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特許7361447導電性樹脂組成物、導電性接着シート及び積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】導電性樹脂組成物、導電性接着シート及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20231006BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20231006BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20231006BHJP
   C09J 7/00 20180101ALI20231006BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20231006BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20231006BHJP
   H01B 1/20 20060101ALI20231006BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20231006BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08J5/18 CFC
C08K3/08
C09J7/00
C09J9/02
C09J163/00
H01B1/20 A
H05K1/14 J
H05K3/32 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2016215135
(22)【出願日】2016-11-02
(65)【公開番号】P2017110183
(43)【公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-09-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2015242212
(32)【優先日】2015-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】林 弘司
(72)【発明者】
【氏名】下岡 澄生
(72)【発明者】
【氏名】谷井 翔太
(72)【発明者】
【氏名】森野 彰規
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】近野 光知
【審判官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-338923(JP,A)
【文献】特開2015-81269(JP,A)
【文献】特開2015-129226(JP,A)
【文献】特表2011-526309(JP,A)
【文献】特開2009-1604(JP,A)
【文献】国際公開第2014/051149(WO,A1)
【文献】特開2015-229699(JP,A)
【文献】特開2016-160413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00-5/10
C09J 9/00-201/10
H05K 1/14
H05K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上のエポキシ基を有する化合物(A)と、針状の導電性フィラー(b1)及び略球状の導電性フィラー(b2)を含む導電性フィラー(B)とを含有する導電性樹脂組成物であって、
前記化合物(A)が、23℃で液状のエポキシ当量100~350g/eq.であるエポキシ樹脂(a1)、及び、23℃で固体のエポキシ当量200~2,000g/eq.であるエポキシ樹脂(a2)を含有するものであり、
前記針状の導電性フィラー(b1)と、略球状の導電性フィラー(b2)との体積割合[(b1)/(b2)]が、1/1~3/1であり、
前記化合物(A)及び前記導電性フィラー(B)の合計体積に対する前記導電性フィラー(B)の体積割合が10体積%~40体積%の範囲であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項2】
前記化合物(A)及び前記導電性フィラー(B)の合計体積に対する前記導電性フィラー(B)の体積割合が10体積%~36体積%の範囲である請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物からなる導電性接着シート。
【請求項4】
厚さが50μm~350μmの範囲である請求項に記載の導電性接着シート。
【請求項5】
25℃における引っ張り弾性率(x1)が5MPa~2,500MPaの範囲であり、
かつ、その熱硬化物の25℃における引っ張り弾性率(x2)が2,500MPa以上である請求項またはに記載の導電性接着シート。
【請求項6】
請求項のいずれか1項に記載の導電性接着シートの熱硬化物が、フレキシブルプリント配線板に積層された構成を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフレキシブルプリント配線板に実装された部品の脱落等を防止するために設けられる補強部等の形成に使用可能な導電性樹脂組成物及び導電性接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子端末等の小型化及び薄型化に伴って、それらに搭載される配線板としては、薄型で屈曲可能なフレキシブルプリント配線板が広く使用されている。
【0003】
前記フレキシブルプリント配線板としては、一般に、ポリイミドフィルム等の表面に銅等によって形成されたグラウンド回路と、前記回路の一部にコネクター等の部品が実装された構成を有するものが知られている。
【0004】
前記フレキシブルプリント配線板としては、電磁波の影響によるノイズの発生を防止するうえで、前記グラウンド回路と他の部材とを、導電性接着テープを用いて電気的に接続させたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、前記接着テープの導電性を高めるべく、導電性フィラーの使用量を増加させると、前記接着テープの接着性が著しく低下する場合があった。
【0006】
また、電子機器の薄型化等が求められるなかで、前記導電性フィラーを多く含有する導電性接着テープの厚さを薄型化すると、フレキシブルプリント配線板が有する段差部に対する前記導電性接着テープの接着性が著しく低下し、それらの界面に気泡が残存しやすくなり、その結果、部品の脱落や電磁波シールド特性の低下を引き起こす場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開2014/132951パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、優れた導電性と優れた接着性とを両立した導電性接着テープ及びその製造に使用できる導電性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、2個以上のエポキシ基を有する化合物(A)と、針状または鱗片状の導電性フィラー(b1)及び略球状の導電性フィラー(b2)を含む導電性フィラー(B)とを含有することを特徴とする導電性樹脂組成物によって上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0010】
本発明の導電性樹脂組成物及び導電性接着シートは、優れた導電性と優れた接着性とを備えることから、例えば電子機器を構成する部品の固定等に好適に使用することができる。また、本発明の導電性樹脂組成物及び導電性接着シートは、フレキシブルプリント配線板への電磁波シールド特性の付与や、補強(補強層の形成)等に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の導電性樹脂組成物は、2個以上のエポキシ基を有する化合物(A)と、針状または鱗片状の導電性フィラー(b1)及び略球状の導電性フィラー(b2)を含む導電性フィラー(B)とを含有する導電性樹脂組成物であって、前記針状または鱗片状の導電性フィラー(b1)と、略球状の導電性フィラー(b2)との体積割合[(b1)/(b2)]が、1/1~3/1であることを特徴とする。
【0012】
前記化合物(A)としては、エポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が優れた接着性を示し、1分子あたり平均2~3個エポキシ基を有するエポキシ樹脂が銅などの金属やPET、ポリイミドなどのプラスチックフィルムに対する優れた接着性に加えて、硬化前後における寸法安定性に優れ、更に、例えばフレキシブルプリント配線板等の被着体をより強固に補強可能なレベルの剛性を備えた補強層を形成可能とする剛性を硬化物に付与できることが出来ることから好ましい。
【0013】
前記エポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0014】
なかでも、前記エポキシ樹脂としては、23℃で液状のエポキシ当量100~350g/eq.であるエポキシ樹脂(a1)、23℃で固体のエポキシ当量200~2,000g/eq.であるエポキシ樹脂(a2)を使用することが好ましく、それらを組み合わせ使用することが、優れた剛性と接着性とを両立するうえでより好ましい。
【0015】
前記エポキシ樹脂(a1)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、1,6-ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、t-ブチルカテコール型エポキシ樹脂、4,4‘-ジフェニルジアミノメタン型エポキシ樹脂、p-又はm-アミノフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0016】
また、前記エポキシ樹脂(a2)としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂とビスフェノール化合物を反応させたエポキシ樹脂やジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂、2-メトキシナフタレンとオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の共重合物、ビフェニレン型フェノールアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂などが挙げられ、中でもジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ 9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド変性エポキシ樹脂を使用することが剛性と接着性とを両立するうえで好ましい。
【0017】
また、前記エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂(a1)及びエポキシ樹脂(a2)とともに、好ましくはエポキシ当量が2000g/eq.以上、好ましくは2000g/eq.を超え10000g/eq.以下のエポキシ樹脂を組み合わせ使用することができる。
【0018】
また、本発明の導電性樹脂組成物に使用する導電性フィラー(B)としては、針状または鱗片状の導電性フィラー(b1)及び略球状の導電性フィラー(b2)を組み合わせ使用する。
【0019】
前記針状または鱗片状の導電性フィラー(b1)と、略球状の導電性フィラー(b2)とは、それらの体積割合[(b1)/(b2)]が、1/1~4/1となる範囲で使用することが好ましく、1.5/1~3/1となる範囲で使用することが、優れた導電性と接着性とを両立した導電性樹脂組成物を得るうえで好ましい。前記導電性樹脂組成物を使用することによって得られた導電性接着シートは、導電性接着シートを熱硬化させる際に、前記2個以上のエポキシ基を有する化合物(A)等の接着剤成分の流動を抑制できるため、取り扱い性や加工適性に優れる。
【0020】
前記針状または鱗片状の導電性フィラー(b1)としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム等の金属の粒子状物、カーボン、グラファイトをはじめ、針状または鱗片状の樹脂やガラスフレーク等の表面が金属被覆されたもの等を使用することができ、なかでも、ニッケルや銅を使用することが好ましく、特にカーボニル法で製造した針状ニッケルを使用することが、より一層優れた導電性を発現させるうえでより好ましい。具体的には、前記導電性フィラーとしては、カーボニル法で製造されたニッケル粉NI255、NI287(インコリミテッド社製)等を好適に使用することができる。
【0021】
前記導電性フィラー(b1)は、平均で3を超える範囲のアスペクト比を有する程度の針状または鱗片形状を有するものであることが好ましい。
【0022】
前記導電性フィラー(b1)としては、その50%平均体積粒子径が0.1~200μmであるものを使用することが好ましく、1~100μmであるものを使用することがより好ましく、15~50μmであるものを使用することがさらに好ましく、15~40μmであるものを使用することが、導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの良好な分散性と、塗工のしやすさとを両立するうえで特に好ましい。なお、前記導電性フィラーの50%体積粒子径は、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3000を用い、分散媒にイソプロパノールを使用して測定された値である。
【0023】
また、前記アスペクト比(L/t)の算出に使用する導電性フィラーの「長軸平均長さL」、「短軸平均長さd」及び「平均厚みT」は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したSEM写真を観察することにより測定した。「長軸平均長さL」及び「短軸平均長さd」は、最長の長さの直線を長軸とし、その長さを「長軸長さ」Lとして測定し、その長軸を有し矩形で近似できる部分を主幹部とした。粒子の長軸に対して垂直な方向の最長長さdを「短軸長さ」として測定し、その比率によりアスペクト比を算出した。主幹部から主幹部の方向とは異なる方向に突出している部分(分岐)がある場合、最も長い長軸の部分をL、長軸の幅に相当する部分を短軸dとした。
【0024】
また、前記略球状の導電性フィラー(b2)としては、熱の影響で導電性フィラーの表面に酸化皮膜が形成されることによって前記導電性が低下することを効果的に抑制でき、かつ、熱硬化性材料の生産コストを低減するうえで、ステンレスの粒子状物、ニッケルの粒子状物等を使用することが好ましい。
【0025】
なお、前記導電性フィラー(b2)は、真球形状、だ円形状を有するものを使用することができ、アスペクト比でいえば平均で2未満の範囲のものを使用することが好ましい。
【0026】
前記導電性フィラー(b2)としては、その50%平均体積粒子径が0.1~200μmであるものを使用することが好ましく、1~100μmであるものを使用することがより好ましく、15~50μmであるものを使用することがさらに好ましく、15~40μmであるものを使用することが、導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの良好な分散性と、塗工のしやすさとを両立するうえで特に好ましい。なお、前記導電性フィラーの50%体積粒子径は、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3000を用い、分散媒にイソプロパノールを使用して測定された値である。
【0027】
また、前記導電性フィラー(B)としては、導電性樹脂組成物中で導電性フィラー(B)が沈降しにくく、数時間にわたり比較的均一な分散状態を維持できるため、5.0g/cm以下の見かけ密度を有するものを使用することが好ましく、4.5g/cm以下の見かけ密度を有するものを使用することがより好ましく、4.0g/cm以下であることが特に好ましい。なお、前記導電性フィラー(B)の見かけ密度は、JISZ2504-2000「金属粉の見かけ密度の測定方法」に準じて測定された値である。
【0028】
また、前記導電性フィラー(B)としては、前記導電性樹脂組成物中における分散性をより一層向上でき、優れた導電性の点でばらつきが少ない補強部を得るうえで、チタネートカップリング剤やアルミネートカップリング剤等によって表面処理された導電性フィラーを使用しても良い。
【0029】
前記導電性フィラー(B)は、前記化合物(A)及び前記導電性フィラー(B)の合計体積に対する体積割合が10体積%~50体積%の範囲で使用することが好ましく、10体積%~30体積%の範囲で使用することがより好ましく、20~30体積%の範囲で使用することが更に好ましい。導電性フィラーの使用量が増加すると、通常、優れた導電性を発現する一方で、接着性の著しい低下を引き起こす場合がある。しかし、本発明の導電性樹脂組成物であれば、導電性フィラー(B)の使用量を増加させた場合であっても優れた接着性を保持可能で、前記導電性樹脂組成物を使用することによって得られた導電性接着シートは、導電性接着シートを熱硬化させる際に、前記2個以上のエポキシ基を有する化合物(A)等の接着剤成分の流動を抑制できるため、取り扱い性や加工適性に優れる。
【0030】
本発明の導電性樹脂組成物としては、前記化合物(A)及び導電性フィラー(B)のほかに必要に応じてその他の成分を含有するものを使用することができる。
【0031】
また、前記その他の成分としては、前記導電性フィラー(B)以外のフィラーである水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、マイカ、タルク、窒化ホウ素、ガラスフレーク等の電気絶縁性フィラー等を使用することができる。
【0032】
また、前記その他の成分としては、前記化合物(A)として前記エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用する場合であれば、それと反応しうる硬化剤を使用することが好ましい。
【0033】
前記硬化剤としては、例えば前記化合物(A)としてエポキシ基を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂を使用する場合であれば、そのエポキシ基と反応しうる官能基を有するものを使用することが好ましい。
【0034】
前記硬化剤としては、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。例えば、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾール誘導体、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体等を使用することができる。
【0035】
前記アミド系化合物としては、例えばジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、前記酸無水物系化合物としては、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、前記フェノール系化合物としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(フェノール骨格、トリアジン環及び1級アミノ基を分子構造中に有する化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
【0036】
前記硬化剤としては、前記エポキシ樹脂等の化合物(A)の合計100質量部に対し、1質量部~60質量部の範囲で使用することが好ましく、5質量部~30質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0037】
また、前記その他の成分としては、硬化促進剤を使用することができる。前記硬化促進剤としては、リン系化合物、アミン化合物、イミダゾール誘導体等を使用することができる。前記硬化促進剤を使用する場合の使用量は、前記エポキシ樹脂等の化合物(A)の合計100質量部に対し、0.1質量部~5質量部であることが好ましく、0.5質量部~3質量部の範囲であることがより好ましい。
【0038】
前記硬化剤及び硬化促進剤としては、粉体状、且つ常温において樹脂組成物に溶解しないものを用いることが好ましい。前記粉体状の硬化促進剤は、液状の硬化促進剤と比較して低温下での熱硬化反応が抑制されるため、熱硬化前の熱硬化性材料の常温下における保存安定性をより一層向上させることができる。
【0039】
また、前記導電性樹脂組成物としては、その熱硬化物が、温度変化の大きい環境下で使用された場合であっても、熱硬化物の欠損等を引き起こしにくい靭性を確保するうえで、熱可塑性樹脂を含有するものを使用することができる。
【0040】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等を使用することができ、なかでも、熱可塑性ポリエステル樹脂を使用することが好ましく、ポリエーテルエステルアミド樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂を使用することが、本発明の導電性樹脂組成物及び導電性接着シートを熱硬化させる際に、前記導電性樹脂組成物及び導電性接着シートの流動を抑制でき、また前記したレベルの良好な脆性と、フレキシブルプリント配線板等の被着体を十分に補強可能なレベルの剛性とを両立することができる。
【0041】
前記熱可塑性樹脂は、上記理由から、前記化合物(A)100質量部に対して1~100質量部の範囲で使用することが好ましく、5質量部~40質量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0042】
前記導電性樹脂組成物としては、前記したとおり予めシート状等の任意の形状に成形された導電性接着シートとして使用することができる。前記導電性樹脂組成物は、それを用い導電性接着シートを製造する際の作業効率を向上させるうえで、前記化合物(A)や導電性フィラー(B)や硬化剤等の他に溶媒を含有するものを使用することが好ましい。
【0043】
前記溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルケチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を使用することができる。
【0044】
また、前記導電性樹脂組成物としては、前記したものの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば充填剤、軟化剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、粘着付与樹脂、繊維類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、増粘剤、顔料などの着色剤、充填剤などの添加剤を含有するものを使用することができる。
【0045】
本発明の導電性樹脂組成物は、前記化合物(A)と前記導電性フィラー(B)と、硬化剤や溶媒等の任意の成分とを混合することによって製造することができる。
【0046】
前記した成分を混合し導電性樹脂組成物を製造する際には、必要に応じてディゾルバー、バタフライミキサー、BDM2軸ミキサー、プラネタリーミキサー等を使用することができ、ディゾルバー、バタフライミキサーを使用することが好ましく、前記導電性フィラーを使用する場合には、それらの分散性を向上させるうえでプラネタリーミキサーを使用することが好ましい。
【0047】
なお、前記硬化剤及び硬化促進剤は、導電性樹脂組成物を熱硬化させる前、または、シート状等に成形し導電性接着シートを製造する前に、使用することが好ましい。
【0048】
また、導電性接着シートは、例えば前記化合物(A)と、前記導電性フィラー(B)と、前記任意成分とを混合し導電性樹脂組成物を製造した後、それを、例えば剥離ライナーの表面に塗工し乾燥等させることによって製造することができる。
【0049】
前記乾燥は、好ましくは50℃~120℃、より好ましくは50℃~90℃程度の温度で行うことが、熱硬化性材料の熱硬化反応を進行させることを抑制するうえで好適である。
【0050】
前記導電性接着シートは、例えばフレキシブルプリント配線板等の被着体に貼付される前まで、前記剥離ライナーによって挟持されていてもよい。
【0051】
前記剥離ライナーとしては、例えばクラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム;前記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、前記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面もしくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したもの等を用いることができる。
【0052】
前記導電性接着シートとしては、熱硬化前の厚さが50~350μmの範囲のものを使用することが好ましく、100~350μmのものを使用することがより好ましく、115~300μmのものを使用することが、それをロールに巻き取った際に割れ等を引き起こしにくいため好ましい。
【0053】
前記導電性接着シートとしては、熱硬化後の厚さが50~350μmの範囲のものを使用することが好ましく、80~300μmであることがより好ましく、100~350μmのものを使用することが、熱硬化前後での寸法安定性に優れ、取り扱いしやすく、かつ、電子機器等の厚膜化の要因とされる金属補強板を使用せずとも、実装部品の脱落等を防止可能なレベルにまでフレキシブルプリント配線板を強固に補強可能なレベルの剛性を発現できるためより好ましい。
【0054】
前記導電性接着シートとしては、常温下においてはタック感がほとんどないシート状物であってもよく、およそ100℃以上の温度に加熱された場合に溶融し、2以上の被着体を接着(接合)可能なものであることが好ましい。
【0055】
前記導電性接着シートは、熱硬化前の25℃における引っ張り弾性率(x1)が5~2,500MPaの範囲であることが、打ち抜き加工法によって精度よく任意の形状に成形しやすいため、フレキシブルプリント配線板の補強が必要な箇所の形状に応じた任意の形状に加工しやすく、また、例えばフレキシブルプリント配線板等の被着体が有する段差部等への追従性に優れ、その結果、優れた接着性と導電性とを発現するうえで好ましい。
【0056】
前記導電性接着シートとしては、その25℃における引っ張り弾性率(x1)が5~1,000MPaの範囲であるものを使用することが、前記したとおり打ち抜き加工しやすく、かつ、それをロールに巻き取った際に割れ等を引き起こしにくいため好ましい。
【0057】
また、前記導電性接着シートとしては、その熱硬化後の25℃における引っ張り弾性率(x2)が4,000MPa以上の範囲であるものを使用することが、フレキシブルプリント配線板等の被着体の実用上十分なレベルに補強するうえでより好ましい。また、前記引っ張り弾性率(x2)の上限は、特に制限はないが、10,000MPa以下であることが好ましく、7,000MPa以下であることがより好ましい。
【0058】
ここで、前記引っ張り弾性率(x2)は、前記熱硬化性材料を165℃で120分加熱して得られた熱硬化物の25℃における引っ張り弾性率を指す。
【0059】
また、本発明の導電性樹脂組成物及び導電性接着シートとしては、その体積抵抗値が0.1~50mΩ・cmの範囲の導電性を有するものを使用することが好ましく、0.1~20mΩ・cmの範囲であるものを使用することが、後述する補強部付フレキシブルプリント配線板を電子機器へ搭載する際、その補強板付フレキシブルプリント配線板を構成するグラウンド配線に、導電性スポンジ等のクッション材を介して金属パネルを電気的に接続させることができ、その結果、電子機器から発せられるノイズを効果的に抑制できるためより好ましい。また、前記導電性樹脂組成物及び導電性接着シートの熱硬化物の体積抵抗値は、前記熱硬化前のそれと同一または異なる値であってよいが、熱硬化物の体積抵抗値もまた上記好ましい範囲内であることが、補強部付フレキシブルプリント配線板を電子機器へ搭載する際に、その補強板付フレキシブルプリント配線板を構成するグラウンド配線に、導電性スポンジ等のクッション材を介して金属パネルを電気的に接続させることができ、その結果、電子機器から発せられるノイズを効果的に抑制できるためより好ましい。
【0060】
なお、前記体積抵抗値は、抵抗率計Loresta-GP MCP-T600(三菱化学株式会社製)によって測定した値を指す。
【0061】
上記方法で得られた本発明の導電性樹脂組成物及び導電性接着シートは、硬化前においては比較的柔軟であるため被着体に対する段差追従性に優れ、かつ、熱硬化後においては、非常に硬くなるため被着体を十分に補強できることから、もっぱらフレキシブルプリント配線板の補強部を形成する材料に使用することができる。
【0062】
フレキシブルプリント配線板としては、フレキシブルプリント配線板と補強部とが積層された構成を有する補強部付フレキシブルプリント配線板として使用される場合が多い。前記補強部としては、従来、ステンレス板が使用されていたが、本発明においては、前記導電性樹脂組成物及び導電性接着シートの熱硬化物を単独で、前記補強部として使用することができる。そのため、フレキシブルプリント配線板の薄型化と、例えばフレキシブルプリント配線板が有する開口部等に起因した段差部に対する優れた段差追従性とを両立することができる。
【0063】
前記補強部は、その25℃における引っ張り弾性率(x3)が2,500MPa以上であることが好ましく、3,000MPa以上であることがより好ましく、4,000~20,000MPaであることが、前記ステンレス板等を使用しなくてもフレキシブルプリント配線板を強固に補強できるためさらに好ましい。
【0064】
前記補強部は、例えば前記導電性樹脂組成物及び導電性接着シートを好ましくは120℃以上、より好ましくは120~200℃の温度条件で、5分~120分間加熱し硬化させることによって得ることができる。
【0065】
前記補強部を有するフレキシブルプリント配線板は、一般に、補強部付フレキシブルプリント配線板といわれ、電子機器に搭載される。
【0066】
前記補強部付フレキシブルプリント配線板は、例えばフレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に、前記導電性樹脂組成物及び導電性接着シートを貼付または塗布する工程[1]、及び、前記導電性樹脂組成物及び導電性接着シートを120℃以上に加熱し熱硬化させることによって補強部を形成する工程[2]を経ることによって製造することができる。
【0067】
前記フレキシブルプリント配線板への部品の実装は、前記工程[1]の前にあらかじめ行われていてもよいが、前記工程[1]及び工程[2]を経た後に、行われることが、実装工程における前記部品の接続不良を効果的に防止するうえで好ましい。
【0068】
前記補強部付フレキシブルプリント配線板は、もっぱらスマートフォン等の携帯型電子機器やパソコン等の電子機器に搭載される。その際、フレキシブルプリント配線板及び前記補強部付フレキシブルプリント配線板の前記補強部の表面には、直接または他の層を介して、クッション材が積層された状態で、前記電子機器に搭載されることが好ましい。
【0069】
前記クッション材との積層は、接着成分等で接着された状態であってもよく、単に接している状態であってもよい。
【0070】
前記クッション材としては、例えばウレタンフォームや、ポリエチレンフォーム、シリコンスポンジ等が挙げられ、導電性ウレタンフォームを使用することが好ましい。
【0071】
前記クッション材としては、0.1~5.0mm程度の厚さを有するものを使用することが好ましい。
【0072】
前記クッション材の積層された構成を備えた電子機器は、ノイズを原因とする誤作動を効果的に抑制する。
【実施例
【0073】
以下に実施例及び比較例について具体的に説明をする。
【0074】
(実施例1)
JER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量8,000g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分30質量%)200質量部、850-S(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/eq.)を10質量部、HP-7200(DIC株式会社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量285g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分70質量%)42.9質量部、DICY-7(三菱化学株式会社製、ジシアンジアミド)2.0質量部を混合することによって熱硬化性樹脂組成物(X-1)を調製した。
【0075】
次に、針状の導電性フィラーとしてNI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、平均のアスペクト比3超え、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)を前記熱硬化性樹脂組成物(X-1)の固形分100質量部に対し217.3質量部、略球形状の導電性フィラーとしてDAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、平均のアスペクト比2未満、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)96.8質量部を入れ、分散撹拌機を用いて10分間撹拌することによって導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-1)を得た。
【0076】
次に、離型ライナー(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン化合物によって剥離処理されたもの)の表面に、前記導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-1)を、棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが140μmになるように塗工した。
【0077】
次に、前記塗工物を85℃の乾燥機に5分間投入し乾燥することによって、厚さ140μmの導電性接着シート(Z-1)を得た。
【0078】
(実施例2)
DICY-7(三菱化学株式会社製、ジシアンジアミド)2.0質量部の代わりに2MA-OK(四国化成工業株式会社製、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物)2質量部を使用すること以外は実施例1と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-2)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-2)を得た。
【0079】
(実施例3)
JER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)のメチルエチルケトン溶液(固形分30質量%)の使用量を200質量部から133.3質量部に変更し、850-S(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/eq.)の代わりに830-S(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq.)を10質量部使用し、かつ、EXA-9726(DIC株式会社製、リン変性エポキシ樹脂、エポキシ当量475g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分70質量%)を28.6質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-3)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-3)を得た。
【0080】
(実施例4)
JER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)のメチルエチルケトン溶液(固形分30質量%)の使用量を133.3質量部から166.7質量部に変更し、EXA-9726(DIC株式会社製、リン変性エポキシ樹脂、エポキシ当量475g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分70質量%)の代わりにTSR-400(DIC株式会社製、イソシアネート変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量343g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分80質量%)を50質量部使用し、HP-7200(DIC株式会社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量285g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分70質量%)の使用量を42.9質量部から0質量部に変更し、かつ、DICY-7(三菱化学株式会社製、ジシアンジアミド)2.0質量部の代わりに2MA-OK(四国化成工業株式会社製、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物)1質量部使用すること以外は、実施例3と同様の方法で導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-4)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-4)を得た。
【0081】
(実施例5)
2MA-OK(四国化成工業株式会社製、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物)の使用量を1質量部から0.9質量部に変更し、さらにDICY-7(三菱化学株式会社製、ジシアンジアミド)1.5質量部と4,4’-ジアミノジフェニルスルホン5.4質量部とを使用すること以外は、実施例4と同様の方法で導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-5)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-5)を得た。
【0082】
(実施例6)
前記NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の使用量を217.3質量部から162質量部に変更し、かつ、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から145質量部に変更したこと以外は、実施例4と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-6)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-6)を得た。
【0083】
(実施例7)
830-S(DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq.)の使用量を10質量部から20質量部に変更し、TSR-40(DIC株式会社製、イソシアネート変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量343g/eq.)の代わりに1055(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量475g/eq.)を30質量部使用し、JER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)の使用量を166.7質量部から150質量部に変更し、エスレックKS-1(積水化学工業株式会社製、ポリビニルアセタール樹脂)を5質量部使用し、かつ、DN-980(DIC株式会社製、ポリイソシアネート硬化剤)を1.5質量部使用すること以外は、実施例4と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-7)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-7)を得た。
【0084】
(実施例8)
NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の使用量を217.3質量部から168質量部に変更し、かつ、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から75.2質量部に変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-8)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-8)を得た。
【0085】
(実施例9)
NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の使用量を217.3質量部から271.3質量部に変更し、かつ、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から121.5質量部に変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-9)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-9)を得た。
【0086】
(実施例10)
NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の使用量を217.3質量部から162質量部に変更し、かつ、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から145.1質量部に変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-10)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-10)を得た。
【0087】
(実施例11)
NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の使用量を217.3質量部から243質量部に変更し、かつ、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から72.5質量部に変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-11)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-11)を得た。
【0088】
(実施例12)
DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の代わりにNI―123(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:11.7μm、見かけ密度:2.5g/cm、丸み状)を81質量部使用すること以外は、実施例11と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-12)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-12)を得た。
【0089】
(実施例13)
DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の代わりにNI―123(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:11.7μm、見かけ密度:2.5g/cm、丸み状)を108質量部使用すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y-13)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-13)を得た。
【0090】
(実施例14)
導電性接着シートの厚さを140μmから160μmに変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性接着シート(Z-14)を得た。
【0091】
(実施例15)
導電性接着シートの厚さを140μmから110μmに変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性接着シート(Z-15)を得た。
【0092】
(実施例16)
導電性接着シートの厚さを140μmから90μmに変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性接着シート(Z-16)を得た。
【0093】
(実施例17)
NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の使用量を217.3質量部から259質量部に変更し、かつ、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から58質量部に変更すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Z-17)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z-17)を得た。
【0094】
(比較例1)
前記NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉)の使用量を217.3質量部から324質量部に変更し、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉)の使用量を96.8質量部から0質量部に変更し、かつ、850-S(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/eq.)の代わりに830-S(DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq.)を10質量部使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-1)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-1)を得た。
【0095】
(比較例2)
前記NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉)の使用量を217.3質量部から0質量部に変更し、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉)の使用量を96.8質量部から290.3質量部に変更し、かつ、850-S(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/eq.)の代わりに830-S(DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq.)を10質量部使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-2)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-2)を得た。
【0096】
(比較例3)
前記NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉)の使用量を162質量部から190質量部に変更し、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉)の使用量を145質量部から0質量部に変更し、かつ、JER-1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)のメチルエチルケトン溶液(固形分30質量%)の使用量を166.7質量部から200質量部に変更し、TSR-400(DIC株式会社製、イソシアネート変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量343g/eq.)のメチルエチルケトン溶液(固形分80質量%)を50質量部から37.5質量部に変更したこと以外は、実施例6と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-3)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-3)を得た。
【0097】
(比較例4)
前記NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉)の使用量を162質量部から108質量部に変更し、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉)の使用量を145質量部から193.5質量部に変更したこと以外は、実施例6と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-4)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-4)を得た。
【0098】
(比較例5)
NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の代わりにNI―123(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:11.7μm、見かけ密度:2.5g/cm、丸み状)を217.3質量部使用すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-5)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-5)を得た。
【0099】
(比較例6)
NI―123(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を217.3質量部から337質量部に変更し、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から149質量部に変更すること以外は、比較例5と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-6)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-6)を得た。
【0100】
(比較例7)
NI―123(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:11.7μm、見かけ密度:2.5g/cm、丸み状)の使用量を217.3質量部から506質量部に変更し、DAP-316L-HTD(大同特殊鋼株式会社製、ステンレス粉、50%平均粒子径:10.7μm、タップ密度:4.1g/cm、丸み状)の使用量を96.8質量部から223質量部に変更すること以外は、比較例5と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-7)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-7)を得た。
【0101】
(比較例8)
NI-255(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:21μm、見かけ密度:0.6g/cm、針状)の使用量を217.3質量部から108.7質量部に変更し、かつ、NI―123(インコリミテッド社製のニッケル粉、50%平均粒子径:11.7μm、見かけ密度:2.5g/cm、丸み状)を108.7質量部使用すること以外は、実施例7と同様の方法で、導電性熱硬化性樹脂組成物(Y’-8)及び厚さ140μmの導電性接着シート(Z’-8)を得た。
【0102】
[導電性接着シートの熱硬化後の厚さの測定方法]
離型ライナーを除去した導電性接着シートを、幅10mm×長さ100mmの大きさに裁断したものを試験片1とした。
【0103】
次に、前記試験片1を厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、165℃で60分加熱硬化させることによって試験片2(熱硬化後)を得た。
【0104】
前記試験片2(熱硬化後)の厚さをテスター産業株式会社製厚さ計「TH-102」を用いて測定した。
【0105】
[25℃における引っ張り弾性率(x1)及び引っ張り弾性率(x2)の測定方法]
前記試験片1(硬化前)の25℃における引っ張り弾性率(x1)を、テンシロン引張り試験機を用いて引張り速度20mm/分の条件の下測定した。
【0106】
前記試験片2(熱硬化後)の25℃における引っ張り弾性率(x2)を、テンシロン引張り試験機を用いて引張り速度20mm/分の条件の下測定した。
【0107】
[接着剤フロー量]
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン100H)と、厚さ35μmの銅箔(艶面)の間に、直径6mmのパンチ穴を3箇所空けた前記導電性接着シートを挟みこんだものを、温度165℃及び圧力2MPaで60分間プレスした。
【0108】
前記プレス後、光学顕微鏡を用いて、前記パンチ穴の内部への接着剤の最大浸出距離をパンチ穴毎に測定し、その平均距離を「接着剤フロー量[mm]」とした。
【0109】
[体積抵抗率の測定方法]
上記試験片2(熱硬化後)と同一のものを用意し、それを50×80mmの大きさに裁断して得た試験片3の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学株式会社製「Loresta-GP MCP-T600」)を用い四探針法で測定した。
【0110】
[接着性の評価方法]
実施例及び比較例で得た導電性接着シートを幅20mm×長さ100mmの大きさに裁断したものを試験片3とした。
【0111】
厚さ1.5mmのアルミニウム板と、厚み35μmの電解銅箔との間に前記試験片3を挟み、熱プレス機で1MPaの圧力を維持しながら180℃で10分熱接着し、その後180℃環境下に50分静置し試験片3を熱硬化することで、前記試験片3によってアルミニウム板と電解銅箔とが接着された銅箔貼り積層体を作製した。
【0112】
前記銅箔貼り積層板を23℃×50%RH雰囲気下に1時間静置後、同環境下で、その180°方向へ剥離した際の接着強度(剥離速度50mm/分)を測定した。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】