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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】熱電変換モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/17 20230101AFI20231011BHJP
   H10N 10/855 20230101ALI20231011BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H10N10/17
H10N10/855
H02N11/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019033221
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020140985
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀樹
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/117154(WO,A1)
【文献】特開2012-235088(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208929(WO,A1)
【文献】特開2015-088561(JP,A)
【文献】特開2015-055320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/17
H10N 10/855
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳み構造を有し、熱源が放射する熱を電力に変換する熱電変換モジュールであって、
シート基板と、
前記シート基板に配置される第1配線及び第2配線と、
前記シート基板に配置されるp型熱電変換素子及びn型熱電変換素子と、を備え、
前記折畳み構造は、前記折畳み構造の展開状態において第1方向に沿って延在する少なくとも1個のストリングを含むユニットで構成され、
前記ストリングには、前記第1配線と前記第2配線とが前記第1方向に沿って隙間を空けて交互に並び、各前記隙間には、前記p型熱電変換素子及び前記n型熱電変換素子が交互に位置し、
前記p型熱電変換素子の一端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記p型熱電変換素子の他端は、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、
前記n型熱電変換素子の一端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記n型熱電変換素子の他端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、
前記第1配線は、前記折畳み構造の展開状態において前記第1方向と略直交する第2方向に沿って並び、前記第1配線には、前記第2方向に沿って延在する第1折り線が形成され、
前記第2配線は、前記折畳み構造の展開状態において前記第2方向に沿って並び、前記第2配線には、前記第2方向に沿って延在する第2折り線が形成され
前記p型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該p型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置され、
前記p型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該p型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置され、
前記n型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該n型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置され、
前記n型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該n型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置される、熱電変換モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第2方向において隣り合う前記ストリングでは、前記第1方向に沿って交互に並ぶ前記p型熱電変換素子及び前記n型熱電変換素子の順序が逆になる、熱電変換モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の熱電変換モジュールであって、
前記ユニットは、前記第2方向に沿って並ぶ偶数個の前記ストリングを含む、熱電変換モジュール。
【請求項4】
請求項1からまでの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1配線は、前記第1折り線が形成される部分に、メッシュ構造を有し、
前記第2配線は、前記第2折り線が形成される部分に、メッシュ構造を有する、熱電変換モジュール。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第2方向において隣り合う前記ユニットの間には、前記第1方向に沿って延在する第3折り線が形成される、熱電変換モジュール。
【請求項6】
請求項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記シート基板は、前記第1折り線と前記第3折り線とが交差する位置、及び、前記第2折り線と前記第3折り線とが交差する位置に、貫通領域、又は、前記シート基板の他の部分よりも厚さが薄い領域を含む、熱電変換モジュール。
【請求項7】
請求項又はに記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1折り線、前記第2折り線及び前記第3折り線の少なくとも何れかは、少なくとも2つの折り目を含んで構成される、熱電変換モジュール。
【請求項8】
請求項又はに記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1折り線、前記第2折り線及び前記第3折り線の少なくとも何れかは、折り目と、当該折り目の近くに位置する補助部材とを含んで構成され、
前記補助部材は、前記熱電変換モジュールに含まれる2つの面のうち、前記熱電変換モジュールが前記折り目で折畳まれた際に、内側に位置する面側に位置する、熱電変換モジュール。
【請求項9】
折畳み構造を有し、熱源が放射する熱を電力に変換する熱電変換モジュールであって、
シート基板と、
前記シート基板に配置される第1配線及び第2配線と、
前記シート基板に配置されるp型熱電変換素子及びn型熱電変換素子と、を備え、
前記折畳み構造は、前記折畳み構造の展開状態において第1方向に沿って延在する少なくとも1個のストリングを含むユニットで構成され、
前記ストリングには、前記第1配線と前記第2配線とが前記第1方向に沿って隙間を空けて交互に並び、各前記隙間には、前記p型熱電変換素子及び前記n型熱電変換素子が交互に位置し、
前記p型熱電変換素子の一端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記p型熱電変換素子の他端は、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、
前記n型熱電変換素子の一端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記n型熱電変換素子の他端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、
前記第1配線は、前記折畳み構造の展開状態において前記第1方向と略直交する第2方向に沿って並び、前記第1配線には、前記第2方向に沿って延在する第1折り線が形成され、
前記第2配線は、前記折畳み構造の展開状態において前記第2方向に沿って並び、前記第2配線には、前記第2方向に沿って延在する第2折り線が形成され、
前記第2方向において隣り合う前記ユニットの間には、前記第1方向に沿って延在する第3折り線が形成され、
前記第1折り線、前記第2折り線及び前記第3折り線の少なくとも何れかは、折り目と、当該折り目の近くに位置する補助部材とを含んで構成され、
前記補助部材は、前記熱電変換モジュールに含まれる2つの面のうち、前記熱電変換モジュールが前記折り目で折畳まれた際に、内側に位置する面側に位置する、熱電変換モジュール
【請求項10】
請求項6からまでの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1折り線、前記第2折り線及び前記第3折り線の少なくとも何れかは、ミシン目を含む、熱電変換モジュール。
【請求項11】
請求項6から10までの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記熱電変換モジュールの折畳み構造は、空洞を有し、
前記熱源は、円筒状であり、前記空洞を通り、
前記第1折り線は、前記第2方向に沿ってジグザグ状に延在し、
前記第2折り線は、前記第2方向に沿ってジグザグ状に延在し、
前記第3折り線は、前記第1方向に沿って直線状に延在し、且つ、前記ジグザグ状の前記第1折り線が折れ曲がる箇所、及び、前記ジグザグ状の前記第2折り線が折れ曲がる箇所を、通り、
前記第3折り線は、前記第1方向に沿って交互に並ぶ、山折り線と谷折り線とを含み、
前記熱電変換モジュールは、前記第1折り線及び前記谷折り線で谷折りにされ、
前記熱電変換モジュールは、前記第2折り線及び前記山折り線で山折りにされる、熱電変換モジュール。
【請求項12】
請求項11に記載の熱電変換モジュールであって、
前記山折り線の長さは、前記谷折り線の長さよりも、長く、
前記第3折り線の上では、前記第1折り線と前記第2折り線の前記第1方向に沿う間隔は、前記第1方向に沿って狭い間隔と広い間隔とに交互になり、
前記谷折り線は、前記狭い間隔に位置し、
前記山折り線は、前記広い間隔に位置する、熱電変換モジュール。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第1折り線は、交互に並ぶ、第1線分と第2線分とを含み、
前記第1折り線の第1線分は、前記第2方向に対して前記第1方向に、第1角度傾き、
前記第1折り線の第2線分は、前記第2方向に対して前記第1方向とは反対の方向に、第1角度傾く、熱電変換モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第2折り線は、交互に並ぶ、第1線分と第2線分とを含み、
前記第2折り線の第1線分は、前記第2方向に対して前記第1方向に第2角度傾き、
前記第2折り線の第2線分は、前記第2方向に対して前記第1方向とは反対の方向に、前記第2角度傾き、
前記第2角度は、前記第1角度よりも、大きい、熱電変換モジュール。
【請求項15】
請求項11から14までの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
1個の前記ストリングにおいて、前記p型熱電変換素子の個数と前記n型熱電変換素子の個数とは、同一である、熱電変換モジュール。
【請求項16】
請求項6から10までの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記熱源は、平面状であり、
前記熱電変換モジュールの折畳み構造の形状は、略直方体であり、
前記熱電変換モジュールは、前記平面状の前記熱源に載置され、
前記第1折り線は、前記第2方向に沿って交互に並ぶ、第1山折り線と第1谷折り線とを含み、
前記第2折り線は、前記第2方向に沿って交互に並ぶ、第2山折り線と第2谷折り線とを含み、
前記第2方向において、前記第1山折り線と前記第1谷折り線とが交互に並ぶ順番と、前記第2山折り線と前記第2谷折り線とが交互に並ぶ順番とは、逆であり、
前記第3折り線は、前記第2方向において交互に位置する、第3山折り線と第3谷折り線とを含み、
前記第3山折り線及び前記第3谷折り線の各々は、前記第1山折り線と前記第1谷折り線とが連結される位置、及び、前記第2山折り線と前記第2谷折り線とが連結される位置で、ジグザグ状に折れ曲がり、
前記熱電変換モジュールは、前記第1山折り線、前記第2山折り線及び前記第3山折り線で山折りにされ、
前記熱電変換モジュールは、前記第1谷折り線、前記第2谷折り線及び前記第3谷折り線で谷折りにされる、熱電変換モジュール。
【請求項17】
請求項16に記載の熱電変換モジュールであって、
前記第3山折り線がジグザグ状に折れ曲がる方向と、前記第3谷折り線がジグザグ状に折れ曲がる方向は、同一方向である、熱電変換モジュール。
【請求項18】
請求項11から17までの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記山折りは、前記折畳み構造の展開状態において、前記第1方向及び前記第2方向に略直交する第3方向に、突出するように、折り曲げることであり、
前記谷折りは、前記折畳み構造の展開状態において、前記第3方向とは反対の方向に、突出するように、折り曲げることである、熱電変換モジュール。
【請求項19】
請求項1から18までの何れか一項に記載の熱電変換モジュールであって、
前記p型熱電変換素子及び前記n型熱電変換素子の各々は、カーボンナノチューブを含んで構成される、熱電変換モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱電変換素子を、フィルム基板に配置させた、熱電変換モジュールが知られている(例えば、特許文献1)。熱電変換素子は、熱を電力に変換可能な素子である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-186255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、より大きな電力を得るためには、熱電変換モジュールにおいて、多くの熱電変換素子を接続させることが求められる。この場合、熱電変換モジュールが大型化してしまう場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、小型化された熱電変換モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、折畳み構造を有し、熱源が放射する熱を電力に変換する熱電変換モジュールであって、シート基板と、前記シート基板に配置される第1配線及び第2配線と、前記シート基板に配置されるp型熱だい状態において第1方向に沿って延在する少なくとも1個のストリングを含むユニットで構成され、前記ストリングには、前記第1配線と前記第2配線とが前記第1方向に沿って隙間を空けて交互に並び、各前記隙間には、前記p型熱電変換素子及び前記n型熱電変換素子が交互に位置し、前記p型熱電変換素子の一端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記p型熱電変換素子の他端は、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記n型熱電変換素子の一端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記n型熱電変換素子の他端は、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線に電気的に接続され、前記第1配線は、前記折畳み構造の展開状態において前記第1方向と略直交する第2方向に沿って並び、前記第1配線には、前記第2方向に沿って延在する第1折り線が形成され、前記第2配線は、前記折畳み構造の展開状態において前記第2方向に沿って並び、前記第2配線には、前記第2方向に沿って延在する第2折り線が形成される。このような構成とすることで、熱電変換モジュールは、第1折り線及び第2折り線で、山折り又は谷折りに適宜されることにより、小型化され得る。なお、本開示において2個の要素が「隣接する」とは、当該2個の要素が隙間を空けて隣り合うこと、及び、当該2個の要素が隙間を空けずに隣り合うことを含む。
【0007】
ここで、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第2方向において隣り合う前記ストリングでは、前記第1方向に沿って交互に並ぶ前記p型熱電変換素子及び前記n型熱電変換素子の順序が逆になる、ことが好ましい。このような構成とすることで、第2方向において隣り合うストリングでは、生じる電流の向きが互いに逆向きになる。隣り合うストリングに生じる電流が逆向きとなることにより、隣り合うストリングを、その端部を電気的に接続することにより、直列接続させることができる。隣り合うストリングを直列接続させることにより、熱電変換モジュールは、より大きな電力を発電することができる。
【0008】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記ユニットは、前記第2方向に沿って並ぶ偶数個の前記ストリングを含む、ことが好ましい。ユニットが第2方向に沿って並ぶ偶数個のストリングを含むことで、熱電変換モジュールにおいて全てのストリングを、直列接続させることができる。このような構成とすることで、熱電変換モジュールは、より大きな電力を発電することができる。また、ユニットに含まれるストリングの個数を偶数個にすることで、熱電変換モジュールから電力を取り出すための(正極及び負極)電極を、熱電変換モジュールの2つの端部のうち、片方の端部に設けることができる。熱電変換モジュールの片方の端部に電極を設けることで、電極の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0009】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1配線は、前記第1折り線が形成される部分に、メッシュ構造を有し、前記第2配線は、前記第2折り線が形成される部分に、メッシュ構造を有する、ことが好ましい。このような構成とすることで、折り曲げに対する熱電変換モジュールの耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記p型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該p型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置され、前記p型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該p型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置され、前記n型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該n型熱電変換素子の一端と、当該一端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置され、前記n型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線との間には隙間が設けられ、当該隙間には、当該n型熱電変換素子の他端と、当該他端に隣接する前記第1配線又は前記第2配線と電気的に接続する接合部材が配置される、ことが好ましい。このような隙間を設けることにより、p型熱電変換素子及びn型熱電変換素子の各々と、第1配線及び第2配線の各々との間に、接合部材を配置することができる。そのため、熱電変換モジュールでは、p型熱電変換素子及びn型熱電変換素子の各々と、第1配線及び第2配線の各々とは、その断面に加えて、接合部材によって接続され得る。このような構成により、熱電変換モジュールでは、p型熱電変換素子及びn型熱電変換素子の各々と、第1配線及び第2配線の各々との間の接続強度が低下することを抑制することができる。そのため、熱電変換モジュールでは、第1配線、第2配線、p型熱電変換素子及びn型熱電変換素子がシート基板から剥離することを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第2方向において隣り合う前記ユニットの間には、前記第1方向に沿って延在する第3折り線が形成される、ことが好ましい。第1方向に沿って延在する第3折り線が形成されることにより、熱電変換モジュールは、第1折り線及び第2折り線に加えて、第3折り線で、山折り又は谷折りに適宜され得る。このような構成とすることで、熱電変換モジュールの折畳み構造を積層構造にすることができる。
【0012】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記シート基板は、前記第1折り線と前記第3折り線とが交差する位置、及び、前記第2折り線と前記第3折り線とが交差する位置に、貫通領域、又は、前記シート基板の他の部分よりも厚さが薄い領域を含む、ことが好ましい。このような構成とすることで、シート基板に集中する応力の度合いを軽減及び分散させることができる。シート基板に集中する応力の度合いを軽減及び分散させることにより、熱電変換モジュールが折畳み易くなり得る。また、シート基板に集中する応力の度合いを軽減及び分散させることにより、シート基板の劣化を抑制することができる。
【0013】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1折り線、前記第2折り線及び前記第3折り線の少なくとも何れかは、少なくとも2つの折り目を含んで構成される、ことが好ましい。このような構成とすることで、熱電変換モジュールは、少なくとも二箇所で折り曲がるため、折り線で緩やかに折り曲がり得る。熱電変換モジュールが折り線で緩やかに折り曲がることにより、折り線にかかる負荷が分散され得る。折り線にかかる負荷が分散されることにより、熱電変換モジュールの劣化を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1折り線、前記第2折り線及び前記第3折り線の少なくとも何れかは、折り目と、当該折り目の近くに位置する補助部材とを含んで構成され、前記補助部材は、前記熱電変換モジュールに含まれる2つの面のうち、前記熱電変換モジュールが前記折り目で折畳まれた際に、内側に位置する面側に位置する、ことが好ましい。補助部材が当該面側に位置することで、熱電変換モジュールは、補助部材を挟むように、折り目で、折り曲げられ得る。このような構成により、熱電変換モジュールは、折り線で緩やかに折り曲がり得る。熱電変換モジュールが折り線で緩やかに折り曲がることにより、折り線にかかる負荷が分散され得る。折り線にかかる負荷が分散されることにより、熱電変換モジュール401の劣化を抑制することができる。
【0015】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1折り線、前記第2折り線及び前記第3折り線の少なくとも何れかは、ミシン目を含む、ことが好ましい。このような構成とすることで、熱電変換モジュールを、展開状態から折畳み状態に、より容易にすることができる。
【0016】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記熱電変換モジュールの折畳み構造は、空洞を有し、前記熱源は、円筒状であり、前記空洞を通り、前記第1折り線は、前記第2方向に沿ってジグザグ状に延在し、前記第2折り線は、前記第2方向に沿ってジグザグ状に延在し、前記第3折り線は、前記第1方向に沿って直線状に延在し、且つ、前記ジグザグ状の前記第1折り線が折れ曲がる箇所、及び、前記ジグザグ状の前記第2折り線が折れ曲がる箇所を、通り、前記第3折り線は、前記第1方向に沿って交互に並ぶ、山折り線と谷折り線とを含み、前記熱電変換モジュールは、前記第1折り線及び前記谷折り線で谷折りにされ、前記熱電変換モジュールは、前記第2折り線及び前記山折り線で山折りにされる、ことが好ましい。
【0017】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記山折り線の長さは、前記谷折り線の長さよりも、長く、前記第3折り線の上では、前記第1折り線と前記第2折り線の前記第1方向に沿う間隔は、前記第1方向に沿って狭い間隔と広い間隔とに交互になり、前記谷折り線は、前記狭い間隔に位置し、前記山折り線は、前記広い間隔に位置する、ことが好ましい。
【0018】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第1折り線は、交互に並ぶ、第1線分と第2線分とを含み、前記第1折り線の第1線分は、前記第2方向に対して前記第1方向に、第1角度傾き、前記第1折り線の第2線分は、前記第2方向に対して前記第1方向とは反対の方向に、第1角度傾く、ことが好ましい。
【0019】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第2折り線は、交互に並ぶ、第1線分と第2線分とを含み、前記第2折り線の第1線分は、前記第2方向に対して前記第1方向に第2角度傾き、前記第2折り線の第2線分は、前記第2方向に対して前記第1方向とは反対の方向に、前記第2角度傾き、前記第2角度は、前記第1角度よりも、大きい、ことが好ましい。
【0020】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、1個の前記ストリングにおいて、前記p型熱電変換素子の個数と前記n型熱電変換素子の個数とは、同一である、ことが好ましい。このような構成とすることで、熱電変換モジュールを折畳み構造にする際、熱電変換モジュールの端部同士を、余分な隙間を設けることなく、接続させることができる。
【0021】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記熱源は、平面状であり、前記熱電変換モジュールの折畳み構造の形状は、略直方体であり、前記熱電変換モジュールは、前記平面状の前記熱源に載置され、前記第1折り線は、前記第2方向に沿って交互に並ぶ、第1山折り線と第1谷折り線とを含み、前記第2折り線は、前記第2方向に沿って交互に並ぶ、第2山折り線と第2谷折り線とを含み、前記第2方向において、前記第1山折り線と前記第1谷折り線とが交互に並ぶ順番と、前記第2山折り線と前記第2谷折り線とが交互に並ぶ順番とは、逆であり、前記第3折り線は、前記第2方向において交互に位置する、第3山折り線と第3谷折り線とを含み、前記第3山折り線及び前記第3谷折り線の各々は、前記第1山折り線と前記第1谷折り線とが連結される位置、及び、前記第2山折り線と前記第2谷折り線とが連結される位置で、ジグザグ状に折れ曲がり、前記熱電変換モジュールは、前記第1山折り線、前記第2山折り線及び前記第3山折り線で山折りにされ、前記熱電変換モジュールは、前記第1谷折り線、前記第2谷折り線及び前記第3谷折り線で谷折りにされる、ことが好ましい。
【0022】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記第3山折り線がジグザグ状に折れ曲がる方向と、前記第3谷折り線がジグザグ状に折れ曲がる方向は、同一方向である、ことが好ましい。
【0023】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記山折りは、前記折畳み構造の展開状態において、前記第1方向及び前記第2方向に略直交する第3方向に、突出するように、折り曲げることであり、前記谷折りは、前記折畳み構造の展開状態において、前記第3方向とは反対の方向に、突出するように、折り曲げることである、ことが好ましい。
【0024】
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、前記p型熱電変換素子及び前記n型熱電変換素子の各々は、カーボンナノチューブを含んで構成される、ことが好ましい。このような構成とすることで、熱電変換モジュールの機械的強度をさらに向上させると共に、軽量化することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、小型化された熱電変換モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る熱電変換モジュールの外観図である。
図2図1に示す熱電変換モジュールの上面図である。
図3図1に示す熱電変換モジュールの展開状態を示す平面図である。
図4図3に示す熱電変換モジュールの一部拡大図である。
図5図4に示すL-L線に沿った熱電変換モジュールの断面図である。
図6図3に示す熱電変換モジュールにおける電流の流れを示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る熱電変換モジュールの外観図である。
図8図7に示す熱電変換モジュールの展開状態を示す平面図である。
図9図8に示す熱電変換モジュールの一部拡大図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る熱電変換モジュールの製造途中の一部断面図である。
図11】本発明の第3実施形態の比較例1に係る熱電変換モジュールの一部断面図である。
図12】本発明の第3実施形態の比較例2に係る熱電変換モジュールの一部断面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る熱電変換モジュールの一部断面図である。
図14図13に示す構造の折畳み状態を示す図である。
図15】本発明の第4実施形態の比較例1に係る熱電変換モジュールの一部断面図である。
図16図15に示す構造の折畳み状態を示す図である。
図17】本発明の第4実施形態の他の例に係る熱電変換モジュールの一部断面図である。
図18図17に示す構造の折畳み状態を示す図である。
図19】本発明の第4実施形態のさらに他の例に係る熱電変換モジュールの一部断面図である。
図20図19に示す構造の折畳み状態を示す図である。
図21】本発明の第5実施形態に係る熱電変換モジュールの一部断面図である。
図22図21に示す構造の折畳み状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通の構成要素には、同一符号を付す。なお、本開示において「延在」とは、折り線に関して用いられる場合、任意の形状で、所定方向に沿って延びるように存在することを意味する。任意の形状の一例として、直線状及びジグザグ状が挙げられる。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1の外観図である。図2は、図1に示す熱電変換モジュール1の上面図である。なお、図2には、熱電変換モジュール1が備える第1配線10H、第2配線10L、熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nの一部を実線で示す。図3は、図1に示す熱電変換モジュール1の展開状態を示す平面図である。換言すると、図3は、図1に示す熱電変換モジュール1の折畳み構造の展開図に相当する。なお、図3では、熱電変換モジュール1の第1折り線1H、第2折り線1L及び第3折り線1Aを主に示す。図4は、図3に示す熱電変換モジュール1の一部拡大図である。図5は、図4に示すL-L線に沿った熱電変換モジュール1の断面図である。図6は、図3に示す熱電変換モジュール1における電流の流れを示す図である。
【0029】
図1に示す熱電変換モジュール1は、熱源としての配管2が放射する熱を電力に変換する。熱電変換モジュール1は、図1に示すように折畳み構造を有する。熱電変換モジュール1の折畳み構造は、空洞を有する。一例として、図2に示すように、折畳み構造の空洞の中心から、折畳み構造において最も外側に位置する部分までの距離は、38.6mm程度であってよい。熱電変換モジュール1は、折畳み構造の空洞に配管2を通すことにより、配管2に取り付けられてよい。また、熱電変換モジュール1は、図4に示す展開状態の熱電変換モジュール1を、配管2に巻き付けることにより、配管2に取り付けられてよい。熱電変換モジュール1は、配管2が発する熱と外気温度との間の温度差を利用して、電力を発電する。
【0030】
図1に示す配管2は、熱源である。配管2は、円筒状である。配管2は、図1に示すように、熱電変換モジュール1の折畳み構造が有する空洞を通る。配管2は、配管2の内部に熱水又は熱風を通すことにより、熱を発する。配管2は、工場等に設置され得る。一例として、配管2の半径は、12mm程度であってよい。
【0031】
なお、図1及び図2において、周方向a1は、円筒状の配管2の周方向である。本実施形態では、周方向a1は、図2に示すように、反時計回りの方向であるものとする。また、延在方向a2は、図1に示す配管2が延在する方向である。本実施形態では、延在方向a2は、図1の紙面上側から紙面下側に向けて、延在する方向であるものとする。また、放射方向a3は、図2に示す配管2の中心軸Oから放射状に広がる方向である。放射方向a3は、熱源である配管2が発する熱が、配管2の外部に向けて放射状に広がる方向に対応する。
【0032】
また、図3乃至図6において、第1方向A1と第2方向A2は、略直交する。また、第3方向A3は、第1方向A1及び第2方向A2に略直交する。本実施形態では、第1方向A1は、図3の紙面左側から紙面右側に向かう方向であるものとする。また、第2方向A2は、図3の紙面上側から紙面下側に向かう方向であるものとする。また、第3方向A3は、図3の紙面に垂直な方向であって、図3の紙面手前側に向かう方向であるものとする。
【0033】
図3に示すように、熱電変換モジュール1は、第1折り線1Hと、第2折り線1Lと、第3折り線1Aとを有する。図4に示すように、熱電変換モジュール1は、第1配線10Hと、第2配線10Lと、p型熱電変換素子である熱電変換素子20Pと、n型熱電変換素子である熱電変換素子20Nと、シート基板30とを備える。さらに、熱電変換モジュール1は、導電性部材60を備えてよい。また、熱電変換モジュール1の折畳み構造は、図3に示すユニットUを単位ユニットとして、構成される。ユニットUは、限定ではないが、図4に示すように、4個のストリングSを含む。ストリングSは、図4に示す展開状態において、熱電変換モジュール1の一端から他端に向けて、第1方向A1に沿って延在する。複数のストリングSは、その端部同士が導電性部材60で電気的に接続されることにより、直列接続されてよい。
【0034】
熱電変換モジュール1は、図3に示す第2折り線1L及び第3折り線1Aの山折り線1Mで、山折りにされる。第1実施形態において「山折り」とは、図3に示す第3方向A3に向けて、突出するように、折り曲げることを意味する。また、熱電変換モジュール1は、図3に示す第1折り線1H及び第3折り線1Aの谷折り線1Vで、谷折りにされる。第1実施形態において「谷折り」とは、図3に示す第3方向A3とは反対の方向に向けて、突出するように、折り曲げることを意味する。
【0035】
図3に示す展開状態において、第1折り線1Hと第2折り線1Lは、第1方向A1に沿って所定間隔を空けて、交互に位置する。
【0036】
図4に示すように、第1折り線1Hは、第1配線10Hに形成される。図3に示す展開状態において、第1折り線1Hは、第2方向A2に沿って、ジグザグ状に延在する。より詳細には、図3に示すように、第1折り線1Hは、第1間隔d1で交互に並ぶ、第1線分1H1と第2線分1H2とを含む。第1線分1H1の長さと、第2線分1H2の長さは、同一である。第1線分1H1は、第2方向A2に対して第1方向A1に、第1角度θ1傾く。第2線分1H2は、第2方向A2に対して第1方向A1とは反対の方向に、第1角度θ1傾く。図2に示す配管2の半径が12mm程度である場合、第1角度θ1は、一例として、42度程度であってよい。図2に示す配管2の半径が12mm程度である場合、第1間隔d1は、一例として、20mm程度であってよい。
【0037】
図4に示すように、第2折り線1Lは、第2配線10Lに形成される。図3に示す展開状態において、第2折り線1Lは、第2方向A2に沿って、ジグザグ状に延在する。より詳細には、図3に示すように、第2折り線1Lは、第1間隔d1で交互に並ぶ、第1線分1L1と第2線分1L2とを含む。第1線分1L1の長さと、第2線分1L2の長さは、同一である。第1線分1L1は、第2方向A2に対して第1方向A1に第2角度θ2傾く。第2線分1L2は、第2方向A2に対して第1方向A1とは反対の方向に、第2角度θ2傾く。第2角度θ2は、第1角度θ1よりも小さい。図2に示す配管2の半径が12mm程度である場合、第2角度θ2は、一例として、12度程度であってよい。
【0038】
図4に示すように、第3折り線1Aは、シート基板30に形成される。第3折り線1Aは、第2方向A2において隣り合うユニットUの間に、形成される。例えば、図4に示すユニットU-1と、ユニットU-2は、第2方向A2において隣り合うユニットUである。図4に示すように、第3折り線1Aは、ユニットU-1と、ユニットU-2との間に形成される。
【0039】
図3に示す展開状態において、第3折り線1Aは、第1方向A1に沿って直線状に延在する。図3に示す展開状態において、第3折り線1Aは、ジグザグ状の第1折り線1Hが折れ曲がる箇所、及び、ジグザグ状の第2折り線1Lが折れ曲がる箇所を、通る。より詳細には、第3折り線1Aは、第1線分1H1と第2線分1H2が連結される箇所、及び、第1線分1L1と第2線分1L2が連結される箇所を、通る。複数の第3折り線1Aが、第2方向A2に沿って、第1間隔d1を空けて、位置する。第3折り線1Aは、第1方向A1に沿って交互に並ぶ、山折り線1Mと谷折り線1Vとを含む。
【0040】
山折り線1Mの長さは、谷折り線1Vの長さよりも、長い。ここで、同一の第3折り線1A上では、第1折り線1Hと第2折り線1Lの第1方向A1に沿う間隔は、第1方向A1に沿って、狭い間隔e1と広い間隔e2とに交互になる。谷折り線1Vは、狭い間隔e1に位置する。山折り線1Mは、広い間隔e2に位置する。なお、図2に示す配管2の半径が12mm程度である場合、図3に示す狭い間隔e1の幅すなわち谷折り線1Vの長さは、一例として、22mm程度であってよい。また、図3に示す広い間隔e2の幅すなわち山折り線1Mの長さは、一例として、35.7mm程度であってよい。
【0041】
図4に示す第1配線10H及び第2配線10Lは、シート基板30に配置される。第1配線10H及び第2配線10Lは、導電性及び熱導電性を有する金属で形成されてよい。第1配線10H及び第2配線10Lを形成する金属としては、特に限定されることなく、Ag及びCu等が挙げられる。
【0042】
図5に示すように、第1配線10H及び第2配線10Lは、薄膜状であってよい。図5に示す第3方向A3における、第1配線10Hの厚さ及び第2配線10Lの厚さは、一例として、16μm程度であってよい。
【0043】
図4に示すように、第1配線10H及び第2配線10Lは、異なる形状の、略長方形である。図4に示す展開状態では、第1配線10Hの長手方向及び第2配線10Lの長手方向は、第1方向A1に沿う。第1配線10Hの長手方向の長さは、第2配線10Lの長手方向の長さよりも、長くてよい。一例として、第2配線10Lの長手方向の長さは、15.7mm程度であってよい。一例として、第1配線10Hの長手方向の長さは、22mm程度であってよい。また、図4に示す展開状態では、第1配線10Hの短手方向及び第2配線10Lの短手方向は、第2方向A2に沿う。第1配線10Hの短手方向の長さと、第2配線10Lの短手方向の長さは、同一であってよい。一例として、第1配線10Hの短手方向の長さ及び第2配線10Lの短手方向の長さは、3mm程度であってよい。
【0044】
なお、複数の第1配線10H及び第2配線10Lにおいて、熱電変換モジュール1の端部に位置する第1配線10H又は第2配線10Lの長手方向の長さは、熱電変換モジュール1を折畳み構造にするために、適宜調整されてよい。図4に示す構成では、熱電変換モジュール1の端部に位置する第2配線10Lの長手方向の長さは、熱電変換モジュール1を折畳み構造にするために、適宜調整されてよい。また、図4に示す構成では、熱電変換モジュール1の端部に位置する第2配線10Lに形成される第2折り線1Lは、熱電変換モジュール1を折畳み構造にする際、重ね合わせられてよい。
【0045】
図4に示す展開状態において、第1配線10Hと第2配線10Lは、各ストリングSにおいて第1方向A1に沿って、隙間を空けて交互に並ぶ。各ストリングSにおける第1配線10Hと第2配線10Lの間の各隙間には、熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nが交互に位置する。第1配線10Hの第1方向A1(長手方向)における一端は、当該一端と第2配線10Lとの間の隙間に位置する、熱電変換素子20P又は熱電変換素子20Nに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。第1配線10Hの第1方向A1における他端は、当該他端と第2配線10Lとの間の隙間に位置する、熱電変換素子20P又は熱電変換素子20Nに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。また、第2配線10Lの第1方向A1(長手方向)における一端は、当該一端と第1配線10Hとの間の隙間に位置する、熱電変換素子20P又は熱電変換素子20Nに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。第2配線10Lの第1方向A1における他端は、当該他端と第1配線10Hとの間の隙間に位置する、熱電変換素子20P又は熱電変換素子20Nに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。
【0046】
図4に示す展開状態において、第1配線10Hは、第2方向A2に沿って、隙間を空けて並ぶ。同様に、第2配線10Lは、第2方向A2に沿って、隙間を空けて並ぶ。当該隙間は、一例として、1mm程度であってよい。換言すると、第2方向A2において隣り合うストリングSでは、第1配線10Hの第1方向A1における位置は、一致する。例えば、ストリングS-1とストリングS-2は、第2方向A2において隣り合うストリングSである。ストリングS-1の第1配線10Hの第1方向A1における位置と、ストリングS-2の第1配線10Hの第1方向A1における位置は、位置する。同様に、隣り合うストリングSにおいて、第2配線10Lの第1方向A1における位置は、一致する。例えば、ストリングS-1の第2配線10Lの第1方向A1における位置と、ストリングS-2の第2配線10Lの第1方向A1における位置は、位置する。
【0047】
図4に示すように、第1配線10Hには、第1折り線1Hが形成される。1個のユニットUに含まれる第2方向A2に沿って並ぶ4個の第1配線10Hには、第1折り線1Hの第1線分1H1及び第2線分1H2の何れかが形成される。また、図4に示す第2配線10Lには、第2折り線1Lが形成される。1個のユニットUに含まれる第2方向A2に沿って並ぶ4個の第2配線10Lには、第2折り線1Lの第1線分1L1及び第2線分1L2の何れかが形成される。ここで、熱電変換モジュール1が折畳まれた状態では、図2に示すように、第1配線10Hに形成される第1折り線1Hの位置は、第2配線10Lに形成される第2折り線1Lの位置よりも、配管2に近くなり得る。つまり、熱電変換モジュール1が折畳まれた状態では、図2に示すように、第1配線10Hの位置は、第2配線10Lの位置よりも、配管2に近くなり得る。このような構成とすることで、第1配線10Hの温度は、第2配線10Lの温度よりも、高くなり得る。換言すると、第2配線10Lの温度は、第1配線10Hの温度よりも、低くなり得る。
【0048】
図4に示す熱電変換素子20Pは、p型熱電変換素子である。図4に示す熱電変換素子20Nは、n型熱電変換素子である。熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nは、シート基板30に配置される。
【0049】
図4に示すように、熱電変換素子20Pの第1方向A1(長手方向)における一端は、第1配線10H又は第2配線10Lに隣接する。熱電変換素子20Pの第1方向A1における一端は、当該一端に隣接する第1配線10H又は第2配線10Lに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。また、図4に示すように、熱電変換素子20Pの第1方向A1における他端は、第1配線10H又は第2配線10Lに隣接する。熱電変換素子20Pの第1方向A1における他端は、当該他端に隣接する第1配線10H又は第2配線10Lに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。
【0050】
図4に示すように、熱電変換素子20Nの第1方向A1(長手方向)における一端は、第1配線10H又は第2配線10Lに隣接する。熱電変換素子20Nの第1方向A1における一端は、当該一端に隣接する第1配線10H又は第2配線10Lに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。また、図4に示すように、熱電変換素子20Nの第1方向A1における他端は、第1配線10H又は第2配線10Lに隣接する。熱電変換素子20Nの第1方向A1における他端は、当該他端に隣接する第1配線10H又は第2配線10Lに、図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。
【0051】
図5に示すように、熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nは、薄膜状であってよい。図5に示す第3方向A3における、熱電変換素子20Pの厚さ及び熱電変換素子20Nの厚さは、一例として、35μm程度であってよい。熱電変換素子20P,20Nを形成するための熱電変換材料としては、特に限定されることなく、ビスマステルル系化合物、アンチモン系化合物、シリコン系化合物、金属酸化物系化合物、ホイスラー合金系化合物、導電性高分子化合物、導電性繊維、及び、これらの複合材料等を用いることができる。中でも、導電性繊維を用いることが好ましく、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも称する)等の繊維状の炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。CNTを用いれば、本発明の熱電変換モジュール1の機械的強度をさらに向上させると共に、軽量化することができるからである。さらに、CNTとしては特に限定されることなく、単層CNT及び/又は多層CNTを用いることができるが、CNTは、単層CNTであることが好ましい。単層CNTの方が、熱電特性(ゼーベック係数)が優位である傾向があるからである。なお、単層カーボンナノチューブとしては、CNT製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物及びキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて製造したCNTを用いることができる(以下、かかる方法に準じて製造されたCNTを「SGCNT」と称することがある)。さらにSGCNTは折れ曲がりが多いという特徴を持っている。ここで、CNTは、電子移動による熱伝導性は高いが、フォノン振動による熱伝導性の低下効果も高いと考えられている。しかしながら、SGCNTは、他の一般的な方法に従って製造したCNTよりも折れ曲がりが多いため、フォノン振動が増幅されにくい構造となっており、フォノン振動に起因した熱伝導性の低下を抑制することができる。よって、SGCNTは、他の一般的なCNTと比較して、熱電変換材料としてより優位な材料であり得る。
【0052】
図4に示すように、熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nは、同一形状の、略長方形である。図4に示す展開状態において、熱電変換素子20Pの長手方向及び熱電変換素子20Nの長手方向は、第1方向A1に沿う。熱電変換素子20Pの長手方向の長さと、熱電変換素子20Nの長手方向の長さは、同一であってよい。一例として、熱電変換素子20Pの長手方向の長さ及び熱電変換素子20Nの長手方向の長さは、10mm程度であってよい。また、図4に示す展開状態において、熱電変換素子20Pの短手方向及び熱電変換素子20Nの短手方向は、第2方向A2に沿う。熱電変換素子20Pの短手方向の長さ及び熱電変換素子20Nの短手方向の長さは、第1配線10Hの短手方向及び第2配線10Lの短手方向の長さと同一であってよい。一例として、熱電変換素子20Pの短手方向の長さ及び熱電変換素子20Nの短手方向の長さは、3mm程度であってよい。
【0053】
図4に示すように、熱電変換素子20Pと熱電変換素子20Nは、各ストリングSにおいて第1方向A1に沿って、隙間を空けて交互に並ぶ。各隙間には、第1配線10Hと第2配線10Lとが交互に位置する。このような構成とすることで、熱電変換素子20Pの第1方向A1における一端に第1配線10Hが位置し、熱電変換素子20Pの第1方向A1における他端に第2配線10Lが位置し得る。また、熱電変換素子20Nの第1方向A1における一端に第1配線10Hが位置し、熱電変換素子20Nの第1方向A1における他端に第2配線10Lが位置し得る。ここで、上述のように、第1配線10Hの温度は、第2配線10Lの温度よりも、高くなり得る。そのため、図5に示すように、熱電変換素子20Pの第1方向A1における一端は、高温となり得る。また、熱電変換素子20Pの第1方向A1における他端は低温となり得る。同様に、熱電変換素子20Nの第1方向A1における一端は、高温となり得る。また、熱電変換素子20Nの第1方向A1における他端は、低温となり得る。このような構成により、熱電変換素子20Pの両端及び熱電変換素子20Nの両端の各々において、温度差が生じる。熱電変換素子20Pの両端及び熱電変換素子20Nの両端の各々において温度差が生じることで、熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nの各々において、温度勾配が生じる。この温度勾配に起因するゼーベック効果により起電力が生じて、熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nは、発電し得る。熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nが発電することにより、図5に示すように、電流が流れ得る。
【0054】
図4に示すように、第2方向A2において隣り合うストリングSでは、第1方向A1に沿って交互に並ぶ熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nの順序は、逆であってよい。換言すると、熱電変換素子20Pと熱電変換素子20Nは、第2方向A2に沿って隙間を空けて交互に並んでよい。当該隙間は、一例として、1mm程度であってよい。例えば、ストリングS-1とストリングS-2は、第2方向A2において隣り合うストリングSである。ストリングS-1では、第1方向A1に沿って、熱電変換素子20N、熱電変換素子20P、熱電変換素子20N、熱電変換素子20P…と並ぶ。一方、ストリングS-2では、第1方向A1に沿って、熱電変換素子20P、熱電変換素子20N、熱電変換素子20P、熱電変換素子20N…と並ぶ。このような構成とすることで、図6に示すように、第2方向A2において隣り合うストリングSでは、逆向きの電流が生じ得る。例えば、ストリングS-1で生じる電流の向きと、ストリングS-2で生じる電流の向きとは、逆向きになる。隣り合うストリングSに生じる電流が逆向きとなることにより、隣り合うストリングSを、その端部を導電性部材60によって電気的に接続することにより、直列接続させることができる。隣り合うストリングSを直列接続させることにより、熱電変換モジュール1は、より大きな電力を発電することができる。さらに、ユニットUが偶数個(図4に示す例では、4個)のストリングSを含む場合、熱電変換モジュール1において全てのストリングSを、導電性部材60によって、直列接続させることができる。このような構成とすることで、熱電変換モジュール1は、より大きな電力を発電することができる。全てのストリングSを導電性部材60によって直列接続させると、図6に示すように、各ストリングSを流れる1本の電流経路が生じ得る。また、ユニットUに含まれるストリングSの個数を偶数個にすることで、熱電変換モジュール1から電力を取り出すための(正極及び負極)電極を、熱電変換モジュール1の2つの端部のうち、片方の端部に設けることができる。例えば、図6に示すように、正極E1及び負極E2を、熱電変換モジュール1の第1方向A1における2つの端部のうち、第1方向A1の負方向側の端部に、設けることができる。熱電変換モジュール1の片方の端部に正極E1及び負極E2を設けることで、正極E1及び負極E2の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0055】
図4に示す1個のストリングSにおいて、熱電変換素子20Pの個数と、熱電変換素子20Nの個数とは、同一であってよい。換言すると、第1方向A1に沿って並ぶ、熱電変換素子20Pの個数と熱電変換素子20Nの個数とは、同一であってよい。ここで、本実施形態では、熱電変換素子20Pと熱電変換素子20Nとは、第1方向A1に沿って交互に並ぶ。このような構成において、熱電変換素子20Pの個数と熱電変換素子20Nの個数を同一にすると、熱電変換モジュール10の両端部に位置する配線を、第1配線10H又は第2配線10Lの何れかに統一することができる。例えば、図4に示す構成では、熱電変換モジュール1の両端部に位置する配線を、第1配線10Hに統一することができる。このような構成により、図4に示す熱電変換モジュール1を、図2に示すような筒状にする際、熱電変換モジュール10の端部同士を、余分な隙間を設けることなく、接続させることができる。
【0056】
図5に示すように、シート基板30は、カバー層32と、カバー層33と、カバー層34とを有する。図4に示すように、シート基板30は、領域31をさらに有してよい。以下、図5に示す断面図において、第1配線10H、第2配線10L、熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nが位置する層は、「熱電変換層」とも記載する。
【0057】
図4に示すように、領域31は、第1折り線1Hと第3折り線1Aとが交差する位置、及び、第2折り線1Lと第3折り線1Aとが交差する位置に、設けられる。領域31は、限定ではないが、円形であってよい。
【0058】
図4に示す領域31は、貫通領域であってよい。又は、領域31は、シート基板30の他の部分よりも厚さが薄い領域であってよい。ここで、熱電変換モジュール1が折畳まれた状態では、第1折り線1Hと第3折り線1Aとが交差する位置、及び、第2折り線1Lと第3折り線1Aとが交差する位置には、応力が集中し得る。シート基板30に領域31を形成することにより、シート基板30に集中する応力の度合いを軽減及び分散させることができる。シート基板30に集中する応力の度合いを軽減及び分散させることにより、熱電変換モジュール1が折畳み易くなり得る。また、シート基板30に集中する応力の度合いを軽減及び分散させることにより、シート基板30の劣化を抑制することができる。
【0059】
図5に示す断面図において、カバー層32は、第3方向A3側に位置する上層として、設けられる。カバー層33は、カバー層32と熱電変換層との間に設けられる。カバー層34は、第3方向A3とは反対側に位置する下層として設けられる。一例として、カバー層32,33,34の第3方向A3における各々の厚さは、37.5μm程度であってよい。
【0060】
カバー層32は、樹脂層40と、接着層41とを含む。カバー層33は、樹脂層42と、接着層43とを含む。カバー層34は、樹脂層44と、接着層45とを含む。
【0061】
樹脂層40,42,44は、限定ではないが、ポリミイドを含んで構成される。樹脂層40は、接着層41の上に位置する。樹脂層42は、接着層41と接着層43との間に位置する。樹脂層44は、接着層45の下に位置する。
【0062】
接着層41,43,45は、限定ではないが、ポリキシを含んで構成される。接着層41は、樹脂層40と樹脂層42とを接着する。接着層43は、樹脂層42と熱電変換層とを接着する。接着層45は、熱電変換層と、樹脂層44とを接着する。
【0063】
図5に示す接合部材50は、銀ペースト等の導電性ペーストであってよい。接合部材50は、第1配線10Hと熱電変換素子20Pとの間に位置する。接合部材50は、第1配線10Hと熱電変換素子20Pとを電気的に接続する。また、接合部材50は、第2配線10Lと熱電変換素子20Pとの間に位置する。接合部材50は、第2配線10Lと熱電変換素子20Pとを電気的に接続する。また、接合部材50は、第1配線10Hと熱電変換素子20Nとの間に位置する。接合部材50は、第1配線10Hと熱電変換素子20Nとを電気的に接続する。また、接合部材50は、第2配線10Lと熱電変換素子20Nとの間に位置する。接合部材50は、第2配線10Lと熱電変換素子20Nとを電気的に接続する。
【0064】
図4に示す導電性部材60は、第1配線10H及び第2配線10Lと同様の材料で、形成されてよい。導電性部材60は、熱電変換モジュール1の複数のストリングSが直列接続されるように、ストリングSの端部同士を電気的に接続する。導電性部材60が複数のストリングSを直列接続させることにより、より高い電圧の電力を得ることができる。
【0065】
以上のように、第1実施形態に係る熱電変換モジュール1は、第1折り線1H、第2折り線1L及び第3折り線1Aを有する。熱電変換モジュール1は、上述のように、第1折り線1H、第2折り線1L及び第3折り線1Aで、山折り又は谷折りに適宜されることにより、図1に示すように小型化され得る。
【0066】
なお、第1実施形態に係る熱電変換モジュール1において、第1折り線1H、第2折り線1L及び第3折り線1Aの少なくとも何れかは、ミシン目を含んでよい。第1折り線1H等がミシン目を含むことで、熱電変換モジュール1を、展開状態から折畳み状態に、より容易にすることができる。
【0067】
また、第1実施形態に係る熱電変換モジュール1において、第1配線10Hは、第1折り線1Hが形成される部分に、メッシュ構造を有してよい。同様に、第2配線10Lは、第2折り線1Lが形成される部分に、メッシュ構造を有してよい。第1配線10H及び第2配線10Lの各々がメッシュ構造を有することにより、折り曲げに対する熱電変換モジュール1の耐久性を向上させることができる。
【0068】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る熱電変換モジュール101の外観図である。図8は、図7に示す熱電変換モジュール101の展開状態を示す平面図である。換言すると、図8は、図7に示す熱電変換モジュール101の折畳み構造の展開図に相当する。なお、図8では、熱電変換モジュール101の第1折り線101H、第2折り線101L、山折り線101M及び谷折り線101Vを主に示す。図9は、図8に示す熱電変換モジュール101の一部拡大図である。
【0069】
図7に示す熱電変換モジュール101は、熱源としてのプレート102が放射する熱を電力に変換する。熱電変換モジュール101は、折畳み構造を有する。熱電変換モジュール101の折畳み構造の形状は、略直方体となる。一例として、略直方体の高さ(放射方向b1における長さ)は、15mm程度であってよい。また、略直方体の幅(幅方向b2における長さ)は、25mm程度であってよい。また、略直方体の奥行き(奥行き方向b3における長さ)は、5mm程度であってよい。
【0070】
熱電変換モジュール101は、図7に示すように、平面状のプレート102上に載置される。熱電変換モジュール101は、プレート102が発する熱と外気温度との間の温度差を利用して、電力を発電する。プレート102は、熱源である。プレート102は、平面状である。プレート102は、熱を発生する。
【0071】
なお、図7において、放射方向b1は、熱源であるプレート102が発する熱が、外部に向けて放射させる方向である。放射方向b1は、平面状のプレート102に対して垂直な方向となり得る。また、幅方向b2は、略直方体状の熱電変換モジュール101の幅の方向である。奥行き方向b3は、略直方体状の熱電変換モジュール101の奥行きの方向である。幅方向b2及び奥行き方向b3は、熱電変換モジュール101がプレート102に載置されるとき、平面状のプレート102の面内の方向となり得る。
【0072】
また、図8及び図9において、第1方向B1と第2方向B2は、略直交する。また、第3方向B3は、第1方向B1及び第2方向B2に略直交する。本実施形態では、第1方向B1は、図8の紙面左側から紙面右側に向かう方向であるものとする。また、第2方向B2は、図8の紙面下側から紙面上側に向かう方向であるものとする。また、第3方向B3は、図8の紙面に垂直な方向であって、図8の紙面手前側に向かう方向であるものとする。
【0073】
図8に示すように、熱電変換モジュール101は、第1折り線101Hと、第2折り線101Lとを有する。熱電変換モジュール101は、第3折り線として、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vを有する。図9に示すように、熱電変換モジュール101は、第1配線110Hと、第2配線110Lと、p型熱電変換素子である熱電変換素子120Pと、n型熱電変換素子である熱電変換素子120Nと、シート基板130とを備える。さらに、熱電変換モジュール101は、導電性部材60を備えてよい。また、図7に示す熱電変換モジュール101の折畳み構造は、図8に示すユニットU1を単位ユニットとして、構成される。図9に示すように、ユニットU1は、限定ではないが、4個のストリングS1を含む。図4に示すストリングSと同様に、ストリングS1は、図9に示す展開状態において、熱電変換モジュール101の一端から他端に向けて、第1方向B1に沿って延在する。複数のストリングS1は、その端部同士が導電性部材60で電気的に接続されることにより、直列接続されてよい。
【0074】
熱電変換モジュール101は、第1折り線101Hの第1山折り線101HM、第2折り線101Lの第2山折り線101LM及び第3山折り線101Mで、山折りにされる。第2実施形態において「山折り」とは、図8に示す展開状態において、第3方向B3に向けて、突出するように折り曲げることを意味する。また、熱電変換モジュール101は、第1折り線101Hの第1谷折り線101HV、第2折り線101Lの第2谷折り線101LV及び第3谷折り線101Vで、谷折りにされる。第2実施形態において「谷折り」とは、図8に示す展開状態において、第3方向B3とは反対の方向に向けて、突出するように折り曲げることを意味する。
【0075】
図9に示すように、第1折り線101Hは、第1配線110Hに形成される。第2折り線101Lは、第2配線110Lに形成される。図8に示すように、第1折り線101Hと第2折り線101Lは、第1方向B1に沿って第2間隔d2を空けて、交互に位置する。一例として、第2間隔d2は、15mm程度であってよい。
【0076】
図8に示すように、第1折り線101Hは、第1山折り線101HMと第1谷折り線101HVとを含む。第1山折り線101HMと第1谷折り線101HVは、第2方向B2に沿って交互に並ぶ。第2折り線101Lは、第2山折り線101LMと第2谷折り線101LVとを含む。第2山折り線101LMと第2谷折り線101LVは、第2方向B2に沿って交互に並ぶ。第2方向B2において、第1山折り線101HMと第1谷折り線101HVとが交互に並ぶ順番と、第2山折り線101LMと第2谷折り線101LVとが交互に並ぶ順番は、逆である。第1山折り線101HMの長さ、第1谷折り線101HVの長さ、第2山折り線101LMの長さ、及び、第2谷折り線101LVの長さは、同一であってよい。一例として、これらの長さは、後述の第3間隔d3の幅と同一であってよい。
【0077】
図9に示すように、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vは、シート基板130に形成される。第3山折り線101Mは、ジグザグ状に、第1方向B1に沿って延在する。より詳細には、第3山折り線101Mは、第1山折り線101HMと第1谷折り線101HVとが連結される位置、及び、第2山折り線101LMと第2谷折り線101LVとが連結される位置で、ジグザグ状に折れ曲がる。また、第3谷折り線101Vは、ジグザグ状に、第1方向B1に沿って延在する。より詳細には、第3谷折り線101Vは、第1山折り線101HMと第1谷折り線101HVとが連結される位置、及び、第2山折り線101LMと第2谷折り線101LVとが連結される位置で、ジグザグ状に折れ曲がる。
【0078】
図8に示すように、第3山折り線101Mがジグザグ状に折れ曲がる方向と、第3谷折り線101Vがジグザグ状に折れ曲がる方向とは、同一方向である。第3折り線101Mがジグザグ状に折れ曲がる角度と、第3谷折り線101Vがジグザグ状に折れ曲がる角度は、同一の角度、第3角度θ3であってよい。一例として、第3角度θ3は、174度であってよい。
【0079】
図9に示すように、第3山折り線101Mと第3谷折り線101Vは、第2方向B2において隣り合うユニットU1の間に、形成される。例えば、ユニットU1-1とユニットU1-2は、第2方向B2において隣り合うユニットU1である。第3谷折り線101Vは、ユニットU1-1とユニットU1-2との間に、形成される。また、ユニットU1-2とユニットU1-3は第2方向B2において隣り合うユニットU1である。第3山折り線101Mは、ユニットU1-2とユニットU1-3との間に、形成される。
【0080】
図8に示すように、第3山折り線101Mと第3谷折り線101Vは、第2方向B2に沿って、第3間隔d3を空けて、交互に位置する。一例として、第3間隔d3は、25mm程度であってよい。
【0081】
図9に示す第1配線110H及び第2配線110Lは、シート基板130に配置される。第1配線110H及び第2配線110Lは、図4に示す第1配線10H及び第2配線10Lと同様の材料で形成されてよい。また、第1配線110H及び第2配線110Lは、図4に示す第1配線10H及び第2配線10Lと同様に、薄膜状であってよい。
【0082】
図9に示す展開状態において、第1配線110H及び第2配線110Lは、同一形状の、略長方形である。第1配線110Hの長手方向及び第2配線110Lの長手方向は、第1方向B1に沿う。一例として、第1配線110Hの長手方向の長さ及び第2配線110Lの長手方向の長さは、5mm程度であってよい。第1配線110Hの短手方向及び第2配線110Lの短手方向は、第2方向B2に沿う。一例として、第1配線110Hの短手方向の長さ及び第2配線110Lの短手方向の長さは、3mm程度であってよい。
【0083】
図9に示すように、第1配線110Hと第2配線110Lは、各ストリングS1において第1方向B1に沿って、隙間を空けて交互に並ぶ。各ストリングS1における第1配線110Hと第2配線110Lの間の各隙間には、熱電変換素子120P及び熱電変換素子120Nが交互に位置する。第1配線110Hの第1方向B1(長手方向)における一端は、当該一端と第2配線110Lとの間の隙間に位置する、熱電変換素子120P又は熱電変換素子120Nに、上述の図5に示す接合部材50を介して、電気的に接続される。第1配線110Hの第1方向B1における他端は、当該他端と第2配線110Lとの間の隙間に位置する、熱電変換素子120P又は熱電変換素子120Nに、上述の図5に示す接合部材50を介して、電気的に接続される。また、第2配線110Lの第1方向B1(長手方向)における一端は、当該一端と第1配線110Hとの間の隙間に位置する、熱電変換素子120P又は熱電変換素子120Nに、上述の図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。第2配線110Lの第1方向B1における他端は、当該他端と第1配線110Hとの間の隙間に位置する、熱電変換素子120P又は熱電変換素子120Nに、上述の図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。
【0084】
図9に示す展開状態において、第1配線110Hは、第2方向B2に沿って、隙間を空けて並ぶ。同様に、第2配線110Lは、第2方向B2に沿って、隙間を空けて並ぶ。一例として、隙間は、1mm程度であってよい。
【0085】
図9に示すように、第1配線110Hには、第1折り線101Hが形成される。より詳細には、1個のユニットU1に含まれる第2方向B2に沿って並ぶ4個の第1配線110Hには、第1山折り線101HM又は第1谷折り線101HVが形成される。また、第2配線110Lには、第2折り線101Lが形成される。より詳細には、1個のユニットU1に含まれる第2方向B2に沿って並ぶ4個の第2配線110Lには、第2山折り線101LM又は第2谷折り線101LVが形成される。ここで、熱電変換モジュール101が折畳まれた状態になると、図7に示すように、第1配線110Hの位置は、第2配線110Lの位置よりも、プレート102に近くなり得る。このような構成とすることで、第1配線110Hの温度は、第2配線110Lの温度よりも、高くなり得る。換言すると、第2配線110Lの温度は、第1配線110Hの温度よりも、低くなり得る。
【0086】
図9に示す熱電変換素子120Pは、p型熱電変換素子である。図9に示す熱電変換素子120Nは、n型熱電変換素子である。熱電変換素子120P及び熱電変換素子120Nは、シート基板130に配置される。熱電変換素子120P,120Nを形成するための熱電変換材料としては、第1実施形態にて上述したものが用いられてよい。また、熱電変換素子120Pの厚さ及び熱電変換素子120Nの厚さは、一例として、第1実施形態と同様に、35μm程度であってよい。
【0087】
図9に示す展開状態において、熱電変換素子120P及び熱電変換素子120Nは、同一形状の、略長方形である。熱電変換素子120Pの長手方向及び熱電変換素子120Nの長手方向は、第1方向B1に沿う。一例として、熱電変換素子120Pの長手方向の長さ及び熱電変換素子120Nの長手方向の長さは、10mm程度であってよい。熱電変換素子120Pの短手方向及び熱電変換素子120Nの短手方向は、第2方向B2に沿う。熱電変換素子120Pの短手方向の長さ及び熱電変換素子120Nの短手方向の長さは、第1配線110Hの短手方向及び第2配線110Lの短手方向の長さと同一であってよい。一例として、熱電変換素子120Pの短手方向の長さ及び熱電変換素子120Nの短手方向の長さは、3mm程度であってよい。
【0088】
図9に示すように、熱電変換素子120Pの第1方向B1(長手方向)における一端は、第1配線110H又は第2配線110Lに隣接する。熱電変換素子120Pの第1方向B1における一端は、当該一端に隣接する第1配線110H又は第2配線110Lに、上述の図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。また、図9に示すように、熱電変換素子120Pの第1方向B1における他端は、第1配線110H又は第2配線110Lに隣接する。熱電変換素子120Pの第1方向B1における他端は、当該他端に隣接する第1配線110H又は第2配線110Lに、上述の図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。
【0089】
図9に示すように、熱電変換素子120Nの第1方向B1(長手方向)における一端は、第1配線110H又は第2配線110Lに隣接する。熱電変換素子120Nの第1方向B1における一端は、当該一端に隣接する第1配線110H又は第2配線110Lに、上述の図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。また、図9に示すように、熱電変換素子120Nの第1方向B1における他端は、第1配線110H又は第2配線110Lに隣接する。熱電変換素子120Nの第1方向B1における他端は、当該他端に隣接する第1配線110H又は第2配線110Lに、上述の図5に示す接合部材50を介して電気的に接続される。
【0090】
図9に示すように、熱電変換素子120Pと熱電変換素子120Nは、各ストリングS1において第1方向B1に沿って、隙間を空けて交互に並ぶ。各隙間には、第1配線110Hと第2配線110Lとが交互に位置する。このような構成とすることで、熱電変換素子120Pの第1方向B1における一端に第1配線110Hが位置し、熱電変換素子120Pの第1方向B1における他端に第2配線110Lが位置し得る。また、熱電変換素子120Nの第1方向B1における一端に第1配線110Hが位置し、熱電変換素子120Nの第1方向B1における他端に第2配線110Lが位置し得る。ここで、上述のように、第1配線110Hの温度は、第2配線110Lの温度よりも、高くなり得る。そのため、第1実施形態にて図5を参照して説明したように、熱電変換素子120Pの両端及び熱電変換素子120Nの両端の各々では、温度差が生じることにより、温度勾配が生じる。この温度勾配が生じることにより、第1実施形態にて図5を参照して上述したように、熱電変換素子120P及び熱電変換素子120Nが発電する。
【0091】
図9に示すように、第2方向B2において隣り合うストリングS1では、第1方向B1に沿って交互に並ぶ熱電変換素子120P及び熱電変換素子120Nの順序が逆になる。換言すると、熱電変換素子120Pと熱電変換素子120Nは、第2方向B2に沿って隙間を空けて交互に並ぶ。当該隙間は、一例として、1mm程度であってよい。このような構成とすることで、第1実施形態にて図6を参照して説明したように、第2方向B2において隣り合うストリングS1では、生じる電流の向きが互いに逆向きになる。隣り合うストリングS1に生じる電流が逆向きとなることにより、隣り合うストリングS1を、その端部を導電性部材60によって電気的に接続することにより、直列接続させることができる。隣り合うストリングS1を直列接続させることにより、熱電変換モジュール101は、より大きな電力を発電することができる。さらに、ユニットU1が偶数個(図9に示す例では、4個)のストリングS1を含む場合、熱電変換モジュール101において全てのストリングS1を、導電性部材60によって、直列接続させることができる。このような構成とすることで、熱電変換モジュール101は、より大きな電力を発電することができる。全てのストリングS1を導電性部材60によって直列接続させると、上述の図6を参照して説明したような、各ストリングS1を流れる1本の電流経路が生じ得る。
【0092】
図9に示すように、シート基板130は、領域131を有する。シート基板130は、上述の図5に示すシート基板30と同様に、カバー層32と、カバー層33と、カバー層34とを有する。
【0093】
図9に示すように、領域131は、第1折り線101Hと、第3折り線としての第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vとが交差する位置に、設けられる。さらに、領域131は、第2折り線101Lと、第3折り線としての第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vとが交差する位置に、設けられる。領域131は、限定ではないが、円形であってよい。
【0094】
図9に示す領域131は、図4に示す領域31と同様に、貫通領域であってよい。又は、領域131は、図4に示す領域31と同様に、シート基板130の他の部分よりも厚さが薄い領域であってよい。このような領域131が形成されることにより、第1実施形態にて上述したように、熱電変換モジュール101が折畳み易くなり得る。また、第1実施形態にて上述したように、シート基板130の劣化を抑制することができる。
【0095】
以上のように、第2実施形態に係る熱電変換モジュール101は、第1折り線101H、第2折り線101L、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vを有する。熱電変換モジュール101は、上述のように、第1折り線101H、第2折り線101L、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vで、山折り又は谷折りに適宜されることにより、図1に示すように小型化され得る。
【0096】
なお、第2実施形態に係る熱電変換モジュール101において、第1折り線101H、第2折り線101L、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vの少なくとも何れかは、ミシン目を含んでよい。第1折り線101H等がミシン目を含むことで、熱電変換モジュール101を、展開状態から折畳み状態に、より容易することができる。
【0097】
また、第2実施形態に係る熱電変換モジュール101において、第1配線110Hは、第1折り線101Hが形成される部分に、メッシュ構造を有してよい。同様に、第2配線110Lは、第2折り線101Lが形成される部分に、メッシュ構造を有してよい。第1配線110H及び第2配線110Lの各々がメッシュ構造を有することにより、折り曲げに対する熱電変換モジュール101の耐久性を向上させることができる。
【0098】
(第3実施形態)
第3実施形態では、熱電変換モジュールの第1配線及び第2配線と熱電変換素子との間の構造について説明する。第3実施形態に係る構造は、上述の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1及び第2実施形態に係る熱電変換モジュール101の何れにも適用可能である。
【0099】
図10は、本発明の第3実施形態に係る熱電変換モジュール201の製造途中の一部断面図である。図10に示す熱電変換モジュール201には、後の製造工程において、図5に示すカバー層32,33が設けられる。
【0100】
図10に示すように、熱電変換モジュール201は、カバー層34と、接合部材50と、第1配線210Hと、第2配線210Lと、熱電変換素子220Pと、熱電変換素子220Nとを備える。
【0101】
なお、第3実施形態に係る構造が上述の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1に適用される場合、図10に示す第1配線210H及び第2配線210Lの各々は、上述の図4に示す第1配線10H及び第2配線10Lの各々に対応する。また、図10に示す熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々は、上述の図4に示す熱電変換素子20P及び熱電変換素子20Nの各々に対応する。また、図10に示す第1方向C1、第2方向C2及び第3方向C3の各々は、上述の図4に示す第1方向A1、第2方向A2及び第3方向A3の各々に対応する。
【0102】
また、第3実施形態に係る構造が上述の第2実施形態に係る熱電変換モジュール101に適用される場合、図10に示す第1配線210H及び第2配線210Lの各々は、上述の図9に示す第1配線110H及び第2配線110Lの各々に対応する。また、図10に示す熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々は、上述の図9に示す熱電変換素子120P及び熱電変換素子120Nの各々に対応する。また、図10に示す第1方向C1及び第3方向C3の各々は、上述の図9に示す第1方向B1及び第3方向B3の各々に対応する。また、図10に示す第2方向C2は、上述の図9に示す第2方向B2の負方向に対応する。
【0103】
図10に示すように、熱電変換素子220Pの第1方向C1(長手方向)における一端と、当該一端に隣接する第1配線210H(又は第2配線210L)との間には、隙間Dが設けられる。この隙間Dには、接合部材50が配置される。この隙間Dに配置される接合部材50は、熱電変換素子220Pの第1方向C1における一端と、当該一端に隣接する第1配線210H(又は第2配線210L)とを電気的に接続する。また、熱電変換素子220Pの第1方向C1における他端と、当該他端に隣接する第2配線210L(又は第1配線210H)との間には、隙間Dが設けられる。この隙間Dには、接合部材50が配置される。この隙間Dに配置される接合部材50は、熱電変換素子220Pの第1方向C1における他端と、当該他端に隣接する第2配線210L(又は第1配線210H)とを電気的に接続する。
【0104】
図10に示すように、熱電変換素子220Nの第1方向C1(長手方向)における一端と、当該一端に隣接する第1配線210H(又は第2配線210L)との間には、隙間Dが設けられる。この隙間Dには、接合部材50が配置される。この隙間Dに配置される接合部材50は、熱電変換素子220Nの第1方向C1における一端と、当該一端に隣接する第1配線210H(又は第2配線210L)とを電気的に接続する。また、熱電変換素子220Nの第1方向C1における他端と、当該他端に隣接する第2配線210L(又は第1配線210H)との間には、隙間Dが設けられる。この隙間Dには、接合部材50が配置される。この隙間Dに配置される接合部材50は、熱電変換素子220Nの第1方向C1における他端と、当該他端に隣接する第2配線210L(又は第1配線210H)とを電気的に接続する。
【0105】
このような隙間Dを設けることで、後述のように、第1配線210H、第2配線210L、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nが、カバー層34から剥離することが抑制され得る。ここで、第1配線210H及び第2配線210Lは、第1配線210H及び第2配線210Lの各々のカバー層34に対向する全ての面と、カバー層34とが接するように、カバー層34に配置されてよい。同様に、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nは、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々のカバー層34に対向する全ての面と、カバー層34とが接するように、カバー層34に配置されてよい。このような構成とすることで、第1配線210H、第2配線210L、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nが、カバー層34から剥離することがより確実に抑制され得る。
【0106】
(第3実施形態の比較例1)
図11は、本発明の第3実施形態の比較例1に係る熱電変換モジュール201Xの一部断面図である。比較例1に係る熱電変換モジュール201Xでは、図10に示す熱電変換モジュール201とは異なり、図10に示す隙間Dが設けられない。
【0107】
図11に示す熱電変換モジュール201Xでは、図10に示す隙間Dが設けられないため、図11に示す熱電変換素子220Pと、第1配線210H及び第2配線210Lとの間に、接合部材50を配置することができない。熱電変換素子220Pと第1配線210H及び第2配線210Lとの間に接合部材50が配置されないと、熱電変換素子220Pと、第1配線210H及び第2配線210Lの各々とは、その断面でのみ接続されることになる。そのため、熱電変換素子220Pと、第1配線210H及び第2配線210Lの各々との間の接続強度が低下し得る。熱電変換素子220Pと、第1配線210H及び第2配線210Lの各々との間の接続強度が低下すると、第1配線210H、第2配線210L、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nがカバー層34から剥離する蓋然性が高まり得る。
【0108】
これに対して、図10に示す熱電変換モジュール201では、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々と、第1配線210H及び第2配線210Lの各々との間に、隙間Dが設けられる。このような隙間Dを設けることにより、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々と、第1配線210H及び第2配線210Lの各々との間に、接合部材50を配置することができる。そのため、熱電変換モジュール201では、比較例1とは異なり、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々と、第1配線210H及び第2配線210Lの各々とは、その断面に加えて、接合部材50によって接続され得る。このような構成により、熱電変換モジュール201では、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々と、第1配線210H及び第2配線210Lの各々との間の接続強度が低下することを抑制することができる。そのため、熱電変換モジュール201では、第1配線210H、第2配線210L、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nがカバー層34から剥離することを抑制することができる。
【0109】
(第3実施形態の比較例2)
図12は、本発明の第3実施形態の比較例2に係る熱電変換モジュール201Yの一部断面図である。比較例21に係る熱電変換モジュール201Yでは、図10に示す熱電変換モジュール201とは異なり、図10に示す隙間Dが設けられない。
【0110】
図12に示す熱電変換モジュール201Yでは、図10に示す隙間Dが設けられないため、熱電変換素子220Pの一部と、第1配線210H及び第2配線210Lの一部とが重なっている。具体的には、第1配線210H及び第2配線210Lが、熱電変換素子220Pの上に重なっている。このように第1配線210H及び第2配線210Lが熱電変換素子220Pの上に重なると、第1配線210H及び第2配線210Lは、熱電変換素子220Pの上に重なる部分を除き、他の部材から浮いた状態となり得る。第1配線210H及び第2配線210Lが他の部材から浮いた状態になると、熱電変換モジュール201Yに応力等の力が加えられたとき、第1配線210H及び第2配線210Lが剥がれる蓋然性が高まり得る。
【0111】
これに対して、図10に示す熱電変換モジュール201では、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nの各々と、第1配線210H及び第2配線210Lの各々との間に、隙間Dが設けられる。このような隙間Dを設けることにより、熱電変換モジュール201では、比較例2とは異なり、第1配線210H及び第2配線210L等が、他の部材から浮いた状態になることを抑制することができる。第1配線210H及び第2配線210L等が他の部材から浮いた状態になることを抑制することで、第1配線210H、第2配線210L、熱電変換素子220P及び熱電変換素子220Nがカバー層34から剥離することを抑制することができる。
【0112】
(第4実施形態)
第4実施形態では、折り線の構造について説明する。第4実施形態に係る折り線の構造は、上述の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1及び第2実施形態に係る熱電変換モジュール101の何れにも適用可能である。
【0113】
図13は、本発明の第4実施形態に係る熱電変換モジュール301の一部断面図である。図14は、図13に示す構造の折畳み状態を示す図である。
【0114】
熱電変換モジュール301は、折り線310を有する。ここで、第4実施形態に係る構造が上述の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1に適用される場合、折り線310は、上述の図3に示す第1折り線1H、第2折り線1L及び第3折り線1Aの少なくとも何れかに対応する。また、第4実施形態に係る構造が上述の第2実施形態に係る熱電変換モジュール101に適用される場合、折り線310は、上述の図8に示す第1折り線101H、第2折り線101L、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vの少なくとも何れかに対応する。
【0115】
折り線310は、折り目311及び折り目312を含んで構成される。ここで、本開示において「折り目」とは、図13に示すような、溝であってよい。なお、本開示における「折り目」は、溝に限定されない。例えば、本開示における「折り目」は、曲げ癖又は折り癖等であってよい。また、本開示における「折り目」には、上述のミシン目が形成されてよい。
【0116】
なお、第4実施形態に係る折り線は、少なくとも2個の折り目を含んで構成されればよい。後述のように、第4実施形態に係る折り線は、3個以上の折り目を含んで構成されてよい。
【0117】
折り目311及び折り目312は、折り線310が延在する方向に延在する。例えば、折り線310が上述の図3に示す第3折り線1Aである場合、折り目311及び折り目312は、上述の図3に示す第1方向A1に沿って延在する。また、折り目311と折り目312との間の間隔は、適宜調整されてよい。一例として、折り目311と折り目312との間の間隔は、100μm程度であってよい。
【0118】
このような熱電変換モジュール301を折畳むと、図14に示すように、熱電変換モジュール301は、折り目311及び折り目312の二箇所で、折り曲げられ得る。熱電変換モジュール301は、二箇所で折り曲がることにより、折り線310で緩やかに折り曲がり得る。熱電変換モジュール301が折り線310で緩やかに折り曲がることにより、折り線310にかかる負荷が分散され得る。折り線310にかかる負荷が分散されることにより、熱電変換モジュール301の劣化を抑制することができる。
【0119】
(第4実施形態の比較例1)
図15は、本発明の第4実施形態の比較例1に係る熱電変換モジュール301Xの一部断面図である。図16は、図15に示す構造の折畳み状態を示す図である。
【0120】
比較例1に係る熱電変換モジュール301Xは、折り線310Xを有する。折り線310Xは、図13に示す熱電変換モジュール301とは異なり、1個の折り目311を含んで構成される。
【0121】
このような熱電変換モジュール301Xを折畳むと、図16に示すように、熱電変換モジュール301Xは、折り目311の一箇所で、折り曲げられ得る。熱電変換モジュール301Xは、折り目311の一箇所で曲がることにより、折り線310Xで鋭く折れ曲がり得る。熱電変換モジュール301Xが折り線310Xで鋭く折れ曲がることにより、折り線310Xに負荷が集中し得る。折り線310Xに負荷が集中することにより、熱電変換モジュール301Xの劣化を進む虞がある。
【0122】
これに対して、図13に示す熱電変換モジュール301では、折り線310は、折り目311及び折り目312を含んで構成される。折り線310が折り目311及び折り目312を含んで構成されることで、熱電変換モジュール301は、比較例とは異なり、折り線310で緩やかに折れ曲がり得る。このような構成により、折り線310にかかる負荷が分散されて、熱電変換モジュール301の劣化を抑制することができる。
【0123】
(第4実施形態の他の例)
図17は、本発明の第4実施形態の他の例に係る熱電変換モジュール301Aの一部断面図である。図18は、図17に示す構造の折畳み状態を示す図である。
【0124】
図17に示すように、熱電変換モジュール301Aは、折り線310Aを備える。折り線310Aは、折り目311と、折り目312と、折り目313とを含んで構成される。
【0125】
このような熱電変換モジュール301Aを折畳むと、図18に示すように、熱電変換モジュール301Aは、折り目311、折り目312及び折り目313の三箇所で、折り曲げられ得る。熱電変換モジュール301Aは、三箇所で折り曲がることにより、折り線310Aで緩やかに折り曲がり得る。熱電変換モジュール301Aが折り線310Aで緩やかに折り曲がることにより、折り線310Aにかかる負荷が分散され得る。折り線310Aにかかる負荷が分散されることにより、熱電変換モジュール301Aの劣化を抑制することができる。
【0126】
(第4実施形態のさらに他の例)
図19は、本発明の第4実施形態のさらに他の例に係る熱電変換モジュール301Bの一部断面図である。図20は、図19に示す構造の折畳み状態を示す図である。
【0127】
図19に示すように、熱電変換モジュール301Bは、折り線310Bを備える。折り線310Bは、折り目311と、折り目312と、折り目313と、折り目314とを含んで構成される。
【0128】
このような熱電変換モジュール301Bを折畳むと、図20に示すように、熱電変換モジュール301Bは、折り目311、折り目312、折り目313及び折り目314の四箇所で、折り曲がり得る。熱電変換モジュール301Bは、四箇所で折り曲がることにより、折り線310Bで緩やかに折り曲がり得る。熱電変換モジュール301Bが折り線310Bで緩やかに折り曲がることにより、折り線310Bにかかる負荷が分散され得る。折り線310Bにかかる負荷が分散されることにより、熱電変換モジュール301Bの劣化を抑制することができる。
【0129】
(第5実施形態)
第5実施形態では、折り線の構造について説明する。第5実施形態に係る折り線の構造は、上述の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1及び第2実施形態に係る熱電変換モジュール101の何れにも適用可能である。
【0130】
図21は、本発明の第5実施形態に係る熱電変換モジュール401の一部断面図である。図22は、図21に示す構造の折畳み状態を示す図である。
【0131】
図21に示すように、熱電変換モジュール401は、折り線410を有する。ここで、第5実施形態に係る構造が上述の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1に適用される場合、折り線410は、上述の図3に示す第1折り線1H、第2折り線1L及び第3折り線1Aの少なくとも何れかに対応する。また、第5実施形態に係る構造が上述の第2実施形態に係る熱電変換モジュール101に適用される場合、折り線410は、上述の図8に示す第1折り線101H、第2折り線101L、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vの少なくとも何れかに対応する。
【0132】
図21に示すように、折り線410は、折り目411と、補助部材412とを含んで構成される。補助部材412は、折り目411に沿って配置される。
【0133】
図22に示すように、補助部材412は、熱電変換モジュール401に含まれる2つの面401a,401bのうち、熱電変換モジュール401が折り目411で折畳まれた際に、内側に位置する面401a側に位置する。補助部材412は、円柱状であってよい。補助部材412の直径は、熱電変換モジュール401の厚さよりも、大きくてよい。一例として、補助部材412の直径は、0.5mm又は1mm程度であってよい。なお、補助部材412は、円柱状に限定されない。例えば、補助部材412は、三角形状及び四角形状等であってよい。また、補助部材412は、針金又はプラスチック棒を含んで構成されてよい。
【0134】
補助部材21が面401a側に位置することで、図22に示すように、熱電変換モジュール401は、補助部材412を挟むように、折り目411で、折り曲げられ得る。このような構成により、熱電変換モジュール401は、補助部材412の外形に依拠して、折り線410で緩やかに折り曲がり得る。熱電変換モジュール401が折り線410で緩やかに折り曲がることにより、折り線410にかかる負荷が分散され得る。折り線410にかかる負荷が分散されることにより、熱電変換モジュール401の劣化を抑制することができる。
【0135】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。
【0136】
例えば、上述の第1実施形態に係る熱電変換モジュール1は、図3に示すように、第3折り線1Aを有するものとして説明した。また、上述の第2実施形態に係る熱電変換モジュール101は、上述の図8に示すように、第3折り線として、第3山折り線101M及び第3谷折り線101Vを有するものとして説明した。ただし、本発明の熱電変換モジュールの折畳み構造を積層構造にしない場合、当該熱電変換モジュールは、第3折り線を有しなくてよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明によれば、本発明によれば、小型化された熱電変換モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0138】
1,101,201,301,301A,301B,401 熱電変換モジュール
2 配管(熱源)
1H,101H 第1折り線
1L,101L 第2折り線
1A 第3折り線
1M 山折り線
1V 谷折り線
10H,110H,210H 第1配線
10L,110L,210L 第2配線
20P,120P,220P 熱電変換素子(p型熱電変換素子)
20N,120N,220N 熱電変換素子(n型熱電変換素子)
30,130 シート基板
31,131 領域
32,33,34 カバー層
40,42,44 樹脂層
41,43,45 接着層
50 接合部材
60 導電性部材
101HM 第1山折り線
101HV 第1谷折り線
101LM 第2山折り線
101LV 第2谷折り線
101M 第3山折り線
101V 第3谷折り線
102 プレート(熱源)
310,310A,310B,410 折り線
311,312,313,314 折り目
401a,401b 面
412 補助部材
U,U1 ユニット
S,S1 ストリング
E1 正極
E2 負極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22