(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231006BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
H01L21/302 101M
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2022136688
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2019001971の分割
【原出願日】2019-01-09
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 潤
【審査官】川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0213758(US,A1)
【文献】特開2019-114790(JP,A)
【文献】特開2013-042012(JP,A)
【文献】特開2005-114805(JP,A)
【文献】特開2011-175977(JP,A)
【文献】特表2020-532852(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0043706(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/458
H01L 21/205
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理容器と、
前記プラズマ処理容器内に配置され、基板を載置する基板載置面と、前記基板載置面の外周側に設けられ、リングを載置するリング載置面と、を有する静電チャックと、
内周部と外周部とを有する第1リングであり、前記第1リングの前記内周部が前記リング載置面に載置される、該第1リングと、
内周部と外周部とを有する第2リングであり、前記第2リングの内周部上面は前記第1リングの外周部下面に覆われ、前記第2リングの内周部は、3個以上の貫通孔を有する、該第2リングと、
3本以上のリフタピンであり、各リフタピンは、前記第2リングの前記貫通孔を通りぬけて前記第1リングを下面から支持するよう構成される第1保持部と、前記第2リングを下面から支持するよう構成される第2保持部と、を有する、該3本以上のリフタピンと、
前記3本以上のリフタピンを昇降する駆動機構と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記リング載置面は内周部と外周部とを有し、前記第1リングの前記内周部は前記リング載置面の前記内周部に載置される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第2リングの外周部を支持するように前記静電チャックを取り囲む絶縁部材をさらに備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記静電チャックの上面は、第1の高さを有する前記基板載置面と、第2の高さを有する前記リング載置面と、第3の高さを有する前記絶縁部材を載置する絶縁部材載置面を有する、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1リングを前記リング載置面に吸着するリング用静電チャックをさらに備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1リングはシリコンまたはシリコンカーバイドで形成され、
前記第2リングは石英で形成される、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1リングの前記外周部下面に凹部を有し、前記第2リングの前記内周部上面に凸部を有し、前記凸部は前記凹部と係合する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1リングは、内周部品および外周部品の二つの部品で構成される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第2リングの前記貫通孔の下側開口部は下方にむけて開口が広がる形状を有する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記リフタピンの前記第1保持部は、前記第2リングの内周部に形成された前記貫通孔との間に所定のクリアランスを空けて前記貫通孔内に挿入される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記リフタピンの前記第2保持部は、前記第2リングの内周部に形成された前記貫通孔に入らない形状を有し、留め具として機能する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記リフタピンは、前記第1保持部と前記第2保持部との間に傾斜部を有し、前記傾斜部は、前記第1保持部から前記第2保持部に向けて徐々に断面積が大きくなる形状である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記リフタピンは、前記第1保持部と前記第2保持部との間に設けられ、前記第2保持部の直径より大きな直径を持つフランジを有する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
プラズマ処理容器と、
前記プラズマ処理容器内に配置される静電チャックと、
前記静電チャック上に載置される基板を囲むように配置される第1のリングと、
内側環状部分及び外側環状部分を有する第2のリングであり、前記第2のリングの前記内側環状部分は、前記第1のリングを支持し、前記第2のリングの前記内側環状部分は、複数の貫通孔を有し、前記第2のリングの内径は、前記第1のリングの内径よりも大きく、前記第2のリングの外径は、前記第1のリングの外径よりも大きい、第2のリングと、
前記複数の貫通孔にそれぞれ整合する複数のリフタピンであり、各リフタピンは、上側部分及び下側部分を有し、前記上側部分は、対応する貫通孔を介して前記第1のリングを支持するように構成され、前記上側部分の水平方向寸法は、対応する貫通孔の水平方向寸法よりも小さく、前記下側部分の水平方向寸法は、対応する貫通孔の水平方向寸法よりも大きい、複数のリフタピンと、
前記複数のリフタピンを縦方向に移動させる少なくとも1つの駆動機構と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項15】
前記第1のリングは、凹部を持つ下面を有し、
前記第2のリングの前記内側環状部分は、凸部を持つ上面を有し、
前記凸部は、前記凹部に適合する、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記貫通孔は、前記第2のリングの前記凸部を通る、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記静電チャックを囲むように配置され、前記第2のリングの前記外側環状部分を支持する絶縁支持部材をさらに備える、請求項14又は請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記リフタピンの前記上側部分および前記下側部分は、同軸かつ断面同心円形状の棒状部材であり、
前記上側部分の径は、前記下側部分の径よりも小さい、請求項14~17のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記第1のリングおよび前記第2のリングのうち少なくとも一方と前記静電チャックとの間に伝熱ガスを供給するように構成されるガス供給機構を更に備える、請求項14~18のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの駆動機構は、
前記第1のリングの搬送時、前記上側部分の頂部が第1の高さに到達するまで前記複数のリフタピンのそれぞれを上昇させ、
前記第2のリングの搬送時、前記下側部分の頂部が前記第1の高さに到達するまで前記複数のリフタピンのそれぞれを上昇させるように構成される、請求項14~19のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
前記リフタピンの前記上側部分の縦方向寸法は、前記第2のリングの縦方向寸法よりも大きい、請求項20に記載のプラズマ処理装置。
【請求項22】
前記複数の貫通孔の各々の下側開口部は、下方に向かって徐々に広がる形状を有し、
前記下側部分の頂部は、上方に向かって徐々に先細になる形状を有する、請求項14~21のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを用いて半導体ウエハ等の基板を処理するシステムにおいて、プラズマのエッチング速度および/またはエッチングプロファイルを調整するため、基板の半径方向外縁部付近にリング状の部材が配置されることがある。
【0003】
たとえば、特許文献1の基板処理システムは、エッジ連結リングを処理チャンバ内の台座の半径方向外縁部に隣接して配置する。エッジ連結リングはエッチング時にプラズマに浸食される。そこで、特許文献1では、アクチュエータでエッジ連結リングを上昇させてロボットアームで交換できる構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、プラズマ処理装置の消耗部品を容易に交換する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による載置台およびプラズマ処理装置は、ウエハ載置面と、リング載置面と、リフタピンと、駆動機構と、を備える。ウエハ載置面にウエハを載置する。リング載置面は、第1係合部を有する第1リングと、第1係合部の下面に至る貫通孔を有し第1係合部に係合する第2係合部を有する第2リングと、を載置する。また、リング載置面は、貫通孔に対応する位置に孔を有し、ウエハ載置面の外周側に設けられる。リフタピンは、貫通孔に嵌合する第1保持部と、当該第1保持部の軸方向に連接され第1保持部の外周から突出する突出部を有する第2保持部と、を有する。リフタピンは、第1保持部をリング載置面側にしてリング載置面の孔内に収容される。駆動機構は、リフタピンを昇降可能に駆動する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、プラズマ処理装置の消耗部品を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る搬送機構の概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、リフタピンの構成例を説明するための図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係る搬送機構によるエッジリングの搬送開始時の状態例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係る搬送機構によりエッジリングが持ち上げられた状態例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、実施形態に係る搬送機構により持ち上げられたエッジリングをロボットアーム上に載置する直前の状態例を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、実施形態に係る搬送機構により持ち上げられたエッジリングがロボットアーム上に載置された状態例を示す図である。
【
図4E】
図4Eは、実施形態に係る搬送機構によるエッジリングの搬送完了時の状態例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、実施形態に係る搬送機構によるカバーリングの搬送開始時の状態例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、実施形態に係る搬送機構によりカバーリングが持ち上げられた状態例を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、実施形態に係る搬送機構により持ち上げられたカバーリングをロボットアーム上に載置する直前の状態例を示す図である。
【
図5D】
図5Dは、実施形態に係る搬送機構により持ち上げられたカバーリングがロボットアーム上に載置された状態例を示す図である。
【
図5E】
図5Eは、実施形態に係る搬送機構によるカバーリングの搬送完了時の状態例を示す図である。
【
図6】
図6は、リフタピンの第1保持部の長さと、第1搬送高さ、第2搬送高さとの関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
プラズマ処理装置内には複数の消耗部品が配置される。たとえば、ウエハ面内のプラズマ処理の均一度を高めるためにウエハの径方向外側に配置されるエッジリングがある。また、載置台を保護するためにエッジリングの径方向外側に配置されるカバーリングがある。複数の消耗部品の交換のために消耗部品各々に専用の搬送機構を設けた場合、載置台の内部構造が複雑になる。また、プラズマ処理装置内の空間の制約から、載置台内部や載置台下部に設けることができる機構の位置や大きさは限定される。このため、プラズマ処理装置内に配置される消耗部品を、できるだけコンパクトな構成で搬送可能とすることが望ましい。
【0010】
以下に、開示する実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態は限定的なものではない。各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置1の概略構成を示す断面図である。
図1のプラズマ処理装置1は、金属製、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼製の保安接地された円筒型の処理容器10を有し、該処理容器10内に、被処理体(基板)としてのウエハWを載置する円板状のサセプタ(下部電極)11が配設されている。このサセプタ11は、例えば、アルミニウムからなり、絶縁性の筒状保持部材12を介して処理容器10の底から垂直上方に延びる筒状支持部13に支持されている。
【0012】
処理容器10の側壁と筒状支持部13との間には排気路14が形成され、この排気路14の入口又は途中に環状のバッフル板15が配設されると共に、底部に排気口16が設けられ、該排気口16に排気管17を介して排気装置18が接続されている。さらに、処理容器10の側壁には、ウエハWの搬入出口19を開閉するゲートバルブ20が取り付けられている。
【0013】
サセプタ11には、第1および第2の高周波電源21a、21bが整合器22および給電棒23を介して電気的に接続されている。ここで、第1高周波電源21aは、主としてプラズマの生成に寄与する周波数(通常40MHz以上)の第1高周波を出力する。第2高周波電源21bは、主としてサセプタ11上のウエハWに対するイオンの引き込みに寄与する周波数(通常13.56MHz以下)の第2高周波を出力する。整合器22には、第1高周波電源21a側のインピーダンスと負荷(主に電極、プラズマ、処理容器10)側のインピーダンスとの間で整合をとるための第1整合器と、第2高周波電源21b側のインピーダンスと負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための第2整合器とが収容されている。なお、イオンの引き込みに寄与する電圧は高周波に限られない。パルス状に印加される直流電圧であってもよい。また、
図1ではサセプタ11に第1および第2の高周波電源21a、21bが接続される例を示したが、これに限られない。後述するシャワーヘッド24(上部電極)に第1の高周波電源が接続され、サセプタ11に第2の高周波電源が接続されてもよい。
【0014】
また、処理容器10の天井部には、後述する接地電位の上部電極としてのシャワーヘッド24が配設されている。これにより、第1および第2の高周波電源21a,21bからの高周波電圧がサセプタ11とシャワーヘッド24との間に印加される。
【0015】
サセプタ11の上面にはウエハWを静電吸着力で吸着する静電チャック25が配設されている。静電チャック25は、ウエハWが載置される円板状の中心部25aと、環状の内周部25bと、環状の外周部25cと、からなり、中心部25aは内周部25bに対して図中上方に突出している。また、内周部25bは外周部25cに対して図中上方に突出している。中心部25aは、ウエハWを載置するウエハ載置面の一例である。また、内周部25bは、エッジリングERを載置するリング載置面の一例である。また、外周部25cは、カバーリングCRを載置するリング載置面の一例である。以下、サセプタ11および静電チャック25を含む、ウエハWを載置する構造部を載置台とも呼ぶ。
【0016】
エッジリングERは、たとえばシリコン等の導電性材料で形成されるリング状部材である。エッジリングERは、プラズマ処理時のウエハ面内のプラズマ分布を均一化し、プラズマ処理の性能を向上させる機能を有する。カバーリングCRは、たとえば石英等の絶縁性材料で形成されるリング状部材である。カバーリングCRは、サセプタ11、静電チャック25等を保護する機能を有する。また、カバーリングCRの外径側には、サセプタ11を保護するため絶縁部材30が配置されている。エッジリングERは第1リングの一例である。カバーリングCRは第2リングの一例である。エッジリングERはカバーリングCRと重なりあう第1係合部を有する。カバーリングCRは、エッジリングERの第1係合部と重なりあう第2係合部を有する。エッジリングERおよびカバーリングCRについてさらに後述する。
【0017】
静電チャック25の中心部25aは、導電膜からなる電極板25dを誘電膜に挟み込むことによって構成される。また、内周部25bは、導電膜からなる電極板25eを誘電膜に挟み込むことによって構成される。電極板25dには直流電源26がスイッチ27を介して電気的に接続されている。電極板25eには直流電源28がスイッチ29を介して電気的に接続されている。そして、静電チャック25は、直流電源26から電極板25dに印加された電圧によりクーロン力等の静電力を発生させ、静電力により静電チャック25にウエハWを吸着保持する。また、静電チャック25は、直流電源28から電極板25eに印加された電圧によりクーロン力等の静電力を発生させ、静電力により静電チャック25にエッジリングERを吸着保持する。
【0018】
また、サセプタ11の内部には、例えば、円周方向に延在する環状の冷媒室31が設けられている。この冷媒室31には、チラーユニット32から配管33,34を介して所定温度の冷媒、例えば、冷却水が循環供給され、当該冷媒の温度によって静電チャック25上のウエハWの温度を制御する。
【0019】
また、静電チャック25には、ウエハ用ガス供給ライン36aを介して伝熱ガス供給部35aが接続されている。また、静電チャック25には、リング用ガス供給ライン36bを介して伝熱ガス供給部35bが接続されている。ウエハ用ガス供給ライン36aは、静電チャック25の中心部25aに至る。リング用ガス供給ライン36bは、静電チャック25の内周部25bに至る。なお、ウエハ用ガス供給ライン36aとリング用ガス供給ライン36bに共通の伝熱ガス供給部を接続する構成としてもよい。伝熱ガス供給部35aは、ウエハ用ガス供給ライン36aを介して、静電チャック25の中心部25aと、ウエハWとで挟まれる空間に伝熱ガスを供給する。また、伝熱ガス供給部35bは、リング用ガス供給ライン36bを介して、静電チャック25の内周部25bと、エッジリングERとで挟まれる空間に伝熱ガスを供給する。伝熱ガスとしては、熱伝導性を有するガス、例えば、Heガス等が好適に用いられる。
【0020】
天井部のシャワーヘッド24は、多数のガス通気孔37aを有する下面の電極板37と、該電極板37を着脱可能に支持する電極支持体38とを有する。また、該電極支持体38の内部にバッファ室39が設けられ、このバッファ室39のガス導入口38aには処理ガス供給部40からのガス供給配管41が接続されている。
【0021】
このプラズマ処理装置の各構成要素、例えば、排気装置18、高周波電源21a,21b、静電チャック用のスイッチ27,29、直流電源26,28、チラーユニット32、伝熱ガス供給部35a,35bおよび処理ガス供給部40等は、制御部43に接続されている。制御部43は、プラズマ処理装置の各構成要素を制御する。
【0022】
制御部43は、図示しない中央処理装置(CPU)、及びメモリといった記憶装置を備え、記憶装置に記憶されたプログラム及び処理レシピを読み出して実行することで、プラズマ処理装置において所望の処理を実行する。
【0023】
また、制御部43は、次に説明する搬送機構50(
図2参照)に接続されている。制御部43は、搬送機構50を制御してエッジリングERおよびカバーリングCRを搬送するための処理を実行する。
【0024】
(搬送機構50の一例)
図2は、実施形態に係る搬送機構50の概略構成を示す断面図である。実施形態に係るプラズマ処理装置は、載置台上に載置されるエッジリングERおよびカバーリングCRを搬送するための搬送機構50を備える。搬送機構50は、リフタピン51、封止部52、駆動機構53を有する。
【0025】
図2の例では、静電チャック25の中心部25a上にウエハWが載置され、内周部25b上にエッジリングERが載置されている。外周部25c上にはカバーリングCRが載置されている。載置台上の定位置に配置されているとき、エッジリングERの外周部はカバーリングCRの内周部を上から覆う。このため、カバーリングCRの内周部はプラズマ処理空間に露出しない。エッジリングERに覆われるカバーリングCRの内周部には、カバーリングCRを上下方向に貫通する貫通孔61が形成されている。エッジリングERの外周部は第1係合部の一例であり、カバーリングCRの内周部は第2係合部の一例である。なお、図面には表示しないが、カバーリングCRの内周部とエッジリングERの外周部とが接する部分に位置決めのための構造を設けてもよい。たとえば、エッジリングERの下面に凹部を、カバーリングCRの上面に凸部をもうけ、凹部と凸部とが係合するように構成する。そして、位置決めのための構造に、カバーリングCRの貫通孔61を形成してもよい。たとえば、カバーリングCRの凸部を通る位置に貫通孔61を形成してもよい。
【0026】
静電チャック25の外周部25cのリング載置面には、貫通孔61の位置に対応する位置に孔63が形成されている。また、孔63に連通するようにサセプタ11内に孔64が形成されている。
【0027】
リフタピン51は孔63,64内に収容され、下方で駆動機構53に接続する。以下、駆動機構53に接続するリフタピン51の端部を基端、基端と反対方向の端部を遠端(または頂部)と呼ぶ。封止部52は孔64内に配置される。リフタピン51は封止部52を通って下方に延びる。封止部52は、孔63,64内の、封止部52よりも上の空間と下の空間との連通を防止する。封止部52はたとえば、軸シール、ベローズ等である。
【0028】
駆動機構53は、リフタピン51を上下に昇降させる。駆動機構53の種類は特に限定されない。駆動機構53はたとえば、ピエゾアクチュエータ、モータ等である。
【0029】
リフタピン51は、第1保持部51a、第2保持部51b、突出部51cを有する。第1保持部51aは、リフタピン51の遠端から所定の長さL1(
図3、
図6参照)に形成される。第1保持部51aは、カバーリングCRの内周部に形成された貫通孔61に所定のクリアランスで嵌合する断面を有する。第2保持部51bは、第1保持部51aの基端側に軸方向に連接される。第2保持部51bは、第1保持部51aに連接する位置に、第1保持部の外周から外側にむけて突出する突出部51cを有する。突出部51cが形成される位置における第2保持部51bの断面は、貫通孔61に嵌合しない大きさまたは形状である。すなわち、リフタピン51をカバーリングCRの下面側から貫通孔61に挿入すると、第1保持部51aは貫通孔61を通りぬける。そして、突出部51cがカバーリングCRの下面に当接する。第2保持部51bは突出部51cにより、貫通孔61の入口で止まりカバーリングCRを下面から支持するよう構成される。
【0030】
第1保持部51a、第2保持部51b、突出部51cの具体的な形状は特に限定されない。たとえば、第1保持部51a、第2保持部51bは、同軸かつ断面同心円形状の棒状部材であってよい。
図3は、リフタピン51の構成例を説明するための図である。
図3の例(A)では、第1保持部51aの径D1は第2保持部51bの径D2よりも小径に形成される。突出部51cは、第2保持部51bの遠端側で径D1から径D2に円筒状のリフタピン51の径が大きくなることで外径側に突出する部分である。
図3の例(A)では、カバーリングCRの貫通孔61は、第1保持部51aの径D1よりも大径に形成される。他方、カバーリングCRの貫通孔61は、第2保持部51bの径D2よりも小径に形成される。
【0031】
また、
図3の例(B)では、第1保持部51aの径D1は、第2保持部51bの径D2と略同一に形成される。突出部51cは、第2保持部51bの遠端側で径方向外向きに張り出すフランジである。突出部51cにおいて、第2保持部51bの径は、径D1およびD2よりも大径のD4となっている。カバーリングCRの貫通孔61の径D3は、径D1およびD2よりも大きく、径D4よりも小さく形成される。
【0032】
また、第1保持部51a、第2保持部51bは、断面多角形状であってもよい。また、第1保持部51aの断面積は必ずしも第2保持部51bの断面積よりも小さくなくてよい。少なくとも第2保持部51bの遠端側に外側に突出する突出部51cが形成されていればよい。たとえば上記
図3の例(B)のように、第1保持部51aおよび第2保持部51bを同一断面積の円筒状に形成し、第2保持部51bの遠端側に突出部51cとしてフランジを設けてもよい。なお、静電チャック25の孔63およびサセプタ11の孔64は、リフタピン51を収容可能な大きさに形成される。たとえば、リフタピン51を円筒形状に構成する場合、孔63,64は第2保持部51bと所定のクリアランスで嵌合する円筒状の空間とする。また、突出部51cとカバーリングCRの下面との位置関係を安定させるため、貫通孔61の下側開口部を下方にむけて開口が広がる形状としてもよい。この場合、突出部51cの形状は、貫通孔61の開口部に当接する形状とする。たとえば、突出部51cは、第1保持部51aから第2保持部51bに向けて徐々に断面積が大きくなる傾斜部としてもよい(
図3の例(C)参照)。
【0033】
(エッジリングERの搬送例)
次に、
図4A~
図4Eを参照し、実施形態に係る搬送機構50によるエッジリングERの搬送について説明する。
図4Aは、実施形態に係る搬送機構50によるエッジリングERの搬送開始時の状態例を示す図である。
【0034】
図4Aに示すように、リフタピン51は搬送時以外は孔63,64内に収容される。なお、
図4Aの例では、リフタピン51の遠端がカバーリングCRの貫通孔61内に挿通されエッジリングERに当接した状態となっているが、リフタピン51の遠端は、カバーリングCRよりも下に収納されていてもよい。
【0035】
図4Bは、実施形態に係る搬送機構50によりエッジリングERが持ち上げられた状態例を示す図である。エッジリングERの搬送時には、まず駆動機構53がリフタピン51を駆動して上方に持ち上げる。リフタピン51が上昇すると、第1保持部51aがカバーリングCRの貫通孔61を貫通してエッジリングERの下面に当接する。さらにリフタピン51が上昇すると、リフタピン51によりエッジリングERが静電チャック25の内周部25bから離れて上方へと持ち上げられる。駆動機構53は予め設定された第1搬送高さH1までリフタピン51の遠端を上昇させる。第1搬送高さH1についてはさらに後述する。
【0036】
図4Cは、実施形態に係る搬送機構50により持ち上げられたエッジリングERをロボットアームAM上に載置する直前の状態例を示す図である。リフタピン51がエッジリングERを第1搬送高さH1まで持ち上げた後、制御部43は搬送用のロボットアームAMを処理容器10の外からサセプタ11上に進入させる。ロボットアームAMは、第1搬送高さH1より下側の高さH2に上面が位置する状態で水平方向に進む。リフタピン51により持ち上げられたエッジリングERの下方にロボットアームAMが配置されると、駆動機構53はリフタピン51の下降を開始する。リフタピン51が下降することで、リフタピン51上に保持されたエッジリングERはロボットアームAMの上面に載置される。
【0037】
図4Dは、実施形態に係る搬送機構50により持ち上げられたエッジリングERがロボットアームAM上に載置された状態例を示す図である。エッジリングERがロボットアームAM上に載置された後、リフタピン51は高さH2より下方へとそのまま下降を続ける。そして、リフタピン51が孔63,64内に収容されると、制御部43はエッジリングERが載置されたロボットアームAMを処理容器10外へと移動させる。
【0038】
図4Eは、実施形態に係る搬送機構50によるエッジリングERの搬送完了時の状態例を示す図である。ロボットアームAMがエッジリングERを処理容器10外へと移動させ、リフタピン51が搬送開始前の位置に退避して、エッジリングERの搬送は完了する。
【0039】
(カバーリングCRの搬送)
次に、
図5A~
図5Eを参照し、実施形態に係る搬送機構50によるカバーリングCRの搬送について説明する。
図5Aは、実施形態に係る搬送機構50によるカバーリングCRの搬送開始時の状態例を示す図である。
【0040】
図5Aに示すように、カバーリングCRの搬出は、エッジリングERがカバーリングCR上に配置されていない状態で実行する。リフタピン51の位置は、エッジリングERの搬出開始時と同様である。
【0041】
図5Bは、実施形態に係る搬送機構50によりカバーリングCRが持ち上げられた状態例を示す図である。エッジリングERの搬送時とは異なり、カバーリングCRの搬送時は、駆動機構53はリフタピン51の遠端を第2搬送高さH3まで上昇させる。駆動機構53がリフタピン51を第1保持部51aの長さ分だけ上昇させると、リフタピン51の第2保持部51bの遠端側に形成された突出部51cがカバーリングCRの下面に当接する。突出部51cがカバーリングCRの下面に当接した状態でさらにリフタピン51が上昇することで、カバーリングCRは静電チャック25の外周部25cから離れて上方に持ち上がる。駆動機構53はそのまま、第2搬送高さH3までリフタピン51の遠端を上昇させる。この結果、第2保持部51bの遠端すなわちカバーリングCRの下面は第1搬送高さH1まで上昇する。
【0042】
図5Cは、実施形態に係る搬送機構50により持ち上げられたカバーリングCRをロボットアームAM上に載置する直前の状態例を示す図である。リフタピン51がカバーリングCRを第1搬送高さH1まで上昇させた後、制御部43は搬送用のロボットアームAMを処理容器10の外からサセプタ11上に進入させる。ロボットアームAMは、第1搬送高さH1より下方の高さH2にロボットアームAMの上面が位置するように水平方向に進む。リフタピン51により持ち上げられたカバーリングCRの下方にロボットアームAMが配置されると、駆動機構53はリフタピン51の下降を開始する。リフタピン51が下降し、第2保持部51bの遠端の突出部51cが高さH2に到達すると、リフタピン51上に保持されたカバーリングCRはロボットアームAM上に載置される。
【0043】
図5Dは、実施形態に係る搬送機構50により持ち上げられたカバーリングCRがロボットアームAM上に載置された状態例を示す図である。カバーリングCRがロボットアーム上に載置された後、リフタピン51はさらに下降し、突出部51cが高さH2より下方へと移動する。リフタピン51の下降に伴い第1保持部51aが貫通孔61を通過する。そして、リフタピン51が孔63,64内に収容されると、制御部43はカバーリングCRが載置されたロボットアームAMを処理容器10外へと移動させる。
【0044】
図5Eは、実施形態に係る搬送機構50によるカバーリングCRの搬送完了時の状態例を示す図である。ロボットアームAMがカバーリングCRを処理容器10外へと移動させ、リフタピン51が搬送開始前の位置に退避して、カバーリングCRの搬送は完了する。
【0045】
このように、実施形態に係る搬送機構50においては、リフタピン51を上昇させる量を、エッジリングER搬送時とカバーリングCR搬送時とで異ならせることにより、同一のリフタピン51を用いて、エッジリングERとカバーリングCRの双方の搬送を実現する。このため、リフタピン51を第1保持部51aと、第1保持部51aと連接する位置に突出部51cが設けられた第2保持部51bとで構成する。そして、エッジリングERとカバーリングCRとが重なりあう位置において、カバーリングCRに貫通孔63を設けている。
【0046】
図6は、リフタピン51の第1保持部51aの長さL1と、第1搬送高さH1と、第2搬送高さH3との関係を説明するための図である。
図6においては、第1搬送高さH1および第2搬送高さH3は、静電チャック25の外周部25cの上面の高さを基準面として説明する。まず、第1保持部51aの長さL1を第1搬送高さH1と略同一とする(
図6、(a))。また、第2搬送高さH3は、第1搬送高さH1の略2倍である。駆動機構53は、エッジリングERの搬送時には、リフタピン51の遠端を第1搬送高さH1まで上昇させる(
図6、(b))。また、カバーリングCRの搬送時には、リフタピン51の遠端を第2搬送高さH3まで上昇させる(
図6、(c))。搬送時にエッジリングERおよびカバーリングCRを持ち上げる高さを共通としてロボットアームAMの搬送時の制御態様を共通とするため、
図6の例では、第1保持部51aの長さL1=第1搬送高さH1とする。また、第2搬送高さH3を、第1搬送高さの略2倍としている。
【0047】
リフタピン51の各部の寸法と搬送時の上昇量をこのように設定することで、エッジリングERおよびカバーリングCRを搬送時に同一の高さ(第1搬送高さH1)まで上昇させることができる。このため、ロボットアームAMの高さを変更することなく異なる消耗部品の搬送を実現できる。ただし、リフタピン51の各部の寸法および搬送時の上昇量は上記したものに限定されない。載置台上に配置される部品各部の寸法やロボットアームAMの性能に応じて、リフタピン51の各部の寸法および搬送時の上昇量を調整することができる。このように、実施形態の構成によれば、一つの搬送機構50で複数の消耗部品を容易に搬送することができる。
【0048】
(搬送対象の消耗部品)
なお、上記実施形態では、実施形態に係る搬送機構50はカバーリングCRとエッジリングERとを搬送するものとして説明した。これに限らず、実施形態に係る搬送機構50は、任意の消耗部品の複数の部分または複数の任意の消耗部品を搬送するために適用できる。
【0049】
たとえば、エッジリングERを内周部品と外周部品との二つの部品で構成し、内周部品と外周部品とのうち消耗の大きい部品を消耗の少ない部品の上に一部重なりあうように構成する。そして、内周部品と外周部品とが重なりあう部分において、下側に配置される部品に貫通孔を設けておく。リフタピン51の第1保持部51aを当該貫通孔に挿通可能な大きさに形成する。また、突出部51cを当該貫通孔に挿通不可能な形状および/または大きさに形成する。このように構成すれば、早く消耗する部品(上側に配置される部品)を独立して交換することが可能となるとともに、他の部分(下側に配置される部品)も同一の搬送機構50を用いて搬送できる。
【0050】
また、3以上の消耗部品を一つの搬送機構で搬送するように構成してもよい。たとえば、エッジリングERを内周部品、外周部品の二つの部品で構成し、さらに、カバーリングCRをエッジリングERの半径方向外側に配置する。そして、外周部品が配置される位置において、内周部品、外周部品、カバーリングが互いに少なくとも一部上下方向に重なり合うように構成する。そして、下方に配置される消耗部品2つに、それぞれ異なる断面積の貫通孔を設ける。そして、最下方に配置される消耗部品に設けられた貫通孔の断面積が最も大きくなるようにする。
【0051】
さらに、各消耗部品に設けられた貫通孔に対応する断面積または突出部を有する3以上の保持部をリフタピン51に設ける。たとえば、第1の保持部51aおよび第2の保持部51bに加えて、第2の保持部51bの基端側に連接する第3の保持部を設け、第3の保持部の遠端側に突出部51cと同様の第2の突起部を設ける。突出部51cと第2の突起部の形状を各々、消耗部品の貫通孔に対応するように形成することで、一つの搬送機構により3以上の消耗部品を昇降させることができる。
【0052】
(消耗度合に応じた構成の変更)
また、上記実施形態においては、カバーリングCRをエッジリングERの下方に配置するものとした。しかしこれに限らず、外側に配置される消耗部品の方が消耗が激しい場合には、外側に配置される消耗部品の内周部が、内側に配置される消耗部品の外周部の上に重なるような形状としてもよい。
【0053】
(搬送機構の構成の変形)
なお、上記実施形態では、リフタピン51の数は特に限定されない。2以上、好ましくは3以上のリフタピン51を設けることで、エッジリングERおよびカバーリングCRを昇降できる。また、リフタピン51各々に一つの駆動機構53を設けてもよく、複数のリフタピン51に共通の一つの駆動機構53を設けてもよい。
【0054】
なお、上記実施形態においては、静電チャック25およびサセプタ11に設けた孔63,64の中で放電が生じたり放電が激しくなったりすることを抑制するため、孔の中と載置台とが同電位空間となるよう構成する。たとえば、孔の周囲を載置台の他の部分と同様の金属材料で構成する。
【0055】
(実施形態の効果)
上記のように、実施形態に係る載置台およびプラズマ処理装置は、ウエハを載置するウエハ載置面と、を備える。また、実施形態に係る載置台は、第1係合部を有する第1リングと、第1係合部の下面に至る貫通孔を有し第1係合部に係合する第2係合部を有する第2リングと、を載置するリング載置面を備える。リング載置面は、貫通孔に対応する位置に孔を有し、ウエハ載置面の外周側に設けられる。実施形態に係る載置台はさらに、貫通孔に嵌合する第1保持部と、第1保持部の軸方向に連接され第1保持部の外周から突出する突出部を有する第2保持部と、を有し、第1保持部をリング載置面側にしてリング載置面の孔内に収容されるリフタピンを備える。実施形態に係る載置台はさらに、リフタピンを昇降可能に駆動する駆動機構を備える。このように、実施形態に係る載置台は、駆動機構によりリフタピンをリング載置面の孔から上昇させることにより、第2リングの貫通孔を通ってリフタピンを第1リングに当接させることができる。このため、実施形態に係る載置台は、第2リングをリング載置面上に載置したままで、第1リングをリング載置面から持ち上げて搬送することができる。また、実施形態に係る載置台は、駆動機構によりリフタピンを上昇させて第2保持部の突出部を第2リングの下面に当接させることができる。このため、実施形態に係る載置台は、一つのリフタピンを用いて第1リングおよび第2リングの双方を搬送することができる。また、実施形態に係る載置台は、一つのリフタピンにより複数消耗部品の搬送を実現するため、搬送機構により占有される空間を抑制できる。
【0056】
また、実施形態に係る載置台において、第1保持部および第2保持部は、同軸かつ断面同心円形状の棒状部材であり、第1保持部の径は、第2保持部の径よりも小さい。このように、第1保持部および第2保持部を同心円形状の棒状部材として形成することで、リフタピンの加工および製造を容易に実現できる。
【0057】
また、実施形態に係る載置台において、第1リングは第2リングよりもウエハ載置面の中心側に配置され、第2係合部は第1係合部よりもリング載置面側に配置される。たとえば、第1リング(エッジリング)と第2リング(カバーリング)はウエハの半径方向外側に向けて順番に配置される。そして、内側に位置する第1リングの第1係合部(エッジリングの外周側)は、外側に位置する第2リングの第2係合部(カバーリングの内周側)の上に位置するように構成される。このため、実施形態によれば、ウエハにより近い位置に配置される第1リングを第2リングを移動させることなく容易に搬送することができる。
【0058】
また、実施形態に係る載置台において、第1リングは導電材料で形成され、第2リングは絶縁材料で形成される。このため、実施形態によれば、第1リングを、第2リングを移動させることなく容易に搬送、交換可能とすることで、プラズマ処理の品質を安定させることができる。なお、第1リングの材質は、たとえば、シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、その他ウエハ上に形成されるマスク材料と同材料等でよい。
【0059】
また、実施形態に係る載置台において、第2リングは第1リングよりもウエハ載置面の中心側に配置され、第2係合部は第1係合部よりもリング載置面側に配置される。このように、実施形態に係る載置台は、様々な位置に配置される消耗の程度が異なる複数の消耗部品に適用することができる。
【0060】
また、実施形態に係る載置台はさらに、第1リングおよび第2リングの少なくとも一方をリング載置面に吸着するリング用静電チャックを備える。また、実施形態に係る載置台はさらに、第1リングおよび第2リングの少なくとも一方の下面とリング載置面との間に伝熱ガスを供給するガス供給機構をさらに備える。このため、実施形態に係る載置台は、第1リングおよび第2リング等の載置台上の部品の熱を容易に下部構造物に逃がすことができる。このため、実施形態によれば、伝熱シート等の構造物を第1リングおよび第2リングと載置台との間に介在させる必要がない。このため、実施形態によれば、簡素な構造のリフタピンにより第1リングおよび第2リングを容易に搬送することができる。
【0061】
また、実施形態に係る載置台において、駆動機構は、第1リングの搬送時、第1保持部の頂部が搬送高さに到達するまでリフタピンを上昇させる。また、駆動機構は、第2リングの搬送時、第2保持部の頂部が搬送高さに到達するまでリフタピンを上昇させる。このように、実施形態によれば、搬送対象が第1リングか第2リングかに応じて、リフタピンの駆動態様を切り替えることで、一つのリフタピンを用いて容易に複数部品の搬送を実現できる。
【0062】
また、実施形態に係る載置台において、リフタピンの第1保持部の軸方向長さは、第2リングの軸方向の厚みよりも長い。第1保持部を少なくとも第2リングよりも厚く形成することで、第1リングと第2リング双方を一つのリフタピンで昇降できる。
【0063】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 プラズマ処理装置
10 処理容器
11 サセプタ(下部電極)
12 筒状保持部材
13 筒状支持部
14 排気路
15 バッフル板
16 排気口
17 排気管
18 排気装置
19 搬入出口
20 ゲートバルブ
21a 第1の高周波電源
21b 第2の高周波電源
22 整合器
23 給電棒
24 シャワーヘッド
25 静電チャック
25a 中心部
25b 内周部
25c 外周部
25d,25e 電極板
26,28 直流電源
27,29 スイッチ
35a、35b 伝熱ガス供給部
36a ウエハ用ガス供給ライン
36b リング用ガス供給ライン
43 制御部
50 搬送機構
51 リフタピン
51a 第1保持部
51b 第2保持部
51c 突出部
52 封止部
53 駆動機構
61 貫通孔
63,64 孔
CR カバーリング
ER エッジリング
W ウエハ