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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】基板処理システムおよび基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
H01L21/306 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022515310
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2021014349
(87)【国際公開番号】W WO2021210431
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020071619
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 水根
(72)【発明者】
【氏名】丸本 洋
(72)【発明者】
【氏名】中森 光則
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-220004(JP,A)
【文献】特開2011-023629(JP,A)
【文献】特開2000-243678(JP,A)
【文献】特開2009-252945(JP,A)
【文献】特開2009-049382(JP,A)
【文献】特開2015-215193(JP,A)
【文献】特開2000-021851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
H01L 21/302
H01L 21/306-21/308
H01L 21/461
H01L 21/465-21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された膜をエッチングするエッチング処理を行うエッチング処理部と、
前記エッチング処理後の前記基板の表面を撮像する検査部と、
前記検査部によって撮像された画像に基づいて前記エッチング処理後における前記膜の膜厚を推定する推定部と、
前記エッチング処理前における前記膜の膜厚と、前記推定部によって推定された前記エッチング処理後における前記膜の膜厚とに基づいて前記膜のエッチング量を算出する算出部と、
前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が正常か否かを判定する処理、および、前記算出部によって算出された前記エッチング量に基づいて前記エッチング処理の良否を判定する処理を行う判定部と
前記判定部によって前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が正常と判定された場合に、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚に基づき、前記基板に対する前記エッチング処理の処理条件を補正する補正処理を行う補正部と、
前記判定部によって前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が正常でないと判定された場合に、前記基板に対する前記エッチング処理の実行を中止し、前記判定部によって前記エッチング処理が不良と判定された場合に、当該エッチング処理を行った前記エッチング処理部を用いた前記エッチング処理の実行を禁止する異常対応処理部と
を備え
前記補正処理は、前記基板に対して前記エッチング処理を行う前記エッチング処理部が決定された後、当該エッチング処理部に対して行われる、基板処理システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が予め設定された閾値範囲内である場合に、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が正常と判定し、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が予め設定された閾値範囲を逸脱する場合に、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が正常でないと判定する、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記補正部は、前記判定部によって前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が正常と判定され、かつ、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚が前記閾値範囲よりも狭い第2閾値範囲を逸脱する場合に、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚に基づき、前記基板に対する前記エッチング処理の処理条件を補正する、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記検査部は、前記エッチング処理前の前記基板の表面を撮像することによって処理前画像を取得し、前記エッチング処理後の前記基板の表面を撮像することによって処理後画像を取得し、
前記推定部は、前記処理前画像に基づいて、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚を推定し、前記処理後画像に基づいて、前記エッチング処理後における前記膜の膜厚を推定する、請求項1~3の何れか一つに記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記検査部は、
前記エッチング処理前の前記基板の表面を撮像することによって処理前画像を取得する処理前検査部と、
前記処理前検査部と別体に設けられ、前記エッチング処理後の前記基板の表面を撮像することによって処理後画像を取得する処理後検査部と
を含み、
前記推定部は、前記処理前画像に基づいて、前記エッチング処理前における前記膜の膜厚を推定し、前記処理後画像に基づいて、前記エッチング処理後における前記膜の膜厚を推定する、請求項1~3の何れか一つに記載の基板処理システム。
【請求項6】
複数の前記エッチング処理部を備え、
前記判定部は、
一の前記エッチング処理部における前記エッチング処理の良否を、複数の前記エッチング処理部における前記エッチング量に基づいて判定する、請求項1~の何れか一つに記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記算出部によって算出された前記エッチング量を前記エッチング処理を行った前記エッチング処理部の識別情報と関連づけて記憶する記憶部を備え、
前記判定部は、
前記記憶部に記憶された複数の前記エッチング量に基づき算出される前記エッチング量の経時変化に基づいて前記エッチング処理の良否を判定する、請求項1~の何れか一つに記載の基板処理システム。
【請求項8】
基板の表面に形成された膜をエッチング処理部を用いてエッチングする工程と、
前記エッチングする工程の前における前記膜の膜厚が正常か否かを判定する工程と、
前記膜の膜厚が正常か否かを判定する工程によって前記エッチングする工程の前における前記膜の膜厚が正常と判定された場合に、前記エッチングする前における前記膜の膜厚に基づき、前記基板に対する前記エッチングする工程における処理条件を補正する工程と、
前記エッチングする工程の後の前記基板の表面を撮像する工程と、
前記撮像する工程によって撮像された画像に基づいて前記エッチングする工程の後における前記膜の膜厚を推定する工程と、
前記エッチングする工程の前における前記膜の膜厚と、前記推定する工程によって推定された前記エッチングする工程の後における前記膜の膜厚とに基づいて前記膜のエッチング量を算出する工程と、
前記算出する工程によって算出された前記エッチング量に基づいて前記エッチングする工程の良否を判定する工程と
前記膜の膜厚が正常か否かを判定する工程によって前記エッチングする工程の前における前記膜の膜厚が正常でないと判定された場合に、前記基板に対する前記エッチングする工程の実行を中止する工程と、
前記エッチングする工程の良否を判定する工程によって前記エッチングする工程が不良と判定された場合に、当該エッチングする工程を行った前記エッチング処理部を用いた前記エッチングする工程の実行を禁止する工程と
を含み、
前記補正する工程は、前記基板に対して前記エッチングする工程を行う前記エッチング処理部が決定された後、当該エッチング処理部に対して行われる、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システムおよび基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程の一つとして、半導体ウエハ等の基板に形成された膜をエッチングするエッチング工程が知られている。また、エッチング工程後、複数の工程を経た基板の表面を検査することにより、基板の良否を判定する工程も知られている。
【0003】
特許文献1には、基板の表面を撮像した基板画像に基づいて基板の表面における欠陥の有無を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-212008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、エッチング処理の不良を早期に発見することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による基板処理システムは、エッチング処理部と、検査部と、推定部と、算出部と、判定部とを備える。エッチング処理部は、基板の表面に形成された膜をエッチングするエッチング処理を行う。検査部は、エッチング処理後の基板の表面を撮像する。推定部は、検査部によって撮像された画像に基づいて膜の膜厚を推定する。算出部は、エッチング処理前における膜の膜厚と、推定部によって推定された膜の膜厚とに基づいて膜のエッチング量を算出する。判定部は、算出部によって算出されたエッチング量に基づいてエッチング処理の良否を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、エッチング処理の不良を早期に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る基板処理システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るエッチング処理部の構成を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る積層部の構成を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る検査部を上方から見た断面図である。
図5図5は、実施形態に係る検査部を側方から見た断面図である。
図6図6は、実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図7図7は、膜厚推定処理の一例を示す図である。
図8図8は、平均膜厚に基づく補正処理の一例を示す図である。
図9図9は、相関DBに格納される相関情報の一例を示す図である。
図10図10は、相関DBに格納される相関情報の他の一例を示す図である。
図11図11は、膜厚の面内分布に基づく補正処理の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る基板処理システムにおいて実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図13図13は、変形例に係る基板処理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示による基板処理システムおよび基板処理方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0011】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0012】
<基板処理システムの構成>
図1は、実施形態に係る基板処理システムの構成を示す図である。図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0013】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、実施形態では半導体ウエハ(以下ウエハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0014】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、積層部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いてキャリアCと積層部14に設けられた受渡部との間でウエハWの搬送を行う。
【0015】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数のエッチング処理部16とを備える。複数のエッチング処理部16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0016】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持するウエハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウエハ保持機構を用いて積層部14とエッチング処理部16との間でウエハWの搬送を行う。
【0017】
エッチング処理部16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対してエッチング処理を行う。エッチング処理とは、ウエハWの表面に形成された膜の全てまたは一部を除去する処理である。ここでは、エッチング処理部16がウェットエッチングを行う場合を例に挙げて説明するが、エッチング処理部16が行うエッチング処理は、ドライエッチングであってもよい。
【0018】
基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0019】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0020】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを積層部14の受渡部に載置する。受渡部に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって積層部14から取り出されて、エッチング処理部16へ搬入される。
【0021】
エッチング処理部16へ搬入されたウエハWは、エッチング処理部16によってエッチング処理された後、基板搬送装置17によってエッチング処理部16から搬出されて、積層部14に載置される。そして、積層部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0022】
<エッチング処理部の構成>
次に、エッチング処理部16の構成について図2を参照して説明する。図2は、実施形態に係るエッチング処理部16の構成を示す図である。
【0023】
図2に示すように、エッチング処理部16は、チャンバ61と、基板保持機構62と、供給部63と、回収カップ64とを備える。
【0024】
チャンバ61は、基板保持機構62と供給部63と回収カップ64とを収容する。チャンバ61の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)61aが設けられる。FFU61aは、チャンバ61内にダウンフローを形成する。
【0025】
基板保持機構62は、保持部62aと、支柱部62bと、駆動部62cと、温度調整部62dとを備える。保持部62aは、ウエハWを水平に保持する。支柱部62bは、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部62cによって回転可能に支持され、先端部において保持部62aを水平に支持する。駆動部62cは、支柱部62bを鉛直軸まわりに回転させる。温度調整部62dは、たとえば保持部62aに内蔵され、保持部62aに保持されたウエハWを加熱または冷却することにより、ウエハWの温度を調整する。
【0026】
かかる基板保持機構62は、駆動部62cを用いて支柱部62bを回転させることによって支柱部62bに支持された保持部62aを回転させ、これにより、保持部62aに保持されたウエハWを回転させる。
【0027】
供給部63は、ウエハWに対して薬液(エッチング液)を供給する。供給部63は、薬液供給源63aに接続される。薬液は特に限定されないが、たとえば、フッ酸、希フッ酸、硝酸、SC1(アンモニア/過酸化水素/水の混合液)等が用いられ得る。
【0028】
供給部63は、濃度調整部63bと、温度調整部63dと、流量調整部63eとを備える。濃度調整部63bは、薬液供給源63aおよび希釈液供給源63cに接続され、薬液供給源63aから供給される薬液と、希釈液供給源63cから供給される希釈液(たとえば、水など)とを混合して薬液を希釈する。濃度調整部63bは、薬液と希釈液との混合比率を変更可能であり、これにより、薬液を所望の濃度に調整することができる。
【0029】
温度調整部63dは、濃度調整部63bよりも下流側に設けられ、薬液の温度を加熱または冷却することにより、薬液の温度を調整する。流量調整部63eは、濃度調整部63bよりも下流側に設けられ、ウエハWへ吐出する薬液の流量を調整する。
【0030】
回収カップ64は、保持部62aを取り囲むように配置され、保持部62aの回転によってウエハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ64の底部には、排液口64aが形成されており、回収カップ64によって捕集された処理液は、かかる排液口64aからエッチング処理部16の外部へ排出される。また、回収カップ64の底部には、FFU21から供給される気体をエッチング処理部16の外部へ排出する排気口64bが形成される。
【0031】
<積層部の構成>
次に、積層部14の構成について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る積層部14の構成を示す図である。
【0032】
図3に示すように、積層部14には、複数の処理部が高さ方向(Z軸方向)に積層されている。たとえば、積層部14には、複数の受渡部40が設けられる。受渡部40は、ウエハWを収容可能である。かかる受渡部40において、基板搬送装置13,17間でのウエハWの受け渡しが行われる。
【0033】
また、積層部14には、ウエハWの表面を検査するための検査部50として、処理前検査部50_1と処理後検査部50_2とが設けられる。処理前検査部50_1は、エッチング処理前のウエハWの表面を撮像することによって処理前画像を取得する。また、処理後検査部50_2は、エッチング処理後の基板の表面を撮像することによって処理後画像を取得する。
【0034】
<検査部の構成>
ここで、検査部50(処理前検査部50_1および処理後検査部50_2)の構成について図4および図5を参照して説明する。図4は、実施形態に係る検査部50を上方から見た断面図である。また、図5は、実施形態に係る検査部50を側方から見た断面図である。
【0035】
図4および図5に示すように、検査部50は、ケーシング51を有している。ケーシング51内には、ウエハWを保持する保持部52が設けられている。保持部52は、たとえばバキュームチャックであり、ウエハWの裏面中央部を吸着保持する。
【0036】
ケーシング51の底面には、Y軸方向に沿って延在するガイドレール53が設けられている。ガイドレール53上には、保持部52を回転させると共に、ガイドレール53に沿って移動自在な駆動部54が設けられている。
【0037】
ケーシング51内の側面には、撮像部55が設けられている。撮像部55としては、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。ケーシング51の上部中央付近には、ハーフミラー56が設けられている。ハーフミラー56は、撮像部55と対向する位置に、鏡面が鉛直下方を向いた状態から撮像部55の方向に向けて45度上方に傾斜した状態で設けられる。
【0038】
ハーフミラー56の上方には、照明装置57が設けられている。ハーフミラー56と照明装置57は、ケーシング51内部の上面に固定されている。照明装置57からの照明は、ハーフミラー56を通過して下方に向けて照らされる。したがって、照明装置57の下方にある物体によって反射した光は、ハーフミラー56でさらに反射して、撮像部55に取り込まれる。すなわち、撮像部55は、照明装置57による照射領域にある物体を撮像することができる。
【0039】
検査部50は、駆動部54を用いて保持部52をガイドレール53に沿って移動させながら撮像部55による撮像を行う。これにより、検査部50は、ウエハWの表面の画像すなわち処理前画像または処理後画像を得ることができる。検査部50によって撮像されたウエハWの画像は、制御装置4に入力される。
【0040】
<制御装置の構成>
次に、制御装置4の構成について図6を参照して説明する。図6は、実施形態に係る制御装置4の構成を示すブロック図である。
【0041】
図6に示すように、制御装置4は、制御部18と記憶部19とを備える。制御部18は、推定部181と、補正部182と、算出部183と、判定部184と、異常対応処理部185とを備える。また、記憶部19は、処理前膜厚DB(データベース)191と、処理後膜厚DB(データベース)192と、エッチング量DB(データベース)193と、相関DB(データベース)194とを有する。
【0042】
なお、制御装置4は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0043】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部18の推定部181、補正部182、算出部183、判定部184および異常対応処理部185として機能する。なお、推定部181、補正部182、算出部183、判定部184および異常対応処理部185の少なくともいずれか一つまたは全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0044】
また、記憶部19は、たとえば、RAMやHDDに対応する。なお、制御装置4は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0045】
推定部181は、検査部50によって撮像された画像に基づいてウエハWの表面に形成された膜の膜厚を推定する。具体的には、推定部181は、処理前検査部50_1によって撮像された処理前画像に基づいて、エッチング処理前における膜厚を推定し、処理後検査部50_2によって撮像された処理後画像に基づいてエッチング処理後における膜厚を推定する。
【0046】
ここで、推定部181による膜厚推定処理について図7を参照して説明する。図7は、膜厚推定処理の一例を示す図である。
【0047】
図7の上図は、検査部50によって撮像されたウエハW表面の画像におけるR(赤)、G(緑)および青(青)の各画素値とウエハW表面の膜の膜厚との関係を示したグラフである。同図に示すように、R(赤)、G(緑)および青(青)の各画素値と膜厚との間には周期的な相関が見られる。
【0048】
図7の下図は、図7上図の一部の膜厚範囲、具体的には、想定される膜厚を含む膜厚範囲を抜き出して拡大したものである。同図に示すように、ある膜厚範囲で見たとき、各画素値と膜厚との関係は線形に近似することができる。
【0049】
そこで、たとえば、R,G,Bの3チャネルのうち膜厚との関係が最も線形に近い1つのチャネルを選択し、選択したチャネル(たとえばR)のデータを線形近似することで、一次関数である膜厚予測式を得ることができる。
【0050】
推定部181は、上記の膜厚予測式を用い、検査部50によって撮像された画像の各画素におけるRの画素値を当該画素における膜厚に変換する。このようにして、推定部181は、検査部50によって撮像された画像に基づいて膜厚を推定することができる。
【0051】
推定部181は、処理前検査部50_1から入力される処理前画像に基づいて膜厚を推定した場合には、推定した膜厚をウエハWの識別番号と関連づけた情報を処理前膜厚情報として処理前膜厚DB191に格納する。また、推定部181は、処理後検査部50_2から入力される処理後画像に基づいて膜厚を推定した場合には、推定した膜厚をウエハWの識別番号と関連づけた情報を処理後膜厚情報として処理後膜厚DB192に格納する。
【0052】
なお、推定部181は、R,G,Bの全てチャネルを用いた膜厚予測式に基づいて膜厚を推定してもよい。これにより、膜厚の推定精度を高めることができる。
【0053】
図6に戻る。補正部182は、処理前膜厚DB191に格納された処理前膜厚情報に基づき、ウエハWに対するエッチング処理の処理条件を補正する。
【0054】
補正部182による補正処理について図8図11を参照して説明する。図8は、平均膜厚に基づく補正処理の一例を示す図であり、図9は、相関DB194に格納される相関情報の一例を示す図である。また、図10は、相関DB194に格納される相関情報の他の一例を示す図であり、図11は、膜厚の面内分布に基づく補正処理の一例を示す図である。
【0055】
図8には、厚めの膜F_1が形成されたウエハW_1をエッチング処理部16_1により処理し、薄めの膜F_2が形成されたウエハW_2をエッチング処理部16_2により処理する様子を示している。
【0056】
補正部182は、ウエハW_1の処理前膜厚情報を処理前膜厚DB191から取得し、取得した処理前膜厚情報を用いて膜F_1の平均膜厚を算出する。平均膜厚は、ウエハW_1の表面の各位置(各画素)における膜厚の平均値である。
【0057】
膜F_1の平均膜厚は、エッチング処理部16_1に予め設定された処理条件(以下、「初期レシピ」と記載する)によるエッチング処理では完全に除去しきれないものとする。言い換えれば、膜F_1の平均膜厚は、初期レシピによるエッチング量を超えている(初期レシピによるエッチング量に相当する膜厚よりも厚い)ものとする。この場合、補正部182は、膜F_1の膜厚に応じたエッチング量となるように、膜F_1の平均膜厚に応じてエッチング処理部16_1の処理条件を初期レシピから変更して、膜F_2のエッチング量を増やす。
【0058】
処理条件のうち、たとえば薬液温度、ウエハ温度、薬液濃度、処理時間は、エッチング量を変化させることができるパラメータである。薬液温度は、供給部63(図2参照)から供給される薬液の温度であり、温度調整部63dによりエッチング処理部16ごとに変更可能である。ウエハ温度は、エッチング処理時におけるウエハWの温度であり、温度調整部62dによりエッチング処理部16ごとに変更可能である。薬液濃度は、供給部63から供給される薬液の濃度であり、濃度調整部63bによりエッチング処理部16ごとに変更可能である。処理時間は、供給部63からウエハWへの薬液の吐出時間である。
【0059】
補正部182は、たとえば、初期レシピに対して薬液温度、ウエハ温度および薬液濃度を高くし、処理時間を長くする。これにより、膜F_1のエッチング量を初期レシピによるエッチング量から増加させることができる。
【0060】
また、補正部182は、ウエハW_2の処理前膜厚情報を処理前膜厚DB191から取得し、取得した処理前膜厚情報を用いて膜F_2の平均膜厚を算出する。
【0061】
膜F_2の平均膜厚は、初期レシピによるエッチング処理を行った場合に、エッチング過剰となる厚さであるものとする。言い換えれば、膜F_2の平均膜厚は、初期レシピによるエッチング量を下回っている(初期レシピによるエッチング量に相当する膜厚よりも薄い)ものとする。この場合、補正部182は、膜F_2の膜厚に応じたエッチング量となるように、膜F_2の平均膜厚に応じてエッチング処理部16_2の処理条件を初期レシピから変更して、膜F_2のエッチング量を減らす。
【0062】
たとえば、補正部182は、初期レシピに対して薬液温度、ウエハ温度および薬液濃度を低くし、処理時間を短くする。これにより、膜F_2のエッチング量を初期レシピによるエッチング量から低下させることができる。
【0063】
このように、エッチング処理前における膜Fの膜厚にウエハWごとのバラツキがあったとしても、ウエハWの処理前膜厚情報に応じてウエハWごとにエッチング量を変更することで、エッチング処理後のウエハWの状態を揃えることができる。
【0064】
ここでは、複数のパラメータを変更する場合の例を挙げたが、補正部182は、少なくとも1つのパラメータを変更すればよい。
【0065】
補正部182は、相関DB194に記憶された相関情報に基づいて、処理条件に含まれる複数のパラメータのうち、変更するパラメータおよびその変更量を決定してもよい。
【0066】
図9に示すように、相関DB194には、複数の相関情報が格納されている。相関情報とは、処理条件に含まれるパラメータとエッチング量との相関を示す情報である。たとえば、図9には、薬液温度とエッチング量との相関を示す相関情報、薬液濃度とエッチング量との相関を示す相関情報および処理時間とエッチング量との相関を示す相関情報を示している。これらの相関情報は、膜Fの種類ごと、薬液の種類ごとに用意される。
【0067】
補正部182は、たとえば、複数のパラメータのうち、膜Fおよび薬液の組み合わせに対して、エッチング量の変化率が最も高いパラメータを補正対象のパラメータとして選択してもよい。たとえば、図9に示す例では、薬液温度、薬液濃度および処理時間のうち、薬液温度がエッチング量の変化率が最も高い。この場合、補正部182は、薬液温度を補正対象のパラメータとして選択する。
【0068】
一方、図10に示すように、相関DB194には、ウエハWの径方向における位置ごとに、複数のパラメータのエッチング量に対する寄与度を関連づけた相関情報も格納されている。ここでは、一例として、排気量、回転数、薬液流量および薬液温度のエッチング量に対する寄与度が関連づけられている。
【0069】
図10に示すように、エッチング量に対する薬液温度の寄与度は、ウエハWの中央において最も高く、外周に近づくほど低くなる。これとは逆に、エッチング量に対する薬液流量の寄与度は、ウエハWの外周に近づくほど高くなる。
【0070】
図11には、中央と比べて外周が厚い膜F_3が形成されたウエハW_3をエッチング処理部16_3により処理し、外周と比べて中央が厚い膜F_4が形成されたウエハW_4をエッチング処理部16_4により処理する様子を示している。
【0071】
補正部182は、ウエハW_3の処理前膜厚情報を処理前膜厚DB191から取得する。ウエハW_3の処理前膜厚情報は、膜F_3の膜厚分布の情報に相当する。補正部182は、膜F_3の膜厚のバラツキが解消されるように、ウエハW_3の処理前膜厚情報に応じてエッチング処理部16_3の処理条件を初期レシピから変更する。
【0072】
具体的には、補正部182は、図10に示した相関情報に基づき、初期レシピに対して薬液流量を多くし、薬液温度を低くする。上述したように、エッチング量に対する薬液流量の寄与度は、ウエハWの外周に近いほど高く、中央に近いほど低い。このため、薬液流量を多くすることで、ウエハW_3の外周における膜F_3のエッチング量をウエハWの中央における膜F_3のエッチング量よりも多くすることができる。また、エッチング量に対する薬液温度の寄与度は、ウエハWの外周に近いほど低く、中央に近いほど高い。このため、薬液温度を低くすることで、ウエハW_3の中央における膜F_3のエッチング量をウエハWの外周における膜F_3のエッチング量よりも少なくすることができる。
【0073】
このように、ウエハWの外周におけるエッチング量への寄与度が高い薬液流量を多くし、同寄与度が低い薬液温度を低くすることで、ウエハWの外周におけるエッチング量を中央に対して高くすることができる。この結果、中央と比べて外周が厚い膜F_3を適切にエッチングすることができる。
【0074】
一方、補正部182は、膜F_4の膜厚のバラツキが解消されるように、ウエハW_4の処理前膜厚情報に応じてエッチング処理部16_4の処理条件を初期レシピから変更する。
【0075】
具体的には、補正部182は、図10に示した相関情報に基づき、初期レシピに対して薬液流量を少なくし、薬液温度を高くする。薬液温度を高くすることで、ウエハW_4の中央における膜F_4のエッチング量をウエハW_4の中央における膜F_4のエッチング量よりも多くすることができる。また、薬液流量を少なくことで、ウエハW_4の外周における膜F_4のエッチング量をウエハW_4の中央における膜F_4のエッチング量よりも少なくすることができる。
【0076】
このように、ウエハWの中央におけるエッチング量への寄与度が高い薬液温度を高くし、同寄与度が低い薬液流量を少なくすることで、ウエハWの中央におけるエッチング量を外周に対して高くすることができる。この結果、外周と比べて中央が厚い膜F_4を適切にエッチングすることができる。
【0077】
なお、膜厚のバラツキを解消させることができるパラメータは、上述した排気量、回転数、薬液流量、薬液温度以外にも、たとえば、薬液の吐出位置、吐出位置をスキャンさせる場合のスキャン開始位置やスキャン速度等がある。補正部182は、これらのパラメータを変更することによっても膜厚のバラツキを解消させることができる。
【0078】
図6に戻る。算出部183は、エッチング処理前における膜の膜厚と、エッチング処理後における膜の膜厚とに基づいてエッチング量を算出する。具体的には、算出部183は、処理前膜厚DB191から該当するウエハWの処理前膜厚情報を取得し、処理後膜厚DB192から同ウエハWの処理後膜厚情報を取得する。
【0079】
そして、算出部183は、処理前膜厚情報に含まれるエッチング処理前の膜厚から処理後膜厚情報に含まれるエッチング処理後の膜厚を減じることにより、このウエハWのエッチング量を算出する。算出部183は、算出したエッチング量を、ウエハWの識別情報およびこのウエハWを処理したエッチング処理部16の識別情報と関連づけた情報をエッチング量情報としてエッチング量DB193に格納する。
【0080】
判定部184は、算出部183によって算出されたエッチング量に基づいてエッチング処理の良否を判定する。
【0081】
たとえば、判定部184は、エッチング量DB193から該当するウエハWのエッチング量情報を取得し、取得したエッチング量情報に含まれるエッチング量が予め設定された閾値範囲に含まれるか否かを判定する。この結果、エッチング量が閾値範囲に含まれる場合には、エッチング処理が正常に行われたと判定する。一方、エッチング量が閾値範囲を逸脱している場合、判定部184は、エッチング処理が不良であると判定する。
【0082】
判定部184は、エッチング処理が不良であると判定した場合、不良と判定されたウエハWの識別情報と、不良と判定されたウエハWを処理したエッチング処理部16の識別情報とを含む異常情報を生成して異常対応処理部185へ出力する。
【0083】
このように、実施形態に係る基板処理システム1では、基板処理システム1の内部において、エッチング処理の良否を判定することで、エッチング処理の不良を早期に発見することができる。
【0084】
エッチング処理の不良は、エッチング処理部16のトラブルが原因で発生する場合がある。この場合、エッチング処理の不良を早期に発見することができれば、不良が発見されるまでの間にこのエッチング処理部16によって処理されるウエハWの枚数を少なく抑えることができる。すなわち、同じようにエッチング不良となるおそれのあるウエハWの枚数を低減することができる。
【0085】
判定部184は、一のエッチング処理部16におけるエッチング処理の良否を、複数のエッチング処理部16におけるエッチング量に基づいて判定してもよい。
【0086】
上述したように、エッチング量DB193には、エッチング量をエッチング処理部16の識別情報と関連づけたエッチング量情報が格納される。判定部184は、エッチング処理部16ごとに、過去に行ったエッチング処理におけるエッチング量の平均値(個別平均値)を算出する。また、判定部184は、全てのエッチング処理部16において過去に行われたエッチング処理におけるエッチング量の平均値(全体平均値)を算出する。個別平均値および全体平均値の算出は、エッチング処理部16においてエッチング処理が行われる度に行われる。
【0087】
そして、判定部184は、個別平均値の全体平均値からのずれが閾値を超えた場合に、閾値を超えたエッチング処理部16において行われたエッチング処理を不良と判定してもよい。このようにすることで、エッチング処理部16間におけるエッチング量のバラツキを早期に発見することができる。
【0088】
また、判定部184は、エッチング量DB193に格納されたエッチング量情報に基づき、各エッチング処理部16におけるエッチング量の経時変化を監視してもよい。この場合、判定部184は、エッチング処理部16においてエッチング処理が行われる度に、今回のエッチング量の初期のエッチング量からのずれを算出する。そして、判定部184は、今回のエッチング量の初期のエッチング量からのずれが閾値を超えた場合に、閾値を超えたエッチング処理部16において行われたエッチング処理を不良と判定してもよい。このようにすることで、エッチング処理部16の経年劣化を早期に発見することがきる。
【0089】
異常対応処理部185は、判定部184によってエッチング処理が不良と判定された場合に、そのエッチング処理を行ったエッチング処理部16を用いたエッチング処理の実行を禁止する。
【0090】
このように、エッチング処理が不良と判定されたエッチング処理部16の使用を禁止することで、エッチング不良となるおそれのあるウエハWの枚数を低減することができる。
【0091】
なお、異常対応処理部185は、判定部184から取得した異常情報を基板処理システム1に接続される上位装置に出力してもよい。
【0092】
<基板処理システムの具体的動作>
次に、基板処理システム1の具体的動作について図12を参照して説明する。図12は、実施形態に係る基板処理システム1において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【0093】
基板処理システム1では、まず、処理前検査処理が行われる(ステップS101)。具体的には、基板搬送装置13が、キャリアCからエッチング処理前のウエハWを取り出して積層部14に配置された受渡部40に載置する。その後、基板搬送装置17が受渡部40からウエハWを取り出して処理前検査部50_1へ搬送する。そして、処理前検査部50_1がウエハWの表面を撮像することによって処理前画像を取得し、推定部181が処理前画像に基づき膜Fの膜厚を推定する。
【0094】
つづいて、判定部184は、エッチング処理前の膜厚が正常であるか否かを判定する(ステップS102)。たとえば、判定部184は、エッチング処理前の膜厚が後述する補正処理では解消しきれないほど大きくずれている場合に、エッチング処理前の膜厚が不良であると判定する。具体的には、判定部184は、ステップS101において推定された膜厚が予め設定された第1閾値範囲から逸脱する場合に、エッチング処理前の膜厚が不良であると判定する。
【0095】
ステップS102においてエッチング処理前の膜厚が正常であると判定された場合(ステップS102,Yes)、補正処理が行われる(ステップS103)。補正処理では、補正部182が、処理前膜厚情報に基づいてエッチング処理の処理条件を補正する。この補正処理は、ウエハWの搬送先となるエッチング処理部16が決定した後、そのエッチング処理部16に対して行われる。
【0096】
なお、判定部184は、補正処理に先立ち、補正処理の要否を判定してもよい。たとえば、基板処理システム1は、補正処理を行う補正ありモードと補正処理を行わない補正なしモードとを有していてもよい。この場合、判定部184は、現在のモードが補正ありモードである場合に、ステップS103の補正処理を行い、現在のモードが補正なしモードである場合には、ステップS103を省略してステップS104へ移行してもよい。また、判定部184は、ステップS101において推定された膜厚が第1閾値範囲よりも狭い第2閾値範囲を逸脱している場合に、ステップS103の補正処理を行うようにしてもよい。
【0097】
つづいて、エッチング処理が行われる(ステップS104)。エッチング処理において、ウエハWは、基板搬送装置17によって処理前検査部50_1から取り出されてエッチング処理部16へ搬送され、エッチング処理部16の保持部62aに保持される。エッチング処理部16は、駆動部62cを用いて保持部62aに保持されたウエハWを回転させつつ、ウエハWに対して供給部63から薬液を供給する。これにより、ウエハW上の膜Fがエッチングされる。その後、エッチング処理部16は、ウエハWに対して供給部63からDIW(脱イオン水)等のリンス液を供給し、さらにその後、駆動部62cを用いてウエハWを高速で回転させることにより、ウエハW上のリンス液を振り切ってウエハWを乾燥させる。
【0098】
つづいて、処理後検査処理が行われる(ステップS105)。処理後検査処理において、ウエハWは、基板搬送装置17によってエッチング処理部16から取り出されて処理後検査部50_2へ搬送される。そして、処理後検査部50_2がウエハWの表面を撮像することによって処理後画像を取得し、推定部181が処理後画像に基づき膜Fの膜厚を推定する。
【0099】
つづいて、エッチング量算出処理が行われる(ステップS106)。エッチング量算出処理では、算出部183が、ステップS101において推定されたエッチング処理前の膜厚からステップS105において推定されたエッチング処理後の膜厚を減じることにより、エッチング量を算出する。
【0100】
つづいて、判定部184は、ステップS106において算出されたエッチング量に基づき、エッチング処理が正常か否かを判定する(ステップS107)。この処理において、エッチング処理が不良であると判定した場合(ステップS107,No)、異常対応処理部185が、エッチング処理を行ったエッチング処理部16の使用を禁止する等の異常対応処理を行う(ステップS108)。
【0101】
なお、ステップS102において膜厚が不良であると判定された場合も(ステップS102,No)、異常対応処理部185による異常対応処理が行われる。この場合、異常対応処理部185は、異常対応処理として、たとえば、膜厚が不良であることを示す情報と該当するウエハWの識別情報とを関連づけた異常情報を上位装置に出力したり、該当するウエハWをキャリアCに戻す処理を行ったりする。
【0102】
ステップS107において、エッチング処理が正常であると判定された場合(ステップS107,Yes)、または、ステップS108の処理を終えた場合、基板処理システム1における一連の処理が終了する。
【0103】
<変形例>
図13は、変形例に係る基板処理システムの構成を示す図である。図13に示すように、基板処理システム1Aは、検査部50を備える第1の装置1A_1と、複数のエッチング処理部16を備える第2の装置1A_2とを含んでいてもよい。第1の装置1A_1と第2の装置1A_2とは、別体であり、第1の装置1A_1および第2の装置1A_2間におけるウエハWの搬送は、キャリアCにより行われる。第2の装置1A_2は、たとえば、図1に示す基板処理システム1から検査部50、具体的には、処理前検査部50_1および処理後検査部50_2を除外した構成に相当する。
【0104】
基板処理システム1,1Aは、少なくとも処理後検査部50_2を備えていればよく、必ずしも処理前検査部50_1を備えることを要しない。すなわち、基板処理システム1,1Aは、処理前画像または処理前膜厚情報を基板処理システム1,1Aの外部に設けられた検査装置から取得してもよい。
【0105】
基板処理システム1,1Aは、1つの検査部50を用いて処理前画像および処理後画像を取得してもよい。
【0106】
上述してきたように、実施形態に係る基板処理システム(一例として、基板処理システム1)は、エッチング処理部(一例として、エッチング処理部16)と、検査部(一例として、検査部50)と、推定部(一例として、推定部181)と、算出部(一例として、算出部183)と、判定部(一例として、判定部184)とを備える。エッチング処理部は、基板(一例として、ウエハW)の表面に形成された膜(一例として、膜F)をエッチングするエッチング処理を行う。検査部は、エッチング処理後の基板の表面を撮像する。推定部は、検査部によって撮像された画像に基づいて膜の膜厚を推定する。算出部は、エッチング処理前における膜の膜厚と、推定部によって推定された膜の膜厚とに基づいて膜のエッチング量を算出する。判定部は、算出部によって算出されたエッチング量に基づいてエッチング処理の良否を判定する。したがって、実施形態に係る基板処理システムによれば、エッチング処理の不良を早期に発見することができる。
【0107】
検査部は、エッチング処理前の基板の表面を撮像することによって処理前画像を取得し、エッチング処理後の基板の表面を撮像することによって処理後画像を取得してもよい。また、推定部は、処理前画像に基づいて、エッチング処理前における膜の膜厚を推定し、処理後画像に基づいて、エッチング処理後における膜の膜厚を推定してもよい。本構成によれば、エッチング処理直前の処理前画像およびエッチング処理直後の処理後画像を取得することができる。したがって、エッチング処理前の膜厚およびエッチング処理後の膜厚の双方を精度良く推定することができる。
【0108】
検査部は、エッチング処理前の基板の表面を撮像することによって処理前画像を取得する処理前検査部(一例として、処理前検査部50_1)と、処理前検査部と別体に設けられ、エッチング処理後の基板の表面を撮像することによって処理後画像を取得する処理後検査部(一例として、処理後検査部50_2)とを含んでいてもよい。また、推定部は、処理前画像に基づいて、エッチング処理前における膜の膜厚を推定し、処理後画像に基づいて、エッチング処理後における膜の膜厚を推定してもよい。このように、処理前画像および処理後画像をそれぞれ異なる検査部を用いて取得するようにすることで、スループットを向上させることができる。
【0109】
実施形態に係る基板処理システムは、判定部によってエッチング処理が不良と判定された場合、当該エッチング処理を行ったエッチング処理部を用いたエッチング処理の実行を禁止する異常対応処理部(一例として、異常対応処理部185)を備えていてもよい。このように、エッチング処理が不良と判定されたエッチング処理部の使用を禁止することで、エッチング不良となるおそれのある基板の枚数を低減することができる。
【0110】
実施形態に係る基板処理システムは、複数のエッチング処理部を備えていてもよい。この場合、判定部は、一のエッチング処理部におけるエッチング処理の良否を、複数のエッチング処理部におけるエッチング量に基づいて判定してもよい。これにより、エッチング処理部間におけるエッチング量のバラツキを早期に発見することができる。
【0111】
実施形態に係る基板処理システムは、算出部によって算出されたエッチング量を記憶する記憶部(一例として、記憶部19)を備えていてもよい。この場合、判定部は、記憶部に記憶された複数のエッチング量に基づき算出されるエッチング量の経時変化に基づいてエッチング処理の良否を判定してもよい。これにより、エッチング処理部の経年劣化を早期に発見することがきる。
【0112】
実施形態に係る基板処理システムは、エッチング処理前における膜の膜厚に基づき、基板に対するエッチング処理の処理条件を補正する補正部(一例として、補正部182)を備えていてもよい。このように、エッチング処理前の膜厚(平均膜厚や膜厚分布)に基板ごとのバラツキがあったとしても、エッチング処理の処理条件を補正することで、エッチング処理後の基板の状態を揃えることができる。
【0113】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 :基板処理システム
4 :制御装置
16 :エッチング処理部
18 :制御部
19 :記憶部
50 :検査部
50_1 :処理前検査部
50_2 :処理後検査部
51 :ケーシング
52 :保持部
53 :ガイドレール
54 :駆動部
55 :撮像部
56 :ハーフミラー
57 :照明装置
62d :温度調整部
63a :薬液供給源
63b :濃度調整部
63c :希釈液供給源
63d :温度調整部
63e :流量調整部
181 :推定部
182 :補正部
183 :算出部
184 :判定部
185 :異常対応処理部
C :キャリア
W :ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13