IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】光ビームの空間変調
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230927BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20230927BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05H1/24
H05G2/00 K
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020545675
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019056898
(87)【国際公開番号】W WO2019192841
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】62/651,928
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ケビン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】パービス,マイケル,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】スティンソン,コーリー,アラン
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-270551(JP,A)
【文献】特表2007-505488(JP,A)
【文献】特開2012-199201(JP,A)
【文献】特表2017-506359(JP,A)
【文献】特表2017-526947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
修正光ビームを作成するために光ビームと相互作用するように構成された空間変調デバイスであって、前記修正光ビームは前記修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する光の空間パターンを含み、前記光の空間パターンは格子内に配置され空間的に離散している複数の光の成分を含む、空間変調デバイスと、
ターゲット領域にターゲットを提供するように構成されたターゲット供給システムであって、前記ターゲットはプラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含み、前記ターゲット領域は、前記修正ビーム内の前記光の成分のうちの少なくともいくつかが前記ターゲットの一部と相互作用するように、ビーム経路とオーバーラップする、ターゲット供給システムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記空間変調デバイスは回折光学素子を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光の成分の各々は、実質的に同じ強度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記空間変調デバイスは、少なくとも1つのダマン格子を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
光ビームを放出するように構成された第1の光発生モジュール、及び、
第2の光ビームを放出するように構成された第2の光発生モジュール、
を更に備え、
空間変調デバイスは、第2の修正光ビームを作成するために第2の光ビームと相互作用するように更に構成され、第2の修正光ビームは第2の修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する第2の光の空間パターンを含み、第2の光の空間パターンは1つ以上の第2の光の成分を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
極端紫外線(EUV)光源のためのターゲットを形成する方法であって、
光ビームをビーム経路上に誘導することと、
修正光ビームを形成するためにビーム経路上に位置決めされた空間変調デバイスと前記光ビームを相互作用させることであって、前記修正光ビームは前記修正光ビームの伝搬の方向に垂直な前記方向に沿って不均一な強度を有する光の空間パターンを含み、前記光の空間パターンは格子内に配置され空間的に離散している複数の光の成分を含む、光ビームを相互作用させることと、
プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含むターゲットと前記修正光ビームを相互作用させることであって、前記空間パターンの光の成分のうちの少なくともいくつかは、前記ターゲットの領域と相互作用して前記ターゲットのその領域の特性を修正する、修正光ビームを相互作用させることと、
を含む、極端紫外線(EUV)光源のためのターゲットを形成する方法。
【請求項7】
前記特性は密度を含み、前記特性を修正することは密度を低下させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
の成分と直接相互作用する前記ターゲットの前記領域は格子内に配置される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記光の成分は、任意の2つの光の成分間の前記ターゲットの一部が前記修正光ビーム内のいずれの前記成分とも相互作用しないように、空間的に分離及び空間的に離散している、請求項に記載の方法。
【請求項10】
改変ターゲットを形成するために、初期のターゲットを第2の光ビームと相互作用させることであって、前記改変ターゲットは第1の方向に前記初期のターゲットよりも大きな範囲を有し、第2の方向に前記初期のターゲットよりも小さな範囲を有し、前記第1及び第2の方向は互いに直交している、初期のターゲットを第2の光ビームと相互作用させることと、
前記修正光ビームを、プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を備えるターゲットと相互作用させることは、前記修正光ビームを前記改変ターゲットと相互作用させることを含み、前記光の成分の各々は、前記改変ターゲットの領域と相互作用して前記改変ターゲットのその領域の特性を修正する、修正光ビームをターゲットと相互作用させることと、
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記修正光ビームを前記改変ターゲットと相互作用させた後、前記改変ターゲットを第3の光ビームと相互作用させることを更に含み、前記第3の光ビームは、前記改変ターゲット内の前記ターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出する前記プラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ターゲットを前記修正光ビームと相互作用させた後、前記ターゲットを別の光ビームと相互作用させることを更に含み、前記他の光ビームは、前記第2の改変ターゲット内の前記ターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出する前記プラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記特性は、放出されるEUV光の量及び前記他の光ビームの前記エネルギーに関する変換効率を含み、前記ターゲットの一部の前記特性を修正することは、前記ターゲット全体に関連付けられた前記変換効率を上昇させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光ビーム及び前記他の光ビームは時間的に接続され、光の単一パルスの一部である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記特性は前記ターゲットの表面積を含み、前記ターゲットの任意の部分の前記特性を修正することは、前記ターゲット全体の表面積を増加させることを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2018年4月3日出願の米国出願第62/651,928号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、光ビームを空間的に変調するための技法に関する。この技法は、例えば極端紫外線(EUV)光源において使用することができる。光ビームは、例えば、ターゲット材料又は燃料材料を照明する光ビームとすることができる。
【背景技術】
【0003】
[0003] 極端紫外線(EUV)光、例えば100ナノメートル(nm)以下の波長を有し、例えば20nm以下、5から20nmの間、又は13から14nmの間の波長の光を含む電磁放射(時には、軟X線とも呼ばれる)を、フォトリソグラフィプロセスで使用し、レジスト層内で重合を開始することによって、基板、例えばシリコンウェーハ内に極端に小さなフィーチャを生成することができる。
【0004】
[0004] EUV光を生成するための方法は、ターゲット材料を、EUV光を放出するプラズマに変換することを含むが、必ずしも限定されない。ターゲット材料は、EUVレンジ内の輝線を有する元素、例えばキセノン、リチウム、又はスズを含む。こうした一方法において、ドライブレーザと呼ぶことができる増幅光ビームを用いて、ターゲット材料を含むターゲットを照射することによって、しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる必要なプラズマを生成することができる。このプロセスの場合、プラズマは典型的には密閉容器、例えば真空チャンバ内で生成され、様々なタイプのメトロロジ機器を使用して監視される。ターゲット材料は、液滴、板、テープ、ストリーム、又はクラスタの形とすることができる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一般的な一態様において、システムは、修正光ビームを作成するために光ビームと相互作用するように構成された空間変調デバイスであって、修正光ビームは修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する光の空間パターンを含み、光の空間パターンは1つ以上の光の成分を含む、空間変調デバイスと、ターゲット領域にターゲットを提供するように構成されたターゲット供給システムであって、ターゲットはプラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含む、ターゲット供給システムとを含む。ターゲット領域は、修正ビーム内の1つ以上の光の成分のうちの少なくともいくつかがターゲットの一部と相互作用するように、ビーム経路とオーバーラップする。
【0006】
[0006] 実施例は、以下の機構のうちの1つ以上を含むことができる。空間変調デバイスは回折光学素子とすることができる。回折光学系は、空間光変調器(SLM)、補償光学系、レチクル、及び/又は格子とすることができる。空間変調デバイスは屈折光学素子とすることができる。屈折光学素子は、レンズ、小型レンズアレイ、及び/又はレチクルとすることができる。
【0007】
[0007] 光の空間パターンは、2つ以上の光の成分を含むことができ、2つ以上の光の成分の各々は、実質的に同じ強度を有することができる。光の空間パターンは、直線格子内に配置された2つ以上の光の成分を含むことができる。空間変調デバイスは、少なくとも1つのダマン格子を含むことができる。
【0008】
[0008] 空間変調デバイスは、第2の修正光ビームを作成するために第2の光ビームと相互作用するようにも構成可能であり、第2の修正光ビームは第2の修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する第2の光の空間パターンを含み、第2の光の空間パターンは1つ以上の第2の光の成分を含む。
【0009】
[0009] いくつかの実施例において、システムは、光ビームを放出するように構成された第1の光発生モジュール、及び、第2の光ビームを放出するように構成された第2の光発生モジュールも含む。
【0010】
[0010] 別の一般的な態様において、極端紫外線(EUV)光源のためのターゲットを形成する方法は、光ビームをビーム経路上に誘導することと、修正光ビームを形成するためにビーム経路上に位置決めされた空間変調デバイスと光ビームを相互作用させることであって、修正光ビームは修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する光の空間パターンを含み、光の空間パターンは1つ以上の光の成分を含む、光ビームを相互作用させることと、プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含むターゲットと修正光ビームを相互作用させることとを含む。空間パターンの1つ以上の光の成分のうちの少なくともいくつかは、ターゲットの領域と相互作用してターゲットのその領域の特性を修正する。
【0011】
[0011] 実施例は、以下の機構のうちの1つ以上を含むことができる。特性は密度とすることができ、これらの実施例において、特性を修正することは密度を低下させることを含む。特性はターゲットの表面積とすることができ、これらの実施例において、ターゲットの任意の部分の特性を修正することは、ターゲット全体の表面積を増加させることを含む。表面積の増加量は、修正光ビーム内の光成分の数に関係することができる。
【0012】
[0012] 光の空間パターンは、2つ以上の光の成分を含むことができる。すべての光の成分は同じ強度を有することができる。光の成分は格子内に配置可能であり、光の成分と直接相互作用するターゲットの領域は格子内に配置可能である。光の成分は、任意の2つの光の成分間のターゲットの一部が修正光ビーム内のいずれの成分とも相互作用しないように、空間的に分離していること、及び空間的に離散していることが可能である。
【0013】
いくつかの実施例において、方法は、修正光ビームがターゲットと相互作用する以前に、修正ビームがフォーカスアセンブリと相互作用することを更に含む。
【0014】
[0013] いくつかの実施例において、方法は、改変ターゲットを形成するために、初期のターゲットを第2の光ビームと相互作用させることを更に含み、改変ターゲットは第1の方向に初期のターゲットよりも大きな範囲を有し、第2の方向に初期のターゲットよりも小さな範囲を有し、第1及び第2の方向は互いに直交している。これらの実施例において、修正光ビームを、プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含むターゲットと相互作用させることは、修正光ビームを改変ターゲットと相互作用させることを含み、1つ以上の光の成分の各々は、改変ターゲットの領域と相互作用して改変ターゲットのその領域の特性を修正する。更に、いくつかの実施例において、修正光ビームを改変ターゲットと相互作用させた後、改変ターゲットは第3の光ビームと相互作用し、第3の光ビームは、改変ターゲット内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。
【0015】
[0014] 方法は、ターゲットを修正光ビームと相互作用させた後、ターゲットを別の光ビームと相互作用させることを含むことも可能であり、他の光ビームは、第2の改変ターゲット内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。光ビーム及び他の光ビームは時間的に接続することが可能であり、光の単一パルスの一部とすることができる。特性は、放出されるEUV光の量及び他の光ビームのエネルギーに関する変換効率を含むことができ、ターゲットの一部の特性を修正することは、ターゲット全体に関連付けられた変換効率を上昇させることを含む。
【0016】
[0015] 修正光ビームを、プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含むターゲットと相互作用させることは、修正光ビームを実質的に球形を有するターゲットと相互作用させることを含むことができる。
【0017】
[0016] 上記の技法のうちのいずれかの実施例は、EUV光源、EUV光源のためのシステム、非一時的電子記憶媒体、方法、プロセス、デバイス、又は装置を含むことができる。1つ以上の実施例の詳細を、添付の図面及び下記の説明に示す。他の機構は説明及び図面から、及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】[0017]EUV光源の一例を示すブロック図である。
図1B】[0018]空間変調前の伝搬の方向に垂直な方向に沿った位置の関数として、光ビームの一例の強度をプロットしたグラフである。
図1C】[0019]空間変調後の伝搬の方向に垂直な方向に沿った位置の関数として、図1Bの光ビームの強度をプロットしたグラフである。
図1D】[0020]図1Cの光ビームと相互作用するターゲットの一例を示すブロック図である。
図2A】[0021]EUV光源の別の例を示すブロック図である。
図2B】[0022]ターゲットの別の例を示すブロック図である。
図2C】[0023]空間変調後の伝搬の方向に垂直な方向に沿った位置の関数として、光ビームの別の例の強度をプロットしたグラフである。
図2D】[0024]修正ターゲットの一例を示すブロック図である。
図2E】[0025]ターゲット領域内の光パターンの例を示す図である。
図2F】[0025]ターゲット領域内の光パターンの例を示す図である。
図2D】[0025]ターゲット領域内の光パターンの例を示す図である。
図3】[0026]EUV光源の追加の例を示すブロック図である。
図4】[0026]EUV光源の追加の例を示すブロック図である。
図5】[0026]EUV光源の追加の例を示すブロック図である。
図6】[0026]EUV光源の追加の例を示すブロック図である。
図7】[0027]ターゲット領域を経時的に示す図である。
図8】[0028]図7の時間スケールにわたる、図7のターゲット領域内の光の強度を示す図である。
図9】[0029]リソグラフィ装置の一例を示すブロック図である。
図10】[0030]EUVリソグラフィシステムの一例を示すブロック図である。
図11】[0031]EUV光源の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0032] 光ビームを空間的に変調するための技法を開示する。空間的に変調された光ビームは、ターゲット材料又は燃料材料を照射するために使用される。
【0020】
[0033] 図1Aを参照すると、極端紫外線(EUV)光源100の側面図が示されている。EUV光源100は、光ビーム106をビーム経路107上へ、及び変調要素122を含む空間変調デバイス120に向けて放出する、光発生モジュール105を含む。変調要素122と光ビーム106との間の相互作用が、修正光ビーム132を形成する。修正光ビーム132は、ターゲット領域142においてターゲット140と相互作用する。光ビーム106は、時間的に互いに離れた光のパルスを含むパルス光ビームとすることができる。これらの実施例において、修正光ビーム132もパルス光ビームである。
【0021】
[0034] ターゲット140は、プラズマ状態のときにEUV光を放出する、ターゲット材料又は燃料材料を含む。ターゲット材料はターゲット物質を含み、非ターゲット粒子などの不純物も含むことがある。ターゲット物質は、EUVレンジ内に輝線を有するプラズマ状態に変換される物質である。ターゲット物質は、例えば、水、スズ、リチウム、キセノン、又は、プラズマ状態に変換されるときにEUVレンジ内に輝線を有する任意の材料とすることができる。例えばターゲット物質は、純スズ(Sn)として、スズ化合物、例えばSnBr、SnBr、SnHとして、スズ合金、例えばスズガリウム合金、スズインジウム合金、スズインジウムガリウム合金、又はこれらの合金の任意の組み合わせとして、使用可能な、元素スズとすることができる。不純物のない状態では、ターゲット材料はターゲット物質のみを含む。
【0022】
[0035] ターゲット140は、EUV光を放出するプラズマの生成物に対して導電性の任意の形を取ることができる。ターゲット140は、例えば、液体又は溶融金属の液滴、液体ストリームの一部、固体粒子又はクラスタ、液滴に含まれる固体粒子、ターゲット材料の発泡体、或いは液体ストリームの一部に含まれる固体粒子とすることができる。ターゲット140は、他の形を取ることができる。例えばターゲット140は、実質的にディスク形状の溶融金属の連続区分とすることができる。ターゲット140は、実質的にディスク形状の容積又は半球形状の容積を占有する、粒子の集まりとすることができる。ターゲット140は、ギャップ又は空隙、ナノ粒子又はマイクロ粒子のミスト、或いは原子蒸気のクラウドを有さない、ターゲット材料の連続区分である。
【0023】
[0036] 本技法は、光ビームがターゲット140と相互作用する前に、光ビーム106を空間的に変調することに関する。下記で考察するように、光ビーム106を空間的に変調することは、変換効率(CE)の向上及び/又はデブリ生成の低減につなげることができる。
【0024】
[0037] 変調要素122は、修正光ビーム132を形成するために光ビーム106を空間的に変調することが可能な、光学素子である。変調要素122は、回折によって光ビーム106を変調することが可能な任意の構造である、回折光学素子とすることができる。回折光学素子は、例えば、格子、空間光変調器(SLM)、音響光学変調器(AOM)、音響光学偏向器(AOD)、特定の回折パターンを作成するために平面内に配置されたアパーチャ又はアパーチャの集合、及び/又はレチクルとすることができる。変調要素122は、レンズの2次元アレイ又は別のレンズ配置、位相板、変形可能ミラー、及び/又は屈折レチクルなどの、屈折光学素子とすることができる。変調要素122は、特定タイプの変調要素又は様々な異なる変調要素の集合の、複数のインスタンスを含むことができる。これらの実施例において、複数の変調要素の効果を組み合わせることによって、より複雑な空間変調を達成することができる。例えば、光ビーム106のより複雑な空間変調に対応するより複雑な回折パターンを形成するために、2つの同一の回折格子をビーム経路107上に直列に配置して、互いに関してビーム経路107を中心に回転させることが可能である。いくつかの実施例において、変調要素122は、屈折及び回折の両方の光学素子を含む。更に変調要素122は、例えば変形可能ミラーなどの任意の種類の補償光学系とすることができる。
【0025】
[0038] 更に変調要素122は、静的又は動的とすることができる。静的変調要素は、変調要素122の構造が変調要素122の製造時に固定され、変調要素122が形成された後は変更されないものである。動的変調要素は、光ビーム106と変調要素122との間の相互作用によって与えられた空間変調を、変調要素122の耐用期間の間に変更又は調整できるものである。例えば、入射光ビーム上にAOMによって与えられる空間変調は、入射光ビームが通過する媒体(クオーツなど)内を伝搬する音響波の特性に依存する。したがって、音響波の振幅及び/又は周期を変更することによって、AOMによって提供される変調の特徴を変更することも可能である。したがって、AOMは動的変調要素とみなすことができる。SLMも動的変調要素として使用可能である。変形可能ミラー又は任意の他のタイプの補償光学素子も、動的変調要素として使用可能である。他方で、光学的特性及び機械的特性がエンドユーザによって変更可能であるものと意図されないような、伝統的又は従来型の屈折及び/又は反射材料から形成される小型レンズアレイ及びブレーズ回折格子は、静的変調要素の例である。
【0026】
[0039] 空間変調に起因して、修正光ビーム132の空間プロファイルは光ビーム106の空間プロファイルとは異なる。光ビームの空間プロファイルは、伝搬方向に垂直な平面内の方向に沿った位置の関数としての、光ビームの特性(例えば、強度及び/又は位相)である。したがって、修正光ビーム132は、光ビーム106とは異なる強度及び/又は位相プロファイルを有することができる。修正光ビーム132のプロファイルの特徴は、変調要素122の特徴及び/又は配置に依存する。例えば、変調要素122が回折格子である実施例において、回折次数が変調要素122から離れて伝搬する角度(及びしたがって、ターゲット領域142における回折次数の位置)は、回折要素上の溝の間の間隔に依存する。
【0027】
[0040] 図1Aの例において、光ビーム106及び修正光ビーム132は概して、Z方向に沿って伝搬する。図1Bは、光ビーム106の強度を、方向Zに垂直な方向Xに沿った位置の関数として(任意の単位で)プロットしたグラフである。図1Cは、修正光ビーム132の強度を、ターゲット領域142における方向Xに沿った位置の関数として(任意の単位で)プロットしたグラフである。図1Aから図1Cの例において、光ビーム106の強度プロファイルは、実質的にガウス分布である。修正光ビーム132の強度プロファイルは、光ビーム106と変調要素122との間の相互作用によって、光ビーム106の強度プロファイルとは異なる。図1Cに示される強度プロファイルは、X-Y平面内の単一の線に沿うものである。X方向に沿った他の線におけるX-Y平面内の修正光ビーム132の強度プロファイルは、図1Cに示される強度プロファイルと同じであるか、又は異なるものとすることができる。言い換えれば、修正光ビーム132の空間プロファイルは、X方向に沿って、Y方向に沿って、又はX及びYの両方の方向に沿って、変動可能である。
【0028】
[0041] 修正光ビーム132の空間プロファイルの性質は、変調要素122の構成に依存する。例えば修正光ビーム132は、図1Cに示される例のように、修正光ビーム132の強度が、X-Y平面内の位置の関数として、及び光を含まない領域は伴わず、連続的に変動するプロファイルを有することができる。いくつかの実施例において、修正光ビーム132は、修正光ビーム132のプロファイルが実質的に光のない領域を含むように、互いに分離した離散成分で形成される。こうした修正光ビームの一例が、図2Cに示されている。いずれにせよ、修正光ビーム132のプロファイルは、変調要素122と光ビーム106との間の相互作用に起因して、光ビーム106のプロファイルとは異なる。
【0029】
[0042] 修正光ビーム132はターゲット140を照射する。図1Cに示される修正光ビーム132の強度プロファイルは、線C-C’(図1D)においてターゲット140と相互作用する。修正光ビーム132の空間プロファイルは光ビーム106のプロファイルとは異なるため、修正光ビーム132は、光ビーム106とは異なる様式でターゲット140と相互作用する。例えば、光ビーム106と比べて修正光ビーム132は、ターゲット140の中心近くの部分140bよりもターゲット140の外縁近くの部分140a及び140cに対して、相対的により多くの光を提供する。
【0030】
[0043] 下記で考察するように、変調要素122を使用することで、ターゲット140と相互作用する光の空間プロファイルが、ターゲット140内のより多くのターゲット材料を消費するように調節することができる。次にこれによって、修正光ビーム132とターゲット140との間の相互作用から生成されるEUV光の量が増加するか、及び/又は、結果として、ターゲット140内のターゲット材料をEUV光を放出するプラズマに変換する別の光ビームとの相互作用の前に、ターゲット140をより効果的に準備することになる。更に、消費されるターゲット材料の量を増加させることによって、修正光ビーム132を使用することで、ターゲット140と光ビームとの間の相互作用によって生成されるデブリも減少する。
【0031】
[0044] 更に変調要素122は、修正光ビーム132が、既知の、仮定される、又は推定されるターゲットの特性に基づいて最適化されるプロファイルを有するように、構成可能である。例えば、ターゲット140は、中心又は上部エッジ付近よりもターゲット140の下部エッジ近くに、より多くのターゲット材料を含むことが知られている場合がある。こうしたターゲットの場合、変調要素122は、図1Cに示されるような空間プロファイルを有する修正光ビームを生成するように構成可能である。
【0032】
[0045] 図1Aの例では、単一の光ビーム106のみが示されている。しかしながら、光源100は複数の光ビームを使用することが可能であり、複数の光ビームの各々が異なる形のターゲット140と相互作用することが可能である。例えば光源100は、形状化する、密度を変更する、或いは、その他の方法で(EUV光を放出するプラズマを必ずしも生成することなく)ターゲット140の1つ以上の特性を修正する、1つ以上の「プリパルス」光ビームを使用して、修正ターゲット又は中間ターゲットを生成することができる。これらの実施例は、修正又は中間ターゲット内のターゲット材料を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する、「メインパルス」光ビームを使用することもできる。図3、4、及び6は、複数のパルス光ビームを使用するEUV光源100の実施例を示す。EUV光源100内で使用される光ビームのいずれか又はすべては、その光ビームの空間プロファイルを修正するために、変調要素122と相互作用することができる。光源100が複数の光ビームを使用する実施例において、光源100はより多くの空間変調デバイス120を含むことができる。例えばこれらの実施例において、光源100は、複数の光ビームの各々と相互作用するように位置決めされた、別個の空間変調デバイス120を含むことができる。
【0033】
[0046] 図2Aを参照すると、EUV光源200の側面図が示されている。EUV光源200は、EUV光源100(図1A)の実施例の一例である。
【0034】
[0047] EUV光源200は変調デバイス220を含む。変調デバイス220は、各々が光ビームでもある成分233(図2B)を含む修正光ビーム232を生成するために光ビーム106を空間的に変調する、変調要素222を含む。成分233は、光のない(又は、光が著しく低減された)領域が、各成分とその近傍成分との間にあるように、互いに分離されている。修正光ビーム233は多くの個別の成分を含み、個別の成分はまとめて成分233と呼ばれる。成分233a、233b、233c、233d、233eが図2Aに示されている。変調要素222は回折格子とすることができる。これらの実施例において、各成分233a、233b、233c、233d、233eは回折次数である。成分233cは、変調要素222によって回折されないゼロ次数とすることができる。これらの実施例において、成分233cは一般に光ビーム106と同じ方向に伝搬する。図2Aの例において、成分233a、233b、233c、233d、233eの各々は、回折格子から離れて異なる方向に伝搬する。
【0035】
[0048] 修正光ビーム232は、成分233a、233b、233c、233d、233eを用いて、ターゲット領域242においてX-Y平面内に2次元格子パターンを形成する、他の成分も含む。図2Bは、X-Y平面内のターゲット領域242を示す。図2Bにおいて、黒丸はターゲット領域242内にある成分233を表す。図2Bの例では、成分233のすべてがターゲット140のそれぞれの部分と相互作用する。243と標示された要素は、成分233aと相互作用する部分を表す。簡単にするために図2Bでは1つの部分243のみが標示されている。しかしながら、他の成分233はターゲット140の他の部分と相互作用する。部分243は、ターゲット140上の円形領域として示されている。しかしながら、成分233aとターゲット140との間の相互作用は、図2Bにおいて243として標示される以外のターゲット140の部分に影響を与えることが可能であり、部分243は必ずしも円形領域ではない。
【0036】
[0049] 図2Cは、方向Xに沿った位置の関数として、修正光ビーム232の成分233a~233eの強度をプロットしたグラフである。図2Cの例において、成分233a~233eの強度は変動する。他の実施例において、変調要素222は、等しい強度の回折次数を生成する回折要素である。例えばこれらの実施例において、変調要素222はダマン格子とすることができる。
【0037】
[0050] 成分233とターゲット140との間の相互作用は、修正ターゲット245(図2D)を生成する。修正ターゲット245は、成分233をターゲット140と相互作用させることによって形成される修正領域244を有する。かんたんにするために、部分243内のターゲット材料と成分233aとの間の相互作用のみを考察し、1つの修正領域244のみを標示する。しかしながら、他の成分233はターゲット140の他の部分におけるターゲット材料と同様の様式で相互作用し、他の修正領域を形成する。図2Dは、他の修正領域を破線の円形域として示している。
【0038】
[0051] 部分243内のターゲット材料と成分233aとの間の相互作用は、部分243の物理特徴を変化させる。例えば、相互作用は、部分243からターゲット材料の一部を除去することによって、部分243の幾何分布を変化させ、それによって凹状領域を形成することができる。この例では、修正領域244は凹状領域である。凹状領域はターゲット材料のない領域である。凹状領域は空隙とすることができる。ターゲット材料は、例えば切除、排出、及び/又は、EUV光を放出しないか又は最小のEUV光のみを放出するプラズマへの変換によって、除去することができる。凹状領域は、修正ターゲット245内のホール、ポケット、又は開口とすることができる。凹状領域は、修正ターゲット245を通ることができる。更に凹状領域は、任意の形状を有することができる。例えば凹状領域は、修正ターゲット245内へと延在するが、修正ターゲット245を貫通はしない、円錐体又は矩形スリットとすることができる。凹状領域の特徴(例えば、形状、深さ、及び断面)は、成分233aの強度及び直径に依存し、また、部分243内のターゲット材料の特性に依存する。成分233aと部分243との間の相互作用は、部分243の特徴を他の様式で変化させることができる。例えば相互作用は、部分243の密度を低下させることができる。この例において修正領域244は、ターゲット材料を含むことが可能な、密度が低下した領域である。
【0039】
[0052] 上記で考察したように、図2Dには1つの修正領域244のみが標示されているが、修正ターゲット245を生成するために他の修正領域が形成される。修正ターゲット245上の様々な修正領域は、互いに異なる特徴を有することができる。
【0040】
[0053] 相互作用が部分243(及び、標示されていない他の部分)の特定の特徴をどのように変化させるかにかかわらず、成分233とターゲット140との間の相互作用が、EUV光を放出するプラズマにより容易に変換される修正ターゲット245を形成する。例えば、凹状領域を形成することにより、結果として、ターゲット140よりも大きな表面積を有する修正ターゲット245が生じる。より大きな表面積は、入射光ビームに露光される、より多量のターゲット材料に対応し、それによってより多くのターゲット材料を、EUV光を放出するプラズマに変換することができる。
【0041】
[0054] 図2Bにおいて成分233が形成する2次元格子パターンは、ターゲット領域242内で形成可能な単なる1つの可能パターンである。変調要素222の構成及び特徴に依存して、他のパターンが生成可能である。図2Eから図2Gは、他のパターンの成分の例を示す。図2Eは、光のない領域によって分離された同心円の成分233_Eを含む。成分233_Eは、例えば、変調要素222が円形アパーチャである実施例において形成可能である。図2Fは、1次元アレイに配置された成分233_Fを示す。図2Fの例では、成分233Fは矩形断面を有する。図2Gは、成分233_Gの配置の更に別の例を示す。成分233_Gは黒丸として表されている。図2Gは、X-Y及びX-Z平面内のターゲット領域142を示す。図2Gの例において、成分233_Gは概して、Z方向及び-X方向に沿って伝搬する。したがって、成分233_Gは複数の方向からターゲット領域142内に到達し、X-Y平面及びX-Z平面内の表面でターゲット140と相互作用する。
【0042】
[0055] 図3は、EUV光源300のブロック図である。EUV光源300は、図1Aの光源100の実施例の一例である。EUV光源300は、第1の光発生モジュール305a及び第2の光発生モジュール305bを含む。光発生モジュール305aは第1の光ビーム306aをビーム経路307a上に放出し、光発生モジュール305bは第2の光ビーム306bをビーム経路307b上に放出する。第1の光ビーム306aは、修正光ビーム332aを形成するために使用される。修正光ビーム332aは、ターゲット340と相互作用して修正ターゲット345を形成するが、一般に、EUV光を放出するプラズマは形成しない(或いは、少量又はごく少量のEUV光のみを放出するプラズマを形成する)。第1の光ビーム306aは「プリパルス」光ビームと呼ぶことができる。第2の光ビーム306bは、修正ターゲット345内のターゲット材料を、EUV光399を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する光ビームである。第2の光ビーム306bは「メインパルス」光ビーム又は加熱光ビームと呼ぶことができる。プリパルスが修正ターゲット345を形成し、メインパルスがその修正ターゲット345を、EUV光を放出するプラズマに変換する、プリパルス及びメインパルスの特定の対について、プリパルスがメインパルスより前に発生するように、第1の光発生モジュール305a及び/又は第2の光発生モジュール305bが制御される。
【0043】
[0056] 光発生モジュール305bは、例えば二酸化炭素(CO)レーザとすることができ、第2の光ビーム306bの波長は、例えば10.59ミクロン(μm)とすることができる。第1の光発生モジュール305aは、例えば、エルビウムドープファイバ(Er:ガラス)レーザ又はQスイッチNd:YAGレーザなどの、固体レーザとすることができる。これらの実施例において、第1の光ビーム306aの波長は、例えば1.06μmとすることができる。いくつかの実施例において、第1の光発生モジュール305a及び第2の光発生モジュール305bは同じタイプの光源である。例えば、第1及び第2の光発生モジュール305a、305bは、どちらもCOレーザとすることができる。これらの実施例において、第1及び第2の光ビーム306a、306bは、同じスペクトル成分を有することができる。例えば、第1及び第2の光ビーム306a、306bは、10.59μmを有することができる。また更なる例において、第1及び第2の光発生モジュール305a、305bは、どちらも固体レーザとすることができる。これらの実施例において、第1及び第2の光ビーム306a、206bは、どちらも例えば1.06μmの波長を有することができる。
【0044】
[0057] いくつかの実施例において、第1及び第2の光発生モジュール305a、305bには同じタイプの光源が使用されるが、第1及び第2の光ビーム306a、306bのスペクトル成分は異なる。例えば、第1及び第2の光発生モジュール305a、305bは、2つのCOシードレーザサブシステム及び1つの増幅器を含む単一のモジュールとして実装可能である。シードレーザサブシステムのうちの1つは、例えば10.26μmの波長において第1の光ビーム306aを生成し、他方のシードレーザサブシステムは、例えば10.59μmの波長において第2の光ビーム306bを生成する。これら2つの波長は、COレーザの異なる線から生じることが可能である。
【0045】
[0058] 更に、上記に示された例以外の波長が使用可能である。例えば、第1の光ビーム306a及び第2の光ビーム306bのいずれか又は両方が、1μm未満の波長を有することができる。相対的に短い波長(1μm未満の波長など)を使用することは、何らかの環境で有利とすることができる。例えば、相対的に短い波長はより小さな焦点サイズを可能にし、ビーム形状化の制御を向上させることが可能である。
【0046】
[0059] 第1の光ビーム306aは、修正光ビーム332aを生成するために変調要素322と相互作用する。変調要素322は、第1の光ビーム306aを空間的に変調することが可能な任意の光学コンポーネント又はコンポーネントの集合である。修正光ビーム332aは、第1の光ビーム306aとは異なる空間プロファイルを有する。修正光ビーム332aの空間プロファイルは、変調要素322の構成に依存する。修正光ビーム332aは、(例えば、図1Cに示されるように)位置の関数として連続的に変動する空間プロファイルを有することができるか、又は、修正光ビーム332aは、(例えば、図2B及び図2Eから図2Gに示されるように)光のない領域によって分離される光の成分を含むことができる。空間プロファイルが位置の関数として連続的に変動する実施例において、成分は離散せず、空間プロファイルの任意の部分とみなすことができる。
【0047】
[0060] EUV光源300は、修正光ビーム332a及び第2の光ビーム306bをビーム伝送システム325に向けて誘導するように位置決めされた、ビームコンバイナ324も含む。ビームコンバイナ324は、修正光ビーム332a及び第2の光ビーム306bとの相互作用が可能な任意の光学素子又は光学素子の集合である。例えば、ビームコンバイナ324は、1つ以上のミラー及び/又は1つ以上のビームスプリッタを含むことが可能であり、そのうちのいくつかは修正光ビーム332aをビーム伝送システム325に向けて誘導するように位置決めされ、その他は第2のビーム306bをビーム伝送システム325に向けて誘導するように位置決めされる。修正光ビーム332a及び第2の光ビーム306bが異なるスペクトル成分を有する実施例において、ビームコンバイナ324は、第2の光ビーム306b内の波長を伝送し、修正光ビーム332a内の波長を反射するように構成された、(ダイクロイックビームスプリッタなどの)ダイクロイック要素とすることができる。図3の例において、ビームコンバイナ324は、修正光ビーム332a及び第2の光ビーム306bを、空間的に分離されたビーム経路上のビーム伝送システム325に向けて誘導する。
【0048】
[0061] ビーム伝送システム325は、フォーカスシステム326も含む。フォーカスシステム326は、修正光ビーム332a及び第2の光ビーム306bを合焦させるように配置された、任意の組み合わせの光学素子を含む。例えばフォーカスシステム326は、レンズ及び/又はミラーを含むことができる。修正光ビーム332aは初期ターゲット領域342a又はその近くに合焦され、第2の光ビーム306bは修正ターゲット領域342b又はその近くに合焦される。図3に示される例において、フォーカスシステム326は、修正光ビーム332a及び第2の光ビーム306bが、フォーカスシステム326を介する同じビーム経路をたどらない場合であっても、これらのビームを合焦させる。しかしながら、いくつかの実施例において、修正光ビーム332aを合焦させる光学素子は、第2の光ビーム306bを合焦させる光学素子から分離している。例えば、修正光ビーム306aのスペクトル成分が第2の光ビーム306bのスペクトル成分とは異なるとき、別個の光学コンポーネントを使用することができる。
【0049】
[0062] 初期ターゲット領域342aは、ターゲット材料供給システム350からターゲット340を受け取る。図3の例において、ターゲット340は溶融金属の球状液滴である。修正光ビーム332a内の成分は、修正ターゲット345を形成するためにターゲット340と相互作用する。修正光ビーム332aとターゲット340との間の相互作用は、ターゲット340の1つ以上の特性を変化させる。例えば修正ターゲット345は、図2Dの修正ターゲット245に関して考察したような、凹状領域及び/又は密度が低下した領域を有することができる。修正ターゲット345は修正ターゲット領域342bへと進行し、第2の光ビーム306bと相互作用する。第2の光ビーム306bとの間の相互作用は、修正ターゲット345内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光399を放出するプラズマに変換する。
【0050】
[0063] 図4は、EUV光源400のブロック図である。EUV光源400は、EUV光源100の実施例の別の例である。EUV光源400が修正ターゲット445を生成するために2つの「プリパルス」光ビームを使用することを除き、EUV光源400はEUV光源300と同様である。
【0051】
[0064] EUV光源400は、光発生モジュール405a、405b、及び405cを含む。光発生モジュール405aは第1の光ビーム406aを放出する。光発生モジュール405bは第2の光ビーム406bを放出する。光発生モジュール405cは第3の光ビーム406cを放出する。光発生モジュール405cは、例えばCOレーザとすることができる。光ビーム405a、405b、405cはすべて同じスペクトル成分を有することができるか、又は、光ビーム405a、405b、405cのうちの少なくとも1つのスペクトル成分は他の光ビームとは異なるとすることができる。光ビーム405a及び405bは、COレーザの2つの異なる輝線とすることができる。COレーザの輝線は、例えば9.4μm、10.26μm、及び10.59μmにおける光を含む。いくつかの実施例において、光ビーム405a又は光ビーム405bのいずれかは、10.26μmにおいてCOレーザの輝線によって形成されるビームである。これらの実施例において、光ビーム405a及び405bの他方は、(例えば、QスイッチNd:YAGレーザなどの)固体レーザによって生成される1.06μmの波長を有するビームである。他の実施例において、光ビーム405a及び光ビーム405bの両方が、固体レーザによって生成される。
【0052】
[0065] 第1及び第2の光ビーム406a、406bは、修正ターゲット445を生成するためにターゲット440の1つ以上の物理特性を変化させる。図4に示される実施例において、第1の光ビーム406aはターゲット440と相互作用して、ターゲット440を空間的に拡張し、中間ターゲット447を形成する。中間ターゲット447は、(X方向と、X方向と反対の-X方向を含む)X軸に沿ってターゲット440よりも大きな範囲を有する、溶融金属のディスク形状区分とすることができる。加えて、中間ターゲット447は、Z軸に沿ってターゲット440よりも小さな範囲を有する。中間ターゲット447はX方向に移動する。
【0053】
[0066] EUV光源400は、第2の光ビーム406bと相互作用するように位置決めされた変調要素422も含む。変調要素422は、第2の光ビーム406bを空間的に変調することが可能な、任意の光学素子又は素子の集合である。例えば変調要素422は、図1Aに関して考察した変調要素122、又は図2Aに関して考察した変調要素222と同様とすることができる。変調要素422と第2の光ビーム406bとの間の相互作用は、修正光ビーム432bを生成する。修正光ビーム432bは、第2の光ビーム406bとは異なる空間プロファイルを有する。修正光ビーム432b及び第1の光ビーム406aは、ビームコンバイナ424によってフォーカスシステム425aに向けて誘導される。ビームコンバイナ424は、修正光ビーム432b及び第1の光ビーム406aをフォーカスシステム425aに向けて誘導可能な、任意の光学素子又は光学素子の集合とすることができる。フォーカスシステム425aは、ターゲット供給システム450からターゲット440を受け取るターゲット領域442a又はその近くで、第1の光ビーム406aを合焦させ、また、ターゲット領域442aから中間ターゲット447を受け取るターゲット領域442b又はその近くで、修正光ビーム432bを合焦させる。
【0054】
[0067] 中間ターゲット447及び修正光ビーム432bは、修正ターゲット445を形成するためにターゲット領域442bで相互作用する。図示された例において、修正光ビーム432bと中間ターゲット447との間の相互作用は、修正ターゲット445上に凹状領域444を形成する。修正光ビーム432bとの相互作用の後、修正ターゲット445は、第3の光ビーム406cを受け取るターゲット領域442c内へ移動する。第3の光ビーム406cは、フォーカスシステム426cによって合焦され、修正ターゲット445内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。凹状領域444は、修正ターゲット445内のより多くのターゲット材料をプラズマに変換させることができる。したがって、凹状領域444のないターゲット(ターゲット440又は中間ターゲット447など)と比較すると、修正ターゲット445と第3の光ビーム406cとの間の相互作用によって、より多くのEUV光及びより少ないデブリを生成することができる。
【0055】
[0068] 図5は、EUV光源500のブロック図である。EUV光源500は、図1AのEUV光源100の実施例の別の例である。EUV光源500において、修正ターゲット545を生成するため、及び修正ターゲット545からEUV光を放出するプラズマを形成するために、単一の光ビームが使用される。
【0056】
[0069] EUV光源500は光発生モジュール505を含む。光発生モジュール505は、例えばCOレーザとすることができる。光発生モジュール505は、変調デバイス520に向けてビーム経路507上へ光ビーム506を放出する。変調デバイス520は変調要素522を含む。変調要素522は、すべてが同じ強度を有さない成分へ光ビーム506を空間的に変調することが可能な、任意の光学素子である。変調要素522は、変調要素222(図2A)と同様とすることができる。変調要素522と光ビーム506との間の相互作用は光ビーム506を変調し、成分533a~533gを生成する。成分533a~533gは、光を有さない領域によって互いに分離される。
【0057】
[0070] 成分533a~533gは、変調要素522から離れて異なる方向に伝搬する。成分533e~533gはビームダンプ528に向けて伝搬し、変調デバイス520を出ない。成分533a~533cは、ターゲット540を受け取るターゲット領域542aに向けて伝搬する。ターゲット540は、図4のシステム450などのターゲット材料供給システムによって提供される球状液滴とすることができるか、又は、ターゲット540は、別の光ビームとの事前の相互作用によって生成される(図4の中間ターゲット447などの)中間ターゲットとすることができる。成分533a~533cは、EUV光を放出するプラズマを生成することなく、ターゲット540の特性を修正するのに十分な強度を有する。したがって、ターゲット540の形に関係なく、成分533a~533cの間の相互作用は修正ターゲット545を生成する。図5の例では、3つの凹状領域544が示されている。各凹状領域544は、成分533a~533cのうちの1つとターゲット540との間の相互作用から形成される。
【0058】
[0071] 成分533dはフォーカスシステム525に向けて伝搬する。フォーカスシステム525は、修正ターゲット545を受け取る修正ターゲット領域542b又はその近くで成分533dを合焦させる。フォーカスシステム525は、成分533a~533cの後の時点、及び、修正ターゲット545が修正ターゲット領域542b内にある時点で、成分533dを修正ターゲット領域542bに到達させる、光遅延529も含む。光遅延529は、例えば、成分533dを相対的にコンパクトな容積内の多くの経路に折りたたむ、複数の反射要素(ミラーなど)を含む配置とすることができる。こうした光遅延529は、数百ナノ秒の遅延が達成可能なように、成分533dを追加の数百メートル進行させることができる。
【0059】
[0072] 成分533dは、成分533a~533cよりも大きな強度を有し、また成分533dは、修正ターゲット545内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する。例えば、成分の総エネルギーは約2キロワット(kW)とすることが可能であるが、成分533d内のエネルギーは100kWより大きいことが可能である。
【0060】
[0073] 図6は、EUV光源600のブロック図である。EUV光源600は、EUV光源100の実施例の別の例である。EUV光源600は、EUV光源600が第1の光ビーム306aを変調する代わりに、第2の光ビーム306bの一部を空間的に変調する変調デバイス620を含むことを除き、EUV光源300(図3)と同様である。図6に示される実施例において、ターゲット領域642はターゲット材料供給350からターゲット640を受け取る。図7はターゲット領域642を経時的に示す。図8は、図7の時間スケールにわたる、ターゲット領域642内の光の強度を示す。
【0061】
[0074] ビームコンバイナ324は、第1の光ビーム306aをターゲット640に向けて誘導する。第1の光ビーム306aとターゲット640との間の相互作用は、中間ターゲット647を形成する。第2の光ビーム306bはビームコンバイナ324を通過し、単一の光のパルス604を形成するために変調デバイス620と相互作用する。変調デバイス620は、時間変調デバイス662及び空間変調要素622を含む。空間変調要素622は、コントローラ660によって制御可能な動的変調要素である。時間変調デバイス662もコントローラ660によって制御可能である。コントローラ660は、電子プロセッサ及び電子メモリ又はストレージを含むことができる。電子プロセッサは、プロセッサにアクションを実行するように命じる命令を、恐らくコンピュータプログラムとして記憶することができる。例えば、電子プロセッサは、コントローラ660によって変調デバイス620、変調要素622、及び/又は時間変調デバイス662に提供されたとき、変調デバイス620、変調要素622、及び/又は時間変調デバイス662に特定のアクションを実行させる、信号を発生させることができる。
【0062】
[0075] 時間変調デバイス662は、第2の光ビーム306bの時間プロファイル(時間の関数としての強度)を制御することが可能な、任意の光学素子である。例えば時間変調デバイス662は、電気光学変調器(EOM)とすることができる。時間変調デバイス662は、光のパルス604を形成するために制御され、光のパルス604は、第2の光ビーム605bからの、ペデスタル608及び加熱部分609を含む。ペデスタル608及び加熱部分609は図8に示されている。ペデスタル608は、ペデスタル608及び加熱部分609が単一の光のパルス604の一部であるように、加熱部分609に時間的に接続される(図6及び図8)。
【0063】
[0076] ペデスタル608の時間プロファイルは任意の形状を有することができる。例えば、ペデスタル608の強度は、ペデスタル608がパルスと幾分同様の形状を有するように、経時的に増加及び減少することができる。図8の例は、こうしたペデスタルの例を示す。他の例では、ペデスタル608の強度は、パルスに似たプロファイルを有することなく経時的に増加及び減少することができる。更に他の例では、ペデスタル608は、加熱部分609が開始するまで単調に増加する強度を有することができる。ペデスタル608の形状にかかわらず、ペデスタル608及び加熱部分609は共に単一のパルス604を形成する。すなわち、パルス604の始まりからパルス604の終わりまでの間に、光のない領域は存在しない。
【0064】
[0077] 空間変調要素622は、ペデスタル608のみが空間的に変調されるように制御される。したがって、ペデスタル608の空間プロファイルは変更される。いくつかの実施例において、x-y平面内のペデスタル焦点サイズは異なる強度を達成するように変調される。例えば焦点サイズは、ターゲットの中心のより近くに配置された材料を加熱する前に、ターゲットの外縁を加熱するように変調可能である。
【0065】
[0078] 図7及び図8に示されるように、ペデスタル608は、加熱部分609より前にターゲット領域642に達する。空間的に変調されたペデスタル608は、中間ターゲット647と相互作用し、修正ターゲット645を形成する。加熱部分609は、ペデスタル608の後にターゲット領域642に達する。加熱部分609はペデスタル608よりもかなり大きな強度を有し、修正ターゲット645内のターゲット材料を、EUV光399を放出するプラズマに変換することが可能である。EUV光源600は、2つの別個のパルス、第1の光ビーム306a及び第2の光ビーム306bを使用する。しかしながら、第2の光ビーム306bは、第2の光ビーム306bがパルス608を生成し、これが中間ターゲット647を修正して、修正ターゲット645を、EUV光399を放出するプラズマに変換するように、変調デバイス620から作用を受ける。
【0066】
[0079] 図9及び図10は、EUVフォトリソグラフィシステム900の一例を考察する。EUV光源100、200、300、400、500、及び600のうちのいずれかによって発生されたEUV光を、フォトリソグラフィシステム900と共に使用することができる。更に、EUV光源100、200、300、400、500、及び600のうちのいずれかを含むシステムは、フォトリソグラフィシステム900などのフォトリソグラフィシステムも含むことができる。図11は、EUV光源の一例を考察する。EUV光源100、200、300、400、500、及び600は、図10及び図11に関して考察するような追加のコンポーネント及びシステムを含むことができる。例えば、EUV光源100、200、300、400、500、及び600は、図11に関して考察する真空チャンバ1130などの真空チャンバを含む。
【0067】
[0080] 図9は、一実施例に従った、ソースコレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置900を概略的に示す。リソグラフィ装置900は以下を含む。
放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0068】
[0081] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0069】
[0082] 支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。
【0070】
[0083] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当してもよい。
【0071】
[0084] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0072】
[0085] 照明システムILなどの投影システムPSは、使用される露光放射に、又は真空の使用などの他の要因に適する場合、屈折、反射、磁気、電磁、静電、又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの、様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。他のガスは非常に多くの放射を吸収する可能性があるため、EUV放射には真空を使用することが望ましい場合がある。
【0073】
[0086] 本明細書で示すように、装置は反射タイプである(例えば反射マスクを使用する)。リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0074】
[0087] 図9を参照すると、イルミネータILは、ソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受け取る。EUV光を生成するための方法は、必ずしも限定されないが、EUVレンジ内に1つ以上の輝線を伴う少なくとも1つの元素、例えばキセノン、リチウム、又はスズを有する材料を、プラズマ状態に変換することを含む。こうした一方法において、しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる必須プラズマは、必須の線発光元素を有する材料の液滴、ストリーム、又はクラスタなどの燃料を、レーザビームを用いて照射することによって生成可能である。ソースコレクタモジュールSOは、図9には示されていないが、燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザを含むEUV放射システムの一部とすることができる。結果として生じるプラズマは、放射、例えばEUV放射を放出し、この放射は放射コレクタを使用して収集され、ソースコレクタモジュール内で処理される。例えば、燃料励起のためのレーザビームを提供するために二酸化炭素(CO)レーザが使用されるとき、レーザ及びソースコレクタモジュールは、別個のエンティティとすることができる。
【0075】
[0088] こうした場合、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するものとはみなされず、放射ビームは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを用いて、レーザからソースコレクタモジュールへとわたされる。他の場合には、例えば、ソースがしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータであるとき、ソースは、ソースコレクタモジュールの不可欠部分とすることができる。
【0076】
[0089] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタを備えていてもよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセットフィールド及び瞳ミラーデバイスなどの様々な他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0077】
[0090] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は静電容量センサ)を使用して、基板テーブルWTは、例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを配置するように正確に移動することができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0078】
[0091] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
2.スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、放射ビームに与えられたパターンがターゲット部分Cに投影される間に同期してスキャンされる(すなわち、単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決定することができる。
3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0079】
[0092] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0080】
[0093] 図10は、ソースコレクタモジュールSO、照明システムIL、及び投影システムPSを含む、リソグラフィ装置900の実施例をより詳細に示す。ソースコレクタモジュールSOは、真空環境をソースコレクタモジュールSOの閉鎖構造1020内に維持できるように、構成及び配置される。システムIL及びPSは同様に、それら自体の真空環境内に含まれる。EUV放射放出プラズマ2は、レーザ生成LPPプラズマ源によって形成可能である。ソースコレクタモジュールSOの機能は、仮想光源点内に合焦されるように、プラズマ2からEUV放射ビーム20を搬送することである。仮想光源点は一般に、中間焦点(IF)と呼ばれ、ソースコレクタモジュールは、中間焦点(IF)が閉鎖構造1020内のアパーチャ1021又はその近くに位置するように配置される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ2のイメージである。
【0081】
[0094] 中間焦点IFにおけるアパーチャ1021から、放射は、本例ではファセットフィールドミラーデバイス22及びファセット瞳ミラーデバイス24を含む、照明システムILを横断する。これらのデバイスは、パターニングデバイスMAにおいて、放射ビーム21の所望の角度分布を提供し、並びにパターニングデバイスMAにおいて、放射強度の所望の均一性を提供するように配置された、(参照番号1060によって示されるような)いわゆる「フライアイ」イルミネータを形成する。支持構造(マスクテーブル)MTによって保持されるパターニングデバイスMAにおいてビーム21が反射するときに、パターン付きビーム26が形成され、パターン付きビーム26は、反射要素28、30を介して、基板テーブルWTによって保持される基板W上に、投影システムPSによって結像される。基板W上のターゲット部分Cを露光するために、基板テーブルWT及びパターニングデバイステーブルMTが、照明のスリットを介してパターニングデバイスMA上のパターンをスキャンするための同期的な動きを実行する間に、放射のパルスが発生する。
【0082】
[0095] 各システムIL及びPSは、閉鎖構造1020と同様の閉鎖構造によって画定される、独自の真空又は近真空環境内に配置される。一般に、照明システムIL及び投影システムPS内には、図に示されるより多くの要素が存在可能である。更に、図に示されるより多くのミラーが存在可能である。例えば、照明システムIL及び/又は投影システムPS内には、図10に示されるものに加えて、1から6つの追加の反射要素が存在可能である。
【0083】
[0096] ソースコレクタモジュールSOをより詳細に考察すると、レーザ1023を含むレーザエネルギー源は、レーザエネルギー1024を、ターゲット材料を含む燃料内に蓄積するように配置される。ターゲット材料は、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの、プラズマ状態のEUV放射を放出する任意の材料とすることができる。プラズマ2は、数十電子ボルト(eV)の電子温度を用いて高イオン化されたプラズマである。より高エネルギーのEUV放射は、他の燃料材料、例えばテルビウム(Tb)及びガドリニウム(Gd)を用いて発生させることができる。これらのイオンの脱励起及び再結合の間に発生するエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ3によって集光され、アパーチャ1021上に合焦される。プラズマ2及びアパーチャ1021は、それぞれ、コレクタCOの第1及び第2の焦点に配置される。
【0084】
[0097] 図10に示されるコレクタ3は単一湾曲ミラーであるが、コレクタは他の形を取ることができる。例えばコレクタは、2つの放射収集表面を有するシュワルツシルトコレクタとすることができる。一実施形態において、コレクタは、互いに入れ子にされた複数の実質的に円筒形のリフレクタを備える、かすめ入射コレクタとすることができる。
【0085】
[0098] 例えば液体スズである燃料を搬送するために、エンクロージャ1020内に液滴ジェネレータ1026が配置され、液滴の高周波ストリーム1028をプラズマ2の所望のロケーションに向けて発火するように配置される。動作中、レーザエネルギー1024は、各燃料液滴をプラズマ2内に向けるように放射のインパルスを搬送するために、液滴ジェネレータ1026の動作と同期して搬送される。液滴の搬送周波数は、数キロヘルツ、例えば50kHzとすることができる。実際には、レーザエネルギー1024は少なくとも2つのパルス内で搬送され、エネルギーが制限されるプリパルスが、燃料材料を小クラウドに気化させるためにプラズマロケーションに達する前に液滴へと搬送され、次いでレーザエネルギー1024のメインパルスが、プラズマ2を発生させるために、所望のロケーションでクラウドに搬送される。いかなる理由があってもプラズマに向けられることのない燃料を捕捉するために、閉鎖構造1020の反対側にトラップ1030が提供される。
【0086】
[0099] 液滴ジェネレータ1026は、燃料液体(例えば、溶融スズ)を含むリザーバ1001並びにフィルタ1069及びノズル1002を備える。ノズル1002は、燃料液体の液滴をプラズマ2形成ロケーションに向けて排出するように構成される。燃料液体の液滴は、リザーバ1001内の圧力と、ピエゾアクチュエータ(図示せず)によってノズルに印加される振動との組み合わせによって、ノズル1002から排出することができる。
【0087】
[0100] 当業者であればわかるように、基準軸X、Y、及びZは、装置のジオメトリ及び挙動、その様々なコンポーネント、及び放射ビーム20、21、26を測定及び記述するために定義可能である。装置の各部において、X、Y、及びZ軸のローカル基準フレームを定義することができる。図10の例では、Z軸は広義にはシステム内の所与の地点で光軸Oの方向と一致し、一般に、パターニングデバイス(レチクル)MAの平面に垂直であり、基板Wの平面に垂直である。ソースコレクタモジュールにおいて、X軸は広義には燃料ストリーム1028の方向と一致し、Y軸はそれに対して直角であり、図10に示されるようにページから離れることを指示している。他方で、レチクルMAを保持する支持構造MTの近くでは、X軸は一般に、Y軸と位置合わせされたスキャン方向と交差する。便宜上、図10の概略図のこのエリアでは、再度示されるようにX軸はページを離れることを指示している。これらの指定は当分野における慣習であり、本明細書では便宜上採用する。原則として、装置及びその挙動を説明するために、任意の基準フレームが選択可能である。
【0088】
[0101] 概して、典型的な装置内には、ソースコレクタモジュール及びリソグラフィ装置900の動作において使用される多数の追加のコンポーネントが存在するが、ここでは図示していない。これらには、例えば、コレクタ3及び他の光学系の性能を損なうか又は害する燃料材料の堆積を防ぐために、密閉された真空内の汚染の影響を低減又は緩和するための配置が含まれる。存在するが詳細には説明しない他の機構は、リソグラフィ装置900の様々なコンポーネント及びサブシステムの制御に関与する、すべてのセンサ、コントローラ、及びアクチュエータである。
【0089】
[0102] 図11を参照すると、LPP EUV光学源1100の実施例が示されている。光学源1100は、リソグラフィ装置900におけるソースコレクタモジュールSOとして使用可能である。更に、図1A及び図2Aの光発生モジュール105、図5の光発生モジュール505、図3の光発生モジュール305b、又は図4の光発生モジュール405bは、ドライブレーザ1115の一部とすることができる。ドライブレーザ1115は、レーザ1023(図10)として使用可能である。
【0090】
[0103] LPP EUV光学源1100は、ビーム経路に沿ってターゲット混合1114に向けて進む増幅光学ビーム1110を用いて、プラズマ形成ロケーション1105においてターゲット混合1114を照射することによって形成される。プラズマ形成ロケーション1105は、真空チャンバ1130の内部1107にある。増幅光学ビーム1110がターゲット混合1114に当たると、ターゲット混合1114内のターゲット材料は、EUVレンジ内に輝線を伴う元素を有するプラズマ状態に変換される。作成されたプラズマは、ターゲット混合1114内のターゲット材料の組成に依存する、或る特徴を有する。これらの特徴は、プラズマによって生成されるEUV光の波長、及びプラズマからリリースされるデブリのタイプ及び量を含むことができる。
【0091】
[0104] 光学源1100は、液滴、液体ストリーム、固体粒子又はクラスタ、液滴内に含まれる固体粒子、或いは、液体ストリーム内に含まれる固体粒子の形の、ターゲット混合1114を、搬送、制御、及び誘導する、供給システム1125も含む。ターゲット混合1114は、例えば、水、スズ、リチウム、キセノン、又は、プラズマ状態に変換されたときEUVレンジ内に輝線を有する任意の材料などの、ターゲット材料を含む。例えば、元素スズは、純スズ(Sn)として、スズ化合物、例えばSnBr、SnBr、SnHとして、スズ合金、例えばスズガリウム合金、スズインジウム合金、スズインジウムガリウム合金、又はこれらの合金の任意の組み合わせとして、使用可能である。ターゲット混合1114は、非ターゲット粒子などの不純物も含む場合がある。したがって、不純物がない状態では、ターゲット混合1114はターゲット材料のみで構成される。ターゲット混合1114は、供給システム1125によって、チャンバ1130の内部1107及びプラズマ形成ロケーション1105へ搬送される。
【0092】
[0105] 光学源1100は、レーザシステム1115の利得媒体内の反転分布に起因して増幅光学ビーム1110を生成する、ドライブレーザシステム1115を含む。光学源1100は、レーザシステム1115とプラズマ形成ロケーション1105との間にビームデリバリシステムを含み、ビームデリバリシステムはビーム伝送システム1120及びフォーカスアセンブリ1122を含む。ビーム伝送システム1120は、レーザシステム1115から増幅光学ビーム1110を受け取り、必要に応じて増幅光学ビーム1110をステアリング及び修正して、増幅光学ビーム1110をフォーカスアセンブリ1122に出力する。フォーカスアセンブリ1122は増幅光学ビーム1110を受け取り、ビーム1110をプラズマ形成ロケーション1105に合焦させる。
【0093】
[0106] いくつかの実施例において、レーザシステム1115は、1つ以上のメインパルスと、場合によっては1つ以上のプリパルスとを提供するための、1つ以上の光学増幅器、レーザ、及び/又はランプを含むことができる。各光学増幅器は、高利得で所望の波長を光学的に増幅することが可能な利得媒体、励起源、及び内部光学系を含む。光学増幅器は、レーザミラー、又は、レーザキャビティを形成する他のフィードバックデバイスを有するか、又は有さない場合がある。したがって、レーザシステム1115は、たとえレーザキャビティがない場合であっても、レーザ増幅器の利得媒体内の反転分布に起因して、増幅光学ビーム1110を生成する。更に、レーザシステム1115は、レーザキャビティが存在する場合、レーザシステム1115に十分なフィードバックを提供するために、コヒーレントレーザビームである増幅光学ビーム1110を生成することができる。「増幅光学ビーム」という用語は、単に増幅されるが必ずしもコヒーレントレーザ発振ではないレーザシステム1115からの光、及び、増幅され、コヒーレントレーザ発振でもあるレーザシステム1115からの光のうちの、1つ以上を包含する。
【0094】
[0107] レーザシステム1115内の光学増幅器は、COを含む充填ガスを利得媒体として含むことができ、約9100nmから約11000nmの間、及び特に約10600nmの波長において、800倍より大きいか又は等しい利得で、光を増幅することができる。レーザシステム1115内での使用に適切な増幅器及びレーザは、約9300nm又は約10600nmにおいて、例えばDC又はRF励起を用いて放射を生成し、例えば10kW又はそれ以上の相対的に高出力で、及び、例えば40kHz又はそれ以上の高パルス繰り返し数で動作する、パルスレーザデバイス、例えばパルスガス放電COレーザデバイスを含むことができる。パルス繰り返し数は、例えば50kHzとすることができる。レーザシステム1115内の光学増幅器は、レーザシステム1115をより高出力で動作しているときに使用可能な、水などの冷却システムを含むこともできる。
【0095】
[0108] 光学源1100は、増幅光学ビーム1110が通過してプラズマ形成ロケーション1105に達することができるようにするためのアパーチャ1140を有する、コレクタミラー1135を含む。コレクタミラー1135は、例えば、プラズマ形成ロケーション1105における1次焦点、及び中間ロケーション1145(中間焦点とも呼ばれる)における2次焦点を有する、楕円ミラーとすることができ、EUV光は光学源1100から出力可能であり、例えば集積回路リソグラフィツール(図示せず)に入力可能である。光学源1100は、増幅光学ビーム1110がプラズマ形成ロケーション1105に到達可能でありながら、フォーカスアセンブリ1122及び/又はビーム伝送システム1120に入るプラズマ発生デブリの量を減少させるために、コレクタミラー1135からプラズマ形成ロケーション1105に向かって先細になる、オープンエンドの中空円錐シュラウド1150(例えば、ガス円錐体)を含むこともできる。このために、プラズマ形成ロケーション1105に向けて誘導されるガス流を、シュラウド内に提供することができる。
【0096】
[0109] 光学源1100は、液滴位置検出フィードバックシステム1156、レーザ制御システム1157、及びビーム制御システム1158に接続された、主コントローラ1155を含むこともできる。光学源1100は、例えばプラズマ形成ロケーション1105に対する液滴の位置を示す出力を提供し、この出力を液滴位置検出フィードバックシステム1156に提供する、1つ以上のターゲット又は液滴イメージャ1160を含むことができ、液滴位置検出フィードバックシステム1156は、例えば、液滴の位置及び軌道を計算することが可能であり、これによって液滴ごと又は平均のいずれかで液滴位置誤差を計算することが可能である。このようにして、液滴位置検出フィードバックシステム1156は、主コントローラ1155への入力として液滴位置誤差を提供する。したがって主コントローラ1155は、例えばレーザタイミング回路を制御するために使用可能なレーザ制御システム1157に、並びに/或いは、チャンバ1130内のビーム焦点のロケーション及び/又は集光力を変更するためにビーム伝送システム1120の増幅光学ビーム位置及び形状を制御するためのビーム制御システム1158に、レーザの位置、方向、及びタイミング訂正信号を提供することが可能である。
【0097】
[0110] 供給システム1125は、主コントローラ1155からの信号に応答して、所望のプラズマ形成ロケーション1105に到達する液滴内の誤差を訂正するために、ターゲット材料供給装置1127によってリリースされる際の液滴のリリース点を修正するように動作可能な、ターゲット材料デリバリ制御システム1126を含む。
【0098】
[0111] 加えて、光学源1100は、パルスエネルギー、波長の関数としてのエネルギー分布、波長の特定の帯域内のエネルギー、波長の特定の帯域外のエネルギー、並びに、EUV強度及び/又は平均出力の角度分布を含むが限定されない、1つ以上のEUV光パラメータを測定する、光学源検出器1165及び1170を含むことができる。光学源検出器1165は、主コントローラ1155によって使用するためのフィードバック信号を発生させる。フィードバック信号は、例えば、有効及び効率的なEUV光生成のために、正しい場所及び時刻で液滴を適切に遮断するためのレーザパルスのタイミング及び焦点などの、パラメータにおける誤差を示すことができる。
【0099】
[0112] 光学源1100は、光学源1100の様々なセクションを位置合わせするため、又は、プラズマ形成ロケーション1105への増幅光学ビーム1110のステアリングを支援するために使用可能な、ガイドレーザ1175を含むこともできる。ガイドレーザ1175に関連して、光学源1100は、ガイドレーザ1175及び増幅光学ビーム1110からの光の一部をサンプリングするためにフォーカスアセンブリ1122内に配置される、メトロロジシステム1124を含む。他の実施例において、メトロロジシステム1124はビーム伝送システム1120内に配置される。メトロロジシステム1124は、光のサブセットをサンプリング又は方向転換する光学素子を含むことが可能であり、こうした光学素子は、ガイドレーザビーム及び増幅光学ビーム1110の出力に耐えうる任意の材料で構成される。主コントローラ1155はガイドレーザ1175からサンプリングされた光を分析し、ビーム制御システム1158を介してフォーカスアセンブリ1122内のコンポーネントを調整するためにこの情報を使用するため、メトロロジシステム1124及び主コントローラ1155から、ビーム分析システムが形成される。
【0100】
[0113] したがって要約すると、光学源1100は、混合1114内のターゲット材料を、EUVレンジ内の光を放出するプラズマに変換するために、プラズマ形成ロケーション1105におけるターゲット混合1114を照射するためにビーム経路に沿って誘導される、増幅光学ビーム1110を生成する。増幅光学ビーム1110は、レーザシステム1115の設計及び特性に基づいて決定される、(ドライブレーザ波長とも呼ばれる)特定の波長において動作する。加えて、増幅光学ビーム1110は、コヒーレントレーザ光を生成するためにターゲット材料がレーザシステム1115内に十分なフィードバックを提供するとき、又は、ドライブレーザシステム1115がレーザキャビティを形成するために適切な光学フィードバックを含む場合に、レーザビームとすることができる。
【0101】
[0114] 他の実施例は特許請求の範囲内にある。上記で考察した変調要素は、ターゲット上に任意のタイプのパターンを生成するために実装可能である。例えば、変調要素222は、図2Aの例に示されるものとは異なるパターンの成分を生成することができる。いくつかの実施例において、変調要素222は、すべての成分がゼロ次数の一方の側にあるように実装される。更に変調要素522は、成分533d以外のすべての成分がターゲット領域542aに向けて伝搬し、ビームダンプ528を必要としないような様式で、実装することも可能である。
【0102】
[0115] 本発明の他の態様を、下記の番号付き条項に示す。
1.システムであって、
修正光ビームを作成するために光ビームと相互作用するように構成された空間変調デバイスであって、修正光ビームは修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する光の空間パターンを含み、光の空間パターンは1つ以上の光の成分を含む、空間変調デバイスと、
ターゲット領域にターゲットを提供するように構成されたターゲット供給システムであって、ターゲットはプラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含み、ターゲット領域は、修正ビーム内の1つ以上の光の成分のうちの少なくともいくつかがターゲットの一部と相互作用するように、ビーム経路とオーバーラップする、ターゲット供給システムと、
を備える、システム。
2.空間変調デバイスは回折光学素子を備える、条項1に記載のシステム。
3.回折光学系は、空間光変調器(SLM)、補償光学系、レチクル、及び/又は格子を備える、条項2に記載のシステム。
4.空間変調デバイスは屈折光学素子を備える、条項1に記載のシステム。
5.空間変調デバイスは、レンズ、小型レンズアレイ、及び/又はレチクルを備える、条項4に記載のシステム。
6.光の空間パターンは、2つ以上の光の成分を含み、2つ以上の光の成分の各々は、実質的に同じ強度を有する、条項1に記載のシステム。
7.光の空間パターンは、直線格子内に配置された2つ以上の光の成分を備える、条項1に記載のシステム。
8.空間変調デバイスは、少なくとも1つのダマン格子を備える、条項2に記載のシステム。
9.光ビームを放出するように構成された第1の光発生モジュール、及び、
第2の光ビームを放出するように構成された第2の光発生モジュール、
を更に備える、条項1に記載のシステム。
10.空間変調デバイスは、第2の修正光ビームを作成するために第2の光ビームと相互作用するように更に構成され、第2の修正光ビームは第2の修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する第2の光の空間パターンを含み、第2の光の空間パターンは1つ以上の第2の光の成分を含む、条項1に記載のシステム。
11.極端紫外線(EUV)光源のためのターゲットを形成する方法であって、
光ビームをビーム経路上に誘導することと、
修正光ビームを形成するためにビーム経路上に位置決めされた空間変調デバイスと光ビームを相互作用させることであって、修正光ビームは修正光ビームの伝搬の方向に垂直な方向に沿って不均一な強度を有する光の空間パターンを含み、光の空間パターンは1つ以上の光の成分を含む、光ビームを相互作用させることと、
プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を含むターゲットと修正光ビームを相互作用させることであって、空間パターンの1つ以上の光の成分のうちの少なくともいくつかは、ターゲットの領域と相互作用してターゲットのその領域の特性を修正する、修正光ビームを相互作用させることと、
を含む、極端紫外線(EUV)光源のためのターゲットを形成する方法。
12.特性は密度を含み、特性を修正することは密度を低下させることを含む、条項11に記載の方法。
13.光の空間パターンは、2つ以上の光の成分を含む、条項11に記載の方法。
14.すべての光の成分は同じ強度を有する、条項13に記載の方法。
15.光の成分は格子内に配置され、光の成分と直接相互作用するターゲットの領域は格子内に配置される、条項13に記載の方法。
16.修正光ビームがターゲットと相互作用する以前に、修正ビームがフォーカスアセンブリと相互作用することを更に含む、条項11に記載の方法。
17.光の成分は、任意の2つの光の成分間のターゲットの一部が修正光ビーム内のいずれの成分とも相互作用しないように、空間的に分離及び空間的に離散している、条項13に記載の方法。
18.改変ターゲットを形成するために、初期のターゲットを第2の光ビームと相互作用させることであって、改変ターゲットは第1の方向に初期のターゲットよりも大きな範囲を有し、第2の方向に初期のターゲットよりも小さな範囲を有し、第1及び第2の方向は互いに直交している、初期のターゲットを第2の光ビームと相互作用させることと、
修正光ビームを、プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を備えるターゲットと相互作用させることは、修正光ビームを改変ターゲットと相互作用させることを含み、1つ以上の光の成分の各々は、改変ターゲットの領域と相互作用して改変ターゲットのその領域の特性を修正する、修正光ビームをターゲットと相互作用させることと、
を更に含む、条項11に記載の方法。
19.修正光ビームを改変ターゲットと相互作用させた後、改変ターゲットを第3の光ビームと相互作用させることを更に含み、第3の光ビームは、改変ターゲット内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する、条項18に記載の方法。
20.ターゲットを修正光ビームと相互作用させた後、ターゲットを別の光ビームと相互作用させることを更に含み、他の光ビームは、第2の改変ターゲット内のターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギーを有する、条項11に記載の方法。
21.特性は、放出されるEUV光の量及び他の光ビームのエネルギーに関する変換効率を含み、ターゲットの一部の特性を修正することは、ターゲット全体に関連付けられた変換効率を上昇させることを含む、条項20に記載の方法。
22.光ビーム及び他の光ビームは時間的に接続され、光の単一パルスの一部である、条項20に記載の方法。
23.特性はターゲットの表面積を含み、ターゲットの任意の部分の特性を修正することは、ターゲット全体の表面積を増加させることを含む、条項11に記載の方法。
24.表面積の増加量は、修正光ビーム内の光成分の数に関係する、条項23に記載の方法。
25.修正光ビームを、プラズマ状態にあるときにEUV光を放出するターゲット材料を備えるターゲットと相互作用させることは、修正光ビームを、実質的に球形を有するターゲットと相互作用させることを含む、条項11に記載の方法。
【0103】
[0116] 他の実施例は、下記の特許請求の範囲内にある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11