に形成され、その両端を架け渡すように挟持部材56が設けられている。挟持部材56の長手方向に沿って複数のOリング58(シールリング)が設けられている。
【0020】
ノズル機構26は、エアナイフ42と、把持部用ノズル44と、支持部用ノズル46を備える。エアナイフ42は、上下一対のエアナイフ42a、42bを有する。把持部用ノズル44は、上下一対の把持部用ノズル44a、44bを2組有する(
図2においては1組のみ図示)。エアナイフ42a、42bは、「基板用ノズル」として機能する。エアナイフ42は、水平に延びるスリット状の開口部66を有し、圧縮された気体を薄い層状に噴出して基板W(
図1参照)を乾燥させる。エアナイフ42aは開口部66aを有し、エアナイフ42bは開口部66bを有する。エアナイフ42aは斜め下方に向けて開口し、エアナイフ42bは斜め上方に向けて開口する。開口部66a、66bは、上下方向に同軸状に配置されている。
【0021】
把持部用ノズル44はスプレーノズルであり、圧縮された気体を直線状に噴出して基板W(
図1参照)における把持ユニット12の把持位置近傍を乾燥させる。支持部用ノズル46もまたスプレーノズルであり、圧縮された気体を直線状に噴出して基板Wにおける支持部18(
図1参照)との当接箇所近傍を乾燥させる。エアナイフ42、把持部用ノズル44、支持部用ノズル46の構造について詳細は後述する。
【0022】
図3(a)に示すように、クランプ機構16の非駆動状態においては、エアシリンダ52のロッドが進出する。このため、上側のアーム54aが回動軸60aを中心に図中時計回りに回動し、下側のアーム54bが回動軸60bを中心に図中反時計回りに回動する。その結果、クランプ機構16が開放された状態(アンクランプ状態)となる。
【0023】
一方、
図3(b)に示すように、クランプ機構16の駆動状態においては、エアシリンダ52のロッドが後退する。このため、アーム54aが図中反時計回りに回動し、アーム54bが図中時計回りに回動する。その結果、基板Wを挟持可能な状態(クランプ状態)となる。このクランプ状態においては、上下複数対のOリング58が基板Wの外周部を挟持する。上下に対となる2つのOリング58は、基板Wの厚み方向(上下)に配置されている。
【0024】
図4は、支持部18による基板Wの支持態様を表す図である。
図4(a)は斜視図であり、
図4(b)は
図4(a)におけるB-B矢視断面図である。
図5は、支持機構4による基板Wの支持状態を表す斜視図である。
【0025】
図4(a)、
図5に示すように、支持部18は、長方形の枠状をなす支持部材62と、支持ピン64を含む。支持部材62は2本の長い棒状の部材が平行に配設されることで、その長辺62aをなしている。この棒状の部材の端部に対して短い棒状の部材がかけ渡される態様で、支持部材62の短辺62bが形成されている。支持部材62の長辺62aの延在方向は、
図1に関連して説明したガイド部材10の延在方向に対応する。以下、支持部材62の長辺62aの延在方向を「前後方向」と呼ぶことがある。
【0026】
図4(a)に戻り、支持部材62のうち長辺62aをなす部分には、その上面に長手方向に沿って複数の支持ピン64が設けられている。本実施形態においては、1つの長辺62aあたり5個の支持ピン64が設けられている。すなわち、支持ピン64は、支持部材62に対して10個設けられている。基板Wは支持ピン64によって、下方から10点で支持されている。
【0027】
基板Wは、その裏面(下面)が支持部材62の長辺62aに対向する一方、短辺62bとは対向しない態様で支持ピン64によって支持される。このとき、基板Wの4つの辺のうち一対の辺が、支持部材62の長辺62aと平行になるように支持される。
図4(b)に示すように、支持ピン64は突起状をなしている。基板Wは、支持ピン64と点接触する一方、支持部材62とは当接しない。支持ピン64によって基板Wを支持することで、基板Wと支持部18との接触面積(基板Wにおける支持部18の当接箇所の面積)を小さくすることができる。接触面積を小さくすることで、基板Wにおける支持部18との当接箇所近傍に残存する処理液の量が少なくなる。したがって、基板Wにおける液残りを抑制することができる。なお、支持ピン64は支持部材62と一体成形されてもよいし、別体として構成され、支持部材62に組付けられてもよい。
【0028】
支持ピン64は基板Wの接触可能領域(回路等の非実装領域)に合わせて配置されるとよい。このような配置とすることで、支持ピン64が回路等に接触しないため、支持ピン64が回路等を損傷することを防止できる。
【0029】
図5に示すように、本実施形態においては支持部18に加えてクランプ機構16よって基板Wを支持する。把持ユニット12は、支持部材62の長辺62aと対向する態様で設けられ基板Wを把持する。本実施形態においては、把持ユニット12aが基板Wの左側の辺に対向し、把持ユニット12bが基板Wの右側の辺に対向する。対向する辺に沿う態様で、クランプ機構16は基板Wを把持する。
【0030】
クランプ機構16及び支持部18は、処理液が付着したままの基板Wを把持及び支持する。このため、基板Wにおける支持部18との当接位置やその近傍、クランプ機構16との当接位置近傍には、処理液が特に残りやすい。これらの位置における処理液の除去について詳細は後述する。
【0031】
なお、本実施形態においては、基板Wとして大型で撓みやすい角型基板を想定している。このような基板Wに対してクランプ機構16のみで支持しようとすると、基板Wの自重によって基板Wが撓んでしまい、基板Wを水平に支持できない可能性があった。また、基板Wの端部がクランプ機構16から外れてしまう虞があった。本実施形態のようにクランプ機構16及び支持部18の両方によって基板Wを支持することで、基板Wを安定的に支持しやすくなる。また、基板Wを水平に保ちやすくもなる。
【0032】
図6、7は、乾燥機構6を表す斜視図である。
図6は乾燥機構6の前面側を示し、
図7は乾燥機構6の後面側を示す。ここでいう「前面側」とは、乾燥機構6の移動方向の前方側を指し、「後面側」とは移動方向の後方側を指す。
図6に示すように、エアナイフ42a、42bはそれぞれ、その延在方向にスリット状の開口部66a、66b(これらを特に区別しないときには「開口部66」と総称する。)を有する。開口部66からは気体が層状に噴射される。開口部66aからは斜め前方下向きに気体が噴射され、開口部66bからは斜め前方上向きに気体が噴射される。開口部66から噴射された気体によって、基板W(
図1参照)の表面(上面)及び裏面(下面)が乾燥する。
【0033】
対をなす2つの支持部用ノズル46は、それぞれ開口部68を有する。開口部68からは、気体が直線状に噴射される。一対の支持部用ノズル46は背合わせの態様で配置されており、2つの開口部68は互いに反対方向に向けられている。2つの開口部68はそれぞれ、やや上方に向けられている。
【0034】
図7に示すように、上下一対の把持部用ノズル44a、44bはそれぞれ開口部70a、70b(これらを特に区別しないときには「開口部70」と総称する。)を有する。開口部70からは、気体が直線状に噴射される。開口部70a、70bは上下に配置されている。対をなす把持部用ノズル44a、44bは、左右に2組設けられている。2組の把持部用ノズル44は、支持部用ノズル46(
図6参照)よりもノズル機構26の中心から左右に遠い位置にそれぞれ配置されている。2つの開口部70aは互いに反対方向に向けられている。同様に、2つの開口部70bは互いに反対方向に向けられている。2つの開口部70aはやや下方に向けられており、2つの開口部70bはやや上方に向けられている。
【0035】
なお、開口部66の開口面積は、開口部68の開口面積及び開口部70の開口面積の両方より相当大きい。また、
図1に関連して説明したとおり、気体供給源40からノズル機構26へ気体が供給される。つまり、エアナイフ42、支持部用ノズル46及び把持部用ノズル44は共通の気体供給源40(
図1参照)から気体を供給される。また、気体の噴出についてはバルブ32(
図1参照)の開閉によって行われる。
【0036】
制御部28によってバルブ32の開閉が制御される。3つの配管30はそれぞれエアナイフ42、把持部用ノズル44、支持部用ノズル46(
図6、7参照)と導通している。配管30それぞれに備えられているバルブ32が開くことで、各配管30の導通先であるエアナイフ42、把持部用ノズル44又は支持部用ノズル46から気体が噴出される。制御部28は、3つのバルブ32をそれぞれ開閉制御することで、エアナイフ42、把持部用ノズル44及び支持部用ノズル46を選択的に駆動できる。
【0037】
共通の気体供給源40から気体が供給される各配管30において、内部を流れる気体の圧力は全て等しい。一方、
図6、7に関連して説明したとおり、開口部66の開口面積は、開口部68の開口面積より大きく、また、開口部70の開口面積よりも大きい。したがって、気体の吐出圧力(各開口部から吐出する気体の圧力)は、開口面積の大きい開口部66より、開口面積の小さい開口部68の方が大きくなる。同様に、開口部66より、開口部70の方が大きくなる。
【0038】
図8、9は、ノズル機構26の配置関係について表す概念図である。
図8はノズル機構26を後面側からみた図であり、
図9はノズル機構26を側面側からみた図である。各図中に示す二点破線は、各ノズルより噴出される気体の領域を示す。以下、この領域を「気体噴射領域」ということがある。また、エアナイフ42の気体噴射領域を噴射領域R1、把持部用ノズル44の気体噴射領域を噴射領域R2、支持部用ノズル46の気体噴射領域を噴射領域R3ということがある。
図9において、矢印はノズル機構26の移動方向を示す。
【0039】
図8に示すように、噴射領域R1におけるエアナイフ42の延在方向への長さL1は、基板Wの左右の幅よりも大きく設定されている。言い換えれば、開口部66(
図6参照)の延在方向への長さは基板Wの左右の幅Tよりも大きく設定されている。これにより、エアナイフ42から噴出される気体が基板Wの幅方向全域にわたって噴きつけられる。
【0040】
把持部用ノズル44aは基板Wの表面に当接するOリング58へ気体を噴きつけて基板Wの表面を乾燥させる。また、把持部用ノズル44bは基板Wの裏面に当接するOリング58へ気体を噴きつけて基板Wの裏面を乾燥させる。把持部用ノズル44aは「上側把持部用ノズル」として機能し、把持部用ノズル44bは「下側把持部用ノズル」として機能する。
【0041】
把持部用ノズル44は、基板Wの表面のうちOリング58を噴射領域R2に含むように気体を噴射させる。把持部用ノズル44aは、基板Wの表面に対して傾斜している。また、把持部用ノズル44bは、基板Wの裏面に対して傾斜している。基板Wに対する傾斜角は、把持部用ノズル44aの傾斜角θ1が20°、把持部用ノズル44bの傾斜角θ2が25°となっている。
【0042】
図3(b)に関連して説明したとおり、上下に対となる2つのOリング58は、基板Wの厚み方向(上下)に配置されている。また、
図7に関連して説明したとおり、開口部70aと開口部70bは上下に配置されている。一方、
図8に示すように、基板Wの裏面と把持部用ノズル44bとの間には支持部18が設けられている。支持部18に干渉しないように、把持部用ノズル44bが基板Wの下方に設けられている。つまり、開口部70bと基板Wの裏面との距離は、開口部70aと基板Wの表面との距離より大きくされている。したがって、基板Wの表面に対して気体を噴きつける把持部用ノズル44aの傾斜角θ1に比べて、基板Wの裏面に対して気体を噴きつける把持部用ノズル44bの傾斜角θ2の方が大きくなっている。
【0043】
支持部用ノズル46は、支持ピン64に気体を噴きつけて基板Wの裏面を乾燥させる。一対の支持部用ノズル46は、基板Wの裏面のうち支持ピン64との当接位置を噴射領域R3に含むように気体を噴出させる。支持部用ノズル46もまた、基板Wの裏面に対して傾斜しており、その傾斜角θ3は25°となっている。
【0044】
図9に示すように、エアナイフ42は、移動方向前方に対して気体を噴きつけるように、基板Wの表面又は裏面に対して傾斜している。エアナイフ42aの噴射領域R1とエアナイフ42bの噴射領域R1は、基板Wの厚み方向にオーバーラップするように設定されている。エアナイフ42aから噴きつけられる気体の噴出方向は、基板Wの表面に対して70°の傾斜角θ4を有する。また、エアナイフ42bから噴きつけられる気体の噴出方向は、基板Wの裏面に対して75°の傾斜角θ5を有する。
【0045】
図2に関連して説明したとおり、開口部66a、66bは、上下に配置されている。
図9に示すように、エアナイフ42bと基板Wの裏面との間には、支持部18が設けられている。支持部18に干渉しないように、エアナイフ42bが基板Wの下方に設けられている。つまり、開口部66bと基板Wの裏面との距離は、開口部66aと基板Wの表面との距離より大きくされている。したがって、基板Wの表面に対して気体を噴きつけるエアナイフ42aの傾斜角θ4に比べて、基板Wの裏面に対して気体を噴きつけるエアナイフ42bの傾斜角θ5の方が大きくなっている。
【0046】
ノズル機構26の移動方向前方から、支持部用ノズル46、エアナイフ42、把持部用ノズル44の順に配置されている。支持部用ノズル46、エアナイフ42、把持部用ノズル44の配列について詳細は後述する。
【0047】
図10は、乾燥処理時の乾燥機構6の駆動状態を表す図である。
基板Wの乾燥時には、支持機構4により基板Wを支持した状態で乾燥機構6を駆動する。この時、図示のように乾燥機構6がガイドレール22に沿って移動しつつ、ノズル機構26が基板Wに向けて気体を噴射する。ノズル機構26は、支持台24に支持されている。すなわち、エアナイフ42、把持部用ノズル44、支持部用ノズル46は共通の支持台24に支持されている。乾燥処理時においては、支持部用ノズル46、エアナイフ42、把持部用ノズル44の順に基板Wの上下を通過していく。
【0048】
図11は、乾燥処理中の基板Wに対するノズル機構26の位置関係について、基板Wを平面視する態様で示す概念図である。
図11において、上側がノズル機構26の進行方向前方側、下側が進行方向後方側を示す。
図11に示すように、本実施形態においては基板Wの長辺と支持部材62の長辺62aとが平行となる態様で、支持部18が基板Wを支持する。ノズル機構26の移動方向は、支持部材62の長辺62aと平行である。エアナイフ42から基板Wへ気体を噴きつけつつノズル機構26を移動させると、基板Wの面に残存する処理液もノズル機構26の進行方向前方へと移動することとなる。以下、基板Wの長辺(支持部材62の長辺62a)と平行であって基板Wの面の中心を通る線を「中心線L」という。
【0049】
エアナイフ42の延在方向は、その進行方向に対して前後方向に僅かに傾斜している。その傾斜角θ6は、中心線Lと垂直な方向に対して1~6°である。この傾斜により、基板Wの両面に付着していた処理液が最終的に基板Wの最前方の角に集められて噴き飛ばされる。したがって、基板Wを確実に乾燥させることができる。なお、エアナイフ42の気体噴射領域(
図8における噴射領域R1)の長さ(移動方向と垂直な方向の長さ)は、傾斜角θ6が存在する場合であっても基板Wの左右の幅Tより大きくなるように設定されている。
【0050】
支持部用ノズル46及び把持部用ノズル44の気体の噴出方向は、ノズル機構26の進行方向に対して90°の向き(基板Wの中心線Lと垂直な方向)となっている。支持部用ノズル46及び把持部用ノズル44はスプレーノズルであり、対象に対して局所的に気体を噴きつけるものである。つまり、両者は処理液を基板Wの中心線Lから離れる方向へと押しやるものである。支持部用ノズル46及び把持部用ノズル44の気体の噴出方向をこのようにすることで、処理液を基板Wから効果的に取り除くことができる。
【0051】
支持部用ノズル46は中心線Lに相対的に近い位置に配置される。一方、把持部用ノズル44は支持部用ノズル46に比して中心線Lから相対的に遠い位置に配置される。この位置関係は、支持部18が基板Wの下面を支持してより中心線Lに近い位置に設けられるのに対し、クランプ機構16(
図5参照)が基板Wの外周部を把持してより中心線から遠い位置に設けられることによるものである。
【0052】
支持部用ノズル46から噴射される気体によって、基板Wにおける支持部18との当接位置及びその近傍に残った処理液は基板Wの外周部へ向けて押しやられる。また、把持部用ノズル44から噴射される気体によって基板Wにおけるクランプ機構16(
図5参照)の把持位置近傍に残った処理液は基板Wの外周部へ向けて押しやられる。クランプ機構16の把持位置は基板Wの外周部に近いため、把持位置近傍に残った処理液は基板Wの両面から噴き飛ばされる。一方、支持部18の当接位置は把持位置に比して基板Wの外周部から遠いため、支持部用ノズル46からの気体の噴出だけでは当接位置に残存する処理液が基板Wの外周端へと到達できず、基板Wの裏面から取り除ききれない可能性がある。
【0053】
そこで、本実施形態においては、基板Wにおける支持部18の当接位置及びその近傍において残存していた処理液を支持部用ノズル46によって基板Wの外周部に近い位置へと押しやった後、エアナイフ42によって基板Wから取り除く。基板Wに対して、支持部用ノズル46による気体の噴きつけの後にエアナイフ42による気体の噴きつけを行うことで、支持部18との当接位置及びその近傍に残存していた処理液を基板Wの裏面から確実に取り除くことができる。
【0054】
基板Wにはまた、Oリング58(
図8参照)の近傍に処理液が溜まりやすくなる。把持部用ノズル44によって、この位置に溜まった処理液を基板Wの両面から取り除く。
【0055】
把持部用ノズル44による基板Wへの気体の噴きつけをエアナイフ42からの噴きつけより前に行う場合を想定する。この場合には、Oリング58(
図8参照)近傍に溜まっていた処理液を把持部用ノズル44による噴きつけで除去したとしても、エアナイフ42によってOリング58より後方側(エアナイフ42の進行方向において上流側)に残存していた処理液がOリング58近傍に移動してしまう可能性がある。結果として、Oリング58近傍が処理液によって再度濡れてしまう虞がある。そこで、本実施形態においては、エアナイフ42による気体の噴きつけの後に把持部用ノズル44による気体の噴きつけを行う。このような態様とすることで、Oリング58近傍に再度処理液が付着することを抑制できる。したがって、基板Wを確実に乾燥させることができる。
【0056】
図12は、支持部用ノズル46による気体噴出時における基板Wの状態を表す概念図である。
図12(a)は気体噴出前の状態を示し、
図12(b)は気体噴出中の状態を示す。
図12(a)に示すように、支持ピン64によって基板Wが支持されているとき、基板Wは支持ピン64との当接点を支持点として、自身の重力によって外周部及び中央部が下方へ撓んでいる。洗浄処理直後の基板Wが支持ピン64によって支持されるとき、基板Wにおける支持ピン64との当接位置には処理液が残存している。
【0057】
図12(b)に示すように、支持部用ノズル46から支持ピン64(基板Wの裏面)へ向けて気体が噴出されると、気体の吐出圧力によって基板Wと支持ピン64との当接が一時的に解除される。これにより、気体が基板Wと支持ピン64との間に入り込むことができ、これらの当接位置に存在していた処理液を当接位置から離れた位置へ押しやることができる。
【0058】
支持部用ノズル46による気体の噴きつけが完了すると、再度基板Wが支持ピン64によって支持され、
図12(a)の状態へと戻る。次いで、
図11に関連して説明したとおり、エアナイフ42による気体の噴きつけが行われる。
【0059】
エアナイフ42(
図11参照)による気体の噴射時において、基板Wは
図12(a)のように支持ピン64により支持され続ける。仮に、エアナイフ42により基板Wと支持ピン64との当接が解除されると、エアナイフ42により押しやられる処理液が基板Wにおける支持ピン64との当接箇所に移動する虞がある。そして、エアナイフ42による気体の噴きつけが完了し、基板Wが支持ピン64に再度支持される際に、基板Wと支持ピン64との間に処理液が残存する可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態においては、支持部用ノズル46による気体の噴射時においては基板Wと支持ピン64との当接が解除される一方、エアナイフ42による気体の噴射時においては両者の当接が維持されるように設定される。
図6、7に関連して説明したとおり、支持部用ノズル46から噴出される気体の吐出圧力はエアナイフ42から噴出される気体の吐出圧力より大きくなるように設定されている。これにより、支持部用ノズル46によって基板W(
図12(a)、(b)参照)と支持ピン64との間の処理液を取り除きつつ、エアナイフ42による気体の噴きつけによって移動してきた処理液が基板Wと支持ピン64との間に入り込まないようにすることができる。
【0061】
図12(a)に関連して説明したとおり、基板Wは、支持ピン64との当接点を支持点として撓んでいる。そのため、支持部用ノズル46による気体の噴きつけの後には、基板Wの裏面に残存する処理液は自身の重力によって基板Wの撓みに沿って支持ピン64から速やかに離れるか、エアナイフ42による気体の噴きつけによって基板Wの端部へと押しやられて取り除かれる。
【0062】
次に、
図1、
図9~
図11に基づき、ノズル機構26からの気体噴出のタイミングについて説明する。
乾燥処理の開始にあたり、制御部28によって乾燥機構6が基板乾燥装置1における初期位置に配置される。この初期位置は、基板Wが基板乾燥装置1にロードされる際に基板Wの搬送の妨げにならない位置に設定されている。次いで、洗浄処理後の処理液が残存している基板Wが支持部18に載置され、基板乾燥装置1にロードされる。さらに、クランプ機構16が基板Wの外周部を把持する。基板Wはクランプ機構16及び支持部18によって基板乾燥装置1内において位置決めされる。
【0063】
続いて、制御部28によって初期位置に配置されていた乾燥機構6が移動を開始し、基板Wの面へ気体を噴きつけ始める。噴きつけに際しては、ノズル機構26による気体噴射領域が各噴きつけ対象物に差し掛かる瞬間に気体が噴きつけられる。まず、噴射領域R3が最後方の支持ピン64(
図11における最下の支持ピン64)に差し掛かる位置にノズル機構26が到達すると、支持部用ノズル46から気体が噴出され始める。次いで、噴射領域R1が基板Wの端部に差し掛かる位置にノズル機構26が到達すると、エアナイフ42から気体が噴出され始める。さらに、噴射領域R2が最後方のOリング58(
図10における最左のOリング58)に差し掛かる位置にノズル機構26が到達すると、把持部用ノズル44から気体が噴出され始める。
【0064】
気体の各噴出は、気体噴射領域が各噴きつけ対象物を通過した後停止される。支持部用ノズル46による気体の噴きつけは、噴射領域R3が最前方の支持ピン64(
図11における最上の支持ピン64)を通過した後に停止される。言い換えれば、支持部用ノズル46による気体の噴射は、噴射領域R3が最後方の支持ピン64に差し掛かってから最前方の支持ピン64を通過するまで継続して行われる。同様に、把持部用ノズル44による気体の噴きつけは、噴射領域R2が最前方のOリング58(
図10における最右のOリング58)を通過した後に停止される。エアナイフ42においては、噴射領域R1が基板Wを通過した後、気体の噴きつけを停止する。
【0065】
乾燥機構6は、基板Wに対して乾燥処理を往復作動せず、一方向作動で終了する。一方向作動が終了すると、乾燥機構6は初期位置に戻る。クランプ機構16のクランプが解除されると、図示しない搬送装置によって基板Wがアンロードされる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、把持部用ノズル44がエアナイフ42の後方に配設される。これにより、エアナイフ42による基板Wの乾燥後においてもなお残っていたOリング58の近傍の液残りを、把持部用ノズル44によって基板Wの両面から取り除くことができる。すなわち、エアナイフ42及び把持部用ノズル44によって、基板Wの表面及び裏面を確実に乾燥させることができる。
【0067】
本実施形態によれば、把持部用ノズル44とエアナイフ42とが一体変位可能となっている。これにより、把持部用ノズル44とエアナイフ42との位置関係を維持しつつ基板Wの乾燥が行える。したがって、これらの位置関係を逐次調整する必要がなく、簡素に基板Wの全体を乾燥できる。
【0068】
本実施形態によれば、エアナイフ42の開口部66の延在方向の長さは基板Wの幅よりも大きく設定されている。これにより、エアナイフ42による基板Wの両面においてその全体を乾燥することができる。
【0069】
本実施形態によれば、支持部用ノズル46がエアナイフ42の前方に配設される。これにより、基板Wにおける支持ピン64との当接箇所に残存していた処理液を効果的に取り除くことができる。したがって、基板W全体の乾燥を確実に行える。
【0070】
本実施形態によれば、支持部18によって基板Wの面が水平に保たれている。これにより、乾燥機構6を基板Wに対して平行に移動させることが簡易に行える。すなわち、基板Wの乾燥中において、乾燥機構6と基板Wとの距離を一定に保つことができる。したがって、乾燥開始から終了にかけて一定の吐出圧力で基板Wへの気体の噴きつけを行うことができ、基板Wの両面においてむらのない乾燥を行える。
【0071】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0072】
上記実施形態では、位置が固定された基板に対して乾燥機構を移動させた。変形例においては、位置が固定された乾燥機構に対して基板を移動させてもよい。すなわち、基板の乾燥時において、基板と乾燥機構とが相対移動可能であればよい。
【0073】
上記実施形態では、エアナイフと、把持部用ノズルと、支持部用ノズルとが同じ支持台に配置され、一体に変位可能であるとした。変形例においては、これらのノズルを個別に制御及び駆動してもよい。
【0074】
上記実施形態では、エアナイフと、把持部用ノズルと、支持部用ノズルとへ同一の気体供給源から気体が供給されるとした。変形例においては、これらのノズルに対して別個の気体供給源から気体を供給してもよい。この場合においても、制御部によって各ノズルから噴出される気体の量や噴出のタイミングを制御すればよい。なお、基板の表面と裏面とに対して異なる種類の気体を供給できるようにしてもよい。また、気体供給源は基板乾燥装置に備えられてもよいし、基板乾燥装置の外部に設けられ各ノズルに気体を供給するとしてもよい。
【0075】
上記実施形態では、クランプ機構による基板の把持だけでなく支持部による基板の支持により基板を安定的に支持した。変形例においては、クランプ機構のみ採用し、基板を把持のみで支持するとしてもよい。この場合には、ノズル機構としてエアナイフと把持部用ノズルとを採用すればよい。なお、基板が大型である場合には、クランプ機構のみでは基板を支持しきれない場合がある。基板のサイズに応じて、適宜支持部を採用するとよい。
【0076】
また、変形例においては、支持部のみ採用してもよい。この場合には、ノズル機構としてエアナイフと支持部用ノズルとを採用すればよい。なお、支持部用ノズルによる気体の噴きつけに際して基板と支持部との当接関係が解除される場合には、支持部に対して基板がずれる虞がある。クランプ機構を採用して基板を安定的に支持する方が好ましい。
【0077】
上記実施形態では、基板を支持する部分として突起状の支持ピンを採用した。変形例においてはピン形状に限らず、半球状等の種々の形状を採用して基板を支持するとしてもよい。また、基板と点接触する態様だけでなく、支持片等によって面接触させる態様としてもよい。いずれの場合においても、基板との接触面積を小さくすれば、液残りを抑制する効果が得られる。
【0078】
上記実施形態では、基板乾燥装置をめっき処理後の洗浄処理を施した後の、処理液が残存している基板に対して使用した。基板乾燥装置の用途はめっき後の洗浄液を取り除く場合に限らず、基板加工後の洗浄によって濡れた基板を乾燥させる等基板に対する種々の乾燥処理に適用できる。
【0079】
上記実施形態では、エアナイフをその進行方向に垂直な方向に対して僅かに傾斜させた。変形例においては進行方向に対して垂直な方向に延在するとしてもよい。また、支持部用ノズル及び把持部用ノズルについては、その開口部が進行方向と垂直な方向(進行方向に対して90°の方向)へ向くように配置したが、これらの開口部を僅かに進行方向へ傾斜させてもよい。支持部用ノズル及び把持部用ノズルについては、進行方向に対して交わる方向へ気体を噴出可能であればよい。このような構造とすることで、基板における支持部との当接位置及びその近傍に残存する処理液を支持部用ノズル及びエアナイフによって取り除くことができる。また、基板における把持部との当接位置近傍に残存する処理液を、把持部用ノズルによって取り除くことができる。
【0080】
上記実施形態では、基板の面に対するエアナイフの傾斜角を70~75°とした。また、支持部用ノズル及び把持部用ノズルの傾斜角を20~25°とした。変形例においては、より傾斜をつけて基板の面に対して気体を噴きつける等してもよい。これらのノズルの傾斜角は、基板乾燥装置の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。一方、基板の両面に対して気体を噴きつける場合には、基板の一方の面における気体噴きつけ位置と丁度真裏に位置する箇所にも気体を噴きつけるのが好ましい。この態様において、支持部を用いて基板を支持した場合には、基板より上側に設けられるノズル機構の基板の面に対する傾斜角は、基板より下側に設けられるノズル機構の基板の面に対する傾斜角より小さくなる。
【0081】
上記実施形態では、基板乾燥装置の適用対象として角型基板を採用した。変形例においては、円形基板等他の形状の基板を適用対象とする基板乾燥装置であってもよい。例えば、円形基板の周縁部を複数の把持部によって把持する場合には、基板乾燥装置は複数の把持部に対してそれぞれ専用の把持部用ノズルを備えればよい。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 基板乾燥装置、2 ベース部、4 支持機構、6 乾燥機構、8 支柱、10 ガイド部材、12 把持ユニット、14 支持台、16 クランプ機構、18 支持部、20 パルスモータ、22 ガイドレール、24 支持台、26 ノズル機構、28 制御部、30 配管、32 バルブ、40 気体供給源、42 エアナイフ、44 把持部用ノズル、46 支持部用ノズル、48 ベース、50 把持部、52 エアシリンダ、54 アーム、56 挟持部材、58 Oリング、62 支持部材、64 支持ピン、66 開口部、68 開口部、70 開口部、L 中心線、W 基板。