(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20231011BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231011BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/30 569C
H01L21/68 A
G03F7/30 501
(21)【出願番号】P 2020038218
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒田 洋司
(72)【発明者】
【氏名】土山 正志
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 剛史
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-199318(JP,A)
【文献】特開2013-162111(JP,A)
【文献】特開2013-222949(JP,A)
【文献】特開2001-319845(JP,A)
【文献】特開2008-072016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0378750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/677
G03F 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に伸びる第1の基板搬送領域と、当該第1の基板搬送領域の左右の一方側、他方側に夫々面して設けられる第1の処理モジュール、第2の処理モジュールと、前記第1の基板搬送領域の左右の一方側、他方側に夫々設けられ、前記第1の処理モジュール、前記第2の処理モジュールに夫々基板を受け渡すための第1の搬送機構、第2の搬送機構と、を備える第1の単位ブロックと、
左右に伸びる第2の基板搬送領域と、当該第2の基板搬送領域にて左右に前記基板を搬送する第3の搬送機構と、を備え、前記第1の単位ブロックに積層されて設けられる第2の単位ブロックと、
前記第1の単位ブロック及び前記第2の単位ブロックによって構成される単位ブロックの積層体に対して左右の一方側に設けられ、前記第1の搬送機構、前記第3の搬送機構に各々基板を受け渡すために前記基板を載置する一方側載置部を当該第1の単位ブロック及び第2の単位ブロックの各々の高さに備えると共に、前記基板を収納するキャリアを載置するキャリアステージを備える基板搬入出ブロックと、
前記単位ブロックの積層体に対して左右の他方側に設けられ、前記第2の搬送機構、前記第3の搬送機構に各々基板を受け渡すために前記基板を載置する他方側載置部を前記第1の単位ブロック及び前記第2の単位ブロックの各々の高さに備える中継ブロックと、
前記各他方側載置部の間で前記基板を搬送するように、前記中継ブロックに設けられた他方側搬送機構と、
前記キャリア及び前記各一方側載置部の間で前記基板を搬送し、前記第1の処理モジュールで処理済みで前記第2の処理モジュールで処理前の基板について前記第2の単位ブロック、前記中継ブロックを順に通過して前記第1の単位ブロックの他方側から前記第2の処理モジュールへ搬送するために、前記第1の単位ブロックの高さの一方側載置部から前記第2の単位ブロックの高さの一方側載置部へ搬送するように、前記基板搬入出ブロックに設けられた一方側搬送機構と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記第2の単位ブロックには、前記第3の搬送機構により前記基板が受け渡される第3の処理モジュールが前記第2の基板搬送領域に面して設けられ、
当該第3の処理モジュールは、前記第1の処理モジュールで処理後、前記第2の処理モジュールで処理前の前記基板を処理する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1の処理モジュール及び第3の処理モジュールは、前記基板に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布モジュールを含む請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2の単位ブロックは、前記基板搬入出ブロックから前記中継ブロックへ前記基板を搬送する往路用の単位ブロックと、
前記中継ブロックから前記基板搬入出ブロックへ前記基板を搬送する復路用の単位ブロックと、を備え、
前記往路用の単位ブロック及び前記復路用の単位ブロックの各々が、前記第2の基板搬送領域及び前記第3の搬送機構を備え、
前記往路用の単位ブロックは前記第3の処理モジュールを備え、
前記復路用の単位ブロックは、前記第1及び第2及び第3の処理モジュールでの処理後の基板を処理する第4の処理モジュールを備え、
前記一方側載置部及び前記他方側載置部は、前記往路用の単位ブロック及び前記復路用の単位ブロックの各々の高さに設けられる請求項2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の処理モジュール、前記第2の処理モジュール及び前記往路用の単位ブロックにおける前記第3の処理モジュールのうちのいずれかは、レジストを前記基板に供給してレジスト膜を形成するレジスト塗布モジュールを含み、
前記第4の処理モジュールは、前記レジスト膜を露光するために前記中継ブロックに接続される露光機で露光された前記レジスト膜を現像するように、前記第2の基板搬送領域に面して設けられる現像モジュールである請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の処理モジュール及び前記第2の処理モジュールは左右に並んで設けられ、
前記第1の処理モジュール、前記第2の処理モジュール及び前記第3の処理モジュールは、前記基板に処理液を供給して処理する液処理モジュールであり、
前記第1の処理モジュールと第2の処理モジュールとの間に、前記第1の処理モジュール、前記第2の処理モジュール、前記第3の処理モジュールの各々に前記処理液を供給する供給機器が設けられる請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の処理モジュール
は、前記基板に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布モジュールであり、
前記第2の処理モジュールは前記レジスト膜の形成後、前記露光機による露光前に基板を洗浄する洗浄モジュールである請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記他方側載置部は縦方向に列をなし、
前記中継ブロックには、前記露光機で露光後であり現像処理前の前記基板を処理する露光後処理モジュールと、前記他方側載置部の列から外れた位置にて、前記第2の処理モジュールで処理前の前記基板を滞留させる滞留モジュールと、が設けられ、
前記他方側搬送機構は、
前記露光後処理モジュール、前記滞留モジュール及び前記他方側載置部の間で前記基板を搬送する第1の他方側搬送機構と、
前記露光後処理モジュール及び前記他方側載置部の間で前記基板を搬送する第2の他方側搬送機構と、を備え、
第2の他方側搬送機構による基板の搬送領域は、第1の他方側搬送機構による基板の搬送領域よりも縦方向に長い請求項5ないし7のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記単位ブロックの積層体を構成する一の単位ブロックにおける前記処理モジュールとして、左右に複数並ぶと共に前記基板に処理液を供給して処理する液処理モジュールが設けられ、
当該液処理モジュールの列における左側の処理モジュールの付帯設備、中央部の処理モジュールの付帯設備、右側の処理モジュールの付帯設備は、互いに分割されている請求項1ないし8のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記液処理モジュールは
前記基板に処理液を供給するために前記基板を収容
するカップを備え、
前記付帯設備は、当該カップに接続されてカップ内を排気する排気路を形成するための排気路形成部材含む請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記液処理モジュールは前記基板に処理液を供給するために前記基板を収容するカップを備え、
前記一の単位ブロックは、前記単位ブロックの積層体を形成する他の単位ブロックに比べて前記カップの数が多い単位ブロックである請求項9記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記中継ブロックには、前記他方側載置部が縦方向に列をなして設けられ、
前記他方側搬送機構は、複数の搬送機構により構成され、
前記複数の搬送機構のうちの一の搬送機構と、前記第2の処理モジュールの付帯設備を含む付帯設備設置部とが、前記他方側載置部の列を前後に挟んで設けられる請求項1ないし11のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1の単位ブロックは縦方向に連続して複数段に設けられ、前記第2の処理モジュールは各段の前記第1の単位ブロックに設けられる請求項1ないし12のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1の基板搬送領域の左右の一方側は段毎に区画され、
前記第1の搬送機構は段毎に設けられ、
前記第1の基板搬送領域の左右の他方側は各段間で連通し、
前記第2の搬送機構は各段で共通の昇降自在な搬送機構である請求項13記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記一方側搬送機構は、前記キャリアに対して前記基板を搬入出する第1の一方側搬送機構と、前記第1の一方側搬送機構よりも前記単位ブロックの積層体寄りに設けられ、前記第1の搬送機構と第3の搬送機構との間で前記基板を受け渡すために昇降する第2の一方側搬送機構と、を含み、
前記第1の一方側搬送機構による基板の搬送領域上に設けられた、供給されたガスを清浄化して当該搬送領域に放出するフィルタと、
平面視、前記フィルタに重ならない位置に設けられ、ガスを吸引して前記フィルタに供給するガス供給機構と、
前記搬送領域上において前記キャリアを仮置きするためのキャリア仮置き部と、
を備える請求項1ないし14のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記第1の処理モジュールは前記基板に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布モジュールであり、前記第2の処理モジュールは前記基板を洗浄する洗浄モジュールであり、
前記第1の基板搬送領域の圧力が前記第1の処理モジュールの圧力よりも低く、且つ第2の処理モジュールの圧力よりも高くなるように、前記第1の単位ブロックに対するガスの供給と排気とを行う給排気部が設けられる請求項1ないし15のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記第2の処理モジュール
は、前記基板を収容して当該基板に処理液を供給するカップを備えると共に前記第1の基板搬送領域に対して前方、後方に各々設けられ、
前記第2の搬送機構に設けられる前記基板を保持する保持体を左右に移動させるための移動機構が、当該第1の基板搬送領域に設けられる請求項1ないし16のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項18】
左右に伸びる第1の基板搬送領域と、当該第1の基板搬送領域の左右の一方側、他方側に夫々面して設けられる第1の処理モジュール、第2の処理モジュールと、が設けられる第1の単位ブロックにおいて、前記第1の基板搬送領域の左右の一方側、他方側に夫々設けられる
第1の搬送機構、第2の搬送機構により、前記第1の処理モジュール、前記第2の処理モジュールに夫々基板を受け渡す工程と、
左右に伸びる第2の基板搬送領域を備え、前記第1の単位ブロックに積層されて設けられる第2の単位ブロックの前記第2の基板搬送領域にて、第3の搬送機構により左右に前記基板を搬送する工程と、
前記第1の単位ブロック及び前記第2の単位ブロックによって構成される単位ブロックの積層体に対して左右の一方側に設けられる基板搬入出ブロックにおいて、前記第1の単位ブロック及び前記第2の単位ブロックの各々の高さに設けられる一方側載置部に前記基板を載置し、前記基板搬入出ブロックと、前記第1の搬送機構と、前記第3の搬送機構との間で各々基板を受け渡す工程と、
前記基板搬入出ブロックに設けられるキャリアステージに、前記基板を収納するキャリアを載置する工程と、
前記単位ブロックの積層体に対して左右の他方側に設けられる中継ブロックにおいて、前記該第1の単位ブロック及び前記第2の単位ブロックの各々の高さに設けられる他方側載置部に前記基板を載置し、前記中継ブロックと、前記第2の搬送機構と、前記第3の搬送機構との間で各々基板を受け渡す工程と、
前記中継ブロックに設けられた他方側搬送機構により、前記各他方側載置部の間で前記基板を搬送する工程と、
前記基板搬入出ブロックに設けられた一方側搬送機構により、前記キャリア及び前記各一方側載置部の間で前記基板を搬送する工程と、
前記第1の処理モジュールで処理済みで前記第2の処理モジュールで処理前の基板について、前記第2の単位ブロック、前記中継ブロックを順に通過して前記第1の単位ブロックの他方側から前記第2の処理モジュールへ搬送するために、前記第1の単位ブロックの高さの一方側載置部から前記第2の単位ブロックの高さの一方側載置部へ前記一方側搬送機構により搬送する工程と、
を備える基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造するために、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)に様々な処理が行われる。この半導体デバイスの製造工程のうちの一工程として、例えばフォトリソグラフィが行われる。具体的にそのフォトリソグラフィでは、ウエハにレジストを塗布してレジスト膜を形成すること、及び現像液を供給して露光済みのレジスト膜を現像することが行われる。例えば特許文献1には、そのようなレジスト膜の形成及び現像を行う基板処理装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板処理装置において高いスループットを得ると共に占有床面積を小さくすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の基板処理装置は、左右に伸びる第1の基板搬送領域と、当該第1の基板搬送領域の左右の一方側、他方側に夫々面して設けられる第1の処理モジュール、第2の処理モジュールと、前記第1の基板搬送領域の左右の一方側、他方側に夫々設けられ、前記第1の処理モジュール、前記第2の処理モジュールに夫々基板を受け渡すための第1の搬送機構、第2の搬送機構と、を備える第1の単位ブロックと、
左右に伸びる第2の基板搬送領域と、当該第2の基板搬送領域にて左右に前記基板を搬送する第3の搬送機構と、を備え、前記第1の単位ブロックに積層されて設けられる第2の単位ブロックと、
前記第1の単位ブロック及び前記第2の単位ブロックによって構成される単位ブロックの積層体に対して左右の一方側に設けられ、前記第1の搬送機構、前記第3の搬送機構に各々基板を受け渡すために前記基板を載置する一方側載置部を当該第1の単位ブロック及び第2の単位ブロックの各々の高さに備えると共に、前記基板を収納するキャリアを載置するキャリアステージを備える基板搬入出ブロックと、
前記単位ブロックの積層体に対して左右の他方側に設けられ、前記第2の搬送機構、前記第3の搬送機構に各々基板を受け渡すために前記基板を載置する他方側載置部を前記第1の単位ブロック及び前記第2の単位ブロックの各々の高さに備える中継ブロックと、
前記各他方側載置部の間で前記基板を搬送するように、前記中継ブロックに設けられた他方側搬送機構と、
前記キャリア及び前記各一方側載置部の間で前記基板を搬送し、前記第1の処理モジュールで処理済みで前記第2の処理モジュールで処理前の基板について前記第2の単位ブロック、前記中継ブロックを順に通過して前記第1の単位ブロックの他方側から前記第2の処理モジュールへ搬送するために、前記第1の単位ブロックの高さの一方側載置部から前記第2の単位ブロックの高さの一方側載置部へ搬送するように、前記基板搬入出ブロックに設けられた一方側搬送機構と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理装置において高いスループットを得ると共に占有床面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態である塗布、現像装置の横断平面図である。
【
図4】前記塗布、現像装置に設けられるキャリアブロックの斜視図である。
【
図5】前記塗布、現像装置に設けられる処理ブロックの前方側の斜視図である。
【
図7】前記処理ブロックに設けられる塗布膜形成用の単位ブロックの平面図である。
【
図8】前記処理ブロックに設けられる現像用の単位ブロックの平面図である。
【
図9】前記塗布、現像装置の概略平面を示す模式図である。
【
図10】前記処理ブロックに設けられる塗布
膜形成用の単位ブロックの概略平面を示す模式図である。
【
図11】前記塗布、現像装置におけるインターフェイスブロックの縦断側面図である。
【
図12】前記塗布、現像装置におけるウエハの搬送経路と用いられる搬送機構との対応を示す表図である。
【
図13】前記塗布、現像装置におけるウエハの搬送経路を示す模式図である。
【
図14】前記塗布、現像装置におけるウエハの搬送経路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の基板処理装置の一実施形態である塗布、現像装置1について、
図1の横断平面図、
図2及び
図3の縦断正面図を参照しながら説明する。この塗布、現像装置1は、基板であるウエハWにレジスト膜を含む各種の膜を形成し、その後に塗布、現像装置1に接続される露光機D5によって露光済みのレジスト膜を現像して、レジストパターンを形成する。露光機D5は、ウエハWの表面に例えば純水により構成される液膜を形成した状態で露光する。即ち、露光機D5は液浸露光を行う装置であり、塗布、現像装置1は当該液浸露光に対応した処理モジュールを備えている。
【0009】
この塗布、現像装置1は、半導体製造工場のクリーンルームに設けられている。後に詳しく述べるように、塗布、現像装置1は、その周囲のガスとして空気を吸引するファンフィルタユニット(FFU)と、吸引された空気を下方に放出して下降気流(ダウンフロー)を形成するためのフィルタと、を備える。当該フィルタは、ウエハWを搬送する各搬送機構の移動領域上やウエハWを収納して液処理するカップ上に配置され、当該搬送機構からのパーティクルの飛散や、当該カップからのミストの飛散が抑制される。
【0010】
ウエハWについては、FOUP(Front Opening Unify Pod)と呼ばれるキャリアCに複数枚が格納された状態で、塗布、現像装置1の外部に設けられる搬送機構により、当該塗布、現像装置1に搬送される。この搬送容器であるキャリアCを搬送する外部搬送機構は、例えばOHT(Over Head Transport)と呼ばれ、クリーンルームの天井部に設けられる。
【0011】
塗布、現像装置1は、キャリアブロックD1、検査ブロックD2、処理ブロックD3、インターフェイスブロックD4が、この順で横方向に一列に並ぶと共に互いに接続されて構成されている。これらキャリアブロックD1、検査ブロックD2、処理ブロックD3、インターフェイスブロックD4について底部の高さは互いに揃っており、キャリアブロックD1の高さは他のブロックD2~D4の高さに比べて小さい。インターフェイスブロックD4には処理ブロックD3と反対側に、露光機D5が接続されている。キャリアブロックD1及び検査ブロックD2は基板搬入出ブロックであり、インターフェイスブロックD4は中継ブロックである。
【0012】
以降の説明にあたり、上記のブロックD1~D4の配列方向を左右方向とし、キャリアブロックD1側を左側、インターフェイスブロックD4側を右側とする。また、装置の前後方向について、キャリアブロックD1を左側、インターフェイスブロックD4を右側に見たときの手前側を前方側、奥側を後方側とする。各図中では互いに直交するX方向、Y方向、Z方向を夫々示している。X方向は左右方向、Y方向は前後方向を夫々示し、Z方向は高さ方向を示している。なお
図2及び
図3は、いずれも塗布、現像装置1の縦断面を示すが、装置の一部について前後に異なる位置の縦断面を示している。
【0013】
キャリアブロックD1は、塗布、現像装置1の外部に設けられるキャリア搬送機構によってキャリアCが搬送され、キャリアCと塗布、現像装置1内との間でウエハWを受け渡すためのブロックである。斜視図である
図4も参照して説明すると、キャリアブロックD1を構成する筐体11の右側は、左側に比べて高くなるように上方に突出しており、それによって正面視、段が形成されている。そのように構成された筐体11の左側、右側を夫々低身部12、高身部13とする。
【0014】
低身部12の上面には4つのキャリアステージ14が、前後方向に間隔を空けて設けられている。キャリアCは、塗布、現像装置1に対してウエハWを搬入、搬出するために当該キャリアステージ14に載置される。筐体11において高身部13を形成すると共に左側に向かう側壁には、キャリアステージ14に対応する位置にウエハWの搬送口が開口しており、当該搬送口は開閉機構16により開閉される。
【0015】
筐体11内において、高身部13には前後移動、鉛直軸回りに回転自在、且つ昇降自在の移動体と、当該移動体を進退自在であると共にウエハWを保持する保持体と、を備える搬送機構17が設けられている。第1の一方側搬送機構である搬送機構17により、キャリアステージ14上のキャリアCと検査ブロックD2との間でウエハWが受け渡される。高身部13の天井にはフィルタ18が設けられている。フィルタ18は高身部13における搬送機構17によるウエハWの搬送領域をカバーするように設けられており、上記したようにダウンフローを形成する。このフィルタ18についは、検査ブロックD2の構成を説明する際にも述べる。例えば筐体11の底部には図示しない排気口が形成され、当該排気口から筐体11内の空気が除去される。
【0016】
検査ブロックD2は、塗布、現像装置1による処理前、処理後のウエハWを検査するためのブロックである。また、処理ブロックD3は、各々ウエハWが搬送される6つの層が重なって構成されるが、検査ブロックD2はウエハWを昇降搬送して処理ブロックD3の層間でウエハWが受け渡されるようにする役割も有する。検査ブロックD2は方形の筐体21を備えており、当該筐体21と上記のキャリアブロックD1の高身部13とにより、正面視、段が形成されている。
【0017】
筐体21内の前後の中央部には、受け渡しモジュールTRSの積層体、搬送機構22、タワーT1が左側から右側に向かってこの順に設けられている。また、受け渡しモジュールTRSの積層体の上方には処理前検査モジュール23が設けられており、この処理前検査モジュール23は、装置1内の各処理モジュールで処理を行う前のウエハWを光学的に検査するためのモジュールである。また、受け渡しモジュールTRSの積層体及び搬送機構22の後方には、処理後検査モジュール24が設けられている。この処理後検査モジュール24は、装置1内の各処理モジュールで処理後のウエハW、即ちレジストパターンを形成済みのウエハWを光学的に検査するためのモジュールである。タワーT1の後方には搬送機構25が設けられている。搬送機構22、25は、上記のキャリアCにアクセスする搬送機構17よりも処理ブロックD3寄りに設けられる第2の一方側搬送機構であり、搬送機構17と共に一方側搬送機構を構成する。
【0018】
なお、モジュールはウエハWが載置される場所として構成されるものである。ウエハWに処理(検査を含む)を行うモジュールを処理モジュールと記載する場合が有り、処理モジュールのうち処理液を用いて処理を行うものを液処理モジュールと記載する場合がある。上記の受け渡しモジュールTRSについて説明しておくと、受け渡しモジュールTRSは縦方向に並んで複数設けられたウエハWの載置部を備える。つまり、一つの受け渡しモジュールTRSは、複数のウエハWを縦方向に並んで載置することができる。塗布、現像装置1の各所に設けられるTRSを区別するために、TRSの後に数字を付して示す。上記の受け渡しモジュールTRSの積層体を構成する受け渡しモジュールをTRS41、TRS42とする。TRS41はキャリアブロックD1から検査ブロックD2への搬入、TRS42は検査ブロックD2からキャリアブロックD1への搬出のために、ウエハWが各々載置される受け渡しモジュールである。
【0019】
タワーT1は、多数の受け渡しモジュールTRSと多数の温度調整モジュールSCPLとが積層されて構成されており、これらのモジュールが一方側載置部を構成する。上記の処理ブロックD3を構成する層は6つであり、これらの各層と検査ブロックD2との間でウエハWを受け渡すために、当該各層の高さに受け渡しモジュールTRS及び/または温度調整モジュールSCPLが設けられている。タワーT1の受け渡しモジュールTRSについて、最下層の高さに設けられるものをTRS11及びTRS21、2番目に低い層の高さに設けられるものをTRS12及びTRS22として
図3に示している。また、タワーT1の受け渡しモジュールTRSには、検査ブロックD2内でのウエハWの受け渡しに用いられるものが含まれ、TRS17、TRS18として示している。
【0020】
温度調整モジュールSCPLについては、ウエハWを載置する載置部と、当該載置部における冷媒の流路と、を備え、当該載置部に載置されたウエハWの温度が所望の温度となるように調整される。このSCPLについてもTRSと同様に各々を区別するために、SCPLの後に数字を付して示す。タワーT1において温度調整モジュールは、処理ブロックD3の各層の高さに設けられており、下層から順にSCPL11~CPL16として
図3に示している。
【0021】
搬送機構22は、鉛直軸回りに回転自在、且つ昇降自在の移動体と、当該移動体を進退自在に構成されたウエハWを保持する保持体とを備えている。そしてこの搬送機構22は、検査ブロックD2内の各受け渡しモジュールTRS、処理前検査モジュール23、処理後検査モジュール24の各々にアクセスして、これらのモジュール間でウエハWを受け渡す。搬送機構25はタワーT1の各モジュールにアクセスして、これらのモジュール間でウエハWを受け渡す。
【0022】
検査ブロックD2の筐体21内において、受け渡しモジュールTRSの積層体及び搬送機構22の前方側は液貯留領域26として構成されており、塗布、現像装置1で行われる液処理に用いられる各種の処理液を貯留する貯留部が設けられる。また筐体21内の天井部で搬送機構22上にはフィルタ28が、搬送機構25上にはフィルタ29が夫々ダウンフローを形成するために設けられている。
【0023】
筐体21上には、FFU31、32、33が左から右に向けてこの順に設けられている。FFU32、33は吸引した空気をフィルタ28、29に夫々供給し、フィルタ28、29から当該空気が後方、下方に夫々放出される。そのように放出された空気は、例えばキャリアブロックD1に流れて排気される。また、ガス供給機構をなすFFU31にはダクト34の一端が接続されており、ダクト34の他端は、筐体21の側壁に沿って下方へ伸び、上記したキャリアブロックD1の高身部13のフィルタ18に接続されている。即ち、FFU31で吸引された空気が、フィルタ18から下方に放出される。
【0024】
ところで高身部13の上方において、複数のキャリアCを前後に並べて各々載置可能な3段の棚が設けられている。各棚は検査ブロックD2の側壁から突出するように設けられ、下方側の2つの棚はキャリア待機部20として構成され、上方側の棚はキャリア搬入出部19として構成されている。キャリア搬入出部19は、上記したOHTなどの外部搬送機構に対してキャリアCを受け渡すために、当該キャリアCが載置される場所である。キャリア待機部20は、ウエハWが塗布、現像装置1内に搬出される前のキャリアC及びウエハWが搬出された後で当該ウエハWが戻される前のキャリアCを待機させる場所である。このようにキャリア搬入出部19及びキャリア待機部20は、キャリアCが仮置きされるキャリア仮置き部を構成する。
【0025】
キャリアブロックD1の低身部12上には、図示しないキャリアCの移載機構が設けられる。その移載機構により、外部搬送機構によってキャリア搬入出部19に搬送されたキャリアCは、キャリアステージ14→キャリア待機部20→キャリアステージ14→キャリア搬入出部19の順に移載される。そして、このように移載されたキャリアCは、外部搬送機構により、キャリア搬入出部19から他の装置へ搬送される。
【0026】
続いて、処理ブロックD3について説明する。上記したように処理ブロックD3は6つの層が重なって構成されており、この6つの各層を単位ブロックとして、下方から順にE1~E6として示す。そして縦方向に連続する2つの層が、ウエハWに各々同様の処理を行えるように同種の処理モジュールを備える。つまり、単位ブロックE1、E2間で、E3、E4間で、E5、E6間で各々同種の処理を行うことができる。
【0027】
処理ブロックD3では処理液として、塗布膜形成用の薬液(塗布液)、現像液、洗浄液がウエハWに供給されることで、塗布膜の形成、現像、洗浄が夫々行われる。この塗布膜としては反射防止膜、レジスト膜、保護膜が、この順にウエハWの表面に形成される。保護膜は液浸露光時にレジスト膜を保護するための膜である。また、この処理ブロックD3で行われる洗浄は露光前のウエハWの裏面の洗浄であり、露光機D5のステージにウエハWを載置した際にウエハWの裏面に付着する異物によって当該ウエハWの表面の高さが異常となってデフォーカスが発生することを防止するために行われる。
【0028】
各単位ブロックE(E1~E6)で行われる液処理を述べておくと、単位ブロックE1、E2ではレジスト膜の下層における反射防止膜の形成と、露光前のウエハWの裏面の洗浄とが行われる。単位ブロックE3、E4ではレジスト膜及び保護膜の形成が行われ、単位ブロックE5、E6では現像処理が行われる。従って、ウエハWは単位ブロックE1、E2→単位ブロックE3、E4→単位ブロックE1、E2→単位ブロックE5、E6の順で搬送される。単位ブロックE1~E6は互いに区画され、単位ブロック毎に分離された搬送領域をウエハWが搬送されるが、後に詳しく述べるように単位ブロックE1、E2の右側については、その搬送領域の分離が行われていない。
【0029】
単位ブロックE1~E6の積層体は方形に形成されている。そして、この積層体における前方側を左右から挟むように付帯設備設置部35、36が設けられている。付帯設備設置部35は検査ブロックD2側に設けられ、当該検査ブロックD2の筐体21内に進入し、上記したタワーT1の前方に位置する。従って当該付帯設備設置部35は、搬送機構25と共にタワーT1を前後から挟むように設けられている。付帯設備設置部36はインターフェイスブロックD4側に設けられており、詳細な位置は後述する。付帯設備設置部35、36は、各単位ブロックEにおける液処理モジュールの付帯設備が設置されるブロックであり、単位ブロックE1からE6に亘る高さ領域に設けられている。
【0030】
この液処理モジュールの付帯設備には、当該モジュールに電力を供給するケーブル、モジュールを構成するカップ内を排気する排気路を形成する排気用ダクト、モジュールから排液するための排液路を形成する排液管、モジュールに処理液を供給する供給路を形成する供給管などが含まれる。上記の電力供給ケーブル、排気用ダクト、排液管及び処理液供給管について、単位ブロックEの左側の液処理モジュールに関するものは付帯設備設置部35を下方に向かうように、単位ブロックEの右側の液処理モジュールに関するものは付帯設備設置部36を下方に向かうように引き回される。
【0031】
図5は処理ブロックD3の前方側の概略構成を示している。上記の液処理モジュールを構成するカップは各単位ブロックE1~E6の左右で分割されたベース体上に設けられており、左側のベース体を91、右側のベース体を92とする。そして、各単位ブロックEのベース体91、92間の隙間を93としている。なお、単位ブロックE1、E2ではベース体91、92間において後述する処理液供給機器の設置部39が介在しており、この設置部39とベース体91との間の空間を隙間93とする。各単位ブロックEにて隙間93は左右の中央部に形成され、この隙間93は、単位ブロックE5、E6の液処理モジュールである現像モジュールの付帯設備の配置に利用されるが、後に詳しく説明する。ベース体91、92及び隙間93については、この
図5及び後述の単位ブロックE5の構成を示す
図8以外では表示を省略している。
【0032】
続いて、各単位ブロックについて、処理ブロックD3の縦断側面図である
図6も参照して説明する。先ず、単位ブロックE3について説明する。
図7はこの単位ブロックE3の平面図である。単位ブロックE3には、前後の中央部において左右に伸びるウエハWの搬送路(搬送領域)30が形成されている。搬送路30全体にダウンフローが形成されるようにフィルタ37が設けられており、当該フィルタ37は当該搬送路30を形成する単位ブロックE3の天井部に配置されている。搬送路30の前方には当該搬送路30に面するように、レジスト塗布モジュール4A、保護膜形成用の薬液塗布モジュール4Bが、左側、右側に夫々設けられている。従ってこれらのレジスト塗布モジュール4A、薬液塗布モジュール4Bは、左右に並んでもうけられている
【0033】
レジスト塗布モジュール4Aは、当該レジスト塗布モジュール4Aを搬送路30及び他のモジュールに対して区画する区画壁41を備え、後述のカップ43内にウエハWを搬送できるように、区画壁41には搬送路30に面してウエハWの搬送口42(
図7では非表示)が設けられている。レジスト塗布モジュール4Aは、ウエハWを各々収納すると共に左右に並ぶ3つのカップ43を備えており、カップ43内にはウエハWの裏面を吸着保持して回転させるスピンチャック44が設けられている。カップ43は付帯設備である上記の排気用ダクトを介して、工場の排気路などの排気源に接続されており、当該カップ43の内部が排気される。即ち、レジスト塗布モジュール4Aは、カップ43によって排気される。また、カップ43には付帯設備である上記の排液管が接続される。そしてレジスト塗布モジュール4Aには、3つのカップ43に共用され、ウエハWの表面にレジストを吐出するノズル45が設けられる。ノズル移動機構46によりノズル45は、各カップ43のウエハW上と、例えば当該カップ43間に設けられる図示しない待機領域との間を移動する。
【0034】
また、3つのカップ43に重なるようにフィルタ47が設けられており、当該フィルタ47は当該カップ43に向けてダウンフローを形成できるように単位ブロックE3の天井部に配置されている。また、レジスト塗布モジュール4Aは単位ブロックE3を左側に設けられるため、上記したようにその付帯設備は、付帯設備設置部35に設けられる。
【0035】
保護膜形成用の薬液塗布モジュール4Bは、ノズル45からレジストの代わりに保護膜形成用の薬液が吐出されること、付帯設備が付帯設備設置部36に設けられることを除いて、レジスト塗布モジュール4Aと同様に構成されている。なお、レジスト塗布モジュール4Aのカップ43、薬液塗布モジュール4Bのカップ43は、
図5で説明したベース体91、ベース体92に夫々設けられる。
【0036】
搬送路30の後方には、当該搬送路30に面するように上下2段に処理モジュールが積層されて設けられおり、この処理モジュールの積層体は8つ左右に並べて配置されて、処理モジュール群を形成している。この処理モジュール群を構成するモジュールとしては例えば、複数の加熱モジュール51、複数の加熱モジュール52及び検査モジュール53が含まれる。加熱モジュール51、52は熱板を備えており、当該熱板に載置されたウエハWを加熱して塗布膜中の溶剤を除去する。加熱モジュール51は、レジスト膜形成後で保護膜形成前のウエハWの加熱、加熱モジュール52は保護膜形成後のウエハWの加熱を行う。検査モジュール53は、加熱モジュール51にて加熱後のウエハWのレジスト膜を検査するためにウエハWを撮像する。
【0037】
単位ブロックE3には搬送機構F3が設けられている。この搬送機構F3は、搬送路30に前後から面する各モジュール、タワーT1の単位ブロックE3の高さのモジュール、インターフェイスブロックD4に設けられる後述のタワーT2の単位ブロックE3の高さのモジュールに各々ウエハWを受け渡す。搬送機構F3はウエハWを各々保持する2つの保持体61、各保持体61を独立して進退させる移動体62、移動体62を鉛直軸回りに回動させる回動部63、回動部63を昇降させる昇降部64、及び昇降部64を左右に移動させる駆動軸を備える移動機構65を含んでいる。
【0038】
保持体61、移動体62、回動部63及び昇降部64が搬送路30に設けられ、移動機構65は、搬送路30の後方側の処理モジュール群の下方に設けられている。この処理モジュール群に形成されるウエハWの搬送口(不図示)と移動機構65が設けられる領域とから、搬送路30が排気される。つまり、搬送路30は後方から排気されるように構成されている。なお、既述したキャリアブロックD1の搬送機構17については移動機構65による移動方向が異なることを除いてこの搬送機構F3と同様の構成であり、検査ブロックD2の搬送機構22、25については移動機構65が設けられないことを除いて、搬送機構F3と同様の構成である。
【0039】
単位ブロックE4は単位ブロックE3と同様の構成であり、搬送機構F3に相当する搬送機構をF4とする。
続いて、単位ブロックE1、E2について、単位ブロックE3、E4との差異点を中心に説明する。上記の
図1は単位ブロックE1の平面を示しており、縦断正面を示す
図2、
図3及び縦断側面を示す
図6の他に、当該
図1も参照する。単位ブロックE1、E2の左側は各々同様に構成されており、単位ブロックE1、E2の搬送路30の前方には、レジスト塗布モジュール4Aの代わりに反射防止膜形成用の薬液塗布モジュール4Cが搬送路30に面して各々設けられている。薬液塗布モジュール4Cは、ノズル45からレジストの代わりに反射防止膜形成用の薬液が吐出されることを除いて、レジスト塗布モジュール4Aと同様に構成されている。
【0040】
また、単位ブロックE1、E2では、単位ブロックE3と同様に上下2段の処理モジュールの積層体が左右に配列されて、搬送路30の後方側に処理モジュール群が形成されている。ただし、単位ブロックE1、E2の各々にこの処理モジュールの積層体は5つのみ設けられており、単位ブロックE1、E2の左側寄りに配置されている。この処理モジュール群には、例えば複数の疎水化処理モジュール54、複数の加熱モジュール55、検査モジュール56が含まれている。疎水化処理モジュール54は、ウエハWを載置して加熱する熱板と、熱板で加熱されるウエハWの表面に疎水化処理用のガスを供給するガス供給部とを備える。加熱モジュール55は加熱モジュール51、52と同様の構成であり、反射防止膜形成後のウエハWを加熱して膜中の溶剤を除去する。検査モジュール56は反射防止膜形成後のウエハWを検査するために撮像する。
【0041】
単位ブロックE1、E2の左側には、夫々搬送機構F3に相当する搬送機構F1、F2が設けられている。搬送機構F1は、単位ブロックE1における搬送路30の後方側の処理モジュール群、単位ブロックE1における薬液塗布モジュール4C、タワーT1において単位ブロックE1の高さのモジュールに各々アクセスして、それらのモジュール間でウエハWを受け渡す。搬送機構F2については、アクセスするモジュールが単位ブロックE2内のモジュール及びタワーT1で単位ブロックE2の高さのモジュールになることを除いて、搬送機構F1と同様にウエハWの受け渡しを行う。
【0042】
単位ブロックE1、E2間で搬送路30は互いに連通している。つまり、単位ブロックE1の右側においては搬送路30を区画するための天井部が設けられていない。以降は、このように単位ブロックE1、E2の右側で上下に連通した搬送路(搬送領域)を共通搬送路66と称し、単位ブロックE1、E2の左側における単位ブロック間で分離された搬送路30とは区別して記載する。そのように単位ブロックE1には搬送路30を区画する天井が無い構成であるため、共通搬送路66には第2の単位ブロックE2のフィルタ37によってダウンフローが形成される。上記の搬送機構F1、F2は搬送路30及び共通搬送路66のうち搬送路30のみを移動して、ウエハWの受け渡しを行う。
【0043】
単位ブロックE1、E2の右側には洗浄モジュールとして、ウエハWの裏面を洗浄する裏面洗浄モジュール4Dが設けられており、この裏面洗浄モジュール4Dは共通搬送路66に面して、当該共通搬送路66の前方及び後方に設けられている。従って、単位ブロックE1、E2の前方側においては、裏面洗浄モジュール4D及び薬液塗布モジュール4Cが左右に並んで設けられている。裏面洗浄モジュール4Dは、レジスト塗布モジュール4Aと略同様の構成を有しており、レジスト塗布モジュール4Aとの差異点を中心に説明すると、裏面洗浄モジュール4Dのカップ43については左右に2つ並んで設けられている。レジスト塗布モジュール4Aと同様に、単位ブロックの天井部のフィルタ37からこれらのカップ43に向かうダウンフローが形成される。
【0044】
各カップ43内にはスピンチャック44の他に、回転するウエハWの裏面に洗浄液を吐出する不図示のノズルが設けられている。レジスト塗布モジュール4Aと異なり、裏面洗浄モジュール4Dには、ウエハWの表面に塗布液を供給するノズル45及び当該ノズル45に対応するノズル移動機構48が設けられていない。ノズル45が設けられないため、当該ノズル45の待機領域も設けられないので、裏面洗浄モジュール4Dのカップ43間の距離は、上記したレジスト塗布モジュール4A及び薬液塗布モジュール4B、4Cにおけるカップ43間の距離よりも小さい。ところで裏面洗浄モジュール4Dについては、ウエハWの表裏を反転させないままで処理を行うことができる構成とされている。詳しく述べると、裏面が下方を向いた状態でウエハWは裏面洗浄モジュール4Dに搬送され、その裏面が保持部に保持される。また、裏面洗浄モジュール4Dのカップ内43にはブラシが設けられている。保持部に保持されたウエハWの裏面に対して、上記のカップ43内のノズルからの洗浄液の供給と、上記のブラシの摺動と、が行われ、ウエハWの裏面が洗浄される。なお、上記のウエハWの裏面を保持する保持部は、スピンチャック44及び当該スピンチャック44とはウエハWの裏面の異なる部位を保持する図示しない保持機構であり、ウエハWの裏面全体が洗浄可能なように、順番に保持を行う。
【0045】
ところで裏面洗浄モジュール4Dを構成する2つのカップ43は、既述のベース体92上に設けられ、当該ベース体92は各カップ43に共通である。従って、カップ43内のスピンチャック44、当該スピンチャック44を回転させる回転機構、ウエハWの裏面に洗浄液を吐出するノズルについてもベース体92上に設けられる。このように共通のベース体92に複数のカップ43が設けられる構成によって、各スピンチャック44の水平度の調整などのメンテナンス時の手間の軽減を図ることができる。また、例えば上記の回転機構やノズルを移動させる移動機構に電力を供給する電力供給系の一部はカップ43間で共通化され、ベース体92に設けられる。このようにベース体92にカップ43を複数設ける構成によって、各カップ43で処理を行うにあたり必要な部品を共通化し、当該裏面洗浄モジュール4Dひいては塗布、現像装置1の製造コストの低下を図ることができる。
【0046】
共通搬送路66の後方側の裏面洗浄モジュール4Dについての付帯設備である電力供給ケーブル、排気用ダクト、排液管、処理液供給管の各々は、カップ43の並びの外側のスペースを引き回される。それに対して、共通搬送路66の前方側の裏面洗浄モジュール4Dについての電力供給ケーブル、排気用ダクト、排液管、処理液供給管の各々は、上記した付帯設備設置部36を引き回される。
【0047】
単位ブロックE1、E2の各々において、搬送路30の前方で反射防止膜形成用の薬液塗布モジュール4Cと裏面洗浄モジュール4Dとの間には、処理液供給機器の設置部39が設けられている。この処理液供給機器としては、レジスト塗布モジュール4A、薬液塗布モジュール4B、薬液塗布モジュール4C、裏面洗浄モジュール4D、後述の現像モジュール、露光後洗浄モジュールに各々処理液を供給するポンプやバルブが含まれる。つまり、上記した検査ブロックD2の液貯留領域26に貯留される各処理液が、この設置部39のポンプにより当該設置部39を経由して各液処理モジュールに供給される
【0048】
単位ブロックE1、E2には、単位ブロックE1、E2で共通の搬送機構F7が設けられている。単位ブロックE1、E2の各裏面洗浄モジュール4D及びインターフェイスブロックD4のタワーT2で単位ブロックE1、E2の各高さに位置するモジュールにアクセスし、これらのモジュール間でウエハWを受け渡す。即ち、搬送機構F7は、搬送路30及び共通搬送路66のうち、共通搬送路66のみを移動してウエハWを受け渡す。
【0049】
搬送機構F7は搬送機構F1~F4と略同様に構成されており、差異点としては各高さの裏面洗浄モジュール4Dにアクセスできるように、搬送機構F7の保持体61の昇降可能な長さは、搬送機構F1~F4の保持体61の昇降可能な長さよりも大きいことが挙げられる。また、搬送機構F7における移動機構65は、
図6に示すように共通搬送路66の底部に設けられている。
【0050】
裏面洗浄モジュール4Dについては、周囲への液の飛散を抑えるためにカップ43を十分な高さとすること、及びスピンチャック44の下方に回転機構を設けることから、モジュールの高さが、搬送路30の後方で処理モジュール群を構成する各モジュールよりも大きい。一方、カップ43の上方からウエハWを搬送するため、裏面洗浄モジュール4Dに対しては比較的高い位置から搬送機構F7がアクセスする。つまり、上記のように搬送機構F7の移動機構65を共通搬送路66の底部に設けても、単位ブロックE1の裏面洗浄モジュール4Dへのアクセスが妨げられることは無い。そして、塗布、現像装置1が設置されるクリーンルームの高さが比較的小さく、単位ブロックEの高さを比較的小さくすることが必要な場合が有る。従って、共通搬送路66に移動機構65を設けることで、裏面洗浄モジュール4Dに重ねて移動機構65を設けていない上記の構成は、単位ブロックE1において共通搬送路66の後方側における裏面洗浄モジュール4Dの設置を可能にし、当該裏面洗浄モジュール4Dの設置数を増加させている。
【0051】
続いて、単位ブロックE5について
図8の平面図を参照しながら、単位ブロックE3との差異点を中心に説明する。搬送路30の後方側のモジュール群には、例えば加熱モジュールと、検査モジュール59と、が含まれる。この加熱モジュールとしては露光後のウエハWの加熱(いわゆるPEB:post exposure bake)を行う複数の加熱モジュール57、及び現像後にウエハWの加熱を行う複数の加熱モジュール58が含まれ、各々加熱モジュール51と同様に構成されている。検査モジュール59は、現像後の加熱モジュールで処理されたウエハWを検査するために撮像するモジュールである。また、単位ブロックE5において、単位ブロックE3の搬送機構F3に相当する搬送機構をF5とする。
【0052】
単位ブロックE5には搬送路30の前方側において、レジスト塗布モジュール4A及び薬液塗布モジュール4Bの代わりに、第1の現像モジュール4E及び第2の現像モジュール4Fが設けられている。第1の現像モジュール4Eはポジ型レジスト現像用の現像液をウエハWに供給し、第2の現像モジュール4Fはネガ型レジスト現像用の現像液をウエハWに供給する。ウエハWは、成膜されたレジスト膜の種類に応じて、第1の現像モジュール4E及び第2の現像モジュール4Fのうちのいずれかで処理を受ける。この例では、第1の現像モジュール4Eが5個左右に並んで単位ブロックE5の左側寄りに配置され、第2の現像モジュール4Fが3個左右に並んで単位ブロックE5の右側寄りに配置されている。従って、現像モジュールとしては8個設けられている。左側4つの現像モジュールはベース体91上に、右側4つの現像モジュールはベース体92上に設けられている。
【0053】
第1の現像モジュール4Eは、レジスト塗布モジュール4Aと同様にカップ43及びスピンチャック44を備えるが、当該カップ43及びスピンチャック44は1つのみ設けられている。ウエハWの表面に現像液を供給するノズルについては前方側の待機領域からカップ上に移動して、ウエハWに処理を行うが、当該ノズルの図示は省略している。上記した現像液の種類を除いて、第2の現像モジュール4Fは、第1の現像モジュール4Eと同様に構成されている。左側4つの現像モジュールのカップ43間の距離、右側4つの現像モジュールのカップ43間の距離は、既述した各液処理モジュールのカップ43間の距離よりも短く、単位ブロックE1~E4に比べて、単位ブロックE5にはより多くのカップ43が配置されている。
【0054】
図8では、現像モジュール(第1の現像モジュール4E及び第2の現像モジュール4F)の付帯設備についても概略的に示している。その付帯設備について、現像モジュールのカップ43に接続される排気路形成部材である排気用ダクトを71として示しており、また、現像モジュールに接続される電力供給用のケーブルを72、現像モジュールに接続される現像液の供給管を73として示している。
【0055】
8つの現像モジュールのうち左端側の3つの第1の現像モジュール4Eにおいて、排気用ダクト71、電力供給用ケーブル72、現像液供給管73の各々は共通化されている。より具体的に述べると、排気用ダクト71について、上流端はこれら3つのモジュールに接続されるようにモジュール毎に設けられるが、その下流側は合流して3つのモジュールで共通化されており、その共通化された部分は単位ブロックE5から付帯設備設置部35へと引き出され、装置の下方へと向かう。電力供給用ケーブル72、現像液供給管73についても各々排気用ダクト71と同様にモジュール毎に形成された上流側は合流して共通化されており、その共通化された部分が付帯設備設置部35へと引き出されて装置の下方へ向かう。
【0056】
また、8つの現像モジュールのうち右端側の3つの第2の現像モジュール4Fにおける排気用ダクト71、電力供給用ケーブル72、現像液供給管73の各々は、上記した左端側の現像モジュールについてのものと同様の構成である。即ち、これらの付帯設備の各々は、3つの現像モジュール間で共通化されており、その共通化された部分が単位ブロックE5から付帯設備設置部36へと引き出されて、装置の下方へと向かう。
【0057】
そして、8つの現像モジュールのうち中央部の2つの第1の現像モジュール4Eにおける第1の排気用ダクト71、電力供給用ケーブル72、現像液供給管73の各々は共通化されている。その共通化された部分は、
図5で説明した既述したベース体91、92間の隙間93を通過し、さらに下層の単位ブロックEのベース体91、92間の隙間93を介して装置の下方へ向けて引き出される。なお付帯設備として、各現像モジュールのカップ43に接続される排液管については図示を省略したが、以上に述べた排気用ダクト71等と同様に単位ブロックE5で分割されて引き回されている。
【0058】
このように単位ブロックE5においては、左側3つの現像モジュールの付帯設備、中央部の2つの現像モジュールの付帯設備、右側3つの現像モジュールの付帯設備として、付帯設備が3分割されている。従って、左側、中央部、右側の各々の現像モジュールを互いに分割された排気ダクトにより排気するが、それにより、排気ダクトに接続される排気源からの各現像モジュールまでの距離のばらつきを抑えることができる。従って、各現像モジュールのカップ43を均一性高く排気することができるので、特定のカップ43が排気源から遠くなることによる排気性能の不足を防ぐことができると共に、各現像モジュールにおける処理の均一性を高くすることができる。
【0059】
また、上記のように排気ダクトを3分割することに合わせて、電力供給用ケーブル72、現像液供給管73及び排液管も3分割しているため、いずれかの現像モジュールに異常が生じた場合、付帯設備を共用している現像モジュールのみ動作を停止して、メンテナンスを行えばよい。つまり、付帯設備を共用していない現像モジュールについてはメンテナンスのために処理を停止させる必要が無く、処理を続行できるために、スループットの低下を抑制することができるので有利である。
【0060】
単位ブロックE6は単位ブロックE5と同様に構成されており、この単位ブロックE6において単位ブロックE3の搬送機構F3に相当する搬送機構をF6とする。単位ブロックE6の上側、即ち処理ブロックD3の上側には、FFU74(
図6参照)が設けられている。このFFU74によって吸引された空気が図示しないダクトを介して、単位ブロックE1~E6の搬送路30及び単位ブロックE1、E2の共通搬送路66上に設けられるフィルタ37及び各液処理モジュール上のフィルタ47に供給され、ダウンフローを形成する。当該FFU74及び各単位ブロックEのカップ43は、給排気部を構成する。
【0061】
ところで、各単位ブロックE内において、搬送路30の後方側及び液処理モジュールのカップ43からの排気と、各フィルタ37、47からの空気の供給とにより圧力分布が形成される。この圧力分布について、
図9、
図10の概略平面図を参照して説明する。
図9は単位ブロックE1を含むブロックD1~D4を、
図10は単位ブロックE3を夫々示しており、これらの図では圧力分布によって形成される気流の向きを矢印で表している。
【0062】
単位ブロックE1、E2においては、上記のように各部にて空気の供給と排気とが行われることで、搬送路30及び共通搬送路66の圧力が、反射防止膜形成用の薬液塗布モジュール4Cの圧力よりも低く、且つ裏面洗浄モジュール4Dの圧力よりも高くなるように制御されている。このように各部の圧力が制御される理由を述べる。塗布膜を形成する薬液塗布モジュール4Cにおいては、塗布膜中にパーティクルが混入して欠陥となることを防ぐために、より高い清浄度とすることが好ましい。そこで搬送路30及び共通搬送路66から薬液塗布モジュール4Cへのパーティクルの流入を防ぐために、薬液塗布モジュール4Cから搬送路30へ向かう空気の流れを形成する。その一方で、裏面洗浄モジュール4Dについては成膜を行うものではないので、薬液塗布モジュール4Cに比べて搬送路30及び共通搬送路66から流れ込んだパーティクルにより、当該処理が異常になるリスクが低い。そこでウエハWの洗浄時に発生するミストが共通搬送路66及び搬送路30に流れてウエハWに付着してしまうことがより確実に防止されるように、共通搬送路66から裏面洗浄モジュール4Dへ向かう空気の流れを形成する。これらの空気の流れを形成するために、上記のように搬送路30及び共通搬送路66、薬液塗布モジュール4C、裏面洗浄モジュール4D間で、上記のような圧力分布が形成されている。
【0063】
その一方、単位ブロックE3、E4においては、上記した塗布膜中へのパーティクルの混入を防止する目的で搬送路30の圧力は、レジスト塗布モジュール4A、薬液塗布モジュール4Bの圧力よりも高くなるように制御されている。即ち、
図10に示すように、レジスト塗布モジュール4A及び薬液塗布モジュール4Bから搬送路30へと空気が流れる。単位ブロックE5、E6についても第1の現像モジュール4E、第2の現像モジュール4Fの圧力よりも搬送路30の圧力の方が小さくなるように制御され、現像時にウエハWにパーティクルが付着することが抑制される。なお
図9、
図10に示すように、各単位ブロックEの搬送路30及び共通搬送路66に供給される空気は、搬送路30の後方から排気されたり裏面洗浄モジュール4Dのカップ43から排気されたりする他に、検査ブロックD2及びインターフェイスブロックD4に流入することによっても除去される。
【0064】
単位ブロックE1、E2は第1の単位ブロックである。そして、単位ブロックE3~E6は第2の単位ブロックであり、単位ブロックE3、E4は往路用の単位ブロック、単位ブロックE5、E6は復路用の単位ブロックである。単位ブロックE1、E2の搬送路30及び共通搬送路66は、第1の基板搬送領域であり、単位ブロックE3、E4の搬送路30は第2の基板搬送領域である。搬送機構F1、F2は第1の搬送機構、搬送機構F7は第2の搬送機構、搬送機構F3~F6は第3の搬送機構である。そして、反射防止膜形成用の薬液塗布モジュール4Cは第1の処理モジュール、裏面洗浄モジュール4Dは第2の処理モジュール、レジスト塗布モジュール4A及び保護膜形成用の薬液塗布モジュール4Bは第3の処理モジュールである。第1の現像モジュール4E及び第2の現像モジュール4Fは、第4の処理モジュールである。
【0065】
続いてインターフェイスブロックD4について平面を示す
図1及び縦断正面を示す
図2、
図3の他に、縦断側面図である
図11も参照して説明する。インターフェイスブロックD4は、方形の筐体81を備えている。筐体81内で前後の中央部で処理ブロックD3寄りの位置には、タワーT2が設けられており、このタワーT2は筐体81内に進入する、既述した付帯設備設置部36の後方に位置している。タワーT2は、多数の受け渡しモジュールTRSと多数の温度調整モジュールSCPLとが積層されて構成されており、これらのモジュールが他方側載置部を構成する。また、タワーT2の下部側には、露光機D5に搬入前のウエハWの温度を調整する温度調整モジュールが設けられており、当該温度調整モジュールをICPLとする。なお
図11ではタワーT2について、図示の便宜上、本来の位置を鎖線で示すと共に、インターフェイスブロックD4の外側にて、含まれる各モジュールが明らかになるように実線で表示している。
【0066】
インターフェイスブロックD4の上部側において、付帯設備設置部36の右側には、露光後処理モジュールである露光後洗浄モジュール80が、例えば縦方向に4つ並んで設けられている。露光後洗浄モジュール80は平面視長方形状に構成され、インターフェイスブロックD4の左右の長さを抑えるために長辺が前後に沿うように配置されている。この露光後洗浄モジュール80は、現像液の代わりに、保護膜を除去すると共にウエハWの表面を洗浄するための洗浄液をウエハWの表面に供給することを除き、現像モジュールと同様に構成されている。
【0067】
そして、タワーT2に対して後方且つ右側には、縦長のバッファモジュール82が設けられており、インターフェイスブロックD4の上部側に位置している。従って、バッファモジュール82は、タワーT2に含まれるTRS及びSCPLの列から外れた位置に設けられている。滞留モジュールであるバッファモジュール82は、裏面洗浄モジュール4Dで処理前のウエハWを載置できるように構成されており、受け渡しモジュールTRSよりも多くの枚数のウエハWを載置して、滞留させることができるように構成されている。
【0068】
そして、インターフェイスブロックD4は、他方側搬送機構を構成する搬送機構87、88、89を備えている。搬送機構87、88は移動機構65が設けられないことを除いて、搬送機構F1~F7と同様の構成要素を備えている。第2の他方側搬送機構であると共に一の搬送機構である搬送機構87は、タワーT2の後方に位置している。従って、搬送機構87と付帯設備設置部36とにより、タワーT2は前後に挟まれている。搬送機構87は、タワーT2の各高さの受け渡しモジュールTRS及び温度調整モジュールSCPLと、温度調整モジュールICPLと、バッファモジュール82とにアクセスし、これらのモジュール間でウエハWを受け渡す。
【0069】
そして、第1の他方側搬送機構である搬送機構88はタワーT2の右側に設けられており、バッファモジュール82、タワーT2の上部側の各受け渡しモジュールTRS及び温度調整モジュールSCPLにアクセスして、これらのモジュール間でウエハWを受け渡す。つまり搬送機構88がインターフェイスブロックD4の上部側でウエハWを受け渡すのに対して、搬送機構87は、インターフェイスブロックD4の上部側と下部側との間でウエハWを受け渡す搬送機構である。そのために搬送機構87の保持体61は、搬送機構88の保持体61に比べて長い距離を昇降可能に構成されている。つまり、搬送機構87によるウエハWの搬送領域は、搬送機構88によるウエハWの搬送領域に比べて縦方向に長い。バッファモジュール82、搬送機構88及び露光後洗浄モジュール80は、上面視、前後に列をなすように配置されている。
【0070】
搬送機構89は露光後洗浄モジュール80の下方領域に設けられ、当該搬送機構89を構成する移動機構65は保持体61等の各構成要素を前後方向に移動させることができるように設けられている。搬送機構89は、タワーT2の下部側に設けられる受け渡しモジュールTRS及び温度調整モジュールICPLにアクセスし、これらのモジュール間でウエハWを受け渡す。
【0071】
タワーT2に設けられる受け渡しモジュールTRS及び温度調整モジュールSCPLについて補足する。TRSについて、単位ブロックE1~E6の高さに位置し、これらの単位ブロックE1~E6に対する受け渡しに用いられるものをTRS31~TRS36としている。また、TRS33、TRS34の他に単位ブロックE3、E4の高さに夫々位置して、これらの単位ブロックE3、E4に対する受け渡しに用いられるものをTRS43、TRS44として夫々示している。その他に、タワーT2の下部側には搬送機構87と搬送機構89との間でウエハWを受け渡すためのTRS37、タワーT2の上部側には搬送機構87と搬送機構88との間でウエハWを受け渡すためのTRS38とが設けられている。タワーT2の温度調整モジュールSCPLとしては、単位ブロックE3~E6の高さに設けられ、SCPL33~SCPL36として示している。
【0072】
インターフェイスブロックD4の上部に設けられるFFU86は、各露光後洗浄モジュール80のカップ43の上側に設けられるフィルタ85(
図3参照)に空気を供給し、ダウンフローを形成する。また、インターフェイスブロックD4には、フィルタ85以外にもFFU86から供給された空気によって筐体81内のウエハWの搬送領域にダウンフローを形成するフィルタが設けられるが、当該フィルタの表示は省略している。
【0073】
また、塗布、現像装置1は、制御部10を備えている(
図1参照)。この制御部10はコンピュータにより構成されており、プログラム、メモリ、CPUを備えている。プログラムには、塗布、現像装置1における一連の動作を実施することができるようにステップ群が組み込まれている。そして、当該プログラムによって制御部10は塗布、現像装置1の各部に制御信号を出力し、当該各部の動作が制御される。それにより、後述のウエハWの搬送及びウエハWの処理が行われる。上記のプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体に格納されて、制御部10にインストールされる。
【0074】
続いて
図12~
図14を参照して、塗布、現像装置1におけるウエハWの搬送経路について説明する。
図12の表図ではモジュールと、当該モジュールへの搬入、搬出に用いられる搬送機構と、の対応を示している。より詳しく述べると、ウエハWが搬送される順にモジュールを表の横方向に並べて記載すると共に各搬送機構を縦方向に記載し、モジュールへの搬入及び搬出に用いられる搬送機構に対応する表中のマス目に斜線を付している。なお表中、TRSについてはT、SCPLについてはS、ICPLについてはIとして表中に示しており、キャリアCについてもモジュールとして示している。また、表中では各モジュールがブロックD1~D5のうちいずれに属するかも示しているが、図示の便宜上、検査ブロックD2及びインターフェイスブロックD4の温度調整モジュールSCPL及び受け渡しモジュールTRSの一部については、処理ブロックD3に設けられるように示している。そして、
図13、
図14は搬送経路の概略を矢印で示すものであり、ウエハWが通過するモジュールについては一部省略している。
図13はキャリアCから露光機D5に至るまでのウエハWの経路を示し、
図14は露光機D5からキャリアCに至るまでのウエハWの経路を示している。
【0075】
キャリアブロックD1の搬送機構17によってキャリアCからウエハWが、検査ブロックD2の受け渡しモジュールTRS41に搬送され、搬送機構22により処理前検査モジュール23に搬送されて検査された後、搬送機構22によりタワーT1の受け渡しモジュールTRS17に搬送される。この受け渡しモジュールTRS17に搬送されたウエハWは、搬送機構25によってタワーT1の受け渡しモジュールTRS11、TRS12に振り分けられる。
【0076】
受け渡しモジュールTRS11に搬送されたウエハWは、搬送機構F1により単位ブロックE1に搬入される。そして当該ウエハWは、疎水化処理モジュール54、タワーT1の温度調整モジュールSCPL11、薬液塗布モジュール4C、加熱モジュール55、検査モジュール56の順に搬送され、疎水化処理、温度調整処理、反射防止膜の形成処理、加熱処理、検査を順次受ける。そして、このウエハWは搬送機構F1によりタワーT1の受け渡しモジュールTRS21に搬送されて、単位ブロックE1から搬出される。一方、受け渡しモジュールTRS12に搬送されたウエハWは、搬送機構F2により単位ブロックE2に搬入される。そして、単位ブロックE1に搬入されたウエハWと同様に処理された後、タワーT1の受け渡しモジュールTRS22に搬送されることで、単位ブロックE2から搬出される。
【0077】
そのように受け渡しモジュールTRS12、TRS22に搬送されたウエハWは、搬送機構25によりタワーT1の温度調整モジュールSCPL13、SCPL14に振り分けられる。温度調整モジュールSCPL13に搬送されたウエハWは、搬送機構F3により単位ブロックE3に搬入される。そして当該ウエハWは、レジスト塗布モジュール4A、加熱モジュール51、検査モジュール53、タワーT2の受け渡しモジュールTRS33、温度調整モジュールSCPL33、保護膜形成用の薬液塗布モジュール4B、加熱モジュール52の順に搬送される。それにより、ウエハWは、温度調整処理、レジスト膜の形成処理、加熱処理、検査、温度調整処理、加熱処理を順次受ける。そして、当該ウエハWは搬送機構F3によりタワーT2の受け渡しモジュールTRS43に搬送されることで、単位ブロックE3からインターフェイスブロックD4へ搬入される。
【0078】
温度調整モジュールSCPL14に搬送されたウエハWは、搬送機構F4により単位ブロックE4に搬入され、単位ブロックE3に搬入されたウエハWと同様に処理された後、タワーT2の受け渡しモジュールTRS44に搬送される。つまり、当該ウエハWは、単位ブロックE4からインターフェイスブロックD4へ搬送される。
【0079】
受け渡しモジュールTRS43、TRS44のウエハWは、インターフェイスブロックD4の前後の中央の搬送機構88により、バッファモジュール82に搬送された後、インターフェイスブロックD4の後方側の搬送機構87により、タワーT2の受け渡しモジュールTRS31に搬送される。そして、この受け渡しモジュールTRS31のウエハWは、搬送機構F7により再度単位ブロックE1、E2に搬入され、裏面洗浄モジュール4Dに搬送される。そしてウエハWは裏面洗浄モジュール4Dにて裏面洗浄された後、搬送機構F7により、タワーT2の受け渡しモジュールTRS32に搬送されることによって、インターフェイスブロックD4に戻される。このウエハWは、搬送機構87により温度調整モジュールICPLに搬送されて温度調整された後、搬送機構89により露光機D5に搬送されて、表面のレジスト膜が露光される。
【0080】
露光されたウエハWは、搬送機構89によりタワーT2の受け渡しモジュールTRS37に搬送され、搬送機構87によりタワーT2の受け渡しモジュールTRS38に搬送された後、搬送機構88により露光後洗浄モジュール80に搬送され、洗浄処理される。その後、当該ウエハWは搬送機構88により、受け渡しモジュールTRS35、TRS36に振り分けられる。
【0081】
受け渡しモジュールTRS35に搬送されたウエハWは、搬送機構F5により単位ブロックE5に搬入される。そして当該ウエハWは、加熱モジュール57、タワーT2の温度調整モジュールSCPL35、第1の現像モジュール4Eまたは第2の現像モジュール4F、加熱モジュール58、検査モジュールの順に搬送される。それにより、ウエハWは加熱処理、温度調整処理、現像処理、加熱処理、検査を順次受けた後、搬送機構F5によりタワーT1の温度調整モジュールSCPL15に搬送され、単位ブロックE5から検査ブロックD2へ搬出される。
【0082】
受け渡しモジュールTRS36に搬送されたウエハWは、搬送機構F6により単位ブロックE6に搬入される。そして、当該ウエハWは単位ブロックE5に搬入されたウエハWと同様に処理された後、タワーT1の温度調整モジュールSCPL16に搬送される。つまり、単位ブロックE6から検査ブロックD2へ搬出される。そのように温度調整モジュールSCPL15、SCPL16に搬送されたウエハWは、搬送機構25によりタワーT1の受け渡しモジュールTRS18に搬送された後、搬送機構22により処理後検査モジュール24に搬送されて検査される。検査後のウエハWは、搬送機構22により受け渡しモジュールTRS42に搬送され、搬送機構17によりキャリアCに戻される。なお、単位ブロックE2、E4、E6におけるウエハWの搬送経路については簡単に説明したが、単位ブロックE1、E3、E5と同じモジュールを通過するように搬送される。ただし、受け渡しモジュールTRS、温度調整モジュールSCPLについては、各単位ブロックの高さに配置されたモジュールが用いられる。
【0083】
上記のように塗布、現像装置1において、単位ブロックE1、E2の左側には薬液塗布モジュール4Cと、当該薬液塗布モジュール4CとウエハWを昇降搬送可能な検査ブロックD2との間でウエハWを受け渡す搬送機構F1、F2と、が設けられている。一方、単位ブロックE1、E2の右側には裏面洗浄モジュール4Dと、当該裏面洗浄モジュール4DとウエハWを昇降搬送可能なインターフェイスブロックD4との間でウエハWを受け渡す搬送機構F7と、が設けられている。単位ブロックE1、E2には、搬送機構F3、F4を備えた単位ブロックE3、E4が積層されている。そして、ウエハWを薬液塗布モジュール4C、裏面洗浄モジュール4Dで順に処理した後に露光機D5に搬送するにあたり、薬液塗布モジュール4Cで処理後のウエハWは、単位ブロックE1、E2から一旦、検査ブロックD2に搬出される。その後に当該ウエハWは、単位ブロックE3、E4、インターフェイスブロックD4を順に経由して裏面洗浄モジュール4Dに搬送され、裏面洗浄後はインターフェイスブロックD4に戻される。このような構成により、薬液塗布モジュール4Cと検査ブロックD2との間のウエハWの受け渡し、及び裏面洗浄モジュール4DとインターフェイスブロックD4との間のウエハWの受け渡しのうちの一方の動作に影響されずに他方の動作を行うことができる。即ち、薬液塗布モジュール4Cに対するウエハWの搬入出、裏面洗浄モジュール4Dに対するウエハWの搬入出を各々速やかに行うことができる。また、搬送機構F1、F2によるウエハWの搬送領域と搬送機構F7によるウエハWの搬送領域との間に、受け渡しモジュールTRSのような搬送機構間でウエハWを受け渡すためのモジュールを設ける必要が無い。従って、塗布、現像装置1の左右の幅を小さくすることができる。それ故に、この塗布、現像装置1によれば高いスループットを得ることができると共に、装置の占有床面積を縮小化できる。なお、上記の特許文献1では同じ高さの層(単位ブロック)の左右に各々配置された搬送機構の間でウエハWを受け渡すにあたり、搬送機構間に設けたウエハWの載置部を利用している。当該載置部によって層の長さが大きくなってしまうため、装置の専有床面積を小さくすることが困難である。
【0084】
塗布、現像装置1の左右の長さが小さいことの利点について補足する。一般に、塗布、現像装置をクリーンルームに設置するにあたり、その左右の幅について制限される。詳しく述べると、塗布、現像装置に対してキャリアCを搬送する外部搬送機構は、クリーンルーム内を移動可能な範囲が限られる。従って、塗布、現像装置を構成するキャリアCを搬入出するためのブロックの設置可能な位置が制限される。その一方で、クリーンルーム内における露光機D5の配置が決められている場合が有る。このような事情から、左右の長さが大きい塗布、現像装置は、クリーンルーム内に設置することができないという問題が有る。しかし塗布、現像装置1については、上記のような構成により左右の長さが比較的小さいため、この問題を解決することができる。また、塗布、現像装置1では裏面洗浄モジュール4Dについて、上記のように単位ブロックE1、E2に配置すると共に既述した経路でウエハWを搬送することで、当該裏面洗浄モジュール4DをインターフェイスブロックD4に配置する必要を無くしている。それによって、インターフェイスブロックD4の大型化が防止されていることも、塗布、現像装置1の左右の長さの短縮化に寄与されている。
【0085】
また、塗布、現像装置1の単位ブロックE3、E4においては、レジスト塗布モジュール4A及び保護膜形成用の薬液塗布モジュール4Bが設けられている。つまり、ウエハWを単位ブロックE1、E2の左側から右側へ搬送するために通過する単位ブロックE3、E4にレジスト塗布モジュール4A及び保護膜形成用の薬液塗布モジュール4Bを設けられている。それにより、裏面洗浄を行うまでにウエハWをE1~E4以外の単位ブロックEに搬送する必要が無い。従って、ウエハWの搬送経路が長くなることが防止されるのでスループットの低下がより確実に抑制されると共に、単位ブロックEの数が増えることが防止されるので、装置の大型化が抑制される。
【0086】
また、裏面洗浄モジュール4Dは単位ブロックE1、E2に各々設けられることで、2段に配置されている。そのように裏面洗浄モジュール4Dを複数段に設けることで、インターフェイスブロックD4のタワーT2には、この裏面洗浄モジュール4Dに対する受け渡しを行うための受け渡しモジュールTRS(上記のようにTRS31、TRS32として表示している)も広い高さ範囲に設置することが可能になる。広い高さ範囲に設置可能ということは、より多くのウエハWが載置されるように当該受け渡しモジュールTRSを構成することが可能となることである。そのように多くのウエハWを載置可能とすることで、当該受け渡しモジュールTRSの後段の処理モジュールで一時的に処理が中止されるような不具合が生じても、当該受け渡しモジュールTRSの前段の各処理モジュールではウエハWの処理を続けることができる。つまり、装置全体でウエハWの処理を停止させることを防ぐことができるので、装置のスループットの低下を防ぐことができる。また、搬送機構F7は単位ブロックE1、E2の共通搬送路66を昇降するため、タワーT2の広い高さ範囲にアクセスすることができる。そのため、上記の受け渡しモジュールTRS31、TRS32について、より多くのウエハWを載置することができるように構成することができる。また搬送機構F7は、インターフェイスブロックD4からのウエハWの受け取り、インターフェイスブロックD4へのウエハWの搬出を、タワーT2のTRS31、TRS32を用いて夫々行っている。つまり異なる段(高さ)のモジュールを用いて、インターフェイスブロックD4の搬送機構と単位ブロックE1、E2の搬送機構との間で、ウエハWの受け渡しを行っている。そのような構成であることも、上記のようにTRS31、TRS32について十分な配置のスペースを確保し、インターフェイスブロックD4と搬送機構F7との間で効率的な搬送を行うことに寄与する。
【0087】
さらに裏面洗浄モジュール4Dを2段に設けること、及びノズル45が無いため裏面洗浄モジュール4Dのカップ43間の間隔を狭くできることを利用し、薬液塗布モジュール4Cと裏面洗浄モジュール4Dとの間を、ポンプを含む処理液供給機器の設置部39としている。つまり、単位ブロックEにおける液処理モジュールを構成するカップ43間に処理液供給機器が設けられている。そのように処理液供給機器を設けることで、ポンプから各液処理モジュールのノズルに至るまでの処理液供給管の長さが大きくなることが抑制される。これは、処理液の圧力損失を抑制するために処理液供給管においてフィルタをポンプの前段に設けるとした場合、このフィルタとノズルとの距離が近くなることで処理液中の異物に対する捕集効果が高められることになる。つまり、上記の処理液供給機器の配置は、ウエハWから製造される半導体製品の歩留りの低下を防ぐことに寄与するという利点が有る。また、この処理液供給機器は単位ブロックEのうち下層側のE1、E2に設けられるため、作業員によるメンテナンスが容易であるという利点が有る。
【0088】
また、搬送機構F1、F2がアクセスするモジュールの種類に比べて、搬送機構F7がアクセスするモジュールの種類は少ない。つまり、搬送工程数について、搬送機構F1、F2に比べて搬送機構F7の方が少ない。そのように搬送工程数が少ない搬送機構F7が単位ブロックE1、E2で共用の構成であるため、十分なスループットを確保しつつ、装置の製造コストを低下させることができる。
【0089】
また、塗布、現像装置1においては、上記のようにキャリアブロックD1の高さは、当該キャリアブロックD1に隣接する検査ブロックD2の高さよりも小さく、キャリアブロックD1の上方でキャリアCが待機される。このような構成により、キャリアブロックD1よりも左側にキャリア待機部20及びキャリア搬入出部19を設ける必要が無い。従って、塗布、現像装置1の左右の長さが、より確実に抑制される。そのようにキャリア待機部20及びキャリア搬入出部19をキャリアブロックD1上に配置するにあたり、キャリアブロックD1にダウンフローを形成するためのFFU31を、平面視フィルタ18に重ならない位置である検査ブロックD2上に設けている。つまり、そのようなFFU31の配置によって、塗布、現像装置1の左右の長さが大きくなることが防止されている。なお、このFFU31としては検査ブロックD2上に設けることには限られず、例えば塗布、現像装置1に対して前方や後方に配置してもよい。
【0090】
さらに、塗布、現像装置1については、インターフェイスブロックD4にて処理ブロックD3との間でウエハWを受け渡すためのタワーT2に対して、後方に当該タワーT2にアクセスする搬送機構87を配置する。その一方で、タワーT2の前方側には処理ブロックD3の単位ブロックEから突出する付帯設備設置部36を配置し、タワーT2が付帯設備設置部36と搬送機構87に前後から挟まれるようにしている。このような各部の配置により付帯設備設置部36によって塗布、現像装置1の左右の長さが大きくなることを抑制し、より確実に塗布、現像装置1の占有床面積が抑制される。また、検査ブロックD2においてタワーT1を前後から挟むように、付帯設備設置部35と、搬送機構25とが設けられている。そのような各部の配置によっても、塗布、現像装置1の左右の長さが大きくなることが抑制されている。
【0091】
またインターフェイスブロックD4において、バッファモジュール82により裏面洗浄前のウエハWが待機される。従って裏面洗浄後、露光機D5に搬入されるまでにウエハWが経由するモジュールは少なく、裏面に異物が付着した状態でウエハWが露光機D5に搬入されることがより確実に抑制されるため、露光時のデフォーカスがより確実に防止される。
【0092】
さらにインターフェイスブロックD4において、露光後洗浄モジュール80、タワーT2のモジュール、バッファモジュール82に各々アクセスする前後の中央の搬送機構87と、タワーT2のモジュール、バッファモジュール82にアクセスする後方側の搬送機構88と、を設けている。そして、露光後洗浄モジュール80にはアクセスしない搬送機構88については、搬送機構87よりも昇降する範囲が大きく、タワーT2におけるより低い位置に配置されたモジュールへ保持体61がアクセスする。このような構成により搬送機構87、88間での負荷の偏りが抑制され、スループットをより確実に高くすることができる。
【0093】
なお、単位ブロックE1~E4では付帯設備が左側のカップ43用と、右側のカップ43用とで2分割されている。単位ブロックE1~E4の付帯設備についても、単位ブロックE5、E6と同様に付帯設備を3分割してもよい。ただし、付帯設備の構造を簡素にするために、上記のようにカップの数が単位ブロックE1~E4よりも多い単位ブロックE5、E6のみ3分割することが好ましい。
【0094】
上記の塗布、現像装置1では同じ単位ブロックEについて2つ設けられているが、そのような構成に限られず、例えば1つのみあるいは3つ以上設けられていてもよい。また、単位ブロックEが配列される順番も上記の例に限られず、例えば単位ブロックE3、E4の上方に単位ブロックE1、E2が位置していてもよい。
【0095】
また、塗布、現像装置1におけるモジュールの配置としては既述した例に限られない。例えば単位ブロックE1、E2の右側において裏面洗浄モジュール4Dが設けられず、その代わりに保護膜形成用の薬液塗布モジュール4B及び保護膜形成後のウエハWを加熱する加熱モジュール52が設けられるようにする。そして、単位ブロックE3、E4には液処理モジュールとして、レジスト塗布モジュール4Aのみが設けられ、薬液塗布モジュール4Bが設けられないようにする。ウエハWは、既述した搬送経路で各単位ブロックEを通過し、裏面洗浄処理を受けないこと単位ブロックE1、E2で保護膜の形成及びその後の加熱処理を受けること以外は、既述した処理と同様の処理を受けるようにする。従って、単位ブロックE1、E2の右側に設けられるモジュールが、洗浄モジュールであることには限られない。
【0096】
その他の塗布、現像装置1におけるモジュールの配置例を挙げると、例えば単位ブロックE1、E2における左側にレジスト塗布モジュール4A、右側に裏面洗浄モジュール4Dが設けられ、単位ブロックE3、E4に保護膜形成用の薬液塗布モジュール4Bが設けられるレイアウトとする。つまり反射防止膜が形成されないモジュール配置とし、ウエハWが上記の経路で各単位ブロックを通過して、露光機D5に搬入されるようにしてもよい。また、例えば露光機D5が液浸露光を行わない場合には、保護膜の形成を行わない装置構成とし、単位ブロックE3、E4には液処理モジュールとしてレジスト塗布モジュール4Aのみを配置し、既述のように各ブロック間でウエハWを搬送して処理を行ってもよい。
【0097】
また、本技術は塗布、現像装置に適用されることには限られない。
図15は、塗布装置9を示している。塗布装置9における塗布、現像装置1との差異点を挙げると、塗布装置9は露光機D5に接続されていない。また、単位ブロックEについてはE1、E3の2つのみ設けられている。従って単位ブロックE1には単位ブロックE2に連通する共通搬送路66は設けられておらず、搬送路30の左側、右側を搬送機構F1、F7が夫々ウエハWを搬送する。単位ブロックE1には液処理モジュールとして、左側に反射防止膜形成用の薬液塗布モジュール4C、右側にレジスト塗布モジュール4Aが設けられる。単位ブロックE3には、処理モジュールが設けられていない。
【0098】
図15中の矢印は、ウエハWの搬送経路を示している。ウエハWは薬液塗布モジュール4Bで処理された後、検査ブロックD2に戻され、単位ブロックE3を介して、インターフェイスブロックD4に搬送された後、レジスト塗布モジュール4Aに搬送されて処理される。その後、ウエハWはインターフェイスブロックD4に戻され、単位ブロックE3、検査ブロックD2を順に通過して、キャリアCに戻される。なお、タワーT1、T2にはこのような搬送を行える位置に、受け渡しモジュールTRSが配置されるものとする。この塗布装置9についても、塗布、現像装置1と同様の効果を奏する。検査ブロックD2からインターフェイスブロックD4へウエハWを搬送する単位ブロックEと、インターフェイスブロックD4から検査ブロックD2へウエハWを搬送する単位ブロックEとは、この塗布装置9のように同じであってもよいし、塗布、現像装置1のように異なっていてもよい。
【0099】
装置で行う液処理としては上記した例に限られず、薬液の塗布による絶縁膜の形成や、ウエハWを互いに貼り合わせるための接着剤の塗布処理などが含まれていてもよい。なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更及び組み合わせがなされてもよい。
【符号の説明】
【0100】
C キャリア
D1 キャリアブロック
D2 検査ブロック
D4 インターフェイスブロック
E1~E4 単位ブロック
F1~F4、F7 搬送機構
SCPL 温度調整モジュール
TRS 受け渡しモジュール
W ウエハ
1 塗布、現像装置
14 キャリアステージ
17、22、25 搬送機構
30 搬送路
4C 薬液塗布モジュール
4D 裏面洗浄モジュール
87、88、89 搬送機構