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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231005BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20231005BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H05H1/46 B
C23C16/509
H01L21/31 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019234695
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103659
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 俊彦
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0034136(US,A1)
【文献】特開平09-106900(JP,A)
【文献】特開2017-228459(JP,A)
【文献】特表2019-508855(JP,A)
【文献】特開2013-211270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
C23C 16/509
H01L 21/31
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象体をプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、
前記処理対象体が載置される載置台と、
前記載置台に対向する位置に配設され、30MHz以上の高周波電力が供給される電極と、
前記高周波電力に基づいて生じた電磁波を前記載置台と前記電極との間に形成されるプラズマ処理空間へ伝搬する導波路と、を有し、
前記導波路は、
前記プラズマ処理空間側の端部が、前記電極の外周を囲むように平面視環状に形成され、
当該導波路内に突出するようにピンが複数設けられ、
前記ピンはそれぞれ、その先端が前記導波路内において開放され、且つ、平面視において周方向に沿って互いに離間した位置に配置されている、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記ピンは、平面視において、周方向に沿って等間隔で配置されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記ピンは全て突出量が等しい、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記ピンは、導電性材料で形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記ピンの本数は、8本以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記プラズマ処理空間から前記ピンまでの経路長は50mm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記ピンはそれぞれ、前記電極に向けて突出し、且つ、その先端が前記電極の前記外周から離間するよう、配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置
【請求項8】
前記ピンは、前記導波路から前記プラズマ処理空間に伝搬される電磁波における電界が強い部分と弱い部分が、周方向に沿って交互に、当該ピンの数に応じた回数ずつ生じるように設けられている、請求項1~7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
プラズマ処理装置を用いて処理対象体をプラズマ処理するプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理装置が、
前記処理対象体が載置される載置台と、
前記載置台に対向する位置に配設され、30MHz以上の高周波電力が供給される電極と、
前記高周波電力に基づいて生じた電磁波を前記載置台と前記電極との間に形成されるプラズマ処理空間へ伝搬する導波路と、を有し、
前記導波路のプラズマ処理空間側の端部が、前記電極の外周を囲むように平面視環状に形成され、
前記導波路内に突出するようにピンが複数設けられ、
前記ピンがそれぞれ、その先端が前記導波路内において開放され、且つ、平面視において周方向に沿って互いに離間した位置に配置されており、
当該プラズマ処理方法は、前記電極に前記高周波電力を供給し、当該高周波電力に基づいて生じた電磁波を前記ピンが設けられた前記導波路を介して、前記プラズマ処理空間へ伝搬し、当該プラズマ処理空間内にプラズマを生成させる工程と、
生成されたプラズマを用いて前記載置台上の前記処理対象体をプラズマ処理する工程と、を有する、プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理対象基板に所定のプラズマ処理を施すプラズマ処理装置が開示されている。このプラズマ処理装置では、上部電極が、下部電極に対向するように設けられた電極板を備え、この電極板が、導電体または半導体で構成された外側部分と、誘電体部材または外側部分より高抵抗の高抵抗部材で構成された中央部分とを有する。上部電極には、その下部電極とは反対側の面から高周波電力が供給される。特許文献1において、供給される高周波電力の周波数は27MHz以上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-323456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、30MHz以上の高周波電力に基づいて生成されたプラズマを用いてプラズマ処理を行う場合において、周方向等に関する処理結果の均一性を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、処理対象体をプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、前記処理対象体が載置される載置台と、前記載置台に対向する位置に配設され、30MHz以上の高周波電力が供給される電極と、前記高周波電力に基づいて生じた電磁波を前記載置台と前記電極との間に形成されるプラズマ処理空間へ伝搬する導波路と、を有し、前記導波路は、前記プラズマ処理空間側の端部が、前記電極の外周を囲むように平面視環状に形成され、当該導波路内に突出するようにピンが複数設けられ、前記ピンはそれぞれ、その先端が前記導波路内において開放され、且つ、平面視において周方向に沿って互いに離間した位置に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、30MHz以上の高周波電力に基づいて生成されたプラズマを用いてプラズマ処理を行う場合において、周方向等に関する処理結果の均一性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来のプラズマ処理装置でのプラズマ処理結果の一例を模式的に示す図である。
図2】従来のプラズマ処理装置でのプラズマ処理結果の他の例を模式的に示す図である。
図3】本実施形態に係るプラズマ処理装置としての成膜装置の構成の概略を模式的に示した縦断面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】ピンの配設形態を示す図であり、処理容器を断面で示している。
図6】プラズマ処理空間内に伝搬される電磁波の電界強度の分布であって誘電体窓の直下での分布を模式的に示す図であり、ピンが設けられていない場合の分布を示している。
図7】プラズマ処理空間内に伝搬される電磁波の電界強度の分布であって誘電体窓の直下での分布を模式的に示す図であり、ピンが設けられている場合の分布を示している。
図8】シミュレーション条件を説明するための、プラズマ処理空間の上面図である。
図9】ピンの本数と、ピンの配設角度とが及ぼす影響についてのシミュレーション結果を示す図である。
図10】ピンの配設位置での電界分布のシミュレーション結果を示す図である。
図11】プラズマ処理空間からピンまでの経路長が及ぼす影響についてのシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体などの製造プロセスにおける処理として、プラズマを用いて半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という)等の処理対象体に対して成膜やエッチングを行うプラズマ処理がある。プラズマ処理では、プロセス時間の短縮や処理対象体へのダメージ低減等の観点から、高密度且つ低電子温度のプラズマを用いることが好ましい。そして、このような高密度且つ低電子温度のプラズマを生成するために、VHF帯等の高周波の電力を用いる場合がある。特許文献1では、27MHz以上の高周波電力がプラズマ生成用に供給されている。
【0009】
しかし、VHF帯等の高周波の電力をプラズマ生成に用いる場合、プラズマ処理結果の面内均一性に関し、改善の余地がある。具体的には、従前の装置の構成では、VHF帯等の高周波の電力を用いて成膜を行った場合、図1に示すように、膜厚分布D1が二回対称になることがある。図1の膜厚分布では、基板を周方向に沿って4分割したときに、互いに対向する一方の領域R1、R3では膜厚が大きくなり、互いに対向する他方の領域R2、R4では膜厚が小さくなっている。膜厚の面内均一性をさらに改善するには、上記二回対称を解消する必要がある。つまり、膜厚分布の周方向に関する均一性に関し改善の余地がある。また、図2に示すように、膜厚分布D2が片流れの膜厚分布になることもある。図2の膜厚分布D2では、基板幅方向一方側(図の左側)の周端から基板方向他方側(図の右側)の周端に向けて膜厚が徐々に小さくなっている。膜厚の面内均一性のさらなる改善には、この片流れも解消する必要がある。
特許文献1は、この点に関し開示するものではない。
【0010】
そこで、本開示にかかる技術は、VHF帯等の30MHz以上の高周波電力に基づいて生成されたプラズマを用いてプラズマ処理を行う場合において、周方向等に関する処理結果の均一性を改善する。
【0011】
以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
図3は、本実施形態に係るプラズマ処理装置としての成膜装置1の構成の概略を模式的に示した縦断面図である。図4は、図3の部分拡大図である。図5は、後述のピンの配設形態を示す図であり、後述の処理容器を断面で示している。
【0013】
図3の成膜装置1は、処理対象体としてのウェハWに対してプラズマ処理により成膜を行うものである。成膜装置1において、プラズマ処理に用いられるプラズマは30MHz以上の高周波電力に基づいて生成される。また、成膜装置1は例えばSiN膜の成膜を行う。
【0014】
成膜装置1は、内部にプラズマ処理空間Sが形成される処理容器10を備える。処理容器10において、プラズマ処理空間は、当該処理容器10内に設けられる後述の載置台とシャワーヘッドとの間に形成される。
処理容器10は、容器本体11及び蓋体12を有する。容器本体11及び蓋体12は、アルミニウム等から形成され、接地電位に電気的に接続されている。なお、処理容器10のうち、少なくとも容器本体11においてプラズマに曝される部分は、耐プラズマ性の材料からなる溶射皮膜が形成されたライナ(図示せず)により覆われている。
【0015】
容器本体11は、開口11aを有する中空形状に形成され、具体的には、上部に開口11aを有する有底の円筒状に形成されている。容器本体11の側壁の中心軸線は、当該容器本体11の中心軸線に一致している。なお、図示は省略するが、容器本体11の底部には、処理容器10を減圧するため、具体的にはプラズマ処理空間Sを減圧するため、排気装置がAPCバルブ(図示せず)等を介して接続されている。
【0016】
蓋体12は、中央に貫通孔12aを有する円板状に形成されている。蓋体12は、容器本体11の上側に当該容器本体11の開口11aを塞ぐように取り付けられている。蓋体12及び貫通孔12aの中心軸線は、容器本体11の中心軸線に一致している。
【0017】
処理容器10内におけるプラズマ処理空間Sの下方には、上面にウェハWが水平に載置される載置台20が設けられている。
載置台20は、容器本体11の底部中央に立設された支持部材21により支持されている。図示は省略するが、載置台20には、ウェハWを加熱するためのヒータが設けられている。なお、ヒータ等の加熱機構に代えて冷却用の冷媒が通流される冷媒流路等を有する冷却機構を設けてもよいし、加熱機構と冷却機構の両方を設けてもよい。また、載置台20に対して、基板支持ピン(図示せず)が上下動可能に設けられている。基板支持ピンは、処理容器10の外部から当該処理容器10内に挿入されるウェハWの搬送装置(図示せず)と載置台20との間でウェハWを受け渡すためのものである。
【0018】
処理容器10内における載置台20のプラズマ処理空間Sの上方には、載置台20と対向する位置に、シャワーヘッド電極30が設けられている。
シャワーヘッド電極30は、導電性材料、具体的には、アルミニウム等の金属材料から形成され、円板形状を有する。シャワーヘッド電極30の下面から載置台20の上面までの距離は、例えば150mmである。
【0019】
シャワーヘッド電極30は、誘電体窓40を介して処理容器10に支持されている。シャワーヘッド電極30と誘電体窓40により、処理容器10内の上部空間と下部空間とが隔てられている。前述の排気装置によって、処理容器10内を減圧したときに、上述の下部空間のみが減圧されるよう、当該処理容器10内は、シャワーヘッド電極30と誘電体窓40により、密閉されている。シャワーヘッド電極30の中心軸線は、容器本体11の中心軸線に一致している。誘電体窓40の詳細については後述する。
【0020】
シャワーヘッド電極30の内部には、略円盤状に形成されたガス拡散室31が設けられている。シャワーヘッド電極30の下部すなわちプラズマ処理空間S側の部分には、ガス拡散室31と連通するガス吐出口32が複数設けられている。ガス拡散室31には、処理容器10の外部に設けられたガス供給源50が接続されている。ガス供給源50からのプラズマ処理用ガスは、ガス拡散室31に供給され、ガス吐出口32を通じてプラズマ処理空間Sに吐出される。
【0021】
誘電体窓40は、シャワーヘッド電極30の外周面を覆うように設けられており、また、後述の導波路80を伝搬してきた、高周波電力に基づく電磁波を、プラズマ処理空間Sへ透過させる。
【0022】
成膜装置1はさらに同軸導波管60を備えている。同軸導波管60は、内側導体61及び外側導体62を有する。
【0023】
内側導体61の一端は、シャワーヘッド電極30の上面中央に接続されている。内側導体61の中心軸線は、容器本体11の中心軸線に一致している。内側導体61の他端は、整合器70を介して、高周波電源71に接続されている。高周波電源71からの高周波電力は整合器70を介してシャワーヘッド電極30に供給される。高周波電源71は、30MHz以上の高周波電力、具体的には、VHF帯(30MHz~300MHz)またはUHF帯(300MHz~3GHz)の高周波電力を出力する。以下では、高周波電源71は、VHF帯の高周波電力を出力するものとする。
【0024】
外側導体62は、蓋体12の上面に接続されている。外側導体62の中心軸線は、容器本体11の中心軸線に一致している。外側導体62の内径は、蓋体12の貫通孔12aの直径と略同一である。
【0025】
成膜装置1はさらに導波路80を有する。導波路80は、高周波電源71からの高周波電力に基づいて生じた電磁波をプラズマ処理空間Sへ伝搬する。導波路80は、第1~第4導波路81~84を有する。
【0026】
第1導波路81は、内側導体61の外周面や外側導体62の内周面等により画成されるもので、内側導体61に沿って軸方向(鉛直方向下方)へ上記電磁波を伝搬する。
第2導波路82は、第1導波路81から連続しており、蓋体12の下面やシャワーヘッド電極30の上面により画成される。第2導波路82は、平面視で径方向に沿って水平方向外側へ上記電磁波を伝搬する。
第3導波路83は、第2導波路82から連続しており、シャワーヘッド電極30の外周面と容器本体11の側壁の内周面により画成される。第3導波路83は、シャワーヘッド電極30の外周面に沿って軸方向(鉛直方向下方)へ上記電磁波を伝搬する。
第4導波路84は、第3導波路83から連続しており、且つ、誘電体窓40が設けられている。第4導波路84は、第3導波路83を伝搬してきた電磁波を、誘電体窓40を介してプラズマ処理空間へ伝搬する。第4導波路84は例えばシャワーヘッド電極30の外周面や容器本体11の側壁の内周面により画成される。
第1~第4導波路81~84はそれぞれ平面視環状に形成されている。また、導波路80のプラズマ処理空間S側の端部に位置する第3及び第4導波路83、84は、シャワーヘッド電極30の外周を囲むように形成されている。
【0027】
成膜装置1では、誘電体窓40介して伝搬された電磁波により、プラズマ処理空間Sにプラズマが生成される。このプラズマ中のイオン等をウェハWに引き込ませるため、例えば、載置台20に、整合器を介してRFバイアス用の高周波電源が電気的に接続されていてもよい。なお、RFバイアス用の高周波電源は、例えば400kHz~20MHzの高周波電力を出力する。
【0028】
さらに、成膜装置1は制御部Uを備える。制御部Uは、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータにより構成され、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、成膜装置1における各種処理のために高周波電源71等を制御するためプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部Uにインストールされたものであってもよい。
【0029】
さらにまた、成膜装置1は、導波路80内に突出するようにピン90が3本以上設けられている。本例において、ピン90の本数は8本であるものとする。
【0030】
ピン90はそれぞれ、導波路80を形成する成膜装置1の内周面から当該導波路80内に突出するように設けられている。具体的には、ピン90はそれぞれ、図4に示すように、容器本体11の側壁の内周面から第3導波路83内に、水平方向に突出するように設けられている。ピン90の突出方向は、より具体的には、平面視における、処理容器10の中心軸線を中心とした径方向である。なお、ピン90は、突出するように設けられているものの、導波路80を形成する壁面間(具体的にはシャワーヘッド電極30の外周面と容器本体11の側壁の内周面との間)を電気的に短絡するものではない。ピン90は、導波路80を形成する壁面間で電気的な短絡が生じないような形態で、導波路80内に突出している。
【0031】
ピン90は、導電性材料、具体的には、アルミニウム等の金属材料から形成されている。ピン90は、例えば、棒状に形成されており、具体的には、先端が球状の円柱状に形成されている。ピン90の、容器本体11の側壁の内周面からの突出量は、1mm~48mmである。ピン90の先端は、放電防止の観点から、シャワーヘッド電極30の外周面から2mm以上離間させておく必要がある。なお、容器本体11の側壁の内周面とシャワーヘッド電極30の外周面との間の距離は、10mm~50mmである。
【0032】
また、ピン90は、例えば、容器本体11の側壁に設けられた横孔11bに挿通されて用いられる。ピン90を横孔11bに挿通した状態でロウ付けすること等により、当該ピン90は処理容器10の側壁に固定されると共に当該処理容器10に電気的に接続される。前述のように、処理容器10は接地されているため、ピン90も接地電位となる。
【0033】
このピン90は、図5に示すように、平面視において、処理容器10の中心軸線を中心とした周方向に沿って、互いに離間した位置に配置されている。より具体的には、ピン90は、平面視において、上記周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0034】
ここで、ピン90の効果について説明する。図6及び図7は、プラズマ処理空間S内に伝搬される電磁波の電界強度の分布であって誘電体窓40の直下での分布を模式的に示す図であり、図6はピン90が設けられていない場合を示し、図7はピン90が設けられている場合を示している。
なお、以下の説明は、VHF帯等の高周波の電力をプラズマ生成に用いる成膜装置1等のプラズマ処理装置では、載置台20とシャワーヘッド電極30との間の距離が大きい、ということが前提としてある。
【0035】
成膜装置1の導波路80は、疑似的には同軸ケーブルと同様である。同軸ケーブルのカットオフ周波数Fcは以下の式(1)で表すことができる。式(1)において、dは同軸ケーブルの内部導体の直径、Dは外部導体の内径、εrは内部導体と外部導体との間に介在する絶縁体の比誘電率である。
【0036】
【数1】
【0037】
導波路80のうち、シャワーヘッド電極30の周縁部近傍の第3及び第4導波路83、84を同軸ケーブルとみなした場合、シャワーヘッド電極30の直径が内部導体の直径dに相当し、容器本体11の側壁の内径が外部導体の内径Dに相当する。そして、ウェハWが大きいため、内部導体の直径dに相当するシャワーヘッド電極30の直径も、外部導体の内径Dに相当する容器本体11の側壁の内径も大きい。したがって、式(1)から明らかなとおり、第3及び第4導波路83、84を同軸ケーブルとみなした場合、これらのカットオフ周波数Fcは小さい。それに対し、導波路80を伝搬する電磁波の周波数は高く、このカットオフ周波数Fcを上回る。そのため、導波路80には、TEMモード以外の高次モードが存在してしまう。
【0038】
したがって、ピン90が設けられていない場合、誘電体窓40を介してプラズマ処理空間Sへ伝搬される電磁波は、電界の大きさが周方向に均一とならず、例えば、図6に示すように、電界が強い部分P1と電界が弱い部分P2が周方向に沿って交互に2回ずつ生じる。
また、電界が強い部分では高プラズマ密度となり電界が弱い部分では低プラズマ密度となるため、ピン90が設けられていない場合、プラズマ処理空間Sの誘電体窓40近傍すなわちシャワーヘッド電極30の周縁部近傍において、プラズマ密度が高い領域と低い領域が周方向に沿って交互に2回ずつ生じる。
そして、シャワーヘッド電極30の周縁部近傍において、プラズマ密度が高い領域と低い領域が周方向に沿って交互に生じる数(以下、プラズマ密度の高低領域出現回数)が2回と少なく、プラズマ密度が高い領域と低い領域との間の距離が大きい。そのため、シャワーヘッド電極30と載置台20との間の距離が大きく、シャワーヘッド電極30の近傍で生じたプラズマが拡散されて載置台20近傍に到達したとしても、シャワーヘッド電極30の近傍と載置台20の近傍とではプラズマ密度の分布があまり変わらない。したがって、ピン90が設けられていない場合、成膜装置で形成した膜が、図1に示すような、二回対称の膜厚分布となってしまうことがある。
【0039】
それに対し、成膜装置1では、導波路80内に突出するピン90が8つ設けられている。そのため、誘電体窓40を介してプラズマ処理空間Sへ伝搬される電磁波は、ピン90を設けない場合と同様、電界の大きさが周方向に均一とならないものの、図7に示すように、電界が強い部分P1と電界が弱い部分P2が周方向に沿って交互に8回ずつ生じる。つまり、成膜装置1では、プラズマ処理空間Sの誘電体窓40近傍すなわちシャワーヘッド電極30の周縁部近傍において、プラズマ密度の高低領域出現回数が8回と多い。したがって、シャワーヘッド電極30の周縁部近傍において、プラズマ密度が高い領域と低い領域との間の距離が小さい。それゆえ、シャワーヘッド電極30と載置台20と間の距離が大きいことによってシャワーヘッド電極30の近傍で生じたプラズマが拡散されて載置台20近傍に到達すると、載置台20の近傍では、プラズマ密度の周方向のばらつきが低減し、当該プラズマ密度が面内で均一となる。よって、成膜装置1で形成した膜は、面内で均一な厚さとなる。
【0040】
2回対称の膜厚分布を改善するためには、プラズマ処理空間Sのシャワーヘッド電極30の周縁部近傍において、プラズマ密度の高低領域出現回数が3回以上である必要があるため、ピン90の本数は3本以上必要となる。
【0041】
一方、図2に示したような片流れの膜厚分布を改善するためには、ピン90の本数は2本以上必要となる。以下、その理由を説明する。
片流れの膜厚分布が生じるということは、ピン90が設けられていない場合において、プラズマ処理空間Sのシャワーヘッド電極30の周縁部近傍において、プラズマ密度の高低領域出現回数が1回である。そして、ピン90を設けることで、プラズマ処理空間Sのシャワーヘッド電極30の周縁部近傍におけるプラズマ密度の高低領域出現回数を2回以上とすれば、ピン90を設けない場合に比べて、プラズマ密度が高い領域と低い領域との間の距離が小さくなり、載置台20の近傍でプラズマ密度のばらつきが低減する。上記プラズマ密度の高低領域出現回数はピン90の本数と一致する。したがって、図2に示したような片流れの膜厚分布を改善するためには、ピン90の本数は2本以上必要となる。
【0042】
次に、成膜装置1におけるウェハ処理について説明する。
【0043】
まず、ウェハWが、処理容器10内に搬入され、載置台20上に載置される。そして、処理容器10内を排気装置(図示せず)により排気させ、プラズマ処理空間S内の圧力が所定の圧力に調整される。
【0044】
その後、プラズマ処理用ガスが、ガス供給源50からシャワーヘッド電極30のガス拡散室31等を介してプラズマ処理空間Sに、所定の流量で供給される。プラズマ処理用ガスには、例えばArガス等の励起用ガスや、SiN膜形成用に窒素ガス及びシランガス等が含まれる。
【0045】
続いて、高周波電源71からVHF帯の高周波電力がシャワーヘッド電極30に供給される。そして、上記高周波電力に基づいて生じた電磁波が、導波路80を伝搬し、誘電体窓40を介してプラズマ処理空間Sに供給される。
導波路80に、平面視において周方向に沿って互いに離間した位置にピン90が配置されているため、プラズマ処理空間Sに供給された電磁波により生成されたプラズマの密度は、前述のように、載置台20の近傍において、ウェハWの面内で均一となる。このように密度が面内均一のプラズマによってウェハWが処理される。そのため、ウェハW上には、膜厚が面内で均一なSiN膜が形成される。また、形成されたSiN膜の屈折率もウェハ面内で均一となる。
【0046】
成膜が完了すると、ガス供給源50からのプラズマ処理用ガスの供給と、高周波電源71からのVHF帯の高周波電力の供給とが停止される。その後、ウェハWが処理容器10から搬出されて、ウェハ処理が完了する。
【0047】
以上のように、本実施形態において、成膜装置1は、ウェハWが載置される載置台20と、載置台20に対向する位置に配設され、VHF帯の高周波電力が供給されるシャワーヘッド電極30と、上記高周波電力に基づいて生じた電磁波を載置台20とシャワーヘッド電極30との間に形成されるプラズマ処理空間Sへ伝搬する導波路80と、を有する。そして、導波路80のプラズマ処理空間S側の端部が、シャワーヘッド電極30の外周を囲むように平面視環状に形成されており、また、導波路80内に突出するようにピン90が複数設けられており、ピン90がそれぞれ、平面視において周方向に沿って互いに離間した位置に配置されている。そのため、ピン90を設けないと図1のような2回対称の膜厚分布D1や図2のような片流れの膜厚分布D2が生じる場合(すなわち、ピン90がないとこのような膜厚分布が生じる程に載置台20近傍でプラズマ密度が面内不均一となる場合)、ピン90によって、載置台20近傍でのプラズマ密度をウェハ面内で均一にすることができる。このように、本実施形態によれば、30MHz以上の高周波電力に基づいて生成されたプラズマを用いて成膜処理を行う場合において、周方向等に関する成膜処理結果の均一性を改善することができる。
また、本実施形態によれば、ウェハWを回転させることなく、周方向等に関する成膜処理結果の均一性を改善することができる。したがって、ウェハWの回転機構を設ける場合に比べて、低コスト化を図ることができる。また、回転機構の駆動により生じるパーティクルによって、処理結果が不良となることがない。
なお、プラズマ処理結果が同心円状に偏る場合、プラズマ処理用ガスの量をウェハWの内側と外側とで調節する等、処理条件を調整することで対処できるが、上述のような2回対称の周方向の偏りや、片流れの偏りは処理条件の調整では解消することは難しい。
【0048】
ピン90は、平面視において、周方向に沿って等間隔で配置されていることが好ましい。周方向に沿って等間隔とすることにより、ピン90の本数によらず、シャワーヘッド電極30の周縁部近傍において、プラズマ密度が高い領域と低い領域との間の距離を小さくできるため、周方向等に関する成膜処理結果の均一性をより確実に改善することができる。
なお、ピン90を平面視において周方向に沿って等間隔で配置する場合、ピン90を設ける間隔は厳密に等しい必要はなく、載置台20の近傍においてプラズマ密度の周方向のばらつきが低減し成膜処理結果の均一性が改善できればよい。
【0049】
また、ピン90は、全て突出量が等しい。言い換えると、ピン90毎に突出量を調整する必要がない。このように、ピン90毎に突出量を調整することなく、周方向等に関する成膜処理結果の均一性を改善することができる。
【0050】
続いて、ピン90の効果について本発明者らが行ったシミュレーションの結果を説明する。図8は、シミュレーション条件を説明するための、プラズマ処理空間Sの上面図である。
【0051】
シミュレーションでは、図8に示すように、プラズマ処理空間Sは円筒状であるものとした。以下では、プラズマ処理空間Sを周方向に沿って4分割したときに、互いに対向する一方の領域A1、A3を低電子密度領域、互いに対向する他方の領域A2、A4を高電子密度領域という。
【0052】
シミュレーションの基本的な条件は、以下の通りである。
ウェハWの直径:300mm
シャワーヘッド電極30の直径:390mm
処理容器10の内径:430mm
シャワーヘッド電極30に供給される高周波電力の周波数:220MHz
プラズマ処理空間Sの圧力:100Torr
ピン90の突出量:17mm
ピン90の間隔:等間隔
【0053】
図9は、ピン90の本数と、ピン90の配設角度とが及ぼす影響についてのシミュレーション結果を示す図である。
図において、横軸は、低電子密度領域A1、A3の電子密度(NL)に対する高電子密度領域A2、A4の電子密度(NH)の比の値(NH/NL)を示している。なお、上記電子密度の比の値(NH/NL)を1より大きくすることは、プラズマ密度を2回対称にすることを意味する。縦軸は、シャワーヘッド電極30に高周波電力を供給したときの、低電子密度領域A1、A3に入力される電磁波のパワー(PL)に対する、高電子密度領域A2、A4に入力される電磁波のパワー(PH)の比の値(PH/PL)を示している。
【0054】
図に示すように、ピン90が設けられていない場合(「No Pin」の場合)、上記電子密度の比の値(NH/NL)が増加すると、上記電磁波のパワーの比(PH/PL)も増加する。つまり、ピン90が設けられていない場合、プラズマ処理空間Sのプラズマ密度が不均一になっていくと、よりプラズマ密度が不均一になるように、言い換えると、プラズマ密度の不均一性が助長されるように、電磁波がプラズマ処理空間Sに供給される。
【0055】
一方、ピン90を8本設けた場合(「8Pins」及び「8Pins 22.5deg」の場合)、12本設けた場合(「12Pins」の場合)や32本設けた場合(「32Pins」の場合)、上記電子密度の比の値(NH/NL)が増加すると、上記電磁波のパワーの比(PH/PL)は減少する。つまり、ピン90を8本以上設けた場合、プラズマ処理空間Sのプラズマ密度が不均一になっていくと、プラズマ密度が均一になるように、電磁波がプラズマ処理空間Sに供給される。
【0056】
ピン90を4本設ける場合において、低電子密度領域A1と高電子密度領域A2との境界を0°としたときに、ピン90の配設角度が(45+n×90)°(nは0~3の整数)である場合(「4Pins」の場合)、上記電子密度の比の値(NH/NL)が増加すると、上記電磁波のパワーの比(PH/PL)は減少する。しかし、ピン90を4本設ける場合において、上記「4Pins」の状態からピン90の配設角度を45°ずらした場合(「4Pins 45deg」の場合)、すなわち、低電子密度領域と高電子密度領域との境界にピン90を設けた場合、ピン90を設けない場合と同様、上記電子密度の比の値(NH/NL)が増加すると、上記電磁波のパワーの比(PH/PL)も増加する。
それに対し、ピン90を8本設ける場合において、ピン90の配設角度が(22.5+m×45)°(mは0~7の整数)である場合(「8Pins」の場合)、上記電子密度の比の値(NH/NL)が増加すると、上記電磁波のパワーの比(PH/PL)は減少する。そして、ピン90を8本設ける場合、上記「8Pins」の状態からピン90の配設角度を22.5°ずらした場合(「8Pins 22.5deg」の場合)、すなわち、低電子密度領域と高電子密度領域との境界にもピン90を設けた場合でも、上記電子密度の比の値(NH/NL)が増加すると、上記電磁波のパワーの比(PH/PL)が減少する。
つまり、ピン90の本数を8本以上とすることにより、ピン90の配設角度によらず、確実にプラズマ処理空間Sのプラズマ密度の不均一性を改善することができる。
【0057】
図10は、ピン90の配設位置での電界分布のシミュレーション結果を示す図である。
図に示されているのは、上述の電子密度の比の値(NH/NL)が1.3、ピン90の本数が8本であるときの結果である。図では、色の濃淡で電界の強弱を示しており、電界が強い部分程、濃色で示されている。
ピン90を設けることで、図に示すように、ピン90の先端付近に電界が集中する。
【0058】
図11は、プラズマ処理空間Sからピン90までの経路長が及ぼす影響についてのシミュレーション結果を示す図である。
図に示されているのは、上述の電子密度の比の値(NH/NL)が1.3、ピン90の本数が8本であるときの結果である。
図において、横軸は、プラズマ処理空間Sからピン90までの経路長L(図4参照)を示す。上記経路長は、具体的には、誘電体窓40のプラズマ処理空間S側の端面からピン90までの長さであり、より具体的は、誘電体窓40のプラズマ処理空間S側の端面からピン90までの導波路の中心線を結んだ長さである。図において、縦軸は、上述の電磁波のパワーの比の値(PH/PL)を示している。
【0059】
図に示すように、上記経路長Lが40mm以下であれば、上記電磁波のパワーの比の値(PH/PL)が1未満である。つまり、上記経路長Lが40mm以下であれば、ピン90を設けることで、プラズマ処理空間Sのプラズマ密度の不均一性を改善することができる。
また、経路長Lが50mmであれば、上記電磁波のパワーの比の値(PH/PL)が1.04である。この結果は、一見、上記経路長Lが50mmであるとプラズマ処理空間Sのプラズマ密度の偏りが助長され好ましくないように思われるが、このシミュレーション結果は、極端な環境についての結果である。したがって、上記電磁波のパワーの比の値(PH/PL)が1.04程度であれば、すなわち、上記経路長Lが50mmであれば、実環境では、プラズマ密度分布の偏りを解消する方向に働くと考えられる。
ゆえに、上記経路長Lは50mm以下であるとよい。
上記経路長Lが大きくなると、ピン90を設けても、プラズマ密度分布の偏りを解消することができない理由は例えば以下の通りである。上記経路長Lが大きくなると、電磁波は誘電体窓40まで伝搬する間に、ピン90による影響が弱まり、ピン90による電界分布が弱くなってしまう。したがって、上記経路等が大きくなると、誘電体窓40を介してプラズマ処理空間Sへ伝搬される電磁波は、ピン90を設けない場合と同様になってしまう。そのため、ピン90を設けても、プラズマ密度分布の偏りを解消することができない、と考えられる。
【0060】
以上の例では、ピン90は、接地電位すなわちコールド側となる容器本体11に電気的に接続され当該容器本体11から突出するものとした。これに代えて、ピンが、高周波電力が供給されホット側となるシャワーヘッド電極30に電気的に接続され当該シャワーヘッド電極30側から導波路80へ突出するようにしてもよい。なお、いずれの場合も、ピンは、当該ピンを介して容器本体11とシャワーヘッド電極30との電気的な短絡が生じないように、且つ、容器本体11とシャワーヘッド電極との間で放電が生じないように、設けられる。
また、ピンは、容器本体11及びシャワーヘッド電極30のいずれにも電気的に接続されず、電気的にフローティング状態としてもよい。
さらに、以上の例では、ピンは、導電性材料で形成されるものとしたが、誘電体材料で形成されていてもよい。
ただし、電界集中を確実に生じさせるためには、ピンは、導電性材料で形成され、電気的にフローティング状態とせず、コールド側となる容器本体11またはホット側となるシャワーヘッド電極30に電気的に接続することが好ましい。
【0061】
また、以上の例では、ピン90は、導波路80の第3導波路83に設けられていた。これに代えて、ピンを導波路80の第2導波路82や第4導波路84に設けてもよい。
【0062】
以上の例では、ピンの突出長さは固定されていた。これに代えて、横孔11bの内周面に雌ネジを形成し且つピン90の外周面に雄ネジを形成する等して、ピン90の突出長さを調節可能としてもよい。また、このようにピン90の突出長さを調節可能として、必要な場合のみ、ピン90を突出させるようにしてもよい。
【0063】
以上では、成膜装置を例に説明したが、本開示にかかる技術は、成膜処理以外の処理を行うプラズマ処理装置にも適用することができる。例えば、プラズマ処理として、エッチング処理やドーピング処理を行うプラズマ処理装置にも適用することができる。
【0064】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 成膜装置
20 載置台
30 シャワーヘッド電極
80 導波路
90 ピン
S プラズマ処理空間
W ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11