(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】オブジェクトテーブル
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20231010BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20231010BHJP
H01L 21/66 20060101ALN20231010BHJP
【FI】
H01J37/20 D
H01J37/244
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2021535560
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019085233
(87)【国際公開番号】W WO2020126963
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル トールン,ヤン-ヘラルト,コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】フインク,イェルーン,ゲートルダ,アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】セヴァート,ハン,ウィレム,ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】コーイケル,アラード,エルコ
(72)【発明者】
【氏名】ロンド,マイケル,ヨハネス,クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】ウェリンク,アルノ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シビン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,イン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イーシャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チア-ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ボハン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ゾースト,ユルゲン
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-260475(JP,A)
【文献】特開2004-349663(JP,A)
【文献】特開2010-272586(JP,A)
【文献】特開平10-172495(JP,A)
【文献】特開2010-212678(JP,A)
【文献】特開2006-303138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01L 21/66-21/68
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、
前記オブジェクトを前記オブジェクトテーブル上にクランプするように構成された静電クランプと、
前記オブジェクトテーブルから前記オブジェクトをアンロードするように構成されたアンロードユニットと、
前記静電クランプの電荷を少なくとも部分的に中和するように構成された中和器と、を備え、
前記アンロードユニットが前記オブジェクトをアンロードしている間、前記中和器は少なくとも部分的に前記電荷を中和するように構成されており、
前記静電クランプの表面の領域に半導電性コーティングが適用されることにより、前記静電クランプの前記表面の全部又は一部に前記電荷が均一に分布するように調整され、
前記半導電性コーティングは、複数の異なるクランプ電極に対応する前記静電クランプの前記表面の領域を電気的に接続しないように配置されて
おり、その結果、前記複数の異なるクランプ電極のいくつかが電気的に接続されることがない、オブジェクトテーブル。
【請求項2】
前記中和器は、前記静電クランプに放電電圧を供給することにより前記電荷を少なくとも部分的に中和するように構成されている、請求項1に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項3】
前記オブジェクトテーブルは、前記静電クランプに帯電電圧を印加して前記オブジェクトをクランプするように構成され、
前記放電電圧は、前記帯電電圧とは反対の極性を有する、請求項2に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項4】
前記電荷に関する情報を取得するためのセンサを備える、請求項
2又は3に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項5】
前記センサは、前記オブジェクトと前記静電クランプとの間の力に関する情報を取得するように構成されている、請求項4に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項6】
前記センサは、アンロード中に、前記オブジェクトを前記オブジェクトテーブルから持ち上げるために、前記アンロードユニットによって前記オブジェクトに印加される持ち上げ力を監視するように構成されている、請求項5に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項7】
前記センサは、前記持ち上げ力を測定するための力センサを備える、請求項6に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項8】
前記アンロードユニットは、アンロード中に、前記オブジェクトテーブルから離れる方向に前記オブジェクトを押すように構成された少なくとも1つの持ち上げピンを備え、前記持ち上げピンは前記力センサを備える、請求項7に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項9】
前記センサは、第1の状態にある前記オブジェクト及び第2の状態にある前記オブジェクトに関連付けられた測定値を提供するように構成され、
前記第1の状態では、前記オブジェクトは前記オブジェクトテーブル上にあり、
前記第2の状態では、前記オブジェクトは前記オブジェクトテーブルから離れている、請求項4に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項10】
使用時に、前記オブジェクトが前記第1の状態から前記第2の状態に移動すると、前記測定値は前記オブジェクトと前記オブジェクトテーブルとの間の移動を表す、請求項9に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項11】
前記中和器は、前記センサによって取得した情報に基づき前記放電電圧を決定するように構成されている、請求項4~10の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項12】
アンロード中に、前記中和器は、更新された力又は更新された電荷を表す更新された情報信号を受信するように構成され、
前記中和器は、前記更新された情報信号に基づき、前記放電電圧を調整するように構成されている、請求項4~11の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項13】
前記中和器は、測定情報、推定情報、及び内部信号のうちの少なくとも1つに基づき、前記放電電圧を決定するように構成されている、請求項
4~12の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項14】
前記アンロードすることは、前記オブジェクトテーブルから前記オブジェクトを持ち上げることを含む、請求項1~13の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載のオブジェクトテーブルを備える装置であって、
前記装置は、粒子ビーム装置、電子ビーム装置、走査型電子顕微鏡、電子ビームダイレクトライタ、電子ビーム投影リソグラフィ装置、電子ビーム検査装置、電子ビーム欠陥検証装置、電子ビーム計測装置、リソグラフィ装置、計測装置、及び真空チャンバを備える装置、のうちの1つである、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年12月20日に出願された欧州特許出願公開第18214362.8号、及び2019年4月30日に出願された欧州特許出願公開第19171929.3号、及び2019年12月10日に出願された米国特許出願第62/946340号の優先権を主張するものであり、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、オブジェクトテーブル、特に粒子ビーム検査装置などの検査装置に適用され得るようなオブジェクトテーブルに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 本発明は、オブジェクトテーブル、特に粒子ビーム検査装置などの検査装置に適用され得るようなオブジェクトテーブルに関する。そのような検査装置は、例えば、リソグラフィプロセスで適用されるオブジェクト、例えばウェーハとも呼ばれる半導体基板、の検査に適用され得る。そのような検査装置はまた、レチクルとも呼ばれるパターニングデバイスの検査に適用され得る。
【0004】
[0004] 半導体プロセスでは、欠陥が生成される場合があり、それがデバイス性能に影響を与え、デバイス故障を引き起こす場合さえある。したがって、デバイスの歩留まりに影響を及ぼし、その結果、コストが上昇し得る。半導体プロセスの歩留まりを制御するために、欠陥のモニタリングが重要である。欠陥のモニタリングに有用なツールの1つは、1つ以上の電子ビームを使用して試料のターゲット部分をスキャンする、SEM(走査型電子顕微鏡)などの電子ビーム検査システムである。
【0005】
[0005] 検査ツールの動作中、基板は典型的にはオブジェクトテーブルによって保持される。検査ツールは、典型的には、基板がオブジェクトテーブルによって保持されている間に、基板上のターゲット領域、すなわち検査が必要な領域を電子ビームの動作範囲内に位置決めするために、電子ビームなどの粒子ビームに対してオブジェクトテーブルを位置決めするための基板位置決めデバイスを備える。そのような基板位置決めデバイスは、例えば、必要な位置決めを実現するための複数のアクチュエータ及びモータを備えてもよい。
【0006】
[0006] 基板位置決めデバイスは、例えば、第1の部分であって、例えば第1の部分のオブジェクトテーブルと共に基板を支持する、第1の部分と、第1の部分を移動可能に支持する第2の部分とを備える。この実施形態では、第2の部分に対する第1の部分の移動が、2つのリニアアクチュエータシステムを互いの上に置くことによって実現される。第1のアクチュエータシステムは、第1の水平方向の移動を提供するように配置され、第1の作動システム上で支持される第2の作動システムは、第1の水平方向に直角な第2の水平方向の移動を提供するように配置されている。
【0007】
[0007] 第2の部分は、基板を支持するオブジェクトテーブルを3つの自由度で、すなわち、垂直方向、及び第1の水平方向と第2の水平方向の周りの回転で、位置決めすることを可能にするショートストロークアクチュエータシステムを支持する。このショートストローク位置システムは、検査ビームの焦点における基板の水平化を可能にする。
【0008】
[0008] 検査電子ビームは、検査ツール内の偏向ユニットを使用して、第1の水平方向及び第2の水平方向に操作できる。この機能は、基板に対する検査ビームの微動位置決めに使用できる。
【0009】
[0009] オブジェクト、例えば基板、を検査プロセス中に所望の位置に確実に維持するために、オブジェクトテーブルは、典型的には、オブジェクトにクランプ力を印加するように構成される。これを実現するために、検査装置に適用されるオブジェクトテーブルは、例えば、オブジェクトに保持力又はクランプ力を印加するように構成された静電クランプを備えてもよい。そのような静電クランプは、典型的には、1つ以上の電極を、例えば誘電体材料に埋め込まれて、有し得る。更に、粒子ビーム装置などの検査装置で使用されるオブジェクトテーブルは、オブジェクトの検査中に粒子ビームに適切な電界を生成するように構成された、高電圧電極とも呼ばれる電極を備えてもよい。検査対象のオブジェクトを保持するために静電クランプを適用することが、いくつかの課題を引き起こす可能性がある。特に、オブジェクトをクランプするために静電クランプを使用する場合、クランプ表面に電荷が蓄積する場合があり、これにより、クランプされたオブジェクトのアンロードがより困難になる。すなわち、クランプに電圧が印加されていないときであっても、オブジェクトがクランプに付着する傾向がある。加えて、オブジェクトのアンロードプロセス中に、高電圧電極又はオブジェクトテーブルの他の部分に向かって火花又は放電が発生するリスクがある。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 本発明の目的は、前述した課題が少なくとも軽減される、検査装置で使用するためのオブジェクトテーブルを提供することである。そのような検査装置は、例えば、リソグラフィプロセスで適用されるオブジェクト、例えばウェーハとも呼ばれる半導体基板、の検査に適用され得る。そのような検査装置はまた、レチクルとも呼ばれるパターニングデバイスの検査に適用され得る。本発明によるオブジェクトテーブルが適用される検査装置はまた、有利には、リソグラフィプロセスなどのプロセスのプロセス制御に適用されてもよい。そのような配置では、検査装置は、例えば、オブジェクトを検査することにより、オブジェクト、例えば基板の上の欠陥を検出するために、又は、オブジェクトのリソグラフィ処理において適用されるような、照明設定、適用される照射量などのプロセスパラメータを評価するために適用されてもよい。次いで、決定されたパラメータは、リソグラフィプロセスを調整するためのフィードバックとして適用されてもよい。
【0011】
[0011] 本発明の第1の態様によれば、オブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、
オブジェクトを保持するためのクランプ機構と;
オブジェクトに接触してオブジェクトをロード又はアンロードするように構成されたロード/アンロード機構と;
オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクトを電圧源又は電気的接地に電気的に接続して、オブジェクトに所定の電圧を印加するように構成された導電体と、を備え、導電体は、オブジェクトがオブジェクトテーブル上で保持されるときに、機械的剛性が低い接続を形成するように構成されている。
【0012】
[0012] 本発明の第2の態様によれば、検査装置で使用するためのオブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、基板などのオブジェクトを保持するように構成され、オブジェクトテーブルは、
オブジェクトを保持するように構成された静電クランプと;
静電クランプの電気的特性を決定するように構成された測定ユニットであって、電気的特性は静電クランプの電荷状態を表す、測定ユニットと;
決定された電気的特性に基づいて、オブジェクトのアンロード中に、静電クランプの電力供給部を制御するように構成された制御ユニットと、を備える。
本発明の第3の態様によれば、オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;静電クランプの残留電荷を中和するように配置された中和器と;
中和器を制御するように配置された制御ユニットと、を備え、残留電荷は、静電クランプに電圧が印加されていないときに、静電クランプ上に存在する静電荷である。
本発明の第4の態様によれば、オブジェクトを静電クランプ上にクランプするための方法が提供され、この方法は、
i)静電クランプ上にオブジェクトを提供することと;
ii)オブジェクトが静電クランプ上にクランプされているクランプ状態が検出されるまで、クランプ電圧を増加させることと;
iii)クランプ状態でのクランプ電圧である第1のクランプ電圧(Vmax)を決定することと;
iv)第1のクランプ電圧(Vmax)よりも低い第2のクランプ電圧(Vfinal)を静電クランプに印加することと、を含む。
本発明の第5の態様によれば、オブジェクトテーブルのクランプ機構の残留電荷を決定する方法が提供され、この方法は、
粒子ビームを使用してクランプ機構の表面に衝突させることと;
表面への衝突によって生じたクランプ機構の応答を検出することと;
応答に基づいてクランプ機構の残留電荷を決定することと、を含む。
本発明の第6の態様によれば、粒子ビーム装置が提供され、粒子ビーム装置は、
粒子ビームジェネレータと;
オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、オブジェクトをオブジェクトテーブルにクランプするためのクランプ機構を備える、ブジェクトテーブルと;
検出器と;
制御ユニットであって、粒子ビームジェネレータを制御して粒子ビームをクランプ機構の表面に衝突させるように構成されている、制御ユニットと;
クランプ機構に粒子ビームが衝突することによって生じる、クランプ機構の応答を検出するように構成されている検出器と;を備え、
制御ユニットは、
クランプ機構の応答を表す検出器信号を検出器から受信し、
検出器信号に基づいて、クランプ機構の残留電荷を決定する、ように更に構成されている。
本発明の第7の態様によれば、クランプ機構の表面電荷を減少させる方法が提供され、この方法は、
粒子ビームを生成することであって、粒子ビームは、クランプ機構の表面において実質的に1に等しい二次放出収率(SEY)を有するように構成されている、ことと;
粒子ビームを使用してクランプ機構の表面に衝突させることと、を含む。
本発明の第8の態様によれば、粒子ビーム装置が提供され、粒子ビーム装置は、
粒子ビームジェネレータと;
オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、オブジェクトをオブジェクトテーブルにクランプするためのクランプ機構を備える、オブジェクトテーブルと;
制御ユニットであって、
粒子ビームジェネレータを制御して、クランプ機構の表面において実質的に1に等しい二次放出収率(SEY)を有するように構成されている粒子ビームを生成させ、
粒子ビームを制御してクランプ機構の表面に衝突させる、
ように構成されている、制御ユニット
を備える。
本発明の第9の態様によれば、オブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;
クリーニングデバイスであって、静電クランプをクリーニングするように配置されたクリーニングデバイスと、を備える。
本発明の第10の態様によれば、オブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;
オブジェクトを帯電させるように配置された1つ以上の電極と、を備え、
1つ以上の電極のうちの第1のセットが、オブジェクトに電荷を印加するように配置されており、1つ以上の電極のうちの第2のセットが、オブジェクトを放電させるように配置されている。
本発明の第11の態様によれば、オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;
オブジェクトテーブルからオブジェクトを持ち上げるように配置された1つ以上の上昇ピンと;
1つ以上の上昇ピン及び/又はオブジェクトテーブルの少なくとも一部を振動させるように、1つ以上の上昇ピン位置決めデバイスに作動信号を送信するように構成されたコントローラと、を備える。
【0013】
[0013] 本発明は、類似の参照符号が類似の構造要素を表す、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1a】[0014]
図1aは、本発明の実施形態による電子ビーム検査ツールの概略図である。
【
図1b】[0014]
図1bは、本発明の実施形態による電子ビーム検査ツールの概略図である。
【
図2】[0015]
図2は、本発明の実施形態に適用できる電子光学システムの概略図である。
【
図3】[0015]
図3は、本発明の実施形態に適用できる電子光学システムの概略図である。
【
図4】[0016]
図4は、本発明の実施形態によるEBIシステムの可能な制御アーキテクチャを概略的に描く。
【
図5】[0017]
図5は、当技術分野で知られているオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
【
図6】[0018]
図6は、当技術分野で知られている別のオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
【
図7a】[0019]
図7aは、本発明に適用され得るような導電体の第1の配置を概略的に示す。
【
図7b】[0019]
図7bは、本発明に適用され得るような導電体の第1の配置を概略的に示す。
【
図7c】[0020]
図7cは、本発明に適用され得るような導電体の別の配置を概略的に示す。
【
図8】[0021]
図8は、本発明による第2のオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
【
図9】[0022]
図9は、本発明に適用され得るような導電体の第2の配置を概略的に示す。
【
図10】[0023]
図10は、本発明に適用され得るような導電体の第3の配置を概略的に示す。
【
図11a】[0024]
図11aは、本発明に適用され得るような導電体の第4の配置を概略的に示す。
【
図11b】[0024]
図11bは、本発明に適用され得るような導電体の第4の配置を概略的に示す。
【
図12】[0025]
図12は、本発明に適用され得るような導電体の第5の配置を概略的に示す。
【
図13】[0026]
図13は、本発明による第3のオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
【
図14】[0027]
図14は、本発明による第4のオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
【
図15】[0028]
図15は、本発明による第5のオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
【
図16】[0029]
図16は、本発明によるオブジェクトテーブルの更なる実施形態を概略的に示す。
【
図17】[0030]
図17は、本発明の実施形態による、静電クランプに供給されるクランプ電圧を概略的に示す。
【
図18】[0031]
図18は、本発明の別の実施形態による、静電クランプに供給されるクランプ電圧を概略的に示す。
【
図19】[0032]
図19は、本発明の更に別の実施形態による、静電クランプに供給されるクランプ電圧を概略的に示す。
【
図20】[0033]
図20は、本発明による、オブジェクトテーブルの更に別の実施形態を概略的に示す。
【
図21】[0034]
図21は、本発明による、クランプ機構の残留電荷を決定する方法のフローチャートを概略的に示す。
【
図22】[0035]
図22は、本発明の一実施形態による粒子ビーム装置を概略的に示す。
【
図23】[0036]
図23は、クランプ機構の表面電荷を減少させる方法のフローチャートを概略的に示す。
【
図24】[0037]
図24は、SEY対LEのグラフを概略的に示す。
【
図25】[0038]
図25は、本発明の更なる実施形態による粒子ビーム装置を概略的に示す。
【
図26】[0039]
図26は、本発明の第9の態様の実施形態による、オブジェクトテーブル上のオブジェクトを示す概念図である。
【
図27】[0040]
図27は、オブジェクトテーブル上のオブジェクト、位置決めデバイス、及びオブジェクトアンロードデバイスを示す概念図である。
【
図28】[0041]
図28は、本発明の第11の態様の実施形態による、オブジェクトテーブル上のオブジェクトを示す概念図である。
【
図29】[0042]
図29は、本発明の第11の態様の実施形態による、オブジェクトテーブル上のオブジェクトを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0043] 本発明は、種々の修正及び代替形態を受け入れる余地があるが、本発明の具体的な実施形態は、図面中に例として示されており、本明細書で詳細に説明され得る。図面は、原寸に比例していない場合がある。しかしながら、図面及び図面についての詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定する意図はなく、それどころか、本発明が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正、同等物、並びに代替案を網羅するものであることを理解されたい。
【0016】
[0044] ここで、本発明のいくつかの例示の実施形態を示す、添付の図面を参照しながら、本発明の種々の例示の実施形態をより完全に説明する。図面では、分かり易くするために、層及び領域の厚さが誇張されている場合がある。
【0017】
[0045] 本明細書では、本発明の詳細な例示の実施形態が開示される。しかしながら、本明細書に開示する特定の構造的且つ機能的詳細は、単に本発明の例示の実施形態を説明する目的で示すにすぎない。本発明は、しかしながら、多くの代替形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0018】
[0046] よって、本発明の例示の実施形態は、種々の修正及び代替形態を受け入れる余地があるが、これらの実施形態は、図面中に例として示され、本明細書で詳細に説明されるであろう。しかしながら、本発明の例示の実施形態を開示の特定の形態に限定する意図はなく、それどころか、本発明の例示の実施形態が、本明細書の範囲内に含まれる全ての修正、同等物、及び代替案を網羅するものであることを理解されたい。類似の番号は、図の説明全体を通して類似の要素を指す。
【0019】
[0047] 本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、概して、対象とする欠陥(DOI)が存在し得るウェーハ又は他の任意の試料を指す。「試料」及び「サンプル」という用語は本明細書では交換可能に使用されるが、ウェーハに関して本明細書で説明する実施形態が他の任意の試料(例えば、レクチル、マスク、又はフォトマスク)用に構成及び/又は使用され得ることを理解されたい。
【0020】
[0048] 本明細書で使用される場合、「ウェーハ」という用語は、概して、半導体又は非半導体材料で形成された基板を指す。そのような半導体又は非半導体材料の例としては、限定されるものではないが、単結晶シリコン、ヒ化ガリウム、及びリン化インジウムが挙げられる。そのような基板は、一般的に、半導体製造設備内で見られ、及び/又は処理される。
【0021】
[0049] 交差点という用語は、電子ビームの焦点が合わせられる点を指す。
【0022】
[0050] 仮想光源という用語は、カソードから放出された電子ビームを「仮想」光源まで後方に辿ることができることを意味する。
【0023】
[0051] 本発明による検査ツールは、荷電粒子源、特にSEM、電子ビーム検査ツール、又はEBDWに適用できる電子ビーム源に関することもある。電子ビーム源は、当技術分野では、e銃(電子銃)と称されることもある。
【0024】
[0052] 図面に関して、図が一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。特に、図のいくつかの要素の縮尺は、要素の特徴を強調するために大きく誇張されている場合がある。また、図が同じ縮尺で描かれていないことにも留意されたい。同様に構成され得る、2つ以上の図に示す要素は、同じ参照符号を使用して示される。
【0025】
[0053] 図面では、分かり易くするために、各コンポーネントの及び全てのコンポーネント間の相対的寸法が誇張されている場合がある。以下の図面の説明では、同じ又は類似の参照番号は、同じ若しくは類似のコンポーネント又はエンティティを指し、且つ個々の実施形態に関する相違のみを説明する。
【0026】
[0054] よって、本発明の例示の実施形態は、種々の修正及び代替形態を受け入れる余地があるが、これらの実施形態は、図面中に例として示され、本明細書で詳細に説明されるであろう。しかしながら、本発明の例示の実施形態を開示の特定の形態に限定する意図はなく、それどころか、本発明の例示の実施形態が、本明細書の範囲内に含まれる全ての修正、同等物、及び代替案を網羅するものであることを理解されたい。
【0027】
[0055]
図1A及び
図1Bは、たとえば本発明の実施形態による電子ビーム(eビーム)検査(EBI)システム100の上面図及び断面図を概略的に描く。図示の実施形態は、筐体110と、検査すべきオブジェクトを受け入れて検査されたオブジェクトを出力するためのインターフェースとしての役割を果たす1対のロードポート120とを備える。図示の実施形態は、ロードポートに/ロードポートからオブジェクトを搬送及び/又は移送するように構成された、EFEM、機器フロントエンドモジュール130と称される、オブジェクト移送システムをさらに備える。図示の実施形態では、EFEM130は、EBIシステム100のロードポートとロードロック150との間でオブジェクトを移送するように構成されたハンドラロボット140を備える。ロードロック150は、筐体110の外側及びEFEM内で生じる大気条件と、EBIシステム100の真空チャンバ160内で生じる真空条件との間のインターフェースである。図示の実施形態では、真空チャンバ160は、検査すべきオブジェクト、例えば半導体基板又はウェーハ上に電子ビームを投影するように構成された電子光学システム170を備える。EBIシステム100は、電子光学システム170によって生成された電子ビームに対してオブジェクト190を変位させるように構成される位置決めデバイス180をさらに備える。
【0028】
[0056] 実施形態では、位置決めデバイスは、オブジェクトを略水平面に位置決めするためのXYステージ、及びオブジェクトを垂直方向に位置決めするためのZステージなどの、縦続形配置の複数のポジショナを備えてもよい。
【0029】
[0057] 実施形態では、位置決めデバイスは、比較的長い距離にわたってオブジェクトの粗動位置決めを行うように構成された、粗動ポジショナと、比較的短い距離にわたってオブジェクトの微動位置決めを行うように構成された、微動ポジショナとの組み合わせを備えてもよい。
【0030】
[0058] 実施形態では、位置決めデバイス180は、EBIシステム100によって行われる検査プロセス中にオブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルをさらに備える。そのような実施形態では、オブジェクト190は、静電クランプなどのクランプを用いてオブジェクトテーブル上にクランプされてもよい。そのようなクランプは、オブジェクトテーブルに一体化されてもよい。
【0031】
[0059] 実施形態では、位置決めデバイス180は、オブジェクトテーブルを位置決めするための第一ポジショナと、第一ポジショナ及びオブジェクトテーブルを位置決めするための第二のポジショナとを備える。加えて、電子ビーム検査ツール100に適用される位置決めデバイス180は、オブジェクトテーブル内に熱負荷を発生させるように構成された加熱デバイスを備えてもよい。
【0032】
[0060]
図2は、本発明による電子ビーム検査ツール又はシステムに適用できる電子光学システム200の実施形態を概略的に描く。電子光学システム200は、電子銃210と称される、電子ビーム源と、結像システム240とを備える。
【0033】
[0061] 電子銃210は、電子源212と、サプレッサ214と、アノード216と、1組の開口218と、コンデンサレンズ220とを備える。電子源212は、ショットキーエミッタとすることができる。より具体的には、電子源212は実施形態では、セラミック基板と、2つの電極と、タングステンフィラメントと、タングステンピンとを含む。2つの電極は、セラミック基板に平行に固定され、且つ2つの電極の他の側は、タングステンフィラメントの2つの端部にそれぞれ接続される。タングステンは、タングステンピンの配置のための先端部を形成するように僅かに湾曲される。次に、タングステンピンの表面がZrO2で被覆され、ZrO2が、溶融されるように1300℃に加熱され、タングステンピンを覆うが、タングステンピンの先端を露出させる。溶融したZrO2は、タングステンの仕事関数を低下させ、且つ放出電子のエネルギー障壁を低下させることができ、したがって、電子ビーム202が効率的に放出される。次いで、サプレッサ214を負の電気に帯電させることによって、電子ビーム202が抑制される。よって、大きな広がり角を有する電子ビームが抑制されて一次電子ビーム202とされ、ひいては、電子ビーム202の輝度が高められる。アノード216の正電荷によって、電子ビーム202を抽出することができ、次いで、電子ビーム202のクーロン強制力が、開口の外側の不要な電子ビームを排除するために異なる開口サイズを有する可変開口218を使用することによって制御されてもよい。電子ビーム202を集束させるために、コンデンサレンズ220が電子ビーム202に適用され、コンデンサレンズ220はまた拡大ももたらす。
図2に示すコンデンサレンズ220は、例えば、電子ビーム202を集束させることができる静電レンズであってもよい。その一方で、コンデンサレンズ220は、磁気レンズとすることもできる。
【0034】
[0062]
図3に示す結像システム240は、ブランカ248と、1組の開口242と、検出器244と、4組の偏向器250、252、254、及び256と、1対のコイル262と、ヨーク260と、フィルタ246と、電極270とを備える。電極270は、電子ビーム202を遅延させ且つ偏向させるために使用され、さらに、上部ポールピースとサンプル300との組み合わせによる静電レンズ機能を有する。加えて、コイル262及びヨーク260は、磁気対物レンズ用に構成される。
【0035】
[0063] 上で説明した、電子ビーム202は、電子ピンを加熱してアノード216に電界を印加することによって生成され、結果として、電子ビーム202を安定化させるには、電子ピンを加熱させるのに長い時間をかけなければならない。ユーザ側にとって、確かに手間がかかり不都合である。よって、電子ビーム202をオフにするのではなく、サンプルから離れる方向に電子ビーム202を一時的に偏向させるために、集束された電子ビーム202にブランカ248が適用される。
【0036】
[0064] 偏向器250及び256は、電子ビーム202を広視野にわたってスキャンするために適用され、且つ偏向器252及び254は、電子ビーム202を小視野にわたってスキャンするために使用される。全ての偏向器250、252、254、及び256は、電子ビーム202のスキャン方向を制御することができる。偏向器250、252、254、及び256は、静電偏向器又は磁気偏向器とすることができる。ヨーク260の開口部は、サンプル300に面しており、サンプル300を磁界にさらす。その一方で、電極270は、ヨーク260の開口部の下に配置され、それゆえ、サンプル300が損傷を受けない。電子ビーム202の色収差を補正するために、位相板270、サンプル300、及び上部ポールピースは、電子ビーム202の色収差を排除するレンズを形成する。
【0037】
[0065] さらに、電子ビーム202がサンプル300に衝突したときに、サンプル300の表面から二次電子が発せられる。次に、フィルタ246によって2次電子が検出器244へ誘導される。
【0038】
[0066]
図4は、本発明によるEBIシステムの可能な制御アーキテクチャを概略的に描く。
図1に示すように、EBIシステムは、ロードロックと、ウェーハ移送システムと、ロード/ロックと、電子光学システムと、例えば、zステージ及びxyステージを含む、位置決めデバイスとを備える。図示のように、EBIシステムのこれらの種々のコンポーネントは、それぞれのコントローラ、すなわち、ウェーハ移送システムに接続されたウェーハ移送システムコントローラ、ロード/ロックコントローラ、電子光学コントローラ、検出器コントローラ、ステージコントローラを備えていてもよい。これらのコントローラは、例えば、通信バスを介して、例えば、システムコントローラコンピュータ及びイメージ処理コンピュータに通信可能に接続されてもよい。図示の実施形態では、システムコントローラコンピュータ及びイメージ処理コンピュータは、ワークステーションに接続されてもよい。
【0039】
[0067] ロードポートは、EREM130などの、ウェーハ移送システムにウェーハをロードし、且つウェーハ移送システムコントローラは、ロードロック150などの、ロード/ロックにウェーハを移送するようにウェーハの移送を制御する。ロード/ロックコントローラは、チャンバへのロード/ロックを制御し、その結果、検査すべきオブジェクト、例えばウェーハを、クランプ、例えばeチャックとも称される、静電クランプに固定することができる。位置決めデバイス、例えば、zステージ及びx-yステージは、ステージコントローラよってウェーハが移動することを可能にする。実施形態では、zステージの高さは、例えば、ピエゾアクチュエータなどのピエゾコンポーネントを使用して調整されてもよい。電子光学コントローラは、電子光学システムの全ての状態を制御してもよく、且つ検出器コントローラは、電子光学システムから電気信号を受信してイメージ信号に変換してもよい。システムコントローラコンピュータは、コマンドを対応するコントローラに送信する。イメージ信号を受信した後に、イメージ処理コンピュータは、欠陥を特定するためにイメージ信号を処理してもよい。
【0040】
[0068] 上述したように、検査中、オブジェクトは、クランプ又はクランプ配置によってオブジェクトテーブル上に保持される。そのようなクランプ又はクランプ配置は、例えば、静電クランプを備えてもよい。そのような静電クランプは、例えば、オブジェクト、例えば基板と、クランプとの間に引力を生じさせる静電界を生成するように構成された1つ以上の電極を備えてもよい。このように、検査プロセス中に、放射線検査ビームに対してオブジェクトテーブルが変位し得る場合、オブジェクトはオブジェクトテーブル上の固定位置に保持され得る。
【0041】
[0069] 一般に、基板などのオブジェクトを検査するプロセスは以下のステップを伴い得る。
【0042】
[0070] 第1のステップでは、検査対象のオブジェクトがオブジェクトテーブルの近くに移動する。これは、例えばロボット又はハンドラを使用して行うことができる。そのようなロボット又はハンドラは、例えば、オブジェクトをオブジェクトテーブルの上方、特にオブジェクトテーブルの支持/クランプ表面の上方に位置決めするように構成されてもよい。
【0043】
[0071] 第2のステップでは、オブジェクトは、オブジェクトテーブルに、例えば、オブジェクトテーブルの支持/クランプ表面に装着される。このステップは、例えば、オブジェクトテーブルのロード/アンロード機構によって実現され得る。一実施形態では、そのようなロード/アンロード機構は、オブジェクトテーブルを通って突出し、オブジェクトを支持し、オブジェクトをオブジェクトテーブルの支持面上に下降させることができる、1つ以上のピン形状部材を含んでもよい。
【0044】
[0072] 第3のステップでは、いったんオブジェクトがオブジェクトテーブル上に装着されると、オブジェクトをオブジェクトテーブルの支持面にクランプするために、クランプ、例えば静電クランプ、を動作させてもよい。
【0045】
[0073] 第4のステップでは、検査プロセスを実施することができ、その間に、オブジェクトは、粒子ビーム、例えば電子ビームのような、検査ビームにさらされてもよい。このような検査プロセス中に、オブジェクトテーブル及び保持されているオブジェクトを、例えば、上述したようなポジショナを用いて検査ビームに対して変位させることができる。
【0046】
[0074] 第5のステップでは、オブジェクトは、例えば、クランプ又はクランプ配置への通電を断つことによって解放され得る。
【0047】
[0075] 次いで、第6のステップでは、オブジェクトは、例えば、ロード/アンロード機構によって持ち上げられ、支持面から離れる方向に移動されて、ロボット又はハンドラによって受け取られてもよく、次いで、ロボット又はハンドラが、検査された基板を検査装置から除去してもよい。
【0048】
[0076] 前述したプロセスに関連して、1つ以上の問題又は課題が存在し得ることが本発明者らによって認められている。
【0049】
[0077] 特に、前述したような検査プロセス中に、検査装置において従来のオブジェクトテーブルを使用する場合、以下の問題が発生し得る。
【0050】
[0078] 上述した問題又は課題は、特に、検査プロセスが実施された後のオブジェクトのアンロードプロセスに関連する。特に、静電クランプを使用してオブジェクトをクランプする場合、静電クランプの表面に電荷が蓄積する場合があることが観察されている。このような電荷の蓄積は、例えば複数のオブジェクトの処理中に、徐々に生じる場合がある。この表面電荷の結果として、オブジェクトがオブジェクトテーブルから持ち上げられると、オブジェクトの電圧が増加する場合がある。オブジェクトの電圧のこの増加は、オブジェクトと静電クランプ又は周囲の表面との間に放電を生じさせ、オブジェクト、静電クランプ又はその周囲を損傷させる、又はオブジェクト及び静電クランプの周りの空間の汚染を生じさせる場合がある。これは、特に、オブジェクト及び静電クランプが真空チャンバ内に配置される任意の真空装置で問題になり得る。オブジェクトのアンロードの前に、オブジェクトは、例えば、電子ビームなどの粒子ビームを使用して検査されてもよい。そのような検査の間、オブジェクトテーブルの電極、例えばオブジェクトテーブルに装着された高電圧電極は、電圧源並びにオブジェクト自体に接続されてもよい。オブジェクトがアンロードされる必要がある場合、高電圧電極は、例えば接地されてもよく、オブジェクトは電極から切り離され、例えば、オブジェクトテーブルからオブジェクトを持ち上げる又は下降させるロード/アンロード機構を用いてアンロードされる。アンロードプロセス中に静電クランプ上に残留している表面電荷はまた、オブジェクトと静電クランプとの間に引力を生じさせる場合もある。アンロード機構によってオブジェクトをアンロードするために必要な力が増加する場合がある、又はアンロード機構がオブジェクトを持ち上げてアンロードすることができない場合さえある。
【0051】
[0079] 既知の配置では、オブジェクトテーブルの持ち上げ又は下降機構は一般に、検査プロセス中に部材に向かって火花又は放電が発生しないことを確実にするために、電気的に絶縁された部材から作製される。オブジェクトのアンロード中に発生するオブジェクトの電圧の増加は、それが、例えば、アンロードプロセス中は典型的には接地される高電圧電極に向かって、放電又は火花を生じさせるようなものである場合があることが、発明者らによって観察されている。
【0052】
[0080] 上述した問題又は課題を被る場合があるオブジェクトテーブルを
図5に概略的に示す。
【0053】
[0081]
図5は、当技術分野で知られているオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
図5は、オブジェクトテーブル500の断面図を概略的に示し、オブジェクトテーブル500は、支持部材510を備える。オブジェクトテーブル500は、支持部材の凹部内に配置された静電クランプ530を更に備え、静電クランプ530は、オブジェクト520、例えば半導体基板、を支持するための支持面510.1を有する。そのような静電クランプは、電圧供給部に接続され得る1つ以上の電極を備えてもよい。オブジェクトテーブル500は、電極540を更に備え、電極540は支持面510.1を取り囲み、検査中は支持面上にオブジェクト520が装着されている。粒子ビーム検査装置では、そのような電極540は、例えば、オブジェクトを検査するための適切な電界を生成させるために適用され得る。電子ビーム検査装置では、電極は、例えば、オブジェクト520の検査中は負電圧源に接続されてもよい。オブジェクトテーブル500は、ピン形状部材550.1を備えるロード/アンロード機構550を更に備える。使用中、部材550.1は、アクチュエータ550.2によって垂直方向に変位させることができ、したがって、オブジェクト520を支持面510.1から持ち上げること(すなわち、オブジェクトをアンロードすること)、又はオブジェクト520を支持面510.1上に下降させること(すなわち、オブジェクトをロードすること)が可能になる。図示する配置では、アクチュエータ550.2は、例えば、オブジェクトテーブル500を位置決めするように構成された位置決めデバイス560に装着されてもよい。典型的には、ポジショナ及びアクチュエータ550.2は接地される。静電クランプ530及び電極540は、動作中は比較的高い電圧にあり得るので、放電又は火花の発生を回避するために、ピン形状部材550.1は、典型的には、電気的に絶縁された材料から作製される。
図5に概略的に示す既知のオブジェクトテーブル500は、上述した問題を被る場合がある。これは以下の通りに示される。
【0054】
[0082] 半導体基板などのオブジェクトのクランプ中に、静電クランプ530の表面上に電荷の漸進的な蓄積又は集積が生じる場合がある。
図5では、表面電荷とも呼ばれるこのような蓄積電荷は、+及び-記号530.3で示されている。図示する配置では、表面電荷は、オブジェクト520の底面に面する、静電クランプ530の表面上に生成されている。この表面電荷の結果として、オブジェクト520が支持面510.1から持ち上げられたとき、すなわちオブジェクトがアンロードされたとき、オブジェクト520に電圧が誘起される。この電圧は、オブジェクトが静電クランプから絶縁されている、すなわち浮遊電位にあるという事実によって生じる。アンロード中に、絶縁されたピン形状部材550.1によってオブジェクトが支持面から持ち上げられると、オブジェクト520の底面520.1と、表面電荷530.3を有する静電クランプの表面とによって形成される静電容量の変化に起因して、オブジェクト520に電圧が誘起される。両方の表面間の距離が増加するにつれて、静電容量値は減少し、オブジェクト520における電圧が増加する。オブジェクトにおけるこの増加した電圧は、オブジェクト520から近くの導電性表面への、例えば電極540への火花570を生じさせる場合がある。
【0055】
[0083] この火花の課題を軽減させるために、オブジェクトテーブルの電極と、ロード/アンロード機構の上部又は先端との間に電気的接続を設けることが提案されている。このような既知の配置を
図6に概略的に示す。
【0056】
[0084]
図6は、当技術分野で知られているオブジェクトテーブルの断面図を概略的に示す。
図6は、オブジェクトテーブル600の断面図を概略的に示し、オブジェクトテーブル600は、
図5のオブジェクトテーブル500と同様に、支持部材510と、オブジェクト520、例えば半導体基板、を支持するための支持面510.1を提供する静電クランプ530とを備える。図示する配置では、静電クランプ530は、支持部材510の凹部内に配置されている。図示する配置では、静電クランプは、電圧供給部(図示せず)に接続され得る1つ以上のクランプ電極530.1を備える。図示する配置では、オブジェクトテーブル600は、支持面510.1に隣接して配置された電極540を更に備える。使用中、電極540は、例えば、電圧源542、例えば負電圧源、に接続されてもよい。図示する配置では、電圧源542は出力端子542.1によって概略的に表され、出力端子を介して適切な電圧が電極540に印加され得る。高電圧電極540とも呼ばれ得る電極540は、検査中に、オブジェクト520の周囲に実質的に均一な電位が生成されるように、適切な電圧に接続されてもよい。オブジェクトテーブル600は、ピン形状部材550.1を備えるロード/アンロード機構550を更に備える。使用中、部材550.1を、例えばアクチュエータ550.2によって垂直方向に変位させることができ、したがって、オブジェクト520を支持面510.1から持ち上げる(すなわち、アンロードする)ことが可能になる、又はオブジェクト520を支持面510.1上に下降させる(すなわち、ロードする)ことが可能になる。図示する配置では、アクチュエータ550.2は、例えば、オブジェクトテーブル600を位置決めするように構成された位置決めデバイス560に装着されてもよい。図示する配置では、ピン形状部材550.1は、電気的に絶縁された材料から作製されていると考えられる。図示する配置では、オブジェクトテーブル600は、ピン形状部材550.1の上面を電極540に接続する導電体580を更に備える。特に、図示する配置では、導電体580は、ピン形状部材550.1の上面に電気的に接続された1つの端部580.1と、電極540に接続された別の端部580.2とを有する導電性ワイヤを備える。そうすることにより、導電体580は、電極540と同じ電位に保たれる。検査プロセス中、ピン形状部材550.1は、ピン形状部材550.1とオブジェクト520との間に接触がないように後退位置にある。オブジェクトをアンロードする必要があるとき、電極540の電圧を供給する電圧源542は、オフにされることになる、又は低電圧、例えば0V、を出力することになる。図示する実施形態では、同じ電圧が導電体580に印加される。引き続いてオブジェクトがアンロードされるとき、ピン形状部材550.1が上向きに移動し、その結果、ピン形状部材550.1の上面がオブジェクト520の底面520.1と接触することになる。結果として、アンロード中は、オブジェクト520は、電圧源542によって生成され、電極540に供給される電圧、例えば、0V、に維持されることになる。そうすることにより、例えばオブジェクト520から電極540への、火花発生のリスクを減らすことができる。
【0057】
[0085]
図6に概略的に示す配置には、以下の欠点があることが分かっている。
図6に概略的に示すような導電体580の適用が、導電体580の付近に比較的大きな電界の生成をもたらし得ることが観察された。その結果、望ましくない、いわゆる電界放出又は電界電子放出が生じる場合がある。特に、電極540への印加電圧が比較的高い場合に、そのようなリスクが生じる。現在、検査プロセスを改善するために、検査中に電極540に印加される電圧を増加させる傾向がある。したがって、-5kVから-50kVの範囲、又はそれより高い電圧が印加され得る。
図6に示すように、そのような電圧が電極540に印加される場合、導電体580の印加が、前述した電界放出をもたらすであろう。ロード/アンロード機構550のピン形状部材550.1と電極540との間に電気的接続580が提供される既知の配置は、検査プロセス中に機械的障害を生じさせる場合がある。
図6で分かるように、電気的接続580は、支持部材510に装着された電極540と、位置決めデバイス560に装着されたピン形状部材550.1との間に、恒久的な機械的接続をもたらす。位置決めデバイス560と支持部材510との間のそのような機械的短絡は、位置決めデバイス560から、オブジェクト520を支持する支持部材510への、振動の伝達を生じさせる場合がある。支持部材510のそのような振動は、検査プロセスに悪影響を及ぼし得る。オブジェクトの正確な位置決めのために、位置決めデバイス560は、例えば、微細位置決めデバイスと粗い位置決めデバイスとのカスケード配置を備えてもよい。微細位置決めデバイスはまた、ショートストローク位置決めデバイスと呼ばれる場合もあり、一方、粗い位置決めデバイスはまた、ロングストローク位置決めデバイスと呼ばれる場合もある。そのような実施形態では、支持部材510は、例えば、ショートストローク位置決めデバイス(図示せず)によって正確に位置決めされ、一方、支持部材510は、ショートストローク位置決めデバイスと共に、位置決めデバイス560によって比較的長い距離にわたって変位させることができる。そのような実施形態では、560は、例えば、ショートストローク位置決めデバイスと一緒に比較的長い距離にわたって支持部材を移動させるように構成されたリニアモータ又は平面モータのムーバを指し得る。
【0058】
[0086] 本発明の目的は、
図6に示すような配置の前述した欠点を克服する、又は少なくとも軽減させることである。
【0059】
[0087] 特に、本発明の第1の態様によれば、電界電子放出の発生を回避又は軽減するため、及び/又は検査されるオブジェクトを支持する支持部材に向かう振動の伝達を回避又は軽減するための処置が講じられる。
【0060】
[0088] したがって、本発明の第1の態様によれば、一実施形態ではオブジェクトテーブルが提供され、
オブジェクトテーブルは、基板などのオブジェクトを保持するためのクランプ機構と;
オブジェクトの底面に接触してオブジェクトをロード又はアンロードするように構成されたロード/アンロード機構と;を備え、
オブジェクトテーブルは、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクトを所定の電圧に電気的に接続するように構成された導電体を更に備える。
【0061】
[0089] 一実施形態では、導電体は、オブジェクトがオブジェクトテーブル上で保持されるときに、機械的剛性が低い接続を形成するように構成されている。一実施形態では、そのような機械的剛性が低い接続は、導電体を適切に成形又は形成することによって実現されてもよい。「低い機械的剛性」の意味に関して、本発明の意味の範囲内では、ゼロに等しい機械的剛性は、低い機械的剛性の例と考えられることが指摘できる。特に、本発明の様々な実施形態では、導電体は、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクトを所定の電圧に電気的に接続するように構成することができ、オブジェクトがオブジェクトテーブル上に保持されているときに開放されてもよい、すなわち、機械的に切り離されてもよい。
【0062】
[0090] 一実施形態では、導電体は、例えば、断面を有してもよく、導電体の機械的剛性は、同じ断面を有する電線の機械的剛性よりも低い。
【0063】
[0091] そのような実施形態は、例えば、導電体にコイル形状部分又は螺旋形状部分を設けることにより実現され得る。
【0064】
[0092] 本発明の第1の態様による一実施形態では、適用される導電体はコイル形状部分を備える。そのような導電体の例は、
図7a及び
図7bに概略的に示されている。図示する実施形態では、電気コネクタ又はワイヤ680は、オブジェクト620の検査中に電極640に接続されている。したがって、検査プロセス中、ワイヤ680は、例えば負の、比較的高い電圧にあり得る。図示する実施形態では、電気コネクタ680は、一方の端部680.1にてピン形状部材650.1の上部に接続され、他方の端部680.2にて電極640に接続されている。図示する実施形態では、電線680は、電線が比較的高い電圧にあるときに生成される電界を軽減するために、有利には特定の形状で配置される。特に、線680は、コイル形状部分680.3、すなわち、線680が螺旋状に配置される部分を備える。その結果、電線が電圧源に接続されたときに電線によって生成される最大電界が減少し、したがって、いわゆる電界放出又は電界電子放出のリスクが低減される。本発明の意味の範囲内では、コイル形状とは、複数の巻線又はターンを有する、又は螺旋状に配置されていることを指す。コイル形状はまた、ばね形状と呼ばれる場合がある。導電体として電線を使用する代わりに、フレキシブルPCBコネクタの使用について言及することもできる。このようなフレキシブルPCB又はフレックスPCBは、両側が絶縁層で覆われた導電性材料のシートとして説明され得る。このようなフレックスPCBは、コイル形状又は螺旋形状に容易に切断され、本発明の実施形態において可撓性導体として適用されてもよい。
【0065】
[0093]
図7a及び
図7bは、本発明の実施形態に適用され得るような導電体680の予想される配置を概略的に示す。導電体680は、例えば、
図7a、
図7bに示すような形状の裸線、すなわち、絶縁されていない線であってもよい。導電体680の一部はまた、ピン形状部材650.1、特にその上部又は先端と、電極640又はフレックスPCBとの間に配置された電気的に絶縁された又はシールドされたケーブルであってもよい。導電体680はまた、裸の絶縁されていないワイヤを備える第1の部分と、電気的に絶縁された又はシールドされたケーブルを備える第2の部分とを備えてもよい。
【0066】
[0094]
図7aは、ピン形状部材が2つの異なる位置にある場合の、ピン形状部材650.1及び導電体680の断面図を概略的に示す。
図7aの上部では、ピン形状部材650.1は上昇位置にあり、それによりオブジェクト620に接触している一方で、
図7aの下部では、ピン形状部材650.1は後退位置にあり、その結果、オブジェクト620は、オブジェクトテーブル610上に配置されている。図示する実施形態では、電線680、すなわち導電体680を形成する電線は、ピン形状部材650.1の周りに螺旋状に配置され、ピン形状部材650.1の上部と電極640との間に配置されている。電極640はまた、例えば、電極540が支持部材510上に配置されるのと類似の方法で、オブジェクトテーブル610上に配置されてもよい。電線680を螺旋状に、すなわちコイル状に配置することにより、導体の周りに発生する電界を軽減することができる。
【0067】
[0095]
図7bは、ピン形状部材の上部690と電極640との間の電線680の予想される配置の上面図を概略的に示す。図示する実施形態では、電線680の第1の部分680.3は、上部の周りに螺旋状に配置され、電線680の第2の部分680.4は、電極640に向かって蛇行するように配置されている。
【0068】
[0096]
図6、
図7a、及び
図7bに示す実施形態では、導電体680は、ピン形状の持ち上げ部材650.1の上面をオブジェクトテーブル600の電極640に接続するように配置されている。当業者は理解するように、導電体680はまた、ピン形状の持ち上げ部材650.1の上面と、電圧源、例えば電圧源542などの電圧源、の出力端子との間に作製されてもよい。そのような実施形態では、導電体680は、ピン形状部材650.1の上面に接続された1つの端部680.1と、電圧源542の出力端子542.1などの出力端子に接続された別の端部680.2とを有する導電性ワイヤを含んでもよい。そうすることにより、導電体680は、電極640と実質的に同じ電位に保たれる。
【0069】
[0097] この代替的実施形態に関して、電圧源542は、例えば、ポジショナ660上に配置されることを指摘できる。したがって、導電体680は、好ましくは、少なくとも部分的に、電圧源542の出力端子542.1とピン形状部材650.1との間に延びるシールドされたワイヤ又はケーブルである。そのような配置では、少なくとも1つのシールドされていない部分を電気的接続上に有することが有利な場合があり、そのようなシールドされていない部分は、ポジショナ660とオブジェクトテーブル600との間での振動の伝達を軽減するように、より低い剛性を有する。
【0070】
[0098] 導電体680に、コイル形状部分又は螺旋状部分を設ける代わりに、電界電子放出を軽減又は回避するために、導電性シールドの適用が考慮されてもよい。そのような実施形態を、
図7cに概略的に示す。
図7cは、ピン形状部材650.1及び導電体680の断面図を概略的に示す。ピン形状部材650.1は上昇状態にあり、それにより、オブジェクト620をオブジェクトテーブル610の上方に持ち上げている。図示する実施形態では、電線780は、1つの端部780.1にてピン形状部材650.1の上部に配置され、別の端部780.2にて電極640に配置されている。電極640は例えば、例えば、電極540が支持部材510上に配置されるのと類似の方法で、オブジェクトテーブル610上に配置されてもよい。図示する実施形態は、例えば、オブジェクトテーブル610に装着され得る電気シールド790を更に備える。図示する実施形態では、電気シールドは、例えば、半球形状を有してもよく、ピン形状部材が突出することを可能にする第1の開口790.1と、電線780が通過することを可能にする第2の開口790.2とを備える。そのような電気シールド790は、電界電子放出を軽減又は回避することも可能にする。
【0071】
[0099] 図示する実施形態では、電線780は、電線をシールド790に接続する導体780.3を含み、したがって、シールドが、シールドされている電線と同じ電圧にあることが確実になる。代替として、電線780は、電極640をシールド790に接続する第1の電線と、シールド790をピン形状部材650.1に、特にピン形状部材の導電性上部に接続する第2の電線とを含んでもよい。代替として、シールドは、ピン形状部材650.1に機械的に接続され、ピン形状部材と共に移動してもよい。そのような実施形態では、電線780はまた、電極640をシールド790に接続する第1の電線と、シールド790をピン形状部材650.1に接続する第2の電線とを含んでもよい。代替として、シールドは、ピン形状部材650.1の導電性上部に機械的に接続されてもよい。そのような実施形態では、電極640とシールド790との間の電線のみが必要である。
【0072】
[00100]
図7a及び
図7bを参照して説明した実施形態では、コイル形状部分を有する導電体の適用はまた、ピン形状部材650.1と電極640との間の機械的剛性を低減させる。導電体680の少なくとも一部を螺旋状に又は蛇行するように配置することにより、導体の機械的剛性の低減が得られる。結果として、例えばピン形状部材650.1から電極640までの振動の伝達が減少する。これにより、オブジェクト620のより正確な検査プロセスが可能になる。
【0073】
[00101] 本発明の一実施形態では、ロード/アンロード機構は、1つ以上の持ち上げ部材、例えば、ピン形状の持ち上げ部材を備え、ロード及びアンロード中にオブジェクトに接触するように構成されたその接触領域は恒久的に接地されている。これは、例えば、一実施形態では、導電性材料から持ち上げ部材を作製することによって実現され得る。代替として、導電性ワイヤを、接触領域、例えばピン形状部材の上面と、電気接地端子との間に接続できる。そのような実施形態では、検査プロセス中の火花の発生を回避するために、ピン形状の持ち上げ部材を、比較的長い距離にわたって後退させる必要があり得ることに留意されたい。検査プロセス中に電極640に印加される電圧に応じて、ピン形状の持ち上げ部材を、例えば、静電クランプの下方に数センチメートル、例えば50mm、後退させる必要があり得る。そのような実施形態では、ピン形状部材と、電極640、すなわちオブジェクトテーブルの高電圧電極との間の距離が、ピン形状部材と電極との間での放電を回避するように十分に大きくなるように、恒久的に接地されたピン形状部材を後退させる又は下降させるべきである。
【0074】
[00102] 代替的実施形態では、オブジェクトテーブルは、オブジェクトのアンロード中に、又はアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクトを接地するための専用のピン形状部材を備える。そのような実施形態を、
図8に概略的に示す。
【0075】
[00103]
図8では、本発明の一実施形態によるオブジェクトテーブル800を概略的に示す。オブジェクトテーブル800は、支持部材610と、オブジェクト520、例えば半導体基板、を支持するための支持面610.1を提供する静電クランプ630とを含む。支持部材610は、オブジェクト620、例えば半導体基板又はレチクル、を支持するための支持面610.1を有する。図示する実施形態では、静電クランプ630は、支持部材610の凹部内に配置されている。オブジェクトテーブルは、電極640と、ロード/アンロード機構650とを更に備える。静電クランプ630の電極配置又は電極640用の電圧供給部などの更なる詳細は、明確にするために省略されている。図示する実施形態では、オブジェクトテーブル800は、オブジェクト620、特にオブジェクト620の底面620.1、に接触するように構成されたピン形状部材810を更に備える。図示する実施形態では、ピン形状部材810は、導電性材料から作製されていると考えられ、恒久的に接地されている。図示する実施形態では、ピン形状部材810は、アクチュエータ815によって、示されるZ方向に移動できる。本発明によれば、アンロード中に部材810を上昇させて、部材がオブジェクト620に接触しているように、アンロードシーケンスの前及び/又は最中に、又はその一部にて、恒久的に接地されたピン形状部材810を適用して、オブジェクト620を接地させることができる。接地の結果として、オブジェクト620において誘起される電圧が存在しないことになり、その結果、オブジェクト620から、例えば電極640に向かって、火花が発生するリスクは低減される。この実施形態では、ピン形状部材810と、電極640、すなわちオブジェクトテーブルの高電圧電極との間の距離が、ピン形状部材と電極との間での放電を回避するように十分に大きくなるように、ピン形状部材810が検査中に十分に後退している又は下降しているように構成されていることを確実にすることが重要である。
【0076】
[00104] 恒久的に接地されたピン形状部材が適用される上述した実施形態は、ピン形状部材とオブジェクトテーブルの高電圧電極との間に、振動を伝達させ得る有線の電気的接続が存在しないという利点をもたらす。このような専用の恒久的に接地されたピン形状部材の適用は、この部材がアンロード中にオブジェクトに接触しさえすればよいので、比較的直接的であり得ることも指摘できる。したがって、例えば、ロード/アンロード中に、オブジェクトの位置を制御するための部材の正確な位置制御は必要ない。上述したような高電圧電極がオブジェクトテーブルに設けられている、本発明の一実施形態では、アンロードシーケンスの前に、高電圧電極とアンロードされるオブジェクトとの間の距離を増加させることにより、高電圧電極に向かう放電が回避又は軽減される。これは、例えば、高電圧電極が後退する、例えばオブジェクトから下降される又は離れる方向に移動するように、高電圧電極を構成することによって実現され得る。そのような実施形態では、高電圧電極は、例えばオブジェクトをアンロードする前に下降させることができる、後退可能な高電圧リングとして、例えば、構成されてもよい。代替として、オブジェクトテーブルのオブジェクトを保持するためのクランプ機構は、アンロードシーケンスの前に、高電圧電極から離れる方向に移動するように構成できる。そのような実施形態では、オブジェクトを保持するクランプ機構は、高電圧電極と比較して上昇されていてもよい。その結果、クランプ機構と高電圧電極との間の距離が増加し、したがって、オブジェクトから高電圧電極への放電のリスクが低減される。
【0077】
[00105] 一実施形態では、本発明によるオブジェクトテーブルに適用される電気コネクタは2つの部材を備える。そのような実施形態では、電気コネクタの2つの部材は、特定の条件下で電気的接続を形成するように構成され得る。特に、電気コネクタの2つの部材は、ロード/アンロード機構が特定の位置又は特定の範囲にあるときに接続するように構成され得る。そうすることで、例えば、2つの部材間の機械的接続が、検査プロセス中には存在せず、アンロードシーケンスの少なくとも一部の間でのみ存在することを確認できる。したがって、検査プロセス中の電気的接続を介した振動の伝達が回避され得る。
図9及び
図10は、そのような配置の2つの可能な実施形態を概略的に示す。
図9は、本発明によるオブジェクトテーブルに適用されるようなロード/アンロード機構に適用できるピン形状部材900を概略的に示す。ピン形状部材900は、オブジェクト920を支持することができる支持面910に対して2つの異なる位置に示されている。概略的に示されるピン形状部材900は、導電性である上部900.1を有する。図示する配置は導電体950を更に備え、導電体950は、ピン形状部材900.1の上部900.1にヒンジ結合された第1の導体部材950.1、例えば、可撓性を有し湾曲可能な棒状の導電体を備える。第1の導体部材950.1は、ピン形状部材900が上向きに移動したときに、矢印960によって示されるように旋回又は回転できるように更に構成されている。旋回又は回転の結果として、第1の導体部材950.1の端部950.11を、導電体950の第2の導体部材950.2に接触させることができる。これは、
図9の右上部分に概略的に示されている。図示する配置では、ピン形状部材900の上部900.1がオブジェクト920に接触したときに、端部950.11が第2の導体部材950.2に接触するようになっている。図示する実施形態では、第2の導体部材950.2は、電気的接地又は接地電位に接続されてもよい。
図9の右下部分に示すように、ピン形状部材900.1が更に上向きに移動すると、第1の導体部材950.1は、第2の導体部材950.2と接触した状態を維持して湾曲し得る。第1の導体部材950.1は、カンチレバーとして機能すると考えることができる。ピボット点960の位置を適切に選択することにより、ピン形状部材900の比較的小さな変位が、第1の導体部材950.1の端部950.11の比較的大きな変位をもたらすことができ、それにより、端部950.11と接地された第2の導体部材950.2との間に十分に大きなギャップが存在することが確実になる。第2の導体部分又は部材950.2を電気的に接地する代わりに、第2の導体部材950.2は、上述した電極640などの電極に、又は電圧源642に接続されてもよいことに留意されたい。
【0078】
[00106]
図10は代替的実施形態を概略的に示し、ロード/アンロード機構が特定の位置又は範囲にある場合に、電気コネクタが接続を提供するように構成されている。図示する実施形態では、導電体はまた、2つの部材を有すると考えることもできる。
【0079】
[00107] 図示する実施形態では、ピン形状部材1000の上部1000.1は導電性である、例えば、導電性材料で構成されている又は導電性コーティングを含む、と考えられる。したがって、そのような導電性上部は、導電体の第1の導電性部材と考えることができる。図示する実施形態では、ピン形状部材は、電気的接続又はコネクタの第2の導電性部材1020の開口1010を通って突出するように構成され、それにより、ピン形状部材1000が開口1010から突出した場合、ピン形状部材1000と導電性部材1020との間に電気的接続が形成される。導電性部材1020は、概略的に示すように、電極640に接続されている。電極640は、上述したように、例えば、電圧源に接続され得る。導電性部材1020はまた、電圧源に直接接続されてもよい。電気的接触を確実にするために、開口は、複数の微細な導電性要素1030、例えば、ブラシ又は毛のような導電性ワイヤを備えてもよく、導電性ワイヤは、例えば、
図10の右側部分に示すように、ピン形状部材1000が開口1010から突出するときに、開口を少なくとも部分的に隠すように配置されてもよく、そして偏向し得る。したがって、支持面910上で支持されるオブジェクト920のアンロードシーケンスの少なくとも一部の間、オブジェクト920は、所定の電圧又は電位、すなわち電極640に印加される電位に電気的に接続される。
【0080】
[00108] 図示する実施形態では、第2の導体部材950.2、1020は、例えば、高電圧電極を介して、直接的に又は間接的に潜在的な既定の電圧源に接続されている。したがって、これらの実施形態はまた、オブジェクト920のアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクト920が既定の電圧に接続されることを確実にする。そうすることにより、上述したように、オブジェクトの電圧を制御することができる。例えば、オブジェクトテーブルの静電クランプの表面電荷と、アンロード中の静電容量の減少とによって生じるオブジェクト920の電圧増加を回避又は軽減できる。
【0081】
[00109] オブジェクトテーブルが上述したような高電圧電極を備える本発明の実施形態では、例えば、アンロード中に又はアンロードの少なくとも一部の間に、上昇された電圧を高電圧電極に印加することにより、オブジェクトのアンロード中における高電圧電極への放電を回避又は軽減することができる。
【0082】
[00110] 一実施形態では、
図10に示す実施形態と同様に、適用される電気的接続は、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクト上に蓄積した任意の電荷の制御された放電が実現されるように構成されている。電気コネクタの少なくとも1つの部材を適切に成形することにより、特に、例えば、それを先の尖った針に成形することにより、2つの導体部材間において制御された放電が生じる可能性がある。そのような実施形態を、
図11a及び
図11bに概略的に示す。
【0083】
[00111]
図11aは、以下を除いて、
図10と同様であると考えることができる。
【0084】
[00112]
図11aでは、電極640に接続されている第2の導電体部材1020は、開口1010の円周に沿って配置され、例えば内側に向いた、1つ以上の針状導電体1110を備える。針状導体は、開口1010を通るピン形状部材1000の通路を隠す必要がないことに留意されたい。ピン形状部材1000が、例えば、オブジェクト920を支持面910からアンロードするために、開口1010から突出している場合、オブジェクトの電圧増加は防止される。なぜなら、アンロードシーケンスの少なくとも一部の間、導電性上部1000.1と針状導体1110を備える第2の導電体部材1020とによって形成される電気的接続又はコネクタが、オブジェクトの放電1120を可能にすることになるからである。
【0085】
[00113] 制御された放電1120に起因して、オブジェクトの電圧がアンロード段階中に上昇することはもはやない。したがって、オブジェクトテーブルに向かって火花又は放電が発生するリスク、例えば、オブジェクトテーブル上の電極に向かうリスクは軽減される。
【0086】
[00114] 理解されるように、ピン形状部材の導電性部分が、特定の位置範囲において電気的接続を形成し、別の範囲において切り離されるように構成された代替の配置を考案することもできる。
【0087】
[00115] 図示する実施形態では、針状導体1110は、第2の導電体部材1020上に設けられている。代替として、針状導体はまた、ピン形状部材1000の導電性上部1000.1に設けられてもよい。そのような実施形態では、電気的接続を必要な位置範囲に形成するために、第2の導電体部材1020は適切に成形され得る。そのような実施形態を、
図11bに概略的に示す。図示する実施形態では、ピン形状部材1000の導電性上部1000.1には、針状導体1110が設けられている。
図11bの右側に見られるように、ピン形状部材が上昇すると、針状導体1110は、放電を可能にするように第2の導電体部材1020と相互作用し得る。理解されるように、
図11a及び
図11bの実施形態を組み合わせてもよく、したがって、第2の導電体部材1020とピン形状部材1000の導電性上部1000.1との両方に針状導体1110がある。
【0088】
[00116]
図12は、例えば、ロード/アンロード機構のピン形状部材1200の第1の導体部材1210が、可撓性導電性部材1220.1を有する第2の導体部材1220に接触するように構成された配置を示す。
図12の右側部分に示されるように、例えば、オブジェクト920を支持面910からアンロードするために、ピン形状部材1200が持ち上げられた場合、第1の導体部材1210は、第2の導体部材1220と接触することができ、それにより、オブジェクト920のアンロードシーケンスの少なくとも一部の間、例えば電極640への接続を介して、オブジェクト920と既定の電圧との間に接触が確立される。
【0089】
[00117] 更に、ピン形状部材の上面が、例えば接地されている又はHVソースに接続されている、接続された状態と、上面が、例えば、その電位を調整することが可能な、すなわち浮遊電位を有する、切り離された状態との間で、ピン形状部材を切り替える代替的方法が
図13に概略的に示される。
【0090】
[00118]
図13では、本発明の一実施形態によるオブジェクトテーブル1300を概略的に示す。オブジェクトテーブル800は、支持部材610と、オブジェクト520、例えば半導体基板又はレチクル、を支持するための支持面610.1を提供する静電クランプ630とを含む。図示する実施形態では、静電クランプ630は、支持部材610の凹部内に配置されている。オブジェクトテーブルは、電極640と、ピン形状部材1350.1及び1350.2を備えるロード/アンロード機構1350とを更に備える。静電クランプ630の電極配置又は電極640用の電圧供給部などの更なる詳細は、明確にするために省略されている。
【0091】
[00119]
図13では、ピン形状部材1350.1は、例えば既知のロード/アンロード配置で適用されるような、例えば従来の絶縁されたピン形状部材であってもよい。しかしながら、ピン形状部材1350.2は、導電性上部1350.21と、例えば接地するように構成された導電性下部1350.22と、イオン化可能なガスで充填され得る中間部分1350.23とを備える。中間部分1350.23は、例えば、ガスをイオン化するための一対の電極を備えるチューブであってもよい。このような配置では、ピン形状部材1350.2の導電率を制御することができる。一対の電極に供給される電圧を制御することにより、中間部分1350.23においてイオン化ガスを生成させ、それにより中間部分を導電性にすることができる。そうすることにより、上部1350.21は下部1350.22に電気的に接地される。したがって、そのような実施形態では、ピン形状部材1350.1は、オブジェクトがロード又はアンロードされるときは導電させることができ、オブジェクトが検査されているときは絶縁させることができる。
【0092】
[00120] 中間部分の内部にあるガスをイオン化する代わりに、ピン形状部材のうちの1つ以上が、既にイオン化されているガスを収容するように構成されてもよい。そのような実施形態では、1つ以上のピン形状部材の導電率が、ピン形状部材の内部にあるガスをイオン化するのではなく、既にイオン化されたガスをピン形状部材に供給する及びピン形状部材から排出することによって、制御され得る。
【0093】
[00121] 比較的容易にイオン化され得る適切なガスは、例えば、アルゴン又はネオンを含み得る。
【0094】
[00122] これまで論じた実施形態では、オブジェクトは、アンロード段階の少なくとも一部の間に、ロード/アンロード機構を介して、特にこの機構のピン形状部材を介して、所定の電圧又は電圧源に接続されるように構成されている。しかしながら、電気コネクタの代替の配置もまた考案され得る。
【0095】
[00123] 一例として、オブジェクトと所定の電圧との間の電気的接続は、例えば、移動可能な電極又は電気コネクタを使用して、オブジェクトの縁部又は上面にさえ接触することによって実現されてもよい。これには、ハンドラ又はハンドリングロボットのグリッパが適している場合がある。したがって、一実施形態では、本発明によるオブジェクトテーブルは、ロボットハンドラ、例えば、エンドエフェクタグリッパ、例えば導電性又は半導電性のエンドエフェクタグリッパを備えるロボットハンドラ、と協働するように構成することができ、エンドエフェクタグリッパは、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、アンロードされるオブジェクト、例えばオブジェクトの縁部又は上面、に接触するように構成されている。エンドエフェクタグリッパが接地されている場合、そのような配置はまた、少なくともアンロードシーケンスの一部の間に、オブジェクトが既定の電圧又は電圧源に接続されることを確実にすることを可能にする。アンロードシーケンスの少なくとも一部の間にオブジェクトに接触するためにエンドエフェクタグリッパを適用する代わりに、ロボットハンドラのエンドエフェクタグリッパは、アンロードの少なくとも一部の間にオブジェクトに接触するための電極又は接触部、例えば細い可撓性導線、を備えてもよい。一実施形態では、オブジェクトテーブルの高電圧電極は、そのようなアンロード中又はそのようなアンロードの少なくとも一部の間に、オブジェクトと高電圧電極との間に挿入された半導電性エンドエフェクタグリッパによって、オブジェクトから電気的に絶縁されてもよい。
【0096】
[00124] 代替として、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間、可撓性を有する導電性接触部を、例えばオブジェクトの縁部に沿って設けることができる。そのような実施形態を、
図14に概略的に示す。
図14に概略的に示すオブジェクトテーブル1400は、支持部材610と、オブジェクト520、例えば半導体基板、を支持するための支持面610.1を提供する静電クランプ630とを備える。支持部材610は、オブジェクト620、例えば半導体基板又はレチクル、を支持するための支持面610.1を有する。図示する実施形態では、静電クランプ630は、支持部材610の凹部内に配置されている。オブジェクトテーブルは、電極640と、ピン形状部材1450.1を備えるロード/アンロード機構1450とを更に備える。好ましい実施形態では、ロード/アンロード機構1450は、例えば、3つのピン形状部材を備えてもよい。静電クランプ630の電極配置又は電極640用の電圧供給部などの更なる詳細は、明確にするために省略されている。図示する実施形態では、オブジェクトテーブル1400は、オブジェクト620のアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクト620の縁部又は底面に接続するための可撓性電気コネクタ又は接続部1460を更に備える。図示するように、可撓性電気コネクタ1460は、例えば電線1460.1を介して、電極640に接続されている。可撓性電気コネクタ1460は、例えば、スライド式でオブジェクトに接触するように構成され得る。代替として、可撓性電気コネクタ1460の末端部分1460.2にローラ接触部を設けることにより、粒子が発生するリスクを軽減できる。電気コネクタ1460を、例えば、板ばね又は板ばねのような部材とすることができる。この部材は、オブジェクト620との接触が維持されるように、オブジェクトがロードされるときに下向きに湾曲でき、アンロードの少なくとも一部の間に上向きに湾曲できる。
【0097】
[00125]
図14に示す配置の代替として、可撓性電気コネクタ1460は、例えば、オブジェクトの底面620.1の下方、すなわち、オブジェクトの支持面610.1と底面620.1との間に装着されるばね状のコネクタであってもよい。そのとき、このばねは、コネクタ1460が電極に接続されるのと同様の方法で、高電圧電極640に接続されてもよい。
【0098】
[00126]
図14に示す電気コネクタ1460の代替として、適用される電気コネクタは、支持面610.1と、支持されるオブジェクトの底面620.1との間に配置された導電性ばね又はばね様の導体を備えてもよい。そのようなばね又はばね様の導体は、オブジェクト620がロードされているときに圧縮されるように構成され、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間にオブジェクト620との接触が維持されるように伸長するように構成され得る。ばねは更に、電線を介して電極640に接続されてもよい。
【0099】
[00127] オブジェクトと、所定の電圧、例えば電気接地電位との間に電気的接続を設けるための代替的方法は、オブジェクトと静電クランプとの間のボリュームをイオン化ガスでパージする方法である。そのようなガスは、オブジェクトと、その周辺にある任意の材料、例えば、上述した電極640などの、オブジェクトを取り囲む電極との間に、電気的接続を形成すると考えることができる。したがって、イオン化ガスは、本発明の意味の範囲内では、導電体、すなわちガス状導電体であると考えることもできる。そのようなイオン化ガスの流れの適用はまた、少なくとも部分的に、静電クランプ630の表面に生成された表面電荷の相殺又は補償をもたらし得ることを更に指摘できる。
【0100】
[00128] したがって、本発明の実施形態では、静電クランプ630の表面への表面電荷の蓄積を軽減又は回避するために、イオン化ガスを使用して、オブジェクトの下方及び/又は静電クランプの上方にあるボリュームのパージが、例えば定期的に、実施される。
【0101】
[00129] そのような実施形態では、例えばアンロード中にオブジェクトを接地することにより、蓄積された表面電荷のいかなる悪影響をも軽減しようと企てるよりもむしろ、表面電荷自体が軽減又は除去される。
【0102】
[00130] 本発明の第2の態様によれば、基板などのオブジェクトを保持するように構成されたオブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、
オブジェクトを保持するように構成された静電クランプと;
静電クランプの電気的特性を決定するように構成された測定ユニットであって、電気的特性は、静電クランプの電荷状態を表す、測定ユニットと;
決定された電気的特性に基づいて、オブジェクトのアンロード中に、静電クランプの電力供給部を制御するように構成された制御ユニットと、を備える。
【0103】
[00131] 本発明の第2の態様によれば、オブジェクトテーブルが提供され、オブジェクトテーブルは、オブジェクトのアンロード前及び/又は最中に、静電クランプの決定された電気的特性に基づいて、オブジェクトテーブルの静電クランプの電力供給部を制御することが可能である。ここで、電気的特性は、静電クランプに電圧が印加されていないときの静電クランプの電荷状態、特に静電クランプ上の残留電荷、を表す。
【0104】
[00132]
図5を参照して上述したように、半導体基板などのオブジェクトをオブジェクトテーブル上に保持するために静電クランプを使用すると、その結果、静電クランプの表面に表面電荷が発生する場合がある。この表面電荷は、オブジェクトとオブジェクトテーブルとの間、特にオブジェクトとオブジェクトテーブルの静電クランプとの間に、付着力とも呼ばれる引力を生じさせる。当業者は理解するように、オブジェクトテーブルからオブジェクトをアンロードするためには、この付着力を克服しなければならない。換言すれば、オブジェクトテーブルからオブジェクトをアンロードするには、付着力に少なくとも等しく且つ付着力とは反対方向に向いた力を、オブジェクトに加えることが必要になる。したがって、付着力が大きいほど、アンロード力、すなわちオブジェクトをアンロードするのに必要な力は、より大きい必要があることになる。アンロード力は、典型的には、1つ以上のピン形状部材を備えるロード/アンロード機構を使用して加えられるので、生成され得るアンロード力は、比較的小さい場合がある。また、1つ以上のピン形状部材を介して比較的大きなアンロード力をオブジェクトに印加すると、オブジェクトに損傷を与える場合がある。
【0105】
[00133] 例えば
図5を参照して説明したような典型的なオブジェクトテーブルでは、オブジェクトテーブルに適用されるような静電クランプは、オブジェクトのアンロード中には電力が供給されないであろう。しかしながら、本発明の第2の態様によれば、静電クランプの電荷状態を表す、決定された電気的特性に基づいて、アンロード中に、静電クランプの電力供給部、すなわち静電クランプに供給される電力、を制御することが提案される。そうすることにより、以下でより詳細に説明するように、静電クランプの帯電段階を考慮することができ、クランプ力、すなわち残留した又は恒久的なクランプ力に対する電荷状態の影響を補償する、打ち消す、又は軽減するための適切な処置を講ずることができる。決定された電気的特性に基づいて、静電クランプの電力供給部をアンロード中に制御することの代替として又はそれに加えて、オブジェクトのクランプ中にも静電クランプの電力供給部を制御してもよい。特に、本発明の一実施形態では、静電クランプの電荷状態、又はクランプ力への電荷状態の影響を、オブジェクトのクランプ中に考慮することができる。すなわち、静電クランプに適切に電力を供給することにより、静電クランプの測定された又は決定された電荷状態の影響を考慮することができ、したがって、必要なクランプ力を確実に得ることができる。一例として、クランプの負電極の近くのクランプ表面における電荷が負である場合、同じ正味のクランプ力をもたらすのに必要なクランプ電圧は、より小さくなる。同様に、正のクランプ電極の近くにある負電荷は、表面電荷がそこでのクランプ力を打ち消すので、同じクランプ力を実現するのに、正のクランプ電極に、より大きな正の電圧を必要とすることになる。
【0106】
[00134] 本発明の第2の態様によれば、静電クランプの電力供給部、又は静電クランプに供給される電力は、決定された電気的特性に基づいて、付着力を少なくとも部分的に補償し、打ち消し、又は軽減できるように、制御することができる。更に、そうすることにより、オブジェクトとオブジェクトテーブル、例えばオブジェクトテーブル上の高電圧電極、との間の放電も回避され得る。
【0107】
[00135]
図15は、本発明の第2の態様によるオブジェクトテーブル1500の実施形態を概略的に示す。
図15では、本発明の一実施形態によるオブジェクトテーブル1500を概略的に示す。オブジェクトテーブル1500は、
図6のオブジェクトテーブル600と同様に、オブジェクト620、例えば半導体基板、を支持するための支持面610.1を有する支持部材610を含む。図示する実施形態では、静電クランプ630が、例えば支持部材610に埋め込まれて、支持面610.1の下方に配置されている。図示する実施形態では、オブジェクトテーブルは、任意選択のフィーチャとして、電極640及びロード/アンロード機構650を更に備える。静電クランプ630の電極配置又は電極640用の電圧供給部などの更なる詳細は、明確にするために省略されている。本発明の第2の態様によれば、オブジェクトテーブル1500は、静電クランプの電気的特性を決定するように構成された測定ユニット1510を更に含み、点線1510.1で示される電気的特性は、静電クランプ630の電荷状態を表す。本発明の第2の態様によれば、オブジェクトテーブル1500は、決定された電気的特性に基づいて、オブジェクト620のアンロード中に、静電クランプ630の電力供給部1530を制御するように構成された制御ユニット1520を更に備える。ライン1530.1は、電力供給部1530による静電クランプ630への電力供給を示す。電力供給部1530は、例えば、静電クランプ630の1つ以上の電極に適切な電圧を供給することにより、静電クランプ630に電力を供給できる。電力供給部1530は、例えば、オブジェクトテーブル1500の制御ユニット1520によって制御され得る。本発明の第2の態様によれば、制御ユニット1520は、決定された電気的特性に基づいて、オブジェクト620のアンロード中に、静電クランプ630の電力供給部1530を、矢印1520.1で示されるように制御するように構成されている。電気的特性は、例えば入力信号1520.2によって制御ユニット1520に提供され得る。
【0108】
[00136] 本発明の第2の態様によれば、オブジェクトテーブル1500の測定ユニット1510は、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性を決定するように構成されている。静電クランプの電荷状態は、例えば、静電クランプの表面上に蓄積された表面電荷を示し得る。
【0109】
[00137] 本発明によれば、電気的特性を決定し、決定された電気的特性に基づいて静電クランプの電力供給部を制御するための様々な方法が考案される。
【0110】
[00138] 静電クランプの電気的特性を決定するための第1の方法は、オブジェクトのアンロードシーケンスの初期部分の間に、例えば、オブジェクトがまだ支持面上にあるときに開始するアンロードシーケンスの部分の間に測定を実施することである。
【0111】
[00139] 一実施形態では、測定ユニット1510は、この初期部分の間に、測定を実行することによって、クランプの電荷状態を表す静電クランプの電気的特性を決定するように構成されている。この測定は、例えば、静電クランプの特性の測定、又はアンロード中のオブジェクトの特性の測定であり得る。
【0112】
[00140] 前者の場合、すなわち静電クランプの特性の測定が実施される場合、測定ユニット1510は、例えば、電気的特性として、クランプの1つ以上の電極から出る又は電極に向かう電流を測定するように構成されてもよい。そのような場合、電力供給部1530は、例えば、アンロードシーケンスの初期部分の間に、電極を所定の電位、例えばゼロボルトに維持する、すなわち、電力供給部は電極に0Vの電圧を供給するように構成され得る。
【0113】
[00141] しかしながら、アンロード中に電圧を0Vに維持するために、静電クランプ上の電荷の存在に起因して、電極に電流が入る又は電極から電流が出ることになる。これは次のように理解される。オブジェクトがアンロードされると、すなわちオブジェクトとクランプとの間の距離が増加すると、オブジェクト及びクランプよって形成される静電容量の変化と、静電クランプ上の表面電荷とに起因して、(上述したように)オブジェクトに電圧が誘起されることになる。表面電荷が存在に起因して、電力供給部によって電圧が印加されていない場合には電極の電圧も変化するという点で、この静電容量の変化は、静電クランプの電極にも影響を及ぼす。したがって、静電クランプ630の電力供給部1530がクランプを0Vに保持する場合、0Vを維持するために、アンロードシーケンス中に、電極から出る又は電極に向かう電流が存在する。この電流は、クランプ上の表面電荷の存在に起因して生じるので、この電流は、静電クランプの電荷状態又はクランプの表面電荷を表すと考えることができる。その電流を、電荷状態を表す電気的特性として測定した後、制御ユニット1520は、次いで、電気的特性に基づいて、静電クランプ630の電力供給部1530を制御してもよい。特に、制御ユニット1520は、静電クランプの電荷状態の影響を打ち消す又は軽減する電圧を1つ以上の電極に供給する方法で、電力供給部を制御できる。
【0114】
[00142] 静電クランプの電荷状態の影響を軽減するために必要な電圧は、例えばシミュレーションと組み合わされた、例えば、経験的データ、例えば実験データに基づいて決定され得る。
【0115】
[00143] 別の実施形態では、測定ユニットは、例えばアンロードシーケンス又はその一部の間に、クランプの電荷状態を表す静電クランプの電気的特性として、クランプの1つ以上の電極の電圧を測定するように構成され得る。そのような実施形態では、電力供給部1530は、例えば、アンロードシーケンス又はその一部の間に、静電クランプの1つ以上の電極を電力供給部から切り離すように構成されていてもよい。そうすることにより、1つ以上の電極の電位又は電圧は浮動又は未定義になる。結果として、電極の電位又は電圧は、アンロードシーケンス又はその一部の間に変化し得る。静電クランプ上に表面電荷が存在する場合、オブジェクトがアンロードされると、静電容量の変化に起因して、1つ以上の電極における電圧は実際に変化する。したがって、この実施形態では、測定ユニット1510は、オブジェクトのアンロードシーケンス中に、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性として、静電クランプの1つ以上の電極における電圧を測定するように構成され得る。次いで、この電気的特性に基づいて、電力供給部1530を制御する制御ユニット1520は、静電クランプ630の電力供給部を制御してもよい。特に、制御ユニット1520は、静電クランプの電荷状態の影響を打ち消す又は軽減する電圧を1つ以上の電極に供給する方法で、電力供給部1530を制御してもよい。
【0116】
[00144] 更に別の実施形態では、上述したように、測定ユニット1510は、静電クランプではなくオブジェクトに対して測定を実施することにより、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性を決定するように構成されている。本発明の第1の態様に関して上述したように、表面電荷を有する静電クランプからオブジェクトがアンロードされると、表面電荷に起因して、そしてオブジェクトがクランプから離れたときの静電容量の変化に起因して、(オブジェクトが接地されていないと想定すると)前述した電圧において電圧が誘起されることになる。したがって、一実施形態では、本発明によるオブジェクトテーブルに適用される測定ユニットは、アンロードシーケンスの初期部分の間に、オブジェクトに誘起される電圧を決定、測定するように構成することができる。誘起される電圧は、静電クランプ630の表面電荷又は電荷状態に直接関係するので、誘起される電圧を使用して、クランプの電荷状態を表す、静電クランプの電気的特性を決定することができる。いったん電気的特性が決定されると、静電クランプ630に電力を供給する電力供給部1530を制御するために、上述したのと同様の方法で、電気的特性を適用することができる。アンロードシーケンスの初期部分の間にオブジェクトに誘起された電圧を測定するために、上述したような電気コネクタ又は導体が例えば適用され得る。特に、例えば、ロード/アンロード機構の導電性ピン形状部材を使用して、オブジェクトにおいて誘起された電圧を測定するためのプローブとして機能させることができる。したがって、アンロードシーケンスの初期部分の間にオブジェクトにおいて誘起された測定された電圧に基づいて、制御ユニットは、静電クランプの電荷状態の影響を打ち消す又は軽減する電圧を1つ以上の電極に供給する方法で、静電クランプに電力を供給する電力供給部を制御することができる。
【0117】
[00145] 更に別の実施形態では、測定ユニット1510は、オブジェクトに対して電流測定を実施することにより、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性を決定するように構成されている。オブジェクトがアンロードシーケンス中に所定の電位、例えば電気接地電位、に接続されている場合、アンロード中にこれらの電極がゼロ電圧源に接続されているときに、電流が静電クランプの電極に又は電極から流れることになるのと同様に、オブジェクトがアンロードされているときは、電流がオブジェクトに又はオブジェクトから流れることになる。この電流は、静電クランプ630の表面電荷又は電荷状態に直接関係するので、誘起される電圧を使用して、クランプの電荷状態を表す、静電クランプの電気的特性を決定することができる。いったん電気的特性が決定されると、静電クランプ630に電力を供給する電力供給部1530を制御するために、上述したのと同様の方法で、電気的特性を適用することができる。アンロードシーケンスの初期部分の間にオブジェクトに流入する又はオブジェクトから流出する電流を測定するために、上述したような電気コネクタ又は導体が例えば適用され得る。上述したように、そのような電気コネクタ又は導体は、少なくともアンロードシーケンスの一部の間、オブジェクトとの接触を維持するように構成され、したがって、オブジェクトの電圧の監視/測定を可能にする。したがって、アンロードシーケンスの初期部分の間にオブジェクトにおいて誘起された測定された電圧に基づいて、制御ユニットは、静電クランプの電荷状態の影響を打ち消す又は軽減する電圧を1つ以上の電極に供給する方法で、静電クランプに電力を供給する電力供給部を制御することができる。
【0118】
[00146] これまでに説明した本発明の第2の態様によるオブジェクトテーブルの実施形態では、オブジェクトテーブル、特にオブジェクトテーブルの測定ユニット及び制御ユニットは、特定のオブジェクトをアンロードするときに、
アンロードシーケンスの初期部分の間に測定を実施することにより静電クランプの電気的特性を決定し、
アンロードシーケンスの前に、及び/又はアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、電気的特性に基づいて、静電クランプに電力を供給する電力供給部を制御する、ように構成されている。
【0119】
[00147] 説明した実施形態では、静電クランプの電気的特性は、アンロードシーケンス又はその一部の間の静電クランプ又はオブジェクトの電流又は電圧の測定値に基づいて決定されたものである。
【0120】
[00148] そのような決定は、例えば、アンロードシーケンスの部分又は一部の間に、例えば、オブジェクトのアンロードシーケンスの初期部分の間に実施され得る。アンロードの初期部分の間にクランプの電気的特性が決定されると、この情報は、アンロードシーケンスの次の部分の間で、クランプに電力を供給する電力供給部を制御するために即座に適用され得る。したがって、そのような実施形態では、オブジェクトのアンロード中の電力供給部の制御は、そのオブジェクトのアンロードシーケンスの初期部分の間に実施される測定に基づく。そのような配置は、測定値の比較的速い処理及び/又は電力供給部の比較的速い制御を必要とし得る。以下は、代替的手法について記載している。
【0121】
[00149] 静電クランプの電荷状態を表す静電クランプの電気的特性はまた、他の方法で決定されてもよいことを指摘することが重要である。この点で、静電クランプの表面電荷は急速に変化するのではなく、むしろ複数のオブジェクトの処理中に徐々に変化することに言及する価値がある。これを考慮すると、静電クランプの電気的特性を、オブジェクトのアンロードシーケンスの初期部分の間ではなく、それ以外の瞬間に決定できることも理解できる。特に、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性はまた、オブジェクトのアンロードシーケンスの初期部分の間よりも早く決定されてもよい。
【0122】
[00150] 特に、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性はまた、オブジェクトのロード中に決定されてもよい。オブジェクトのロード中に、オブジェクトは、例えば、上述したようなロード/アンロード機構によって、静電クランプ上に下降され、その間に、オブジェクトが絶縁されているか又は接地されているかに応じて、オブジェクトに電圧が誘起され得る、又は電流がオブジェクトから流出する若しくはオブジェクトに流入し得る。このような誘起された電圧又は生成された電流は、静電クランプの電荷状態に直接関係する、又は静電クランプの電荷状態によって生じるので、静電クランプの電気的特性を決定するために使用することもできる。したがって、本発明の一実施形態では、オブジェクトテーブルは、
静電クランプ上へのオブジェクトのロードシーケンス中に測定を実施することにより、静電クランプの電気的特性を決定し、
オブジェクトのアンロードシーケンスの前及び/又はそのシーケンスの少なくとも一部の間に、電気的特性に基づいて、静電クランプに電力を供給する電力供給部を制御する、ように構成されてもよい。
【0123】
[00151] 代替として、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性は、前のオブジェクトのロード又はアンロード中に決定されてもよい。そのような実施形態では、第1のオブジェクトのロード又はアンロード中に決定された電荷状態を使用して、後続の第2のオブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間の静電クランプの電力供給が制御される。そのような実施形態は、電荷状態を決定し、静電クランプに必要な電力制御を決定するのに利用可能な時間がより多い、という利点をもたらす。
【0124】
[00152] 静電クランプの電荷状態は経時的に徐々に変化するだけであることが観察されているので、アンロードされる全てのオブジェクトについて静電クランプの電気的特性を決定する必要さえない。換言すれば、静電クランプの電荷状態を表す電気的特性は、処理されるn個のオブジェクトごとに1回決定するだけで十分な場合がある。nは例えば、5又は10に等しい。一実施形態では、数nは、例えば、静電クランプの特定された電荷状態又は特定された帯電段階の履歴に基づいて決定されてもよい。一例として、特定された電荷状態が大きい場合、又は連続測定における電荷状態の変化が大きい場合、より小さな数nを選択できる。しかしながら、Nは1まで小さくてもよい。
【0125】
[00153] したがって、そのような実施形態では、静電クランプの電気的特性は、第1のオブジェクトのロード及び/又はアンロード中に決定されてもよい一方で、決定された電気的特性は、第1のオブジェクトとは異なる第2のオブジェクトのアンロード中に電力供給部を制御するために使用される。したがって、一実施形態では、本発明の第2の態様によるオブジェクトテーブルは、
静電クランプ上への第1のオブジェクトのロードシーケンス中、及び/又は静電クランプからの第1のオブジェクトのアンロードシーケンス中に測定を実施することにより、静電クランプの電気的特性を決定し、
第1のオブジェクトとは異なる第2のオブジェクトのアンロードシーケンスの前及び/又はそのシーケンスの少なくとも一部の間に、電気的特性に基づいて、静電クランプに電力を供給する電力供給部を制御する、ように構成され得る。
【0126】
[00154] クランプ表面の全部又は一部にわたる静電クランプの電荷状態分布は一様ではない場合がある。すなわち、電荷状態は、静電クランプのクランプ電極に対応するクランプ表面の領域にわたって不均一に分布し得る。例えば、その領域にわたって、負電荷と正電荷の組み合わせ、又は符号は等しいが大きさが異なる複数の電荷が存在する場合がある。
【0127】
[00155] これらのクランプ電極にクランプ電圧を印加して、反発力を発生させてもよく、又はクランプ表面の電荷を中和させてもよい。各電極について、印加電圧は、クランプ表面の正味電荷に応じて決定され得る。しかしながら、これらクランプ電極に対する単一の電圧は、電荷分布の状況において適切でない又は十分でない場合がある。残留力の分布は、クランプ表面の全体又はその一部にわたって不均一である。なぜなら、クランプ表面にわたって、負の表面電荷と正の表面電荷の組み合わせが存在し得る場合、又はこれらクランプ電極の周りに、符号は等しいが大きさが異なる複数の電荷が存在し得る場合は、クランプ表面の一部にとっては、単一の決定された電圧が低すぎる又は高すぎる場合があるからである。
【0128】
[00156] 更に別の実施形態では、上記で特定された課題は、ランプ表面の全部又は一部に電荷分布が均一に分布するように調整することにより回避できる。例えば、半導電性コーティングがクランプ表面の領域に適用されてもよい。半導電性コーティングは、異なるクランプ電極に対応するクランプ表面の領域を電気的に接続しないように配置されるべきであり、その結果、これらクランプ電極のいくつかが電気的に接続されて電気的短絡を形成することはない。
【0129】
[00157] 更に別の実施形態では、上記で特定された課題は、2つ以上の電極を提供し、各電極に印加される電圧を別々に制御することによって解決される。例えば、単一の正電極及び単一の負電極を有する代わりに、本実施形態は、2つ以上の正電極及び/又は2つ以上の負電極が存在することを含む。電極の周りのクランプ表面の領域の不均一な電荷分布を克服するために、適宜、各電極に別々の電圧を印加してもよい。個々の電極に印加される各電圧は、本発明の第2の態様による、電極に印加される電圧を決定するための技術の少なくともいくつかに従って、決定されてもよい。各電極はまた、オブジェクトに保持力を印加する又はオブジェクトを解放するためのクランプ電極であり得る。代替として、電極のうちの1つ以上を使用して、前述の1つ以上の電極における局所電荷分布によって引き起こされる残留力を打ち消すための力を印加するためだけに使用し、前述の1つ以上の電極は、オブジェクトに保持力を印加するために使用されなくてもよい。
【0130】
[00158] 構成要素の相対的な配置について記載する場合、特定の方向が示されている。これらの方向は、純粋に例として与えられており、限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。例えば、位置決めデバイス180のxyステージは、実質的に水平な平面にオブジェクトを位置決めするように動作可能であると記載してきた。位置決めデバイス180のxyステージは、代替として、オブジェクトを垂直面又は傾斜面に位置決めするように動作可能であり得る。構成要素の向きは、この構成要素の意図される機能的効果を維持しながらも、本明細書に記載される向きとは異なる場合がある。
【0131】
[00159]
図16は、本発明の第3の態様によるオブジェクトテーブル1600の実施形態を概略的に示す。オブジェクトテーブル1600は、以下を除いて、上述したオブジェクトテーブルと実質的に同じ構造を有し得る。オブジェクトテーブル1600は、オブジェクト620を保持するためのものである。オブジェクトテーブル1600は、静電クランプ630、イオナイザデバイス1610、制御ユニット1520、及び例えば、力センサ1620及び/又はギャップセンサ1630及び/又は高さセンサ1640を含む測定ユニット、を備える。静電クランプ630は、オブジェクト620をオブジェクトテーブル610上にクランプするためのものである。測定ユニットは、静電クランプ630からオブジェクト620をアンロードする間の、静電クランプ630によってオブジェクト620に印加された残留力を表す力信号1520.3を提供するように構成されている。イオナイザデバイス1610は、イオン化ガスの流れ1610.1を静電クランプ630に供給するように構成され、静電クランプ630上の残留電荷を中和する中和器として機能する。制御ユニット1520は、力信号1520.3に基づいてイオナイザデバイス1610を制御するように配置されている。
【0132】
[00160] 代替的実施形態では、オブジェクトテーブル1600は、静電クランプ630、イオナイザデバイス1610、及び制御ユニット1520を備えてもよい。静電クランプは、オブジェクト620をオブジェクトテーブル610上にクランプするためのものである。イオナイザデバイス1610は、イオン化ガスの流れを供給するためのものである。制御ユニット1520は、イオン化ガスの流れを静電クランプに供給するようにイオナイザデバイス1610を制御するように配置されている。
【0133】
[00161] 制御ユニット1520は、残留力又は残留電荷を表す情報信号を受信するように配置されてもよい。残留力は、静電クランプ630からのオブジェクト620のアンロード中に、静電クランプ630によってオブジェクト620に印加される。残留電荷は、静電クランプ630に帯電電圧が印加されていないときに、静電クランプ630上に存在する静電荷である。制御ユニット1520は、情報信号に基づいてイオナイザデバイス1610を制御するように配置されてもよい。理想的には、静電クランプ630からのオブジェクト620のアンロード中に、残留力及び残留電荷が存在しない。しかしながら、静電クランプ630上での電荷蓄積に起因して、静電クランプ630に帯電電圧が印加されていないときでさえ、残留力及び/又は残留電荷が残っている。
【0134】
[00162] 情報信号は、測定情報を含み得る。以下に示すように、測定ユニットは、測定信号の形で測定情報を提供し得る。測定情報のより多くの例が以下に与えられ、この測定情報は、オブジェクトテーブル610からオブジェクト620を持ち上げるのに必要な力の量に関する情報、又はオブジェクト620とオブジェクトテーブル610との間のギャップ又は静電容量に関する情報を含んでもよい。他の測定情報は、オブジェクト620の形状、及び/又はオブジェクトテーブル610からオブジェクト620をクランプ解除及びアンロードするために必要な力の量を表すことができる。情報信号は、残留力及び/又は残留電荷を表す、静電クランプ630及び/又はロード/アンロード機構の内部信号であり、例えば、ロード/アンロード機構がオブジェクト620を静電クランプ630から持ち上げることができないという検出を表す信号である。
【0135】
[00163] 情報信号は、推定情報を含み得る。測定情報は残留力又は残留電荷を表す測定値に基づくが、推定情報は経験的データ及びシミュレーションなどの他のパラメータに基づく。推定情報は、一定時間の後、又は一定数のオブジェクト620をアンロードした後、制御ユニット1520がイオナイザデバイス1610及び/又は放電電圧を制御して、蓄積残留電荷又は残留力に対抗する必要があることを含み得る。シミュレーションは、オブジェクト620をどれくらいの時間にわたってアンロードした後に、又は何回アンロードした後に、残留電荷及び残留力が許容レベルの端に至るかを予測し得る。推定情報は、例えば、オブジェクト620の更なる処理ステップにおいて、例えば、オブジェクトテーブル1600の外側にあるオブジェクト620の残留電荷を測定する外部測定デバイスを介して、オブジェクトテーブル1600の外側から得られた情報を含み得る。推定情報は、本発明の実施形態による、特に本発明の第2の態様、並びに第5及び第6の態様の実施形態による、推定残留電荷を含み得る。制御ユニット1520は、測定情報、又は推定情報、又は測定情報と推定情報との組み合わせを使用できる。
【0136】
[00164] オブジェクトテーブル1600は、測定ユニットを更に備えてもよい。測定ユニットは、残留力又は残留電荷を表す測定信号を提供するように構成されている。情報信号は、測定信号を含む。制御ユニット1520は、測定信号に基づいてイオナイザデバイス1610を制御するように配置されている。
【0137】
[00165] 一実施形態では、静電クランプ630及び制御ユニット1520を備えるオブジェクトテーブル1600が提供される。静電クランプ630は、オブジェクト620をオブジェクトテーブル610上にクランプするためのものである。制御ユニット1520は、オブジェクト620を静電クランプ630上にクランプするための帯電電圧と、静電クランプ630からオブジェクト620をクランプ解除するための放電電圧とを、静電クランプ630に供給するように配置されている。放電電圧は、クランプ力を、例えば実質的にゼロに低減させることによって、又はオブジェクト620を静電クランプ630から離れる方向に押すための反発力を提供することによって、オブジェクト620をクランプ解除してもよい。制御ユニット1520は、残留力又は残留電荷を表す情報信号を受信するように配置されている。制御ユニット1520は、情報信号に基づいて静電クランプ630上の残留電荷を中和する中和器として機能する電源により、放電電圧を提供するように配置されている。
【0138】
[00166] 放電電圧は、帯電電圧とは反対の極性を有する場合がある。一実施形態では、オブジェクトテーブル1600はまた、静電クランプ630にイオン化ガスの流れ1610.1を提供するためのイオナイザデバイス1610などのイオナイザデバイスを含み得る。制御ユニット1520は、情報信号に基づいてイオナイザデバイス1610を制御するように配置されている。
【0139】
[00167] 静電クランプ630を使用してオブジェクト620をクランプした後は、帯電電圧がもはや印加されていなくても、静電クランプ630上に残留電荷が残り得る。理想的には、帯電電圧がもはや印加されていない場合は、残留電荷がなく、したがって、静電クランプ630によってオブジェクト620に加えられる力は存在しないであろう。残留力は、残留電荷と重力によって生成される。重力は、静電クランプ630によって支持されているオブジェクト620の重量によって残留力に追加される。残留電荷による残留力への寄与は、重力の寄与よりも遥かに大きい場合があり、例えば、10倍又は100倍、又はそれを超える場合がある。残留力は、オブジェクト620を静電クランプ630上にクランプしたままにする。静電クランプ630からオブジェクト620をアンロードするために、残留力を超えるアンロード力をオブジェクト620に印加する必要がある。しかしながら、アンロード力が高いほど、オブジェクト620のアンロード中に、より多くの粒子が生成される。粒子は、オブジェクト620、又はオブジェクト620が処理される環境を汚染する場合がある。オブジェクト620を静電クランプ630上にロードすること、及び静電クランプ630からアンロードすることを繰り返した後、残留力は非常に大きくなる場合があり、ある時点で、極端な手段なしでは、オブジェクト620を静電クランプ630からアンロードすることはもはや可能ではなくなる。極端な手段は、オブジェクト620を静電クランプ630から手動でアンロードすることであり得る。
【0140】
[00168]
図16に概略的に示すオブジェクトテーブル1600は、イオナイザデバイス1610を使用することにより、放電電圧を印加することにより、又はそれらの組み合わせにより、そのような手段の必要性を除去、緩和、又は軽減することを可能にする。測定ユニット1620が測定信号を供給する場合、制御ユニット1520は、測定信号1520.3が許容範囲内にあるかどうかを評価するように配置されている。測定信号が許容範囲内にある場合、オブジェクト620は、静電クランプ630から適切に除去できる。しかしながら、測定信号が許容範囲内にない場合、制御ユニット1520が対応することができる。
【0141】
[00169] 制御ユニット1520は、制御信号1520.1を電力供給部1530に送信するように配置されてもよい。電力供給部1530は、電力1530.2をイオナイザデバイス1610に供給するように配置されている。電力を供給することにより、制御ユニット1520は、イオナイザデバイス1610をオンに切り替えることができ、イオン化ガスの流れ1610.1の量を制御することができる。制御ユニット1520は、イオナイザデバイス1610の移動を制御して、静電クランプ630の表面にわたって移動させて、イオン化ガス1610の流れを静電クランプ630の表面全体に供給してもよい。代替として、イオナイザデバイス1610は静止して、静電クランプ630を取り囲む空間をイオン化ガスで充填するように配置されてもよい。別の実施形態では、イオナイザデバイス1610は静止し、オブジェクトテーブル620が制御ユニット1520によって移動されて、イオン化ガスの流れ1610.1を静電クランプ630の表面全体に供給する。イオン化ガスは、静電クランプ630上の残留電荷を中和する。
【0142】
[00170] イオン化ガスの流れ1610.1は、静電クランプ630と接触できなければならないことに留意されたい。したがって、好ましくは、イオナイザデバイス1610を動作させるとき、静電クランプ630上にオブジェクト620が存在してはならない。したがって、オブジェクト620をアンロードするときに情報信号が許容範囲内にない、と制御ユニット1520が判断した場合は、イオナイザデバイス1610がアクティブにされる前に、オブジェクト620が最初にアンロードされる。次のオブジェクト620の残留電荷は、イオナイザデバイス1610による残留電荷の中和に起因して、より小さいであろう。この許容範囲は、情報信号が許容範囲のすぐ外側にある場合でも、あまり多くの粒子を生成することなくオブジェクト620を静電クランプ630からアンロードできるように設定され得る。
【0143】
[00171] 代替として、制御ユニット1520は、制御信号1520.1を電力供給部1530に送信することができ、電力供給部1530は、電力1530.1を静電クランプ630に供給する。オブジェクト620のクランプ中に、制御ユニット1520は、オブジェクト620をクランプするように、電力供給部1530を介して帯電電圧を静電クランプ630に供給する。アンロードするとき、制御ユニット1520は帯電電圧の供給を停止する。アンロード中に、情報信号が許容範囲内にない、と制御ユニット1520が評価すると、制御ユニット1520は静電クランプ630に放電電圧を供給する。放電電圧は、残留電荷を少なくとも部分的に中和し得る。残留電荷を中和することにより、オブジェクト620のアンロードが許容可能なアンロード力で行われ得る。アンロード力がオブジェクト620を静電クランプ630から除去するのに十分でない場合、放電電圧を印加することは特に有益であり得る。
【0144】
[00172] 一実施形態では、制御ユニット1520は、イオナイザデバイス1610及び静電クランプ630の両方を制御してもよい。そのような実施形態では、オブジェクトテーブル1600は、情報信号が許容範囲を超えるまで動作されてもよい。制御ユニット1520は、放電電圧を制御して残留電荷を一時的に低減させるので、オブジェクト620を静電クランプ620から適切に除去できる。オブジェクト620が静電クランプ620から除去された後、制御ユニット1520は放電電圧の供給を停止し、これにより、静電クランプ620上の残留電荷が増加する。次いで、イオナイザデバイス1610を使用して、静電クランプ620からの残留電荷を中和する。この実施形態は、イオナイザデバイス1610の使用が可能な限り少なく、それにより、オブジェクトテーブル1600の動作使用が邪魔されることが可能な限り少ないという利点を有し得る。
【0145】
[00173] 制御ユニット1520は、更新された残留力又は更新された残留電荷を表す更新された情報信号を受信するように配置されてもよい。更新された残留力又は更新された残留電荷は、残留力又は残留電荷、及び静電クランプ630に供給される放電電圧に基づく。制御ユニット1520が静電クランプ630に放電電圧を供給する場合、測定ユニットは測定信号の変化を検出してもよい。測定信号の変化により、測定信号は更新された情報信号を形成する。制御ユニット1520は、更新された情報信号を使用して放電電圧を調整できる。更新された情報信号が情報信号よりも小さい場合がある。その場合、放電電圧の極性は正しい。しかしながら、更新された情報信号が情報信号よりも大きい場合、放電電圧の極性が正しくない場合がある。その結果、制御ユニット1520は、反対極性の放電電圧を印加してもよい、又はより小さい放電電圧を印加してもよい。
【0146】
[00174] オブジェクトテーブル1600は、静電クランプ630からオブジェクト620をアンロードするためのアンロード機構を備えてもよい。アンロード機構は、ピン形状部材650のような持ち上げピンを備えてもよく、又は任意の他のタイプの機構、例えば、ロボットアーム、オブジェクト620の底面620.1と係合するグリッパ、若しくはオブジェクト620の上面と係合する真空グリッパ、を備えてもよい。測定ユニットは、アンロード中にオブジェクト620を静電クランプ630から持ち上げるために、アンロード機構によってオブジェクト620に印加される持ち上げ力を監視するように配置されてもよい。持ち上げ力は、残留力及び/又は残留電荷に基づく。オブジェクト620を静電クランプ630から持ち上げるために、アンロード機構は、オブジェクト620の重量に起因する残留力及び重力に打ち勝つための持ち上げ力を提供する必要がある。一般に、適用される測定ユニットは、持ち上げ力を監視するのに適切な任意のタイプのセンサを備えてもよい。例えば、測定ユニットは、アンロード機構に取り付けられたひずみゲージ、オブジェクト620を静電クランプ630から持ち上げるためにアンロード機構が必要とする電力量を監視する電力ゲージ、及び/又はアンロード機構によって印加される持ち上げ力を監視する力センサ、を備えてもよい。
【0147】
[00175]
図16の実施形態では、アンロード機構はピン形状部材650を備える。ピン形状部材は、測定ユニットの一部を形成する力センサ1620を備える。力センサ1620は、持ち上げ力を監視するように配置されている。ピン形状部材650がオブジェクト620を押し上げて、オブジェクト620を静電クランプ630からアンロードするとき、持ち上げ力が発生する。持ち上げ力は、オブジェクト620からピン形状部材650及び力センサ1620を通って伝搬する。力センサ1620は、力信号1520.3を制御ユニット1520に送信する。
【0148】
[00176] 測定ユニットは、第1の状態にあるオブジェクト620及び第2の状態にあるオブジェクト620に基づいて、測定信号を提供するように配置されたギャップセンサ1630を備えてもよい。第1の状態では、オブジェクト620は静電クランプ630によって保持されている。第2の状態では、オブジェクトは静電クランプ630から離れている。例えば、第2の状態では、オブジェクト610はアンロード機構によって保持されている。オブジェクト620が第1の状態にあるとき、ギャップセンサ1630は、ギャップセンサ1630とオブジェクト620、例えば底面620.1、との間の距離又はギャップを測定してもよい。第2の状態では、オブジェクト620は静電クランプ630から更に離れているので、ギャップセンサ1630は、ギャップセンサ1630とオブジェクト620との間のより大きな距離又はより大きなギャップを測定し得る。第2の状態では、オブジェクト620の一部、例えば中央部分は、静電クランプ630から更に離れていてもよく、一方で、オブジェクト620の別の部分、例えば縁部は、静電クランプ630に依然としてクランプされている。
【0149】
[00177] オブジェクト620は、第1の状態から第2の状態への移動を実施してもよい。オブジェクト620は、第1の状態から第2の状態へとジャンプしてもよい。ジャンプの変化が、残留力又は残留電荷の変化を示す場合がある。測定信号は、移動、例えば移動の距離又は速度、を表し得る。アンロード機構がオブジェクト620に持ち上げ力を提供し始めるとき、オブジェクト620は第1の状態のままであり得る。アンロード機構が持ち上げ力を増加させるとき、持ち上げ力が残留力を超えると、オブジェクト620は静電クランプ620から突然、脱離し得る。突然の脱離により、オブジェクト620は特定の距離を移動する又は特定の速度で移動する場合がある。残留力が大きいほど、特定の距離又は特定の速度は大きくなり得る。ギャップセンサ1630は、残留力の尺度として距離及び/又は速度を監視し得る。距離又は速度に影響を及ぼし得る他の既知のパラメータは、アンロード機構の剛性、質量又は減衰、及びオブジェクト620の剛性、質量又は減衰であり得る。ギャップセンサ1630は、容量性センサを備え得る、又は容量性センサであり得る。ギャップセンサ1630は、静電クランプ630内に、又は静電クランプ630に配置され得る。
【0150】
[00178] ギャップセンサ1630の代替として又はそれに加えて、高さセンサ1640を使用してもよい。高さセンサ1640は、例えば、オブジェクトテーブル1600又は他の任意の基準に対して、オブジェクト620の高さを決定するように配置されている。高さセンサ1640は、オブジェクト620の平坦度を決定するように配置されてもよい。高さセンサ1640は、オブジェクトテーブル1600の一部として配置されてもよく、又は、例えば計測フレームに取り付けて、別々に配置されてもよい。高さセンサ1640は、干渉計などの光学距離測定センサであってもよい。
【0151】
[00179] 制御ユニット1520は、情報信号を閾値と比較するように配置されている。力信号が閾値を超えない場合、制御ユニット1520は何ら動作する必要はない。情報信号が閾値を超えた場合、制御ユニット1520は、上述したように動作するように配置されている。
【0152】
[00180] オブジェクトテーブル1600は、任意の適切な装置、例えば、粒子ビーム装置、電子ビーム装置、走査型電子顕微鏡、電子ビームダイレクトライタ、電子ビーム投影リソグラフィ装置、電子ビーム検査装置、電子ビーム欠陥検証装置、電子ビーム計測装置、リソグラフィ装置、及び計測装置、のうちの1つにおいて使用されてもよい。
【0153】
[00181] オブジェクト620は、以下の方法、すなわち、オブジェクト620を静電クランプ630からアンロードすること、及びイオン化ガスの流れを静電クランプ630に供給すること、を実施することにより、静電クランプ630からアンロードされ得る。イオン化ガスの流れを供給することは、オブジェクト620が静電クランプ630からアンロードされた後に起こり得る。
【0154】
[00182] この方法は、残留力又は残留電荷を表す情報信号を提供するステップを更に含み得る。残留力は、静電クランプ630からのオブジェクト620のアンロード中に、静電クランプ630によってオブジェクト620に印加される。残留電荷は、静電クランプ630に帯電電圧が印加されていないときに、静電クランプ630上に存在する。この方法は、情報信号に基づいて、静電クランプ630からオブジェクト620をクランプ解除するための放電電圧を供給するステップを更に含む。この方法は、情報信号に基づいて、イオン化ガスの流れ1610.1を静電クランプ630に供給することを更に含み得る。
【0155】
[00183] 電力供給部1530は、イオナイザデバイス1610及び静電クランプ630のそれぞれについて、別個の電力供給部に分割されてもよいことに留意されたい。電力供給部1530は、イオナイザデバイス1610及び/又は静電クランプ630に統合されてもよい。
【0156】
[00184] オブジェクト620を静電クランプ630上でクランプする場合、クランプ電圧とも呼ばれる帯電電圧は、オブジェクト620を適切にクランプするのに十分である必要がある。適切にクランプされているとは、オブジェクト620が静電クランプ630に対して十分に平坦に押し付けられていることを意味する。オブジェクト620がクランプされる前はオブジェクト620は平坦でなくてもよく、例えば、碗形、又は鞍形、又は傘形であってもよい。オブジェクト620を静電クランプ630に対して平坦にするために、高いクランプ電圧が必要である。しかしながら、クランプ電圧が高くなると、より多くの粒子が生成される。したがって、静電クランプ630上でオブジェクト620を適切にクランプしながら、可能な限り低いクランプ電圧を印加することが望ましい。
【0157】
[00185] 本発明の第4の態様によれば、これは、以下の方法で静電クランプ630上にオブジェクト620をクランプすることによって行うことができる:i)静電クランプ630上にオブジェクト620を提供することと;ii)オブジェクト620が静電クランプ630上にクランプされているクランプ状態が検出されるまで、静電クランプ630のクランプ電圧を増加させることと;iii)クランプ状態でのクランプ電圧である第1のクランプ電圧を決定することと;iv)第1のクランプ電圧よりも低い第2のクランプ電圧を静電クランプ630に印加することと、を含む方法。クランプ状態は、クランプパラメータが閾値内にある場合に検出されてもよい。クランプパラメータは、オブジェクトの平坦度、クランプ電圧の変化によって生じるオブジェクト形状の変化、及び静電クランプと接触しているオブジェクトの中央部分、のうちの1つを含んでもよい。
【0158】
[00186] この方法では、第1のクランプ電圧は、オブジェクト620を静電クランプ620上で適切にクランプするのに十分なクランプ電圧である。そうすることにより、高すぎる電圧、すなわち不必要に高いクランプ電圧を回避できる。更に、本発明者らは、適用される第1のクランプ電圧がオブジェクト620を平坦にするには必要であるが、静電クランプ620上でオブジェクト620を平坦に保つにはより低いクランプ電圧で十分であることを発見した。したがって、第1のクランプ電圧を印加した後に、第2のクランプ電圧を第1のクランプ電圧よりも低い値に設定できる。その結果、第2のクランプ電圧では、第1のクランプ電圧が維持された場合よりも、もたらされる粒子が少ない。
【0159】
[00187]
図17は、本発明の実施形態による、静電クランプ630に供給されるクランプ電圧Vを時間tの関数として概略的に示す。クランプ電圧は、t=0から、時間t=t
1で第1のクランプ電圧V
maxに到達するまで増加する。期間0~t
1の間、オブジェクト620の変形が、例えば、ギャップセンサ1630、又は高さセンサ1640、又は任意の他の適切な変形センサによって監視される。したがって、期間0~t
1の間、オブジェクト620の変形がクランプ電圧の増加の関数として決定される。弓形のオブジェクト620の場合、クランプ電圧が増加し始めると、変形が大きく変化する場合がある。しかし、弓形のオブジェクト620が静電クランプ630に対して平坦にされると、クランプ電圧の更なる増加に応答して、変形はこれ以上変化しない、又は無視できるほど僅かしか変化しないことになる。したがって、クランプ電圧の増加に起因する変形は、閾値、例えば所定の閾値、よりも小さいことが分かる。クランプ電圧を更に増加させても、変形に実質的な差が何ら生じない場合、オブジェクト620は静電クランプ630上で平坦になっていると結論付けることができる。
図17を参照すると、そのような状態はt=t
1で生じている。そのとき、t=t
1で印加される電圧は、第1のクランプ電圧V
maxと考え得る。
【0160】
[00188] 静電クランプ630に第1のクランプ電圧Vmaxを供給した後、静電クランプ630にクランプ電圧減少を適用することによりクランプ電圧が減少し、クランプ電圧減少によって生じるオブジェクト620の変形が決定される。これは、変形が更なる閾値よりも大きくなるまで繰り返される。クランプ電圧は、クランプ状態がもはや検出されなくなるまで減らされる。次いで、変形が更なる閾値よりも大きいときに、第3のクランプ電圧Vminが決定される。第3のクランプ電圧Vminは、クランプ状態がもはや検出されなくなったクランプ電圧であり、例えば、クランプ状態がもはや検出されなくなったクランプ電圧の第1の値である。第2のクランプ電圧Vfinalが、静電クランプ630に印加される。最終的なクランプ電圧Vfinalは、第3のクランプ電圧Vminよりも高い。
【0161】
[00189]
図17に示すように、t=t
1とt=t
2の間で、クランプ電圧は第1のクランプ電圧V
maxから第3の電圧V
minまで減少している。V
minでは、静電クランプ630によって印加されるクランプ力は、オブジェクト620が再び平坦でなくなる程度まで減少している。オブジェクト620の決定された変形は、オブジェクト620が平坦でなくなったことを示す。t=t
2では、オブジェクト620は依然として、t=0におけるよりも、遥かに平坦であり得ることに留意されたい。
【0162】
[00190]
図17では、t=t
2とt=t
3の間で、クランプ電圧は第1のクランプ電圧V
maxまで増加している。これは、単に時間t
1におけるものと同じクランプ電圧を印加することによって、又は変形が再び閾値よりも小さくなるまでのオブジェクト620の変形を決定することによって行うことができる。時間t
3では、オブジェクト620は、静電クランプ630に対して平坦になっている。t
3の後、クランプ電圧は、第3のクランプ電圧V
minよりも高く第1のクランプ電圧V
maxよりも低い第2のクランプ電圧V
finalに減少している。このように、オブジェクト620は、低いクランプ電圧で適切な平坦性を維持している。
【0163】
[00191] 上述した実施形態では、オブジェクト620の変形に基づいて第1のクランプ電圧Vmax、第2のクランプ電圧Vfinal、及び第3のクランプ電圧Vminを決定する代わりに、これらクランプ電圧のうちの1つ以上は、オブジェクト620の中央部分が静電クランプ630に接触しているかどうかに基づいてもよく、又は他の任意の適切なクランプパラメータに基づいてもよい。
【0164】
[00192] 第2のクランプ電圧Vfinalは、第3のクランプ電圧Vminの150%未満、例えば、140%未満、又は130%未満、又は120%未満、又は110%未満、又は105%未満であってもよい。
【0165】
[00193]
図18は、本発明の別の実施形態630による、静電クランプに供給されるクランプ電圧を概略的に示す。
図17の実施形態と同様に、クランプ電圧は、t=t
1において第1のクランプ電圧V
maxに設定され、t=t
2において第3のクランプ電圧V
minに設定される。しかしながら、この実施形態では、第3のクランプ電圧V
minにおける平坦度は、オブジェクト620を処理するのに十分である。したがって、t=t
2とt=t
3の間で、クランプ電圧は第3のクランプ電圧V
minから第2のクランプ電圧V
finalに増加している。第3のクランプ電圧V
minにおける平坦度は十分に平坦なので、オブジェクト620を再び平坦にするために、クランプ電圧を増加させて第1のクランプ電圧V
maxに戻す必要はない。クランプ電圧は、第3のクランプ電圧V
minから第2のクランプ電圧V
finalまで増加し、オブジェクト620の処理中にオブジェクト620が静電クランプ630にクランプされたままであることが確実になる。
【0166】
[00194]
図19は、本発明の更に別の実施形態630による、静電クランプに供給されるクランプ電圧を概略的に示す。時間t
1において第1のクランプ電圧V
maxが印加されると、オブジェクト620と静電クランプ630との間のクランプ力が決定される。第2のクランプ電圧V
finalは、クランプ力に基づいて供給される。例えば、第1のクランプ電圧V
maxでの高いクランプ力は、オブジェクト620の良好なクランプを示し得るので、第2のクランプ電圧V
finalは比較的低く設定され得る。これに対して、第1のクランプ電圧V
maxでの低いクランプ力は、オブジェクト620の不十分なクランプを示し得るので、第2のクランプ電圧V
finalは比較的高く設定され得る。
【0167】
[00195] オブジェクトテーブル1600は、
図17~
図19に示すようにクランプ電圧を設定するように配置されてもよい。オブジェクトテーブル1600は、オブジェクト620をクランプするための静電クランプ630を備えてもよく、静電クランプ630にクランプ電圧を供給するための制御ユニット1520を備えてもよい。オブジェクトテーブル1600は、オブジェクト620の変形を表す測定信号を制御ユニット1520に供給するための測定ユニットを備えてもよい。例えば、測定ユニットは、ギャップセンサ1630を備える。ギャップセンサ1630は、オブジェクトと静電クランプ630との間のギャップを決定するように配置されてもよい。代替として、測定ユニットは、例えば計測フレーム上に配置され得る高さセンサ1640のように、オブジェクトテーブル1600とは別々に配置される。高さセンサ1640は、オブジェクト620の高さを決定するように配置されてもよい。測定ユニットは、オブジェクト620が平坦であるか又は弓形であるかを決定するように配置されてもよい。オブジェクト620が平坦であるか又は弓形であるかに基づいて、制御ユニット1520は、
図17、
図18、又は
図19の何れかの方法、又は任意の他の適切な方法を使用してもよい。
【0168】
[00196]
図20は、本発明の更なる実施形態を示す。オブジェクトテーブル2000は、以下を除いて、オブジェクトテーブル1600と同じであり得る。オブジェクトテーブル2000は、力センサ2010を備える。力センサ2010は、力センサ1620と同じであってもよい。力センサ2010は、時間t
1の間に、最大クランプ電圧V
maxが印加されたときに、オブジェクト620が力センサ2010上に部分的にクランプされるように、静電クランプ630の表面を越えて延びてもよい。このように、力センサ2010は、第1のクランプ電圧V
maxが静電クランプ630に印加されている間に、オブジェクト620が静電クランプ630上にクランプされるクランプ力を検出するように配置されている。時間t
1におけるクランプ力が決定された後、力センサ2010は、破線で示される下方位置2011に移動してもよい。下方位置2011では、力センサ2010は静電クランプ630の表面の下方に後退しているので、力センサ2010はオブジェクト620とは接触していない。力センサ2010が下方位置にある場合、オブジェクト620は、静電クランプ630上で適切に平坦になることができる。
図20は、単一の力センサ2010を示すが、複数の力センサ2010を静電クランプ630に沿って分散して適用してもよい。
【0169】
[00197] 制御ユニット1520は、クランプ電圧とクランプパラメータとに基づいて第3のクランプ電圧Vminを予測するように配置された機械学習ユニットを備えてもよい。例えば、機械学習ユニットは、経時的なクランプ電圧の変化、経時的な変形、及び/又は力センサ2010によって決定されたクランプ力を考慮に入れてもよい。機械学習ユニットは、オブジェクト620の材料、オブジェクト620の寸法、及びオブジェクト620に関する他の測定情報など、オブジェクトテーブル1600の外部で取得されたオブジェクト620の情報を提供されてもよい。
【0170】
[00198] 本発明の第5の態様によれば、オブジェクトテーブルのクランプ機構の残留電荷を決定する方法が提供される。上に示したように、残留電荷は、リソグラフィ装置、又は粒子ビーム検査ツール若しくは電子ビーム検査ツールなどの検査装置、に適用されるようなクランプ機構の表面などの絶縁表面上に経時的に蓄積する場合がある。そのような残留電荷は、例えば、複数のオブジェクト処理サイクルにわたって蓄積する可能性があり、クランプ機構へのオブジェクトのクランプに影響を与える場合がある。本発明の意味の範囲内で、クランプ機構の残留電荷はまた、クランプ機構のクランプ表面に近い1つ又は複数の表面上の電荷、又はクランプ表面を覆う表面上の電荷を指し得る。クランプ力が発生する実際の表面を取り囲むか、囲い込むか、又は覆う、そのような表面は、本発明の意味の範囲内で、クランプ機構の一部であると考えることができる。
【0171】
[00199] 本発明の第5の態様による実施形態では、クランプ機構を粒子ビームで、例えば、検査装置で利用可能な粒子ビームでプローブすることによって、クランプ機構に存在する残留電荷を決定又は推定することが提案される。特に、一実施形態では、本発明は、粒子ビームを使用してクランプ機構の表面に衝突させる又は表面をプロービングし、表面への衝突又はプロービングに対するクランプ機構の応答を決定又は検出し、検出された応答に基づきクランプ機構の残留電荷を決定することにより、クランプ機構の残留電荷を決定する方法を提供する。
図21は、本発明による、クランプ機構の残留電荷を決定する方法のフローチャート2100を概略的に示す。第1のステップ2110では、この方法は、粒子ビームをオブジェクトテーブルのクランプ機構の表面に衝突させることを含む。イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームは一般に知られており、半導体基板などのオブジェクトの表面又は構造を検査するための検査装置に適用されている。そのような装置では、検査対象のオブジェクトは、典型的には、オブジェクトテーブルのクランプ機構に保持される、例えばクランプされる。検査中、電子ビームなどの粒子ビームを使用してオブジェクトをプローブする又はオブジェクトに衝突させる。そのようなプロービング又は衝突は、オブジェクトによって放出される放射線及び粒子の生成をもたらす場合がある。一例として、電子ビームによりオブジェクトをプロービングすると、オブジェクトが二次電子を放出する、又は散乱電子を生成する場合がある。本発明による方法では、粒子ビーム、例えば電子ビームは、典型的にはオブジェクトテーブル上に保持されているオブジェクトではなく、オブジェクトテーブルのクランプ機構の表面に衝突させるために使用される。検査装置に適用されるオブジェクトテーブルの典型的なレイアウトを考慮すると、クランプ機構の表面に粒子ビームを適用するには、オブジェクトテーブルがオブジェクトを保持していないことが必要になる。そのようなオブジェクトがない場合、粒子ビームを、オブジェクトではなくクランプ機構と相互作用させることができる。
【0172】
[00200] 第2のステップ2120では、本発明による方法は、粒子ビームによる表面への衝突に対するクランプ機構の応答を検出することを含む。粒子ビームをクランプ機構、例えば静電クランプ、の表面に衝突させる場合、これが、表面から放出される放射線及び/又は粒子の生成を引き起こす場合がある。一例として、クランプ機構の表面に衝突する電子ビームは、二次電子又は散乱電子の生成を引き起こす場合がある。この電子は、本発明の一実施形態では、検出器によって検出され得る。そのような検出器は、例えば、二次電子の量及び/又は二次電子のエネルギー若しくはエネルギースペクトルを決定するように構成されていてもよい。
【0173】
[00201] 第3のステップ2130では、本発明による方法は、応答に基づいてクランプ機構の残留電荷を決定することを含む。この第3のステップに関して、クランプ機構に残留電荷が存在すると、検出器によって検出される粒子ビームへの応答は異なることが指摘できる。これは次のように理解できる。電子ビームなどの粒子ビームは、半導体基板などのオブジェクトを検査するために使用されることが知られている。そのような検査中に、オブジェクトと粒子ビーム源との間に電圧差が印加され、この電圧差により、粒子が、特定の量のエネルギーでオブジェクトに衝突する。衝突する粒子に対するオブジェクトの応答、つまり衝突する粒子の効果は、このエネルギー量に依存することになる。粒子がオブジェクトに衝突するときのエネルギー量は、入射エネルギー(LE(landing energy))と呼ばれる場合もある。オブジェクトに衝突するときに粒子が持っているエネルギーの量に応じて、応答は異なる。生成される放射線、及び/又は二次電子などの放出粒子の量は、入射エネルギーに依存することになる。検査されるオブジェクトに正電荷又は負電荷の何れかが存在する場合、これは、オブジェクトに衝突する粒子の入射エネルギーに影響を与える。したがって、オブジェクト上の電荷により、衝突する粒子ビームに対するオブジェクトの応答が異なることになる。例えば静電クランプを含むクランプ機構が粒子ビームにさらされる場合、したがって、衝突する粒子ビームに起因するクランプ機構の応答に基づいて、クランプ機構における電荷の存在を決定できる。一実施形態では、例えば、衝突する粒子ビームとクランプ機構の応答との関係を表す実験データセット及び/又はモデルを使用して、クランプ機構における電荷の存在を決定できる。
【0174】
[00202] 粒子ビームを使用して残留電荷を決定する代わりに、静電電圧計又は電圧計の使用についても言及できる。そのような実施形態では、電圧計を基板又はオブジェクトテーブルに十分に近付けて、しかし高電圧領域から十分に遠ざけて位置決めするように注意すべきである。
【0175】
[00203] 当業者は理解するように、クランプ機構上の電荷の存在は、適用される粒子ビームに対して反発力又は引力の何れかを生じさせ得る。粒子ビームが電子ビームを含む場合、クランプ機構上の正電荷は、電子ビームの電子に引力をもたらし、入射エネルギーの増加を生じさせることになる。クランプ機構上に負の電荷がある場合、電子ビームの電子は反発され、入射エネルギーが減少することになる。
【0176】
[00204] 本発明の一実施形態では、適用されるクランプ機構は静電クランプを備える。そのような静電クランプは、例えば、静電クランプの表面に埋め込まれた、1つ以上の電極を含んでもよい。
【0177】
[00205] 一実施形態では、クランプ機構の表面に衝突させるステップ2110は、表面上の複数の異なる場所において表面に衝突させることを含む。そうすることにより、異なる場所について、クランプ機構上の電荷の存在を決定できる。そのような実施形態では、本発明による方法は、クランプ機構の表面全体にわたる残留電荷分布を決定することを含み得る。そのような実施形態では、この方法は、例えば、粒子ビームが表面の様々な場所に衝突するように、例えばステージ装置を使用して、粒子ビームに対してクランプ機構を位置決めすることを含んでもよい。代替として又は加えて、粒子ビームの位置を制御することもでき、それにより、クランプ機構上のどの場所に粒子ビームが衝突するかを制御できる。
【0178】
[00206] 本発明の第6の態様による実施形態は、本発明による方法2100を実施するように構成された粒子ビーム装置を提供する。そのような装置の実施形態を、
図22に概略的に示す。
【0179】
[00207]
図22は、本発明の実施形態による粒子ビーム装置2200を概略的に示す。図示する実施形態では、粒子ビーム装置は粒子ビームジェネレータ2210を備え、粒子ビームジェネレータは、粒子ビーム2220、例えばイオンビーム又は電子ビーム又は複数の電子ビーム、を生成するように構成されている。図示する実施形態では、装置2200は、オブジェクト2240を保持するためのオブジェクトテーブル2230を更に備え、オブジェクトテーブル2230は、オブジェクト2240をオブジェクトテーブル2230にクランプするためのクランプ機構2250を備える。一実施形態では、クランプ機構2250は、例えば、静電クランプを備え得る。そのような静電クランプは、電源に接続できる1つ以上の電極を備えることができる。図示する実施形態では、装置2200は、検出器2260を更に備える。そのような検出器2260は、オブジェクト2240が粒子ビーム2220にさらされたときに、オブジェクト2240の応答を検出するように構成されてもよい。特に、検出器2260は、粒子ビーム2220がオブジェクト2240に衝突したこと応答して生成される放射線及び/又は粒子を検出するように構成されてもよい。粒子ビームがオブジェクトに衝突したこと応答して、オブジェクトは、例えば、二次電子又は散乱電子を放出してもよく、これらが検出器2260によって検出されてもよい。本発明によれば、検出器2260は、クランプ機構に粒子ビーム2220が衝突したときに、クランプ機構2250の応答2220.1を検出するように構成されている。図示する実施形態では、装置2200は、制御ユニット2270を更に備える。本発明によれば、制御ユニットは、
粒子ビームジェネレータ2210を制御して、クランプ機構2250の表面2250.1に粒子ビーム2220を衝突させ、
衝突する粒子ビーム2220に対するクランプ機構2250の応答を表す検出器信号2260.1を検出器2260から受信し、
検出器信号2260.1に基づいて、クランプ機構2250の残留電荷を決定する、ように構成されている。
【0180】
[00208] したがって、本発明による装置2200は、クランプ機構上に存在する残留電荷を決定することを可能にする。そのような残留電荷の知識を有することにより、オブジェクト2240などのオブジェクトが装置によって処理されたときに、アンロードが容易になり得る。
【0181】
[00209] 一実施形態では、本発明による装置2200は、表面上の複数の異なる場所においてクランプ機構の表面に衝突するように構成されている。そうすることにより、異なる場所について、クランプ機構2250上の電荷の存在を決定できる。そうするために、装置2200は、粒子ビーム2220に対してオブジェクトテーブル2230を位置決めするように構成されたステージ又はステージ装置2280を更に備える。特に、ステージ装置2280は、粒子ビーム2220の下方のクランプ機構2250をスキャンするように構成できる。そのようなステージ装置2280は、例えば、オブジェクトテーブル2230を位置決めするための1つ以上のモータ又はアクチュエータを備えてもよい。そのような実施形態では、制御ユニット2270は、例えば、ステージ又はステージ装置2280のモータ又はアクチュエータのための適切な制御信号を生成することにより、オブジェクトテーブル2230の位置決めも制御するように構成されてもよい。一実施形態では、装置2200は、位置測定システム、例えば、干渉計ベースの又はエンコーダベースの測定システムを更に備えてもよく、位置測定システムは、粒子ビームジェネレータ2210に対して、又は基準又は基準フレームに対して、ステージ装置2280の位置を測定するように構成されている。クランプ機構2250の残留電荷が様々な場所で決定される場合、制御ユニット2270は、クランプ機構2250の表面にわたる残留電荷分布を決定するように構成できる。
【0182】
[00210] 決定された残留電荷は、有利には、オブジェクトテーブル2230上で処理されたオブジェクト2240のアンロードプロセスを制御又は調整するために使用されてもよい。一例として、適用されるクランプ機構は、例えば、1つ以上の電極を有する静電クランプである、又はそれを備えてもよい。オブジェクト2240のアンロードシーケンス中に電極に印加される電圧は、決定された残留電荷又は残留電荷分布を考慮して制御できる。一実施形態では、オブジェクト2240とクランプ機構2250との間に反発力が生成され得る。これは、例えば、同じ電圧をオブジェクト2240及びクランプ機構2250に印加することによって行われ得る。実施形態では、クランプ機構2250は、オブジェクト2240に電圧を印加するための1つ以上の電極を有してもよい。この電極は、オブジェクト2240とクランプ機構2250との間に、距離にわたって一定の反発力を生み出す。一実施形態では、上述したロード/アンロード機構550、650などのロード/アンロード機構によって印加された力が最初に除去されてもよく、次いで、オブジェクト2240とクランプ機構2250との間に反発力を印加されてもよい。反発力は重力よりも小さい場合がある。次に、ロード/アンロード機構を使用して、オブジェクト2240を持ち上げてもよい。オブジェクト2240が依然としてクランプ機構2250に付着している場合、より高い反発力が使用されてもよい。オブジェクト2240が移動するとすぐに、より高い反発力が停止されてもよい。したがって、ロード/アンロード機構は、オブジェクト2240に接触し、小さな力を印加するように設定されてもよい。ロード/アンロード機構の位置が測定され得る。移動が検出されるとすぐに(例えば、50μmの変位)、反発力が除去されなければならない。
【0183】
[00211] 本発明の第7の態様によれば、クランプ機構の表面電荷を減少させる方法が提供される。そのような方法が、
図23のフローチャートに概略的に示されている。本発明によれば、クランプ機構2300の表面電荷を低減する方法は、クランプ機構、例えば、粒子ビーム装置のオブジェクトテーブルに適用されるクランプ機構、における表面電荷を低減させるために、粒子ビームを使用する。特に、本発明による方法は、粒子ビームを生成する第1のステップ2310を含み、粒子ビームは、クランプ機構の表面において実質的に1に等しい二次放出収率(SEY)を有するように構成されている。当業者は理解するように、粒子ビーム、例えば、検査の目的で半導体基板に適用される電子ビーム、がオブジェクトの表面に照射されると、電子ビームとオブジェクトとの間で相互作用が発生する。そのような相互作用は、例えば、二次電子を生成させてもよい。生成される二次電子の量は、一般に、オブジェクトと粒子ビーム源との間に印加される電圧差に依存することになる。したがって、印加電圧の差を制御することにより、生成される二次電子の量を制御することができる。本発明による方法2300の第1のステップ2310に従って、実質的に1に等しい二次放出収率(SEY)を有する粒子ビームが生成される。本発明の意味の範囲内で、実質的に1に等しいSEYを有する電子ビームを照射することは、平均して、オブジェクトと相互作用する電子の数が、オブジェクトから放出される、二次電子と呼ばれる電子の数に対応することを意味する。そのような状態に到達するためには、すなわち、平均して、オブジェクトに到達する各電子に対して二次電子が放出されるためには、到着する又は入射する電子は、特定のエネルギー又はエネルギーレベルを有する必要がある。オブジェクト又はオブジェクトの表面に入射するときの電子のエネルギーは、一般に入射エネルギーと呼ばれる。当業者は理解するように、電子の入射エネルギー(LE)は、とりわけオブジェクトと粒子ビーム源との間の印加電圧差に依存する。したがって、電子ビームの電子の入射エネルギーは、オブジェクトと粒子ビーム源との間の電圧差を制御することにより制御できる。したがって、電子の入射エネルギー(LE)が、実質的に1に等しいSEYを有するように、印加される電圧差を制御できる。この点で、粒子ビームを使用してオブジェクトを検査する検査装置において、オブジェクトを保持するオブジェクトテーブルは、1つ以上の追加の電極、例えば、クランプ機構の電極とは異なる電極、を備えてもよいことを指摘できる。そのような電極は、例えば、高電圧プレートと呼ばれ得る。そのような1つ又は複数の電極は、例えば、オブジェクト又はオブジェクトテーブルの円周に沿って配置されてもよく、使用中に、高電圧源などの電圧源に接続されてもよい。そのような電極が適用される場合、これら電極も、電子の入射エネルギー(LE)に影響を及ぼし得ることが当業者には明らかであろう。したがって、SEYが実質的に1に等しくなる適切な入射エネルギー(LE)に到達するのに必要な電圧差を決定する場合、このような電極も考慮する必要がある。以下でより詳細に説明するように、入射エネルギー(LE)はまた、オブジェクトの電荷状態にも依存し得る。したがって、SEYが約1になる電圧差又は入射エネルギーLEを参照すると、オブジェクトは中性状態にある、すなわち表面電荷がないと想定される。本発明の一実施形態では、方法2300の第1のステップ2310の前に以下のステップが来る、又は第1のステップ2310は以下のステップを含み得る:
SEYを実質的に1に等しくするために必要な、粒子ビームの発生源とクランプ機構との間の電圧差を決定すること、及び
決定された電圧差を印加することによって粒子ビームを生成すること。
【0184】
[00212] 本発明による方法2300の第2のステップ2320では、クランプ機構の表面を、実質的に1に等しいSEYを有するように調整された粒子ビームにさらすことにより、生成された粒子ビームを使用してクランプ機構の表面に衝突させる。クランプ機構上の残留電荷を低減させることができることを示すことができる。
【0185】
[00213] 当業者は理解するように、実質的に1に等しいSEYをもたらすLEは、一般に、粒子ビームにさらされる材料に依存することになる。したがって、生成された粒子ビームが実質的に1に等しいSEYをもたらすことを確実にするために、粒子ビーム源とオブジェクトとの間にどのような電圧差を印加するかを決定するために、クランプ機構の材料、及びそのSEY対LE特性、少なくとも実質的に1に等しいSEYに到達するために必要なLEの値を知る必要がある。そのような材料特性、例えば実質的に1に等しいSEYに対応するLEの値、SEY対LE特性は、実験的に決定され得ることを指摘できる。
【0186】
[00214]
図24は、典型的なSEY対LE特性2400、すなわち、粒子ビームの電子の入射エネルギー(LE)の関数としての二次電子収率(SEY)の特性、を概略的に示す。図から分かるように、グラフ又は特性2400は、実質的に1に等しいSEYをもたらす2つのエネルギーレベル、すなわちE1及びE2を有する。特性が、実質的に1に等しいSEYをもたらすエネルギーレベルを2つ以上有する場合、必要な入射エネルギーLEとして、その近辺でグラフ又は特性2400が、負の勾配を有するエネルギーレベルを選択することが重要である。
図24に示すように、グラフ2400は、エネルギーレベルE1の近辺で正の勾配2410を有し、エネルギーレベルE2の近辺で負の勾配2420を有する。換言すれば、入射エネルギーに対するSEYの導関数は、エネルギーレベルE1近辺で正であり、エネルギーレベルE2近辺で負である。入射エネルギーE2が適用される場合、すなわち、その近辺でグラフ2400が負の勾配又は負の導関数を有するようなエネルギー値である場合、表面上のいかなる残留電荷も減少又は中和される結果となり得る。これは以下の通りに説明される。クランプ機構上に表面電荷が存在しない場合、粒子ビーム源とクランプ機構との間に、入射エネルギーE2をもたらす電圧差を印加すると、平均で、衝突する電子ごとに1つの二次電子の放出が発生する。この電圧差が、正電荷を有する表面に印加される場合、電子はこの正電荷によって引き付けられ、その結果、入射エネルギーLEは増加し、特にE2よりも大きい入射エネルギー、例えば入射エネルギーE3になる。グラフ2400から分かるように、このような入射エネルギーE3では、対応するSEYは1よりも小さくなる。SEYが1より小さい場合、表面に供給される電子の数は表面から放出される電子の数よりも多く、したがって、その結果、正の表面電荷が減少する又は中和される。この電圧差が、負電荷を有する表面に印加される場合、電子は、この負電荷によってより反発される又は引き付けが少なくなり、その結果、入射エネルギーLEは低減し、特にE2よりも小さい入射エネルギー、例えば入射エネルギーE4になる。グラフ2400から分かるように、このような入射エネルギーE4では、対応するSEYは1よりも大きくなる。SEYが1より大きい場合、表面に供給される電子の数は表面から放出される電子の数よりも少なく、したがって、その結果、負の表面電荷が減少する又は中和される。
【0187】
[00215] 本発明の第8の態様によれば、本発明による、クランプ機構の表面電荷を減少させる方法2300は、有利には、本発明による粒子ビーム装置によって実行されてもよい。
【0188】
[00216]
図23に概略的に示した方法2300を実施するように構成されたそのような装置を
図25に示す。
【0189】
[00217] 概略的に示す装置2500は、
図22に示す装置2200と同様の構造を有してもよい。図示する実施形態では、粒子ビーム装置2500は、2つの粒子ビームジェネレータ2510、2520を備える。図示する実施形態では、装置2500は、例えば、オブジェクトを検査するための電子ビームなどの粒子ビーム2510.1を生成するために使用され得る第1の粒子ビームジェネレータ2510を備える。図示する装置は、第2の粒子ビーム2520.1を生成するための第2の粒子ジェネレータ2520を更に備え、第2の粒子ジェネレータ2520は、例えば、オブジェクトが検査される前又は後に、オブジェクトの電荷を中和するために使用され得る。そのような粒子ビームジェネレータ2520は、フラッドガンとも呼ばれ得る。一般に、粒子ビームジェネレータ2510、2520は両方とも、オブジェクト2540に実質的に垂直な方向に粒子ビームを生成するように方向付けられ得ることに留意されたい。
【0190】
[00218] クランプ機構の表面電荷を減少させる方法を実施するために、粒子ビームジェネレータのうちの何れか1つを使用してもよいと考えられる。
【0191】
[00219] 図示する実施形態では、装置2500は、オブジェクト2540を保持するためのオブジェクトテーブル2530を更に備え、オブジェクトテーブル2530は、オブジェクト2540をオブジェクトテーブル2530にクランプするためのクランプ機構2550を備える。図示する実施形態では、装置2500は、制御ユニット2570を更に備え、制御ユニット2570は、粒子ビームジェネレータ2510、2520の何れか1つに、クランプ機構2550の表面において実質的に1に等しい二次放出収率(SEY)を有するように構成された粒子ビーム2510.1、2520.1を生成するように構成されている。一実施形態では、粒子ビームジェネレータのうちの何れか1つによって生成される粒子ビームは、1つ以上の電子ビームを含む。上述した方法2300を参照すると、このことは、粒子ビームの粒子の入射エネルギーが実質的に1に等しいSEYをもたらすように、制御ユニット2570が粒子ビームジェネレータ2510又は2520を制御するように構成されていることを意味する。そのような制御は、上述したように、所望の入射エネルギーを得るように、粒子ビーム源とクランプ機構との間の電圧差を適切な値に制御することを伴い得る。図示する実施形態では、参照番号2570.1は、例えば、粒子ビームジェネレータ2520を制御して所望の粒子ビームを生成するための、制御ユニット2570によって生成される制御信号を示す。本発明によれば、制御ユニット2570は、生成された粒子ビームを制御してクランプ機構2550の表面に衝突させるように更に構成されている。そうすることにより、
図24を参照して上述したように、クランプ機構2550上のいかなる残留電荷をも少なくとも減らすことができる。
【0192】
[00220] 蓄積されていたかも知れない残留電荷がこのように減少する結果として、装置によって検査されるオブジェクトのアンロード又はクランプ解除が容易になり得る。図示する実施形態では、装置2500は、粒子ビームジェネレータに対してオブジェクトテーブル2530を変位させるように構成されたステージ装置2580を更に備える。そうすることにより、クランプ機構上の残留電荷を低減させるために、クランプ機構2550の表面全体又はその特定の部分が粒子ビームにさらされ得る。
【0193】
[00221] クランプ機構上の残留電荷を低減させるための本発明による方法2300は、定期的に適用され得ると考えることができる。この方法は、例えば、所定の間隔で、例えば、特定の数のオブジェクトが処理されるに、例えば検査されるごとに、適用することができる。代替として又は加えて、オブジェクトの処理中に得られる表示又は観察を使用できる。特に、残留電荷、又は増加したアンロード力などのその指標、を決定することを可能にする上述した方法を適用して、方法2300の適用をトリガし、クランプ機構2550などのクランプ機構における残留電荷を低減させてもよい。粒子ビームジェネレータ2510及び/又は2520は、クランプ機構2550の表面に衝突する粒子ビームの断面積を制御するための集束手段を備えることができると更に考えることができる。適用された粒子ビームの断面積は、クランプ機構に適用された粒子の密度を決定する。粒子ビームの断面積が大きいほど、粒子の密度は低くなる。クランプ機構の特定の場所に存在する残留電荷の実際の量に応じて、その場所における表面を中和するために、その場所には特定の量の粒子が必要である。クランプ機構を横切る粒子ビームのスキャンプロセス中に、残留電荷が十分に低減されることを確実にするために、スキャン速度を決定する場合に、適用される粒子ビームの密度を考慮すべきである。典型的な粒子ビームが、既知のクランプ機構に適用され、例えば、粒子ビームが5~6mm2の断面積を有し、クランプ機構がSiO2から作製される場合、残留電荷の約95%を除去する時間は、0.5ミリ秒以内に実現できることを本発明者らは推論した。そのようなパラメータに基づいて、典型的なクランプ機構は、20秒未満で実質的に中和させることができる。
【0194】
[00222] 本発明の第8の態様によるクランプ機構の表面電荷を低減させる方法は、この文書に記載されているような本発明の他の態様に従って予測された、推定された、又は測定された残留力又は残留電荷に基づいて開始できることが、当業者には明らかなはずである。
【0195】
[00223] 本発明の第9の態様によれば、オブジェクト2601が静電クランプによって保持されているときに、オブジェクト2601は、オブジェクトテーブル2602から突出してオブジェクト2601の下面に接触する静電クランプの1つ以上の電極によって、高電圧に帯電されてもよい。これは、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602に保持する電荷蓄積の原因であり得る。一実施形態では、オブジェクトテーブル2602から突き出てオブジェクト2601の下面に接触する1つ以上の更なる電極を使用して、蓄積したあらゆる電荷を放電させる。更なる電極の数は、例えば、3つであり得る。この実施形態を
図26に示す。
図26では、左側の電極を使用して、オブジェクト2601を高電圧に帯電させている。蓄積された電荷を放電させるために、右側の電極をオブジェクト2601に接触させている。右側の電極は、他方の端部で、オブジェクト2601を接地電位に接触させる端部に接続することができる。
【0196】
[00224] 本発明の第9の態様の実施形態では、オブジェクト2601を帯電させるために使用された電極と同じ電極のうちの1つ以上が更に、オブジェクト2601を放電させる。したがって、放電は、オブジェクト2601を帯電させるために使用する電極の数を増加させることによって改善できる。オブジェクト2601を放電させるために1つ以上の更なる電極を使用することに加えて、オブジェクト2601を帯電させるために使用する電極の数を増加させてもよい。
【0197】
[00225] 本発明の第10の態様によれば、静電クランプを制御してオブジェクト2601の保持を停止させた後の静電クランプの電荷に起因する、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602に保持し続け得る残留力を低減させるように、オブジェクトテーブルがクリーニングされる。例えば、クリーニングストーンをシステム内に設けて、オブジェクトテーブル2602上の、特に静電クランプの表面上の、静電クランプの表面上への電荷蓄積を生じさせ得る又は増強させ得る粒子及び/又は汚染物をクリーニングしてもよい。クリーニングストーンは、オブジェクトテーブル2602上で、特に静電クランプの表面上で、回転及び/又は並進移動し得る。代替として、クリーニングストーンは静止し、オブジェクトテーブル2602がクリーニングストーンに対して回転及び/又は並進移動するように移動してもよい。クリーニング動作中にオブジェクトテーブル2602とクリーニングストーンの両方を移動させて、オブジェクトテーブル2602、特に静電クランプの表面をクリーニングしてもよい。システム内にクリーニングストーンを設けることにより、システムの開放により生じる中断なしに、ストーンによるクリーニング動作を実施できる。
【0198】
[00226] 本発明の第11の態様によれば、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602に保持し続けている残留力又はその少なくとも一部が残ったまま、オブジェクトテーブル2602からのオブジェクト2601のアンロードが実施されてもよい。
【0199】
[00227] 一実施形態では、上昇ピン位置決めデバイス2605は、上昇ピン位置決めデバイスの既知の実現形態よりも強力である。上昇ピン位置決めデバイス2605は、上昇ピン2604を、より大きな力で移動させるので、オブジェクト2601を持ち上げるのにより大きな力が使用される。これにより、上昇ピン2604によって印加される力が、オブジェクトテーブル2602からオブジェクト2601が持ち上げられることを妨げている残留力を克服するのに十分であるという効果を実現することが期待される。
【0200】
[00228] 別の実施形態では、上昇ピン位置決めデバイス2605は、上昇ピン2604の端部がオブジェクト2601にぶつかるように、上昇ピン2604をz方向に振動させる。オブジェクト2601に接触する上昇ピン2604の振動運動は、上昇ピン2604によりオブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602の上方に持ち上げる効果を容易に実現することが期待される。
【0201】
[00229] 更に別の実施形態では、1次位置決めデバイス506は、x-y平面内及び/又はx-y平面内の方向に振動する。1次位置決めデバイス506の振動運動は、上昇ピン2604を介してオブジェクト2601に水平振動力を与える。これにより、上昇ピン2604によりオブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602の上方に持ち上げる効果を容易に実現することが期待される。
【0202】
[00230] 更に別の実施形態では、テーブル位置決めデバイス2603は、オブジェクトテーブル2602を、x-y平面、x-y平面、及びz方向のうちの1つ以上の方向に振動させる。加えて又は代替として、振動運動はまた、x軸、y軸、及びz軸のうちの1つ以上の軸の周りの回転運動であってもよい。オブジェクトテーブル2602の振動運動は、上昇ピン2604によりオブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602の上方に持ち上げる効果を容易に実現することが期待される。
【0203】
[00231] 上述した実施形態では、与えられる振動運動は、x-y平面、x-y平面、及びz方向のうちの1つ以上の方向に沿っていてもよい。適用される振動運動は、加えて又は代替として、x軸、y軸、及びz軸の何れかの軸の周りの回転運動であってもよい。テーブル位置決めデバイス2603、上昇ピン位置決めデバイス2605、及び位置決めデバイス2606は、振動を与えるために任意の可能な運動をしてもよい。例えば、位置決めデバイス2606がz方向に移動できる場合、位置決めデバイス2606は、z方向に振動運動を与えてもよい。
【0204】
[00232] 振動運動は、複数の異なるタイプの制御信号の何れかに依存してもよい。例えば、信号は、のこぎり波、正弦波、雑音信号、及び/又は疑似雑音信号であってもよい。
【0205】
[00233] 更に別の実施形態を
図28に示す。更に別の実施形態では、テーブル位置決めデバイス2603は、
図28の矢印で示すように、オブジェクトテーブル2602を、z方向に上昇ピン位置決めデバイス2605に向かう方向に移動させる。上昇ピン2604のz方向位置は、z方向への上昇ピン2604の移動が防止されるように、機械的にロックされていてもよい。この効果は、オブジェクト2601が上昇ピン2604の端部に押し付けられることであり、これにより、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602から除去する効果、又は除去することをより容易にする効果の実現が期待される。
【0206】
[00234] 一実施形態では、テーブル位置決めデバイス2603のアクチュエータは、上昇ピン位置決めデバイス2605のアクチュエータよりも強力であり得る。テーブル位置決めデバイス2603のアクチュエータはまた、上昇ピン位置決めデバイス2605のアクチュエータよりも広いサーボ帯域幅を有してもよく、これにより、テーブル位置決めデバイス2603によって印加される力を、上昇ピン位置決めデバイス2605のアクチュエータよりも速く制御することが可能になる。実施形態の代替的実現形態では、テーブル位置決めデバイス2603は、オブジェクトテーブル2602を、z方向に上昇ピン位置決めデバイス2605に向かう方向に移動させてもよく、上昇ピン位置決めデバイス2605もまた、上昇ピン2604を制御して、z方向にオブジェクト2601に向けて移動させてもよい。
【0207】
[00235] この実施形態はまた、テーブル位置決めデバイス2603が既知のテーブル位置決めデバイスよりも強力なアクチュエータで設計され、上昇ピン位置決めデバイス2605が既知の上昇ピン位置決めデバイスよりも強力ではないアクチュエータで設計されることを可能にし得る。これにより、上昇ピン位置決めデバイス2605の設計と実装が簡略化されることになる。上昇ピン位置決めデバイス2605よりも高い力を印加できることに加えて、テーブル位置決めデバイス2603はまた、上昇ピン位置決めデバイス2605よりも多くのアクチュエータを含んでもよい。テーブル位置決めデバイス2603は、典型的には、z方向への運動を適用するための3つ又は4つのアクチュエータを備える。
【0208】
[00236] 更に別の実施形態では、オブジェクト2601を、オブジェクトテーブル2602から効果的に剥がすことができる。
【0209】
[00237] この実施形態を
図29に示す。一実施形態では、テーブル位置決めデバイス2603は、オブジェクトテーブル2602をx軸及び/又はy軸の周りに回転させる。
図29に示す回転角の範囲は、回転を明確に示すように大きくしている。実際の回転角は、
図7に示すものよりも遥かに小さい場合がある。上昇ピン2604のうちの1つ以上のピンのz方向位置は、z方向への上昇ピン2604の移動が防止されるように、機械的にロックされていてもよい。代替として、上昇ピン2604のうちの1つ以上のピンのz方向位置は、機械的にロックされていない。上昇ピン2604のうちの1つ以上のピンは、オブジェクト2601に印加される力を増加させるためにz方向に移動してもよい。この効果は、オブジェクト2601が上昇ピン2604のうちの1つ以上のピンの端部に押し付けられることである。これにより、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602から効果的に剥がすことができるので、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602から除去する効果、又は除去することをより容易にする効果の実現が期待される。
【0210】
[00238] 更なる実施形態では、上昇ピン2604のうちの全てではないが1つ以上のピンが、オブジェクト2601を持ち上げるための力を印加するように制御される。代替として、上昇ピン2604のうちの全てのピンが、オブジェクト2601を持ち上げるための力を印加するように制御されてもよいが、上昇ピン2604のうちのいくつかのピンは、他のピンよりも大きな力を印加するように制御される。この効果は、上昇ピン2604が、オブジェクト2601の一方の側に、オブジェクト2601の他方の側よりも大きな力が印加され得るということである。これにより、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602から効果的に剥がすことができるので、オブジェクト2601をオブジェクトテーブル2602から除去する効果、又は除去することをより容易にする効果の実現が期待される。
【0211】
[00239] 本発明の態様の上述した実施形態はまた、上昇ピン2604の各々よって印加され得る力を、既知の技術に従って印加される力よりも増加させることを含む。上昇ピン2604の数は何個であってもよい。例えば、上昇ピン2604の数は、3個、6個、12個、又はそれ以上であってもよい。実施形態は、オブジェクト2601に接触する上昇ピン2604の端部を、既知の上昇ピン2604から増加させた直径で作製することを含む。このことと、上昇ピン2604の数を増加させることの両方により、上昇ピン2604によって加えられる力の、オブジェクト2601表面にわたる広がりが改善され、それにより、印加された力によってオブジェクト2601が損傷を受けるリスクが低減される。
【0212】
[00240] 本発明の態様の実施形態では、振動は、好ましくは、それが小さな運動のみをもたらすように、小さな振幅を有する。本発明の態様の実施形態の何れかの技術を互いに組み合わせることができる。例えば、テーブル位置決めデバイス2603がオブジェクトテーブル2602をz方向に回転させている際に、上昇ピン2604をz方向に振動させてもよい。一実施形態によるこの実現形態では、振動する上昇ピン2604は、所定位置に機械的にロックされることはないであろう。
【0213】
[00241] 更なる実施形態については、以下の条項において説明され得る。
1.オブジェクトテーブルであって、
オブジェクトを保持するためのクランプ機構と;
オブジェクトに接触してオブジェクトをロード又はアンロードするように構成されたロード/アンロード機構と;
オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクトを電圧源又は電気的接地に電気的に接続して、オブジェクトに所定の電圧を印加するように構成された導電体と、を備えるオブジェクトテーブル。
【0214】
2.導電体は、オブジェクトがオブジェクトテーブル上で保持されるときに、機械的剛性が低い接続を形成するように構成されている、条項1に記載のオブジェクトテーブル。
【0215】
3.導電体は断面積を有し、導電体の機械的剛性が、同じ断面積を有する電線の機械的剛性よりも低い、条項1又は2に記載のオブジェクトテーブル。
【0216】
4.機械的剛性は、オブジェクトがオブジェクトテーブル上に保持されている時間幅の少なくとも一部において実質的にゼロである、条項2に記載のオブジェクトテーブル。
【0217】
5.オブジェクトがオブジェクトテーブル上に保持される場合、導電体は、オブジェクトを電圧源又は電気的接地から切断するように構成されている、先行する条項の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0218】
6.導電体はコイル形状部分を有する電線を備える、先行する条項の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0219】
7.コイル形状部分は1つ以上の巻き線又はターンを備える、条項6に記載のオブジェクトテーブル。
【0220】
8.コイル形状部分は、ロード/アンロード機構のピン形状部材の周りに螺旋状に配置されている、条項6又は7に記載のオブジェクトテーブル。
【0221】
9.コイル形状部分の端部がピン形状部材に接続されている、条項8に記載のオブジェクトテーブル。
【0222】
10.電極を更に備える、先行する条項の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0223】
11.電極は、オブジェクトテーブルの上面に又はその近くに装着されている、条項10に記載のオブジェクトテーブル。
【0224】
12.電極は、クランプ機構を実質的に取り囲んでいる、条項10又は11に記載のオブジェクトテーブル。
【0225】
13.導電体は、オブジェクトを電極又は電気接地に電気的に接続するように構成されている、条項10~12の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0226】
14.アンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、上昇された電圧が電極に印加されるように構成されている、条項10~13の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0227】
15.電極は、アンロードシーケンスの少なくとも一部の間にオブジェクトから電気的に絶縁されている、条項10~14の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0228】
16.条項10~15の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0229】
17.電極は、アンロードシーケンスの少なくとも一部の前に、オブジェクトから離れる方向に移動されるように構成されている。
【0230】
18.クランプ機構は、アンロードシーケンスの少なくとも一部の前に、電極から離れる方向に移動するように構成されている、条項10~16の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0231】
19.ロード/アンロード機構は、オブジェクトに接触してオブジェクトをアンロードするための1つ以上のピン形状部材を備える、条項10~17の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0232】
20.導電体は、1つ以上のピン形状部材のうちの少なくとも1つを電極又は電気接地に電気的に接続する、条項18に記載のオブジェクトテーブル。
【0233】
21.導電体の少なくとも一部は電気的にシールドされている、条項19に記載のオブジェクトテーブル。
【0234】
22.オブジェクトテーブルは、少なくとも一部を導電体からシールドするように構成された電気シールドを含み、電気シールドは電極に電気的に接続されている、条項20に記載のオブジェクトテーブル。
【0235】
23.導電体は、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクトに接触するためのピン形状部材を備える、条項1~8の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0236】
24.電極を更に備える条項22に記載のオブジェクトテーブルであって、電極から導電体への放電を回避するように、電極が帯電しているときに導電体が後退可能である、オブジェクトテーブル。
【0237】
25.導電体は、導電体がクランプ機構によって囲まれていない位置に後退可能である、条項23に記載のオブジェクトテーブル。
【0238】
26.ロード/アンロード機構は、オブジェクトをアンロードするためにオブジェクトに接触する1つ以上のピン形状部材を含み、1つ以上のピン形状部材のうちの少なくとも1つは、導電体の少なくとも一部を形成する、先行する条項の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0239】
27.ピン形状部材はイオン化可能ガスを含む、条項22~25の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0240】
28.ピン形状部材はイオン化可能ガスを収容するように構成されている、条項26に記載のオブジェクトテーブル。
【0241】
29.イオン化可能ガスはAr又はNeを含む、条項26又は27に記載のオブジェクトテーブル。
【0242】
30.電気コネクタは第1のコネクタ部材及び第2のコネクタ部材を備え、第1のコネクタ部材及び第2のコネクタ部材は、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、電気的接続を形成するように構成されている、先行する条項の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0243】
31.第1のコネクタ部材又は第2のコネクタ部材はカンチレバーを備える、条項29に記載のオブジェクトテーブル。
【0244】
32.カンチレバーは湾曲可能な導電体を備える、条項30に記載のオブジェクトテーブル。
【0245】
33.第1のコネクタ部材は開口を備え、第2のコネクタ部材は開口を通って突出するように構成されている、条項29に記載のオブジェクトテーブル。
【0246】
34.第1のコネクタ部材又は第2のコネクタ部材は、第2のコネクタ部材が開口から突出したときに電気的接続を形成するための複数のブラシ状導電性ワイヤを備える、条項32に記載のオブジェクトテーブル。
【0247】
35.電気コネクタはエンドエフェクタグリッパを備える、先行する条項の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0248】
36.オブジェクトテーブルであって、
支持構造と;
オブジェクトを保持するためのクランプ機構であって、支持構造上に配置されている、クランプ機構と;
オブジェクトに接触してオブジェクトをロード又はアンロードするように構成されたロード/アンロード機構と;
支持構造に装着された電極と;
オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に、オブジェクトを電極に電気的に接続するように構成されている導電体と、を備えるオブジェクトテーブル。
【0249】
37.電極は、クランプ機構を実質的に取り囲んでいる、条項35に記載のオブジェクトテーブル。
【0250】
38.導電体は、オブジェクトとの接触を維持するように、オブジェクトのアンロードシーケンスの少なくとも一部の間に変形するように構成された可撓性部分を備える、条項35に記載のオブジェクトテーブル。
【0251】
39.オブジェクトテーブルであって、
オブジェクトを保持するように構成されている静電クランプと;
静電クランプの1つ以上の電気的特性を決定するように構成された測定ユニットであって、1つ以上の電気的特性は、静電クランプの1つ以上の電荷状態を表す、測定ユニットと;
オブジェクトのアンロードの前及び/又はそのアンロード中に、決定された1つ以上の電気的特性に基づいて、静電クランプの1つ以上の電力供給部を制御するように構成された制御ユニットと、を備えるオブジェクトテーブル。
【0252】
40.静電クランプは、オブジェクトと静電クランプとの間に1つ以上の電界を生成するための1つ以上の電極を備える、条項38に記載のオブジェクトテーブル。
【0253】
41.測定ユニットは、1つ以上の電気的特性として静電クランプの1つ以上の電圧を測定するように構成されている、条項38又は39に記載のオブジェクトテーブル。
【0254】
42.静電クランプの1つ以上の電圧が、1つ以上の電極の1つ以上の電圧を含む、条項39に従属する場合の条項40に記載のオブジェクトテーブル。
【0255】
43.測定ユニットは、1つ以上の電気的特性として、静電クランプに供給される1つ以上の電流を測定するように構成されている、条項38~41の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0256】
44.静電クランプに供給される1つ以上の電流は、1つ以上の電極に供給される1つ以上の電流を含む、条項39に依存する場合の条項42に記載のオブジェクトテーブル。
【0257】
45.測定ユニットは、オブジェクトの1つ以上の電圧、及び/又はオブジェクトから若しくはオブジェクトに供給される1つ以上の電流を測定するように構成されている、条項38~43の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0258】
46.オブジェクトテーブルは、オブジェクトがオブジェクトテーブル上に位置決めされているときに、オブジェクトに電気的に接続するように構成された接続ピンを備え、測定ユニットは、接続ピンを介してオブジェクトの1つ以上の電圧のうちの少なくとも1つを測定するように構成されている、条項44に記載のオブジェクトテーブル。
【0259】
47.オブジェクトテーブルは、オブジェクトをロード及びアンロードするためのロード/アンロード機構を備える、条項38~45の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0260】
48.ロード/アンロード機構は、静電クランプからオブジェクトを持ち上げるように構成された持ち上げ機構を備える、条項46に記載のオブジェクトテーブル。
【0261】
49.測定ユニットは、オブジェクトのロード又はアンロード中に、静電クランプの1つ以上の電気的特性を測定するように構成されている、条項38~47の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0262】
50.オブジェクトテーブルは、静電クランプを取り囲む電極を更に備える、条項38~48の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0263】
51.1つ以上の電荷状態は、静電クランプの表面上の表面電荷、又は静電クランプの表面上の表面電荷分布を含む、条項38~49の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0264】
52.制御ユニットは、表面電荷によって生成された電界を少なくとも部分的に補償して、静電クランプの表面電荷によって生じるオブジェクトの付着を少なくとも部分的に補償するように構成された1つ以上の電界を生成するように、静電クランプの1つ以上の電力供給部を制御するように構成されている、条項50に記載のオブジェクトテーブル。
【0265】
53.導電体の少なくとも一部は電気的にシールドされている、条項1~37の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0266】
54.オブジェクトテーブルであって、
オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするための静電クランプと;
イオン化ガスの流れ供給するためのイオナイザデバイスと;
イオナイザデバイスを制御してイオン化ガスの流れを静電クランプに供給するように配置された制御ユニットと、を備えるオブジェクトテーブル。
【0267】
55.制御ユニットは、残留力又は残留電荷を表す情報信号を受信するように配置され、残留力は、静電クランプからのオブジェクトのアンロード中に、静電クランプによってオブジェクトに印加され、残留電荷は、静電クランプに帯電電圧が印加されていないときに、静電クランプ上に存在する静電荷であり、制御ユニットは、情報信号に基づいてイオナイザデバイスを制御するように配置されている、条項53に記載のオブジェクトテーブル。
【0268】
56.残留力又は残留電荷を表す測定信号を提供するための測定ユニットを備える、条項54に記載のオブジェクトテーブルであって、情報信号は測定信号を含み、制御ユニットは、測定信号に基づいてイオナイザデバイスを制御するように配置されている、オブジェクトテーブル。
【0269】
57.オブジェクトテーブルであって、
オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするための静電クランプと;
静電クランプ上にオブジェクトをクランプするための帯電電圧と、静電クランプからオブジェクトをクランプ解除するための放電電圧と、を静電クランプに供給するように配置された制御ユニットとを備え、
制御ユニットは、残留力又は残留電荷を表す情報信号を受信するように配置され、
制御ユニットは、情報信号に基づいて放電電圧を供給するように配置されている、オブジェクトテーブル。
【0270】
58.放電電圧が帯電電圧と反対の極性を有する、条項56に記載のオブジェクトテーブル。
【0271】
59.イオン化ガスの流れを静電クランプに供給するためのイオナイザデバイスを備え、制御ユニットは、情報信号に基づいてイオナイザデバイスを制御するように配置されている、条項56又は57に記載のオブジェクトテーブル。
【0272】
60.情報信号は、測定情報及び/又は推定情報のうちの少なくとも1つを含む、条項53~58に記載のオブジェクトテーブル。
【0273】
61.アンロード中に、制御ユニットは、更新された残留力又は更新された残留電荷を表す更新された情報信号を受信するように配置されており、ここで、制御ユニットは、更新された情報信号に基づいて放電電圧を調整するように配置されている、又は、制御ユニットは、更新された情報信号に基づいてイオナイザデバイスの制御を調整するように配置されている、条項56~59に記載のオブジェクトテーブル。
【0274】
62.アンロード機構を備える、条項53~60の何れか一項に記載のオブジェクトテーブルであって、測定ユニットは、アンロード中に、オブジェクトを静電クランプから持ち上げるために、アンロード機構によってオブジェクトに印加された持ち上げ力を監視するように配置され、測定信号は持ち上げ力の測定値を含む、オブジェクトテーブル。
【0275】
63.測定ユニットは、持ち上げ力の測定値を提供するための力センサを備える、条項61に記載のオブジェクトテーブル。
【0276】
64.アンロード機構は、アンロード中に、静電クランプから離れる方向にオブジェクトを押すように配置された少なくとも1つの持ち上げピンを備え、持ち上げピンは力センサを備える、条項62に記載のオブジェクトテーブル。
【0277】
65.測定ユニットは、第1の状態にあるオブジェクト及び第2の状態にあるオブジェクトに基づいて測定信号を提供するように配置されたギャップセンサを備え、第1の状態では、オブジェクトは静電クランプ上にあり、第2の状態では、オブジェクトは静電クランプから離れている、条項53~63の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0278】
66.オブジェクトは、第1の状態から第2の状態への移動を行い、測定信号は移動を表す、条項64に記載のオブジェクトテーブル。
【0279】
67.ギャップセンサは静電容量センサを備える、条項64又は65に記載のオブジェクトテーブル。
【0280】
68.制御ユニットは、情報信号を閾値と比較するように配置されている、条項53~66の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0281】
69.条項53~67の何れか一項に記載のオブジェクトテーブルを備える装置であって、装置は、粒子ビーム装置、電子ビーム装置、走査型電子顕微鏡、電子ビームダイレクトライタ、電子ビーム投影リソグラフィ装置、電子ビーム検査装置、電子ビーム欠陥検証装置、電子ビーム計測装置、リソグラフィ装置、及び計測装置のうちの1つである、装置。
【0282】
70.静電クランプからオブジェクトをアンロードするための方法であって、方法は、静電クランプからオブジェクトをアンロードすることと、静電クランプにイオン化ガスの流れを供給することと、を含む方法。
【0283】
71.静電クランプからオブジェクトをアンロードするための方法であって、方法は、残留力又は残留電荷を表す情報信号を提供することであって、残留力は、静電クランプからのオブジェクトのアンロード中に、静電クランプによってオブジェクトに印加され、残留電荷は、静電クランプに帯電電圧が印加されていないときに、静電クランプ上に存在する、ことと;
情報信号に基づいて、静電クランプからオブジェクトをクランプ解除するための放電電圧を供給することと、を含む方法。
【0284】
72.情報信号に基づいて、静電クランプにイオン化ガスの流れを供給するステップを含む、条項70に記載の方法。
【0285】
73.オブジェクトを静電クランプ上にクランプするための方法であって、方法は、
i)静電クランプ上にオブジェクトを提供することと;
ii)オブジェクトが静電クランプ上にクランプされているクランプ状態が検出されるまで、クランプ電圧を増加させることと;
iii)クランプ状態でのクランプ電圧である第1のクランプ電圧(Vmax)を決定することと;
iv)第1のクランプ電圧(Vmax)よりも低い第2のクランプ電圧(Vfinal)を静電クランプに印加することと、を含む方法。
【0286】
74.クランプ状態は、クランプパラメータが閾値内にある場合に検出される、条項72に記載の方法。
【0287】
75.クランプパラメータは、オブジェクトの平坦度、クランプ電圧の変化によって生じるオブジェクト形状の変化、及び静電クランプと接触しているオブジェクトの中央部分、のうちの1つを含む、条項73に記載の方法。
【0288】
76.条項74に記載の方法であって、ステップiii)とiv)の間に、
v)クランプ状態がもはや検出されなくなるまでクランプ電圧を減少させることと;
vi)第3のクランプ電圧(Vmin)を、クランプ状態が検出されなくなったクランプ電圧であると決定することと;
vii)第3のクランプ電圧(Vmin)よりも高い第2のクランプ電圧(Vfinal)を静電クランプに印加することと、を含む方法。
【0289】
77.条項75に記載の方法であって、ステップvi)とvii)の間に、
viii)クランプ電圧を第1のクランプ電圧(Vmax)まで増加させることを含む、方法。
【0290】
78.第2のクランプ電圧(Vfinal)は、第3のクランプ電圧(Vmin)の150%未満であり、例えば、140%未満、又は130%未満、又は120%未満、又は110%未満、又は105%未満である、条項75又は76に記載の方法。
【0291】
79.条項72に記載の方法であって、
ix)ステップiii)の間に、オブジェクトと静電クランプとの間のクランプ力を決定することと、
x)クランプ力に基づいて第2のクランプ電圧(Vfinal)を供給することと、を含む方法。
【0292】
80.オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、条項72~78の何れか一項に記載の方法を実施するように配置されている、オブジェクトテーブル。
【0293】
81.オブジェクトテーブルは、オブジェクトをクランプするための静電クランプと、静電クランプにクランプ電圧を供給するための制御ユニットと、を備える、条項79に記載のオブジェクトテーブル。
【0294】
82.クランプパラメータを表す測定信号を制御ユニットに提供するための測定ユニットを備える、条項80に記載のオブジェクトテーブル。
【0295】
83.測定ユニットは、オブジェクトが平坦であるか又は弓形であるかを決定するように配置されている、条項81に記載のオブジェクトテーブル。
【0296】
84.測定ユニットは、オブジェクトと静電クランプとの間のギャップ又は静電容量を決定するように配置されている、条項81又は82に記載のオブジェクトテーブル。
【0297】
85.測定ユニットは、オブジェクトの高さを決定するように配置されている、条項81~83の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0298】
86.条項79~84の何れか一項に記載のオブジェクトテーブルであって、力センサを備え、ステップiii)の間に、力センサは、静電クランプに第1のクランプ電圧(Vmax)が印加されている間に、オブジェクトが静電クランプ上にクランプされるクランプ力を検出するように配置されている、オブジェクトテーブル。
【0299】
87.力センサは、ステップiii)の間にオブジェクトに接触するように、そしてステップiv)の間にオブジェクトに接触しないように移動可能である、条項85に記載のオブジェクトテーブル。
【0300】
88.制御ユニットは、クランプ電圧とクランプパラメータとに基づいて第3のクランプ電圧(Vmin)を予測するように配置された機械学習ユニットを備える、条項79~86に記載のオブジェクトテーブル。
【0301】
89.条項79~87の何れか一項に記載のオブジェクトテーブルを備える装置であって、装置は、粒子ビーム装置、電子ビーム装置、走査型電子顕微鏡、電子ビームダイレクトライタ、電子ビーム投影リソグラフィ装置、電子ビーム検査装置、電子ビーム欠陥検証装置、電子ビーム計測装置、リソグラフィ装置、及び計測装置のうちの1つである、装置。
【0302】
90.オブジェクトを静電クランプから移動させる及び静電クランプ上に移動させるための持ち上げピンを備える、条項88に記載の装置であって、制御ユニットは、持ち上げピンの位置に基づいてクランプパラメータを決定するように配置されている、装置。
【0303】
91.オブジェクトの高さを決定するための高さセンサを備える、条項88又は89に記載の装置であって、制御ユニットは、高さセンサからの高さ信号に基づいてクランプパラメータを決定するように配置されている、装置。
【0304】
92.オブジェクトテーブルのクランプ機構の残留電荷を決定する方法であって、
クランプ機構の表面に粒子ビームを衝突させることと;
表面への衝突によって生じたクランプ機構の応答を検出することと;
応答に基づいてクランプ機構の残留電荷を決定することと、を含む方法。
【0305】
93.粒子ビームは1つ以上の電子ビームを含む、条項91に記載の方法。
【0306】
94.応答を検出するステップは、クランプ機構によって放出された二次電子又は散乱電子を検出するステップを含む、条項91又は92に記載の方法。
【0307】
95.二次電子を検出するステップは、二次電子のエネルギースペクトルを測定するステップを含む、条項93に記載の方法。
【0308】
96.クランプ機構を粒子ビームの動作範囲内に位置決めするステップが、クランプ機構の表面に衝突させるステップに先行する、条項91~94の何れか一項に記載の方法。
【0309】
97.クランプ機構は静電クランプを備える、条項91~95の何れか一項に記載の方法。
【0310】
98.静電クランプは1つ以上の電極を備える、条項96に記載の方法。
【0311】
99.1つ以上の電極が静電クランプの表面に埋め込まれている、条項97に記載の方法。
【0312】
100.表面に衝突させるステップは、表面上の複数の場所で表面に衝突させることを含み、残留電荷を決定するステップは、クランプ機構の表面にわたって残留電荷分布を決定することを含む、条項91~98の何れか一項に記載の方法。
【0313】
101.応答に基づいて、クランプ機構に1つ以上の電圧を印加して、クランプ機構の残留電荷を少なくとも部分的に相殺するステップを更に含む、条項91~99の何れか一項に記載の方法。
【0314】
102.条項91~100の何れか一項に記載の方法を実施するように構成された粒子ビーム装置。
【0315】
103.粒子ビーム装置であって、
粒子ビームジェネレータと;
オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、オブジェクトをオブジェクトテーブルにクランプするためのクランプ機構を備える、オブジェクトテーブルと;
検出器と;
制御ユニットであって、クランプ機構の表面に粒子ビームを衝突させる粒子ビームジェネレータを制御するように構成されている、制御ユニットと;
クランプ機構に粒子ビームが衝突することによって生じる、クランプ機構の応答を検出するように構成されている検出器と;を備え、
制御ユニットは、クランプ機構の応答を表す検出器信号を検出器から受信し、検出器信号に基づいて、クランプ機構の残留電荷を決定する、ように更に構成されている、粒子ビーム装置。
【0316】
104.粒子ビームは1つ以上の電子ビームを含む、条項102に記載の粒子ビーム装置。
【0317】
105.粒子ビームジェネレータに対してオブジェクトテーブルを位置決めするための位置決めデバイスを、装置が更に備える、条項102又は103に記載の粒子ビーム装置。
【0318】
106.応答は、クランプ機構によって放出された二次電子又は散乱電子を含む、条項102~104の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0319】
107.検出器が二次電子のエネルギースペクトルを測定するように構成されている、条項105に記載の粒子ビーム装置。
【0320】
108.位置決めデバイスは、粒子ビームが表面に衝突する前に、クランプ機構を粒子ビームの動作範囲内に位置決めするように構成されている、条項102~106の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0321】
109.クランプ機構は静電クランプを備える、条項102~107の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0322】
110.静電クランプは1つ以上の電極を備える、条項108に記載の方法。
【0323】
111.1つ以上の電極が静電クランプの表面に埋め込まれている、条項109に記載の方法。
【0324】
112.制御ユニットが、粒子ビームを制御して表面上の複数の場所で表面に衝突するように構成され、制御ユニットが、クランプ機構の表面にわたる残留電荷分布を決定するように構成されている、条項102~110の何れか一項に記載の方法。
【0325】
113.制御ユニットは、応答に基づいて、クランプ機構に1つ以上の電圧を印加して、クランプ機構の残留電荷を少なくとも部分的に相殺するステップを更に備えるように更に構成されている、条項102~111の何れか一項に記載の方法。
【0326】
114.クランプ機構の表面電荷を低減させる方法であって、
粒子ビームを生成することであって、粒子ビームは、クランプ機構の表面において実質的に1に等しい二次放出収率(SEY)を有するように構成されている、ことと;
粒子ビームを使用してクランプ機構の表面に衝突させることと、を含む方法。
【0327】
115.クランプ機構の表面が中立状態にあるとき、SEYは実質的に1に等しいと考えられる、条項113に記載の方法。
【0328】
116.粒子ビームを生成するステップは、
SEYを実質的に1に等しくするために必要な、粒子ビームの発生源とクランプ機構との間の電圧差を決定すること、及び
決定された電圧差を印加することによって粒子ビームを生成することを含む、条項113又は114に記載の方法。
【0329】
117.電圧差は、クランプ機構の材料特性に基づく、条項115に記載の方法。
【0330】
118.クランプ機構の表面が中立状態にあるとき、SEYが実質的に1に等しいことに対応する入射エネルギー(LE)を有する粒子ビームの粒子が得られるように、電圧差が選択される、条項115又は116に記載の方法。
【0331】
119.電圧差はクランプ機構のLEに対するSEYの導関数に基づいて選択され、それにより、SEYの導関数は入射エネルギー(LE)のあたりで負である、条項100に記載の方法。
【0332】
120.クランプ機構の表面にわたって粒子ビームを走査させることを更に含む、条項113~118の何れか一項に記載の方法。
【0333】
121.粒子ビームは1つ以上の電子ビームを含む、条項119に記載の方法。
【0334】
122.クランプ機構の材料はSiO2を含む、条項113~120の何れか一項に記載の方法。
【0335】
123.粒子ビーム装置であって、
粒子ビームジェネレータと;
オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、オブジェクトをオブジェクトテーブルにクランプするためのクランプ機構を備える、オブジェクトテーブルと;
制御ユニットであって、粒子ビームジェネレータを制御して、クランプ機構の表面において実質的に1に等しい二次放出収率(SEY)を有するように構成されている粒子ビームを生成させ、粒子ビームを制御してクランプ機構の表面に衝突させるように構成されている、制御ユニットと、を備える粒子ビーム装置。
【0336】
124.制御ユニットは、
粒子ビームの発生源とクランプ機構との間の電圧差を、SEYが実質的に1に等しくなるように選択された電圧差となるように決定し、
決定された電圧差を印加することにより、粒子ビームジェネレータを制御して粒子ビームを生成させる、ように更に構成されている、条項122に記載の粒子ビーム装置。
【0337】
125.粒子ビームジェネレータは電子ビームジェネレータを備える、条項122又は123に記載の粒子ビーム装置。
【0338】
126.粒子ビームジェネレータはフラッドガンを備える、条項122~124の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0339】
127.粒子ビームに対してオブジェクトテーブルを位置決めするように構成されたステージ装置を更に備える、条項122~125項の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0340】
128.クランプ機構の表面が中立状態にあるとき、SEYは実質的に1に等しいと考えられる、条項122~126の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0341】
129.電圧差は、クランプ機構の材料特性に基づく、条項123を参照する条項123~127の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0342】
130.クランプ機構の表面が中立状態にあるとき、SEYが実質的に1に等しいことに対応する入射エネルギー(LE)を有する粒子ビームの粒子が得られるように、電圧差が選択される、条項127又は128に記載の粒子ビーム装置。
【0343】
131.電圧差はクランプ機構のLEに対するSEYの導関数に基づいて選択され、それにより、SEYの導関数は入射エネルギー(LE)のあたりで負である、条項129に記載の粒子ビーム装置。
【0344】
132.制御ユニットは、粒子ビームジェネレータを制御して、クランプ機構の表面にわたって粒子ビームをスキャンするように構成されている、条項122~130の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0345】
133.粒子ビームは1つ以上の電子ビームを含む、条項131に記載の粒子ビーム装置。
【0346】
134.クランプ機構の材料はSiO2を含む、条項122~132の何れか一項に記載の粒子ビーム装置。
【0347】
135.条項122~132の何れか一項に記載の粒子ビーム装置を備える電子ビーム装置。
【0348】
136.条項122~132の何れか一項に記載の粒子ビーム装置を備える電子ビーム装置であって、粒子ビーム装置は、オブジェクトを処理するための第1の電子ビームジェネレータと、クランプ機構の表面の電荷を少なくとも部分的に相殺又は中和する第2の電子ビームジェネレータとを備える、電子ビーム装置。
【0349】
137.オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;
オブジェクトテーブルからオブジェクトを持ち上げるように配置された1つ以上の上昇ピンと;
1つ以上の上昇ピン及び/又はオブジェクトテーブルの少なくとも一部を振動させるように、1つ以上の上昇ピン位置決めデバイスに作動信号を送信するように構成されたコントローラと、を備えるオブジェクトテーブル。
【0350】
138.条項136に記載のオブジェクトテーブルであって、
1つ以上の上昇ピン及び/又はオブジェクトテーブルの少なくとも一部を振動させることは、1つ以上の上昇ピン及び/又はオブジェクトテーブルの少なくとも一部を、静電クランプの表面に実質的に直交する方向に移動させること;及び/又は
1つ以上の上昇ピン及び/又はオブジェクトテーブルの少なくとも一部を、静電クランプの表面に実質的に平行な方向に移動させること、を含む、オブジェクトテーブル。
【0351】
139.1つ以上のアクチュエータを備える位置決めシステムを更に備える、条項136又は137に記載のオブジェクトテーブル。
【0352】
140.位置決めシステムは、
1つ以上の上昇ピンの各々を移動させるように配置された少なくとも1つのアクチュエータを備える上昇ピン位置決めデバイス、
静電クランプを移動させるように配置された少なくとも1つのアクチュエータを備えるオブジェクトテーブル位置決めデバイス、及び/又は、
テーブル位置決めデバイスを移動させるように配置された少なくとも1つのアクチュエータを備える1次位置決めデバイス、を備える、条項138に記載のオブジェクトテーブル。
【0353】
141.オブジェクトテーブルであって、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;
オブジェクトテーブルからオブジェクトを持ち上げるように配置された1つ以上の上昇ピンと;
オブジェクトが静電クランプ上にある場合に、オブジェクトが1つ以上の上昇ピンに押し付けられ、それにより、オブジェクトが静電クランプから離れる方向に移動するように、1つ以上のアクチュエータに作動信号を送信してオブジェクトテーブルの少なくとも一部を移動させるように構成されたコントローラと、を備える、オブジェクトテーブル。
【0354】
142.オブジェクトが1つ以上の上昇ピンに押し付けられたときに、1つ以上の上昇ピンが移動しないように配置されたロックシステムを更に備える、条項140に記載のオブジェクトテーブル。
【0355】
143.ロックシステムは、1つ以上の機械式ロックを備える、条項141に記載のオブジェクトテーブル。
【0356】
144.1つ以上の上昇ピン、及び/又はオブジェクトテーブルの少なくとも一部は、コントローラからの作動信号に応答して振動するように配置されている、条項140~142の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0357】
145.オブジェクトテーブルであって、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;
オブジェクトテーブルからオブジェクトを持ち上げるように配置された複数の上昇ピンと;
オブジェクトが支持構造の表面上にあるとき、上昇ピンのうちの少なくとも1つがオブジェクトに接触し、複数の上昇ピンの全てがオブジェクトに対して同時に同じ力を印加することがないように、1つ以上のアクチュエータに作動信号を送信して、オブジェクトテーブルの少なくとも一部及び/又は複数の上昇ピンのうちの少なくとも1つの移動を制御するように構成されたコントローラと、を備える、オブジェクトテーブル。
【0358】
146.オブジェクトが静電クランプ上にある場合、コントローラによって送信された作動信号に応答して静電クランプからオブジェクトを除去するときに、オブジェクトテーブル及び/又は複数の上昇ピンは、オブジェクトを静電クランプに対して傾けるように配置されている、条項144に記載のオブジェクトテーブル。
【0359】
147.オブジェクトが回転された場合に、1つ以上の上昇ピンが移動しないように配置されたロックシステムを更に備える、条項145に記載のオブジェクトテーブル。
【0360】
148.ロックシステムは、1つ以上の機械式ロックを備える、条項146に記載のオブジェクトテーブル。
【0361】
149.オブジェクトが静電クランプ上にある場合に、オブジェクトが回転方向に振動するように、コントローラは、1つ以上のアクチュエータに作動信号を送信して、オブジェクトテーブル及び/又は複数のピンの移動を制御するように構成されている、条項144~147の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0362】
150.1つ以上の上昇ピン、及び/又はオブジェクトテーブルの少なくとも一部は、コントローラからの作動信号及び/又は更なる作動信号に応答して振動するように配置されている、条項144~148の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0363】
151.オブジェクトテーブルであって、オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと、オブジェクトを帯電させるように配置された1つ以上の電極と、を備え、1つ以上の電極のうちの第1のセットが、オブジェクトに電荷を印加するように配置されており、1つ以上の電極のうちの第2のセットが、オブジェクトを放電させるように配置されている、オブジェクトテーブル。
【0364】
152.1つ以上の電極のうちの第2のセットは、オブジェクトを放電させるために使用されるが、オブジェクトに電荷を印加するためには使用されない、条項150に記載のオブジェクトテーブル。
【0365】
153.静電クランプから離れる方向にオブジェクトを持ち上げるように構成された1つ以上の上昇ピンを更に備える、条項150又は151に記載のオブジェクトテーブル。
【0366】
154.オブジェクトテーブルであって、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと、
クリーニングデバイスであって、静電クランプをクリーニングするように配置されたクリーニングデバイスと、を備える、オブジェクトテーブル。
【0367】
155.クリーニングデバイスは、オブジェクトと共に使用される場合、オブジェクトの表面をクリーニングするように配置されている、条項153に記載のオブジェクトテーブル。
【0368】
156.静電クランプから離れる方向にオブジェクトを持ち上げるように構成された1つ以上の上昇ピンを更に備える、条項153又は154に記載のオブジェクトテーブル。
【0369】
157.オブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルであって、
オブジェクトをオブジェクトテーブル上にクランプするように配置された静電クランプと;
静電クランプの残留電荷を中和するように配置された中和器と;
中和器を制御するように配置された制御ユニットと、を備える、オブジェクトテーブル。
【0370】
158.制御ユニットは、残留力又は残留電荷を表す情報信号を受信するように配置され、残留力は、静電クランプからのオブジェクトのアンロード中に、静電クランプによってオブジェクトに印加され、残留電荷は、静電クランプに電圧が印加されていないときに、静電クランプ上に存在する静電荷であり、制御ユニットは、情報信号に基づいて中和器を制御するように配置されている、条項156に記載のオブジェクトテーブル。
【0371】
159.情報信号は、測定情報、推定情報、及び内部信号情報のうちの少なくとも1つを含む、条項157に記載のオブジェクトテーブル。
【0372】
160.測定ユニットを更に備え、測定ユニットは、残留力の測定値を提供するように構成された力センサ、及び/又はオブジェクトと静電クランプとの間のギャップの測定値を提供するように構成されたギャップセンサを備える、条項157又は158に記載のオブジェクトテーブル。
【0373】
161.更なる測定ユニットを更に備える、条項157又は158に記載のオブジェクトテーブルであって、更なる測定ユニットは、静電クランプの残留電荷を表す情報信号を決定するように構成され、1つ以上の電気的特性が、静電クランプの残留電荷を表し、更なる測定ユニットは、1つ以上の電気的特性として、静電クランプの1つ以上の電圧を測定するように構成され、更なる測定ユニットは、1つ以上の電気的特性として、静電クランプに供給される1つ以上の電流を測定するように構成されている、オブジェクトテーブル。
【0374】
162.条項157又は158に記載のオブジェクトテーブルであって、
粒子ビームを生成するように構成された粒子ビームジェネレータと、粒子ビームを検出するように構成された検出器と、を更に備え、
制御ユニットは、粒子ビームジェネレータを制御して、粒子ビームを静電クランプの表面に衝突させるように構成され、
検出器は、粒子ビームが静電クランプに衝突することにより生じる静電クランプの応答を検出するように構成され、
制御ユニットは、静電クランプの応答を表す検出器信号を検出器から受信し、検出器信号に基づいて、静電クランプ上の残留電荷を表す情報信号を決定する、ように更に構成されている、オブジェクトテーブル。
【0375】
163.中和器は、静電クランプに放電電圧を印加するように構成された電源を備え、制御ユニットは、電源への放電電圧を制御するように配置されている、条項156に記載のオブジェクトテーブル。
【0376】
164.中和器は、静電クランプに放電電圧を印加するように構成された電源を備え、制御ユニットは、残留電荷を表す情報信号に基づいて、電源への放電電圧を制御するように配置されている、条項157~161の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0377】
165.中和器は、イオン化ガスの流れを供給するように配置されたイオナイザデバイスであり、制御ユニットは、イオナイザデバイスを制御して、静電クランプにイオン化ガスの流れを供給するように配置されている、条項157~161の何れか一項に記載のオブジェクトテーブル。
【0378】
166.条項156~164の何れか一項に記載のオブジェクトテーブルを備える装置であって、装置は、粒子ビーム装置、電子ビーム装置、走査型電子顕微鏡、電子ビームダイレクトライタ、電子ビーム投影リソグラフィ装置、電子ビーム検査装置、電子ビーム欠陥検証装置、電子ビーム計測装置、リソグラフィ装置、及び計測装置のうちの1つである、装置。
【0379】
167.静電クランプからオブジェクトをアンロードするための方法であって、方法は、
静電クランプからオブジェクトをアンロードすることと、
アンロードするステップの前、最中、及び/又は後に、静電クランプの残留電荷を中和することと、を含む、方法。
【0380】
168.条項166に記載の方法であって、方法は、残留力又は残留電荷を表す情報信号を提供することを含み、残留力は、静電クランプからのオブジェクトのアンロード中に、静電クランプによってオブジェクトに印加され、残留電荷は、静電クランプに帯電電圧が印加されていないときに、静電クランプ上に存在し、残留電荷を中和するステップは、情報信号に基づく、方法。
【0381】
169.情報信号は、測定情報、推定情報、及び内部信号情報のうちの少なくとも1つを含む、条項167に記載の方法。
【0382】
170.情報信号に基づいて静電クランプにイオン化ガスの流れを供給するステップ、及び/又は情報信号に基づいて静電クランプに放電電圧を供給するステップを備える、条項166~168の何れか一項に記載の方法。
【0383】
[00242] 本明細書では、特に静電クランプを参照しているが、本明細書の本発明は、同様の電気現象を利用する任意の電気クランプに適用可能であり得る。
【0384】
[00243] 本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及する場合があるが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることを理解されたい。可能な他の用途としては、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が挙げられる。
【0385】
[00244] 本明細書では、本発明の実施形態が、リソグラフィ装置との関連で具体的に参照され得るが、本発明の実施形態は他の装置で使用してもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、又はウェーハ(又は他の基板)又はマスク(又は他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置、の一部を形成し得る。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれる場合がある。そのようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用し得る。
【0386】
[00245] 本明細書では、本発明の実施形態が、検査装置との関連で具体的に参照され得るが、オブジェクトテーブルは、電子ビーム装置、走査型電子顕微鏡、電子ビームダイレクトライタ、電子ビーム投影リソグラフィ装置、電子ビーム検査装置、電子ビーム欠陥検証装置、又は電子ビーム計測装置、での使用に適切であり得る。
【0387】
[00246] 本発明を、本発明の好ましい実施形態との関連で説明してきたが、以下に特許請求される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の修正及び変形を加えることができることを理解されたい。