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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】建具、及び建具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/82 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
E06B3/82
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021502216
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2020007191
(87)【国際公開番号】W WO2020175397
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019035638
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019181244
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】茨城 俊介
(72)【発明者】
【氏名】松井 徹
(72)【発明者】
【氏名】桶谷 幸史
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-105158(JP,A)
【文献】特開2016-125227(JP,A)
【文献】特開2001-227251(JP,A)
【文献】特開2003-171629(JP,A)
【文献】特開2015-028251(JP,A)
【文献】特開2006-316521(JP,A)
【文献】実開昭48-008030(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0087315(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54 - 3/88
B32B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1面と第2面とを有する平板形状の芯材と、
前記芯材の前記第1面の側に配置された発泡体である第樹脂層と、
前記第1樹脂層の、前記芯材とは反対側の面に配置された意匠性を有する脆性の第板状体とを含む積層体、を備え
前記第1板状体が、ガラス板又はセラミック板である建具。
【請求項2】
前記芯材の前記第2面の側に配置された発泡体である第2樹脂層と、
前記第2樹脂層の、前記芯材とは反対側の面に配置された意匠性を有する脆性の第2板状体とをさらに含む積層体、を備え
前記第2板状体が、ガラス板又はセラミック板である請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第1樹脂層が独立気泡体である、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記第2樹脂層が独立気泡体である、請求項2に記載の建具。
【請求項5】
前記芯材が木製の芯材である、請求項1から4のいずれか一項に記載の建具。
【請求項6】
前記木製の芯材が中密度繊維板、フラッシュ構造板、又はパーティクルボードである請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記芯材が金属製または樹脂製の芯材である、請求項1から6のいずれか一項に記載の建具。
【請求項8】
前記芯材が単体の場合の反り量をH0とし、前記積層体の反り量をH1とした場合、
((H-H)/H)×100≧5%を満たす、
請求項1から7のいずれか一項に記載の建具。
【請求項9】
前記建具の比重が1.8以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の建具。
【請求項10】
前記芯材が2mm以上の厚みを有し、前記第1樹脂層が1mmから10mmの厚みを有し、前記第1板状体が0.5mmから5mmの厚みを有する請求項1からのいずれか一項に記載の建具。
【請求項11】
前記芯材が2mm以上の厚みを有し、前記第1樹脂層が1mmから10mmの厚みを有し、前記第1板状体が0.5mmから5mmの厚みを有し、前記第2樹脂層が1mmから10mmの厚みを有し、前記第2板状体が0.5mmから5mmの厚みを有する請求項に記載の建具。
【請求項12】
前記積層体の端面を覆うモール材を備える請求項1から1のいずれか一項に記載の建具。
【請求項13】
前記積層体の端面が面一である請求項1に記載の建具。
【請求項14】
前記モール材がアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂、アクリル樹脂、及びポリエチレンテレフタレート樹脂からなる群より選択された材料から構成される請求項1又は1に記載の建具。
【請求項15】
前記建具は扉構造である、請求項1から1のいずれか一項に記載の建具。
【請求項16】
対向する第1面と第2面とを有する平板形状の芯材と、前記芯材の前記第1面の側に配置された発泡体である第1樹脂層と、前記第1樹脂層の、前記芯材とは反対側の面に配置された意匠性を有する脆性の第1板状体とを含む積層体を準備し、
前記芯材を切断し、かつ前記第1樹脂層の前記芯材の側の一部を切断することを含み、
前記第1板状体が、ガラス板又はセラミック板である、建具の製造方法。
【請求項17】
前記芯材と前記第1樹脂層とが前記第1板状体より大きな面積を有し、
前記第1板状体の端面に沿って、前記芯材、及び前記第1樹脂層の一部を切断し、前記積層体の端面を面一にすることを含む請求項1に記載の建具の製造方法。
【請求項18】
前記積層体の端面にモール材を取り付けることを含む請求項1に記載の建具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具、及び建具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の出入口、又は収納家具の開口に扉が用いられている。例えば、特許文献1には、鏡付き扉の建具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭62-000687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建具の芯材が木製の場合、水分を吸収しやすく反り易くなる。また、芯材が金属製や樹脂製の場合、意図しない方向からの力により反りが生じる懸念がある。芯材の反りは、建具の反りの原因となる。また、建具には、搬送及び施工の負担を軽減するため、軽量化が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、芯材の反りを緩和でき、かつ軽量化できる建具、及び建具の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の建具は、対向する第1面と第2面とを有する平板形状の芯材と、芯材の第1面の側に配置された発泡体である第1樹脂層と、第1樹脂層の、芯材とは反対側の面に配置された意匠性を有する脆性の第1板状体とを含む積層体、を備える。
【0007】
第2態様の建具は、対向する第1面と第2面とを有する平板形状の芯材と、芯材の第1面の側に配置された発泡体である第1樹脂層と、第1樹脂層の、芯材とは反対側の面に配置された意匠性を有する脆性の第1板状体と、芯材の第2面の側に配置された発泡体である第2樹脂層と、第2樹脂層の芯材の配置された面と反対面に配置された意匠性を有する脆性の第2板状体とを含む積層体、を備える。
【0008】
第3態様の建具の製造方法は、対向する第1面と第2面とを有する平板形状の芯材と、芯材の前記第1面の側に配置された発泡体である第1樹脂層と、第1樹脂層の、芯材とは反対側の面に配置された意匠性を有する脆性の第1板状体とを含む積層体を準備し、芯材を切断し、かつ第1樹脂層の芯材の側の一部を切断することを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、芯材の反りを緩和でき、かつ軽量化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明による第1実施形態の扉構造の一部を示す模式的断面図である。
図2図2は、本発明による第2実施形態の扉構造の一部を示す模式的断面図である。
図3図3は、本発明による第3実施形態の扉構造の斜視図である。
図4図4図3に示す扉構造の一部を示す模式的断面図である。
図5図5は第3実施形態の別の形態に係る扉構造の一部を示す模式的断面図である。
図6図6は、本発明による扉構造の製造方法の1実施形態の一工程を示す説明図である。
図7図7は扉構造の製造方法の一工程を示す説明図である。
図8図8は扉構造の製造方法の一工程を示す説明図である。
図9図9は扉構造の製造方法の一工程を示す説明図である。
図10図10は反り量Hの算出するための試験方法を示す。
図11図11は反り量Hの算出するための試験方法を示す。
図12図12は反り量Hの算出するための試験方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面にしたがって本発明の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態により説明される。但し、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施形態以外の他の実施形態を利用できる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、基本的に、同様の機能を有する同様の要素である。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態の建具を、図面を参照して説明する。建具として扉構造、ホワイトボード、スクリーン、テーブルトップ、カウンターボードを例示することができる。また、建具として玄関収納、クローゼット、カップボード、テレビボード、洗面化粧台、トイレ、キッチン等に用いられるパネル、側板、棚板を例示することができる。扉構造として、内装材の扉、玄関収納、クローゼット、カップボード、テレビボード、洗面化粧台、トイレ、キッチン等に用いられる鏡扉、収納扉を例示することができる。以下の第1から第3実施形態では、本発明を扉構造に適用した場合について説明する。図1は、第1実施形態の扉構造10を示す模式的断面図である。図1に示されるように、扉構造10は、芯材12と、樹脂層14と、板状体16とを含む積層体17と、を備える。
【0013】
芯材12は、対向する第1面12Aと第2面12Bとを有する平板形状を有している。なお、芯材12の対向する2つの主面の、いずれを第1面12Aとし、第2面12Bとするかは任意に決定できる。
【0014】
第1樹脂層14は発泡体である樹脂層であり、芯材12の第1面12Aの側に配置される。板状体16は意匠性を有する脆性の第1板状体であり、樹脂層14の、芯材12とは反対側の面に配置される。芯材12と板状体16とは、樹脂層14を挟んで対向する位置に配置される。意匠層18が板状体16と樹脂層14との間に配置される。
【0015】
第1実施形態では、板状体16の意匠性は、板状体と樹脂層との間に介在された意匠層18によって付与される。板状体16の意匠性は、板状体自体が模様や色彩等を有することで意匠性を発現してもよい。なお、板状体16と樹脂層14との間に介在された意匠層18は、板状体16の表面に直接形成された意匠層及び樹脂層14の表面に直接形成された意匠層の形態も含む。
【0016】
扉構造10は意匠層18を備えているので、建築物の出入口、又は収納家具の開口に用いられた場合、扉構造10は高級感のある美観を演出できる。
【0017】
第1実施形態の扉構造10の全体の厚みは、7mm以上21mm以下であることが好ましい。第1実施形態の扉構造10の全体の厚みは、10mm以上がより好ましく、15mm以上がさらに好ましい。第1実施形態の扉構造10の全体の厚みは、20mm以下がより好ましく、19mm以下がさらに好ましく、18mm以下が特に好ましい。
【0018】
第1実施形態の扉構造10は、芯材12の第1面12Aの全体が樹脂層14と板状体16とにより覆われていることが好ましいが、芯材12の第1面12Aの一部分が樹脂層14と板状体16とにより覆われていてもよい。芯材12の第1面12Aの面積のうち、樹脂層14と板状体16とにより覆われている面積の割合は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。芯材12の第1面12Aの面積のうち、樹脂層14と板状体16とにより覆われている面積の割合は、100%以下であってもよく、97%以下であってもよい。
【0019】
第1実施形態の扉構造10の面積は、0.01m以上が好ましく、0.1m以上がより好ましく、0.5m以上がさらに好ましく、1m以上が特に好ましく、2.5m以上が最も好ましい。扉構造10の面積が大きいことにより反りやすく重くなるが、樹脂層14を有することにより、反りが緩和され、軽くできる。また、第1実施形態の扉構造10の面積は、5m以下であってもよく、4m以下であってもよく、3.5m以下であってもよく、3m以下であってもよい。
【0020】
芯材12の第1面12Aのうち、樹脂層14と板状体16とにより覆われている部分の面積は、0.01m以上が好ましく、0.1m以上がより好ましく、0.5m以上がさらに好ましく、1m以上が特に好ましく、2.5m以上が最も好ましい。また、芯材12の第1面12Aのうち、樹脂層14と板状体16とにより覆われている部分の面積は、5m以下であってもよく、4m以下であってもよく、3.5m以下であってもよく、3m以下であってもよい。
【0021】
以下、扉構造10を構成する材料について説明する。
【0022】
<芯材>
芯材12は、扉構造10の芯として使用される部材である。芯材12は平板形状であり、対向する第1面12A及び第2面12Bを有する。平板形状は、厚みに対して面積の広い2つの主面を有する形状である。
【0023】
芯材12は、扉構造10の芯として使用される部材であるので、剛性を有していることが好ましい。芯材12の素材は木製であっても、金属製であっても、樹脂製であってもよく、それらの複合体であってもよい。扉構造10に求められる特性に応じて、素材を適宜選択できる。
【0024】
木製の芯材12の場合、例えば、素材として、中密度繊維板(MDF(Medium Density Fiberboard))等の木質繊維板、合板、パーティクルボード等の素材を芯材12として適宜用いることができる。中密度繊維板は、JIS A 5905に規定される。合板は、複数の単板を積層することで構成される。パーティクルボードは、木材の小片を、接着剤を使用し、加熱圧縮することで製造され、JIS A 5908に規定される。
【0025】
木製の芯材12の場合、例えば、構造として、木質繊維板、合板、パーティクルボード等のいわゆるソリッドな構造体(ベタ芯構造)、及びフラッシュ構造板を適用できる。フラッシュ構造板は、木材で枠を組み、両面に合板等を貼り合せた中空構造であり。ソリッドな構造に比較して密度を小さくできる。
【0026】
木製の芯材12の密度は、400kg/m以上900kg/m以下であることが好ましい。芯材12の密度が400kg/m以上であれば、芯材12の強度を確保できる。芯材12の密度が900kg/m以下であれば、扉構造10を軽量化できる。木製の芯材12の密度は、500kg/m以上800kg/m以下であることがより好ましい。また、芯材12の比重は、0.4以上0.9以下が好ましく、0.5以上0.8以下がより好ましい。
【0027】
金属製の芯材12の場合、例えば、アルミニウム、鉄等の金属の素材を芯材12として適宜用いることができる。
樹脂製の芯材12の場合、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、又はアクリル樹脂等の素材を芯材12として適宜用いることができる。
【0028】
芯材12の板厚は、扉構造10の厚みに応じて適宜選択される。芯材12の板厚は、1mm以上25mm以下であることが好ましい。芯材12の板厚は、2mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。また、芯材12の板厚は、20mm以下がより好ましく、16mm以下がさらに好ましい。
【0029】
<板状体>
板状体16としては、脆性材料であれば、本発明の効果を享受できる。脆性とは、力を受けた際に割れやすい性質のことを意味する。例えば、板状体16の素材として、ガラス板、樹脂板やセラミック板が挙げられる。樹脂板は、脆性を有する樹脂板であることが好ましい。脆性を有する樹脂板としては、例えば、メラミン系樹脂板、アクリル系樹脂板、ポリカーボネート系樹脂板や塩ビ板等が挙げられる。セラミック板としては、タイルなどの陶製の部材が挙げられる。板状体は石材で構成されていてもよい。以下では、板状体16がガラス板である場合について説明する。
【0030】
板状体16に適用されるガラス板は、ガラスの種類の点では、特に限定されない。例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスやアルミノシリケートガラス等が挙げられる。化学強化処理を施す場合には、酸化物基準の質量%でAlを3%以上含有するアルミノシリケートガラスが好ましい。
【0031】
ガラス板の板厚は、0.5mm以上5mm以下が好ましい。ガラス板の板厚が0.5mm以上であると、芯材12の反りを吸収できる。ガラス板が5mm以下であれば扉構造10の全体が重くはならず、搬送、及び施工が容易となる。ガラス板の板厚は、1mm以上がより好ましく、1.5mm以上がさらに好ましい。また、ガラス板の板厚は、4mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。
【0032】
板状体16がガラス板の場合、ガラス板の密度は、2300kg/m以上2800kg/m以下であることが好ましく、2400kg/m以上2600kg/m以下がより好ましい。板状体16の比重は、2.3以上2.8以下が好ましく、2.4以上2.6以下が好ましい。
【0033】
板状体16に適用されるガラス板は、意匠層18と密着していることが好ましい。密着することによって板状体16を通して意匠層18を見た際、扉構造10は、奥行き感、高級感が増し美観上優れる。また、ガラス板の標準A光源に基づく可視光透過率(JIS R 3106に準拠して求められる)は、60%以上であることが美観上好ましく、より好ましくは70%以上である。ガラス板の標準A光源に基づく可視光透過率の上限は特に限定されないが、100%以下であってもよく、92%以下であってもよく、90%以下であってもよい。
【0034】
なお、ガラス板は、その表面にテクスチャーを設けるために、表面にフロスト加工等の後加工によってテクスチャー処理を施してもよい。
【0035】
ガラス板は、公知の方法で製造できる。すなわち、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法、ロールアウト法等によりリボン状に成形されたガラスを切断することにより、ガラス板が製造される。
【0036】
ガラス板は、表層に圧縮応力層を有していてもよい。ガラス板が強化処理を施されると、ガラス板は、強化ガラス板となる。強化処理が施された強化ガラス板は、強化処理が施されていない場合と比較して割れにくくなっている。強化ガラス板は、表層に圧縮応力層、すなわち、残留圧縮応力を有する表面層及び裏面層、並びに表面層と裏面層との間に形成され、残留引張応力を有する中間層を含む。強化ガラス板の板厚方向両端から内部に向かうほど残留圧縮応力が小さくなり、強化ガラス板の内部には残留引張応力が生じている。
【0037】
強化ガラス板の端面は、表面層及び裏面層に連続して残留圧縮応力で覆われていてもよい。強化ガラス板の端面が残留圧縮応力で覆われることで、衝撃に対して割れ難くなり好ましい。なお、強化ガラス板の端面は、残留圧縮応力で覆われておらず、強化ガラス板の端面に中間層の端面が露出していてもよい。その場合は、樹脂などのカバー材料で覆われていることが好ましい。
【0038】
強化ガラス板は、強化処理を施すことでガラス板の表面や裏面に残留圧縮応力を生じさせて、作製される。強化ガラス板は、イオン交換法等の化学強化処理によって得られる化学強化ガラス、風冷強化法等の物理強化処理によって得られる物理強化ガラスのいずれでもよい。化学強化処理であれば、より板厚の薄いガラス板であっても表面層や裏面層の残留圧縮応力の値を大きくできる。例えば、表層の残留圧縮応力の値は、300MPa以上が好ましく、400MPa以上がより好ましい。表層の残留圧縮応力の上限は特に限定されないが、1200MPa以下であってもよく、800MPa以下であってもよく、600MPa以下であってもよい。化学強化ガラスの場合、圧縮応力層の厚みは、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。また、圧縮応力層の厚みは、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。
【0039】
イオン交換法は、ガラス板の表面や裏面をイオン交換し、ガラスに含まれる小さなイオン半径のイオン(例えば、Liイオン、Naイオン)を大きなイオン半径のイオン(例えば、Kイオン)に置換する。これにより、ガラス板の表面や裏面に残留圧縮応力を生じさせることができる。イオン交換法では、ガラス板を高温の処理液に浸漬してイオン交換を行う。
【0040】
風冷強化法は、軟化点付近の温度のガラス板を両側から急冷し、ガラス板の表面や裏面と、ガラス板の内部との間に温度差をつけることで、ガラス板の表面や裏面に残留圧縮応力を生じさせることができる。風冷強化法等の物理強化法は、強化処理に要する時間が数秒から数十秒であるため、イオン交換法等による化学強化法よりも生産性が非常に優れている。
【0041】
板状体16は、樹脂層14とは反対側の表面に、特別な機能を付加するための機能層を有してもよい。機能層の一例としては、防汚膜、抗菌膜又は防曇膜が挙げられる。
【0042】
防汚膜は、指紋の付着を低減させたり、汚れを付き難くしたりする効果を有する。特に、扉構造10を手で直接触れると、板状体16の表面に指紋が付着し意匠性を損なうため、指紋の付着を低減させるAFP(Anti-Finger Print)機能を有することが好ましい。AFP機能は、AFP剤を板状体16に付着させて、AFP膜をガラス板に形成する。AFP剤としては、フッ素含有有機ケイ素化合物が挙げられる。フッ素含有有機ケイ素化合物としては、防汚性、撥水性及び撥油性を付与するものであれば特に限定されず使用できる。AFP剤の分子量は、3,000以上10,000以下が好ましく、3,000以上8,000以下がより好ましく、3,000以上6,000以下がさらに好ましい。AFP剤の分子量が3,000以上であることにより、分子構造に柔軟性が付与され、耐スクラッチ性、表面滑り性を得られる。また、10,000以下であることにより、AFP剤1分子あたりの反応基を十分確保でき、板状体16の表面との密着性を確保できる。
【0043】
抗菌膜は、抗菌性を発現させる抗菌剤を板状体16に付着させて形成される。抗菌剤としては、わさびをはじめとする天然抗菌剤、銅や銀をはじめとする金属系抗菌剤、及び酸化チタンをはじめとする酸化物系抗菌剤が挙げられる。特に、銀を含有する溶液を板状体16に塗布し銀膜を形成させ、銀膜が形成された板状体を加熱処理することにより、板状体16の表面から内部に銀イオンを拡散させることが効果の持続性の点で好ましい。
【0044】
防曇膜は、板状体16の表面に吸水性樹脂層を設け、板状体16の板表面に形成された微小水滴を吸水して除去することで、板状体16の表面が曇ることを防止し、意匠性を維持する効果を有する。防曇膜は、例えば、下地層と吸水層とを含む。下地層は、ガラス板から吸水層を剥がれ難くするための層であり、例えば、シラン系カップリング剤を含む組成物を板状体16に塗布して反応させることで得られる。吸水層は、硬化エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及び架橋アクリル樹脂から選ばれる硬化樹脂の原料成分を含有する組成物を下地層上に塗布して反応させることにより得られる。
【0045】
板状体16のヤング率は、5GPa以上であることが好ましい。板状体16のヤング率が5GPa以上であれば、反りにくい。板状体16のヤング率は、10GPa以上がより好ましく、30GPa以上がさらに好ましく、50GPa以上が特に好ましい。板状体16のヤング率の上限は特に限定されないが、100GPa以下であってもよい。
【0046】
<意匠層>
板状体16と樹脂層14との間には意匠層18が形成されている。意匠層18は、例えば、着色顔料を含む塗料を、板状体16であるガラス板の表面に塗布して乾燥、硬化させることによって形成される。塗料は、例えば、アクリル樹脂系塗料が挙げられる。アクリル樹脂系塗料は、付着力が大きく、耐候性、耐食性にも優れている。また、仕上げが美麗である点で好ましい。なお、意匠層18は、意匠性を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、メラミン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料であってもよく、着色顔料も様々な色であってよい。また、意匠層18は、金属膜をコーティングさせた鏡であってもよい。
【0047】
塗料の塗布方法としては、特に限定されないが、例えばロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、スピンコート法等が用いられる。
【0048】
また、塗料ではなく、シート状に成形された意匠層18を、板状体16であるガラス板に接着剤などによって貼着させてもよい。その場合、シート状に成形された意匠層18は、単色であっても複数色であってもよいし、天然石調やレンガ調等の模様が形成されていてもよい。また、意匠層18は、板状体16の表面に凹凸などで型模様を設けた、例えば型板ガラスによって意匠性を付与されていてもよい。
【0049】
<樹脂層>
樹脂層14は、気泡(セル)を画定する骨格樹脂を含む発泡体である樹脂層で構成される。発泡体である樹脂層14を化学架橋法により製造する場合、骨格樹脂中に架橋剤を添加し、架橋剤による架橋反応、発泡剤の分解反応を起こさせてガス成分を滞留させることにより、気泡(セル)が画定され、所定の発泡特性を有する樹脂層14を得られる。
【0050】
所定の発泡特性を得ることができれば、骨格樹脂の種類、及び製造方法は限定されない。骨格樹脂として、合成樹脂、合成ゴム等を使用することができ、例えば、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、シリコーン、ポリウレタン等を使用できる。
【0051】
骨格樹脂により画定される気泡は、独立気泡体であることが好ましい。独立気泡体とは、気泡がそれぞれ独立して並んでいる構造を意味する。独立気泡体とすることにより、連続気泡体と比較して樹脂層14の物理的強度を向上できる。
【0052】
樹脂層14の骨格樹脂は難燃剤を含んでいることが好ましい。難燃剤により樹脂層14の着火が抑制される。
【0053】
難燃剤として、有機系難燃剤及び無機系難燃剤の各々を、単独でまた混合して骨格樹脂に加えることができる。有機系難燃剤として、臭素系芳香族化合物、例えばリン化合物等を使用できる。また、無機系難燃剤として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等を使用できる。樹脂層14に含まれる難燃剤の骨格樹脂に対する質量比(難燃剤/骨格樹脂)は、20%以上であることが好ましく、27%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることが特に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。樹脂層14に含まれる難燃剤の骨格樹脂に対する質量比(難燃剤/骨格樹脂)の上限は特に限定されないが、100%以下であってもよく、80%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
【0054】
樹脂層14の厚みは1mm以上10mm以下であることが好ましい。樹脂層14の厚みが1mm以上であれば、芯材12の反りを吸収でき、板状体16と積層させた際に充分な耐衝撃強度が得られる。樹脂層14の厚みは、2mm以上がより好ましく、3mm以上がさらに好ましい。
【0055】
樹脂層14の厚みが10mm以下であると、板状体16の荷重による樹脂層14の変形が抑えられ、扉構造10の形状が変化しにくい。樹脂層14の厚みは、7mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。
【0056】
樹脂層14の密度は、30kg/m以上160kg/m以下であることが好ましい。樹脂層14の密度が30kg/m以上であれば、板状体16と積層させた際に充分な耐衝撃強度が得られる。樹脂層14の密度は、70kg/m以上がより好ましい。樹脂層14の密度が160kg/m以下であれば、扉構造10を軽量化できる。樹脂層14の密度は、120kg/m以下がより好ましく、100kg/m以下がさらに好ましく、80kg/m以下が特に好ましい。樹脂層14の比重は、0.03以上0.16以下が好ましい。
【0057】
樹脂層14のショアA硬度は、10以上、60以下であることが好ましい。なお、ショアA硬度は、デュロメータ(アスカー社製アスカーゴム硬度計A型)の測定値による。被測定物の表面に圧子(押針)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定し、少なくとも4か所の平均値とする。樹脂層14が薄く軟い場合には、厚さが6~12mmになるように樹脂層を重ね合わせて計測する。ショアA硬度が10以上であれば、充分な剛性を有するため施工性が良く、また、樹脂層3が変形しにくいため、板状体16が変形しにくく割れにくい。ショアA硬度は、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは30以上である。また、ショアA硬度が60以下であれば、充分な衝撃吸収性を有するため、板状体16が強い衝撃を受けたとしても割れ難い。ショアA硬度は、より好ましくは50以下である。
【0058】
樹脂層14には、他の成分を含ませてもよい。他の成分として、例えば、顔料、無機質系添加剤等を含有できる。樹脂層14に各種機能を付与できる。樹脂層14の難燃剤等の有無は、例えばIR(赤外分光法)、TGA(熱重量分析)、DSC(示差走査熱量分析)等により、測定できる。
【0059】
樹脂層14は、板形状の部材であってもよいし、板状体16に射出成型や押出成型で一体成形されてもよい。樹脂層14が板状の部材であった場合、意匠層18が板状体16と樹脂層14の間に介在するように、板状体16と板状の樹脂層14とが接着剤、粘着剤(以下、粘着剤を含め、板状体用の接着剤という。)等で貼着されることが好ましい。
【0060】
板状体用の接着剤は、樹脂層14の全面に塗布されてもよいし、一部でもよい。接着剤を全面に塗布する方が、板状体16が割れ難くなるため有利である。また、板状体16の意匠層18に接着剤を塗布してもよい。接着剤としては、一般的な建築用シーリング材が使用でき、例えば変成シリコーン系シーリング材、アクリル系粘着剤や合成ゴム系粘着剤等が挙げられる。接着剤は、両面テープのようなシート状であってもよい。また、接着剤は、不燃性が高くなるよう材料や塗布量を選定することが建築材料として好適である。
板状体16と板状の樹脂層14との接着面積は、板状体の面積の10%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。板状体16と板状の樹脂層14との接着面積の上限は特に限定されないが、板状体の面積の100%以下であってもよい。
【0061】
樹脂層14と板状体16とを一体成形させる場合は、意匠層18が形成された板状体16を成形型内に設置して意匠層18上に樹脂が射出されて一体成形される。押出成型の場合は、板状体16の意匠層18上に樹脂が押出型より供給され硬化することで一体成形される。なお、必要に応じて、板状体16の側に接着剤や下塗り剤(プライマー)、例えばシランカップリング剤等を塗布した後に樹脂層14を一体成形してもよい。
【0062】
樹脂層14と芯材12とは、接着剤(芯材用の接着剤という)を介して貼合されることが好ましい。芯材用の接着剤としては、アクリル粘着系、合成ゴム系、シリコーン系、変成シリコーン系のものを使用できる。アクリル粘着系の接着剤として、両面テープを使用してもよい。
【0063】
第1実施形態の扉構造10は、板状体16と芯材12との間に樹脂層14を有しているので、以下の有利の点を奏する。
【0064】
芯材12が、例えば木製の場合、水分を吸収して反りやすくなる。芯材12が、例えば金属製の場合、意図しない力で反りやすくなる。しかしながら、扉構造10の樹脂層14が変形することにより、芯材12の反りを緩和できる。これにより、板状体16の平坦性が実現できるので、板状体16の意匠性を確保できる。
【0065】
後述する実施例に示されるように、芯材12が単体の場合の反り量をHとし、積層体17の反り量をHとした場合、以下の式を満たすことができる。
【0066】
((H-H)/H)×100≧5%
上記式の右辺は10%が好ましく、15%がより好ましく、20%がさらに好ましい。
【0067】
樹脂層14の比重は、芯材12及び板状体16の比重より小さい。扉構造10の厚みを一定とし、芯材12及び板状体16のみで構成される扉構造10と比較して、芯材12及び板状体16の一部を樹脂層14にすることで扉構造10の全体の比重を小さくできるので、後述する実施例に示されるように、扉構造10は軽量化できる。
【0068】
扉構造10の比重は、1.8以下が好ましい。扉構造10の比重が1.8以下であれば、扉構造10を軽量化できる。扉構造10の比重は、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましく、1.0以下が特に好ましく、0.9以下が最も好ましい。
【0069】
第1実施形態の扉構造10は、収納家具の開口用の扉に用いることが好ましい。
【0070】
<第2実施形態>
第2実施形態の建具の一例を、図面を参照して説明する。図2は、第2実施形態の一例としての扉構造20を示す模式的断面図である。図2に示されるように、扉構造20は、芯材22と、第1樹脂層24と、第1板状体26と、第2樹脂層30と、第2板状体32とを含む積層体33と、を備える。
【0071】
芯材22は、対向する第1面22Aと第2面22Bとを有する平板形状を有している。なお、芯材22の対向する2つの主面の、いずれを第1面22Aとし、第2面22Bとするかは任意に決定できる。
【0072】
第1樹脂層24は発泡体である樹脂層であり、芯材22の第1面22Aの側に配置される。第1板状体26は意匠性を有する脆性の板状体であり、第1樹脂層24の、芯材22と反対側の面に配置される。芯材22と第1板状体26とは、第1樹脂層24を挟んで対向する位置に配置される。第1意匠層28が第1板状体26と第1樹脂層24との間に配置される。
【0073】
第2樹脂層30は発泡体である樹脂層であり、芯材22の第2面22Bの側に配置される。第2板状体32は意匠性を有する脆性の板状体であり、第2樹脂層30の、芯材22とは反対側の面に配置される。芯材22と第2板状体32とは、第2樹脂層30を挟んで対向する位置に配置される。第2意匠層34が第2板状体32と第2樹脂層30との間に配置される。
【0074】
扉構造20は第1意匠層28、及び第2意匠層34を備えるので、建築物の出入口に用いられた場合、扉構造20は高級感のある美観を演出できる。
【0075】
第2実施形態の扉構造20の全体の厚みは、15mm以上50mm以下であることが好ましい。第2実施形態の扉構造20の全体の厚みは、20mm以上がより好ましく、25mm以上がさらに好ましく、30mm以上が特に好ましい。また、第2実施形態の扉構造20の全体の厚みは、45mm以下がより好ましく、40mm以下がさらに好ましい。
【0076】
第2実施形態の扉構造20は、芯材22の第1面22Aおよび第2面22Bの全体が樹脂層と板状体とにより覆われていることが好ましいが、芯材22の第1面22Aおよび第2面22Bの一部分が樹脂層と板状体とにより覆われていてもよい。芯材22の第1面22Aおよび第2面22Bの面積のうち、樹脂層と板状体とにより覆われている面積の割合は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。芯材22の第1面22Aおよび第2面22Bの面積のうち、樹脂層と板状体とにより覆われている面積の割合は、100%以下であってもよく、97%以下であってもよい。
【0077】
第2実施形態の扉構造20の面積は、0.01m以上が好ましく、0.1m以上がより好ましく、0.5m以上がさらに好ましく、1m以上が特に好ましく、2.5m以上が最も好ましい。扉構造20の面積が大きいことにより反りやすく重くなるが、樹脂層を有することにより、反りが緩和され、軽くできる。また、第2実施形態の扉構造20の面積は、5m以下であってもよく、4m以下であってもよく、3.5m以下であってもよく、3m以下であってもよい。
【0078】
芯材22の第1面22Aのうち樹脂層と板状体とにより覆われている部分の面積および芯材22の第2面22Bのうち樹脂層と板状体とにより覆われている部分の面積は、0.01m以上が好ましく、0.1m以上がより好ましく、0.5m以上がさらに好ましく、1m以上が特に好ましく、2.5m以上が最も好ましい。また、芯材22の第1面22Aのうち樹脂層と板状体とにより覆われている部分の面積および芯材22の第2面22Bのうち樹脂層と板状体とにより覆われている部分の面積は、5m以下であってもよく、4m以下であってもよく、3.5m以下であってもよく、3m以下であってもよい。
【0079】
以下、扉構造20を構成する材料について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成はその説明を省略する場合がある。
【0080】
<芯材>
芯材22は、扉構造20の芯として使用される部材である。芯材22は平板形状であり、対向する第1面22A及び第2面22Bを有する。
【0081】
芯材22として、第1実施形態の芯材12と同様の素材、及び構造を適用できる。第2実施形態では、第1実施形態と比較して、板厚の厚い芯材22が用いられることが、積層体の剛性を増す観点から好ましい。
【0082】
<板状体>
第1板状体26、及び第2板状体32は、第1実施形態の板状体16と同様の板状体を適用できる。第2実施形態の扉構造20では、第1板状体26と第2板状体32とは、同じ素材又は異なる素材により構成でき、また同じ板厚又は異なる板厚に構成できる。
【0083】
<意匠層>
第1意匠層28及び第2意匠層34は、第1実施形態の意匠層18と同様の意匠層を適用できる。第2実施形態の扉構造20では、第1意匠層28と第2意匠層34とは、同じ意匠層、又は異なる意匠層で構成できる。
【0084】
扉構造20の芯材22の第1面22Aの側と第2面22Bの側とで、同様の美感、又は異なる美感を提供できる。
【0085】
<樹脂層>
第1樹脂層24及び第2樹脂層30は、第1実施形態の樹脂層14と同様の樹脂層を適用できる。第2実施形態の扉構造20では、第1樹脂層24と第2樹脂層30とは、同じ素材又は異なる素材で構成でき、また同じ厚み又は異なる厚みにできる。
【0086】
第2実施形態の扉構造20は、第1板状体26と芯材22との間に第1樹脂層24、及び第2板状体32と芯材22との間に第2樹脂層30を有しているので、以下の有利の点を奏する。
【0087】
芯材22が、例えば木製の場合、水分を吸収して反りやすくなる。芯材22が、例えば金属製の場合、意図しない力で反りやすくなる。しかしながら、扉構造20の第1樹脂層24、及び第2樹脂層30が変形することにより、芯材22の反りを緩和できる。これにより、第1板状体26、及び第2板状体32の平坦性が実現できるので、第1板状体26、及び第2板状体32の意匠性を確保できる。
【0088】
芯材22が単体の場合の反り量をHとし、積層体33の反り量をHとした場合、以下の式を満たすことができる。
【0089】
((H-H)/H)×100≧5%
第1樹脂層24及び第2樹脂層30の比重は、芯材22、第1板状体26、及び第2板状体32の比重より小さい。扉構造20の厚みを一定とし、芯材22、第1板状体26及び第2板状体32のみで構成される扉構造20と比較して、芯材22、第1板状体26及び第2板状体32の一部を第1樹脂層24及び第2樹脂層30にすることで扉構造20の全体の比重を小さくできるので、後述する実施例に示されるように、扉構造20は軽量化できる。
【0090】
扉構造20の比重は、1.8以下が好ましい。扉構造20の比重が1.8以下であれば、扉構造20を軽量化できる。扉構造20の比重は、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましく、1.0以下が特に好ましく、0.9以下が最も好ましい。
【0091】
第2実施形態の扉構造20は、建築物の出入口用の扉に用いることが好ましい。
【0092】
<第3実施形態>
第3実施形態の建具を、図面を参照して説明する。第3実施形態の扉構造は、積層体の端面にモール材を備える。第3実施形態の扉構造は、扉構造の端面の強度、及び意匠性を向上できる。
【0093】
図3は第3実施形態の扉構造10の斜視図である。図3に示されるように、扉構造10は、芯材12と、樹脂層14と、板状体16とを含む積層体17と、を備える。積層体17は、4つの端面17Aを有する。扉構造10は、積層体17の端面17Aを覆うモール材60を備える。図3では、1つのモール材60のみが端面17Aを覆っている図が示されているが、モール材60は、基本的には、全ての端面17Aを覆う。
【0094】
モール材60は、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂、アクリル樹脂、及びポリエチレンテレフタレート樹脂からなる群より選択された材料から構成される。モール材60が積層体17の端面17Aを覆うことにより、モール材60が端面17Aを保護する。モール材60は端面17Aに割れ、欠け等の損傷が発生することを抑制する。
【0095】
図4は、図3の扉構造10の主面に直交する面で切断した端面17Aの一部の模式的断面図である。図4に示されるように、積層体17の端面17Aとモール材60とは、接着剤62により結合される。接着剤62はホットメルト接着剤であることが好ましい。ホットメルト接着剤は、例えば、特定の温度(100℃~250℃)加熱し、融かして使用する接着剤である。ホットメルト接着剤として、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)系接着剤、ポリオレフィン樹脂系接着剤、及びポリウレタン樹脂(PUR)系接着剤を使用できる。
【0096】
実施形態の扉構造10では、積層体17の端面17Aが面一に構成される。面一とは、積層体17を構成する芯材12、樹脂層14、及び板状体16のそれぞれの端面の間の段差が、±0.5mm以内の範囲にあることを意味する。積層体17の端面17Aが面一であるので、接着剤62を均一の厚みで形成できる。このため、端面17Aとモール材60との接着強度を向上できる。
【0097】
実施形態の扉構造10では、積層体17が樹脂層14を有するので、樹脂層を備えない単体の板状体と比較して、板状体16の厚みを薄くできる。板状体16が透明な厚みの薄いガラス板の場合、人が板状体16の端面から接着剤62を視認できにくくなる。接着剤62が視認されないことで、扉構造10の意匠性が向上できる。
【0098】
また、実施形態の扉構造10では、積層体17が樹脂層14を有するので、樹脂層を備えない単体の板状体と比較して、積層体17の端面17Aとモール材60との接着強度を向上できる。接着剤62と樹脂層14との接着強度が、接着剤62と板状体16との強度より大きい。したがって、樹脂層を備えない単体の板状体と比較して、樹脂層14が存在することで、接着剤62によりモール材60と樹脂層14とが強固に接着できる。
【0099】
図5は第3実施形態の別の形態に係る扉構造20の一部の模式的断面図である。扉構造20は、芯材22と、第1樹脂層24と、第1板状体26と、第2樹脂層30と、第2板状体32とを含む積層体33と、を備える。積層体33の端面33Aとモール材60とが接着剤62により結合される。第3実施形態の別の形態に係る扉構造20は、第3実施形態の扉構造10と同様の効果を奏する。
【0100】
<建具の製造方法>
次に、図6から図9を参照して、本発明による建具の製造方法の1実施形態を説明する。この実施形態に係る建具の製造方法は、第1実施形態、及び第3実施形態の扉構造10を参照して説明する。
【0101】
図6に示されるように、芯材12と、第1樹脂層14と、第1板状体16とが準備される。樹脂層14と板状体16とは、ほぼ同じ面積を有している。したがって、樹脂層14の端面と板状体16の端面とは面一となる。ここで面積は、樹脂層14の主面、及び板状体16の主面の面積である。
【0102】
一方、芯材12の面積は、樹脂層14及び板状体16の面積より大きい。したがって、芯材12は、樹脂層14及び板状体16から突出する。積層体17の端面17Aは面一に構成されていない。
【0103】
次に、図7に示されるように、切断刃70が、板状体16の端面に沿って、芯材12と樹脂層14の一部とを切断する。切断刃70は、芯材12を完全に切断する。一方、切断刃70は、樹脂層14の一部を切断し、板状体16の側から距離Aの樹脂層14を残す。したがって、切断刃70は板状体16に接触しないため、切断刃70に起因する損傷から板状体16を保護することが可能となる。
【0104】
次に、図8に示されるように、切断された芯材12の突出部が取り除かれ、積層体17の端面17Aが面一となる。積層体17の端面17Aが面一である扉構造10が製造される。
【0105】
実施形態と異なり、樹脂層を備えない単体の板状体と芯材とから構成される積層体では、芯材のみを切断することは困難である。板状体と、板状体の面積より大きい芯材とから構成される積層体を準備し、板状体の端面に沿って切断刃で切断する場合、次の懸念がある。芯材を完全に切断する場合、切断刃が板状体と接触し、板状体に損傷を与えやすく、板状体が割れやすい。一方、板状体と接触しないように芯材に切断刃を挿入しても、芯材が切断されず、板状体からの芯材の突出部を取り除くことが難しい。芯材に無理に力を掛けて突出部を取り除くと、積層体の端面が面一とならない懸念がある。実施形態では積層体17が樹脂層14を含んでいるので、上記懸念を解消できる。
【0106】
次に、図9に示されるように、扉構造10の積層体17の端面17Aに、モール材60が取り付けられる。モール材60は、例えば、縁貼り機(エッジバンダー)により、積層体17の端面17Aに取り付けられ、図3に示される扉構造10が製造される。
【0107】
縁貼機(不図示)は、例えば、扉構造10を搬送する搬送ユニットと、端面17Aにホットメルト接着剤を塗布する塗布ユニットと、モール材60を取り付ける押し付けユニットと等を備える。扉構造10は、搬送ユニットに搬送されながら、塗布ユニットにより端面17Aに接着剤が塗布され、次いで押し付けユニットによりモール材60が端面17Aに取り付けられる。このようにして、積層体17の1つの端面17Aにモール材60が取り付けられる。残りの3つ端面17Aにも、同様にしてモール材60が取り付けられる。
【0108】
実施形態の積層体17は、切断刃70により端面17Aが面一とされる。したがって、縁貼機を用いたモール材60の取り付けが可能となる。
【0109】
実施形態と異なり、樹脂層を備えない単体の板状体と芯材とから構成され積層体では、上述したように端面を面一することができないため、縁貼機を用いたモール材の取り付けが困難であった。実施形態の扉構造10は、縁貼機の使用を可能にする。
【0110】
<実施例>
以下の扉構造の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の建具はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0111】
(試験1)
第1実施形態の扉構造について、芯材の反りの緩和を確認するため、反り吸収性試験を行った。
【0112】
(試験体)
試験体として、平面視で400mmの短辺と、1000mmの長辺とを有する矩形形状の扉構造であって、(1)5.5mmの芯材と2mmのガラス板、(2)5.5mmの芯材と2mmの樹脂層と2mmのガラス板、(3)5.5mmの芯材と3mmの樹脂層と2mmのガラス板、(4)5.5mmの芯材と4mmの樹脂層と2mmのガラス板、(5)5.5mmの芯材と5mmの樹脂層と2mmのガラス板、の5種類の扉構造を準備した。芯材として木製の芯材(MDF)を使用した。また、樹脂層として65(kg/m)の見かけ密度、及び65(kPa)の25%圧縮応力を有する樹脂層を使用した。板状体として、ソーダライムガラス(AGC社製:FL2)を使用した。
【0113】
(試験方法)
反り量Hが異なる3種類の芯材を模擬するために、図10に示されるように、平坦な芯材12を平坦面50の上に載置し、芯材12の長辺の中心部と、平坦面50の間に、短辺に平行なスペーサ52を挿入した。
【0114】
芯材12の反り量Hは、スペーサ52を挿入する前の平坦な芯材12を基準面とし、その基準面からスペーサ52を挿入した後の反った芯材12の頂部までの距離を測定することにより求めた。
【0115】
スペーサ52の厚みを変えることにより、芯材12の複数の反り量Hを算出した。
【0116】
図11に示される方法で、(1)の構造の積層体の反り量Hを算出した。図11に示されるように、芯材12とガラス板Gとを有する積層体S1を芯材12の側を平坦面50に載置して、積層体S1の長辺の中心部と、平坦面50の間に、短辺に平行なスペーサ52を挿入した。図11では、スペーサ52として、図10において芯材12の反り量Hを算出する際に利用した複数のスペーサ52を利用した。
【0117】
積層体S1の反り量Hは、スペーサ52を挿入する前の平坦な積層体S1のガラス板を基準面とし、その基準面からスペーサ52を挿入した後の反った積層体S1の頂部までの距離を測定することにより求めた。
【0118】
図12に示される方法で、(2)~(5)の構造の積層体の反り量Hを算出した。図12に示されるように、芯材12と樹脂層14とガラス板Gとを有する積層体S2を芯材12の側を平坦面50に載置して、積層体S2の長辺の中心部と、平坦面50の間に、短辺に平行なスペーサ52を挿入した。図12では、スペーサ52として、図10において芯材12の反り量Hを算出する際に利用した複数のスペーサ52を利用した。積層体S2の反り量Hは、スペーサ52を挿入する前の平坦な積層体S2のガラス板を基準面とし、その基準面からスペーサ52を挿入した後の反った積層体S2の頂部までの距離を測定することにより求めた。図12に示される積層体が実施形態の積層体を構成する。
【0119】
(試験結果)
芯材12の反り量Hに対する、5種類の積層体の試験体の反り量Hを求め、以下の式により吸収率(%)を求めた。
【0120】
((H-H)/H)×100(%)
表1は扉構造と反り量H0、反り量H、吸収率、せん断応力、及び応力緩和率の結果を記載した表である。
【0121】
【表1】
【0122】
例1、例6、及び例11は樹脂層14を備えていない。その結果、吸収率は5%未満である。
【0123】
樹脂層14を備える例2~例5、例7~例10、及び例12~15は、5(%)以上の吸収率を達成できる。また、樹脂層14の厚みが大きくなる程、吸収率が大きくなることが理解できる。
【0124】
また、扉構造のガラス板の接着界面に発生するせん断応力の最大値σ1、反り量Hの芯材にガラス板単体を接着したときのガラス板に発生するせん断応力の最大値σ0、および応力緩和率を表1に示す。ガラス板の接着界面に発生するせん断応力は、(M×h)/(2×I)であり、Mは曲げモーメント、hはガラス板の厚み、Iは断面2次モーメントである。応力緩和率は以下の式により求められる。
(σ0-σ1)/σ0×100
樹脂層14を備える例2~例5、例7~例10、及び例12~15は、5(%)以上の応力緩和率を達成できる。また、樹脂層14の厚みが大きくなる程、応力緩和率が大きくなることが理解できる。例2~例5、例7~例10、及び例12~15の扉構造は、樹脂層14を備えるため、ガラス板の接着界面に発生するせん断応力が小さく、ガラス板と芯材とが剥離しにくい。
【0125】
(試験2)
第1実施形態の扉構造について、比重を算出した。芯材としてMDF(比重:0.8)又はフラッシュ構造板(比重:0.5)、樹脂層としてポリエチレン(比重:0.07)




































、及び板状体としてガラス板(比重:2.5)を組み合わせて扉構造とした。
【0126】
表2はMDFを芯材とした場合の比重を算出した表であり、表3はフラッシュ構造板を芯材とした場合の比重を算出した表である。比重は以下の式で求めた。
【0127】
複合体比重=(d1×t1+d2×t2+d3×t3)/(t1+t2+t3)
(但し、d1:板状体の比重、d2:樹脂層の比重、d3:芯材の比重、t1:板状体の厚み、t2:樹脂層の厚み、t3:芯材の厚み)
例16~例20(GR1)は、芯材の厚みを2mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。なお、実施例において、樹脂層の厚み0.0(mm)、及びガラス板の厚み0.0(mm)は、それらを備えていないことを意味する。
【0128】
例21~例25(GR2)は、総厚みを17mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。例26~例30(GR3)は、総厚みを20mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。
【0129】
【表2】
【0130】
表2の結果から、芯材とガラス板とで構成される扉構造である例20、例25、及び例30は、各グループ(GR1~GR3)の中で、比重が最も大きかった。芯材のみの例16、例21、及び例26は、各グループ(GR1~GR3)の中で、比重は下から2番目であった。しかしながら、表1の結果に示されるように反り量は緩和されない。
【0131】
実施例である例17~例19、例22~例24、例27~例29において、1mmの樹脂層と5mmのガラス板の組み合わせの扉構造である例18、例23、及び例28の比重が、各グループ(GR1~GR3)の実施例の中で、最も大きかった。10mmの樹脂層と0.5mmのガラス板で構成される実施形態の扉構造の例19、例24、及び例29の比重が各グループ(GR1~GR3)の実施例の中で、最も小さかった。実施例の扉構造(例17~例19、例22~例24、例27~例29)は1.8以下の比重であった。
【0132】
例31~例35は、芯材の厚みを2mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。例36~例40は、総厚みを17mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。例41~例45は、総厚みを20mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。
【0133】
【表3】
【0134】
表3の結果から、芯材とガラス板とで構成される扉構造である例35、例40、及び例45は、各グループ(GR4~GR6)の中で、比重が最も大きかった。芯材のみの例31、例36、及び例41は、各グループ(GR4~GR6)の中で、比重は下から2番目であった。しかしながら、表1の結果に示されるように反り量は緩和されない。
【0135】
実施例である例32~例34、例37~例39、例42~例44において、1mmの樹脂層と5mmのガラス板の組み合わせの扉構造である例33、例38、及び例43の比重が、各グループ(GR4~GR6)の実施例の中で、最も大きかった。10mmの樹脂層と0.5mmのガラス板で構成される実施形態の扉構造の例34、例39、及び例44の比重が各グループ(GR1~GR3)の実施例の中で、最も小さかった。実施例の扉構造(例32~例34、例37~例39、例42~例44)は1.8以下の比重であった。
【0136】
(試験3)
第2実施形態の扉構造について、比重を算出した。芯材としてMDF(比重:0.8)又はフラッシュ構造板(比重:0.5)、樹脂層としてポリエチレン(比重:0.07)、及び板状体としてガラス板(比重:2.5)を組み合わせて扉構造とした。
【0137】
表4はMDFを芯材とした場合の比重を算出した表であり、表5はフラッシュ構造板を芯材とした場合の比重を算出した表である。
【0138】
例46~例50(GR7)は、総厚みを35mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。第2実施形態の扉構造は、芯材を挟んで2つの樹脂層と、2つのガラス板と、を備えている。表4中の樹脂層の厚みは2つ樹脂層の合計厚みであり、ガラス板の厚みは2つのガラス板の合計厚みを示す。
【0139】
【表4】
【0140】
表4の結果から、芯材とガラス板とで構成される扉構造である例50は、グループGR7の中で、比重が最も大きかった。芯材のみの例46は、グループGR7の中で、比重は下から2番目であった。しかしながら、表1の結果に示されるように反り量は緩和されない。
【0141】
実施例である例47~例49において、2mmの樹脂層と10mmのガラス板の組み合わせの扉構造である例48の比重が、グループGR7の実施例の中で、最も大きかった。20mmの樹脂層と1.0mmのガラス板で構成される実施形態の扉構造の例49の比重がグループGR7で、最も小さかった。実施例の扉構造(例47~例49)は1.8以下の比重であった。
【0142】
例51~例55(GR8)は、総厚みを35mmとし、樹脂層の厚みとガラス板の厚みとを変更した扉構造を示す。表5中の樹脂層の厚みは2つ樹脂層の合計厚みであり、ガラス板の厚みは2つのガラス板の合計厚みを示す。
【0143】
【表5】
【0144】
表5の結果から、芯材とガラス板とで構成される扉構造である例55は、グループGR8の中で、比重が最も大きかった。芯材のみの例51は、グループGR8の中で、比重は下から2番目であった。しかしながら、表1の結果に示されるように反り量は緩和されない。
【0145】
実施例である例47~例49において、2mmの樹脂層と10mmのガラス板の組み合わせの扉構造である例53の比重が、グループGR7の実施例の中で、最も大きかった。20mmの樹脂層と1.0mmのガラス板で構成される実施形態の扉構造の例54の比重がグループGR8で、最も小さかった。実施例の扉構造(例47~例49)は1.8以下の比重であった。
【符号の説明】
【0146】
10 扉構造、12 芯材、12A 第1面、12B 第2面、14 樹脂層、16 板状体、18 意匠層、20 扉構造、22 芯材、22A 第1面、22B 第2面、24 第1樹脂層、26 第1板状体、28 第1意匠層、30 第2樹脂層、32 第2板状体、34 第2意匠層、50 平坦面、52 スペーサ、60 モール材、62 接着剤G ガラス板、S1 積層体、S2 積層体
2019年2月28日に出願された日本国特願2019-035638号及び2019年10月1日に出願された日本国特願2019-181244号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
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