(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-26
(45)【発行日】2023-10-04
(54)【発明の名称】マスクレスリソグラフィシステム用ユニバーサル計測ファイル、プロトコル、及びプロセス
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230927BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2022520960
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 US2019055135
(87)【国際公開番号】W WO2021071472
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コスクン, テイマー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン ブルク, ダグラス ジョセフ
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-056068(JP,A)
【文献】特開2005-136181(JP,A)
【文献】特開2010-169661(JP,A)
【文献】特開2011-237781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0170081(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/24
9/00-9/02
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
リソグラフィ環境の仮想マスク装置を用いて設計ファイル及びユニバーサル計測ファイル(UMF)ファイルを作成することであって、
前記リソグラフィ環境は、前記仮想マスク装置、計測装置、及びマスクレスリソグラフィ装置に接続されるように動作可能なコントローラを含み、
前記UMFファイルは、前記コントローラ、前記仮想マスク装置、前記計測装置、及び前記マスクレスリソグラフィ装置の各々によって読み取り可能である、
リソグラフィ環境の仮想マスク装置を用いて設計ファイル及びユニバーサル計測ファイル(UMF)ファイルを作成することと、
前記設計ファイルを前記マスクレスリソグラフィ装置へ送信し、前記UMFファイルを前記計測装置へ送信することと、
前記設計ファイルに基づき、前記マスクレスリソグラフィ装置を用いて第1の基板をパターニングし、前記マスクレスリソグラフィ装置によってパターニングされた前記第1の基板を前記計測装置へ移送することを含む、リソグラフィプロセスを実行することと、
前記UMFファイルの命令に従って、前記計測装置を用いて1又は複数の計測プロセスを実行し、前記UMFファイルに計測測定値を追加することと、
前記UMFファイルの命令に従って、前記計測装置を用いて1又は複数のアプリケーションの第1の部分を実行し、補正モデル及び較正オフセットデータのうちの少なくとも1つを前記UMFファイルにコンパイルすることと、
前記UMFファイルを前記仮想マスク装置及び前記マスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つへ送信することと、
前記仮想マスク装置及び前記マスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つを用いて、前記設計ファイルを更新することと
を含む方法。
【請求項2】
前記UMFファイルのフォーマットは、ユーザ及び機械による読み取りが可能で、要素のセクションを保持及び記憶するように動作可能な、テキストベースのマークアップ言語を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UMFファイルの前記セクションは、識別セクション、計測命令セクション、アプリケーション命令セクション、アライメントマークセクション、画像保存セクション、及び計測測定セクションを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リソグラフィ環境は、前記コントローラに接続された評価装置を含み、
前記評価装置は、前記UMFファイルの命令に従って、前記1又は複数のアプリケーションの第2の部分を実行し、
前記評価装置は、前記補正モデル及び前記較正オフセットデータのうちの少なくとも1つを、前記UMFファイル又は補正モデルファイルにコンパイルする、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記評価装置は、前記補正モデル又は前記較正オフセットデータのうちの少なくとも1つをコンパイルするために、1又は複数の計算、シミュレーション、又はモデリングプロセスを実行するように動作可能である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記補正モデル及び前記較正オフセットデータのうちの少なくとも1つに従って、リソグラフィプロセスパラメータ及びマスクレスリソグラフィ装置パラメータを更新することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
更新された設計ファイルを前記マスクレスリソグラフィ装置へ送信し、前記マスクレスリソグラフィ装置を用いて第2の基板をパターニングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
命令を記憶する非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、
リソグラフィ環境の仮想マスク装置を用いて設計ファイル及びユニバーサル計測ファイル(UMF)ファイルを作成するステップであって、
前記リソグラフィ環境は、前記仮想マスク装置、計測装置、及びマスクレスリソグラフィ装置に接続されるように動作可能なコントローラを含み、
前記UMFファイルは、前記コントローラ、前記仮想マスク装置、前記計測装置、及び前記マスクレスリソグラフィ装置の各々によって読み取り可能である、
リソグラフィ環境の仮想マスク装置を用いて設計ファイル及びユニバーサル計測ファイル(UMF)ファイルを作成するステップと、
前記設計ファイルを前記マスクレスリソグラフィ装置へ送信し、前記UMFファイルを前記計測装置へ送信するステップと、
前記マスクレスリソグラフィ装置を用いて第1の基板をパターニングし、前記マスクレスリソグラフィ装置によってパターニングされた前記第1の基板を前記計測装置へ移送することを含む、リソグラフィプロセスを実行するステップと、
前記UMFファイルの命令に従って、前記計測装置を用いて1又は複数の計測プロセスを実行し、前記UMFファイルに計測測定値を追加するステップと、
前記UMFファイルの命令に従って、前記計測装置を用いて1又は複数のアプリケーションの第1の部分を実行し、補正モデル及び較正オフセットデータのうちの少なくとも1つを前記UMFファイルにコンパイルするステップと、
前記UMFファイルを前記仮想マスク装置及び前記マスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つへ送信するステップと、
前記補正モデル及び前記較正オフセットデータのうちの少なくとも1つに従って、前記仮想マスク装置及び前記マスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つを用いて、前記設計ファイル、リソグラフィプロセスパラメータ、及びマスクレスリソグラフィ装置パラメータのうちの少なくとも1つを更新するステップと
を実行させる、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記UMFファイルのフォーマットは、ユーザ及び機械による読み取りが可能で、要素のセクションを保持及び記憶するように動作可能なテキストベースのマークアップ言語を含む、請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記リソグラフィ環境は、前記コントローラに接続された評価装置を含み、
前記評価装置は、前記UMFファイルの命令に従って、前記1又は複数のアプリケーションの第2の部分を実行し、
前記評価装置は、前記補正モデル及び前記較正オフセットデータのうちの少なくとも1つを、前記UMFファイル又は補正モデルファイルにコンパイルする、
請求項8に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
非一過性コンピュータ可読媒体であって、
リソグラフィ環境の仮想マスク装置、計測装置、マスクレスリソグラフィ装置、及びコントローラの間で送信されるように読み取り可能かつ動作可能なテキストベースのマークアップ言語を有するフォーマットと、
前記仮想マスク装置、前記計測装置、前記マスクレスリソグラフィ装置、及び前記コントローラの各々によって前記非一過性コンピュータ可読媒体に保持及び記憶されるように動作可能な要素を有する複数のセクションであって、
識別セクションと、
計測命令セクションと、
アプリケーション命令セクションと、
アライメントマークセクションと、
画像保存セクションと、
計測測定セクションと
を含む、複数のセクションと
を備える、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記識別セクションの要素は、処理される基板に対応する基板識別子、CIM手順に対応するコンピュータ統合製造(CIM)識別子、及び現像される基板に配置されたフォトレジストの層に対応する層識別子のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記計測命令セクションの要素は、臨界寸法(CD)計測プロセス、レジスト側壁角計測プロセス、エッジトゥエッジ計測プロセス、スカラップ計測プロセス、ビア計測プロセス、及び画像計測プロセスのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記アプリケーション命令セクションの要素は、トータルピッチアプリケーション、オーバーレイアプリケーション、マスクレスリソグラフィ装置マッチングアプリケーション、IPS回転アプリケーション、ピクセルピッチアプリケーション、多重度アプリケーション、線量計算アプリケーション、フォーカス計算アプリケーション、上部及び底部CDアプリケーション、CD均一性アプリケーション、公差アプリケーション、及びムラ解析アプリケーションのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記識別セクションの要素は、画像フォーマット要素、画像サイズ要素、及びピクセルサイズ要素のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、リソグラフィシステムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、リソグラフィ環境の各構成要素によって読み取り可能なファイルを用いてマスクパターン、マスクレスリソグラフィ装置パラメータ、及びリソグラフィプロセスパラメータの1又は複数を更新する、リソグラフィプロセスのシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]マスクレスリソグラフィは、半導体デバイスのバックエンド処理等の半導体デバイスの製造、及び液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ装置の製造に利用されている。従来のリソグラフィ環境では、基板上に配置されたフォトレジストにマスクパターンの特徴パターンを書き込み、特徴パターンの測定値をコンパイルし、コンパイルした測定値ごとにマスクパターンを更新し、更新したマスクパターンの特徴パターンを別々の基板のフォトレジストに書き込むには、リソグラフィ環境の各構成要素間で別々のファイルフォーマットとプロトコルが必要である。更に、マスクレスリソグラフィ装置及びリソグラフィプロセスのパラメータを更新するには、リソグラフィ環境の各構成要素間で別々のファイルフォーマット及びプロトコルが必要である。リソグラフィ環境の各構成要素間で別々のファイルフォーマット及びプロトコルを使用することは、フォーマット及びプロトコル間の変換に誤差を生じさせ、結果として現像パターンの不正確さ、処理遅延、及びスループットの低下を招く可能性がある。
【0003】
[0003]従って、当技術分野で必要とされているのは、リソグラフィ環境の各構成要素によって読み取り可能なファイルを用いてマスクパターン、マスクレスリソグラフィ装置パラメータ、及びリソグラフィプロセスパラメータの1又は複数を更新する、リソグラフィプロセスのリソグラフィ環境、ソフトウェアアプリケーション、及び方法である。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一実施形態では、方法が提供される。本方法は、リソグラフィ環境の仮想マスク装置を用いて設計ファイル及びユニバーサル計測ファイル(UMF)ファイルを作成することを含む。リソグラフィ環境は、仮想マスク装置、計測装置、及びマスクレスリソグラフィ装置に接続されるように動作可能なコントローラを含む。UMFファイルは、コントローラ、仮想マスク装置、計測装置、及びマスクレスリソグラフィ装置の各々によって読み取り可能である。設計ファイルはマスクレスリソグラフィ装置へ送信され、UMFファイルは計測装置へ送信される。設計ファイルに基づき、マスクレスリソグラフィ装置を用いて第1の基板をパターニングし、マスクレスリソグラフィ装置によってパターニングされた第1の基板を計測装置へ移送することを含む、リソグラフィプロセスが実行される。UMFファイルの命令に従って、計測装置を用いて1又は複数の計測プロセスが実行され、UMFファイルに計測測定値が追加される。UMFファイルの命令に従って、計測装置を用いて1又は複数のアプリケーションの第1の部分が実行され、補正モデル及び較正オフセットデータのうちの少なくとも1つがUMFファイルにコンパイルされる。UMFファイルは、仮想マスク装置及びマスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つへ送信される。仮想マスク装置及びマスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つを用いて、設計ファイルが更新される。
【0005】
[0005]別の実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体が提供される。非一過性コンピュータ可読媒体は命令を記憶し、この命令は、プロセッサによって実行されると、コンピュータシステムに、リソグラフィ環境の仮想マスク装置を用いて設計ファイル及びユニバーサル計測ファイル(UMF)ファイルを作成するステップを実行させる。リソグラフィ環境は、仮想マスク装置、計測装置、及びマスクレスリソグラフィ装置に接続されるように動作可能なコントローラを含む。UMFファイルは、コントローラ、仮想マスク装置、計測装置、及びマスクレスリソグラフィ装置の各々によって読み取り可能である。設計ファイルはマスクレスリソグラフィ装置へ送信され、UMFファイルは計測装置へ送信される。マスクレスリソグラフィ装置を用いて第1の基板をパターニングし、マスクレスリソグラフィ装置によってパターニングされた第1の基板を計測装置へ移送することを含むリソグラフィプロセスが実行される。UMFファイルの命令に従って、計測装置を用いて1又は複数の計測プロセスが実行され、UMFファイルに計測測定値が追加される。UMFファイルの命令に従って、計測装置を用いて1又は複数のアプリケーションの第1の部分が実行され、補正モデル及び較正オフセットデータのうちの少なくとも1つがUMFファイルにコンパイルされる。UMFファイルは仮想マスク装置及びマスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つへ送信される。補正モデル及び較正オフセットデータのうちの少なくとも1つに従って、仮想マスク装置及びマスクレスリソグラフィ装置のうちの少なくとも1つを用いて設計ファイル、リソグラフィプロセスパラメータ、及びマスクレスリソグラフィ装置パラメータのうちの少なくとも1つが更新される。
【0006】
[0006]別の実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体が提供される。非一過性コンピュータ可読媒体は、リソグラフィ環境の仮想マスク装置、計測装置、マスクレスリソグラフィ装置、及びコントローラの間で送信されるように読み取り可能かつ動作可能なテキストベースのマークアップ言語を有するフォーマットを含む。非一過性コンピュータ可読媒体の複数のセクションは、仮想マスク装置、計測装置、マスクレスリソグラフィ装置、及びコントローラの各々によって非一過性コンピュータ可読媒体に保持及び記憶されるように動作可能な要素を有する。複数のセクションは、識別セクションと、計測命令セクションと、アプリケーション命令セクションと、アライメントマークセクションと、画像保存セクションと、計測測定セクションとを含む。
【0007】
[0007]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を単に示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書に記載の実施形態に係るリソグラフィ環境の概略図である。
【
図2】本明細書に記載の実施形態に係る例示的なマスクレスリソグラフィ装置の斜視図である。
【
図3】本明細書に記載の実施形態に係るマスクパターンの概略図である。
【
図4】本明細書に記載の実施形態に係るインターフェースの概略図である。
【
図5】本明細書に記載の実施形態に係るマスクレスリソグラフィ方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、更なる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0010】
[0014]本開示の実施形態は、概して、リソグラフィシステムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、リソグラフィ環境の各構成要素によって読み取り可能なファイルを用いてマスクパターン、マスクレスリソグラフィ装置パラメータ、リソグラフィプロセスパラメータの1又は複数を更新する、リソグラフィプロセスのシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法に関するものである。連続基板にマスクパターンを正確に書き込むために、リソグラフィ環境の各構成要素により読み取り可能なファイルによってテキストデータを記憶し、共有し、リソグラフィ環境の構成要素間の通信を容易にすることにより、書き込まれるパターンに対応するマスクパターンが更新され、リソグラフィ環境のマスクレスリソグラフィ装置が較正され、リソグラフィプロセスのプロセスパラメータが補正される。
【0011】
[0015]
図1は、リソグラフィ環境100の概略図である。図示したように、リソグラフィ環境100は、仮想マスク装置102、計測装置104、評価装置106、マスクレスリソグラフィ装置108、コントローラ110、複数の通信リンク101、及び移送システム103を含むが、これらに限定されない。本明細書で更に説明するように、評価装置106は、1又は複数の計算、シミュレーション、又はモデリングプロセスを実行して、補正モデル又は較正オフセットデータのうちの少なくとも1つをコンパイルするように動作可能である。追加のリソグラフィ環境装置(すなわち、仮想マスク装置102、計測装置104、評価装置106、及びマスクレスリソグラフィ装置108)が、リソグラフィ環境100に含まれ得る。各リソグラフィ環境装置は、通信リンク101を介して互いに接続されるように動作可能である。各リソグラフィ環境装置は、通信リンク101によってコントローラ110に接続されるように動作可能である。代替的又は追加的に、各リソグラフィ環境装置は、最初にコントローラ110と通信し、次いでコントローラが当該のリソグラフィ環境装置と通信することによって、間接的に通信することが可能である。リソグラフィ環境100は、同じエリア又は生産施設に位置し得る、又は各リソグラフィ環境装置は、異なるエリアに位置し得る。
【0012】
[0016]複数のリソグラフィ環境装置の各々は、本明細書に記載の方法500の工程で追加的にインデックス付けされる。仮想マスク装置102、計測装置104、評価装置106、マスクレスリソグラフィ装置108、及びコントローラ110の各々は、オンボードプロセッサ及びメモリを含み、メモリは、以下に説明する方法500の任意の部分に対応する命令を記憶するよう構成される。通信リンク101は、有線接続、無線接続、衛星接続等のうちの少なくとも1つを含み得る。通信リンク101は、本明細書で更に説明する実施形態に従って、ユニバーサル計測ファイル(UMF)又はデータを記憶するために用いられる他の任意のファイルを送信及び受信することを含む。通信リンク101は、ファイル又はデータをリソグラフィシステムツールに転送又はコピーする前に、ファイル又はデータをクラウドに一時的又は恒久的に記憶することを含み得る。
【0013】
[0017]マスクレスリソグラフィ装置108及び計測装置104は、移送システム103によって接続される。移送システムは、マスクレスリソグラフィ装置108と計測装置104との間で基板を移送するように動作可能である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、移送システム103は、パターニングされたウエハを移送するように動作可能なコントローラ110に接続可能なロボット又は他の機器を含み得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、移送システム103は、ユーザによって物理的に操作可能である。
【0014】
[0018]コントローラ110は、中央処理装置(CPU)112、支援回路114、及びメモリ116を含む。CPU112は、リソグラフィ環境装置を制御するために産業環境で使用することができる任意の形式のコンピュータプロセッサの1つであってよい。メモリ116は、CPU112に結合される。メモリ116は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はローカルもしくはリモートの任意の他の形態のデジタルストレージ等の容易に入手できるメモリのうちの1又は複数であってよい。支援回路114は、従来の方法でプロセッサを支援するために、CPU112に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステム等を含む。コントローラ110は、支援回路114及びメモリ116に含まれる入力/出力(I/O)装置に結合されるCPU112を含み得る。
【0015】
[0019]メモリ116は、制御ソフトウェアプログラム等の1又は複数のソフトウェアアプリケーションを含み得る。メモリ116はまた、本明細書に記載の方法500を実行するためにCPU112によって使用される記憶された媒体データを含み得る。CPU112は、ソフトウェアアプリケーションを実行し、データを処理することができるハードウェアユニット又はハードウェアユニットの組合せであってよい。幾つかの構成では、CPU112は、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は上記ユニットの組合せを含む。CPU112は、一般に、1又は複数のソフトウェアアプリケーションを実行し、メモリ116内にそれぞれ含まれ得る記憶された媒体データを処理するように構成される。コントローラ110は、様々なリソグラフィ環境デバイスとの間のデータ及びファイルの転送を制御する。メモリ116は、本明細書に記載の実施形態に係る方法500の任意の工程に対応する命令を記憶するように構成される。
【0016】
[0020]
図2は、本明細書に記載の実施形態から利益を得ることができる、デジタルリソグラフィシステム等の例示的なマスクレスリソグラフィ装置108の斜視図である。マスクレスリソグラフィ装置108は、ステージ214及び処理ユニット204を含む。ステージ214は、一対のトラック216によって支持される。基板220は、ステージ214によって支持される。ステージ214は、一対のトラック216に沿って移動するように動作可能である。ステージ214の位置の情報をコントローラ222に提供するために、エンコーダ218がステージ214に結合される。
【0017】
[0021]コントローラ222は、概して、本明細書に記載の処理技法の制御及び自動化を促進するように設計される。コントローラ222は、処理ユニット204、ステージ214、及びエンコーダ218に結合され得る、又はそれらと通信し得る。処理ユニット204及びエンコーダ218は、基板処理及び基板位置合わせに関する情報をコントローラ222に提供し得る。例えば、処理ユニット204は、基板処理が完了したことをコントローラ222に通知するための情報をコントローラ222に提供し得る。コントローラ222は、インターフェース230から提供される設計ファイルに基づいて、マスクレスリソグラフィプロセスの制御及び自動化を促進する。コントローラ222によって読み取り可能な、イメージング設計ファイルと呼ばれ得る設計ファイル(又はコンピュータ命令)は、どのタスクが基板上で実行されるべきかを決定する。設計ファイル(例えば、
図4の設計ファイル420)は、マスクパターンデータを含む。マスクパターンデータは、マスクパターン302(
図3に示す)と、処理時間及び基板位置を監視及び制御するためのコードとを含む。マスクパターン302は、電磁放射線を用いてフォトレジストに書き込まれるパターンに対応する。
【0018】
[0022]基板220は、フラットパネルディスプレイの一部として使用される任意の適切な材料、例えば、ガラスを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、基板220は、フラットパネルディスプレイの一部として使用することができる他の材料でできている。基板220は、その上に例えばパターンエッチングによって形成されたパターニングされるフィルム層と、パターニングされるフィルム層上に形成され、電磁放射線、例えば紫外線又は深紫外線「光」に感度を有するフォトレジスト層とを有する。ポジ型フォトレジストは、電磁放射線を使用してフォトレジストにパターンが書き込まれた後、放射線に露光されると、フォトレジストに塗布されたフォトレジスト現像液に対してそれぞれ可溶となるフォトレジストの一部を含む。ネガ型フォトレジストは、電磁放射線を使用してフォトレジストにパターンが書き込まれた後、放射線に露光されると、フォトレジストに塗布されたフォトレジスト現像液に対してそれぞれ不溶性となるフォトレジストの一部を含む。フォトレジストの化学組成によって、フォトレジストがポジ型フォトレジストであるかネガ型フォトレジストであるかが決定される。フォトレジストの例としては、ジアゾナフトキノン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルグルタルイミド)、及びSU-8のうちの少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。フォトレジストを電磁放射線に露光した後、レジストが現像され、下地フィルム層にパターニングされたフォトレジストが残る。次に、パターニングされたフォトレジストを用いて、フォトレジストの開口部を通して下地薄膜フィルムがパターンエッチングされ、ディスプレイパネルの電子回路の一部が形成される。
【0019】
[0023]処理ユニット204は、処理ユニット204が一対のトラック216をまたぐように、支持体208によって支持される。支持体208は、一対のトラック216及びステージ214が処理ユニット204の下を通過するための開口部212を提供する。処理ユニット204は、インターフェース230からマスクパターンデータを受け取り、電磁放射線の書き込みビームを基板220に投影するように動作可能な1又は複数の画像投影システム206を用いてマスクレスリソグラフィプロセスでフォトレジストを露光するように構成されたパターンジェネレータである。処理ユニット204によって生成されたパターンが画像投影システム206によって投影され、基板220のフォトレジストを露光して、フォトレジストに書き込まれるマスクパターン302が形成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、各画像投影システム206は、所望の画像を作成するために入射光を変調する空間光変調器を含む。各空間光変調器は、個別に制御され得る複数の電気アドレス指定可能素子を含む。各電気アドレス指定可能素子は、マスクパターンデータ及び本明細書に記載の方法500を通じて作成された位置補正モデルによって提供される補正に基づいて、「ON」位置又は「OFF」位置にあってよい。光が空間光変調器に到達すると、「ON」位置にある電気アドレス指定可能素子は、複数の書き込みビームを投影レンズ(図示せず)に投影する。次いで、投影レンズが、書き込みビームを基板220に投影する。電気アドレス指定可能素子には、デジタルマイクロミラー、液晶ディスプレイ(LCD)、シリコン上液晶(LCoS)デバイス、シリコン上強誘電性液晶(FLCoS)デバイス、マイクロシャッタ、マイクロLED、VCSEL、液晶ディスプレイ(LCD)、又は電磁放射線の任意の固体エミッタ等を含むが、それらに限定されない。
【0020】
[0024]
図3は、処理ユニット204を用いてフォトレジストに書き込まれるマスクパターン302の概略図である。マスクパターンデータは、マスクパターン302を含む。マスクパターン302は、処理ユニット204によって投射される電磁放射線に露光されるフォトレジストの部分に対応する1又は複数の多角形304を含む。露光された部分がフォトレジストに1又は複数の異なる特徴を形成するように、任意の形状の多角形が1又は複数の多角形304として使用され得ることを理解されたい。露光されたフォトレジストの1又は複数の特徴の各々は、臨界寸法等の1又は複数の目標値を含む。また、設計ファイル420のマスクパターンデータは、露光される1又は複数の計測アライメントマーク306も含む。計測アライメントマーク306の各々は、計測装置104が、1又は複数の計測部位308等の定義された場所でレシピベースの測定を行うためにアライメントできるように、x座標及びy座標を含む。設計ファイル420のマスクパターンデータは、基板220がマスクレスリソグラフィ装置108を介して処理された後に計測装置104によって測定される1又は複数の計測部位308を含む。計測部位308の各々は、x座標及びy座標を含む。基板220がマスクレスリソグラフィ装置108を介して処理された後、パターニングされた基板220は、フォトレジストの現像等の更なる処理を受けることができる。
【0021】
[0025]
図4は、インターフェース230の概略図である。インターフェース230は、計算装置410と入力/出力(I/O)装置430とを含む。インターフェース230は、設計ファイル(例えば、設計ファイル420)の最適化、検証、及び更新のうちの少なくとも1つに利用され得る。インターフェース230は、仮想マスク装置102、計測装置104、及び評価装置106のうちの1つから提供されるユニバーサル計測ファイル(UMF)及びコントローラ110の命令及び可読データごとに、設計ファイル420の最適化、検証、及び更新のうちの少なくとも1つに利用され得る。UMFファイルあたりの設計ファイル420の最適化、検証、及び更新は、方法500の工程において更に説明する。
【0022】
[0026]計算装置410は、コントローラ412、ネットワークインターフェース414、及びメモリ416を含み得る。コントローラ412は、メモリ416に記憶されたプログラミングデータを読み出して実行し、他のシステム構成要素の動作を調整する。同様に、コントローラ412は、メモリ416に常駐するアプリケーションデータを記憶し、読み出す。コントローラ412は、1又は複数の中央処理装置(CPU)であってよい。
【0023】
[0027]メモリ416は、コントローラ412によって実行される命令及びロジックを記憶し得る。更に、メモリ416は、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び不揮発性メモリ(NVM)のうちの1又は複数であってよい。NVMは、ハードディスク、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、及びリムーバブル記憶装置等であってよい。更に、メモリ416は、設計アプリケーション418及び設計ファイル420を含み得る。
【0024】
[0028]設計アプリケーション418は、設計ファイル420の設計データを最適化、検証、及び更新するうちの少なくとも1つを行う。設計アプリケーション418は、コントローラ412によって制御され、設計ファイル420の設計データを最適化し得る、及び/又は更新し得る。
【0025】
[0029]設計ファイル420は、メモリ416内に記憶され、コントローラ412及び設計アプリケーション418によってアクセス可能であり得る。設計ファイル420は、基板220に配置されたフォトレジストをパターニングするためにコントローラ222によって解釈されるマスクパターンデータを含む。設計ファイル420は、異なるフォーマットで提供され得る。例えば、設計ファイル420のフォーマットは、GDSフォーマット、及びOASISフォーマット等のうちの一つであってよい。設計ファイル420のマスクパターンデータは、マスクパターン302と、計測アライメントマーク306と、計測部位308とを含む。設計ファイルに含まれる他のデータは、露光放射線量データ、露光フォーカスデータ、及び画像投影システム(IPS)間較正データを含む。露光放射線量データは、フォトレジストに投影される書き込みビームの放射線量に対応する。露光フォーカスデータは、各画像投影システム206のフォーカスに対応する。IPS間較正データは、マスクパターン302の全体が投影されるような画像投影システム206のスティッチに対応する。設計ファイル420は、Bitmap又は同様のファイルの形態であってよい。
【0026】
[0030]入力/出力装置430は、特に、キーボード、ディスプレイ装置、マウス、オーディオ装置、及びタッチスクリーンのうちの1又は複数を含み得る。入力/出力装置430は、インターフェース230に情報を入力するため、及び/又はインターフェース230からデータを出力するために利用され得る。例えば、ユーザは、キーボード及びポインティング装置を使用して、設計ファイル420の要素を生成及び/又は調整することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、入力/出力装置430は、通信リンク101と通信するネットワークインターフェース414を介してコントローラ110に結合される。インターフェース230がコントローラに結合されることにより、本明細書に記載の方法500の工程全体を制御するためにコンピュータを用いたコンピュータ統合製造(CIM)手順が得られる。
【0027】
[0031]
図5は、マスクレスリソグラフィの方法500のフロー図である。工程501において、仮想マスク装置102によって設計ファイル420が作成される。設計ファイル420は、少なくとも、マスクパターンデータ、マスクパターン302、1又は複数の計測アライメントマーク306、1又は複数の計測部位308、露光放射線量データ、露光フォーカスデータ、及び画像投影システム(IPS)間較正データを含む。UMFファイルは、1又は複数の要素のセクションを含む。各要素は、少なくとも仮想マスク装置102、計測装置104、評価装置106、マスクレスリソグラフィ装置108、及びコントローラ110によって読み取り及び書き込みが可能である。UMFファイルのフォーマットは、ユーザ及び機械による読み取りが可能であり、要素のセクションを保持及び記憶するように動作可能なテキストベースのマークアップ言語を含む。
【0028】
[0032]UMFファイルのセクションは、識別セクション、計測命令セクション、アプリケーション命令セクション、アライメントマークセクション、画像保存セクション、及び計測測定セクションを含むが、これらに限定されない。各セクションの要素は、リソグラフィ環境装置及びコントローラ110によって識別可能である。識別セクションの要素は、処理される基板220に対応する基板識別子、CIM手順に対応するCIM識別子、現像されるフォトレジストの層に対応する層識別子を含むが、これらに限定されない。
【0029】
[0033]計測命令セクションは、指定されたメトリック(例えば、露光されたフォトレジストの1又は複数の特徴の臨界寸法等の1又は複数の目標値)を決定するために、どの計測プロセスが計測装置104によって用いられるかを定義する。計測セクションの要素は、ボックスインボックス計測プロセス、臨界寸法(CD)計測プロセス、レジスト側壁角計測プロセス、エッジトゥエッジ計測プロセス、スカラップ計測プロセス、ビア計測プロセス、及び画像計測プロセスを含むが、これらに限定されない。
【0030】
[0034]ボックスインボックス計測プロセスは、露光されたフォトレジストの特徴の位置誤差を特定する。CD計測プロセスは、露光されたフォトレジストの特徴線又は間隔のサイズを特定する。レジスト側壁角計測プロセスは、現像後のフォトレジストの側壁角を特定する。エッジトゥエッジ計測プロセスは、露光されたフォトレジストの隣接するパターンの2つのエッジ間の距離を特定する。スカラップ計測プロセスは、パターンエッジのバラツキを特定する。ビア計測プロセスは、特徴の水平又は垂直方向の臨界寸法、又は特徴の半径と楕円率によって定義されるビアパターンの寸法を特定する。画像計測プロセスは、画像のグレーレベル、画像のコントラスト等の複数の画像メトリックを特定する。各要素は、計測装置104によって実行される計測プロセスに対応する計測レシピを有する。
【0031】
[0035]アプリケーション命令セクションは、どのアプリケーションが計測装置104及び評価装置106のうちの1つによって用いられるかを定義する。アプリケーション命令セクションの要素には、トータルピッチアプリケーション、オーバーレイアプリケーション、マスクレスリソグラフィ装置マッチングアプリケーション、IPS回転アプリケーション、ピクセルピッチアプリケーション、多重度アプリケーション、線量計算アプリケーション、フォーカス計算アプリケーション、上部及び底部CDアプリケーション、CD均一性アプリケーション、公差アプリケーション、及びムラ解析アプリケーション等を含むが、これらに限定されない。
【0032】
[0036]トータルピッチアプリケーションは、基板220の全体的なスケーリング及び直交性誤差を調整する。オーバーレイアプリケーションは、評価装置106によって実行される1又は複数の計算、シミュレーション、又はモデリングプロセスを介して、フォトレジストの2つの層の間の印刷差を調整する。マスクレスリソグラフィ装置マッチングアプリケーションは、複数のマスクレスリソグラフィデバイス108間の印刷の背丁差異を補正する。IPS回転アプリケーションは、スキャン方向に対するIPSの回転を決定する。ピクセルピッチアプリケーションは、基板220上で観測される電気アドレス指定可能素子間のピッチ(すなわち、ピクセルピッチ)を決定する。多重度アプリケーションは、印刷された画像特性に基づいて最適なピクセル混合多重度を決定する。線量計算アプリケーションは、複数の線量条件下でのフォトレジストの露光に基づいて、最適な公称線量を決定する。フォーカス計算アプリケーションは、複数のフォーカス条件下でのフォトレジストの露光に基づいて、最適な公称フォーカスを決定する。上部及び底部CDアプリケーションは、露光されたフォトレジストの特徴の上部及び底部CDの測定値に基づいて、リソグラフィプロセスパラメータ及びマスクパターンデータを最適化する。CD均一性アプリケーションは、露光されたフォトレジストの特徴のCD均一性を向上させるために、リソグラフィプロセスパラメータ及びマスクパターンデータを最適化する。公差アプリケーションは、幾つかの線量及びフォーカス条件でのフォトレジストの露光に基づくCD等の任意の計測メトリックに基づいて公差を最適化するための公称線量及びフォーカス値を決定する。ムラ解析アプリケーションは、1又は複数の計測メトリックを用いてムラを決定し、リソグラフィプロセスパラメータ又はマスクパターンデータを最適化してムラを最小化する。ムラ(すなわち、曇り)は、基板220の不均等な露光を表現するために使用される。
【0033】
[0037]各アプリケーションは、UMFファイルに保存された計測データに基づいて、アプリケーション命令セクションの要素に補正モデル及び較正オフセットデータのうちの少なくとも1つをコンパイルする。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、UMFファイルに埋め込まれた補正モデル又は較正オフセットデータは、補正モデルファイルに保存される。UMFファイルに加えて、補正モデルファイルは、設計ファイル420の最適化、検証、及び更新、並びに基板220又は後続の基板のフォトレジストの後続層に対するリソグラフィプロセスパラメータの更新のうちの少なくとも1つのために、インターフェース230によって読み取り可能である。
【0034】
[0038]アライメントマークセクションは、計測装置104が、1又は複数の計測部位308等の定義された場所でレシピベースの測定を実行するためにアライメントできるように、x座標及びy座標をそれぞれ有する2つ以上の計測アライメントマーク306を含む。画像保存セクション命令セクションは、計測装置104によって実行される画像保存命令を含む。画像保存セクション命令セクションは、画像フォーマット要素、画像サイズ要素、及びピクセルサイズ要素を含むが、これらに限定されない。計測測定セクションは、計測装置104が計測命令セクション及びアプリケーション命令セクションごとに計測部位308で少なくとも1つの計測プロセスを実行し得るように、x座標及びy座標を有する1又は複数の計測部位308を含む。計測測定セクションは、計測命令セクション及びアプリケーション命令セクションごとに書き込み可能な要素を含む。書き込み可能な要素は、少なくとも仮想マスク装置102、計測装置104、評価装置106、マスクレスリソグラフィ装置108、及びコントローラ110によって読み取り可能である。
【0035】
[0039]工程502において、設計ファイル420が仮想マスク装置102からマスクレスリソグラフィ装置108へ送信され、UMFファイルが計測装置104へ送信される。工程503において、設計ファイル420に含まれるマスクパターンデータのマスクパターンに基板220を露光するリソグラフィプロセスが実行される。オプションとして、工程503のリソグラフィプロセスの後、基板220は、例えばフォトレジストの現像及び/又はエッチングによって更に処理され、基板220にパターンが形成され得る。工程504において、パターニングされた基板220が計測装置104へ移送される。工程505において、計測装置104がUMFファイルを読み取り、計測命令セクション及び画像保存セクションに従って1又は複数のプロセスを実行する。この1又は複数のプロセスは、UMFファイルの識別セクションに対応する計測命令セクション及び画像保存セクションに従って実行される。工程506において、計測測定値に基づいて、画像保存セクション及び計測測定セクションがUMFファイルに追加され保存される。
【0036】
[0040]工程507において、補正モデル及び較正オフセットデータのうちの少なくとも1つをUMFファイルにコンパイルするために、1又は複数のアプリケーションが実行される。1又は複数のアプリケーションは、UMFファイルのアプリケーション命令セクションに従って実行される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1又は複数のアプリケーションの各々は、計測装置104によって実行される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、UMFファイルは評価装置106へ送信され、1又は複数のアプリケーションの各々は計測装置104によって実行される。更に別の実施形態では、UMFファイルのアプリケーション命令セクションに従って、1又は複数のアプリケーションの第1の部分が計測装置104によって実行され、UMFファイルが評価装置106へ送信され、1又は複数のアプリケーションの第2の部分が評価装置106によって実行されて、補正モデル及び較正オフセットデータの少なくとも一方がUMFファイルにコンパイルされる。評価装置106は、インターフェース230が、基板220又は後続の基板のフォトレジストの後続層に対するリソグラフィプロセスパラメータを調整するように動作可能であるように、更新された露光放射線量データ、更新された露光フォーカスデータ、及び更新されたIPS間較正データ等の更新されたリソグラフィプロセス値をUMFファイルに記憶させるように動作可能である。
【0037】
[0041]工程508において、計測装置104及び評価装置106のうちの少なくとも1つから仮想マスク装置102及びマスクレスリソグラフィ装置108のうちの少なくとも1つへUMFファイルが送信される。工程509において、UMFファイル又は補正モデルファイルに保存された補正モデル及び較正オフセットデータのうちの1つに従って、仮想マスク装置102及びマスクレスリソグラフィ装置108のうちの少なくとも1つによって、設計ファイル420が更新される。
【0038】
[0042]較正オフセットデータは、更新されるマスクレスリソグラフィ装置108のパラメータを含む。これらのパラメータは、各IPSの線量、フォーカス、多重度、開口数(NA)、照明コヒーレンス、及び照明形状を含むが、これらに限定されない。補正モデルは、基板220上の各(x、y)位置における位置補正に対応するパラメータと、基板220上の(x、y)位置の関数としてのフォーカス及び線量補正とを含み得る。補正モデルのパラメータは、グローバル補正又はローカル補正を含み得る。
【0039】
[0043]グローバル補正は、(x、y)位置の関数としてのグローバルスケーリング、シフト、及び回転補正を含むが、これらに限定されない。グローバル補正は、各IPSのフォーカス及び線量調整も含み得る。ローカル補正は、(x、y)格子点ごとの補正ベクトルとして、又は多項式関数として記憶され得るローカルオフセットを含み得る。ローカル補正は、補正モデルによって提供されるマスクパターンデータ及びパラメータに基づいて、電気アドレス指定可能素子が「ON」位置又は「OFF」位置にあり得る各空間光変調器に適用され得る。電気アドレス指定可能素子の「ON」及び「OFF」状態は、局所的な線量調整を行うために露光中に調整されることもある。局所的な線量のバラツキは、基板220上の特定の場所に降着するエネルギー量を動的に調整することによって達成され得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、マスクパターンデータが各空間光変調器へ送信される前に、グローバル補正がマスクパターン302に適用される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、マスクパターンデータが各空間光変調器に送られる前に、1又は複数のグローバル又はローカルCD補正がマスクパターン302に適用される。補正値は、UMFファイルに記憶された計測測定値、及びUMFファイルに記憶された補正モデル及び較正オフセットデータを介してインターフェース230によって識別される。UMFファイルに記憶された計測測定値を用いて、アプリケーション命令セクションのアプリケーションの要素ごとに補正モデル及び較正オフセットデータが作成される。
【0040】
[0044]まとめると、リソグラフィ環境の各構成要素によって読み取り可能なファイルを用いて、マスクパターン、マスクレスリソグラフィ装置パラメータ、及びリソグラフィプロセスパラメータの1又は複数を更新するリソグラフィプロセスのシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法が提供される。本システム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法は、本明細書に記載のUMFファイルを利用する。UMFファイルは、本明細書に記載のリソグラフィ環境の仮想マスク装置、計測装置、マスクレスリソグラフィ装置、評価装置、及びコントローラの間で送信されるように読み取り可能かつ動作可能なテキストベースのマークアップ言語を有するフォーマットを有する。UMFファイルの複数のセクションは、仮想マスク装置、計測装置、マスクレスリソグラフィ装置、評価装置、及びコントローラの各々によって非一過性コンピュータ可読媒体に保持及び記憶されるように動作可能な要素を有する。連続基板にマスクパターンを正確に書き込むために、リソグラフィ環境の構成要素の各々によって読み取り可能なファイルが、テキストデータを記憶及び共有し、リソグラフィ環境の構成要素間の通信を容易にすることにより、書き込まれるパターンに対応するマスクパターンが更新され、リソグラフィ環境のマスクレスリソグラフィ装置が較正され、リソグラフィプロセスのプロセスパラメータが補正される。