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特許7361130基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20231005BHJP
   B05D 1/40 20060101ALI20231005BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20231005BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05D1/40 A
B05D3/00 D
B05D3/00 B
B05C11/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021554897
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2020040107
(87)【国際公開番号】W WO2021090721
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2019202235
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛三
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-267067(JP,A)
【文献】特開平10-328608(JP,A)
【文献】特開2001-126975(JP,A)
【文献】特開2003-145017(JP,A)
【文献】特開2003-347206(JP,A)
【文献】特開2016-134566(JP,A)
【文献】特開2019-165241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、
前記回転保持部により前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液供給部により前記処理液を供給させることを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記回転保持部により前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行する塗布制御部と、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出する供給開始検出部と、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記処理液の供給完了タイミングを変更する条件変更部とを備え
前記塗布制御部は、前記塗布処理の後に、所定の減速期間内に前記基板の回転を前記回転保持部により停止させる停止処理を更に実行し、
前記条件変更部は、前記供給完了タイミングの変更に応じて前記減速期間を変更する、基板処理装置。
【請求項2】
基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、
前記回転保持部により前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液供給部により前記処理液を供給させることを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記回転保持部により前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行する塗布制御部と、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出する供給開始検出部と、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記供給用の回転速度を変更する条件変更部とを備える、基板処理装置。
【請求項3】
基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、
前記回転保持部により前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液供給部により前記処理液を供給させることを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記回転保持部により前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行する塗布制御部と、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出する供給開始検出部と、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記処理液の供給完了タイミング又は前記供給用の回転速度を変更する条件変更部とを備え、
前記塗布制御部は、前記供給処理において、前記供給用の回転速度で前記回転保持部により前記基板を回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液供給部により前記処理液を供給させる前に、前記目標タイミングを含む所定の初期期間において前記供給用の回転速度よりも低い回転速度で前記回転保持部により前記基板を回転させることを更に実行する、基板処理装置。
【請求項4】
基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、
前記回転保持部により前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液供給部により前記処理液を供給させることを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記回転保持部により前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行する塗布制御部と、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出する供給開始検出部と、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記処理液の供給完了タイミング又は前記供給用の回転速度を変更する条件変更部と、
前記基板に対する前記供給処理が実行される度に、前記供給開始タイミングの実績情報を蓄積する蓄積部と、
前記実績情報が蓄積された蓄積情報に基づいて、前記塗布制御部が前記処理液供給部に前記処理液の供給を開始させる開始指令の出力タイミングと前記目標タイミングとの間隔を修正する目標修正部とを備える、基板処理装置。
【請求項5】
前記条件変更部は、前記処理液の供給開始後に、前記処理液の吐出流量が目標流量に対してずれるのに応じて前記供給用の回転速度を更に変更する、請求項記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記条件変更部は、前記目標タイミングに対する前記供給開始タイミングのずれに応じて前記供給用の回転速度を更に変更する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記条件変更部は、前記処理液の供給開始後に、前記処理液の吐出流量が目標流量に対してずれるのに応じて供給完了タイミングを更に変更する、請求項記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記塗布制御部は、前記供給処理において、前記供給用の回転速度で前記回転保持部により前記基板を回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液供給部により前記処理液を供給させる前に、前記目標タイミングを含む所定の初期期間において前記供給用の回転速度よりも低い回転速度で前記回転保持部により前記基板を回転させることを更に実行する、請求項1,2,4~7のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板に対する前記供給処理が実行される度に、前記供給開始タイミングの実績情報を蓄積する蓄積部と、
前記実績情報が蓄積された蓄積情報に基づいて、前記塗布制御部が前記処理液供給部に前記処理液の供給を開始させる開始指令の出力タイミングと前記目標タイミングとの間隔を修正する目標修正部とを更に備える、請求項1~3,5~7のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板を保持して回転させることと、
前記基板の表面に処理液を供給することと、
前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液を供給することを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行することと、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出することと、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記処理液の供給完了タイミングを変更することと、
前記塗布処理の後に、所定の減速期間内に前記基板の回転を停止させる停止処理を実行することと、
前記供給完了タイミングの変更に応じて前記減速期間を変更することとを含む、基板処理方法。
【請求項11】
基板を保持して回転させることと、
前記基板の表面に処理液を供給することと、
前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液を供給することを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行することと、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出することと、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記供給用の回転速度を変更することとを含む、基板処理方法。
【請求項12】
基板を保持して回転させることと、
前記基板の表面に処理液を供給することと、
前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液を供給することを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行することと、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出することと、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記処理液の供給完了タイミング又は前記供給用の回転速度を変更することとを含み、
前記供給処理は、前記供給用の回転速度で前記基板を回転させつつ、当該基板の表面に前記処理液を供給させる前に、前記目標タイミングを含む所定の初期期間において前記供給用の回転速度よりも低い回転速度で前記基板を回転させることを更に含む、基板処理方法。
【請求項13】
基板を保持して回転させることと、
前記基板の表面に処理液を供給することと、
前記基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に処理液供給部により前記処理液を供給することを含む供給処理と、前記処理液の供給完了後に前記処理液が前記基板の表面に沿って広がるように前記基板を回転させることを含む塗布処理とを実行することと、
前記処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、前記処理液の供給開始タイミングを前記供給処理の実行中に検出することと、
前記供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、前記処理液の供給期間中における前記基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、前記供給開始タイミングに基づいて、少なくとも前記処理液の供給完了タイミング又は前記供給用の回転速度を変更することと、
前記基板に対する前記供給処理が実行される度に、前記供給開始タイミングの実績情報を蓄積することと、
前記実績情報が蓄積された蓄積情報に基づいて、前記処理液供給部に前記処理液の供給を開始させる開始指令の出力タイミングと前記目標タイミングとの間隔を修正することとを含む、基板処理方法。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項記載の基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板を支持する複数の基板支持部と、処理液を貯留する貯留部、処理液を吐出する吐出ノズル及び貯留部から吐出ノズルに向けて処理液を圧送する加圧手段を有する処理液吐出部とを備える基板処理装置が開示されている。この基板処理装置では、吐出ノズルがエアバルブを介して加圧手段と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-251890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板間の膜厚差を低減するのに有用な基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る基板処理装置は、基板を保持して回転させる回転保持部と、回転保持部に保持された基板の表面に処理液を供給する処理液供給部と、回転保持部により基板を供給用の回転速度で回転させつつ、当該基板の表面に処理液供給部により処理液を供給させることを含む供給処理と、処理液の供給完了後に処理液が基板の表面に沿って広がるように回転保持部により基板を回転させることを含む塗布処理とを実行する塗布制御部と、処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、処理液の供給開始タイミングを供給処理の実行中に検出する供給開始検出部と、供給開始タイミングが目標タイミングに対してずれることに起因して、処理液の供給期間中における基板の回転回数が目標回転回数からずれることを抑制するように、供給開始タイミングに基づいて、少なくとも処理液の供給完了タイミング又は供給用の回転速度を変更する条件変更部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板間の膜厚差を低減するのに有用な基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、基板処理システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、塗布現像装置の一例を示す模式図である。
図3図3は、塗布ユニットの一例を示す模式図である。
図4図4は、制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、供給開始タイミングのずれに応じた供給完了タイミングの変更の一例を示すグラフである。
図6図6(a)は、供給開始タイミングにずれがない場合の回転速度の時間変化の一例を示すグラフである。図6(b)は、供給開始タイミングにずれがある場合の回転速度の時間変化の一例を示すグラフである。
図7図7は、制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、処理液の被膜の成膜処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、供給処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、塗布処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、停止処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、目標タイミングの修正手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、供給処理手順の別の例を示すフローチャートである。
図14図14は、供給開始タイミングのずれに応じた回転速度の変更の一例を示すグラフである。
図15図15(a)は、供給開始タイミングにずれがない場合の回転速度の時間変化の一例を示すグラフである。図15(b)は、供給開始タイミングにずれがある場合の回転速度の時間変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
[基板処理システム]
まず、図1及び図2を参照して基板処理システム1の概略構成を説明する。基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象の基板は、例えば半導体のウェハWである。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。基板処理システム1は、塗布・現像装置2と、露光装置3とを備える。露光装置3は、ウェハW(基板)上に形成されたレジスト膜(感光性被膜)を露光する装置である。具体的には、露光装置3は、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分に露光用のエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウェハW(基板)の表面にレジスト(薬液)を塗布してレジスト膜を形成する処理を行う。また、塗布・現像装置2は、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。
【0010】
(塗布・現像装置)
図1及び図2に示されるように、塗布・現像装置2(基板処理装置)は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、制御装置100とを備える。
【0011】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのウェハWの導入及び塗布・現像装置2内からのウェハWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ウェハW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のウェハWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからウェハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウェハWを受け取ってキャリアC内に戻す。処理ブロック5は、複数の処理モジュール11,12,13,14を有する。
【0012】
処理モジュール11は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール11は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりウェハWの表面上に下層膜を形成する。塗布ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をウェハW上に塗布する。熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0013】
処理モジュール12は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール12は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。塗布ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液として、レジストを下層膜の上に塗布する。例えば、塗布ユニットU1は、ウェハWを回転させながら表面に処理液を供給した後に、当該ウェハWを回転させることで表面上の処理液を広げて、処理液の被膜を形成する。熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。これにより、ウェハWの表面にレジスト膜が形成される。
【0014】
処理モジュール13は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール13は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。塗布ユニットU1は、上層膜形成用の処理液をレジスト膜の上に塗布する。熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0015】
処理モジュール14は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール14は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。塗布ユニットU1は、露光済みのウェハWの表面上に現像液を塗布した後、これをリンス液により洗い流すことで、レジスト膜の現像処理を行う。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。現像処理に伴う熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0016】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウェハWを昇降させる。
【0017】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0018】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でウェハWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたウェハWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からウェハWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0019】
(液処理ユニット)
続いて、図3を参照して、処理モジュール12の塗布ユニットU1の一例について説明する。図3に示されるように、塗布ユニットU1は、回転保持部30と、処理液供給部40とを有する。
【0020】
回転保持部30は、ウェハWを保持して回転させる。回転保持部30は、例えば保持部32と、回転駆動部34とを有する。保持部32は、表面Waを上にして水平に配置されたウェハWの中心部を支持し、当該ウェハWを例えば真空吸着等により保持する。回転駆動部34は、例えば電動モータ等を動力源としたアクチュエータであり、鉛直な軸線Axまわりに保持部32を回転させる。これにより、保持部32上のウェハWが回転する。保持部32は、ウェハWの中心が軸線Axに略一致するようにウェハWを保持してもよい。
【0021】
処理液供給部40は、回転保持部30(保持部32)に保持されたウェハWの表面Waに処理液を供給する。処理液は、レジスト膜Rを形成するための溶液(レジスト)である。処理液供給部40は、例えば、ノズル42と、ノズル移動機構52と、供給源44と、開閉バルブ46と、流量測定部48とを有する。ノズル42は、保持部32に保持されたウェハWの表面Waに処理液を吐出する。例えば、ノズル42は、ウェハWの上方に配置され、処理液を下方に吐出する。ノズル移動機構52は、電動モータ等の動力源によって、ウェハWの上方の吐出位置と、当該吐出位置から離れた退避位置との間でノズル42を移動させる。
【0022】
供給源44は、処理液をノズル42に供給する。供給源44は、例えばポンプ等により処理液をノズル42に向けて送り出す。開閉バルブ46は、ノズル42と供給源44との間の供給路に設けられる。開閉バルブ46は、制御装置100の動作指令に基づいて、供給路の開閉状態を開状態と閉状態とに切り替える。開閉バルブ46は、例えばエアオペレーションバルブである。流量測定部(流量センサ)48は、ノズル42と開閉バルブ46との間の供給路に設けられ、当該供給路を流れる処理液の流量を測定する。流量測定部48は、流量の測定値を制御装置100に出力する。ノズル42からの処理液の吐出流量は、ノズル42と開閉バルブ46との間の供給路を流れる流量(流量測定部48により測定される流量)と略一致する。
【0023】
(制御装置)
制御装置100は、塗布・現像装置2の各要素を制御する。制御装置100は、例えば、処理モジュール12の塗布ユニットU1を制御することで、複数のウェハWに対して順に(個別に)処理液を塗布して、処理液の被膜を形成する。制御装置100は、図4に示されるように、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、塗布制御部102と、処理情報記憶部104と、流量取得部106と、供給開始検出部108と、条件変更部110とを有する。
【0024】
塗布制御部102は、ウェハWの表面Waに処理液を供給することを含む処理(以下、「供給処理」という。)と、ウェハWを回転させて表面Waに沿って処理液を広げることを含む処理(以下、「塗布処理」という。)とを実行する。具体的には、塗布制御部102は、供給処理において、回転保持部30によりウェハWを所定の回転速度(以下、「供給用の回転速度ω1」という。)で回転させつつ、当該ウェハWの表面Waに処理液供給部40により処理液を供給させる。
【0025】
塗布制御部102は、処理液の供給を開始させるための指令(以下、「開始指令」という。)を開閉バルブ46に出力する。開閉バルブ46は、開始指令を受けると、供給路の開閉状態を閉状態から開状態に遷移させる。塗布制御部102は、処理液の供給を完了(停止)させるための指令(以下、「完了指令」という。)を開閉バルブ46に出力する。開閉バルブ46は、完了指令を受けると、供給路の開閉状態を開状態から閉状態に遷移させる。
【0026】
塗布制御部102は、塗布処理において、処理液の供給完了後に処理液がウェハWの表面Waに沿って広がるように回転保持部30によりウェハWを回転させる。塗布制御部102は、塗布処理の後の所定の減速期間内にウェハWの回転を回転保持部30により停止させる処理(以下、「停止処理」という。)を更に実行してもよい。塗布制御部102は、供給処理、塗布処理、及び停止処理をこの順に実行することで、1枚のウェハWに塗布ユニットU1によりレジストの被膜を形成させる処理(以下、「成膜処理」という。)を実行する。塗布制御部102は、所定の制御条件に従って、供給処理、塗布処理及び停止処理を順に実行する。以下では、成膜処理に含まれる供給処理、塗布処理、及び停止処理を総称して「単位処理」という場合がある。なお、成膜処理には、上記3つの単位処理以外の単位処理が含まれていてもよい。
【0027】
処理情報記憶部104は、塗布制御部102が成膜処理を実行するための処理情報を記憶する。処理情報には、例えば、成膜処理に含まれる単位処理の順序を定める処理スケジュール、及び各単位処理を実行する際の制御条件が含まれる。制御条件は、一例として、供給処理での供給用の回転速度ω1、及び処理液の供給完了タイミング、塗布処理での回転速度及び回転させる期間、並びに停止処理での減速期間等を定める。
【0028】
流量取得部106は、流量測定部48から流量の測定値を取得する。流量取得部106は、例えば、所定の周期で流量測定部48から流量の測定値を取得する。流量測定部48からの流量の測定値は、ノズル42からの処理液の吐出流量に相関する。
【0029】
供給開始検出部108は、処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、処理液の供給開始タイミングを供給処理の実行中に検出する。供給開始タイミングとは、処理液の供給(処理液の吐出)が実際に開始されるタイミング(時刻)である。処理液の供給を開始させるための開始指令を塗布制御部102が開閉バルブ46に出力したタイミング(以下、「指令出力タイミング」という。)では、必ずしも処理液の供給は開始されず、指令出力タイミングから遅れて処理液の供給が開始される。この遅れの一因としては、例えば、開始指令を受けた開閉バルブ46が遷移し始めるまでの応答遅れ、及び開状態に遷移した供給路を処理液が通過し始めるまでの応答遅れ等が挙げられる。処理液供給部40(例えば、開閉バルブ46)の個体差、及び処理液供給部40の経時変化等に起因して、供給開始タイミングには、複数の供給処理間で(処理対象のウェハW間で)ばらつきが生じ得る。
【0030】
供給開始検出部108は、流量測定部48による測定値が所定値を越えた場合に、所定値を越えたタイミング(周期)を供給開始タイミングとして算出してもよい。あるいは、供給開始検出部108は、流量測定部48による測定値の変化量が所定値を越えた場合に、所定値を越えたタイミング(周期)を供給開始タイミングとして算出してもよい。例えば、供給開始検出部108は、流量測定部48による測定値と一つ前の周期での測定値との変化が所定値を越えた場合に、当該周期を供給開始タイミングとして算出してもよい。処理情報記憶部104が記憶する制御条件には、供給開始タイミングの目標値(以下、「目標タイミングts0」という。)が含まれてもよい。目標タイミングts0は、指令出力タイミングを基準とするタイミングであり、指令出力タイミングと同じタイミングであってもよいし、指令出力タイミングから一定の時間だけ遅れたタイミングであってもよい。指令出力タイミングから遅らせる一定の時間は、シミュレーション又は実機試験等で予め設定される。
【0031】
条件変更部110は、供給開始タイミングに基づいて、少なくとも処理液の供給完了タイミング又は供給用の回転速度ω1を変更する。すなわち、条件変更部110は、供給開始タイミングに基づいて、供給用の回転速度ω1を変更せずに処理液の供給完了タイミングを変更してもよいし、供給完了タイミングを変更せずに供給用の回転速度ω1を変更してもよいし、供給完了タイミングと供給用の回転速度ω1とを変更してもよい。
【0032】
条件変更部110は、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれることに起因して、処理液の供給期間中におけるウェハWの回転回数が目標値(以下、「目標回転回数Rn0」という。)から変化することを抑制するように、少なくとも処理液の供給完了タイミング又は供給用の回転速度ω1を変更する。処理液の供給期間中の回転回数とは、処理液供給部40から処理液がウェハWに実際に供給されている期間におけるウェハWの回転回数の総数(回転回数の積算値)である。目標回転回数Rn0は、目標タイミングts0において処理液の供給が実際に開始された場合での処理液の供給期間中の回転回数である。目標回転回数Rn0は、供給完了タイミングと供給用の回転速度ω1とに相関する。なお、条件変更部110は、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれない場合、処理液の供給完了タイミング及び供給用の回転速度ω1を変更しない。
【0033】
条件変更部110は、一例として、目標タイミングts0に対する供給開始タイミングのずれ(以下、「ズレΔt」という。)に応じて供給完了タイミングを変更する。条件変更部110は、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対して遅れた場合(ズレΔtが正の値である場合)、当該供給処理での供給完了タイミングを制御条件に定められた基準値から遅らせる。条件変更部110は、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対して早かった場合(ズレΔtが負の値である場合)、当該供給処理での供給完了タイミングを基準値から早める。条件変更部110は、供給完了タイミングを変更しても処理液の供給期間中の回転回数が目標回転回数Rn0に略一致するように、供給完了タイミングを基準値から変化させてもよい。条件変更部110は、供給完了タイミングの変更に応じて停止処理での減速期間を制御条件に定められた基準値から変更してもよい。なお、当該処理において供給完了タイミング等が変更されても、制御条件に定められる基準値自体は変更されないので、条件変更部110は、当該供給処理の次に行われる別のウェハWに対する供給処理では、ズレΔtに応じて、供給完了タイミングを改めて基準値から変更する。つまり、条件変更部110は、供給処理ごとに、ズレΔtに応じて、供給完了タイミングを制御条件に定められた基準値から変更する。
【0034】
図5図6(a)及び図6(b)は、ズレΔtに応じて供給完了タイミングを変更する場合の制御条件の設定方法を例示している。図5では、目標タイミングts0で処理液の供給が開始された場合の流量の時間変化が「Dr0」で示され、回転速度の時間変化が「Rv0」で示されている。目標タイミングts0からズレΔtだけ遅れた供給開始タイミングで処理液の供給が開始される場合の流量の時間変化が「Dr1」で示され、回転速度の時間変化が「Rv1」で示されている。処理情報記憶部104が記憶する制御条件では、目標タイミングts0で処理液の供給が開始された場合での供給完了タイミングの基準値(以下、「基準完了タイミングte0」という。)が定められている。時間が0であるときに、塗布制御部102から流量測定部48に開始指令が出力されている。
【0035】
図5に示されるように、塗布制御部102は、供給開始の初期期間において供給用の回転速度ω1よりも低い回転速度ω0で回転保持部30によりウェハWを回転させる。初期期間は、その期間内に目標タイミングts0が含まれるように予め定められる(処理情報記憶部104に記憶されている)。初期期間は、供給開始タイミングがばらつきの想定幅内であれば、その期間内に供給開始タイミングが含まれるように設定されてもよい。塗布制御部102は、供給処理を実行する際に、供給用の回転速度ω1で回転保持部30によりウェハWを回転させつつ、当該ウェハWの表面Waに処理液供給部40により処理液を供給させる前の初期期間において、供給用の回転速度ω1よりも低い回転速度ω0で回転保持部30によりウェハWを回転させることを更に実行してもよい。
【0036】
初期期間の経過後、塗布制御部102は、回転保持部30を制御することで、ウェハWの回転を回転速度ω0から回転速度ω1まで加速させ、回転速度ω1でウェハWを回転させることを回転保持部30に継続させる。塗布制御部102は、例えば、処理液の供給が完了するまで、回転速度ω1で回転保持部30によりウェハWを回転させてもよい。
【0037】
条件変更部110は、実際の供給開始タイミングts1が、目標タイミングts0に対してズレΔtだけ遅れた場合、図5に示されるように、供給完了タイミングte1を基準完了タイミングte0から遅らせる。供給完了タイミングを遅らせない場合には、供給開始タイミングの遅れにより、処理液の供給期間中の回転回数が目標回転回数Rn0から減少してしまうが、供給完了タイミングを遅らせることで、回転回数の上記減少が抑制される。
【0038】
図6(a)は、供給処理において供給開始タイミングにズレΔtが生じなかった場合での各単位処理での回転速度の制御例を示す。図6(b)は、供給処理において供給開始タイミングにズレΔtが生じ、供給完了タイミングを遅らせた場合の各単位処理での回転速度の制御例を示す。なお、図6(a)及び図6(b)では、初期期間において回転速度ω0でウェハWを回転させることの例示は省略されている。
【0039】
塗布制御部102は、処理液の供給完了後に塗布処理を実行する。塗布制御部102は、塗布処理において、回転保持部30を制御することでウェハWの回転を回転速度ω1から回転速度ω2に減速させる。そして、塗布制御部102は、回転速度ω2でウェハWを回転させることを回転保持部30に継続させる。これにより、ウェハWの表面Waに供給された処理液が、表面Waに沿ってウェハWの周縁部から中心部に向かって移動する(処理液の一部が中心部に寄せられる)。塗布制御部102は、回転速度ω2で所定期間だけウェハWを回転させた後、回転保持部30を制御することでウェハWの回転を回転速度ω2から回転速度ω3に加速する。そして、塗布制御部102は、回転速度ω3でウェハWを回転させることを回転保持部30に継続させる。これにより、一部が中心部に寄せられた状態の処理液がウェハWの表面Waに沿って広げられ、表面Wa上において処理液の被膜の乾燥が進行する。
【0040】
塗布制御部102は、塗布処理の完了後に停止処理を実行する。塗布制御部102は、停止処理において、減速期間内にウェハWの回転を停止させる。一例として、塗布制御部102は、図6(a)に示されるように、減速期間である期間Tz0の一部(前半部分)において、ウェハWの回転速度がゼロになるまで減速する(回転が停止する)ように回転保持部30を制御する。そして、塗布制御部102は、期間Tz0の残りの一部(後半部分)では減速期間が経過するまで待機する。停止処理の終了タイミングは、処理対象のウェハWを保持部32から搬出するタイミングに合わせて設定されてもよい。条件変更部110は、供給処理での供給完了タイミングを遅らせても、供給処理を含む成膜処理の実行期間が変化しないように、停止処理での減速期間を変更する。例えば、条件変更部110は、図6(b)に示されるように、ズレΔtに応じて供給完了タイミングを遅らせた場合(供給処理を延長した場合)、塗布処理の実行期間は変化させずに、停止処理での減速期間を制御条件に定められた基準値から減少させる。
【0041】
図6(a)及び図6(b)を比較すると、処理液の供給期間(実際に処理液が供給される期間)である期間Tx1(長さ)は、供給開始タイミングにずれがない場合の処理液の供給期間である期間Tx0(長さ)と略一致する。塗布処理の実行期間である期間Ty1は、供給開始タイミングにずれがない場合の塗布処理の実行期間である期間Ty0と略一致する。一方、減速期間である期間Tz1は、供給開始タイミングにずれがない場合の減速期間である期間Tz0に比べて短くなっている。この例では、条件変更部110は、ウェハWの回転を停止させるまでの期間は変更させていないが(減速度は変更していないが)、ウェハWの回転が停止してからの待機期間を短くしている。これにより、供給処理の開始から停止処理の終了までの実行期間が略一定に保たれる。なお、条件変更部110は、供給完了タイミングの変更に応じて、減速度を変更すること(大きくすること)で減速期間を短くしてもよい。条件変更部110は、供給完了タイミングの変更に応じて、塗布処理の実行期間を変更してもよい。あるいは、条件変更部110は、供給完了タイミングを変更しても、塗布処理の実行期間と停止処理の実行期間(減速期間)とを変更しなくてもよい。
【0042】
制御装置100は、複数のウェハWに対して成膜処理を実行した後に、目標タイミングts0を修正する機能も有する。制御装置100は、図4に示されるように、機能モジュールとして、蓄積部120と、実績情報記憶部122と、目標修正部124とを更に有する。
【0043】
蓄積部120は、ウェハWに対する供給処理(成膜処理)が実行される度に、供給開始タイミングの実績情報を蓄積する。蓄積部120は、例えば、供給処理ごとに、条件変更部110が検出した供給開始タイミングを実績情報記憶部122に出力する。実績情報記憶部122は、蓄積部120により蓄積される実績情報を記憶する。なお、蓄積部120は、供給開始タイミングの実績情報として、ズレΔtの複数の検出値を蓄積してもよい。
【0044】
目標修正部124は、実績情報記憶部122に実績情報が蓄積された蓄積情報に基づいて、塗布制御部102が処理液供給部40に処理液の供給を開始させる開始指令の出力タイミングと目標タイミングts0との間隔を修正する。例えば、目標修正部124は、指令出力タイミングを基準とした目標タイミングts0を変更するように、処理情報記憶部104に記憶されている目標タイミングts0の設定値を更新する。目標修正部124は、所定枚数のウェハWに対する供給処理が実行される度に、あるいは、所定期間の経過ごとに、目標タイミングts0を修正してもよい。目標タイミングts0の修正後において行われる供給処理では、条件変更部110は、修正後の目標タイミングts0に対するズレΔtに応じて、少なくとも供給完了タイミング又は供給用の回転速度ω1を変更する。
【0045】
制御装置100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御装置100は、図7に示される回路200を有する。回路200は、一つ又は複数のプロセッサ202と、メモリ204と、ストレージ206と、入出力ポート208とを有する。ストレージ206は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の成膜処理手順を含む基板処理手順を制御装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ204は、ストレージ206の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ202による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ202は、メモリ204と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート208は、プロセッサ202からの指令に従って、回転駆動部34、開閉バルブ46、及び流量測定部48等との間で電気信号の入出力を行う。
【0046】
制御装置100が複数の制御用コンピュータで構成される場合、各機能モジュールがそれぞれ、個別の制御用コンピュータによって実現されていてもよい。制御装置100は、塗布・現像装置2によるウェハWの成膜処理(各単位処理)を実行する機能モジュールを含む制御用コンピュータと、目標タイミングの修正を実行する機能モジュールを含む制御用コンピュータとで構成されてもよい。あるいは、これらの各機能モジュールがそれぞれ、2つ以上の制御用コンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。これらの場合、複数の制御用コンピュータは、互いに通信可能に接続された状態で、後述する基板処理手順を連携して実行してもよい。なお、制御装置100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御装置100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0047】
[基板処理手順]
続いて、基板処理方法の一例として、基板処理システム1において実行される基板処理手順を説明する。制御装置100は、例えば以下の手順で塗布・現像処理を含む基板処理を実行するように基板処理システム1を制御する。まず制御装置100は、キャリアC内のウェハWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このウェハWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0048】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール11内の塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このウェハWの表面Wa上に下層膜を形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、下層膜が形成されたウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このウェハWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0049】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール12内の塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このウェハWの下層膜上にレジスト膜Rを形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。塗布ユニットU1において行われる成膜処理手順の一例については後述する。その後制御装置100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このウェハWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0050】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このウェハWのレジスト膜R上に上層膜を形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ウェハWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0051】
次に制御装置100は、棚ユニットU11に収容されたウェハWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。そして、露光装置3において、ウェハWに形成されたレジスト膜Rに露光処理が施される。その後制御装置100は、露光処理が施されたウェハWを露光装置3から受け入れて、当該ウェハWを棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0052】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のウェハWを処理モジュール14の熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。そして、制御装置100は、現像処理に伴う熱処理、及び現像処理を実行するように制御を行う。以上により塗布・現像処理が終了する。
【0053】
(成膜処理手順)
図8は、処理モジュール12の塗布ユニットU1において行われる成膜処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、処理対象のウェハWが保持部32に載置された状態で、まずステップS01を実行する。ステップS01では、例えば、塗布制御部102が、回転保持部30によりウェハWを供給用の回転速度ω1で回転させつつ、当該ウェハWの表面Waに処理液供給部40により処理液を供給させることを含む供給処理(供給処理手順)を実行する。ステップS01で行われる供給処理手順の一例については後述する。
【0054】
次に、制御装置100は、ステップS02,S03を実行する。ステップS02では、例えば、塗布制御部102が、処理液の供給完了後に処理液がウェハWの表面Waに沿って広がるように回転保持部30によりウェハWを回転させることを含む塗布処理(塗布処理手順)を実行する。なお、塗布制御部102は、ステップS01の一部の処理とステップS02の一部の処理とを重複したタイミングで実行してもよい。ステップS03では、例えば、塗布制御部102が、所定の減速期間内にウェハWの回転を回転保持部30により停止させる停止処理(停止処理手順)を実行する。ステップS02,S03でそれぞれ行われる塗布処理手順及び停止処理手順の一例については後述する。制御装置100は、ステップS03の終了時点で、搬送装置により回転保持部30から処理対象のウェハWを搬出させてもよい。塗布制御部102は、複数のウェハWに対して、ステップS01~S03の一連の成膜処理を順に実行する。
【0055】
(供給処理手順)
図9は、供給処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、供給完了タイミングを変更する場合を例に説明する。制御装置100は、保持部32に保持されたウェハWの上方の吐出位置にノズル42が配置されている状態で、まずステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、塗布制御部102が、ウェハWが回転速度ω0で回転するように回転保持部30を制御する。
【0056】
次に、制御装置100は、ステップS12,S13,S14を実行する。ステップS12では、例えば、塗布制御部102が、開始指令を開閉バルブ46に出力する。これにより、開閉バルブ46が、供給源44とノズル42との間の供給路の開閉状態を閉状態から開状態に遷移させる。ステップS13では、例えば、流量取得部106が、流量測定部48から流量の測定値を取得する。ステップS14では、例えば、供給開始検出部108が、ステップS13において流量取得部106が取得した流量の測定値が所定値以上であるかどうかを判断する。流量の測定値が所定値よりも小さいと判断された場合、制御装置100は、ステップS13,S14を繰り返す。これにより、流量の測定値が所定値以上となるまで、流量の取得が繰り返される。
【0057】
ステップS14において、流量の測定値が所定値以上であると判断された場合、制御装置100は、ステップS15,S16を実行する。ステップS15では、例えば、供給開始検出部108が、供給開始タイミングを検出する。供給開始検出部108は、流量の測定値が所定値を越えたタイミング(時刻又は周期)を供給開始タイミングとして検出してもよい。ステップS16では、例えば、供給開始検出部108が、ステップS15において検出した供給開始タイミングと目標タイミングts0との間のズレΔtを算出する。
【0058】
次に、制御装置100は、ステップS17を実行する。ステップS17では、例えば、条件変更部110が、ズレΔtがゼロではないかどうかを判断する。ズレΔtがゼロではないと判断された場合(供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれていると判断された場合)、制御装置100は、ステップS18を実行する。ステップS18では、例えば、条件変更部110が、処理液の供給期間中の回転回数が目標回転回数Rn0から変化しないように、ズレΔtに応じて供給完了タイミングを基準値から変更する。また、条件変更部110は、供給完了タイミングの変更幅に応じて、停止処理における減速期間を基準値から変更する。一方、ズレΔtがゼロである判断された場合(供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれていないと判断された場合)、制御装置100は、ステップS18を実行しない。なお、制御装置100は、ズレΔt(絶対値)がゼロ以外の閾値以上である場合に、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれていると判断してもよい。
【0059】
次に、制御装置100は、ステップS19を実行する。ステップS19では、例えば、制御装置100が供給処理の開始(ステップS11の開始)から初期期間が経過するまで待機する。初期期間の経過後に、制御装置100は、ステップS20を実行する。ステップS20では、例えば、塗布制御部102が、回転保持部30を制御することでウェハWの回転を回転速度ω0から回転速度ω1に変更する。これにより、塗布制御部102は、供給用の回転速度ω1で回転保持部30によりウェハWを回転させつつ、当該ウェハWの表面Waに回転保持部30により処理液を供給させる前の初期期間において、供給用の回転速度ω1よりも低い回転速度ω0で回転保持部30により、ウェハWを回転させることを実行する。
【0060】
次に、制御装置100は、ステップS21,S22を実行する。ステップS21では、例えば、制御装置100が、処理液の供給を完了させるための完了指令の出力タイミングとなるまで待機する。完了指令の出力タイミングは、例えば、供給完了タイミングから所定時間だけ前のタイミングである。つまり、条件変更部110は、供給完了タイミングの変更に伴って、完了指令の出力タイミングを変更する。完了指令の出力タイミングとなると、制御装置100は、ステップS22を実行する。ステップS22では、例えば、塗布制御部102が、完了指令を開閉バルブ46に出力する。これにより、開閉バルブ46が、供給源44とノズル42との間の供給路の開閉状態を開状態から閉状態に遷移させる。そして、供給路内の処理液の通過が遮断され、ウェハWの表面Waへの処理液の供給(ノズル42からの処理液の吐出)が完了する。これにより、一連の供給処理手順が終了する。
【0061】
(塗布処理手順)
図10は、上述の供給処理手順の実行後に行われる塗布処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、まず、ステップS31,S32を実行する。ステップS31では、例えば、塗布制御部102が、回転保持部30を制御することで、ウェハWの回転を回転速度ω1から回転速度ω2に減速させる。ステップS32では、例えば、塗布制御部102が、ウェハWの回転を回転速度ω2に減速させてから(ウェハWの回転速度が回転速度ω2となってから)、第1所定期間が経過するまで待機する。これにより、ステップS01においてウェハWの表面Waに供給された処理液が、周縁部から中心部に移動する(処理液の一部が中心部に寄せられる)。なお、制御装置100は、供給処理のステップS22の実行後に、処理液の供給が完了する前に、ステップS31の処理を開始してもよい。
【0062】
次に、制御装置100は、ステップS33,S34を実行する。ステップS33では、例えば、塗布制御部102が、ウェハWの回転を回転速度ω2から回転速度ω3まで加速させる。ステップS34では、例えば、塗布制御部102が、ウェハWの回転を回転速度ω3まで加速させてから(ウェハWの回転速度が回転速度ω3となってから)、第2所定期間が経過するまで待機する。これにより、ステップS32において一部が中心部に寄せられた状態の処理液が、ウェハWの表面Waに沿って広がり、広がった処理液の被膜の乾燥が進行する。第2所定期間は、表面Wa上の処理液の被膜が所定レベルまで乾燥するように設定される。第2所定期間は、第1所定期間よりも長くてもよい。第2所定期間が経過すると、一連の塗布処理手順が終了する。
【0063】
(停止処理手順)
図11は、上述の供給処理手順及び塗布処理手順の実行後に行われる停止処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、まず、ステップS41を実行する。ステップS41では、例えば、塗布制御部102が、回転保持部30を制御することで、ウェハWの回転を停止させる(ウェハWの回転速度を回転速度ω3からゼロに変更する)。塗布制御部102は、減速期間よりも短い期間においてウェハWの回転の停止が完了するように、回転駆動部34を制御してもよい。
【0064】
次に、制御装置100は、ステップS42を実行する。ステップS42では、例えば、制御装置100が、ステップS41の実行を開始してから減速期間が経過するまで待機する。供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれており、供給処理のステップS18において、減速期間が変更されている場合には、制御装置100は、変更後の減速期間が経過するまで待機する。減速期間が経過すると、停止処理手順が終了する。
【0065】
(目標修正手順)
制御装置100は、複数のウェハWに対する複数の成膜処理の実行に合わせて、目標タイミングts0を修正する処理(目標修正手順)を実行する。図12は、目標修正手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、まずステップS51,S52を実行する。ステップS51では、例えば、1回の供給処理(成膜処理)が実行されると、蓄積部120が、当該供給処理において検出された供給開始タイミングの実績情報を蓄積する。蓄積部120は、供給開始タイミングの検出値を実績情報として実績情報記憶部122に出力する。ステップS52では、例えば、制御装置100が、所定数の実績情報が実績情報記憶部122に蓄積されたかどうかを判断する。制御装置100は、実績情報が所定数に達するまで、ステップS51を繰り返す。これにより、複数回の供給処理での供給開始タイミングの複数の検出値を示す蓄積情報が実績情報記憶部122に記憶される(蓄積される)。
【0066】
次に、制御装置100は、ステップS53,S54を実行する。ステップS53では、例えば、目標修正部124が、実績情報記憶部122に蓄積されている供給開始タイミングの蓄積情報に基づいて目標タイミングts0の適正値を算出する。一例として、目標修正部124は、蓄積情報から供給タイミングの平均値を算出し、この平均値を適正値として算出する。あるいは、目標修正部124は、最も頻度が高い供給タイミングの検出値を、適正値として算出する。ステップS54では、例えば、目標修正部124が、処理情報記憶部104に記憶されている目標タイミングts0の設定値を、ステップS53で算出した適正値に変更する(更新する)。これにより、目標タイミングts0の設定値が修正される。
【0067】
(変形例)
制御装置100は、供給開始タイミングに基づいて、供給完了タイミングを変更せずに、供給用の回転速度ω1を変更してもよい。条件変更部110は、一例として、目標タイミングts0に対する供給開始タイミングのズレΔtに応じて、供給用の回転速度ω1を変更する。条件変更部110は、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対して遅れた場合(ずれΔtが正の値である場合)、当該供給処理での供給用の回転速度ω1を制御条件に定められた基準値よりも大きくする。条件変更部110は、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対して早かった場合(ずれΔtが負の値である場合)、当該供給処理での供給用の回転速度ω1を基準値よりも小さくする。条件変更部110は、供給用の回転速度ω1を変更しても処理液の供給期間の回転回数が目標回転回数Rn0に略一致するように、供給用の回転速度ω1を基準値から変化させてもよい。
【0068】
図13は、供給用の回転速度ω1を変更する場合の供給処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、まずステップS71~S76を実行する。ステップS71~S76は、ステップS11~S16と同様に行われる。つまり、この場合も、図14に示されるように、塗布制御部102は、供給処理の初期期間において供給用の回転速度ω1よりも低い回転速度ω0で回転保持部30によりウェハWを回転させる。
【0069】
次に、制御装置100は、ステップS77を実行する。ステップS77では、ステップS17と同様に、条件変更部110が、ズレΔtがゼロではないかどうかを判断する。ズレΔtがゼロではないと判断された場合(供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれていると判断された場合)、制御装置100は、ステップS78を実行する。ステップS78では、例えば、条件変更部110が、処理液の供給期間中の回転回数が目標回転回数Rn0から変化しないように、ズレΔtに応じて、供給用の回転速度ω1を変更する。例えば、図14に示されるように、条件変更部110は、供給用の回転速度ω1を基準値ω1rから修正値ω1cに変更する。供給用の回転速度ω1を基準値ω1rに維持した場合には、供給開始タイミングの遅れにより処理液の供給期間中の回転回数が目標回転回数Rn0から減少してしまうが、供給用の回転速度ω1の設定値が基準値ω1rよりも大きい修正値ω1cに変更されることで、回転回数の上記減少が抑制される。
【0070】
この例では、条件変更部110は、供給用の回転速度ω1を変更しても供給完了タイミングを変更しないので、減速期間を変更しない。この場合、図15(a)及び図15(b)に示されるように、ズレΔtが生じても、各単位処理の実行期間(成膜処理の実行期間)が変更されない。一方、ステップS77において、ズレΔtがゼロである判断された場合(供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれていないと判断された場合)、制御装置100は、ステップS78を実行しない。
【0071】
次に、制御装置100は、ステップS79,S80,S81,S82を実行する。ステップS79,S80は、ステップS19,S20と同様に行われる。ステップS81では、塗布制御部102が、ステップS11と同様に、処理液の供給を完了させるための完了指令の出力タイミングとなるまで待機する。ただし、ステップS21と異なり、完了指令の出力タイミングは、ズレΔtに応じて変更されない。ステップS82は、ステップS22と同様に行われる。
【0072】
制御装置100は、供給処理のステップS11(ステップS71)において、ウェハWが回転速度ω1で回転するように回転保持部30を制御してもよい。この場合、制御装置100は、ステップS20(ステップS80)を省略してもよい。このように、制御装置100は、目標タイミングts0を含む期間において(供給処理の開始直後から)、供給用の回転速度ω1で回転保持部30によりウェハWを回転させてもよい。
【0073】
制御装置100(条件変更部110)は、供給開始タイミングに基づいて、供給完了タイミングと供給用の回転速度ω1とを変更してもよい。この場合、制御装置100は、供給完了タイミングと供給用の回転速度ω1とのいずれか一方を優先して変更してもよい。例えば、制御装置100は、優先させる一方の変更すべき量が変更可能な範囲を越えた場合に、他方を更に変更してもよい。
【0074】
条件変更部110は、供給開始タイミングに基づき、供給完了タイミング及び供給用の回転速度ω1のいずれか一方を変更した後に、処理液の吐出流量に基づいて、供給完了タイミング及び供給用の回転速度ω1の他方を更に変更してもよい。この場合、制御装置100は、供給開始タイミングの検出後においても、流量測定部48からの流量の測定値の取得を継続してもよい。制御装置100は、流量の測定値として、供給開始からの流量の時間変化を積分して得られる積算した流量を取得してもよい。処理情報記憶部104が記憶する制御条件には、処理液の供給開始後における流量の目標値(以下、「目標流量」という。)が含まれてもよい。
【0075】
条件変更部110は、供給開始タイミングのズレΔtに応じて供給完了タイミングを変更した場合に、吐出流量が目標流量に対してずれるのに応じて(目標流量に対する吐出流量のずれに応じて)、吐出流量の当該ずれを検出した後での供給用の回転速度ω1を変更してもよい。一例として、条件変更部110は、吐出流量が目標流量を越えている場合に、供給用の回転速度ω1を増加させてもよい。条件変更部110は、供給開始タイミングのズレΔtに応じて供給用の回転速度ω1を変更した場合に、吐出流量が目標流量に対してずれるのに応じて(目標流量に対する吐出流量のずれに応じて)、供給完了タイミングを変更してもよい。一例として、条件変更部110は、吐出流量が目標流量を越えている場合に、供給完了タイミングを早めてもよい。
【0076】
[実施形態の効果]
以上説明した実施形態に係る塗布・現像装置2は、ウェハWを保持して回転させる回転保持部30と、回転保持部30に保持されたウェハWの表面Waに処理液を供給する処理液供給部40と、回転保持部30によりウェハWを供給用の回転速度ω1で回転させつつ、当該ウェハWの表面Waに処理液供給部40により処理液を供給させることを含む供給処理と、処理液の供給完了後に処理液がウェハWの表面Waに沿って広がるように回転保持部30によりウェハWを回転させることを含む塗布処理とを実行する塗布制御部102と、処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、処理液の供給開始タイミングを供給処理の実行中に検出する供給開始検出部108と、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれることに起因して、処理液の供給期間中におけるウェハWの回転回数が目標回転回数Rn0からずれることを抑制するように、供給開始タイミングに基づいて、少なくとも処理液の供給完了タイミング又は供給用の回転速度ω1を変更する条件変更部110とを備える。
【0077】
以上説明した実施形態に係る基板処理手順は、ウェハWを保持して回転させることと、ウェハWの表面Waに処理液を供給することと、ウェハWを供給用の回転速度ω1で回転させつつ、当該ウェハWの表面Waに処理液を供給することを含む供給処理と、処理液の供給完了後に処理液がウェハWの表面Waに沿って広がるようにウェハWを回転させることを含む塗布処理とを実行することと、処理液の吐出流量の時間変化に基づいて、処理液の供給開始タイミングを供給処理の実行中に検出することと、供給開始タイミングが目標タイミングts0に対してずれることに起因して、処理液の供給期間中におけるウェハWの回転回数が目標回転回数Rn0からずれることを抑制するように、供給開始タイミングに基づいて、少なくとも処理液の供給完了タイミング又は供給用の回転速度ω1を変更することとを含む。
【0078】
回転しているウェハWの表面Waに処理液を供給する処理において、処理液の供給期間中における回転回数が、当該処理の次に実行され、処理液を表面Waに沿って広げる処理の開始時における処理液の液分布(残量)に影響を与えることが見出された。一方、ウェハWに向けて処理液を供給する処理液供給部からの供給開始時点において、処理液供給部の各要素の個体差又は経時変化等により、供給開始タイミングがばらつく場合がある。供給タイミングがばらつくと、処理液の供給中の回転回数が処理対象のウェハW間で変化し、処理液を表面Waに沿って広げる処理の開始時において、ウェハW間において残量差が生じてしまう。残量差が異なるとウェハW間において膜厚差が生じてしまう。
【0079】
これに対して、上記塗布・現像装置2及び基板処理手順では、供給開始タイミングに基づいて、回転回数が目標回転回数Rn0から変化することが抑制されるように、少なくとも供給完了タイミング又は供給用の回転速度ω1が変更される。このため、塗布処理開始時における処理液の残量のウェハW間でのばらつきが抑制される(ウェハW間での残量差が縮小する)。従って、上記塗布・現像装置2及び基板処理手順は、ウェハW間の膜厚差を低減するのに有用である。
【0080】
条件変更部110は、目標タイミングts0に対する供給開始タイミングのズレΔtに応じて供給完了タイミングを変更してもよい。この場合、処理液を供給させる時間を調節することで、回転回数を目標回転回数Rn0に近づくように調節することができるので、回転回数の調節が容易である。
【0081】
塗布制御部102は、塗布処理の後に、所定の減速期間内にウェハWの回転を回転保持部30により停止させる停止処理を更に実行してもよい。条件変更部110は、供給完了タイミングの変更に応じて減速期間を変更してもよい。この場合、供給完了タイミングの変更に起因して、供給処理を含む一連の処理の実行期間が変化することが抑制される。このため、塗布処理の実行期間を変更する必要がないので、塗布処理でのウェハW間の膜厚差への影響も低減される。従って、ウェハW間の膜厚差を低減するのに更に有用である。
【0082】
条件変更部110は、処理液の供給開始後に、処理液の吐出流量が目標流量に対してずれるのに応じて供給用の回転速度ω1を更に変更してもよい。この場合、供給処理における処理液の供給量のウェハW間でのばらつきも抑制される。従って、ウェハW間の膜厚差を低減するのに更に有用である。
【0083】
条件変更部110は、目標タイミングts0に対する供給開始タイミングのズレΔtに応じて供給用の回転速度ω1を変更してもよい。この場合、供給処理の実行期間への影響を抑えつつ、回転回数を目標回転回数Rn0に近づくように調節することができる。
【0084】
条件変更部110は、処理液の供給開始後に、処理液の吐出流量が目標流量に対してずれるのに応じて供給完了タイミングを更に変更してもよい。この場合、供給処理における処理液の供給量のウェハW間でのばらつきも抑制される。従って、ウェハW間の膜厚差を低減するのに更に有用である。
【0085】
塗布制御部102は、供給処理において、供給用の回転速度ω1で回転保持部30によりウェハWを回転させつつ、当該ウェハWの表面Waに処理液供給部40により処理液を供給させる前に、目標タイミングts0を含む所定の初期期間において供給用の回転速度ω1よりも低い回転速度ω0で回転保持部30によりウェハWを回転させることを更に実行してもよい。供給開始タイミングにズレΔtが生じても、供給開始時の回転速度が小さいので、このズレΔtに起因した回転回数の変化量は小さい。従って、ウェハW間の膜厚差を低減するのに更に有用である。
【0086】
以上説明した塗布・現像装置2は、ウェハWに対する供給処理が実行される度に、供給開始タイミングの実績情報を蓄積する蓄積部120と、実績情報が蓄積された蓄積情報に基づいて、塗布制御部102が処理液供給部40に処理液の供給を開始させる開始指令の出力タイミングと目標タイミングts0との間隔を修正する目標修正部124とを更に備えてもよい。この構成では、供給開始タイミングのズレΔtの傾向に合わせて、目標タイミングts0の設定値を調節することができる。
【0087】
なお、処理対象の基板は半導体ウェハに限られず、例えばガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)などであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…基板処理システム、2…塗布・現像装置、30…回転保持部、40…処理液供給部、100…制御装置、102…塗布制御部、108…供給開始検出部、110…条件変更部、120…蓄積部、124…目標修正部、U1…塗布ユニット、W…ウェハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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