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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】機能性フィルム及び機能性合わせガラス
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20231003BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20231003BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B32B9/00 A
B32B17/10
C03C27/12 C
C03C27/12 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020563385
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2019051009
(87)【国際公開番号】W WO2020138235
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2018243655
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 義規
(72)【発明者】
【氏名】垰 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】満居 暢子
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-013311(JP,A)
【文献】特開平07-069690(JP,A)
【文献】特表2008-513257(JP,A)
【文献】特開2017-080906(JP,A)
【文献】特開2018-122562(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074527(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C03C 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明基材、第1の接着層、基材フィルム上に有機材料を含む機能層を1層以上有する機能性フィルム、第2の接着層、及び第2の透明基材がこの順に積層された、機能性合わせガラスであって、
前記機能性フィルムのいずれか一方の最表面、及び前記基材フィルムと前記機能層との間のいずれか一方又は両方に、流動電位法で測定される等電点が6以下又は7.4以上である無機酸化物の蒸着層を有
前記第1の透明基材及び前記第2の透明基材はガラスであり、
前記蒸着層の厚さが、100nm以下であり、
前記第1の接着層及び前記第2の接着層が、ポリビニルアセタール系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー及びシクロオレフィンポリマーからなる群より選ばれる1種以上である、機能性合わせガラス。
【請求項2】
前記機能性フィルムのいずれか一方の最表面、及び前記基材フィルムと前記機能層との間の両方に、前記蒸着層を有する、請求項1に記載の機能性合わせガラス。
【請求項3】
前記蒸着層が、単層である、請求項1又は2に記載の機能性合わせガラス。
【請求項4】
前記無機酸化物が、α-Al、γ-Al、CuO、NiO、SiO及びTiOからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の機能性合わせガラス。
【請求項5】
前記無機酸化物が、α-Alである、請求項に記載の機能性合わせガラス。
【請求項6】
前記無機酸化物の等電点が、7.4以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の機能性合わせガラス。
【請求項7】
前記機能層が、映像表示層、熱線反射層、意匠層、保護層、紫外線吸収層、調光層及び高分子分散型液晶層からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の機能性合わせガラス。
【請求項8】
前記機能性フィルムの両方の最表面に、前記蒸着層を有し、前記蒸着層と、前記第1の接着層及び前記第2の接着層との界面の、JIS A 5759(2016)に準拠して求めた粘着力が4N/25mm以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の機能性合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性フィルム、及び機能性フィルムを有する機能性合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
機能性フィルムを2枚の透明基材の間に挟み込んだ機能性合わせガラスとしては、下記のものが知られている。
・基材フィルムに映像表示層が積層された映像表示用フィルムを、接着層を介して2枚の透明基材の間に挟み込んだ透明スクリーン(特許文献1、2)。
・基材フィルムに熱線反射層が積層された熱線反射フィルムを、接着層を介して2枚の透明基材の間に挟み込んだ熱線反射合わせガラス(特許文献3~5)。
・基材フィルムに模様等の意匠層が積層された意匠性フィルムを、接着層を介して2枚の透明基材の間に挟み込んだ意匠性合わせガラス(特許文献6、7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/186630号
【文献】国際公開第2015/186668号
【文献】特許第4848872号公報
【文献】特開2010-222233号公報
【文献】国際公開第2013/168714号
【文献】特開平08-157239号公報
【文献】特開2009-078962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機能性合わせガラスは、ガラス板、接着層となる中間膜、機能性フィルム、接着層となる中間膜、及びガラス板をこの順に重ねた状態で加熱、接着して製造される。
しかし、機能層(映像表示層、熱線反射層、意匠層等)が有機材料を含む場合、接着層や基材フィルムの材料によっては、機能層と接着層との界面、又は機能層と基材フィルムとの界面の接着性が不充分となることがある。また、接着層や基材フィルムの材料によっては、接着層と基材フィルムとの界面の接着性が不充分となることがある。
【0005】
本発明は、各層間の接着性に優れた機能性合わせガラスを得ることができる機能性フィルム、及び各層間の接着性に優れた機能性合わせガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
<1>有機材料を含む機能層を有する機能性フィルムであり、前記機能性フィルムの最表面、及び前記基材フィルムと前記機能層との間のいずれか一方又は両方に、流動電位法で測定される等電点が6以下又は7.4以上である無機酸化物の蒸着層を有する、機能性フィルム。
<2>前記機能性フィルムの最表面、及び前記基材フィルムと前記機能層との間の両方に、前記蒸着層を有する、前記<1>の機能性フィルム。
<3>前記蒸着層の厚さが、100nm以下である、前記<1>又は<2>の機能性フィルム。
<4>前記蒸着層が、単層である、前記<1>~<3>のいずれかの機能性フィルム。
<5>前記無機酸化物が、α-Al、γ-Al、CuO、NiO、SiO及びTiOからなる群より選ばれる1種以上である、前記<1>~<4>のいずれかの機能性フィルム。
<6>前記機能層が、映像表示層、熱線反射層、意匠層、保護層、紫外線吸収層、調光層及び高分子分散型液晶層からなる群より選ばれる1種以上である、前記<1>~<5>のいずれかの機能性フィルム。
<7>第1の透明基材、第1の接着層、前記<1>~<6>のいずれかの機能性フィルム、第2の接着層、及び第2の透明基材がこの順に積層された、機能性合わせガラス。
<8>前記第1の接着層及び前記第2の接着層が、ポリビニルアセタール系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー及びシクロオレフィンポリマーからなる群より選ばれる1種以上である、前記<7>の機能性合わせガラス。
<9>前記蒸着層と、前記第1の接着層及び前記第2の接着層との界面の、JIS A 5759(2016)に準拠して求めた粘着力が4N/25mm以上である、前記<7>又は<8>の機能性合わせガラス。
【発明の効果】
【0007】
本発明の機能性フィルムによれば、各層間の接着性に優れた機能性合わせガラスを得ることができる。
本発明の機能性合わせガラスは、各層間の接着性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の機能性フィルムの第1の実施形態である透過型映像表示用フィルムの一例を示す断面図である。
図2】本発明の機能性フィルムの第2の実施形態である反射型映像表示用フィルムの一例を示す断面図である。
図3】反射型映像表示用フィルムの製造工程の一例を示す断面図である。
図4】本発明の機能性フィルムの第3の実施形態である熱線反射フィルムの一例を示す断面図である。
図5】本発明の機能性フィルムの第4の実施形態である意匠性フィルムの一例を示す断面図である。
図6】本発明の機能性合わせガラスの第1の実施形態である透過型透明スクリーンの一例を示す層構成図である。
図7】本発明の機能性合わせガラスの第2の実施形態である反射型透明スクリーンの一例を示す層構成図である。
図8】本発明の機能性合わせガラスの第3の実施形態である熱線反射合わせガラスの一例を示す層構成図である。
図9】本発明の機能性合わせガラスの第4の実施形態である意匠性合わせガラスの一例を示す層構成図である。
図10】一実施形態による機能性合わせガラスの製造方法のフローチャートである。
図11図2に示す反射型映像表示用フィルムの変形例を示す断面図である。
図12図7に示す反射型透明スクリーンの変形例を示す層構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「等電点」とは、水溶液中の両性電解質(無機酸化物)の電荷が全体として0になるときの水溶液のpHを意味する。等電点は、水溶液のpHを変化させながら界面動電測定(流動電位法)でゼータ電位を測定し、ゼータ電位が0となった点のpHとする。
「第1の面」とは、映像表示用フィルム又は透明スクリーンの最表面であって、投影機から映像光が投射される側の表面を意味する。
「第2の面」とは、映像表示用フィルム又は透明スクリーンの最表面であって、第1の面とは反対側の表面を意味する。
「第1の面側(第2の面側)の光景」とは、映像表示用フィルム又は透明スクリーンの第2の面側(第1の面側)にいる観察者から見て、映像表示用フィルム又は透明スクリーンの向こう側に見える像を意味する。光景には、投影機から投射された映像光が映像表示用フィルム又は透明スクリーンにおいて結像して表示される映像は含まれない。
「凹凸構造」とは、複数の凸部、複数の凹部、又は複数の凸部及び凹部からなる凹凸形状を意味する。
「不規則な凹凸構造」とは、凸部又は凹部が周期的に出現せず、かつ凸部又は凹部の大きさが不揃いである凹凸構造を意味する。
「フィルム」は、枚葉のものであってもよく、連続した帯状のものであってもよい。
図1図9図11及び図12における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
【0010】
<機能性フィルム>
本発明の機能性フィルムは、有機材料を含む機能層を1層以上有する。1層以上の機能層は、基材フィルム上に形成されることが好ましい。
本発明の機能性フィルムは、機能性フィルムの最表面、及び基材フィルムと機能層との間のいずれか一方又は両方に、特定の蒸着層を有する。本発明の機能性フィルムは、各層間の接着性がさらに優れる点から、機能性フィルムの最表面、及び基材フィルムと機能層との間の両方に、特定の蒸着層を有することが好ましい。
【0011】
基材フィルムは、単層フィルムであってもよく、積層フィルムであってもよい。基材フィルムとしては、通常、透明フィルムが用いられる。透明フィルムとしては、機械的強度を有する点から、延伸フィルムが好ましく、二軸延伸フィルムがより好ましい。
基材フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも記す。)、ポリエチレンナフタレート等)、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、シクロオレフィンポリマー(以下、「COP」とも記す。)が挙げられる。
【0012】
機能層としては、例えば、映像表示層、熱線反射層、意匠層、保護層、紫外線吸収層、調光層、高分子分散型液晶層が挙げられる。
本発明における機能層は、有機材料を含む。有機材料としては、例えば、樹脂(熱可塑性樹脂、硬化性樹脂の硬化物等)が挙げられる。
機能層は、無機材料を含んでもよい。無機材料としては、例えば、金属、金属酸化物、ガラス、石英、セラミックス、カーボン系の素材(カーボンブラック等)が挙げられる。
【0013】
有機材料を含む映像表示層としては、例えば、透明樹脂内に光散乱材料が分散された光散乱層、不規則な凹凸構造の反射膜が透明樹脂層に埋設された光散乱層が挙げられる。
有機材料を含む熱線反射層としては、例えば、高屈折率の有機材料を含む高屈折率層と低屈折率の有機材料を含む低屈折率層とを交互に積層した層が挙げられる。
有機材料を含む意匠層としては、例えば、基材フィルムに任意デザインで印刷インキを印刷して形成された印刷層が挙げられる。
有機材料を含む保護層は、機能性フィルムの最表面に設けられて機能層の表面や基材フィルムの表面を保護する層である。有機材料を含む保護層としては、例えば、硬化性樹脂の硬化物からなるハードコート層が挙げられる。
【0014】
蒸着層は、無機酸化物を蒸着して形成される層である。無機酸化物としては、例えば、金属の酸化物、半金属の酸化物が挙げられる。
無機酸化物の等電点は、蒸着層の極性が高くなり、隣接する層との接着性に優れる点から、6以下又は7.4以上であり、9以上が好ましい。
等電点が6以下又は7.4以上の無機酸化物としては、例えば、α-Al(9.1~9.2(sp))、γ-Al(7.4~8.6(sp))、CuO、NiO、SiO(石英)(2.2~2.8(sp))、TiO(天然ルチル)(5.5(sp))が挙げられる。
なお、括弧内の数値は、古澤,”講義 ゼータ電位の測定”,「ぶんせき」2004年5号,日本分析化学会,p.247-254に記載の等電点であり、界面動電測定のうち流動電位法で測定した等電点にspを付して抜粋した。
ちなみに、等電点が6超7.4未満の無機酸化物としては、例えば、Cr(水和物)、SnO、TiO(合成ルチル)(6.7(sp))が挙げられる。
【0015】
蒸着層の厚さは、経済性の点から、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましく、5nm以下が特に好ましい。蒸着層の厚さの下限値は特に限定されないが、均質な蒸着層を形成する点からは、蒸着層の厚さは1nm以上が好ましい。
蒸着層の厚さを薄くし、隣接する層との接着性をさらに優れたものとする点から、蒸着層は単層であることが好ましい。
【0016】
機能性フィルムの形態としては、例えば、映像表示層を有する映像表示用フィルム、熱線反射層を有する熱線反射フィルム、意匠層を有する意匠性フィルムが挙げられる。
【0017】
映像表示用フィルムは、フィルムの向こう側の光景を透視でき、かつフィルムに投射された映像光を映像として視認可能に表示するフィルムである。具体的には、第1の面及びこれとは反対側の第2の面を有するフィルムであり、第1の面側の光景を第2の面側の観察者に視認可能に透過し、第2の面側の光景を第1の面側の観察者に視認可能に透過し、かつ第1の面側に設置された投影機から投射された映像光を、第1の面側の観察者及び第2の面側の観察者のいずれか一方に映像として視認可能に表示するフィルムである。
映像表示用フィルムは、第1の面側から投射された映像光を第2の面側の観察者に映像として視認可能に表示する透過型映像表示用フィルムであってもよく、第1の面側から投射された映像光を第1の面側の観察者に映像として視認可能に表示する反射型映像表示用フィルムであってもよい。
以下、本発明の機能性フィルムの実施形態について説明する。
【0018】
(透過型映像表示用フィルム)
図1は、本発明の機能性フィルムの第1の実施形態である透過型映像表示用フィルムの一例を示す断面図である。
透過型映像表示用フィルム10は、透明フィルム11と、光散乱層12と、透明フィルム11の光散乱層12とは反対側の表面に設けられた第1の蒸着層13と、透明フィルム11と光散乱層12との間に設けられた第2の蒸着層14と、光散乱層12の透明フィルム11とは反対側の表面に設けられた第3の蒸着層15とを有する。
【0019】
透明フィルム11としては、上述した基材フィルムと同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の蒸着層13、第2の蒸着層14及び第3の蒸着層15としては、上述した蒸着層と同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0020】
光散乱層12は、透明樹脂16内に光散乱材料17が分散された層である。光散乱層12は、光吸収材料を含んでいてもよい。
透明樹脂16としては、例えば、光硬化性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂等)の硬化物、熱硬化性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂等)の硬化物、熱可塑性樹脂(ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン、COP、ポリカーボネート、ポリイミド、ウレタン樹脂、アイオノマー、ポリビニルアセタール系樹脂(ポリビニルブチラール(以下、「PVB」とも記す。)等)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも記す。)、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0021】
光散乱材料17としては、例えば、高屈折率材料の微粒子(酸化チタン(屈折率:2.5~2.7)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.4)、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)等)、低屈折率材料の微粒子(ポーラスシリカ(屈折率:1.3以下)、中空シリカ(屈折率:1.3以下)等)、透明樹脂16との相溶性の低い屈折率が異なる樹脂材料、結晶化した1μm以下の樹脂材料が挙げられる。光散乱材料17としては、高屈折率である点から、酸化チタン又は酸化ジルコニウムが特に好ましい。
【0022】
光吸収材料としては、例えば、カーボン系の素材(カーボンブラック、チタンブラック、ナノダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等)、黒色シリカ、銀が最も多い金属元素である微粒子材料、有機染料が挙げられる。
【0023】
透過型映像表示用フィルム10は、例えば、下記の工程A1~A3を有する方法にて製造できる。
工程A1:透明フィルム11の両面に無機酸化物を物理蒸着させて第1の蒸着層13及び第2の蒸着層14を形成する。
工程A2:溶剤、熱可塑性樹脂及び光散乱材料17を含む塗布液を、第2の蒸着層14の表面に塗布し、乾燥させて光散乱層12を形成する。又は、溶剤、光硬化性樹脂及び光散乱材料17を含む塗布液を、第2の蒸着層14の表面に塗布し、乾燥させて未硬化膜を形成し、未硬化膜の上に別の透明フィルムを重ね、未硬化膜に紫外線等を照射し、光硬化性樹脂を硬化させて光散乱層12を形成する。
工程A3:光散乱層12の表面に無機酸化物を物理蒸着させて第3の蒸着層15を形成する。
塗布液の塗布方法としては、例えば、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スプレーコート法が挙げられる。
物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法が挙げられる。
【0024】
なお、透過型映像表示用フィルムは、図示例の透過型映像表示用フィルム10に限定されない。
例えば、接着性に問題が生じない範囲内において、第1の蒸着層、第2の蒸着層及び第3の蒸着層のうち、1つ又は2つを省略してもよい。
また、光散乱層の両面側に透明フィルムを設けてもよい。この場合、第1の蒸着層及び第3の蒸着層は、透明フィルムの表面に設けられる。また、第2の蒸着層は、光散乱層の両面に設けられる。
また、透過型映像表示用フィルムの映像表示層は、特許文献1の図1に記載の映像投影構造体のように、透明層と、透明層の内部に互いに平行に、かつ所定の間隔で配置された複数の光散乱部とからなる光散乱層であってもよい。
また、透過型映像表示用フィルムの映像表示層は、特開2017-102307号公報の図5に記載のスクリーンシートのように、凹凸層と、凹凸層の表面の凹凸を埋める被覆層とからなる光散乱層であってもよい。
【0025】
(反射型映像表示用フィルム)
図2は、本発明の機能性フィルムの第2の実施形態である反射型映像表示用フィルムの一例を示す断面図である。
反射型映像表示用フィルム20は、透明フィルム21と、光散乱層22と、透明フィルム21の光散乱層22とは反対側の表面に設けられた第1の蒸着層23と、透明フィルム21と光散乱層22との間に設けられた第2の蒸着層24と、光散乱層22の透明フィルム21とは反対側の表面に設けられた第3の蒸着層25とを有する。
【0026】
透明フィルム21としては、上述した基材フィルムと同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の蒸着層23、第2の蒸着層24及び第3の蒸着層25としては、上述した蒸着層と同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0027】
光散乱層22は、第1の蒸着層23の表面に設けられた、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明樹脂層26と;第1の透明樹脂層26の凹凸構造側の面に沿うように形成された、入射した光の一部を透過する反射膜27と;反射膜27の表面を覆うように設けられた密着層28と;密着層28の表面を覆うように設けられた第2の透明樹脂層29とを有する。
【0028】
第1の透明樹脂層26及び第2の透明樹脂層29の材料としては、光硬化性樹脂の硬化物、熱硬化性樹脂の硬化物又は熱可塑性樹脂が好ましい。各透明樹脂層の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよく、同じものが好ましい。
【0029】
反射膜27は、反射膜27に入射した光の一部を透過し、他の一部を反射するものであればよい。反射膜27としては、例えば、金属膜、半導体膜、誘電体単層膜、誘電体多層膜、これらの組み合わせが挙げられる。
密着層28の材料としては、例えば、COP、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、PVB、EVAが挙げられる。
【0030】
図3は、反射型映像表示用フィルムの製造工程の一例を示す断面図である。反射型映像表示用フィルム20は、例えば、下記の工程B1~B8を有する方法にて製造できる。
工程B1:透明フィルム21の両面に無機酸化物を物理蒸着させて第1の蒸着層23及び第2の蒸着層24を形成する。
工程B2:溶剤、光硬化性樹脂等を含む塗布液を第2の蒸着層24の表面に塗布し、乾燥させて未硬化膜26aを形成する。不規則な凹凸構造が表面に形成されたモールドMを、凹凸構造が未硬化膜26aに接するように、未硬化膜26aの上に重ねる。
工程B3:未硬化膜26aに紫外線等を照射し、未硬化膜26aを硬化させて、モールドMの不規則な凹凸構造が表面に転写された第1の透明樹脂層26を形成する。モールドMを第1の透明樹脂層26の表面から剥離する。
工程B4:第1の透明樹脂層26の表面に金属を物理蒸着し、金属薄膜からなる反射膜27を形成する。
工程B5:溶剤、熱可塑性樹脂等を含む塗布液を反射膜27の表面に塗布し、乾燥させて密着層28を形成する。密着層28は、反射層27の形状に追従していてもよい。
工程B6:溶剤、光硬化性樹脂等を含む塗布液を密着層28の表面に塗布し、乾燥させて未硬化膜29aを形成する。未硬化膜29aの上に透明な離型フィルムFを重ねる。
工程B7:未硬化膜29aに紫外線等を照射し、未硬化膜29aを硬化させて、第2の透明樹脂層29を形成する。離型フィルムFを第2の透明樹脂層29の表面から剥離する。
工程B8:第2の透明樹脂層29の表面に無機酸化物を物理蒸着させて第3の蒸着層25を形成する。
【0031】
モールドMとしては、例えば、不規則な凹凸構造が表面に形成された樹脂フィルムが挙げられる。不規則な凹凸構造が表面に形成された樹脂フィルムとしては、例えば、微粒子を含む樹脂フィルム、サンドブラスト処理された樹脂フィルムが挙げられる。
塗布液の塗布方法としては、例えば、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スプレーコート法が挙げられる。
物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法が挙げられる。
【0032】
なお、反射型映像表示用フィルムは、図示例の反射型映像表示用フィルム20に限定されない。
例えば、接着性に問題が生じない範囲内において、第1の蒸着層、第2の蒸着層及び第3の蒸着層のうち、1つ又は2つを省略してもよい。
また、光散乱層の両面側に透明フィルムを設けてもよい。この場合、第1の蒸着層及び第3の蒸着層は、透明フィルムの表面に設けられる。また、第2の蒸着層は、光散乱層の両面に設けられる。
また、第1の透明樹脂層の表面の凹凸構造が規則的な凹凸構造(マイクロレンズアレイ等)であってもよい。
また、密着層がなくても、反射膜と第2の透明樹脂層との密着性に問題がない場合は、密着層を省略してもよい。
また、反射膜がなくても、第1の透明樹脂層と密着層又は第2の透明樹脂層との屈折率差をつけることにより充分に光を反射、散乱できる場合は、反射膜を省略してもよい。
反射型映像表示用フィルムの映像表示層は、特開2017-102307号公報の図3に記載のスクリーンシートのように、透明材料層と、透明材料層の一方の表面に隙間をあけて並んだ複数の光反射粒子とからなる光散乱層であってもよい。
【0033】
(熱線反射フィルム)
図4は、本発明の機能性フィルムの第3の実施形態である熱線反射フィルムの一例を示す断面図である。
熱線反射フィルム30は、透明フィルム31と、熱線反射層32と、透明フィルム31の熱線反射層32とは反対側の表面に設けられた第1の蒸着層33と、透明フィルム31と熱線反射層32との間に設けられた第2の蒸着層34と、熱線反射層32の透明フィルム31とは反対側の表面に設けられた第3の蒸着層35とを有する。
【0034】
透明フィルム31としては、上述した基材フィルムと同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の蒸着層33、第2の蒸着層34及び第3の蒸着層35としては、上述した蒸着層と同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0035】
熱線反射層32は、高屈折率層36と低屈折率層37とが交互に積層した層である。高屈折率層36と低屈折率層37との積層の形態は、図示例のものに限定されない。
高屈折率層36及び低屈折率層37の具体例としては、例えば、特許文献3~5に記載のものが挙げられる。
【0036】
熱線反射フィルム30は、例えば、下記の工程C1~C3を有する方法にて製造できる。
工程C1:透明フィルム31の両面に無機酸化物を物理蒸着させて第1の蒸着層33及び第2の蒸着層34を形成する。
工程C2:第2の蒸着層34の表面に、高屈折率層36と低屈折率層37とを交互に形成する。
工程C3:最表層の高屈折率層36の表面に無機酸化物を物理蒸着させて第3の蒸着層35を形成する。
高屈折率層36及び低屈折率層37の形成方法としては、例えば、特許文献3~5に記載の方法が挙げられる。
物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法が挙げられる。
【0037】
なお、熱線反射フィルムは、図示例の熱線反射フィルム30に限定されない。
例えば、接着性に問題が生じない範囲内において、第1の蒸着層、第2の蒸着層及び第3の蒸着層のうち、1つ又は2つを省略してもよい。
また、透明フィルムの表面にハードコート層を設けてもよい。この場合、第1の蒸着層は、ハードコート層の表面に設けられる。
また、熱線吸収層をさらに設けてもよい。熱線吸収層は、赤外線吸収剤を配合した透明フィルムからなる層であってもよい。
【0038】
(意匠性フィルム)
図5は、本発明の機能性フィルムの第4の実施形態である意匠性フィルムの一例を示す断面図である。
意匠性フィルム40は、透明フィルム41と、パターン状の印刷層42と、透明フィルム41の印刷層42とは反対側の表面に設けられた第1の蒸着層43と、透明フィルム41の印刷層42側の表面に設けられた第2の蒸着層44と、印刷層42の表面及び第2の蒸着層44の露出面に設けられた第3の蒸着層45とを有する。
【0039】
透明フィルム41としては、上述した基材フィルムと同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の蒸着層43、第2の蒸着層44及び第3の蒸着層45としては、上述した蒸着層と同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0040】
印刷層42は、蒸着層付き透明フィルム41に任意デザインで印刷インキを印刷して形成された層である。
印刷層42の具体例としては、例えば、特許文献6、7に記載のものが挙げられる。
【0041】
意匠性フィルム40は、例えば、下記の工程D1~D3を有する方法にて製造できる。
工程D1:透明フィルム41の両面に無機酸化物を物理蒸着させて第1の蒸着層43及び第2の蒸着層44を形成する。
工程D2:第2の蒸着層44の表面に印刷層42を形成する。
工程D3:印刷層42の表面及び第2の蒸着層44の露出面に無機酸化物を物理蒸着させて第3の蒸着層45を形成する。
印刷層42の形成方法としては、例えば、特許文献6、7に記載の方法が挙げられる。
物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法が挙げられる。
【0042】
なお、意匠性フィルムは、図示例の意匠性フィルム40に限定されない。
例えば、印刷層の表面に保護層を設けてもよい。この場合、第3の蒸着層は、保護層の表面に設けられる。
【0043】
(作用機序)
以上説明した本発明の機能性フィルムにあっては、機能性フィルムの最表面に、等電点が6以下又は7.4以上である無機酸化物の蒸着層を有する場合、機能性合わせガラスに用いた際に、機能性フィルムと接着層との間の接着性に優れたものとなる。また、機能性フィルムにおける基材フィルムと機能層との間に、等電点が6以下又は7.4以上である無機酸化物の蒸着層を有する場合、基材フィルムと機能層との間の接着性に優れたものとなる。
【0044】
なお、本発明の機能性フィルムは、基材フィルムと、有機材料を含む機能層とを有する機能性フィルムであり、機能性フィルムの最表面、及び基材フィルムと機能層との間のいずれか一方又は両方に、等電点が6以下又は7.4以上である無機酸化物の蒸着層を有するものであればよく、図示例の第1~4の実施形態の機能性フィルムに限定されない。
【0045】
<機能性合わせガラス>
本発明の機能性合わせガラスは、本発明の機能性フィルムを2枚の透明基材の間に挟み込んだものである。透明基材と機能性フィルムとは、接着層によって接着されている。
【0046】
透明基材の材料としては、例えば、ガラス、透明樹脂が挙げられる。各透明基材の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
透明基材を構成するガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。ガラスからなる透明基材には、耐久性を向上させるために、化学強化、物理強化、ハードコーティング等を施してもよい。
透明基材を構成する透明樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル(PET、ポリエチレンナフタレート等)、トリアセチルセルロース、COP、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂が挙げられる。
【0047】
接着層は、透明基材と機能性フィルムとを接着するためのものであり、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物からなるものである。接着層に用いられる熱可塑性樹脂としては、従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂(PVB等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂(EVA等)、エチレン-エチルアクリレート共重合体系樹脂、アイオノマー(エチレン-メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋した材料等)、COPが挙げられる。接着層としては、耐熱性や耐候性の点から、PVB又はEVAを含むものが好ましい。各接着層の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0048】
本発明の機能性合わせガラスは、第1の透明基材、第1の接着層となる中間膜、本発明の機能性フィルム、第2の接着層となる中間膜、及び第2の透明基材をこの順に重ねた状態で加熱して接着する方法によって製造できる。
機能性合わせガラスが大面積のものである場合、機能性フィルムを中間膜の上に重ねる際に、複数の機能性フィルムを面方向に沿って並べてもよい。
【0049】
中間膜としては、耐熱性や耐候性の点から、PVB又はEVAを含むものが好ましい。
中間膜としては、積み重ね作業を容易に行うことができる点から、合わせガラスの製造に用いられるものが好ましい。
【0050】
接着する際の加熱温度は、80~150℃が好ましく、90~140℃がより好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、中間膜のエンボスが消失しヘーズを抑制できる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、機能性フィルムの過剰な収縮とそれに伴う泡の発生が抑えられる。
接着する際の加熱時間は、30~90分間が好ましく、45~75分間がより好ましい。加熱時間が前記範囲の下限値以上であれば、中間膜のエンボスが消失しヘーズを抑制できる。加熱時間が前記範囲の上限値以下であれば、生産性が高く、経済的に好ましい。
【0051】
透明基材、中間膜及び機能性フィルムを重ねた積層体は、真空バッグ(ゴム袋)に入れられ、真空引きされた状態で、熱風炉内で比較的低い温度で予備接着された後、オートクレーブに移して加圧状態で、比較的高い温度で本接着されてもよい。
予備接着する際の加熱温度は、80℃以上120℃未満が好ましい。予備接着する際の加熱時間は、30~90分間が好ましい。
本接着する際の加熱温度は、100~150℃が好ましい。本接着する際の加熱時間は、30~120分間が好ましい。本接着する際の圧力は、0.6~2.0MPa[abs]が好ましい。
【0052】
機能性合わせガラスの形態としては、例えば、映像表示用フィルムを、接着層を介して2枚の透明基材の間に挟み込んだ透明スクリーン、熱線反射フィルムを、接着層を介して2枚の透明基材の間に挟み込んだ熱線反射合わせガラス、意匠性フィルムを、接着層を介して2枚の透明基材の間に挟み込んだ意匠性合わせガラスが挙げられる。
【0053】
透明スクリーンは、スクリーンの向こう側の光景を透視でき、かつスクリーンに投射された映像光を映像として視認可能に表示するスクリーンである。具体的には、第1の面及びこれとは反対側の第2の面を有するスクリーンであり、第1の面側の光景を第2の面側の観察者に視認可能に透過し、第2の面側の光景を第1の面側の観察者に視認可能に透過し、かつ第1の面側に設置された投影機から投射された映像光を、第1の面側の観察者及び第2の面側の観察者のいずれか一方に映像として視認可能に表示するスクリーンである。
透明スクリーンは、第1の面側から投射された映像光を第2の面側の観察者に映像として視認可能に表示する透過型透明スクリーンであってもよく、第1の面側から投射された映像光を第1の面側の観察者に映像として視認可能に表示する反射型透明スクリーンであってもよい。
以下、本発明の機能性合わせガラスの実施形態について説明する。
【0054】
(透過型透明スクリーン)
図6は、本発明の機能性合わせガラスの第1の実施形態である透過型透明スクリーンの一例を示す層構成図である。
透過型透明スクリーン50は、第1の透明基材52と第2の透明基材54との間に、透過型映像表示用フィルム10が配置されたものである。
第1の透明基材52と透過型映像表示用フィルム10とは、第1の接着層56によって接着され、第2の透明基材54と透過型映像表示用フィルム10とは、第2の接着層58によって接着されている。
【0055】
第1の透明基材52及び第2の透明基材54の材料としては、上述した機能性合わせガラスの透明基材と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の接着層56及び第2の接着層58としては、上述した機能性合わせガラスの接着層と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0056】
透過型透明スクリーン50においては、図6に示すように、投影機100から投射され、透過型透明スクリーン50の第1の面S1から入射した映像光Lが、透過型映像表示用フィルム10の光散乱層12において散乱することによって結像し、投影機100とは反対側にいる第2の観察者Xに映像として視認可能に表示される。
【0057】
第1の面S1側の光景の光は、第1の面S1から透過型透明スクリーン50に入射した後、光散乱層12において一部が散乱し、残りは透過する。これにより、第2の面S2側の第2の観察者Xが第1の面S1側の光景を視認できる。同じく、第2の面S2側の光景の光は、第2の面S2から透過型透明スクリーン50に入射した後、光散乱層12において一部が散乱し、残りは透過する。これにより、第1の面S1側の第1の観察者(図示略)が第2の面S2側の光景を視認できる。
【0058】
投影機100は、透過型透明スクリーン50に映像光Lを投射できるものであればよい。投影機100としては、例えば、公知のプロジェクタが挙げられ、短焦点プロジェクタが好ましい。
【0059】
なお、透過型透明スクリーンは、図示例の透過型透明スクリーン50に限定されない。
例えば、透過型映像表示用フィルム10の代わりに、上述した他の形態の透過型映像表示用フィルムを用いてもよい。
また、透過型透明スクリーンは、他の層をさらに有していてもよい。他の層としては、例えば、光の反射を低減させる低反射層、光の一部を減衰させる光減衰層、赤外線を遮蔽する赤外線遮蔽層が挙げられる。
【0060】
(反射型透明スクリーン)
図7は、本発明の機能性合わせガラスの第2の実施形態である反射型透明スクリーンの一例を示す層構成図である。
反射型透明スクリーン60は、第1の透明基材62と第2の透明基材64との間に、反射型映像表示用フィルム20が配置されたものである。
第1の透明基材62と反射型映像表示用フィルム20とは、第1の接着層66によって接着され、第2の透明基材64と反射型映像表示用フィルム20とは、第2の接着層68によって接着されている。
以下、図5の透過型透明スクリーン50と同じ構成のものについては同じ符号を付し、説明を省略する。
【0061】
第1の透明基材62及び第2の透明基材64の材料としては、上述した機能性合わせガラスの透明基材と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の接着層66及び第2の接着層68としては、上述した機能性合わせガラスの接着層と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0062】
反射型透明スクリーン60においては、図7に示すように、投影機100から投射され、反射型透明スクリーン60の第1の面S1から入射した映像光Lが、反射型映像表示用フィルム20の反射膜27において散乱することによって結像し、投影機100と同じ側にいる第1の観察者Xに映像として視認可能に表示される。
【0063】
第1の面S1側の光景の光は、第1の面S1から反射型透明スクリーン60に入射した後、反射膜27において一部が反射し、残りは透過する。これにより、第2の面S2側の第2の観察者(図示略)が第1の面S1側の光景を視認できる。同じく、第2の面S2側の光景の光は、第2の面S2から反射型透明スクリーン60に入射した後、反射膜27において一部が反射し、残りは透過する。これにより、第1の面S1側の第1の観察者Xが第2の面S2側の光景を視認できる。
【0064】
なお、反射型透明スクリーンは、図示例の反射型透明スクリーン60に限定されない。
例えば、反射型映像表示用フィルム20の代わりに、上述した他の形態の反射型映像表示用フィルムを用いてもよい。
また、反射型透明スクリーンは、他の層をさらに有していてもよい。他の層としては、例えば、光の反射を低減させる低反射層、光の一部を減衰させる光減衰層、赤外線を遮蔽する赤外線遮蔽層が挙げられる。
【0065】
(熱線反射合わせガラス)
図8は、本発明の機能性合わせガラスの第3の実施形態である熱線反射合わせガラスの一例を示す層構成図である。
熱線反射合わせガラス70は、第1の透明基材72と第2の透明基材74との間に、熱線反射フィルム30が配置されたものである。
第1の透明基材72と熱線反射フィルム30とは、第1の接着層76によって接着され、第2の透明基材74と熱線反射フィルム30とは、第2の接着層78によって接着されている。
【0066】
第1の透明基材72及び第2の透明基材74の材料としては、上述した機能性合わせガラスの透明基材と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の接着層76及び第2の接着層78としては、上述した機能性合わせガラスの接着層と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0067】
なお、熱線反射合わせガラスは、図示例の熱線反射合わせガラス70に限定されない。
例えば、熱線反射フィルム30の代わりに、上述した他の形態の熱線反射フィルムを用いてもよい。
【0068】
(意匠性合わせガラス)
図9は、本発明の機能性合わせガラスの第4の実施形態である意匠性合わせガラスの一例を示す層構成図である。
意匠性合わせガラス80は、第1の透明基材82と第2の透明基材84との間に、意匠性フィルム40が配置されたものである。
第1の透明基材82と意匠性フィルム40とは、第1の接着層86によって接着され、第2の透明基材84と意匠性フィルム40とは、第2の接着層88によって接着されている。
【0069】
第1の透明基材82及び第2の透明基材84の材料としては、上述した機能性合わせガラスの透明基材と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
第1の接着層86及び第2の接着層88としては、上述した機能性合わせガラスの接着層と同じものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0070】
なお、意匠性合わせガラスは、図示例の意匠性合わせガラス80に限定されない。
例えば、意匠性フィルム40の代わりに、上述した他の形態の意匠性フィルムを用いてもよい。
【0071】
(作用機序)
以上説明した本発明の機能性合わせガラスにあっては、機能性フィルムの最表面に、等電点が6以下又は7.4以上である無機酸化物の蒸着層を有する場合、機能性フィルムと接着層との間の接着性に優れたものとなる。また、機能性フィルムにおける基材フィルムと機能層との間に、等電点が6以下又は7.4以上である無機酸化物の蒸着層を有する場合、基材フィルムと機能層との間の接着性に優れたものとなる。
【0072】
なお、本発明の機能性合わせガラスは、第1の透明基材、第1の接着層、本発明の機能性フィルム、第2の接着層、及び第2の透明基材がこの順に積層されたものであればよく、図示例の第1~4の実施形態の機能性合わせガラスに限定されない。
本発明の機能性合わせガラスは、機能性フィルムが存在する領域と、機能性フィルムが存在しない領域とを有するものであってもよい。
【0073】
<機能性合わせガラスの製造方法>
図10は、一実施形態による機能性合わせガラスの製造方法のフローチャートである。機能性合わせガラスの製造方法は、第1接着工程E1と、分離工程E2と、第2接着工程E3とをこの順で経ることが好ましい。以下、一例として図2の反射型映像表示用フィルムの変形例である図11の反射型映像表示用フィルム20Aを合わせガラス化して図12の反射型透明スクリーン60Aを作製する際の各工程について説明する。
図11は、図2の反射型映像表示用フィルムのうち、第1の蒸着層23および第2の蒸着層24を有しない反射型映像表示用フィルム20Aを示している。
第1接着工程E1:反射型映像表示用フィルム20Aの第3の蒸着層25側の面に、第1の接着層66を熱接着して、仮積層体を形成する。
分離工程E2:仮積層体から透明フィルム21を剥離する。分離工程E2の後、光散乱層22の第1の透明樹脂層26が露出する。ここで、仮積層体から透明フィルム21を剥離しやすくするために、透明フィルム21と第1の透明樹脂層26との間の密着性を制御する熱可塑性樹脂層(例えば厚さ1~10um程度のPVB層、不図示)が設けられていてもよい。
第2接着工程E3:露出した第1の透明樹脂層26上に、第2の接着層68を介して第2の透明基材64を積層し、さらに、第1の接着層66上に、第1の透明基材62を積層して、積層体を形成する。当該積層体を熱接着して、図12の反射型透明スクリーン60Aが得られる。
基材フィルムは機能層の形成のために用いられるフィルムであり、当該機能の発現には寄与しない。したがって、合わせガラス作製時に基材フィルムを剥離したい場合には、図11に示すように、機能層(光散乱層22)のうち、基材フィルム(透明フィルム21)との接触面には第1の蒸着層を設けず、第1の接着層66との接触面のみに第3の蒸着層26を設けることで、分離工程E2において、仮積層体から透明フィルム21を容易に剥離でき、好ましい。
例えば、基材フィルムと機能層との粘着力が4N/25mm未満で、かつ、機能層と第1の接着層との粘着力が4N/25mm以上であれば、分離工程E2において、仮積層体から透明フィルム21を容易に剥離でき、好ましい。機能層と第1の接着層との粘着力が10N/25mm以上であるとより好ましく、20N/25mm以上であるとさらに好ましい。
なお、基材フィルムを剥離した後の第1の透明樹脂層26の表面に、シランカップリング剤を塗布して、第2の接着層68との粘着力を高めてもよい。
【実施例
【0074】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
例1~5は実施例であり、例6~10は比較例である。
【0075】
(粘着力試験)
機能性フィルム、接着層、ガラス板の順に積層された試験片について、23±2℃の環境下で安定させた。機能性フィルムにカッターナイフを用いて25mm間隔で切れ込みを入れ、機能性フィルムを25mm幅の短冊状に分割した。短冊状の機能性フィルムを剥がし、接着層及びガラス板の部分を、引張試験装置の下部チャックに挟んだ。機能性フィルムの遊び部分を180度に折り返し、引張試験装置の上部チャックに届くまで機能性フィルムを剥がした。機能性フィルムの遊び部分を引張試験装置の上部チャックに挟んだ。JIS A 5759:2016に準拠し、23±2℃、引張速度300mm/minで機能性フィルムを引き剥がし、荷重及び変位量を計測した。荷重の安定した60mmの長さについて荷重を平均化して粘着力(N/25mm)とした。10本の短冊状の機能性フィルムについて粘着力を求め、最終的な粘着力の表示値はその平均値とした。粘着力は、下記基準にて評価した。JIS A 5759:2016においては、ガラス飛散防止フィルムの粘着力は、4.0N/25mm以上に適合しなければならないとされている。
A:粘着力が20N/25mm以上である。
B:粘着力が10N/25mm以上20N/25mm未満である。
C:粘着力が4N/25mm以上10N/25mm未満である。
D:粘着力が4N/25mm未満である。
【0076】
(付着性試験)
基材フィルムの表面に直接又は蒸着層を介して機能層(塗膜)を形成した試験片、又は機能性フィルムの表面に塗膜を形成した試験片について、JIS K 5600-5-6:1999(対応国際規格ISO 2409:1992)に準拠し、クロスカット法によって塗膜の付着性を評価した。
カッターナイフの刃は常に新しいものを使用した。素地まで到達する切れ込みを塗膜に間隔1mmで11本入れ、90度向きを変え同様に切れ込みを11本入れた。カットした塗膜の表面に約50mm付着するようにセロハン粘着テープを貼り付け、消しゴムでこすって塗膜にテープを付着させた。テープを付着させてから1~2分後に、テープの端を持って塗膜面に直角に保ち、瞬間的にテープを引き剥がした。粘着力は、下記基準にて評価した。
A:どの格子の目にも剥がれがない。
B:剥がれが生じており、剥がれた格子の目の割合が15%未満である。
C:剥がれた格子の目の割合が15%以上35%未満である。
D:剥がれた格子の目の割合が35%以上である。
【0077】
(原材料)
透明なPETフィルム(二軸延伸フィルム、厚さ125μm)を用意した。
メチルエチルケトン30質量部、紫外線硬化性樹脂70質量部、光開始剤3質量部を混合し、塗布液1を得た。
トルエン90質量部、COP10質量部を混合し、塗布液2を得た。
エタノール100質量部、PVB粉末10質量部、酸化チタン粒子0.1質量部、カーボンブラック0.1質量部を混合し、塗布液3を得た。
ガラス板(ソーダライムガラス、厚さ3mm)を用意した。
中間膜1(PVB膜、厚さ0.76mm)を用意した。
中間膜2(EVA膜、厚さ0.8mm)を用意した。
中間膜3(アイオノマー膜、厚さ0.89mm)を用意した。
中間膜4(COP膜、厚さ0.8mm)を用意した。
【0078】
(例1)
PETフィルムの両面にα-Al(等電点:9.1)を真空蒸着し、厚さ2nmの第1の蒸着層及び第2の蒸着層を形成し、両面蒸着PETフィルム1を得た。
両面蒸着PETフィルム1の第2の蒸着層の表面に塗布液1を塗布し、90℃にて4分間乾燥し、1000mJの紫外線を照射し、厚さ10μmの機能層を形成し、機能性フィルム1を得た。
【0079】
機能性フィルム1、中間膜1、ガラス板をこの順に、かつ機能性フィルム1の第1の蒸着層と中間膜1とが重なるように積層し、真空バッグに入れ、真空引きしながら熱風炉内で100℃、0.015MPa[abs]で30分間加熱して予備接着した。予備接着された積層体をオートクレーブに移し、130℃、1.0MPa[abs]で60分間加熱して本接着し、積層体1を得た。
中間膜1の代わりに中間膜2~4を用いた以外は同様にして積層体2~4を得た。
積層体1~4について、第1の蒸着層と接着層との界面の粘着力を評価した。結果を表1に示す。
【0080】
両面蒸着PETフィルム1の第2の蒸着層の表面に塗布液2を塗布し、90℃にて4分間乾燥し、厚さ5μmの機能層を形成し、機能性フィルム2を得た。
両面蒸着PETフィルム1の第2の蒸着層の表面に塗布液3を塗布し、95℃にて3分間乾燥し、厚さ5μmの機能層を形成し、機能性フィルム3を得た。
機能性フィルム1~3について、第2の蒸着層に対する機能層の付着性を評価した。結果を表1に示す。
【0081】
(例2)
PETフィルムの両面にSiO(等電点:2.2)を真空蒸着し、厚さ2nmの第1の蒸着層及び第2の蒸着層を形成し、両面蒸着PETフィルム2を得た。
両面蒸着PETフィルム2を用いた以外は、例1と同様にして機能性フィルム1~3及び積層体1~4を得て、評価した。結果を表1に示す。
【0082】
(例3)
例1と同様にして機能性フィルム1を得た。機能性フィルム1の機能層の表面にCuO(等電点:9.5)を真空蒸着し、厚さ2nmの第3の蒸着層を形成し、両面蒸着機能性フィルム3を得た。
【0083】
両面蒸着機能性フィルム3、中間膜1、ガラス板をこの順に、かつ両面蒸着機能性フィルム3の第3の蒸着層と中間膜1とが重なるように積層し、真空バッグに入れ、真空引きしながら熱風炉内で100℃、0.015MPa[abs]で30分間加熱して予備接着した。予備接着された積層体をオートクレーブに移し、130℃、1.0MPa[abs]で60分間加熱して本接着し、積層体1を得た。
中間膜1の代わりに中間膜2~4を用いた以外は同様にして積層体2~4を得た。
積層体1~4について、第3の蒸着層と接着層との界面の粘着力を評価した。結果を表1に示す。
【0084】
両面蒸着機能性フィルムの第3の蒸着層の表面に塗布液1を塗布し、90℃にて4分間乾燥し、1000mJの紫外線を照射し、厚さ10μmの機能層を形成し、塗膜付き機能性フィルム1を得た。
両面蒸着機能性フィルムの第3の蒸着層の表面に塗布液2を塗布し、90℃にて4分間乾燥し、厚さ5μmの機能層を形成し、塗膜付き機能性フィルム2を得た。
両面蒸着機能性フィルムの第3の蒸着層の表面に塗布液3を塗布し、95℃にて3分間乾燥し、厚さ5μmの機能層を形成し、塗膜付き機能性フィルム3を得た。
塗膜付き機能性フィルム1~3について、第3の蒸着層に対する塗膜の付着性を評価した。結果を表1に示す。
【0085】
(例4)
例1と同様にして機能性フィルム2を得た。機能性フィルム2の機能層の表面にNiO(等電点:10.3)を真空蒸着し、厚さ2nmの第3の蒸着層を形成し、両面蒸着機能性フィルム4を得た。
両面蒸着機能性フィルム4を用いた以外は、例3と同様にして塗膜付き機能性フィルム1~3及び積層体1~4を得て、評価した。結果を表1に示す。
【0086】
(例5)
例1と同様にして機能性フィルム3を得た。機能性フィルム3の機能層の表面にAl(等電点:9.1)を真空蒸着し、厚さ2nmの第3の蒸着層を形成し、両面蒸着機能性フィルム5を得た。
両面蒸着機能性フィルム5を用いた以外は、例3と同様にして塗膜付き機能性フィルム1~3及び積層体1~4を得て、評価した。結果を表1に示す。
【0087】
(例6)
PETフィルムの両面にCr(等電点:6.5)を真空蒸着し、厚さ2nmの第1の蒸着層及び第2の蒸着層を形成し、両面蒸着PETフィルム6を得た。
両面蒸着PETフィルム6を用いた以外は、例1と同様にして機能性フィルム1~3及び積層体1~4を得て、評価した。結果を表1に示す。
【0088】
(例7)
PETフィルムの両面に第1の蒸着層及び第2の蒸着層を形成しない以外は、例1と同様にして機能性フィルム1~3及び積層体1~4を得た。
積層体1~4について、PETフィルムと接着層との界面の粘着力を評価した。結果を表1に示す。
機能性フィルム1~3について、PETフィルムに対する機能層の付着性を評価した。結果を表1に示す。
【0089】
(例8)
例7と同様にして機能性フィルム1を得た。
機能性フィルム1、中間膜1、ガラス板をこの順に、かつ機能性フィルム1の機能層と中間膜1とが重なるように積層し、真空バッグに入れ、真空引きしながら熱風炉内で100℃、0.015MPa[abs]で30分間加熱して予備接着した。予備接着された積層体をオートクレーブに移し、130℃、1.0MPa[abs]で60分間加熱して本接着し、積層体1を得た。
中間膜1の代わりに中間膜2~4を用いた以外は同様にして積層体2~4を得た。
積層体1~4について、機能層と接着層との界面の粘着力を評価した。結果を表1に示す。
【0090】
(例9)
例7と同様にして機能性フィルム2を得た。
機能性フィルム2を用いた以外は、例8と同様にして積層体1~4を得た。
積層体1~4について、機能層と接着層との界面の粘着力を評価した。結果を表1に示す。
【0091】
(例10)
例7と同様にして機能性フィルム3を得た。
機能性フィルム3を用いた以外は、例8と同様にして積層体1~4を得た。
積層体1~4について、機能層と接着層との界面の粘着力を評価した。結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の機能性合わせガラスは、例えば、透明スクリーン、熱線反射合わせガラス、意匠性合わせガラスとして有用である。
なお、2018年12月26日に出願された日本特許出願2018-243655号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【符号の説明】
【0094】
10 透過型映像表示用フィルム、11 透明フィルム、12 光散乱層、13 第1の蒸着層、14 第2の蒸着層、15 第3の蒸着層、16 透明樹脂、17 光散乱材料、20、20A 反射型映像表示用フィルム、21 透明フィルム、22 光散乱層、23 第1の蒸着層、24 第2の蒸着層、25 第3の蒸着層、26 第1の透明樹脂層、26a 未硬化膜、27 反射膜、28 密着層、29 第2の透明樹脂層、29a 未硬化膜、30 熱線反射フィルム、31 透明フィルム、32 熱線反射層、33 第1の蒸着層、34 第2の蒸着層、35 第3の蒸着層、36 高屈折率層、37 低屈折率層、40 意匠性フィルム、41 透明フィルム、42 印刷層、43 第1の蒸着層、44 第2の蒸着層、45 第3の蒸着層、50 透過型透明スクリーン、52 第1の透明基材、54 第2の透明基材、56 第1の接着層、58 第2の接着層、60、60A 反射型透明スクリーン、62 第1の透明基材、64 第2の透明基材、66 第1の接着層、68 第2の接着層、70 熱線反射合わせガラス、72 第1の透明基材、74 第2の透明基材、76 第1の接着層、78 第2の接着層、80 意匠性合わせガラス、82 第1の透明基材、84 第2の透明基材、86 第1の接着層、88 第2の接着層、100 投影機、F 離型フィルム、L 映像光、M モールド、S1 第1の面、S2 第2の面、X 観察者。
図1
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図3
図4
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図12