(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】結球野菜測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 5/10 20060101AFI20231005BHJP
A01D 45/26 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01B5/10
A01D45/26
(21)【出願番号】P 2020066276
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深山 大介
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-147720(JP,A)
【文献】特開昭62-187206(JP,A)
【文献】特開2017-153449(JP,A)
【文献】特開平09-191747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/10
A01D 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置された一対の環状ベルトを予め設定された移動方向に回転させて、該一対の環状ベルトの間に結球野菜を挟んで移動させる際に前記結球野菜の測定を行う結球野菜測定装置であって、
回動可能に支持されて前記一対の環状ベルトの互いに対向する部分の一方を他方に接近する方向に押圧する回動アームと、
該回動アームの回動角度を検出する角度センサと、
該角度センサにより検出された回動角度に基づいて前記結球野菜の物理量を演算する演算部と、
を有し、
前記演算部が、前記角度センサにより検出された前記回動角度に基づいて、前記結球野菜の直径を求め、
前記直径に基づいて、前記結球野菜の質量を求めることを特徴とする結球野菜測定装置。
【請求項2】
前記演算部が、所定の補正係数に基づいて前記質量を補正することを特徴とする
請求項1に記載の結球野菜測定装置。
【請求項3】
前記回動アームが、前記移動方向の上流側に位置する第1回動アームと、前記第1回動アームよりも大きな押圧力を有し、前記第1回動アームに対して前記移動方向の下流側に位置する第2回動アームとを有することを特徴とする請求項1に記載の結球野菜測定装置。
【請求項4】
前記演算部が、前記角度センサにより検出された前記第1回動アームの第1回動角度に基づいて前記結球野菜の第1直径を求め、前記第1直径から前記結球野菜の質量を求め、前記角度センサにより検出された前記第2回動アームの第2回動角度に基づいて前記結球野菜の第2直径を求め、前記第1直径と前記第2直径との差から前記結球野菜の緊度を推定し、該推定した緊度に基づいて前記結球野菜の質量を補正することを特徴とする
請求項3に記載の結球野菜測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結球野菜を搬送中に測定する結球野菜測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、結球野菜を搬送する搬送コンベアと、レーザ変位センサとを有し、搬送中の結球野菜の結球部の外径を検出する検出機構と、結球野菜の根茎部を切断する切断刃と、切断刃の切断位置を制御する制御部とを備えた装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1の制御部は、検出機構により検出された結球部の外径のデータに基づいて、切断刃の切断高さを演算し、切断刃が最適な切断高さになるように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、切断刃の切断位置を制御するために結球部の外径を検出している。特許文献1の装置では、切断位置を制御できればよく、外径を検出する精度に、高い正確性は要求されない。しかしながら、近年、ロボット技術や情報通信技術(ICT)の活用により省力化、精密化や高品質生産性を実現するいわゆるスマート農業に対応していくために、結球野菜の大きさや質量などの物理量を、正確かつ迅速に測定することが要請されている。
【0005】
本発明は、このような要請を満たすためになされたもので、結球野菜の物理量を正確かつ迅速に測定することができる結球野菜測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る結球野菜測定装置は、互いに対向して配置された一対の環状ベルトを予め設定された移動方向に回転させて、該一対の環状ベルトの間に結球野菜を挟んで移動させる際に前記結球野菜の測定を行う結球野菜測定装置であって、回動可能に支持されて前記一対の環状ベルトの互いに対向する部分の一方を他方に接近する方向に押圧する回動アームと、該回動アームの回動角度を検出する角度センサと、該角度センサにより検出された回動角度に基づいて前記結球野菜の物理量を演算する演算部と、を有することを特徴とする。
【0007】
(2)本発明に係る結球野菜測定装置は、前記演算部が、前記角度センサにより検出された前記回動角度に基づいて、前記結球野菜の直径を求めることを特徴とする。
【0008】
(3)前記演算部が、前記直径に基づいて、前記結球野菜の質量を求めることを特徴とする。
【0009】
(4)前記演算部が、所定の補正係数に基づいて前記質量を補正することを特徴とする。
【0010】
(5)前記回動アームが、前記移動方向の上流側に位置する第1回動アームと、前記第1回動アームよりも大きな押圧力を有し、前記第1回動アームに対して前記移動方向の下流側に位置する第2回動アームとを有することを特徴とする。
【0011】
(6)前記演算部が、前記角度センサにより検出された前記第1回動アームの第1回動角度に基づいて前記結球野菜の第1直径を求め、前記第1直径から前記結球野菜の質量を求め、前記角度センサにより検出された前記第2回動アームの第2回動角度に基づいて前記結球野菜の第2直径を求め、前記第1直径と前記第2直径との差から前記結球野菜の緊度を推定し、該推定した緊度に基づいて前記結球野菜の質量を補正することを特徴とする。
【0012】
(1)本発明に係る結球野菜測定装置は、互いに対向して配置された一対の環状ベルトと、回動アームと、角度センサと、演算部とを有しており、結球野菜は、環状ベルトの間に挟まれて予め設定された移動方向に移動する際に、即ち、結球野菜が搬送されている際に、角度センサにより検出された回動アームの回動角度に基づいて物理量が演算される。したがって、結球野菜の物理量を正確かつ迅速に取得することができる。
【0013】
(2)本発明に係る結球野菜測定装置においては、演算部により、角度センサで検出された回動角度に基づいて、結球野菜の直径(mm)が求められる。
【0014】
(3)本発明に係る結球野菜測定装置においては、演算部により、求められた直径(mm)に基づいて、搬送中の結球野菜の質量(g)が速やかに求められる。
【0015】
(4)本発明に係る結球野菜測定装置においては、演算部により、所定の補正係数に基づいて、搬送中の結球野菜の質量(g)が速やかに補正され、より正確な質量が得られる。
【0016】
(5)本発明に係る結球野菜測定装置は、回動アームが、移動方向の上流側に位置する第1回動アームと、第1回動アームよりも大きな押圧力(N)を有し、第1回動アームに対して移動方向の下流側に位置する第2回動アームとを有している。この構成により、一対の環状ベルトの間に挟まれて測定される結球野菜は、第2回動アームにより、第1回動アームの押圧力よりも大きな押圧力で押されるので、第1回動アームの押圧力による結球野菜の収縮量(mm)よりも、第2回動アームの押圧力による結球野菜の収縮量(mm)の方が多くなり、第1回動アームにより押圧されている結球野菜の直径よりも、第2回動アームに押圧されている結球野菜の直径の方が小さくなる。この直径の差によって、搬送中の結球野菜の緊度の情報が速やかに得られる。
【0017】
(6)本発明に係る結球野菜測定装置においては、結球野菜の第1直径(mm)が、演算部により、第1回動角度(°)に基づいて求められ、第1直径から結球野菜の質量(g)が求められ、結球野菜の第2直径(mm)が、第2回動アームの第2回動角度(°)に基づいて求められる。そして、演算部により、第1直径と第2直径との差から結球野菜の緊度が推定され、その緊度に基づいて結球野菜の質量が補正される。したがって、結球野菜のより正確な質量が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、結球野菜の物理量を正確かつ迅速に測定することができる結球野菜測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置を備えた結球野菜収穫機の平面図。
【
図2】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置を備えた結球野菜収穫機の側面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の平面図。
【
図4】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の側面図。
【
図5A】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の一方側の第1ベルトテンショナを示す平面図。
【
図5B】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の一方側の第2ベルトテンショナを示す平面図。
【
図5C】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の一方側の第3ベルトテンショナを示す平面図。
【
図6A】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の他方側の第1ベルトテンショナを示す平面図。
【
図6B】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の他方側の第2ベルトテンショナを示す平面図。
【
図6C】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の他方側の第3ベルトテンショナを示す平面図。
【
図7】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置による結球野菜の測定方法を示すフローチャート。
【
図8】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の平面図であり、結球野菜が一対の第2ベルトテンショナの間の位置を通過する状態を示す図。
【
図9】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の平面図であり、結球野菜が一対の第3ベルトテンショナの間の位置を通過する状態を示す図。
【
図10】本発明の実施形態に係る結球野菜測定装置の第2ベルトテンショナの平面図であり、
図10(a)は、負荷が小さい状態を示し、
図10(b)は、負荷が大きい状態を示す図。
【
図11】センサ検出値から算出した結球野菜の直径と、実測した結球野菜の直径との関係を示すグラフ。
【
図12】センサ検出値から算出した結球野菜の直径と、実測した結球野菜の質量との関係を示すグラフ。
【
図13】本発明の実施形態の変形例に係る結球野菜測定装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る結球野菜測定装置を結球野菜収穫機1に適用した実施形態に係る結球野菜測定装置10について図面を参照して説明する。
【0021】
まず、本実施形態に係る結球野菜測定装置10が装備された結球野菜収穫機1の構成について説明する。結球野菜収穫機1は、
図1および
図2に示すように、結球野菜測定装置10を搭載しており、図示しない車体、走行装置、運転装置、収穫装置および選別用コンベアを含んで構成されている。
【0022】
結球野菜収穫機1は、
図1および
図2に示す矢印A方向に走行しながら圃場に植栽されているキャベツ等の結球野菜を収穫し、結球野菜測定装置10により搬送中に結球野菜の大きさ(mm)や質量(g)などの物理量を測定する。測定後の結球野菜は、選別用コンベアによって他の場所に搬出される。結球野菜測定装置10によって測定された情報は、圃場に植栽されている結球野菜の生育状況の把握や、情報通信技術(ICT)やロボット、人口知能(AI)を活用した次世代型の農業、いわゆるスマート農業に利用される。
【0023】
結球野菜測定装置10は、結球野菜収穫機1の車体に固定されており、
図3および
図4に示すように、搬送機構31A、31Bと、搬送ガイド32と、第1角度センサ33A、33Bと、第2角度センサ34A、34Bと、演算部35と、各構成要素を支持する支持部36とを有している。結球野菜測定装置10は、結球野菜Vを搬送し、搬送中に結球野菜Vの直径(mm)や質量(g)などの物理量を測定する機能を有している。
【0024】
搬送機構31A、31Bは、互いに対向して配置された一対の環状ベルト41A、41Bを有しており、これら一対の環状ベルト41A、41Bを予め設定された移動方向に回転させて、一対の環状ベルト41A、41Bの間に結球野菜Vを挟んで移動させる構成を有する。搬送機構31A、31Bは、結球野菜収穫機1の前後方向に沿って平行に延びて、結球野菜収穫機1の左右方向に分かれて互いに対をなして配置された左右対称構造となっている。
【0025】
搬送機構31Aは、
図3に示すように、環状ベルト41Aと、環状ベルト41Aが架け渡されるプーリ42A、43Aと、ガイドプーリ44Aと、第1ベルトテンショナ45A、第2ベルトテンショナ46A、第3ベルトテンショナ47A、第4ベルトテンショナ48Aと、各ベルトテンショナを支持する支持部材49Aとを有している。なお、実施形態に係る第2ベルトテンショナ46Aは、本発明に係る結球野菜測定装置の第1回動アームに対応し、第3ベルトテンショナ47Aは、第2回動アームに対応する。
【0026】
環状ベルト41Aは、所定の幅、厚みおよび所定の長さを有し、外周面に凹凸が形成された無端周状のべルトからなり、合成樹脂や合成ゴムなどの柔軟性のある材料で形成されている。環状ベルト41Aは、前後に離れて配置されたプーリ42A、43Aの間に架け渡されており、内周面にプーリ42A、43Aが接触している。環状ベルト41Aは、後述する搬送機構31Bの環状ベルト41Bと、互いに外周面が向かい合うように、対向して配置されている。環状ベルト41Aと、後述する環状ベルト41Bとの間の間隔が、結球野菜Vの結球部を挟み込んで保持できるように、結球野菜Vの直径(mm)よりも小さい間隔になるように、プーリ42A、43Aと、ガイドプーリ44Aと、各ベルトテンショナの位置が設定されている。
【0027】
プーリ42Aは、結球野菜収穫機1の走行方向の前方側で、収穫装置4の支持部材49Aに回転自在に支持されている。プーリ42Aは、環状ベルト41Aを
図3に示す矢印a方向に、回動可能に支持している。プーリ43Aは、結球野菜収穫機1の走行方向の後方側で、収穫装置4の支持部材49Aに回転自在に支持されている。プーリ43Aは、環状ベルト41Aを
図3に示す矢印a方向に回動可能に支持している。プーリ43Aには、図示しない駆動モータが連結されており、駆動モータにより矢印a方向に回転駆動されることによって、環状ベルト41Aを
図3に示す矢印a方向に回動させる。
【0028】
ガイドプーリ44Aは、環状ベルト41Aの外周面に対向する位置に配置され、環状ベルト41Aの外周面に接触して、環状ベルト41Aが安定して回動できるように環状ベルト41Aを案内している。
【0029】
第1ベルトテンショナ45Aは、
図5Aに示すように、アーム51Aと、ローラ52Aと、回動軸53Aと、引張コイルばね54Aと、張力調整部材55Aと、支持部材56Aとを備えている。
【0030】
アーム51Aは、アーム51Aの基端部Kから先端部Sまで直線状に延びる板状の本体と、基端部Kにおいて本体から回動軸53Aに沿って平行に突出する突起Tとを有している。アーム51Aの基端部Kには、回動軸53Aが取り付けられており、アーム51Aは、回動軸53Aを中心として先端部Sが円弧状の軌跡を描くように回動可能に支持されている。アーム51Aの先端部Sには、ローラ52Aがアーム51Aの本体に対して回転自在に支持されている。
【0031】
アーム51Aの突起Tには、引張コイルばね54Aの一端が引っ掛けられており、引張コイルばね54Aの張力(N)により、アーム51Aの突起が引っ張られると、アーム51Aの本体が回動軸53Aを中心として反時計回りに回動し、ローラ52Aが環状ベルト41Aを押圧するようになっている。回動軸53Aは、一端がアーム51Aの基端部Kに固定されており、他端が支持部材49Aに回動自在に支持されている。
【0032】
引張コイルばね54Aの他端は、アーム51Aから離隔した位置において、張力調整部材55Aの一端に引っ掛けられて支持されている。張力調整部材55Aの他端は、支持部材56Aを介して支持部材49Aに取り付けられている。張力調整部材55Aは、棒状部材からなり、外周面には、雄ねじが形成されている。張力調整部材55Aの雄ねじには、一対のナットNが支持部材56Aを挟んで螺合されている。張力調整部材55Aは一対のナットNにより、支持部材56Aに固定されている。この一対のナットNを回転させて張力調整部材55Aの軸方向に移動させることにより、張力調整部材55Aが軸方向に移動し、引張コイルばね54Aの張力(N)が調整される。
【0033】
第1ベルトテンショナ45Aは、ローラ52Aを環状ベルト41Aの内周面に押し当てて、環状ベルト41Bに近接する方向に環状ベルト41Aを所定の押圧力(N)で押圧している。第1ベルトテンショナ45Aは、引張コイルばね54Aの張力によるローラ52Aの環状ベルト41Aに対する押圧力(N)と、この押圧力に対する環状ベルト41Aのローラ52Aに対する反発力(N)とが、釣り合った状態から、この押圧力と反発力とのバランスが崩れて、押圧力が強くなった場合に、アーム51Aが回動軸53Aを中心として反時計回りに回動し、反発力が強くなった場合に、アーム51Aが回動軸53Aを中心として時計回りに回動する。
【0034】
第2ベルトテンショナ46Aは、第1ベルトテンショナ45Aに対して搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送方向の下流側に設けられており、
図5Bに示すように、第1ベルトテンショナ45Aと同様、アーム61Aと、ローラ62Aと、回動軸63Aと、引張コイルばね64Aと、張力調整部材65Aと、支持部材66Aとを備えている。
【0035】
アーム61Aは、アーム51Aと同様に、アーム61Aの基端部Kから先端部Sまで直線状に延びる板状の本体と、基端部Kにおいて本体から回動軸63Aに沿って平行に突出する突起Tとを有している。アーム61Aの基端部Kには、回動軸63Aが取り付けられており、アーム61Aは、回動軸63Aを中心として先端部Sが円弧状の軌跡を描くように回動可能に支持されている。アーム61Aの先端部Sには、ローラ62Aがアーム61Aの本体に対して回転自在に支持されている。
【0036】
アーム61Aの突起Tには、引張コイルばね64Aの一端が引っ掛けられており、引張コイルばね64Aの張力(N)により、アーム61Aの突起Tが引っ張られると、アーム61Aの本体が回動軸63Aを中心として反時計回りに回動し、ローラ62Aが環状ベルト41Aを押圧するようになっている。回動軸63Aは、一端がアーム61Aの基端部Kに固定されており、他端が支持部材49Aに回動自在に支持されている。
【0037】
そして、回動軸63Aには、外歯歯車Gが固定されている。外歯歯車Gは、回動軸63Aの端部に同軸上に固定されており、回動軸63Aと一体になって回動される。外歯歯車Gは、第1角度センサ33Aの外歯歯車72Aに噛み合っており、アーム61Aの回動に応じて第1角度センサ33Aの外歯歯車72Aを回動させる。回動軸63Aの外歯歯車Gが、第1角度センサ33Aにアーム61Aの回動角度(°)を伝達することによって、第1角度センサ33Aが、回動軸63Aの回動角度、つまり、アーム61Aの回動角度を検出できるようになっている。
【0038】
引張コイルばね64Aの他端は、アーム61Aから離隔した位置において、張力調整部材65Aの一端に引っ掛けられて支持されている。張力調整部材65Aの他端は、支持部材66Aを介して支持部材49Aに取り付けられている。張力調整部材65Aは、張力調整部材55Aと同様、棒状部材からなり、外周面には、雄ねじが形成されている。張力調整部材65Aの雄ねじには、一対のナットNが支持部材66Aを挟んで螺合されている。張力調整部材65Aは一対のナットNにより、支持部材66Aに固定されている。この一対のナットNを回転させて張力調整部材55Aの軸方向に移動させることにより、張力調整部材65Aが軸方向に移動し、引張コイルばね64Aの張力(N)が調整される。
【0039】
第2ベルトテンショナ46Aは、ローラ62Aを環状ベルト41Aの内周面に押し当てて、環状ベルト41Bに近接する方向に環状ベルト41Aを所定の押圧力(N)で押圧している。第2ベルトテンショナ46Aは、第1ベルトテンショナ45Aと同様に、引張コイルばね64Aの張力によるローラ62Aの環状ベルト41Aに対する押圧力(N)と、この押圧力に対する環状ベルト41Aのローラ62Aに対する反発力(N)とが、釣り合った状態から、この押圧力と反発力とのバランスが崩れて、押圧力が強くなった場合に、アーム61Aが回動軸63Aを中心として反時計回りに回動し、反発力が強くなった場合に、アーム61Aが回動軸63Aを中心として時計回りに回動する。
【0040】
第3ベルトテンショナ47Aは、第2ベルトテンショナ46Aに対して搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送方向の下流側に設けられており、第2ベルトテンショナ46Aと同様に構成されている。しかしながら、第3ベルトテンショナ47Aは、第2ベルトテンショナ46Aとは異なり、第2ベルトテンショナ46Aが、環状ベルト41Aを押圧する所定の押圧力(N)よりも、強い押圧力(N)で押圧するように構成されている。
【0041】
第4ベルトテンショナ48Aは、第3ベルトテンショナ47Aに対して搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送方向の下流側に設けられており、第2ベルトテンショナ46Aと同様に構成されている。支持部材49Aは、不図示の車体に固定されており、結球野菜測定装置10の搬送機構31A、31Bと、搬送ガイド32がそれぞれ支持されている。
【0042】
搬送機構31Bは、
図3に示すように、搬送機構31Aと同様に構成され、環状ベルト41Bと、環状ベルト41Bが架け渡されるプーリ42B、43Bと、ガイドプーリ44Bと、第1第1ベルトテンショナ45B、第2ベルトテンショナ46B、第3ベルトテンショナ47B、及び第4ベルトテンショナ48Bと、各ベルトテンショナを支持する支持部材49Bとを有している。なお、実施形態に係る第2ベルトテンショナ46B、本発明に係る結球野菜測定装置の第1回動アームに対応し、第3ベルトテンショナ47B、第2回動アームに対応する。
【0043】
環状ベルト41Bは、所定の幅、厚みおよび所定の長さを有し、外周面に凹凸が形成された無端周状のべルトからなり、合成樹脂や合成ゴムなどの柔軟性のある材料で形成されている。環状ベルト41Bは、前後に離れて配置されたプーリ42B、43Bの間に架け渡されており、内周面にプーリ42B、43Bが接触している。環状ベルト41Bは、後述する搬送機構31Bの環状ベルト41Bと、互いに外周面が向かい合うように、所定の間隔を開けて対向して配置されている。環状ベルト41Bは、環状ベルト41Aとの間の間隔が、結球野菜Vの結球部を挟み込んで保持できるように、結球野菜の直径(mm)よりも小さい間隔になるように、プーリ42B、43Bと、ガイドプーリ44Bと、各ベルトテンショナの位置が設定されている。
【0044】
プーリ42Bは、結球野菜収穫機1の走行方向の前方側で、収穫装置4の支持部材49Bに回転自在に支持されている。プーリ42Bは、環状ベルト41Bを
図3に示す矢印b方向に、回動可能に支持している。プーリ43Bは、結球野菜収穫機1の走行方向の後方側で、収穫装置4の支持部材49Bに回転自在に支持されている。プーリ43Bは、環状ベルト41Bを
図3に示す矢印b方向に、回動可能に支持している。プーリ43Bには、図示しない駆動モータが連結されており、駆動モータにより矢印b方向に回転駆動されることによって、環状ベルト41Bを
図3に示す矢印b方向に回動させる。
【0045】
ガイドプーリ44Bは、環状ベルト41Bの外周面に対向する位置に配置され、環状ベルト41Bの外周面に接触し、環状ベルト41Bが安定して回動できるように環状ベルト41Bを案内している。
【0046】
第1ベルトテンショナ45Bは、
図6Aに示すように、第1ベルトテンショナ45Aと同様、アーム51Bと、ローラ52Bと、回動軸53Bと、引張コイルばね54Bと、張力調整部材55Bと、支持部材56Bとを備えている。
【0047】
アーム51Bは、アーム51Bの基端部Kから先端部Sまで直線状に延びる板状の本体と基端部Kにおいて本体から回動軸53Bに沿って平行に突出する突起Tとを有している。アーム51Bの基端部Kには、回動軸53Bが取り付けられており、アーム51Bは、回動軸53Bを中心として先端部Sが円弧状の軌跡を描くように回動可能に支持されている。アーム51Bの先端部Sには、ローラ52Bがアーム51Bの本体に対して回転自在に支持されている。
【0048】
アーム51Bの突起Tには、引張コイルばね54Bの一端が引っ掛けられており、引張コイルばね54Bの張力(N)により、アーム51Bの突起が引っ張られると、アーム51Bの本体が回動軸53Bを中心として時計回りに回動し、ローラ52Bが環状ベルト41Bを押圧するようになっている。回動軸53Bは、一端がアーム51Bの基端部Kに固定されており、他端が支持部材49Bに回動自在に支持されている。
【0049】
引張コイルばね54Bの他端は、アーム51Bから離隔した位置において、張力調整部材55Bの一端に引っ掛けられて支持されている。張力調整部材55Bの他端は、支持部材56Bを介して支持部材49Bに取り付けられている。張力調整部材55Bは、棒状部材からなり、外周面には、雄ねじが形成されている。張力調整部材55Bの雄ねじには、一対のナットNが支持部材56Bを挟んで螺合されている。張力調整部材55Bは一対のナットNにより、支持部材56Bに固定されている。この一対のナットNを回転させて張力調整部材55Bの軸方向に移動させることにより、張力調整部材55Bが軸方向に移動し、引張コイルばね54Bの張力(N)が調整される。
【0050】
第1ベルトテンショナ45Bは、ローラ52Bを環状ベルト41Bの内周面に押し当てて、環状ベルト41Bに近接する方向に環状ベルト41Bを所定の押圧力(N)で押圧している。第1ベルトテンショナ45Bは、引張コイルばね54Bの張力によるローラ52Bの環状ベルト41Bに対する押圧力(N)と、この押圧力に対する環状ベルト41Bのローラ52Bに対する反発力(N)とが、釣り合った状態から、この押圧力と反発力とのバランスが崩れて、押圧力が強くなった場合には、アーム51Bが回動軸53Bを中心として時計回りに回動し、反発力が強くなった場合には、アーム51Bが回動軸53Bを中心として反時計回りに回動する。
【0051】
第2ベルトテンショナ46Bは、第1ベルトテンショナ45Bに対して搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送方向の下流側に設けられており、
図6Bに示すように、第1ベルトテンショナ45Bと同様、アーム61Bと、ローラ62Bと、回動軸63Bと、引張コイルばね64Bと、張力調整部材65Bと、支持部材66Bとを備えている。
【0052】
アーム61Bは、アーム51Bと同様に、アーム61Bの基端部Kから先端部Sまで直線状に延びる板状の本体と、基端部Kにおいて本体から回動軸63Aに沿って平行に突出する突起Tとを有している。アーム61Bの基端部Kには、回動軸63Bが取り付けられており、アーム61Bは、回動軸63Bを中心として先端部Sが円弧状の軌跡を描くように回動可能に支持されている。アーム61Bの先端部Sには、ローラ62Bがアーム61Bの本体に対して回転自在に支持されている。
【0053】
アーム61Bの突起Tには、引張コイルばね64Bの一端が引っ掛けられており、引張コイルばね64Bの張力(N)により、アーム61Bの突起Tが引っ張られると、アーム61Bの本体が回動軸63Bを中心として時計回りに回動し、ローラ62Bが環状ベルト41Bを押圧するようになっている。回動軸63Bは、一端がアーム61Bの基端部Kに固定されており、他端が支持部材49Bに回動自在に支持されている。
【0054】
そして、回動軸63Bには、外歯歯車Gが固定されている。外歯歯車Gは、回動軸63Bの端部に同軸上に固定されており、回動軸63Bと一体になって回動される。外歯歯車Gは、第1角度センサ33Bの外歯歯車72Bに噛み合っており、アーム61Aの回動に応じて第1角度センサ33Bの外歯歯車72Bを回動させる。回動軸63Bの外歯歯車Gが、第1角度センサ33Bにアーム61Bの回動角度(°)を伝達することによって、第1角度センサ33Bが、回動軸63Bの回動角度、つまり、アーム61Bの回動角度を検出できるようになっている。
【0055】
引張コイルばね64Bの他端は、アーム61Bから離隔した位置において、張力調整部材65Bの一端に引っ掛けられて支持されている。張力調整部材65Bの他端は、支持部材66Bを介して支持部材49Bに取り付けられている。張力調整部材65Bは、張力調整部材55Bと同様、棒状部材からなり、外周面には、雄ねじが形成されている。張力調整部材65Bの雄ねじには、一対のナットNが支持部材66Bを挟んで螺合されている。張力調整部材65Bは一対のナットNにより、支持部材66Bに固定されている。この一対のナットNを回転させて張力調整部材65Bの軸方向に移動させることにより、張力調整部材65Bが軸方向に移動し、引張コイルばね64Bの張力(N)が調整される。
【0056】
第2ベルトテンショナ46Bは、ローラ62Bを環状ベルト41Bの内周面に押し当てて、環状ベルト41Aに近接する方向に環状ベルト41Bを所定の押圧力(N)で押圧している。第2ベルトテンショナ46Bは、第1ベルトテンショナ45Bと同様に、引張コイルばね64Bの張力によるローラ62Bの環状ベルト41Bに対する押圧力(N)と、この押圧力に対する環状ベルト41Bのローラ62Bに対する反発力(N)とが、釣り合った状態から、この押圧力と反発力とのバランスが崩れて、押圧力が強くなった場合に、アーム61Bが回動軸63Bを中心として時計回りに回動し、反発力が強くなった場合に、アーム61Bが回動軸63Bを中心として反時計回りに回動する。
【0057】
第3ベルトテンショナ47Bは、第2ベルトテンショナ46Bに対して搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送方向の下流側に設けられており、第2ベルトテンショナ46Bと同様に構成されている。しかしながら、第3ベルトテンショナ47Bは、第2ベルトテンショナ46Bとは異なり、第2ベルトテンショナ46Bが、環状ベルト41Bを押圧する所定の押圧力(N)よりも、強い押圧力(N)で押圧するように構成されている。
【0058】
第4ベルトテンショナ48Bは、第3ベルトテンショナ47Bに対して搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送方向の下流側に設けられており、第2ベルトテンショナ46Bと同様に構成されている。支持部材49Bは、不図示の車体に固定されており、結球野菜測定装置10の搬送機構31A、31Bと、搬送ガイド32がそれぞれ支持されている。
【0059】
搬送ガイド32は、搬送機構31Aと搬送機構31Bとの間で、搬送機構31Aと搬送機構31Bの下部に沿って直線状に延在して設けられている。搬送ガイド32は、搬送機構31Aおよび搬送機構31Bによって搬送開始部分から搬送終了部分まで搬送される結球野菜Vを下から支えて案内し、結球野菜Vが、搬送機構31Aと搬送機構31Bとの間から落下するのを防止する機能を有している。
【0060】
第1角度センサ33Aは、
図5Bに示すように、支持部材49Aに固定されたセンサ本体71Aと、センサ本体71Aの図示しない回転軸に取り付けられ回転軸と一緒に回転可能に固定された外歯歯車72Aとを有している。センサ本体71Aは、ポテンショメータなどの回動角度を検出する素子で構成されている。外歯歯車72Aは、第2ベルトテンショナ46Aの回動軸63Aに設けられた外歯歯車Gと噛み合っている。
【0061】
第1角度センサ33Aは、第2ベルトテンショナ46Aのアーム61Aが回動してアーム61Aと一体に回動軸63Aが回動すると、回動軸63Aと一体に外歯歯車Gが回動して、第1角度センサ33Aの外歯歯車72Aが回動され、アーム61Aの回動角度θ1Aが検出される。第1角度センサ33Aは、演算部35に接続されており、検出された回動角度θ1Aの信号を演算部35に送る。回動角度θ1Aは、例えば、結球野菜Vの搬送方向に直交する直線L1と、第2ベルトテンショナ46Aの回動軸63Aの軸心とローラ62Aの軸心とを結ぶ線L2とのなす角で表すことができる。
【0062】
第1角度センサ33Bは、
図6Bに示すように、第1角度センサ33Aと同様、支持部材49Bに固定されたセンサ本体71Bと、センサ本体71Bの図示しない回転軸に取り付けられ回転軸と一緒に回転可能に固定された外歯歯車72Bとを有している。センサ本体71Bは、ポテンショメータなどの回動角度を検出する素子で構成されている。外歯歯車72Bは、第2ベルトテンショナ46Bの回動軸63Bに設けられた外歯歯車Gと噛み合っている。
【0063】
第1角度センサ33Bは、第2ベルトテンショナ46Bのアーム61Bが回動してアーム61Bと一体に回動軸63Bが回動すると、回動軸63Bと一体に外歯歯車Gが回動して、第1角度センサ33Bの外歯歯車72Bが回動され、アーム61Bの回動角度θ1Bが検出される。第1角度センサ33Bは、第1角度センサ33Aと同様、演算部35に接続されており、検出された回動角度θ1Bの信号を演算部35に送る。回動角度θ1Bは、例えば、結球野菜Vの搬送方向に直交する直線L1と、第2ベルトテンショナ46Bの回動軸63Bの軸心とローラ62Bの軸心とを結ぶ線L2とのなす角で表すことができる。
【0064】
第2角度センサ34Aは、
図5Cに示すように、第1角度センサ33Aと同様、支持部材49Aに固定されたセンサ本体71Aと、センサ本体71Aの図示しない回転軸に取り付けられ回転軸と一緒に回転可能に固定された外歯歯車72Aとを有している。外歯歯車72Aは、第3ベルトテンショナ47Aの回動軸63Aに設けられた外歯歯車Gと噛み合っている。
【0065】
第2角度センサ34Aは、第1角度センサ33Aと同様、第3ベルトテンショナ47Aのアーム61Aが回動してアーム61Aと一体に回動軸63Aが回動すると、回動軸63Aと一体に外歯歯車Gが回動して、第2角度センサ34Aの外歯歯車72Aが回動され、アーム61Aの回動角度θ2Aが検出される。第2角度センサ34Aは、第1角度センサ33Aと同様、演算部35に接続されており、検出された回動角度θ2Aの信号を演算部35に送る。回動角度θ2Aは、例えば、結球野菜Vの搬送方向に直交する直線L1と、第2ベルトテンショナ46Aの回動軸63Aの軸心とローラ62Aの軸心とを結ぶ線L2とのなす角で表すことができる。
【0066】
第2角度センサ34Bは、
図6Cに示すように、第1角度センサ33Bと同様、支持部材49Bに固定されたセンサ本体71Bと、センサ本体71Bの図示しない回転軸に取り付けられ回転軸と一緒に回転可能に固定された外歯歯車72Bとを有している。センサ本体71Bは、ポテンショメータなどの回動角度を検出する素子で構成されている。外歯歯車72Bは、第3ベルトテンショナ47Bの回動軸63Bに設けられた外歯歯車Gと噛み合っている。
【0067】
第2角度センサ34Bは、第1角度センサ33Bと同様に、第3ベルトテンショナ47Bのアーム61Aが回動してアーム61Bと一体に回動軸63Bが回動すると、回動軸63Bと一体に外歯歯車Gが回動して、第2角度センサ34Bの外歯歯車72Bが回動され、アーム61Bの回動角度θ2Bが検出される。第2角度センサ34Bは、第1角度センサ33Bと同様、演算部35に接続されており、検出された回動角度θ2Bの信号を演算部35に送る。回動角度θ2Bは、例えば、結球野菜Vの搬送方向に直交する直線L1と、第2ベルトテンショナ46Bの回動軸63Bの軸心とローラ62Bの軸心とを結ぶ線L2とのなす角で表すことができる。なお、実施形態の第1角度センサ33A、33B、第2角度センサ34A、34Bは、本発明に係る結球野菜測定装置における角度センサに対応する。
【0068】
演算部35は、演算プログラムやデータなどの設定値情報を格納したROMなどのメモリと、プログラムにより処理を実行するプロセッサとを備える公知のマイクロコンピュータによって構成されており、入力インターフェース回路および出力インターフェース回路を備えている。
【0069】
プロセッサは、メモリに格納された演算プログラムや設定値情報を読み込み、取得した第1角度センサ33A、33Bおよび第2角度センサ34A、34Bの検出情報に基づいて、演算プログラムを実行することにより、結球野菜Vの直径(mm)や質量(g)などの物理量を演算する。
【0070】
演算部35の入力インターフェース回路には、第1角度センサ33A、33Bおよび第2角度センサ34A、34Bが接続され、第1角度センサ33A、33Bおよび第2角度センサ34A、34Bの検出情報が演算部35に入力される。
【0071】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10の測定方法について図面を参照して説明する。
【0072】
結球野菜測定装置10の測定方法は、
図7に示すように、結球野菜Vの搬送開始(ステップS1)、第1角度センサ33A、33Bによる第2ベルトテンショナ46A、46Bの第1回動角度θ1A、θ1Bの検出(ステップS2)、第1回動角度θ1A、θ1Bに基づく結球野菜Vの第1直径の算出(ステップS3)、結球野菜Vの第1直径に基づく質量の算出(ステップS4)、第2角度センサ34A、34Bによる第3ベルトテンショナ47A、47Bの第2回動角度θ2A、θ2Bの検出(ステップS5)、第2回動角度θ2A、θ2Bに基づく結球野菜Vの第2直径の算出(ステップS6)、第1直径と第2直径との差に基づく結球野菜Vの緊度の推定と、緊度を用いた結球野菜Vの質量の補正(ステップS7)、および、質量のメモリへの格納(ステップS8)を含む。各ステップは順に行われる。ステップS2からステップS8までの各ステップは、結球野菜Vが結球野菜測定装置10によって搬送されている間に行われる。
【0073】
結球野菜Vの搬送開始(ステップS1)においては、例えば結球野菜収穫機1の走行により、結球野菜Vが結球野菜測定装置10に逐次供給され、結球野菜測定装置10の搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送が開始される。
【0074】
第2ベルトテンショナ46A、46Bの第1回動角度の検出(ステップS2)においては、搬送機構31A、31Bによる結球野菜Vの搬送が開始されると、
図8に示すように、結球野菜Vは第1ベルトテンショナ45A、45Bの位置を通過してから、第2ベルトテンショナ46A、46Bを通過する。結球野菜Vが第2ベルトテンショナ46A、46Bの位置を通過する際に、第2ベルトテンショナ46Aは、矢印c方向に大きく回動し、第2ベルトテンショナ46Bも、矢印d方向に大きく回動し、第2ベルトテンショナ46A、46Bは、
図10(b)に示すように、それぞれ回動角度θ1A、θ1Bとなる。この回動角度θ1A、θ1Bは、第1角度センサ33A、33Bにより検出され、検出された回動角度θ1A、θ1Bの信号は、演算部35に送信される。
【0075】
結球野菜Vの第1直径の算出(ステップS3)においては、演算部35は、送信された第2ベルトテンショナ46A、46Bの回動角度θ1A、θ1Bと、
図10(a)に示す無負荷の状態のときの回動角度θ0とに基づいて、例えば幾何学計算などの公知の算出方法により、結球野菜Vの第1直径d1(mm)を算出する、即ち、結球部の第1直径d1(mm)を測定する。
【0076】
例えば、第2ベルトテンショナ46A、46Bの間に結球野菜Vを挟み込んだときの第2ベルトテンショナ46A、46Bの回動角度θ1A、θ1B(第1回動角度)と、無負荷の状態ときの回動角度θ0との角度差から、第2ベルトテンショナ46A、46Bの先端部Sのローラ62Aどうしの離間距離を算出する。そして、その離間距離を結球野菜Vの直径とする処理を行う。実際には、結球野菜Vの第2ベルトテンショナ46A、46Bの間に挟み込まれている部分である結球部の直径が結球野菜Vの第1直径d1とされる。算出結果は、メモリに格納される。
【0077】
図11は、センサ検出値から算出した結球野菜の直径と、実測した結球野菜の直径との関係を示すグラフである。
図11に示すように、センサ検出値から算出した直径と実測した直径は、ほぼ等しい関係であることがわかる。したがって、センサ検出値から算出した結球野菜Vの直径を、実際の結球野菜Vの直径とみなすことができる。
【0078】
結球野菜Vの質量の算出(ステップS4)においては、演算部35は、ステップS3において算出された第1直径d1を用いて結球野菜の質量(g)を算出する。演算部35は、予め用意された結球野菜の直径と質量の関係を参照して、結球野菜Vの直径から結球野菜の質量(g)を算出する。結球野菜の直径と質量との間には比較的高い相関関係があり、直径から質量を算出することができる。したがって、結球野菜Vの直径を測定することによって、圃場収量の推定が可能となる。
【0079】
図12は、センサ検出値から算出した結球野菜の直径と、結球野菜の質量との関係を示すグラフである。
図12に示すように、センサ検出値から算出した結球野菜の直径と、結球野菜の質量との間には、一定の相関関係があり、この関係を参照して、直径を質量に換算する関係式を求める。そして、求めた関係式とメモリに格納された第1直径d1(mm)に基づいて、結球野菜Vの質量(g)を推定する。推定結果は、メモリに格納される。
【0080】
第3ベルトテンショナ47A、47Bの第2回動角度の検出(ステップS5)においては、
図9に示すように、結球野菜Vが第3ベルトテンショナ47A、47Bの位置を通過する際に、第3ベルトテンショナ47Aは、矢印e方向に回動し、第3ベルトテンショナ47Bも、矢印f方向に回動し、第3ベルトテンショナ47A、47Bは、図示しないが
図10(b)に示す第2ベルトテンショナ46A、46Bと同様に、それぞれ回動角度θ2A、θ2Bとなる。この回動角度θ2A、θ2Bは、第2角度センサ34A、34Bにより検出され、検出された回動角度θ2A、θ2Bの信号は、演算部35に送信される。
【0081】
結球野菜Vの第2直径の算出(ステップS6)においては、演算部35は、送信された第3ベルトテンショナ47A、47Bの回動角度θ2A、θ2Bと、
図10(a)に示す無負荷の状態のときの回動角度θ0とに基づいて、公知の算出方法により、結球野菜Vの第2直径d2(mm)を算出する、即ち、結球部の第2直径d2(mm)を測定する。例えば、第3ベルトテンショナ47A、47Bの間に結球野菜Vを挟み込んだときの第3ベルトテンショナ47A、47Bの回動角度θ2A、θ2B(第2回動角度)と、無負荷の状態ときの回動角度θ0との角度差から、第3ベルトテンショナ47A、47Bの先端部Sのローラ62Aどうしの離間距離を算出する。そして、その離間距離を結球野菜Vの直径とする処理を行う。実際には、結球野菜Vの第3ベルトテンショナ47A、47Bの間に挟み込まれている部分である結球部の直径が結球野菜Vの第2直径d2とされる。算出結果は、メモリに格納される。
【0082】
なお、第3ベルトテンショナ47Aの環状ベルト41Aに対する押圧力F3(N)および第3ベルトテンショナ47Bの環状ベルト41Bに対する押圧力F4(N)が、第2ベルトテンショナ46Aの環状ベルト41Aに対する押圧力F1(N)および第2ベルトテンショナ46Bの環状ベルト41Bに対する押圧力F2(N)よりも大きく設定されているので、結球野菜Vは、第3ベルトテンショナ47A、47Bによって、第2ベルトテンショナ46A、46Bよりもより強い押圧力で押圧される。したがって、結球野菜Vは、第2ベルトテンショナ46A、46Bによって押圧されたときよりも大きく変形し、結球野菜Vの第2直径d2は、第1直径d1よりも小さくなる。
【0083】
結球野菜Vの質量の補正(ステップS7)においては、第1直径d1と第2直径d2との差に基づいて結球野菜Vの緊度を推定し、その緊度を用いて結球野菜Vの質量を補正する処理が行われる。結球野菜Vの緊度は、外から押したときの硬さや、結球部の身の締まり具合を示す指標であり、結球部の身が締まっておりかつ硬いほど緊度が高くなり、結球部の身がスカスカで柔らかいほど緊度が低くなる。第1直径d1と第2直径d2との差と緊度との関係は、実験値やシミュレーションなどのデータに基づいて予め設定される。
【0084】
演算部35は、結球野菜Vの第1直径d1(mm)と第2直径d2(mm)の差を算出する。そして、その差から、その結球野菜Vの緊度(硬さ、締まり具合)に相当する指標を推定し、第1直径d1から求めた結球野菜Vの質量を補正する。例えば、緊度が低い場合、結球野菜Vの質量は軽くなる方向に補正され、緊度が高い場合は、結球野菜Vの質量は重くなる方向に補正される。
【0085】
このようにして搬送機構31A、31Bにより搬送中の結球野菜Vの補正後の質量(g)を算出する、即ち、結球野菜の質量(g)を測定する。なお、センサ出力と直径の所定の関係は、結球野菜Vの種類、作柄、収穫時期や天候などのパラメータや実験値などのデータに基づいて適宜選択される。
【0086】
質量のメモリへの格納(ステップS8)においては、演算部35により、ステップS7で算出された結果は、必要に応じてGPS(Global Positioning System)などによる位置情報と対になったデータセットとしてメモリまたは電子ファイルに格納される。また、個々の結球野菜Vの質量を積算した値をメモリに格納して圃場ごとの収穫量の把握や、結球野菜Vの生育状況の把握や、情報通信技術(ICT)やロボット、人口知能(AI)を活用した次世代型の農業、いわゆるスマート農業に利用される。
【0087】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10の効果について図面を参照して説明する。
【0088】
結球野菜測定装置10は、互いに対向して配置された一対の環状ベルト41A、41Bを予め設定された移動方向に回転させて、一対の環状ベルト41A、41Bの間に結球野菜Vを挟んで移動させる際に、結球野菜Vの物理量の測定を行う。結球野菜測定装置10は、回動可能に支持されて一対の環状ベルト41A、41Bの互いに対向する部分の一方を他方に接近する方向に押圧する第2ベルトテンショナ46A、46Bおよび第3ベルトテンショナ47A、47Bと、各ベルトテンショナの回動角度を検出する、第1角度センサ33A、33B、第2角度センサ34A、34Bと、各センサにより検出された回動角度に基づいて結球野菜Vの物理量を演算する演算部35とを有している。
【0089】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10によれば、結球野菜Vを搬送している間に、物理量を測定することができる。物理量は、第1角度センサ33A、33B、第2角度センサ34A、34Bにより検出された回動アーム61A、61Bの回動角度θ1A、θ2A、θ1B、θ2Bに基づいて演算される。その結果、搬送中の結球野菜Vの物理量を正確でかつ迅速に取得することができるという効果が得られる。
【0090】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10は、結球野菜収穫機1に搭載されており、圃場から収穫した結球野菜Vを搬送する際に、その物理量を測定する。したがって、結球野菜Vの大きさや質量などの物理量を、迅速に測定することができる。結球野菜収穫機1は、圃場などの比較的大きな凹凸がある場所を走行しながら収穫を行うので、不規則な振動が発生しやすい。本実施形態の結球野菜測定装置10は、アーム61A、61Bの回動により環状ベルト41A、41Bを押圧する回動式であるので、環状ベルトを直線状に押圧する直動式と比較して、振動による影響を受けにくく、正確な物理量を取得することができる。
【0091】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10は、演算部35が、複数の角度センサ、つまり、第1角度センサ33A、33Bにより検出された第1回動角度θ1A、θ1B(°)に基づいて、結球野菜Vの結球野菜Vの直径d1(mm)を求めるので、搬送中の結球野菜Vの直径d1(mm)を高い精度で速やかに取得することができるという効果が得られる。
【0092】
また、結球野菜測定装置10は、演算部35が、得られた直径(mm)に基づいて、結球野菜Vの質量を求めるように構成されている。結球野菜Vの直径と質量には高い相関関係があるので、結球野菜Vの質量も高い精度で速やかに取得することができるという効果が得られる。したがって、圃場の収穫量を正確かつ迅速に取得することができる。
【0093】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10は、演算部35が、所定の補正係数に基づいて質量を補正するので、結球野菜Vの質量を高い精度で速やかに取得することができるという効果が得られる。結球野菜測定装置10は、結球野菜Vを押圧する力が強弱異なるベルトテンショナを搬送方向上流側と下流側に分けて配置し、それぞれの稼働量の差から結球野菜Vの緊度を推定している。
【0094】
本実施形態では、押圧力が小さい第2ベルトテンショナ46A、46Bを搬送方向上流側に配置し、押圧力が大きい第3ベルトテンショナ47A、47Bを搬送方向下流側に配置している。結球野菜Vは、第3ベルトテンショナ47A、47Bにより、第2ベルトテンショナ46A、46Bの押圧力(N)よりも大きな押圧力で押されるので、第2ベルトテンショナ46A、46Bの押圧力により収縮した結球野菜Vの直径(mm)よりも、第3ベルトテンショナ47A、47Bの押圧力により収縮した結球野菜Vの直径の方が小さくなる。2つの直径の差によって、結球野菜Vの硬さ(柔らかさ)や身の締まり具合など、結球野菜Vの緊度を推定することができる。
【0095】
なお、結球野菜Vを押圧する力が強弱異なるベルトテンショナを搬送方向上流側と下流側に分けて配置する場合、押圧力が小さい方と大きい方を搬送方向上流側と下流側のどちらに配置してもよい。本実施形態のように、押圧力が小さいベルトテンショナを搬送方向上流側に配置し、押圧力が大きいベルトテンショナを搬送方向下流側に配置した場合には、搬送方向上流側に配置されるベルトテンショナで結球野菜Vを押圧したときに結球野菜Vが変形する変形量を小さくし、搬送方向下流側に配置されるベルトテンショナによって押圧したときの変形量との差を、大きくすることができ、結球野菜Vの緊度の推定が容易になるという効果が得られる。
【0096】
結球野菜の緊度は、圃場の収穫量の精度に影響を及ぼす。本実施形態に係る結球野菜測定装置10によれば、結球野菜Vを押圧する力が強弱異なるベルトテンショナで結球野菜Vを押圧したときの変形量の差(第1直径と第2直径との差)から緊度を推定し、その推定した緊度を用いて結球野菜Vの質量を補正している。したがって、結球野菜Vの質量の精度を高くすることができ、圃場の収穫量を正確に推定することができるという効果が得られる。
【0097】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10は、2対の第2ベルトテンショナ46A、46Bおよび第3ベルトテンショナ47A、47Bと、2対の第1角度センサ33A、33Bおよび第2角度センサ34A、34Bを有する構造で構成した場合について説明した。しかしながら、本発明に係る結球野菜測定装置は、実施形態に係る結球野菜測定装置10と異なる他の構造で構成してもよい。例えば、変形例に係る結球野菜測定装置10Aで構成してもよい。
【0098】
変形例に係る結球野菜測定装置10Aは、
図13に示すように、実施形態の第2ベルトテンショナ46Aと同様に構成されるベルトテンショナ80と、実施形態の第1角度センサ33Aと同様に構成される角度センサ90と、複数のガイドプーリ100とにより構成してもよい。なお、ベルトテンショナがベルトテンショナ80により構成され、角度センサが角度センサ90により構成されている以外の他の構成は実施形態に係る結球野菜測定装置10と同様に構成されている。この構成により、変形例に係る結球野菜測定装置10Aは、収穫されて搬送されている結球野菜Vの直径(mm)および質量(g)を高い精度で測定することができるという効果が得られる。
【0099】
本実施形態に係る結球野菜測定装置10は、結球野菜収穫機1に適用した場合について説明した。しかしながら、本実施形態に係る結球野菜測定装置10は、単独で、テーブルや床などの静止部材に設置することで、収穫した結球野菜Vの物理量を測定するように構成してもよい。
【0100】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0101】
1 結球野菜収穫機
10、10A 結球野菜測定装置
31A、31B 搬送機構
32 搬送ガイド
33A、33B 第1角度センサ(角度センサ)
34A、34B 第2角度センサ(角度センサ)
35 演算部
36 支持部
41A、41B 環状ベルト
42A、42B、43A、43B プーリ
44A、44B、100 ガイドプーリ
45A、45B 第1ベルトテンショナ
46A、46B 第2ベルトテンショナ(第1回動アーム)
47A、47B 第3ベルトテンショナ(第2回動アーム)
48A、48B 第4ベルトテンショナ
49A、49B、56A、56B、66A、66B 支持部材
51A、51B、61A、61B アーム
52A、52B、62A、62B ローラ
53A、53B、63A、63B 回動軸
54A、54B、64A、64B 引張コイルばね
71A、71B センサ本体
80 ベルトテンショナ
90 角度センサ
d1 第1直径
d2 第2直径
V 結球野菜