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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】麺受け装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20230929BHJP
【FI】
A23L7/109 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021530517
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2020020479
(87)【国際公開番号】W WO2021005901
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2019128919
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】森本 隆之
(72)【発明者】
【氏名】野村 光生
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-360198(JP,A)
【文献】特開2008-111817(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129296(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/109-7/113
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茹で麺を容器内に充填する麺受け装置であって、
前記茹で麺を受け容れるボウルと、
前記ボウル内にある前記茹で麺を投入する投入口及び前記茹で麺を前記容器に排出する排出口を有する漏斗と、
前記排出口の下方に前記容器を搬送する搬送部と、
前記漏斗をボウルと前記搬送部との間を移動させる移動部と、
前記搬送部により前記容器が前記排出口の下方に搬送された後に前記漏斗を下降させ、前記茹で麺を前記容器に充填した後に前記漏斗を上昇させ、前記搬送部に、前記漏斗が下降してから上昇するまでの間、前記容器の搬送を停止させ、前記漏斗が上昇した後、前記容器の搬送を再開させる制御部と、
を備えることを特徴とする麺受け装置。
【請求項2】
前記茹で麺を前記容器に充填してから前記漏斗を上昇させるまでの間、前記投入口から前記排出口に向けて前記漏斗の内壁面にエアーを噴射する噴射部を備えることを特徴とする請求項1記載の麺受け装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記漏斗を下降させるタイミングのために、前記茹で麺が前記ボウルに投入されたことを検知する麺投入検知部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の麺受け装置。
【請求項4】
前記容器を前記搬送部に供給する容器供給部と、
前記容器供給部から前記容器が前記搬送部に供給されたことを検知する容器検知部と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の麺受け装置。
【請求項5】
前記漏斗は、前記排出口が前記容器内に位置するまで下降し、前記排出口が前記容器の上縁より上方に位置するまで上昇することを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の麺受け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茹で麺を容器に充填するための麺受け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化、核家族化、個食化、孤食化などさまざまな要因によるライフスタイルの変化により、手軽に食されるうどん、そば、ラーメン等の調理麺が開発され、店頭に並べられている。
【0003】
これら調理麺の製造現場では、短い商品切替えや多品種への対応のため自動化が困難であることから、茹で麺は主に人手により食品トレー等の容器に充填されている。しかし、これら調理麺の製造現場においても労働人口の減少により慢性的な労働力不足に陥っており、自動化が望まれている。
【0004】
例えば特許文献1には、茹で麺が投入された受皿を自転動作させつつほぐれ剤を噴霧し、受皿から排出された茹で麺を麺受ガイドを介して容器に充填する茹で麺のほぐし装置(麺受け装置)について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-9795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載のほぐし装置を用いて容器に茹で麺を充填すると、麺が容器からはみ出し、はみ出した麺を人が修正しなければならず、省力化、省人化を実現することができなかった。また、商品により容器の形状、茹で麺が収まるエリアなどが異なるため、容器毎に定められたエリアに茹で麺を充填させる必要があるが、上述のほぐし装置では正確且つ確実に容器の定められたエリアに茹で麺を供給することが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、茹で麺を容器の中に正確且つ確実に充填することができる麺受け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の麺受け装置は、茹で麺を容器内に充填する麺受け装置であって、前記茹で麺を受け容れるボウルと、前記ボウル内にある前記茹で麺を投入する投入口及び前記茹で麺を前記容器に排出する排出口を有する漏斗と、前記排出口の下方に前記容器を搬送する搬送部と、前記漏斗をボウルと前記搬送部との間を移動させる移動部と、前記搬送部により前記容器が前記排出口の下方に搬送された後に前記漏斗を下降させ、前記茹で麺を前記容器に充填した後に前記漏斗を上昇させ、前記搬送部に、前記漏斗が下降してから上昇するまでの間、前記容器の搬送を停止させ、前記漏斗が上昇した後、前記容器の搬送を再開させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の麺受け装置は、前記茹で麺を前記容器に充填してから前記漏斗を上昇させるまでの間、前記投入口から前記排出口に向けて前記漏斗の内壁面にエアーを噴射する噴射部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の麺受け装置が備える前記制御部は、前記漏斗を下降させるタイミングのために、前記茹で麺が前記ボウルに投入されたことを検知する麺投入検知部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の麺受け装置は、前記容器を前記搬送部に供給する容器供給部と、前記容器供給部から前記容器が前記搬送部に供給されたことを検知する容器検知部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の麺受け装置の漏斗は、前記排出口が前記容器内に位置するまで下降し、前記排出口が前記容器の上縁より上方に位置するまで上昇することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、茹で麺を容器の中に正確且つ確実に充填することができる麺受け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係る麺受け装置の概略構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る麺受け装置のシステム構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る漏斗の内壁面へのエアー噴射について説明するための図である。
図4】実施の形態に係る麺受け装置を用いて1番目の茹で麺を1番目のトレーに充填する際の処理について説明するためのフローチャートである。
図5】実施の形態に係る麺受け装置における初期待機状態を示す図である。
図6】実施の形態に係る麺受け装置における初期待機状態から1インチング後の状態を示す図である。
図7】実施の形態に係る麺受け装置における初期待機状態から2インチング後の状態を示す図である。
図8】実施の形態に係る麺受け装置における初期待機状態から3インチング後の状態を示す図である。
図9】実施の形態に係る麺受け装置を用いてn番目の茹で麺をn番目のトレーに充填する際の処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る麺受け装置について説明する。図1は、実施の形態に係る麺受け装置の概略構成を示す図である。この実施の形態に係る麺受け装置2は、うどん、そば及びラーメン等の調理された茹で麺4をトレー(容器)6に充填するための装置であって、図1に示すように、トレー供給機8、噴霧装置10、上流側コンベアー12、麺受けコンベアー14及び下流側コンベアー16を備えている。
【0016】
トレー供給機8は、上流側コンベアー12を介して、トレー6を麺受けコンベアー14に供給するトレー供給部であって、トレー6を収容する収容部18を備えている。トレー供給機8は、収容部18に収容されているトレー6を上流側コンベアー12に供給する。上流側コンベアー12は、トレー供給機8から供給されたトレー6を図1に示す矢印a1の方向に移動させて搬送し、麺受けコンベアー14に引き渡す。
【0017】
麺受けコンベアー14は、上流側コンベアー12から引き渡されたトレー6を図1に示す矢印a1の方向に移動させて噴霧装置10まで搬送する例えば2条ベルトコンベアー(搬送部)であって、噴霧装置10が備える漏斗24の排出口24b(図1参照)の下方にトレー6を搬送する。また、麺受けコンベアー14は、噴霧装置10においてトレー6内に茹で麺4が充填された後、トレー6を矢印a1方向に移動させて搬送し、下流側コンベアー16に引き渡す。麺受けコンベアー14は、短時間の駆動と停止とを繰り返すインチング動作により移動する。下流側コンベアー16は、麺受けコンベアー14から引き渡されたトレー6を図1に示す矢印a1の方向に移動させる。
【0018】
噴霧装置10は、4つのボウル22a~22d及び漏斗24を備えている。4つのボウル22a~22dのそれぞれは、椀状のボウルであって、茹で麺投入口26から茹で麺4を受け容れる開口部を上に向けて、回転盤27の周縁部に90度間隔で取り付けられている。回転盤27は、回転盤27の中心を軸として時計周りに90度間欠回転可能に構成されている。4つのボウル22a~22dは、回転盤27の間欠回転により、4つのポジションA~Dのいずれかに位置決めされる。図1においては、第1ボウル22aが第1ポジションAに、第2ボウル22bが第4ポジションDに、第3ボウル22cが第3ポジションCに、第4ボウル22dが第2ポジションBに位置決めされた状態を図示している。また、ボウル22a~22dのそれぞれは、回転盤27の盤面に直交する方向を軸として自転可能に構成されている。更に、ボウル22a~22dのそれぞれは、第4ポジションDに位置決めされた際に水平方向を軸として反転するよう構成されている。
【0019】
第1ポジションAに位置決めされたボウル(図1においては第1ボウル22a)には茹で麺投入口26から茹で麺4が投入され、第1ボウル22a内の茹で麺4にはほぐし液が噴霧される。ほぐし液は、例えば水溶性大豆多糖類やサラダ油であって、茹で麺4が団子状になるのを防止する。第1ボウル22a内の茹で麺4は第1ボウル22aの自転により撹拌されているため、第1ボウル22a内に噴霧されたほぐし液は茹で麺4にまんべんなく付着する。なお、茹で麺によっては、ほぐし液を使用しないものもある。
【0020】
第2ポジションB及び第3ポジションCに位置決めされたボウル(図1においては第4ボウル22d及び第3ボウル22c)内の茹で麺4にはほぐし液が噴霧される。第4ボウル22d及び第3ボウル22c内の茹で麺4は第4ボウル22d及び第3ボウル22cの自転により撹拌されているため、第4ボウル22d及び第3ボウル22c内に噴霧されたほぐし液は茹で麺4にまんべんなく付着する。
【0021】
第4ポジションDに位置決めされたボウル(図1においては第2ボウル22b)は、開口部が下を向くように水平方向を軸として反転し、第2ボウル22b内の茹で麺4は、漏斗24に投入される。
【0022】
なお、回転盤27は、第1ポジションAに位置決めされた第1ボウル22a内にほぐし液が噴霧されると(第2ポジションB及び第3ポジションCに位置決めされた第4ボウル22d及び第3ボウル22c内にほぐし液が噴霧され、第4ポジションDに位置決めされた第2ボウル22b内の茹で麺4が排出されると)、時計回りに90度回転する。即ち、第1ボウル22aは第2ポジションBに、第4ボウル22dは第3ポジションCに、第3ボウル22cは第4ポジションDに、第2ボウル22bは第1ポジションAに移動する。
【0023】
漏斗24は、逆円錐台形筒状であって、第4ポジションDに位置決めされたボウル(図1においては第2ボウル22b)内にある茹で麺4を投入する投入口24a及び茹で麺4をトレー6に排出する排出口24bを有している。漏斗24は、移動部25に接続されており、移動部25は、漏斗24を第2ボウル22bと麺受けコンベアー14との間、即ち図1に示す矢印a2方向に移動させる。漏斗24は、第4ポジションDに位置決めされた第2ボウル22bから茹で麺4が排出されるのを待機している待機状態のとき、図1に示す位置、即ち排出口24bがトレー6の上縁より上方に位置するように配置されている。漏斗24は、第4ポジションDに位置決めされた第2ボウル22bから茹で麺4が排出される直前であって麺受けコンベアー14によりトレー6が排出口24bの下方に搬送された後、排出口24bがトレー6内に位置するまで下降する(図9参照)。そして、漏斗24は、茹で麺4が投入口24aから投入され排出口24bから排出された後、排出口24bがトレー6の上縁より上方に位置する(図1に示す位置)まで上昇する。
【0024】
図2は、この実施の形態に係る麺受け装置2のシステム構成を示すブロック図である。麺受け装置2は、図2に示すように、制御部30を備えている。制御部30は、麺受け装置2の各部を統括的に制御し、特に第4ポジションDに位置決めされているボウル(図1においては第2ボウル22b)と麺受けコンベアー14との間を移動する漏斗24の移動を制御する。制御部30には、トレー供給部32、トレー検知センサー20、コンベアー駆動部34、麺投入検知センサー28、公転駆動部36、第1自転駆動部38、第2自転駆動部40、第3自転駆動部42、第4自転駆動部44、第1ほぐし液噴霧部46、第2ほぐし液噴霧部48、第3ほぐし液噴霧部50、漏斗駆動部60、及びエアー噴射部62が接続されている。
【0025】
トレー供給部32は、トレー供給機8のトレー収容部18に収容されているトレー6を1枚ずつ所定間隔で上流側コンベアー12上に供給する。制御部30は、トレー供給部32を制御することによりトレー供給機8を稼働させる。トレー検知センサー20は、図1に示すように麺受けコンベアー14の搬送路近傍に設けられており、トレー供給機8からトレー6が麺受けコンベアー14に供給されたことを検知する。即ち、トレー検知センサー20は、麺受けコンベアー14上のポジションP1にトレー6があるか否かを検知する。制御部30は、トレー検知センサー20からの検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて漏斗24を下降させる距離を制御する。
【0026】
コンベアー駆動部34は、麺受けコンベアー14の駆動を制御する。制御部30は、コンベアー駆動部34を制御することにより麺受けコンベアー14を駆動させる。即ち、制御部30は、コンベアー駆動部34を制御することにより、漏斗24が下降してから上昇するまでの間、麺受けコンベアー14の駆動を停止することによりトレー6の搬送を停止し、漏斗24が上昇した後、麺受けコンベアー14を駆動させることによりトレー6の搬送を再開する。同様に、制御部30は、図示しない上流側コンベアー駆動部及び下流側コンベアー駆動部を制御することにより上流側コンベアー12及び下流側コンベアー16のそれぞれを駆動させる。
【0027】
麺投入検知センサー28は、図1に示すように茹で麺供給口26の近傍に設けられており、漏斗24を下降させるタイミングのために、茹で麺4が第1ポジションAに位置決めされているボウルに投入されたことを検知する。即ち、麺投入検知センサー28は、茹で麺供給口26から噴霧装置10に対して茹で麺4が供給されたか否かを検知する。制御部30は、麺投入検知センサー28からの検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて漏斗24を下降させるタイミングを制御する。
【0028】
公転駆動部36は、回転盤27の回転を制御する。制御部30は、公転駆動部36を制御することにより回転盤27を間欠回転させる。第1自転駆動部38は、第1ボウル22aの回転(自転)を制御する。同様に、第2自転駆動部40、第3自転駆動部42及び第4自転駆動部44のそれぞれは、第2ボウル22b、第3ボウル22c及び第4ボウル22dのそれぞれの回転(自転)を制御する。制御部30は、第1自転駆動部38、第2自転駆動部40、第3自転駆動部42及び第4自転駆動部44のそれぞれを制御することにより、第1ボウル22a、第2ボウル22b、第3ボウル22c及び第4ボウル22dのそれぞれを自転させる。
【0029】
第1ほぐし液噴霧部46は、第1ポジションAに位置決めされたボウル(図1においては第1ボウル22a)内にほぐし液を噴霧する。同様に、第2ほぐし液噴霧部48及び第3ほぐし液噴霧部50のそれぞれは、第2ポジションB及び第3ポジションCのそれぞれに位置決めされたボウル(図1においては第4ボウル22d及び第3ボウル22c)内にそれぞれほぐし液を噴霧する。制御部30は、第1ほぐし液噴霧部46、第2ほぐし液噴霧部48及び第3ほぐし液噴霧部50のそれぞれを制御することにより、第1ボウル22a、第4ボウル22d及び第3ボウル22c(第1ポジションA、第2ポジションB及び第3ポジションCに位置決めされたボウル)内に茹で麺4が投入された後、茹で麺4に対してそれぞれほぐし液を噴霧させる。
【0030】
漏斗駆動部60は、移動部25の駆動を制御する。制御部30は、漏斗駆動部60を制御することにより漏斗24を上下方向(図1に示す矢印a2の方向)に移動させる。即ち、制御部30は、漏斗駆動部60を制御することにより、麺受けコンベアー14によりトレー6が漏斗24の排出口24bの下方に搬送された後に漏斗24を下降させ、漏斗24を介して茹で麺4をトレー6に充填した後に漏斗24を上昇させる。
【0031】
エアー噴射部62は、図3の矢印に示すように、漏斗24の投入口24aから排出口24bに向けて漏斗24の内壁面にエアーを噴射する。制御部30は、エアー噴射部62を制御することにより、茹で麺4をトレー6に充填してから漏斗24を上昇させるまでの間、エアーを噴射させる。エアー噴射強度、噴射時間、および噴射回数は、漏斗24の内壁面に残存する茹で麺4を排出口24bから確実に排出させることができるように、且つトレー6内に収容された茹で麺4がエアー噴射されることによりはみ出すことがないように、予め設定される。
【0032】
次に、図面を参照して、この実施の形態に係る麺受け装置2を用いて、茹で麺4をトレー6に充填する方法について説明する。図4は、麺受け装置2の制御部30が1番目の茹で麺4aを1番目のトレー6aに充填するために実行する処理について説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、制御部30は、図5に示す初期待機状態となるように、トレー供給機8、上流側コンベアー12及び麺受けコンベアー14を稼働させる。即ち制御部30は、図示しない上流側コンベアー駆動部及びコンベアー駆動部34に対して制御信号を出力し、上流側コンベアー12及び麺受けコンベアー14を駆動させる。そして、制御部30は、トレー供給部32に対してトレー供給機8のトレー収容部18の最下に収容されているトレー6aを上流側コンベアー12上に供給するよう指示し、トレー6aを上流側コンベアー12上に供給させる(ステップS1)。なお、制御部30は、トレー供給部32に対して予め設定された間隔で制御信号を出力し、トレー供給部32は、図5に示すように、トレー6b,6c…を順次上流側コンベアー12上に供給する。
【0034】
次に、制御部30は、トレー検知センサー20よりトレー6aがポジションP1に位置したことを検知する検知結果を取得すると(ステップS2)、麺投入検知センサー28より茹で麺4aが投入されたと検知されるまで、一旦上流側コンベアー12及び麺受けコンベアー14の駆動を停止する。具体的には、制御部30は、図示しない上流側コンベアー駆動部及びコンベアー駆動部34に対して制御信号を出力し、上流側コンベアー12及び麺受けコンベアー14を停止させる。そして、制御部30は、トレー検知センサー20の検知結果に基づいて、3ピッチ先、即ちトレー6aが漏斗24の下方に位置決めされた際の漏斗24の下降距離を決定する(ステップS3)。
【0035】
なお、漏斗24の下降距離は、トレー検知センサー20よりトレー6がポジションP1に有るか否かに基づき決定される。麺受け装置2は、麺投入検知センサー28より茹で麺4が投入されたと検知されると、トレー6がポジションP1にない場合であっても、噴霧装置10及び麺受けコンベアー14はインチング動作を開始する。したがって、何らかのアクシデントによりトレー供給機8よりトレー6が供給されず、トレー検知センサー20によりトレー6がポジションP1にないと検知された場合であっても、茹で麺供給口26より茹で麺4が供給されると、噴霧装置10及び麺受けコンベアー14は動作する。そこで、制御部30は、トレー検知センサー20よりトレー6がポジションP1にないと検知された場合には、漏斗24の排出口24bが2条ベルトコンベアーである麺受けコンベアー14のベルト間に確実に麺を落とすことができる位置まで下降するよう下降距離を設定する。排出口24bを麺受けコンベアー14の下側まで下降させることにより、排出口24bから排出される茹で麺4を確実に回収し、麺受けコンベアー14上に茹で麺4が残存することを防止する。
【0036】
一方、制御部30は、トレー検知センサー20よりトレー6がポジションP1に有ると検知された場合には、漏斗24の排出口24bがトレー6内(排出口24bがトレー6の上縁より下側)に位置するよう下降距離を設定する。なお、この実施の形態においては、茹で麺4を収容する容器として矩形状の収容口を有するトレー6を例に挙げて説明しているが、トレー6以外の茹で麺4を収容する容器、例えば丼型の容器であってもよい。漏斗24の下降距離は、容器の形状(茹で麺4を収容するエリアや容器の深さ等)に応じて予め設定されており、図示しない記憶部等に記憶されている。制御部30は、容器に応じた漏斗24の下降距離を記憶部等から読み出し、決定する。
【0037】
図5に示す初期待機状態において、制御部30は、麺投入検知センサー28による検知結果を取得し、茹で麺4aが第1ボウル22aに投入されたか否かを判別する(ステップS4)。茹で麺4aが第1ボウル22aに投入されると(ステップS4、Yes)、制御部30は、第1ほぐし液噴霧部46に対して制御信号を出力し、第1ボウル22a内にある茹で麺4aにほぐし液を噴霧させる(ステップS5)。そして、制御部30は、公転駆動部36に対して制御信号を出力し、図6に示す状態となるように、回転盤27を時計周りに90度回転させることにより、第1ボウル22aを第1ポジションAから第2ポジションBに移動させる(ステップS6)。
【0038】
なお、第1自転駆動部38は制御部30の制御により常時第1ボウル22aを自転させているため、茹で麺4a及びほぐし液は第1ボウル22aの自転により撹拌され、ほぐし液は茹で麺4aにまんべんなく付着する。同様に、第2自転駆動部39は第2ボウル22bを、第3自転駆動部40は第3ボウル22cを、第4自転駆動部41は第4ボウル22dを、制御部30の制御に従い常時自転させている。
【0039】
また、茹で麺4aが第1ボウル22aに投入されると(ステップS4、Yes)、制御部30は、ステップS5及びステップS6の処理と同時に、上流側コンベアー12及び麺受けコンベアー14の駆動を再開し、図6に示すように、トレー6aをポジションP1からポジションP2へと移動させる(ステップS7)。また、制御部30は、上流側コンベアー12及び麺受けコンベアー14の駆動を再開させると同時に、図示しない下流側コンベアー駆動部に対して制御信号を出力し、下流側コンベアー16を駆動させる。
【0040】
次に、制御部30は、麺投入検知センサー28による検知結果を取得し、茹で麺4bが第2ボウル22bに投入されたか否かを判別する(ステップS8)。茹で麺4bが第2ボウル22bに投入されると(ステップS8、Yes)、制御部30は、第2ほぐし液噴霧部47に対して制御信号を出力し、第1ボウル22a内にある茹で麺4aにほぐし液を噴霧させる(ステップS9)。そして、制御部30は、公転駆動部36に対して制御信号を出力し、図7に示す状態となるように、回転盤27を時計周りに90度回転させることにより、第1ボウル22aを第2ポジションBから第3ポジションCに移動させる(ステップS10)。第1自転駆動部38は常時第1ボウル22aを自転させているため、茹で麺4a及びほぐし液は第1ボウル22aの自転により撹拌され、ほぐし液は茹で麺4aにまんべんなく付着する。
【0041】
また、茹で麺4bが第2ボウル22bに投入されると(ステップS8、Yes)、制御部30は、ステップS9及びステップS10の処理と同時に、トレー6aをポジションP2からポジションP3へと移動させる(ステップS11)。
【0042】
次に、制御部30は、麺投入検知センサー28による検知結果を取得し、茹で麺4cが第3ボウル22cに投入されたか否かを判別する(ステップS12)。茹で麺4cが第3ボウル22cに投入されると(ステップS12、Yes)、制御部30は、第3ほぐし液噴霧部48に対して制御信号を出力し、第1ボウル22a内にある茹で麺4aにほぐし液を噴霧させる(ステップS13)。そして、制御部30は、公転駆動部36に対して制御信号を出力し、図8に示す状態となるように、回転盤27を時計周りに90度回転させることにより、第1ボウル22aを第3ポジションCから第4ポジションDに移動させる(ステップS14)。第1自転駆動部38は常時第1ボウル22aを自転させているため、茹で麺4a及びほぐし液は第1ボウル22aの自転により撹拌され、ほぐし液は茹で麺4aにまんべんなく付着する。
【0043】
また、茹で麺4cが第3ボウル22cに投入されると(ステップS12、Yes)、制御部30は、ステップS13及びステップS14の処理と同時に、トレー6aをポジションP3からポジションP4へと移動させる(ステップS15)。
【0044】
次に、制御部30は、漏斗駆動部60に対して制御信号を出力し、ステップS3において決定した下降距離分、移動部25を介して漏斗24を下降させる(ステップS16)。第1ボウル22aは、ステップS14の処理により第4ポジションDに位置決めされた時点で開口部が上から下を向くように水平方向を軸として反転し、第1ボウル22a内の茹で麺4aは、投入口24aから漏斗24に投入される。茹で麺4aは、漏斗24の排出口24bから排出され、トレー6内に充填される。制御部30は、エアー噴射部62に対して制御信号を出力し、図3に示すように、漏斗24の内壁面にエアーを噴射させ(ステップS18)、漏斗24内に残存する茹で麺4aを排出させる。そして、制御部30は、漏斗駆動部62に対して制御信号を出力し、移動部25を介して漏斗24を上昇させる(ステップS19)。
【0045】
次に、制御部30は、麺投入検知センサー28による検知結果を取得し、茹で麺4dが第4ボウル22dに投入されたか否かを判別する(ステップS20)。茹で麺4dが第4ボウル22dに投入されると(ステップS20、Yes)、制御部30は、公転駆動部36に対して制御信号を出力し、回転盤27を時計回りに90度回転させることにより、第1ボウル22aを第4ポジションDから第1ポジションAに移動させる(ステップ21)。また、制御部30は、トレー6aをポジションP4(麺受けコンベアー14)から下流側コンベアー16へ搬送させる(ステップS22)。
【0046】
なお、制御部30が1番目の茹で麺4aを1番目のトレー6aに充填するために実行する処理について説明したが、制御部30は、これらの処理と同時に、1ピッチ毎(茹で麺4が茹で麺投入口26から投入される毎)に2番目以降の茹で麺4b,4c,4d…を2番目以降のトレー6b,6c,6d…に充填するための同様の処理を繰り返す。
【0047】
即ち、図9に示すように、(n+2)番目の茹で麺4n+2が噴霧装置2に投入されてから図示しない(n+3)番目の茹で麺4n+3が噴霧装置2に投入されるまでの間(nは1以上の自然数)、制御部30は、n番目の茹で麺4nに対して図4に示すステップS13,S14,S16~S19の処理を実行し、n番目のトレー6nに対して図4に示すステップS15の処理を実行する。
【0048】
同時に、制御部30は、図9に示すように、(n+5)番目のトレー6n+5に対して図4に示すステップS1の処理を行い、(n+3)番目のトレー6n+3に対して図4に示すステップS2~S3の処理を実行する。また同時に、制御部30は、(n+2)番目の茹で麺4n+2に対して図4に示すステップS5,S6の処理を実行し、(n+2)番目のトレー6n+2に対して図4に示すステップS7の処理を実行する。更に同時に、制御部30は、(n+1)番目の茹で麺4n+1に対して図4に示すステップS9,S10の処理を実行し、(n+1)番目のトレー6n+1に対して図4に示すステップS11の処理を実行する。そして、順次上述の処理を繰り返す。
【0049】
この実施の形態に係る麺受け装置2によれば、漏斗24が上下に移動可能に構成されているため、茹で麺4をトレー6の中に正確且つ確実に充填することができる。即ち、トレー6が漏斗24の下方に配置された後、排出口24bがトレー6の中に位置するまで漏斗24を下降させてから、茹で麺4を漏斗24の投入口24aに投入するため、茹で麺4がトレー6からはみ出すことを防止することができる。また、トレー6内に茹で麺4を収容するエリアとは別にめんつゆカップをセットするエリアや薬味を収容するエリアが設けられている場合であっても、茹で麺4を収容するエリア以外のエリアに茹で麺4が流れ込むことを防止することができる。また、茹で麺4がトレー6に充填された後、漏斗24は上昇するため、トレー6が麺受けコンベアー14上を移動する際、漏斗24とトレー6とが接触することもない。
【0050】
また、この実施の形態に係る麺受け装置2によれば、茹で麺4が漏斗24に投入された後、漏斗24の内壁面にエアーを噴射するため、漏斗24内を滑り落ちずに残存した茹で麺4をトレー6の中に確実に充填することができる。したがって、茹で麺4をトレー6に充填する処理の自動化にあたり問題となっていたトレー6からの茹で麺4のはみ出しを解消することができ、省力化・省人化を実現することができる。
図1
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図9