(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】優れた熱変形耐性および引裂伸びを有するポリウレタンベースのポリマー材料
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20231003BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20231003BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20231003BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20231003BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/76 057
C08G18/42 088
C08L75/04
C08K5/103
(21)【出願番号】P 2020544620
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(86)【国際出願番号】 EP2019053234
(87)【国際公開番号】W WO2019162115
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-01-07
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】エムゲ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】エリンク,ベレント
(72)【発明者】
【氏名】アウッファルト,シュテファン
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-227642(JP,A)
【文献】特開2004-083745(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208605(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,C08L,C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変形温度が、DIN EN ISO75に準拠した0.45MPaの外繊維応力での3点曲げにおいて少なくとも130℃であるポリウレタン材料の製造方法であって、
a. ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、
b. イソシアネート基に対して反応性のある水素原子を有し、炭素-炭素二重結合が含まれない化合物と、
c. 少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む化合物と、
d. 任意に、ウレタン反応を促進する触媒と、
e. 任意に、他の助剤および添加剤
とを混合して反応混合物を得て、120℃より上の温度で硬化させ、
イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する化合物b)が、1分子当たり、イソシアネートに対して反応性のある平均で少なくとも1.5個の水素基を有し、
炭素-炭素二重結合を有する化合物(c)が、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とイソシアネートに対して反応性のある基から選択されるかまたはイソシアネート基から選択される少なくとも1つの基とを有するこのタイプの化合物(c1)および/または少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する(c2)を含み、
前記反応混合物が遊離ラジカル阻害剤の添加により安定化されており、その程度が、前記成分を室温で混合して、前記混合物を、20cm×30cm×0.4cmの寸法を有し80℃の温度に制御された金型内に注入し、60分後に離型して室温まで冷却したときに、得られたポリウレタン材料の熱変形温度がDIN EN ISO75に準拠した0.45MPaの外繊維応力での3点曲げにおいて、全く同様に製造し、製造プロセス後にオーブンでさらに120分間150℃で熱調整してから室温まで冷却したポリウレタン材料の熱変形温度よりも、少なくとも25℃低い程度であ
り、且つ
前記反応混合物は、遊離ラジカル反応を開始する化合物を含まない、製造方法。
【請求項2】
前記ポリウレタン材料の、DIN EN ISO179-1/1fUに準拠した衝撃耐性が25kJ/m
2より上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート(a)のイソシアネート基の、前記イソシアネートに対して反応性のある水素原子に対する当量比が、0.7~1.4である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
化合物(c)の全量に基づく、化合物(c1)及び(c2)の全体の割合が、5~100モル%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
化合物(c)のモル質量が1000g/モル未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
化合物(c1)および(c2)が、炭素-炭素二重結合に基づいて、60~100%の末端炭素-炭素二重結合を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート(a)が、官能価が2のイソシアネートを少なくとも50モル%含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
使用するジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート(a)が、2,4’-MDI、4,4’-MDI、またはこれらの成分の、任意に、より多数の環を有するMDIのホモログとの混合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応混合物が、0.001~1.0質量%の遊離ラジカル阻害剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記反応混合物が塩基性触媒を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
炭素-炭素二重結合を有する化合物(c)の割合が、成分(a)~(e)の総質量に基づいて10~70質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
イソシアネート基に対して反応性のある水素原子を有する化合物(b)が、炭素-炭素二重結合を有する化合物を含まず、イソシアネートに対して反応性のある水素原子および300g/モル以上のモル質量を有する、より高分子量の化合物を含み、前記イソシアネートに対して反応性のある基を有する、より高分子量の化合物が、疎水性基を有する少なくとも1つのヒドロキシ官能性化合物を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応混合物の反応を、第1段階で少なくとも10分間、120℃未満の温度で実施し、次いで前記混合物を150℃より上の温度で硬化させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリウレタン材料がポリウレタン繊維複合材料であり、前記反応混合物を使用して繊維材料を濡らし、次いで前記混合物を硬化させて、前記ポリウレタン繊維複合材料が得られる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるポリウレタン材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン材料の製造方法であって、(a)ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、(b)イソシアネート基に対して反応性のある水素原子を有し、炭素-炭素二重結合が含まれない化合物と、(c)少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む化合物と、(d)任意に、ウレタン反応を促進する触媒と、(e)任意に、他の助剤および添加剤とを混合して反応混合物を得て、混合物を120℃より上の温度で硬化させる製造方法に関するものであり、ここで、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する化合物b)が、1分子当たり、イソシアネートに対して反応性のある平均で少なくとも1.5個の水素基を有し、炭素-炭素二重結合を有する化合物(c)が、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とイソシアネートに対して反応性のある基から選択されるかまたはイソシアネート基から選択される少なくとも1つの基とを有するこのタイプの化合物(c1)、および/または少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する(c2)を含み、反応混合物が安定化されていて、その程度が、成分(a)~(c)、および存在する場合(d)および(e)を室温で混合して、混合物を、20cm×30cm×0.4cmの寸法を有し80℃の温度に制御された金型内に注入し、60分後に離型して室温まで冷却したときに、得られたポリウレタン材料の熱変形温度(DIN EN ISO75に準拠した0.45MPaの外繊維応力での3点曲げ)が、全く同様に製造し、製造プロセス後にオーブンでさらに120分間150℃で熱調整してから室温まで冷却したポリウレタン材料の熱変形温度よりも、少なくとも15℃低い程度である。本発明はさらに、この方法によって得ることができるポリウレタン材料に関し、およびそのポリウレタン材料の、特に、構造構成要素としてのポリウレタン繊維複合材料の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン材料は汎用性が高いが、その高温での使用特性には改善が求められることが多い。ポリウレタン繊維複合材料は知られており、通常、引抜き、繊維巻取りプロセスまたは含浸プロセス、例えば真空注入またはRTMにより得られる。得られる繊維複合材料は比較的軽量であり、硬度および剛性が高く、腐食耐性が高く加工性が良好である。ポリウレタン繊維複合材料は、例えば、車両建造の外部車体構成要素として、ボート船体として、支柱(mast)として、例えば、電力支柱または電信支柱として、または風力タービンの回転翼羽根として使用されている。
【0003】
現在の傾向は、例えば、建設産業における耐荷重構成要素として、または車両建造における車体構成要素として、金属をプラスチックに置き換えることである。ポリウレタンベースの材料は、このような目的に魅力的であることが多い。このポリウレタンベースの材料は、その熱耐性が金属とは対照的に不十分であることが多いという欠点を有する。高い熱応力が発生する可能性のある領域で耐荷重金属構造体を置き換えようとするとき、ポリウレタン材料は、高い機械的荷重に耐える能力も有することが必要であり、この能力が高温にまで及ぶことが必要である。このことを念頭に、ポリウレタン材料のまたはポリウレタン繊維複合材料のガラス転移温度を高める試みが行われている。同時に、これらの材料は、例えば衝突試験の要求を満たすために、室温で高い衝撃耐性を有することが意図されている。車両建造における金属の置き換え、例えば外部車体構成要素としての置き換えも、これらの材料が、特にカソード電着コーティングの間に、自動車建造において通常の高温に耐えられることを必要とする。ポリウレタン材料はさらに、接着剤としても使用することができ、例えば車両の車体の建造における接着剤用途などを含む多くの用途で、高い熱耐性を有していなければならない。
【0004】
プリプレグは、反応性樹脂で前含浸しておき、熱および圧力に曝露して硬化させて構成要素を製造した、半完成織物-繊維-マトリックス製品である。ここでのマトリックスは、B状態として知られている部分的に架橋した状態にあり、ペースト状から固体状の一貫性を有し、硬化させることができる。
ポリウレタンをベースとするプリプレグが既知である。これはブロック化ポリイソシアネートをベースとし、例えばWO11147688、WO10108701およびWO10108723に記載されている。しかしながら、この方法では比較的高い粘度がもたらされるので、含浸中に不利な結果となる。さらに、ブロック化触媒の使用は、WO2013139704に記載されているように、非常に高いイソシアネート指数を必要とする。この高いイソシアネート過剰は、湿度に対する感受性の増加をもたらす。従って、既知のプリプレグは、空気を排除した真空バッグ内に好ましくは貯蔵する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO11147688
【文献】WO10108701
【文献】WO10108723
【文献】WO2013139704
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、温度変化に対する抵抗性を高めたポリウレタン材料を提供することが目的である。本発明の別の目的は、ポリウレタンの高温での機械的特性を改善するための簡易な方法を提供することであり、これによって、例えばカソード電着コーティングプロセスにおいて金属構造体の置き換えとして使用することができる、または耐荷重構造体として使用することができる、ポリウレタンの入手手段を提供することである。最後に、本発明の目的は、高温で高い機械的安定性を有し、同時に室温で高い衝撃耐性を有するポリウレタン材料を提供することである。別の目的は、特に繊維複合材料においてこのポリウレタン材料を使用するために、室温での反応混合物の粘度を確実に最小化し、それによって繊維の迅速な含浸を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、この目的は、(a)ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、(b)イソシアネート基に対して反応性のある水素原子を有し、炭素-炭素二重結合が含まれない化合物と、(c)少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む化合物と、(d)任意に、ウレタン反応を促進する触媒と、(e)任意に、他の助剤および添加剤とを混合して反応混合物を得て、混合物を120℃より上の温度で硬化させる方法によって達成され、ここで、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する化合物b)が、1分子当たり、イソシアネートに対して反応性のある平均で少なくとも1.5個の水素基を有し、炭素-炭素二重結合を有する化合物(c)が、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とイソシアネートに対して反応性のある基から選択されるかまたはイソシアネート基から選択される少なくとも1つの基とを有するこのタイプの化合物(c1)、および/または少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する(c2)を含み、反応混合物が安定化されていて、その程度が、成分(a)~(c)、および存在する場合(d)および(e)を室温で混合して、混合物を、20cm×30cm×0.4cmの寸法を有し80℃の温度に制御された金型内に注入し、60分後に離型して室温まで冷却したときに、得られたポリウレタン材料の熱変形温度(DIN EN ISO75に準拠した0.45MPaの外繊維応力での3点曲げ)が、全く同様に製造し、製造プロセス後にオーブンでさらに120分間150℃で熱調整してから室温まで冷却したポリウレタン材料の熱変形温度よりも、少なくとも15℃低い程度である。本発明の目的はさらに、この方法によって得ることができるポリウレタン材料によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的のために、「ポリウレタン」という用語は、あらゆる既知のポリイソシアネート重付加生成物を包含する。これは、イソシアネートおよびアルコールに由来する付加生成物を包含し、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、ウレトンイミン構造、ビウレット構造、および他のイソシアネート付加生成物を含む可能性がある修飾ポリウレタンも包含する。本発明のこれらのポリウレタンには特に、固体のポリイソシアネート重付加生成物、例えば熱硬化性物質、およびポリイソシアネート重付加生成物をベースとする発泡体、特に硬質ポリウレタン発泡体、およびポリウレタンコーティングが含まれる。
【0009】
別の好ましい実施形態では、ポリウレタンは、好ましくは850g/Lより上の、好ましくは900~1400g/Lの、および特に好ましくは1000~1300g/Lの密度を有する固体ポリウレタンである。ここで、固体ポリウレタンは、任意の発泡剤を添加することなく得られる。本発明の目的のために、少量の発泡剤、例えば製造工程の結果としてポリオール中に存在する水は、ここでは発泡剤の添加を構成するとは解釈されない。コンパクトポリウレタンを製造するための反応混合物は、好ましくは0.2質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満、および特に0.05質量%未満の水を含む。固形ポリウレタンは、好ましくは充填剤、特に繊維状充填剤を含む。好適な充填剤は、(e)で記載されている。
【0010】
ジイソシアネートまたはポリイソシアネート(a)として使用することができる材料は、ポリウレタンの製造で既知の脂肪族、脂環式または芳香族イソシアネートのうちの任意、および任意の所望のそれらの混合物である。例として、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-および4,4’-ジイソシアネート、モノマージフェニルメタンジイソシアネートと、より多数の環を有するジフェニルメタンジイソシアネートホモログ(ポリマーMDI)との混合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびそのオリゴマー、トリレン2,4-または2,6-ジイソシアネート(TDI)およびこれらの混合物、テトラメチレンジイソシアネートおよびそのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびそのオリゴマー、ナフチレンジイソシアネート(NDI)およびこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
ジイソシアネートまたはポリイソシアネート(a)として使用される材料は、好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートをベースとするイソシアネートであり、例えば2,4’-MDI、4,4’-MDI、またはこれらの成分の混合物、または場合によっては、より多数の環を有するMDIホモログとの混合物である。ジイソシアネートまたはポリイソシアネート(a)の官能価は、好ましくは2.0~2.9、特に好ましくは2.0~2.8である。ここでDIN53019-1~3に準拠したジイソシアネートまたはポリイソシアネート(a)の25℃での粘度は、好ましくは5~600mPasであり、特に好ましくは10~300mPasである。ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート(a)は、特に好ましくは、官能価が2のイソシアネートを少なくとも50モル%、なおより好ましくは60~100モル%、および特に70~90モル%含む。
【0012】
使用するジイソシアネートおよびポリイソシアネート(a)は、ポリイソシアネートプレポリマーの形態をとることもできる。このポリイソシアネートプレポリマーは、上記のポリイソシアネート(構成成分(a-1))を過剰量で、例えば30℃~100℃、好ましくは約80℃の温度で、少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性のある基を有する化合物(構成成分(a-2))と反応させて、プレポリマーをもたらすことによって得ることができる。本発明のポリイソシアネートプレポリマーのNCO含有量は、好ましくは20~33質量%のNCO、特に好ましくは25~30質量%のNCOである。
【0013】
少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性のある基を有する化合物(a-2)は、当業者に既知であり、例えば、「Kunststoffhandbuch、7、Polyurethane」(プラスチックハンドブック、第7巻、ポリウレタン)、Carl Hanser Verlag、第3版1993年、第3.1章に記載されている。従って、使用する少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性のある基を有する化合物は、例えば、ポリエーテルオールまたはポリエステルオール、例えば、下記で(b)に記載のものでよい。少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性のある基を有する化合物として使用する化合物(a-2)は、第2級OH基を含むポリエーテルオールまたはポリエステルオールであることが好ましく、例としてポリプロピレンオキシドが挙げられる。ここでポリエーテルオールまたはポリエステルオールの官能価は、好ましくは2~4、特に好ましくは2~3であり、これらは好ましくは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、および特に少なくとも85%の第2級OH基の割合を有する。
【0014】
1分子あたりイソシアネート基に対して反応性のある平均で少なくとも1.5個の水素原子を有する、使用する化合物(b)は、ポリウレタン化学で既知であり、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する化合物のうちの任意でよい;炭素-炭素二重結合を有し、800g/モル未満のモル質量を有する化合物は、ここでは化合物(b)として適格ではなく、代わりに、化合物(c)の定義の対象となる。
【0015】
化合物(b)の平均官能価は、少なくとも1.5、好ましくは1.7~8、特に好ましくは1.9~6、および特に2~4である。これらは、鎖延長剤およびOH官能価が2~6、モル質量が300g/モル未満の、好ましくは官能価が2~4および特に好ましくは2~3の架橋剤、およびイソシアネートに対して反応性のある水素原子を有し、モル質量が300g/モル以上の、より高分子量の化合物を含む。
【0016】
ここで「鎖延長剤」という表現は、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を2個有する分子を意味し、「架橋剤」という表現は、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を2個を超えて有する分子について使用する。これらは単独で使用することができ、または好ましくは混合物の形態で使用することができる。300g/モル未満の、特に好ましくは62g/モル~300g/モル未満の、および特に62g/モル~250g/モルのモル質量を有するジアミン、ジオールおよび/またはトリオールを使用することが好ましい。使用することができる化合物は、例えば、2~14個、好ましくは2~10個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族または芳香族のジアミンおよびジオール、例えばジエチルトルエンジアミン(DEDTA)、m-フェニレンジアミン、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオールおよびビス(2-ヒドロキシエチル)ヒドロキノン(HQEE)、1,2-、1,3-、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、ビスフェノールAビス(ヒドロキシエチルエーテル)、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリオール、例えば1,2,4-、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール、およびトリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、および出発分子としてのエチレンオキシドおよび/またはプロピレン1,2-オキシドおよび上記のジオールおよび/またはトリオールをベースとした低分子量ヒドロキシル化ポリアルキレンオキシドが挙げられる。架橋剤として使用する化合物は、特に好ましくは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレン1,2-オキシド、特に好ましくは1,2-プロピレン、および3官能価スターター、特にグリセロールおよびトリメチロールプロパンをベースとする低分子量ヒドロキシル化ポリアルキレンオキシドである。特に好ましい鎖延長剤は、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、およびジプロピレングリコールである。
【0017】
鎖延長剤および/または架橋剤を使用する場合、鎖延長剤および/または架橋剤(e)の割合は、通常、成分(a)~(e)の総質量に基づいて、1~50質量%、好ましくは2~20質量%である。
【0018】
しかしながらここで、鎖延長剤または架橋剤を省略することも可能である。しかしながら、鎖延長剤、架橋剤、または任意のそれらの混合物を添加することは、機械的特性、例えば硬度を改変するのに有利であることが証明される。
【0019】
イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する、より高分子量の化合物の数平均モル質量は、好ましくは400~15000g/モルである。従って、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびこれらの混合物の群から選択される化合物を使用することが可能である。
【0020】
ポリエーテルオールは、例えば、エポキシド、例えばプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから、または活性水素原子を有する出発化合物を有するテトラヒドロフラン、例として脂肪族アルコール、フェノール、アミン、カルボン酸、水、および天然物質をベースとする化合物、例えばスクロース、ソルビトールまたはマンニトールから、触媒を使用して製造する。ここで、例えばPCT/EP2005/010124、EP904444またはWO05/0904440に記載のように、塩基性触媒または複金属シアン化触媒を挙げることができる。
【0021】
ポリエステルオールは、例えば、脂肪族または芳香族ジカルボン酸および多価アルコール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル化ポリアセタールおよび/またはヒドロキシル化脂肪族ポリカーボネートから、好ましくはエステル化触媒の存在下で製造する。他の可能なポリオールは、例えば、「Kunststoffhandbuch、Band7、Polyurethane」(プラスチックハンドブック、第7巻、ポリウレタン)、Carl Hanser Verlag、第3版1993年、第3.1章に説明されている。
【0022】
イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する、より高分子量の化合物は、疎水性基を有する化合物を含むことが好ましい。特に好ましくは、これは疎水基を有するヒドロキシ官能化化合物である。この疎水性基は、好ましくは6個を超える、特に好ましくは8個を超え100個未満の、および特に10個を超え50個未満の炭素原子を有する炭化水素基を含む。
【0023】
ヒドロキシ官能化疎水性化合物として、ヒドロキシ官能化オレオケミカル化合物、オレオケミカルポリオールを使用することが好ましい。使用することができる多くのヒドロキシ官能化オレオケミカル化合物が知られている。例えば、ヒマシ油、ヒドロキシル化油、例えば、ブドウ種子油、黒色クミン油、カボチャ種子油、ルリヂサ種子油、大豆油、小麦胚芽油、菜種油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、アンズ核油、ピスタチオ核油、アーモンド油、オリーブ油、マカダミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、イブニングプリムローズ油、ワイルドローズ油、ヘンプ油、ベニバナ油、クルミ油、およびミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸、セルボン酸をベースとするヒドロキシル化脂肪酸エステルが挙げられる。ここで好ましく使用される材料は、ヒマシ油、およびアルキレンオキシドまたはケトン-ホルムアルデヒド樹脂とのこれらの反応生成物である。後者の化合物は、例えばBayer AG社からDesmophen(登録商標)1150の名称で市販されている。
【0024】
好ましく使用されるオレオケミカルポリオールの別の群は、エポキシ化された脂肪酸エステルの開環を介し、アルコールとの同時反応、および任意の後続のさらなるトランスエステル化反応を伴って得ることができる。油脂へのヒドロキシ基の組み込みは主に、これらの材料に含まれるオレフィン性二重結合のエポキシ化、および結果として得られるエポキシ基と一価または多価アルコールとの後続する反応を介して達成される。ここでエポキシド環は、ヒドロキシ基、または多価アルコールの場合には、OH基の数がより多い構造となる。油脂は大部分がグリセロールエステルであるので、上述の反応も並行したトランスエステル化反応を伴う。得られる化合物は、500~1500g/モルの範囲のモル質量を好ましくは有する。このタイプの製品は、例えばBASF社から(Sovermol(登録商標)として)またはAltropol Kunststoff GmbH社からNeukapol(登録商標)として供給されている。モル質量が1000g/モル未満であり、炭素-炭素二重結合を含むオレオケミカルポリオールは、ここでは化合物(c)として分類される。
【0025】
化合物(c)は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。さらに化合物(c)は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とイソシアネートに対して反応性のある基から選択されるかまたはイソシアネート基から選択される少なくとも1つの基とを有する化合物(c1)、および/または少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する(c2)を含む。少なくとも1個のイソシアネートに対して反応性のある基と少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とを有する化合物(c1)が含まれる場合、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する化合物の平均官能価を決定する際に、これらは同時に考慮される。
【0026】
ここで、化合物(c)の全量に基づく、化合物(c1)及び(c2)の全体の割合が、5~100モル%、好ましくは8~90モル%、および特に好ましくは10~80モル%であることが好ましい。ここで化合物(c1)および(c2)は、互いに任意の所望の比率で使用することができる。特に好ましい実施形態では、化合物(c1)は使用しない。
【0027】
好ましい実施形態では、化合物(c)中の炭素-炭素二重結合の60~100%、好ましくは70~100%、および特に好ましくは90~100%が、末端炭素-炭素二重結合である。
【0028】
典型的な化合物(c)の例としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、スチレン、アルファ-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、および類似の誘導体;置換スチレン、例えばシアノスチレン、ニトロスチレン、N,N-ジメチルアミノスチレン、アセトキシスチレン、メチル4-ビニルベンゾエート、フェノキシスチレン、p-ビニルフェノキシドおよび類似の誘導体およびこれらの混合物;アクリレートおよび置換アクリレート、例えばアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、オクチルメタクリレート、メタクリロニトリル、エチルアルファ-エトキシアクリレート、メチルアルファ-アセトアミノアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、メタクリロイルホルムアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、および類似の誘導体およびこれらの混合物;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン等、例えばビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルホルメート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルトルエン、ビニルメチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2-エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2-メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、ジビニルスルホキシド、ジビニルスルホン、ナトリウムビニルスルホネート、メチルビニルスルホネート、ジビニルエーテル誘導体、例えばジエチレングリコールジビニルエーテルまたはトリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリオキサルビス(ジアリルアセタール)および類似の誘導体;ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、マレイン酸、フマル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルアルコール、トリアリルシアヌレート、トリビニルシアヌレート、シアヌル酸トリアリルエーテル、2,4,6-トリアリルオキシ-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリビニルオキシ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、トリス[2-(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、シアヌル酸トリビニルエーテル、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、ポリブタジエン、修飾ポリブタジエン、例えばヒドロキシ末端ポリブタジエンおよびそれらの混合物、アルキレンマロネート、例えばメチレンマロネート、シアノアクリル酸ビニルエーテル;ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、ビスフェノールAエポキシジメタクリレート;ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールモノアクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールジアクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、アルコキシル化グリセロールモノアクリレート、アルコキシル化グリセロールジアクリレート、アルコキシル化グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパンモノアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパンジアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラアクリレート、ビストリメチロールプロパントリアクリレート、ビストリメチロールプロパンジアクリレート、ビストリメチロールプロパンモノアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールモノメタクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールジメタクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールトリメタクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセルトリメタクリレート、アルコキシル化グリセロールモノメタクリレート、アルコキシル化グリセロールジメタクリレート、アルコキシル化グリセロールトリメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパンモノメタクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパンジメタクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ビストリメチロールプロパントリメタクリレート、ビストリメチロールプロパンジメタクリレート、ビストリメチロールプロパンモノメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ブタンジオールモノメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールモノメタクリレート、およびさらにトリメチロールプロパンと、例えばアセトアセテートとの、またはビス(アセトアセテート)とのオリゴマー反応生成物、例えば、WO0100684、WO03/031502、WO04/029118、WO05012394、WO09014689に記載のもの、Allnex社からのEbecry LEO(アミン修飾ポリエーテルアクリレート)が挙げられる。
【0029】
化合物(c)の二重結合官能価が1より大きいことが好ましい。好ましいエチレン性不飽和モノマーは、メチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびヒドロキシ末端ポリブタジエン(商品名Krasolで入手可能)およびこれらの混合物である。
【0030】
例えば、多官能オレフィンと単官能オレフィンとを一緒に使用して、それによって第1に生成物の架橋密度を最適化し、第2に出発材料の粘度を最適化することが可能である;ここで単官能オレフィンは、イソシアネート反応性であっても、そうでなくてもよい。
【0031】
化合物(c)の割合は、各場合とも成分(a)~(e)の総質量に基づいて、好ましくは10~70質量%、特に好ましくは25~60質量%、および特に30~50質量%である。ここで好ましい実施形態では、出発材料、および成分(a)~(e)の総質量に基づく二重結合密度は、好ましくは0.1質量%より上であり、好ましくは1.0~30質量%、および特に4.0~16質量%である。本発明の目的のために、ここで「二重結合密度」という表現は、成分(a)~(e)の総質量に対する二重結合の質量の割合を意味する。ここで想定される末端二重結合の質量は、27g/モル(-CH=CH2;2倍の炭素+3倍の水素)である。
【0032】
別の実施形態では、イソシアネート成分に、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を含まない成分c)を添加することも可能である。
【0033】
好ましい別の実施形態では、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート(a)のイソシアネート基の、化合物(c)の炭素-炭素二重結合の数に対する比率は、0.1~1から最大で4~1、より好ましくは0.4~1から最大で3~1、および特に0.5~1から最大で2~1である。
【0034】
使用する触媒(d)は、通常のポリウレタン触媒でよい。これは、イソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する化合物(b)と、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート(a)との反応を、大幅に促進する。ポリウレタンの製造に使用することができる通常の触媒として、以下のものが挙げられる:アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチル-、N-エチル-およびN-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、および好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、およびアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-およびN-エチルジエタノールアミンおよびジメチルエタノールアミン。有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクタノエート、スズ(II)エチルヘキサノエートおよびスズ(II)ラウレート、および有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテート、およびビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエートおよびビスマスオクタノエート、またはこれらの混合物を使用することも可能である。有機金属化合物は、単独で、または好ましくは強塩基性アミンと組み合わせて使用することができる。成分(b)がエステルである場合、アミン触媒のみを用いることが好ましい。
【0035】
使用する触媒(d)の濃度は、触媒または触媒の組み合わせの形態で、成分(b)の質量に基づいて、例えば0.001~5質量%、特に0.05~2質量%でよい。
【0036】
助剤および/または添加剤(e)もさらに使用することができる。ここで、ポリウレタンの製造で既知の助剤および添加剤のうちの任意を使用することができる。例として、界面活性物質、発泡剤、発泡安定剤、セル調整剤、剥離剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解安定剤、および静真菌物質および静菌物質が挙げられる。これらの物質は既知であり、例えば、「Kunststoffhandbuch、Band7、Polyurethane」(プラスチックハンドブック、第7巻、ポリウレタン)、Carl Hanser Verlag、第3版1993年、第3.4.4章および第3.4.6章~第3.4.11章に記載されている。
【0037】
さらに好ましい実施形態では、助剤および添加剤(e)は、通常のポリウレタン形成触媒ではない塩基性触媒を含むことができる。これは例えば、ポリイソシアヌレートの形成を触媒する触媒を含む。ポリイソシアヌレート触媒は、アルカリ金属カルボキシレートを含む。好ましくは、これらはホルメートおよびアセテート、特にアセテート、例えば酢酸ナトリウムおよび酢酸カリウムを含む。
【0038】
一方、エポキシ基を含む化合物は、本発明のポリウレタン材料の製造には必要ない。本発明のポリウレタン材料は、本質的にはエポキシ基を含む化合物を含まないことが好ましい。従って、成分(a)~(e)の総質量に基づくエポキシ基を含む化合物の割合は、好ましくは1質量%未満であり、特に好ましくは0.1質量%未満である。
【0039】
ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート(a)、イソシアネート基に対して反応性のある水素原子を有する化合物(b)、および使用する場合にイソシアネートに対して反応性のある水素原子を有する他の化合物、例えば発泡剤の反応量は一般に、本発明のポリウレタン材料の製造中に、ポリイソシアネート基(a)のNCO基の、他の成分中に存在するイソシアネート基に対して反応性のある水素原子全体に対する当量比が、0.7~1.4、好ましくは0.8~1.2、特に好ましくは0.9~1.1、および特に1.0であるような量である。ここで1:1の比率は、イソシアネート指数100に相当する。次いで、硬化を120℃より上の、好ましくは140~225℃の、特に好ましくは150~210℃の、および特に160~200℃の温度で行う。
【0040】
エラストマー、硬質発泡体または熱硬化性物質の形態の本発明のポリウレタンの製造は、本発明のポリウレタンの製造のための特定の出発物質(a)~(e)それぞれの量的および質的なわずかな違いしか伴わない。例えば、固体ポリウレタンの製造には発泡剤は使用されない。さらに、例えば本発明のポリウレタンの弾性および硬度は、少なくとも2つの反応性水素原子を有する、より高分子量の化合物の官能価および鎖長によって変化させることが可能である。このような改変は、当業者に既知である。固体ポリウレタンの製造のための出発材料は、例えばEP0989146またはEP1460094に記載されており、硬質発泡体の製造のための出発材料は、例えばPCT/EP2005/010955に記載されている。各場合とも、化合物(c)を、次いで前記文献に記載された出発材料に添加する。
【0041】
ここで、反応混合物が安定化されていることが本発明にとって不可欠である。本発明の目的のために、反応混合物は安定化されており、成分を室温で混合して、混合物を、20cm×30cm×0.4cmの寸法を有し80℃の温度に制御された金型内に注入し、60分後に離型して室温まで冷却した場合に、得られるポリウレタン材料の熱変形温度が、DIN EN ISO75に準拠した0.45MPaの外繊維応力(曲げ応力)での3点曲げにおいて、全く同様に製造し、製造プロセス後にオーブンでさらに120分間150℃で熱調整してから室温まで冷却したポリウレタン材料の熱変形温度よりも、少なくとも15℃、好ましくは少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも40℃、および特に少なくとも60℃低い。
【0042】
この安定化は、遊離ラジカル阻害剤の添加を介して達成することができる。使用する遊離ラジカル阻害剤は、炭素-炭素二重結合の遊離ラジカル重合の終了をもたらす物質であってよい。遊離ラジカル阻害剤は、遊離ラジカル捕捉剤とも定義され、ビス(トリフルオロメチル)ニトロキシド、遊離アミノキシラジカル、2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジルおよび2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イルオキシを包含する。好ましい遊離ラジカル阻害剤は、フェノチアジン、ニトロベンゼン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p-ベンゾキノンおよびジフェニルピクリルヒドラジルである。好ましい実施形態では、反応混合物は、成分(a)~(e)の総質量に基づいて、0.0001~2.0質量%、好ましくは0.0005~1.0質量%、および特に0.001~0.5質量%の遊離ラジカル阻害剤を含む。安定化には、常に遊離ラジカル阻害剤の添加が必要であるわけではない。従って反応性、特に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する化合物(c)の反応性は、80℃での安定化を達成するために遊離ラジカル阻害剤の添加を必要としないほど十分に低いことも可能である。
【0043】
さらに好ましくは、本発明の反応混合物は、遊離ラジカル反応を開始する化合物を含まない。これは、従来の遊離ラジカル開始剤、例えばペルオキシド、例えばジベンゾイルペルオキシド、ジスルフィド、オニウム化合物およびAIBN、および光開始剤、例えばα-ヒドロキシ-、α-アルコキシ-またはα-アミノアリールケトン、およびアシルホスフィンオキシド、および光解離性脂肪族アゾ化合物、および上記の化合物の混合物を包含する。上記はまた、反応成分を貯蔵庫に入れた後に形成され得、遊離ラジカル反応を開始し得る成分が存在しないことも含む。従って本発明の反応混合物は、ペルオキシドの分解をもたらす化合物、例えば有機スルフィド、ホスファイトおよびホスホナイトを含むことができる。
【0044】
反応混合物の製造に、2成分法を使用することが好ましい。このために、化合物(b)~(d)および任意の(e)を組み合わせてポリオール成分を得る。イソシアネート成分は、イソシアネート(a)と、成分(e)のための任意の構成成分とを含む。ここでポリオール成分の組成物は、好ましくは25℃で1000mPas未満の粘度に調整することが好ましい。ここでの粘度測定は、DIN53019-1~3に基づく。ここでの粘度調整は、特に、成分(c)の化合物の選択、およびその使用量によって達成することができる。ポリオール成分の粘度は、特にアクリレートの使用によって低下させることができる。
【0045】
好ましい実施形態では、反応は、2段階硬化により、成分(a)~(e)すべてを混合した後、ワンポット反応として実施する。ここで反応混合物は、成分(a)~(e)を混合した後、少なくとも10分、好ましくは10~30分の期間、120℃未満の温度、好ましくは30~110℃の、なおより好ましくは50~80℃の範囲の温度に維持する。第2の工程において、本発明のポリウレタン材料を得るための反応を、120℃より上の温度、好ましくは150℃より上の温度、および特に160~225℃の範囲の温度で続ける。ここで第2の工程における温度は、通常、少なくとも2分間、好ましくは3~120分間、および特に好ましくは10~60分間維持する。ここで、第1の工程の後、反応混合物を、例えば-20~30℃の温度に冷却することも可能である。この温度では、反応混合物は、第1の工程の終了後に貯蔵するのに適しており、数週間貯蔵することができる。
【0046】
本発明は、本発明の方法だけではなく、本発明の方法によって得ることができるポリウレタンも提供する。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のポリウレタン材料は、ポリウレタン繊維複合材料である。これは、反応混合物を使用して繊維を濡らし、次いで硬化させて、ポリウレタン繊維複合材料を得ることによって製造する。使用する好ましい繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、天然繊維、例えばセルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、玄武岩繊維、ホウ素繊維、ザイロン繊維(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール))、シリコンカーバイド繊維、アスベスト繊維、金属繊維、およびこれらの組み合わせである。これらは例えば、短繊維または長繊維のガラス繊維、連続繊維、レイドスクリム(laid scrim)、編物地(knitted fabrics)、ランダム繊維マット、および同一または異なる繊維配向を有する層の形態をとることができる。繊維を濡らすための技術は制限を受けず、よく知られている。これは例えば、繊維巻取りプロセス、引抜きプロセス、手動積層プロセス、注入プロセス、例えば真空注入プロセスなどを包含する。
【0048】
本発明のポリウレタン材料、特に本発明のポリウレタン繊維複合材料は、改善された熱耐性、高められたガラス転移温度、水および疎水性液体に対する非常に良好な耐性、および長期応力下での非常に良好な特性を示す。特に好ましくは、本発明のポリウレタン材料の熱変形温度は、DIN EN ISO75に準拠した0.45MPaの外繊維応力での3点曲げにおいて、120℃より上、なおより好ましくは130℃より上、および特に140℃より上であり、これと合わせて(シャルピー)DIN EN ISO179-1/1fUの衝撃耐性は25kJ/m2より上である。
【0049】
本発明のポリウレタン繊維複合材料は、例えば、接着剤として、特に、高い熱応力に曝される領域に、構造構成要素、例えば、車両建造における外部車体構成要素、例えば、車輪周辺、ボート船体、温水容器(例えば家庭用の)に、または電気モーター、支柱、例えば電力支柱または電信支柱、絶縁体の構成要素および高電圧技術分野における他の構成要素、風力タービンの回転翼羽根として、またはパイプ(例えば石油およびガス産業のための繊維強化パイプライン)として、または石油およびガスの掘削、生産および輸送のための装置および装備品として、使用することができる。本発明のポリウレタン材料はさらに、特に自動車産業で使用されるカソード電着コーティングにおける使用に適している。
【0050】
特にパイプの製造において、各場合とも成分(a)~(e)の総質量に基づいて、25~60質量部、特に好ましくは30~50質量部の成分(c)を、化合物(b)として疎水性基を含むポリオールと組み合わせて使用することにより得ることが可能であるポリウレタン材料は、温度が25~40℃の範囲で相対湿度が50%を超え最大で90%を超える熱帯気候においてさえ、本質的にガス気泡がなく、疎水性液体にも及ぶ高い溶媒耐性を有し、高いガラス転移温度を有するので処理する流体の温度が高いときに使用することができる。
【0051】
本発明の反応混合物はさらに、真空注入において使用することができる。このために、成分(a)~(e)の総質量に基づいて、2~15質量%、好ましくは3~10質量%の成分(c)の化合物を、好ましくは1.5~2.2、なおより好ましくは1.8~2.1、および特に1.9~2.05の平均官能価を有する、より高分子量の化合物(b)と一緒に合わせて使用することが好ましい。成分(b)は、任意にさらに、成分(a)~(e)の総質量に基づいて、例えば2~30質量%の鎖延長剤を含むことができる。このような反応混合物は、特に、硬化時の収縮率が低く、流動性が良好で、開放時間が長いことを特徴とする。
【0052】
本発明の反応混合物はさらに、好ましくは100℃未満、特に好ましくは80℃未満、および特に50℃未満の温度で繊維状織物地またはレイドスクリムを含浸させ、その後続いて120℃より上の、好ましくは140℃~225℃、なおより好ましくは150℃~210℃、および特に160℃~200℃の温度で硬化させることにより、貯蔵安定性ポリウレタンプリプレグの製造に使用することができる。この本発明のプリプレグは、室温での貯蔵で長期間安定であり、120℃より上の温度で急速に硬化させることができる。本発明のポリウレタンプリプレグのB状態(即ち、未硬化状態)では、ポリウレタン反応は既にかなり進行しており、好ましくは本質的には終了している。ポリウレタンプリプレグのイソシアネート含有量(NCO含有量)は、好ましくは0~1質量%のNCOであり、特に好ましくは0~0.1質量%のNCOである。プリプレグ樹脂の有利な特性は、樹脂が予備重合または部分重合のみを経ていて非常に低い粘性を示し、および温度の変化と、場合によっては圧力の変化とにより成形することができるB状態の通過であり、樹脂はその後最終的に高温で完全硬化して高度に架橋する。使用するポリオールが高い当量を有し、例えば1000g/モルより上である場合、結果として得られる中間段階は、わずかに、より粘性であり、互いに組み合わせ、および結合させることができ、最終的に硬化した状態では寸法的に安定している。粘性のない中間段階が所望される場合、これは、高当量のポリオールの割合を減少させることによって達成することができる。
【0053】
ここで本発明の反応混合物は、低粘度と合わせて良好な含浸特性を示す。本発明の反応混合物は、80℃未満の温度、例えば10~30℃の温度で低粘度を有するので、含浸させた繊維材料から反応混合物をすくい取ることが可能であり、それによって、高い体積割合の繊維を得ることが可能である。従って、繊維から余剰樹脂を効率よく除去して再利用できる含浸技術が好ましい。
【実施例】
【0054】
本発明を、実施例を参照して以下に例示する。
【0055】
【0056】
表1:温度変化耐性のある樹脂の製造
出発材料(データはすべての表中で質量%)。通常のバッチサイズ:ポリオール成分300gを室温で混合した。次いでイソシアネートを添加して混合物を高速ミキサー(FA Hauschild)で60秒間混合した。次に反応混合物を20×30×0.4cmまたは20×30×0.2cmの金型に入れた。ドクターブレードですくい取って余剰樹脂を除去し、硬化を80℃で1時間、次いで120℃で2時間、および170℃で2時間行った。室温で1週間保管した後、材料から試験片を粉砕した。
【0057】
表1の結果は、遊離ラジカル開始剤が存在しない本発明の実施例では、著しく高い熱耐性が見出されたことを示す。150℃より上の熱変形温度(DIN EN ISO75に準拠した外繊維応力0.45MPaでの3点曲げ)は、ポリウレタン材料としては顕著である。特にこれらの実施例は、繊維強化パイプを、例えば、繊維巻取りプロセスで製造することが可能であることを示している。
【0058】
比較例2:99.5部のTMPTAおよび0.5部の遊離ラジカル開始剤1を室温で混合し、80℃で10分間硬化させた。均質でなく脆い、表面が不規則なポリマーが得られ、ここから試験片を得ることは不可能であった。Tg(DSCによって決定した)は122℃であった。通常、ポリマーのTgが熱変形温度より上であることは、当業者には知られている。従って遊離ラジカル経由で製造されたオレフィンホモポリマーを使用した比較例2は、本発明の実施例よりも著しく低い熱耐性を有する。
【0059】
【0060】
表2:
実施例2の出発材料、および比較例1をそれぞれ室温で混合した。次いでイソシアネートを添加して混合物を高速ミキサー(FA Hauschild)で60秒間混合した。次に反応混合物を20×30×0.4cmまたは20×30×0.2cmの金型に入れた。ドクターブレードを使用して、余剰樹脂をすくい取り除去した。反応混合物を40℃で1時間硬化させた。次いで、耐熱性を測定するために、測定値4mm×80mm×10mmの試験片を打ち抜いた。この試験片の一部は、耐熱性を測定する前に、表2のデータに従って熱調整を行った。結果は、反応プロファイルを示していた。遊離ラジカル阻害剤の存在下では、80℃未満の温度で部分的な反応しか起こっていなかった。この状態で反応生成物は貯蔵可能であり、粘性であった。>120℃のより高い温度の結果として、本発明の実施例の熱変形温度は、100℃を超える著しい上昇を示し、この時初めて最終的な特性が達成された。完全に硬化(160℃)する本発明の実施例の熱変形温度は、遊離ラジカル開始剤を有する比較例1の熱変形温度(120℃)よりも著しく高い。
【0061】
【0062】
表3:実施例3(触媒あり)は、実施例4(触媒なし)よりも良好な熱変形温度と合わせて、著しくより良好な衝撃耐性を示した。
【0063】
【0064】
表4の例が示す配合物は、特に真空注入プロセスに対する良好な適合性を有し、本発明実施例5の比較的低い粘度が理由で、成分を迅速に充填できる。検出された熱変形温度は、比較例3よりも高い。
【0065】
【0066】
表5:プリプレグの製造
積層体(一方向性の前含浸した半完成織物製品)の製造:
出発材料(表5)を室温で混合した。次いで、計量システムを使用して、反応混合物を室温で連続的に開放浴に入れた。使用した前含浸方法は、湿式巻取りプロセスをベースとした。合計42本のロービング(外部取り外し(external take-off)、各ロービングにヤーンブレーキを使用)のTex2400を、最初に穿孔金属シートに通過させ、次いで含浸浴中に連続的に通した。含浸装置に統合されたスクレーパーですくい取り、余剰樹脂を除去した。これにより余剰樹脂は浴内に送り戻すことができ、これにより含浸させたロービングから樹脂が滴るのが回避される。含浸させたロービングを、測定値5.5×0.2cmの金属製の穴に通過させ、剥離紙の間に挟んで80℃で硬化した。加熱ユニットを通過させた後、得られた幅5.5cmの一方向性のプリプレグをリールに巻き取ることができた。
【0067】
プリプレグは、粘着性のない固体塊であり、工具を使用せずに手で形状を変更することができた。
【0068】
このようにして製造したプリプレグは、巻かれておらず、長さ30cmの複数の切片に切断した。2層のプリプレグを、0°および90°の繊維の配向で金型に敷き詰めた。次いで金型を閉じ、最初に1時間で120℃に、次に1時間で150℃に加熱した。硬質の三次元構成要素は、もはや手で形状を変更することはできず、その後除去することができた。体積での繊維含有率は60%であった。
【0069】
ポリオール1:スクロースおよびジエチレングリコールのプロポキシル化/エトキシル化混合物、OHN400、および官能価4.5、粘度3000mPas(25℃)
ポリオール2:分岐脂肪酸エステル、OHN173、粘度3400mPas(25℃)
ポリオール3:非NCO反応性脂肪酸エステル、粘度7mPas(25℃)
ポリオール4:スクロースおよびグリセロールのプロポキシル化混合物、OHN490、官能価4.4、粘度8450mPas(25℃)
ポリオール5:プロポキシル化グリセロール、OHN805、粘度1275mPas(25℃)
ポリオール6:プロポキシル化グリセロール、OHN400、粘度375mPas(25℃)
ポリオール7:プロポキシル化プロピレングリコール、OHN248、粘度75mPas(25℃)
ポリオール8:ヒマシ油、OHN160、粘度1025mPas(25℃)
ポリオール9:カチオン性プロポキシル化グリセロール、OHN555、粘度690mPas(25℃)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
触媒1:DPG中の酢酸カリウム40%溶液
遊離ラジカル開始剤1:ベンゾイルペルオキシド
遊離ラジカル阻害剤1:フェノチアンジン
消泡剤1:Efka SI2008、BASF SE
消泡剤2:Efka SI2723、BASF SE
イソシアネート1:4,4’-MDI、ジプロピレングリコール/ポリプロピレングリコールをベースとするプレポリマーと、カルボジイミド修飾4,4’-MDIとの1:1混合物、NCO含有量26%
イソシアネート2:ポリマーMDIと、2,4’-MDIおよび4,4’-MDIの1:1混合物との1:1混合物、NCO含有量32.5%
【0070】
試験
DIN53019-1~3に準拠した粘度
DIN ISO7619-1に準拠したショアD硬度試験
DIN EN ISO178に準拠した3点曲げ試験
DIN EN ISO527に準拠した引張強さ
DIN EN ISO179-1/1fUに準拠したシャルピー衝撃耐性(平面方向)
熱変形温度:DIN EN ISO75に準拠したHDT-B-f、外繊維応力0.45MPaでの平面方向3点曲げ