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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230929BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20230929BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H01L21/304 631
H01L21/304 601Z
B24B1/00 A
B24B7/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020027491
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021132164
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 祐介
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-157750(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056124(WO,A1)
【文献】特開2007-208145(JP,A)
【文献】特開2010-199336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 1/00
B24B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する複数の分割予定ラインによって区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に有するウェーハの加工方法であって、
ウェーハを保持する保持面を有し回転可能なチャックテーブルでウェーハを保持し、該保持面に垂直な回転軸のスピンドルの下端にウェーハの半径に相当する直径の研削ホイールを固定する加工準備ステップと、
該チャックテーブルに保持したウェーハの中央部分を除いたデバイス領域に対応するウェーハの裏面を該研削ホイールで研削し、環状凹部を形成するとともに該環状凹部に囲まれた中央凸部をウェーハの裏面に形成する限定研削ステップと、
該限定研削ステップ実施後、該研削ホイールを該ウェーハから離した後、該研削ホイールをウェーハの外周縁に向かって相対的に移動させる位置調整ステップと、
該位置調整ステップを実施後、該研削ホイールを用いて、該中央凸部を含む該デバイス領域に対応するウェーハの裏面を研削し、該デバイス領域に対応したウェーハの裏面の該中央凸部を除去するとともに円形凹部を形成し、該外周余剰領域に対応するウェーハの裏面に環状凸部を形成する円形研削ステップと、を備えるウェーハの加工方法。
【請求項2】
該円形研削ステップ実施後、該研削ホイールより細かい砥粒がボンドで固定された研削砥石を有する仕上げ研削ホイールで該円形凹部を更に深く研削する仕上げ研削ステップを備える請求項1に記載のウェーハの加工方法。
【請求項3】
該限定研削ステップで形成する該環状凹部より、該円形研削ステップで形成する該円形凹部の方が深く形成される請求項1又は請求項2に記載のウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの加工方法、特に所謂TAIKO(登録商標)研削するウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの軽薄短小化が進み、半導体デバイスが形成されたウェーハは、厚さが100μm以下に研削加工される。研削面に発生する研削歪みによって研削後のウェーハには反りが発生する。反りが発生したウェーハの裏面にメタルなどの成膜をするのが非常に困難であることから、ウェーハの外周縁を除いた領域だけ研削して、ウェーハの裏面にデバイス領域に対応する円形凹部と、外周余剰領域に対応する環状凸部を形成する所謂TAIKO研削技術が用いられる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5390740号公報
【文献】特許第4758222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TAIKO研削では、ウェーハより小径の研削ホイールを用いるため、ウェーハと同等以上の直径の通常の研削ホイールに比べ、研削砥石一つ当たりの除去量が相対的に大きくなり、TAIKO研削が安定的に実施できないことがある。また、同じ回転数で回転させても小径のため回転速度が上げにくいことも同様な傾向の原因となっている。
【0005】
特に、裏面に形成された酸化膜や窒化膜などは、研削が難しく、スピンドルモータの負荷電流値が規定値を超えて、TAIKO研削が安定的に実施できないことがある。また、所謂ハイドープウェーハも同様の傾向にある。
【0006】
本発明は、ウェーハの裏面にデバイス領域に対応する円形凹部と外周余剰領域に対応する環状凸部とを形成する所謂TAIKO研削を安定的に実施することを可能とするウェーハの加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの加工方法は、互いに交差する複数の分割予定ラインによって区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に有するウェーハの加工方法であって、ウェーハを保持する保持面を有し回転可能なチャックテーブルでウェーハを保持し、該保持面に垂直な回転軸のスピンドルの下端にウェーハの半径に相当する直径の研削ホイールを固定する加工準備ステップと、該チャックテーブルに保持したウェーハの中央部分を除いたデバイス領域に対応するウェーハの裏面を該研削ホイールで研削し、環状凹部を形成するとともに該環状凹部に囲まれた中央凸部をウェーハの裏面に形成する限定研削ステップと、該限定研削ステップ実施後、該研削ホイールを該ウェーハから離した後、該研削ホイールをウェーハの外周縁に向かって相対的に移動させる位置調整ステップと、該位置調整ステップを実施後、該研削ホイールを用いて、該中央凸部を含む該デバイス領域に対応するウェーハの裏面を研削し、該デバイス領域に対応したウェーハの裏面の該中央凸部を除去するとともに円形凹部を形成し、該外周余剰領域に対応するウェーハの裏面に環状凸部を形成する円形研削ステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記ウェーハの加工方法において、該円形研削ステップ実施後、該研削ホイールより細かい砥粒がボンドで固定された研削砥石を有する仕上げ研削ホイールで該円形凹部を更に深く研削する仕上げ研削ステップを備えても良い。
【0009】
前記ウェーハの加工方法において、該限定研削ステップで形成する該環状凹部より、該円形研削ステップで形成する該円形凹部の方が深く形成されても良い。
【発明の効果】
【0010】
本願発明のウェーハの加工方法は、ウェーハの裏面にデバイス領域に対応する円形凹部と外周余剰領域に対応する環状凸部とを形成する所謂TAIKO研削を安定的に実施することを可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法で用いられる研削装置の構成例を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示された研削装置の粗研削ユニット及び仕上げ研削ユニットを下方から示す斜視図である。
図4図4は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、図4に示されたウェーハの加工方法の加工準備ステップにおいてウェーハの表面と保護部材とを対向させた状態を示す斜視図である。
図6図6は、図4に示されたウェーハの加工方法の加工準備ステップにおいてウェーハの表面に保護部材を貼着した状態を示す斜視図である。
図7図7は、図4に示されたウェーハの加工方法の限定研削ステップの開始直後の粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。
図8図8は、図7に示された粗研削ホイールとウェーハとを当接させた状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図9図9は、図4に示されたウェーハの加工方法の限定研削ステップの終了時の粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す断面図である。
図10図10は、図9に示された粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。
図11図11は、図4に示されたウェーハの加工方法の位置調整ステップにおいて粗研削ユニットを上昇させて粗研削ホイールをウェーハから離した状態を一部断面で示す側面図である。
図12図12は、図11に示された粗研削ホイールをウェーハの外周縁に向かって相対的に移動させた状態を一部断面で示す側面図である。
図13図13は、図12に示された粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。
図14図14は、図4に示されたウェーハの加工方法の円形研削ステップの開始直後の粗研削ホイールとウェーハとを当接させた状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図15図15は、図4に示されたウェーハの加工方法の円形研削ステップの終了時の粗研削ホイールとウェーハとを一部断面で模式的に示す側面図である。
図16図16は、図15に示された粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。
図17図17は、実施形態1の変形例に係るウェーハの加工方法の限定研削ステップにおいて、最初に環状凹部及び中央凸部を形成した状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの斜視図である。図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法で用いられる研削装置の構成例を示す斜視図である。図3は、図2に示された研削装置の粗研削ユニット及び仕上げ研削ユニットを下方から示す斜視図である。図4は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【0014】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、図1に示すウェーハ200を加工する方法である。実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象であるウェーハ200は、シリコンを母材とする円板状の半導体ウェーハやサファイア、SiC(炭化ケイ素)などを母材とする光デバイスウェーハなどのウェーハである。実施形態1では、ウェーハ200は、円盤状の母材がシリコンから構成され、少なくとも裏面201側に酸化膜又は窒化膜などの膜202が形成されている。
【0015】
実施形態1では、ウェーハ200は、裏面201側に202が形成されている。ウェーハ200は、膜202が形成されていないものよりも膜202が形成されることで、母材がシリコンで構成されかつ膜202が形成されていないウェーハよりも裏面201側が研削し難いもの(即ち、難研削性のウェーハ)である。
【0016】
ウェーハ200は、図1に示すように、デバイス領域203と、デバイス領域203を囲繞する外周余剰領域204とを表面205に有している。デバイス領域203は、互いに交差する複数の分割予定ライン206によって区画された各領域にデバイス207が形成されている。デバイス207は、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路である。なお、外周余剰領域204は、ウェーハ200の表面205のデバイス領域203を囲繞しかつデバイス207が形成されていない領域である。
【0017】
次に、実施形態1に係るウェーハの加工方法で用いられる図2に示す研削装置1を説明する。研削装置1は、ウェーハ200の裏面201を研削(加工に相当)する加工装置である。研削装置1は、図2に示すように、装置本体2と、粗研削ユニット3(研削ユニットに相当)と、仕上げ研削ユニット4(研削ユニットに相当)と、研削送りユニット5と、ターンテーブル6と、ターンテーブル6上に設置された複数(実施形態1では3つ)のチャックテーブル7と、カセット8,9と、位置合わせユニット10と、搬送ユニット11と、洗浄ユニット12と、搬出入ユニット13と、制御ユニット100とを主に備えている。
【0018】
ターンテーブル6は、装置本体2の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内で回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。このターンテーブル6上には、例えば3つのチャックテーブル7が、例えば120度の位相角で等間隔に配設されている。これら3つのチャックテーブル7は、保持面71に真空チャックを備えたチャックテーブル構造のものであり、ウェーハ200が保持面71上に載置されて、ウェーハ200を吸引保持する。これらチャックテーブル7は、研削時には、鉛直方向即ちZ軸方向と平行な軸心回りに、回転駆動機構によって水平面内で回転駆動される。このように、チャックテーブル7は、ウェーハ200を保持する保持面71を有し、軸心回りに回転可能なものである。
【0019】
チャックテーブル7は、ターンテーブル6の回転によって、搬入出領域301、粗研削領域302、仕上げ研削領域303、搬入出領域301に順次移動される。
【0020】
なお、搬入出領域301は、チャックテーブル7にウェーハ200を搬入搬出する領域であり、粗研削領域302は、粗研削ユニット3でチャックテーブル7に保持されたウェーハ200を粗研削(研削に相当)する領域であり、仕上げ研削領域303は、仕上げ研削ユニット4でチャックテーブル7に保持されたウェーハ200を仕上げ研削(研削に相当)する領域である。
【0021】
粗研削ユニット3は、粗研削用の研削砥石31を備える粗研削用の粗研削ホイール32が装着されて、粗研削領域302のチャックテーブル7の保持面71に保持されたウェーハ200の裏面201を粗研削する研削ユニットである。仕上げ研削ユニット4は、仕上げ研削用の研削砥石41を備える仕上げ研削用の仕上げ研削ホイール42が装着されて、仕上げ研削領域303のチャックテーブル7の保持面71に保持されたウェーハ200の裏面201を仕上げ研削する研削ユニットである。なお、研削ユニット3,4は、構成が略同一であるので、以下、同一部分に同一符号を付して説明する。
【0022】
粗研削ユニット3及び仕上げ研削ユニット4は、図3に示すように、研削ホイール32,42をスピンドル33の下端に装着している。研削ホイール32,42は、円環状の環状基台34と、環状基台34の下面341に固定された複数の研削砥石31,41とを有する。研削砥石31,41は、環状基台34の下面341の外縁部に周方向に並べられている。複数の研削砥石31,41の下面311,411は、円環状を形成している。研削砥石31,41は、砥粒がボンドで固定されたものである。仕上げ研削ホイール42の研削砥石41の砥粒は、粗研削ホイール32の研削砥石31の砥粒よりも細かい。
【0023】
実施形態1では、研削ホイール32,42の複数の研削砥石31,41の下面311,411が形成する円環状の外径35(研削ホイール32,42の直径に相当)は、ウェーハ200の半径208と等しい。本発明では、研削ホイール32,42の複数の研削砥石31,41の下面311,411が形成する円環状の外径35が、ウェーハ200の半径208と等しいことを研削ホイール32,42の直径である外径がウェーハ200の半径208に相当するという。
【0024】
スピンドル33は、スピンドルハウジング36(図2に示す)内に保持面71と垂直なZ軸方向と平行な回転軸38回りに回転自在に収容され、スピンドルハウジング36に取り付けられたスピンドルモータ37(図2に示す)により軸心回りに回転される。スピンドル33は、円柱状に形成され、下端に研削ホイール32,42を装着するためのホイールマウント39が設けられている。ホイールマウント39は、スピンドル33の下端から外周方向に全周に亘って突出し、外周面の平面形状が円形に形成されている。ホイールマウント39は、下面391に環状基台34の上面342が重ねられて、研削ホイール32,42を図示しないボルトにより固定する。スピンドル33と、ホイールマウント39とは、互いに同軸となる位置に配置されている。
【0025】
研削ユニット3,4は、スピンドルモータ37によりスピンドル33及び研削ホイール32,42が回転軸38回りに回転されるとともに研削水を研削領域302,303のチャックテーブル7に保持されたウェーハ200の裏面201に供給しながら研削送りユニット5により研削砥石31,41がチャックテーブル7に所定の送り速度で近づけられることによって、ウェーハ200の裏面201を粗研削又は仕上げ研削する。
【0026】
研削送りユニット5は、研削ユニット3,4をZ軸方向に移動させるものである。実施形態1において、研削送りユニット5は、装置本体2の水平方向と平行なY軸方向の一端部から立設した立設柱21に設けられている。研削送りユニット5は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット3,4のスピンドルハウジング36をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0027】
なお、実施形態1において、粗研削ユニット3及び仕上げ研削ユニット4は、研削ホイール32,42の回転中心である回転軸38と、チャックテーブル7の回転中心である軸心とが、互いに水平方向に間隔をあけて平行に配置され、研削砥石31,41がチャックテーブル7に保持されたウェーハ200の裏面201の中心210又は中心210付近を通る位置と、ホイールマウント39が研削領域302,303のチャックテーブル7と同軸となる位置とに亘って、スライド移動機構16により研削送りユニット5及び立設柱21毎水平方向に沿って移動される。スライド移動機構16は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット3,4を支持した立設柱21を水平方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0028】
カセット8,9は、複数のスロットを有するウェーハ200を収容するための収容容器である。一方のカセット8は、研削前のウェーハ200を収容し、他方のカセット9は、研削後のウェーハ200を収容する。また、位置合わせユニット10は、カセット8から取り出されたウェーハ200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0029】
搬送ユニット11は、2つ設けられている。2つの搬送ユニット11は、ウェーハ200を吸着する吸着パッドを有している。一方の搬送ユニット11は、位置合わせユニット10で位置合わせされた研削前のウェーハ200を吸着保持して搬入出領域301に位置するチャックテーブル7上に搬入する。他方の搬送ユニット11は、搬入出領域301に位置するチャックテーブル7上に保持された研削後のウェーハ200を吸着保持して洗浄ユニット12に搬出する。
【0030】
搬出入ユニット13は、例えばU字型ハンド131を備えるロボットピックであり、U字型ハンド131によってウェーハ200を吸着保持して搬送する。具体的には、搬出入ユニット13は、研削前のウェーハ200をカセット8から取り出して、位置合わせユニット10へ搬出するとともに、研削後のウェーハ200を洗浄ユニット12から取り出して、カセット9へ搬入する。洗浄ユニット12は、研削後のウェーハ200を洗浄し、研削された裏面201に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
【0031】
制御ユニット100は、研削装置1を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット100は、ウェーハ200に対する研削動作を研削装置1に実行させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0032】
制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、研削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して研削装置1の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットや、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0033】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、研削ホイール32,42を用いて、デバイス領域203に対応するウェーハ200の裏面201を研削し、デバイス領域203に対応したウェーハ200の裏面201に円形凹部211(図15,16に示す)を形成し、外周余剰領域204に対応するウェーハ200の裏面201に環状凸部212(図15,16に示す)を形成する、所謂TAIKO研削をウェーハ200に施す加工方法である。なお、デバイス領域203に対応するウェーハ200の裏面201とは、ウェーハ200の裏面201のうちデバイス領域203とウェーハ200の厚み方向に重なる領域であり、外周余剰領域204に対応するウェーハ200の裏面201とは、ウェーハ200の裏面201のうち外周余剰領域204とウェーハ200の厚み方向に重なる領域である。
【0034】
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、図4に示すように、加工準備ステップ1001と、限定研削ステップ1002と、位置調整ステップ1003と、円形研削ステップ1004と、仕上げ研削ステップ1005と、洗浄収容ステップ1006とを備える。
【0035】
(加工準備ステップ)
図5は、図4に示されたウェーハの加工方法の加工準備ステップにおいてウェーハの表面と保護部材とを対向させた状態を示す斜視図である。図6は、図4に示されたウェーハの加工方法の加工準備ステップにおいてウェーハの表面に保護部材を貼着した状態を示す斜視図である。
【0036】
加工準備ステップ1001は、研削装置1のチャックテーブル7でウェーハ200を保持し、スピンドル33の下端に研削ホイール32,42を固定するステップである。実施形態1において、加工準備ステップ1001では、図5に示すように、ウェーハ200の表面205に保護部材213を対向させた後、図6に示すように、ウェーハ200の表面205に保護部材213を貼着する。実施形態1では、保護部材213は、ウェーハ200と同じ大きさの円板状に形成され、可撓性を有する合成樹脂または剛性を有する基板により構成されている。
【0037】
実施形態1において、加工準備ステップ1001では、オペレータが研削装置1の各研削ユニット3,4のスピンドル33の下端に研削ホイール32,42を固定し、表面205に保護部材213が貼着されたウェーハ200を保護部材213を下向きにして、カセット8を収容する。加工準備ステップ1001では、オペレータにより、加工条件が制御ユニット100に登録され、研削前の保護部材213が貼着されたウェーハ200を収容したカセット8及びウェーハ200を収容していないカセット9が装置本体2に設置される。加工準備ステップ1001では、研削装置1の制御ユニット100は、オペレータから加工動作の開始指示を受け付けると、加工動作を開始する。
【0038】
加工動作では、研削装置1の制御ユニット100は、各研削ユニット3,4のスピンドル33を回転軸38回りに回転させ、搬出入ユニット13にカセット8からウェーハ200を1枚取り出させて、位置合わせユニット10へ搬出させる。制御ユニット100は、位置合わせユニット10にウェーハ200の中心位置合わせを行わせ、搬送ユニット11に位置合わせされたウェーハ200の表面205側を搬入出領域301に位置するチャックテーブル7上に搬入する。このとき、チャックテーブル7に搬入されたウェーハ200は、チャックテーブル7と同軸となる位置に位置付けられる。
【0039】
加工準備ステップ1001では、研削装置1の制御ユニット100は、ウェーハ200の表面205側を保護部材213を介して搬入出領域301のチャックテーブル7に吸引保持して、限定研削ステップ1002に進む。
【0040】
(限定研削ステップ)
図7は、図4に示されたウェーハの加工方法の限定研削ステップの開始直後の粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。図8は、図7に示された粗研削ホイールとウェーハとを当接させた状態を一部断面で模式的に示す側面図である。図9は、図4に示されたウェーハの加工方法の限定研削ステップの終了時の粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す断面図である。図10は、図9に示された粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。
【0041】
限定研削ステップ1002は、チャックテーブル7に保持したウェーハ200の中央部分を除いたデバイス領域203に対応するウェーハ200の裏面201を粗研削ホイール32で研削し、環状凹部214(図9及び図10に示す)を形成するとともに、環状凹部214に囲まれた中央凸部215(図9及び図10に示す)をウェーハ200の裏面201に形成するステップである。限定研削ステップ1002では、研削装置1の制御ユニット100が、ターンテーブル6を回転して、搬入出領域301でウェーハ200を保持したチャックテーブル7を粗研削領域302に移動して、裏面201を露出させてターンテーブル6でウェーハ200を粗研削領域302に搬送する。
【0042】
限定研削ステップ1002では、研削装置1の制御ユニット100が、スライド移動機構16に粗研削ユニット3を水平方向に移動させて、図7に示すように、粗研削ユニット3のスピンドル33の回転軸38とターンテーブル6の軸心即ちチャックテーブル7に保持されたウェーハ200の中心210とを水平方向に間隔をあけて配置する(即ちウェーハ200と粗研削ホイール32とを非同軸となる位置に位置付ける)。また、限定研削ステップ1002では、研削装置1の制御ユニット100が、平面視において、粗研削ホイール32の研削砥石31の内周側にチャックテーブル7に保持されたウェーハ200の中心210を位置付け、チャックテーブル7を軸心回りに回転する。なお、実施形態1において、限定研削ステップ1002では、研削装置1の制御ユニット100が、平面視において、チャックテーブル7と粗研削ユニット3の粗研削ホイール32とを同方向に回転する。
【0043】
限定研削ステップ1002では、研削装置1の制御ユニット100が、研削送りユニット5に粗研削ユニット3を下降させ、図8に示すように、粗研削ユニット3の粗研削ホイール32の研削砥石31の下面311をウェーハ200の裏面201に当接させ、加工内容情報で定められた研削送り速度で粗研削ユニット3を下降させる。すると、研削砥石31が裏面201の中央部分を除いたデバイス領域203に対応するウェーハ200の裏面201を研削し、デバイス領域203に対応するウェーハ200の裏面201の膜202と母材とを順に研削する。限定研削ステップ1002では、研削装置1の制御ユニット100が、図9に示すように、裏面201から加工内容情報で定められた深さ216まで粗研削ユニット3で研削すると、位置調整ステップ1003に進む。
【0044】
なお、限定研削ステップ1002では、ウェーハ200と粗研削ホイール32とが非同軸となる位置に位置付けられ、平面視において粗研削ホイール32の研削砥石31の内周側にチャックテーブル7に保持されたウェーハ200の中心210が位置付けられるので、限定研削ステップ1002後のウェーハ200の裏面201には、図9及び図10に示すように、デバイス領域203のウェーハ200の裏面201に、裏面201から凹の環状凹部214が形成されるとともに、環状凹部214により囲まれた中央凸部215とが形成される。環状凹部214は、平面形状が円環状に形成され、中央凸部215は、平面形状が円形に形成される。環状凹部214と中央凸部215とは、ウェーハ200と同軸となる位置に形成される。また、本発明では、ウェーハ200の母材がシリコンで構成されるので、限定研削ステップ1002では、少なくとも環状凹部214の底面に母材が露出する程度粗研削ホイール32を研削送りすれば良い、即ち、少なくとも研削砥石31の下面311に接触する膜202を除去すれば良い。
【0045】
(位置調整ステップ)
図11は、図4に示されたウェーハの加工方法の位置調整ステップにおいて粗研削ユニットを上昇させて粗研削ホイールをウェーハから離した状態を一部断面で示す側面図である。図12は、図11に示された粗研削ホイールをウェーハの外周縁に向かって相対的に移動させた状態を一部断面で示す側面図である。図13は、図12に示された粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。
【0046】
位置調整ステップ1003は、限定研削ステップ1002実施後、粗研削ホイール32をウェーハ200から離した後、粗研削ホイール32をウェーハ200の外周縁に向かって相対的に移動させるステップである。位置調整ステップ1003では、研削装置1の制御ユニット100が、図11に示すように、研削送りユニット5に粗研削ユニット3を上昇させて、粗研削ホイール32の研削砥石31をチャックテーブル7に保持されたウェーハ200から離す。
【0047】
位置調整ステップ1003では、研削装置1の制御ユニット100が、スライド移動機構16に粗研削ユニット3の粗研削ホイール32を粗研削領域302のチャックテーブル7に保持されたウェーハ200の外周縁に向けて移動する。実施形態1において、位置調整ステップ1003では、研削装置1の制御ユニット100が、図12及び図13に示すように、粗研削ホイール32の一部の研削砥石31の外縁をウェーハ200のデバイス領域203と外周余剰領域204との境界上に位置付け、他の一部の研削砥石31の下面311をウェーハ200の中心210上に位置付けて、円形研削ステップ1004に進む。
【0048】
(円形研削ステップ)
図14は、図4に示されたウェーハの加工方法の円形研削ステップの開始直後の粗研削ホイールとウェーハとを当接させた状態を一部断面で模式的に示す側面図である。図15は、図4に示されたウェーハの加工方法の円形研削ステップの終了時の粗研削ホイールとウェーハとを一部断面で模式的に示す側面図である。図16は、図15に示された粗研削ホイールとウェーハとを模式的に示す平面図である。
【0049】
円形研削ステップ1004は、位置調整ステップ1003を実施後、粗研削ホイール32を用いて中央凸部215を含むデバイス領域203に対応するウェーハ200の裏面201を研削し、デバイス領域203に対応したウェーハ200の裏面201の中央凸部215を除去するとともに、円形凹部211を形成し、外周余剰領域204に対応するウェーハ200の裏面201に環状凸部212を形成するステップである。
【0050】
円形研削ステップ1004では、研削装置1の制御ユニット100が、研削送りユニット5に粗研削ユニット3を下降させ、図14に示すように、粗研削ユニット3の粗研削ホイール32の研削砥石31の下面311をウェーハ200の裏面201の環状凹部214の外周側の領域と中央凸部215の領域とに当接させ、加工内容情報で定められた研削送り速度で粗研削ユニット3を下降させる。すると、研削砥石31がデバイス領域203に対応するウェーハ200の裏面201の環状凹部214の外周側の領域と中央凸部215の領域とを研削して除去する。
【0051】
円形研削ステップ1004では、研削開始時、研削砥石31が中央凸部215の角及び環状凹部214の角に当接して、研削砥石31がドレッシングされる。円形研削ステップ1004では、研削装置1の制御ユニット100が、図15に示すように、裏面201から限定研削ステップ1002の深さ216よりも深い加工内容情報で定められた深さ217まで粗研削ユニット3で研削すると、仕上げ研削ステップ1005に進む。
【0052】
なお、位置調整ステップ1003では、粗研削ホイール32の一部の研削砥石31の外縁がウェーハ200のデバイス領域203と外周余剰領域204との境界上に位置付けられ、他の一部の研削砥石31の下面311がウェーハ200の中心210上に位置付けられるので、円形研削ステップ1004後のウェーハ200の裏面201には、図15及び図16に示すように、デバイス領域203のウェーハ200の裏面201全体に、円形凹部211が形成されるとともに、外周余剰領域204に対応するウェーハ200の裏面201に裏面201が研削されずに残存した環状凸部212が形成される。こうして、実施形態1に係るウェーハの加工方法では、限定研削ステップ1002で形成する環状凹部214より、円形研削ステップ1004で形成する円形凹部211の方が深く形成される。また、実施形態1では、限定研削ステップ1002、位置調整ステップ1003及び円形研削ステップ1004の間、粗研削領域302に位置付けられたチャックテーブル7は、同方向に回転されている。
【0053】
(仕上げ研削ステップ)
仕上げ研削ステップ1005は、円形研削ステップ1004実施後、仕上げ研削ホイール42で円形凹部211を更に深く研削するステップである。仕上げ研削ステップ1005では、研削装置1の制御ユニット100が、ターンテーブル6を回転して、粗研削領域302で円形研削ステップ1004が実施されたウェーハ200を保持したチャックテーブル7を仕上げ研削領域303に移動して、裏面201を露出させてターンテーブル6でウェーハ200を仕上げ研削領域303に搬送する。
【0054】
実施形態1では、仕上げ研削ステップ1005では、研削装置1の制御ユニット100が、スライド移動機構16に仕上げ研削ユニット4を水平方向に移動させて、仕上げ研削ホイール42の一部の研削砥石41の外縁をウェーハ200のデバイス領域203と外周余剰領域204との境界上に位置付け、他の一部の研削砥石41の下面411をウェーハ200の中心210上に位置付けて、仕上げ研削領域303に位置付けられたチャックテーブル7を仕上げ研削ホイール42と同方向に回転させながら、研削送りユニット5に仕上げ研削ユニット4を下降させる。
【0055】
仕上げ研削ステップ1005では、研削装置1の制御ユニット100が、仕上げ研削ユニット4で円形凹部211の底面を加工内容情報で定められた深さ研削し、その後、研削送りユニット5に仕上げ研削ユニット4を上昇させて、洗浄収容ステップ1006に進む。
【0056】
(洗浄収容ステップ)
洗浄収容ステップ1006は、仕上げ研削ステップ1005実施後、ウェーハ200を洗浄し、カセット9に収容するステップである。洗浄収容ステップ1006では、研削装置1の制御ユニット100が、ターンテーブル6を回転して、仕上げ研削領域303で仕上げ研削ステップ1005が実施されたウェーハ200を保持したチャックテーブル7を搬入出領域301に移動して、裏面201を露出させてターンテーブル6でウェーハ200を搬入出領域301に搬送する。こうして、ウェーハの加工方法は、ウェーハ200を、粗研削領域302、仕上げ研削領域303、搬入出領域301に順に搬送し、限定研削ステップ1002、位置調整ステップ1003、円形研削ステップ1004及び仕上げ研削ステップ1005を順に実施する。なお、研削装置1の制御ユニット100は、ターンテーブル6が120度回転する度に、研削前のウェーハ200を搬入出領域301のチャックテーブル7に搬入する。
【0057】
洗浄収容ステップ1006では、研削装置1の制御ユニット100は、研削後のウェーハ200を搬送ユニット11により洗浄ユニット12に搬入し、洗浄ユニット12で洗浄し、洗浄後のウェーハ200を搬出入ユニット13の搬送パッドでウェーハ200の保護部材213側から保持して、カセット9へ搬入する。なお、実施形態1では、研削装置1の制御ユニット100は、ターンテーブル6を120度回転する度に、粗研削領域302に位置付けられたウェーハ200に限定研削ステップ1002、位置調整ステップ1003及び円形研削ステップ1004を順に実施し、仕上げ研削領域303に位置付けられたウェーハ200に仕上げ研削ステップ1005を実施し、搬入出領域301に位置付けられたチャックテーブル7から研削後のウェーハ200を洗浄ユニット12に搬送し、研削前のウェーハ200をチャックテーブル7に搬送する。研削装置1の制御ユニット100は、カセット8内の全てのウェーハ200に研削を施すと、加工動作即ちウェーハの加工方法を終了する。
【0058】
以上のように、実施形態1に係るウェーハの加工方法は、研削が難しい難研削性のウェーハ200であっても、限定研削ステップ1002において従来のTAIKO研削よりも研削する面積を狭く限定して中央に中央凸部215を残す研削をした後、円形研削ステップ1004において中央凸部215を含めたデバイス領域203全体に対応したウェーハ200の裏面201を研削する。このために、ウェーハの加工方法は、限定研削ステップ1002及び円形研削ステップ1004それぞれの研削範囲を従来のTAIKO研削よりも狭くでき、研削砥石31にかかる負荷を減らすことができる。その結果、ウェーハの加工方法は、スピンドルモータ37の負荷電流値が規定値を超えることを抑制でき、ウェーハ200の裏面201にデバイス領域203に対応する円形凹部211と外周余剰領域204に対応する環状凸部212とを形成する所謂TAIKO研削を安定的に実施することを可能とする、という効果を奏する。
【0059】
また、ウェーハの加工方法は、円形研削ステップ1004において、中央凸部215を研削する際、中央凸部215の角及び環状凹部214の角に研削砥石31が衝突することでドレッシング効果も得られ、研削状態を良好に保つ効果も奏する。
【0060】
〔変形例〕
本発明の実施形態1の変形例に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図17は、実施形態1の変形例に係るウェーハの加工方法の限定研削ステップにおいて、最初に環状凹部及び中央凸部を形成した状態を模式的に示す断面図である。なお、図17は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
実施形態1の変形例に係るウェーハの加工方法は、限定研削ステップ1002をウェーハ200に対する粗研削ホイール32の相対的な位置を中心210寄りの位置から外周縁の位置に徐々に変更しながら複数回実施して、環状凹部214と中央凸部215とを裏面201に形成する。なお、図17は、限定研削ステップ1002において、粗研削ホイール32とウェーハ200とを同軸となる位置に位置付けて、最初に環状凹部214と中央凸部215とを形成した例を示している。なお、本発明では、最初に環状凹部214と中央凸部215とを形成する際に、図17に示すように、粗研削ホイール32とウェーハ200とを同軸となる位置に位置付けるに限定されずに、限定研削ステップ1002をウェーハ200に対する粗研削ホイール32の相対的な位置を中心210寄りの位置から外周縁の位置に徐々に変更しながら複数回実施すれば良い。
【0062】
図17に示す変形例に係るウェーハの加工方法は、限定研削ステップ1002をウェーハ200に対する粗研削ホイール32の相対的な位置を中心210寄りの位置から外周縁の位置に徐々に変更しながら複数回実施するので、研削砥石31にかかる負荷を実施形態よりも更に減らすことができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施形態1では、難研削性のウェーハ200は、母材がシリコンで構成され外表面に膜202が形成されていたが、本発明では、これに限定されない。例えば、本発明では、難研削性のウェーハ200は、母材がサファイア又はガラスなどで構成されても良く、ドープ材(例えば、ホウ素:B、リン:P、錫:Sn又はヒ素:As)が混入されることで抵抗率が例えば0.001Ωcm以上でかつ0.1Ωcmに調整された所謂ハイドープ品のウェーハでも良い。これらの難研削性のウェーハ200に円形凹部211と環状凸部212を形成する際には、本発明のウェーハの加工方法は、粗研削ユニット3と仕上げ研削ユニット4との少なくとも一方を用いて、限定研削ステップ1002、位置調整ステップ1003及び円形研削ステップ1004を実施すれば良い。
【符号の説明】
【0064】
7 チャックテーブル
32 粗研削ホイール(研削ホイール)
33 スピンドル
35 外径(直径)
38 回転軸
41 仕上げ研削用の研削砥石(研削砥石)
42 仕上げ研削ホイール(研削ホイール)
71 保持面
200 ウェーハ
201 裏面
203 デバイス領域
204 外周余剰領域
205 表面
206 分割予定ライン
207 デバイス
208 半径
211 円形凹部
212 環状凸部
214 環状凹部
215 中央凸部
1001 加工準備ステップ
1002 限定研削ステップ
1003 位置調整ステップ
1004 円形研削ステップ
1005 仕上げ研削ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17