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特許7361202基板処理装置、ガス供給装置、原料供給管の洗浄方法、半導体装置の製造方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】基板処理装置、ガス供給装置、原料供給管の洗浄方法、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20231005BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231005BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C23C16/44 J
C23C16/455
H01L21/31 B
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022510406
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2021011311
(87)【国際公開番号】W WO2021193406
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2020056119
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】磯辺 紀之
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏修
(72)【発明者】
【氏名】黒川 智康
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-088349(JP,A)
【文献】特開平08-017749(JP,A)
【文献】特開2003-303023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/44
C23C 16/455
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、
前記ガス供給系は、
液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、
前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、
前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、を備え、
前記原料供給管には、上流から順に、
前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、
前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、
前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、
前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、が設けられ
前記原料供給管の少なくとも前記第1のバルブよりも下流部分は、前記タンクに対して鉛直に配置されている基板処理装置。
【請求項2】
バイパス配管と、
前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記バイパス配管と前記タンク側の前記原料供給管とを切り換える第5のバルブと、を備え、
前記バイパス配管はポンプに接続される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間の区間に対して加熱部を備える請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記加熱部は、前記洗浄溶媒を気化させる温度に前記原料供給管を加熱する請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記原料供給管内の前記洗浄溶媒が排出されるドレイン容器に接続される排出管を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記排出管に前記洗浄溶媒の排出動作を制御する第6のバルブを備える請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、
前記ガス供給系は、
液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、
前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、
前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、
ポンプに接続されるバイパス配管と、
前記バイパス配管に設けられ、該バイパス配管の圧力を計測する圧力センサと、を備え、
前記原料供給管には、上流から順に、
前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、
前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、
前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、
前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、
前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記バイパス配管と前記タンク側の前記原料供給管とを切り換える第5のバルブと、が設けられる基板処理装置。
【請求項8】
前記圧力センサによる前記バイパス配管の圧力の変動率が所定値以下となったときに、前記不活性ガスの供給を停止するように制御することが可能な制御部を備えた請求項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
液体原料を気化させて原料ガスを発生させるタンクと、
前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、
前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、を備え、
前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、が設けられ
前記原料供給管の少なくとも前記第1のバルブよりも下流部分は、前記タンクに対して鉛直に配置されているガス供給装置。
【請求項10】
液体原料を気化させて原料ガスを発生させるタンクと、
前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、
前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、
ポンプに接続されるバイパス配管と、
前記バイパス配管に設けられ、該バイパス配管の圧力を計測する圧力センサと、を備え、
前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記バイパス配管と前記タンク側の前記原料供給管とを切り換える第5のバルブと、が設けられるガス供給装置。
【請求項11】
基板を処理する処理室と、前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、前記ガス供給系は、液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、が設けられ、前記原料供給管の少なくとも前記第1のバルブよりも下流部分は、前記タンクに対して鉛直に配置されている基板処理装置前記原料供給管に前記洗浄溶媒を供給する第1の工程と、
前記原料供給管に前記洗浄溶媒を封じ込み、前記原料供給管に残留した前記液体原料を溶解させる第2の工程と、
前記液体原料を含む前記洗浄溶媒を前記原料供給管から排出する第3の工程と、を有する原料供給管の洗浄方法。
【請求項12】
前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間の区間に対して加熱部を備え、
前記原料供給管を加熱して前記洗浄溶媒を気化させる第4の工程と、
気化した前記洗浄溶媒を前記原料供給管から排気する第5の工程と、を有する請求項11に記載の原料供給管の洗浄方法。
【請求項13】
前記第1から第3の工程を所定回数繰り返した後に、前記第4の工程を実行する請求項12に記載の原料供給管の洗浄方法。
【請求項14】
前記第1の工程では、前記洗浄溶媒が、前記液体原料よりも上流から、前記原料供給管に供給される請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の原料供給管の洗浄方法。
【請求項15】
バイパス配管が前記原料供給管に接続されており、
前記第5の工程では、気化した前記洗浄溶媒が、前記原料供給管に供給される前記不活性ガスの圧力により前記バイパス配管を通って排気される請求項12に記載の原料供給管の洗浄方法。
【請求項16】
基板を処理する処理室と、前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、前記ガス供給系は、液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、ポンプに接続されるバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられ、該バイパス配管の圧力を計測する圧力センサと、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記バイパス配管と前記タンク側の前記原料供給管とを切り換える第5のバルブと、が設けられる基板処理装置の前記原料供給管に前記洗浄溶媒を供給する第1の工程と、
前記原料供給管に前記洗浄溶媒を封じ込み、前記原料供給管に残留した前記液体原料を溶解させる第2の工程と、
前記液体原料を含む前記洗浄溶媒を前記原料供給管から排出する第3の工程と、を有する原料供給管の洗浄方法。
【請求項17】
基板を処理する処理室と、前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、前記ガス供給系は、液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、が設けられ、前記原料供給管の少なくとも前記第1のバルブよりも下流部分は、前記タンクに対して鉛直に配置されている基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する工程と、
前記基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板を処理する処理室と、前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、前記ガス供給系は、液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、ポンプに接続されるバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられ、該バイパス配管の圧力を計測する圧力センサと、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記バイパス配管と前記タンク側の前記原料供給管とを切り換える第5のバルブと、が設けられる基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する工程と、
前記基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
基板を処理する処理室と、前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、前記ガス供給系は、液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、が設けられ、前記原料供給管の少なくとも前記第1のバルブよりも下流部分は、前記タンクに対して鉛直に配置されている基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する手順と、
前記基板を処理する手順と、をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項20】
基板を処理する処理室と、前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、を有し、前記ガス供給系は、液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、ポンプに接続されるバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられ、該バイパス配管の圧力を計測する圧力センサと、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記バイパス配管と前記タンク側の前記原料供給管とを切り換える第5のバルブと、が設けられる基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する手順と、
前記基板を処理する手順と、をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項21】
液体原料を気化させて原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、が設けられ、前記原料供給管の少なくとも前記第1のバルブよりも下流部分は、前記タンクに対して鉛直に配置されているガス供給装置前記原料供給管に前記洗浄溶媒を供給する第1の手順と、
前記原料供給管に前記洗浄溶媒を封じ込み、前記原料供給管に残留した前記液体原料を溶解させる第2の手順と、
前記液体原料を含む前記洗浄溶媒を前記原料供給管から排出する第3の手順と、をコンピュータにより前記ガス供給装置に実行させるプログラム。
【請求項22】
液体原料を気化させて原料ガスを発生させるタンクと、前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、ポンプに接続されるバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられ、該バイパス配管の圧力を計測する圧力センサと、を備え、前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、前記原料供給管の前記第3のバルブと前記第4のバルブとの間に設けられ、前記バイパス配管と前記タンク側の前記原料供給管とを切り換える第5のバルブと、が設けられるガス供給装置の前記原料供給管に前記洗浄溶媒を供給する第1の手順と、
前記原料供給管に前記洗浄溶媒を封じ込み、前記原料供給管に残留した前記液体原料を溶解させる第2の手順と、
前記液体原料を含む前記洗浄溶媒を前記原料供給管から排出する第3の手順と、をコンピュータにより前記ガス供給装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、ガス供給装置、原料供給管の洗浄方法、半導体装置の製造方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、処理室内に収容された基板上に膜を形成する処理が行われることがある。形成される膜としては、例えば、金属酸化膜が挙げられる。このような金属酸化膜を形成する際、液体原料を気化し気化ガスを使用することがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-173062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、液体原料が気化器で気化されて処理室内に供給されるが、気化の際の加熱の影響により液体原料が気化器内で熱分解することにより、気化器を継続的に使用し続けると、形成される膜に膜質変動や異物が発生するといった不具合が生じる可能性がある。このような不具合を避けるため、気化器を交換する必要が生じる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、液体原料を気化させる気化器(タンク)を、かかる不具合を生じさせることなく交換可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に原料ガスを供給するガス供給系と、
前記処理室に接続された排気管を備え、前記処理室内の雰囲気を排気する排気系と、を有し、
前記ガス供給系は、
液体原料を気化させて前記原料ガスを発生させるタンクと、
前記液体原料を前記タンクに供給する原料供給管と、
前記原料供給管を洗浄する洗浄溶媒を収容する洗浄溶媒容器と、を備え、
前記原料供給管には、上流から順に、前記原料供給管への不活性ガスの供給動作を制御する第1のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガスまたは前記洗浄溶媒の供給動作を制御する第2のバルブと、前記原料供給管への前記不活性ガス、前記洗浄溶媒、または前記液体原料の供給動作を制御する第3のバルブと、前記タンクへの前記原料供給管内の前記液体原料の供給動作を制御する第4のバルブと、が設けられる技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、異物の原因を発生させることなく、液体原料を気化させる気化器を交換可能とする技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】基板処理装置の処理炉の概略構成図(処理炉部分を縦断面図で示す)である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】基板処理装置の配管関係の概略図である。
図4】コントローラの構成を示すブロック図である。
図5】金属酸化膜形成シーケンスを示す図である。
図6】気化器周りの第1の構成例である。
図7】原料供給管の洗浄フローである。
図8】気化器周りの第2の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の好ましい実施の形態について図1~4を参照して説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
基板処理装置10は、加熱手段(加熱機構、加熱系)としてのヒータ207が設けられた処理炉202を備える。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0011】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部と、反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、反応管203はヒータ207と垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成されている。処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。
【0012】
処理室201内には、ノズル410,420が、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420には、ガス供給管310,320が、それぞれ接続されている。ガス供給管310,320はガス供給ラインとして機能する。ノズル410,420をガス供給ラインに含めて考えてもよい。本実施形態の処理炉202は上述の形態に限定されない。ノズル等の数は、必要に応じて、適宜変更される。
【0013】
ガス供給管310,320には、上流方向から順に、タンク(気化器)610,620、開閉弁であるバルブ314,324がそれぞれ設けられている。ガス供給管310,320のバルブ314,324よりも下流側には、ガス供給管510,520がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520は不活性ガスを供給するガス供給ラインとして機能する。ガス供給管510,520には、上流方向から順に、MFC512,522およびバルブ514,516,524,526がそれぞれ設けられている。タンク610,620には、不活性ガスを供給するガス供給ラインとしてのガス供給管530,540が接続されている。ガス供給管530,540には、上流方向から順に、MFC532,542およびバルブ534,544がそれぞれ設けられている。
【0014】
ノズル410,420は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁および反応管203を貫通するように設けられている。ノズル410,420の垂直部は、反応管203とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がり、延在するようにそれぞれ設けられている。
【0015】
ノズル410,420の側面のウエハ200と対応する高さ(ウエハ200の装填領域に対応する高さ)には、ガスを供給する複数のガス供給孔410a,420aがそれぞれ設けられている。ガス供給孔410a,420aは、反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔410a,420aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410a,420aは上述の形態に限定されない。例えば、ノズル410,420の下部(上流側)から上部(下流側)に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410a,420aから供給されるガスの流量をより均一化することが可能となる。
【0016】
ガス供給管310からは、処理ガス(原料ガス)が、バルブ314,516、ノズル410を介して処理室201内へ供給される。原料ガスは、タンク(気化器)610に液体状態で収容されている。不活性ガスがガス供給管530から、MFC532およびバルブ534を介してタンク610内に供給される。また、液体金属原料タンク610の外側には当該液体金属原料タンク610の温度を調整する温度調整機構(例えば、ジャケットヒータによる加熱やペルチェ素子による冷却等)が設けられており液体金属原料タンク610に供給された液体金属原料を温度調整機構により所定の温度にすること、またはキャリアガスとなる不活性ガスの供給量を所定の流量とすること、もしくは温度調整機構と不活性ガスの供給流量の両方とを調整することにより、所定の流量で原料ガスがガス供給管310に流れるようにしている。本明細書において、「原料ガス」という言葉を用いた場合は、「液体状態である原料ガス」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、それらの両方を意味する場合がある。
【0017】
ガス供給管320からは、処理ガス(反応ガス)として、例えば、酸素(O)含有ガスが、バルブ324,526、ノズル420を介して処理室201内へ供給される。酸素含有ガスは、タンク(気化器)620に液体状態で収容されている。不活性ガスがガス供給管540から、MFC542およびバルブ544を介してタンク620内に供給されることにより気化される。そして、気化ガスがガス供給管320へ供給される。本明細書において、「酸素含有ガス」という言葉を用いた場合は、「液体状態である酸素含有ガス」を意味する場合、「気体状態である酸素含有ガス」を意味する場合、または、それらの両方を意味する場合がある。
【0018】
ガス供給管510,520からは、不活性ガスが、それぞれMFC512,522、バルブ514,516,524,526、ガス供給管310,320、ノズル410,420を介して処理室201内へ供給される。
【0019】
主に、ガス供給管310、バルブ314により、原料ガス供給系が構成される。ノズル410を原料ガス供給系に含めて考えてもよいし、タンク(気化器)610、ガス供給管530、MFC532、バルブ534を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0020】
主に、ガス供給管320、バルブ324により、反応ガス供給系が構成される。ノズル420を反応ガス供給系に含めて考えてもよいし、タンク(気化器)620、ガス供給管540、MFC542、バルブ544を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0021】
主に、ガス供給管510,520、MFC512,522、バルブ514,516,524,526により、不活性ガス供給系が構成される。原料ガス供給系、反応ガス供給系を合わせてガス供給系と称することもできる。不活性ガス供給系をガス供給系に含めて考えてもよい。
【0022】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気流路としての排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ243、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0023】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続され、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド209の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を降下させている間、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタが設けられている。シャッタの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリングが設けられている。シャッタの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構により制御される。
【0024】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて装填(配列、載置)させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される図示しない断熱板が多段に支持されている。
【0025】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、ノズル410,420と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0026】
制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0027】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する成膜処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート121dは、上述したまたは後述するMFC512,522,532,542、バルブ314,324,514,516,524,526,534,544,711,712,713,714,715,716,717,801,802、圧力センサ245,724、APCバルブ243、真空ポンプ246,722、温度センサ263、ヒータ207,723、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構等に接続されている。
【0029】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行するとともに、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC512,522,532,542による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,514,516,524,526,534,544,711,712,713,714,715,716,717,801,802の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ243による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構によるシャッタの開閉動作等を制御するように構成されている。
【0030】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0031】
(2)基板処理工程(成膜工程)
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に、金属酸化膜を形成する工程の一例について説明する。金属酸化膜を形成する工程は、上述した基板処理装置10の処理炉202を用いて実行される。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0032】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0033】
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、詳細に説明する。
【0034】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200を処理室201内に搬入(ボートロード)する。具体的には、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0035】
(圧力・温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0036】
(成膜ステップ)
その後、原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップをこの順で所定回数行う。
【0037】
(原料ガス供給ステップ)
バルブ314,516を開き、ガス供給管310内に原料ガスを流す。ガス供給管310内を流れた原料ガスは、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内へ供給される。このときウエハ200に対して原料ガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ514を開き、ガス供給管510内にキャリアガスを流す。ガス供給管510内を流れたキャリアガスは、MFC512により流量調整される。流量調整されたキャリアガスは原料ガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル420内への原料ガスの侵入を防止するために、バルブ524,526を開き、ガス供給管520内にキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管520,ノズル420を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0038】
このときAPCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1~1200Pa、好ましくは10~100Pa、より好ましくは40~60Paの範囲内の(所定の)圧力とする。圧力が1200Paより高いと後述する残留ガス除去が十分に行われない場合があり、圧力が1Paより低いと、原料ガスの反応速度を十分に得られない可能性がある。なお、本明細書では、数値の範囲として、例えば1~1200Paと記載した場合は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味しており、1Pa以上1200Pa以下を意味する。圧力のみならず、本明細書に記載される他の全ての数値についても同様である。
【0039】
原料ガスの供給流量は、例えば0.008~0.1slmの範囲内の(所定の)流量とする。MFC512,522,532で制御するキャリアガスの供給流量は、それぞれ例えば0.1~40slmの範囲内の(所定の)流量とする。原料ガスをウエハ200に対して供給するガス供給時間(照射時間)は、例えば0.1~60秒の範囲内の(所定の)時間とする。
【0040】
このとき処理室201内に流しているガスは、原料ガスとキャリアガスのみである。原料ガスの供給により、ウエハ200上に金属を含む金属含有層が形成される。
【0041】
(残留ガス除去ステップ)
その後、バルブ314を閉じて原料ガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応または上記した金属含有層の形成に寄与した後の原料ガスを処理室201内から排除する。なお、このときバルブ514,524は開いたままとして、キャリアガスの処理室201内への供給を維持する。キャリアガス(不活性ガス)はパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応または上記した金属含有層の形成に寄与した後の原料ガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。このとき、後述する酸素含有供給ステップまで、真空排気とキャリアガスによるガスパージとを同時に行ってもよいし、真空排気とキャリアガスパージとを交互に(サイクリックに)所定回数ずつ行ってもよい。同時に行う場合は、キャリアガスの供給によりガスパージ時の処理室201内の圧力を、原料ガス供給ステップにおける処理室201内の圧力より高くなるよう設定する。交互に行う場合は、例えば、真空排気時の処理室201内の圧力を、原料ガス供給ステップにおける圧力より低い値であって、例えば1~100Paであって、好ましくは1~30Paとなるよう設定し、キャリアガスパージ時の処理室201内の圧力を、原料ガス供給ステップにおける圧力より高い値であって、例えば1~1500Paであって、好ましくは30~130Paとなるよう設定する。真空排気とキャリアガスパージとを交互に行うことにより、残留ガスの除去効率を向上させることが可能となる。
【0042】
(反応ガス供給ステップ)
バルブ324を開き、ガス供給管320内に反応ガスとして酸素含有ガスを流す。ガス供給管320内を流れた酸素含有ガスは、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給される。このとき同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にキャリアガスを流す。ガス供給管520内を流れたキャリアガスは、MFC522により流量調整され、酸素含有ガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル410内への酸素含有ガスの侵入を防止するために、バルブ514,516を開き、ガス供給管510内にキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管510,ノズル410を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0043】
酸素含有ガスを流すときは、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1~1200Pa、好ましくは10~100Pa、より好ましくは30~50Paの範囲内の(所定の)圧力とする。圧力1200Paより高いと後述する残留ガス除去が十分に行われない場合があり、圧力が1Paより低いと、十分な成膜レートが得られない可能性がある。
【0044】
酸素含有ガスの供給流量は、例えば0.1~40slm、好ましくは0.2~20slm、より好ましくは0.2~10slmの範囲内の(所定の)流量とする。流量は多いほど原料ガスに由来する不純物の金属酸化膜中への取り込みを減らすことができるため好ましいが、40slmより多いと後述する残留ガス除去が十分に行われない場合がある。
【0045】
MFC512,522で制御するキャリアガスの供給流量は、それぞれ例えば0.2~30slmの範囲内の(所定の)流量とする。酸素含有ガスをウエハ200に対して供給するガス供給時間(照射時間)は、例えば1~60秒の範囲内の(所定の)時間とする。
【0046】
このとき処理室201内に流しているガスは、酸素含有ガスとキャリアガスのみである。酸素含有ガスは、原料ガス供給ステップでウエハ200上に形成された金属含有層と反応し、ウエハ200上に金属含有酸化層が形成される。
【0047】
(残留ガス除去ステップ)
金属含有酸化層が形成された後、バルブ324を閉じて、酸素含有ガスの供給を停止する。そして、原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは金属含有酸化層形成に寄与した後の酸素含有ガスを処理室201内から排除する。真空排気とキャリア(不活性)ガスパージとを同時に行ってもよいし、真空排気とキャリアガスパージとを交互に(サイクリックに)所定回数ずつ行ってもよい点も、原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様である。
【0048】
(所定回数実施)
図5に示すように、上記した原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス供給ステップを順に行うサイクルを1回以上(所定回数)行うことにより、すなわち、原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス供給ステップの処理を1サイクルとして、これらの処理をnサイクル(nは1以上の整数)だけ実行することにより、ウエハ200上に、所定の厚さ(例えば0.05~100nm)の金属酸化膜を形成する。
【0049】
(パージおよび大気圧復帰)
バルブ514,516,524,526を開き、ガス供給管510,520のそれぞれから不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。不活性ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0050】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0051】
(気化器周りの第1の構成例)
図6にガス供給装置である気化器(タンク610)周りの第1の構成例を示す。タンク610には既に説明したガス供給管310,530の他、液体原料を供給する原料供給管710が接続されている。原料供給管710には、液体原料を収容する液体原料容器721の他、タンク610を交換するときに原料供給管710を洗浄するための機構が備えられている。
【0052】
原料供給管710には、上流から順にバルブ711,713,715,716,717が設けられている。原料供給管710は、液体である液体原料や管内を洗浄するための液体である洗浄溶媒を通しやすく、あるいは後述する気化させた洗浄溶媒をパージしやすくするため、少なくともバルブ711よりも下流部分はタンク610に対して鉛直に配置されている。バルブ711は、原料供給管710への不活性ガスの供給動作(供給/非供給、供給/供給停止)を制御するバルブである。バルブ713は、原料供給管710への不活性ガスまたは洗浄溶媒容器720に収容された洗浄溶媒の供給動作を制御するバルブである。バルブ713は、原料供給管710への洗浄溶媒の供給動作を制御するバルブ712を介して、洗浄溶媒容器720と接続されている。洗浄溶媒としては例えばヘキサン(Hexane)を用いることができる。液体原料であるは蒸気圧が低く、残留した液体原料を気化させて原料供給管710から排出させることが困難であるため、洗浄溶媒に溶かし込んで排出する。ヘキサンの他にもECH(エピクロロヒドリン)などを用いることができる。
【0053】
バルブ715は、原料供給管710への不活性ガス、洗浄溶媒容器720に収容された洗浄溶媒、または液体原料容器に収容された液体原料の供給動作を制御するバルブである。バルブ715は、原料供給管710への液体原料の供給動作を制御するバルブ714を介して、液体原料容器721と接続されている。
【0054】
バルブ716は、タンク610側の原料供給管710とバイパス配管718とを切り換えるバルブ(三方弁)である。バイパス配管718は真空ポンプ722が接続される。真空ポンプ722には排気管719が接続されている。バイパス配管718にはバイパス管内の圧力を測定する圧力センサ724が設けられている。なお、真空ポンプ722は、処理室201を排気する真空ポンプ246と共用させることができる。
【0055】
バルブ717は、タンク610への原料供給管710内の液体原料の供給動作を制御するバルブであり、流量制御機能を備えている。さらに、バルブ715とバルブ717間の原料供給管710の区間に対して加熱部としてのヒータ723が設けられている。ヒータ723は、原料供給管710の温度を、洗浄溶媒を気化させる温度(例えば、ヘキサンの場合であれば60℃)に加熱する能力を有する。後述するように、洗浄溶媒を気化させてバイパス配管718を通して原料供給管710から排出するため、ヒータ723は、洗浄溶媒がバイパス配管718内で結露しないよう、バイパス配管718についても加熱できるようになっていてもよい。
【0056】
通常、バルブ711,712,713は閉じられ、バルブ714,715,716(原料供給管710側),717が開かれることにより、液体原料容器721に収容された液体原料はタンク610に供給される。供給された液体原料はタンク610において気化され、基板処理が行われる。
【0057】
タンク610の交換を行う場合、交換に先立ち原料供給管710の洗浄を行う必要がある。バルブ715からタンク610までの原料供給管710及びバルブ715,716,717に液体原料が残留している場合があり、これらを除去し、タンク610を適切に交換するためである。例えば、液体原料として、後述するTDMAT等を用いる場合、大気と反応して副生成物が原料供給管710に付着してしまうと異物の発生原因となってしまうため、上記した原料供給管710及びバルブに残留した液体原料は除去しておく必要がある。
【0058】
図7に、第1の構成例における原料供給管710の洗浄フローを示す。原料供給管710の洗浄は制御プログラムの1つとして、CPU121aにより実行される。
【0059】
S10:バルブ711,714,717を閉じ、バルブ712,713,715,716(原料供給管710側)を開いた状態で、洗浄溶媒容器720から洗浄溶媒を原料供給管710に供給する。
【0060】
S11:所定容量の洗浄溶媒を供給した後、バルブ713を閉じ、バルブ715とバルブ717との間に洗浄溶媒を封じ込める(パッキング)。所定の時間、洗浄溶媒が原料供給管710に満たされることにより、原料供給管内壁に残留した液体原料が洗浄溶媒に溶け出す。
【0061】
S12:所定時間経過後に、バルブ717を開いて、溶け出した液体原料を含む洗浄溶媒をタンク610に排出する。
【0062】
S13:ステップS10~S12の工程を所定回数実行したかを判定し、所定回数繰り返した後にステップS14に進む。繰り返し回数は、残留した液体原料を十分除去できる回数として、例えば5回というように定めておく。
【0063】
S14:バルブ717を閉じ、ヒータ723により洗浄溶媒が気化する所定温度にまで原料供給管710を加熱する。
【0064】
S15:ステップS14により洗浄溶媒が気化し、バルブ711,713,715,716(バイパス配管718側)を開いた状態で、原料供給管710の上流から不活性ガスを供給することにより、不活性ガスの圧力により気化した洗浄媒体を、バイパス配管718を介して、排気管719から排気する。この期間、圧力センサ724により、バイパス配管718内の圧力を計測し、圧力の変動率が所定以下となったときに、洗浄溶媒が原料供給管710から排出されたと判断し、不活性ガスの供給を終了する。
【0065】
以上の洗浄フローにより、原料供給管710の洗浄は完了し、タンク610が交換可能になる。
【0066】
(気化器周りの第2の構成例)
図8にガス供給装置である気化器(タンク610)周りの第2の構成例を示す。第1の構成例との違いは、溶け出した液体原料を含む洗浄溶媒の排出先としてドレイン容器810が設けられている点である。図6に示す第1の構成例と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。ドレイン容器810に接続される排出管805には、原料供給管710から溶け出した液体原料を含む洗浄溶媒のドレイン容器810への排出動作(排出/非排出、排出/排出停止)を制御するバルブ801が設けられ、排出管805は、バルブ802を介して原料供給管710に接続される。排出管805は、水平部分や急激な屈曲が少なくなるように、傾斜して設けられ、より好ましくは、90度以上の屈曲を使用せずに、所定以上の傾斜度で配置される。
【0067】
通常、バルブ711,712,713,801は閉じられ、バルブ714,715,802,716(原料供給管710側),717が開かれることにより、液体原料容器721に収容された液体原料はタンク610に供給される。供給された液体原料はタンク610において気化され、基板処理に用いられる。
【0068】
第2の構成例における原料供給管710の洗浄フローも図7と同じである。
【0069】
S10:バルブ711,714,801,717を閉じ、バルブ712,713,715,802,716(原料供給管710側)を開いた状態で、洗浄溶媒容器720から洗浄溶媒を原料供給管710に供給する。
【0070】
S11:第1の構成例の場合と同じである。
【0071】
S12:所定時間経過後に、バルブ801を開いて、溶け出した液体原料を含む洗浄溶媒を、排出管805を介してドレイン容器810に排出する。洗浄溶媒の排出後、バルブ801を閉じる。
【0072】
S13:第1の構成例の場合と同じである。
【0073】
S14:ヒータ723により洗浄溶媒が気化する所定温度にまで原料供給管710を加熱する。
【0074】
S15:ステップS14により洗浄溶媒が気化し、バルブ711,713,715,802,716(バイパス配管718側)を開いた状態で、原料供給管710の上流から不活性ガスを供給することにより、不活性ガスの圧力により気化した洗浄媒体を、バイパス配管718を介して、排気管719から排気する。この期間、圧力センサ724により、バイパス配管718内の圧力を計測し、圧力の変動率が所定以下となったときに、洗浄溶媒が原料供給管710から排出されたと判断し、不活性ガスの供給を終了する。
【0075】
以上の洗浄フローにより、原料供給管710の洗浄は完了し、タンク610が交換可能になる。
【0076】
なお、第2の構成例では、原料供給管にバルブ801を設ける構成で説明したが、バルブ717を三方弁のバルブとし、この三方弁バルブに、ドレイン容器810に接続される排出管805を接続し、ドレイン容器810への原料供給管710から溶け出した液体原料を含む洗浄溶媒の排出動作を制御するバルブ801を排出管805に設けるようにしてもよい。
【0077】
以上説明した各実施形態は、適宜組み合わせて用いることができる。さらに、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0078】
上述の実施形態では、金属元素を用いて金属酸化膜を形成する場合について述べたが、有機系原料を使用して形成する膜であれば、他の膜にも適用可能である。例えば、ジルコニウム酸化膜(ZrO)、ハフニウム酸化膜(HfO)、アルミニウム酸化膜(Al)、タングステン酸化膜(WO)、チタン酸化膜(TiO)、タンタル酸化膜(Ta)等が挙げられる。
【0079】
有機系原料ガスとしては、例えば、クロロトリ(N-エチルメチルアミノ)チタン(Ti[N(CH)CHCHCl、略称TIA)、テトラキスジエチルアミノチタン(Ti[N(CHCH、略称TDEAT)、テトラキスジメチルアミノチタン(Ti[N(CH、略称TDMAT)、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(Zr[N(CH)CHCH、略称TEMAZ)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Hf[N(CH)CHCH、略称TEMAH)、トリメチルアルミニウム((CHAl)、略称TMA)、ビス(ターシャリブチルイミノ)ビス(ターシャリブチルアミノ)タングステン((CNH)W(CN)、)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO))、ペンタエトキシタンタル(Ta(OC、略称PET)、トリスエチルメチルアミノターシャリーブチルイミノタンタル(Ta[NC(CH][N(C)CH、略称TBTEMT)等を用いることも可能である。
【0080】
反応ガスとしては、酸素含有ガスとして、例えば、プラズマ励起した酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)、過酸化水素(H)、亜酸化窒素(NO)、プラズマ励起したO+Hの混合ガス等を用いることも可能である。
【0081】
また、上述の実施形態では、不活性ガスとしては、Nガスや、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0082】
また、金属酸化膜を形成する下地膜は、適宜選択可能だが、例えば、シリコン(Si)膜等が挙げられる。
【0083】
上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置であって、1つの反応管内に処理ガスを供給するノズルが立設され、反応管の下部に排気口が設けられた構造を有する処理炉を用いて成膜する例について説明したが、他の構造を有する処理炉を用いて成膜する場合にも本開示を適用可能である。例えば、同心円状の断面を有する2つの反応管(外側の反応管をアウタチューブ、内側の反応管をインナチューブと称する)を有し、インナチューブ内に立設されたノズルから、アウタチューブの側壁であって基板を挟んでノズルと対向する位置(線対称の位置)に開口する排気口へ処理ガスが流れる構造を有する処理炉を用いて成膜する場合にも本開示を適用可能である。また、処理ガスはインナチューブ内に立設されたノズルから供給されるのではなく、インナチューブの側壁に開口するガス供給口から供給されるようにしてもよい。このとき、アウタチューブに開口する排気口は、処理室内に積層して収容された複数枚の基板が存在する高さに応じて開口していてもよい。また、排気口の形状は穴形状であってもよいし、スリット形状であってもよい。
【0084】
成膜処理やクリーニング処理に用いられるレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、処理内容(形成、或いは、除去する膜の種類、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになり、それぞれの場合に適正な処理を行うことができるようになる。また、オペレータの負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0085】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0086】
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。これらの場合においても、処理手順、処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理手順、処理条件とすることができる。
【符号の説明】
【0087】
10・・・基板処理装置、121・・・コントローラ、200・・・ウエハ、201・・・処理室、202・・・処理炉。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8