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特許7359338生分解性樹脂用可塑剤、生分解性樹脂組成物及びその成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】生分解性樹脂用可塑剤、生分解性樹脂組成物及びその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20231003BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20231003BHJP
   C08G 63/16 20060101ALI20231003BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C08L67/02
C08L101/00
C08G63/16
C08L67/04 ZBP
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023535868
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 JP2022029051
(87)【国際公開番号】W WO2023026758
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021136182
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】山崎 優
(72)【発明者】
【氏名】野口 崇史
(72)【発明者】
【氏名】所 寛樹
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-191895(JP,A)
【文献】特開平08-283557(JP,A)
【文献】特開2006-219649(JP,A)
【文献】特開昭61-002745(JP,A)
【文献】特開2021-080419(JP,A)
【文献】特開2021-080420(JP,A)
【文献】特開平09-175559(JP,A)
【文献】特開2004-161801(JP,A)
【文献】特開2017-207679(JP,A)
【文献】特開平11-236494(JP,A)
【文献】特開2007-138097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00-64/42
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性樹脂用可塑剤および生分解性樹脂を含有する生分解性樹脂組成物であって、
前記生分解性樹脂用可塑剤は、炭素原子数3~10のアルキレングリコール、炭素原子数8~14のアルキレンジカルボン酸及び水添植物油脂肪酸を反応原料とするポリエステルであり、
前記生分解性樹脂が、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシヘキサン酸、ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシバリレートおよびポリブチレンサクシネートアジペートからなる群から選択される1種以上である生分解性樹脂組成物。
【請求項2】
前記炭素原子数8~14のアルキレンジカルボン酸が、セバシン酸である請求項1に記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項3】
前記炭素原子数3~10のアルキレングリコールが、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項4】
前記水添植物油脂肪酸が、水添ヤシ油脂肪酸、水添パーム核油脂肪酸、水添パーム油脂肪酸、水添オリーブ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸及び水添ナタネ油脂肪酸からなる群から選択される1以上である請求項1~3のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリエステルの数平均分子量が500~5,000の範囲である請求項1~4のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項6】
前記生分解性樹脂用可塑剤の含有量が、前記生分解性樹脂100質量部に対して1~30質量部の範囲である請求項1~5のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂用可塑剤、生分解性樹脂組成物及びその成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂(PVC)等の汎用プラスチックは幅広い用途で用いられており、このような汎用プラスチックは一般に可塑剤が添加されて柔軟にしてから用いられる。しかしながら、汎用プラスチックは分解されにくいため、近年の「持続可能性」重視の観点から、汎用プラスチックから生分解性樹脂に切り替える動きがでている。
【0003】
生分解性樹脂は汎用プラスチックに比べて一般に高極性であるため、従来の汎用プラスチック用可塑剤とは異なる、生分解性樹脂に適した可塑剤が求められている。このニーズに応えるべく、生分解性樹脂用の可塑剤が種々提案されている(例えば特許文献1-3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-009107号公報
【文献】特開2018-100324号公報
【文献】WO2014/054278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1-3が開示する可塑剤を生分解性樹脂に添加した場合には、可塑化効果が得られるものの生分解性樹脂組成物のガラス転移温度が低下して耐熱性が損なわれてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、生分解性樹脂を十分に可塑化でき、生分解性樹脂組成物の成形品に優れた耐熱性を付与することができる可塑剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記式(1)又は式(2)で表されるポリエステルである生分解性樹脂用可塑剤に関するものである。
【0008】
【化1】
(前記式(1)及び(2)中、
11は、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
12は、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
21は、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
22は、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
Gは、炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基又は炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基を表す。
Aは、炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基を表す。
m及びnはそれぞれ括弧で括られた繰り返し単位数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0009】
本発明により、生分解性樹脂を十分に可塑化でき、生分解性樹脂組成物の成形品に優れた耐熱性を付与することができる可塑剤が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
【0011】
[生分解性樹脂用可塑剤]
本発明の生分解性樹脂用可塑剤は、下記式(1)又は式(2)で表されるポリエステルである。以下、下記式(1)で表されるポリエステル及び下記式(2)で表されるポリエステルを総称して「本発明のポリエステル」という場合がある。
【0012】
【化2】
(前記式(1)及び(2)中、
11は、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
12は、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
21は、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
22は、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
Gは、炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基又は炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基を表す。
Aは、炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基を表す。
m及びnはそれぞれ括弧で括られた繰り返し単位数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0013】
本発明において「カルボン酸残基」とは、カルボン酸が有するカルボキシル基を除いた残りの有機基を示すものである。尚、「カルボン酸残基」の炭素原子数については、カルボキシ基中の炭素原子は含まないものとする。
本発明において「アルコール残基」とは、アルコールから水酸基を除いた残りの有機基を示すものである。
本発明において「グリコール残基」とは、グリコールから水酸基を除いた残りの有機基を示すものである。
【0014】
11及びB12の炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基としては、例えばカプリル酸残基、カプリン酸残基、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、ペンタデシル酸残基、パルミチン酸残基、マルガリン酸残基、ステアリン酸残基、アラキジン酸残基等が挙げられる。
11及びB12の炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基は、脂肪鎖に2級水酸基及び/又は3級水酸基を有してもよく、12-ヒドロキシステアリン酸残基等を含む。
【0015】
11及びB12は、好ましくは炭素数11~17の脂肪族モノカルボン酸残基であり、より好ましくはラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基又はステアリン酸残基である。
式(1)で表されるポリエステルのB11及びB12のうち、少なくとも1つが炭素数11~17の脂肪族モノカルボン酸残基であることで生分解性樹脂用可塑剤として十分な効果を発揮することができる。
【0016】
21及びB22の炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基としては、例えばノルマルオクタノール、2-エチルヘキサノール、イソノニルアルコール等が挙げられる。
【0017】
21及びB22は、好ましくは炭素原子数7~10の脂肪族モノアルコール残基であり、より好ましくは炭素原子数8又は9の脂肪族モノアルコール残基である。
【0018】
Aの炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基としては、例えば、アゼライン酸残基、セバシン酸残基、ドデカンジカルボン酸残基、シクロヘキサンジカルボン酸残基、ヘキサヒドロフタル酸残基等が挙げられる。
【0019】
Aの炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基は、好ましくは炭素原子数7~10のアルキレンジカルボン酸残基であり、より好ましくはアゼライン酸残基、セバシン酸残基又はドデカン二酸残基であり、さらに好ましくはセバシン酸残基である。
【0020】
Gの炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基としては、1,2-プロピレングリコール残基、1,3-プロピレングリコール残基、1,2-ブタンジオール残基、1,3-ブタンジオール残基、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)残基、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロ-ルペンタン)残基、2-n-ブチル-2-エチル-1,3プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基、シクロヘキサンジメタノール残基、2,2,4-トリメチル1,3-ペンタンジオール残基、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール残基、2-メチル-1,8-オクタンジオール残基、1,9-ノナンジオール残基、1,10-デカンジオール残基、ジエチレングリコール残基等が挙げられる。
【0021】
Gの炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基は、好ましくは炭素原子数3~6のアルキレングリコール残基であり、より好ましくは1,2-プロパンジオール残基、1,3-ブタンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、ネオペンチルグリコール残基、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基又はジエチレングリコール残基である。
【0022】
Gの炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基は、例えば前記炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基の炭素原子の1つを酸素原子に置き換えたものであり、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、テトラエチレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基、トリプロピレングリコール残基等が挙げられる。
Gの炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基は、好ましくは炭素原子数4~6のオキシアルキレングリコール残基であり、より好ましくはジエチレングリコール残基又はトリエチレングリコール残基である。
【0023】
m及びnのそれぞれの上限は、特に限定されないが例えば15である。
本発明のポリエステルは、例えば、前記式(1)中のmが互いに異なるポリエステル樹脂の混合物、及び/又は、前記式(2)中のnが互いに異なるポリエステル樹脂の混合物として使用されてもよい。このとき、mの平均値は例えば1~9の範囲であり、nの平均値は例えば1~9の範囲である。
尚、m及びnの平均値はポリエステルの数平均分子量から確認できる。
【0024】
本発明のポリエステルの数平均分子量(Mn)は、例えば500~5,000であり、好ましくは1,000~3,500であり、より好ましくは1,200~2,800であり、さらに好ましくは1,600~2,400である。
本発明のポリエステルの数平均分子量(Mn)が上記範囲にあることで、耐熱性、耐寒性、非移行性に優れるポリエステル系可塑剤を得ることができる。
上記数平均分子量(Mn)はゲルパーミエージョンクロマトグラフィー(GPC)測定に基づきポリスチレン換算した値であり、実施例に記載の方法により測定する。
【0025】
本発明のポリエステルの酸価は、好ましくは2.0以下であり、より好ましくは1.0以下である。
本発明のポリエステルの水酸基価は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
本発明のポリエステルの粘度は、好ましくは7,000mPa・s以下であり、より好ましくは5000mPa・s以下である。
本発明のポリエステルの酸価、水酸基価及び粘度は実施例に記載の方法にて確認する。
【0026】
本発明のポリエステルの性状は、数平均分子量や組成などによって異なるが、通常、常温にて液体、固体、ペースト状などである。
【0027】
本発明のポリエステルは、例えばモノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上を含む反応原料を用いて得られるものである。ここで反応原料とは、本発明のポリエステルを構成する原料という意味であり、ポリエステルを構成しない溶媒や触媒を含まない意味である。
本発明のポリエステルの製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができ、下記の製造方法により製造することができる。
【0028】
本発明のポリエステルの反応原料は、モノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上を含めばよく、その他の原料を含んでもよい。
本発明のポリエステルの反応原料は、反応原料の全量に対して好ましくは90質量%以上がモノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上であり、より好ましくはモノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上のみからなる。
【0029】
本発明のポリエステルの製造に用いるモノカルボン酸は、B11及びB12の炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基に対応するモノカルボン酸であり、使用するモノカルボン酸は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステルの製造に用いるモノアルコールは、B21及びB22の炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基に対応するモノアルコールであり、使用するモノアルコールは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステルの製造に用いるグリコールは、Gの炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基又は炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基に対応するグリコールであり、使用するグリコールは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステルの製造に用いるジカルボン酸は、Aの炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基に対応するジカルボン酸であり、使用するジカルボン酸は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記式(1)で表され、式中のmが1以上であるポリエステルは、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法1:式(1)で表されるポリエステルの各残基を構成するモノカルボン酸、ジカルボン酸及びグリコールを一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法2:式(1)で表されるポリエステルの各残基を構成するジカルボン酸とグリコールとを、水酸基の当量がカルボキシル基の当量よりも多くなる条件下で反応させて水酸基を主鎖の末端に有するポリエステルを得た後、得られたポリエステル樹脂とB11及びB12を構成するモノカルボン酸とを反応させる方法。
【0031】
前記式(2)で表され、式中のnが1以上であるポリエステルは、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法3:式(2)で表されるポリエステルの各残基を構成するモノアルコール、ジカルボン酸及びグリコールを一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法4:式(2)で表されるポリエステルの各残基を構成するジカルボン酸とグリコールとを、カルボキシル基の当量が水酸基の当量よりも多くなる条件下で反応させてカルボキシル基を主鎖の末端に有するポリエステルを得た後、得られたポリエステルとB21及びB22を構成するモノアルコールとを反応させる方法。
【0032】
前記式(1)で表されるポリエステルの製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、水添植物油脂肪酸を使用してもよい。当該水添植物油脂肪酸としては、水添ヤシ油脂肪酸、水添パーム核油脂肪酸、水添パーム油脂肪酸、水添オリーブ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸、水添ナタネ油脂肪酸等が挙げられる。これらは、それぞれヤシ、パーム核、パーム、オリーブ、ヒマシ、ナタネから得られる油剤を加水分解及び水素添加して得られるものであり、いずれも炭素原子数8~21の脂肪族モノカルボン酸を含む2種以上の長鎖脂肪族モノカルボン酸の混合物である。
尚、前記式(1)で表されるポリエステルの製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、本発明の効果を損なわない範囲で水素添加をしていない上記植物油脂肪酸を用いてもよい。また、植物油脂肪酸は上記に限定されない。
【0033】
前記式(1)で表されるポリエステルの製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、上記水添植物油脂肪酸を使用する場合、得られるポリエステルは、2種以上の式(1)で表されるポリエステルの混合物として得られる。
【0034】
本発明のポリエステルは、好ましくは炭素原子数3~10のアルキレングリコール、炭素原子数8~14のアルキレンジカルボン酸、及び水添植物油脂肪酸とを反応原料とするポリエステルである。
上記ポリエステルについて、脂肪族モノカルボン酸として水添植物油脂肪酸、アルキレンジカルボン酸としてセバシン酸、アルキレングリコールとして1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種以上である場合、反応原料を全てバイオマス由来の原料とすることができる。
【0035】
本発明のポリエステルの製造において、前記反応原料の反応は、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば180~250℃の温度範囲内で10~25時間の範囲でエステル化反応させるとよい。
尚、エステル化反応の温度、時間などの条件は特に限定されず、適宜設定してよい。
【0036】
前記エステル化触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;ジブチル錫オキサイド等のスズ系触媒;p-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸系触媒などが挙げられる。
【0037】
前記エステル化触媒の使用量は、適宜設定すればよいが、通常、反応原料の全量100質量部に対して、0.001~0.1質量部の範囲で使用する。
【0038】
[生分解性樹脂組成物]
本発明の生分解性樹脂組成物は、本発明の生分解性樹脂用可塑剤及び生分解性樹脂を含有する。
本発明の生分解性樹脂組成物が含有する生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリエチレンテレフタレート-サクシネート(PETS)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート-テレフタレート(PBAT)、ポリエチレンアジペート-テレフタレート(PEAT)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリエチレンサクシネート-テレフタレート(PEST)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-カーボネート(PEC)、ポリブチレンサクシネート-アジペート-テレフタレート(PBSAT)、ポリエチレンサクシネート-アジペート-テレフタレート(PESAT)、ポリテトラメチレンアジペート-テレフタレート(PTMAT)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシヘキサン酸(PHBH)、ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシバリレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン-ブチレンサクシネート(PCLBS)、酢酸セルロース等が挙げられる。
使用する生分解性樹脂は目的とする用途に応じて決定すればよく、上記生分解性樹脂を1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
生分解性樹脂は、好ましくはポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシヘキサン酸、ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシバリレート、ポリブチレンサクシネートアジペート及びポリエチレンテレフタレートサクシネートからなる群から選択される1種以上である。
【0040】
生分解性樹脂について説明したが、本発明の生分解性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で非生分解性樹脂を含有してもよい。
前記非生分解性樹脂としては、特に限定されず、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリサルファイド、ポリ塩化ビニル、変成ポリサルファイド、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエステル、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0041】
本発明の生分解性樹脂組成物における本発明の生分解性樹脂用可塑剤の含有量は、生分解性樹脂との相溶性等の観点から、生分解性樹脂100質量部に対して好ましくは1~50質量部の範囲であり、より好ましくは1~30質量部の範囲であり、さらに好ましくは1~20質量部の範囲であり、特に好ましくは1~15質量部の範囲である。
【0042】
本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂と本発明の生分解性樹脂用可塑剤を含有すればよく、本発明の生分解性樹脂用可塑剤以外の可塑剤(その他可塑剤)、その他の添加剤等を含有してもよい。
【0043】
前記その他可塑剤としては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート等の安息香酸エステル;フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)等のフタル酸エステル;テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOTP)等のテレフタル酸エステル;イソフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOIP)等のイソフタル酸エステル;ピロメリット酸テトラ-2-エチルヘキシル(TOPM)等のピロメリット酸エステル;アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOS)、セバシン酸ジイソノニル(DINS)等の脂肪族二塩基酸エステル;リン酸トリ-2-エチルヘキシル(TOP)、リン酸トリクレジル(TCP)等のリン酸エステル;ペンタエリスリトール等の多価アルコールのアルキルエステル;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとのポリエステル化によって合成された分子量800~4,000のポリエステル;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化エステル;ヘキサヒドロフタル酸ジイソノニルエステル等の脂環式二塩基酸;ジカプリン酸1.4-ブタンジオール等の脂肪酸グリコールエステル;アセチルクエン酸トリブチル(ATBC);パラフィンワックスやn-パラフィンを塩素化した塩素化パラフィン;塩素化ステアリン酸エステル等の塩素化脂肪酸エステル;オレイン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0044】
本発明の生分解性樹脂組成物に前記その他の可塑剤を用いる場合、当該その他の可塑剤の含有量としては、本発明の生分解性樹脂用可塑剤100質量部に対して例えば10~300質量部の範囲であり、好ましくは20~200質量部の範囲である。
【0045】
前記その他添加剤としては、例えば、難燃剤、安定剤、安定化助剤、着色剤、加工助剤、充填剤、酸化防止剤(老化防止剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、架橋助剤等を例示することができる。
【0046】
[生分解性樹脂組成物の製造方法]
本発明の生分解性樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。
例えば、生分解性樹脂、本発明の生分解性樹脂用可塑剤、上記その他添加剤を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて溶融混練する方法により得ることができる。
【0047】
[生分解性樹脂組成物の成形品]
本発明の生分解性樹脂組成物は、汎用プラスチックに適用される各種成形方法により成形することができる。
上記成形方法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押出成形や共押出成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、熱プレス成形、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。
射出成形、押出成形、圧縮成形、又は熱プレス成形が好適に適用される。具体的な形状としては、シート、フィルム、容器への適用が好ましい。
【0048】
上記で得られた成形品に二次加工を施してもよい。当該二次加工としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング等)等が挙げられる。
【0049】
本発明の生分解性樹脂組成物から得られる成形品は、本発明の生分解性樹脂用可塑剤を含むので、優れた耐熱性を示すことができる。また、当該成形品は生分解性樹脂で構成され分解可能であるため、環境負荷が小さい成形品である。
【0050】
本発明の生分解性樹脂組成物から得られる成形品は、液状物や粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等の幅広い用途に好適に用いられる。
具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレー、ファーストフードの容器、コーヒーカプセルの容器、カトラリー、野外レジャー製品等)、押出成形品(例えば、フィルム、シート、釣り糸、漁網、植生ネット、2次加工用シート、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられる。
【0051】
用途は上記に限定されず、農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、育苗ポット、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、医療用として手術糸、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイクロカプセル、創傷被覆材等にも使用可能である。
【実施例
【0052】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されない。
【0053】
本願実施例において、酸価、水酸基価及び粘度の値は、下記方法により評価した値である。
<酸価の測定方法>
JIS K0070-1992に準じた方法により測定した。
<水酸基価の測定方法>
JIS K0070-1992に準じた方法により測定した。
<粘度の測定方法>
JIS K6901-1986に準じた方法により測定した。
【0054】
本願実施例において、ポリエステルの数平均分子量は、GPC測定に基づきポリスチレン換算した値であり、測定条件は下記の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製高速GPC装置「HLC-8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK GURDCOLUMN SuperHZ-L」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM-M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM-M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ-2000」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ-2000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC Data Analysis バージョン1.07」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
測定試料:試料7.5mgを10mlのテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液をマイクロフィルターでろ過したものを測定試料とした。
試料注入量:20μl
標準試料:前記「HLC-8320GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0055】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-300」
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
東ソー株式会社製「F-288」
【0056】
(実施例1:ポリエステル可塑剤Aの合成)
反応容器に、セバシン酸808g(4.0モル)、1,3-ブタンジオール495g(5.5モル)を、温度計、撹拌器、および還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃まで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸410g(2.0モル)、エステル化触媒としてテトライソプロポキシチタン0.1gを加え、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、ポリエステル可塑剤A(数平均分子量1,820、粘度690mPa・s、酸価0.5、水酸基価6.5)を得た。
【0057】
尚、上記水添ヤシ油脂肪酸は、オクタン酸(炭素数8)を5質量%、カプリン酸(炭素数10)を5質量%、ラウリン酸(炭素数12)を51質量%、ミリスチン酸(炭素数14)を18質量%、パルミチン酸(炭素数16)を10質量%、オクタデカン酸(炭素数18)を11質量%含む脂肪族モノカルボン酸の混合物である。混合物である水添ヤシ油脂肪酸の物質量は、上述の各脂肪酸の含有率と分子量から算出した値を用いた。
【0058】
(生分解性樹脂組成物(1)の調製)
ポリ乳酸(Zhejiang Hisun Biomaterials Co., Ltd,製「REVODE110」)100質量部および得られたポリエステル可塑剤Aを5質量部を混合し、生分解性樹脂組成物(1)を得た。得られた生分解性樹脂組成物(1)を用いて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0059】
(引張強度)
得られた生分解性樹脂組成物(1)を熱プレス機で1mm厚のプレスシートとした。このシートについて、JIS K7128-3:1998に準拠して引張強度を測定した。
【0060】
(結晶化温度およびガラス転移温度)
得られた生分解性樹脂組成物(1)を熱プレス機で1mm厚のプレスシートとした。このシートについて、示差走査熱量測定装置(メトラー・トレド(株)社製「DSC3+」)を用いて結晶化温度およびガラス転移温度を測定した。結晶化が生じると発熱が生じるため、結晶化温度は発熱ピークからから評価した。また、ガラス転移が生じるとベースラインがシフトするため、ガラス転移温度はベースラインシフトから評価した。
【0061】
(実施例2:ポリエステル可塑剤Bの合成)
反応容器に、セバシン酸808g(4.0モル)、ネオペンチルグリコール572g(5.5モル)を、温度計、撹拌器、および還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃まで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸410g(2.0モル)、エステル化触媒としてテトライソプロポキシチタン0.1gを加え、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、ポリエステル可塑剤B(数平均分子量1,780、粘度650mPa・s、酸価0.5、水酸基価8.0)を得た。
【0062】
可塑剤Aの代わりに可塑剤Bを用いた他は実施例1と同様にして生分解性樹脂組成物(2)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0063】
(実施例3:ポリエステル可塑剤Cの合成)
反応容器に、セバシン酸808g(4.0モル)、1,2-プロパンジオール418g(5.5モル)を、温度計、撹拌器、および還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃まで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸410g(2.0モル)、エステル化触媒としてテトライソプロポキシチタン0.1gを加え、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、ポリエステル可塑剤A(数平均分子量1,800、粘度700mPa・s、酸価0.4、水酸基価7.0)を得た。
【0064】
可塑剤Aの代わりに可塑剤Cを用いた他は実施例1と同様にして生分解性樹脂組成物(3)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0065】
(実施例4:ポリエステル可塑剤Dの合成)
反応容器に、セバシン酸808g(4.0モル)、ジエチレングリコール292g(2.75モル)、1,2-プロパンジオール209g(2.75モル)を、温度計、撹拌器、および還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃まで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸410g(2.0モル)、エステル化触媒としてテトライソプロポキシチタン0.1gを加え、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、ポリエステル可塑剤I(数平均分子量1,740、粘度610mPa・s、酸価0.4、水酸基価7.2)を得た。
【0066】
可塑剤Aの代わりに可塑剤Dを用いた他は実施例1と同様にして生分解性樹脂組成物(4)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
(実施例5:ポリエステル可塑剤Eの合成)
反応容器に、セバシン酸808g(4.0モル)、1,2-プロパンジオール209g(2.75モル)、1,3-プタジオール248g(2.75モル)を、温度計、撹拌器、および還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃まで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸410g(2.0モル)、エステル化触媒としてテトライソプロポキシチタン0.1gを加え、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、ポリエステル可塑剤I(数平均分子量1,740、粘度610mPa・s、酸価0.4、水酸基価7.2)を得た。
【0068】
可塑剤Aの代わりに可塑剤Eを用いた他は実施例1と同様にして生分解性樹脂組成物(5)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0069】
(比較例1:生分解性樹脂組成物(1’)の調製)
ポリエステル可塑剤Aを用いなかった他は実施例1と同様にして生分解性樹脂組成物(1’)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0070】
(比較例2:生分解性樹脂組成物(2’)の調製)
市販のポリ乳酸用可塑剤であって、二塩基酸エステルであるDAIFATTY-101(大八化学株式会社製)を用意し、ポリエステル可塑剤Aの代わりにDAIFATTY-101を用いた他は実施例1と同様にして生分解性樹脂組成物(2’)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1の結果から、本発明のポリエステル可塑剤を生分解性樹脂に添加することによって可塑化効果が得られ、ガラス転移温度の低下を防ぐことができることが読み取れる。
【0073】
(実施例6:生分解性樹脂組成物(6)の調製)
ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシバリレート共重合体(PHBV)100質量部およびポリエステル可塑剤Aを5質量部を混合し、生分解性樹脂組成物(6)を得た。得られた生分解性樹脂組成物(6)について実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0074】
(実施例7:生分解性樹脂組成物(7)の調製)
ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシバリレート共重合体(PHBV)100質量部およびポリエステル可塑剤Bを5質量部を混合し、生分解性樹脂組成物(7)を得た。得られた生分解性樹脂組成物(7)について実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0075】
(実施例8:生分解性樹脂組成物(8)の調製)
ポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシバリレート共重合体(PHBV)100質量部およびポリエステル可塑剤Cを5質量部を混合し、生分解性樹脂組成物(8)を得た。得られた生分解性樹脂組成物(8)について実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0076】
(比較例3:生分解性樹脂組成物(3’)の調製)
ポリエステル可塑剤Aを用いなかった他は実施例6と同様にして生分解性樹脂組成物(3’)を調製し、評価した。結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】
表2の結果から、生分解性樹脂をポリ乳酸からポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシバリレート共重合体に切り替えた場合であっても、ポリ乳酸の場合と同様の効果が得られることが読み取れる。