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特許7361714浸透性超吸収体、及びそれを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】浸透性超吸収体、及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20231006BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
B01J20/26 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020555507
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019058165
(87)【国際公開番号】W WO2019197194
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】18166564.7
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボードウィン,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,トーマス
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-270741(JP,A)
【文献】特表2017-509757(JP,A)
【文献】特表2015-500351(JP,A)
【文献】特表2021-502454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00-20/28
C08J 3/00-3/28
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超吸収体を製造する方法であって、
a) 酸性基を有し、場合により少なくとも部分的に塩形態である、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b) 少なくとも1種の架橋剤、
c) 少なくとも1種の開始剤、
d) 場合により、a)で言及したモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、及び
e) 場合により、1種以上の水溶性ポリマー
を含むモノマー水溶液を重合する工程、
生じたポリマーを乾燥させる工程、
場合により、乾燥させたポリマーを粉砕し、粉砕したポリマーを篩い分けする工程、及び
場合により、乾燥させ、場合により粉砕し篩い分けしたポリマーを、表面後架橋する工程を含み、
乾燥、粉砕又は篩い分け後、かつ表面後架橋する工程が実施される場合はこの表面後架橋する工程の前、間又はその後に、X線非晶質水酸化アルミニウム粉体が添加される、
方法。
【請求項2】
添加前のポリマーの量に基づいて、0.01重量%~2重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムが添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
添加前のポリマーの量に基づいて、0.2重量%~1重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムが添加される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥させ、場合により粉砕し篩い分けしたポリマーが、超吸収体粒子の表面の極性基と共有結合を形成する後架橋剤を用いて表面後架橋される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
X線非晶質水酸化アルミニウム粉体を添加した後に、X線非晶質水酸化アルミニウム粉体を添加する前のポリマーの量に基づいて0.1重量%~10重量%の水が、超吸収体に添加される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により得ることができる超吸収体。
【請求項7】
請求項6に記載の超吸収体を含む、流体を吸収するための物品。
【請求項8】
流体を吸収するための物品を製造する方法であって、物品の製造が、請求項6に記載の超吸収体を添加する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透性超吸収体、それを製造する方法、及びその使用、並びにそれを含む衛生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は公知である。そのような材料に対しては、以下の名称、例えば「高膨潤性ポリマー」、「ヒドロゲル」(しばしば乾燥形態でも使用される)、「ヒドロゲル形成ポリマー」、「吸水性ポリマー」、「吸収性ゲル形成材料」、「膨潤性樹脂」、「吸水性樹脂」等も一般的に使用される。これらの材料は、架橋親水性ポリマーであり、より詳細には(共)重合された親水性モノマー、適切なグラフトベース上の1つ以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋セルロースエーテル若しくはスターチエーテル、架橋カルボキシメチルセルロース、部分的架橋ポリアルキレンオキシド、又は水性液体中で膨潤可能な天然物、例えばグアー誘導体から形成されたポリマーであり、最も一般的なものは、部分的に中和されたアクリル酸をベースにした吸水性ポリマーである。超吸収体の不可欠な特性は、水性液体を、それ自体の重量の数倍吸収し、一定の圧力下でさえ液体を再び放出させないその能力である。乾燥粉体の形態で使用される超吸収体は、流体を吸収するとゲルに変わり、同様に、通常通り水を吸収するとヒドロゲルに変わる。架橋は、合成超吸収体にとって不可欠であり、それがポリマーの水への不溶性をもたらすので、慣習的で簡単な増粘剤との重要な差である。可溶性物質は、超吸収体としては使用不可能であろう。圧倒的に、超吸収体を使用する最も重要な分野は、体液の吸収である。超吸収体は、例えば、乳児のためのおむつ、成人のための失禁用製品、又は婦人用衛生製品において使用される。使用の他の分野は、例えば、市場園芸の保水剤として、火災から防護するための貯水手段として、食品包装の流体吸収のため、又はかなり一般的には湿気を吸収するために使用される。
【0003】
超吸収体は、水をそれ自体の重量の数倍吸収し、それを一定の圧力下で保持することが可能である。一般に、そのような超吸収体は、少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/g、より好ましくは少なくとも15g/gのCRC(「遠心保持容量(centrifuge retention capacity)」、以下の試験方法を参照されたい)を有する。「超吸収体」はまた、異なる別個の超吸収体物質の混合物であるか、又は相互作用する場合に限り超吸収体の特性を示す成分の混合物であってもよく、ここで重要なことは、物理的組成ではなく、超吸収体の特性である。
【0004】
超吸収体に関する特徴は、その吸収能力だけではなく、圧力下で流体を保持する能力(通常は、「荷重下吸水性(Absorption under Load)」(「AUL」)又は「加圧下吸水性(Absorption against Pressure)」(「AAP」)として表される保持。試験方法に関しては以下を参照されたい)、及び浸透率、すなわち膨潤状態で流体を誘導する能力(通常「生理食塩水流れ誘導性(Saline Flow Conductivity)」(「SFC」)、又は「ゲルベッド浸透性(Gel Bed Permeability)」(「GBP」)として表される。試験方法に関しては以下を参照されたい(とはいえ、超吸収体への変化によって、必ずしもそのSFC及びGBPの両方の値が変化せず、又はそれらを同じ程度にまでは変化しない))も重要である。膨潤したゲルは、まだ膨潤していない超吸収体への流体の誘導を妨害又は防止できる(「ゲルブロッキング」)。流体の良好な誘導特性は、例えば、膨潤状態において高いゲル強度を有するヒドロゲルが有する。低いゲル強度しか持たないゲルは、加圧力(体圧)下で変形しやすく、超吸収体/セルロース繊維吸収コア中の細孔を塞ぎ、したがって、まだ膨潤していないか完全には膨潤していない超吸収体への流体誘導、及びこのまだ膨潤していないか完全には膨潤していない超吸収体による流体吸収を妨げる。ゲル強度の増大は、一般的に、架橋度がより高い場合に達成されるが、これは、生成物の吸収能力を減少させる。ゲル強度を増大させる的確な方法は、粒子の内部と比較して、超吸収体粒子の表面の架橋度を増大させる方法である。そのために、表面後架橋工程で通常は乾燥させた、平均架橋密度を有する超吸収体粒子は、その粒子の薄い表面層で、さらなる架橋にさらされる。表面の後架橋は、超吸収体粒子のシェル中の架橋密度を増大させ、これにより、圧縮応力下の吸収性がより高いレベルにまで上がる。超吸収体粒子の表面層における吸収能力が低下する一方で、それらのコアは、可動性のポリマー鎖が存在する結果として、シェルと比較して改善された吸収能力を有し、結果として、シェル構造により、ゲルブロッキングが発生することなく改善された浸透性が確保される。比較的高度に全体的に架橋されている超吸収体を得ることができ、粒子内部の架橋度が、粒子の外側シェルと比較して後に減少する可能性があることは同様に公知である。
【0005】
超吸収体を製造する方法も公知である。市場において最も一般的なものであるアクリル酸ベース超吸収体は、架橋剤(「内部架橋剤」)の存在下でのアクリル酸のフリーラジカル重合により製造され、アクリル酸は、重合の前、後、又は部分的に前及び部分的に後に、典型的にはアルカリ、通常は水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、一定程度まで中和する。そうして得られたポリマーゲルを粉末化し(これは、使用する重合反応器に応じて重合と同時に行うことができる)、乾燥させる。そうして得られた乾燥粉体(「ベースポリマー」)は、粒子内部と比較してより高度に架橋された表面層を得るために、典型的には、それをさらなる架橋剤、例えば有機架橋剤若しくは多価カチオン、例えばアルミニウム(通常は、硫酸アルミニウムの形態で使用される)、又は両方を用いて反応させることによって、粒子の表面上で後架橋される。
【0006】
Fredric L.Buchholz及びAndrew T.Graham(編集者)は、”Modern Superabsorbent Polymer Technology”、J.Wiley & Sons、New York、U.S.A./Wiley-VCH、Weinheim、Germany、1997年、ISBN 0-471-19411-5において、超吸収体の包括的な概説、その特性、超吸収体を製造する方法を示している。
【0007】
超吸収体をアルミニウム化合物で処理することは公知である。例えば、超吸収体は、固化の傾向を低下させ、粉体の流動性、又はその浸透性を増大させるために、無機微粒子で覆われる。通常、沈降二酸化ケイ素がこの目的で使用されるが、米国特許第7,795,345(B2)号、米国特許第3,932,322号、又は国際公開第2013/076031(A1)号も、超吸収体への、熱分解法酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの添加を開示している。国際公開第01/68156(A1)号の教示によれば、アルミノケイ酸塩、例えばゼオライトは、浸透性を増大させ、かつ不快臭を制限するために超吸収体に添加される。国際公開第2007/74108(A1)号は、超吸収体を、非反応性及び非膜形成化合物、例えば水不溶性塩でコーティングすることを教示する。水和酸化アルミニウムは、いくつかのそのような塩の中で言及されている。国際公開第2007/121941(A2)号は、無機粉体でコーティングされた類似の超吸収体を開示しており、ここで、粉体はまた、結合剤を含んでいてもよい。水酸化アルミニウムが、いくつかの無機粉体の中から言及されている。
【0008】
実施されるのは極めて稀であるが、超吸収体の内部架橋剤として、多価カチオン、例えばアルミニウムを使用することも公知である。対照的に、ポリマー鎖の間の共有結合を形成する表面後架橋剤を用いる表面後架橋の最中に、超吸収体に多価カチオンを添加することは、慣習的である。
【0009】
国際公開第99/55767(A1)号は、重合の前、間、又は後に、式Mn[H2n+2AlnO3n+1]であり、M=K又はNa、及びn=1~10の整数であるアルミン酸塩が添加される超吸収体を開示している。国際公開第98/48857(A1)号は、Al、Fe、Zr、Mg、又はZnカチオンを用いて架橋し、その後、液体、例えば水、鉱油、又はポリオールと混合された超吸収体を記載している。国際公開第01/74913(A1)号は超吸収体の再生に関し、具体的には、少なくとも三価カチオンの溶液、典型的には硫酸アルミニウム水溶液を添加することによって、摩耗により低下した浸透性を増大させることに関する。米国特許第6,620,889(B1)号は、水溶液中のポリオール及び多価金属の塩の組み合わせで表面後架橋される超吸収体を開示している。塩のアニオンは、塩化物アニオン、臭化物アニオン、硫酸アニオン、炭酸アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、酢酸アニオン、又は乳酸アニオンであってもよい。硫酸アルミニウムの使用が好ましい。
【0010】
国際公開第2006/111402(A2)号の教示に従って、ベースポリマーは、ケイ素-酸素化合物、多価、特に三価カチオンの塩、又はそれらの混合物から選択される浸透性向上剤で処理される。三価カチオンの塩は、好ましくはアルミニウム塩であり、乳酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、グリオキシル酸アルミニウム、コハク酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、及び他の有機及び無機アルミニウム塩を含む塩の群から選択される。国際公開第2005/108472(A1)号は、多価金属の水溶性塩、及び有機酸又はその塩を用いてベースポリマーを処理する工程を含む方法を開示している。多価金属の塩は、好ましくは硫酸アルミニウムである。有機酸又はその塩は、クエン酸、グリオキシル酸、グルタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸を含む酸、及びこれらの酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の群から選択される。
【0011】
国際公開第2004/113452(A1)号は、多価金属塩、特にアルミン酸ナトリウムの濃縮溶液を用いて処理される超吸収体を記載している。国際公開第2013/156281(A1)号は、グリシン酸アルミニウムを用いる超吸収体の処理を教示する。国際公開第2010/108875(A1)号、国際公開第2012/045705(A1)号、及び国際公開第2013/156330(A1)号は、塩基性アルミニウム塩、例えば塩基性の酢酸アルミニウム又は乳酸アルミニウムを用いる超吸収体の処理を教示する。
【0012】
国際公開第2009/080611(A2)号は、アルミニウム塩の混合物を用いる超吸収体の処理を開示しており、そのうちの1つが、キレート化アニオン、例えばジカルボン酸アニオン又はヒドロキシカルボン酸アニオンを含み、乳酸アニオンが特に好ましく、及び他方は、弱錯化アニオン、例えば塩化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、炭酸アニオン、炭酸水素アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、リン酸水素アニオン、リン酸二水素アニオン、又はカルボン酸アニオンであり、硫酸アニオンが特に好ましい。欧州特許庁での先行出願第17200963.1号は、アルミニウムイオンと錯体を形成する超吸収体を教示しており、ここで、アルミニウムイオンは、アルミニウムイオンを含む水溶液の形態で適用され、これは、溶液の合計質量に基づいて0.5重量%~15重量%の範囲内の割合でアルミニウムイオン(場合によりAl3+に変えられる)を含み、乳酸(乳酸イオン)及びリン酸(リン酸イオン)のアニオンをさらに含むという特徴を有し、ここで、乳酸イオンのモル比は、Al3+のモル量の0.01~2.99倍の範囲内にあり、リン酸イオンのモル比は、Al3+のモル量の0.01~2.99倍の範囲内にある。これらの溶液は、非晶質の水酸化アルミニウムに酸を添加することにより調製される。
【0013】
欧州特許出願公開第233067(A2)号は、ポリオール及び水の存在下で超吸収体と反応できるアルミニウム塩を用いる、超吸収体の表面後架橋を開示している。いくつかのアルミニウム塩の中から、水酸化アルミニウムも言及される。新たに沈殿させた水酸化アルミニウムゾル又はゲルの使用が推奨される。米国特許第5,145,906号の教示に従って、未乾燥の重合ゲルは、表面後架橋剤を用いて処理され、表面後架橋反応は、乾燥させるための加熱の間、又は乾燥の間に起こる。水酸化アルミニウムは、可能性のある言及された表面後架橋剤のうちの1つである。特開平09/124879号は、この目的のために、同様に、いくつかの化合物の中で水酸化アルミニウムを言及するが、これは、言及された他の水溶性化合物のように、溶液として適用されることになっている。欧州特許出願公開第780424(A1)号は、表面後架橋剤として、アルミニウムを含むいくつかの金属の水酸化物及び塩化物に言及している。米国特許第5,684,106号は、この目的のために、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、又は他の多価金属化合物に言及している。日本特許第3121934号は、この目的のために、式[Al(OH))3]n・AlCl3であり、n=10~21であるポリアルミニウム水酸化物の使用を教示する。
【0014】
国際公開第03/049778(A1)号は、共有表面後架橋剤又は多価金属イオンのいずれかを用いて後架橋された超吸収体の場合には、液体の最初の吸収後に、金属イオン、例えば錯化剤を用いて後架橋を再溶解し、そうしてさらなる吸収能力を得ることを教示する。水酸化アルミニウムは、後架橋剤として、いくつかの可能性のある多価金属塩の中で言及されている。
【0015】
国際公開第2012/143215(A1)号の教示に従って、中和された多価金属塩の溶液、好ましくは、キレート形成アニオンを用いてアルミニウム化合物及び有機酸から形成されるアルミニウム塩の溶液であって、酸又は塩基を用いて5~9のpHまで中和される溶液が、超吸収体に添加される。そうしてキレート形成アニオンを有する酸と反応したアルミニウム化合物はまた、水酸化アルミニウムであってもよい。言及された有機キレート形成アニオンは、金属イオンと共に水溶性錯体を形成する。国際公開第2013/72311(A1)号は、金属塩、例えば水酸化アルミニウム、及び2-ヒドロキシカルボキサミドの錯体を使用する表面後架橋を教示する。
【0016】
国際公開第2014/167036(A1)号、国際公開第2014/167040号、及び国際公開第2014/168858(A1)号は、既に上記した欧州特許出願公開第233067(A2)号のように、表面後架橋における、新たに沈殿させた水酸化アルミニウムゾルの応用を開示している。
【0017】
米国特許出願公開第2016/0235882(A1)号は、共有後架橋剤の溶液を適用する前に、超吸収体ベースポリマーへと水酸化アルミニウム粉体を混合することを教示する。混ぜ合わせは、懸濁液を適用する際に固化する傾向が上昇するので、好ましくは乾燥形態で行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
異なる、若しくはさらに改善された超吸収体、特に浸透性超吸収体、又はそれらを製造するための極めて簡易化又は改善された方法を発見する問題が依然として残っている。超吸収体の使用特性、特に圧力下を含む液体に対するその吸収能力、及び圧力下の体積吸収性「VAUL」として定量化されたその膨潤速度の悪化は、もしあったとしても、少なくともほんのわずかなものであるべきである。本発明のさらなる目的は、この超吸収体の使用、例えば、この超吸収体を含む衛生製品、及びそれを製造する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
目的は、
超吸収体を製造する方法であって、
a) 酸性基を有し、場合により少なくとも部分的に塩形態である、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b) 少なくとも1種の架橋剤、
c) 少なくとも1種の開始剤、
d) 場合により、a)で言及したモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、及び
e) 場合により、1種以上の水溶性ポリマー
を含むモノマー水溶液を重合する工程、
生じたポリマーを乾燥させる工程、
場合により、乾燥させたポリマーを粉砕し、粉砕したポリマーを篩い分けする工程、
乾燥させ、場合により粉砕し篩い分けしたポリマーを、場合により表面後架橋する工程を含み、
乾燥、粉砕又は篩い分け後、かつ表面後架橋する工程が実施される場合はこの表面後架橋する工程の前、間又はその後に、X線非晶質水酸化アルミニウム粉体が添加される、
方法により達成される。
【0020】
本発明の超吸収体は、本発明の方法により得ることが可能であり、好ましくは本発明の方法により製造される。それらは、驚くべきことに、他の使用特性、例えばCRC又はAULが著しく悪化することがなく、良好な浸透性を示す。
【0021】
加えて、本発明の超吸収体を含む、流体を吸収するための物品、特に流体排泄物又は排泄物の流体成分を吸収するための衛生物品が見出された。流体を吸収するそのような物品を製造する方法であって、これらの物品の製造が、本発明の超吸収体を物品に添加する工程を伴う方法も見出された。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の方法における本発明の超吸収体の製造では、X線非晶質水酸化アルミニウムが添加される。
【0023】
超吸収体に多価金属塩を添加することは、昔から公知である。通常、アルミニウム塩が添加される。添加は、典型的には、共有表面後架橋剤、すなわち超吸収体粒子の表面の官能基、典型的には、慣習的なアクリル酸ベースの超吸収体の酸性基との共有結合を形成できる化合物を用いて表面後架橋する工程間に行われる。最終的に、多価金属塩の添加はまた、イオン結合によるものではあるが超吸収体粒子の表面における架橋部位をもたらす。表面後架橋の間の多価金属イオンを用いる超吸収体の処理は、しばしば「錯体形成」と呼ばれる。したがって、「錯体形成」は、厳密に言えば、多価金属イオンが、超吸収体粒子の表面のいくつかの極性基の間にイオン結合を生じさせる表面後架橋の特殊な場合に関する単なる特別な用語であり、錯体形成は、しばしば「表面後架橋」の下でも議論される。本発明の文脈では、「錯体形成」は、超吸収体粒子の表面の極性基と共有結合を形成する後架橋剤を用いる表面後架橋と区別するために、多価金属イオン(特にアルミニウム)を用いる表面後架橋を意味すると理解される。
【0024】
錯体形成では、添加された金属塩を、超吸収体と反応させる。したがって、本発明に従って、ここで超吸収体に添加されるX線非晶質水酸化アルミニウムは、超吸収体中でそのまま維持されないか、又は少なくとも完全には維持されない。したがって、不可欠なのは、本発明の超吸収体が、X線非晶質水酸化アルミニウムで処理されていること、又は、言い換えれば、それが本発明の超吸収体に添加されていることである。それは、添加されたX線非晶質水酸化アルミニウムを依然として含んでいてもよいが、そうである必要はない。
【0025】
水酸化アルミニウムは、本明細書では、三水酸化アルミニウムを意味するものと理解される。この命名は、文献中で一様に扱われていない。より詳細に、水酸化アルミニウムはまた、しばしば水酸化アルミニウム水和物の1つと考えられるか、又は水和酸化アルミニウムと呼ばれる。水酸化アルミニウムは、各場合において、中性pH域まで塩基を添加することによりアルミニウム塩溶液から、又は酸を添加することによりアルミン酸溶液から、公知の様式で沈殿させる。非晶質水酸化アルミニウムを調製するためには、析出が遅い場合は、結晶性γ-Al(OH)3(「ハイドラルジライト(hydrargillite)」又は「ギブサイト」)が、アルミン酸溶液から形成されるか、又はα-Al(OH)3(「バイヤライト」)がアルミニウム塩溶液から形成されるので、析出を迅速に行わなければならない。バイヤライトは、徐々に、経時的にハイドラルジライトに変わる。これらの水酸化物は、ゆっくり縮合して式Al(O)OHの水酸化アルミニウム水和物(ダイアスポア又はベーマイト)を形成することができ、これも時折「水酸化物」とも呼ばれる。したがって、X線非晶質三水酸化アルミニウムの製造においては、水酸化アルミニウム水和物を調製するバイヤー法におけるように結晶性水酸化アルミニウムのシード添加するのではなく、むしろ迅速な析出及び迅速な乾燥が存在する。噴霧乾燥により、新たに沈殿させた水酸化アルミニウムゲルを乾燥させることが好ましい。水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、及び酸化アルミニウムの化学的性質及び調製は周知であり、例えば、Holleman/Wiberg、Lehrbuch der Anorganischen Chemie[Inorganic Chemistry]、Walter de Gruyter & Co.,Berlin、第103版、2016年、ISBN 978-3-11-051854-2、第2.4章”Sauerstoffverbindungen des Aluminiums”[Oxygen Compounds of Aluminum]、又はUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、”Aluminum Oxide”、Wiley-VCH Verlag Gmbh & Co.KGaA、Weinheim 2012、DOI 10.1002/14356007.a01_557を参照されたい。原子/分子のレベルの非晶質及び結晶性水酸化アルミニウム間のいくらかの構造の差は、T.Isobeら、J.Colloid and Interface Science 261 (2003年)320~324頁により説明されており、これによって、付随的に、非晶質水酸化アルミニウムの製造の公知の方法にも、前置きとしてさらに言及されている。粉体状のX線非晶質水酸化アルミニウムは、例えば、Dr.Paul Lohmann GmbH KG、Hauptstrasse 2、31860 Emmerthal、Germanyから、カタログ番号511066100の「水酸化アルミニウム乾燥ゲル」としても市販されている。
【0026】
水酸化アルミニウムは、それがX線粉末回折図においてシグナル(「線」)を示さない場合、X線非晶質である。結晶性物質は、原子間距離の大きさほどの波長を有する電磁放射を回折させ、X線放射が典型的には使用され、結果として、放射線の回折パターンが測定できる。単結晶が十分に大きい場合、それらは、ドットの形態で回折パターンをもたらし、ここで、結晶格子中の原子の位置を含む結晶構造は、ドットの位置及び強度から計算できる。シグナル(「線」)として、転向角に応じる散乱X線照射の最大値を示す、結晶性物質の粉体に対する回折図を測定することが可能であり、ここで、最大値の半値幅が、粉体中の結晶のサイズと相関する。この全てが周知であり、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、”Structure Analysis by Diffraction”、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA、Weinheim 2012、DOI 10.1002/14356007.b05_341を参照されたい。その方法は確立されており、粉末回折図を測定するための器具が市販されている。
【0027】
したがって、結晶構造を持たない場合、粉体は、X線回折図においてシグナルを示さず、したがって原子又は分子が完全に又はおおむね無秩序の形態であるか、又は結晶が非常に小さいため、結晶を形成するように整列する結晶中の単位格子の数が、放射線の集束回折には不十分であり、回折図における最大値の半値幅が、それらがベースライン中で見えなくなり、散乱放射のみしか測定できなくなるほど非常に大きくなる。ここで重大なものは、粉体の粒子サイズではなく、粉体中の結晶のサイズである。1つの粉体粒子中で、多数のより小さな結晶(「一次結晶」又は「一次結晶子」)は、いくつかの他の方法で凝集又は結合することができる。本発明に従ってここで使用されるX線非晶質水酸化アルミニウムに関して、その中に存在する一次結晶子は、もし存在するのであれば、2nm以下のサイズを有する。
【0028】
X線非晶質水酸化アルミニウムは、結晶性水酸化アルミニウムと混合して使用できる。この場合、結晶成分に起因する線が、混合物の回折図において発生することもある。結晶性水酸化アルミニウムの割合も、例えば、既知量の結晶性水酸化アルミニウムを粉体の比較用試料に添加し、それから生じる回折図における全ての線の合計面積が、実際の試料の回折図における全ての線の領域に対して増大したことを示すことによって粉末回折図を較正することにより測定できる。この全ては公知であり、例えばクロマトグラフの較正と全く変わりはない。
【0029】
一般的に、添加された合計の水酸化アルミニウムは、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の割合のX線非晶質水酸化アルミニウムを有する。X線回折図において発生する結晶成分を含まない純粋なX線非晶質水酸化アルミニウムであるか、又は避けることのできないわずかな結晶画分(例えば、経年変化の間に発生するような)は別にして、X線非晶質水酸化アルミニウムから単独でなる少なくとも水酸化アルミニウムが望ましい。
【0030】
本発明に従って、X線非晶質水酸化アルミニウムは、一般に、いずれの場合も添加前の超吸収体に基づいて、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.2重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.3重量%、かつ一般に最大で2重量%、好ましくは最大で1.5重量%、より好ましくは最大で1重量%、さらにより好ましくは最大で0.7重量%の量で添加される。
【0031】
本発明に従って、X線非晶質水酸化アルミニウムは、粉体として、乾燥、粉砕、又は篩い分けの後に添加され、表面後架橋が実施される場合はこの表面後架橋の前、間又は後に添加される。
【0032】
本発明の方法では、X線非晶質水酸化アルミニウムは、それ故、その乾燥後に超吸収体粉体へと乾燥混合され、乾燥させた後に超吸収体の篩分級物(sieve fraction)が得られる場合、これを篩い分けする工程に進む。これは、あらゆる公知の混合装置及び方法により行うことができ、好ましくは、移動混合器具、例えば、スクリューミキサー、ディスクミキサー、パドルミキサー、若しくはショベルミキサーを備えるミキサー、又は他の混合器具を備えるミキサーで実施される。適切なミキサーは、例えば、Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH、Elsener-Strasse 7-9、33102 Paderborn、Germanyから、Pflugschar(登録商標)(プラウシェア)ミキサーとして入手可能である。
【0033】
好ましくは、X線非晶質水酸化アルミニウムが混合された後、そうして製造された超吸収体は湿らせ、すなわちその水分を増大させる。この目的のために、専用の装置で、又は都合よく同じミキサーで、水が、例えば、後架橋剤溶液の噴霧適用による以下に記載の様式と同様に、ノズルを介する噴霧付与によって添加される。一般的に、この場合は、水は、いずれの場合も添加前の超吸収体に基づいて、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、及び一般に最大で10重量%、好ましくは最大で7重量%、より好ましくは最大で5質量%の量で、超吸収体に添加される。
【0034】
水を添加する時点で超吸収体が温かくないか熱くない(例えば、前述の乾燥操作後)場合、この再保湿操作において加熱水を添加することが、都合のよいこともある。一般に、水は、少なくとも5℃、好ましくは少なくとも20℃、より好ましくは少なくとも25℃の温度で添加され、例えば、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、又は90℃の温度である。蒸気を使用することも可能である。
【0035】
X線非晶質水酸化アルミニウムの添加、及び任意選択的な水の添加は、表面後架橋の前、間、又は後に行うことができる。適用される表面後架橋剤溶液が水を含む場合、X線非晶質水酸化アルミニウムの添加を前もって実施し、表面後架橋剤溶液の添加を、X線非晶質水酸化アルミニウムを添加した後の水の任意選択的な添加と置き換えることが都合よく可能である。
【0036】
添加されるX線非晶質水酸化アルミニウムの合計量はまた、複数の添加部位又は時点で分割することもできる。1つの部位に、1つの時点で添加することが好ましい。
【0037】
他のものに関しては、超吸収体を製造するための発明の方法が公知である。これは、以下:
a) 少なくとも1個の酸性基を有し、場合により少なくとも部分的に塩形態である少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b) 少なくとも1種の架橋剤、
c) 少なくとも1種の開始剤、
d) 場合により、a)で言及したモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、及び
e) 場合により、1種以上の水溶性ポリマー
を含むモノマー混合物を水溶液重合する方法である。
【0038】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、したがって、23℃の水中でのそれらの溶解性は、典型的には少なくとも1g/水100g、好ましくは少なくとも5g/水100g、より好ましくは少なくとも25g/水100g、最も好ましくは少なくとも35g/水100gである。
【0039】
適切なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸、及びイタコン酸又はその塩である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が極めて特に好ましい。
【0040】
さらに適切なモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和スルホン酸、例えば、スチレンスルホン酸及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0041】
不純物は、重合に相当な影響を与える可能性がある。したがって、使用される原料は、最大の純度を有するべきである。したがって、多くの場合、モノマーa)を特別に精製することが都合がよい。適切な精製方法は、例えば、国際公開第2002/055469(A1)号、国際公開第2003/078378(A1)号、及び国際公開第2004/035514(A1)号に記載されている。適切なモノマーa)は、例えば、国際公開第2004/035514(A1)号に従って精製されるアクリル酸であり、99.8460重量%のアクリル酸、0.0950重量%の酢酸、0.0332重量%の水、0.0203重量%のプロピオン酸、0.0001重量%のフルフラール、0.0001重量%の無水マレイン酸、0.0003重量%のジアクリル酸、及び0.0050重量%のヒドロキノンモノメチルエーテルを含む。
【0042】
モノマーa)の合計量中のアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも90mol%、最も好ましくは少なくとも95mol%である。
【0043】
モノマー溶液は、いずれの場合も非中和のモノマーa)に基づいて、好ましくは最大で250重量ppm、好ましくは最大で130重量ppm、より好ましくは最大で70重量ppm、好ましくは少なくとも10重量ppm、より好ましくは少なくとも30重量ppm、とりわけ約50重量ppmのヒドロキノンモノエーテルを含み、中和されたモノマーa)、すなわちモノマーa)の塩は、演算目的のために、非中和のモノマーであると考慮される。例えば、モノマー溶液は、適正含有量のヒドロキノンモノエーテルと共に、酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用することにより調製できる。
【0044】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα-トコフェロール(ビタミンE)である。
【0045】
適切な架橋剤b)は、架橋するのに適切な少なくとも2つの基を有する化合物である。そのような基は、例えば、ポリマー鎖へとフリーラジカル重合できるエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸性基と共有結合を形成できる官能基である。加えて、モノマーa)の少なくとも2つの酸性基と配位結合を形成できる多価金属塩も、架橋剤b)として適切である。
【0046】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマー網目構造へとフリーラジカル重合できる少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。適切な架橋剤b)は、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアミニウムクロリド、欧州特許出願公開第530438(A1)号に記載されているテトラアリルオキシエタン、欧州特許出願公開第547847(A1)号、欧州特許出願公開第559476(A1)号、欧州特許出願公開第632068(A1)号、国際公開第93/21237(A1)号、国際公開第2003/104299(A1)号、国際公開第2003/104300(A1)号、国際公開第2003/104301(A1)号、及び独国特許出願公開第10331450(A1)号に記載されているジ及びトリアクリレート、独国特許出願公開第10331456(A1)号及び独国特許出願公開第10355401(A1)号に記載される、アクリレート基と同様にエチレン性不飽和基をさらに含む混合アクリレート、又は例えば独国特許出願公開第19543368(A1)号、独国特許出願公開第19646484(A1)号、国際公開第90/15830(A1)号、及び国際公開第2002/32962(A2)号に記載される架橋剤混合物である。
【0047】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリスリチルトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15~20個(tuply)のエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、15~20個のエトキシル化グリセリルトリアクリレート、分子鎖中に4~45-CH2CH2O単位を有するポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びトリアリルアミンである。
【0048】
特に非常に好ましい架橋剤b)は、例えば、国際公開第2003/104301(A1)号に記載されるジ又はトリアクリレートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化された、ポリエトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールである。3~10個のエトキシル化グリセロールのジ及び/又はトリアクリレートが、特に都合がよい。1~5個のエトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールのジ又はトリアクリレートが極めて特に好ましい。3~5個のエトキシル化トリアクリレート及び/又はプロポキシル化グリセロール、とりわけ3個のエトキシル化グリセロールのトリアクリレートが最も好ましい。
【0049】
架橋剤b)の量は、いずれの場合もモノマーa)に基づいて、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、より好ましくは0.1重量%~1重量%、最も好ましくは0.3重量%~0.6重量%である。架橋剤含有量が増加すると、遠心保持容量(CRC)が低下し、荷重下吸水性(AUL)が上昇する。
【0050】
使用される開始剤c)は全て、重合条件下でフリーラジカルを生成する化合物であり、例えば、熱開始剤、レドックス開始剤、及び/又は光重合開始剤である。適切なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム、及び過酸化水素/亜硫酸水素ナトリウムである。熱開始剤及びレドックス開始剤の混合物、例えば、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸の使用が好ましい。しかしながら、使用される還元成分はまた、好ましくはスルホン酸誘導体であり、例えばBRUGGOLIT(登録商標)FF6M若しくはBRUGGOLIT(登録商標)FF7、又は代替的にBRUGGOLITE(登録商標)FF6M若しくはBRUGGOLITE(登録商標)FF7という名で、例えばL.Brueggemann KG(Salzstrasse 131、74076 Heilbronn、Germany、www.brueggemann.com)から入手可能な、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸のジナトリウム塩、及び亜硫酸水素ナトリウムの混合物、又はBLANCOLEN(登録商標)HPという名で、例えばL.Brueggemann KGから入手可能な、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸のジナトリウム塩である。因みに、開始剤は、慣習的な量で使用される。レドックス開始剤の還元成分の慣習的な量は、いずれの場合もモノマーa)及びd)の量に基づいて、一般に少なくとも0.00001重量%、好ましくは少なくとも0.0001重量%、より好ましくは少なくとも0.001重量%、かつ一般に最大で0.2重量%、好ましくは最大で0.1重量%である。しかしながら、レドックス開始剤中に使用される唯一の還元成分がスルホン酸誘導体である場合、その添加量は、いずれの場合もモノマーa)及びd)の量に基づいて、一般に少なくとも0.001重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.03重量%、かつ一般に最大で1.0重量%、好ましくは最大で0.3重量%、より好ましくは最大で0.2重量%である。レドックス開始剤の慣習的な量の酸化成分は、いずれの場合もモノマーa)及びd)の量に基づいて、一般に0.0001重
量%、より好ましくは少なくとも0.001重量%、かつ一般に最大で2重量%、好ましくは最大で1.0重量%である。慣習的な量の熱開始剤は、いずれの場合も、モノマーa)及びd)の量に基づいて、一般に0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%、かつ一般に最大で2重量%、好ましくは最大で1.0重量%である。慣習的な量の光開始剤は、いずれの場合も、モノマーa)及びd)の量に基づいて、一般に0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%、かつ一般に最大で1.0重量%、好ましくは最大で0.2重量%である。
【0051】
酸性基を持つエチレン性不飽和モノマーa)と共重合できるエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、マレイン酸又はその塩、及び無水マレイン酸である。
【0052】
使用される水溶性ポリマーe)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スターチ、スターチ誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース若しくはヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール、又はポリアクリル酸であってもよく、好ましくはスターチ、スターチ誘導体、及び変性セルロースであってもよい。
【0053】
典型的には、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の水分は、好ましくは40重量%~75重量%、より好ましくは45重量%~70重量%、最も好ましくは50重量%~65重量%である。さらに、モノマー懸濁液、すなわち過飽和のモノマー溶液を使用することが可能である。水分が上昇すると、その後の乾燥におけるエネルギー消費が上昇し、水分が低下すると、重合熱を十分に除去できない。
【0054】
最適に作用するためには、好ましい重合防止剤は、溶存酸素が必要である。したがって、モノマー溶液は、不活性化する、すなわち、不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素を流すことにより、重合前に溶存酸素を除くことができる。モノマー溶液の酸素含量は、重合前に、好ましくは1重量ppm未満、より好ましくは0.5重量ppm未満、最も好ましくは0.1重量ppm未満に低下させる。
【0055】
モノマー混合物は、さらなる成分を含んでもよい。そのようなモノマー混合物で使用されるさらなる成分の例は、例えば、溶液で金属イオンを維持するためのキレート剤、又は膨潤状態での超吸収体の堅さを増大させるための無機粉体、又は後の粉砕操作から再利用される篩下物(undersize)である。ここではモノマー混合物への全ての公知の添加物を使用することが可能である。ここでは「溶液」のみがモノマー混合物に関して議論されるが、これは、例えば不溶性構成物質がモノマー混合物に添加される場合の懸濁液の重合も意味する。
【0056】
重合から生じたポリマーゲルの酸性基は、典型的には、部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマー段階で実施され、言い換えれば、酸性基を有するモノマーの塩、又は正確に言うと、酸性基を有するモノマー、及び酸性基を有するモノマーの塩(「部分的に中和された酸」)の混合物が、重合中に成分a)として使用される。これは、典型的には、中和剤を、水溶液として、好ましくは固体としても、重合を目的としたモノマー混合物へと、好ましくは酸性基を有するモノマー又はその溶液へと混合することにより遂行される。中和の程度は、好ましくは、25~95mol%、より好ましくは50~80mol%、最も好ましくは65~72mol%であり、このために、慣習的な中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩、又はアルカリ金属炭酸水素塩、さらにそれらの混合物が使用できる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することも可能である。特に好ましいアルカリ金属は、ナトリウム及びカリウムであるが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウム、さらにそれらの混合物が、極めて特に好ましい。
【0057】
しかしながら、重合中にポリマーゲルが形成される段階で、重合後に中和を実施することも可能である。酸性基の最大40mol%、好ましくは10~30mol%、より好ましくは15~25mol%を、重合前に、中和剤の一部をモノマー溶液に直接添加し、重合後に、ポリマーゲル段階で、中和の所望の最終的な度合のみを調節することにより中和することも可能である。ポリマーゲルが重合後に少なくとも部分的に中和される場合、ポリマーゲルは、好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて粉末化され、その場合、中和剤は、噴霧、散布、注入され、その後、慎重に混合されてもよい。この目的のために、得られたゲル材料は、均質化するためにさらに数回押出すことができる。
【0058】
しかしながら、モノマー段階で中和を実施することが好ましい。言い換えれば、特に非常に好ましい実施形態では、使用されるモノマーa)は、25~95mol%、より好ましくは50~80mol%、最も好ましくは65~75mol%の酸性基を有するモノマーの塩、及び100mol%に対する残りの部分の酸性基を有するモノマーの混合物である。この混合物は、例えば、アクリル酸ナトリウム及びアクリル酸の混合物、又はアクリル酸カリウム及びアクリル酸の混合物である。
【0059】
好ましい実施形態では、中和に使用される中和剤は、鉄含有量が、一般に10重量ppm未満、好ましくは2重量ppm未満、より好ましくは1重量ppm未満の中和剤である。同様に、塩化物、及び塩素の酸素酸のアニオンの含有量が低いことが望ましい。適切な中和剤は、例えば、「膜グレード」として典型的には売買されている50重量%の水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム水溶液であり、さらに一層純粋で、同様に適切であるが、より高価であるものは、典型的には「アマルガムグレード」又は「水銀法」として売買されている50重量%の水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム水溶液である。
【0060】
超吸収体をモノマー混合物から製造する方法、例えば上に例として記載されたものは、原理的に公知である。適切な重合反応器は、例えば、混練反応器又はベルト反応器である。混練機では、モノマー水溶液又は懸濁液の重合で形成されたポリマーゲルは、例えば逆回転撹拌機シャフトにより、国際公開第2001/38402(A1)号に記載されるように、連続的に粉末化される。ベルト上での重合は、例えば、欧州特許出願公開第955086(A2)号、独国特許出願公開第3825366(A1)号、及び米国特許第6,241,928号に記載される。ベルト反応器での重合は、例えば、欧州特許出願公開第445619(A2)号及び独国特許出願公開第19846413(A1)号に記載されるようなバッチ式運転又は管形反応器での同様に公知の重合のように、例えばミートグラインダ、押出機、又は混練機でのさらなる加工段階で、粉末化しなければならないポリマーゲルを形成する。例えば欧州特許出願公開第457660(A1)号に記載されるような懸濁液又は乳化重合により、又は例えば、欧州特許出願公開第348180(A1)号、欧州特許出願公開第816383(A1)号、国際公開第96/40427(A1)号、米国特許第4,020,256号、米国特許出願公開第2002/0193546(A1)号、独国特許出願公開第3519013(A1)号、独国特許出願公開第102005044035(A1)号、国際公開第2007/093531(A1)号、国際公開第2008/086976(A1)号、又は国際公開第2009/027356(A1)号に記載されるような噴霧又は液滴重合方法により、球状若しくは異なる形態の超吸収体粒子を製造することも可能である。モノマー混合物を、基材、例えば不織布ウェブに適用し、例えば国際公開第02/94328(A2)号及び国際公開第02/94329(A1)号に記載されるように重合させる方法が、同様に公知である。
【0061】
場合により、公知の様式で、亜硫酸塩又はスルフィン酸誘導体を混合して含むスルホン酸誘導体を、乾燥前若しくは後に、好ましくは乾燥前に、超吸収体、そうでなければモノマー混合物に添加することが可能である。例えば、これらの混合物は標準的な市販品であり、BRUGGOLIT(登録商標)FF6M若しくはBRUGGOLIT(登録商標)FF7という名で、又は代替的にBRUGGOLITE(登録商標)FF6M若しくはBRUGGOLITE(登録商標)FF7という名で、L.Brueggemann KG(Salzstrasse 131、74076 Heilbronn、Germany、www.brueggemann.com)から、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸のジナトリウム塩、及び亜硫酸水素ナトリウムの混合物の形態で利用可能である。純粋な形態のスルホン酸誘導体の使用が好ましい。これらも標準的な市販品である。例えば、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸のジナトリウム塩は、BLANCOLEN(登録商標)HPという名で、L.Brueggemann KG(Salzstrasse 131、74076 Heilbronn、Germany、www.brueggemann.com)から入手可能である。
【0062】
スルホン酸誘導体は、一般に、いずれの場合も超吸収体の合計重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%、好ましくは少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.025重量%、例えば少なくとも0.05重量%、又は少なくとも0.1重量%、かつ一般に最大で3重量%、好ましくは最大で2重量%、より好ましくは最大で0.5重量%、例えば最大で0.35重量%、又は0.2重量%の量で使用される。
【0063】
スルホン酸誘導体と同様に、場合により、公知の様式で、それに加えて、又はそれ自体で、少なくとも1つのホスホン酸誘導体を、乾燥前又は後、好ましくは乾燥前に、超吸収体、そうでなければモノマー混合物に添加することが可能である。好ましくは(1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸(「エチドロン酸」)の添加材若しくはその塩、とりわけナトリウム塩、カリウム塩、ジナトリウム塩、ジカリウム塩、又はナトリウムカリウム塩が、特に好ましい。例えば、この種類のホスホン酸誘導体は、標準的な市販品であり、Zschimmer & Schwarz Mohsdorf GmbH & Co KG、Chemnitztalstrasse 1、09217 Burgstaedt、Germanyから、Modosol(登録商標)(以前はCublen(登録商標))ブランドの下で入手可能である。
【0064】
ホスホン酸誘導体は、一般に、いずれの場合も無水超吸収体の合計量に基づいて、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.2重量%、かつ一般に最大で1.9重量%、好ましくは最大で1.3重量%、より好ましくは最大で0.6重量%の量で添加される。
【0065】
水溶液重合、及びその後の任意選択的な中和から得られるポリマーゲルは、その後、好ましくは、残留湿分は、好ましくは0.5~15重量%、より好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~8重量%になるまで、ベルトドライヤーを用いて乾燥させる(残留湿分又は残留水分に関する試験方法に関しては以下を参照されたい)。残留湿分が高すぎる場合は、乾燥したポリマーゲルは、ガラス転移温度Tgは非常に低く、加工がさらに困難な可能性もある。残留湿分が低すぎる場合は、乾燥したポリマーゲルは非常に脆く、その後の粉末化工程では、粒子サイズが過度に低い不必要に大量のポリマー粒子が得られる(「微粉」)。乾燥前のゲルの固形分は、一般に25~90重量%、好ましくは30~80重量%、より好ましくは35~70重量%、最も好ましくは40~60重量%である。しかしながら、場合により、流動床ドライヤー又は機械混合ユニットを備える加熱可能ミキサー、例えば、パドルドライヤー、又は異なる設計の混合器具を備える類似のドライヤーを使用して乾燥させることも可能である。場合により、ドライヤーは、酸化による黄変過程を防止するために、窒素若しくは別の非酸化性不活性ガス下、又は少なくとも低い酸素分圧下で運転できる。しかしながら通例は、十分に通気し蒸気を除去することにより、許容可能な生成物がもたらされるであろう。一般に、最低限の乾燥時間が、色及び製品品質に関して都合がよい。
【0066】
乾燥中に、ポリマー粒子中の残存モノマー含有量も減少し、及び開始剤の最後の残留分が消滅する。
【0067】
その後、乾燥したポリマーゲルは、任意選択的及び好ましくは、粉砕かつ分類され、この場合、粉砕するために使用される装置は、典型的には、一段又は多段式ロールミル、好ましくは二又は三段階ロールミル、ピンミル、ハンマーミル、又は振動ミルであってもよい。内側がまだ乾燥していないことの多い篩上物(oversize)のゲルの塊は、エラストマーであり、粉砕における問題をもたらし、好ましくは粉砕前に除去され、これは、風力選別によるか、又は篩(ミル用の「ガード篩(guard sieve)」)を用いる単純な様式で行うことができる。使用されるミルに鑑みて、篩上物のエラストマー粒子から生じる破砕が最低水準となるように、篩のメッシュサイズが選択されるべきである。
【0068】
過度に大きく、不適当に細かく粉砕された超吸収体粒子は、衛生製品、例えばおむつにおけるそれらの主な使用において、粗粒子として知覚可能であり、それらはまた、超吸収体の平均の初期膨潤速度を低下させる。両方とも望ましくない。したがって、有利には、粗粒のポリマー粒子は生成物から分離される。これは、慣例の分類方法、例えば、風力選別、又はメッシュサイズが最大で1000のμm、好ましくは最大で900μm、より好ましくは最大で850μm、最も好ましくは最大で800μmの篩を介する篩い分けにより行われる。例えば、メッシュサイズが700μm、650μm、又は600μmの篩が使用される。除去された粗いポリマー粒子(「篩上物」)は、コストを最適化するために、粉砕及び篩い分けサイクルに戻されるか、又はさらに個別に加工される。
【0069】
粒子サイズが小さすぎるポリマー粒子は、浸透性(SFC)を低下させる。したがって、有利には、この分類はまた、微細ポリマー粒子を除去する。篩い分けが行われる場合、これは、メッシュサイズが最大で300μm、好ましくは最大で200μm、より好ましくは最大で150μm、最も好ましくは最大で100μmの篩を介して、都合よく行うことができる。除去された微細ポリマー粒子(「篩下物」又は「微粉」)は、コストを最適化するために、ゲルを乾燥させる前に、モノマー流、重合ゲル、又は完全に重合したゲルに所望により戻すことができる。
【0070】
生成物画分として取り出されるポリマー粒子の平均粒子サイズは、一般に少なくとも200μm、好ましくは少なくとも250μm、より好ましくは少なくとも300μm、かつ全体的に最大で600μm、より好ましくは最大で500のμmである。粒子サイズが少なくとも150μmの粒子の割合は、一般に少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。粒子サイズが最大で850μmの粒子の割合は、一般に少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0071】
超吸収体のための他のいくつかの公知の製造方法、とりわけ懸濁重合、噴霧重合、又は液滴重合の場合は、プロセスパラメーターの選択により、粒子サイズ分布が定義される。これらの方法は、所望の粒子サイズの粒状超吸収体を直接生じさせ、その結果、粉砕及び篩い分け工程が、多くの場合不要である可能性がある。いくつかの方法では(とりわけ噴霧又は液滴重合の場合)、専用の乾燥工程も、多くの場合不要である可能性がある。
【0072】
そうして調製されたポリマーは、超吸収体の特性を有し、「超吸収体」という用語に包含される。そのCRCは、典型的には比較的高いが、そのAUL又はSFCは、比較的低い。このタイプの表面非後架橋超吸収体は、多くの場合、それと、それから製造される表面後架橋超吸収体とを区別するために「ベースポリマー」と呼ばれる。
【0073】
表面後架橋が行われないか、又はX線非晶質水酸化アルミニウムが表面後架橋前に添加される場合、それは、上に記載されるようなこのベースポリマーに添加される。
【0074】
ベースポリマーは、場合により、表面後架橋される。超吸収体のための表面後架橋剤、及び超吸収体の表面後架橋の方法は、周知である。適切な後架橋剤は、超吸収体粒子の少なくとも2つの官能基との結合を形成できる基を含む化合物である。市場に出て普及しているアクリル酸/アクリル酸ナトリウムベースの超吸収体の場合は、適切な表面後架橋剤は、少なくとも2つのカルボキシレート基との結合を形成できる基を含む化合物である。「表面後架橋剤」又は「表面後架橋」よりもむしろ、単に「後架橋剤」又は「後架橋」が多くの場合使用される。
【0075】
好ましい表面後架橋剤は、ジ又はトリグリシジル化合物、例えばグリシジルエーテル、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びグリセロールジ又はトリグリシジルエーテルである。
【0076】
好ましい表面後架橋剤はまた、2-オキサゾリドン、例えば2-オキサゾリドン及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキサゾリドン、N-メチル-2-オキサゾリドン、N-アシル-2-オキサゾリドン、例えばN-アセチル-2-オキサゾリドン、2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサジン、二環式アミドアセタール、例えば5-メチル-1-アザ-4,6-ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、1-アザ-4,6-ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、及び5-イソプロピル-1-アザ-4,6-ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、ビス-2-オキサゾリドン、並びにポリ-2-オキサゾリドンである。これらの中では、2-オキサゾリドン、N-メチル-2-オキサゾリドン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキサゾリドン、及びN-ヒドロキシプロピル-2-オキサゾリドンが特に好ましい。
【0077】
さらに好ましい後架橋剤は、プロパン-1,3-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、及びヘプタン-1,7-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、並びにデカン-1,10-ジオールである。これらの中では、23℃で、少なくとも30重量%の程度、好ましくは少なくとも40重量%の程度、より好ましくは少なくとも50重量%の程度、最も好ましくは少なくとも60重量%の程度まで水溶性であるもの、例えばプロパン-1,3-ジオール及びヘプタン-1,7-ジオールが特に好ましい。25℃で液体であるものが、さらにより好ましい。
【0078】
さらに好ましい後架橋剤は、ブタン-1,2,3-トリオール、ブタン-1,2,4-トリオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、1~3個の(1分子当たり)エトキシル化グリセロール、トリメチロールエタン、又はトリメチロールプロパン、及び1~3個の(1分子当たり)プロポキシル化グリセロール、トリメチロールエタン、又はトリメチロールプロパンである。加えて、2個のエトキシル化又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールが好ましい。2個の及び3個のエトキシル化グリセロール、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、並びにトリメチロールプロパンが特に好ましい。これらの中では、23℃で3000mPas未満、好ましくは1500mPas未満、より好ましくは1000mPas未満、とりわけ好ましくは500mPas未満、非常にとりわけ好ましくは300mPas未満の粘度を有するものが特に好ましい。
【0079】
さらに好ましい後架橋剤は、炭酸エチレン及び炭酸プロピレンである。
【0080】
さらに好ましい後架橋剤は、2,2'-ビス(2-オキサゾリン)である。
【0081】
同様に好ましい後架橋剤は、オキセタン、とりわけ3-エチルオキセタン-3-メタノール、又は3,3’-[オキシビス(メチレン)]ビス[(3-エチル)オキセタン]である。
【0082】
これらの好ましい後架橋剤は、揮発性であるが故に悪臭のある化合物をもたらす副反応及びその後の反応を最小限にする。したがって、好ましい後架橋剤を用いて製造された超吸収体は、湿った状態でさえ臭気が中性である(odor-neutral)。
【0083】
別個の後架橋剤、又は様々な後架橋剤の任意の所望の混合物が使用可能である。
【0084】
後架橋剤は、一般に、いずれの場合も、それと接触させるベースポリマー(例えば、当該篩分級物)の質量に基づいて、少なくとも0.001重量%、好ましくは少なくとも0.02重量%、より好ましくは少なくとも0.05重量%、及び最大で2重量%、好ましくは最大で1重量%、より好ましくは最大で0.3重量%、例えば最大で0.15重量%、又は最大で0.095重量%の量で使用される。
【0085】
後架橋は、典型的には、後架橋剤の溶液が乾燥したベースポリマー粒子上に噴霧されるような方法で実施される。噴霧適用後に、後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は、熱により乾燥させ、後架橋反応は、乾燥の前又は間のいずれかで行うことができる。重合性基を有する表面後架橋剤が使用される場合、表面後架橋はまた、一般的なフリーラジカル形成剤を用いる、そうでなければ高エネルギー放射線、例えばUV光を用いる、そのような基のフリーラジカル誘導重合を用いて行うことができる。これは、ベースポリマー粒子の表面の官能基に対する共有又はイオン結合を形成する後架橋剤の使用に並行して、又はその代わりに行うことができる。
【0086】
後架橋剤溶液の噴霧適用は、好ましくは、移動混合器具、例えば、スクリューミキサー、ディスクミキサー、パドルミキサー、若しくはショベルミキサーを備えるミキサー、又は他の混合器具を備えるミキサーで実施される。しかしながら、縦型ミキサーが特に好ましい。それは、流動床の後架橋剤溶液に対しても噴霧可能である。適切なミキサーは、例えば、Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH、Elsener-Strasse 7-9、33102 Paderborn、Germanyから、Pflugschar(登録商標)(プラウシェア)ミキサーとして、又はHosokawa Micron BV、Gildenstraat 26、7000 AB Doetinchem、Netherlandsから、Schugi(登録商標)Flexomix(登録商標)ミキサー、Vrieco-Nauta(登録商標)ミキサー、又はTurbulizer(登録商標)ミキサーとして入手可能である。
【0087】
使用可能な噴霧ノズルは、いかなる制限も受けない。適切なノズル及び噴霧化システムは、例えば、以下の文献に記載されている:Zerstaeuben von Fluessigkeiten[Atomization of Liquids]、Expert-Verlag、第660巻、Reihe Kontakt & Studium、Thomas Richter(2004年)、及びZerstaeubungstechnik[Atomization Technology]、Springer-Verlag、VDI-Reihe、Guenter Wozniak(2002年)。単分散及び多分散噴霧システムを使用することが可能である。多分散システムのうち、単相加圧ノズル(噴流形成又はラメラ形成)、回転噴霧器、二相噴霧器、超音波噴霧器、及び衝突ノズルが適切である。二相噴霧器の場合には、液相が、気相と、内部又は外部で混合されてもよい。ノズルの噴霧プロファイルは重要ではなく、任意の所望の形態を呈することができ、例えば円形噴流、水平噴流、広角丸噴流、又は円環の噴霧プロファイルである。二相噴霧器が使用される場合は非酸化性ガスを使用することが有利であり、窒素、アルゴン、又は二酸化炭素が特に好ましい。噴霧される液体は、圧力下でそのようなノズルに供給できる。噴霧される液体の噴霧化は、特有の最低速度に達成した際に、それをノズルボア中で膨張させることにより行うことができる。加えて、進歩性のある目的のために一相ノズル、例えばスリットノズル又は渦流室(フルコーンノズル)(例えば、Duesen-Schlick GmbH、Germany、又はSpraying Systems Germany GmbH、Germanyから)を使用することも可能である。そのようなノズルはまた、欧州特許出願公開第0534228(A1)号及び欧州特許出願公開第1191051(A2)号に記載される。
【0088】
後架橋剤は、典型的には、水溶液の形態で使用される。水が溶媒として排他的に使用される場合、界面活性剤又は解凝集助剤(deagglomeration assistant)は、有利には、後架橋剤溶液、又は実際にはベースポリマーに添加される。これにより湿潤性が改善され、塊が形成される傾向が減少する。
【0089】
アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び両性界面活性剤の全てが、解凝集助剤として適切であるが、皮膚適合性理由から、非イオン性及び両性界面活性剤が好ましい。界面活性剤はまた、窒素を含んでもよい。例えば、ソルビタンモノエステル、例えばソルビタンモノココエート及びソルビタンモノラウレート、又はそれらのエトキシル化変異体、例えばPolysorbat 20(登録商標)が添加される。さらに適切な解凝集助剤は、2-プロピルヘプタノールのエトキシル化及びアルコキシル化誘導体であり、これらは、Lutensol XL(登録商標)及びLutensol XP(登録商標)ブランド(BASF SE、Carl-Bosch-Strasse38、67056Ludwigshafen、Germany)の下で販売されている。
【0090】
解凝集助剤は、計量して個別に供給するか、又は後架橋剤溶液に添加してもよい。解凝集助剤を後架橋剤溶液に単純に添加することが好ましい。
【0091】
使用される解凝集助剤の量は、例えば、ベースポリマーに基づいて、0重量%~0.1重量%、好ましくは0重量%~0.01重量%、より好ましくは0重量%~0.002重量%である。解凝集助剤は、好ましくは、膨潤したベースポリマー及び/又は膨潤した後架橋吸水性ポリマーの、23℃での水性抽出物の表面張力が、少なくとも0.060N/m、好ましくは少なくとも0.062N/m、より好ましくは少なくとも0.065N/m、及び有利には最大で0.072N/mであるように計量して供給される。
【0092】
後架橋剤水溶液はまた、少なくとも1つの後架橋剤と同様に、共溶媒を含む。非水溶媒の含有量又は溶媒の合計量は、ポリマー粒子への後架橋剤の浸透深さを調節するために使用できる。産業上、容易に入手可能な共溶媒は、C1-C6アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、若しくは2-メチル-1-プロパノール、C2-C5ジオール、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、若しくはブタン-1,4-ジオール、ケトン、例えばアセトン、又はカルボン酸エステル、例えば酢酸エチルである。これらの共溶媒のいくつかの不利な点は、それらが典型的な固有の臭気を有するということである。
【0093】
共溶媒自体は、理想的には、反応条件下で後架橋剤ではない。しかしながら、境界事例において、並びに共溶媒が架橋に部分的に寄与する滞留時間及び温度に応じて、共溶媒が部分的に架橋に寄与することもある。これは、とりわけ、後架橋剤が、比較的反応が遅く、したがって、例えば環式炭酸塩、ジオール、又はポリオールが使用される場合のように、それ自体の共溶媒も構成できる場合である。そのような後架橋剤は、より反応性が高い後架橋剤と混合する際の共溶媒としての機能でも使用できるが、これは、その後、実際の後架橋反応が、反応性が高い架橋剤が存在しない場合よりも低い温度及び/又はそれよりも短い滞留時間で実施できるためである。共溶媒は、比較的大量に使用され、生成物にもある程度が残るので、毒性であってはならない。
【0094】
本発明の方法では、上述のジオール、ポリオール、さらに環式炭酸塩は、共溶媒としても適切である。それらは、比較的反応性が高い後架橋剤及び/又はジ又はトリグリシジル化合物の存在下で、この機能を果たす。しかしながら、本発明の方法における好ましい共溶媒は、とりわけヒドロキシル基の反応が隣接基により立体的に妨害される場合、とりわけ言及されたジオールである。そのようなジオールは、原理的に後架橋剤としても適切であるが、これは、立体的に妨害されていないジオールの場合よりも著しく高い反応温度又は場合により多い使用量を必要とする。
【0095】
共溶媒としての低反応性後架橋剤、及び反応性後架橋剤の特に好ましい組み合わせは、言及した多価アルコール、ジオール、及びポリオールの、指定のアミドアセタール又はカルバミン酸塩との組み合わせである。例えば、適切な組み合わせは、2-オキサゾリドン/プロパン-1,2-ジオール、及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキサゾリドン/プロパン-1,2-ジオール、並びにエチレングリコールジグリシジルエーテル/プロパン-1,2-ジオールである。特に非常に好ましい組み合わせは、2-オキサゾリドン/プロパン-1,3-ジオール及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキサゾリドン/プロパン-1,3-ジオールである。さらに好ましい組み合わせは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、又はグリセリルジ若しくはトリグリシジルエーテルの、以下の溶媒、共溶媒、又は共架橋剤との組み合わせである:イソプロパノール、プロパン-1,3-ジオール、1,2-プロピレングリコール、又はそれらの混合物。さらに好ましい組み合わせは、2-オキサゾリドン又は(2-ヒドロキシエチル)-2-オキサゾリドンの、以下の溶媒、共溶媒、又は共架橋剤中での組み合わせである:イソプロパノール、プロパン-1,3-ジオール、1,2-プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、又はそれらの混合物。
【0096】
多くの場合、後架橋剤水溶液中の共溶媒の濃度は、後架橋剤溶液に基づいて、15~50重量%、好ましくは15~40重量%、より好ましくは20~35重量%である。水との限定的な混和性しか持たない共溶媒の場合には、後架橋剤水溶液は、有利には、場合により共溶媒の濃度を低下させることにより、1相のみが存在するように調節されるであろう。
【0097】
好ましい実施形態では、共溶媒は使用されない。その後、後架橋剤は、場合により解凝集助剤の添加物を含む水溶液としてのみ採用される。
【0098】
後架橋剤水溶液中の少なくとも1つの後架橋剤の濃度は、後架橋剤溶液に基づいて、典型的には1~20重量%、好ましくは1.5~10重量%、より好ましくは2~5重量%である。
【0099】
後架橋剤溶液の合計量は、ベースポリマーに基づいて、典型的には0.3~15重量%、好ましくは2~6重量%である。
【0100】
表面後架橋剤を、ベースポリマー粒子の表面の官能基と反応させることによる実際の表面後架橋は、通常、典型的には「乾燥」と呼ばれる、表面後架橋剤溶液で湿らせられたベースポリマーを加熱することにより実施される(しかし、典型的には、非常に多くの液体が除去されなければならない、重合からのポリマーゲルの上に記載した乾燥と混同されるべきではない)。乾燥は、ジャケットを加熱することにより、熱交換面を用いて、又は温かいガスを吹き入れることにより、ミキサー自体で行うことができる、超吸収体の表面後架橋剤との同時混合、及び乾燥は、例えば、流動床ドライヤーで行うことができる。しかしながら、乾燥は、通常、下流側のドライヤー、例えばトレードライヤー、回転管オーブン、パドル若しくはディスクドライヤー、又は加熱式スクリューで実施される。例えば、適切なドライヤーは、Solidair(登録商標)又はTorusdisc(登録商標)ドライヤーとして、Bepex International LLC、333 N.E.Taft Street、Minneapolis、MN 55413、U.S.A.から、又はパドル若しくはショベルドライヤー、そうでなければ流動床ドライヤーとして、Nara Machinery Co.,Ltd.、European office、Europaallee 46、50226 Frechen、Germanyから入手可能である。
【0101】
ポリマー粒子を、乾燥及び表面後架橋の実施のための下流側のドライヤー中の接触面により、又は温かい不活性ガスの供給により、又は1つ以上の不活性ガスの蒸気との混合若しくは蒸気単独により加熱することが可能である。接触面により熱を供給する場合は、わずかに又は完全に低下させた圧力の不活性ガス下で、反応を実施することが可能である。ポリマー粒子の直接加熱のために蒸気を使用する場合には、本発明に従って、標準圧又は高圧下でドライヤーを運転させることが望ましい。この場合、後架橋工程を、蒸気を用いる加熱工程、及び不活性ガス下であるが蒸気を伴わない反応工程へと分割することが賢明であることもある。これは、1つ以上の装置で達成できる。本発明に従って、ポリマー粒子は、初期に後架橋ミキサーにおける場合と同程度に、初期に蒸気を用いて加熱できる。使用されるベースポリマーは、先行する加工工程から依然として温度が10~120℃であってもよく、後架橋剤溶液は、温度が0~70℃であってもよい。特に、後架橋剤溶液は、粘度を減少させるために加熱できる。
【0102】
好ましい乾燥温度は、100~250℃、好ましくは120~220℃、より好ましくは130~210℃、最も好ましくは150~200℃の範囲内である。反応ミキサー又はドライヤーにおけるこの温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも20分、最も好ましくは少なくとも30分、典型的には最大で60分である。典型的には、乾燥は、超吸収体が、一般に少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、少なくとも0.5重量%、かつ最大で15重量%、好ましくは最大で10重量%、より好ましくは最大で8重量%の残留湿分を有するように実施される。
【0103】
後架橋は、標準大気条件下で起こすことができる。「標準大気条件」は、後架橋反応が主に起こる装置(「後架橋反応器」、典型的にはドライヤー)中の酸化ガスの分圧、例えば大気酸素の分圧を下げるための技術的な事前注意がとられないことを意味する。しかしながら、酸化性ガスが減少した分圧下で後架橋反応を実施することが好ましい。酸化性ガスは、23℃の、少なくとも1013mbarの蒸気圧を有し、燃焼方法において酸化剤として作用する物質、例えば酸素、窒素酸化物、及び二酸化窒素、とりわけ酸素である。酸化性ガスの分圧は、好ましくは140mbar未満、好ましくは100mbar未満、より好ましくは50mbar未満、最も好ましくは10mbar未満である。熱後架橋が周囲圧力、すなわち約1013mbarの全圧で実施される場合、酸化性ガスの合計分圧は、それらの体積の割合により決定される。酸化性ガスの割合は、好ましくは14体積%未満、好ましくは10体積%未満、より好ましくは5体積%未満、最も好ましくは1体積%未満である。
【0104】
後架橋は、減圧下、すなわち1013mbar未満の全圧で実施できる。全圧は、典型的には670mbar未満、好ましくは480mbar未満、より好ましくは300mbar未満、最も好ましくは200mbar未満である。乾燥及び後架橋が、20.8体積%の酸素含有量を有する空気下で実施される場合、上述の全圧に相当する酸素分圧は、139mbar(670mbar)、100mbar(480mbar)、62mbar(300mbar)、及び42mbar(200mbar)であり、それぞれの全圧は、括弧内にある。酸化性ガスの分圧を低下させる別の手段は、後架橋のために使用する装置への、非酸化性ガス、とりわけ不活性ガスの導入である。適切な不活性ガスは、後架橋温度及び所定の圧力の後架橋ドライヤーにおいてガス形態で存在し、かつこれらの条件下で乾燥ポリマー粒子の構成物質に対する酸化作用を持たない物質、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴン、蒸気であり、窒素が好ましい。不活性ガスの量は、1kgの超吸収体に基づいて、一般に0.0001~10m3、好ましくは0.001~5m3、より好ましくは0.005~1m3、最も好ましくは0.005~0.1m3である。
【0105】
本発明の方法では、不活性ガスは、蒸気を含まない場合、ノズルを介して後架橋ドライヤーへと吹き込むことができるが、不活性ガスを、超吸収体を表面後架橋剤と混合することにより、実際にミキサー内にある、又はミキサーのすぐ上流にあるノズルを介してポリマー粒子流に添加することが特に好ましい。
【0106】
ドライヤーから除去された共溶媒の蒸気は、ドライヤーの外部で再び凝縮し、場合により再利用できることが理解されよう。
【0107】
表面後架橋の間にX線非晶質水酸化アルミニウムを添加する1つの手法は、内容物がこの装置中で混合される場合に、表面後架橋反応に使用される装置への添加により、表面後架橋反応の間に混合することである。適切な装置は、例えば、トレードライヤーを除く、目的のために上記された装置である。目的のためにパドル及びショベルドライヤーを使用することが好ましい。
【0108】
後架橋の前、間、又は後に、超吸収体中のカルボキシル基との共有結合を形成する言及された有機後架橋剤に加えて、及びX線非晶質水酸化アルミニウムに加えて、多価金属イオンが、場合により、本発明の超吸収体の表面に適用されるか、又は言及された有機後架橋剤のうちの1つを用いて表面後架橋が実施されない場合には、それに代えて適用される。既に上述したように、多価金属イオンのこの適用は、原理的には、イオン性の非共有結合による(任意選択的な追加の)表面後架橋であり、本発明の文脈では、共有結合による表面後架橋と区別するために、当該金属イオンを用いる「錯体形成」と呼ばれる。
【0109】
多価カチオンのこの適用は、典型的には、二価又は多価カチオン、通常二価、三価、又は四価金属カチオンだけではなく、多価カチオン、例えばビニルアミンモノマーから、正式には、完全又は部分的に形成されたポリマー、例えば、アミン基が、常にpH値が非常に高くても部分的にプロトン化形態で存在して、アンモニウム基を与える部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルアミド(いわゆる「ポリビニルアミン」)の溶液を噴霧適用することにより行われる。使用可能な二価金属カチオンの例は、とりわけ、元素周期表の第2族(とりわけMg、Ca、Sr、Ba)、第7族(とりわけMn)、第8族(とりわけFe)、第9族(とりわけCo)、10族(とりわけNi)、第11族(とりわけCu)、及び第12族(とりわけZn)の金属の二価カチオンである。使用可能な三価金属カチオンの例は、とりわけ、元素周期表の、ランタニドを含む第3族(とりわけSc、Y、La、Ce)、第8族(とりわけFe)、第11族(とりわけAu)、第13族(とりわけAl)、及び第14族(とりわけBi)の金属の三価カチオンである。使用可能な四価カチオンの例は、とりわけ、元素周期表の、ランタニド(とりわけCe)、及び第4族(とりわけTi、Zr、Hf)からの金属の四価カチオンである。金属カチオンは、単独で、又は互いとの混合物のいずれかとして使用できる。三価金属カチオンの使用が、特に好ましい。アルミニウムカチオンの使用が、極めて特に好ましい。
【0110】
言及された金属カチオンの中で、適切な金属塩は、使用される溶媒中で十分な溶解度を持つものの全てである。特に適切な金属塩は、弱錯化アニオンを有するもの、例えば塩化物、硝酸塩及び硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、又はリン酸二水素塩である。モノ及びジカルボン酸、ヒドロキシ酸、ケト酸、及びアミノ酸の塩、又は塩基性塩が好ましい。好ましい例は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩を含む。同様に、水酸化物の使用が好まれるが、それらが可溶性であることが条件である。2-ヒドロキシカルボン塩、例えばクエン酸塩及び乳酸塩の使用が特に好ましい。特に好ましい金属塩の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルミン酸塩並びにそれらの水和物、例えばアルミン酸ナトリウム及びその水和物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の乳酸塩及びクエン酸塩並びにそれらの水和物、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、並びに乳酸アルミニウムである。
【0111】
言及されたカチオン及び塩は、純粋な形態で、又は様々なカチオン又は塩の混合物として使用できる。使用される二価及び/又は三価金属カチオンの塩は、さらなる二次構成物質、例えば、まだ非中和のカルボン酸、及び/又は中和カルボン酸のアルカリ金属塩を含んでもよい。好ましいアルカリ金属塩は、ナトリウム及びカリウムのアルカリ金属塩、並びにアンモニウムのアルカリ金属塩である。それらは、典型的には、固体の塩を水に溶解して得られるか、好ましくはそのまま直接得られる水溶液の形態で使用され、これにより、あらゆる乾燥及び精製工程を回避する。有利には、しばしば無水塩よりも水に迅速に溶解する、言及された塩の水和物を使用することもできる。
【0112】
使用される金属塩の量は、いずれの場合もベースポリマーの質量に基づいて、一般に少なくとも0.001重量%、好ましくは少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%、例えば少なくとも0.4重量%、及び最大で5重量%、好ましくは最大で2.5重量%、より好ましくは最大で1重量%、例えば最大で0.7重量%である。
【0113】
三価金属カチオンの塩は、溶液又は懸濁液の形態で使用できる。金属塩のために使用される溶媒は、水、アルコール、DMF、DMSO、及びこれらの成分の混合物であってよい。水、及び水/アルコールの混合物、例えば水/メタノール、水/プロパン-1,2-ジオール、及び水/プロパン-1,3-ジオールが特に好ましい。
【0114】
二価又は多価カチオンの溶液によるベースポリマーの処理は、乾燥工程を含む表面後架橋剤による処理と同じ様式で行われる。表面後架橋剤及び多価カチオンは、組み合わせた溶液で、又は別々の溶液として噴霧できる。超吸収体粒子への金属塩溶液の噴霧適用は、表面後架橋の前又は後に行うことができる。特に好ましい方法では、金属塩溶液の噴霧適用は、架橋剤溶液の噴霧適用と共に同じ工程で実施され、この場合、2つの溶液は、2つのノズルを通して別々に連続して又は同時に噴霧されるか、架橋剤溶液及び金属塩溶液は、1つのノズルを通して一緒に噴霧できる。
【0115】
公知の全てのさらなる添加剤を、超吸収体の表面後架橋中に添加することも可能である。例は、二価金属カチオンの塩基性塩、例えば、通常は水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、及び/又はフマル酸塩の形態のカルシウム又はストロンチウムである。さらなる例は、還元化合物、例えば次亜リン酸塩、ホスホン酸誘導体、スルフィン酸塩、又は亜硫酸塩である。
【0116】
より好ましくは、X線非晶質水酸化アルミニウムの添加は別として、多価金属イオンは、それ以上添加されない。
【0117】
乾燥工程が、表面後架橋及び/又は錯化剤を用いる処理の後に実施される場合、乾燥工程後に生成物を冷却することは、有利であるが、必ずしも必要ではない。冷却は、連続的に、又はバッチ式で行うことができ、このために、生成物は、都合よく、ドライヤーの下流側に配置されたクーラーへと連続的に運ばれる。粉体状固体から熱を除去するための公知のあらゆる装置を、この目的のために使用でき、より詳細には、乾燥装置として上記したあらゆる装置を、加熱媒体ではなく冷却水、例えば冷却媒体で充満されるという点を除いて使用でき、その結果、熱は、壁を介して、及び構造によっては撹拌要素又は他の熱交換面を介しても超吸収体へと導かれず、代わりにそれから除去される。生成物が動かされるクーラーの使用、すなわち冷却ミキサー、例えばショベルクーラー、ディスククーラー、又はパドルクーラーが好ましい。超吸収体はまた、冷却ガス、例えば冷気を注入することにより流動床で冷却できる。冷却条件は、さらに加工するのに望ましい温度で超吸収体が得られるように調節される。典型的には、一般に少なくとも1分、好ましくは少なくとも3分、より好ましくは少なくとも5分、かつ最大で6時間、好ましくは最大で2時間、より好ましくは最大で1時間のクーラー中の平均滞留時間が設定され、並びに冷却性能は、得られた生成物の温度が、一般に少なくとも0℃、好ましくは少なくとも10℃、より好ましくは少なくとも20℃、かつ最大で100℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で60℃となるような性能である。
【0118】
表面後架橋超吸収体は、場合により、慣習的な様式で粉砕及び/又は篩い分けされる。粉砕は、典型的には、ここでは要求されないが、形成される凝集物又は微粉を篩い分けすることによる除去は、通常は、生成物の所望の粒子サイズ分布を確立するのに適正である。凝集物及び微粉は廃棄されるか、好ましくは粉末化後の凝集物がプロセスへと、公知の様式で、適切な時点で再利用される。表面後架橋超吸収体に望ましい粒子サイズは、ベースポリマーに関するものと同じである。
【0119】
X線非晶質水酸化アルミニウムが表面後架橋後に添加される場合、これは、都合よく、下流側のクーラーで行うことができるが、専用の混合装置で行うこともできる。X線非晶質水酸化アルミニウムは、いずれの場合も、表面後架橋操作に続く篩い分け及び粉砕工程の前又は後のいずれかで添加できる。
【0120】
場合により、本発明の方法により製造された本発明の超吸収体は、さらなる添加物を含み、非限定的な例は、変色に対する安定性を提供するか、固化の傾向を減少させるか、又は浸透性をさらに増大させる添加剤である。この目的のために、公知の添加剤は全て、本発明の方法において、各々に対して公知の様式で使用できる。変色に対する安定性をもたらす公知の添加物の例は、上述のスルホン酸又はホスホン酸誘導体であり、これは、本発明の超吸収体を製造する間に添加するというよりはむしろそれを製造した後に適用できるか、或いは本発明の超吸収体を製造する間に添加するのと同様に適用することもできる。超吸収体の固化傾向を減少させるか、浸透性をさらに増大させる公知の添加物の例は、水不溶性無機粉体である。
【0121】
通常、本発明に従って添加したX線非晶質水酸化アルミニウムはまた、超吸収体の固化傾向を十分に減少させるであろう。本発明に従って添加された量が、この目的に対して不十分である場合、固化傾向の所望の減少が達成される程度まで、上述の範囲を超えて増大させることもできる。この追加量のX線非晶質水酸化アルミニウムはまた、他の水溶性無機粉体と同様に、第2の分量で添加できる。典型的には、追加量のX線非晶質水酸化アルミニウムは、少なくとも他の水不溶性無機粉体と同程度の量である。
【0122】
さらなる無機粉体が添加される場合、より好ましくは、沈降二酸化ケイ素、又は熱分解により製造された二酸化ケイ素及び熱分解により製造された酸化アルミニウムが使用される。熱分解法二酸化ケイ素は例えばAEROSIL(登録商標)ブランドの下で、及び熱分解法酸化アルミニウムは例えばAEROXIDE(登録商標)Aluブランドの下で、Evonik Industries AG、Inorganic Materials、Rodenbacher Chaussee 4、63457 Hanau-Wolfgang、Germanyから入手可能である。析出により製造された二酸化ケイ素は、例えばSIPERNAT(登録商標)ブランドの下で、Evonik Industries AG、Inorganic Materials、Rodenbacher Chaussee 4、63457 Hanau-Wolfgang、Germanyから入手可能である。水不溶性無機粉体は、適切な表面処理により疎水化でき、多くの場合、疎水化形態及び親水性形態の両方で製造業者により供給される。本発明の文脈では、親水性水不溶性(hydrophilic water-insoluble)無機粉体の使用が好ましい。
【0123】
一般に、水不溶性無機粉体は、いずれの場合も無機粉体を含む無水超吸収体の合計重量に基づいて、少なくとも0.005重量%、好ましくは少なくとも0.03重量%、より好ましくは少なくとも0.05重量%、及び一般に最大で6.0重量%、好ましくは最大で1.0重量%、より好ましくは最大で0.5重量%の量で超吸収体に添加される。
【0124】
超吸収体は、任意選択的な添加剤と、あらゆる公知の混合方法により混合することができる。固体形態である場合は、それらは、物質を混合することによるか、又は溶媒若しくは懸濁媒体中の懸濁液として取り込まれ、溶解形態又は液体形態である場合は、場合により溶液又は液体形態でも取り込まれる。均質な分布がより容易なため、添加剤は、好ましくは、粉体又は懸濁液として混合することにより超吸収体へと取り込まれる。これは、必ずしもそうではないが、機械的な手段により単純な様式で分離可能な物理的混合物を製造する。添加剤は、例えば比較的堅く接着する表面層の形態で、又は超吸収体粒子の表面に堅く接着する粒子の形態で、超吸収体とより確実に結合する可能性がかなり高い。添加剤の公知の超吸収体への混合も、理解される可能性がかなり高く、「コーティング」と呼ばれることもある。
【0125】
溶液又は懸濁液がコーティングに使用される場合、使用される溶媒又は懸濁液媒体は、超吸収体及び添加剤の両方に化学的に適合する、すなわちそれらといかなる望まれない化学反応も起こさない溶媒又は懸濁液媒体である。典型的には、水若しくは有機溶媒、例えばアルコール若しくはポリオール、又はそれらの混合物が使用される。適切な溶媒又は懸濁媒体の例は、水、イソプロパノール/水、プロパン-1,3-ジオール/水、及びプロピレングリコール/水であり、ここで混合質量比は、好ましくは20:80~40:60である。懸濁液媒体が、本発明に従って使用される安定剤、又は無機微粒子固体に対して使用される場合、水が好ましい。界面活性剤は、溶液又は懸濁液に添加できる。
【0126】
任意選択的な添加剤は、それらがモノマー混合物又は重合ゲルに添加されない場合、一般に、全く同じ方法で、表面後架橋剤を含み、表面後架橋のために超吸収体に適用される溶液又は懸濁液として超吸収体と混合される。添加剤は、表面後架橋のために適用される溶液又はその成分うちの1つの構成物質として、(今のところ)後架橋していない超吸収体(「ベースポリマー」)に適用でき、すなわち添加剤は、表面後架橋剤の溶液、又はそれらの成分の1つに添加される。その後、表面後架橋剤及び添加剤によりコーティングされた超吸収体は、表面後架橋に必要なさらなる加工工程、例えば表面後架橋剤の超吸収体との熱誘起反応を受ける。この加工は、比較的単純で、経済的に実現可能である。
【0127】
超吸収体が表面後架橋又は錯体形成後に冷却工程にさらされる場合、任意選択的な添加物は、都合よく、クーラー中で混合することができる。添加剤が溶液又は懸濁液として適用される場合、それらはまた、表面後架橋剤のベースポリマーへの適用に関して記載したように、既に表面後架橋した超吸収体に同じ混合装置中で適用できる。通常は、必ずしもそうではないが、この後に、表面後架橋工程と同様に、再び超吸収体を乾燥させるために加熱される。しかしながら、その後、この乾燥操作で設定される温度は、添加剤の望まれない反応を防止するために、一般に最大で110℃、好ましくは最大で100℃、より好ましくは最大で90℃である。温度は、乾燥ユニット中の滞留時間に鑑みて、超吸収体の所望の水分が達成されるように調節される。添加剤を他の慣習的な助剤、例えば塵結合剤、固化防止剤、又は超吸収体を再加湿するための水とは別個に、又は共に添加することも完全に可能であり、都合がよい。この場合のポリマー粒子の温度は、0℃~190℃の間、好ましくは160℃未満、より好ましくは130℃未満、さらにより好ましくは100℃未満、最も好ましくは70℃未満である。ポリマー粒子は、場合により、コーティングした後に、添加剤の任意の分解温度以下の温度まで迅速に冷却される。
【0128】
後架橋されてなかろうと、後架橋されていようと、超吸収体粒子の表面に、調製方法のあらゆる加工段階で、必要に応じて、全ての公知のコーティング、例えば膜形成ポリマー、熱可塑性ポリマー、デンドリマー、ポリカチオン性ポリマー(例えば、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、若しくはポリアリルアミン)、又は当業者に公知の全ての水溶性の一価若しくは多価金属塩、例えば硫酸アルミニウム、ナトリウム塩、カリウム塩、ジルコニウム塩、又は鉄塩を、加えて適用することが場合により可能である。有益なアルカリ金属塩の例は、硫酸ナトリウム及びカリウム、並びに乳酸ナトリウム及びカリウム、クエン酸ナトリウム及びカリウム、及びソルビン酸ナトリウム及びカリウムである。これによって、さらなる効果、例えば、製造方法の特定の加工工程における最終製品若しくは中間体の固化傾向の減少、加工特性の向上、又はさらなる浸透性(SFC)の強化が可能となる。添加剤が分散体の形態で使用及び噴霧される場合、それらは、好ましくは水性分散液の形態で使用され、発塵防止剤を加えて適用して添加剤を超吸収体の表面に固定することが好ましい。その後、発塵防止剤は、無機粉体状添加剤の分散体に直接添加されるか、場合により、それを、噴霧適用により無機粉体状添加剤を適用する前、間、又は後に、別個の溶液として添加することもできる。後架橋工程において、後架橋剤、発塵防止剤、及び粉体状無機添加剤を同時に噴霧適用することが最も好ましい。しかしながら、さらに好ましい方法の変形形態では、発塵防止剤は、例えば上、下、又は側面から噴霧適用することにより、クーラーにおいて別個に添加される。吸水性ポリマー粒子の表面に粉体状無機添加剤を固定する役目を果たすこともできる特に適切な発塵防止剤は、分子量が400~20000g/molのポリエチレングリコール、ポリグリセロール、3~100個のエトキシル化ポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ソルビトール、及びネオペンチルグリコールである。7~20個のエトキシ化グリセロール又はトリメチロールプロパン、例えばPolyol TP70(登録商標)(Perstorp、Sweden)が、特に適切である。より詳しくは、後者は、吸水性ポリマー粒子の水性抽出物の表面張力をわずかにしか低下させないという利点を有する。
【0129】
同様に、本発明の超吸収体を、水を添加することによって所望の水分に調節することが可能である。水を添加することにより超吸収体をわずかに膨潤させ、その後、それを乾燥させることにより所望の水分に戻して調節することも都合がよいこともある。
【0130】
全てのコーティング、固体、添加剤、及び助剤は、別個の加工工程で各々添加できるが、最も好都合な方法は、通常は、ベースポリマーを表面後架橋剤と混合する間にそれらを添加しない場合、例えば、溶液を噴霧適用すること、又は微粉固体形態若しくは液体形態で添加することにより、クーラーにおいて、それらを超吸収体に添加することである。
【0131】
本発明の超吸収体は、一般に少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/g、より好ましくは少なくとも20g/gの遠心保持容量(CRC、試験方法に関しては以下を参照されたい)を有する。典型的には、それは、表面後架橋超吸収体に関しては40g/g以下であるが、ベースポリマーに関してはより高いことが多い。
【0132】
本発明の超吸収体は、それらが表面後架橋されている場合、典型的には少なくとも10g/g、好ましくは少なくとも14g/g、より好ましくは少なくとも18g/g、最も好ましくは少なくとも22g/g、及び典型的には30g/g以下の荷重下吸水性(AUL0.9psi、試験方法に関しては以下を参照されたい)を有する。
【0133】
本発明はさらに、吸収層の包装はもちろん含まずに、50~100重量%、好ましくは60~100重量%、より好ましくは70~100重量%、とりわけ好ましくは80~100重量%、非常にとりわけ好ましくは90~100重量%の本発明の超吸収体からなる吸収層を含む本発明の超吸収体を含む衛生物品、好ましくは極薄のおむつを提供する。
【0134】
特に非常に有利には、本発明の超吸収体はまた、例えば、米国特許出願公開第2003/0181115号及び米国特許出願公開第2004/0019342号に記載されているような積層物及び複合構造を製造するのに適切である。このような新規な吸収体構造を製造する両文献に記載のホットメルト接着剤、及び、とりわけ米国特許出願公開第2003/0181115号に記載されている、超吸収体粒子が結合するホットメルト接着剤から構成される繊維に加えて、本発明の超吸収体はまた、例えばAC-Resin(登録商標)(BASF SE、Ludwigshafen、Germany)として販売されているUV架橋性ホットメルト接着剤を使用して完全に相似の構造体を製造するのに適切である。これらのUV架橋性ホットメルト接着剤は、既に120~140℃で加工可能であるという利点を有し、したがって、多くの熱可塑性基材とのより良好な適合性を有する。さらに顕著な利点は、UV架橋性ホットメルト接着剤が、毒学的用語において極めて良性であり、衛生物品におけるいかなる気化も引き起こさないということである。本発明の超吸収体に関する非常に大きな利点は、加工及び架橋の間に黄変する傾向がないというUV架橋性ホットメルト接着剤の特性である。これは、極薄又は部分的に透明な衛生物品を製造する予定である場合にとりわけ都合がよい。したがって、本発明の超吸収体の、UV架橋性ホットメルト接着剤との組み合わせが特に都合がよい。適切なUV架橋性ホットメルト接着剤は、例えば、欧州特許出願公開第0377199(A2)号、欧州特許出願公開第0445641(A1)号、米国特許第5,026,806号、欧州特許出願公開第0655465(A1)号、及び欧州特許出願公開第0377191(A2)号に記載される。
【0135】
本発明の超吸収体はまた、流体、とりわけ水又は水溶液が吸収される産業の他の分野で使用できる。これらの分野は、例えば、貯蔵、包装、輸送(水又は湿気に敏感な物品、例えば花の輸送のための包装材料の構成要素として、及び機械的影響に対する保護としても)、動物衛生(猫のトイレにおける)、食品包装(魚、新鮮な肉の輸送、新鮮な魚又は肉の包装における水、血液の吸収)、医薬品(創傷絆創膏、熱傷包帯のための又は他の滲出創傷のための吸水性材料)、化粧品(医薬化学製品及び医薬のためのキャリア材料、リウマチ用絆創膏、超音波ゲル、冷却ゲル、美容用増粘剤、日焼け止め剤)、油/水又は水/油エマルジョン用の増粘剤、織物(蒸発冷却のための織物、靴の中敷、例えば、保護衣、手袋、ヘッドバンドにおける湿分調節)、化学工学的用途(有機反応のための触媒、大きな機能分子、例えば酵素の固定化、凝集における接着剤、熱貯蔵剤、濾過助剤、ポリマー積層体中の親水性成分、分散剤、液化剤)、建築及び建設産業での粉体射出成形における助剤として(ローム系下塗り(loam-based render)における取り付け、振動阻害媒体、水に富んだ地面でのトンネル掘削における助剤、ケーブルシースとして)、水処理、廃棄物処理、水分除去(除氷装置、再使用可能な砂袋)、クリーニング、農薬産業(潅漑、雪解け水及び露沈着物の保持、堆肥添加剤、菌/昆虫の侵入からの森林の保護、植物への活性成分の遅延放出)、消防活動若しくは防火のため、熱可塑性ポリマーにおける共押出剤(例えば、多層膜を親水化するため)、水を吸収できる膜及び熱可塑性成形品の製造(例えば、農業のための雨及び露を貯蔵する膜、湿性膜で包装される果物及び野菜の新鮮さを維持するための超吸収体を含む膜、例えば、食品、例えば肉、魚、鶏肉、果物、及び野菜を包装するための超吸収体-ポリスチレン共押出物)、又は活性成分配合物中の担体物質(薬剤、作物保護)である。
【0136】
流体を吸収するための本発明の物品は、それらが本発明の超吸収体を含むという点で公知の例と異なる。
【0137】
流体を吸収する物品、とりわけ衛生物品を製造する方法であって、当該物品の製造において少なくとも1つの本発明の超吸収体を使用する工程を含む、方法も見出された。加えて、超吸収体を使用するそのような物品を製造する方法は、公知である。
【0138】
試験方法
超吸収体は、以下に記載される試験方法により試験される。
【0139】
以下に記載され、「NWSP」と呼ばれる標準的試験方法は:EDANA(European Disposables and Nonwovens Association、Avenue Herrmann Debroux 46、1160 Brussels、Belgium、www.edana.org)、及びINDA(Association of the Nonwoven Fabrics Industry、1100 Crescent Green、Suite 115、Cary、North Carolina 27518、U.S.A.、www.inda.org)により共同で公開された「Nonwovens Standards Procedures」、2015 editionに記載される。この刊行物は、EDANA及びINDAから入手可能である。
【0140】
以下に記載される全ての測定は、特に指示のない限り、23±2℃の周囲温度、及び50±10%の相対空気湿度で実施される。超吸収体粒子は、特に指示のない限り、測定前に完全に混合される。
【0141】
遠心保持容量(CRC)
超吸収体の遠心保持容量は、米国特許出願公開第2007/0135785(A1)号の段落[0153]~[0157]に記載されている方法により決定される。
【0142】
0.9psiの荷重下の吸収性(AUL0.9psi)
超吸収体の6205Pa(0.9psi)の荷重下の吸収性(AUL0.9psi)は、米国特許出願公開第2014/0306156(A1)号の段落[0124]~[0143]に記載されている方法により決定される。
【0143】
0.3psiの荷重下の吸収性(AUL0.3psi)
超吸収体の2068Pa(0.3psi)の荷重下の吸収性(AUL0.3psi)は、標準的試験方法No.NWSP 242.0 R2(15)「Gravimetric Determination of Absorption Against Pressure」により決定されるが、4826Paではなくむしろ2068Paの圧力が設定される(49g/cm2ではなくむしろ21g/cm2に相当する)重量を用いて(方法の説明のポイント6.5を参照されたい)決定される。
【0144】
荷重下の体積吸収性(VAUL)
超吸収体の荷重下の体積吸収性は、米国特許出願公開第2015/0299404(A1)号の段落[0386]~[0398]に記載されている方法により決定される。表1では、2068Pa(0.3psi)の圧力で確認されたτ値を報告する。
【0145】
超吸収体の湿分(残留湿分、水分)
超吸収体の水分は、標準的試験方法No.NWSP 230.0 R2(15)「Estimation of the Moisture Content as Weight Loss Upon Heating」により決定される。
【0146】
粒子サイズ分布
超吸収体の粒子サイズ分布は、標準的試験方法No.NWSP 220.0 R2(15)「Determination of Polyacrylate Superabsorbent Powders and Particle Size Distribution-Sieve Fractionation」により決定される。
【0147】
抽出物
超吸収体中の抽出物は、標準的試験方法No.NWSP 270.0 R2(15)「Determination of Extractable Polymer Content by Potentiometric Titration」により決定される。
【0148】
浸透性(SFC、「生理食塩水流れ誘導性」)
液体吸収の結果として超吸収体により形成される膨潤したゲル層の浸透性は、0.3psi(2068Pa)の圧力下で、欧州特許出願公開第0640330(A1)号に記載されているように、超吸収体粒子の膨潤したゲル層のゲル層浸透性として決定され、前述の特許出願の19頁及び図8に記載されている装置は、ガラスフリット(40)が使用されず、プランジャー(39)はシリンダー(37)と同じポリマー材料からなり、その際全接触面に渡って均一に分布させた21個の等しいサイズのボアを含むように変更される。測定の手順及び評価は、欧州特許出願公開第0640330(A1)号から変更されていない。流量は、自動的に検出される。
【0149】
浸透性(SFC)は、以下のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
(式中、Fg(t=0)は、g/s単位のNaCl溶液の流量であり、これは、t=0への外挿による流量決定のFg(t)データの線形回帰分析を使用して得られ、L0は、cm単位のゲル層の厚みであり、dは、g/cm3単位のNaCl溶液の密度であり、Aは、cm2単位のゲル層の面積であり、及びWPは、dyn/cm2単位のゲル層に対する静水圧である)。
【0150】
浸透性(GBP、「ゲルベッド浸透性」)
ゲルベッド浸透性は、公開特許出願である米国特許出願公開第2005/0256757(A1)号の、段落[0061]~[0075]の方法により測定される。
【実施例
【0151】
以下の例で使用されるベースポリマーを、41重量%(合計量に基づくアクリル酸ナトリウム及びアクリル酸)の濃度のアクリル酸ナトリウム及びアクリル酸(アクリル酸71mol%の中和レベルに相当する)、及び0.75重量%(非中和のアクリル酸に基づく)のポリエチレングリコール-4000(4000g/molの平均モル質量を有するポリエチレングリコール)、並びに0.46重量%(非中和のアクリル酸に基づく)のトリエトキシル化グリセロールのトリアクリレートを含むモノマー水溶液を重合することにより調製した。使用した開始剤系(いずれの場合も非中和のアクリル酸に基づく)は、0.184重量%の過硫酸ナトリウム、0.0007重量%の過酸化水素、及び0.0026重量%のアスコルビン酸であった。重合を、混練機で行った。より良い乾燥のために、得たゲルを押出し、その後乾燥させ、粉砕し、それから150~710μmの篩片(sieve cut)を得た。したがって調製したベースポリマーは、36.5g/gのCRC、及び14.6g/gのAUL0.3psiを有し、13.0重量%の抽出物を含んでいた。篩分析を用いて得た粒子サイズ分布は、以下の通りであった:
>850μm <0.1重量%
600~850μm 10.6重量%
300~600μm 70.8重量%
100~300μm 18.0重量%
<100μm <0.5重量%
【0152】
この種類のベースポリマーが標準的であり、例えばBASF SE、Ludwigshafen、Germanyから市販されている。
【0153】
例で使用したミキサーは、Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH、Elsener Strasse 7-9、33102 Paderborn、Germanyの、加熱ジャケットを備える5L容量のPflugschar(登録商標)5R-MKプラウシェアミキサー、モデルVT 5R-MKであった。ミキサー中の生成物の温度を測定するために、熱電対を、その先端がミキサーの加熱された内壁から離れた位置にあり、生成物中にあるが、混合器具により影響を及ぼす可能性がない程度で、ミキサーに目的のために設けられた開口部へと導入した。例1~6の追加の水酸化アルミニウムに関しては、同一であるが加熱ジャケット及び熱電対を備えないミキサーを使用した。
【0154】
例で使用したX線非晶質水酸化アルミニウムは、Dr.Paul Lohmann GmbH KG、Hauptstrasse 2、31860 Emmerthal、Germanyの水酸化アルミニウム乾燥ゲル、カタログ番号511066100、バッチ番号3048632であった。走査型電子顕微鏡により、粉体は、20~25μmの領域の直径を有するが、いくらかの小さな球体は5~10μmの領域の直径を有する球状粒子の形態であることが分かった。X線回折図(多検体チェンジャー、Cu陽極、ASSを含む発散スリット0.1°、及びLynx-Eye、3°のアパーチャを備える、Bruker Corporation、40 Manning Road、Billerica、MA 01821、U.S.A.のD8 Advance Serie2回折計で測定した)によっては、回折線が測定されず、これにより、一次結晶子のサイズが2nmよりも明確に小さいことが示される。
【0155】
比較例で使用する結晶性水酸化アルミニウムは、Merck KGaA、Frankfurter Strasse 250、64293 Darmstadtの、Emplura(登録商標)ハイドラルジライト、カタログ番号1010911000であった。走査型電子顕微鏡により、粉体は、主に5~50μmの範囲の寸法を持つプレートレット形態の不規則な粒子の形態であることが分かる。X線回折図により、ハイドラルジライトに予期される回折線を測定したところ、一次結晶子のサイズが200nmを超えていた。
【0156】
[例1]
1.2kgの超吸収体ベースポリマーを、初めにミキサーに投入した。23℃、及び200毎分回転数のシャフト速度で、窒素駆動の二相噴霧ノズルを用いて、いずれの場合もベースポリマーに基づいて0.08重量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル、2.5重量%のプロパン-1,2-ジオール、及び3重量%の水の溶液を噴霧した。続いて、シャフト速度を60毎分回転数に下げ、生成物温度を130℃に上昇させ、その後30分間維持した。
【0157】
得られた超吸収体をミキサーから取り出し、試料を分析した。値を、表1に報告する。
【0158】
直後(その時点での生成物温度は、約100℃であった)に、得られた超吸収体を、超吸収体に基づいて0.5重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムと、200毎分回転数のシャフト速度で、さらなるミキサーで混合し(混合時間、約1分)、150~710μmの篩片を得た。
【0159】
このように得られた超吸収体を、再び分析し、得られた測定値を、表1に報告する。
【0160】
[例2]
水酸化アルミニウムが混合された後、及び篩い落とす前に、窒素で駆動される二相のノズルを用いて、超吸収体に基づいて3.0重量%の水も噴霧されたという点以外は、例1を繰り返した。得られた測定値を、表1に報告する。
【0161】
[例3]
0.35重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムを使用すること以外は、例2を繰り返した。得られた測定値を、表1に報告する。
【0162】
[例4]
0.5重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムを使用すること以外は、例2を繰り返した。得られた測定値を、表1に報告する。
【0163】
[例5]
0.75重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムを使用すること以外は、例2を繰り返した。得られた測定値を、表1に報告する。
【0164】
[例6(比較)]
X線非晶質水酸化アルミニウムではなくむしろ0.5重量%の結晶性水酸化アルミニウムを使用すること以外は、例1を繰り返した。得られた測定値を、表1に報告する。
【0165】
評価
例1~6は、GBPを、水酸化アルミニウムを適用することにより、CRC及びAULが著しく損なわれることなく増加させることができることを示す。例1及び例6の間の比較は、X線非晶質水酸化アルミニウムを添加した後に水を添加することにより、GBPのさらなる上昇が可能であることを示す。例1及び4の間の比較は、X線非晶質水酸化アルミニウムを添加した後に水を添加することにより、GBPのさらなる上昇が可能であることを示す。例2~5は、本明細書において採用した実験条件下で、0.5重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムを添加する際の最適条件が存在することを示す。これらの例はまた、X線非晶質水酸化アルミニウムの添加が、超吸収体の膨潤速度に著しい効果を及ぼさないことを示す。
【0166】
[例7]
1.2kgの超吸収体ベースポリマーを、初めにミキサーに投入した。23℃及び200毎分回転数のシャフト速度で、超吸収体に基づいて0.5重量%のX線非晶質水酸化アルミニウムを添加し、5分間混合した。続いて、不変の速度及び温度で、窒素駆動の二相噴霧ノズルを用いて、いずれの場合もベースポリマーに基づいて0.08重量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル、2.5重量%のプロパン-1,2-ジオール、及び3重量%の水の溶液を噴霧した。続いて、シャフト速度を60毎分回転数に下げ、生成物温度を130℃に上昇させ、その後30分間維持した。
【0167】
超吸収体を室温まで冷却させ、150~710μmの篩片を得た。得られた超吸収体を、再び分析し、得られた測定値を、表1に報告する。
【0168】
[例8]
X線非晶質水酸化アルミニウムではなくむしろ0.5重量%の結晶性水酸化アルミニウムを使用すること以外は、例7を繰り返した。得られた測定値を、表1に報告する。
【0169】
評価
例7と例8との間の比較により、X線非晶質水酸化アルミニウムは、結晶性水酸化アルミニウムよりもかなり大きなGBPの増大を達成できることが再び示される。例1及び例7の間の比較により、表面後架橋反応の前に水酸化アルミニウムを添加すると、その後に添加するよりも、かなりの程度GBPが増大することが示される。これらの例は、X線非晶質水酸化アルミニウムを添加しても、超吸収体の膨潤速度に対する著しい効果がないことも示す。
【0170】
[例9(比較)]
超吸収体を表面後架橋するための欧州特許出願公開第233067(A2)号、国際公開第2014/167036(A1)号、国際公開第2014/167040(A1)号、及び国際公開第2014/168858(A1)号の一般的用語に記載されている新たに沈殿させた水酸化アルミニウムゾル、すなわちX線非晶質であるが、非粉体状水酸化アルミニウムの使用を改変した。しかしながら、これらの文献で明示されている方法を改変して販売される水酸化アルミニウムの調製には困難が生じた。
【0171】
欧州特許出願公開第233067(A2)号は、水溶液中の8重量部の塩化アルミニウム六水和物及び8重量部のアルミン酸ナトリウムからの、水酸化アルミニウムゾルの形成を記載する(14~15頁)。241g/molの塩化アルミニウム六水和物及び118g/molのアルミン酸ナトリウムのモル質量に基づいて、1:1のこの重量比は、1:2のモル比に相当する。しかしながら、化学量論AlCl3+3NaAl(OH)4→4Al(OH)3+3NaClに従って、水酸化アルミニウムゾルの形成には、1:3のモル比が必要であろう。ここでpHは、依然として相対的に酸性でなければならず、したがって、Al(OH)3は、存在してはならない。欧州特許出願公開第233067(A2)号は、水溶液中の32重量部の塩化アルミニウム六水和物及び15.9重量部の水酸化ナトリウムからの、水酸化アルミニウムゾルの形成にも言及する。モル質量(NaOH:40g/mol)から、化学量論AlCl3+3NaOH→Al(OH)3+3NaClに従って必要な1:3のモル比が計算され、それ故、水酸化アルミニウムはそうして形成できた。しかしながら、欧州特許出願公開第233067(A2)号の教示に従って、表面後架橋剤溶液を調製するために、ポリオールも、反応体を混合する直後に、又はその水溶液に直接添加されるが、これは、特別な調製方法では具体的に言及されない。したがって、しかしながら、正確な化学量論において必要な反応体の使用を用いると、Al(OH)3ゾルではなく、溶液中のポリオールとのキレート形成により安定化された非特異的なAl塩がそこに存在することになる。
【0172】
後者の3つの文献は、130gの50重量%の水酸化ナトリウム水溶液が7pHに到達するまで撹拌しながら添加される200gの20重量%の水溶性アルミニウム塩溶液から、「中和アルミニウム塩C」を調製するための同一の方法を含む。生じた白いコロイド懸濁液は、見たところ、Turnax[sic]スターラー(これが意味するものは、推測上IKA(登録商標)-Werke GmbH & Co.KG、Janke&Kunkel-Str.10、79219 Staufen、GermanyのUltra-Turrax(登録商標)である)で均質化され、その後、見たところ、表面後架橋するためにそれ以上精製することなく使用された。この方法によれば、水酸化ナトリウム溶液は大いに過剰である。使用される200gの硫酸アルミニウム溶液×20重量%=40gの、モル質量342g/molのAl2(SO4)3、すなわち117mmolのAl2(SO4)3のためには、化学量論Al2(SO4)3+6NaOH→2Al(OH)3+3Na2SO4に従って、合計6×117mmol=0.7molのNaOHが、Al(OH)3の中性懸濁液を形成するために必要である。実際は、130gのNaOH溶液×50重量%=65gの、モル質量40g/mol、すなわち1.63mmolのNaOHが使用されており、化学量的に必要な値の2倍以上であった。したがって、ここでAl(OH)3ゾルを製造することはできず、むしろアルミン酸ナトリウム溶液が製造され、これは塩基性に違いない。明示されている7のpHは、明示されている水酸化ナトリウムの量と両立しない。
【0173】
後者の3つの文献はまた、60gの20重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液が6.5pHに到達するまで撹拌しながら添加される120gの20重量%の水溶性アルミニウム塩溶液から、「中和アルミニウム塩D」を調製するための同一の方法を含む。使用される120gの硫酸アルミニウム溶液×20重量%=24gの、モル質量342g/molのAl2(SO4)3、すなわち70mmolのAl2(SO4)3のためには、化学量論Al2(SO4)3+6NaAl(OH)4→8Al(OH)3+3Na2SO4に従って、合計8×70mmol=0.56molのアルミン酸ナトリウムが、Al(OH)3の中性懸濁液を形成するために必要である。実際は、60gのNaAl(OH)4溶液×20重量%=12gの、モル質量118g/mol、すなわち102mmolのNaAl(OH)4が使用されており、すなわち化学量的に必要な値の5分の1未満であった。したがって、Al(OH)3ゾルはここでも製造されず、代わりに、実質的に硫酸アルミニウム溶液が保たれる。
【0174】
[例10(比較)]
450mLのビーカーに、初めに、149.2gの26.8重量%の水溶性硫酸アルミニウム溶液(117mmolのAl2(SO4)3を含む)を投入し、撹拌子で磁気的に撹拌した。ビーカーの内容物のpH及び温度を、pH電極及び温度計を用いて測定した。59.3gの50重量%の水酸化ナトリウム溶液(741mmolのNaOHを含む)を、ビーカー上の滴下漏斗へと入れた。水酸化ナトリウム溶液を、ビーカーに滴下した(1滴/秒)。高発熱反応において、無色のゲル生成物が形成され、これは、最初はpH電極に蓄積し、最終的に完全に凝固した。測定したpHは12.3であったが、その測定値は、電極に固着した生成物により歪められることもある。
【0175】
ビーカーを反応の熱を除去するために氷浴に配置し、水酸化ナトリウム溶液を30滴ごと添加して初めてpH電極を反応混合物に入れ、その後で洗浄する実験を反復しても、異なる結果は得られなかった。pHは5.2まで上昇し、その後、ビーカーの内容物は凝固した。氷浴を用いない後者の実験を反復した際、ビーカーの内容物は、pH4.4で凝固した。
【0176】
超吸収体に噴霧により適用できる可能性がある懸濁液は、得られなかった。
【0177】
[例11(比較)]
初めに、200mLのビーカーに104gの水を投入し、磁気的に撹拌した。水を、40℃に加熱し、その後26gのアルミン酸ナトリウム粉体(220mmol)を添加した。撹拌を60~70℃で継続して透明な20重量%の溶液を得、その後、これを放置して室温に冷却した。
【0178】
初めに、450mLのビーカーに、89.55gの、26.8重量%のAl2(SO4)3水溶液(24gのAl2(SO4)3、70mmolに相当する)を投入し、撹拌子で磁気的に撹拌した。ビーカーの内容物のpH及び温度を、pH電極及び温度計を用いて測定した。アルミン酸ナトリウム溶液を、ビーカー上の滴下漏斗へと入れ、ビーカーに滴下した(1滴/秒)。ほぼ半分のアルミン酸ナトリウム溶液(例9で言及された「中和アルミニウム塩D」の調製における化学量論に相当する)を添加した後で、pHが3.7に到達した。残りのアルミン酸ナトリウムを添加すると、反応混合物は、5.7の測定pHで凝固した。
【0179】
実験を、記載したように調製された60gのアルミン酸ナトリウム溶液を、硫酸アルミニウム溶液にまとめて添加することを除いて、繰り返した。これにより、3.7のpHが達成された。その後、約2gずつに分けて、さらなるアルミン酸ナトリウム溶液を添加した。合計85gを添加した後、pHが4.3に到達し、ビーカーの内容物は固体状であった。
【0180】
超吸収体に噴霧により適用できる可能性がある懸濁液は、得られなかった。
【0181】
[例12(比較)]
150mLのビーカーに、初めに、36.83gの26.8重量%の水溶性硫酸アルミニウム溶液(28.9mmolのAl2(SO4)3を含む)を投入し、撹拌子で磁気的に撹拌した。12.24gの50重量%の水酸化ナトリウム溶液(153mmolのNaOHを含む)を、ビーカー上の滴下漏斗へと入れた。水酸化ナトリウム溶液を、ビーカーに滴下した(1滴/秒)。水酸化ナトリウム溶液の添加を完了させた上で、16.68gの水を添加し、形成された懸濁液を、さらに15分間撹拌した。最後に、単離した塊を、Ultra-Turrax(登録商標)で1分間撹拌することにより砕いた。その後測定されたpHは、6.65だった。
【0182】
[例13(比較)]
本明細書において使用されるX線非晶質水酸化アルミニウム粉体ではなくむしろ、例12で調製した水酸化アルミニウムゾルを噴霧したという点以外は、例1を繰り返した。超吸収体に基づいて、そうして適用される水酸化アルミニウムの量は0.5重量%であり、そうして適用される噴霧可能な分散体を生成するのに必要であった水の量は、5.3重量%であった。得られた測定値を、表1に報告する。
【0183】
評価
例9、例10、及び例11は、例9で言及した文献において、水酸化アルミニウムゾルが明確に製造されておらず、そうだとしても使用されていないことを示す。例12は、例9で明示したものよりも大量の水が、理論的な化学量論に近い反応体が使用される場合、噴霧可能な水酸化アルミニウムゾルを得るためには必要であり、水酸化アルミニウムゾルに関しては中性範囲のpHでも確実に形成できるようにすることが必要であることを示す。例13は、最も近い例1及び例4と比較することにより、乾燥させた粉体状水酸化アルミニウムではなくむしろ水酸化アルミニウムゾルが超吸収体に添加され、その後、場合により水が添加される場合、GBPの上昇がないか、又はそれほど著しくないことを示す。
【0184】
【表1】