(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231003BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231003BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01L21/304 631
H01L21/304 622Q
H01L21/304 643A
H01L21/304 648A
H01L21/68 B
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019134432
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑名 一孝
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-260740(JP,A)
【文献】特開平05-152266(JP,A)
【文献】特開2000-068243(JP,A)
【文献】特開平11-003926(JP,A)
【文献】特開2017-092298(JP,A)
【文献】特開2018-067668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/677
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウェーハを収納する複数の棚を備えたカセットを載置するカセットステージと、該カセットステージに載置された該カセットにウェーハを収納したり該カセットステージに載置された該カセットに収納されているウェーハを搬出したりするロボットと、ウェーハを加工する加工手段と、該加工手段によって加工されるウェーハを保持する保持手段と、ウェーハの上面を洗浄する洗浄機構と、を備える加工装置であって、
該ロボットに装着されウェーハを吸引保持する板状のロボットハンドが、該洗浄機構で洗浄される前のウェーハを吸引保持する第1吸引面と、該第1吸引面の反対面でありウェーハの該洗浄機構で洗浄された面を吸引保持する第2吸引面と、該第1吸引面と該第2吸引面とを切換える制御を行う制御手段と、を備え
、
該洗浄機構は、
ウェーハを保持するスピンナテーブルと、該スピンナテーブルに保持されたウェーハの前記上面を洗浄する上面洗浄手段と、該スピンナテーブルを回転させる回転手段と、該ウェーハの上下面を反転させる反転手段と、ウェーハのセンタリングを行うセンタリング手段と、を備え、
該洗浄機構によって両面が洗浄されたウェーハを、該第2吸引面で保持し該カセットに収納する、加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハに研削加工等を施す加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段状に複数の棚を備えたカセットに収納されたウェーハをカセットから搬出したり、ウェーハをカセットの棚に収納させたりする搬送ロボットは、ウェーハをロボットハンドで吸引保持して搬送している。また、特許文献1に開示されているロボットハンドのように、ロボットハンドの一方の面でウェーハを吸引保持し、他方の面でベルヌーイの定理を利用してウェーハを非接触で保持するロボットハンドがある。
【0003】
このロボットハンドは、例えば、ウェーハを加工する前はウェーハを吸引保持する一方の面を使用し、加工後のウェーハを保持するときはウェーハを他方の面で非接触保持し、加工後のウェーハに傷や汚れがつくのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ロボットハンドをウェーハを吸引保持可能にし、かつ非接触保持可能にさせるためには、エア吸引源及びエア供給源を備える必要があり、多くのエアが必要となり搬送ロボットのエア消費量が問題となる。また、一方の面だけでウェーハを吸引保持するロボットハンドでは、洗浄前の汚れたウェーハを該一方の面で保持しチャックテーブルに搬送
する。そして、チャックテーブルで吸引保持されたウェーハが加工手段によって加工され、加工後に洗浄工程を経たきれいなウェーハを該一方の面で保持してカセットに収納させる際に、ロボットハンドが洗浄前の汚れたウェーハを搬送していたことで該一方の面が汚れていたら、加工され洗浄されたウェーハがロボットハンドによって汚されてしまうため問題となる。
【0006】
よって、ロボットハンドを備えるロボットでウェーハを搬送する場合には、エアの消費量を少なくし、加工後に洗浄工程を経たウェーハを汚さずに例えばカセットに収納させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、複数のウェーハを収納する複数の棚を備えたカセットを載置するカセットステージと、該カセットステージに載置された該カセットにウェーハを収納したり該カセットステージに載置された該カセットに収納されているウェーハを搬出したりするロボットと、ウェーハを加工する加工手段と、該加工手段によって加工されるウェーハを保持する保持手段と、ウェーハの上面を洗浄する洗浄機構と、を備える加工装置であって、該ロボットに装着されウェーハを吸引保持する板状のロボットハンドが、該洗浄機構で洗浄される前のウェーハを吸引保持する第1吸引面と、該第1吸引面の反対面でありウェーハの該洗浄機構で洗浄された面を吸引保持する第2吸引面と、を備え、該第1吸引面と該第2吸引面とを切換える制御を行う制御手段を備え、該洗浄機構は、ウェーハを保持するスピンナテーブルと、該スピンナテーブルに保持されたウェーハの前記上面を洗浄する上面洗浄手段と、該スピンナテーブルを回転させる回転手段と、該ウェーハの上下面を反転させる反転手段と、ウェーハのセンタリングを行うセンタリング手段と、を備え、該洗浄機構によって両面が洗浄されたウェーハを、該第2吸引面で保持し該カセットに収納する、加工装置である。
【発明の効果】
【0008】
従来においては、インゴットから切り出したアズスライスウェーハを加工装置で研削する場合、カセットに収納されている研削加工前のウェーハの両面(上下面)が汚れていることが多い。そのため、ウェーハをチャッテーブルに保持させる前に洗浄している。しかし、ウェーハをカセットから搬出するときに、従来のような1つの吸引面のみでウェーハを吸引保持するロボットハンドでは、ロボットハンドの該吸引面に汚れが付着する。そして、研削加工後のウェーハはスピンナ洗浄されてきれいになっているにも関わらず、吸引面に汚れが付着しているロボットハンドで洗浄されたウェーハを保持してカセットに収納している。そのため、加工されカセットに収納されたウェーハが汚れるという問題があった。
しかし、本発明に係る加工装置は、ロボットに装着されウェーハを吸引保持する板状のロボットハンドが、洗浄機構で洗浄される前の汚れているウェーハを吸引保持する第1吸引面と、第1吸引面の反対面であり洗浄機構で洗浄されたウェーハのきれいな面を吸引保持する汚れが付着していない第2吸引面と、を備え、第1吸引面と第2吸引面とを切換える制御を行う制御手段を備えることで、加工後のウェーハをロボットハンドで汚すことなくきれいな状態でカセットに収納させる事ができる。また、ロボットハンドにウェーハを非接触保持させるためのエアを供給するエア供給源を備える必要が無いため、エア消費量
を抑えることが可能となる。
【0009】
洗浄機構は、ウェーハの上面の反対面も洗浄可能であって、ロボットハンドは、洗浄機構で両面が洗浄されたウェーハを第2吸引面で吸引保持して、洗浄機構からカセット又は次工程で用いる装置に搬送することで、カセット又は次工程で用いる装置に両面がきれいなウェーハを搬送できる。
【0010】
洗浄機構は、ウェーハを保持するスピンナテーブルと、スピンナテーブルに保持されたウェーハの上面を洗浄する上面洗浄手段と、スピンナテーブルを回転させる回転手段と、ウェーハの上下面を反転させる反転手段と、を備えることで、スピンナテーブルに保持されたウェーハの上面を上面洗浄手段で洗浄した後、反転手段で反転させ再びスピンナテーブルに保持させたウェーハの上面の反対面を上面洗浄手段で洗浄することで、ウェーハの両面を洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】カセット及びロボットの一例を示す斜視図である。
【
図3】反転手段の反転パッド及びセンタリング手段の一例を示す斜視図である。
【
図4】センタリング手段の構造を説明する斜視図である。
【
図5】ロボットハンドの第1吸引面と第1のカセット内のウェーハの一方の面との位置づけを説明する断面図である。
【
図6】洗浄機構で洗浄されたウェーハの一方の面をロボットハンドの第2吸引面で吸引保持させる場合を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す本発明に係る加工装置1は、保持手段30上に保持されたウェーハWを加工手段16によって研削加工する装置であり、加工装置1の装置ベース10上の前方(-Y方向側)は、保持手段30に対してウェーハWの着脱が行われる着脱領域Aであり、装置ベース10上の後方(+Y方向側)は、加工手段16によって保持手段30上に保持されたウェーハWの研削加工が行われる加工領域Bである。
なお、本発明に係る加工装置は、加工装置1のような加工手段16が1軸の研削装置に限定されるものではなく、少なくとも粗研削手段と仕上げ研削手段とを備え、回転するターンテーブルでウェーハWを各研削手段の下方に位置づけ可能な2軸の研削装置等であってもよい。また、加工装置は、研磨パッドを備える加工手段でウェーハWに研磨加工を施す研磨装置であってもよい。
【0013】
図1に示すウェーハWは、例えば、円柱状のシリコンインゴットをワイヤーソー等で薄く切断して形成された円形のアズスライスウェーハである。
図1において下側を向いている面をウェーハWの一方の面Waとし、一方の面Waに対してZ軸方向(鉛直方向)において反対側の面を他方の面Wbとする。例えば、一方の面Waは、図示しない樹脂フィルムが貼着されて保護されていてもよい。
なお、ウェーハWはアズスライスウェーハに限定されるものではない。
【0014】
加工装置1は、複数のウェーハを収納する複数の棚を備えたカセットを載置するカセットステージを備えている。そして、本実施形態において、カセットステージは、装置ベース10の-Y方向側の正面に配設された、第1のカセットステージ11と、第2のカセットステージ12とからなる。第1のカセットステージ11には加工前のウェーハWが収容される第1のカセット11aが載置され、第2のカセットステージ12には加工後のウェーハWが収容される第2のカセット12aが載置される。
なお、加工装置1は、カセットステージを一つだけ備えた構成となっていてもよい。
【0015】
図1に示す第1のカセット11aと第2のカセット12aとは同様の構成となっているため、以下に、第1のカセット11aについてのみ説明していく。
図2に詳しく示す第1のカセット11aは、例えば、底板110と、天板111と、後壁112と、2枚の側壁113と、前方側(+Y方向側)の開口114とを有しており、開口114からウェーハWを搬出入できる構成となっている。第1のカセット11aの内部には、複数の棚部115が上下方向に所定の間隔をあけて形成されており、棚部115においてウェーハWを一枚ずつ収納することが可能となっている。なお、第1のカセット11aの構成は本例に限定されるものではない。
【0016】
図2に示すように、第1のカセット11aの棚部115に、ウェーハWの外周部分が接触して棚部115にウェーハWが載置されており、ウェーハWは一方の面Waが下側を向いた状態になっている。研削加工が施される前の第1のカセット11aに収納されているウェーハWの一方の面Wa及び他方の面Wbは、インゴットからの切り出しの際に切り出し屑等の汚れが付着している。
【0017】
図1に示すように、第1のカセット11aの開口114の後方には、第2のカセットステージ12に載置された第2のカセット12aにウェーハWを収納したり第1のカセットステージ11に載置された第1のカセット11aに収納されているウェーハWを搬出したりするロボット8を備えている。
【0018】
図2に示すようにロボット8は、多関節ロボットであり、ロボットハンド88を所定の位置に移動させる駆動部80を備えている。駆動部80は、例えば、長尺板状の第1のアーム801と、長尺板状の第2のアーム802と、Z軸方向に延在する円柱状のロボットハンド連結部803と、ロボットハンド88を水平方向に旋回させるロボットハンド旋回手段804と、第1のアーム801と第2のアーム802とを連結するアーム連結部805と、ロボットハンド昇降機構806とを備えている。
【0019】
ロボットハンド連結部803には、第1のアーム801の一端の上面が連結されている。第1のアーム801のもう一端の下面には、アーム連結部805を介して、第2のアーム802の一端の上面が連結されている。第2のアーム802のもう一端の下面は、ロボットハンド昇降機構806の昇降柱806bの上端に連結されている。ロボットハンド昇降機構806は、例えば、ロボットハンド旋回手段804内に収容された図示しないモータ等の昇降駆動源を備え、ロボットハンド旋回手段804に対して昇降柱806bを昇降させてロボットハンド88の高さ位置を調整できる。そして、ロボットハンド旋回手段804は、モータ等の図示しない旋回駆動源を備え該旋回駆動源が生み出す回転力により回転し、ロボットハンド昇降機構806を旋回軸を軸として旋回させることで、ロボットハンド88を水平面内(X軸Y軸平面内)+において旋回させている。
【0020】
ロボットハンド連結部803の上端側には、
図1においては鉛直方向(Z軸方向)に直交するX軸方向の軸心を有するスピンドル81を回転可能に支持するハウジング82が固定されている。例えばハウジング82の内部には、スピンドル81を回転駆動するモータ85が収容されている。
【0021】
スピンドル81の先端側はハウジング82から+X方向に突出しており、この先端側に、ロボットハンド88の根元側が装着されるホルダ83が配設されている。モータ85がスピンドル81を回転させることに伴って、スピンドル81にホルダ83を介して接続されているロボットハンド88が回転して、ロボットハンド88の第1吸引面88aと第1吸引面88aの反対面である第2吸引面88bとを上下に反転させて切換えることができる。
【0022】
ロボット8のホルダ83に装着されウェーハWを吸引保持する板状のロボットハンド88は、例えば、ホルダ83に装着される矩形平板状の基部880と、基部880に一体的に形成され平面視略U字状の吸引部881とを備えている。なお、ロボットハンド88は、本実施形態における形状に限定されるものではない。
【0023】
図1、2において、ロボットハンド88の上側を向いている面を、
図1に示す後述する洗浄機構7で洗浄される前の汚れた状態のウェーハW、即ち、第1のカセット11aに収納された状態のウェーハWを吸引保持する第1吸引面88aとする。また、
図1、2において、ロボットハンド88の下側を向いている面を、第1吸引面88aの反対面であり研削加工が施された後に洗浄機構7で洗浄されたウェーハWを吸引保持する第2吸引面88bとする。
【0024】
第1吸引面88a及び第2吸引面88bは平滑に仕上げられており、また、ウェーハWに接触した場合に、ウェーハWを傷付けないように第1吸引面88a及び第2吸引面88bの端部(稜線)には面取りが施されていてもよい。
【0025】
第1吸引面88aには、複数の第1吸引孔883が開口している。第1吸引孔883は、例えば、第1吸引面88aの外周側の領域に略等間隔空けて、5箇所にそれぞれ3つずつ又は4つずつ開口している。なお、第1吸引孔883の数や配設箇所は本例に限定されるものではない。
なお、第1吸引孔883には、変形可能なゴム吸盤等が配設されていてもよい。
【0026】
各第1吸引孔883にはロボットハンド88の内部を通る第1吸引路884の一端がそれぞれ連通しており、第1吸引路884のもう一端は、ロボットハンド88の旋回移動を妨げないように可撓性を備える第1樹脂チューブ885が、図示しない継手等を介して連通している。そして、第1樹脂チューブ885のもう一端側は、真空発生装置、又はエジェクター機構等の吸引源889に接続されている。例えば、第1樹脂チューブ885内には、第1吸引路884と吸引源889との連通を開閉するソレノイドバルブ等の第1開閉弁885aが配設されている。
なお、
図2においては、1つの第1吸引孔883のみに第1吸引路884を連通させるように図示しているが、他の第1吸引孔883にもそれぞれ第1吸引路884は連通している。
【0027】
第2吸引面88bには、複数の第2吸引孔886が開口している。第2吸引孔886は、例えば、第2吸引面88bの外周側の領域に略等間隔空けて、5箇所にそれぞれ3つずつ又は4つずつ開口している。なお、第2吸引孔886の数や配設箇所は本例に限定されるものではない。
なお、第2吸引孔886には、変形可能なゴム吸盤等が配設されていてもよい。
【0028】
各第2吸引孔886にはロボットハンド88の内部を通る第2吸引路887の一端がそれぞれ連通しており、第2吸引路887のもう一端は、ロボットハンド88の旋回移動を妨げないように可撓性を備える第2樹脂チューブ888が、図示しない継手等を介して連通している。そして、第2樹脂チューブ888のもう一端側は、吸引源889に接続されている。例えば、第2樹脂チューブ888内には、第2吸引路887と吸引源889との連通を開閉するソレノイドバルブ等の第2開閉弁888aが配設されている。
なお、
図2においては、1つの第2吸引孔886のみに第2吸引路887を連通させるように図示しているが、他の第2吸引孔886にもそれぞれ第2吸引路887は連通している。
【0029】
図1に示すように、ロボット8に隣接する位置には、仮置き領域153aが設けられており、仮置き領域153aには位置合わせ手段153bが配設されている。位置合わせ手段153bは、第1のカセット11aから搬出され仮置き領域153aに載置されたウェーハWを、縮径する位置合わせピンで所定の位置に位置合わせ(センタリング)する。
【0030】
位置合わせ手段153bと隣接する位置には、ウェーハWを保持した状態で旋回するローディングアーム154aが配置されている。ローディングアーム154aは、水平方向に平行に延在しその先端の下面側に搬送パッド154cが装着されたアーム部154dと、軸方向がZ軸方向でありアーム部154dを水平方向に旋回移動させる旋回軸部154eと、その下面でウェーハWを吸引保持する搬送パッド154cとを備えている。例えば、搬送パッド154cは、図示しないシリンダー機構により上下動可能となっている。ローディングアーム154aは、位置合わせ手段153bによって位置合わせされたウェーハWを吸引保持し、ローディングアーム154aの近傍に位置づけられた保持手段30へ搬送する。
【0031】
例えば、ローディングアーム154aの搬送パッド154cの移動経路下には、搬送パッド154cに吸引保持された状態のウェーハWの下面(例えば、一方の面Wa)を洗浄するウェーハ下面洗浄部36が配設されている。
【0032】
ウェーハ下面洗浄部36は、例えば、水平面において放射状に延在するブラシ又はスポンジ等の洗浄部材360を備えており、洗浄部材360は、装置ベース10に形成された収容室361内に収容されており、ウェーハWの洗浄時に汚れを含んだ洗浄水が収容室361外に飛散しないように構成されている。収容室361は、ウェーハWを上方から内部に搬入又は内部から上方に搬出させるための搬入出口を備えている。
【0033】
洗浄部材360は、軸方向がZ軸方向である図示しない回転軸がその中心に連結されており、回転軸によって水平面内で回転可能である。また、洗浄部材360は、シリンダー機構等の昇降機構によってZ軸方向に昇降可能となっている。また、例えば、洗浄部材360は、洗浄水供給源に連通しており、ブラシの隙間又はスポンジの内部から洗浄水を噴出させながらウェーハWの下面を洗浄することが可能となっている。
【0034】
ローディングアーム154aの隣には、加工後のウェーハWを保持した状態で旋回するアンローディングアーム154bが設けられている。
【0035】
加工手段16によって研削加工が施されるウェーハWを吸引保持する保持手段30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなりウェーハWを吸引保持する保持面300を備えている。保持手段30は、軸方向がZ軸方向(鉛直方向)である回転軸を軸に回転可能であると共に、カバー39によって周囲を囲まれており、カバー39及びカバー39に連結されY軸方向に伸縮する蛇腹カバー39aの下に配設された図示しないY軸方向移動手段によって、装置ベース10上をY軸方向に往復移動可能である。
【0036】
装置ベース10上の後方側(+Y方向側)には、コラム100が立設されており、コラム100の前面には、加工手段16をZ軸方向に加工送りする加工送り手段17が配設されている。加工送り手段17は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ170と、ボールネジ170と平行に配設された一対のガイドレール171と、ボールネジ170に連結しボールネジ170を回動させるモータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部がガイドレール171に摺接する昇降板173と、昇降板173に連結され加工手段16を保持するホルダ174とから構成され、モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ174に支持された加工手段16もZ軸方向に往復移動する。
【0037】
加工手段16は、軸方向が保持手段30の保持面300に直交するZ軸方向である回転軸160と、回転軸160を回転可能に支持するハウジング161と、回転軸160を回転駆動するモータ162と、回転軸160の下端に取り付けられたマウント163と、マウント163に着脱可能に接続された研削ホイール164とを備える。研削ホイール164は、ホイール基台と、略直方体形状の外形を備えホイール基台の下面に複数環状に配設された研削砥石とを備えている。
【0038】
加工手段16の下方に位置づけられた状態の保持手段30に隣接する位置には、例えば、研削中において保持手段30によって保持されているウェーハWの厚みを接触式にて測定する厚み測定手段38が配設されている。
【0039】
着脱領域A内のアンローディングアーム154bに隣接する位置には、ウェーハWの上面を洗浄する洗浄機構7が配設されている。洗浄機構7は、例えば、枚葉式のスピンナ洗浄機構であり、本実施形態における洗浄機構7は、ウェーハWの上面の反対面も洗浄可能である。洗浄機構7は、例えば、ウェーハWを保持するスピンナテーブル70と、スピンナテーブル70に保持されたウェーハWの上面を洗浄する上面洗浄手段71と、スピンナテーブル70を回転させる回転手段72と、ウェーハWの上面と下面を反転させる反転手段75と、を備えている。
【0040】
例えば、スピンナテーブル70、上面洗浄手段71、及び回転手段72は、装置ベース10に形成された収容室7A内に収容されており、ウェーハWの洗浄時に汚れを含んだ洗浄水が収容室7A外に飛散しないように構成されている。収容室7Aは、ウェーハWを上方から内部に搬入又は内部から上方に搬出させるための搬入出口を備えている。
【0041】
図1に示すように、スピンナテーブル70は、例えば、その外形が円形板状であり、ポーラス部材等からなりウェーハWを吸引保持する平坦な保持面700を備えている。スピンナテーブル70は、ウェーハWの直径よりも小径に形成されている。保持面700は図示しない吸引源に連通し、吸引源が吸引することで生み出された吸引力が、保持面700に伝達されることで、スピンナテーブル70は保持面700上でウェーハWを吸引保持できる。
回転手段72は、スピンナテーブル70の下面側に連結されており、軸方向がZ軸方向の回転軸及び回転軸を回転させるモータ等で構成されている。
【0042】
図1に示すように、上面洗浄手段71は、例えば、外形が側面視略L字状である洗浄ノズル710を備えている。洗浄ノズル710は、例えば、収容室7Aの図示しない底部上に立設されており、その先端部分に形成された噴射口710aがスピンナテーブル70の保持面700に向かって開口している。洗浄ノズル710は、スピンナテーブル70の上方を旋回移動可能となっており、スピンナテーブル70の上方から退避位置まで噴射口710aを移動することができる。洗浄ノズル710は、例えば、スピンナテーブル70に吸引保持されたウェーハWの上面に洗浄水(例えば、純水)を供給する図示しない洗浄水供給手段に連通している。なお、洗浄ノズル710は、図示しない二流体供給手段に連通しており、噴射口710aから下方に向かって二流体を噴射可能となっていてもよい。
【0043】
スピンナテーブル70に吸引保持されたウェーハWの上面と下面とを反転させる反転手段75は、例えば、装置ベース10の-X方向側の側方に立設された第2コラム750と、ウェーハWを吸引保持した状態でウェーハWを上下に反転させる反転パッド76と、反転パッド76をX軸方向に往復移動させるX軸移動手段77と、反転パッド76をZ軸方向に昇降移動させるZ軸移動手段78と、ウェーハWのセンタリングを行うセンタリング手段79とを備えている。
【0044】
第2コラム750の前面に配設されたX軸移動手段77は、X軸方向の軸心を有するボールネジ770と、ボールネジ770と平行に配設された一対のガイドレール771と、ボールネジ770に連結しボールネジ770を回動させるモータ772と、内部のナットがボールネジ770に螺合し側部がガイドレール771に摺接する可動ブロック773とから構成され、モータ772がボールネジ770を回動させると、これに伴い可動ブロック773がガイドレール771にガイドされてX軸方向に往復移動し、可動ブロック773にZ軸移動手段78を介して配設された反転パッド76もX軸方向に往復移動する。
【0045】
可動ブロック773の前面に配設されたZ軸移動手段78は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ780と、ボールネジ780と平行に配設されたガイドレール781と、ボールネジ780に連結しボールネジ780を回動させるモータ782と、内部のナットがボールネジ780に螺合し側部がガイドレール781に摺接するハウジング783とから構成され、モータ782がボールネジ780を回動させると、これに伴いハウジング783がガイドレール781にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ハウジング783に回転軸769を介して支持された反転パッド76もZ軸方向に往復移動する。
ハウジング783は、例えば、Y軸方向に水平面に平行に延在しており、その先端側に軸方向がX軸方向である回転軸769が回転可能に配設されている。
【0046】
図3に拡大して示す反転パッド76は、例えば、矩形平板状の基部760と、基部760に一体的に形成され平面視略U字状の吸引部761とを備えている。なお、反転パッド76は、本実施形態における形状に限定されるものではない。
【0047】
図3において、反転パッド76の上側を向いている面を、
図1に示すスピンナテーブル70に吸引保持されているウェーハWの下面を例えば下方から吸引保持する保持面76aとする。
保持面76aは平滑に仕上げられており、また、ウェーハWに接触した場合に、ウェーハWを傷付けないように保持面76aの端部(稜線)には面取りが施されていてもよい。
【0048】
保持面76aには、複数の吸引孔763が開口している。吸引孔763は、例えば、保持面76aの外周側の領域に略等間隔空けて、5箇所にそれぞれ3つずつ又は4つずつ開口している。なお、吸引孔763の数や配設箇所は本例に限定されるものではない。
なお、吸引孔763には、変形可能なゴム吸盤等が配設されていてもよい。
各吸引孔763には図示しない真空発生装置等の吸引源が連通しており、該吸引源が生み出す吸引力が吸引孔763を介して保持面76aに伝達される。
【0049】
反転パッド76は、軸方向がX軸方向である回転軸769によって矢印R方向に回転可能となっており、回転軸769の先端に取り付けられたパッドホルダ769bに基部760を介して着脱可能である。回転軸769は、ハウジング783によって回転可能に支持されており、ハウジング783内に配設された回転モータ769aに連結されている。
【0050】
ウェーハWのセンタリングを行うセンタリング手段79は、例えば、平面視略矩形状でY軸方向にウェーハWの直径以上の長さで水平面に平行に延在する支持プレート790を備えている。支持プレート790の上面は、例えば、反転パッド76の保持面76aとZ軸方向において反対側になる面76b(
図3においては下面)に固定されており、センタリング手段79は、反転パッド76と共にZ軸方向及びX軸方向に移動可能となっている。
なお、センタリング手段79は、反転パッド76とは独立してZ軸方向及びX軸方向に移動可能となっていてもよい。
【0051】
支持プレート790は、例えば、中央領域が+X方向側の側端から-X方向側に向かって略U字状に切り欠かれて、
図1に示すスピンナテーブル70が入り込むことが可能な切欠き口790aが形成されている。切欠き口790aと反転パッド76のU字の切欠き部分とは重なった状態になっている。
【0052】
図3、4に示すように、支持プレート790の上面の-Y方方向側の端領域には、ウェーハWの外周縁を当接させる一対の円柱状の固定ピン791a、791bが配設されている。一対の固定ピン791a、791bは、例えば、平面視で、支持プレート790のY軸方向に平行な中心線を対称軸として互いに対称に配置されている。
【0053】
図3、4に示すように、支持プレート790の上面の+Y方方向側の端領域には、支持プレート790を+Y方向側の側端から-Y方向側に向かって略矩形状に切り欠くことで、可動ピン792をY軸方向に移動可能とするピン移動経路790bが形成されている。
【0054】
一対の固定ピン791aとY軸方向において対向する可動ピン792は、例えば、Y軸方向から見て略T字状に形成されており、その下部側がピン移動経路790b内に移動可能となっている。可動ピン792は、支持プレート790上をY軸方向に移動する上部側の前面792aが、
図3に示す反転パッド76の保持面76a上に載置されたウェーハWの外周縁に接触してウェーハWを-Y方向側に押していくことで、一対の固定ピン791a、791bにウェーハWの外周縁を接触させて、ウェーハWを反転パッド76上でセンタリング(位置決め)する。
【0055】
図3、4に示すように、可動ピン792の下部側には、例えば-X方向に延在するガイドブロック793が一体的に接続されている。ガイドブロック793は、シリンダー機構794によって支持プレート790の
図3、4における下面を摺動する。
【0056】
支持プレート790の
図3、4における下面側に配設されたシリンダー機構794は、内部に図示しないピストンを備える筒状のシリンダチューブ794aと、シリンダチューブ794aに挿入され一端側がピストンに取り付けられたピストンロッド794bとを備える。そして、ピストンロッド794bの他端側は、ガイドブロック793に接続されている。
【0057】
図1に示すように、加工装置1は、例えば、装置全体の制御を行う制御手段9を備えている。CPU及びメモリ等の記憶素子等で構成される制御手段9は、先に説明した本発明の各発明構成要素に電気的に接続されている。制御手段9は、例えば、加工送り手段17、及び加工手段16等に電気的に接続されており、制御手段9による制御の下で、加工送り手段17による加工手段16の昇降動作、及び加工手段16における研削ホイール164の回転動作等が実施される。
【0058】
例えば、制御手段9は、ロボット8のロボットハンド88の上下反転を行う駆動力を生み出す
図2に示すモータ85、及びロボットハンド旋回手段804の図示しないモータ等に電気的に接続されている。
例えば、モータ85がサーボモータである場合には、サーボモータのロータリエンコーダは、サーボアンプとしての機能も有する制御手段9に接続されており、制御手段9の出力インターフェイスからサーボモータに対して動作信号が供給された後、サーボモータの回転数をエンコーダ信号として制御手段9の入力インターフェイスに対して出力する。そして、エンコーダ信号を受け取った制御手段9は、
図2に示すスピンドル81の回転角度を逐次認識し、ロボットハンド88の第1吸引面88aを例えば上側に向けるか、それとも、第2吸引面88bを例えば上側に向けるかの制御、即ち、第1吸引面88aと第2吸引面88bとを切換える制御を行うことができる。
なお、モータ85は、例えば、パルスモータ(ステッピングモータ)であってもよく、制御手段9は、図示しないパルス発振器からパルスモータに送出されるパルス信号数をカウントすることで、第1吸引面88aまたは第2吸引面88bがウェーハWに対向する方向を切換える制御を行ってもよい。
【0059】
例えば、ロボットハンド旋回手段804の図示しないモータがサーボモータである場合には、サーボモータのロータリエンコーダは、サーボアンプとしての機能も有する制御手段9に接続されており、制御手段9の出力インターフェイスからサーボモータに対して動作信号が供給された後、サーボモータの回転数をエンコーダ信号として制御手段9の入力インターフェイスに対して出力する。そして、エンコーダ信号を受け取った制御手段9は、旋回移動するロボットハンド88の水平面(X軸Y軸平面)内における位置を逐次認識しつつ、ロボットハンド88によって、第1のカセット11aから加工前のウェーハWを搬出させたり、又は、洗浄機構7のスピンナテーブル70から洗浄されたウェーハWを搬出させて第2のカセット12aにウェーハを収納させたりする制御を、上記第1吸引面88aと第2吸引面88bとを切換える制御を合わせて行うことで実施できる。
【0060】
例えば、
図2に示すロボットハンド88の第1吸引面88aと吸引源889との連通を開閉する第1開閉弁885a、及びロボットハンド88の第2吸引面88bと吸引源889との連通を開閉する第2開閉弁888aは、制御手段9に電気的に接続されており、制御手段9から送られる電気信号によって閉状態と開状態が制御される。
【0061】
以下に、
図1に示す加工装置1により保持手段30に保持されたウェーハWを研削する場合の加工装置1の動作について説明する。
例えば、まず、制御手段9による制御の下で、ウェーハWが第1のカセット11aから搬出される。即ち、
図2に示すロボットハンド昇降機構806によってロボットハンド88が上下動し、ロボットハンド88が、第1のカセット11a内の狙いのウェーハWが収納されている棚部115の高さ位置に位置づけられる。
【0062】
第1のカセット11a内において、ウェーハWの一方の面Waは、例えば下側を向いた状態になっている。そして、制御手段9による制御の下で、例えば、ロボット8のロボットハンド88の第1吸引面88aが、洗浄機構7で洗浄される前のウェーハWの汚れている一方の面Waを吸引保持するために、上側(+Z方向側)を向いた状態にセットされる。
【0063】
駆動部80がロボットハンド88を旋回させて、ロボットハンド88が第1のカセット11aの開口114から第1のカセット11aの内部の所定の位置まで進入していき、
図5に示すように、例えば、ロボットハンド88の中心とウェーハWの中心とが略合致するように、ロボットハンド88が水平面内における所定位置に位置づけられる。
【0064】
次いで、ロボットハンド88が上昇して、ウェーハWの一方の面Waに第1吸引面88aを接触させて、さらに、僅かにロボットハンド88により上側に持ち上げられたウェーハWの外周縁が棚部115上から離間された状態で、ロボットハンド88の上昇が停止される。次いで、
図2に示す制御手段9による制御の下で、第1開閉弁885aが開かれた状態で吸引源889が作動して、吸引源889によって生み出された吸引力が、第1樹脂チューブ885、第1吸引路884、及び第1吸引孔883を通り第1吸引面88aに伝達されて、ロボットハンド88の第1吸引面88aによりウェーハWの一方の面Waが吸引保持される。なお、ウェーハWの一方の面Waに樹脂フィルムが付着されている場合には、汚れが付着している樹脂フィルムを介して、ロボットハンド88は第1吸引面88aでウェーハWの一方の面Waを吸引保持した状態になる。
なお、ロボットハンド88はウェーハWに上側から第1吸引面88aを当接させて、ウ
ェーハWを吸引保持してもよい。
【0065】
ウェーハWを吸引保持した
図1に示すロボットハンド88が
図2に示す駆動部80によって+Y方向に移動し、ウェーハWがロボットハンド88により第1のカセット11aから搬出される。
【0066】
制御手段9による制御の下で、
図1に示すロボット8がウェーハWを仮置き領域153aの上方に移動させる。そして、ロボット8によって、ウェーハWが一方の面Waを下側に向けて仮置き領域153aに載置される。位置合わせ手段153bによりウェーハWが仮置き領域153a上でセンタリングされた後、ローディングアーム154aが、センタリングされたウェーハWをウェーハ下面洗浄部36に搬送する。
【0067】
具体的には、仮置き領域153aにおいて上側を向いているウェーハWの他方の面Wbの中心とローディングアーム154aの搬送パッド154cの中心とが略合致するように、搬送パッド154cがウェーハWの上方に位置づけられる。
次いで、搬送パッド154cが降下して、ウェーハWの他方の面Wbに接触しウェーハWを吸引保持する。次いで、搬送パッド154cが上昇して、仮置き領域153aからウェーハWが搬出される。
【0068】
旋回軸部154eが、ウェーハWを保持した搬送パッド154cを水平方向に旋回移動させて、ウェーハ下面洗浄部36の上方にウェーハWを位置づける。該位置づけは、例えば、洗浄部材360の中心とウェーハWの被洗浄面となる下側を向いた一方の面Waの中心とが凡そ重なるように行われる。
【0069】
ウェーハWを保持する搬送パッド154cが降下して、ウェーハWの下側を向いた状態の一方の面Waを洗浄部材360に接触させる。なお、一方の面Waに図示しない樹脂フィルムが貼着されている場合には、樹脂フィルムが洗浄部材360に接触する。
さらに、洗浄水を噴出しつつ洗浄部材360が回転し、また、旋回軸部154eが搬送パッド154cを水平方向に所定の角度で往復移動させることで、洗浄部材360によってウェーハWの一方の面Waに付着していた汚れが擦り落とされていく。所定時間洗浄部材360によるウェーハWの一方の面Waの洗浄が行われると、ローディングアーム154aがウェーハWをローディングアーム154aの近傍まで移動された保持手段30上まで搬送する。
【0070】
なお、洗浄部材360の上方へのウェーハWの位置づけは、互いの中心を重ねなくてもよい。即ち、洗浄部材360の中心とウェーハWの中心とがずれた位置で、洗浄部材360の上方にウェーハWを位置づけ、ウェーハWの下面である一方の面Waを接触させる位置に搬送パッド154cを下降させ、ウェーハWの下側を向いている一方の面Waを洗浄部材360に接触させたままウェーハWを水平方向に移動させ続け、その後、洗浄部材360からウェーハWを上方に離間させることで洗浄を完了させるようにしてもよい。つまり、上記の様に水平方向に所定の角度で搬送パッド154cを往復移動させないで、搬送パッド154cの一方向の水平移動でウェーハWの一方の面Waの洗浄をしてもよい。即ち、
図1に示す仮置き領域153aから搬送パッド154cで吸引保持されたウェーハWを保持手段30上まで移動させるまでの動作中に、ウェーハWの一方の面Waの洗浄が並行して行われるようにしてもよい。
【0071】
図1に示すローディングアーム154aが、下側を向いている一方の面Waが洗浄されたウェーハWを保持手段30上に移動させ、保持面300によってウェーハWが他方の面Wbが上側を向いた状態で吸引保持される。次いで、ウェーハWを保持した保持手段30が、加工手段16の下まで+Y方向へ移動する。加工手段16が加工送り手段17により
-Z方向へと送られ、回転軸160の回転に伴って回転する研削ホイール164がウェーハWの上側を向いている他方の面Wbに当接することで研削が行われる。研削中は、保持手段30が回転するのに伴って、保持面300上に保持されたウェーハWも回転するので、研削ホイール164がウェーハWの他方の面Wbの全面の研削加工を行う。また、研削水が研削砥石とウェーハWとの接触部位に対して供給され、接触部位が冷却・洗浄される。
【0072】
ウェーハWを所望の厚みになるまで研削した後、加工送り手段17により加工手段16を上昇させてウェーハWから離間させ、さらに保持手段30を-Y方向に移動させてアンローディングアーム154bの近傍に位置づける。次いで、アンローディングアーム154bによって上側を向いている他方の面Wbを吸引保持されたウェーハWが、洗浄機構7に搬送される。
【0073】
ウェーハWが、ウェーハWよりも小径のスピンナテーブル70上に搬送され、ウェーハWが他方の面Wbが上側になるように保持面700上に載置され吸引保持される。ウェーハWの中心とスピンナテーブル70の中心とは略合致している。
【0074】
次いで、上面洗浄手段71の洗浄ノズル710が旋回移動し、噴射口710aがウェーハWの上面となっている他方の面Wbの中心上方に位置づけられる。この状態で、図示しない洗浄水供給手段から洗浄水が洗浄ノズル710に供給され、噴射口710aからウェーハWの他方の面Wbの中心に向かって洗浄水が噴射される。さらに、洗浄ノズル710が、ウェーハWの上方を所定角度で往復するように旋回移動する。また、回転手段72によってスピンナテーブル70が所定の回転速度で回転することで、ウェーハWの他方の面Wb全面に向かって洗浄ノズル710から洗浄水が噴射され、洗浄が行われる。
【0075】
ウェーハWの他方の面Wbを洗浄することで汚れを含んだ洗浄水は、スピンナテーブル70の回転により発生する遠心力を受けて、ウェーハWの他方の面Wbの外周側に向かって流れていき、スピンナテーブル70上から流下して、収容室7A内に配設された排水孔から図示しない廃水機構に流れていく。
【0076】
本実施形態の洗浄機構7においては、ウェーハWの上面となっている他方の面Wb全面を所定時間洗浄した後、スピンナテーブル70に保持されたウェーハWを反転手段75で反転させ、再びスピンナテーブル70に保持させたウェーハWの一方の面Waを上面洗浄手段71で洗浄することでウェーハWの両面を洗浄する。
【0077】
具体的には、例えば、洗浄ノズル710による洗浄水の噴射が停止され、洗浄ノズル710が旋回移動してウェーハWの上方から外側に退避する。
次いで、Z軸移動手段78によって反転パッド76が上下動し、反転パッド76が、スピンナテーブル70に吸引保持されているウェーハWの下方となる高さ位置に位置づけられる。
図3に示すように、反転パッド76の保持面76aは上側を向けられた状態になっている。
【0078】
図1に示すX軸移動手段77によって、反転パッド76がセンタリング手段79の支持プレート790と共に、+X方向に移動されて、ウェーハWの下側を向いている一方の面Waの内スピンナテーブル70から水平方向にはみ出した外周側の領域と反転パッド76の保持面76aとが対向する位置に、反転パッド76が位置づけられる。
図3に示す反転パッド76のU字の切欠き部分内と支持プレート790の切欠き口790a内には、スピンナテーブル70が入り込んだ状態になる。
【0079】
次いで、反転パッド76が上昇して、ウェーハWの一方の面Waに保持面76aを下方
から接触させる。スピンナテーブル70の吸引保持が解除され、さらに、反転パッド76により上側に持ち上げられたウェーハWの一方の面Waが、スピンナテーブル70の保持面700から離間された状態で反転パッド76の上昇が停止される。
【0080】
さらに、
図3に示すセンタリング手段79の可動ピン792が、シリンダー機構794によって-Y方向に移動される。ウェーハWに向かって可動ピン792が移動していき、可動ピン792がウェーハWの外周縁に当接する。そして、引き続き可動ピン792を-Y方向に向かってさらに進行させ、ウェーハWを反転パッド76の保持面76aの上で-Y方向側にスライド移動させる。
【0081】
そして、ウェーハWの外周縁に可動ピン792と共に一対の固定ピン791a、791bが当接した状態で、ウェーハWのスライド移動が停止する。その結果、ウェーハWの中心が反転パッド76の保持面76aの中心と合致した状態になり、ウェーハWの中心が
図1に示す制御手段9によって把握された状態、即ち、ウェーハWが反転パッド76上でセンタリングされた状態になる。
【0082】
ウェーハWのセンタリングが完了すると、図示しない吸引源が生み出す吸引力が
図3に示す吸引孔763を介して保持面76aに伝達され、反転パッド76が保持面76aでウェーハWの一方の面Waを吸引保持する。
【0083】
次いで、回転軸769が矢印R方向に回転して、反転パッド76の保持面76aで吸引保持されているウェーハWの一方の面Waが上側を向けられる。即ち、ウェーハWの一方の面Waと他方の面Wbとが上下反転される。
そして、
図1に示す反転パッド76が下降されて、ウェーハWの他方の面Wbがスピンナテーブル70の保持面700に接触し、反転パッド76の下降が停止し、かつ、反転パッド76によるウェーハWの吸引保持が解除されると共に、スピンナテーブル70が再びウェーハWを吸引保持する。
【0084】
反転パッド76がウェーハWの上方から退避すると共に、先に説明した上面洗浄手段71による他方の面Wbの洗浄と同様の洗浄が、ウェーハWの一方の面Waに施され、洗浄機構7によってウェーハWの一方の面Wa及び他方の面Wbの両面が洗浄された状態になる。なお、ウェーハWの一方の面Waに樹脂フィルムが貼着されている場合には、樹脂フィルムが洗浄される。
【0085】
次いで、制御手段9による制御の下で、ロボット8によって、第2のカセットステージ12に載置された第2のカセット12aにウェーハWが収納される。
具体的には、まず、ロボット8のロボットハンド88の例えば上方を向いている第2吸引面88bが、洗浄機構7で洗浄されたウェーハWのきれいな一方の面Waを吸引保持するために、
図6に示すように、下側を向いた状態にセットされる。即ち、
図1に示す制御手段9の制御の下で、ロボットハンド88の第1吸引面88aと第2吸引面88bとを上下反転させる切換えが行われる。なぜならば、先に説明した第1のカセット11aからのウェーハWの搬出時において、ロボットハンド88の第1吸引面88aには、洗浄前のウェーハW由来の汚れが付着している可能性が高いためである。
【0086】
図1に示す駆動部80がロボットハンド88を旋回させて、例えば、ロボットハンド88がスピンナテーブル70上のウェーハW上方に移動していき、ロボットハンド88の中心とセンタリングされてその位置が把握されているウェーハWの中心とが略合致するように、ロボットハンド88が水平面内における所定位置に位置づけられる。
【0087】
次いで、
図6に示すロボットハンド88が下降して、ウェーハWの一方の面Waに第2
吸引面88bを接触させてから、下降停止される。スピンナテーブル70によるウェーハWの吸引保持が解除されると共に、
図1に示す制御手段9による制御の下で、第1開閉弁885aが閉じられ、かつ、第2開閉弁888aが開かれた状態で吸引源889が作動して、吸引源889によって生み出された吸引力が、第2樹脂チューブ888、第2吸引路887、及び第2吸引孔886を通り第2吸引面88bに伝達されて、ロボットハンド88の第2吸引面88bによりウェーハWの洗浄された一方の面Waが吸引保持される。
【0088】
図1に示すロボット8は、ウェーハWを吸引保持したロボットハンド88を、駆動部80により旋回移動させて、例えば、第2のカセット12a内に進入させる。そして、第2のカセット12a内で、ロボットハンド88によるウェーハWの吸引保持が解除され、ウェーハWが第2のカセット12aの棚部に収納される。
【0089】
例えば、ウェーハWの一方の面Waに樹脂フィルムが貼着されている場合においては、ロボット8は、ウェーハWを吸引保持したロボットハンド88を、駆動部80により旋回移動させて、
図1に示す加工装置1の-X方向側の側方に並べて配設されている、次工程で用いる装置の一例であるフィルム剥離装置内に搬送する。そして、フィルム剥離装置において、一方の面Waに貼着されている樹脂フィルムが剥離される。
【0090】
従来においては、汚れが両面に付着しているウェーハW(アズスライスウェーハ)を第1のカセット11aから搬出するときに、従来のような1つの面のみでウェーハWを吸引保持するロボットハンドでは、ロボットハンドに汚れが付着していた。そして、研削加工後のウェーハWは洗浄機構7でスピンナ洗浄されてきれいになっているにも関わらず、吸引面に汚れが付着しているロボットハンドで洗浄されたウェーハWを保持して第2のカセット12aに収納していた。そのため、加工され第2のカセット12aに収納されたウェーハWが汚れるという問題があった。
しかし、本発明に係る加工装置1は、ロボット8に装着されウェーハWを吸引保持する板状のロボットハンド88が、洗浄機構7で洗浄される前の汚れているウェーハWを吸引保持する第1吸引面88aと、第1吸引面88aの反対面であり洗浄機構7で洗浄されたウェーハWのきれいな面を吸引保持する汚れが付着していない第2吸引面88bと、を備え、第1吸引面88aと第2吸引面88bとを切換える制御を行う制御手段9を備えることで、加工後のウェーハWをロボットハンド88で汚すことなくきれいな状態で第2のカセット12aに収納させる事ができる。また、ロボットハンド88にウェーハWを非接触保持させるためのエアを供給するエア供給源を備える必要が無いため、エア消費量を抑えることが可能となる。
【0091】
洗浄機構7は、ウェーハWの上面の反対面も洗浄可能であって、ロボットハンド88は、洗浄機構7で両面が洗浄されたウェーハWを第2吸引面88bで吸引保持して、洗浄機構7から第2のカセット12a又は次工程で用いる装置に搬送することで、第2のカセット12a又は次工程で用いる装置に両面がきれいなウェーハWを搬送できる。
【0092】
洗浄機構7は、ウェーハWを保持するスピンナテーブル70と、スピンナテーブル70に保持されたウェーハWの上面を洗浄する上面洗浄手段71と、スピンナテーブル70を回転させる回転手段72と、ウェーハWの上下面を反転させる反転手段75と、を備えることで、スピンナテーブル70に保持されたウェーハWの上面を上面洗浄手段71で洗浄した後、反転手段75で反転させ再びスピンナテーブル70に保持させたウェーハWの上面の反対面を上面洗浄手段71で洗浄することでウェーハWの両面を洗浄することが可能となる。
【0093】
なお、本発明に係る加工装置1は上記実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている各構成等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮でき
る範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
W:ウェーハWa:ウェーハの一方の面 Wb:ウェーハの他方の面
1:加工装置 10:装置ベース A:着脱領域 B:加工領域
11:第1のカセットステージ 11a:第1のカセット 棚部:115
12:第2のカセットステージ 12a:第2のカセット
8:ロボット
80:駆動部 804:ロボットハンド旋回手段 806:ロボットハンド昇降機構
81:スピンドル 82:ハウジング 83:ホルダ 85:モータ
88:ロボットハンド 88a:第1吸引面 883:第1吸引孔 889:吸引源
88b:第2吸引面 886:第2吸引孔
880:基部 881:吸引部
153a:仮置き領域 153b:位置合わせ手段
154a:ローディングアーム 154c:搬送パッド 154d:アーム部 154e:旋回軸部
36:ウェーハ下面洗浄部 360:洗浄部材 361:収容室
154b:アンローディングアーム
30:保持手段 300:保持面 39:カバー 39a:蛇腹カバー
100:コラム 17:加工送り手段
16:加工手段 160:回転軸 164:研削ホイール
38:厚み測定手段
7:洗浄機構
70:スピンナテーブル 71:上面洗浄手段 710:洗浄ノズル 72:回転手段 7A:収容室
75:反転手段 750:第2コラム
76:反転パッド 76a:保持面 763:吸引孔 769:回転軸
77:X軸移動手段 770:ボールネジ 772:モータ
78:Z軸移動手段 780:ボールネジ 782:モータ 783:ハウジング
79:センタリング手段
790:支持プレート 790a:切欠き口
791a、791b:固定ピン 792:可動ピン 793:ガイドブロック 794:シリンダー機構
9:制御手段