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特許7359630積層フィルム、および積層フィルムを含む表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】積層フィルム、および積層フィルムを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/14 20150101AFI20231003BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231003BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G02B1/14
B32B7/023
C08G73/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019185344
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2020060766
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2018-0120054
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】全 賢 貞
(72)【発明者】
【氏名】▲そう▼ ア 羅
(72)【発明者】
【氏名】蔡 貞 廈
(72)【発明者】
【氏名】宋 善 眞
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ボ ルム
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-119144(JP,A)
【文献】特開2016-125063(JP,A)
【文献】特開2018-65387(JP,A)
【文献】特開2017-119867(JP,A)
【文献】国際公開第2006/098363(WO,A1)
【文献】特開2013-195550(JP,A)
【文献】国際公開第2018/212545(WO,A1)
【文献】特開2018-180274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 7/023
C08G 73/10 - 73/16
G02B 1/10 - 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過基材;
ハードコーティング層;および
前記光透過基材と前記ハードコーティング層との間に配置されるか、または前記光透過基材を挟んで前記ハードコーティング層と対向するように配置される視認性改善層、
を含む積層フィルムであって、
前記光透過基材は、ポリイミド、ポリ(イミド-アミド)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含み、
前記視認性改善層は、ポリイミド系コポリマーを含み、
前記視認性改善層に含まれる前記ポリイミド系コポリマーは、イミド構造単位とウレタン構造単位とを含むポリ(イミド-ウレタン)コポリマー、イミド構造単位、ウレタン構造単位、およびシロキサン構造単位を含むコポリマー、イミド構造単位、ウレタン構造単位、およびアミド構造単位を含むコポリマー、ならびにイミド構造単位、ウレタン構造単位、シロキサン構造単位、およびアミド構造単位をすべて含むコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である、積層フィルム。
【請求項2】
前記視認性改善層の屈折率は、前記光透過基材の屈折率と前記ハードコーティング層の屈折率との間の値を有する、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記視認性改善層は、1.5~1.7の屈折率を有する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記イミド構造単位は、下記化学式1で表される構造単位である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム:
【化1】

前記化学式1中、
Dは、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、前記芳香族有機基、前記ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択される2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものである。
【請求項5】
前記ウレタン構造単位は、下記化学式2で表される構造単位である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層フィルム:
【化2】

前記化学式2中、
YおよびZは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数2~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族有機基、または置換もしくは非置換の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、前記芳香族有機基、前記ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択される2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものである。
【請求項6】
前記シロキサン構造単位は、下記化学式3で表される構造単位である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層フィルム:
【化3】

前記化学式3中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エポキシ基含有基、またはこれらの組み合わせであり、
およびLは、それぞれ独立して、単結合、または-O-、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数4~30のヘテロアリール基、もしくはこれらの組み合わせであり、
mは、0~150の整数である。
【請求項7】
前記アミド構造単位は、下記化学式4で表される構造単位である、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層フィルム:
【化4】

前記化学式4中、
A、EおよびEは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、芳香族有機基、ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択された2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結された基である。
【請求項8】
前記視認性改善層は、一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、下記化学式5または下記化学式6で表される化合物である、請求項に記載の積層フィルム:
【化5】

前記化学式5および前記化学式6中、
Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R’は、それぞれ独立して、-OH、-SH、または-NHである。
【請求項10】
前記一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンの含有量は、前記視認性改善層中の前記ポリイミド系コポリマー100質量部あたり20質量部以下である、請求項8または9に記載の積層フィルム。
【請求項11】
前記ハードコーティング層は、アクリレート系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマー、ポリカプロラクトン、ポリロタキサン(polyrotaxane)、シリカ含有無機ハードコーティング材料、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項12】
前記ハードコーティング層は、シリコン系ポリマーを含み、前記シリコン系ポリマーは、オルガノポリシロキサンを含む、請求項11に記載の積層フィルム。
【請求項13】
前記光透過基材は、下記化学式1で表されるイミド構造単位を含むポリイミド、下記化学式1で表されるイミド構造単位および下記化学式4で表されるアミド構造単位を含むポリ(イミド-アミド)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の積層フィルム:
【化6】

前記化学式1中、
Dは、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、前記芳香族有機基、前記ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択される2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものである;
【化7】

前記化学式4中、
A、EおよびEは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、芳香族有機基、ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が接合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択された2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結された基である。
【請求項14】
前記光透過基材の厚さは、30μm~300μmであり、前記ハードコーティング層の厚さは、1μm~30μmであり、前記視認性改善層の厚さは、0.1μm~10μmである、請求項1~13のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項15】
前記積層フィルムの透過率は、90%以上である、請求項1~14のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項16】
前記積層フィルムの黄色度(YI)は、3未満である、請求項1~15のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項17】
前記積層フィルムのヘイズは、1未満である、請求項1~16のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項18】
前記積層フィルムを黒色反射板に付けた後、入射角45度で反射率を測定した際、前記積層フィルムの可視光線領域での平均振幅が0.1%以下である、請求項1~17のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の積層フィルムを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム、および積層フィルムを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPCなど携帯用表示装置の高性能化および大衆化に伴い、それに対する研究も活発に行われている。例えば、軽量のフレキシブル(つまり、ベンダブル型(bendable)またはフォルダブル型(foldable))携帯用表示装置を商用化するための研究および開発が進行中である。液晶ディスプレイなどの携帯用表示装置は、液晶層など表示モジュールを保護するための保護ウィンドウ(protective window)を有する。現在、大部分の携帯用表示装置は、硬いガラス基材を含む保護ウィンドウを用いている。しかし、ガラスは外部衝撃により壊れやすいため、携帯用表示装置などに適用した際、破損が起こりやすいだけでなく、柔軟な性質がないため、フレキシブル表示装置に適用できない。そこで、表示装置で保護ウィンドウをプラスチックフィルムに代替しようとする試みがある。
【0003】
しかし、プラスチックフィルムは、表示装置の保護ウィンドウでの使用のために機械的物性、例えば、硬度、および光学的特性をより改善する必要があり、また高い水準の外観品質が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第2008-003342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、界面反射と干渉縞の発生とが抑制されて、光特性および視認性が向上した積層フィルムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、光特性および視認性が改善された積層フィルムを含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、光透過基材;ハードコーティング層;および前記光透過基材と前記ハードコーティング層との間に配置されるか、または前記光透過基材を挟んで前記ハードコーティング層と対向するように配置される視認性改善層、を含む積層フィルムであって、前記光透過基材は、ポリイミド、ポリ(イミド-アミド)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含み、前記視認性改善層は、ポリイミド系コポリマーを含み、前記視認性改善層に含まれる前記ポリイミド系コポリマーは、イミド構造単位とウレタン構造単位とを含むポリ(イミド-ウレタン)コポリマー、イミド構造単位、ウレタン構造単位、およびシロキサン構造単位を含むコポリマー、イミド構造単位、ウレタン構造単位、およびアミド構造単位を含むコポリマー、ならびにイミド構造単位、ウレタン構造単位、シロキサン構造単位、およびアミド構造単位をすべて含むコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である、積層フィルムを提供する。
【0008】
前記視認性改善層の屈折率は、前記光透過基材の屈折率と前記ハードコーティング層の屈折率との間の値であることが好ましい。
【0009】
前記視認性改善層は、1.5~1.7の屈折率を有することが好ましい。
【0011】
前記イミド構造単位は、下記化学式1で表される構造単位であることが好ましい:
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1中、
Dは、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、前記芳香族有機基、前記ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択される2以上の環が単結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、またはこれらの組み合わせにより連結されたものである。
【0014】
前記ウレタン構造単位は、下記化学式2で表される構造単位であることが好ましい:
【0015】
【化2】
【0016】
前記化学式2中、
YおよびZは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数2~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、前記芳香族有機基、前記ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択される2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものである。
【0017】
前記シロキサン構造単位は、下記化学式3で表される構造単位であることが好ましい:
【0018】
【化3】
【0019】
前記化学式3中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エポキシ基含有基、またはこれらの組み合わせであり、
およびLは、それぞれ独立して、単結合、または-O-、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数4~30のヘテロアリーレン基、もしくはこれらの組み合わせであり、
mは、0~150の整数である。
【0020】
前記アミド構造単位は、下記化学式4で表される構造単位であることが好ましい:
【0021】
【化4】
【0022】
前記化学式4中、
A、EおよびEは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、芳香族有機基、ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択された2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものである。
【0023】
前記視認性改善層は、一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に、水素結合可能な官能基が導入された部分縮合(incompletely condensed)多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral Oligmeric Silsesquioxane:POSS)をさらに含むことができる。
【0024】
前記一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、下記化学式5または下記化学式6で表される化合物であることが好ましい:
【0025】
【化5】
【0026】
前記化学式5および前記化学式6中、
Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R’は、それぞれ独立して、-OH、-SH、または-NHである。
【0027】
前記一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、視認性改善層内のポリイミド系コポリマー100質量部あたり20質量部以下で含まれてもよい。
【0028】
前記ハードコーティング層は、アクリレート系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマー、ポリカプロラクトン、ポリロタキサン(polyrotaxane)、シリカ含有無機ハードコーティング材料、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0029】
前記ハードコーティング層は、シリコン系ポリマーを含み、前記シリコン系ポリマーは、オルガノポリシロキサンを含むことができる。
【0030】
前記光透過基材は、下記化学式1で表されるイミド構造単位を含むポリイミド、または下記化学式1で表されるイミド構造単位、および下記化学式4で表されるアミド構造単位を含むポリ(イミド-アミド)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含むことができる:
【0031】
【化6】
【0032】
前記化学式1および前記化学式4中のD、E、およびEは、上記で定義したものと同義である。
【0033】
前記光透過基材の厚さは、30μm~300μmであり、前記ハードコーティング層の厚さは、1μm~30μmであり、前記光学改善層の厚さは、0.1μm~10μmであってもよい。
【0034】
前記積層フィルムの透過率は、90%以上であってもよい。
【0035】
前記積層フィルムの黄色度(YI)は、3未満であってもよい。
【0036】
前記積層フィルムのヘイズは、1未満であってもよい。
【0037】
前記積層フィルムを黒色反射板に付けた後、入射角45度で反射率を測定した際、前記積層フィルムは可視光線領域で平均振幅が0.1%以下であってもよい。
【0038】
本発明の他の一実施形態は、前記積層フィルムを含む表示装置に関する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、界面反射と干渉縞の発生とが抑制されて、光特性および視認性が向上した積層フィルムが提供される。したがって、優れた外観品質を示すことによって、該積層フィルムは、フレキシブル表示装置のウィンドウなどで有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態による、光透過基材100、光学改善層200およびハードコーティング層300が順次に積層された積層フィルムの断面を示す概略図である。
図2】本発明の他の一実施形態による、光学改善層200、光透過基材100、およびハードコーティング層300が順次に積層された積層フィルムの断面を示す概略図である。
図3】本発明のさらに他の一実施形態による、図1の積層フィルムの光透過基材100の下面に背面コーティング層400をさらに含む、積層フィルムの断面を示す概略図である。
図4】本発明のさらに他の一実施形態による、図2の積層フィルムの光学改善層200の下面に背面コーティング層400をさらに含む積層フィルムの断面を示す概略図である。
図5】本発明のさらに他の一実施形態による、図3の積層フィルムの背面コーティング層400の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含む積層フィルムの断面を示す概略図である。
図6】本発明のさらに他の一実施形態による、図4の積層フィルムの背面コーティング層400の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含む積層フィルムの断面を示す概略図である。
図7】本発明のさらに他の一実施形態による、図1の積層フィルムの光透過基材100の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含む積層フィルムの断面を示す概略図である。
図8】本発明のさらに他の一実施形態による、図2の積層フィルムの光学改善層200の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含む積層フィルムの断面を示す概略図である。
図9】ハードコーティング層上に映る3波長ランプのイメージを撮影した写真である。
図10】ハードコーティング層上に映る3波長ランプのイメージを撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明は、これによって制限されず、後述する請求項の範疇のみによって定義される。
【0042】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」とは、官能基に含まれている一つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(-NH、-NH(R100)、または-N(R101)(R102)であり、ここでR100、R101およびR102は、同一または互いに異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換の脂環族有機基(例えば、シクロアルキル基など)、置換または非置換のアリール基(例えば、ベンジル基、ナフチル基、フルオレニル基など)、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のヘテロアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味し、当該置換基は互いに連結されて環を形成することもできる。
【0043】
本明細書で特別な言及がない限り、「アルキル基」とは、炭素数1~C30のアルキル基を意味し、具体的には炭素数1~15のアルキル基を意味し、「シクロアルキル基」とは、炭素数3~30のシクロアルキル基を意味し、具体的には炭素数3~18のシクロアルキル基を意味し、「アルコキシ基」とは、炭素数1~30のアルコキシ基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルコキシ基を意味し、「エステル基」とは、炭素数2~30のエステル基を意味し、具体的には炭素数2~18のエステル基を意味し、「ケトン基」とは、炭素数2~30のケトン基を意味し、具体的には炭素数2~18のケトン基を意味し、「アリール基」とは、炭素数6~30のアリール基を意味し、具体的には炭素数6~18のアリール基を意味し、「アルケニル基」とは、炭素数2~30のアルケニル基を意味し、具体的には炭素数2~18のアルケニル基を意味する。
【0044】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。この際、「共重合」とは、ランダム共重合、ブロック共重合またはグラフト共重合を意味する。
【0045】
本明細書で、用語「ポリイミド」は、単に「ポリイミド」のみを意味するのではなく、「ポリイミド」、「ポリアミック酸」、またはこれらの組み合わせを意味し得る。また、「ポリイミド」と「ポリアミック酸」とは、同一の意味を有するものとして混用され得る。
【0046】
また、本明細書において、「*」は、同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0047】
図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似する部分については同一の図面符号を付した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。
【0048】
本発明の一実施形態は、フレキシブル表示装置またはフォルダブル表示装置(Foldable display device)などの表示装置を保護するカバーウィンドウなどで用いることができる積層フィルムに関する。
【0049】
従来、表示装置の素子を保護するためにガラス基板が使用されているが、自由に曲がるフレキシブルおよびフォルダブル特性を有する形態にする場合、表示装置のウィンドウとしての強度および硬度を有すると共に、表示素子としての機能を発揮することができるように、光透過率、色などがガラス基板と類似するプラスチック材料を用いることが必須である。表示装置用のカバーウィンドウは、高い光特性、耐久性、および屈曲性と共に、高い水準の外観品質が要求される。
【0050】
プラスチック材料として高い耐久性および耐熱特性を有し、光学特性もある程度満足するポリイミド系透明フィルムを利用した研究が進められている。ここに、ガラス程度の高い硬度を得るために、ポリイミド基材の上にハードコーティング層を積層した積層フィルムが試みられている。しかし、屈折率が異なる二層の積層により干渉現象が起こり、各層の厚さ偏差および屈折率の差は、干渉現象をさらに深化させてフィルム表面に強いレインボー現象を招く。屈折率のような物質固有の特性が同一であるとしても、成膜工程、コーティング工程などの結果でフィルム全体において厚さの偏差や材料が一部混在することがあるが、これはレインボー現象を変化させることができる。結果として、光学フィルムのレインボー現象は、フィルムの広い領域が、位置により反射率が異なって示されたり、視野角が変わって示されたりする現象として、肉眼で観察可能である。
【0051】
光学フィルムのレインボー現象は、500nm~600nmの波長領域で反射率のリップル振幅が1%以下で小さい場合、または可視光線領域全般で最大振幅が0.5%以下である場合には示されないと知られている。しかし、公知の反射率測定は、数mm以上の広い測定領域で測定するため、位置による反射率の微細な変化が加えられて、レインボー現象を誘発する固有の反射率リップルが相殺されてよく示されず、また10°以下の低い反射角で観察するため、肉眼で測定するレインボー現象とは隔たりがある。
【0052】
本発明の一実施形態では、光透過基材とハードコーティング層とを含む積層フィルムにおいて、層間界面での界面反射および干渉縞の発生を抑制し、これによって光特性と視認性とが向上した積層フィルムを提供する。本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、積層フィルムを黒色反射板に付けた後、入射角45度で反射率を測定する際、可視光線領域での平均振幅が0.1%以下と低く、表面レインボー現象がほとんど示されず、光特性および視認性が向上した積層フィルムとなり得る。
【0053】
本発明の一実施形態において、積層フィルムは、光透過基材;ハードコーティング層;および光透過基材とハードコーティング層との間に配置されるか、または光透過基材を挟んでハードコーティング層と対向するように配置される光学改善層を含み、上記光透過基材は、ポリイミド、ポリ(イミド-アミド)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含み、上記光学改善層は、ポリイミド系コポリマーを含む。
【0054】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムの断面を示す概略図である。
【0055】
図1を参照すれば、ポリイミド、ポリ(イミド-アミド)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含む光透過基材100の上に、ポリイミド系コポリマーを含む光学改善層200が存在し、光学改善層200の上にハードコーティング層300が存在することができる。
【0056】
図2を参照すれば、ポリイミド、ポリ(イミド-アミド)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含む光透過基材100の上に、直ちにハードコーティング層300が配置され、前記光透過基材100のハードコーティング層300が配置された面と反対側の面にポリイミド系コポリマーを含む光学改善層200が存在することができる。
【0057】
図1および図2による積層フィルムは、光透過基材100、ハードコーティング層300、および光学改善層200を含む点では同じであるが、光学改善層200が光透過基材100とハードコーティング層300との間に存在したり(図1参照)、または光学改善層200が光透過基材100を挟んで、ハードコーティング層300と対向する位置に存在したりして(図2参照)、光学改善層200の積層フィルム内の位置が異なるという違いがある。このように、光学改善層200が積層フィルム内で異なる位置に存在するにも拘らず、後述する実施例および比較例から明確に分かるように、光学改善層200を含む2つの場合の全てにおいて、積層フィルム表面、つまり、ハードコーティング面で積層フィルムを観察した時、光学改善層200を含まない積層フィルムに比べて、レインボー現象がほとんど起こらない。
【0058】
光学改善層200は、光透過基材100の屈折率とハードコーティング層300の屈折率との間の屈折率を有することが好ましい。この場合、本発明の一実施形態に係る積層フィルムはレインボー現象を示さず、視認性および光特性が改善される。
【0059】
本発明の一実施形態において、光学改善層200は、1.5~1.7の屈折率を有することができる。これは、本発明の一実施形態に係る積層フィルムが光透過基材100としてポリイミド系フィルムを含み、ハードコーティング層300としてシリコン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む場合、ポリイミド系フィルムの屈折率が1.55~1.75であり、ハードコーティング層の屈折率が1.5~1.6である。よって、光学改善層200は、前記の2層が有する屈折率の間の値を有するように調整されたものである。
【0060】
本発明の一実施形態において、光透過基材100は、1.6~1.75の屈折率、例えば、1.65~1.72の屈折率、例えば、1.67~1.7の屈折率を有することができ、ハードコーティング層300は、1.5~1.6の屈折率、例えば、1.5~1.59の屈折率、例えば、1.5~1.57の屈折率、例えば、1.5~1.55の屈折率、例えば、1.5~1.53の屈折率、例えば、1.5~1.52の屈折率を有することができる。光学改善層200は、1.5~1.7の屈折率、例えば、1.52~1.68の屈折率、例えば、1.55~1.65の屈折率、例えば、1.57~1.63の屈折率、例えば、1.58~1.61の屈折率、例えば、1.58~1.6の屈折率を有することができる。光学改善層200の屈折率が光透過基材100の屈折率とハードコーティング層300の屈折率との間の値を有することを前提として、積層フィルム内の各層の屈折率値は上記の値に制限されない。
【0061】
光学改善層に含まれるポリイミド系コポリマーは、(a)イミド構造単位、および(b)ウレタン構造単位、シロキサン構造単位、アミド構造単位、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0062】
例えば、光学改善層は、イミド構造単位とウレタン構造単位とを含むポリ(イミド-ウレタン)コポリマーを含むことができる。
【0063】
または、光学改善層は、イミド構造単位とシロキサン構造単位とを含むポリ(イミド-シロキサン)コポリマーを含むことができる。
【0064】
または、光学改善層は、イミド構造単位とアミド構造単位とを含むポリ(イミド-アミド)コポリマーを含むことができる。
【0065】
または、光学改善層は、(a)イミド構造単位、および(b)ウレタン構造単位、シロキサン構造単位、およびアミド構造単位のうちの2以上の構造単位を含むコポリマーを含むことができる。
【0066】
または、光学改善層は、イミド構造単位、ウレタン構造単位、シロキサン構造単位、およびアミド構造単位をすべて含むコポリマーを含むことができる。
【0067】
前記イミド構造単位は、下記化学式1で表される構造単位であることが好ましい:
【0068】
【化7】
【0069】
前記化学式1中、
Dは、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の4価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、前記芳香族有機基、前記ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択される2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものである。
【0070】
前記化学式1中のDは、下記グループ1に示す基から選択される基であることが好ましい:
【0071】
【化8】
【0072】
上記グループ1中、
それぞれの残基は、置換されていれてもよいし非置換であってもよく、それぞれのLは、同一または異なり、それぞれ独立して、単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、またはこれらの組み合わせであり、
*は、隣接した原子に連結される部分であり、
およびZは、同一または異なり、それぞれ独立して、-N=または-C(R100)=であり、R100は、水素原子または炭素数1~5のアルキル基であり、この際、ZおよびZが同時に-C(R100)=ではなく、
は、-O-、-S-、または-NR101-であり、R101は、水素原子または炭素数1~5のアルキル基である。
【0073】
上記グループ1で示される基は、下記グループ2に示す基から選択される基であることが好ましいが、これらに制限されない:
【0074】
【化9-1】
【0075】
【化9-2】
【0076】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式1で表されるイミド構造単位は、下記化学式1-1で表される構造単位であることが好ましい:
【0077】
【化10】
【0078】
前記化学式1-1中、Lは、上記グループ1の化学式に対して定義したものと同義である。
【0079】
本発明の一実施形態において、上記化学式1で表されるイミド構造単位は、前記化学式1-1で表される構造単位であり、この際、Lは単結合、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、または-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)のうちの一つ以上であり、例えば、前記化学式1-1中のLが単結合である場合、およびLが-C(CF2n+1-(ここで、1≦n≦10)である場合の組み合わせであってもよい。
【0080】
本発明の一実施形態において、前記化学式1-1中のLは、単結合である場合、および-C(CF-である場合の組み合わせであってもよい。
【0081】
前記ウレタン構造単位は、下記化学式2で表される構造単位であることが好ましい:
【0082】
【化11】
【0083】
前記化学式2中、
YおよびZは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数2~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族有機基、または置換もしくは非置換の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、前記芳香族有機基、前記ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択される2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものである。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記化学式2中のYは、置換もしくは非置換の2価の脂環族有機基、または置換もしくは非置換の2価の芳香族有機基であり、例えば、置換の2価の脂環族有機基であってもよい。
【0085】
本発明の一実施形態において、上記化学式2中のZは、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、または置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基であり、例えば、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の脂肪族有機基であってもよい。本発明の一実施形態において、Zは置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であってもよい。
【0086】
前記シロキサン構造単位は、下記化学式3で表される構造単位であることが好ましい:
【0087】
【化12】
【0088】
前記化学式3中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エポキシ基含有基、またはこれらの組み合わせであり、
およびLは、それぞれ独立して、単結合、または-O-、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数4~30のヘテロアリール基、もしくはこれらの組み合わせであり、
mは、0~150の整数である。
【0089】
本発明の一実施形態において、前記化学式3中のR~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、-O-、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、mは0~30の整数であってもよい。
【0090】
本発明の一実施形態において、前記化学式3中のR~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換もしくは非置換のフェニル基、またはこれらの組み合わせであり、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、-O-、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換のフェニレン基、またはこれらの組み合わせであり、mは、0~10の整数である。
【0091】
前記アミド構造単位は、下記化学式4で表される構造単位であることが好ましい:
【0092】
【化13】
【0093】
前記化学式4中、
A、EおよびEは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30の脂環族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基、置換もしくは非置換の2価の炭素数4~30のヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせであり、
前記脂環族有機基、芳香族有機基、ヘテロ芳香族有機基、またはこれらの組み合わせは、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択された2以上の環が単結合、またはフルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結された基である。
【0094】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のAは、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基であってもよく、前記芳香族有機基は、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択された2以上の環が単結合、または-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結されたものであってもよい。
【0095】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のAは、下記グループ3に示す基から選択される基であり得る:
【0096】
【化14】
【0097】
上記化学式中、
18~R29は、同一または互いに異なり、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20の芳香族有機基であり、
n11およびn14~n20は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
n12およびn13は、それぞれ独立して、0~3の整数である。
【0098】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のAは、下記グループ4で表される基から選択される基であり得る:
【0099】
【化15】
【0100】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のAは、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のビフェニレン基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0101】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のEおよびEは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基であり、前記置換もしくは非置換の2価の炭素数6~30の芳香族有機基は、単環であるか、2以上の環が縮合された縮合環であるか、または前記単環および縮合環から選択された2以上の環が単結合、または-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-、-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、-C(=O)NH-、もしくはこれらの組み合わせにより連結された基である。
【0102】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のEおよびEは、それぞれ独立して、2以上の置換もしくは非置換の芳香族単環が単結合により連結された基であるか、および/または置換もしくは非置換の2以上の芳香族単環が-O-、-S-、-(CH-、もしくは-(CF-(ここで、1≦p≦10、および1≦q≦10)により連結された基であってもよい。
【0103】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のEおよびEは、それぞれ独立して、電子求引基(electron withdrawing group)、例えば、ハロアルキル基、例えば、トリフルオロメチル基によりそれぞれ置換された2以上のフェニレン基が単結合により連結された基、および/またはヒドロキシ基およびハロアルキル基により置換されたアルキル基、例えば、ヒドロキシ基およびトリフルオロメチル基により置換されたメチル基によりそれぞれ置換された2以上のフェニレン基がアルキレン基、例えば、メチレン基により連結された基であってもよい。
【0104】
本発明の一実施形態において、前記化学式4中のEおよびEは、それぞれ独立して、下記化学式7または下記化学式8で表される基であってもよい:
【0105】
【化16】
【0106】
本発明の一実施形態において、光学改善層に含まれるポリイミド系コポリマーは、(a)イミド構造単位と、その他の(b)ウレタン構造単位、シロキサン構造単位、アミド構造単位、またはこれらの組み合わせからなる構造単位を、30~90:70~10のモル比で含むことができる。例えば、前記イミド構造単位と、イミド構造単位以外の構造単位の合計量のモル比は、35~85:65~15、例えば、40~80:60~20、例えば、45~75:55~25、例えば、50~70:50~30、例えば、50~60:50~40のモル比で含むことができる。
【0107】
イミド構造単位と、その他のウレタン構造単位、シロキサン構造単位、アミド構造単位、またはこれらの組み合わせからなる構造単位を上記のようなモル比で含むポリイミド系コポリマーは、本発明の一実施形態に係る積層フィルムにおいて、光透過基材100とハードコーティング層300との間の屈折率値を有する光学改善層200を有利に製造することができる。
【0108】
光学改善層200は、イミド構造単位、およびその他のウレタン構造単位、シロキサン構造単位、アミド構造単位、またはこれらの組み合わせからなる構造単位を含むポリイミド系コポリマー以外に、一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合(incompletely condensed)多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral Oligmeric Silsesquioxane:POSS)をさらに含むことができる。
【0109】
本発明の一実施形態において、前記一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、下記化学式5または下記化学式6で表される化合物であることが好ましい:
【0110】
【化17】
【0111】
前記化学式5および前記化学式6中、
Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R’は、それぞれ独立して、-OH、-SH、または-NHである。
【0112】
光学改善層200が、前記化学式5または前記化学式6で表される化合物のような、部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンの-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンをさらに含む場合、光学改善層200の機械的強度はより増加し、黄色度はより低くなり、優れた機械的物性および光学的特性を有する光学改善層となる。
【0113】
一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、光学改善層200中のポリイミド系コポリマー100質量部あたり20質量部以下、例えば、ポリイミド系コポリマー100質量部あたり15質量部以下、例えば、ポリイミド系コポリマー100質量部あたり10質量部以下、例えば、1質量部~10質量部の含有量で含むことができる。なお、含有量の下限は、通常、1質量部以上である。
【0114】
本発明の一実施形態において、前記化学式5および前記化学式6中のRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~10のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、R’は、それぞれ独立して、-OH、または-NHであってもよい。
【0115】
本発明の一実施形態において、前記化学式5および前記化学式6中のRは、それぞれ独立して、フェニル基、炭素数1~4のアルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよく、R’は-OHであってもよい。
【0116】
本発明の一実施形態において、前記化学式5および前記化学式6で表される化合物は、下記化学式5-1および化学式6-1で表される化合物であることが好ましい:
【0117】
【化18】
【0118】
本発明の他の実施形態において、光学改善層200は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムの視認性および品質向上のために、光吸収機能を有する添加剤をさらに含むことができる。光吸収機能を有する添加剤として、例えば、ブルーイング剤などを含むことができる。ブルーイング剤は、可視光領域中、例えば、橙色から黄色など波長領域の光を吸収し、色を調整する添加剤であり、具体的には、例えば、群青、紺青、コバルトブルーなどの無機系染料や顔料、例えば、フタロシアニン系ブルーイング剤、縮合多環系ブルーイング剤などの有機系の染料や顔料などが挙げられる。ブルーイング剤は、特に限定されないが、耐熱性、耐光性、溶解性の観点で、縮合多環系ブルーイング剤、例えば、アントラキノン系ブルーイング剤を用いることができ、耐熱性の観点から、200℃以上の熱分解温度を有するものを用いることができる。縮合多環系ブルーイング剤としては、例えば、アントラキノン系ブルーイング剤、インディゴ系ブルーイング剤、フタロシアニン系ブルーイング剤などが挙げられるが、これらに制限されず、樹脂材料分野でブルーイング剤として通常利用されているものから適切に選択して用いることができる。
【0119】
光学改善層200がブルーイング剤を含む場合、ブルーイング剤の添加量は、ブルーイング剤の種類により適切に選択することができるが、例えば、光学改善層200を形成するポリイミド系コポリマーの固形分100質量部あたり0.01質量部以上、例えば、0.02質量部以上、例えば、0.03質量部以上であってもよく、また1.0質量部以下、例えば、0.5質量部以下、例えば、0.2質量部以下であってもよい。
【0120】
光学改善層200の厚さは、0.1μm~10μm、例えば、0.1μm~8μm、例えば、0.1μm~7μm、例えば、0.1μm~5μm、例えば、0.3μm~5μm、例えば、0.5μm~5μm、例えば、0.5μm~3μm、例えば、0.5μm~2.5μm、例えば、0.5μm~2μm、例えば、0.5μm~1.5μm、例えば、1μmであってもよい。
【0121】
本発明の一実施形態に係る積層フィルムに含まれる光透過基材100は、ポリイミドおよび/またはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含むことができる。
【0122】
ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムは、高い光透過性、熱的安定性、機械的強度、および柔軟性などによりディスプレイ基板素材などで好適に使用されている。最近、スマートフォンやタブレットPCのようなモバイル機器の最上層のガラスを代替する高硬度ウィンドウフィルムを使用しようとする試みが行われており、これによって、ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムがより高い機械的物性および光学的特性を有するようになるための研究がされている。一方、このようなポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの場合、セルロースエステルフィルム、例えば、セルローストリアセテートフィルムなどに比べて屈折率が高い。したがって、ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムをウィンドウフィルムなどの光透過基材として用いる場合、光透過基材の機械的物性を補完するために、光透過基材の上に置かれる屈折率が低いハードコーティング層との屈折率差による界面反射および光干渉によるレインボー現象が発生することがある。本発明の一実施形態では、前述したような光学改善層200を導入することによって、ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含む光透過基材100、およびこの光透過基材100の機械的物性を補完するために適用されるハードコーティング層300を含む積層フィルムのレインボー現象を抑制または防止し、これによって光特性および色の視認性が向上した光学積層体を提供することができる。
【0123】
本発明の一実施形態に係る積層フィルムで、光透過基材100として用いることができるポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーは、光学フィルム、例えば、表示装置のウィンドウフィルムなどで用いるのに適した機械的物性および光学的特性を有する場合、特定の種類に制限されたり限定されたりせず、当該技術分野で知られた多様な種類のポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを制限なしに用いることができる。本発明の一実施形態において、優れた光学的特性および機械的物性を有するポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーとして、下記化学式1で表されるイミド構造単位を含むポリイミド、および/または、前記イミド構造単位と共に、下記化学式4で表されるアミド構造単位を含むポリ(イミド-アミド)コポリマーを含むことができる:
【0124】
【化19】
【0125】
前記化学式1および前記化学式4中の置換基の定義は、上記で定義したものと同義であるため、これについての詳細な記載は省略する。
【0126】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表されるイミド構造単位は、下記化学式1-1で表されるイミド構造単位を含むことができるが、これに制限されない:
【0127】
【化20】
【0128】
前記化学式1-1中、
Lは、同一または異なり、それぞれ独立して、単結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(CF-、-C(C2n+1-、-C(C2n+1-、-(CH-C(C2n+1-(CH-、-(CH-C(C2n+1-(CH-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)、-C(CF)(C)-、または-C(=O)NH-であり、
*は、隣接した原子に連結される部分である。
【0129】
本発明の一実施形態において、前記化学式1-1中のLは、単結合である場合、および-C(CF-である場合の組み合わせであってもよく、これらに制限されない。
【0130】
本発明の一実施形態において、前記化学式4で表されるアミド構造単位は、前記化学式4中のAが置換もしくは非置換のフェニレン基、および/または置換もしくは非置換のビフェニレン基であり、EおよびEが、それぞれ独立して、下記化学式7で表される基および/または下記化学式8で表される基であるアミド構造単位であってもよく、これらに制限されない:
【0131】
【化21】
【0132】
光透過基材100は、イミド構造単位を含むポリイミド、またはイミド構造単位とアミド構造単位とを含むポリ(イミド-アミド)コポリマー以外に、一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合(incompletely condensed)多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)をさらに含むことができる。
【0133】
本発明の一実施形態において、一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、下記化学式5または下記化学式6で表される化合物であることが好ましい:
【0134】
【化22】
【0135】
前記化学式5および前記化学式6中、
Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R’は、それぞれ独立して、-OH、-SH、または-NHである。
【0136】
一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンについての説明は、上記と同じであるため、これについての詳細な記載は省略する。
【0137】
ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含む光透過基材100も、上記で説明した光学改善層200と同様に、一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された、部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンをさらに含むことによって、機械的強度および光学的特性がより改善されうる。
【0138】
一つ以上の-Si-O-Si-結合が切れた位置に水素結合可能な官能基が導入された部分縮合多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、光透過基材100中のポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマー100質量部あたり20質量部以下、例えば、ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマー100質量部あたり15質量部以下、例えば、ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマー100質量部あたり10質量部以下、例えば、ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマー100質量部あたり1質量部~10質量部の含有量で含むことができる。なお、含有量の下限は、通常、1質量部以上である。
【0139】
光透過基材の厚さは、10μm~300μmであってもよく、例えば、15μm~300μm、例えば、20μm~300μm、例えば、25μm~300μm、例えば、30μm~300μm、例えば、30μm~250μm、例えば、30μm~200μm、例えば、30μm~150μm、例えば、30μm~100μm、例えば、30μm~80μm、例えば、30μm~70μm、例えば、30μm~60μm、例えば、35μm~60μm、例えば、35μm~55μmであってもよい。
【0140】
本発明の一実施形態に係る積層フィルムに適用されるハードコーティング層300の材料としては、当該技術分野で知られている任意のハードコーティング層材料を用いることができ、特に制限されない。ハードコーティング層は、積層フィルムの表面硬度を高めることができる。
【0141】
ハードコーティング層300の材料としては、熱または光により硬化される材料を用いることができ、例えば、アクリレート系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマー、ポリカプロラクトン、ウレタン-アクリレートコポリマー、ポリロタキサン(polyrotaxane)、シリカ含有無機ハードコーティング材料などが挙げられ、これらに制限されない。アクリレート系ポリマーは、多官能性アクリレートモノマーを含むモノマー混合物の重合体であってもよい。多官能性アクリレートモノマーの例として、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシル化トリアクリレート(GPTA)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(PETA)、およびジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)が挙げられ、これらに制限されない。ウレタン系またはアクリレート系ポリマーおよび多官能性アクリレート材料は、優れた接着性および高い生産性を示すことができる。
【0142】
本発明の一実施形態において、前記ハードコーティング層は、シリコン系ポリマーを含み、前記シリコン系ポリマーは、シルセスキオキサンなどのオルガノポリシロキサンを含むことができる。
【0143】
図1および図2では、ハードコーティング層300が1層からなるものを示したが、ハードコーティング層300は2層以上の多層構造であってもよい。
【0144】
ハードコーティング層300の厚さは、50μm以下、例えば1μm~50μm、例えば1μm~40μm、例えば1μm~30μm、例えば3μm~30μm、例えば5μm~30μm、例えば5μm~25μm、例えば5μm~20μm、例えば5μm~15μm、例えば5μm~10μmであってもよく、これらに制限されない。
【0145】
本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、光透過基材100、光学改善層200、およびハードコーティング層300以外に、積層フィルムの光学的特性、機械的物性、および/または屈曲特性などを向上させるための任意の層をさらに含むことができる。
【0146】
例えば、図3および図4に示したように、本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、光透過基材100の下部に配置される背面コーティング層400をさらに含むことができる。図3では、図1の積層フィルムの光透過基材100の下部に背面コーティング層400を追加したものを示す。図4では、図2の積層フィルムの光透過基材100の下部に背面コーティング層400を追加したものを示す。図2の積層フィルムでは、光透過基材100の下部に光学改善層200が存在するところ、図4に示したように、背面コーティング層400は、実質的に、光透過基材100の下部に配置された光学改善層200の下部に存在するように配置され得る。
【0147】
背面コーティング層400は、光学的に無色透明であり、以降で説明する接着剤層または超弾性層500と良好に接着することができ、積層フィルムの屈曲特性を維持できるものであれば、如何なる材料を含んでもよい。例えば、背面コーティング層400は、ハードコーティング層300と同一の材料を含むことができ、従来の表示装置用ウィンドウのハードコーティング層として使用されている材料を制限なしに用いることができる。例えば、背面コーティング層400は、(メタ)アクリレート系ポリマー、ポリカプロラクトン、ウレタン-アクリレートコポリマー、ポリロタキサン、エポキシ樹脂、シロキサンコポリマー、ペルフルオロポリエーテル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0148】
背面コーティング層400の厚さは、30nm~300nm、例えば、40nm~200nm、例えば、50nm~180nm、例えば、60nm~150nm、例えば、70nm~130nm、例えば、80nm~120nm、例えば、90nm~120nmの範囲で形成されてもよく、ハードコーティング層300に比べて薄く形成されてもよい。
【0149】
背面コーティング層の屈折率は、1.7以下、例えば1.6以下、例えば1.5以下、例えば1.4以下、例えば1.3以下であってもよい。
【0150】
背面コーティング層400を除いた残りの層は、図1および図2で説明したものと同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0151】
上記で説明したとおり、積層フィルムは、背面コーティング層400の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含むことができる。図5は、図3の積層フィルムの背面コーティング層400の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含む構成を示す概略図であり、図6は、図4の積層フィルムの背面コーティング層400の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含む構成を示す概略図である。
【0152】
一方、本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、背面コーティング層400を含まず、光透過基材100の下部に接着剤層または超弾性層500をさらに含むこともできる。これを示す概略図が、図7および図8である。
【0153】
図7は、図1の積層フィルムで、光透過基材100の下部に接着剤層または超弾性層500が追加的に含まれたものを示す概略図であり、図8は、図2の積層フィルムで、光透過基材100の下部に光学改善層200が存在し、その下部に接着剤層または超弾性層500が追加的に含まれたものを示す概略図である。つまり、本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、光透過基材100の下部に、背面コーティング層400を含むかまたは含まない状態で、接着剤層または超弾性層500を追加的に含むことができる。接着剤層または超弾性層500をさらに含むことによって、積層フィルムは、図示していない表示装置の前面部に接着されるか、または追加のフィルムと接着されてもよい。
【0154】
接着剤層は、感圧接着剤(PSA)を含むことができ、超弾性層は、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの超弾性物質を含むことができるが、これらに制限されない。
【0155】
一方、接着剤層または超弾性層500は、光特性および硬度の低下を誘発することがあるため、これら層の厚さは薄いほどよい。例えば、接着剤層または超弾性層500の厚さは、50μm以下、例えば10μm~40μm、例えば10μm~30μmであってもよく、これらに制限されない。
【0156】
接着剤層または超弾性層500を除いた残りの積層フィルムの構成は、上述したものと同一であるため、これらについての詳細な説明は省略する。
【0157】
図1図8を通じて説明したとおり、本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、光透過基材100、光学改善層200、およびハードコーティング層300以外に、所望する用途や実現しようとする特性などにより背面コーティング層400、または接着剤層または超弾性層500のような任意の層をさらに含んでもよい。これにより、積層フィルムの機械的物性、光学的特性、および/または屈曲特性がより改善されたり補完されたりする。当該技術分野において通常の知識を有する技術者は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを製造するに当たって、目的とする用途および機能により、上述した層を含む公知の層を多様な形態に選択したり、組み合わせたり、変形したりして含むことができ、このような多様な形態の選択、組み合わせ、および変形も本願発明の範囲に属することは明確である。
【0158】
本発明の一実施形態によれば、光透過基材100、光学改善層200、およびハードコーティング層300を含む積層フィルムは、350nm~750nmの全波長範囲での光透過率が90%以上であり、黄色度(YI)は3未満であり、ヘイズは2以下であってもよい。また、本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、肉眼でみて表面にレインボー現象が示されず、積層フィルムを黒色反射板に付けた後、入射角45度で反射率を測定した時も、可視光線領域での平均振幅が0.1%以下に示されることによって、レインボー現象が抑制されたことを確認できる。
【0159】
すなわち、本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、屈折率が異なる光透過基材100およびハードコーティング層300を含む積層フィルムであり、この二層の屈折率値の間の屈折率を有するポリイミド系コポリマーを含む光学改善層を前記光透過基材100と前記ハードコーティング層300との間、または前記光透過基材100を挟んで、前記ハードコーティング層300と対向する位置に設けることによって、優れた光学的特性を実現しながらも、表面でのレインボー現象を抑制して外観品質が改善された積層フィルムを提供できることが分かる。
【0160】
本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、光透過基材100としてポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含むフィルムを製造するかまたは購入した後光透過基材100の一表面に光学改善層200を形成するポリイミド系コポリマーの溶液をコーティングし、この溶液から溶媒を除去して光学改善層200を形成する。次に、光学改善層200の表面上に、または光学改善層200が位置する側と反対側の光透過基材100の他の表面上に、ハードコーティング層300を形成するハードコーティング溶液をコーティングし、ハードコーティング溶液から溶媒を乾燥し硬化して、ハードコーティング層300を形成することによって製造することができる。
【0161】
光透過基材100としてのポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含むフィルムは、当該技術分野で公知となっているポリイミドおよび/またはポリ(イミド-アミド)コポリマーの製造方法を用いてポリイミドおよび/またはポリ(イミド-アミド)コポリマーを製造し、これからフィルムを製造することによって容易に製造することができる。また、市販されるポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムを購入して用いることもできる。
【0162】
ポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを構成するイミド構造単位は、有機溶媒中でジアミン化合物と二無水物またはジイソシアネート化合物を重合反応させて製造することができる。ジアミン化合物、二無水物、およびジイソシアネート化合物は、特定の化合物に限定されるのではなく、本発明の一実施形態に係る積層フィルムの光透過基材100として用いるのに適した光学特性および機械的物性を満たすポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを製造することができるものであれば、任意のジアミン化合物、二無水物、およびジイソシアネート化合物を適切に選択して用いることができる。ジアミン化合物の例としては、ヘキサメチレンジアミン;m-フェニレンジアミン;p-フェニレンジアミン;1,3-ビス(4-アミノフェニル)プロパン;2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン;4,4’-ジアミノ-ジフェニルメタン;1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン;1,1-ビス(4-アミノフェニル)エタン;2,2’-ジアミノ-ジエチルスルフィド;ビス(4-アミノフェニル)スルフィド;2,4’-ジアミノ-ジフェニルスルフィド;ビス(3-アミノフェニル)スルホン;ビス(4-アミノフェニル)スルホン;4,4’-ジアミノ-ジベンジルスルホキシド;ビス(4-アミノフェニル)エーテル;ビス(3-アミノフェニル)エーテル;ビス(4-アミノフェニル)ジエチルシラン;ビス(4-アミノフェニル)ジフェニルシラン;ビス(4-アミノフェニル)エチルホスフィンオキシド;ビス(4-アミノフェニル)フェニルホスフィンオキシド;ビス(4-アミノフェニル)-N-フェニルアミン;ビス(4-アミノフェニル)-N-メチルアミン;1,2-ジアミノ-ナフタレン;1,4-ジアミノ-ナフタレン;1,5-ジアミノ-ナフタレン;1,6-ジアミノ-ナフタレン;1,7-ジアミノ-ナフタレン;1,8-ジアミノ-ナフタレン;2,3-ジアミノ-ナフタレン;2,6-ジアミノ-ナフタレン;1,4-ジアミノ-2-メチル-ナフタレン;1,5-ジアミノ-2-メチル-ナフタレン;1,3-ジアミノ-2-フェニル-ナフタレン;4,4’-ジアミノ-ビフェニル;3,3’-ジアミノ-ビフェニル;3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノ-ビフェニル;3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ビフェニル;3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ビフェニル;3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノ-ビフェニル;4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)-ビフェニル;2,4-ジアミノ-トルエン;2,5-ジアミノ-トルエン;2,6-ジアミノ-トルエン;3,5-ジアミノ-トルエン;1,3-ジアミノ-2,5-ジクロロ-ベンゼン;1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロ-ベンゼン;1-メトキシ-2,4-ジアミノ-ベンゼン;1,4-ジアミノ-2-メトキシ-5-メチル-ベンゼン;1,4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラメチル-ベンゼン;1,4-ビス(2-メチル-4-アミノ-ペンチル)-ベンゼン;1,4-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノ-ペンチル)-ベンゼン;1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)-ベンゼン;o-キシリレンジアミン;m-キシリレンジアミン;p-キシリレンジアミン;3,3’-ジアミノ-ベンゾフェノン;4,4’-ジアミノ-ベンゾフェノン;2,6-ジアミノ-ピリジン;3,5-ジアミノ-ピリジン;1,3-ジアミノ-アダマンタン;ビス[2-(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロイソプロピル]ジフェニルエーテル;3,3’-ジアミノ-1,1,1’-ジアダマンタン;N-(3-アミノフェニル)-4-アミノベンズアミド;4-アミノフェニル-3-アミノベンゾエート;2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン;2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン;2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン;2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン;2,2-ビス[4-(2-クロロ-4-アミノフェノキシ)フェニルヘキサフルオロプロパン;1,1-ビス(4-アミノフェニル)-1-フェニル-2,2,2-トリフルオロエタン;1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1-フェニル-2,2,2-トリフルオロエタン;1,4-ビス(3-アミノフェニル)ブタ-1-エン-3-イン;1,3-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン;1,5-ビス(3-アミノフェニル)デカフルオロペンタン;および4,4’-ビス[2-(4-アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロイソプロピル]ジフェニルエーテル、ジアミノシクロヘキサン、ビシクロヘキシルジアミン、4,4’-ジアミノシクロヘキシルメタン、およびジアミノフルオレンなどが挙げられ、これらに制限されない。このようなジアミン化合物は、市販されているか、または公知の方法により合成可能である。
【0163】
例えば、ジアミン化合物は、下記構造式で表される化合物であってもよい:
【0164】
【化23-1】
【0165】
【化23-2】
【0166】
本発明の一実施形態において、ジアミン化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine:TFDB)および/または3,3-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline、MFA-MDA)であってもよい。
【0167】
前記二無水物は、テトラカルボン酸二無水物であってもよい。このような化合物の例としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(bicyclo[2.2.2]oct-7-ene-2,3,5,6-tetracarboxylic dianhydride、BTDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-diphenylsulfone tetracarboxylic dianhydride、DSDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(4,4’-oxydiphthalic anhydride、ODPA)、ピロメリット酸無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(4-(2,5-dioxotetrahydrofuran-3-yl)-1,2,3,4-tetrahydronaphthalene-1,2-dicarboxylic anhydride、DTDA)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物;1,4-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物;1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物;1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物;2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物;2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物;3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル二無水物;ビス(2,3-カルボキシフェニル)エーテル二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;2,3,3’4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)mエタン二無水物;ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物;1,1-ビス(2-3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物;1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物;1,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物;2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物;2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物;2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル-2,2-プロパン二無水物;2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ-3,5-ジメチル)フェニル]プロパン二無水物;2,3,4,5-チオフェンテトラカルボン酸二無水物;2,3,5,6-ピラジンテトラカルボン酸二無水物;1,8,9,10-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物;3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物;2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物;1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物;1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1-フェニル-2,2,2-トリフルオロエタン二無水物;2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物;1,1-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]-1-フェニル-2,2,2-トリフルオロエタン二無水物;および4,4’-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロイソプロピル]ジフェニルエーテル二無水物から選択される1種以上であってもよく、これらに制限されない。このような二無水物は、市販されており、あるいは公知の方法により合成可能である。
【0168】
本発明の一実施形態において、テトラカルボン酸二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0169】
一方、公知のポリアミドの製造方法としては、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などが知られており、このうち、低温溶液重合法を例に挙げて説明すれば、非プロトン性極性溶媒内でジカルボン酸ジハライドおよびジアミン化合物を反応させることによって上記化学式4で表されるアミド構造単位を形成することができる。
【0170】
前記ジカルボン酸ジハライドとしては、テレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride、TPCl)、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride、IPCl)、ビフェニルジカルボニルクロライド(biphenyl dicarbonyl chloride、BPCl)、ナフタレンジカルボニルクロライド、テルフェニルジカルボニルクロライド、2-フルオロ-テレフタロイルクロライド、アジポイルクロライド(Adipoyl chloride)、セバコイルクロライド(Sebacoyl chloride)などが挙げられ、これらに制限されない。
【0171】
本発明の一実施形態において、前記ジカルボン酸ジハライドは、テレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride、TPCl)であってもよい。
【0172】
前記アミド構造単位を形成するためのジアミン化合物は、前記イミド構造単位を形成するために用いることができるジアミン化合物と同様の化合物を用いることができる。すなわち、上記で例示したジアミン化合物のうち、同一または異なる1種以上のジアミン化合物を用いてアミド構造単位を形成することができる。
【0173】
本発明の一実施形態において、ジカルボン酸ジハライドと共にアミド構造単位を形成するジアミン化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine:TFDB)および/または3,3-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline、MFA-MDA)であってもよい。
【0174】
前記非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o-、m-またはp-クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。しかし、これらに限定されるのではなく、キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素を用いることもできる。
【0175】
ポリ(アミック酸-アミド)コポリマーは、同一の反応器内で先にアミド構造単位を形成するジアミン化合物とジカルボン酸ジハライドとを添加して反応させた後、ここにイミド構造単位を形成するジアミン化合物および二無水物を添加して追加反応させることによって、製造することができる。
【0176】
または、アミド構造単位を形成するジアミン化合物とジカルボン酸ジハライドとを反応させて両末端がアミノ基で終わるアミドオリゴマーを製造した後、これをジアミンモノマーとし、ここに二無水物を添加してポリ(アミック酸-アミド)コポリマーを製造することもできる。後者の方法による場合、アミド形成工程で発生するHClの除去のための沈殿工程を省略することができるため、工程時間を短縮することができ、最終生成物であるポリ(イミド-アミド)コポリマーの収率も高めることができる。
【0177】
上記のように製造されたポリアミック酸またはポリ(アミック酸-アミド)コポリマーは、アミック酸の脱水閉環反応を経ることによってポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーとして製造され得るが、このようなポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含む溶液を公知の方法で支持体上にキャスティングした後に乾燥し、これを加熱などの方法で硬化することによってフィルムなどの成形品として製造する方法もよく知られている。
【0178】
以上のように製造されたポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含むフィルム表面に、光学改善層200を形成するためのポリイミド系コポリマー溶液をコーティングする。このようなポリイミド系コポリマー溶液の製造方法は、上述した光透過基材100を製造するためのポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマー溶液の製造方法と実質的に同一である。
【0179】
例えば、光学改善層200がイミド構造単位とウレタン構造単位とを含むポリ(イミド-ウレタン)コポリマーである場合、ウレタン構造単位を製造するためのモノマーとしてジオールとジイソシアネート化合物とを重合反応させ、ここにイミド構造単位を形成するためのテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを添加して追加重合することによって、イミド構造単位とウレタン構造単位を全て含むポリ(イミド-ウレタン)コポリマーの溶液を製造することができる。ウレタン構造単位を形成するためのジオールとジイソシアネート化合物との間の反応も、当該技術分野でよく知られている。使用可能なジオールおよびジイソシアネート化合物の種類も特別な制限はなく、本発明の一実施形態に係る積層フィルムで光学改善層200として使用するのに適切な光学特性および機械的物性を実現することに大きな問題がない限り、任意のジオールおよびジイソシアネート化合物を用いることができる。このようなジオールおよびジイソシアネート化合物も、当該技術分野で知られた方法で合成することができ、または商業的に容易に入手可能である。
【0180】
光学改善層200が、イミド構造単位とシロキサン構造単位とを含むコポリマーを含む場合、イミド構造単位を形成するためのテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを有機溶媒中で混合して反応させるが、ここに、ジアミン成分として両末端にアミノ基を含むシロキサン化合物を追加的に添加して反応させることによって、ポリ(イミド-シロキサン)コポリマー溶液を容易に製造することができる。両末端にアミノ基を有するシロキサン化合物は、テトラカルボン酸二無水物と重合してイミド構造単位を形成し、したがって、シロキサンを含まないジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物との間の反応によるイミド構造単位と共に重合されて、ポリ(イミド-シロキサン)コポリマーを製造することができる。シロキサン化合物の両末端にアミノ基を含む化合物は、当該分野における通常の知識を有する技術者によく知られた方法を通じて容易に合成可能であるか、または商業的に購入可能である。当該技術分野における通常の知識を有する技術者は、所望する機械的物性および光学特性を実現するのに適切なシロキサン化合物として、両末端がアミノ基で修飾された化合物を容易に選択可能である。例えば、シロキサン化合物は、下記化学式3-1で表される化合物である:
【0181】
【化24】
【0182】
前記化学式3-1中、
~R、L、L、およびmは、全て上記化学式3で定義したものと同義である。
【0183】
光学改善層200がイミド構造単位とアミド構造単位とを含むポリ(イミド-アミド)コポリマーを含む場合、前記光透過基材100がポリ(イミド-アミド)コポリマーを含む場合と同一であるため、これについての詳細な記載は省略する。
【0184】
前記のように製造されたポリ(イミド-ウレタン)コポリマー、ポリ(イミド-シロキサン)コポリマー、またはポリ(イミド-アミド)コポリマーの溶液は、溶媒などでさらに希釈することができる。この希釈したものをポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含む光透過基材100であるフィルム表面にコーティングして乾燥させることによって、本発明の一実施形態に係る積層フィルムの光学改善層200を容易に形成することができる。
【0185】
ハードコーティング層300形成用の溶液を製造方法は、特に制限されず、当該技術分野における通常の知識を有する技術者によく知られた方法を用いてハードコーティング材料として用いることができるポリマー溶液を製造するか、または商業的に購入できる材料を利用することもできる。例えば、ハードコーティング層300がシロキサン系ポリマーを含む場合、脱水縮合反応によりポリシロキサンを形成するシラン化合物を溶媒内で重縮合反応させ、得られるポリシロキサンを含む溶液をハードコーティング形成用溶液として用いることができる。または、ハードコーティング層300がアクリレート系ポリマーを含む場合、商業的に購入可能なアクリレート系ポリマーを適切な溶媒に溶解して用いるか、またはアクリレートモノマーを重合してアクリレート系ポリマー溶液を製造することができる。このような方法の全ては、当該技術分野における通常の知識を有する技術者によく知られた方法であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0186】
以上のような方法で製造されたポリイミドまたはポリ(イミド-アミド)コポリマーを含む光透過基材100、前記光透過基材100の一の面に存在する光学改善層200、および前記光学改善層200の上に存在するか、または前記光透過基材100を挟んで、前記光学改善層200と対向するように、光学改善層200が位置する側と反対側の光透過基材100の表面上に存在するハードコーティング層300を含み、前記光学改善層200がポリイミド系コポリマーを含み、前記光学改善層200の屈折率が前記光透過基材100の屈折率および前記ハードコーティング層300の屈折率との間の値を有する積層フィルムは、層間の屈折率差による界面反射および光の干渉縞の発生が抑制されることによって、光特性および色の視認性が向上し、外観品質が改善され得る。したがって、このような積層フィルムは、表示装置のウィンドウフィルムなどで有利に用いることができる。
【実施例
【0187】
以下、実施例および比較例を通じて、上記実施形態をより詳細に説明する。下記の実施例および比較例は、説明の目的のためのものであり、本発明の範囲がこれによって制限されるのではない。
【0188】
(合成例1:アミド構造単位含有オリゴマーの準備)
下記反応式1により、TPCL(テレフタル酸ジクロライド)の両末端にTFDB(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine))が結合してアラミド構造を形成するアミド構造単位含有オリゴマーを製造した:
【0189】
【化25】
【0190】
すなわち、丸底フラスコに、溶媒としてN,N-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide)700gを加え、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)1モル当量(0.122モル、39.2g)とピリジン2.8モル当量(0.343モル、27.11g)とを溶かした後、残っているTFDBを50mlのジメチルアセトアミド(dimethylaceamide、DMAC)を追加的に添加して完全に溶かした。このTFDB溶液に、テレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride、TPCL)0.7モル当量(0.086モル、17.4g)を4回に分けて添加し、15分間激しく攪拌した。
【0191】
得られた溶液を窒素雰囲気下で2時間攪拌した後、350gのNaClを含有する7LのNaCl溶液に入れて10分間攪拌した。固形物を濾過し、5Lの脱イオン水で2回にわたって再懸濁および再濾過した。次に、濾過器上の最終濾過物を適切に加圧して残存する水を最大限除去し、90℃の真空雰囲気下で48時間乾燥して、上記反応式1中の「アミドオリゴマー(Amide Oligomer)」で表されるアミド構造単位含有オリゴマーを得た。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,400であった。
【0192】
(製造例1~4:光学改善層用ポリイミド系コポリマー溶液の製造)
(製造例1:ポリ(イミド-ウレタン)コポリマー溶液の製造)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ツ口二重壁反応器に、2.52g(0.0279mol)のブタンジオール(butanediol、BD)、12.4g(0.0559mol)のイソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate、IPDI)、およびジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL、Dibutyltin dilaurate)を投入した後、徐々に温度を高めて70℃で4時間攪拌して反応させた。反応が完了した後、反応器を25℃まで冷却し、ジメチルアセトアミド(DMAc)94g、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)8.95g(0.0279mol)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)2.46g(0.0084mol)、および2,2-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(2,2-bis-(3,4-dicarboxyphenyl hexafluoropropane dianhydride、6FDA)8.70g(0.0196mol)を添加して24時間攪拌し、さらにピリジン2.3gおよび無水酢酸7.9gを添加して24時間攪拌して、固形分濃度が25質量%であるポリ(イミド-ウレタン)コポリマー溶液を得た。
【0193】
(製造例2:ポリ(イミド-シロキサン)コポリマー溶液の製造)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ツ口二重壁反応器に、58gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加して温度を25℃に合わせた後、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)5.7g(0.018mol)を溶解し、この溶液を25℃に維持した。ここに、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)26gに、両末端がアミノプロピル基でキャッピングされたポリジメチルシロキサン(DMS-A11、Gelest)3.9g(0.0045mol)を溶解して添加した。この溶液に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)1.97g(0.0067mol)、および2,2-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(2,2-bis-(3,4-dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)6.94g(0.0156mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン1.8gおよび無水酢酸6.8gを添加して24時間攪拌して、固形分濃度が17質量%であるポリ(イミド-シロキサン)コポリマー溶液を得た。
【0194】
(製造例3:ポリ(イミド-アミド-シロキサン)コポリマー溶液の製造)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ツ口二重壁反応器に、120gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加して温度を25℃に合わせた後、上記合成例1で製造したアミド構造単位含有オリゴマー21.36g(0.015mol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)0.37g(0.0011mol)、および1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン{1,3-bis(3-aminopropyl)-tetramethyldisiloxane:DSX}0.673g(0.0027mol)を溶解し、25℃に維持した。この溶液に3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)1.59g(0.0054mol)、および2,2-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(2,2-bis-(3,4-dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)6g(0.013mol)を添加して48時間攪拌した。その後、ピリジン1.5g、および無水酢酸5.83gを添加して24時間攪拌して、固形分濃度が20質量%であるポリ(イミド-アミド-シロキサン)コポリマー溶液を得た。
【0195】
(製造例4:ポリ(イミド-アミド)コポリマー溶液の製造)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ツ口二重壁反応器に、120gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加して温度を25℃に合わせた後、合成例1で製造したアミド構造単位含有オリゴマー21.36g(0.015mol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)0.37g(0.0011mol)、および3,3-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline、MFA-MDA)8.87g(0.0167mol)を溶解し、25℃に維持した。この溶液に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)1.23g(0.0042mol)、および2,2-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(2,2-bis-(3,4-dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)9.28g(0.021mol)を添加して48時間攪拌した。その後、ピリジン1.98g、および無水酢酸7.68gを添加して24時間攪拌して、固形分濃度が20質量%であるポリ(イミド-アミド)コポリマー溶液を得た。
【0196】
(製造例5:ハードコーティング層形成用溶液の準備)
(製造例5-1:シルセスキオキサンの製造)
100mlの二重ジャケット反応槽に、エチルアルコール(SAMCHUN CHEMICALS社)20mlと1質量%に希釈したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH:tetramethylammonium hydroxide solution、Sigma-Aldrich社)溶液17.5gを入れて混合した。混合しながら(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン((3-glycidyloxypropyl)trimethoxysilane、Sigma-Aldrich社)26.5mlを添加し、常温で6時間混合した。次に、温度を60℃に上げ、トルエン(Sigma-Aldrich社)40mlを加えて6時間混合した。混合終了後、飽和食塩水(saturated sodium chloride solution、SAMCHUN CHEMICALS社)を用いて反応生成物を含む溶液を洗浄し、残留水分は無水硫酸ナトリウム(sodium sulfate anhydrous、SAMCHUN CHEMICALS社)を用いて除去した。次に、反応生成物に残っているトルエンなどの残留溶媒は、蒸発器(evaporator、DAIHAN Scientific社)と真空オーブン(DAIHAN Scientific社)とを用いて除去した。
【0197】
(製造例5-2:シルセスキオキサンの製造)
100mlの二重ジャケット反応槽に、エチルアルコール(SAMCHUN CHEMICALS社)20mlと1質量%に希釈したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、Sigma-Aldrich社)溶液17.5gを入れて混合した。混合しながら[8-(グリシジルオキシ)-n-オクチル]トリメトキシシラン([8-(Glycidyloxy)-n-octyl]trimethoxysilane、TCI社)18.2mlを添加し、常温で6時間混合した。次に、温度を60℃に上げ、上記の混合物にトルエン(Sigma-Aldrich社)40mlを入れて6時間混合した。混合終了後、飽和食塩水(saturated sodium chloride solution、SAMCHUN CHEMICALS社)を用いて反応生成物の溶液を洗浄し、残留水分は無水硫酸ナトリウム(sodium sulfate anhydrous、SAMCHUN CHEMICALS社)を用いて除去した。反応生成物に残っているトルエンなどの残留溶媒は、蒸発器(DAIHAN Scientific社)と真空オーブン(DAIHAN Scientific社)とを用いて除去した。
【0198】
(製造例5-3:ハードコーティング溶液の製造)
メチルイソブチルケトンに、製造例5-1で得たシルセスキオキサン、製造例5-2で得たシルセスキオキサン、および下記化学式Aで表される陽イオン重合性有機化合物を40:40:20の質量比で入れて攪拌した。ここで、前記製造例5-1で得たシルセスキオキサン、上記製造例5-2で得たシルセスキオキサン、および下記化学式Aで表される陽イオン重合性有機化合物の含有量(固形分含有量)は、溶液の総質量を基準に50質量%であった。ここに、陽イオン開始剤としてIrgacure(登録商標)250(BASF社)を、固形分100質量部に対して2質量部の含有量で添加し、また、表面特性制御剤であるKY-1203(Shin-Etsu社)を固形分100質量部に対して0.1質量部の含有量で添加して、均一になる時まで混合してハードコーティング溶液を製造した。
【0199】
【化26】
【0200】
本製造例により製造されたハードコーティング溶液から製造されるハードコーティング層の屈折率は1.5であった。屈折率は、エリプソメーター(M-2000、J.A.Woollam社)により可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、550nm波長での値を測定した。
【0201】
(製造例6:光透過基材フィルムの製造)
30℃に予備加熱された、機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ツ口二重壁反応器に、101.86mlのジメチルアセトアミド(DMAc)を入れ、ここに合成例1で製造したアミド構造単位含有オリゴマー12.6g(0.0155モル)を添加した。オリゴマーが完全に溶ける時まで、溶液を30℃に保ち、窒素雰囲気下で攪拌した。その後、4.1309g(0.0093モル)の6FDAと、1.8239g(0.0062モル)のBPDAとを徐々に添加した。10mlのDMAcをさらに添加し、48時間攪拌した後、無水酢酸4.75gとピリジン3.68gとを投入して、さらに24時間攪拌してポリ(イミド-アミド)コポリマー溶液を得た。
【0202】
得られたポリ(イミド-アミド)コポリマー溶液をガラス板の上にコーティングしてキャスティングし、これを80℃ホットプレートの上で1時間乾燥して溶媒を除去した後、コーティングされたガラス板をオーブンに入れ、常温で250℃まで1分あたり3℃の昇温速度で熱処理した。その後、徐々に冷却し、最終的にガラス板でポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムを分離して、50μmの厚さを有するポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムを得た。
【0203】
得られたポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの屈折率は、1.68であった。屈折率は、エリプソメーター(M-2000、J.A.Woollam社)により可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、550nm波長での値を測定した。
【0204】
(実施例、参考例および比較例:積層フィルムの製造)
(実施例1)
製造例1で製造したポリ(イミド-ウレタン)コポリマー溶液をメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone、MIBK)を用いて10質量%に希釈した。これを製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にバーコーティングした後、乾燥オーブンで溶媒を除去して1μmの厚さの高分子フィルム(光学改善層)として形成した。
【0205】
次に、高分子フィルムの上に、製造例5-3で製造したハードコーティング溶液をバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて380mJ/cmで硬化することによって、10μmの厚さのハードコーティング層を形成して積層フィルムを製造した。
【0206】
得られた積層フィルムにおいて、ポリ(イミド-ウレタン)コポリマーから製造した光学改善層の屈折率は1.58であった。屈折率は、エリプソメーター(M-2000、J.A.Woollam社)により可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、550nm波長での値を測定した。
【0207】
参考例2)
製造例2で製造したポリ(イミド-シロキサン)コポリマー溶液をメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone、MIBK)を用いて10質量%に希釈した。これを製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にバーコーティングした後、乾燥オーブンで溶媒を除去して1μmの厚さの高分子フィルム(光学改善層)として形成した。
【0208】
次に、高分子フィルムの上に、製造例5-3で製造したハードコーティング溶液をバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて100~500mJ/cmで硬化することによって、10μmの厚さのハードコーティング層を形成して積層フィルムを製造した。
【0209】
得られた積層フィルムにおいて、ポリ(イミド-シロキサン)コポリマーから製造した光学改善層の屈折率は1.59であった。屈折率は、エリプソメーター(M-2000、J.A.Woollam社)により可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、550nm波長での値を測定した。
【0210】
参考例3)
製造例3で製造したポリ(イミド-アミド-シロキサン)コポリマー溶液をメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone、MIBK)を用いて10質量%に希釈した。これを製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にバーコーティングした後、乾燥オーブンで溶媒を除去して1μmの厚さの高分子フィルム(光学改善層)として形成した。
【0211】
次に、高分子フィルムの上に、製造例5-3で製造したハードコーティング溶液をバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて380mJ/cmで硬化することによって、10μmの厚さのハードコーティング層を形成して積層フィルムを製造した。
【0212】
得られた積層フィルムにおいて、ポリ(イミド-アミド-シロキサン)コポリマーから製造した光学改善層の屈折率は1.59であった。屈折率は、エリプソメーター(M-2000、J.A.Woollam社)により可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、550nm波長での値を測定した。
【0213】
参考例4)
製造例4で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマー溶液をメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone、MIBK)を用いて10質量%に希釈した。これを製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にバーコーティングした後、乾燥オーブンで溶媒を除去して1μmの厚さの高分子フィルム(光学改善層)として形成した。
【0214】
次に、高分子フィルムの上に、製造例5-3で製造したハードコーティング溶液をバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて380mJ/cmで硬化することによって、10μmの厚さのハードコーティング層を形成して積層フィルムを製造した。
【0215】
得られた積層フィルムにおいて、ポリ(イミド-アミド)コポリマーから製造した光学改善層の屈折率は1.60であった。屈折率は、エリプソメーター(M-2000、J.A.Woollam社)により可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、550nm波長での値を測定した。
【0216】
(実施例5)
製造例1で製造したポリ(イミド-ウレタン)コポリマー溶液に、ポリ(イミド-ウレタン)コポリマー100質量部当り、上記化学式5-1で表されるトリシラノールフェニルシルセスキオキサン(trisilanolphenyl polyhedral oligomeric silsesquioxane、tsp-POSS)5質量部を添加した溶液をメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone、MIBK)を用いて10質量%濃度に希釈した。これを製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にバーコーティングした後、乾燥オーブンで溶媒を除去して1μmの厚さの高分子フィルム(光学改善層)として形成した。
【0217】
次に、高分子フィルムの上に、製造例5-3で製造したハードコーティング溶液をバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて380mJ/cmで硬化することによって、10μmの厚さのハードコーティング層を形成して積層フィルムを製造した。
【0218】
得られた積層フィルムにおいて、ポリ(イミド-ウレタン)コポリマー100質量部にtsp-POSS 5質量部を添加した溶液から製造される光学改善層の屈折率は1.55である。屈折率はEllipsometer(M-2000、J.A.Woollam社)により可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して550nm波長での値を取った。
【0219】
(実施例6)
製造例1で製造したポリ(イミド-ウレタン)コポリマー溶液をメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone、MIBK)を用いて10質量%に希釈した。これを製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にバーコーティングした後、乾燥オーブンで溶媒を除去して、1μmの厚さの高分子フィルム(光学改善層)として形成した。
【0220】
次に、製造例5-3で製造したハードコーティング溶液をバーコーティングし、これを1μmの厚さに形成された高分子フィルムの上にコーティングするのではなく、高分子フィルムが形成された側と反対側の位置で、製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて380mJ/cmで硬化することによって、10μmの厚さのハードコーティング層を形成して積層フィルムを製造した。
【0221】
すなわち、実施例6で製造した積層フィルムは、実施例1、参考例2~4、実施例5による積層フィルムとは異なり、光透過基材100の上にハードコーティング層300が存在し、光透過基材100のハードコーティング層300側と反対側の面に光学改善層200が存在する。
【0222】
得られた積層フィルムで、ポリ(イミド-ウレタン)コポリマーから製造された光学改善層の屈折率は、実施例1と同様に、1.58であった。
【0223】
(比較例1:光透過基材の上にハードコーティング層のみが存在する積層フィルムの製造)
製造例6で製造されたポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上に製造例5-3で製造されたハードコーティング溶液をバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて380mJ/cmで硬化して、10μmの厚さのハードコーティング層を含む積層フィルムを製造した。
【0224】
(比較例2:光透過基材とハードコーティング層との間に市販のプライマー層をコーティングした積層フィルムの製造)
製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルムの上にFLUCON社で販売する屈折率1.35のプライマー組成物(ポリメチルメタクリレート(PMMA)系ポリマーを含む)をバーコーティングし、これを乾燥オーブンで溶媒を除去して1μmの厚さの高分子フィルムとして形成した。
【0225】
次に、高分子フィルムの上に、製造例5-3で製造したハードコーティング溶液をバーコーティングし、乾燥オーブンで溶媒を除去した。その後、UV硬化装置(LC6B、Fusion UV社)を用いて380mJ/cmで硬化することによって、10μmの厚さのハードコーティング層を形成して積層フィルムを製造した。
【0226】
<評価:フィルムの光学特性および虹ムラ有無の評価>
実施例1、参考例2~4、実施例5~実施例6、および比較例1~2により製造した積層フィルムの光学特性および虹ムラの有無を評価して図9~10、および表1~2に示した。具体的には、フィルムの光学特性として、透過率、黄色度(YI)、およびヘイズを測定し、虹ムラを肉眼で観察し、それぞれ下記に記載した方法で測定した。
【0227】
(1)黄色度(YI)と透過率(Tr(%)、350nm~750nm範囲での透過率)は、それぞれ、厚さ60μmのフィルムを基準に、コニカミノルタ株式会社製の分光側色計CM-3600dを用いて、ASTM D1925に基づいて測定した。
【0228】
(2)ヘイズは、コニカミノルタ株式会社製の分光側色計CM-3600dを用いて、ASTM D1003-97に基づいて測定した。
【0229】
(3)虹ムラ測定方法:積層フィルムの裏面反射を防止するために積層フィルムのハードコーティング層が形成された面と、反対側の面とを3M社製の厚さ50μmの感圧接着剤(PSA)を利用して黒色アクリル板に付けた。その後、3波長ランプ下で積層フィルムのハードコーティング面を肉眼で観察してムラの程度を「強」、「弱」、および「無(ない)」で評価した。また、ハードコーティング層上に映る3波長ランプのイメージを撮影して図9および図10に示した。
【0230】
一方、対照群として、製造例6で製造したポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルム単独に対するムラの程度、透過率、YI、およびヘイズも測定して、下記表1に共に示した。
【0231】
【表1】
【0232】
【表2】
【0233】
上記表1および表2から明らかなように、実施例1、参考例2~4、実施例5~実施例6による積層フィルムは、虹ムラが弱かった一方で、比較例1および比較例2による積層フィルムの虹ムラは非常に強く示された。また、ハードコーティング層を形成せずにポリ(イミド-アミド)コポリマーフィルム単独で存在する対照群の場合、虹ムラが全く示されない。
【0234】
実施例1、参考例2~4、実施例5~6による積層フィルムは、肉眼で観察した虹ムラの程度が非常に弱い反面、透過率は90%以上であり、比較例1、比較例2、または対照群のフィルムより透過率はより高く示される。また、黄色度(YI)も、対照群フィルムおよびハードコーティング層とポリ(イミド-アミド)コポリマー基材との間に追加の層を含まない比較例1によるフィルムよりは全て低く示される。比較例2のハードコーティング層とポリ(イミド-アミド)コポリマー基材との間に市販のプライマー層を介在させた場合、YIは2.3と比較的低く、ヘイズも0.8と低い値であった。しかしながら、比較例2は虹ムラが強く示されて色の視認性がよくない
【0235】
実施例1および実施例6による積層フィルムは、同一のポリ(イミド-アミド)コポリマー基材、同一のハードコーティング層、および同一の組成の光学改善層を含むが、光学改善層200の位置が異なる。実施例1、参考例2~4、実施例5によるフィルムの場合、全てポリ(イミド-アミド)コポリマー基材フィルム(光透過基材100)、光学改善層200、およびハードコーティング層300の順に積層されたが、実施例6では、光学改善層200がポリ(イミド-アミド)コポリマー基材フィルム(光透過基材100)とハードコーティング層300との間に位置せず、基材フィルム(光透過基材100)を挟んで、ハードコーティング層300と対向する反対側の面に位置する。しかし、実施例1および実施例6の全てで、虹ムラは弱く示され、光学特性は全て優れていた。特に、実施例6のように、光学改善層200がポリ(イミド-アミド)コポリマー基材フィルム(光透過基材100)を挟んで、ハードコーティング層300と反対側に存在する積層フィルムの光学特性が、実施例1のように、光学改善層200がポリ(イミド-アミド)コポリマー基材フィルム(光透過基材100)とハードコーティング層300との間に存在する積層フィルムの光学特性より優れていた。
【0236】
以上の実施例および比較例から分かるように、ポリ(イミド-アミド)コポリマー基材フィルム(光透過基材100)とハードコーティング層300とを含む積層フィルムにおいて、この二層の間、またはポリ(イミド-アミド)コポリマー基材フィルム(光透過基材100)を挟んでハードコーティング層300と反対側にポリイミド系コポリマーを含む光学改善層200が存在する場合、ポリ(イミド-アミド)コポリマー基材フィルム(光透過基材100)とハードコーティング層300との間の屈折率差を緩和して、界面反射および光干渉を減らすことによって、虹ムラの発生を抑制し、それによる色の視認性に優れ、外観品質に優れた積層フィルムを提供することができる。このような積層フィルムは、外観品質の優秀性が要求される表示装置のウィンドウフィルムとして有用に用いることができる。
【0237】
以上を通じて本発明の具体的な実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0238】
100 光透過基材、
200 光学改善層、
300 ハードコーティング層、
400 背面コーティング層、
500 接着剤層または超弾性層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10