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特許7362184カスパーゼ阻害剤プロドラッグの注射用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】カスパーゼ阻害剤プロドラッグの注射用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4725 20060101AFI20231010BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20231010BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61K31/4725
A61K47/59
A61K47/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P29/00
A61P19/08
A61P25/04
A61P43/00 111
A61P43/00 105
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021570951
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 KR2020006954
(87)【国際公開番号】W WO2020242235
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0064301
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウォン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ボク・テ・キム
(72)【発明者】
【氏名】シ・ヒョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ウク・ベク
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-531551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 47/00-47/69
A61P 43/00
A61P 29/00
A61P 19/02
A61P 19/08
A61P 25/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、下記式(1)
【化1】
(式中、R1はアルキル、シクロアルキル、アリール又は-C(O)R2を表し、ここで、R2は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はN、O及びSから選ばれる一つ以上のヘテロ原子を含むヘテロアリールを表し、前記アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル及びヘテロアリールは、任意に置換され、置換基は、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、アシル、アミノ、アルコキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミノ、シアノ、ニトロ、チオール、アリールオキシ、スルホキシ及びグアニド基から選ばれる一つ以上である。)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩又は異性体;及び
生体適合性ポリマー;
を含む注射用医薬組成物であって、
前記生体適合性ポリマーが、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)であることを特徴とする、注射用医薬組成物
【請求項2】
1は、C1-C8アルキル又は-C(O)R2を表し、ここで、R2は、C1-C20アルキル、C6-C10アリール又はC6-C10アリール-C1-C7アルキルであることを特徴とする請求項1に記載の注射用医薬組成物。
【請求項3】
1は、C1-C5アルキル又は-C(O)R2を表し、ここで、R2は、C1-C15アルキル、C6-C10アリール又はC6-C10アリール-C1-C5アルキルを表し、置換基は、アルキル又はハロアルキルであることを特徴とする請求項1に記載の注射用医薬組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)の化合物が以下の群からから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の注射用医薬組成物:
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルアセテート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルプロピオネート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルイソブチレート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルピバレート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル3-メチルブタノエート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル3,3-ジメチルブタノエート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルパルミテート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルベンゾエート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル4-(トリフルオロメチル)ベンゾエート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル2-フェニルアセテート;
(5R)-N-((3S)-2-エトキシ-2-(フルオロメチル)-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド;及び
(5R)-N-((3S)-2-(フルオロメチル)-2-メトキシ-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド
【請求項5】
前記ポリ(ラクチド-co-グリコリド)のラクチド対グリコリドのモル比が、90:10~10:90であることを特徴とする請求項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項6】
前記ポリ(ラクチド-co-グリコリド)のラクチド対グリコリドのモル比が、90:10~40:60であることを特徴とする請求項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項7】
前記ポリ(ラクチド-co-グリコリド)のラクチド対グリコリドのモル比が、85:15~50:50であることを特徴とする請求項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項8】
溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の注射用医薬組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水であることを特徴とする請求項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項10】
アポトーシス関連疾患、炎症疾患、骨関節炎、リウマチ性関節炎、変性性関節炎及び破壊性骨障害から選ばれる疾患の予防又は治療のためであることを特徴とする請求項1に記載の注射用医薬組成物であって、アポトーシス関連疾患が、骨関節炎、リウマチ性関節炎、変性性関節炎、破壊性骨障害、肝炎ウィルスによる肝疾患、急性肝炎、肝硬変、肝炎ウィルスによる脳損傷、ヒト劇症肝不全、敗血症、臓器移植拒絶、虚血性心臓疾患、認知症、脳卒中、AIDSによる脳損傷、糖尿、及び胃潰瘍から選択される、注射用医薬組成物。
【請求項11】
骨関節炎の予防、治療又は疼痛緩和のためであることを特徴とする請求項10に記載の注射用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カスパーゼ阻害剤プロドラッグの注射用医薬組成物に関し、より詳細には、有効成分として、カスパーゼ阻害剤のプロドラッグ、又はその薬学的に許容される塩又は異性体、及び生体適合性ポリマーを含む注射用医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カスパーゼは酵素の一種であり、α2β2四量体として存在するシステインプロテアーゼである。カスパーゼ阻害剤は、これらのカスパーゼの活性を妨害し、それによってカスパーゼの作用により誘発される炎症又はアポトーシスを調節できる化合物である。これらの化合物の投与により症状を解消又は緩和できる疾患には、骨関節炎、リウマチ性関節炎、変性性関節炎、破壊性骨障害、肝炎ウィルスによる肝疾患、急性肝炎、肝硬変、肝炎ウィルスによる脳損傷、ヒト劇症肝不全、敗血症、臓器移植拒絶、虚血性心臓疾患、認知症、脳卒中、AIDSによる脳損傷、糖尿、胃潰瘍などがある。
【0003】
カスパーゼ阻害剤として知られた様残な構造を有する化合物の中で、イソオキサゾリン誘導体が特許文献1、2及び3として出願された。さらに、イソオキサゾリン誘導体に基づいたカスパーゼ阻害剤のプロドラッグが、特許文献4に開示された。
【0004】
一方、下記式(2)のニボカサン((R)-N-((2S,3S)-2-(フルオロメチル)-2-ヒドロキシ-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)は、有効なカスパーゼ阻害剤として注目されている。
【化1】
【0005】
しかし、ニボカサンが徐放性製剤中の高分子ミクロスフェア製剤として調製される場合、物理化学的特性により、調製過程で多量の薬物が失われるため、カプセル化効率が低くなり、インビトロでの薬物放出期間に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国 特許出願第10-2004-0066726号
【文献】韓国 特許出願第10-2006-0013107号
【文献】韓国 特許出願第10-2008-0025123号
【文献】国際公開番号 WO2007/015931号(出願人:Vertex Pharmaceuticals Incorporated, USA)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、カスパーゼ阻害剤の徐放性放出製剤を調製するときに、カプセル化効率が大幅に改善され、薬物の放出期間が大幅に増加する注射用組成物を提供することをその技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、有効成分として、下記式(1)
【化2】
(式中、R1アルキル、シクロアルキル、アリール又は-C(O)R2を表し、ここで、R2は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はN、O及びSから選ばれる一つ以上のヘテロ原子を含むヘテロアリールを表し、前記アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル及びヘテロアリールは、任意に置換され、置換基は、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、アシル、アミノ、アルコキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミノ、シアノ、ニトロ、チオール、アリールオキシ、スルホキシ及びグアニド基から選ばれる一つ以上である。)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩又は異性体;及び生体適合性ポリマー;を含む注射用医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明による式(1)の化合物は、薬学的に許容される塩を形成してもよい。薬学的に許容される塩には、薬学的に許容されるアニオンを含有する無毒性酸付加塩を形成する酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸などの有機酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのスルホン酸などによって形成された酸付加塩を含んでいてもよい。また、薬学的に許容されるカルボン酸塩には、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどによって形成されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩;リシン、アルギニン、グアニジンなどのアミノ酸塩;ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、コリン、トリエチルアミンなどの有機塩などが含まれる。本発明による式(1)の化合物は通常の方法によってそれらの塩に転換することができる。
【0010】
一方、本発明による化合物は、不斉炭素中心及び不斉軸又は不斉平面を有し得るので、それらは、E又はZ異性体、R又はS異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができ、これらはすべて本発明の範囲内である。
【0011】
本明細書において、特に明記しない限り、用語「式(1)の化合物」とは、式(1)の化合物、その薬学的に許容される塩及び異性体をすべて含む意味として使用される。
【0012】
本明細書において、置換基を定義する以下の概念を使用して、式(1)の化合物を定義する。
【0013】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨード(I)を意味する。
【0014】
用語「アルキル」は、直鎖状又は分枝状炭化水素を意味し、単結合、二重結合又は三重結合を含むことができ、好ましくはC1-C10アルキルである。例えば、前記アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、tert-ブチル、アセチレン、ビニル、トリフルオロメチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
用語「シクロアルキル」は、部分的又は完全に飽和された単環又は縮合環炭化水素を意味し、好ましくはC3-C10-シクロアルキルである。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
用語「アルコキシ」は、別段の定義がない限り、1~10個の炭素原子を有するアルキルオキシを意味する。
【0017】
用語「アリール」は、芳香族炭化水素、好ましくはC5-C12アリール、より好ましくはC6-C10アリールを意味する。前記アリールの例には、フェニル、ナフチルなどが含まれるが、それらに限定さない。
【0018】
用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選ばれた一つ以上のヘテロ原子を還元子として含み、ベンゾ又はC3-C8シクロアルキルと融合し得る単環又は縮合環を形成する3~12員、より好ましくは5~10員の芳香族炭化水素を意味する。例えば、前記ヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサジアゾリル、イソオキサジアゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、インドリル、インダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、イミダゾリル、チオフェニル、ベンズチアゾール、ベンズイミダゾール、キノリニル、インドリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル、3,4-ジヒドロイソキノリニル、チアゾロピリジル、2,3-ジヒドロベンゾフラン、2,3-ジヒドロチオフェン、2,3-ジヒドロインドール、ベンゾ[1,3]ダイオキシン、クロマン、チオクロマン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、4H-ベンゾ[1,3]ダイオキシン、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ダイオキシン、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
アリールアルキル、アルキルアリール及びヘテロアリールアルキルは、前記のアリールとアルキル又、はヘテロアリールとアルキルの結合によって形成された基を意味する。例えば、ベンジル、チオフェンメチル、ピリミジンメチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記一般式(1)において、R1はC1-8アルキル又は-C(O)R2を表し、ここで、R2は、C1-20アルキル、C6-C10アリール又はC6-C10アリール-C1-C7アルキルである。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、前記一般式(1)において、R1は、C1-5アルキル又は-C(O)R2を表し、ここで、R2は、C1-15アルキル、C6-C10アリール又はC6-C10アリール-C1-C5アルキルを表し、置換基は、アルキル又はハロアルキルである。
【0022】
本発明による前記式(1)の代表的な化合物は、下記化合物が含まれるが、これらに限定されない:
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルアセテート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルプロピオネート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルイソブチレート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルピバレート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル3-メチルブタノエート;
(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル3,3-ジメチルブタノエート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルパルミテート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルベンゾエート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル4-(トリフルオロメチル)ベンゾエート;
(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル2-フェニルアセテート;
(5R)-N-((3S)-2-エトキシ-2-(フルオロメチル)-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド;及び
(5R)-N-((3S)-2-(フルオロメチル)-2-メトキシ-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド
【0023】
本明細書で使用されている用語及び略語は、特に明記されない限り、元の意味を有る。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記生体適合性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル及びポリホスファジンからなる群から選ばれる一つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記生体適合性ポリマーは、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)である。ポリ(ラクチド-co-グリコリド)は、触媒の存在下で開環重合によってラクチド及びグリコリドから重合することができる。
【0026】
本発明の一実施形態において、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)のラクチド対グリコリドのモル比は、好ましくは90:10~10:90、より好ましくは90:10~40:60、さらに好ましくは85:15~50:50である。
【0027】
体内物質である乳酸及びグリコール酸を重合して得られたポリマーであるポリ(ラクチド-co-グリコリド)は、生体適合性及び生分解性を有しており、薬物の制御放出により医療及び製薬分野で広く使用されている。ポリ(ラクチド-co-グリコリド)中のグリコリドの比率が高いほど、親水性が高くなり、水分がよく吸収されて加水分解が促進されるため、体内での分解速度が速くなる。逆に、ラクチドの比率が高くなると、疎水性が高くなり、水分が十分に吸収されないため、加水分解に対する耐性が高まり、体内での分解速度が遅くなる。また、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)の平均分子量が大きいほど、ポリマーの鎖長が長くなり、分解時間が長くなる。さらに、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)の分解速度は、末端基の種類、分子構造、結晶性などによって影響を受けることがある。本発明の一実施形態では、注射用医薬組成物は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒の例には、水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の注射用医薬組成物は、必要に応じて、分散剤、湿潤剤又は懸濁剤などとの他の成分をさらに含むことができる。
【0029】
本発明による注射用医薬組成物によって予防又は治療することができる疾患は、アポトーシス関連疾患、炎症疾患、骨関節炎、リウマチ性関節炎、変性性関節炎及び破壊性骨障害から選ばれるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明の一実施形態において、本発明による注射用医薬組成物は、骨関節炎の予防、治療又は疼痛緩和のために使用することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明において、カスパーゼ阻害剤のプロドラッグである一般式(1)の化合物を使用する注射用医薬組成物を提供することにより、ポリマーミクロスフェアを調製する際のカプセル化効率を大幅に改善することができ、薬物の放出期間が著しく増加する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1、4及び5で調製されたミクロスフェアを走査電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。
図2】比較例で調製されたミクロスフェアを走査電子顕微鏡で撮影した写真である。
図3】実験例2におけるインビトロ溶出試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明について、製造例及び実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの例は例示に過ぎなく、本発明の範囲がそれに限定されない。
【0034】
製造例1:(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルアセテート
【化3】
【0035】
ニボカサン((R)-N-((2S,3S)-2-(フルオロメチル)-2-ヒドロキシ-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド;5.0g、12.0mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶媒に溶解し、塩化アセチル(0.94mL、13.2mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(2.52mL、18.0mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.15g、1.2mmol、0.1当量)を5℃以下を維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(25mL)を加えて反応を終結させた。水(25mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:5混合物(EtOAc:ヘキサン=1:5)を用いてカラム分離して、表題化合物を3.0g(収率:54%)得た。
【0036】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.74-7.69 (m, 3H), 7.09 (d, 1H), 5.25 (m, 1H), 4.69 (d, 2H), 4.03 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 2.95 (m, 2H), 2.63 (m, 1H), 2.38 (m, 1H), 1.26 (dd, 6H), 1.05 (dd, 6H)
【0037】
製造例2:(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルプロピオネート
【化4】
【0038】
ニボカサン(1.0g、2.4mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、塩化プロピオニル(0.23mL、2.65mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(0.5mL、3.61mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.03g、0.24mmol、0.1当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:2混合物(EtOAc:ヘキサン=1:2)を用いてカラム分離して表題化合物を0.25g(収率:23%)得た。
【0039】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.74-7.69 (m, 3H), 7.08 (d, 1H), 5.22 (m, 1H), 4.69 (d, 2H), 4.03 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 2.98 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 2.37 (m, 1H), 1.20 (t, 3H), 1.05 (dd, 6H)
【0040】
製造例3:(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルイソブチレート
【化5】
【0041】
ニボカサン(1.0g、2.4mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、塩化イソブチル(0.73g、2.65mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(0.5mL、3.61mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.03g、0.24mmol、0.1当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:2混合物(EtOAc:ヘキサン=1:2)を用いてカラム分離して、表題化合物を0.06g(収率:5%)得た。
【0042】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.74-7.69 (m, 3H), 7.09 (d, 1H), 5.25 (m, 1H), 4.69 (d, 2H), 4.03 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 2.95 (m, 2H), 2.63 (m, 1H), 2.38 (m, 1H), 1.26 (dd, 6H), 1.05 (dd, 6H)
【0043】
製造例4:(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルピバレート
【化6】
【0044】
ニボカサン(0.5g、1.2mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、塩化ピバロイル(0.17g、1.4mmol、1.1当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.29g、2.4mmol、2.0当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:5混合物(EtOAc:ヘキサン=1:5)で再結晶して、表題化合物を0.1g(収率:17%)得た。
【0045】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.11 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.71 (m, 3H), 7.11 (d, 1H), 5.26 (m, 1H), 4.68 (d, 2H), 4.02 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 2.95 (m, 2H), 2.39 (m, 1H), 2.27 (s, 2H), 1.28 (s, 9H), 1.05 (dd, 6H)
【0046】
製造例5:(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル3-メチルブタノエート
【化7】
【0047】
ニボカサン(0.5g、1.2mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、塩化ソバレリル(0.17g、1.4mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(0.18g、1.8mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.015g、0.12mmol、0.1当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチル及びヘキサンの1:5混合物(EtOAc:ヘキサン=1:5)で再結晶して、表題化合物を0.13g(収率:17%)得た。
【0048】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.11 (d, 1H), 8.52 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.71 (m, 3H), 7.11 (d, 1H), 5.23 (m, 1H), 4.71 (d, 2H), 4.04 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 2.95 (m, 2H), 2.35 (m, 1H), 2.28 (d, 2H), 2.15 (m, 1H), 1.05 (dd, 12H)
【0049】
製造例6:(2R,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル3,3-ジメチルブタノエート
【化8】
【0050】
ニボカサン(0.5g、1.2mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、塩化t-ブチルアセチル(0.19g、1.4mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(0.18g、1.8mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.015g、0.12mmol、0.1当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離して、減圧蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:5混合物(EtOAc:ヘキサン=1:5)で再結晶して、表題化合物を0.14g(収率:23%)得た。
【0051】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.71 (m, 3H), 7.13 (d, 1H), 5.23 (m, 1H), 4.71 (d, 2H), 4.04 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 2.95 (m, 2H), 2.35 (m, 1H), 2.27 (s, 2H), 1.05 (dd, 15H)
【0052】
製造例7:(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルパルミテート
【化9】
【0053】
ニボカサン(1.0g、2.4mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、塩化パルミトイル(0.73g、2.65mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(0.5mL、3.61mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.03g、0.24mmol、0.1当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:2混合物(EtOAc:ヘキサン=1:2)を用いてカラム分離して、表題化合物を0.11g(収率:7%)得た。
【0054】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.74-7.69 (m, 3H), 7.09 (d, 1H), 5.23 (m, 1H), 4.69 (d, 2H), 4.03 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 2.95 (m, 2H), 2.41 (m, 2H), 2.38 (m, 1H), 1.68 (m, 2H), 1.35-1.24 (m, 24H), 1.05 (dd, 6H), 0.88 (t, 3H)
【0055】
製造例8:(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イルベンゾエート
【化10】
【0056】
ニボカサン(0.5g、1.2mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、塩化ベンゾイル(0.17g、1.4mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(0.18g、1.8mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.15g、1.2mmol、1.0当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:5混合物(EtOAc:ヘキサン=1:5)で再結晶して、表題化合物を0.14g(収率:22%)得た。
【0057】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.13 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.03 (d, 2H), 7.85 (d, 1H), 7.70 (m, 3H), 7.63 (t, 1H), 7.48 (m, 2H), 7.09 (d, 1H), 5.23 (m, 1H), 4.81 (d, 2H), 4.03 (d, 1H), 3.74 (d, 1H), 3.08 (m, 2H), 2.20 (m, 1H), 0.97 (dd, 6H)
【0058】
製造例9:(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル4-(トリフルオロメチル)ベンゾエート
【化11】
【0059】
ニボカサン(0.5g、1.2mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、4-トリフルオロメチルベンゾイルクロリド(0.30g、1.4mmol、1.1当量)と4-ジメチルアミノピリジン(0.29g、2.4mmol、2.0当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチルとヘキサンの1:5混合物(EtOAc:ヘキサン=1:5)で再結晶して、表題化合物を0.1g(収率:13%)得た。
【0060】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.14 (d, 2H), 7.88 (d, 1H), 7.74 (m, 3H), 7.85 (m, 2H), 7.09 (d, 1H), 5.26 (m, 1H), 4.82 (d, 2H), 4.03 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 3.08 (m, 2H), 2.19 (m, 1H), 0.82 (dd, 6H)
【0061】
製造例10:(2S,3S)-2-(フルオロメチル)-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-5-オキソテトラヒドロフラン-2-イル2-フェニルアセテート
【化12】
【0062】
ニボカサン(0.5g、1.2mmol)をジクロロメタン(20mL)溶媒に溶解し、フェニルアセチルクロリド(0.22g、1.4mmol、1.1当量)、トリエチルアミン(0.18g、1.8mmol、1.5当量)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.015g、0.12mmol、0.1当量)を5℃以下に維持しながら加えた。反応混合物を25℃で約2時間撹拌し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加えて反応を終結させた。水(10mL)を加え、撹拌した後、有機層を分離し、減圧下で蒸留した。得られた混合物を酢酸エチル及びヘキサンの1:5混合物(EtOAc:ヘキサン=1:5)で再結晶して、表題化合物を0.3g(収率:51%)得た。
【0063】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.74-7.69 (m, 3H), 7.37 (m, 2H), 7.30(m, 3H), 7.09 (d, 1H), 5.23 (m, 1H), 4.69 (d, 2H), 4.03 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 3.74 (s, 2H), 2.95 (m, 2H), 2.38 (m, 1H), 1.05 (dd, 6H)
【0064】
製造例11-1:(S)-4,4-ジエトキシ-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)ペンタン酸
【化13】
【0065】
(工程A)エチル(S)-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-4-オキソペンタノエート
【化14】
【0066】
ニボカサン(500mg、1.2mmol)をp-トシル酸(114mg、0.6mmol)、トリエトキシメタン(20mL、120mmol)及びエタノール(20mL)と還流下で6日間反応させた。反応混合物を室温に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、MPLCを使用して精製して、表題化合物(230mg、37%)を得た。
【0067】
1H-NMR (CDCl3) δ 9.15 (d, 1H), 8.54 (d, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.75 - 7.64 (m, 3H), 4.75 - 4.86 (m, 1H) 4.53 (dd, 1H), 4.42 (dd, 1H), 4.02 (d, 1H) 3.97 - 3.67 (m, 5H), 3.57 ~ 3.50 (m, 3H), 2.71 (dd, 1H), 2.52 - 2.36 (m, 2H), 1.18 - 0.97 (m, 15H)
【0068】
(工程B)(S)-4,4-ジエトキシ-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)ペンタン酸
【化15】
【0069】
エチル(S)-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-4-オキソペンタノエート(230mg、0.44mmol)と水酸化リチウム(31.9mg、1.33mmol)に、水(1.12mL)とテトラヒドロフラン(THF、0.28mL)を加え、40℃で3時間反応させた。反応物を室温に冷却し、減圧濃縮し、1N水酸化ナトリウムを加え、水層をトルエンで洗浄した。次に、6N塩酸を加えてpHを3に調整した後、ジクロロメタンを使用して抽出した。抽出された有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濾過して、表題化合物を得た。得られた表題化合物はさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0070】
製造例11-2:(5R)-N-((3S)-2-エトキシ-2-(フルオロメチル)-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド
【化16】
【0071】
(S)-4,4-ジエトキシ-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)ペンタン酸(200mg、0.38mmol)に、トリフルオロ酢酸(0.5mL)とジクロロメタン(5mL)を0℃で加え、室温で2時間撹拌した。2時間撹拌後、反応混合物を減圧下で濃縮し、MPLCにより表題化合物(92mg、54%)を得た。
【0072】
1H-NMR (CDCl3) δ 9.11 (d, 1H), 8.56 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.75 - 7.64 (m, 3H), 7.38 (d, 1H) 4.94 (q, 1H) 4.66 (s, 1H), 4.54 (s, 1H), 4.09 (d, 1H), 4.02 (d, 1H) 3.90 - 3.67 (m, 3H), 2.92 (dd, 1H), 2.59 (dd, 1H), 2.36 (p, 1H), 1.29 - 1.19 (m, 4H), 1.06 (t, 6H)
【0073】
製造例12-1:(S)-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-4,4-ジメトキシペンタン酸
【化17】
【0074】
(工程A)メチル(S)-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-4,4-ジメトキシペンタノエート
【化18】
【0075】
ニボカサン(1g、2.4mmol)を、p-トシル酸(229mg、1.2mmol)、トリメトキシメタン(10mL、90mmol)及びメタノール(20mL)と還流下で4日間反応させた。反応混合物を室温に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、MPLCを使用して精製して、表題化合物(561mg、49%)を得た。
【0076】
(工程B)(S)-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-4,4-ジメトキシペンタン酸
【化19】
【0077】
メチル(S)-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-4,4-ジメトキシペンタノエート(561mg、1.18mmol)と水酸化リチウム(134mg、5.59mmol)に、水(3.42mL)とTHF(0.85mL)を加え、40℃で4時間反応させた。反応物を室温に冷却し、減圧濃縮した後、1N水酸化ナトリウムを加え、水層をトルエンで洗浄した。6N塩酸を加えてpHを3に調整し、ジクロロメタンを使用して抽出した。抽出された有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濾過して、表題化合物を得た。得られた表題化合物はさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0078】
製造例12-2:(5R)-N-((3S)-2-(フルオロメチル)-2-メトキシ-5-オキソテトラヒドロフラン-3-イル)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド
【化20】
【0079】
(S)-5-フルオロ-3-((R)-5-イソプロピル-3-(イソキノリン-1-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボキサミド)-4,4-ジメトキシペンタン酸(441mg、0.9mmol)に、トリフルオロ酢酸(0.5mL)とジクロロメタン(5mL)を0℃で加え、室温で2時間撹拌させた。2時間撹拌後、混合物を減圧下で濃縮し、MPLCにより表題化合物(196mg、51%)を得た。
【0080】
1H-NMR (CDCl3) δ 9.12 (d, 1H), 8.56 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.75 - 7.64 (m, 3H), 7.40 (d, 1H) 4.91 (q, 1H) 4.66 (dd, 1H), 4.54 (dd, 1H), 4.08 (d, 1H), 4.80 (d, 1H), 3.35 (s, 3H), 2.90 (dd, 1H), 2.56 (dd, 1H), 2.36 (p, 1H), 1.06 (t, 6H)
【0081】
実施例1~6:プロドラッグをカプセル化するミクロスフェアの調製
下記表1の組成に従ってカスパーゼ阻害剤プロドラッグがカプセル化されたミクロスフェアを調製した。
【0082】
カスパーゼ阻害剤プロドラッグとPLGA(L/G比=50:50,75:25又は85:15、M.W.38,000~240,000)を1:5の重量比で秤量し、有機溶媒であるジクロロメタンをPLGA重量又はプロドラッグとPLGAの重量の10倍の量で加え、撹拌して分散相を調製した。
【0083】
連続相には、1%又は2%ポリビニルアルコール(M.W.31,000~50,000、加水分解度87~89%)150mL又は4,800mLを使用し、膜乳化法でエマルジョンを調製した。
【0084】
調製されたエマルジョンは、室温で一晩撹拌して溶媒を除去し、滅菌精製水で洗浄した後、凍結乾燥してミクロスフェアを調製した。
【0085】
【表1】
【0086】
比較例:ニボカサンをカプセル化するミクロスフェアの調製
下記表2の組成に従ってニボカサンがカプセル化されたミクロスフェアを調製した。
【0087】
ニボカサンとPLGA(L/G比=50:50、M.W.38,000~54,000)を1:5の重量比で秤量し、有機溶媒であるジクロロメタンをPLGA重量の10倍の量で加え、撹拌して分散相を調製した。
【0088】
連続相には、2%ポリビニルアルコール(M.W.31,000~50,000、加水分解度87~89%)150mLを使用し、膜乳化法でエマルジョンを調製した。
【0089】
調製されたエマルジョンは、室温で一晩撹拌して溶媒を除去し、滅菌精製水で洗浄した後、凍結乾燥してミクロスフェアを調製した。
【表2】
【0090】
実験例1:ミクロスフェア特性及び薬物カプセル化率分析
実施例及び比較例で調製されたミクロスフェアの特性は、調製中の薬物の析出、凍結乾燥ミクロスフェアの性状、及び再分散時の水相における浮遊よって確認した。
【0091】
調製時に薬物の析出を光学顕微鏡で確認し、凍結乾燥ミクロスフェアの性状は走査電子顕微鏡で確認した。凍結乾燥ミクロスフェアを水に再分散させることにより、ミクロスフェアが水相に浮いているかどうかを確認した。
【0092】
ミクロスフェアにカプセル化された薬物の量は、30mgのミクロスフェアを50mLのアセトニトリルに溶解し、超遠心分離によって得られた上清をHPLCによって分析した。薬物のカプセル化率を測定してカプセル化効率を計算した。
-カプセル化率=(測定された薬物の重量)/(測定されたミクロスフェア(MS)の重量)×100(%)
-カプセル化効率=(測定された薬物の重量)/(添加した薬物の重量)×100(%)
測定された結果をまとめて下記表3に示した。
【0093】
【表3】
【0094】
前記表3からわかるように、プロドラッグをカプセル化した実施例のミクロスフェアは、薬物の析出がほとんどなく、優れた薬物カプセル化効率を示したが、ニボカサンがカプセル化された比較例のミクロスフェアでは、薬物が調製過程中に大量析出しており、薬物のカプセル化効率も実施例と比較してわずか半分であった。
【0095】
実験例2:ミクロスフェアのインビトロ溶出試験
実施例4及び5で調製されたミクロスフェアのインビトロ溶出試験を行った。ミクロスフェアをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、37℃)で振とうし、特定の時間に溶出液を収集及びろ過した後、放出された薬物の量をHPLCで分析した。プロドラッグは水溶液中での加水分解により親薬物であるカスパーゼ阻害剤に変換されるため、HPLCで測定されるカスパーゼ阻害剤の量から放出された薬物の量を確認した。
図1
図2
図3