(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】プラズマ均一性を制御するための複数の無線周波数メッシュを有する静電チャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231004BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231004BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2020544409
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 US2019020001
(87)【国際公開番号】W WO2019169102
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-21
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド フォース, エドワード ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ベック, ジョンフン
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-505362(JP,A)
【文献】特開2008-244063(JP,A)
【文献】特開2011-228436(JP,A)
【文献】特表2010-532099(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073554(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0164834(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0253672(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0236492(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0071938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバであって、
第1電極と前記第1電極の周囲を取り囲んでいる第2電極とを有する、前記チャンバ内に配置されたペデスタル、
前記第1電極と前記第2電極の両方に連結された、高周波電源及び低周波電源、
前記高周波電源及び前記低周波電源と前記第1電極及び前記第2電極との間に配置された電力スプリッタ、並びに、
前記第1電極と前記第2電極の両方に連結された電極チューニング回路を備え
、
前記電極チューニング回路が複数の並列LC回路を備える、半導体処理チャンバ。
【請求項2】
前記電極チューニング回路が複数のキャパシタを備える、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項3】
前記複数のキャパシタのうちの少なくとも1つが可変キャパシタを含む、請求項2に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項4】
前記第1電極と前記第2電極の各々にセンサが連結される、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項5】
半導体処理チャンバであって、
第1電極と前記第1電極の周囲を取り囲んでいる第2電極とを有する、前記チャンバ内に配置されたペデスタル、
前記第1電極と前記第2電極の両方に連結された、高周波電源及び低周波電源、
前記高周波電源及び前記低周波電源と前記第1電極及び前記第2電極との間に配置された電力スプリッタ、並びに、
前記第1電極と前記第2電極の両方に連結された電極チューニング回路を備え、
前記電極チューニング回路が、複数のキャパシタと1つのインダクタとを備え、
前記複数のキャパシタのうちの1つが前記高周波電源に直接連結され、前記インダクタが前記低周波電源に直接連結される
、半導体処理チャンバ。
【請求項6】
半導体処理チャンバであって、
第1電極と前記第1電極の周囲を取り囲んでいる第2電極とを有する、前記チャンバ内に配置されたペデスタル、
前記第1電極と前記第2電極の両方に連結された、高周波電源及び低周波電源、
前記高周波電源及び前記低周波電源と前記第1電極及び前記第2電極との間に配置された電力スプリッタ、並びに、
前記第1電極と前記第2電極の両方に連結された電極チューニング回路を備え、
前記第2電極が前記第1電極と部分的に重なる
、半導体処理チャンバ。
【請求項7】
チャンバ内のプラズマをチューニングするための方法であって、
基板支持アセンブリに埋め込まれた第1電極に、第1無線周波数電力を提供することであって、前記基板支持アセンブリが、前記チャンバ内に、シャワーヘッドに隣接して配置されている、第1無線周波数電力を提供することと、
前記基板支持アセンブリ内の、前記第1電極とは異なる場所に埋め込まれた第2電極に、第2無線周波数電力を提供することであって、
前記第2電極が前記第1電極の周囲を取り囲んで
おり、
前記第1無線周波数電力及び前記第2無線周波数電力は、前記第1電極及び前記第2電極の両方に連結された電極チューニング回路を通じて前記第1電極及び前記第2電極に提供されており、
前記電極チューニング回路が複数の並列LC回路を備える、
第2無線周波数電力を提供することと、
前記第1無線周波数電力及び前記第2無線周波数電力のパラメータをモニタすることと、
モニタされた前記パラメータに基づいて前記プラズマをチューニングすることとを含む、方法。
【請求項8】
前記第1無線周波数電力は第1電源によって提供され、前記第2無線周波数電力は第2電源によって提供される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
チャンバ内のプラズマをチューニングするための方法であって、
基板支持アセンブリに埋め込まれた第1電極に、第1無線周波数電力を提供することであって、前記基板支持アセンブリが、前記チャンバ内に、シャワーヘッドに隣接して配置されている、第1無線周波数電力を提供することと、
前記基板支持アセンブリ内の、前記第1電極とは異なる場所に埋め込まれた第2電極に、第2無線周波数電力を提供することであって、前記第2電極が前記第1電極の周囲を取り囲んでいる、第2無線周波数電力を提供することと、
前記第1無線周波数電力及び前記第2無線周波数電力のパラメータをモニタすることと、
モニタされた前記パラメータに基づいて前記プラズマをチューニングすることとを含み、
前記第1電極が前記第2電極の下に配置される
、方法。
【請求項10】
チャンバ内のプラズマをチューニングするための方法であって、
基板支持アセンブリに埋め込まれた第1電極に、第1無線周波数電力を提供することであって、前記基板支持アセンブリが、前記チャンバ内に、シャワーヘッドに隣接して配置されている、第1無線周波数電力を提供することと、
前記基板支持アセンブリ内の、前記第1電極とは異なる場所に埋め込まれた第2電極に、第2無線周波数電力を提供することであって、前記第2電極が前記第1電極の周囲を取り囲んでいる、第2無線周波数電力を提供することと、
前記第1無線周波数電力及び前記第2無線周波数電力のパラメータをモニタすることと、
モニタされた前記パラメータに基づいて前記プラズマをチューニングすることとを含み、前記第2電極が前記第1電極と部分的に重なる
、方法。
【請求項11】
前記チューニングすることが、前記第1電極と前記第2電極
に提供される無線周波数電力の一方又は両方をチューニングすることを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項12】
前記シャワーヘッドが電気的に接地されている、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1電極と前記第2電極の一方又は両方が接地電極である場合、前記チューニングすることが、前記第1電極と前記第2電極の一方又は両方をチューニングすることを含む、請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術分野
[0001]本書で開示されている実施形態は、概して、半導体基板製造プロセスにおいてプラズマをチューニングするための装置及び方法に関し、より具体的には、半導体基板のエッジの近傍でプラズマをチューニングするための装置及び方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]集積回路及びその他の電子デバイスの製造において、プラズマプロセスは、様々な材料層の堆積又はエッチングのために使用されることが多い。プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスは、電磁エネルギーを少なくとも1つの前駆体ガス又は前駆体蒸気に印加して前駆体を反応性プラズマに変換する、化学プロセスである。プラズマは、処理チャンバの内部で(すなわち処理インシトゥ(その場)で)、又は処理チャンバから遠隔に配置されている遠隔プラズマ生成器内で、生成されうる。このプロセスは、基板上に材料を堆積させて、高品質かつ高性能な半導体デバイスを製造するために、広範に使用されている。
【0003】
[0003]現在の半導体製造産業においては、フィーチャサイズが縮小し続けるにつれて、トランジスタ構造物は、ますます複雑かつ製造困難になってきている。処理需要に応じる上で、最先端の処理制御技法は、コストを制御し、基板及びダイの歩留まりを最大化するのに有用である。通常、基板のエッジにあるダイは、歩留まり問題(例えば、コンタクトとビアとの位置不整合やハードマスクに対する選択性の不足)を招くものである。基板処理レベルでは、微細な局所的プロセスチューニングのみならず、基板全体における大域的処理のチューニングを可能にするために、プロセス均一性の制御における進歩が必要とされている。
【0004】
[0004]したがって、基板のエッジにおける微細な局所的プロセスチューニングを可能にするための方法及び装置が、必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本書で開示されている実施形態は概して、基板エッジの近傍でプラズマをチューニングするための装置及び方法に関する。一実施形態では、チャンバ内のプラズマをチューニングするための方法が開示される。この方法は、基板支持アセンブリに埋め込まれた中央電極に、第1無線周波数電力を提供することと、基板支持アセンブリ内の、中央電極とは異なる場所に埋め込まれた環状電極に、第2無線周波数電力を提供することであって、環状電極が、中央電極から離間しており、かつ中央電極の周囲を取り囲んでいる、第2無線周波数電力を提供することと、第1無線周波数電力及び第2無線周波数電力のパラメータをモニタすることと、モニタされたパラメータに基づいて、第1無線周波数電力と第2無線周波数電力の一方又は両方を調整することとを、含む。
【0006】
[0006]別の実施形態では、半導体処理チャンバが開示される。この半導体処理チャンバは、第1電極と第1電極の周囲を取り囲んでいる第2電極とを有する、チャンバ内に配置されたペデスタル、第1電極と第2電極の両方に連結された、高周波電源及び低周波電源、高周波電源及び低周波電源と第1電極及び第2電極との間に配置された電力スプリッタ、並びに、第1電極と第2電極の両方に連結された、電極チューニング回路を、含む。
【0007】
[0007]上述した本開示の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。一部の実施形態は、付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、付随する図面は、この開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]本開示の一態様による処理チャンバの断面図を示す。
【
図2】[0009]本開示の一態様による基板アセンブリの上面図を示す。
【
図3】[0010]本開示の一態様による基板アセンブリの部分透視図を示す
【
図4】[0011]
図1の処理チャンバと共に利用されうる電力フィルタの一実施形態の概略図である。
【
図5】[0012]
図1の処理チャンバと共に利用されうる電力フィルタの別の実施形態の概略図である。
【
図6A-6D】[0013]第1ペデスタル電極及び第2ペデスタル電極をチューニングするためのチューニング回路の様々な実施形態を示す概略図である。
【
図7】[0014]本書に記載の電力フィルタと共に使用されうる電力分配回路が描かれた概略図である。
【
図8A-8C】[0014]本書に記載の電力フィルタと共に使用されうる様々な電力分配回路が描かれた概略図である。
【
図9】[0015]ペデスタルのステム内のロッドによってインダクタンスを打ち消す(counter)よう構成された回路が描かれた概略図である。
【
図10】[0016]別の実施形態による電力分割器回路が描かれている概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0017]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。1つの実施形態で開示している要素は、具体的な記述がなくとも、他の実施形態で有益に利用されうると想定される。
【0010】
[0018]本開示は概して、基板エッジの近傍でプラズマシースを制御するための方法及び装置に関する。本開示は、静電チャックとしても機能する基板支持体又はペデスタルに埋め込まれた1を上回る数のメッシュへのRF電力の分配を調整するための、無線周波数(RF)回路及び方法を提供する。本書に記載の方法及び装置は、埋め込まれたメッシュがRF電力源(例えば電力供給される一又は複数の電極)であろうとなかろうと、又は、メッシュがRF電力の供給先(例えば一又は複数の接地電極)であろうとなかろうと、適用される。本書で開示されている実施形態により、基板の上方のプラズマプロファイル均一性の変調(modulation)が可能になる。プラズマ分布の変更は、基板上の膜パラメータ(例えば堆積速度、膜応力、屈折率、更にそれ以外のパラメータ)の均一性の向上につながる。
【0011】
[0019]プラズマを変調させるための従来型のプラズマ制御技法は、上部チューナと底部チューナとを含むが、これらのチューナは、基板のエッジにおけるプラズマ特性を、基板のそれ以外の部分と比べて弱くしか修正しない。この開示は、基板エッジにおけるプラズマプロファイルに影響を与えると共に、エッジ以外の基板の領域にも影響を与える、チューニング素子を提供する。基板のエッジにおいてプラズマを変調させための既存のアプローチは、種々のプロセスキット又はエッジリングを伴うものであった。しかし、これらは一般にプロセス固有のものであり、同一チャンバ内で1を上回る数の膜(例えば酸化ケイ素と窒化ケイ素)が堆積される場合、ハードウェアの同一のセットを使用して両方のプロセスで均一性を最適化することは、困難でありうる。本開示は、ハードウェアを変更せずにプラズマプロファイルを変更する能力を提供する。
【0012】
[0020]本開示は、複数のメッシュが内部に埋め込まれたペデスタルを提供する。メッシュのうちの1つは、表面上に基板をチャックするためのチャック電極として機能する。種々のメッシュへのRF電力又は種々のメッシュセグメントへのRF電力を、制御及び/又は調整するために、電圧分割器が利用される。電圧分割は、容量性電圧分割器、直列分割共振器、又は並列分割共振器を用いて行われる。回路内の可変素子はキャパシタであるが、共振ベースの分割器は、電力分割を変調するために、固定回路素子を使用すること、及び可変周波数生成器を用いることが可能である。分割器に続く種々の脚部は、1つの周波数をブロックして別の周波数を通過させることと、ペデスタル構成に固有の後続の回路素子を補償することのいずれかのために、追加のフィルタリング素子を要することがある。電力分割ハードウェアは、埋め込まれたメッシュがRF電力源(例えば一又は複数の電極)であろうとなかろうと、又は、メッシュがRF電力の供給先(例えば接地)であろうとなかろうと、適用される。
【0013】
[0021]
図1は、本開示の一態様による処理チャンバ100の断面図である。図示しているように、処理チャンバ100は、基板(例えば基板125)をエッチングするのに適したエッチングチャンバである。本開示の例示的な態様から受益するよう適合しうる処理チャンバの例は、カリフォルニア州Santa Claraに所在するApplied Materials, Inc.から市販されている、Producer(登録商標) Etch Processing Chamber、及びPrecision(商標) Processing Chamberである。その他の処理チャンバ(その他の製造業者によるものを含む)も本開示の態様から受益するよう適合しうると、想定される。
【0014】
[0022]処理チャンバ100は、様々なプラズマプロセスに使用されうる。一態様では、処理チャンバ100は、一又は複数のエッチング剤を用いる乾式エッチングを実施するために使用されうる。例えば、処理チャンバは、前駆体CxFy(x及びyは既知の化合物を表わす)、O2、NF3、又はこれらの組み合わせからプラズマを点火するために使用されうる。別の実行形態では、処理チャンバ100は、一又は複数の前駆体を用いるプラズマ化学気相堆積(PECVD)に使用されうる。
【0015】
[0023]処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、リッドアセンブリ106と、ペデスタル104とを含む。リッドアセンブリ106はチャンバ本体102の上端に配置される。ペデスタル104がチャンバ本体102の内部に配置され、リッドアセンブリ106は、チャンバ本体102に連結され、処理空間120内にペデスタル104を封入する。チャンバ本体102はその側壁に形成された移送ポート126を含み、移送ポート126はスリットバルブを含みうる。移送ポート126は選択的に開閉されて、基板移送のための基板ハンドリングロボット(図示せず)による処理空間120へのアクセスを可能にする。
【0016】
[0024]電極108が、リッドアセンブリ106の一部として設けられる。電極108は、処理空間120内にプロセスガスを受け入れるための複数の開口118を有する、ガス分配プレート112としても機能しうる。プロセスガスは、導管114を介して処理チャンバ100に供給されてよく、開口118を通って流れる前に、ガス混合領域116に入ることもある。電極108は電力源142(RF生成器など)に連結される。DC電力、パルスDC電力、及びパルスRF電力も使用されうる。セラミック又は金属酸化物(例えば酸化アルミニウム及び/若しくは窒化アルミニウム)といった誘電体材料でありうるアイソレータ110が、電極108に接触し、電極108を、チャンバ本体102から電気的及び熱的に分離する。ガス分配プレート112に連結されたヒータ119も図示されている。ヒータ119はAC電源121に連結される。
【0017】
[0025]ペデスタル104は、チャンバ本体102の底面を通って延在するシャフト144を通じて、リフト機構に連結される。リフト機構は、シャフト144の周囲からの真空漏れを防止するベローズによって、チャンバ本体102にフレキシブルに密封されうる。リフト機構により、基板125を電極108の近位に配置するために、基板支持体180を、チャンバ本体102内で、移送位置といくつかのプロセス位置との間で垂直に移動させることが可能になる。
【0018】
[0026]ペデスタル104は、金属又はセラミックの材料(例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は酸化アルミニウム/窒化アルミニウムの混合物といった、金属酸化物又は金属窒化物又は金属酸化物/金属窒化物の混合物)から形成されうる。ペデスタル104には、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124とが設けられる。第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124は、ペデスタル104内に埋め込まれても、又はペデスタル104の表面に連結されてもよい。第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124は、プレート、穿孔プレート、メッシュ、ワイヤスクリーン、又は他の任意の分散構成(distributed arrangement)でありうる。第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の一方又は両方は、チューニング電極であってよく、かつ、ペデスタル104のシャフト144内に配置された導管146(例えば、50Ωなどの選択された電気抵抗を有するケーブル)によってチューニング回路136に連結されうる。チューニング回路136は、センサ138と電子コントローラ140とを有してよく、電子コントローラ140は可変キャパシタでありうる。センサ138は、電圧センサ又は電流センサであってよく、かつ、処理空間120内のプラズマ条件に対する更なる制御を提供するために、電子コントローラ140に連結されうる。第1ペデスタル電極122はチャック電極であってもよい。
【0019】
[0027]第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124は、電源150に連結される。電源150は、例示的には、ある周波数(例えば約13.56MHz)で最大約1000W(ただし約1000Wに限定されるわけではない)のRFエネルギーのソースでありうるが、特定の応用に望ましいその他の周波数及び電力が提供されることもある。電源150は、複数の周波数(13.56MHzと2MHzなど)でAC電力を発生させることが可能でありうる。電源150は、基板125をチャックするために利用されうる、連続DC電力とパルスDC電力のいずれか又は両方を発生させることもある。電源150と第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124との間に連結された、メッシュチューナ148も図示されている。
【0020】
[0028]RFマッチ152が、第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124と電源150の各々に連結される。RFマッチ152は電力スプリッタ154を含む。RFマッチ152とメッシュチューナ148の一方又は両方は、第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124への電力を制御するための電力フィルタ(後述する)を備える。
【0021】
[0029]
図2は、本開示の一態様によるペデスタル104の上面図を示している。ペデスタル104は複数の電極を含む。第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124は、メッシュ又はワイヤスクリーンである。第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124は、アルミニウム又は銅、又はその他の導電性金属若しくは導電性材料から形成されうる。
【0022】
[0030]一実行形態では、第2ペデスタル電極124は、第1ペデスタル電極122よりも大きな表面積を有する。一実行形態では、第2ペデスタル電極124は、第1ペデスタル電極122よりも大きな直径を有する。第2ペデスタル電極124は、第1ペデスタル電極122を取り囲んでいることがある。一実行形態では、第1ペデスタル電極122は、第1RF電極として機能しつつ、チャック電極としても機能しうる。第2ペデスタル電極124は、第1ペデスタル電極122と共にプラズマをチューニングする、第2RF電極でありうる。第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124は、同じ周波数で、又は異なる周波数で、電力を印加しうる。プラズマをチューニングするために、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の一方又は両方へのRF電力が変更されうる。例えば、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の一方又は両方からのRFエネルギーをモニタするために、センサ(図示せず)が使用されうる。センサデバイスからのデータは、第1ペデスタル電極122のRF電源及び/又は第2ペデスタル電極124のRF電源に印加される電力を変化させるために、通信され、利用されうる。
【0023】
[0031]
図3は、この開示の一態様によるペデスタル104の部分透視図を示している。この実行形態では、第2ペデスタル電極124は、基板125に隣接して、ペデスタル104の内部に横方向に配置される。第2ペデスタル電極124は、基板125により近い、第1ペデスタル電極122の上方に配置される。
【0024】
[0032]
図4は、
図1の処理チャンバ100と共に利用されうる電力フィルタ400の一実施形態の概略図である。この実施形態では、処理チャンバのためのRF電力は底部から提供される。例えば、ガス分配プレート112は接地され、プラズマ形成のためのRF電力は、第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124によって提供される。
【0025】
[0033]電力フィルタ400は、電力スプリッタとして機能しうるメッシュチューナ148を含む。電力フィルタ400は、第1回路405と第2回路410とを含む。第1回路405と第2回路410の両方が、電源150と第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124との間に配置される。この実施形態では、電源150は、高周波RF生成器415と低周波生成器420とを含む。
【0026】
[0034]第1回路405は、低周波生成器420とフィルタメインリード線430との間に連結された、インダクタ425を含む。フィルタメインリード線430は、高周波RF生成器415と低周波生成器420の両方、及び、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の各々に連結される。フィルタメインリード線430は高周波RF生成器415にも連結されており、第1キャパシタ435がそれらの間に配置される。高周波RF生成器415は、フィルタメインリード線430及び第2回路410に連結される。低周波生成器420及び第1回路405は、インダクタ425によって、フィルタメインリード線430に連結される。
【0027】
[0035]第2回路410は、第2キャパシタ440及び第3キャパシタ445を含む。第3キャパシタ445は可変キャパシタである。第3キャパシタ445はチューニングノブとして機能する。第1回路405及び第2回路410は、フィルタメインリード線430によって、第1ペデスタル電極122に連結される。第1回路405及び第2回路410は、ノード450において、第2ペデスタル電極124に連結される。第2回路410は、ノード452において、フィルタメインリード線430にも連結される。フィルタメインリード線430は、ロッド455によって、第1ペデスタル電極122に連結される。第2ペデスタル電極124は、ロッド460によって、電力フィルタ400に連結される。ロッド455とロッド460の両方が、シャフト144内に配置される。
【0028】
[0036]
図5は、
図1の処理チャンバ100と共に利用されうる電力フィルタ500の別の実施形態の概略図である。この実施形態では、処理チャンバのためのRF電力は上部から提供される。例えば、ガス分配プレート112は、RFマッチ152によって、高周波RF生成器415及び低周波生成器420に連結される。この実施形態では、電力フィルタ500は、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の両方の接地経路を変化させるために利用される。電力フィルタ500が、接地経路を変化させることによって第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124のプラズマ特性を変化させるために使用されうる一方、ガス分配プレート112は電気的に浮遊状態でありうる。
【0029】
[0037]この実施形態による電力フィルタ500は、第1キャパシタ505と、第2キャパシタ510と、第3キャパシタ515とを含む。第1キャパシタ505及び第2キャパシタ510は可変キャパシタである一方、第3キャパシタ515は固定キャパシタである。第1キャパシタ505及び第2キャパシタ510は、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の一方又は両方の接地経路を変化させるチューニングノブとして、利用されうる。
【0030】
[0038]電力フィルタ500は、第1キャパシタ505とフィルタメインリード線430とを備える、第1回路520を含む。フィルタメインリード線430は、ロッド455によって、第1ペデスタル電極122に連結される。第1キャパシタ505は接地に連結される。電力フィルタ500は、第2キャパシタ510と第3キャパシタ515とを含む、第2回路525も含む。第2回路525は、ノード450及びロッド460によって、第2ペデスタル電極124に連結される。第2回路525は、ノード452において、フィルタメインリード線430にも連結される。
【0031】
[0039]
図6A-6Dは、第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124をチューニングするための、チューニング回路の様々な実施形態を示す概略図である。
図4の電力フィルタ400の一部分が、
図6A-6Dに図示されている。
【0032】
[0040]
図6Aでは、高周波RF生成器415と低周波生成器420からの信号は分離され、次いで独立合成される。
図6Bでは、高周波RF生成器415と低周波生成器420からの信号は分離され、次いで依存合成される。
【0033】
[0041]
図6C及び
図6Dは、高周波RF生成器415及び低周波生成器420からの信号の印加を示しており、これらの信号は、分割され、次いで、必要に応じて第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の各々に提供される。
【0034】
[0042]
図6Cでは、高周波信号が第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124に提供される一方、低周波信号は第1ペデスタル電極122にのみ提供される。ゆえに、
図6Cでは、第2ペデスタル電極124に低周波信号は提供されない。
【0035】
[0043]
図6Dでは、低周波信号が第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124に提供される一方、高周波信号は第1ペデスタル電極122にのみ提供される。ゆえに、
図6Dでは、第2ペデスタル電極124に高周波信号は提供されない。
【0036】
[0044]
図7及び
図8Aから
図8Cは、上述したように、電力フィルタ400又は電力フィルタ500、及び電力スプリッタ154と共に使用されうる、様々な電力分配回路が描かれた概略図である。
【0037】
[0045]
図7には容量性電圧分割器700が描かれている。
図7の容量性電圧分割器700は、固定周波数のRF電力である、電力入力信号705を受信する。第3キャパシタ445は、低インピーダンスを提供するものであり、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124に同じ電圧を提供するよう調整されうる。センサ710は、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の両方に連結される。センサ710は、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124の各々への電力(例えば電圧、電流、及び/又は位相)をモニタする。第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124のチューニングは、センサ710からの情報に基づいて調整される。
【0038】
[0046]
図8Aには、直列に接続された第2キャパシタ440と第3キャパシタ445とを備える、電圧分割回路800が描かれている。インダクタ805が、第2キャパシタ440と第3キャパシタ445との間に配置される。第3キャパシタ445は、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124との間で電圧を変化させるよう調整されうる。電圧分割回路800は、一実施形態では、直列共振回路を含む。
【0039】
[0047]
図8Bには、第2キャパシタ440及び第3キャパシタ445を備える電圧分割回路810が描かれている。インダクタ815は、第2キャパシタ440及び第3キャパシタ445に、並列に接続される。第3キャパシタ445は、第1ペデスタル電極122と第2ペデスタル電極124との間で電圧を変化させるよう調整されうる。電圧分割回路800は、一実施形態では、並列共振回路を含む。インダクタ815は、より高いインピーダンスを提供しうる。
【0040】
[0048]
図8Cには、直列に接続された第2キャパシタ440(第1固定キャパシタ)と第4キャパシタ825(第2固定キャパシタ)とを備える、電圧分割回路820が描かれている。インダクタ805が、第2キャパシタ440と第4キャパシタ825との間に配置される。
【0041】
[0049]
図8Dには、並列に接続された第2キャパシタ440(第1固定キャパシタ)及び第4キャパシタ825(第2固定キャパシタ)を備える、電圧分割回路830が描かれている。インダクタ815が、第2キャパシタ440と第4キャパシタ825との間に配置される。
【0042】
[0050]
図8C及び
図8Dでは、回路は、様々な周波数でRF電力を供給する電力入力信号835に連結されている。電圧分割回路820と電圧分割回路830の各々は、可変キャパシタを包含せず、RF周波数をそれぞれの回路に合わせて調整して、第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124をチューニングするために利用される。
【0043】
[0051]
図9は、ロッド455及び460によってインダクタンスを打ち消すよう構成された回路900が描かれた概略図である。回路900は、電圧分割器(例えば、上述した電力分割回路)と第1ペデスタル電極122及び第2ペデスタル電極124との間に設けられる。回路900は、ロッド455とロッド460にそれぞれ連結された、インダクタ910とインダクタ915とを含む。回路900は、インダクタの各々に連結されたメッシュ間キャパシタ920も含む。回路900は、各々がインダクタ930と固定キャパシタ935からなるLC回路925の対も含む。LC回路925は、低周波電力を低インピーダンスで通過させることを可能にするが、ロッド455及び460の一方又は両方からのインダクタンスを無効化する静電容量を提供する。回路900は、高周波電力についてはロッド455及び460のインダクタンスを無効化し、かつ低周波電力をブロックするために、キャパシタのうちの1つを使用しうる。高周波電力をブロックし、かつ低周波電力を通過させるためには、インダクタが利用されうる。
【0044】
[0052]
図10は、別の実施形態による電力分割器回路1000が描かれた概略図である。電力分割器回路1000は、回路900と第2回路410とを含む。電力分割器回路1000はフィルタ回路1005も含む。フィルタ回路1005の各々は、インダクタ1020(低誘導性インピーダンスで低周波電力を通過させるのに利用される)と、(図示していないロッド455及び460のインダクタンスを無効化する静電容量で高周波電力を通過させるための)キャパシタ1025とを含む。フィルタ回路1005の各々は、並列LC回路として構成される。
【0045】
[0053]本開示の利点は、基板のエッジに隣接したプラズマの制御の向上を含む。プラズマ制御の向上により、プラズマ均一性が増大することになる。
【0046】
[0054]上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。