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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】放射源試験
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022521166
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 US2020055987
(87)【国際公開番号】W WO2021086640
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】62/928,254
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バート,ラッセル,アレン
(72)【発明者】
【氏名】ダフィー,トーマス,パトリック
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-358064(JP,A)
【文献】特開2013-239572(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229823(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成する方法であって、
前記放射源の複数の発射パターンに対応するデータを受信するステップと、
前記データを分析して前記放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するステップと、
を備えており、
前記パラメータは、前記パラメータを用いて構成される前記1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの前記放射源の安定性が前記複数の発射パターンを実行するときの前記放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように決定され、
前記放射源によって実行されるときの前記1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、前記放射源によって実行されるときの前記複数の発射パターンの持続時間よりも短くなる、方法。
【請求項2】
前記放射源の前記安定性は固有の安定性である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記放射源の前記安定性は能動的に制御された安定性である、請求項1の方法。
【請求項4】
前記放射源の前記安定性は、波長安定性、帯域幅安定性、エネルギ安定性、温度安定性のうち少なくとも1つである、請求項1の方法。
【請求項5】
前記パラメータは、
繰り返し起こる同一の発射パターンの量、予め定義された閾値内の特徴を有する発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターン又はシーケンスの繰り返しの頻度、放射の波長、帯域幅、及び/又はエネルギの誘起変動、放射源の温度の誘起変動
のうち少なくとも1つに基づいて決定される、請求項1の方法。
【請求項6】
前記放射源を前記パラメータで制御するためのコンピュータ用プログラムを構成するステップを更に備える、請求項1の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の更なる発射パターンを実行するように前記放射源を制御するステップを更に備える、請求項1の方法。
【請求項8】
前記放射源は、前記リソグラフィ装置がオフライン構成であるときに試験される、請求項7の方法。
【請求項9】
前記放射源の前記複数の発射パターンに対応する前記データは、前記放射源がリソグラフィ装置の制御下にあるときに生成される、請求項1の方法。
【請求項10】
リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成するシステムであって、
前記放射源の複数の発射パターンに対応するデータを記憶するように構成されたデータ記憶デバイスと、
通信可能に前記データ記憶デバイスに連結されると共に、前記データを分析して前記放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するように構成されたプロセッサと、
を備えており、
前記パラメータは、前記パラメータを用いて構成される前記1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの前記放射源の安定性が前記複数の発射パターンを実行するときの前記放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように決定され、
前記放射源によって実行されるときの前記1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、前記放射源によって実行されるときの前記複数の発射パターンの持続時間よりも短くなる、システム。
【請求項11】
前記リソグラフィ装置を更に備え、前記リソグラフィ装置は、前記放射源を制御するように及び前記複数の発射パターンに対応する前記データを生成するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記リソグラフィ装置は、前記リソグラフィ装置が前記1つ以上の更なる発射パターンを実行するように前記放射源を制御するべく構成されるように、前記プロセッサを備えるか、又は通信可能に前記プロセッサに連結される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成する方法であって、
前記放射源の第1の1つ以上の発射パターンに対応する第1のデータを受信することと、
他の発射パターン及び/又は発射パターンの他の部分に対して予め定義された範囲内で前記放射源の安定性に影響を与える発射パターン及び/又は発射パターンの部分を識別するために、前記第1のデータを分析することと、
記放射源の第2の1つ以上の発射パターンに対応する第2のデータを生成することであって、前記第2のデータは前記第1のデータの前記分析に基づく、生成することと、
を備える、方法。
【請求項14】
前記第1のデータを前記分析することは、前記予め定義された範囲内で前記放射源の安定性に影響を与える発射パターンの1つ以上の連続部分を識別することを備える、請求項13の方法。
【請求項15】
前記放射源によって実行されるときの前記第1の1つ以上の発射パターンは第1の期間に及び、前記放射源によって実行されるときの前記第2の1つ以上の発射パターンは第2の期間に及び、前記第1の期間は前記第2の期間よりも実質的に長い、請求項13の方法。
【請求項16】
前記放射源の前記安定性は、波長安定性、帯域幅安定性、エネルギ安定性、温度安定性のうち少なくとも1つである、請求項13の方法。
【請求項17】
前記第1及び/又は第2のデータは1つ以上の発射パターンの特徴を備えており、前記特徴は、
発射パターンの量と、
一意の発射パターンの量と、
1つ以上の発射パターンの頻度と、
発射パターン当たりのバーストの量と、
バースト当たりのパルスの量と、
デューティサイクル情報と、
頻度及び/又は振幅及び/又は位相変調情報と、
1つ以上のタイムスタンプと、
放射源識別情報と、
パターン当たりのビームエネルギプロファイルと、
パターン当たりのビーム波長プロファイルと、
パターン当たりのビーム帯域幅プロファイルと、
のうち少なくとも1つを備える、請求項13の方法。
【請求項18】
入力発射パターンを受信することであって、前記入力発射パターンはリソグラフィ光源の動作の際に前記リソグラフィ光源によって用いられる発射パターンを備える、受信することと、
前記入力発射パターンの繰り返し起こる類似の部分を検出することと、
1つ以上の試験発射パターンの構成を生成することであって、前記試験発射パターンの各々が前記入力発射パターンの複数の前記繰り返し起こる類似の部分を表す、生成することと、
前記試験発射パターンの前記構成をメモリに記憶することと、
を備える、方法。
【請求項19】
前記放射源の試験手順の際に前記試験発射パターンを前記放射源に提供すること
を更に備える、請求項18の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は2019年10月30日に提出され、RADIATION SOURCE TESTINGと題された米国出願第62/928,254号の優先権を主張するものであり、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、放射源用の試験を生成する方法及びシステム、並びに関連するコンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、及びデータ処理装置に関する。放射源は、リソグラフィ装置のための放射源であり得る。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)でのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0005】
[0005] 電磁放射は、例えばEUV又は深紫外線(DUV)放射源であり得る放射源によって提供され得る。そのような放射源は、典型的にはリソグラフィプロセス全体を通じて所望の特徴を有する放射を提供するように制御され、したがって、基板において正しく且つ適時の放射線量が提供されることが保証される。精度が良く信頼性の高い放射源はリソグラフィプロセスにとって重要である。
【0006】
[0006] 放射源の精度及び/又は信頼性及び/又は安定性を確保するためには、間隔を置いて放射源を試験するのが望ましい。しかしながら、生産環境においては、生産プロセスを著しく中断させることなく放射源を試験する機会は限られているかもしれない。
【0007】
[0007] また、生産環境において用いられる使用プロファイルに可能な限り類似した使用プロファイルで放射源を試験するのが望ましい。しかしながら、生産環境において用いられる使用プロファイルは専有情報を含み得るものであるから、使用プロファイルに関係する情報は、放射源を試験するという目的では、容易に利用可能又はアクセス可能ではないかもしれない。
【0008】
[0008] こうした背景は、当業の読者が以下の説明をより良く理解することを可能にするように状況を説明するのに役立つ。したがって、上記の議論はいずれも、必ずしも、その議論が技術水準の一部である又は技術常識であるという認識と見なされるべきではない。本発明の1つ以上の態様/実施形態は、1つ以上の背景問題に対処してもよいし又はしなくてもよい。
【0009】
[0009] 本発明の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの実施形態の目的は、従来技術の少なくとも1つの課題を除去又は少なくとも緩和することである。
【0010】
[0010] また、本発明の少なくとも1つの態様の少なくとも1つの実施形態の目的は、放射源を試験するための技術的及び商業的に効果的な方法を提供することである。
【発明の概要】
【0011】
[0011] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置のための放射源用の試験を生成する方法が提供され、方法は、放射源の複数の発射パターンに対応するデータを受信するステップと、そのデータを分析して放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するステップと、を備えており、パラメータは、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように、及び、放射源によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間が放射源によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなるように、決定される。
【0012】
[0012] 有利なことには、そのような方法は、基板生産の際に用いられる使用プロファイルと実質的に同じ効果を放射源に対して有する使用プロファイルでの放射源の試験を可能にする。つまり、放射源は、例えば放射源の安定性に対して、基板生産の際に用いられる使用プロファイルと実質的に同じ効果を有する使用プロファイルで試験される。そのような方法に従って放射源を試験することによって、及びそれにより基板生産の際に放射源がストレスを与えられるであろう手法とほとんど同じ手法で放射源にストレスを与えることによって、放射源の精度及び/又は信頼性及び/又は安定性の信頼度が高められ得る。
【0013】
[0013] 放射源の安定性は固有の安定性であってもよい。
【0014】
[0014] 放射源の安定性は能動的に制御された安定性であってもよい。
【0015】
[0015] 放射源の安定性は、波長安定性、帯域幅安定性、エネルギ安定性、温度安定性のうち少なくとも1つであってもよい。
【0016】
[0016] 予め定義された境界は、放射源からの放射の目標波長及び/又は帯域幅及び/又はエネルギのうち少なくとも1つ、及び/又は放射源の目標温度からの、定義された偏差に対応し得る。
【0017】
[0017] パラメータは、パターンの量と、一意の(unique)パターンの量と、一意のパターンの特徴と、パターンの頻度と、パターン当たりのバーストの量と、バースト当たりのパルスの量と、デューティサイクル情報と、頻度及び/又は振幅及び/又は位相変調情報と、タイムスタンプと、放射源識別情報と、パターン当たりのビームエネルギプロファイルと、パターン当たりのビーム波長プロファイルと、パターン当たりのビーム帯域幅プロファイルとのうち少なくとも1つを備え得る。
【0018】
[0018] パラメータは、繰り返し起こる同一の発射パターンの量、予め定義された閾値内の特徴を有する発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターン又はシーケンスの繰り返しの頻度、放射の波長、帯域幅、及び/又はエネルギの誘起変動、放射源の温度の誘起変動のうち少なくとも1つに基づいて決定され得る。
【0019】
[0019] 方法は更に、放射源をパラメータで制御するためのコンピュータ用プログラムを構成するステップを備え得る。
【0020】
[0020] 方法は更に、1つ以上の更なる発射パターンを実行するように放射源を制御するステップを備え得る。
【0021】
[0021] 放射源は、リソグラフィ装置がオフライン構成であるときに試験され得る。
【0022】
[0022] 放射源の複数の発射パターンに対応するデータは、放射源がリソグラフィ装置の制御下にあるときに生成され得る。
【0023】
[0023] 第1の態様による方法の全てのステップは、半導体製造設備内でインシチュ(in situ)で実施され得る。
【0024】
[0024] 本発明の第2の態様によれば、コンピュータプログラムが提供され、コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、第1の態様による方法を行わせる命令を備える。
【0025】
[0025] コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、1つ以上の更なる発射パターンを実行するように放射源を制御させる命令を備え得る。
【0026】
[0026] コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、パラメータに対応するデータを別のプログラムに提供させる命令を備え得る。
【0027】
[0027] コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、別のコンピュータに実行させるパラメータに対応するスクリプトを生成させる命令を備え得る。
【0028】
[0028] コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、別のコンピュータ上のスクリプト又はプログラム用のパラメータに対応するデータを生成させる命令を備え得る。
【0029】
[0029] 本発明の第3の態様によれば、第2の態様によるコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0030】
[0030] 本発明の第4の態様によれば、第1の態様による方法を実施するように適合されたメモリとプロセッサとを備えるデータ処理装置が提供される。
【0031】
[0031] 本発明の第5の態様によれば、リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成するシステムが提供され、システムは、放射源の複数の発射パターンに対応するデータを記憶するように構成されたデータ記憶デバイスと、通信可能にデータ記憶デバイスに連結されると共に、データを分析して放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するように構成されたプロセッサと、を備えており、パラメータは、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように、及び、放射源によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間が放射源によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなるように、決定される。
【0032】
[0032] システムは放射源を備え得る。放射源はDUV又はEUV放射源であり得る。
【0033】
[0033] システムはリソグラフィ装置を備え得る。リソグラフィ装置は、放射源を制御するように及び/又は複数の発射パターンに対応するデータを生成するように構成され得る。
【0034】
[0034] リソグラフィ装置は、リソグラフィ装置が第2の1つ以上の発射パターンを実行するように放射源を制御するべく構成され得るように、プロセッサを備え得るか、又は通信可能にプロセッサに連結され得る。
【0035】
[0035] 本発明の第6の態様によれば、リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成する方法が提供され、方法は、放射源の第1の1つ以上の発射パターンに対応する第1のデータを受信することと、他の発射パターン及び/又は発射パターンの他の部分に対して予め定義された範囲内で放射源の安定性に影響を与える発射パターン及び/又は発射パターンの部分を識別するために、第1のデータを分析することと、第2のデータは第1のデータの分析に基づくところ、放射源の第2の1つ以上の発射パターンに対応する第2のデータを生成することと、を備える。
【0036】
[0036] 方法は、放射源を第2の1つ以上の発射パターンで動作させるように第2のデータでコンピュータプログラムを構成することを備え得る。
【0037】
[0037] 第1のデータを分析することは第1のデータを別々のビンにビニングすることを備えていてもよく、別々のビンは閾値によって定義され、その閾値内で放射源の安定性が予め定義された範囲よりも少なく変動し得る。
【0038】
[0038] 第1のデータを分析することは、予め定義された範囲内で放射源の安定性に影響を与え得る発射パターンの1つ以上の連続部分を識別することを備え得る。
【0039】
[0039] 複数の発射パターンは第1の期間に及び得る。放射源によって実行されるときの第2の1つ以上の発射パターンは第2の期間に及び得る。第1の期間は第2の期間よりも実質的に長くてもよい。
【0040】
[0040] 放射源の安定性は、固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性であり得る。放射源の安定性は、波長安定性、帯域幅安定性、エネルギ安定性、温度安定性のうち少なくとも1つであり得る。
【0041】
[0041] 第1のデータは放射源の使用プロファイルに対応し得る。
【0042】
[0042] 第1及び/又は第2のデータは1つ以上の発射パターンの特徴を備えていてもよく、特徴は、発射パターンの量と、一意の発射パターンの量と、1つ以上の発射パターンの頻度と、発射パターン当たりのバーストの量と、バースト当たりのパルスの量と、デューティサイクル情報と、頻度及び/又は振幅及び/又は位相変調情報と、1つ以上のタイムスタンプと、放射源識別情報と、パターン当たりのビームエネルギプロファイルと、パターン当たりのビーム波長プロファイルと、パターン当たりのビーム帯域幅プロファイルとのうち少なくとも1つを備える。
【図面の簡単な説明】
【0043】
[0043] 本発明の実施形態を、添付の概略図を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0044】
図1】[0044] リソグラフィ装置と放射源とを備えたリソグラフィシステムを図示する。
図2】[0045] 3つの基板についての放射源発射パターンを表すデータの一例を提供する。
図3】[0046] リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成する方法を示す。
図4】[0047] 3つの基板についての放射源発射パターンを表すデータの更なる一例を提供する。
図5】[0048] 発射パターンからシグネチャを引き出すプロセスの一例を示す。
図6】[0049] 半導体製造環境において複数の類似の発射パターンから引き出されるシグネチャの一例を示す。
図7】[0050] 実験データの表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[0051] 本文献では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長)及びEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含するために使用される。「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0046】
[0052] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射、又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに連結されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構築された第2のポジショナPWに連結された基板サポート(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0047】
[0053] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射源SOから放射ビームを受ける。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使用して放射ビームBを調節し、パターニングデバイスMAの平面において、その断面にわたって所望の空間及び角度強度分布が得られるようにしてもよい。
【0048】
[0054] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈するべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0049】
[0055] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を例えば水のような比較的高い屈折率を有する液体で覆うことができるタイプでもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、参照により本願に含まれる米国特許第6952253号に与えられている。
【0050】
[0056] リソグラフィ装置LAは、2つ以上の基板サポートWTを有するタイプである場合もある(「デュアルステージ」とも呼ばれる)。こうした「マルチステージ」機械において、基板サポートWTを並行して使用するか、及び/又は、一方の基板サポートWT上の基板Wにパターンを露光するためこの基板を用いている間に、他方の基板サポートWT上に配置された基板Wに対して基板Wの以降の露光の準備ステップを実行することができる。
【0051】
[0057] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含むことができる。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するように配置できる。測定ステージは複数のセンサを保持することができる。クリーニングデバイスは、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部のような、リソグラフィ装置の一部をクリーニングするように配置できる。基板サポートWTが投影システムPSから離れている場合、測定ステージは投影システムPSの下方で移動することができる。
【0052】
[0058] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されている、例えばマスクのようなパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターンが付与される。マスクMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFを用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板サポートWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(図1には明示的に図示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示されている基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占有するが、それらをターゲット部分間の空間に位置付けることも可能である。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分C間に位置付けられている場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0053】
[0059] 放射源SOは、所望の放射線量を基板に提供するために、予め定義された特徴及びタイミングを有する放射ビームBを提供するように構成され得る。よって、放射源SOによって生成される放射ビームBは1つ以上の発射パターンとして提供され、発射パターンはビームBの特徴を定義する。
【0054】
[0060] 発射パターンとは、放射源SOからのビームBの特徴を説明するために本技術分野において用いられる用語である。例えば、発射パターンは放射のパルスのシーケンスを備え得る。パルスのシーケンスは、例えば、必要な間隔で必要な放射線量を基板に提供するために、特定のタイミング及び/又は持続時間、例えば頻度及び/又はデューティサイクルを有し得る。
【0055】
[0061] 放射のパルスは放射源SOによって、バースト、例えばパルスのシーケンスとして出射され得る。例えば、半導体製造環境における典型的な放射のバーストは、数百の範囲の放射のパルスを備え得る。必ずしもそうではないが一般的には、バースト内のパルスは周期的であって、例えばバースト内の各パルスが実質的に同じ持続時間及び/又はデューティサイクルを有しており、したがって、同じバースト内の別のパルスと実質的に同量の放射を基板に送達する。
【0056】
[0062] 各バーストにおけるパルスの量はリソグラフィプロセスにあたって制御され得る。よって、あるバーストにおけるパルスの量は、先行する又は後続のバーストにおけるパルスの量とは異なり得る。
【0057】
[0063] バースト内のパルスの頻度はバースト反復率として表され得る。例えば、半導体製造環境におけるバースト内のパルスはkHz範囲の反復率を有し得る。各バーストの反復率もリソグラフィプロセス全体を通して制御され得る。よって、あるバーストにおけるパルスの頻度は、先行する又は後続のバーストにおけるパルスの頻度とは異なり得る。
【0058】
[0064] バースト間隔又はバースト間間隔として知られるバースト間の間隔はリソグラフィプロセスにあたって制御され得る。半導体製造環境におけるパルスのバースト間の間隔は、例えば、ミリ秒から秒の範囲であり得る。
【0059】
[0065] 例のみを目的として、図2は、3つの基板についての放射源発射パターンを表すデータの一例を提供する。第1のグラフ100は、3つの基板の各々について、発射パターンのバースト当たりのパルスの量を示す。横軸はバースト指標を表す。例えば、第1の基板の20番目のバーストはおよそ180の放射のパルスを備え、第2の基板の20番目のバーストはおよそ250の放射のパルスを備え、第3の基板の20番目のバーストはおよそ370の放射のパルスを備えていたことがわかる。図2に示される3つの基板の発射パターンは任意の時系列であり得ることは理解されるであろう。つまり、第1、第2、又は第3の発射パターンのうちいずれかを表すデータは、第1、第2、又は第3の発射パターンのうち他のいずれかの前又は後に発生する発射パターンを表し得る。
【0060】
[0066] 第2のグラフ110は、発射パターンの各バーストにおけるパルスの反復率を示す。例えば、第1の基板の20番目のバーストはおよそ4000Hzの反復率を有し、第2の基板の20番目のバーストはおよそ4400Hzの反復率を有し、第3の基板の20番目のバーストはおよそ5400Hzの反復率を有していたことがわかる。図2に示される3つの基板の発射パターンは任意の時系列であり得ることは理解されるであろう。つまり、第1、第2、又は第3の発射パターンのうちいずれかを表すデータは、第1、第2、又は第3の発射パターンのうち他のいずれかの前又は後に発生する発射パターンを表し得る。
【0061】
[0067] 第3のグラフ120は、各発射パターンの各バーストのバースト間隔を示す。例えば、第1の基板の発射パターンの20番目のバーストはおよそ0.08秒のバースト間隔を有し、第2の基板の発射パターンの20番目のバーストはおよそ0.16秒のバースト間隔を有し、第3の基板の発射パターンの20番目のバーストはおよそ0.40秒のバースト間隔を有していた。図2に示される3つの基板の発射パターンは任意の時系列であり得ることは理解されるであろう。つまり、第1、第2、又は第3の発射パターンのうちいずれかを表すデータは、第1、第2、又は第3の発射パターンのうち他のいずれかの前又は後に発生する発射パターンを表し得る。
【0062】
[0068] よって、グラフ100,110,120からは、異なる基板の発射パターンはそれらの特徴に関して異なり得ることがわかる。また、任意の所与の基板について、発射パターンの特徴は経時的に変動することもわかる。つまり、ある発射パターンのバースト間隔、反復率、及びバースト当たりのパルスは、経時的に変動し得る、及び/又は基板毎に異なり得る。
【0063】
[0069] 発射パターンの特徴のこのような変動は、放射源SOの固有のダイナミクス及び/又はコントローラ安定性に影響し得る。つまり、放射源SOは、定義された特徴、例えば特定の頻度で送達される特定のエネルギレベルを有する放射を提供することを要求され得る。発射パターンの特徴の変動は、目標パラメータを満足する放射を送達する放射源の能力に影響を与え得る。
【0064】
[0070] 放射源SOは、放射源SOによって出射される放射が所望の規格を満足するように、放射源SO内及び/又はリソグラフィ装置LA全体のアクチュエータを調整するように構成可能な少なくとも1つ、典型的には複数のフィードバックコントローラを備え得る。例えば、目標放射波長が193.0nmであり放射源SOが193.1nmの波長の放射を出射する場合には、波長コントローラとして知られるコントローラが、出射される放射の波長の0.1nmの誤差を観測し得ると共に、後続の放射のパルスが193.0nmの波長を有して目標波長を満足するように放射源SO内の内部部品を適宜に調整し得る。
【0065】
[0071] 放射源SOは、フィードバックコントローラがあってもなくても動作することができる。フィードバックコントローラが存在しない又は使用可能にされていない状態での動作は、「固有動作」として知られる。上記の例を続けると、フィードバックコントローラが使用可能にされていない状態でパルス毎に10mJを目標とする放射源SOからの一連のパルスのエネルギは、例えば、10.4mJ、10.9mJ、及び9.2mJであり得る。
【0066】
[0072] 対照的に、フィードバックコントローラが使用可能にされると、放射源SOの性能は安定化される、又はより迅速に安定化され、したがって、パルスのエネルギは、例えば、10.1mJ、10.2mJ、及び9.9mJに改善され得る。つまり、パルス毎の目標エネルギレベルからの偏差が低減される、又はより迅速に低減された。
【0067】
[0073] フィードバックコントローラが使用不能にされた状態での放射源SOの安定性は、光源の固有安定性として知られる。コントローラが使用不能にされるときの発射パターンの変化などに起因する放射源の出力の変動は、放射源SOの固有のダイナミクスとして知られ又はこれを表す。放射源SOの固有の安定性はそのような固有のダイナミクスに依存する。
【0068】
[0074] フィードバックコントローラが使用可能にされた状態の放射源SOの安定性は、放射源SOの制御された安定性として知られる。
【0069】
[0075] 放射源SOの発射パターンの変化は、1つ又は複数のフィードバックコントローラの固有の安定性及び制御された安定性の両方に影響を与え得る。
【0070】
[0076] 特に、固有の安定性は、バースト反復率の変化に概して敏感である。つまり、発射パターンのバースト反復率の変化は、放射源SOの固有の性能、例えば目標規格を満足する放射を出力する放射源の能力を、少なくとも一時的に低下させ得る。
【0071】
[0077] 同様に、1つ以上のフィードバックコントローラの制御された安定性は、発射パターンの変化に特に敏感であり得る。例えば、バースト間の長い間隔はコントローラの機能性に干渉し、ひいては放射源SOの性能、例えば目標規格を満足する放射を出力する放射源SOの能力を低下させ得る。
【0072】
[0078] 放射源SOの固有の及び/又は制御された安定性は、例えば、波長安定性、帯域幅安定性、及び/又はエネルギ安定性に対応し得る。放射源SOの固有の及び/又は制御された安定性は、例えば、放射源の温度安定性に対応し得る。
【0073】
[0079] 生産環境においては、放射源SOの発射パターンはリソグラフィ装置LAによって制御され得る。つまり、リソグラフィ装置LAは、情報及び/又はデータ及び/又はパラメータを、特定の発射パターン及び/又は必要とされる特別な放射線量に関係する放射源SOに伝達し得る。すると、放射源SOは、そのような情報及び/又はデータ及び/又はパラメータに応じて特別な発射パターンを出射するように制御及び/又は構成され得る。よって、放射源がリソグラフィ装置の制御下にあるときには放射源の複数の発射パターンに対応するデータが生成され得る。
【0074】
[0080] 特定の発射パターン及び/又は特別な放射線量は、リソグラフィ装置LAによって基板に適用されるパターンに関係付けられ得る。典型的には、基板に適用されるそのようなパターンは、専有情報、例えば、機密であり基板に適用される特別なパターンに関係する情報を備え得る。よって、放射源SOがリソグラフィ装置LAによって制御されるときに放射源SOによって生成される発射パターンは、間接的に、専有情報を備え得る。
【0075】
[0081] 生産環境においては、放射源SOは、正確な及び/又は十分に精度が良い及び/又は信頼性の高い性能を保証するために、断続的に試験される必要があり得る。放射源SOは、基板のパターン付与の際と実質的に同じ手法で放射源の固有の及び/又は制御された安定性が試験され及び/又はストレスを与えられるように、基板のパターン付与の際に用いられ得る発射パターンと同一又は十分に類似の発射パターンを用いて試験するのが望ましい。
【0076】
[0082] しかしながら、実用的及び商業的な制約により、直接的又は間接的に専有情報を備える発射パターンデータをそのような試験に用いることは可能でない又は許されないかもしれない。特に、放射源SOの性能を評価する目的で、生産環境から遠隔して位置するエンティティ、例えば遠隔サーバに発射パターンデータを伝送することは、発射パターンデータの専有性に起因して、可能でない又は許されないかもしれない。
【0077】
[0083] また、生産環境においては、放射源SOは、保守間隔の間に数週間又は数か月などの長期間にわたって連続的又は断続的に使用され得る。そのような長期間にわたり発射パターンデータを収集し、その後同じ発射パターンデータを用いて放射源を試験することは、そのような試験を完了するのに必要とされるであろう時間の長さのために、一般に非実用的である。
【0078】
[0084] 図3を参照すると、リソグラフィ装置210用の放射源のための試験を生成する方法が示されている。図3は放射源200を示す。放射源200は、例えば、EUV又はDUV放射源であってもよい。放射源200はビームの形態の放射205をリソグラフィ装置210に提供する。リソグラフィ装置210はスキャナであってもよい。リソグラフィ装置210は、放射源200からの放射205を用いて基板にパターンを付与するように構成されている。リソグラフィ装置210は、放射源によって直接的又は間接的にパターン付与された基板275を生産するように構成可能である。
【0079】
[0085] 放射205は典型的には複数の発射パターンとして提供される。放射205は、例えば、図2に例示されているように、予め定義された及び/又は制御された特徴を有するパルスのバーストのシーケンスを備える1つ以上の発射パターンとして提供され得る。
【0080】
[0086] リソグラフィ装置210は少なくとも1つの制御信号215を放射源200に提供する。制御信号は、例えば、基板にパターン付与するためにリソグラフィ装置210によって必要とされる放射線量に対応するデータを備え得る。よって、制御信号215は放射源200によって、放射源210によって出射される放射205の1つ又は複数の発射パターンを直接的又は間接的に制御及び/又は定義するために用いられ得る。他の実施形態においては、及び/又は本実施形態の動作の他のモードにおいては、発射パターンはリソグラフィ装置210によって放射源200に提供され得る。つまり、放射源200がリソグラフィ装置210からの制御信号215を用いて適切な発射パターンを決定及び/又は算出するのではなく、リソグラフィ装置210によって放射源200に発射パターン(又は発射パターンに直接的に関係する情報)が提供され得る。そのような発射パターン(又は発射パターンに直接的に関係する情報)は、リソグラフィ装置210、例えばリソグラフィ装置210内のプロセッサによって、算出され、決定され、又は他の手法で引き出され得る。
【0081】
[0087] 好適な一実施形態においては、方法は、データ収集モジュール220の使用を備える。データ収集モジュール220は放射源200からデータ225を収集し得る。データ225は、放射源200によって出射される放射205の1つ又は複数の発射パターンに対応し得る。データ収集モジュール220は放射源210に通信可能に連結されているか又は通信可能に連結されるように構成可能である。データ収集モジュール220は放射源又はリソグラフィ装置210に統合されてもよい。
【0082】
[0088] データ収集モジュール220はデータ235をデータ記憶デバイス230に提供するように構成されている。データ記憶デバイス230に提供されるデータ235は、データ収集モジュールによって収集されるデータ225に対応する及び/又はデータ225から引き出される。
【0083】
[0089] データ記憶デバイス230に提供されるデータ235は、データ収集モジュール220によって収集されるデータ225と同じフォーマットであってもよいし、又は異なるフォーマットであってもよい。また、本発明の範囲内にある他の実施形態においては、放射源200は、放射源200によって出射される放射205の1つ又は複数の発射パターンに対応するデータ225をデータ記憶デバイス230に直接的に提供するように構成又は適合され得る。
【0084】
[0090] データ記憶デバイス230はリソグラフィ装置210と同じ生産環境内に位置し得る。よって、説明される方法のステップの全ては、半導体製造設備内でインシチュで実施され得る。有利なことには、このようにすれば、専有データは、放射源200のための試験を生成する方法の際に半導体製造設備を離れることを要さない。
【0085】
[0091] 好適な一実施形態においては、データ記憶デバイス230はサーバである又はサーバを備える。データ記憶デバイス230は、データ収集モジュール220からデータ225を受信するように及びデータプロセッサ240にデータ245を伝送するように構成されている。
【0086】
[0092] データプロセッサ240に伝送されるデータ245は、データ記憶デバイス230に提供されるデータ225に対応する。データプロセッサ240に伝送されるデータ245は、データ記憶デバイス230に提供されるデータ225と同じフォーマットであってもよいし、又は異なるフォーマットであってもよい。他の実施形態においては、データ収集モジュール220はデータをデータプロセッサ240に直接的に提供又は伝送するように構成可能である。更なる実施形態においては、放射源はデータをデータプロセッサ240に直接的に提供又は伝送するように構成可能である。
【0087】
[0093] データ記憶デバイス230からデータプロセッサ240に伝送されるデータ245は、データプロセッサ240によりデータ記憶デバイス230に対して発せられる要求に応じて伝送されてもよい。データ記憶デバイス230は、1つ以上の基板にパターン付与するために用いられる1つ又は複数の発射パターンに対応するデータを記憶するように構成され得る。好適な一実施形態においては、データ記憶デバイス230は、放射源200の保守間隔及び/又はリソグラフィ装置210の保守間隔の間に発生する放射源の発射パターンの全て又は実質的に全てに対応するデータを記憶するように構成される。よって、好適な一実施形態においては、データ記憶デバイス230は、一般に数週間、典型的には数か月に及ぶ期間にわたって発生する放射源200の発射パターンの全てに対応するデータを記憶するように構成可能である。
【0088】
[0094] 好適な一実施形態においては、データプロセッサ240はソフトウェア製品、例えばコンピュータプログラムである。本発明の範囲内にある他の実施形態においては、データプロセッサ240はデータ処理装置、例えばハードウェアモジュールであり得ることは理解されるであろう。また、データプロセッサ240はデータ記憶デバイス230で実装されてもよい。更に別の実施形態においては、データプロセッサ240は、放射源200自体の中に配設されてもよく、又は放射源200自体に存在するコンピュータプログラム製品であってもよい。更に別の実施形態においては、データプロセッサ240は、可搬型コンピュータ、例えば保守エンジニアのラップトップコンピュータ又は同様のものなどで実装され得る。更に別の実施形態においては、データプロセッサ240はリソグラフィ装置210に実装され得る。
【0089】
[0095] データプロセッサ240は、データ245を分析して、放射源200を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するように構成されている。特に、データプロセッサ240は、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源200の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源200の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように、パラメータを決定するように構成されている。また、放射源200によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、放射源200によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなるであろう。好適には、放射源200によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、放射源200によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも実質的に短くなるであろう。例えば、放射源200によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は約数分又は数時間であり得る。これは、約数週間又はそれどころか数か月の総持続時間を有し得る、データ245が基づく当初の発射パターンの持続時間と比較される。放射源200の安定性は、固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性である。
【0090】
[0096] 好適な一実施形態においては、データプロセッサ240は、決定されたパラメータを用いて1つ以上の更なる発射パターンに対応するデータを生成するスクリプト又はソフトウェアプログラムを生成する。一実施形態においては、データプロセッサ240は、決定されたパラメータを用いて放射源200を試験するための1つ以上の更なる発射パターンに対応するデータを順に生成し得るプログラムを生成するように構成可能である。更に別の一実施形態においては、データプロセッサ240は、決定されたパラメータを別のコンピュータ、例えば保守エンジニアのラップトップに提供するように構成可能である。そのような一実施形態においては、その別のコンピュータは、受信したパラメータに基づいて1つ以上の更なる発射パターンに対応するデータを生成するように適合されたソフトウェアを備え得る。更に別の一実施形態においては、データプロセッサ240は、決定されたパラメータを用いて放射源200を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを生成するように放射源200を直接的又は間接的に制御するように構成可能である。つまり、説明される方法は、放射源をパラメータで制御するためのコンピュータ用プログラムを構成するステップを備える。
【0091】
[0097] 好適な一実施形態においては、データプロセッサ240は、決定されたパラメータを用いて1つ以上の更なる発射パターンに対応するデータを生成するスクリプト250又はソフトウェアプログラムを生成し、そのスクリプト250を更なるプロセッサ255、例えばフィールド保守エンジニアのラップトップなどのラップトップに提供するように構成可能である。更に別の一実施形態においては、データプロセッサ240は更なるプロセッサ255にインストールされたソフトウェアプログラムであり、更なるプロセッサ255はデータ記憶デバイス230からデータ245を直接的に取得するように構成可能である。
【0092】
[0098] したがって、データプロセッサ240は、専用コンピュータ、データ記憶デバイス230、又は保守エンジニアのラップトップなどの更なるプロセッサ255にインストールされたソフトウェアプログラムであり得ることは理解されるであろう。また、データプロセッサ240は、放射源200にインストールされた、例えば放射源200のコンピュータ及び/又はプロセッサ及び/又はメモリ内にインストールされた及び/又は位置するソフトウェアプログラムであってもよい。
【0093】
[0099] 決定されたパラメータは、パターンの量と、一意又は実質的に一意のパターンの量及び/又は特徴と、パターンの頻度と、パターン当たりのバーストの量と、バースト当たりのパルスの量と、デューティサイクル情報と、頻度及び/又は振幅及び/又は位相変調情報と、タイムスタンプと、放射源識別情報と、パターン当たりのビームエネルギプロファイルと、パターン当たりのビーム波長プロファイルと、パターン当たりのビーム帯域幅プロファイルとのうち少なくとも1つを備える。
【0094】
[0100] 更なるプロセッサ255がスクリプト250を実行するように構成可能である好適な実施形態においては、更なるプロセッサ255は、1つ以上の更なる発射パターンを生成するように放射源200を制御又は構成するために、放射源200に連結されるように適合される。
【0095】
[0101] 好適には、更なるプロセッサ255は、放射源200の又はリソグラフィ装置210の保守間隔で放射源に連結される。よって、更なるプロセッサ255は、放射源200が生産目的で使用されていないときに放射源200を試験するように構成可能である。つまり、放射源200は、リソグラフィ装置210がオフライン構成であるときに試験される。
【0096】
[0102] 好適には、更なるプロセッサ255は、例えば放射源200の保守間隔又はリソグラフィ装置210の保守間隔でだけでなく、いつでも放射源200を試験するように構成可能である。つまり、更なるプロセッサ255はいつでも放射源200に連結され得る。リソグラフィ装置210はその後、放射源200を試験する目的でオフラインにされることを要し得る。
【0097】
[0103] 更なるプロセッサ255は、1つ以上の更なる発射パターンに対応するデータ260を放射源200に提供する。代替的又は追加的には、更なるプロセッサ255は、1つ以上の更なる発射パターンに対応するスクリプト又は実行可能プログラムを放射源200に提供する。
【0098】
[0104] 更なるプロセッサ255は放射源200からデータ265を受信するように適合される。データ265は試験の結果に関する情報を提供する。例えば、データ265は放射源の安定性及び/又は精度を示し得る。
【0099】
[0105] よって、更なるプロセッサ255は、放射源200を試験するように、及び放射源210の精度及び/又は信頼性及び/又は安定性のレベル、例えば試験の成功又は失敗の度合いに対応し得る又はこれを示し得るデータ265を受信するように構成可能である。
【0100】
[0106] 更なるプロセッサ255は放射源210の精度及び/又は信頼性及び/又は安定性のレベルに対応するデータ270を提供するように構成可能であり、これは例えばレポートの形態をとり得る。
【0101】
[0107] 上記で説明した方法は、リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成するシステムで実装され得る。例えば、放射源200の複数の発射パターンに対応するデータを記憶するように構成されたデータ記憶デバイス230を備えるシステムが提供され得る。システムはプロセッサ、例えば上記で説明したデータプロセッサ240を備え得る。プロセッサは、通信可能にデータ記憶デバイス230に連結され得ると共に、そのデータを分析して、放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するように構成され得る。パラメータは、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源200の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源200の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように、及び、放射源200によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間が放射源によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなるように、決定される。
【0102】
[0108] 上記で説明したように、データプロセッサ240は、データ245を分析して、放射源200を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するための1つ以上のパラメータを決定するように構成されている。例を目的として、次に、図4,5,及び6を参照して、データの分析及びパラメータのうちいくつかの決定を説明する。
【0103】
[0109] 図4は、3つの基板についての放射源発射パターンを表すデータの更なる一例を提供する。データは、生産データ、すなわち半導体製造設備において生産のために放射源を用いて基板にパターン付与することからとられたデータに似ているであろう人工データである。グラフは図2のグラフと対比される。つまり、第1のグラフ300は3つの基板の各々について発射パターンのバースト当たりのパルスの量を示し、第2のグラフ310は発射パターンの各バーストにおけるパルスの反復率を示し、第3のグラフ320は各発射パターンの各バーストのバースト間隔を示す。
【0104】
[0110] 図4では、各基板の発射パターンデータ間にほとんど変動がないことがわかる。つまり、第2のグラフ310及び第3のグラフ320は、3つの基板についてほとんど同じデータを示している。第1のグラフ300に関しては、各基板のバースト当たりのパルスの数の相違が、バースト当たりおよそ50パルスで概ね一定である。
【0105】
[0111] 3つの基板の各々の発射パターンデータの間には僅かな相違しかないので、放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを生成するという観点からは、3つの発射パターンは実質的に同じであると考えることができる。つまり、3つの基板の各々の発射パターンデータの間のごく僅かな相違によって、発射パターンの各々は、放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して実質的に同じ影響を有すると考えることができる。したがって、図4の3つの発射パターンの各々と実質的に同じように放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に影響を与える単一の発射パターン、又は「一意の発射パターン」を識別することができる。
【0106】
[0112] 放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して実質的に同じ影響を有すると考えられる発射パターン間の1つの相違又は複数の相違を限定する閾値が定義されてもよい。例えば、本発明の一実施形態においては、バースト当たりの定義された及び/又は所定のパルスの量よりも少なく互いに異なる発射パターンは、放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して実質的に同じ影響を有すると考えられてもよく、したがって「一意の発射パターン」によって表され得る。
【0107】
[0113] バースト反復率の相違及び/又はバースト間隔など、他のパラメータに関する他の閾値が追加的又は代替的に定義されてもよい。つまり、異なる発射パターンであって定義された閾値を下回るバースト反復率の相違及び/又はバースト間隔を示すものは、放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して実質的に同じ影響を有するものと考えられてもよく、したがって「一意の発射パターン」によって表すことができる。
【0108】
[0114] そのような閾値は、例えば、放射源のタイプ及び/又は構成や実験データ等といった放射源の既知の又は測定された特徴に基づいて定義され、推定され、又は算出され得る。また、そのような閾値は、主題の専門知識に基づいて定義され、推定され、算出され、又は他の手法で決定されてもよい。
【0109】
[0115] したがって、一意の発射パターンの識別は、事実上、任意の所与のグループ又はビン内の発射パターン間の偏差を限定する定義された閾値に基づいて、発射パターンをグループ又はビンに分類している。
【0110】
[0116] これは図5に例示されており、同図において第1のグラフ400は発射パターンのバースト当たりのパルスの数の一例を示している。発射パターンは、バースト当たりおよそ300からおよそ500パルスに及ぶバースト当たりのパルスの数を示す。
【0111】
[0117] ほんの一例として、バースト当たり150パルスのグループ又はビンに対応する閾値が定義される。つまり、第1のビンはバースト当たり0から149パルスに対応する。第2のビンはバースト当たり150から299パルスに対応する。第3のビンはバースト当たり300から449パルスに対応する。第4のビンはバースト当たり450から599パルスに対応する。
【0112】
[0118] 発射パターンの各バーストは、定義されたグループ又はビンのうち1つに該当する。これは図5の第2のグラフ410に示されており、第1のグラフ410に示されるバーストの各々が、あるビン又はグループに分類されている。例えば、バースト当たりおよそ520パルスを有する10番目のバーストは第4のビン又はグループに対応し、バースト当たりおよそ280パルスを有する20番目のバーストは第2のビン又はグループに対応する。したがって、バースト毎に大きな範囲のパルスに対応する発射パターンデータを比較的小さな数のビン又はグループによって表すことができる。
【0113】
[0119] 放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性は発射パターンの変化によって影響を与えられる可能性がある。しかしながら、比較的一定の又は許容可能な限度内で変動する発射パターン又は発射パターンの一部は、放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して限定的な影響しか有さないと考えることができる。つまり、放射源の出力は、概ね同じ特徴を有するある量のシーケンシャルなパルスの後では十分に安定化していると考えることができる。したがって、生産プロセスにおいて用いられる発射パターンと同程度に放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に影響を与える発射パターンを生成することによって放射源を試験するときには、発射パターンの変化のみに又は主に発射パターンの変化に着目すれば十分である。
【0114】
[0120] 図5の第1のグラフ400を再び参照すると、36番目のバーストから105番目のバーストまで延びるバーストのシーケンスは各々がバースト当たりおよそ520パルスを有していることがわかる。つまり、そのシーケンスのバースト当たりのパルスの量は一定である。図5の第2のグラフ410を参照すると、このシーケンスはビン4の10回のバーストとして表す又は近似することができるのがわかる。
【0115】
[0121] つまり、図5の第2のグラフ410に示される例においては、10回以上繰り返されるバーストのバーストシーケンスは限られており、したがって最大で10回のバーストに効果的に圧縮される。10という閾値は例のみを目的として提供されるものであって、放射源が動作している条件、放射源のタイプ、放射源の構成、及び/又は放射源の古さなど、種々のファクタに基づいて変更又は選択され得る。
【0116】
[0122] 更なる非限定的な一例として、各々がバースト当たり300パルスで動作する11回のバーストを備える第1の発射パターンは、放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対する影響という観点からは、バースト当たり290パルスの14回のバーストを備える第2のパターンと同じであると考えられ得る。したがって、放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して第1及び第2の発射パターンと同じ影響を有する単一の「一意の発射パターン」を生成することができる。
【0117】
[0123] したがって、繰り返す同じ又は類似のバーストパターンのシーケンスに基づいてバーストシーケンスを圧縮することによって、及び/又は放射源の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して実質的に同じ影響を有するパターンに基づいて発射パターン又は発射パターンの一部をグループ分け又はビニングすることによって、図5の第2のグラフ410に示されるように特徴的なデータを生成することができる。特徴的なデータは、「発射パターンデータのシグネチャ」であると考えることができる。特徴的なデータ又はシグネチャは、後で放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するために用いることのできるパラメータに対応するか又はそれらのパラメータを備える。
【0118】
[0124] 図6は、半導体製造環境において複数の発射パターンによって生成される特徴的なデータ又は「シグネチャ」の一例を示す。図6のデータ例において、データ510は、22429個の基板のうち合計で1108個についてのパターンに対応する。データ510はデータ包絡線として示されていて、包絡線は1108の別個の発射パターンに対応しており、そのすべてが図示される包絡線内にある。
【0119】
[0125] 図6の例においては、10回以上繰り返されるバーストのバーストシーケンスは限られており、したがって最大で10回のバーストに効果的に圧縮されている。つまり、データ510は最大で10回の連続するバーストを有しており、バーストのビート当たりのパルスは定義されたグループ又はビンに該当する。あるグループ又はビンは、バースト当たりおよそ150パルスからバースト当たりおよそ300パルスに及ぶものとして定義されている。別のあるグループ又はビンは、バースト当たりおよそ300パルスからバースト当たりおよそ450パルスに及ぶものとして定義されている。22429個のウェーハのうち1108個について用いられる発射パターンからの発射パターンデータは、2つの定義されたグループ又はビンに該当することがわかる。
【0120】
[0126] したがって、特徴的なデータ又は「シグネチャ」520は、後で放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するために用いることのできるデータ及び/又はパラメータに対応するか又はそれらのデータ及び/又はパラメータを備えており、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源の安定性は複数の発射パターンを実行するときの放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあり、放射源によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は放射源によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなる。そのようなパラメータは、例えば、グループ又はビンの量及び構成、及び/又は各発射パターンが定義されたグループ又はビンに該当する頻度及び持続時間に関係又は対応し得る。更なる実施形態においては、そのようなパラメータは、例えば、パターンの量と、一意のパターンの量と、一意のパターンの特徴と、パターンの頻度と、パターン当たりのバーストの量と、バースト当たりのパルスの量と、デューティサイクル情報と、頻度及び/又は振幅及び/又は位相変調情報と、タイムスタンプと、放射源識別情報と、パターン当たりのビームエネルギプロファイルと、パターン当たりのビーム波長プロファイルと、パターン当たりのビーム帯域幅プロファイルとのうち少なくとも1つに関係又は対応し得る。また、そのようなパラメータは、繰り返し起こる同一の発射パターンの量、予め定義された閾値内の特徴を有する発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターン又はシーケンスの繰り返しの頻度、放射の波長、帯域幅、及び/又はエネルギの誘起変動、放射源の温度の誘起変動のうち少なくとも1つに基づいて決定され得る。
【0121】
[0127] 予め定義された境界は、放射源からの放射の目標波長及び/又は帯域幅及び/又はエネルギのうち少なくとも1つ、及び/又は放射源の目標温度からの、定義された偏差に対応する。つまり、被試験放射源によって実行されるとき、1つ以上の更なる発射パターンは、複数の発射パターンの波長及び/又は帯域幅及び/又はエネルギと同じ又はそれらに対して定義された閾値又は境界内にある波長及び/又は帯域幅及び/又はエネルギを有する放射源からの出力をもたらし、及び/又は放射源の温度は、複数の発射パターンを実行するときの放射源の温度と同じであるか又はそれに対して定義された閾値又は境界内にある。
【0122】
[0128] 図7は、異なる放射源の識別されたシグネチャ、例えば図6を参照して先に説明した特徴的なデータの数を示すデータの表である。例えば、放射源番号1は9日の期間にわたって用いられている。この9日の期間にわたって、放射源は22,000個の基板にパターン付与するために用いられている。30の一意の発射パターンが、パターン付与された22,000個の基板の90%にパターン付与するために用いられていることがわかる。
【0123】
[0129] 用いられる発射パターンデータを分析することによって、図5及び6を参照して上記で説明したように、放射源1の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して元々の30の一意の発射パターンと実質的に同じ影響を有するであろうように放射源番号1を試験するには、たった19のシグネチャのパラメータに基づく発射パターンで十分であることがわかる。この効果は、図7のデータの表においては「圧縮」として記載されている。
【0124】
[0130] 場合によっては、この効果はより明確になり得る。例えば、放射源5を検討すると、放射源5は10日の期間にわたって49,000個の基板にパターン付与するために用いられていることがわかる。16,773の一意の発射パターンが、パターン付与された49,000個の基板の90%にパターン付与するために用いられていることがわかる。
【0125】
[0131] 用いられる発射パターンデータを分析することによって、図5及び6を参照して上記で説明したように、放射源1の固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性に対して元々の16,773の一意の発射パターンの90%と実質的に同じ影響を有するであろうように放射源番号5を試験するには、たった17のシグネチャのパラメータに基づく発射パターンで十分であることがわかる。
【0126】
[0132] つまり、データプロセッサ240は、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源200の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源200の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように、16,773の一意の発射パターンに対応するデータを分析して17のシグネチャを定義するパラメータを決定すると共に、ひいてはそのようなパラメータを用いて、上記で説明したように、放射源200を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを直接的又は間接的に定義するように構成され得る。また、放射源200によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、放射源200によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなるであろう。
【0127】
[0133] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0128】
[0134] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0129】
[0135] 以上では光学リソグラフィと関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、例えばインプリントリソグラフィなど、その他の適用例において使用されてもよく、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されないことが理解されるであろう。
【0130】
[0136] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0131】
[0137] 本発明の他の態様は、以下の番号を付した条項に記載する。
1.リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成する方法であって、
放射源の複数の発射パターンに対応するデータを受信するステップと、
データを分析して放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するステップと、
を備えており、
パラメータは、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように決定され、
放射源によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、放射源によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなる、方法。
2.放射源の安定性は固有の安定性である、条項1の方法。
3.放射源の安定性は能動的に制御された安定性である、条項1の方法。
4.放射源の安定性は、波長安定性、帯域幅安定性、エネルギ安定性、温度安定性のうち少なくとも1つである、条項1の方法。
5.予め定義された境界は、放射源からの放射の目標波長及び/又は帯域幅及び/又はエネルギのうち少なくとも1つ、及び/又は放射源の目標温度からの、定義された偏差に対応する、条項1の方法。
6.パラメータは、パターンの量と、一意のパターンの量と、一意のパターンの特徴と、パターンの頻度と、パターン当たりのバーストの量と、バースト当たりのパルスの量と、デューティサイクル情報と、頻度及び/又は振幅及び/又は位相変調情報と、タイムスタンプと、放射源識別情報と、パターン当たりのビームエネルギプロファイルと、パターン当たりのビーム波長プロファイルと、パターン当たりのビーム帯域幅プロファイルとのうち少なくとも1つを備える、条項1の方法。
7.パラメータは、
繰り返し起こる同一の発射パターンの量、予め定義された閾値内の特徴を有する発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターンの量、繰り返す同一又は類似の発射パターン又はシーケンスの繰り返しの頻度、放射の波長、帯域幅、及び/又はエネルギの誘起変動、放射源の温度の誘起変動
のうち少なくとも1つに基づいて決定される、条項1の方法。
8.放射源をパラメータで制御するためのコンピュータ用プログラムを構成するステップを更に備える、条項1の方法。
9.1つ以上の更なる発射パターンを実行するように放射源を制御するステップを更に備える、条項1の方法。
10.放射源は、リソグラフィ装置がオフライン構成であるときに試験される、条項9の方法。
11.放射源の複数の発射パターンに対応するデータは、放射源がリソグラフィ装置の制御下にあるときに生成される、条項1の方法。
12.方法の全てのステップは半導体製造設備内でインシチュで実施される、条項1の方法。
13.コンピュータによって実行されるときにコンピュータにリソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成する方法を行わせる命令を記憶したコンピュータ可読非一時的媒体であって、方法は、
放射源の複数の発射パターンに対応するデータを受信するステップと、
データを分析して放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するステップと、
を備えており、
パラメータは、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように決定され、
放射源によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、放射源によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなる、コンピュータ可読非一時的媒体。
14.条項1の方法のステップを実施するように適合されたメモリとプロセッサとを備えるデータ処理装置。
15.リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成するシステムであって、
放射源の複数の発射パターンに対応するデータを記憶するように構成されたデータ記憶デバイスと、
通信可能にデータ記憶デバイスに連結されると共に、データを分析して放射源を試験するための1つ以上の更なる発射パターンを構成するためのパラメータを決定するように構成されたプロセッサと、
を備えており、
パラメータは、パラメータを用いて構成される1つ以上の更なる発射パターンを実行するときの放射源の安定性が複数の発射パターンを実行するときの放射源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にあるように決定され、
放射源によって実行されるときの1つ以上の更なる発射パターンの総持続時間は、放射源によって実行されるときの複数の発射パターンの持続時間よりも短くなる、システム。
16.放射源を更に備え、放射源はDUV放射源である、条項15に記載のシステム。
17.リソグラフィ装置を更に備え、リソグラフィ装置は、放射源を制御するように及び複数の発射パターンに対応するデータを生成するように構成されている、条項15に記載のシステム。
18.リソグラフィ装置は、リソグラフィ装置が第2の1つ以上の発射パターンを実行するように放射源を制御するべく構成されるように、プロセッサを備えるか、又は通信可能にプロセッサに連結される、条項17に記載のシステム。
19.リソグラフィ装置用の放射源のための試験を生成する方法であって、
放射源の第1の1つ以上の発射パターンに対応する第1のデータを受信することと、
他の発射パターン及び/又は発射パターンの他の部分に対して予め定義された範囲内で放射源の安定性に影響を与える発射パターン及び/又は発射パターンの部分を識別するために、第1のデータを分析することと、
第2のデータは第1のデータの分析に基づくところ、放射源の第2の1つ以上の発射パターンに対応する第2のデータを生成することと、
を備える、方法。
20.放射源を第2の1つ以上の発射パターンで動作させるように第2のデータでコンピュータプログラムを構成することを更に備える、条項19の方法。
21.第1のデータを分析することは第1のデータを別々のビンにビニングすることを備えており、別々のビンは閾値によって定義され、その閾値内で放射源の安定性が予め定義された範囲よりも少なく変動する、条項19の方法。
22.第1のデータを分析することは、予め定義された範囲内で放射源の安定性に影響を与える発射パターンの1つ以上の連続部分を識別することを備える、条項19の方法。
23.放射源によって実行されるときの第1の1つ以上の発射パターンは第1の期間に及び、放射源によって実行されるときの第2の1つ以上の発射パターンは第2の期間に及び、第1の期間は第2の期間よりも実質的に長い、条項19の方法。
24.放射源の安定性は固有の安定性及び/又は能動的に制御された安定性である、条項19の方法。
25.放射源の安定性は、波長安定性、帯域幅安定性、エネルギ安定性、温度安定性のうち少なくとも1つである、条項19の方法。
26.第1のデータは放射源の使用プロファイルに対応する、条項19の方法。
27.第1及び/又は第2のデータは1つ以上の発射パターンの特徴を備えており、特徴は、
発射パターンの量と、
一意の発射パターンの量と、
1つ以上の発射パターンの頻度と、
発射パターン当たりのバーストの量と、
バースト当たりのパルスの量と、
デューティサイクル情報と、
頻度及び/又は振幅及び/又は位相変調情報と、
1つ以上のタイムスタンプと、
放射源識別情報と、
パターン当たりのビームエネルギプロファイルと、
パターン当たりのビーム波長プロファイルと、
パターン当たりのビーム帯域幅プロファイルと、
のうち少なくとも1つを備える、条項19の方法。
28.入力発射パターンを受信することであって、入力発射パターンはリソグラフィ光源の動作の際にリソグラフィ光源によって用いられる発射パターンを備える、受信することと、
入力発射パターンの繰り返し起こる類似の部分を検出することと、
1つ以上の試験発射パターンの構成を生成することであって、試験発射パターンの各々が入力発射パターンの複数の繰り返し起こる類似の部分を表す、生成することと、
試験発射パターンの構成をメモリに記憶することと、
を備える、方法。
29.試験発射パターンは、試験発射パターンを実行するときのリソグラフィ光源の安定性が入力発射パターンの繰り返し起こる類似の部分を実行するときのリソグラフィ光源の安定性と実質的に同じであるか又はそれに対して予め定義された境界内にある発射パターンである、条項28の方法。
30.放射源の試験手順の際に試験発射パターンを放射源に提供すること
を更に備える、条項28の方法。
【0132】
[0138] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7