(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ポンプ、ポンプ機場及びポンプ点検方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/043 20060101AFI20230928BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20230928BHJP
F04D 13/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F04D29/043 Z
F04D29/60 E
F04D29/60 D
F04D13/00 D
(21)【出願番号】P 2020027741
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】内田 義弘
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159336(JP,A)
【文献】特開2010-084747(JP,A)
【文献】特開2008-151046(JP,A)
【文献】特開平10-122186(JP,A)
【文献】特開2019-105252(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1559067(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込水槽内の液体を揚水するポンプであって、
中空の主軸と、
前記主軸に固定されるインペラと、
前記主軸と前記インペラを収容するポンプケーシングと、
前記ポンプケーシングの内部に設けられた吐出しボウルと、
を備え、
内視鏡が当該主軸の内部を通り、且つ前記インペラの周り及び/または吐出しボウルの内部を観察可能なように、前記主軸の前記吐出しボウルの内部の位置及び/または前記主軸の前記インペラの近傍の位置に少なくとも一つ以上の点検孔が設けられているポンプ。
【請求項2】
前記主軸の駆動機側の端部に当該端部を覆うように設けられたシールカバーと、
前記シールカバーの近傍に設けられ液密性を持たせるためのシール部材と、
を備え、
前記シールカバーは、前記主軸より取り外し可能である
請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
駆動機より前記主軸に回転力を伝達する軸継手と、
前記軸継手と前記主軸を連結するカップリングスペーサと、
を備え、
前記カップリングスペーサは、前記軸継手及び前記主軸から取り外し可能である
請求項1または2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記点検孔の外縁の少なくとも一部から前記主軸の内部の中心軸方向へ延在しているガイド部材を備える
請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項5】
当該ポンプが立軸ポンプであり、
前記ガイド部材は、前記点検孔の外縁の少なくとも下側から、前記主軸の内部の中心軸方向且つ斜め上方へ向かって延在している
請求項4に記載のポンプ。
【請求項6】
当該ポンプが立軸ポンプであり、
前記主軸が、前記インペラより更に下側まで延在しており、
前記主軸の下端部を覆うケース蓋を更に備え、
前記ケース蓋が取り外し可能であり、
前記ガイド部材は、前記点検孔の外縁の少なくとも上側から、前記主軸の内部の中心軸方向且つ斜め下方もしくは略水平に延在している
請求項4に記載のポンプ。
【請求項7】
前記点検孔及び前記ガイド部材は、前記ポンプケーシングの長手方向とは垂直な面において前記主軸の中心軸を基準点として点対称な位置に複数設けられている
請求項4から
6のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項8】
当該ポンプが立軸ポンプであり、
前記インペラには前記点検孔に連通する貫通孔が設けられており、
前記貫通孔に挿入されている中空の部材である第2のガイド部材を備え、
前記第2のガイド部材は、前記点検孔の外縁の少なくとも下側から、前記主軸の内部の中心軸方向且つ斜め上方へ向かって延在している
請求項4または5に記載のポンプ。
【請求項9】
前記主軸の軸継手側の端部であって当該主軸の内周方向における前記点検孔の位置に、印、溝もしくは突起物が設けられている
請求項1から8のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のポンプを備えるポンプ機場。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載のポンプの主軸の内部に内視鏡のカメラヘッドを通し、内視鏡のカメラヘッドを前記点検孔に挿入する工程と、
前記内視鏡によって、インペラの周りまたは吐出しボウル内部を撮像する工程と、
前記撮像することによって得られた映像を確認する工程と、
を有するポンプ点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ、ポンプ機場及びポンプ点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立軸ポンプは、ポンプの内部点検が可能なように吐出しエルボに点検口が設けられている。点検口は、点検口を使用することにより、ポンプ内部の劣化、摩耗、損傷や異物の絡みつきなどを、ポンプ本体を引き上げずに確認ができるため、維持管理における予防保全の考えにおいて、ポンプ本体を引き上げて点検する時間計画保全から状態監視保全に移行して実施するためには必要な部分である。以前より点検口から直接目視確認することや、近年、内視鏡を点検口から入れて内部を点検することが実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-74530号公報
【文献】登実第3184553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐出しエルボの点検口からの目視確認では、距離が離れている部分の確認ができないことや吐出しボウル内部、水中部の確認ができない。点検口から内視鏡を入れて確認する方法は、距離が離れている部分を鮮明に映すことができ有効であるが、吐出しボウルの内部(特に水中軸受)の確認を行うことは従来のポンプ構造では物理的にできないというも問題がある。
【0005】
この問題に対して特許文献1では、圧縮空気を供給し、圧力低下値、圧力低下時間を測定することにより水中軸受隙間及び異常の有無を判定する技術が開示されている。監視することは可能だと思われるが、コンプレッサ、圧力タンク、センサ、弁類など系統設備が必要となる。また、ポンプ外部より内部へ向かい、ポンプ内部流路に導管を設置する必要があり、流れの剥離による渦や圧力変動により異常振動やポンプ効率を招く恐れがある。
【0006】
特許文献2では、水中軸受用スリーブの変位を変位センサで計測して軸受摩耗量を見る技術が開示されている。特許文献1と同様にセンサが必要であり、更に導管が必要である。
【0007】
いずれの場合においても、センサや監視装置が必要であり、複雑な構成となることや高コストとなる。また、センサや監視装置の寿命(電気品であるため10年程度)が早く、維持管理面においても多大なコストが必要となる。
【0008】
また、内視鏡により水中部を映すことも可能であるが、ポンプ設置床面からポンプ内部の流路を通し内視鏡を入れるため、3次元形成されるポンプのガイドベーン(固定翼)を通る際にガイドベーンに内視鏡のケーブルが引っかかったり、カメラヘッドがガイドベーンにぶつかったりして内視鏡を見たいポイントに確実に導けない。このため、インペラとポンプケーシングとの摺動領域を観察することが難しいという問題もある。
【0009】
この問題に対して、水中カメラや水中ロボットによる監視を行う技術がある。インペラ回りを撮影することに問題は無いが、同じ位置を定期的に確認することは困難である。また水中カメラや水中ロボットの操作は熟練者が実施しないと容易に撮影することは困難である。更にこの手法では吐出しボウル内部を撮影できない。
【0010】
また従来技術として、ポンプ外部に導管を設置し、外部から内部への貫通孔を設け、内視鏡を入れて確認する技術がある。この技術では、ポンプ外部に導管を設置する必要がある。導管設置位置1カ所しか見ることができない。複数の箇所を見るためには導管がその分必要となるが、導管を増やすことにより施工がしづらくなることと、ゴミの絡みつきが懸念される。水中軸受を撮影するために、ガイドベーンに導管を設置する必要があるが、これによりポンプの水の流れを阻害し、導管設置部からの流れの剥離による渦発生や圧力バランスの乱れが生じ、異常振動やポンプ効率の低下を招く恐れがある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成で吐出しボウル内部及び/またはインペラの周りを点検可能で且つ維持管理も容易化することを可能とするポンプ、ポンプ機場及びポンプ点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様に係るポンプは、吸込水槽内の液体を揚水するポンプであって、
中空の主軸と、前記主軸に固定されるインペラと、前記主軸と前記インペラを収容するポンプケーシングと、前記ポンプケーシングの内部に設けられた吐出しボウルと、を備え、内視鏡が当該主軸の内部を通り、且つ前記インペラの周り及び/または吐出しボウルの内部を観察可能なように、前記主軸の前記吐出しボウルの内部の位置及び/または前記主軸の前記インペラの近傍の位置に少なくとも一つ以上の点検孔が設けられている。
【0013】
この構成によれば、主軸の内部から内視鏡を挿入して主軸に設けられた点検孔に内視鏡を挿入することで、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を観察することができる。よって、より簡単な構成で吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を点検可能で且つ維持管理も容易化することができる。
【0014】
本発明の第2の態様に係るポンプは、第1の態様に係るポンプであって、前記主軸の駆動機側の端部に当該端部を覆うように設けられたシールカバーと、前記シールカバーの近傍に設けられ液密性を持たせるためのシール部材と、を備え、前記シールカバーは、前記主軸より取り外し可能である。
【0015】
この構成によれば、ポンプ停止時に点検する際には、シールカバーを外して内視鏡のカメラヘッドとケーブルが挿入され、内視鏡用モニタにはカメラヘッドが撮影した映像が表示される。よって、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周りを点検可能である。一方、シールカバーとともに後述するシール部材を設けることにより、ポンプ運転中に主軸の内部を通り揚水されてしまう水を止水することができ、ポンプ室内への浸水を避けることができる。
【0016】
本発明の第3の態様に係るポンプは、第1または2の態様に係るポンプであって、駆動機より前記主軸に回転力を伝達する軸継手と、前記軸継手と前記主軸を連結するカップリングスペーサと、を備え、前記カップリングスペーサは、前記軸継手及び前記主軸から取り外し可能である。
【0017】
この構成によれば、ポンプの点検時に、軸継手を取り外さなくてもカップリングスペーサを外すことにより内視鏡を主軸の内部に挿入することができるので、ポンプ点検時の手間を削減することができる。
【0018】
本発明の第4の態様に係るポンプは、第1から3のいずれかの態様に係るポンプであって、前記点検孔の外縁の少なくとも一部から前記主軸の内部の中心軸方向へ延在しているガイド部材を備える。
【0019】
この構成によれば、内視鏡のカメラヘッドを点検孔に導くことができる。
【0020】
本発明の第5の態様に係るポンプは、第4の態様に係るポンプであって、当該ポンプが立軸ポンプであり、前記ガイド部材は、前記点検孔の外縁の少なくとも下側から、前記主軸の内部の中心軸方向且つ斜め上方へ向かって延在している。
【0021】
この構成によれば、ガイド部材は、内視鏡のカメラヘッドを上から降ろした場合に、カメラヘッドをガイド部材で受けて、点検孔に導くことができる。
【0022】
本発明の第6の態様に係るポンプは、第4または5の態様に係るポンプであって、当該ポンプが立軸ポンプであり、前記インペラには前記点検孔に連通する貫通孔が設けられており、前記貫通孔に挿入されている中空の部材である第2のガイド部材を備え、前記第2のガイド部材は、前記点検孔の外縁の少なくとも下側から、前記主軸の内部の中心軸方向且つ斜め上方へ向かって延在している。
【0023】
この構成によれば、第2のガイド部材は、内視鏡のカメラヘッドを上から降ろした場合に、カメラヘッドを第2のガイド部材で受けて、点検孔に導くことができる。
【0024】
本発明の第7の態様に係るポンプは、第4の態様に係るポンプであって、当該ポンプが立軸ポンプであり、前記主軸が、前記インペラより更に下側まで延在しており、前記主軸の下端部を覆うケース蓋を更に備え、前記ケース蓋が取り外し可能であり、前記ガイド部材 は、前記点検孔の外縁の少なくとも上側から、前記主軸の内部の中心軸方向且つ斜め下方もしくは略水平に延在している。
【0025】
この構成によれば、最下部から内視鏡を主軸の内部に通して、内視鏡のカメラヘッドを下から上げた場合に当該カメラヘッドを点検孔に導くことができる。
【0026】
本発明の第8の態様に係るポンプは、第4から7のいずれかの態様に係るポンプであって、前記点検孔及び前記ガイド部材は、前記ポンプケーシングの長手方向とは垂直な面において前記主軸の中心軸を基準点として点対称な位置に複数設けられている。
【0027】
この構成によれば、点対称な位置に設けられていることにより、主軸のバランスをとることができ、水中軸受の内周面一体に均等に力がかかるようにすることができ、水中軸受の消耗を予防することができる。
【0028】
本発明の第9の態様に係るポンプは、第1から8のいずれかの態様に係るポンプであって、前記主軸の軸継手側の端部であって当該主軸の内周方向における前記点検孔の位置に、印、溝もしくは突起物が設けられている。
【0029】
この構成によれば、点検員は、この印、溝もしくは突起物を確認することにより、主軸の内周方向における点検孔の位置を把握することができるので、この位置に沿って、内視鏡のカメラヘッドを下ろすことによって、点検孔にカメラヘッドを容易に導くことができる。
【0030】
本発明の第10の態様に係るポンプ機場は、第1から9のいずれかの態様に係るポンプを備える。
【0031】
この構成によれば、主軸の内部から内視鏡を挿入して主軸に設けられた点検孔に内視鏡を挿入することで、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を観察することができる。よって、より簡単な構成で吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を点検可能で且つ維持管理も容易化することができる。
【0032】
本発明の第11の態様に係るポンプ点検方法は、第1から9のいずれかの態様に係るポンプの主軸の内部に内視鏡のカメラヘッドを通し、内視鏡のカメラヘッドを前記点検孔に挿入する工程と、前記内視鏡によって、インペラの周りまたは吐出しボウル内部を撮像する工程と、前記撮像することによって得られた映像を確認する工程と、を有する。
【0033】
この構成によれば、撮像により得られた映像を点検員が確認することにより、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を点検することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一態様によれば、主軸の内部から内視鏡を挿入して主軸に設けられた点検孔に内視鏡を挿入することで、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を観察することができる。よって、より簡単な構成で吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を点検可能で且つ維持管理も容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1の実施形態に係るポンプの概略断面図である。
【
図2】第1の実施形態において、ポンプ点検時に内視鏡を挿入する様子を示す概略断面図である。
【
図3】第1の実施形態において、ポンプ点検時に内視鏡を点検孔に挿入している様子を示す概略断面図である。
【
図4A】ガイド部材に内視鏡のカメラヘッドが到達した場合に、上からみた模式図である。
【
図4B】内視鏡のカメラヘッドを点検孔に挿入した場合の断面図である。
【
図5A】第1の実施形態に係るカップリングスペーサとシールカバーの模式図である。
【
図6A】第1の変形例に係るシールカバーの断面図である。
【
図6B】第2の変形例に係るシールカバーの断面図である。
【
図6C】第3の変形例に係るシールカバーの断面図である。
【
図7】第2の実施形態に係るポンプの概略断面図である。
【
図8】第2の実施形態において、ポンプ点検時に内視鏡を挿入する様子を示す概略断面図である。
【
図9】第3の実施形態に係るポンプの概略断面図である。
【
図10】第3の実施形態において、ポンプ点検時に内視鏡を挿入する様子を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0037】
各実施形態では、ポンプ機場に設けられるポンプを想定し、ポンプの一例として立軸ポンプについて説明する。各実施形態に係るポンプは、吸込水槽内の液体を揚水するものである。各実施形態では、原動機(例えば電動機、ディーゼル機関、ガスタービンエンジンなど)と減速機の組み合わせ、又は原動機のみをまとめて駆動機と呼ぶものとして説明する。
【0038】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るポンプの概略断面図である。
図2は、ポンプ点検時に内視鏡を挿入する様子を示す概略断面図である。
図3は、ポンプ点検時に内視鏡を点検孔に挿入している様子を示す概略断面図である。
【0039】
図1に示すように、ポンプ1は、中空の主軸15と、駆動機(図示せず)より主軸15に回転力を伝達する軸継手11と、軸継手11と主軸15を連結するカップリングスペーサ12と、主軸15の駆動機側の端部の外周に沿って設けられた主軸カップリング13と、主軸15の駆動機側の端部に設けられ水をシールするシールカバー14とを備える。
【0040】
軸継手11は、例えばフォームフレックスカップリングであり、上下両端に薄板を積層したフレキブルエレメント挟む構造であり、据付誤差の吸収や偏角、偏心、軸方向変位の吸収に用いられる。カップリングスペーサ12は、フレキブルエレメントを利用し、取り外すものとする。カップリングスペーサ12は人の手で持てる重さの場合、複数人で持ち運び、それ以外の場合、駆動機側の架台等にチェーブロックなどをひっかけ吊ることにより移動させる。
【0041】
なお、カップリングスペーサ12を例えばフォームフレックスカップリングのように、上下端面にフレキブルエレメントを取り付けてもよい。一床式電動機直結の場合でフォームフレックスカップリングを必要としない構成の場合、この方法を用いる。
【0042】
またカップリングスペーサ12は、軸継手11及び主軸15から取り外し可能である。これにより、ポンプの点検時に、軸継手11を取り外さなくてもカップリングスペーサ12を外すことにより内視鏡を主軸15の内部に挿入することができるので、ポンプ点検時の手間を削減することができる。またカップリングスペーサ12は、駆動力を伝達可能な強度を有し、内視鏡を入れやすいように任意の離隔距離を保持する高さを有する。また、カップリングスペーサ12は、持ち運びが容易なように略円筒形状である。
【0043】
ここでは一例としてシールカバー14は主軸15の駆動機側の端部に当該端部を覆うように設けられている。このシールカバー14は、主軸15より取り外し可能である。シールカバー14は例えば略円板形状である。
【0044】
これにより、ポンプ停止時に点検する際には、シールカバー14を外して
図2のように内視鏡のカメラヘッド31とケーブル32が挿入され、内視鏡用モニタ33にはカメラヘッド31が撮影した映像が表示される。よって、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周りを点検可能である。一方、シールカバー14とともに後述するシール部材23を設けることにより、ポンプ運転中に主軸15の内部を通り揚水されてしまう水を止水することができ、ポンプ室内への浸水を避けることができる。
【0045】
ここで内視鏡用モニタ33は、プロセッサとディスプレイを有し、ケーブル32を介してカメラヘッド31と接続されて映像信号をカメラヘッド31から受信することにより、リアルタイムで映像をディスプレイに出力することができる。これにより、点検員は、リアルタイムでポンプ内部を観察することができる。また、内視鏡用モニタ33は、メモリを有し、映像データを記録することができ、過去の映像データと比較することができる。
【0046】
図1に示すように、ポンプ1は更に、主軸15に固定されるインペラ16と、主軸15とインペラ16を収容するポンプケーシング17と、ポンプケーシング17の内部に設けられた吐出しボウル18と、吐出しボウル18の内部に設けられ且つ主軸15を周方向に支持する水中軸受19と、を備える。ポンプケーシング17は、据付用ベース41を介してポンプ据付床42に固定されている。
【0047】
内視鏡のカメラヘッド31が当該主軸15の内部を通り且つ吐出しボウル18の内部を観察可能なように、主軸15の吐出しボウル18の内部(具体的には例えば水中軸受19の近傍)の位置に点検孔H1が設けられている。点検孔H1は、主軸15を貫通する孔であり、内視鏡のカメラヘッド31が通る大きさである。
これにより、
図3に示すように、内視鏡が点検孔H1を介して、吐出しボウル18の内部(具体的には例えば水中軸受19)を撮像して、内視鏡用モニタ33にその映像を表示することができるので、吐出しボウル18の内部(具体的には例えば水中軸受19)を観察することができる。
【0048】
ここで点検孔H1、H2の主軸の内周方向における位置が分かるように、主軸15の軸継手11側の端部であって、主軸の内周方向における点検孔H1、H2の位置に、印(マーキング)、溝もしくは突起物が設けられていてもよい。この印(マーキング)、溝もしくは突起物は、主軸の端面に設けられていてもよいし、主軸の軸継手11側の端部の内周に設けられていてもよい。これにより、点検員は、この印(マーキング)、溝もしくは突起物を確認することにより、主軸の内周方向における点検孔H1、H2の位置を把握することができるので、この位置に沿って、内視鏡のカメラヘッド31を下ろすことによって、ガイド部材に21、22及び点検孔H1、H2にカメラヘッド31を導くことができる。
【0049】
図4Aは、ガイド部材に内視鏡のカメラヘッドが到達した場合に、上からみた模式図である。
図4Bは、内視鏡のカメラヘッドが点検孔に挿入した場合の断面図である。ここで点検孔H1の外縁の少なくとも一部から主軸15の内部の中心軸CA方向へ延在しているガイド部材21を備える。これにより、内視鏡のカメラヘッドを点検孔H1に導くことができる。
【0050】
ここでは
図4Aに示すように、ガイド部材21は、上から見た場合に円弧状であり、主軸15の内部の中心軸CA方向へ向かって、主軸15の長手方向に対して予め設定された角度θで延在している。角度θは例えば15度~90度の範囲である。より好ましくは、角度は、
図4Bに示すように、主軸15の長軸に対して垂直でない方がよく、ガイド部材21は、点検孔H1の外縁の少なくとも下側から、主軸15の内部の中心軸CA方向且つ斜め上方へ向かって延在していることが好ましい。
【0051】
これにより、
図4Bに示すように、ガイド部材21は、内視鏡のカメラヘッド31を上から降ろした場合に、カメラヘッド31をガイド部材21で受けて、点検孔H1に導くことができる。点検孔H1は主軸15に予め設定された(任意の)角度を持って穴あけされることによって形成されている。内視鏡のカメラヘッド31の導入を補助するためのガイド部材21は一例として、導管(パイプ)であり、導管の主軸の内部側の端面は略直角に切り欠きを入れ、主軸15の外部側は、主軸外周に沿って真っすぐ加工されている。この導管を主軸15に穴あけされた点検孔H1に挿入し、導管は主軸に溶接又はネジ等で固定される。内視鏡のカメラヘッドは、導管によりスライドし、対象物の位置まで誘導される。導管の長さはカメラヘッドの形状や大きさにより決定されてもよい。
【0052】
これにより、従来、ポンプを据え付けた状態で観察することが不可能であった、ポンプ吐出しボウル18の内部(特に例えば水中軸受)を観察及び/または点検することができる。
【0053】
また、内視鏡がインペラ16の周り(特に例えば
図1のインペラ16とポンプケーシング17との摺動領域R0)を観察可能なように、主軸15のインペラ16の近傍の位置に点検孔H2が設けられている。ここでは点検孔H2は例えば、主軸15とインペラ16を貫通する孔である。
【0054】
これにより、水中のインペラ16の回りに内視鏡を入れることが困難であったが、内視鏡が点検孔H2を介して挿入することによって容易に内視鏡を入れることができ、インペラ16の周り(例えば
図1のインペラ16とポンプケーシング17との摺動領域R0)を撮像して、内視鏡用モニタ33にその映像を表示することができるので、インペラ16の周り(例えばインペラ16とポンプケーシング17との摺動領域R0)を観察することができる。
【0055】
図3において、インペラ16には点検孔H2に連通する貫通孔が設けられており、この貫通孔に挿入されている中空の第2のガイド部材22が設けられている。当該第2のガイド部材22は、点検孔H2の外縁の少なくとも下側から、主軸52の内部の中心軸CA方向に延在している。第2のガイド部材22は、上から見た場合に円弧状であり、主軸15の内部の中心軸CA方向へ向かって、主軸15の長手方向に対して予め設定された角度で延在している。この角度は例えば15度~90度の範囲である。より好ましくは、この角度は、
図3に示すように、主軸15の長軸に対して垂直でない方がよく、ガイド部材21は、点検孔H2の外縁の少なくとも下側から、主軸15の内部の中心軸CA方向且つ斜め上方へ向かって延在していることが好ましい。
【0056】
これにより、第2のガイド部材22は、内視鏡のカメラヘッド31を上から降ろした場合に、カメラヘッド31を第2のガイド部材22で受けて、点検孔H2に導くことができる。
【0057】
また、内視鏡を主軸15の内部に挿入することができるため、主軸15をポンプケーシング17に対して手回し回転させることにより、吐出しボウル18の内部(特に例えば水中軸受)及び/又はインペラ16の回り(特に例えばインペラ16とポンプケーシング17との摺動領域)を、全周に渡って観察及び/又は点検することができる。
【0058】
点検孔H1、H2の位置が固定されているため、定期点検において、同じ視点で観察、点検、記録することができ、前回との比較をすることにより傾向管理が可能となり、状態監視保全の一環として対応することができるようになる。
カップリングスペーサ12を円筒状にすることにより軽量化が図れ、容易に取り外しができる。任意の離隔距離をとることにより、ホースなどをいれ、注水することにより吐出しボウル18の内部やインペラ16の回りの清掃も可能である。
【0059】
主軸15のカップリングスペーサ12との接合面または側面に、周方向における点検孔H1、H2の位置が分かるように、周方向における点検孔H1、H2の位置に例えばマークが付けられている。これにより、マークが付けられた位置から内視鏡を下ろしてくことにより内視鏡の導入をスムーズにすることができる。
【0060】
また従来の吐出しエルボの点検口から内視鏡を入れて観察する手法や、ポンプ外部より内視鏡を入れて観察する手法と合わせて実施することにより、ポンプを据え付けた状態でポンプ全部を観察・点検することが可能となる。
【0061】
図5Aは、第1の実施形態に係るカップリングスペーサとシールカバーの模式図である。
図5Aに真ん中の断面図に示すように、カップリングスペーサ12は、中空の円筒状の形状を有する。
図5Aに上側の平面図に示すように、カップリングスペーサ12は、円筒部材に上側と下側にフランジを形成したものである。カップリングスペーサ12は、上面側のフランジ及び下面側のフランジに複数の貫通孔121を有する。これにより、カップリングスペーサ12を、上面側の複数の貫通孔121を介してボルトで軸継手に締結されるとともに、下面側の複数の貫通孔121を介してボルトで主軸カップリング13に締結される。
【0062】
図5Aの下側の断面図に示すように、一例として主軸15の上に主軸15の端部を覆うように、シールカバー14が設けられており、シールカバー14の上面と、主軸カップリング13の上面の位置が一致するように構成されている。
図5Bは
図5Aの領域R1の拡大断面図である。
図5Bに示すように、シールカバー14の下面側には、主軸15の端部に相対する位置に溝が円周状に全周に渡って形成されており、この溝に、円環状のシール部材23が嵌め込まれている。ここでは、シール部材23は一例としてOリングである。溝の深さよりも、シール部材23の縦断面の直径が長い。カップリングスペーサ12と主軸カップリング13をボルトで締結する際にシールカバー14が押さえつけられことによりシールカバー14が固定され、シールカバー14を挟んでカップリングスペーサ12によって上から押されてシール部材23が弾性により縮むことにより、水をシールすることができる。
【0063】
シールカバー14の固定方法は、主軸15の肉厚が充分に厚い場合、ネジなどで直接中空軸に固定しても良い。
【0064】
なお、シールカバー14とシール部材23は、この構成に限ったものではない。以下の変形例に係る構成について説明する。
次に説明する第1の変形例のように、シールの方法は、主軸15の肉厚が充分にとれなく、シール面積が不十分な場合、主軸カップリング13の上面に、シール部材としてシート状のガスケットを挟むことにより止水してもよい。
また次に説明する第2の変形例のように、シールの方法は、主軸の肉厚が充分にとれなく、シールカバーを設置するための段差を設けることができない場合、主軸カップリング13の上面の上にシールカバーを乗せ、シールカバーの主軸側の表面に溝を成形しOリングをはめ込む形としてもよい。
また次に説明する第3の変形例のように、シールの方法は、第2の変形例のOリングの替わりに、シールカップリングと主軸カップルリングの間にシード状のガスケットを挟む方法としてもよい。
【0065】
図6Aは、第1の変形例に係るシールカバーの断面図である。
図6Aに示すように、第1の変形例に係るシールカバー14cは、上述したシールカバー14と違ってシール部材23を挿入するための溝が形成されていない。第1の変形例に係るシールカバー14cの上面の位置が、主軸カップリング13の上面の位置と一致している。円環状のシール部材23c(ここでは一例としてシート状のガスケット)が、主軸カップリング13の上面の上に設けられている。これにより、カップリングスペーサ12が主軸カップリング13に固定されると、シール部材23cはカップリングスペーサ12によって上から押されてシール部材23cが弾性により縮むことにより、水をシールすることができる。
【0066】
図6Bは、第2の変形例に係るシールカバーの断面図である。
図6Bに示すように、主軸カップリング13の上面の位置が、主軸15の軸継手側の端面の位置と一致している。
第1の変形例に係るシールカバー14bは、主軸15の軸継手側の端面と主軸カップリング13の上面の一部の上に設けられている。またシールカバー14bの溝が主軸カップリング13の上面に相対するように形成されており、円環状のシール部材23b(ここでは一例としてOリング)が、この溝に挿入され、主軸カップリング13の上面に接するように設けられている。溝の深さよりも、シール部材23bの縦断面の直径が長い。これにより、カップリングスペーサ12が主軸カップリング13に固定されると、カップリングスペーサ12によって上から押されてシール部材23bが弾性により縮むことにより、水をシールすることができる。
【0067】
図6Cは、第3の変形例に係るシールカバーの断面図である。
図6Cに示すように、第3の変形例に係るシールカバー14dは、上述したシールカバー14、14bと違ってシール部材23を挿入するための溝が形成されていない。円環状のシール部材23c(ここでは一例としてOリング)が、主軸カップリング13の上面の上に設けられ、その上にシールカバー14dが設けられている。これにより、カップリングスペーサ12が主軸カップリング13に固定されると、シールカバー14dがカップリングスペーサ12によって上から押されてシール部材23cが弾性により縮むことにより、水をシールすることができる。
【0068】
このように、シール部材23、23cは、液密性を持たせるためのシール材(ガスケットともいう)である。ここでは一例としてシール部材23、23cは弾性を有し、シールカバー14の近傍に設けられ、カップリングスペーサ12によって押されて弾性により縮むことにより水をシールする。
【0069】
なお、本実施形態では、主軸15に点検孔H1と点検孔H2の両方が設けられているが、これに限らず、いずれか片方であってもよいし、更に点検孔が設けられていてもよい。
【0070】
また点検孔H1は、ポンプケーシングの長手方向とは垂直な面(ここでは一例として水平面)において一つ設けられていると説明したが、これに限らず、複数、設けられていてもよい。その際、複数の点検孔が、ポンプケーシングの長手方向とは垂直な面(ここでは一例として水平面)において、主軸15の中心軸を基準とする点対称の位置に設けられていてもよい。この場合、ガイド部材は、ポンプケーシング17の長手方向とは垂直な面において主軸15の中心軸を基準点として点対称な位置に複数設けられていてもよい。この構成により、点対称な位置に設けられていることにより、主軸15のバランスをとることができ、水中軸受19の内周面一体に均等に力がかかるようにすることができ、水中軸受19の消耗を予防することができる。
【0071】
同様にして、点検孔H2は、ポンプケーシングの長手方向とは垂直な面(ここでは一例として水平面)において一つ設けられていると説明したが、これに限らず、複数、設けられていてもよい。その際、複数の点検孔が、ポンプケーシングの長手方向とは垂直な面(ここでは一例として水平面)において、主軸15の中心軸を基準とする点対称の位置に設けられていてもよい。この場合、ガイド部材は、ポンプケーシング17の長手方向とは垂直な面において主軸15の中心軸を基準点として点対称な位置に複数設けられていてもよい。
【0072】
以上をまとめると、第1の実施形態に係るポンプ1は、内視鏡が当該主軸15の内部を通り、且つインペラ16の周り及び/または吐出しボウル18内部を観察可能なように、主軸15の吐出しボウル18の内部の位置及び/またはインペラ16の近傍の位置に少なくとも一つ以上の点検孔が設けられている。
【0073】
この構成によれば、主軸の内部から内視鏡を挿入して主軸に設けられた点検孔に内視鏡を挿入することで、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を観察することができる。よって、より簡単な構成で吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を点検可能で且つ維持管理も容易化することができる。
【0074】
また、第1の実施形態に係るポンプ点検方法は、第1の実施形態に係るポンプ1の主軸の内部に内視鏡のカメラヘッドを通し、内視鏡のカメラヘッドを点検孔H1またはH2に挿入する工程と、当該内視鏡によって、インペラ16の周り(インペラとポンプケーシングとの摺動領域)または吐出しボウル内部を撮像する工程と、前記撮像することによって得られた映像を確認する工程と、を有する。
【0075】
これにより、撮像により得られた映像を点検員が確認することにより、吐出しボウル内部(特に水中軸受)及び/またはインペラの周り(特にインペラとポンプケーシングとの摺動領域)を点検することができる。
【0076】
なお、ガイド部材21、22は導管が挿入されたものであるとして説明したが、導管は主軸15と一体成型されたものでもよいし、導管は管ではなく、円弧形状部材でもよい。導管の材質は鋼製を基本とするが、樹脂やゴムなどでもよい。
【0077】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について説明する。吸込水位から吸込みベルマウス下端までの距離が近く、空気吸込み渦が懸念され、吸込みベルマウス長さを伸ばす場合や、先行待機ポンプのように吸込み水位を下げて運転する場合や、先行待機ポンプ等のように回転体による振動が懸念される場合、主軸を伸ばし、最下部軸受(下部軸受)を設置することがある。第2の実施形態では、そのような場合において、下部軸受から吐出しボウル内部の水中軸受を内視鏡を用いて観察、点検ができる構造とする。
【0078】
下部軸受の点検は、吸込水槽内の水をほぼ排水できる場合、吸込水槽内に人が入り、ケース蓋を外し、観察、点検することが一番早く、作業性が良い。第2の実施形態では、下部軸受の観察、点検に合わせ、吐出しボウル内部の観察、点検もできる構造とする。
【0079】
図7は、第2の実施形態に係るポンプの概略断面図である。
図8は、第2の実施形態において、ポンプ点検時に内視鏡を挿入する様子を示す概略断面図である。
図7に示すように、第2の実施形態に係るポンプ1bは、立軸ポンプであり、第1の実施形態に係るポンプ1とは以下の点が異なっている。第2の実施形態に係るポンプ1bは、主軸15bが、主軸15bを支持する最下部軸受24と、主軸15bの端部に固定されているシールカバー25と、インペラ16より更に下側まで延在しており、主軸15bの下端部を覆うケース蓋26と、を更に備える。ケース蓋26が取り外し可能である。ガイド部材21bは、点検孔H3の外縁の少なくとも上側から、主軸15bの内部の中心軸方向且つ略水平に延在している。
【0080】
<点検方法>
吸込水槽内の残水を小型水中ポンプなどで空にし、点検員が吸込水槽内に入れるように換気を充分にした後、点検員が吸込水槽内に入り、立軸ポンプの吸込みベルマウス近辺まで移動する。ベルマウス内部に下からもぐりこみ、下部軸受ケースにボルトで固定されいるケース蓋26を取り外す。そして、主軸15の下端にネジなど固定されているシールカバー25を取り外す。
【0081】
シールカバー25の構成は、第1の実施形態と同様である。シールカバー25は設置しても、設置しなくてもよい。設置することにより点検孔からの逆流水が吸込み側に勢い良く逆流し、吸込み側の流れに悪影響を及ばさないようにすることができる。ポンプ圧力が比較的低く、逆流水による影響が少ない場合、設置しなくても良い。
【0082】
ケース蓋26を外すことにより、下部軸受24は目視可能となるため、観察、点検、カメラなどにより記録が可能となる。
図8に示すように、主軸15の下部末端の開口より、内視鏡のカメラヘッドを通し、内視鏡のカメラヘッド31を上方へ移動させる。内視鏡のケーブル32は、上に向かい伸ばしていくため、比較的硬いケーブルや蛇腹状の金属製又は樹脂製に覆われたカバーが用いられた方が良い。カメラヘッド31にマグネットローラを付属し、主軸15の内部を沿わすように上に上げても良い。
図8に示すように、点検孔H3の上側に設けられたガイド部材21bで内視鏡が折り返して貫通孔H3を通すことによって、水中軸受19の方にカメラヘッド31が誘導されやすいようになっている。
【0083】
この構成により、最下部から内視鏡を主軸15bの内部に通して、内視鏡のカメラヘッドを下から上げた場合に当該カメラヘッドを点検孔H3に導くことができる。これにより、水中軸受19を観察することができる。
【0084】
<第3の実施形態>
続いて第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、主軸15の下端部から内部を沿わして、主軸15に設けられ且つ水中軸受19の下側に位置する貫通孔を通すことによって、水中軸受19を下側から観察する。
【0085】
図9は、第3の実施形態に係るポンプの概略断面図である。
図10は、第3の実施形態において、ポンプ点検時に内視鏡を挿入する様子を示す概略断面図である。
図9に示すように、主軸15に設けられた貫通孔H4が水中軸受19の下側に位置する。貫通孔H4に対して、ガイド部材21cが、点検孔H4の外縁の少なくとも上側から、主軸15の内部の中心軸方向且つ斜め下方に延在している。
これにより、
図10に示すように、最下部から内視鏡を主軸15bの内部に通して、内視鏡のカメラヘッドを下から上げた場合に当該カメラヘッドを点検孔H4に導くことができる。これにより、水中軸受19を観察することができる。
【0086】
なお、各実施形態において、立軸ポンプについて説明したが、横軸ポンプであってもよい。
【0087】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1、1b、1c ポンプ
11 軸継手
12 カップリングスペーサ
121 貫通孔
13 主軸カップリング
14、14a、14c、14d シールカバー
15、15b 主軸
16 インペラ
17 ポンプケーシング
18 吐出しボウル
19 水中軸受
21、21b、21c ガイド部材
22 第2のガイド部材
23、23b、23c シール部材
24 下部軸受
25 シールカバー
26 ケース蓋
31 カメラヘッド
32 ケーブル
33 内視鏡用モニタ
41 据付用ベース
42 ポンプ据付床