(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/21 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
C07F7/21 CSP
(21)【出願番号】P 2021553657
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2020040461
(87)【国際公開番号】W WO2021085482
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019199334
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正安
(72)【発明者】
【氏名】野澤 竹志
(72)【発明者】
【氏名】松本 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 不二夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
【審査官】星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-184395(JP,A)
【文献】J.J. LEBRUN et al.,“Polysiloxanes”,Comprehensive Polymer Scienceand Supplements,1989年,p.593-609,DOI: 10.1016/B978-0-08-096701-1.00175-0
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/21
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(2):
【化1】
(式中、p
1は0、1又は2である。)
で表される化合物と、下記一般式(5):
(R
4O)
nSi(R
5)
4-n (5)
(式中、nは、1~4の整数であり;R
4は、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、nが2以上である場合、n個のR
4は、互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、少なくとも1個のR
4は、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、3個以上のR
4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は、少なくとも1個を除いて、相互に結合して環を形成していてもよく;R
5は、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、nが2以下である場合、4-n個のR
5は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物と、を反応させることにより、下記一般式(4):
【化2】
(式中、Z
4は、水素原子又は一般式「-Si(OR
4)
n-1(R
5)
4-n」で表される基であり、(2p
1+6)個のZ
4は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
4は、前記一般式「-Si(OR
4)
n-1(R
5)
4-n」で表される基であり;n、p
1、R
4及びR
5は、上記と同じであり、nが3以上である場合、n-1個のR
4は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよく、nが2以下である場合、4-n個の
R
5
は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物を得る、化合物の製造方法
であって、
一般式(2)の化合物として水和水を含まない結晶を用いる、化合物の製造方法。
【請求項2】
一般式(2)の化合物として水以外の溶媒成分の分子を含む結晶を用いる、請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項3】
下記一般式(40):
【化3】
(式中、p
1は0、1又は2であり;Z
40は、水素原子又は一般式「-Si(OR
40)
m-1(R
50)
4-m」で表される基であり、(2p
1+6)個のZ
40は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
40は、前記一般式「-Si(OR
40)
m-1(R
50)
4-m」で表される基であり;mは、
2~3の整数であり;R
40は、
エチル基であり、
m=2のとき、2個のR
50
は水素原子及びメチル基であり、m=3のとき、R
50
は水素原子である。)
で表される化合物。
【請求項4】
下記一般式(4021):
【化4】
(式中、Z
41は、水素原子又は一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基であり、8個のZ
41は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
41は、前記一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基であり;mは、
2~3の整数であり;R
41は、
エチル基であり、
m=2のとき、2個のR
51
は水素原子及びメチル基であり、m=3のとき、R
51
は水素原子である。)
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物及びその製造方法に関する。
本願は、2019年10月31日に日本に出願された特願2019-199334号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
オルトケイ酸の縮合物又はその誘導体と見做せる、かご型の骨格を有する一群のシロキサン化合物は、機能性ケイ素材料として種々の分野で有望であり、新規化合物の探索と、その製造方法が種々検討されている。
【0003】
例えば、このようなかご型シロキサン化合物の1種として、以下に示す合成ルートによって、下記式(90)で表される化合物を原料として、下記式(91)で表される化合物(本明細書においては、「化合物(91)」と称することがある)を得たことが開示されている(非特許文献1参照)。
【0004】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Main Group Metal Chemistry 20 (1997) 515.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1には、新規のかご型シロキサン化合物として、化合物(91)と、その製造方法が開示されているが、現状、かご型シロキサン化合物の探索は十分に為されているとは言えず、新規のかご型シロキサン化合物と、その製造方法の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、新規のかご型シロキサン化合物と、その製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記一般式(2):
【0009】
【化2】
(式中、p
1は0、1又は2である。)
で表される化合物と、下記一般式(5):
(R
4O)
nSi(R
5)
4-n (5)
(式中、nは、1~4の整数であり;R
4は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、nが2以上である場合、n個のR
4は、互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、少なくとも1個のR
4は、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、3個以上のR
4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は、少なくとも1個を除いて、相互に結合して環を形成していてもよく;R
5は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、nが2以下である場合、4-n個のR
5は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物と、を反応させることにより、下記一般式(4):
【0010】
【化3】
(式中、Z
4は、水素原子又は一般式「-Si(OR
4)
n-1(R
5)
4-n」で表される基であり、(2p
1+6)個のZ
4は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
4は、前記一般式「-Si(OR
4)
n-1(R
5)
4-n」で表される基であり;n、p
1、R
4及びR
5は、上記と同じであり、nが3以上である場合、n-1個のR
4は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよく、nが2以下である場合、4-n個のR
5は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物を得る、化合物の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、下記一般式(40):
【0012】
【化4】
(式中、p
1は0、1又は2であり;Z
40は、水素原子又は一般式「-Si(OR
40)
m-1(R
50)
4-m」で表される基であり、(2p
1+6)個のZ
40は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
40は、前記一般式「-Si(OR
40)
m-1(R
50)
4-m」で表される基であり;mは、2~4の整数であり;R
40は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、mが3以上である場合、m-1個のR
40は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
40が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよく;R
50は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、mが2である場合、2個のR
50は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個のR
50が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物(ただし、p
1が1であり、8個のZ
40がすべて式「-Si(OCH
2CH
3)
3」、式「-Si(OCH
2CH
3)
2CH
3」、又は式「-Si(OCH
2CH
3)(CH
3)
2」で表される基である化合物を除く)を提供する。
【0013】
本発明の一般式(40)で表される化合物は、前記R40が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基又は炭素数6~20のアリール基であり、mが3以上である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中のm-1個のR40は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記R50が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基又は炭素数6~20のアリール基であり、mが2である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中の2個のR50は、互いに同一でも異なっていてもよい、化合物であってもよい。
本発明の一般式(40)で表される化合物は、前記R40が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基又は炭素数6~12のアリール基であり、mが3以上である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中のm-1個のR40は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記R50が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基又は炭素数6~12のアリール基であり、mが2である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中の2個のR50は、互いに同一でも異なっていてもよい、化合物であってもよい。
また、本発明は、下記一般式(4021):
【0014】
【化5】
(式中、Z
41は、水素原子又は一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基であり、8個のZ
41は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
41は、前記一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基であり;mは、2~4の整数であり;R
41は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基又は炭素数6~12のアリール基であり、mが3以上である場合、m-1個のR
41は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
41が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよく;R
51は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基又は炭素数6~12のアリール基であり、mが2である場合、2個のR
51は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個のR
51が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物(ただし、8個のZ
41がすべて式「-Si(OCH
2CH
3)
3」、式「-Si(OCH
2CH
3)
2CH
3」、又は式「-Si(OCH
2CH
3)(CH
3)
2」で表される基である化合物を除く)を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、新規のかご型シロキサン化合物と、その製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例2で得られた本発明の化合物の
29Si-NMRデータである。
【
図2】実施例3で得られた本発明の化合物の
1H-NMRデータである。
【
図3】実施例3で得られた本発明の化合物の
29Si-NMRデータである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<化合物の製造方法>>
本発明の一実施形態に係る化合物の製造方法は、下記一般式(2):
【0018】
【化6】
(式中、p
1は0、1又は2である。)
で表される化合物(本明細書においては、「化合物(2)」と称することがある)と、下記一般式(5):
(R
4O)
nSi(R
5)
4-n (5)
(式中、nは、1~4の整数であり;R
4は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、nが2以上である場合、n個のR
4は、互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、少なくとも1個のR
4は、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、3個以上のR
4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は、少なくとも1個を除いて、相互に結合して環を形成していてもよく;R
5は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、nが2以下である場合、4-n個のR
5は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物(本明細書においては、「化合物(5)」と称することがある)と、を反応させることにより、下記一般式(4):
【0019】
【化7】
(式中、Z
4は、水素原子又は一般式「-Si(OR
4)
n-1(R
5)
4-n」で表される基であり、(2p
1+6)個のZ
4は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
4は、前記一般式「-Si(OR
4)
n-1(R
5)
4-n」で表される基であり;n、p
1、R
4及びR
5は、上記と同じであり、nが3以上である場合、n-1個のR
4は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよく、nが2以下である場合、4-n個のR
5は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物(本明細書においては、「化合物(4)」と称することがある)を得る、化合物(4)の製造方法である。
【0020】
本実施形態の製造方法によれば、かご型シロキサン化合物を製造できる。
以下、まず、目的物である化合物(4)について説明する。
【0021】
<化合物(4)>
化合物(4)は、前記一般式(4)で表される。
一般式(4)中、p1は、化合物(4)のかごのサイズを規定しており、0、1又は2である。
すなわち、p1が0である場合の化合物(4)は、下記一般式(41)で表され(本明細書においては、この化合物を「化合物(41)」と称することがある)、p1が1である場合の化合物(4)は、下記一般式(42)で表され(本明細書においては、この化合物を「化合物(42)」と称することがある)、p1が2である場合の化合物(4)は、下記一般式(43)で表される(本明細書においては、この化合物を「化合物(43)」と称することがある)。
【0022】
【0023】
すなわち、p1が0である場合の化合物(4)(化合物(41))の製造方法は、下記式(21):
【0024】
【化9】
で表される化合物と、下記一般式(5):
(R
4O)
nSi(R
5)
4-n (5)
(式中、n、R
4及びR
5は、上記と同じである。)
で表される化合物(化合物(5))と、を反応させることにより、下記一般式(41):
【0025】
【化10】
(式中、Z
4は、上記と同じである。)
で表される化合物(化合物(41))を得る、化合物(41)の製造方法である。
【0026】
また、p1が1である場合の化合物(4)(化合物(42))の製造方法は、下記式(22):
【0027】
【化11】
で表される化合物(2,4,6,8,10,12,14,16,17,18,19,20-ドデカオキサ1,3,5,7,9,11,13,15-オクタシラペンタシクロ[9.5.1.1
3,9.1
5,15.1
7,13.]イコサン1,3,5,7,9,11,13,15-オクタノール(CAS番号119558-12-2)、本明細書においては、「化合物(22)」と称することがある)と、下記一般式(5):
(R
4O)
nSi(R
5)
4-n (5)
(式中、n、R
4及びR
5は、上記と同じである。)
で表される化合物(化合物(5))と、を反応させることにより、下記一般式(42):
【0028】
【化12】
(式中、Z
4は、上記と同じである。)
で表される化合物(化合物(42))を得る、化合物(42)の製造方法である。
【0029】
また、p1が2である場合の化合物(4)(化合物(43))の製造方法は、下記式(23):
【0030】
【化13】
で表される化合物と、下記一般式(5):
(R
4O)
nSi(R
5)
4-n (5)
(式中、n、R
4及びR
5は、上記と同じである。)
で表される化合物(化合物(5))と、を反応させることにより、下記一般式(43):
【0031】
【化14】
(式中、Z
4は、上記と同じである。)
で表される化合物(化合物(43))を得る、化合物(43)の製造方法である。
【0032】
一般式(4)中、Z4は、水素原子(-H)又は一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基である。
そして、R4は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基である。
【0033】
R4における前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。
【0034】
R4における、直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、1~20であることが好ましい。
このような直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、n-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1~10であることがより好ましく、例えば、1~6、及び1~3のいずれかであってもよい。
【0035】
R4における、環状の前記アルキル基は、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
環状の前記アルキル基の炭素数は、3以上であれば特に限定されないが、3~20であることが好ましい。
環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
環状のアルキル基の炭素数は、3~15であることがより好ましく、例えば、3~10、及び3~6のいずれかであってもよいし、5~15及び5~10のいずれかであってもよい。
【0036】
R4における前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の鎖状構造と、環状構造と、が混在したものであってもよい。
このような鎖状構造と環状構造が混在した前記アルキル基としては、例えば、シクロペンチルメチル基、1-シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、1-シクロヘキシルエチル基等の、上述の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基における1個又は2個以上の水素原子が、上述の環状のアルキル基で置換された構造を有する基;メチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等の、上述の環状のアルキル基における1個又は2個以上の水素原子が、上述の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換された構造を有する基等が挙げられる。
鎖状構造と環状構造が混在した前記アルキル基の炭素数は、4以上であれば特に限定されないが、4~25であることが好ましく、例えば、6~15であってもよい。
【0037】
R4における前記アルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。
前記アルケニル基としては、例えば、上述の炭素数2以上のアルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C-C)が二重結合(C=C)で置換された構造を有する基が挙げられる。
前記アルケニル基において、炭素原子間の二重結合の位置は、特に限定されない。
【0038】
R4における、直鎖状又は分岐鎖状の前記アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2~20であることが好ましい。
このような直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基、allyl group)、3-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基の炭素数は、2~10であることがより好ましく、例えば、2~6、及び2~3のいずれかであってもよい。
【0039】
R4における、環状の前記アルケニル基は、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
環状の前記アルケニル基の炭素数は、3以上であれば特に限定されないが、3~20であることが好ましい。
環状の前記アルケニル基としては、例えば、シクロプロぺニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
環状のアルケニル基の炭素数は、3~15であることがより好ましく、例えば、3~10、及び3~6のいずれかであってもよいし、5~15及び5~10のいずれかであってもよい。
【0040】
R4における前記アルケニル基は、直鎖状又は分岐鎖状の鎖状構造と、環状構造と、が混在したものであってもよい。
鎖状構造と環状構造が混在した前記アルケニル基の炭素数は、4以上であれば特に限定されないが、4~25であることが好ましく、例えば、6~15であってもよい。
【0041】
R4における前記アリール基(aryl group)は、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
【0042】
前記アリール基の炭素数は、6~20であることが好ましく、前記アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、さらに、これらアリール基の1個又は2個以上の水素原子が、前記アリール基、又は、R4における前記アルキル基で置換された構造を有する基も挙げられる。これら置換基を有するアリール基の炭素数は、6~20であることが好ましい。
アリール基の炭素数は、6~12であることがより好ましい。
【0043】
R4における、前記アルキル基、アルケニル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
本明細書においては、R4の場合に限らず、アルキル基、アルケニル基及びアリール基が置換基を有するとは、特に断りのない限り、これらの基を構成している1個又は2個以上の水素原子が、水素原子以外の基で置換されていることを意味する。そして、本明細書において、「基」とは、特に断りのない限り、複数個の原子が結合してなる原子団だけでなく、1個の原子も包含するものとする。
【0044】
R4における前記置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;水酸基;カルボキシ基;1個のメチレン基(-CH2-)、又は2個以上の互いに隣接していないメチレン基が、酸素原子(-O-)、カルボニルオキシ基(-C(=O)-O-)、又はオキシカルボニル基(-O-C(=O)-)で置換された構造を有するアルキル基及びアリール基等が挙げられる。
【0045】
上述の「メチレン基が、酸素原子、カルボニルオキシ基、又はオキシカルボニル基で置換された構造を有するアルキル基」におけるアルキル基としては、例えば、R4における前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
【0046】
上述の「メチレン基が、酸素原子、カルボニルオキシ基、又はオキシカルボニル基で置換された構造を有するアルキル基」において、置換基(酸素原子、カルボニルオキシ基、又はオキシカルボニル基)によるメチレン基の置換位置は、特に限定されず、置換基の数は、1であってもよいし、2以上であってもよい。また、置換基の数が2以上である場合、これら置換基は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
一般式(4)中、R5は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基である。
R5における前記アルキル基、アルケニル基及びアリール基は、上述のR4におけるアルキル基、アルケニル基及びアリール基と同じである。ただし、R4におけるアルキル基、アルケニル基及びアリール基と、R5におけるアルキル基、アルケニル基及びアリール基は、それぞれ独立に設定される。
【0048】
一般式(4)中、nは、1~4の整数(1、2、3又は4)である。
nが3以上である場合、一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中のn-1個(2個又は3個)のR4は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、n-1個のR4は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同一であってもよい。
【0049】
nが2以上である場合、一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中のn-1個のR4のうち、少なくとも1個(1個、2個又は3個)は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基又はアリール基であってもよい。
【0050】
nが3以上であり、一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基において、2個以上(2個又は3個)のR4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基(アルキル基、アルケニル基又はアリール基)は相互に結合して、これら基が結合している酸素原子(O)と、前記酸素原子が結合しているケイ素原子(Si)とともに、環を形成していてもよい。
【0051】
2個以上のR4が相互に結合して形成している前記環は、環骨格を形成している原子として酸素原子及びケイ素原子を含む、脂肪族環又は芳香族環である。
前記環を形成している場合の、R4の結合位置は、特に限定されない。例えば、R4が鎖状構造を有する場合には、前記結合位置は、前記鎖状構造の末端の炭素原子であってもよいし、非末端の炭素原子であってもよい。ただし、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が前記置換基を有する場合には、前記置換基は、環を形成する場合の前記結合位置とはならない。
前記環を形成している場合の、R4の結合部位の数は、1であってもよいし、2以上であってもよい。すなわち、前記環は、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
【0052】
nが2以下である場合、一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中の4-n個(2個又は3個)のR5は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4-n個のR5は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同一であってもよい。
【0053】
nが2以下であり、一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基において、2個以上(2個又は3個)のR5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基(アルキル基、アルケニル基又はアリール基)は相互に結合して、これら基が結合しているケイ素原子(Si)とともに、環を形成していてもよい。
【0054】
2個以上のR5が相互に結合して形成している前記環は、環骨格を形成している原子としてケイ素原子を含む、含ケイ素脂肪族環又は含ケイ素芳香族環である。
前記環を形成している場合の、R5の結合位置は、特に限定されない。例えば、R5が鎖状構造を有する場合には、前記結合位置は、前記鎖状構造の末端の炭素原子であってもよいし、非末端の炭素原子であってもよい。ただし、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が前記置換基を有する場合には、前記置換基は、環を形成する場合の前記結合位置とはならない。
前記環を形成している場合の、R5の結合部位の数は、1であってもよいし、2以上であってもよい。すなわち、前記環は、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
【0055】
R4は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であることが好ましく、nが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中のn-1個(2個又は3個)のR4は、互いに同一でも異なっていてもよい。このようなR4においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0056】
R4は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、nが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中のn-1個(2個又は3個)個のR4は、互いに同一でも異なっていてもよい。このようなR4においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0057】
R5は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であることが好ましく、nが2以下(1又は2)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中の4-n個(2個又は3個)のR5は、互いに同一でも異なっていてもよい。このようなR5においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0058】
R5は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、nが2以下(1又は2)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中の4-n個(2個又は3個)のR5は、互いに同一でも異なっていてもよい。このようなR5においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0059】
R4及びR5は、いずれも上述の好ましいものであることがさらに好ましい。
さらに好ましい化合物(4)の一例としては、R4が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であり、nが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中のn-1個(2個又は3個)のR4は、互いに同一でも異なっていてもよく、R5が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であり、nが2以下(1又は2)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中の4-n個(2個又は3個)のR5は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(4)のR4及びR5においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0060】
特に好ましい化合物(4)の一例としては、R4が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であり、nが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中のn-1個(2個又は3個)個のR4は、互いに同一でも異なっていてもよく、R5が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であり、nが2以下(1又は2)である場合には、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」中の4-n個(2個又は3個)のR5は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(40)のR4及びR5においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0061】
一般式(4)中、(2p1+6)個(すなわち、p1が0の場合には6個、p1が1の場合には8個、p1が2の場合には10個)のZ4は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、(2p1+6)個のZ4は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同一であってもよい。
【0062】
ただし、一般式(4)中、すべてのZ4が水素原子であることはなく、1個又は2個以上のZ4は、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基であり、(2p1+6)個のZ4がすべて、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基であってもよい。
【0063】
一般式(4)中、1個又は2個以上のZ4が水素原子である場合(すなわち、化合物(4)が、すべてのZ4が前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基であるもの、ではない場合)、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の結合位置は、特に限定されない。
【0064】
一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基として、より具体的には、例えば、
トリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、モノアルコキシシリル基、トリアルケニルオキシシリル基、ジアルケニルオキシシリル基、モノアルケニルオキシシリル基、トリアリールオキシシリル基、ジアリールオキシシリル基、モノアリールオキシシリル基、
ジアルコキシモノアルケニルオキシシリル基、モノアルコキシジアルケニルオキシシリル基、ジアルコキシモノアリールオキシシリル基、モノアルコキシジアリールオキシシリル基、ジアルケニルオキシモノアリールオキシシリル基、モノアルケニルオキシジアリールオキシシリル基、
モノアルコキシモノアルケニルオキシシリル基、モノアルコキシモノアリールオキシシリル基、モノアルケニルオキシモノアリールオキシシリル基、
ジアルコキシモノアルキルシリル基、モノアルコキシジアルキルシリル基、モノアルコキシモノアルキルシリル基、ジアルケニルオキシモノアルキルシリル基、モノアルケニルオキシジアルキルシリル基、モノアルケニルオキシモノアルキルシリル基、ジアリールオキシモノアルキルシリル基、モノアリールオキシジアルキルシリル基、モノアリールオキシモノアルキルシリル基、
ジアルコキシモノアルケニルシリル基、モノアルコキシジアルケニルシリル基、モノアルコキシモノアルケニルシリル基、ジアルケニルオキシモノアルケニルシリル基、モノアルケニルオキシジアルケニルシリル基、モノアルケニルオキシモノアルケニルシリル基、ジアリールオキシモノアルケニルシリル基、モノアリールオキシジアルケニルシリル基、モノアリールオキシモノアルケニルシリル基、
ジアルコキシモノアリールシリル基、モノアルコキシジアリールシリル基、モノアルコキシモノアリールシリル基、ジアルケニルオキシモノアリールシリル基、モノアルケニルオキシジアリールシリル基、モノアルケニルオキシモノアリールシリル基、ジアリールオキシモノアリールシリル基、モノアリールオキシジアリールシリル基、モノアリールオキシモノアリールシリル基、
モノアルコキシモノアルケニルオキシモノアリールオキシシリル基、
トリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、モノアルキルシリル基、トリアルケニルシリル基、ジアルケニルシリル基、モノアルケニルシリル基、トリアリールシリル基、ジアリールシリル基、モノアリールシリル基、
ジアルキルモノアルケニルシリル基、モノアルキルジアルケニルシリル基、ジアルキルモノアリールシリル基、モノアルキルジアリールシリル基、ジアルケニルモノアリールシリル基、モノアルケニルジアリールシリル基、
モノアルキルモノアルケニルシリル基、モノアルキルモノアリールシリル基、モノアルケニルモノアリールシリル基、
モノアルキルモノアルケニルモノアリールシリル基、
シリル基(-SiH3)等が挙げられる。
【0065】
好ましい化合物(4)の例を以下に列挙する。ただし、化合物(4)はこれらに限定されない。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
好ましい化合物(4)の他の例としては、ここまでに列挙した化合物(4)中のアルキル基、アルケニル基又はアリール基において、1個又は2個以上の水素原子が先に説明した置換基で置換されているものも挙げられる。
【0099】
次に、原料である化合物(2)及び化合物(5)について、順次説明する。
【0100】
<化合物(2)>
化合物(2)は、前記一般式(2)で表される。
一般式(2)中のp1は、一般式(4)中のp1と同じである。
【0101】
化合物(2)は、例えば、国際公開第2018/193732号に記載の方法で製造できる。
【0102】
化合物(2)としては、その製造時における操作(例えば、洗浄条件、取り出し条件、精製条件等)を適宜選択することで、水和水を含まないものを調製できる。このような、水和水を含まない化合物(2)(例えば結晶)を用いることで、化合物(4)の収率の向上が可能な場合がある。
【0103】
化合物(2)は、溶媒成分の分子を含まないものであってもよいし、水以外の溶媒成分の分子を含むものであってもよい。前記溶媒成分としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。DMAcの分子を含む化合物(2)は、製造が容易で、かつ水和水を含まない化合物(2)として、好ましいものの一例である。
【0104】
1分子の化合物(2)が含む溶媒成分の分子数は、化合物(2)の製造時における操作条件によって、調節できる。
例えば、DMAcの分子を含む化合物(2)において、1分子の化合物(2)が含むDMAcの分子数は、例えば、1~20のいずれかであってもよいが、これは一例である。
【0105】
<化合物(5)>
化合物(5)は、前記一般式(5)で表される。
化合物(5)中のケイ素原子に結合している1個の一般式「R4O-」で表される基が取り除かれた構造を有する1価の基は、化合物(4)中のZ4における、一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基と同じである。
【0106】
一般式(5)中のn、R4及びR5は、一般式(4)中のn、R4及びR5と同じである。
【0107】
一般式(5)中、nが2以上である場合、n個(2個、3個又は4個)のR4は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、n個のR4は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同一であってもよい。
ただし、一般式(5)中、少なくとも1個(1個、2個、3個又は4個)のR4は、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である。
【0108】
化合物(5)において、3個以上(3個又は4個)のR4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基(アルキル基、アルケニル基又はアリール基)は、少なくとも1個(1個又は2個)を除いて、相互に結合して、これら基が結合している酸素原子(O)と、前記酸素原子が結合しているケイ素原子(Si)とともに、環を形成していてもよい。
すなわち、3個のR4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、2個のこれら基は、相互に結合して前記環を形成していてもよく、4個のR4が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、2個又は3個のこれら基は、相互に結合して前記環を形成していてもよい。
このときの環は、化合物(4)中の一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基において、2個以上のR4が相互に結合して形成していてもよい前記環と同じである。
【0109】
一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」の場合と同様に、化合物(5)においては、nが2以下である場合、4-n個のR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR5が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。
【0110】
化合物(5)としては、例えば、先に挙げた一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基中のケイ素原子が、アルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアリールオキシ基に結合した構造を有する化合物が挙げられる。前記アルコキシ基、アルケニルオキシ基及びアリールオキシ基はそれぞれ、R4における前記アルキル基、アルケニル基及びアリール基が酸素原子に結合した構造を有する1価の基である。
【0111】
化合物(5)として、より具体的には、例えば、
テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、モノアルコキシシラン、トリアルコキシモノアルキルシラン、ジアルコキシモノアルキルシラン、モノアルコキシモノアルキルシラン、ジアルコキシジアルキルシラン、モノアルコキシジアルキルシラン、モノアルコキシトリアルキルシラン、トリアルコキシモノアルケニルシラン、ジアルコキシモノアルケニルシラン、モノアルコキシモノアルケニルシラン、ジアルコキシジアルケニルシラン、モノアルコキシジアルケニルシラン、モノアルコキシトリアルケニルシラン、トリアルコキシモノアリールシラン、ジアルコキシモノアリールシラン、モノアルコキシモノアリールシラン、ジアルコキシジアリールシラン、モノアルコキシジアリールシラン、モノアルコキシトリアリールシラン、
テトラアルケニルオキシシラン、トリアルケニルオキシシラン、ジアルケニルオキシシラン、モノアルケニルオキシシラン、トリアルケニルオキシモノアルキルシラン、ジアルケニルオキシモノアルキルシラン、モノアルケニルオキシモノアルキルシラン、ジアルケニルオキシジアルキルシラン、モノアルケニルオキシジアルキルシラン、モノアルケニルオキシトリアルキルシラン、トリアルケニルオキシモノアルケニルシラン、ジアルケニルオキシモノアルケニルシラン、モノアルケニルオキシモノアルケニルシラン、ジアルケニルオキシジアルケニルシラン、モノアルケニルオキシジアルケニルシラン、モノアルケニルオキシトリアルケニルシラン、トリアルケニルオキシモノアリールシラン、ジアルケニルオキシモノアリールシラン、モノアルケニルオキシモノアリールシラン、ジアルケニルオキシジアリールシラン、モノアルケニルオキシジアリールシラン、
モノアルケニルオキシトリアリールシラン、
テトラアリールオキシシラン、トリアリールオキシシラン、ジアリールオキシシラン、モノアリールオキシシラン、トリアリールオキシモノアルキルシラン、ジアリールオキシモノアルキルシラン、モノアリールオキシモノアルキルシラン、ジアリールオキシジアルキルシラン、モノアリールオキシジアルキルシラン、
モノアリールオキシトリアルキルシラン、トリアリールオキシモノアルケニルシラン、ジアリールオキシモノアルケニルシラン、モノアリールオキシモノアルケニルシラン、ジアリールオキシジアルケニルシラン、モノアリールオキシジアルケニルシラン、モノアリールオキシトリアルケニルシラン、トリアリールオキシモノアリールシラン、ジアリールオキシモノアリールシラン、モノアリールオキシモノアリールシラン、ジアリールオキシジアリールシラン、モノアリールオキシジアリールシラン、モノアリールオキシトリアリールシラン、
トリアルコキシモノアルケニルオキシシラン、ジアルコキシモノアルケニルオキシシラン、モノアルコキシモノアルケニルオキシシラン、ジアルコキシジアルケニルオキシシラン、モノアルコキシトリアルケニルオキシシラン、ジアルコキシモノアルケニルオキシモノアルキルシラン、モノアルコキシモノアルケニルオキシモノアルキルシラン、モノアルコキシジアルケニルオキシモノアルキルシラン、モノアルコキシモノアルケニルオキシジアルキルシラン、ジアルコキシモノアルケニルオキシモノアルケニルシラン、モノアルコキシモノアルケニルオキシモノアルケニルシラン、モノアルコキシジアルケニルオキシモノアルケニルシラン、モノアルコキシモノアルケニルオキシジアルケニルシラン、ジアルコキシモノアルケニルオキシモノアリールシラン、モノアルコキシモノアルケニルオキシモノアリールシラン、モノアルコキシジアルケニルオキシモノアリールシラン、モノアルコキシモノアルケニルオキシジアリールシラン
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等が挙げられる。
【0112】
次に、化合物(2)と化合物(5)とを反応させる方法全般について、説明する。
【0113】
<化合物(2)と化合物(5)との反応条件>
化合物(4)は、化合物(2)と化合物(5)とを反応させることにより得られる。
反応に供する化合物(5)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、目的とする化合物(4)の構造に応じて、適宜選択すればよい。
化合物(5)を2種以上用いる場合には、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜調節できる。
【0114】
なお、本明細書においては、化合物(4)、(2)及び(5)の種類数に関する記載では、特に断りのない限り、立体異性体を考慮していない。
【0115】
化合物(5)の使用量は、目的とする化合物(4)の構造等に応じて、適宜調節できる。
例えば、化合物(5)の使用量は、目的とする化合物(4)中の、前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数に応じて、調節できる。
【0116】
例えば、p1の値によらず、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、1~2倍モル量である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が1~2個である化合物(4)が好適に得られる。
例えば、p1の値によらず、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、3~4倍モル量である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が3~4個である化合物(4)が好適に得られる。
例えば、p1の値によらず、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、5~6倍モル量である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が5~6個である化合物(4)が好適に得られる。
例えば、p1が0である場合、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、6倍モル量以上である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が6個である化合物(4)が、より高収率で得られる。
例えば、p1が1又は2である場合、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、6~8倍モル量である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が6~8個である化合物(4)が好適に得られる。
例えば、p1が1である場合、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、8倍モル量以上である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が8個である化合物(4)が、より高収率で得られる。
例えば、p1が2である場合、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、8~10倍モル量である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が8~10個である化合物(4)が好適に得られる。
例えば、p1が2である場合、化合物(5)の使用量が、化合物(2)の使用量に対して、10倍モル量以上である場合には、1分子中の前記一般式「-Si(OR4)n-1(R5)4-n」で表される基の数が10個である化合物(4)が、より高収率で得られる。
【0117】
なお、ここまでで説明した化合物(5)の使用量は、目的とする化合物(4)を効率よく、良好な収率で得るための一例であり、化合物(5)の使用量は、化合物(4)の製造条件全般を考慮して、適宜調節できる。
また、ここまでで説明した化合物(5)の使用量は、2種以上の化合物(5)を用いる場合には、用いる化合物(5)の全種類の合計使用量を意味する。
【0118】
[溶媒]
化合物(2)と化合物(5)との反応は、溶媒を用いずに行ってもよいが、溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒を用いることにより、反応液の流動性が向上し、化合物(2)と化合物(5)との反応がより円滑に進行し、副生成物の生成量も低減できる。
【0119】
前記溶媒は、化合物(2)、化合物(5)等の、反応に用いる成分との反応性を有しないものが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル(エーテル結合を有する化合物);N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;1,2-ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素(置換基としてハロゲン原子を有する炭化水素);プロピオニトリル、アセトニトリル等のニトリル(シアノ基を有する化合物);トルエン、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素等が挙げられる。
【0120】
溶媒を用いる場合、前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜調節できる。
【0121】
溶媒の使用量は、特に限定されないが、例えば、化合物(2)の使用量1mmolに対して、0~100mlであることが好ましい。溶媒の前記使用量が100ml以下であることで、溶媒の過剰使用が抑制される。
【0122】
[他の成分]
化合物(2)と化合物(5)との反応時には、本発明の効果を損なわない範囲内において、化合物(2)と、化合物(5)と、前記溶媒と、のいずれにも該当しない他の成分を用いてもよい。
前記他の成分の種類は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
【0123】
前記他の成分を用いる場合、前記他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜調節できる。
【0124】
前記他の成分を用いる場合、前記他の成分の使用量は、特に限定されず、前記他の成分の種類に応じて、任意に選択できる。
【0125】
[他の反応条件]
化合物(2)と化合物(5)との反応時における反応温度は、適宜調節すればよく、特に限定されない。
反応温度は、例えば、-35~70℃、及び-35~40℃のいずれかであってもよい。
【0126】
化合物(2)と化合物(5)との反応時における反応時間は、化合物(4)の生成量が増大するように、反応温度等、他の条件に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
反応時間は、例えば、1~168時間であることが好ましく、1~100時間であることがより好ましい。
【0127】
本実施形態においては、反応終了後、必要に応じて公知の手法によって後処理を行った後、公知の手法によって化合物(4)を取り出すことができる。
例えば、反応終了後、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、次いで、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(4)を取り出すことができる。また、取り出した化合物(4)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて、1回又は2回以上行うことによって、精製してもよい。
反応終了後に、化合物(4)を用いる他の工程を引き続き行う場合には、反応終了後に、必要に応じて公知の手法によって後処理を行った後、化合物(4)を取り出すことなく、引き続き前記他の工程を行ってもよい。
【0128】
化合物(2)と化合物(5)との反応によって、複数種の化合物(4)が生成している場合、上述の後処理操作及び精製操作のいずれか一方又は両方を、適宜選択して行うことにより、目的とする化合物(4)を得られる。複数種の化合物(4)が生成していても、化合物(4)の構造からその特性を推測できるため、その特性に適した後処理操作又は精製操作を選択することにより、目的とする化合物(4)の収率を向上させることができる。
また、化合物(5)の使用量、その他の反応条件等を調節することで、目的とする化合物(4)の生成率を向上させることによって、化合物(4)の収率を向上させることができる。
【0129】
化合物(4)の構造は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)、紫外・可視分光法(UV-VIS吸収スペクトル)、元素分析法等の公知の手法によって、確認できる。
【0130】
<<化合物>>
本発明の一実施形態に係る化合物は、下記一般式(40):
【0131】
【化47】
(式中、p
1は0、1又は2であり;Z
40は、水素原子又は一般式「-Si(OR
40)
m-1(R
50)
4-m」で表される基であり、(2p
1+6)個のZ
40は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
40は、前記一般式「-Si(OR
40)
m-1(R
50)
4-m」で表される基であり;mは、2~4の整数であり;R
40は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、mが3以上である場合、m-1個のR
40は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
40が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよく;R
50は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基であり、mが2である場合、2個のR
50は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個のR
50が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物(ただし、p
1が1であり、8個のZ
40がすべて式「-Si(OCH
2CH
3)
3」、式「-Si(OCH
2CH
3)
2CH
3」、又は式「-Si(OCH
2CH
3)(CH
3)
2」で表される基である化合物を除く)。
【0132】
本実施形態の化合物(本明細書においては、「化合物(40)」と称することがある)は、機能性ケイ素材料として利用可能であり、有用性が高い。
【0133】
一般式(40)中、p1は、化合物(40)のかごのサイズを規定しており、0、1又は2である。
一般式(40)中のp1は、先に説明した一般式(4)中のp1と同じである。
【0134】
化合物(40)は、p1が1であり、8個のZ40がすべて式「-Si(OCH2CH3)3」で表される基である化合物と、p1が1であり、8個のZ40がすべて式「-Si(OCH2CH3)2CH3」で表される基である化合物と、p1が1であり、8個のZ40がすべて式「-Si(OCH2CH3)(CH3)2」で表される基である化合物と、を含まず、一般式「-OR40」で表される基を必ず有する点を除けば、先に説明した化合物(4)と同じである。
すなわち、p1が0である場合の化合物(40)は、下記一般式(401)で表され、p1が1である場合の化合物(40)は、下記一般式(402)で表され、p1が2である場合の化合物(40)は、下記一般式(403)で表される。
【0135】
【化48】
(式中、Z
40は、上記と同じである。)
【0136】
一般式(40)中のZ40は、「p1が1である場合に、8個のZ40がすべて式「-Si(OCH2CH3)3」で表される基とはならない」、「p1が1である場合に、8個のZ40がすべて式「-Si(OCH2CH3)2CH3」で表される基とはならない」、及び「p1が1である場合に、8個のZ40がすべて式「-Si(OCH2CH3)(CH3)2」で表される基とはならない」、「一般式「-OR40」で表される基を必ず有する」というすべての条件を満たす点を除けば、先に説明した一般式(4)中のZ4と同じである。
例えば、一般式(40)中、(2p1+6)個のZ40は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ40は、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」で表される基である。
【0137】
一般式(40)中のR40は、先に説明した一般式(4)中のR4と同じである。
例えば、2個以上(2個又は3個)のR40が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基(アルキル基、アルケニル基又はアリール基)は、これら基が結合している酸素原子(O)と、前記酸素原子が結合しているケイ素原子(Si)とともに、環を形成していてもよい。
【0138】
一般式(40)中のR50は、先に説明した一般式(4)中のR5と同じである。
例えば、2個のR50が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基(アルキル基、アルケニル基又はアリール基)は相互に結合して、これら基が結合しているケイ素原子(Si)とともに、環を形成していてもよい。
【0139】
好ましい化合物(40)の一例としては、R40が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であり、mが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中のm-1個(2個又は3個)のR40は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(40)のR40においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0140】
より好ましい化合物(40)の一例としては、R40が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であり、mが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中のm-1個(2個又は3個)個のR40は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(40)のR40においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0141】
また、好ましい化合物(40)の一例としては、R50が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であり、mが2である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中の2個のR50は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(40)のR50においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0142】
また、より好ましい化合物(40)の一例としては、R50が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であり、mが2である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中の2個のR50は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(40)のR50においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0143】
R40及びR50は、いずれも上述の好ましいものであることがさらに好ましい。
さらに好ましい化合物(40)の一例としては、R40が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であり、mが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中のm-1個(2個又は3個)のR40は、互いに同一でも異なっていてもよく、R50が、水素原子、炭素数1~20のアルキル基(炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基)、炭素数2~20のアルケニル基(炭素数2~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~20の環状のアルケニル基)又は炭素数6~20のアリール基であり、mが2である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中の2個のR50は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(40)のR40及びR50においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0144】
特に好ましい化合物(40)の一例としては、R40が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であり、mが3以上(3又は4)である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中のm-1個(2個又は3個)個のR40は、互いに同一でも異なっていてもよく、R50が、水素原子、炭素数1~6のアルキル基(炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数3~6の環状のアルキル基)、炭素数2~6のアルケニル基(炭素数2~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素数3~6の環状のアルケニル基)又は炭素数6~12のアリール基であり、mが2である場合には、前記一般式「-Si(OR40)m-1(R50)4-m」中の2個のR50は、互いに同一でも異なっていてもよい、ものが挙げられる。このような化合物(40)のR40及びR50においては、前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基が置換基を有していてもよい。
【0145】
特に好ましい化合物(40)の一例としては、p1が0である場合の、下記一般式(4011):
【0146】
【化49】
(式中、Z
41は、水素原子又は一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基であり、6個のZ
41は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
41は、前記一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基であり;mは、2~4の整数であり;R
41は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基又は炭素数6~12のアリール基であり、mが3以上である場合、m-1個のR
41は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上のR
41が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよく;R
51は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基又は炭素数6~12のアリール基であり、mが2である場合、2個のR
51は、互いに同一でも異なっていてもよく、2個のR
51が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基は相互に結合して環を形成していてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
【0147】
一般式(4011)中のR41は、アルキル基、アルケニル基及びアリール基において、それぞれ炭素数が限定されている点と、それぞれ置換基を有しない点と、を除けば、先に説明した一般式(4)中のR4と同じである。
例えば、2個以上(2個又は3個)のR41が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基(アルキル基、アルケニル基又はアリール基)は、これら基が結合している酸素原子(O)と、前記酸素原子が結合しているケイ素原子(Si)とともに、環を形成していてもよい。
【0148】
一般式(4011)中のR51は、アルキル基、アルケニル基及びアリール基において、それぞれ炭素数が限定されている点と、それぞれ置換基を有しない点と、を除けば、先に説明した一般式(4)中のR5と同じである。
例えば、2個のR51が前記アルキル基、アルケニル基又はアリール基である場合、これら基(アルキル基、アルケニル基又はアリール基)は相互に結合して、これら基が結合しているケイ素原子(Si)とともに、環を形成していてもよい。
【0149】
一般式(4011)中のZ41は、アルキル基、アルケニル基及びアリール基において、それぞれ炭素数が限定されている点と、それぞれ置換基を有しない点と、を除けば、先に説明した一般式(4)中のZ4と同じである。
【0150】
また、特に好ましい化合物(40)の他の例としては、p1が1である場合の、下記一般式(4021):
【0151】
【化50】
(式中、Z
41は、上記と同じであり、8個のZ
41は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
41は、前記一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基である。)
で表される化合物(ただし、8個のZ
41がすべて式「-Si(OCH
2CH
3)
3」、式「-Si(OCH
2CH
3)
2CH
3」、又は式「-Si(OCH
2CH
3)(CH
3)
2」で表される基である化合物を除く)が挙げられる。
【0152】
また、特に好ましい化合物(40)の他の例としては、p1が2である場合の、下記一般式(4031):
【0153】
【化51】
(式中、Z
41は、上記と同じであり、10個のZ
41は互いに同一でも異なっていてもよく、ただし、1個又は2個以上のZ
41は、前記一般式「-Si(OR
41)
m-1(R
51)
4-m」で表される基である。)
で表される化合物が挙げられる。
【0154】
好ましい化合物(40)の例としては、先に列挙した好ましい化合物(4)と同じものが挙げられる。
【0155】
化合物(40)は、先に説明した、本発明の一実施形態に係る化合物の製造方法によって製造できる。ただし、化合物(5)としては、nが2~4の整数であるものを用いる。
【実施例】
【0156】
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
【0157】
本実施例で用いている略称の意味を以下に示す。
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
Me:メチル基
Et:エチル基
【0158】
以下に示す化合物(4)の収率は、化合物(2)を基準としている。
以下において、「mmol」は「10-3モル」を示す。
以下においては、化合物(4)、化合物(2)の個々の化合物の名称を、これら化合物を表す式に付した符号を用いて決定している。例えば、後述する「式(4021)-1で表される化合物」は、「化合物(4021)-1」と称する。
【0159】
<<化合物(4)の製造>>
[実施例1]
化合物(2)として、DMAcを含む混合結晶である化合物(22)-4を用い、化合物(4)として化合物(4021)-1を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
化合物(22)-4(0.025mmol、37.6mg)をDMF(1ml)に溶解させ、得られた溶液を-30℃で90分冷却した。
トリエトキシシラン(329mg、2.00mmol)をDMF(1ml)に溶解させた溶液を調製し、このトリエトキシシランのDMF溶液を、上記で得られた冷却後の化合物(22)-4のDMF溶液中に、室温下で滴下した後、2時間撹拌することで、無色透明溶液を得た。この無色透明溶液の各種NMRスペクトルから、化合物(4021)-1(組成式:Si16O36C32H88、「Si8O12[OSi(OEt)2H]8」)が生成していることを確認した。
この無色透明溶液を、その体積が約半分(重量1g)となるまで濃縮することで、過剰量の原料を除き、DMAcを含む化合物(4021)-1のDMF溶液を得た(収率69%)。
得られた化合物(4021)-1のNMRデータを以下に示す。
【0160】
1H-NMR(DMF-d7):1.42ppm、4.07ppm、4.46ppm.
13C-NMR(DMF-d7):21.8ppm、59.1ppm.
29Si-NMR(DMF-d7):-67.9ppm、-110.2ppm.
【0161】
【0162】
[実施例2]
化合物(2)として、DMAcを含む混合結晶である化合物(22)-5を用い、化合物(4)として化合物(4021)-2を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
化合物(22)-5(0.01mmol、16.6mg)をDMF(0.3ml)に室温下で溶解させた。
テトラメトキシシラン(152mg、1.00mmol)を、上記で得られた化合物(22)-5のDMF溶液中に、室温下で滴下した後、そのまま室温下で撹拌した。この後、反応液の各種NMRスペクトルを、撹拌時間ごとに測定し、その測定データから、最終的に4日間撹拌した段階で、化合物(4021)-2(Si
8O
12[OSi(OMe)
3]
8)の生成反応が完結していることを確認した(NMR収率:94%)。このとき得られた化合物(4021)-2の
29Si-NMRデータを
図1に示す。
図1には、撹拌時間が6時間、1日、2日、3日及び4日の段階でのNMRデータを示している。
【0163】
【0164】
[実施例3]
化合物(2)として、DMAcを含む混合結晶である化合物(22)-4を用い、化合物(4)として化合物(4021)-3を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
化合物(22)-4(0.025mmol、37.6mg)をDMF(1ml)に溶解させ、得られた溶液を-30℃で90分冷却した。
ジエトキシメチルシラン(269mg、2.00mmol)をDMF(1ml)に溶解させた溶液を調製し、このジエトキシメチルシランのDMF溶液を、上記で得られた冷却後の化合物(22)-1のDMF溶液中に、室温下で滴下した後、2時間撹拌することで、無色透明溶液を得た。この無色透明溶液の各種NMRスペクトルから、化合物(4021)-3(Si
8O
12[OSi(OEt)
2MeH]
8)が生成していることを確認した。
得られた無色透明溶液に対して、これ以上の単離操作は行わず、DMAcを含む化合物(4021)-3のDMF溶液を得た(収率85%)。
得られた化合物(4021)-3のNMRデータを
図2~
図3に示す。化合物(4021)-3は、式「Q
8[SiHMe(OEt)]
8」と表すことができ、
図3中の「Q骨格」とは、この式中のQを意味する。
【0165】
【0166】
[実施例4]
化合物(2)として、DMAcを含む混合結晶である化合物(22)-6を用い、化合物(4)として化合物(4021)-4を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
化合物(22)-6(1.00mmol、1.73g)をDMF(10ml)に室温で溶解させた。
ビニルトリメトキシシラン(4.86g、32.8mmol)を上記で得られた化合物(22)-6のDMF溶液中に、室温下で滴下した後、60℃で6時間撹拌することで、無色透明溶液を得た。この無色透明溶液の各種NMRスペクトルから、化合物(4021)-4(Si8O12[OSi(CH=CH2)(OMe)2]8)が生成していることを確認した。
上記で得られた無色透明溶液から、過剰量の原料と溶媒を留去することで、白色粉末を得た。
さらに、この白色粉末をヘキサンで洗浄することで精製し、化合物(4021)-4の白色粉末を得た(収量836mg、収率56%)。
得られた化合物(4021)-4のNMRデータを以下に示す。
【0167】
1H-NMR(CD3CN):3.52ppm、5.88ppm、6.01ppm、6.15ppm.
13C-NMR(CD3CN):51.0ppm、128.9ppm、138.6ppm.
29Si-NMR(CD3CN):-63.1ppm、-110.2ppm.
【0168】
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、機能性ケイ素材料又はその中間体として、さらに、これらの製造方法として、利用可能である。