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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】多孔金属薄膜
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20231010BHJP
   A61C 8/00 20060101ALI20231010BHJP
   A61L 27/06 20060101ALI20231010BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20231010BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61F2/28
A61C8/00 Z
A61L27/06
A61L27/56
A61L27/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019129101
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2021013495
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】592129486
【氏名又は名称】株式会社長峰製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 一矢
(72)【発明者】
【氏名】小畠 玲子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 剛
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆靖
(72)【発明者】
【氏名】梅原 華子
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】千葉 茂樹
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-179967(JP,A)
【文献】特表2010-517729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
A61C 8/00
A61L 27/06
A61L 27/56
A61L 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟組織と骨欠損部との界面を遮断して骨形成を促進する、金属材からなる多孔金属薄膜であって、
通孔を複数有すると共に、前記多孔金属薄膜の表面に微細凹凸を有して超親水性であり、
前記貫通孔は一辺の長さが9~20μmである平面視が四角形である、ことを特徴とする多孔金属薄膜。
【請求項2】
前記微細凹凸は酸化膜で被覆されていることを特徴とする請求項記載の多孔金属薄膜。
【請求項3】
前記微細凹凸は三次元網目構造であることを特徴とする請求項1又は2に項に記載の多孔金属薄膜。
【請求項4】
多孔金属薄膜の表面と水との接触角が5°以下である超親水性を示すことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の多孔金属薄膜。
【請求項5】
前記金属材は、純チタン、チタン合金、チタン合金酸化物又は酸化チタンから選択されるチタン材であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の多孔金属薄膜。
【請求項6】
前記複数の貫通孔は、開口部の平面視での平面図形の重心どうしの距離が50~80 μmであるピッチ幅を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の多孔金属薄膜。
【請求項7】
前記貫通孔は、一辺の長さがP、他方の辺の長さがQである四角形の開口形状であり、開口径はP又はQのいずれか大きくない方の辺の長さであることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の多孔金属薄膜。
【請求項8】
前記軟組織は結合組織又は上皮組織であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の多孔金属薄膜。
【請求項9】
多孔金属薄膜の微細凹凸により骨芽細胞の接着及び増殖が促進されることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の多孔金属薄膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨欠損部における骨組織の形成を促進する多孔金属薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
機能回復を目的とする人工関節や歯科インプラントでは、骨内に生体材料を埋入し、周囲骨との界面での骨形成により骨結合し機能発揮する。骨欠損が生じた場合、周囲骨から未分化細胞が凝集し、骨芽細胞へ分化することで骨組織の形成が、また血管新生により栄養供給が行われる。しかしながら、骨を取り囲む軟組織(特に結合組織や上皮組織)の形成は骨形成に対して速く、先に骨欠損部に軟組織細胞侵入が過剰に生じると骨欠損部における骨再生が妨げられる。
【0003】
そのため、例えば特許文献1には、歯科の分野において歯周疾患等による歯槽骨の骨欠損を修復する技術として、骨欠損部における歯周組織の新付着を得るために、歯根面上に歯根膜由来の細胞を増殖させる必要があるが、歯肉組織の細胞が先に歯根面上に到達すると歯根膜由来の細胞の増殖が妨げられることが知られており、これを防止するためのバリヤーメンブレンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2003-275294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のバリヤーメンブレンは、ポリテトラフルオロエチレン製又は乳酸/グリコール酸共重合体製の多孔薄膜であり、そのため広範囲における骨再生を目指す場合は強度不足による空間保持能力が十分でない。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、十分な強度を維持し且つ骨欠損部への軟組織を形成する細胞侵入を防止して骨再生を促進する多孔薄膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる多孔薄膜は、軟組織と骨欠損部との界面を遮断して骨形成を促進する、金属材からなる多孔金属薄膜であって、開口径9~50μmの貫通孔を複数有すると共に、多孔金属薄膜の表面に微細凹凸を有して超親水性であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、十分な強度を維持し、しかも骨欠損部への軟組織を形成する細胞侵入を防止して、骨再生を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にかかる多孔金属薄膜を説明する図である。
図2】本発明にかかる多孔金属薄膜の機能を説明する図である。
図3】本発明にかかる多孔金属薄膜を製造するための多孔プレート製造工具を説明する図である。
図4】本発明にかかる多孔金属薄膜を製造する工程を説明する図である。
図5】本発明にかかる多孔金属薄膜の顕微鏡写真図である。
図6】SBF浸漬により多孔金属薄膜に析出したアパタイトについての顕微鏡写真図である。
図7】本発明にかかる多孔金属薄膜の表面粗さを示す顕微鏡写真図である。
図8】本発明にかかる多孔金属薄膜の接触角を示す顕微鏡写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
【0011】
本実施形態にかかる多孔薄膜は、軟組織と骨欠損部との界面を遮断して骨形成を促進する(即ち、骨芽細胞の活性を促進する)、金属材からなる多孔金属薄膜であって、開口径9~50μmの貫通孔を複数有する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態にかかる多孔金属薄膜1は、本体2に対して多数の貫通孔3を形成したものである。図1ではドットが描かれている領域(孔形成領域1a)に貫通孔3が形成されており、その周囲は貫通孔3が形成されていない領域1bである。本体2は、金属薄膜であり、その厚さは例えば1~50μmであり好ましくは1~30μmである。
【0013】
本体2を形成する金属材は、生体親和性を備え且つ強度を有する金属材であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、純チタン、チタン合金、チタン合金酸化物又は酸化チタンである。チタン合金としては、α+β型チタン合金、α型チタン合金、β型チタン合金が挙げられる。α+β型チタン合金としては、Ti-6Al-4V、Ti-8Mn、Ti-6Al-6V-2Sn、Ti-10V-2Fe-3Al等がある。α型チタン合金としては、Ti-5Al-2.5Snを挙げることができる。β型チタン合金としては、Ti-13V-11Cr-3Al、Ti-15Mo-5Zr-3Ai、Ti-15V-3Cr-3Al-3Sn等を挙げることができる。なお、純チタンを用いれば、優れた生体親和性と細胞生育促進能力が期待できる。具体的には、歯科臨床における新規歯周組織再生材料としての用途はもちろん、再生医療用の材料、例えば、人工臓器の材料としても優れた機能を発揮させることができる。
【0014】
複数の貫通孔3は、図2に示すように、例えば上皮系細胞のような軟組織の細胞が通過することを防ぎつつ、細胞増殖及び分化を制御するサイトカイン等生理活性物質、例えば血液ような栄養成分及びガス成分を通過させることができる観点から形成され、かかる機能を有する限り貫通孔3の開口形状は特に限定されるものではない。多孔金属薄膜1によって、生体内に空間を形成しかつその空間内に軟組織を形成する細胞が侵入することを防ぎつつ、空間内に栄養分等を供給することが可能となる。ここで軟組織は、例えば、結合組織又は上皮組織である。
【0015】
貫通孔3の開口径は9~50μmであり、好ましくは9~30μmであり、更に好ましくは9~20μmであり、また9~10μmとすることも可能である。ヒトの細胞等の哺乳類細胞の核は概ね11μm~30μm以上であり、赤血球核は7~8μmである。そのため貫通孔3の開口径を9~50μmと設定することにより図2に示すように軟組織細胞の侵入は概ね遮断するが、栄養供給は妨げられない。ヒトの細胞の中でも軟組織形成に大きく寄与する上皮細胞径は50μm、また細胞核は15μm~30μmであるため、開口径を9~20μmとすることにより、栄養供給を妨げず且つ軟組織の形成を概ね阻止できる。そして、開口系を9~10μmとするならば、栄養供給を妨げず且つ軟組織の形成を的確に阻止できる。
【0016】
図1にもどり、貫通孔3の開口形状は特に限定されるものではなく例えば円形、楕円形、三角形等があげられるが、好ましくは矩形に形成される。矩形とは例えば正方形、長方形、又は、各角が90°ではない四角形である。図1では貫通孔3の開口形状は正方形にて例示されている。図1において開口部の平面視での隣あう正方形どうしの間隔Wは、例えば60~90μmである。複数の貫通孔3は、一の貫通孔3を上下方向及び左右方向に沿って所定の間隔Pで平行移動させた状態となるように配列される。
【0017】
複数の貫通孔3は、開口部の平面視での平面図形の重心どうしの距離が例えば50~80 μmであるピッチ幅を有している。貫通孔3の開口形状が正方形の場合、開口部は一辺の長さが9.5~10.5 μmである平面視で正方形の開口形状である。貫通孔3の開口形状が各角が90°ではない四角形の場合、一辺の長さがP、他方の辺の長さがQである四角形の開口形状であり、開口径はP又はQのいずれか大きくない方の辺の長さであると規定される。
【0018】
多孔金属薄膜の表面は微細凹凸を有しており、酸化膜の層が構築されている.これにより多孔金属薄膜の表面は超親水性である。多孔金属薄膜の表面が超親水性とは、多孔金属薄膜の表面と水との接触角が非常に小さい状態のことを意味する。好ましくは多孔金属薄膜の表面と水との接触角が20°以下の超親水性であり、より好ましくは多孔金属薄膜の表面と水との接触角が5°以下の超親水性であり、生体活性作用を有している。また、多孔金属薄膜の表面の微細凹凸は具体的には三次元網目構造であり、その三次元網目構造は体積の70~90%が空隙である。その三次元網目構造が酸化膜により被覆されている。多孔金属薄膜の表面を超親水性にすることにより骨芽細胞の接着及び増殖が促進される。
【実施例
【0019】
(1)多孔金属薄膜
図1に示すように、本実施例の多孔金属薄膜1は、本体2に対して多数の貫通孔3が形成されたものであった。孔形成領域1aには複数の貫通孔3が形成され、その周囲は貫通孔3が形成されていない領域1bであった。本体2は、チタンで形成された板厚30μmのプレートであり、平面視にて10mm×10mmの大きさであった。複数の貫通孔3はいずれも平面視が正方形にて形成されていた。複数の貫通孔3は、上下方向及び左右方向に沿って所定の間隔Pで平行移動させた状態となるように配列されていた。図5は本実施例にかかる多孔金属薄膜1は電子顕微鏡写真図である。図5に示されるように貫通孔3は一辺の長さは10μmであった。貫通孔3を設ける間隔Pは60μmであった。
【0020】
(2)多孔金属薄膜の製造方法
多孔金属薄膜に対して多孔プレート製造工具10を使用して貫通孔を形成することにより、本実施例の多孔金属薄膜1を製造した。
【0021】
多孔プレート製造工具10を準備した。図3に示すように、多孔プレート製造工具10は、ブロック11の一面に、格子状に溝11gが形成されたものであった。縦方向に沿って延びた溝11gは複数本形成され、この複数本の溝11gは、互いに平行となるように形成されていた。横方向に沿って延びた溝11gも複数本形成され、この複数本の溝11gも、互いに平行となるように形成されていた。
【0022】
溝11gが格子状に形成されることで、ブロック11の一端部には、溝11gによって囲まれた複数の突起12が形成されていた。各突起12は、格子状に形成された溝11gの内面が側面となっているため、その断面は矩形であった。各突起12の形状は四角錐台であった。そのため貫通孔3の内面はテーパ面となっており、一端から他端に向かって断面積が小さくなるように形成されていた。
【0023】
複数の溝11gは、互いに平行かつ隣接する溝11g同士の間隔P1(溝11gを設けるピッチ)が60μmとなるように形成した。ブロック11の一面における溝11gの幅W1は58μmとした。溝11gは、その先端から底に向かって幅が狭くなるように形成されていた。
【0024】
図4に示すように、サーボプレスの金型ホルダに多孔プレート製造工具10を取り付けた。多孔プレート製造工具10のブロック11の突起面11sがサーボプレスのテーブルを向いた状態となるようにパンチホルダに取り付けた。
【0025】
そして、サーボプレスのテーブル上に支持部材Sを配置し、支持部材Sの表面に多孔金属薄膜1の素材となる板状のプレートFを載せた。サーボプレスを作動させて多孔プレート製造工具10を下降させ、多孔プレート製造工具10のブロック11の突起面11sがプレートFの表面に接触後も、多孔プレート製造工具10をさらに下降させる。これにより多孔プレート製造工具10の複数の突起12がプレートFを貫通し、複数の突起12が支持部材Sに突き刺さり、プレートFに複数の貫通孔3が形成された。そして、多孔プレート製造工具10からプレートFを取り外すことにより、複数の突起12の断面形状と相似形の貫通孔3を有する多孔金属薄膜1が製造できた。
【0026】
(3)親水性促進処理
多孔金属薄膜1の表面処理を行い濡れ性を向上させることにより骨芽細胞の初着や分化が促進されるため、アルカリ水溶液により親水性促進処理(アルカリ処理と記載することがある。)を行った。即ち、多孔金属薄膜1を5mol/LのNaOH溶液に室温にて24時間浸した後、これを5℃/minに設定した炉内にいれて炉内温度を600℃に保ったまま1時間熱処理をした。その後、炉の中で室温まで冷却して多孔金属薄膜1の表面に酸化膜を形成させた。
【0027】
(4)擬似体液浸漬
擬似体液浸漬によるアパタイトの析出状態の観察を行った。擬似体液としてはHank’s Balanced Salt Solutionを使用した。アルカリ処理を行った多孔金属薄膜とアルカリ処理を行っていない多孔金属薄膜とをそれぞれ恒温槽内で擬似体液に浸して表面に析出したアパタイトの状態を観察した。即ち、それぞれの多孔金属薄膜を擬似体液に浸漬し、48時間ごとに新しい擬似体液と交換した。恒温槽の温度は37℃として浸漬時間は14日とした。
【0028】
図6(a)(c)はアルカリ処理を行っていない多孔金属薄膜の顕微鏡写真図であり、図6(b)(d)はアルカリ処理を行った多孔金属薄膜の顕微鏡写真図である。アルカリ処理を行っていない場合でもアパタイト結晶は観察されるが、アルカリ処理を行った場合のほうがよりアパタイト結晶の成長が観察された。
【0029】
(5)表面粗さの測定
表面粗さの測定には触針式粗さ計(surftest-402,(株)ミツトヨ)を使用した。表面粗さは最大高さ粗さRZにて評価した。図7(a)はアルカリ処理を行っていない多孔金属薄膜の顕微鏡写真図であり、図7(b)はアルカリ処理を行った多孔金属薄膜の顕微鏡写真図である。アルカリ処理を行っていない場合は最大高さ粗さRZは0.083±0.012μmの表面粗さであったが、アルカリ処理を行った場合は最大高さ粗さRZは0.202±0.017μmであり更に優れた表面粗さとすることができた。
【0030】
(6)接触角の測定
接触角の測定は、協和界面科学社製DropMaster 500型接触角測定装置を用いて試料の測定を行った。また水としては蒸留水を使用した。測定時の水滴量は1.5μLとし、接触角の解析には同社製解析ソフトウェアFAMASを使用した。また、塗工はドクターブレードを用い、塗工厚0.013 mmで実施した。図8(a)はアルカリ処理を行っていない多孔金属薄膜の写真図であり、図8(b)はアルカリ処理を行った多孔金属薄膜の写真図である。アルカリ処理を行っていない場合は接触角71.1度であったが、アルカリ処理を行った場合は接触角はほぼ0度であり超親水性を示した。なお、測定に用いた試料を再度乾燥して接触角の測定を繰り返し、水との接触の繰り返しにより超親水性は維持されていることは確認した。
【0031】
(7)細胞伸展面積の評価
未処理及びアルカリ処理メンブレン表面(10x10mm)に20 μL(細胞数10000)の細胞懸濁液を滴下20秒後、1時間後及び3時間後に液滴伸展面積を測定した。細胞数は(伸展面積mm/100)×10000で接着細胞数を計算した。細胞はラット大腿骨由来骨髄細胞を使用した。ラット大腿骨由来骨髄細胞は、吉子らの方法(A subset of osteoblasts expressing high endogenous levels of PPARgamma switches fate to adipocytes in the rat calvaria cell culture model. Yoshiko Y,Oizumi K,Hasegawa T,Minamizaki T,Tanne K,Maeda N,Aubin JE. PLoS One. 2010 5(7):e11782.)で分離した。結果を表1に示す。アルカリ処理を行っていない多孔金属薄膜では細胞伸展面積は十分な値であったが、アルカリ処理を行った多孔金属薄膜では細胞伸展面積は更に優れた値であった。
【0032】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0033】
骨欠損部における骨再生に利用できる。
【符号の説明】
【0034】
1:多孔金属薄膜
2:本体
3:貫通孔
10:多孔プレート製造具
11:ブロック
12:突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8