IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日清食品ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】シーズニングオイル
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20231010BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20231010BHJP
【FI】
A23D9/00 504
A23L27/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020036841
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021136908
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】那須 元太郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇幸
(72)【発明者】
【氏名】内藤 厚憲
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-217690(JP,A)
【文献】特表2017-509349(JP,A)
【文献】特開2007-259744(JP,A)
【文献】特開平06-022691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23L
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
(A)糖類として0.01~1重量部のグルコース
(B)アミノ酸としてアルギニン、メチオニン、ロイシン及びグリシンからなる群より選択される少なくとも3種の0.01~1重量部のアミノ酸
(C)ビタミンとして0.01~10重量部のビタミンB1及び/又はビタミンB2
(D)素材として0.01~1重量部の植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキス
(E)油脂として0.3重量部以上のマカダミア油と、
(F)副原料として0.01~1重量部の炭酸水素ナトリウム
を当該重量比の割合で含有するように混合して加熱するポーク風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項2】
さらに、核酸系調味料を混合して加熱する請求項1に記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項3】
さらに、リボースを混合して加熱する請求項1又は2に記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項4】
さらに、ピロリン酸第二鉄及び/ 又は亜鉛酵母を混合して加熱する請求項1 ~ 3 のいずれかに記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項5】
前記野菜エキスがマッシュルームエキスである請求項1~4のいずれかに記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の食品に添加して、当該食品に対してポーク風味を付与することができるシーズニングオイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工食品等の食品においては、特定の風味を付加したり、増強したりするために香料や香味油(シーズニングオイル)が使用される場合が多い。このような加工食品等の食品に対してその風味を増強するための香味油(シーズニングオイル)は種々のタイプの技術が開示されている。
例えば、以下の先行技術文献1には、食用油脂と、野菜と、単糖とを加熱することにより、風味の力価が強く、良好な風味のバランスを有する香味油の製造方法について開示されている。また、以下の先行技術文献2には、長ネギを香味材として利用した香味油に関し、特に食感と香味を楽しむことが可能な香味油について開示されている。
【0003】
しかし、上記のいずれについても特定の畜肉原料の香味を付与又は増強するシーズニングオイルに関するものではない。一方、ポーク風味を付与するシーズニングオイルについては特に開示されているものはない。
ポーク風味は畜肉系原料においても代表的な成分の一つであり、種々のスープ類のベースとなる風味である。すなわち、ポーク風味は種々の加工食品において汎用される風味である。
【0004】
このようなポーク風味について畜肉原料(ポーク)自体を使用せずに、ポーク風味を付与又は増強することができるシーズニングオイルが開発されれば、畜肉原料不足やコストの問題を回避することができる。
また、加工食品がポーク原料を使用する場合、当該原料の有するポーク風味を付加又は増強させることができれば、一層、加工食品の分野の発展に寄与することが可能となる。
さらに、ベジタリアンに対して畜肉原料(ポーク)が不使用のポーク風味の加工食品を提供することも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-201905
【文献】特開2012-39902
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の発明者らはポーク等の畜肉原料を利用せずに、ポーク風味を付与又は増強することが可能なポーク風シーズニングオイルを開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々の原料を用いて実験を繰り返し実施した。本発明者らの鋭意研究の
結果、驚くべきことに糖のグルコース、アミノ酸としてアルギニン、メチオニン、ロイシン及びグリシンからなる群より選択される少なくとも3種のアミノ酸、ビタミンとしてビタミンB1及び/又はビタミンB2、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキス、マカダミア油、並びに炭酸水素ナトリウムを混合して加熱することでポーク風味を付与又は増強可能なポーク風シーズニングオイルを製造できることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本願第一の発明は、
“グルコース、アミノ酸としてアルギニン、メチオニン、ロイシン及びグリシンからなる群より選択される少なくとも3種のアミノ酸、ビタミンB1及び/又はビタミンB2、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキス、マカダミア油、並びに炭酸水素ナトリウムを混合して加熱するポーク風シーズニングオイルの製造方法。”である。
【0009】
次に、本発明においては、さらに、核酸系調味料を混合して加熱すると一層ポーク風味の付加又は増強が可能であることを見出した。
すなわち、本願第二の発明は、
“さらに、核酸系調味料を混合して加熱する請求項1に記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
【0010】
次に、本発明においては、さらに、糖としてリボースを混合して加熱すると一層ポーク風味の付加又は増強が可能であることを見出した。
すなわち、本願第三の発明は、
“さらに、リボースを混合して加熱する請求項1又は2に記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
【0011】
次に、前記加熱時には、ピロリン酸第二鉄又は亜鉛酵母を混合して加熱することが好適である。すなわち、本願第四の発明は、
“さらに、ピロリン酸第二鉄又は亜鉛酵母を混合して加熱する請求項1~3のいずれかに記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
【0012】
次に、前記野菜エキスについてはマッシュルームエキスであることが好ましい。
すなわち、本願第五の発明は、
“前記野菜エキスがマッシュルームエキスである請求項1~4のいずれかに記載のポーク風シーズニングオイルの製造方法。”である。
【0013】
さらに、本出願人は、請求項1~5のいずれかに記載のポーク風シーズニングオイルを含有する食品も意図している。
すなわち、本願第六の発明は、
“請求項1~5のいずれかに記載の製造方法より製造されるポーク風シーズニングオイル。
”、である。
【0014】
さらに、本出願人は、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法により製造されるポーク風シーズニングオイルを含有する食品も意図している。
すなわち、本願第七の発明は、
“請求項1~6のいずれかに記載の製造方法により製造されるポーク風シーズニングオイルを含有する食品。”、である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシーズニングオイルを利用することで、加工食品を始めとする各種食品にポーク風味を付与することができる。また、当該加工食品がポーク原料を使用する場合、当該ポーク原料が本来有するポーク風味増強させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施の形態に準じて詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
本願発明は、“グルコース、アミノ酸としてアルギニン、メチオニン、ロイシン及びグリシンからなる群より選択される少なくとも3種のアミノ酸、ビタミンB1及び/又はビタミンB2、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキス、マカダミア油、並びに炭酸水素ナトリウムを混合して加熱するポーク風シーズニングオイルの製造方法。”等に関するものである。以下に本発明の内容を詳細に説明する。
【0017】
─グルコース及びリボース(糖)─
本発明においては糖としてグルコースを利用する。グルコースは六単糖であり、代表的な糖の一種である。また、このグルコースに対してさらに、五単糖リボースを併用してもよい。
本発明において混合・加熱時のグルコース等の糖の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0018】
─アルギニン(アミノ酸)─
本発明においてはアミノ酸としてアルギニンを利用する。アルギニンは天然に存在するアミノ酸の一種であり、塩基性アミノ酸の一種である。
また、本発明にいうアルギニンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0019】
─メチオニン(アミノ酸)─
本発明おいてはアミノ酸としてアルギニンも利用する。メチオニンは天然に存在するアミノ酸の一種である。側鎖に硫黄を含んだ疎水性のアミノ酸である。本発明にいうメチオニンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0020】
─グリシン(アミノ酸)─
本発明おいてはアミノ酸としてグリシンも利用する。グリシンは天然に存在するアミノ酸の一種である。側鎖が水素であって、タンパク質を構成するアミノ酸の中で比較的単純な形を有する。本発明にいうグリシンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0021】
─ロイシン(アミノ酸)─
本発明おいては上記のアルギニン、メチオニン及びグリシンに加えて、ロイシンも利用することが好ましい。ロイシンは天然に存在するアミノ酸の一種である。側鎖がイソブチル基を有し、疎水性アミノ酸である。本発明にいうロイシンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0022】
─アミノ酸の配合量─
尚、本発明において混合・加熱時の各アミノ酸の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、各アミノ酸の総合計含量として0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
さらに、各アミノ酸の配合比については特に限定されるものではないが、概ねアルギニン1重量部に対して、メチオニンは0.01~0.1重量部、グリシンは0.1~10
重量部、ロイシンは0.01~1重量部程度が好適である。
【0023】
─ビタミンB1─
本発明においてはビタミンとしてビタミンB1及び/又はビタミンB2を利用する。ここでビタミンB1とはチアミンとも称され、硫黄Sを含有し、水溶性ビタミンの一種である。本発明にいうビタミンB1とは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、塩酸塩等が挙げられる。
【0024】
─ビタミンB2─
本発明においてはビタミンとしてビタミンB1及び/又はビタミンB2を利用する。ここでビタミンB2とはリボフラビンとも称され、ビタミンの中で水溶性ビタミンの一種である。
【0025】
─ビタミンの配合量─
尚、本発明において混合・加熱時のビタミンB1及びB2の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、各ビタミンの合計含量として0.01~10重量部程度含まれていることが好ましい。
さらに、各ビタミンの配合比については特に限定されるものではないが、概ねビタミンB1の1重量部に対して、ビタミンB2は0.01~10重量部程度が好適である。
【0026】
─植物蛋白加水分解物─
本発明においては、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを利用する。ここで植物蛋白加水分解物とは、大豆等の植物蛋白質を塩酸分解法、酵素分解法、熱水抽出法等の製法によって分解したものをいう。うま味をもたらす目的で種々の加工食品に利用される場合がある。
尚、本発明において混合・加熱時の植物蛋白加水分解物の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部に対して、0.01~1重量部程度が好ましい。
【0027】
─野菜エキス─
本発明においては、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを利用する。ここで野菜エキスとは、野菜を破砕・搾汁したり、水やエタノール等の溶媒で抽出する等して得ることができる。また、必要に応じて加熱処理・酵素処理等を行うこともできる。野菜内の多種多様な有効成分を含んでいる。特に本発明においてはマッシュルームエキスを好適に利用することができる。
尚、本発明において混合・加熱時の野菜エキスの含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0028】
─マカダミア油─
マカダミア油は、マカダミアの殻果から抽出される植物油である。尚、本発明においてはマカダミア油のみを利用してもよいが、当該マカダミア油を含むものであれば、これと他の油脂の混合油脂であってもよい。例えば、コストや油脂の安定性の問題から、他の油脂と混合したものを利用してもよい。例えば、パーム油と組み合わせて混合し、当該混合油脂を利用する方法でもよい。
【0029】
混合する食用油としては、種々のオイルを利用することができる。すなわち、植物油脂、動物油脂等の種々の食用オイルを使用することができる。より具体的には、植物油脂としては、パーム油、菜種油、米油、コーン油、オリーブ油、白絞油、ひまわり油等の種々の植物油脂が挙げられる。また、動物油脂としては、豚脂、牛脂、鶏油等の種々のオイルを利用することができる。
【0030】
マカダミア油と他の食用油との混合割合は特に限定されないが、混合後の油脂の全重量に対するマカダミア油の割合が0.3重量%以上あれば可能である。さらに、1重量%以上あるとさらに好ましい。最も好ましくは、2.4重量%以上である。尚、他の食用油を含まず、マカダミア油のみ(100重量%)であってもよいことは勿論である。
尚、本発明において混合・加熱時の油脂の含有量(マカダミア油及び他の油脂の総量)は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、油脂の含有量として50~95重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0031】
─核酸系調味料─
本発明においては、上記の構成成分に加えて、核酸系調味料を利用してもよい。核酸系調味料としては、イノシン酸、グアニル酸等を利用することができる。本発明にいう核酸系調味料とは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。尚、イノシン酸を利用することが好ましい。
尚、本発明において混合・加熱時の核酸の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0032】
─炭酸水素ナトリウム─
本発明においては、上記各成分の混合・加熱時に炭酸水素ナトリウムを同時に利用する。炭酸水素ナトリウムを利用することで反応を促進する効果を奏することができる。
尚、本発明において混合・加熱時の炭酸水素ナトリウムの含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0033】
─ピロリン酸第二鉄及び/又は亜鉛酵母─
本発明においては、混合・加熱する他の原料としてピロリン酸第二鉄及び/又は亜鉛酵母を利用することが好適である。ここでピロリン酸第二鉄を利用することで、ポーク風味を増強することができる。また、亜鉛酵母は酵母培養で作られた有機亜鉛であり、サプリメントとしても利用されている。亜鉛酵母を利用することで、ポーク風味を増強することができる。
尚、本発明において混合・加熱時のピロリン酸第二鉄及び/又は亜鉛酵母の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、ピロリン酸第二鉄及び亜鉛酵母の総量として0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0034】
─水─
本発明において各成分の混合・加熱時においては必要に応じて水を加えてもよい。
【0035】
─他の成分─
他の成分として、使用する食用オイルに対して、該食用オイルの劣化を防止する観点から、トコロフェロール、アスコルビン酸モノパルミテート等の抗酸化剤等を含有させることができる。
さらに、本発明のシーズニングオイルは所定の液体又は粉末スープの製造原料としてもよいことは勿論である。例えば、濃縮液体スープに添加しておくことで当該スープにポーク風味を付与したり、増強することが可能となる。
【0036】
─加熱─
本発明においては、前記各成分を混合して加熱する。具体的な加熱方法としては、オートクレープや直火も可能である。また、加熱ニーダを利用することも可能である。
加熱温度としては、特に限定されないが、概ね90℃~160℃位の温度範囲が一般的
である。特に100℃~150℃位の温度範囲がより好ましい。さらに、好ましくは、1
20℃~140℃程度である。
【0037】
加熱時間としては、低温度であれば長く、高温度であれば短くすることが好ましい。具
体的には、上記温度まで加熱し達温後1分~60分程度の加熱を行う。上述のようにオートクレープ等によって所定時間加熱することによって製造する。
【0038】
─本発明のシーズニングオイルを添加する対象食品─
本発明のシーズニングオイルは、各種食品に添加して当該食品にポーク風味を付与又は増強することができる。特に加工食品に対して好適に利用することができる。より具体的には、即席麺やカップライス等の即席食品に好適に利用することができる。例えば、即席麺やカップライスの液体スープに利用したり、又は添付オイルとして利用することができる。例えば、スープの浮き油として用いることができる。これらを即席麺や即席スープの構成原料として利用することができる。
本発明で得られたポーク風シーズニングオイルの利用方法については、特に限定されず、例えば、これに香辛料や醤油や味噌のフレーバを加えたもの調味油として用いる方法が挙げられる。
また、即席麺やカップライス以外にも肉まんやシュウマイ、餃子等の惣菜系統に練り込んで風味付与に用いることもできる。これらの用途は適宜設定することができる。
【実施例
【0039】
以下の本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
[試験例1]糖類、アミノ酸、核酸、ビタミン、植物蛋白加水分解物、野菜エキス、炭酸水素ナトリウム、油脂等の本発明のポーク様の香りに対する寄与度
糖、アミノ酸、核酸、ビタミン、素材、副原料(炭酸水素ナトリウム等)、水、油脂を混合し、加熱することによって各成分の寄与度を比較した。尚、各成分については市販の素材を利用した。
【0040】
各試験区の配合(重量比)は表1及び表2に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、市販のオートクレープ機(アルプ株式会社製、型式 MCS-3032L)にて135℃で、2分加熱することによって各試験区のサンプル(シーズニングオイル)を調製した。
各試験区のサンプルについて官能評価を実施した。得られたサンプル(シーズニングオイル)についてそのポーク風の香りを熟練のパネラー5名で評価することによって官能評価を行った。
官能評価はポーク様の香り(ポーク風味)の強弱を比較し、0~9までの10段階で評価した(0:ポーク風味無し ⇔ 9:ポーク風味強い)。官能評価の結果を表1及び表2の下段に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
糖としてはグルコースが有効である。アミノ酸としては、アルギニン、メチオニン、ロイシン、グリシンのうち少なくとも3種以上あれば有効である。また、全てのアミノ酸を用いることが好ましい。
その他、ビタミンB1、植物蛋白加水分解物、野菜エキス、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸第二鉄、マカダミア油が有効である。
【0044】
[試験例2]糖の種類を変えた場合
本発明において糖の種類を変えた場合の効果の変動について調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表3に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、市販のオートクレープ機(アルプ株式会社製、型式 MCS-3032L)にて135℃で、2分加熱することによって各試験区のサンプル(シーズニングオイル)を調製した。各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表3の下欄に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
糖としてはグルコースが最も有効であり、リボースもそれに次いで有効であることが分かった。


[試験例3]ビタミンの種類を変えた場合
本発明においてビタミンの種類を変えた場合の効果の変動について調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表4に記載したものである。また、各試験区の加熱条件及び各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表4の下欄に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
ビタミンB1が有効であり、ビタミンB2も次いで有効であることが分かった。
【0049】
[試験例4]油脂(脂肪酸)の種類を変えた場合
本発明において油脂(脂肪酸)の種類を変えた場合の効果の変動について調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表5に記載したものである。また、各試験区の加熱条件及び各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表5の下欄に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
マカダミア油を利用することが有効であることが分かった。
【0052】
[試験例5]副原料の種類を変えた場合
本発明においてピロリン酸第二鉄、塩化亜鉛等の副原料の種類を変えた場合の効果の変動について調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表6に記載したものである。また、各試験区の加熱条件及び各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表6の下欄に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
副原料としてピロリン酸第二鉄や亜鉛酵母を利用することが有効である。
【0055】
[試験例6]加熱温度・時間の条件を変えた場合
本発明において加熱温度・時間の条件を変えた場合の効果の変動について調べた。各試験区の配合(重量比)及び加熱温度・時間の条件は表7に記載したものである。また、各試験区の官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表7の下欄に示す。
【0056】
【表7】
【0057】
120℃~140℃程度の加熱温度が好適であることが分かった。