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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20231002BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231002BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20231002BHJP
   C09K 5/14 20060101ALI20231002BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20231002BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20231002BHJP
   H01M 50/229 20210101ALI20231002BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/013
C08L67/00
C09K5/14 E
C08G18/42
C08G18/72
H01M50/229
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022509684
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 KR2020011031
(87)【国際公開番号】W WO2021034099
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0100983
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジョ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・スク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・スク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・グ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒョン・イ
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190188(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/212553(WO,A1)
【文献】特表2018-510463(JP,A)
【文献】特開2013-189625(JP,A)
【文献】特表2020-531265(JP,A)
【文献】特表2020-531279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 18/00-18/87
C09K 5/00-5/20
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分及びフィラー成分を含み、
前記フィラー成分は、 50 粒径が60μm~200μmの範囲内の第1のフィラー、 50 粒径が10μm~30μmの範囲内の第2のフィラー及び 50 粒径が5μm以下の第3のフィラーを含み、
下記一般式1及び一般式2を満たしており、
前記フィラー成分は、前記第1のフィラーを50~80重量%で含み、
前記フィラー成分は、球状フィラーを30~95重量%で含み、
前記フィラー成分は、アルファ相(α-Phase)フィラーを90重量%以下で含み、
硬化後の熱伝導度が3.0W/mK以上である、樹脂組成物。
[一般式1]
2≦W/W≦5
[一般式2]
0.5≦W/W≦3
一般式1及び2においてWは、フィラー成分内の前記第1のフィラーの重量割合であり、Wは、フィラー成分内で前記第2のフィラーの重量割合であり、Wは、フィラー成分内の前記第3のフィラーの重量割合である。
【請求項2】
樹脂組成物は、負荷値が10kgf超過30kgf未満であり、
前記負荷値は、吐出部が直径2mmの円形であるミキサーの吐出部から、1mm/sの等速度で樹脂組成物を押し出すために要する圧力の最大値である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
フィラー成分を91重量%以下の比率で含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
フィラー成分は、第1のフィラーを52~80重量%で含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
フィラー成分は、球状フィラーを30~90重量%含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
フィラー成分は、アルファ相(α-Phase)フィラーを85重量%以下で含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
フィラー成分は、フューム・ド・シリカ、クレー、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化亜鉛(ZnO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、ベーマイト(Boehmite)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))または炭素フィラーを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
樹脂成分は、主剤樹脂または硬化剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
主剤樹脂は、ポリオール樹脂であり、硬化剤は、イソシアネートである、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
ポリオールは、エステルポリオールである、請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
ポリオールは、非晶性ポリエステルポリオールまたは融点が15℃未満であるエステルポリオールである、請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
イソシアネートは、非芳香族ポリイソシアネートである、請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
上部板、下部板及び側壁を有し、前記上部板、下部板及び側壁によって内部空間が形成されているモジュールケースと、
前記モジュールケースの内部空間に存在する複数のバッテリーセルと、
請求項1から12のいずれか一項に記載の樹脂組成物が硬化されて形成され、前記複数のバッテリーセル及び下部板または側壁の少なくとも一つと接触する樹脂層と、を含む、バッテリーモジュール。
【請求項14】
互いに電気的に連結されている、請求項13に記載のバッテリーモジュールを2つ以上含む、バッテリーパック。
【請求項15】
請求項13に記載のバッテリーモジュール又は請求項14に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年08月19日付で提出された大韓民国特許出願第10-2019-0100983号に基づく優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、樹脂組成物に関する。
【0003】
本出願は、さらに前記樹脂組成物の硬化物を含むバッテリーモジュール、及び前記バッテリーモジュールを含むバッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0004】
バッテリーのような電気機器や各種電子機器などを軽量化、小型化、高機能化及び多機能化することは様々な分野で非常に有用である。
【0005】
例えば、自動車に適用されるバッテリーは、より小さく、軽量ながらも大容量で作製されることが要求される。
【0006】
前記軽量化、小型化、高機能化及び多機能化などのために電気機器や電子機器は、高集積化される場合が多い。例えば、大容量のバッテリーモジュールを製造するためには、体積に対してバッテリーセルの数を増やさなければならない。
【0007】
高集積化された電子機器や電気機器は、動作の過程でさらに多くの熱を発生させ、これにより発生する熱を制御する技術がさらに重要になる。
【0008】
熱の制御のための放熱素材として代表的なのは、炭素材料やセラミック素材などの熱伝導性フィラー素材を高分子素材と混合した複合素材である。
【0009】
前記複合素材の熱伝導率を高くすればするほど熱を効果的に制御でき、複合素材の熱伝導率は、一般的に熱伝導性フィラー素材の割合が高くなるほど高くなる。
【0010】
しかし、熱伝導性フィラーの含量が高くなるほど放熱素材の適用過程において問題が発生する場合がある。
【0011】
特許文献1には、バッテリーセルから発生した熱を熱伝導性のバッテリーモジュールケースに伝達するために熱伝導性フィラーを導入した放熱素材(放熱接着剤)を用いる内容が開示されている。
【0012】
図1に示されたように、特許文献1では、放熱素材を適用するため、バッテリーモジュールケース10に形成された注入口20にノズルのような注入装置30を挿入し、前記注入装置30を介して放熱素材をバッテリーモジュールケースの内部に注入する。
【0013】
ノズルのように相対的に小さい直径の装置で熱伝導性フィラーを過量含む放熱素材を注入すると、注入過程において装置の内部に大きな圧力が発生し、装置に多くの負荷が加えられる。
【0014】
図1に示されたように、前記放熱素材の注入がバッテリーモジュールケース10の内部にバッテリーセル40が収納された状態で行われる場合、放熱素材が注入される空間が相対的に狭いため、ケース10の内部でも圧力が発生することになり、これは装置により多くの負荷をかける。
【0015】
また、高い熱伝導率の確保のために熱伝導性フィラーを過量含む放熱素材は、前記のような注入過程の中で、フィラーの固まりなどによって装置であるノズル30の内部で固形化され、これらの固形化された成分は、放熱素材が通る通路をさらに狭くし、装置にかかる負荷はさらに大きくなる。
【0016】
前記のような問題は、単に特許文献1のようなバッテリーモジュールの製造過程だけでなく、ノズルのような装置でフィラーを過量含む素材を注入する場合に共通に発生しうる。
【0017】
装置に加えられた前記のような負荷は、装置の寿命を減少させ、これによって製品の不良を誘発するか、または装置の頻繁な交換などによってコストの上昇を誘発する。
【0018】
前記のような問題を解決するためには、素材に含まれるフィラーの含量を減らすことが考えられる。素材におけるフィラーの含量が減少すると、前記工程において装置にかかる負荷を減らすことができる。
【0019】
しかし、フィラーの量を減らすと、フィラーの導入によって得ようとする効果を得ることができない。例えば、熱伝導性フィラーの含量を減らすと、放熱素材の熱伝導率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】韓国公開特許公報第2016-0105354号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本出願は、熱伝導性フィラーを含む樹脂組成物を提供する。
【0022】
本出願は、前記樹脂組成物が目的とする熱伝導率を示すことができる程度の熱伝導性フィラーを含むとともに、ノズルなどの装置によって注入されたときに注入装置にかかる負荷を改善ないし最小化できるようにすることを目的とする。
【0023】
本出願は、さらに前記樹脂組成物やその硬化物を含むバッテリーモジュール、前記バッテリーモジュールを含むバッテリーパック、及び前記バッテリーモジュールまたはバッテリーパックを含む自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本明細書で言及する物性のうち、測定温度がその結果に影響を及ぼす場合には、特に規定のない限り、当該物性は、常温で測定した物性である。用語の常温とは、加温及び感温されない自然そのままの温度であり、通常、約10℃~30℃の範囲内のいずれかの温度または約23℃または約25℃程度の温度を意味する。本明細書において特に言及のない限り、温度の単位は、℃である。
【0025】
本明細書において言及する物性のうち、測定圧力がその結果に影響を及ぼす場合には、特に規定のない限り、当該物性は、常圧で測定した物性である。用語の常圧とは、加圧及び減圧されない自然そのままの圧力であり、通常、約1気圧程度を常圧という。
【0026】
本出願は、樹脂組成物に関する。前記樹脂組成物は、フィラー成分を含む。用語のフィラー成分とは、フィラーからなる成分、すなわちフィラーのみを含む成分を意味する。
【0027】
一例においてフィラー成分は、互いに平均粒径が異なる2種以上のフィラーを含んでもよい。一例において前記フィラー成分は、互いに平均粒径が異なる3種以上のフィラーを含むか、または互いに平均粒径が異なる3種~6種、3種~5種、3種~4種または3種のフィラーからなってもよい。すなわち、一例において、前記フィラー成分は、前記互いに平均粒径が異なる3種~6種、3種~5種、3種~4種または3種のフィラーのみを含んでもよい。
【0028】
他の例において、前記フィラー成分は、レーザー回折法(laser Diffraction)を用いて測定される粒度分布の体積曲線において少なくとも2つのピークを表すことができる。一例において、前記フィラー成分は、前記粒度分布の体積曲線において3つ以上のピークを表すか、または3つ~6つ、3つ~5つ、3つ~4つまたは3つのピークを表すことができる。例えば、3つのピークを表すフィラー成分の範囲には、1つ、2つまたは4つ以上のピークを表すフィラー成分は含まれていない。
【0029】
本出願のフィラーの平均粒径は、レーザー回折法(laser Diffraction)により測定した粒度分布の体積曲線において体積累積が50%になる粒径を意味し、これはメディアン径とも呼ばれる。すなわち、本出願では、前記レーザー回折法により体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において累積値が50%になる地点の粒径を前記平均粒径とし、このような平均粒径は、他の例においてメディアン粒径またはD50粒径とも呼ばれる。
【0030】
したがって、前記で異なる平均粒径を持つ2種のフィラーとは、前記粒度分布の体積曲線において累積値が50%になる地点での粒径が異なるフィラーを意味しうる。
【0031】
通常、フィラー成分を形成するために互いに平均粒径が異なる2種以上のフィラーを混合する場合、前記フィラー成分に対してレーザー回折法(laser Diffraction)を用いて測定した粒度分布の体積曲線では、混合されたフィラーの種類だけのピークが現れる。したがって、例えば、互いに平均粒径が異なる3種のフィラーを混合してフィラー成分を構成した場合、そのフィラー成分に対してレーザー回折法を用いて測定した粒度分布の体積曲線は、3つのピークを表す。
【0032】
本出願の樹脂組成物の前記フィラー成分は、熱伝導性フィラー成分であってもよい。用語の熱伝導性フィラー成分とは、前記樹脂組成物が硬化し、後述する熱伝導率を示すことができるように機能するフィラー成分を意味する。
【0033】
本出願の樹脂組成物は、高い熱伝導率を示すことができる割合で熱伝導性フィラー成分が含まれている状態でも低い負荷値を示すことができる。通常、過量のフィラー成分は、高い負荷値をもたらす。しかし、本出願の樹脂組成物は、フィラー成分に含まれるフィラーの粒径及び/又は割合の調節を通じて負荷値は相対的に低いながらも、硬化して高い熱伝導率を示す樹脂組成物を提供しうる。本出願における負荷値の定義は、後述する。
【0034】
このような樹脂組成物は、適用過程においてノズルなどのように粒径が相対的に小さい装置により注入される場合にも、装置にかかる負荷を最小化するか、または無くすことができる。
【0035】
一例において、前記樹脂組成物は、バッテリーモジュールまたはバッテリーパックに使用される樹脂組成物であってもよく、具体的には、前記特許文献1のような形態のバッテリーモジュールまたはバッテリーパックを構成するために使用される樹脂組成物であってもよい。したがって、例えば、本出願の樹脂組成物は、後述するように、バッテリーモジュールのケースの内部に注入され、バッテリーモジュール内に存在する一つ以上のバッテリーセルと接触してバッテリーモジュール内でバッテリーセルを固定させるのに使用される組成物であってもよい。本出願の樹脂組成物は、例えば、接着剤組成物であってもよい。
【0036】
前記樹脂組成物は、樹脂成分及びフィラーを含み、前記フィラーは、少なくとも平均粒径が60μm~200μmの第1のフィラー、平均粒径が10μm~30μmの範囲内である第2のフィラー及び平均粒径が5μm以下の第3のフィラーを含んでもよい。一例において、前記樹脂成分は、主剤樹脂と硬化剤を含んでもよい。樹脂組成物がウレタン組成物である場合に前記主剤樹脂は、ポリオールであり、硬化剤は、イソシアネートであってもよい。
【0037】
一例において、前記フィラー成分は、下記一般式1及び一般式2を満たす。
【0038】
[一般式1]
2≦W/W≦5
【0039】
[一般式2]
0.5≦W/W≦3
【0040】
一般式1及び2においてWは、フィラー成分内の前記第1のフィラーの重量割合であり、Wは、フィラー成分内で前記第2のフィラーの重量割合であり、Wは、フィラー成分内で前記第3のフィラーの重量割合である。
【0041】
前記重量割合W、W及びWは、フィラー成分に含まれる全フィラーの重量を100重量%とするとき、第1~第3のフィラーのそれぞれの重量割合(重量%)である。
【0042】
前記第1のフィラーは、他の例として、平均粒径が約62μm以上、64μm以上、66μm以上または約68μm以上であるか、及び/又は約195μm以下、190μm以下、185μm以下、180μm以下、175μm以下、170μm以下、165μm以下、160μm以下、155μm以下、150μm以下、145μm以下、140μm以下、135μm以下、130μm以下、125μm以下、約120μm以下、115μm以下、110μm以下、105μm以下、100μm以下、95μm以下、90μm以下、85μm以下、80μm以下または約75μm以下であってもよい。
【0043】
前記第2のフィラーは、他の例として、平均粒径が約12μm以上、13μm以上、14μm以上、15μm以上、16μm以上、17μm以上、18μm以上、19μm以上または20μm以上であるか、及び/又は約29μm以下、28μm以下、27μm以下、26μm以下、25μm以下、24μm以下、23μm以下、22μm以下、21μm以下または約20μm以下であってもよい。
【0044】
前記第3のフィラーは、他の例として、平均粒径が約0.01μm以上、0.1μm以上、約0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上または2μm以上であってもよく、及び/又は約5μm以下、4.5μm以下、約4μm以下、3.5μm以下、3μm以下、2.5μm以下または2μm以下程度であってもよい。
【0045】
前記フィラー成分において第1のフィラーの平均粒径D1と第3のフィラーの平均粒径D3の割合D1/D3は、25~300の範囲内であってもよい。
【0046】
一例において、前記第3のフィラーは、フィラー成分が互いに平均粒径の異なる2種以上のフィラーを含むとき、フィラー成分に含まれるフィラーの中で、平均粒径が最も小さいフィラーであってもよく、前記第1のフィラーは、フィラー成分が互いに平均粒径が異なる2種以上のフィラーを含むとき、フィラー成分に含まれるフィラーの中で、平均粒径が最も大きいフィラーであってもよい。このような状態で前記粒径の比率が満足され得る。
【0047】
前記割合D1/D3は、他の例において、26以上、27以上、28以上、29以上、30以上、31以上、32以上、33以上、34以上、35以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、110以上、120以上、130以上、140以上、150以上、160以上、170以上、180以上、190以上、200以上、210以上、220以上、230以上または235以上の範囲内及び/又は290以下、280以下、270以下、260以下、250以下、240以下、220以下、200以下、180以下、160以下、140以下、120以下、約100以下、95以下、90以下、85以下、80以下、約75以下、70以下、65以下または約60以下の範囲内でさらに調節されてもよい。
【0048】
また、前記フィラー成分において、前記第1のフィラーの平均粒径D1と第2のフィラーの平均粒径D2の割合D1/D2は、約3~20の範囲内であってもよい。前記割合D1/D2は、他の例において3.1以上、3.2以上、3.3以上、3.4以上または3.5以上であってもよく、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下または4以下程度であってもよい。
【0049】
一般式1のW/W値は、他の例として、約2.1以上、2.2以上、2.3以上、約2.4、約2.5以上、約2.6以上、約2.7以上、約2.8以上、約2.9以上または約3以上であってもよく、及び/又は4.9以下、4.8以下、4.7以下、4.6以下、4.5以下、4.4以下、4.3以下、4.2以下、4.1以下、4.0以下、3.9以下、3.8以下、3.7以下、3.6以下、3.5以下、3.4以下、3.3以下、3.2以下、3.1以下、3.0以下、2.9以下、2.8以下、2.7以下、2.6以下または2.5以下であってもよい。
【0050】
一般式2のW/W値は、他の例として、約0.6以上、0.7以上、0.8以上、約0.9以上、1以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上または1.5以上であってもよく、及び/又は2.9以下、2.8以下、2.7以下、2.6以下、2.5以下、2.4以下、2.3以下、2.2以下、2.1以下、2.0以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下または0.5以下程度であってもよい。
【0051】
熱伝導度に優れた樹脂層を形成するためには、樹脂組成物にフィラーが過量適用されなければならなず、フィラーが過量適用されると、樹脂組成物の粘度が大きく上昇し、注入装置に過負荷が発生し、注入装置の残圧により樹脂成分が抜けて出て注入装置の樹脂組成物を吐出する部位には、フィラーが固まって硬い固形物が形成されて注入装置の寿命を短縮させる恐れがある。
【0052】
本出願において固形物が硬いという意味は、固形物の硬度が60gf以上程度であることを意味しうる。一方、前記固形物の硬度は、一定の大きさに裁断された固形物の試験片に加圧手段を用いて3mm/sの等速度で加圧するとき、前記試験片を加圧したときから加圧手段に印加される力を測定し始め、加圧したときから約0.5秒経過した時点での加圧手段に印加される力(gf)を意味しうる。このような固形物の硬度は、本明細書の実施例で記述する方式により測定しうる。
【0053】
前記範囲の平均粒径を有する第1のフィラー~第3のフィラーの含量が前記一般式1及び前記一般式2を満たす場合、樹脂組成物を注入する注入装置の過負荷を改善することができ、注入装置の残圧により樹脂成分が抜けて出てフィラーが固まる現象が発生しても硬い固形物が発生することを防止できるので、固形物の除去が容易であり、また注入装置の寿命を改善させることができる。
【0054】
前記樹脂組成物は、硬化後の熱伝導率が3.0W/mK以上であってもよく、例えば、前記熱伝導率を有する樹脂層を形成してもよい。他の例として、前記樹脂層は、熱伝導率が約50W/mK以下、45W/mK以下、40W/mK以下、35W/mK以下、30W/mK以下、25W/mK以下、20W/mK以下、15W/mK以下、約10W/mK以下、9W/mK以下、8W/mK以下、7W/mK以下、6W/mK以下、5W/mK以下または4W/mK以下程度であってもよい。樹脂層の熱伝導率は、例えば、ASTM D5470規格またはISO 22007-2規格に基づいて測定しうる。硬化して少なくとも3.0W/mK以上の熱伝導率を示す樹脂組成物は、様々な用途で有用であり、特にバッテリーモジュールの内部で発生する熱を外部に放出するのに効果的である。
【0055】
本出願の樹脂組成物は、低い負荷値を示すことができる。例えば、前記樹脂組成物は、負荷値が30kgf未満であってもよい。
【0056】
本出願において、負荷値は、樹脂組成物がノズルのような狭い直径の装置によって注入される場合、当該装置にどの程度の負荷がかかるのかを定量化した数値である。例えば、樹脂組成物が主剤組成物と硬化剤組成物を含む2液型であれば、前記負荷値は、前記主剤組成物と硬化剤組成物の混合直後に測定された値である。
【0057】
負荷値は、後述する実施例項目の方式で測定してもよい。すなわち、負荷値は、スタティックミキサーのように前記ノズルのような狭い直径の装置を模写できる装置を用いて樹脂組成物を押し出しながら、前記押し出す過程でかかる力によって測定してもよい。
【0058】
前記負荷値は、樹脂組成物がスタティックミキサー(吐出部が直径2mmの円形で、エレメントの数が16のstepped型スタティックミキサー)(例えば、Sulze社、MBH-06-16T)の内部を経て前記ミキサーの吐出部に吐出されるように等速度(1mm/s)で前記樹脂組成物を押し出すときにかかる力の最大値であってもよい。樹脂組成物を押し出すときには、一般的なTA(Texture analyzer)装置を使用してもよい。
【0059】
樹脂組成物が2液型の場合には、前記スタティックミキサーの前端部に2つのカートリッジを連結し、前記2つのカートリッジに主剤及び硬化剤組成物をそれぞれロードした後、これをスタティックミキサーで内部に等速度で注入しながら同様に負荷値を測定してもよい。
【0060】
負荷値は、前記方式によりスタティックミキサーの吐出部に樹脂組成物が最初に吐出されるときから加圧手段(TA装置)に印加される力を測定し始め、前記力が最大値となる地点で測定してもよい。
【0061】
通常、前記のような方式で前記力を測定すると、当該力は、時間が経つにつれて増加して再び減少するか、または増加してこれ以上増加しないことになるが、前記負荷値は、前記減少される前の力の最大値であるか、またはこれ以上増加しないことになる最大の力である。
【0062】
前記負荷値は、他の例において、10kgf超過、11kgf超過、12kgf超過、13kgf超過、14kgf超過、15kgf超過、16kgf超過、17kgf超過、18kgf超過、19kgf超過、20kgf超過、21kgf超過、22kgf超過、23kgf超過または24kgf超過であるか、及び/又は29kgf未満、28kgf未満、27kgf未満または約26kgf未満程度であってもよい。
【0063】
樹脂組成物が前記のような負荷値を持つ場合、ノズルやスタティックミキサーのように吐出口の口径が狭い装置を用いて樹脂組成物を吐出する場合にも装置に加わる負担を最小限に抑えながら効果的に工程を進めることができる。このような樹脂組成物は、様々な用途で非常に有用であり、特に、後述するような特定構造のバッテリーモジュールの形成に有利である。
【0064】
通常、負荷値が低いほど装置にかかる負担が少ないが、負荷値が低すぎると、樹脂組成物の注入後にオーバーフロー(overflow)が発生するか、または樹脂組成物の保存安定性が低下することがあるので、前述した範囲で負荷値が定められることが適切であると言える。
【0065】
本出願の実施例では、樹脂組成物の負荷値は、カートリッジとミキサーが結合している混合機(装置)を用いて測定し、図2は、前記装置を例示的に示したものである。前記混合機1は、2つのカートリッジ2及び1つのミキサ5を含み、カートリッジは、加圧手段3を有してもよい。
【0066】
前記で適用されるカートリッジ2は、特に制限されず、主剤組成物及び硬化剤組成物を収容できるのであれば、公知のカートリッジを用いてもよい。一具体例において、主剤組成物または硬化剤組成物を収容するカートリッジの直径は、約15mm~約20mmの円形で、主剤組成物または硬化剤組成物を吐出する第1の吐出部4a、4bの直径は、約2mm~約5mmの円形で、高さは、約80mm~約300mmで、全容量は、約10ml~約100mlであってもよい。
【0067】
前記カートリッジ2a、2bは、加圧手段3a、3bを有してもよい。前記加圧手段3a、3bは、特に制限されず、公知の加圧手段を用いてもよい。一例として、前記加圧手段は、TA(Texture ananlyer)を用いてもよい。前記加圧手段3a、3bは、カートリッジ2a、2bを加圧して、カートリッジ内部の主剤組成物及び硬化剤組成物をミキサー5によって吐出させることができる。加圧手段3a、3bの加圧速度は、約0.01~約2mm/sであってもよい。例えば、加圧速度は、約0.01mm/s以上、0.05mm/s以上または約0.1mm/s以上であってもよく、約1.5mm/s以下、約1mm/s以下、0.8mm/s以下、0.6mm/s以下、0.4mm/s以下または約0.2mm/s以下であるか、または約1mm/s程度であってもよい。
【0068】
前記ミキサー5としては、スタティックミキサーを使用してもよい。一具体例において、前記スタティックミキサー5は、2つのカートリッジ2a、2bから主剤組成物及び硬化剤組成物をそれぞれ収容する2つの収容部6a、6b及び前記スタティックミキサー5によって混合された樹脂組成物を吐出する1つの第2の吐出部7を有し、収容部6a、6bのサイズは、それぞれ直径が約2mm~約5mmの円形で、第2の吐出部7の直径は、約1mm~約3mmの円形で、エレメントの個数は、約5~約20個であってもよい。
【0069】
前記ミキサーの容量は、下記一般式2の範囲を満たす容量を有してもよい。
【0070】
[一般式2]
V<t2/td×Q
【0071】
一般式2において、Vは、スタティックミキサーの容量であり、t2は、樹脂組成物の粘度が2倍になる時間で、tdは、ディスフェンシング工程時間で、Qは、工程単位時間当たり注入量である。スタティックミキサーの容量が粘度が2倍になる時間t2に対して大きい場合、単位工程当たり使用量を超えて滞留する時間が増加して粘度が上昇し、工程速度が遅くなったり、ひどい場合に樹脂組成物が硬化してミキサーが詰まるおそれがある。
【0072】
一例において、前記フィラー成分は、前記樹脂組成物100重量部内に約91重量部以下の割合で存在してもよい。他の例において、前記フィラー成分は、樹脂組成物100重量部内に約90.5重量部以下、90.0重量部以下、89.5重量部以下、89.0重量部以下、88.5重量部以下または88.0重量部以下の割合で含まれてもよく、前記フィラー成分は、前記樹脂組成物100重量部内に約70重量部以上、71重量部以上、72重量部以上、73重量部以上、74重量部以上、約75重量部以上、76重量部以上、77重量部以上、78重量部以上、79重量部以上、80重量部以上、81重量部以上、82重量部以上、83重量部以上、84重量部以上、85重量部以上、86重量部以上、87重量部以上または88重量部以上の割合で存在してもよい。
【0073】
他の例において、前記フィラー成分の前記樹脂組成物内での割合は、約91重量%以下の割合で存在してもよい。他の例として、前記フィラー成分は、樹脂組成物内に約90.5重量%以下、90.0重量%以下、89.5重量%以下、89.0重量%以下、88.5重量%以下または88.0重量%以下の割合で含まれてもよく、前記フィラー成分は、前記樹脂組成物内に約70重量%以上、71重量%以上、72重量%以上、73重量%以上、74重量%以上、約75重量%以上、76重量%以上、77重量%以上、78重量%以上、79重量%以上、80重量%以上、81重量%以上、82重量%以上、83重量%以上、84重量%以上、85重量%以上、86重量%以上、87重量%以上または88重量%以上の割合で存在してもよい。
【0074】
フィラー成分の含量が多すぎると、樹脂組成物を注入する注入装置に過負荷が発生して注入装置の寿命を縮めることがあり、前記含量が少な過ぎると、樹脂組成物が硬化して具現する熱伝導率が低くなりうるが、前記範囲で適正な熱伝導率と負荷値の確保が可能である。
【0075】
一例において、第1のフィラーは、フィラー成分の計100重量部内に約50重量部~約80重量部の範囲内の割合で存在してもよい。前記第1フィラーのフィラー成分内での割合は、他の例として、約52重量部以上、54重量部以上、約56重量部以上または約58重量部以上であってもよく、約78重量部以下、76重量部以下、74重量部以下、約72重量部以下、約70重量部以下、約68重量部以下、約66重量部以下または約64重量部以下の割合で含まれてもよい。
【0076】
他の例において、前記第1フィラーのフィラー成分内での割合は、約50~約80重量%の範囲内であってもよい。前記第1のフィラーのフィラー成分内での割合は、他の例として、約52重量%以上、54重量%以上、約56重量%以上または約58重量%以上であってもよく、約78重量%以下、76重量%以下、74重量%以下、約72重量%以下、約70重量%以下、約68重量%以下、約66重量%以下または約64重量%以下であってもよい。
【0077】
第1のフィラーの含量が前記範囲内の割合で樹脂組成物に含まれる場合、前記一般式1を満たすのに有利であり、したがって、注入装置の過負荷を防止でき、また、硬い固形物の発生を防止できるので、注入装置の寿命を改善するのに有利である。
【0078】
一例において、フィラー成分は、球状フィラーを30重量%以上含んでもよい。通常、フィラーの形態が球状であれば、より高い熱伝導率を達成することに有利ではない。すなわち、熱伝導率の側面では、フィラーとして非球状を使用する方が有利である。しかし、フィラーが非球状であるときに負荷値や、固形物の硬度の側面では有利ではないため、一定水準以上の球状フィラーをフィラー成分に含めることにより、前記負荷値及び固形物の硬度側面で有利な効果を発揮しうる。また、本出願の組成によれば、前記のような球状フィラーの含量下でも高い熱伝導率を達成しうる。他の例において、フィラー成分内の球状フィラーの含量は、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上または95重量%以上であってもよい。前記球状フィラーのフィラー成分内での含量の上限は、前記熱伝導率、負荷値及び固形物の硬度特性を考慮し、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下または75重量%以下の範囲内で調節されてもよい。
【0079】
例えば、フィラー成分内で非球状フィラーが存在すると、その非球状フィラーとしては、平均粒径の小さいフィラーが選ばれることが有利である。例えば、フィラー成分が、前記第1~第3のフィラーを含む場合、第3のフィラーとして非球状フィラーが選ばれてもよい。
【0080】
用語の球状フィラーとは、球形度が0.9以上のフィラーである。他の例において、球状フィラーの球形度は、0.95以上であってもよい。したがって、球形度が0.9未満のフィラーは、非球状フィラーである。
【0081】
前記球形度は、粒子の粒形分析を通じて確認しうる。一具体例において、フィラーの球形度(sphericity)は、粒子の表面積Sとその粒子と同じ体積を持つ球の表面積S’の割合S'/Sで定義できる。実際の粒子に対しては、一般的に真円度(circularity)を使用する。前記真円度は、実際の粒子の2次元画像を求めて画像の境界Pと同じ画像と同じ面積Aを持つ円の境界の比で表し、下記数式により求められる。
【0082】
<真円度数式>
真円度=4πA/P
【0083】
前記真円度は、0から1までの値で表され、完璧な円は、1の値を有し、不規則な形態の粒子であるほど1より低い値を持つことになる。
【0084】
一例として、前記フィラー成分は、アルファ相(α-Phase)のフィラー(例えば、アルファ相アルミナフィラーなど)を全フィラー100重量%基準で90重量%以下の割合で含んでもよい。通常、フィラーがアルファ相である場合に熱伝導率の確保に有利である。しかし、アルファ相フィラーが増加しすぎると、負荷値や固形物硬度の側面で不利である。したがって、本出願においてフィラー成分が含むアルファ相の割合は、前記範囲内であってもよい。本出願の組成によると、アルファ相の割合が前記のように制限される場合でも高い熱伝導率の達成が可能であり、また負荷値及び固形物硬度特性でも有利な結果が得られる。他の例として、前記フィラー成分は、前記アルファ相を全体フィラー100重量%基準で約40重量%以上、約42重量%以上、44重量%以上、46重量%以上、48重量%以上、50重量%以上、52重量%以上または54重量%以上の範囲内で含むか、または85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、約70重量%以下、65重量%以下または60重量%以下で含んでもよい。
【0085】
フィラー成分内のアルファ相(α-Phase)の割合を求める方式は、特に制限されるものではない。すなわち、通常のXRD分析を通じてフィラー成分内のフィラーの結晶相(例えば、アルミナの場合にアルファまたはベータガンマ相など)を分析した後、その結晶相内のアルファ相の割合を確認すればよい。
【0086】
一例として、前記フィラー成分は、熱伝導性フィラー成分であってもよい。前述したように用語の熱伝導性フィラーは、樹脂組成物が硬化して、約3.0W/mK以上の熱伝導率を示すように機能するフィラー成分である。このようなフィラー成分は、熱伝導率が約1W/mK以上、5W/mK以上、10W/mK以上または約15W/mK以上の材料からなるフィラーを含んでもよい。前記材料の熱伝導率は、他の例において、約400W/mK以下、350W/mK以下または約300W/mK以下であってもよい。このような材料の種類は、特に制限されず、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)またはベーマイト(Boehmite)などのようなセラミック素材が例示される。
【0087】
フィラー成分は、前記のような熱伝導性フィラーの他にも、必要な場合に様々な種類のフィラーを含んでもよいが、例えば、グラファイト(graphite)などのような炭素フィラーやフューム・ド・シリカ、クレー、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))または炭酸カルシウム(CaCO)などのようなフィラーなどが適用されてもよい。
【0088】
一例において、前記フィラー成分の含湿量(水分含有量)は、約1,000ppm以下であってもよい。前記含湿量は、相対湿度10%、ドリフト(drift)5.0以下の条件で、karl fishcer滴定機(KR831)で測定してもよい。このとき、前記含湿量は、樹脂組成物に使用される全フィラー成分に対する平均含湿量であってもよい。本出願では、前記条件を満たすフィラー成分を選択的に使用してもよく、または使用しようとするフィラー成分を約200℃温度のオーブンで乾燥する方式などにより前記含湿量の範囲を満たすようにフィラーの水分含量を調節してもよい。さらに一例において、前記フィラー成分の含湿量の上限は、約800ppm以下、600ppm以下、または約400ppm以下であってもよく、そして、その下限は約100ppm以上または約200ppm以上であってもよい。
【0089】
一例として、本出願の樹脂組成物は、常温硬化性組成物が使用されてもよい。常温硬化性組成物とは、樹脂組成物の硬化反応が常温で開始され、常温で進行する組成物を意味する。一例として主剤樹脂及び硬化剤が常温で混合された直後、常温で硬化が開始され、常温で維持された状態で硬化が進行される。
【0090】
一例において、前記樹脂組成物は、接着剤組成物であってもよい。用語の接着剤組成物とは、硬化前または後に接着剤を形成できる組成物である。このような樹脂組成物に含まれる樹脂成分の種類は、特に制限されるものではない。
【0091】
本出願において用語の樹脂成分の範囲には、一般的に樹脂として知られている成分はもちろん、硬化反応や重合反応を経て樹脂に転換できる成分も含む。
【0092】
一例において、前記樹脂成分としては、接着剤樹脂または接着剤樹脂を形成できる前駆体を適用してもよい。これらの樹脂成分の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、EVA(Ethylene vinyl acetate)樹脂またはシリコン樹脂などや、ポリオールまたはイソシアネート化合物などの前駆体などがあるが、これに制限されるものではない。
【0093】
一例において、本出願の樹脂組成物は、1液型樹脂組成物であるか、または2液型樹脂組成物であってもよい。2液型樹脂組成物は、公知のように主剤組成物と硬化剤組成物に分離されており、この分離された2つの組成物を混合して反応させることにより樹脂を形成させることができるが、本出願の樹脂組成物が2液型である場合に前記樹脂成分とフィラー成分を含む樹脂組成物は、前記主剤組成物であるか、硬化剤組成物であるか、それらの混合物であるか、それらの混合後の反応を経た後の状態を指すことができる。
【0094】
また、樹脂組成物が、例えば、主剤組成物と硬化剤組成物を含む2液型樹脂組成物である場合に主剤組成物は、主剤樹脂としては、シリコン樹脂、ポリオール樹脂、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂を含んでもよく、硬化剤組成物は硬化剤として、主剤樹脂に適した公知の硬化剤を含んでもよい。一例として、主剤樹脂がシリコン樹脂である場合には、硬化剤としては、シロキサン化合物を用いてもよく、主剤樹脂がポリオール樹脂である場合には、硬化剤としては、イソシアネート化合物を用いてもよく、主剤樹脂がエポキシ樹脂である場合には、硬化剤としては、アミン化合物を用いてもよく、主剤樹脂がアクリル樹脂である場合には、硬化剤としては、イソシアネート化合物を用いてもよい。
【0095】
一例において、前記樹脂組成物は、ウレタン樹脂組成物であってもよく、2液型ウレタン樹脂組成物であってもよい。ウレタン樹脂組成物である樹脂組成物は、主剤樹脂と硬化剤を含むが、前記主剤樹脂としてポリオールを含み、硬化剤としてイソシアネートを含んでもよい。また、用語の2液型ウレタン樹脂組成物は、主剤組成物と硬化剤組成物を配合して樹脂を形成できる組成物であり、このときに前記主剤と硬化剤の反応によりポリウレタンが形成されてもよい。本出願の樹脂組成物は、一例において2液型ウレタン樹脂組成物の主剤組成物、2液型ウレタン樹脂組成物の硬化剤組成物または前記主剤及び硬化剤組成物の混合物であるか、または前記混合物内でウレタン反応によってウレタン樹脂が形成された状態の混合物を指すことができる。
【0096】
前記2液型ウレタン系樹脂組成物の主剤組成物は、少なくともポリオールを含んでもよく、硬化剤組成物は、ポリイソシアネートなどのイソシアネート化合物を含んでもよい。
【0097】
このような場合に、前記2液型ウレタン樹脂組成物の反応によって形成されるウレタン樹脂、すなわち、ポリウレタンは、少なくとも前記ポリオール由来の単位と前記ポリイソシアネート由来の単位を含んでもよい。このような場合、前記ポリオール由来の単位は、前記ポリオールが前記ポリイソシアネートとウレタン反応して形成される単位であり、ポリイソシアネート由来の単位は、前記ポリイソシアネートが前記ポリオールとウレタン反応して形成される単位であってもよい。
【0098】
一例として、主剤樹脂及び硬化剤は、それぞれ約10,000cP以下の粘度を示すことができる。具体的には、主剤樹脂及び硬化剤は、それぞれ粘度の上限が約8,000cP以下、6,000cP以下、4,000cP以下、2,000cPまたは約1,000cP以下であってもよい。好ましくは、前記主剤樹脂及び硬化剤は、それぞれ粘度の上限が約900cP以下、800cP以下、700cP以下、600cP以下、500cP以下、または約400cP以下であってもよい。特に制限されないが、主剤樹脂及び硬化剤は、それぞれ粘度の下限が約50cP以上または約100cP以上であってもよい。粘度が低すぎる場合、工程性は良いかもしれないが、原材料の分子量が低くなることで揮発可能性が高くなり、接着力が劣化することがあるが、前記下限範囲を満たすことにより、このような短所を予防しうる。前記粘度は、例えば、Brookfield LV type粘度計を用いて常温で測定されてもよい。具体的には、約25℃で約90%のトルク及び約100rpmのせん断速度でBrookfield LV type粘度計を用いて測定されてもよい。
【0099】
一例において、前記樹脂組成物は、2液型ウレタン樹脂組成物であってもよい。前記2液型ウレタン樹脂組成物は、ポリオールなどを含む主剤樹脂とイソシアネートなどを含む硬化剤が常温で反応して硬化されてもよい。
【0100】
前記硬化反応は、例えば触媒の助けを受けることができる。それにより、前記2液型ウレタン系組成物は、主剤樹脂(ポリオール)と硬化剤(イソシアネート)が分離された状態、混合された状態または反応した状態をすべて含んでもよい。
【0101】
前記触媒は、例えばスズ系触媒が使用されてもよい。スズ系触媒の一例としてジブチルチンジラウレート(DBTDL:dibutyltin dilaurate)を用いてもよい。
【0102】
前記2液型ウレタン系組成物は、少なくともポリオール樹脂を含む主剤樹脂及び少なくともイソシアネートを含む硬化剤を含むことができるため、前記樹脂組成物の硬化物は、前記ポリオール由来の単位と前記ポリイソシアネート由来の単位をすべて含んでもよい。このとき、前記ポリオール由来の単位は、ポリオールがポリイソシアネートとウレタン反応して形成される単位であり、ポリイソシアネート由来の単位は、ポリイソシアネートがポリオールとウレタン反応して形成される単位であってもよい。
【0103】
一例において、前記主剤に含まれるポリオール樹脂としては、エステルポリオール樹脂が使用されてもよい。エステルポリオールを使用する場合、前述した一般式3を満たすのに有利であり、また、後述する接着力などの物性を満たすのに有利である。
【0104】
一方、前記エステルポリオールは、非結晶性であるか、または十分に結晶性の低いポリオールであってもよい。本明細書において「非結晶性」とは、後述するDSC(Differential Scanning calorimetry)分析において結晶化温度(Tc)と溶融温度(Tm)が観察されない場合を意味する。このとき、前記DSC分析は、10℃/分の速度で-80℃~60℃の範囲内で行われてもよく、例えば、前記速度で25℃から60℃に昇温した後、再び-80℃に減温し、再び60℃に昇温する方式で行われてもよい。また、前記において「十分に結晶性が低い」とは、前記DSC分析において観察される溶融点(Tm)が15℃未満であって、約10℃以下、5℃以下、0℃以下、-5℃以下、-10℃以下または約-20℃以下程度である場合を意味する。このとき、溶融点の下限は特に制限されないが、例えば、前記溶融点は、約-80℃以上、-75℃以上または約-70℃以上であってもよい。ポリオールが結晶性であるか、または前記溶融点の範囲を満たしていないように(常温)結晶性の強い場合には、温度による粘度の差が大きくなりやすいため、前述した一般式3または後述する接着力などの物性を満足させることは難しくなる可能性がある。
【0105】
一例において、前記エステルポリオールとしては、例えば、カルボン酸ポリオールやカプロラクトンポリオールが使用されてもよい。
【0106】
前記カルボン酸ポリオールは、カルボン酸とポリオール(ex.ジオールまたはトリオールなど)を含む成分を反応させて形成してもよく、カプロラクトンポリオールは、カプロラクトンとポリオール(ex.ジオールまたはトリオールなど)を含む成分を反応させて形成してもよい。このとき、前記カルボン酸は、ジカルボン酸であってもよい。
【0107】
一例において、前記ポリオールは、下記化学式1または2で表されるポリオールであってもよい。
【0108】
【化1】
【0109】
【化2】
【0110】
化学式1及び2において、Xは、カルボン酸由来の単位であり、Yは、ポリオール由来の単位である。ポリオール由来の単位は、例えば、トリオール単位またはジオール単位であってもよい。また、n及びmは、任意の数であってもよく、例えば、nは、2~10の範囲内の数で、mは、1~10の範囲内であってもよく、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~14の範囲内のアルキレンである。
【0111】
本明細書で使用された用語の「カルボン酸由来の単位」とは、カルボン酸化合物の中でカルボキシ基を除いた部分を意味しうる。同様に、本明細書で使用された用語の「ポリオール由来の単位」は、ポリオール化合物の構造の中でヒドロキシ基を除いた部分を意味しうる。
【0112】
すなわち、ポリオールのヒドロキシ基とカルボン酸のカルボキシ基が反応すると、縮合反応により水(HO)分子が脱離してエステル結合が形成される。このようにカルボン酸が縮合反応によってエステル結合を形成する場合、カルボン酸由来の単位は、カルボン酸の構造の中で前記縮合反応に参与しない部分を意味しうる。また、ポリオール由来の単位は、ポリオールの構造の中で前記縮合反応に参与しない部分を意味しうる。
【0113】
また、化学式2のYもポリオールがカプロラクトンとエステル結合を形成した後にそのエステル結合を除いた部分を示す。すなわち、化学式2においてポリオール由来の単位、Yは、ポリオールとカプロラクトンがエステル結合を形成する場合、ポリオールの構造の中で、前記エステル結合に参与しない部分を意味しうる。エステル結合は、それぞれ化学式1及び2において表示されている。
【0114】
一方、前記化学式においてYのポリオール由来の単位がトリオール単位のように3つ以上のヒドロキシ基を含むポリオールから由来した単位である場合、前記化学式構造においてY部分には、分枝が形成された構造が具現されてもよい。
【0115】
前記化学式1において、Xのカルボン酸由来単位の種類は、特に制限されないが、目的とする物性の確保のために脂肪酸化合物、2つ以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、2つ以上のカルボキシル基を有する脂環族化合物及び2つ以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物からなる群から選ばれた一つ以上の化合物から由来した単位であってもよい。
【0116】
前記2つ以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物は、一例としてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸またはテトラクロロフタル酸であってもよい。
【0117】
前記2つ以上のカルボキシル基を有する脂環族化合物は、一例としてテトラヒドロフタル酸またはヘキサヒドロフタル酸テトラクロロフタル酸であってもよい。
【0118】
また、前記2つ以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物は、一例としてシュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、リンゴ酸、グルタル酸、マロン酸、ピメル酸、スベル酸、2,2-ジメチルコハク酸、3,3-ジメチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸であってもよい。
【0119】
後述する範囲の低いガラス転移温度を考慮すると、芳香族カルボン酸由来の単位よりは脂肪族カルボン酸由来の単位が好ましい。
【0120】
一方、化学式1及び2においてYのポリオール由来の単位の種類は、特に制限されないが、目的とする物性の確保のため、2つ以上のヒドロキシ基を有する脂環族化合物及び2つ以上のヒドロキシ基を有する脂肪族化合物からなる群から選ばれる一つ以上の化合物に由来してもよい。
【0121】
前記2つ以上のヒドロキシ基を有する脂環族化合物は、一例として1,3-シクロヘキサンジメタノールまたは1,4-シクロヘキサンジメタノールであってもよい。
【0122】
また、前記2つ以上のヒドロキシ基を有する脂肪族化合物は、一例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-エチルヘキシルジオール、1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリンまたはトリメチロールプロパンであってもよい。
【0123】
一方、前記化学式1においてnは、任意の数であり、その範囲は、樹脂組成物またはその硬化物である樹脂層が目的とする物性を考慮して選ばれてもよい。例えば、nは、約2~10または2~5であってもよい。
【0124】
また、前記化学式2においてmは、任意の数であり、その範囲は、樹脂組成物またはその硬化物である樹脂層が目的とする物性を考慮して選ばれてもよい。例えば、mは、約1~10または1~5であってもよい。
【0125】
化学式1及び2においてnとmが前記範囲を外れると、ポリオールの結晶性発現が強くなり、組成物の注入工程性に悪影響を及ぼしうる。
【0126】
化学式2においてR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~14の範囲内のアルキレンである。炭素数は、樹脂組成物またはその硬化物である樹脂層が目的とする物性を考慮して選ばれてもよい。
【0127】
前記ポリオールの分子量は、粘度、耐久性または接着性などを考慮して調節されてもよく、例えば、約300~約2,000の範囲内であってもよい。特に規定のない限り、本明細書において「分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)であってもよい。前記範囲から外れる場合、硬化後に樹脂層の信頼性に欠けるか、または揮発成分に関連した問題が発生することがある。
【0128】
本出願において、硬化剤に含まれるイソシアネートの種類は、特に制限されないが、目的とする物性の確保のため、芳香族基を含んでいない非芳香族イソシアネート化合物を使用してもよい。芳香族ポリイソシアネートを使用する場合、反応速度が速すぎて、硬化物のガラス転移温度が高くなることがあるため、前述した一般式3または後述する接着力など物性を満足させることは難しくなる可能性がある。
【0129】
非芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネートまたはテトラメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンジイソシアネートまたはジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、または前記いずれか一つ以上のカルボジイミド変性ポリイソシアネートやイソシアヌレート変性ポリイソシアネートなどが使用されてもよい。また、前記羅列された化合物のうち2以上の混合物が使用されてもよい。
【0130】
一方、前記2液型樹脂組成物に含まれる樹脂成分は、硬化後に0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有してもよい。前記ガラス転移温度の範囲を満たす場合、バッテリーモジュールやバッテリーパックが使用可能な低い温度でもブリトル(brittle)な特性を比較的短時間で確保でき、それによって耐衝撃性や耐振動特性が保障されることができる。一方、前記範囲を満たさない場合には、硬化物の粘着特性(tacky)が高すぎるか、または熱安定性が低下する可能性がある。一例において、前記硬化後の2液型樹脂組成物が有するガラス転移温度の下限は、約-70℃以上、-60℃以上、-50℃以上、-40℃以上又は約-30℃以上であってもよく、その上限は、約-5℃以下、-10℃以下、-15℃以下、又は約-20℃以下であってもよい。
【0131】
本出願において硬化後という表現は、真硬化と同じ意味で使用されてもよい。真硬化とは、バッテリーモジュールを製造するためにモジュール内に注入された樹脂組成物が、実際の放熱などの機能を行うほど十分に硬化したとみられる状態を意味しうる。ウレタン樹脂を例に挙げて説明すると、真硬化は、常温及び30%~70%の相対湿度の条件で24時間硬化を基準に、FT-IR分析を通じて確認される2250cm-1付近でのNCOピーク基準転換率(conversion)が80%以上であることから確認しうる。
【0132】
一方、樹脂組成物内で前記ポリオール樹脂成分とポリイソシアネート成分の割合は、特に制限されず、これらの間でウレタン反応が可能なように適切に調節されてもよい。
【0133】
一例として、本出願の樹脂組成物が有する粘度値は、約500,000cP以下であってもよい。その下限は、例えば、約150,000cP以上であってもよい。一例として樹脂組成物が有する粘度値は、約450,000cP以下、400,000cP以下または約350,000cP以下であってもよく、約160,000cP以上、180,000cP以上または約200,000cP以上であってもよい。
【0134】
一方、前記樹脂組成物の粘度は、主剤樹脂組成物と硬化剤組成物を混合して硬化反応が開始された後、常温で1分以内に流変物性測定器(ARES)を用いて0.01~10.0/sまでのせん断速度(Shear rate)の範囲で測定するとき、2.5/sの地点で測定された粘度値であってもよい。
【0135】
樹脂組成物が前記範囲の粘度を満たす場合、前述した一般式3を満たすのに有利であり、したがって、樹脂組成物の取り扱い性が改善され得る。
【0136】
前記樹脂組成物は、必要な粘度の調節、例えば、粘度を高くしたり、あるいは下げるため、またはせん断力による粘度の調節のために粘度調節剤、例えば、チキソトロープ剤、希釈剤、分散剤、表面処理剤またはカップリング剤などをさらに含んでもよい。
【0137】
チキソトロープ剤は、樹脂組成物のせん断力による粘度を調節してバッテリーモジュールの製造工程が効果的に行われるようにすることができる。使用できるチキソトロープ剤としては、フューム・ド・シリカなどが例示される。
【0138】
希釈剤や分散剤は、通常、樹脂組成物の粘度を下げるために使用されるもので、前記のような作用を示すことができるのであれば、業界で公知された様々な種類のものを制限なく使用してもよい。
【0139】
表面処理剤は、樹脂層に導入されているフィラーの表面処理のためのもので、前記のような作用を示すことができるのであれば、業界で公知された様々な種類のものを制限なく使用してもよい。
【0140】
カップリング剤の場合、例えば、アルミナのような熱伝導性フィラーの分散性を改善するために使用されてもよく、前記のような作用を示すことができるのであれば、業界で公知された様々な種類のものを制限なく使用してもよい。
【0141】
また、前記樹脂組成物は、難燃剤や難燃助剤などをさらに含んでもよい。この場合、特別な制限なしに公知の難燃剤が使用されてもよく、例えば、固相のフィラー形態の難燃剤や液状難燃剤などが適用されてもよい。難燃剤としては、例えば、メラミンシアヌレート(melamine cyanurate)などのような有機系難燃剤や水酸化マグネシウムなどのような無機系難燃剤などがある。樹脂層に充填されるフィラーの量が多い場合、液状タイプの難燃材料(TEP、Triethyl phosphateまたはTCPP、tris(1,3-chloro-2-propyl)phosphateなど)を使用してもよい。また、難燃上昇剤の作用が可能なシランカップリング剤が追加されてもよい。
【0142】
前記樹脂組成物は、前述したような構成を含んでもよく、また、溶剤型組成物、水系組成物または無溶剤型組成物であってもよいが、製造工程の便宜などを考慮すると、無溶剤型が適切である。
【0143】
本出願の樹脂組成物は、後述する用途に適した物性を有してもよい。
【0144】
一例において、前記樹脂組成物は、主剤樹脂組成物及び硬化剤組成物が硬化反応開始後、常温で60分経過後に測定した漏れ電流が約1mA未満であってもよい。漏れ電流の下限は、特に制限されないが、樹脂組成物の組成などを考慮すると、約0.01mA以上、0.02mA以上0.03mA以上または約0.05mA以上であってもよい。前記漏れ電流は、ISO 6469-3に準拠して測定した。前記漏れ電流の範囲を満たす場合、樹脂組成物が硬化した後に形成される樹脂層は、優れた電気絶縁性を有する。したがって、バッテリーモジュールの性能を維持し、安定性を確保しうる。前記のような漏れ電流も樹脂組成物の成分を調節して制御してもよく、例えば、樹脂組成物内に絶縁性フィラーを適用することにより、前記漏れ電流を調節してもよい。一般的に、熱伝導性フィラーの中で、前述したようなセラミックフィラーは、絶縁性を確保できる成分として知られている。
【0145】
一例において、前記樹脂組成物は、主剤樹脂組成物及び硬化剤組成物が硬化反応開始後、常温で24時間経過後に測定した樹脂組成物の接着力S1が約200gf/10mm以上であってもよい。すなわち、樹脂組成物の硬化後の接着力を意味しうる。他の例として、接着力は、約220gf/10mm以上、250gf/10mm以上、300gf/10mm以上、350gf/10mm以上、400gf/10mm以上、420gf/10mm以上、440gf/10mm以上または約460gf/10mm以上であってもよい。接着力が前記範囲を満たす場合、バッテリーモジュールは、適切な耐衝撃性と耐振動性を確保しうる。前記接着力の上限は、特に制限されず、例えば、約1,000gf/10mm以下、900gf/10mm以下、800gf/10mm以下または700gf/10mm以下、600gf/10mm以下または約500gf/10mm以下程度であってもよい。接着力が高すぎる場合には、樹脂組成物が硬化した後に形成する樹脂層と付着するパウチ部分が破れる恐れがある。具体的には、自動車の走行中の事故によってバッテリーモジュールの形態が変形される程度の衝撃が発生した場合、バッテリーセルが樹脂層を介して非常に強く付着していると、パウチが破れてバッテリー内部の危険物質が露出するか、または爆発することがある。前記接着力は、アルミパウチにに対して測定されてもよい。例えば、バッテリーセルの作製に使用されるアルミパウチを約10mmの幅に切断し、ガラス板上に樹脂組成物をロードし、その上に前記切断したアルミパウチをそのパウチのPET(poly(ethylene terephthalate))面と前記樹脂組成物が接触するようにロードした後、25℃及び50%RHの条件で24時間樹脂組成物を硬化させ、前記アルミニウムパウチを引張試験機(Texture analyzer)で180°の剥離角度と300mm/minの剥離速度で剥離しながら接着性を測定してもよい。
【0146】
さらに一例において、前記樹脂組成物の硬化後の接着力は、高温/高湿下でも相当な水準を維持できる。具体的には、本出願において、前記常温で測定された硬化後の接着力S1に対し、所定の条件で行われる高温/高湿加速化テストを行った後、同じ方法で測定された接着力(S2)が持つ%割合[(S2/S1)×100]は、約70%以上または約80%以上であってもよい。一例において、前記高温/高湿加速化テストは、前記常温接着力を測定するのに使用される試験片と同じ試験片を、40℃~100℃の温度及び75%の相対湿度(RH)以上の湿度条件で10日間保管した後に測定されてもよい。前記接着力及び関係を満たす場合、バッテリーモジュールの使用環境が変化しても、優れた接着耐久性を維持しうる。
【0147】
一例において、前記樹脂組成物は、硬化後に優れた耐熱性を有することができる。これに関連して、本出願の組成物は、フィラーを含んでいない状態で、樹脂成分のみの硬化物に対して測定された熱重量分析(TGA)時、5%重量損失(5%weight loss)の温度が120℃以上であってもよい。また、本出願の組成物は、フィラーを含む状態で、樹脂組成物の硬化物に対して測定された熱重量分析(TGA)時、800℃残量が約70重量%以上であってもよい。前記800℃残量は、他の例において、約75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上または約90重量%以上であってもよい。前記800℃残量は、他の例において、約99重量%以下であってもよい。このとき、熱重量分析(TGA)は、60cm/分の窒素(N)雰囲気下で20℃/分の昇温速度で25℃~800℃の範囲で測定されてもよい。前記熱重量分析(TGA)に関連した耐熱特性は、樹脂及び/又はフィラーの種類やこれらの含量を調節することにより確保しうる。
【0148】
本出願は、さらにバッテリーモジュールに関する。前記モジュールは、モジュールケース及びバッテリーセルを含む。バッテリーセルは、前記モジュールケース内に収納されていてもよい。バッテリーセルは、モジュールケース内に一つ以上存在してもよく、そして複数のバッテリーセルがモジュールケース内に収納されていてもよい。モジュールケース内に収納されるバッテリーセルの数は、用途などに応じて調節されることとして特に制限されない。モジュールケースに収納されているバッテリーセルは、互いに電気的に連結されていてもよい。
【0149】
モジュールケースは、バッテリーセルが収納され得る内部空間を形成する側壁と下部板を少なくとも含んでもよい。また、モジュールケースは、前記内部空間を密閉する上部板をさらに含んでもよい。前記側壁、下部板及び上部板は、互いに一体型に形成されていてもよく、またはそれぞれ分離された側壁、下部板及び/又は上部板が組立されて前記モジュールケースが形成されていてもよい。このようなモジュールケースの形態及びサイズは、特に制限されず、用途や前記内部空間に収納されるバッテリーセルの形態及び個数などによって適宜選ばれてもよい。
【0150】
前記において用語の上部板と下部板とは、モジュールケースを構成している板が少なくとも2つ存在するので、これを区別するために使用される相対的な概念の用語である。すなわち、実際の使用状態において、上部板が必ず上部に存在し、下部板が必ず下部に存在しなければならないということを意味するものではない。
【0151】
図3は、例示的なモジュールケース10を示す図であり、一つの下部板10aと4つの側壁10bを含む箱状のケース10の例示である。モジュールケース10は、内部空間を密閉する上部板10cをさらに含んでもよい。
【0152】
図4は、バッテリーセル20が収納されている図3のモジュールケース10を上部から観察した模式図である。
【0153】
モジュールケースの前記下部板、側壁及び/又は上部板にはホールが形成されていてもよい。前記ホールは、注入工程により樹脂層を形成する場合に、前記樹脂層の形成材料、すなわち、前述した樹脂組成物を注入するのに使用される注入ホールであってもよい。前記ホールの形態、個数及び位置は、前記樹脂層形成材料の注入効率を考慮して調整されてもよい。一例において、前記ホールは、少なくとも前記下部板及び/又は上部板に形成されていてもよい。
【0154】
前記注入ホールが形成されている上部板と下部板などの末端には、観察ホールが形成されてもよい。このような観察ホールは、例えば、前記注入ホールを介して樹脂層材料を注入するとき、注入された材料が当該側壁、下部板または上部板の末端までよく注入されるかどうかを観察するために形成されたものであってもよい。前記観察ホールの位置、形態、サイズ及び個数は、前記注入される材料が適切に注入されたかを確認できるように形成される限り、特に制限されるものではない。
【0155】
前記モジュールケースは、熱伝導性ケースであってもよい。用語の熱伝導性ケースとは、ケース全体の熱伝導度が10W/mK以上であるか、または少なくとも前記のような熱伝導度を有する部位を含むケースを意味する。例えば、前述した側壁、下部板及び上部板の少なくとも一つは、前述した熱伝導率を有してもよい。さらに他の例において、前記側壁、下部板及び上部板の少なくとも一つが前記熱伝導度を有する部位を含んでもよい。例えば、本出願のバッテリーモジュールは、上部板及びバッテリーセルと接触する第1の硬化樹脂層と下部板及びバッテリーセルと接触する第2の硬化樹脂層を含んでもよいが、少なくとも第2の樹脂層は、熱伝導性樹脂層であってもよい。これにより、少なくとも前記下部板は熱伝導性を有するか、または熱伝導性部位を含むことができると言える。
【0156】
前記において熱伝導性である上部板、下部板、側壁、または熱伝導性部位の熱伝導度は、他の例において、約20W/mK以上、30W/mK以上、40W/mK以上、50W/mK以上、60W/mK以上、70W/mK以上、80W/mK以上、90W/mK以上、100W/mK以上、110W/mK以上、120W/mK以上、130W/mK以上、140W/mK以上、150W/mK以上、160W/mK以上、170W/mK以上、180W/mK以上、190W/mK以上または約195W/mK以上であってもよい。前記熱伝導度は、その数値が高いほどモジュールの放熱特性などの面で有利なので、その上限は特に制限されない。一例において、前記熱伝導度は、約1,000W/mK以下、900W/mK以下、800W/mK以下、700W/mK以下、600W/mK以下、500W/mK以下、400W/mK以下、300W/mKまたは約250W/mK以下であってもよいが、これに制限されるものではない。前記のような熱伝導度をを示す材料の種類は、特に制限されず、例えば、アルミニウム、金、銀、タングステン、銅、ニッケルまたは白金などの金属素材などがある。モジュールケースは、全体が前記のような熱伝導性材料からなるか、または少なくとも一部の部位が前記熱伝導性材料からなる部位であってもよい。これにより、前記モジュールケースは、前述した範囲の熱伝導度を有するか、または前述した熱伝導度を有する部位を少なくとも一つ含んでもよい。
【0157】
モジュールケースにおいて前記範囲の熱伝導度を有する部位は、樹脂層及び/又は絶縁層と接触する部位であってもよい。また、前記熱伝導度を有する部位は、冷却水のような冷却媒体と接する部位であってもよい。このような構造を持つ場合、バッテリーセルから発生した熱を効果的に外部に放出しうる。
【0158】
本出願において用語のバッテリーセルとは、電極組立体及び外装材を含んで構成された1つの単位二次電池を意味する。
【0159】
バッテリーモジュールケース内に収納されるバッテリーセルの種類は、特に制限されず、公知の様々なバッテリーセルがすべて適用されてもよい。一例において、前記バッテリーセルは、パウチ型であってもよい。
【0160】
本出願のバッテリーモジュールは、樹脂層をさらに含んでもよい。具体的に、本出願のバッテリーモジュールは、フィラー含有組成物が硬化された硬化樹脂層を含んでもよい。前記硬化樹脂層は、前述した樹脂組成物から形成されてもよい。
【0161】
バッテリーモジュールは、前記樹脂層として前記上部板及びバッテリーセルと接触している第1の硬化樹脂層と前記下部板とバッテリーセルと接触している第2の硬化樹脂層を含んでもよい。前記第1及び第2の硬化樹脂層のうち一つ以上は、前述した樹脂組成物の硬化物を含んでもよく、それによって前述した所定の接着力、耐寒性、耐熱性、及び絶縁性を有してもよい。
【0162】
その他に、第1及び第2の硬化樹脂層は、熱伝導性樹脂層であり、樹脂層の熱伝導度は、前述したように、約3W/mK以上である。一方、前記樹脂層が付着されている下部板、上部板及び/又は側壁などは、前述した熱伝導度が10W/mK以上である部位であってもよい。このとき、前記熱伝導度を示すモジュールケースの部位は、冷却媒体、例えば、冷却水などに接する部位であってもよい。
【0163】
また、前記樹脂層は、難燃性樹脂層であってもよい。本出願において用語の難燃性樹脂層とは、UL 94 V Test(Vertical Burning Test)でV-0等級を示す樹脂層を意味しうる。これにより、バッテリーモジュールで発生しうる火災及びその他の事故に対する安全性を確保しうる。
【0164】
本出願のバッテリーモジュールにおいて前記樹脂層と接触している側壁、下部板及び上部板の少なくとも一つは、前述した熱伝導性の側壁、下部板または上部板であってもよい。一方、本明細書において用語の接触とは、例えば、樹脂層と前記上部板、下部板及び/又は側壁、またはバッテリーセルが直接接触しているか、その間に他の要素、例えば、絶縁層などが存在する場合を意味しうる。また、熱伝導性の側壁、下部板または上部板と接触する樹脂層は、当該対象と熱的に接触してもよい。このときに熱的接触は、前記樹脂層が前記下部板などと直接接触しているか、または前記樹脂層と前記下部板などの間に他の要素、例えば、後述する絶縁層などが存在するが、その他の要素が前記バッテリーセルから樹脂層、そして、前記樹脂層から前記下部板などへの熱の伝達を妨げない状態を意味しうる。前記において熱の伝達を妨げないということは、前記樹脂層と前記下部板などの間に他の要素(ex.絶縁層)が存在する場合でも、該他の要素と前記樹脂層の全体の熱伝導度が約1.5W/mK以上、2W/mK以上、2.5W/mK以上、3W/mK以上、3.5W/mK以上または約4W/mK以上となるか、または前記樹脂層及びそれと接触している下部板などの全体の熱伝導度が前記他の要素がある場合でも前記範囲内に含まれる場合を意味する。前記熱的接触の熱伝導度は、約50W/mK以下、45W/mK以下、40W/mK以下、35W/mK以下、30W/mK以下、25W/mK以下、20W/mK以下、15W/mK以下、10W/mK以下、5W/mK以下、4.5W/mK以下または約4.0W/mK以下であってもよい。このような熱的接触は、前記他の要素が存在する場合に、該他の要素の熱伝導度及び/又は厚さを制御して達成しうる。
【0165】
前記熱伝導性樹脂層は、前記下部板などと熱的に接触しており、また前記バッテリーセルとも熱的に接触していてもよい。前記のような構造の採用を介して一般的なバッテリーモジュールまたはそのようなモジュールの集合体であるバッテリーパックの構成時に、従来要求された様々な締結部品やモジュールの冷却装置などを大幅に減少させながらも放熱特性を確保し、単位体積当たり、より多くのバッテリーセルが収納されるモジュールを具現しうる。これによって、本出願では、より小型で、軽量ながらも高出力のバッテリーモジュールを提供しうる。
【0166】
一例において、前記バッテリーモジュールは、前記モジュールケースと、前記バッテリーセルの間または前記樹脂層と前記モジュールケースの間に絶縁層をさらに含んでもよい。絶縁層を追加することにより、使用過程で発生しうる衝撃によるセルとケースの接触による電気的短絡現象や火災発生などの問題を防止しうる。前記絶縁層は、高い絶縁性と熱伝導性を有する絶縁シートを用いて形成するか、または絶縁性を示す物質の塗布ないしは注入によって形成してもよい。例えば、樹脂組成物の注入前に絶縁層を形成する過程が行われてもよい。絶縁層の形成には、いわゆるTIM(Thermal Interface Material)などが適用されてもよい。他の方式において絶縁層は接着性物質から形成してもよく、例えば、熱伝導性フィラーのようなフィラーの含量が少ないか、またはない樹脂層を用いて絶縁層を形成してもよい。絶縁層の形成に使用できる樹脂成分としては、アクリル樹脂、PVC(poly(vinyl chloride))、PE(polyethylene)などのオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、シリコンや、EPDMラバー((ethylene propylene diene monomer rubber)などのラバー成分などが例示されるが、これに制限されるものではない。前記絶縁層は、ASTM D149に準拠して測定した絶縁破壊電圧が約5kV/mm以上、10kV/mm以上、15kV/mm以上、20kV/mm以上、25kV/mm以上または約30kV/mm以上であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、その数値が高いほど優れた絶縁性を示すもので、特に制限されるものではない。例えば、前記絶縁層の絶縁破壊電圧は、約100kV/mm以下、90kV/mm以下、80kV/mm以下、70kV/mm以下または約60kV/mm以下であってもよい。前記絶縁層の厚さは、その絶縁層の絶縁性や熱伝導性などを考慮して適正範囲に設定してもよく、例えば、約5μm以上、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上または約90μm以上程度であってもよい。また、厚さの上限も特に制限されず、例えば、約1mm以下、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下または約150μm以下であってもよい。
【0167】
本出願は、さらにバッテリーパック、例えば、前述したバッテリーモジュールを2つ以上含むバッテリーパックに関する。バッテリーパックにおいて、前記バッテリーモジュールは、互いに電気的に連結されていてもよい。2つ以上のバッテリーモジュールを電気的に連結してバッテリーパックを構成する方式は、特に制限されず、公知の方式がすべて適用されてもよい。
【0168】
本出願は、さらに前記バッテリーモジュールまたは前記バッテリーパックを含む装置に関する。前記装置の例としては、電気自動車などの自動車が挙げられるが、これに制限されず、2次電池を出力として求める全ての用途が含まれてもよい。例えば、前記バッテリーパックを用いて前記自動車を構成する方式は、特に制限されず、一般的な方式が適用されてもよい。
【発明の効果】
【0169】
本出願の一例によると、樹脂組成物をバッテリーモジュール内に注入する注入装置の寿命が改善され、硬化後に優れた熱伝導度を持つ樹脂組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0170】
図1図1は、樹脂組成物の注入工程を例示的に説明する図である。
図2図2は、本出願において適用できる例示的な混合機を示す。
図3図3は、本出願において適用できる例示的なモジュールケースを示す。
図4図4は、モジュールケース内にバッテリーセルが収納されている形態を概略的に示す。
図5図5は、本出願で適用され得る例示的な固形物発生装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0171】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例により制限されるものではない。
【0172】
1.熱伝導度
樹脂層(樹脂組成物の硬化物の層)の熱伝導率は、ISO 22007-2規格に基づいてホットディスク(Hot-Disk)方式により測定した。具体的には、実施例及び比較例によって製造された主剤組成物及び硬化剤組成物の混合物である樹脂組成物を約7mm程度の厚さのモールドに位置させて、Hot Disk装置を用いてthrough plane方向に熱伝導率を測定した。前記規格(ISO 22007-2)に規定されたように、Hot Disk装置は、ニッケル線が二重スパイラル構造になっているセンサーが加熱されつつ温度の変化(電気抵抗の変化)を測定して熱伝導率を確認できる装置であり、このような規格によって熱伝導率を測定した。
【0173】
2.負荷値の測定
樹脂組成物の負荷値(kgf)は、2つのカートリッジ2、2a、2b及び一つのスタティックミキサー5を図2のように連結させた装置1を用いて測定した。
【0174】
図2の装置1においてカートリッジ2、2a、2bとしては、材料の注入部は、直径が18mmの円形で、材料の吐出部4、4a、4bは、直径3mmの円形で、高さが100mmで、内部体積が25mlのカートリッジ(Sulzer社、AB050-01-10-01)を用いた。スタティックミキサー5としては、吐出部7が直径2mmの円形で、エレメントの数が16であるstepped型スタティックミキサー(Sulzer社、MBH-06-16T)を用いた。
【0175】
また、図2の装置の加圧手段3、3a、3b(カートリッジにロードされた組成物を押し出す手段)としては、TA(Texture analyzer)を用いた。
【0176】
負荷値は、主剤組成物を2つのカートリッジ2a、2bのいずれかにロードし、硬化剤組成物を他のカートリッジにロードした後、加庄手段3、3a、3bで一定の力を加え、前記主剤及び硬化剤組成物が第1の吐出部4a、4bを経由してスタティックミキサー5で混合された後、第2の吐出部7に吐出するようにして測定した。
【0177】
具体的には、前記2つのカートリッジ2a、2bにそれぞれロードされた主剤及び硬化剤組成物をTA(Texture analyzer)3a、3bで1mm/sの等速度で加圧して、前記スタティックミキサー5に注入し、ミキサー5に注入された前記主剤及び硬化剤組成物がミキサー5内で混合されて吐出部7から最初に吐出されるときから、加圧手段に印加される力を測定しながら、前記力が最大値となる地点での前記最大値の力を前記負荷値Liとして指定した。すなわち、前記のような方式でTAに印加される力を測定すると、通常、前記力は、継続的に増加して減少するか、または増加していた力がこれ以上増加しない傾向を示すが、負荷値は、前記減少する前の最大の力であるか、またはこれ以上増加しない地点での最大の力である。
【0178】
3.固形物の硬度測定
樹脂組成物の固形物の硬度は、シリンジ及びフィルターを図5のように組み合わせて構成した固形物発生装置60を使用して生成した固形物に対して測定した。
【0179】
図5のように構成された固形物発生装置においてシリンジ61としては、樹脂注入部が直径が約25mmの円状であり、吐出部62は、直径が約8mmの円状で、高さが約80mm、内部体積が約25mlのシリンジを使用した。また、フィルター63としては、Whatman社のPTEFフィルター(pore size:0.45μm、直径:13mm)を使用した。
【0180】
図5のような構成において加圧手段64としてはTA(Texture analyzer)を適用した。実施例及び比較例で製造された主剤樹脂組成物又は硬化剤組成物を前記シリンジ61に充填し、加圧手段64により5barの圧力を16時間加えると、前記フィルター63と結合する吐出部62の内部に樹脂組成物の固形物が発生し、これに対して硬度を測定した。
【0181】
硬度を吐出部の内部に発生した固形物を直径が約2mmで、高さが約2mmの円柱状になるように採取し、これに対して硬度を測定した。具体的には、固形物の硬度は、前記採取された固形物を0.3mm/sの等速度で加圧するとき、固形物を加圧したときから加圧手段に印加される力を測定し始め、加圧したときから約0.5秒経過した時点での加圧手段に印加される力(gf)を固形物の硬度として求めた。前記加圧手段としては、前記TA(Texture analyzer)を用いた。
【0182】
4.平均粒径の測定
本明細書でいうフィラーの平均粒径は、フィラーのD50粒径であり、これはISO-13320規格に準拠してMarvern社のMASTERSIZER3000装置により測定した粒径である。測定時に溶媒としては、エタノール(Ethanol)を用いた。溶媒内に分散されたフィラーによって入射されたレーザが散乱されることになり、前記散乱されるレーザーの強度と方向性の値は、フィラーのサイズによって異なり、これをMie理論を用いて分析することにより、D50粒径を求めることができる。前記分析を通じて分散されたフィラーと同じ体積を持つ球の直径への換算により分布図を求め、それにより分布図の中間値であるD50値を求めて粒径を評価しうる。
【0183】
5.フィラーの球形度評価
3次元粒子であるフィラーの球形度(sphericity)は、粒子の表面積(S)とその粒子と同じ体積を持つ球の表面積(S’)の割合(S'/S)で定義され、実際の粒子に対しては、通常、真円度(circularity)の平均値となる。
【0184】
真円度は、粒子の2次元画像から求められる前記画像の境界(P)と同じ画像と同じ面積(A)を持つ円の境界の比で、理論的には、下記数式で求められ、0から1までの値として、理想的な円の場合、真円度は1である。
【0185】
<真円度数式>
真円度=4πA/P
【0186】
本明細書における球形度は、Marvern社の粒形分析装置(FPIA-3000)により測定された真円度の平均値である。
【0187】
実施例1
樹脂組成物は、下記のような材料を用いて2液型で製造した。
【0188】
主剤樹脂としては、下記化学式2で表されるカプロラクトンポリオールとして、反復単位の数(化学式2のm)が約1~3程度の水準であり、R及びRは、それぞれ炭素数が4のアルキレンであり、ポリオール由来単位(化学式3のY)としては、1,4-ブタンジオール単位を含むポリオールを用いた。
【0189】
【化3】
【0190】
硬化剤としては、ポリイソシアネート(HDI、Hexamethylene diisocyanate)を用いた。
【0191】
フィラー成分としては、平均粒径が約70μmの第1のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラー(非球状、球形度0.9未満)を混合して製造した。前記混合時の重量割合は、3:1:1(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)程度とした。
【0192】
したがって、フィラー成分の前記一般式1の値が約3であり、前記一般式2の値が約1である。また、前記フィラー成分は、全フィラー成分の重量を100重量%としたときに約55重量%のアルファ相を含む。アルファ相は、フィラー成分に対してXRD分析を行って求めた。
【0193】
主剤組成物は、前記主剤樹脂及び前記フィラー成分をplanetary mixerで均一に混合して製造した。また、硬化剤組成物は、前記硬化剤及び前記フィラー成分をplanetary mixerで均一に混合して製造した。
【0194】
前記主剤及び硬化剤組成物の製造時に主剤樹脂及び硬化剤は、1:1の当量比で使用した。フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約87.6重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0195】
実施例2
フィラー成分として、平均粒径が約70μmの第1のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラー(非球状、球形度0.9未満)の混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約30:15:10である混合物を用いた。
【0196】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約2であり、前記一般式2の値が約1.5である。また、前記フィラー成分は、全フィラー成分の重量を100重量%としたとき、約55重量%のアルファ相を含む。アルファ相は、フィラー成分に対してXRD分析を行って求めた。
【0197】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約88.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0198】
実施例3
フィラー成分として、平均粒径が約70μmの第1のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラー(非球状、球形度0.9未満)の混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約25:5:10である混合物を用いた。
【0199】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約5であり、前記一般式2の値が約0.5である。また、前記フィラー成分は、全フィラー成分の重量を100重量%としたとき、約55重量%のアルファ相を含む。アルファ相は、フィラー成分に対してXRD分析を行って求めた。
【0200】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約88.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0201】
実施例4
フィラー成分として、平均粒径が約65μmの第1のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラー(非球状、球形度0.9未満)の混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約3:1:1である混合物を用いた。
【0202】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約3であり、前記一般式2の値が約1である。また、前記フィラー成分は、全フィラー成分の重量を100重量%としたとき、約55重量%のアルファ相を含む。アルファ相は、フィラー成分に対してXRD分析を行って求めた。
【0203】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約88.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0204】
実施例5
フィラー成分として、平均粒径が約120μmの第1のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー(球状、球形度0.95以上)及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラー(非球状、球形度0.9未満)の混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約3:1:1である混合物を用いた。
【0205】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約3であり、前記一般式2の値が約1である。また、前記フィラー成分は、全フィラー成分の重量を100重量%としたとき、約55重量%のアルファ相を含む。アルファ相は、フィラー成分に対してXRD分析を行って求めた。
【0206】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約88.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0207】
比較例1
フィラー成分として、平均粒径が約70μmの第1のアルミナフィラー、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラーの混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約13:10:10の混合物を使用した。
【0208】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約1.3であり、前記一般式2の値が約1である。
【0209】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約88.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0210】
比較例2
フィラー成分として、平均粒径が約70μmの第1のアルミナフィラー、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラーの混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約12:4:10の混合物を使用した。
【0211】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約3であり、前記一般式2の値が約0.4である。
【0212】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約88.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0213】
比較例3
フィラー成分として、平均粒径が約40μmの第1のアルミナフィラー、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラーの混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約3:1:1の混合物を使用した。
【0214】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約3であり、前記一般式2の値が約1である。
【0215】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約86.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0216】
比較例4
フィラー成分として、平均粒径が約40μmの第1のアルミナフィラー、平均粒径が約20μmの第2のアルミナフィラー及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラーの混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第2のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約13:10:10の混合物を使用した。
【0217】
前記フィラー成分に対する前記一般式1の値が約1.3であり、前記一般式2の値が約1である。
【0218】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約86.7重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0219】
比較例5
フィラー成分として、平均粒径が約70μmの第1のアルミナフィラー及び平均粒径が約2μmの第3のアルミナフィラーの混合物であり、前記フィラー間の重量比率(第1のアルミナフィラー:第3のアルミナフィラー)が約7:3の混合物を使用した。
【0220】
前記フィラー成分を用いて実施例1と同様に主剤及び硬化剤組成物を製造するが、フィラー成分は、主剤及び硬化剤組成物が混合された樹脂組成物100重量部内に約87.6重量部が存在するようにする量のフィラー成分を同じ重量に2等分して主剤及び硬化剤組成物のそれぞれに配合した。
【0221】
前記樹脂組成物に対して測定した物性は、下記表1にまとめて記載した。
【0222】
【表1】
【0223】
表1から、フィラーの平均粒径と一般式1及び2を全て満たすフィラー成分を含む実施例1~5の樹脂組成物は、高い熱伝導度及び低い負荷値を示し、主剤及び硬化剤組成物から発生する固形分の硬度も低い水準に保たれていることが分かる。一方、一般式1の条件を満たさない比較例1の場合、硬化剤での固形分の硬度が高く、注入工程において装置に過負荷を与えうる点を確認した。
【0224】
一般式2の条件を満たさない比較例2も熱伝導度は高く確保されたが、負荷値が大きく、主剤及び硬化剤組成物の硬度も高かった。
【0225】
フィラー成分の粒径条件を満たさない比較例3、前記粒径条件と一般式1の条件を満たさない比較例4及びフィラーとして2種のフィラーのみを含む比較例5も熱伝導度はある程度確保されたが、負荷値及び/又は固形分の硬度が悪い結果を示した。
【符号の説明】
【0226】
1:混合機
2、2a、2b:カートリッジ
3、3a、3b:加圧手段
4、4a、4b:第1の吐出部
5:ミキサー
6、6a、6b:収容部
7:第2の吐出部
10:モジュールケース
10a:下部板
10b:側壁
10c:上部板
20、40:バッテリーセル
30:注入装置
20:注入口
60:固形物発生装置
61:シリンジ
62:シリンジの吐出部
63:フィルター
64:加圧手段
図1
図2
図3
図4
図5