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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】発熱体
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
A61F7/08 334H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019128475
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021013450
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園田 悟朗
(72)【発明者】
【氏名】丸山 哲也
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-068702(JP,A)
【文献】特開平09-075388(JP,A)
【文献】特開2018-000376(JP,A)
【文献】特開2002-291789(JP,A)
【文献】実開昭56-130721(JP,U)
【文献】特開2002-011033(JP,A)
【文献】国際公開第2005/087155(WO,A1)
【文献】特開2008-119090(JP,A)
【文献】特開2011-136060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の表側シート部及び平面状の裏側シート部で袋状に形成された袋体と、
前記袋体に封入された粉状の発熱材料と、
を備え、
前記袋体は、前記表側シート部と前記裏側シート部とが接合された接合部を有し、
前記接合部は、
前記袋体の外周の少なくとも一部に沿って形成された縁部と、
前記縁部から前記発熱材料側に突き出る突出部と、
を含み、
前記突出部の突出寸法は、前記突出部が突き出る方向における前記突出部に対応する位置での前記袋体の内寸に対して、15%以上35%以下であり、
前記袋体の外縁には、前記突出部に対応する箇所に凹みが形成されている、
発熱体。
【請求項2】
前記突出部が突き出る方向において、前記突出部と、当該突出部に対向する部分との間の寸法は、前記突出部に対応する位置での前記袋体の内寸に対して、30%以上70%以下である、
請求項1記載の発熱体。
【請求項3】
前記突出部を複数含み、
前記複数の突出部の突き出る方向が一直線に沿っている、
請求項1又は2に記載の発熱体。
【請求項4】
前記袋体は幅及び長さを有する正面視長方形状に形成されており、
前記縁部は前記袋体の長さ方向に沿って形成された部分を含み、
前記突出部は、前記袋体の前記長さ方向の中央部に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の発熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の発熱体が開示されている。特許文献1に記載の発熱体は、空気と接触することで発熱する発熱性組成物(発熱材料)と、発熱性組成物を収納する収納袋(袋体)と、を備える。収納袋は、2枚のシート材を重ね合わせ、外周縁部をシールすることで袋状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の発熱体では、発熱面の温度分布を見ると、正面から見て中央部の温度が比較的高くなる傾向があるが、発熱面において、局所的な高い温度上昇が生じることはあまり好ましくない。発熱体の発熱面における局所的な高い温度上昇に対しては、従前より様々な対策が講じられており、より良い対策が望まれている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑えることができる発熱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の発熱体は、表側シート部及び裏側シート部で袋状に形成された袋体と、前記袋体に封入された発熱材料と、を備える。前記袋体は、前記表側シート部と前記裏側シート部とが接合された接合部を有する。前記接合部は、前記袋体の外周の少なくとも一部に沿って形成された縁部と、前記縁部から前記発熱材料側に突き出る突出部と、を含む。
【0007】
また、発熱体では、突出部の突出寸法は、前記突出部が突き出る方向における、前記突出部に対応する位置における縁部と当該突出部に対向する部分との間の寸法に対して15%以上35%以下であることが好ましい。
【0008】
また、発熱体は、前記突出部が突き出る方向において、前記突出部と、当該突出部に対向する部分との間の寸法は、前記突出部に対応する位置での前記袋体の内寸に対して、30%以上70%以下であることが好ましい。
【0009】
また、発熱体は、突出部を複数含み、前記複数の突出部の突き出る方向が一直線に沿っていることが好ましい。
【0010】
また、発熱体は、前記袋体の外縁には、前記突出部に対応する箇所に凹みが形成されていることが好ましい。
【0011】
また、発熱体は、前記袋体は幅及び長さを有する正面視長方形状に形成されており、前記縁部は前記袋体の長さ方向に沿って形成された部分を含み、前記突出部は、前記袋体の前記長さ方向の中央部に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る上記態様の発熱体は、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑えることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る発熱体の正面図である。
図2図2は、図1のA-A線断面図である。
図3図3は、変形例1の発熱体の正面図である。
図4図4は、変形例2-1の発熱体の正面図である。
図5図5(A)は、変形例3-1の発熱体の正面図である。図5(B)は、変形例3-2の発熱体の正面図である。
図6図6は、変形例4の発熱体の正面図である。
図7図7(A)は、変形例5-1に係る発熱体の突出部の拡大図である。図7(B)は、変形例5-2に係る発熱体の突出部の拡大図である。図7(C)は、変形例5-3に係る発熱体の突出部の拡大図である。図7(D)は、変形例5-4に係る発熱体の突出部の拡大図である。図7(E)は、変形例5-5に係る発熱体の突出部の拡大図である。
図8図8(A)は、実施例1に係る発熱体の正面図である。図8(B)は、実施例2に係る発熱体の正面図である。図8(C)は、実施例3に係る発熱体の正面図である。図8(D)は、比較例に係る発熱体の正面図である。
図9図9は、結果1に係る温度分布を示す図である。
図10図10は、結果2に係る温度分布を示す図である。
図11図11は、結果1に係る温度分布を示すグラフである。
図12図12は、結果2に係る温度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)実施形態
(1.1)概要
本実施形態に係る発熱体1は、身体に対して部分的に温熱効果を与えることができるものである。本実施形態に係る発熱体1は、図1及び図2に示すように、袋状に形成された袋体2と、袋体2に封入された発熱材料4と、を備える。
【0015】
袋体2は、表側シート部21と、裏側シート部22と、で袋状に形成されており、少なくとも一部において接合部3を有する。接合部3は、表側シート部21と裏側シート部22とが接合された部分のことである。本実施形態に係る接合部3は、縁部31と、突出部32と、を含む。
【0016】
縁部31は、図1に示すように、袋体2の外周の少なくとも一部(本実施形態では、袋体2の外周の全長)に沿って形成されている。突出部32は、縁部31から発熱材料4側に突き出ている。
【0017】
本実施形態に係る発熱体1では、突出部32を有さない発熱体に比べて、発熱面において、高温域の面積を同等以上に保ちながら、最高温度を下げることができる。したがって、本実施形態に係る発熱体1では、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑えることができる。
【0018】
本開示にいう「高温域」とは、発熱面の温度域のうち、(最高温度-5℃)以上でかつ最高温度以下の温度域を意味する。
【0019】
(1.2)詳細
以下、本実施形態に係る発熱体1について、詳細に説明する。本実施形態に係る発熱体1は、腰又は背中の温熱に好適に用いられる。本実施形態に係る発熱体1は、酸化反応が起こるときに生じる反応熱を熱源として利用する発熱体であり、例えば、使い捨てカイロである。発熱体1は、例えば、使用前には、空気を通さない気密性を有する外袋(不図示)に収容されている。
【0020】
本実施形態に係る発熱体1は、大判である。本開示でいう「大判」とは、正面から見て発熱面が略矩形状である場合には、幅寸法90mm以上で、かつ長さ寸法120mm以上であることを意味し、発熱面が略矩形状以外の形状である場合には、発熱面の面積が10800mm以上であることを意味する。本実施形態に係る発熱体1では、発熱面が略矩形状であり、幅寸法116mmで、かつ長さ寸法181mm(最長部の寸法。最短部では174mm)である。本開示において、「幅」は、「長さ」よりも短い辺を意味する。
【0021】
また、本開示で言う「発熱面」とは、袋体2において、袋体2の表面のうち、縁部31に囲まれた部分を意味する。本実施形態に係る発熱体1では、表側シート部21と裏側シート部22との各々が発熱面を有しており、発熱体1の正面図及び背面図が、発熱面を正面から見た方向である。
【0022】
発熱体1は、通常サイズであってもよく、大判のものに制限されない。また、発熱体1は、腰又は背中のほか、例えば、手足、腹、足の裏、肩、臀部等の身体の任意の部位に対して、ユーザが手に持って当てたり、貼り付けたり、身体に巻き付けたり等して用いられてもよい。
【0023】
(1.2.1)発熱材料
発熱材料4は、発熱し得る材料であり、本実施形態では、空気と接触することで発熱する粉状の材料である。発熱材料4は、袋体2に封入されている。
【0024】
発熱材料4としては、例えば、被酸化性金属、活性炭、カーボンブラック、保水剤、金属塩(例えば、食塩)及び水を含む。被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末又は繊維が挙げられ、この中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の観点から、鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。保水剤としては、例えば、木粉、バーミキュライト、けい藻土、パーライト、シリカゲル、アルミナ、吸水性樹脂等が挙げられる。発熱材料4としては、従来の使い捨てカイロに用いられている組成物をそのまま用いてもよく、特に制限されない。
【0025】
発熱材料4としては、空気との接触により発熱する材料以外を用いてもよい。発熱材料4としては、例えば、電子レンジ等でマイクロ波の照射を受けることで発熱する材料(例えば、フェライト等のセラミック粉末、小豆等)を用いてもよい。
【0026】
(1.2.2)袋体
袋体2は、発熱材料4を収める収納空間を内部に有する。本実施形態に係る袋体2は、図2に示すように、扁平に形成されており、表側シート部21と、裏側シート部22と、を備える。袋体2は、表側シート部21と裏側シート部22とが接合部3によって接合されることで、内部に収納空間が形成される。
【0027】
本実施形態に係る袋体2は、図1に示すように、幅及び長さを有する正面視略長方形状に形成されている。ただし、袋体2は、例えば、正面視正方形状、正面視三角形状、五角形以上の正面視多角形状、正面視真円形状、正面視楕円形状等に形成されてもよく、形状に制限はない。
【0028】
(1.2.2.1)表側シート部
表側シート部21は、袋体2の一面を形成するシート状をなす部分である。本実施形態に係る表側シート部21は、図2に示すように、一のシート材で構成されている。本実施形態に係る表側シート部21は可とう性を有する。これによって、ユーザは、発熱体1を手で揉みほぐしたり、身体に沿ってフィットさせたりすることができる。
【0029】
本実施形態に係る表側シート部21は、強度や発熱材料4の発熱に対する耐久性等の観点から、樹脂フィルムが用いられることが好ましい。樹脂フィルムに用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0030】
また、発熱体1の肌触りを良好にする観点から、表側シート部21は、樹脂フィルムの外側に織布又は不織布が設けられることが好ましい。
【0031】
織布又は不織布の繊維素材としては、例えば、コットン、麻、絹、紙等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート等の合成繊維、これら繊維の混合繊維等が挙げられる。繊維素材としては、この中でも、肌触りを良好とする観点から、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンが好ましく、ナイロン、ポリエステルがより好ましい。これらの繊維素材は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。織布又は不織布の目付は、発熱材料4の袋体2の外側への漏出を防止できる程度であれば特に制限されないが、一例として、20g/m以上70g/m以下が例示される。
【0032】
ただし、表側シート部21としては、樹脂フィルムと、織布又は不織布との積層体でなくてもよく、単独の樹脂フィルムで構成されてもよいし、単独の織布又は不織布で構成されてもよい。
【0033】
本実施形態に係る表側シート部21は、通気性を有する。本実施形態に係る表側シート部21では、樹脂フィルムが、多孔質の樹脂フィルム、又は複数の孔(不図示)が形成された樹脂フィルムであることで、表側シート部21は複数の孔を有する。このため、表側シート部21は、複数の孔を通して、袋体2の内外を通気することができる。複数の孔は、表側シート部21の全面にわたって均等に形成されていてもよいし、一部に密集して形成されてもよい。また、各孔の径は、発熱材料4が孔を通して漏出するのを抑制し得る大きさであればよく、一例として、0.1μm以上30μm以下が例示される。また、孔の形状及び数量も特に制限されない。発熱体1の体感温度は袋体2の通気量に応じて変化するため、孔の大きさ、形状及び数量は、発熱体1の体感温度と、発熱材料4の漏出の抑制の程度とを考慮して、適宜設定される。
【0034】
なお、表側シート部21として、不織布が単独で用いられる場合には、複数の孔は形成されなくてもよい。
【0035】
(1.2.2.2)裏側シート部
裏側シート部22は、袋体2において、表側シート部21とは反対側の面を形成するシート状をなす部分である。本実施形態に係る裏側シート部22は、一のシート材で構成されている。本実施形態に係る裏側シート部22は、表側シート部21と同様、可とう性を有する。
【0036】
裏側シート部22は、表側シート部21と同様、樹脂フィルムが用いられることが好ましい。ただし、裏側シート部22は、表側シート部21と同じ構造及び同じ素材である必要はない。裏側シート部22としては、表側シート部21と同様に、樹脂フィルムと、織布又は不織布との積層体で構成されることが好ましいが、これに制限されず、単独の樹脂フィルムで構成されてもよいし、単独の織布又は不織布で構成されてもよい。
【0037】
本実施形態に係る裏側シート部22は、通気性を有する。本実施形態に係る裏側シート部22は、表側シート部21と同様、樹脂フィルムが、多孔質の樹脂フィルム、又は複数の孔(不図示)が形成された樹脂フィルムであることで、裏側シート部22は複数の孔を有する。ただし、裏側シート部22は必ずしも通気性を有している必要はなく、非通気性であってもよい。
【0038】
表側シート部21及び裏側シート部22の各々の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましい。これによって、発熱体1を、柔らかくかつ手になじみやすくできる一方で、一定の強度を確保することができる。
【0039】
(1.2.2.3)接合部
接合部3は、表側シート部21と裏側シート部22とが接合された部分である。本実施形態に係る接合部3は、表側シート部21の一部と、裏側シート部22の一部とが溶着(ヒートシール)されて構成されている。ただし、接合部3は、溶着でなくてもよく、例えば、接着、縫合、圧着等で実現されてもよいし、これらの組み合わせで実現されてもよい。接合部3は、図1に示すように、縁部31と、複数(ここでは二つ)の突出部32と、を備える。
【0040】
縁部31は、接合部3のうち、袋体2の外周に沿って形成された部分である。本実施形態に係る縁部31は、袋体2の外周の全長にわたって連続している。縁部31の幅寸法は、特に制限されないが、例えば、1mm以上10mm以下であることが好ましく、より好ましくは、3mm以上7mm以下である。本実施形態に係る縁部31は、全長にわたって略同じ幅寸法に形成されている。
【0041】
本実施形態に係る縁部31は、長さ方向に沿って形成された一対の長辺部311と、幅方向に沿って形成された一対の短辺部312と、四つの角部313と、を備える。一対の長辺部311は、本実施形態では略直線状に形成されており、互いに平行である。一対の短辺部312は、本実施形態では、長さ方向の外側に向かって膨出するように湾曲しているが、直線状に形成されてもよい。各角部313は、一の長辺部311の端と、一の短辺部312の端とをつなぐ。本実施形態に係る角部313は、隅丸状に形成されているが、例えば、C面取り状、鈍角状、鋭角状等に形成されてもよい。
【0042】
突出部32は、接合部3のうち、縁部31から発熱材料4側に突き出た部分である。本実施形態に係る発熱体1では、縁部31から突出部32が突き出ることで、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑えることができる。また、突出部32によれば、袋体2の内部のうち長さ方向において、発熱材料4が移動しにくく、長さ方向において片寄りにくくなる。
【0043】
本実施形態に係る突出部32は、袋体2の幅方向に沿って延びている。突出部32の幅寸法H1は、本実施形態では、縁部31の幅寸法と略同じである。
【0044】
突出部32の突き出る寸法(以下、突出寸法L1)としては、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑える観点から、以下のように設定することが好ましい。すなわち、突出部32の突出寸法L1は、突出部32が突き出る方向において、突出部32に対応する位置での袋体2の内寸D2に対し、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上40%以下、更に好ましくは15%以上35%以下に設定される。
【0045】
ここで、本開示でいう「突出部32が突き出る方向における突出部32に対応する位置での袋体2の内寸D2」とは、突出部32が形成されている箇所において、突出部32がないと仮定した場合の、縁部31の位置から、これに対向する縁部31の位置までの寸法を意味する。なお、ここでいう「突出部32の突出寸法L1」とは、一つの突出部32の突出寸法L1を意味する。したがって、複数の突出部32が一直線T1上に位置する場合には、「突出部32の突出寸法L1」は、複数の突出部32のうちの一つの突出部32の突出寸法のことを意味している。
【0046】
一方、発熱体1の温熱効果を確保するという観点から、突出部32が突き出る方向において、突出部32と当該突出部32に対向する部分との間の寸法D1が、次の条件となるように、突出部32の突出寸法L1が設定される。すなわち、寸法D1は、内寸D2に対し、好ましくは20%以上95%以下、より好ましくは25%以上85%以下、更に好ましくは30%以上70%以下となるように設定される。
【0047】
ここで、「内寸D2」及び「突出寸法L1」の基点は、縁部31の内周縁(実際には収納空間を形成する内周縁の延長線)上における、突出部32の幅方向の中心点である。「収納空間を形成する内周縁の延長線」は、突出部32と縁部31が一体であるため実際には現れないが、突出部32の両側にある縁部31の内周縁を滑らかにつないだ仮想線のことである。
【0048】
また、「突出寸法L1」は、突出部32が形成された縁部31の内周縁と平行でかつ突出部32との交点を持つ線と、当該内周縁との間の距離の最大値である。また、「突出部32が突き出る方向」とは、当該突出部32が形成された縁部31の内周縁が直線状である場合、当該内周縁に直交する方向であり、当該突出部32が形成された縁部31の内周縁が曲線状である場合、縁部31の内周縁上における突出部32の幅方向の中心点における、当該内周縁の接線に直交する方向である。本実施形態では突出部32が形成された縁部31の内周縁が直線状であるため、「突出部32が突き出る方向」は、発熱体1の幅方向と平行となる。
【0049】
また、本実施形態では、一対の突出部32が一直線T1上に位置する。寸法D1は、内寸D2から突出部32の突出寸法L1の合計(すなわちL1+L1)を差し引いた寸法となる。この場合、D1=D2-(L1+L1)となる。
【0050】
これに対し、例えば、図3(変形例1)又は図4(変形例2-1)に示すように、突出部32が一直線T1上に一つのみの場合、寸法D1は、内寸D2から突出部32の突出寸法L1を差し引いた寸法となる。この場合、D1=D2-L1となる。なお、出部32が突き出る方向において、突出部32と当該突出部32に対向する部分との間に複数の線分が引ける場合、ここでいう「寸法D1」は、複数の線分のうちの最短の線分の寸法とする。
【0051】
ただし、突出部32の突出寸法L1及び幅寸法H1は、特に制限がない。また、突出部32の突き出る方向は、袋体2の幅方向に沿っていなくてもよく、例えば、幅方向に対して傾斜していてもよい。
【0052】
本実施形態に係る突出部32は、袋体2の長さ方向の中央部に形成されている。ここでいう「中央部」とは、袋体2の長さ方向において、端からの寸法が、袋体2の長さ寸法に対して1/2の寸法である位置(これを中央とする)から、長さ方向に一定の範囲を有する部分を意味する。一定の範囲とは、一例として、袋体2の長さ寸法に対して1/3の範囲が例示される。したがって、本開示において、突出部32がこの一定の範囲に突出部32の少なくとも一部が形成されていれば、「袋体2の長さ方向の中央部に形成されている」範疇である。
【0053】
一対の突出部32は、本実施形態では、一直線T1上に位置している。すなわち、複数の突出部32の突き出る方向は、一直線T1に沿っている。本実施形態に係る発熱体1では、突出部32が位置する部分に発熱材料4が存在しないため、突出部32の位置で、一直線T1に沿って曲がりやすい。
【0054】
接合部3には、図1に示すように、袋体2の外縁から凹む複数(ここでは二つ)の凹み33が形成されている。本実施形態に係る凹み33は、突出部32に対応する箇所に形成された切欠きである。凹み33は、シート材の成形時に形成されていてもよいし、袋体2を形成した後に、切り欠いてもよい。凹み33の周縁は、本実施形態では、円弧状に形成されているが、鋭角又は鈍角状に形成されてもよく、特に制限はない。本実施形態に係る発熱体1では、突出部32に対応する箇所に凹み33が形成されることで、接合部3の接合強度を保ちながらも、突出部32に対応する箇所で曲がりやすくなる。
【0055】
(2)作用効果
以上説明したように、本実施に係る発熱体1は、袋体2の外周の少なくとも一部に沿って形成された縁部31から発熱材料4側に突出部32が突き出る。これによれば、発熱体1において、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑えることができる。
【0056】
また、袋体2に封入された発熱材料4は、突出部32によって移動が妨げられる。このため、本実施形態に係る発熱体1では、袋体2の内部において、発熱材料4が片寄りにくい。また、本実施形態に係る発熱体1は、突出部32に沿った部分で曲がりやすく、ユーザは発熱体1を身体に当てる際に、発熱体1を身体に沿って変形させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る発熱体1では、突出部32の突出寸法L1は、突出部32が突き出る方向における突出部32に対応する位置での袋体2の内寸D2に対して、15%以上35%以下である。このため、より効果的に、発熱体1において、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑えることができる上に、袋体2の内部において、発熱材料4が片寄るのを抑えることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る発熱体1では、突出部32が突き出る方向において、突出部32と、当該突出部32に対向する部分との間の寸法D1は、突出部32に対応する位置での袋体2の内寸D2に対して、30%以上70%以下である。このため、この態様によれば、発熱体1において、一定の温熱効果を確保することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る発熱体1は、突出部32を複数含み、複数の突出部32の突き出る方向は、一直線T1に沿っている。このため、発熱体1が一直線T1に沿って曲がりやすくなり、ユーザは発熱体1を身体に当てる際に、より一層、発熱体1を身体に沿って変形させやすくなる。
【0060】
また、本実施形態に係る発熱体1では、袋体2の外縁において、突出部32に対応する箇所に凹みが形成されている。このため、発熱体1が一直線T1に沿って、より曲がりやすくなり、ユーザは発熱体1を身体に当てる際に、より一層、発熱体1を身体に沿って変形させやすくなる。
【0061】
また、本実施形態に係る発熱体1では、袋体2が幅及び長さを有する正面視長方形状に形成されており、突出部32は、袋体2の長さ方向の中央部に形成されている。このため、本実施形態に係る発熱体1では、発熱面において、最高温度を下げることができ、かつ温度分布の均一性を高めることができる。その上、発熱面の最高温度を下げつつも平均温度が下がるのを抑制することができる。
【0062】
特に、本実施形態に係る発熱体1のような大判の発熱体は、通常サイズの発熱体に比べて、局所的な高い温度上昇が生じやすく、また袋体2の内部において発熱材料4が片寄りやすい。これに対し、本実施形態に係る発熱体1では、接合部3が突出部32を有しているため、大判であっても、効果的に、発熱面の最高温度を下げ、局所的な高い温度上昇を抑えることができる上に、袋体2の内部において、発熱材料4が片寄るのを抑えることができる。
【0063】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0064】
(3.1)突出部の数量についての変形例(変形例1)
上記実施形態に係る発熱体1は、突出部32を二つ有していたが、図3に示すように、突出部32を一つのみ有していてもよい。変形例1に係る発熱体1では、一対の長辺部311のうちの一方のみの長辺部311から突出部32が突き出ている。
【0065】
突出部32の突出寸法L1は、内寸D2に対し、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上40%以下、更に好ましくは15%以上35%以下に設定される。また、寸法D1が内寸D2に対して好ましくは20%以上95%以下、より好ましくは25%以上85%以下、更に好ましくは30%以上70%以下となるように、突出部32の突出寸法L1が設定される。
【0066】
変形例1に係る発熱体1においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
(3.2)突出部の配置についての変形例(変形例2)
(3.2.1)変形例2-1
上記実施形態に係る発熱体1は、一直線T1上に二つの突出部32が形成されていたが、図4に示すように、突出部32の突き出る方向に見て、二つの突出部32が互いにずれていてもよい。変形例2-1に係る発熱体1では、一対の突出部32は、発熱体1の長さ方向に互いにずれて形成されている。
【0068】
突出部32の突出寸法L1は、変形例1に係る発熱体1と同様、内寸D2に対し、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上40%以下、更に好ましくは15%以上35%以下に設定される。また、寸法D1が内寸D2に対して好ましくは20%以上95%以下、より好ましくは25%以上85%以下、更に好ましくは30%以上70%以下となるように、突出部32の突出寸法L1が設定される。
【0069】
変形例2-1に係る発熱体1においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
(3.2.2)変形例2-2
上記実施形態に係る発熱体1は、一対の長辺部311の各々に突出部32が形成されていたが、特に図示はしないが、四つの角部313(図1参照)のうちの対角となる一対の角部313に突出部32が形成されていてもよい。
【0071】
変形例2-2に係る発熱体1では、突出部32は、縁部31から、一直線としての対角線に沿って突き出している。一対の突出部32は、対角線上に位置している。
【0072】
変形例2-2に係る発熱体1においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
なお、突出部32は、縁部31のうちの短辺部312から突き出ていてもよい。
【0074】
(3.3)袋体の外形についての変形例(変形例3)
(3.3.1)変形例3-1
上記実施形態に係る発熱体1は、正面視略矩形状に形成されていたが、図5(A)に示すように、正面視長円形に形成されていてもよい。ここで、本開示でいう「長円形」とは、一方向に延びた円を意味し、例えば、卵形、楕円形、オーバル形、角丸長方形等を含む。
【0075】
変形例3-1に係る発熱体1では、縁部31が曲線状に形成されている。突出部32は、縁部31から発熱材料4側に突き出ている。突出部32の突出寸法L1は、内寸D2に対し、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上40%以下、更に好ましくは15%以上35%以下に設定される。また、寸法D1が内寸D2に対して好ましくは20%以上95%以下、より好ましくは25%以上85%以下、更に好ましくは30%以上70%以下となるように、突出部32の突出寸法L1が設定される。
【0076】
ここにおいて、「内寸D2」及び「突出寸法L1」の基点は、縁部31の内周縁(実際には収納空間を形成する内周縁の延長線)上における、突出部32の幅方向の中心点を意味する。「収納空間を形成する内周縁の延長線」は、突出部32と縁部31が一体であるため実際には現れないが、突出部32の両側にある縁部31の内周縁を滑らかにつないだ仮想線のことである。
【0077】
このため、変形例3-1に係る発熱体1においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0078】
(3.3.2)変形例3-2
上記実施形態に係る発熱体1は、正面視略矩形状に形成されていたが、図5(B)に示すように、正面視D字状に形成されていてもよい。上記実施形態に係る発熱体1の形状は、点対称であったが、変形例3-2に係る発熱体1の形状は、点対称ではなく、線対称である。
【0079】
変形例3-2に係る発熱体1では、縁部31は、円弧部314と、三つの直線部315と、を備える。突出部32は、円弧部314と一の直線部315との境界部分から発熱材料4側に突き出ている。突出部32の突出寸法L1は、内寸D2に対し、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上40%以下、更に好ましくは15%以上35%以下に設定される。また、寸法D1が内寸D2に対して好ましくは20%以上95%以下、より好ましくは25%以上85%以下、更に好ましくは30%以上70%以下となるように、突出部32の突出寸法L1が設定される。
【0080】
変形例3-1と同様、「内寸D2」及び「突出寸法L1」の基点は、縁部31の内周縁(実際には収納空間を形成する内周縁の延長線)上における、突出部32の幅方向の中心点を意味する。「収納空間を形成する内周縁の延長線」は、突出部32と縁部31が一体であるため実際には現れないが、突出部32の両側にある縁部31の内周縁を滑らかにつないだ仮想線のことである。
【0081】
したがって、変形例3-2に係る発熱体1においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
(3.4)袋体の構造についての変形例(変形例4)
上記実施形態に係る発熱体1では、袋体2は、形状が同じ二つのシート材を重ね合わせた上で、その4辺を接合して袋状に形成したが、図6に示すように、袋体2は、一のシート材を折り重ねた上で、その三辺を接合して袋状に形成してもよい。変形例4に係る発熱体1では、袋体2の四辺のうちの三辺に沿って縁部31が形成されている。
【0083】
変形例4に係る発熱体1では、袋体2の一面が表側シート部21であり、反対側の面が裏側シート部22である。表側シート部21と裏側シート部22とは、一体に形成されている。図6において符号34で指す部分は折曲げ部である。強度を確保する観点から、折曲げ部34を溶着してもよい。
【0084】
突出部32の突出寸法L1は、内寸D2に対し、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上40%以下、更に好ましくは15%以上35%以下に設定される。また、寸法D1が内寸D2に対して好ましくは20%以上95%以下、より好ましくは25%以上85%以下、更に好ましくは30%以上70%以下となるように、突出部32の突出寸法L1が設定される。
【0085】
変形例4に係る発熱体1においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
なお、図示は省略するが、裏側シート部22と表側シート部21とが筒状につながるシート材を用い、その二辺を接合することで袋状の袋体2を形成してもよい。また、強度を確保する観点から、残りの二辺を溶着してもよい。
【0087】
(3.5)突出部の形状についての変形例(変形例5)
上記実施形態に係る発熱体1では、突出部32は、突き出る方向に細長い形状であったが、突出部32の形状は、以下の変形例5-1から5-6に係る形状であってもよい。
【0088】
(3.5.1)変形例5-1
変形例5-1に係る発熱体1では、突出部32は、図7(A)に示すように、半円形状に形成されており、縁部31と突出部32とでなす入隅部分が、滑らかにつながる曲線ではなく、角を有する。突出部32における発熱材料4側の縁をなす円弧の中心は、縁部31上か、又は縁部31よりも発熱材料4側に位置している。
【0089】
(3.5.2)変形例5-2
変形例5-2に係る発熱体1では、突出部32は、図7(B)に示すように、略長方形状に形成されており、突出部32における突き出る方向の先端側の出隅部321は、略直角である。
【0090】
(3.5.3)変形例5-3
変形例5-3に係る発熱体1では、突出部32は、図7(C)に示すように、凸状部322と、三角状部323と、を備える。凸状部322は、突出部32の基部である。三角状部323は、凸状部322の突き出る方向の先端面から、当該突き出る方向に突き出ている。三角状部は、先端に行くに従って、幅狭となるように、尖っている。
【0091】
(3.5.4)変形例5-4
変形例5-4に係る発熱体1では、突出部32は、図7(D)に示すように、略三角形状に形成されている。突出部32は、突き出る方向に行くに従って、幅狭となるように尖っている。
【0092】
(3.5.5)変形例5-5
変形例5-5に係る発熱体1では、突出部32は、図7(E)に示すように、突き出る方向に行くに従って、幅広となるように形成されている。突出部32の幅方向の縁は、湾曲している。
【0093】
(3.6)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0094】
上記実施形態に係る発熱体1は、突出部32を二つ有していたが、三つ以上の突出部32を有してもよい。
【0095】
上記実施形態に係る発熱体1では、突出部32が袋体2の長さ方向の中央部に形成されていたが、突出部32は、長さ方向の一方の端部側に偏った位置に形成されてもよい。
【0096】
上記実施形態及び各変形例に係る発熱体1では、突出部32に対応する位置に凹み33を有したが、凹み33はなくてもよい。
【0097】
本開示にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数%程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0098】
また、本開示において「前端部」及び「前端」などのように、「…端部」と「…端」とで区別した表現が用いられている。例えば、「前端部」とは、「前端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…端部」を伴った表現についても同様である。
【0099】
(4)実施例
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0100】
実施例1~3として、接合部に突出部を有する発熱体を製造し、比較例として、接合部に突出部を有さない発熱体を製造し、発熱時の発熱面の温度をサーモグラフィーで撮影して、温度分布を比較した。
【0101】
実施例1~3及び比較例に係る発熱体として、図8(A)~図8(D)に示すように、発熱面を略矩形状に形成し、発熱面の長さ寸法E1(最長部)=181mm、発熱面の幅寸法W=116mmの発熱体を製造した。実施例1~3及び比較例に係る発熱体では、発熱材料及び袋体の素材は、上記実施形態と同様であり、全て共通したものを使用した。また、実施例1~3及び比較例の各々の発熱材料の量を70gにして、すべてを共通した重量とした。
【0102】
実施例1に係る発熱体として、図8(A)に示すように、一対の突出部を発熱面の一端からE2=90.5mmの位置(つまり長さ方向の中央)に形成し、各突出部の突出寸法L2=20mmとした。
【0103】
実施例2に係る発熱体として、図8(B)に示すように、一対の突出部を発熱面の一端からE2=90.5mmの位置(つまり長さ方向の中央)に形成し、各突出部の突出寸法L3=35.5mmとした。
【0104】
実施例3に係る発熱体として、図8(C)に示すように、一対の突出部を発熱面の一端からE3=134.75mmの位置に形成し、各突出部の突出寸法L3=35.5mmとした。
【0105】
実施例1,2と比較例とを並べてサーモグラフィーを用いて撮影した結果(結果1)を、図9に示す。また、サーモグラフィーで撮影した結果から、各温度範囲における面積を算出し、各温度範囲と、その温度範囲における全体に対する面積比との関係を表1-1に示す。また、高温域(最高温度-5℃以上で、かつ最高温度以下の温度域)の面積比について、表1-1から抽出したものを表1-2に示す。
【0106】
また、結果1とは撮影場所を変えて、実施例2,3と比較例とを並べてサーモグラフィーを用いて撮影した結果(結果2)を、図10に示す。また、サーモグラフィーで撮影した結果から、各温度範囲における面積を算出し、各温度範囲と、その温度範囲における全体に対する面積比との関係を表2-1に示す。また、高温域の面積比について、表2-1から抽出したものを表2-2示す。
【0107】
表1-1をグラフ化したものを図11に示し、表2-1をグラフ化したものを図12に示す。グラフでは、縦軸を面積比(%)とし、横軸を温度(℃)とした。
【0108】
結果1において、実施例1,2と比較例との各々について、表1-1から最高温度を抽出し、比較例と実施例1,2との最高温度の差を算出した。さらに、実施例1,2と比較例との各々の発熱面における平均温度を算出し、比較例と実施例1,2との平均温度の差を算出した。この結果を表3に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【0109】
結果1では、図9からわかるように、比較例では発熱面の中央に高い温度を示す白色部が濃くはっきりと存在するが、実施例1,2に係る発熱体は、白色部が比較例よりも薄くなっている。また、表1-1、表1-2及び図11からもわかるように、実施例1,2に係る発熱体は、比較例に比べて、高温域の面積比が増加しており、かつ最高温度が1℃~2℃下がった。
【0110】
結果2では、図10からわかるように、比較例では発熱面の中央に高い温度を示す白色部が濃くはっきりと存在するが、実施例2,3に係る発熱体は、白色部が比較例よりも薄くなっている。また、表2-1、表2-2及び図12からもわかるように、実施例2,3に係る発熱体は、比較例に比べて、高温域の面積比が略同じかそれ以上であり、かつ最高温度が1℃程度下がった。
【0111】
したがって、実施例1~3に係る発熱体では、比較例に比べて、発熱面における高温域の面積比を同等以上に保ちながら、最高温度を下げることができる。要するに、実施例1~3に係る発熱体では、発熱面における局所的な高い温度上昇を抑えることができる。
【0112】
特に、表1-2及び表2-2からもわかるように、実施例1,2に係る発熱体では、高温域の面積比が、比較例よりも3.4%~6.7%程度増加しており、かつ最高温度が比較例に比べて1℃~2℃下がった。したがって、突出部を発熱面の中央部に対応する位置に配置すると、比較例に比べて、発熱面の最高温度を下げることができ、かつ高温域の面積を広くすることができることがわかる。すなわち、突出部を発熱面の中央部に対応する位置に配置することで、発熱面の温度分布の均一性を高めることができる。
【0113】
また、表3からもわかるように、実施例1,2に係る発熱体では、比較例に比べて、最高温度の差が約1~2℃であるのに対し、平均温度の差が0.1~0.6℃であった。つまり、実施例1,2に係る発熱体は、比較例との対比において、最高温度の下がり幅に比べて、平均温度の下がり幅が小さくなった。すなわち、突出部を発熱面の中央部に対応する位置に配置することで、発熱面の最高温度を下げつつも平均温度の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 発熱体
2 袋体
21 表側シート部
22 裏側シート部
3 接合部
31 縁部
32 突出部
33 凹み
D2 内寸
4 発熱材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12