(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 15/02 20060101AFI20231011BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231011BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20231011BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H02G15/02
H01B7/00 301
H02G1/14
H02G3/04 081
(21)【出願番号】P 2020134650
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 直人
(72)【発明者】
【氏名】二ツ森 敬浩
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和彦
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/02
H01B 7/00
H02G 1/14
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1電線、複数の第2電線、及び、前記複数の第1電線及び前記複数の第2電線を一括して覆うシースを有するケーブルと、
前記複数の第2電線の端部に設けられたセンサ部と、
前記シースから露出された前記複数の第2電線を覆うチューブと、を備え、
前記センサ部は、前記チューブの端部を一体に覆うモールド成形体を有
し、
前記センサ部は、前記複数の第2電線を保持するホルダを有し、
前記ホルダは、前記複数の第2電線の延出方向に沿って突出し、前記チューブ内に挿入される突出部を有し、
前記モールド成形体は、前記突出部の少なくとも一部を覆うように形成されている、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記突出部には、その外周面から径方向外方に突出する凸状に形成され、前記突出部から前記チューブが脱落してしまうことを抑制するための抜け止めリブが形成されている、
請求項
1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記抜け止めリブの外径は、無負荷の自然状態における前記チューブの内径よりも大きい、
請求項
2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記チューブの前記センサ部側とは反対側の端部を覆うように、前記チューブ内に水分が浸入することを抑制するための防水部が設けられている、
請求項1乃至
3の何れか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記防水部は、前記シースの端部、及び前記シースの端部から延出される前記複数の第1電線と前記複数の第2電線の延出部分を覆うように樹脂をモールドして形成され、前記複数の第1電線及び前記複数の第2電線の延出方向を固定する延出方向固定部材であり、
前記延出方向固定部材は、前記チューブの前記センサ部側とは反対側の端部を覆っている、
請求項
4に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワイヤハーネスとして、特許文献1には、2本の電源線と2本の信号線とをシースで一括して被覆したケーブルを用いた車両用のワイヤハーネスが記載されている。2本の信号線は、内部シースに覆われており、2本の信号線及び内部シースの端部には、モールド成形体(センサ部)が形成されている。内部シースは、シースから露出された信号線を保護する役割と、モールド成形体のモールド時の熱によりモールド成形体と溶着または密着させることで、センサ部内にケーブルを伝って水が浸入することを抑制する役割とを果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来のワイヤハーネスでは、内部シースがある分、ケーブルが大径化してしまうという課題があった。特に、車両用のワイヤハーネスでは、ケーブルの配策スペースが非常に狭くなるために、ケーブルはできるだけ細径であることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、ケーブルの細径化が可能なワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の第1電線、複数の第2電線、及び、前記複数の第1電線及び前記複数の第2電線を一括して覆うシースを有するケーブルと、前記複数の第2電線の端部に設けられたセンサ部と、前記シースから露出された前記複数の第2電線を覆うチューブと、を備え、前記センサ部は、前記チューブの端部を一体に覆うモールド成形体を有する、ワイヤハーネスを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケーブルの細径化が可能なワイヤハーネスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るワイヤハーネスにおいて、防水部を断面で示した模式図である。
【
図2】ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
【
図4】(a)は、
図3においてモールド成形体を省略した斜視図、(b)は(a)においてさらにチューブを省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係るワイヤハーネスにおいて、防水部を断面で示した模式図である。
図1に示すように、ワイヤハーネス1は、ケーブル2と、センサ部3と、チューブ4と、防水部5と、を備えている。
【0011】
(ケーブル2)
図2は、ケーブル2の長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図2に示すように、ケーブル2は、複数の第1電線21と、複数の第2電線22と、複数の第1電線21及び複数の第2電線22を一括して覆うシース23と、を有している。ここでは、ケーブル2が、2本の第1電線21と、2本の第2電線22とを有している場合を説明するが、第1電線21や第2電線22の本数はこれに限定されない。
【0012】
第1電線21は、第1導体21aと、第1導体21aの外周を覆う第1絶縁体21bと、を有している。第1導体21aは、銅等からなる金属素線を複数本撚り合わせた撚線導体からなる。なお、第1導体21aは、金属素線を複数本撚り合わせた子撚線をさらに複数本撚り合わせた複合撚線導体から構成されてもよい。第1絶縁体21bは、例えば、XLPE(架橋ポリエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)などからなる。本実施の形態では、第1電線21は、車両の停車後に車輪の回転を抑止するための電動パーキングブレーキ装置(不図示)に接続される電動パーキングブレーキ専用の電源線である。
【0013】
第2電線22は、第2導体22aと、第2導体22aの外周を覆う第2絶縁体22bと、を有している。第2導体22aは、銅等からなる金属素線を複数本撚り合わせた撚線導体からなる。第2絶縁体22bは、例えば、XLPE(架橋ポリエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)などからなる。2本の電線22は、互いに撚り合わされて対撚線24を構成している。対撚線24は、内部シースに覆われていない。本実施の形態では、第2電線21は、車輪の回転速度を測定するためのABS(Anti-lock Brake System)センサのセンサ部3に接続される信号線である。
【0014】
ケーブル2では、2本の第1電線21と対撚線24とを撚り合わせた集合体25の周囲に螺旋状に押さえ巻きテープ26が巻き付けられている。押さえ巻きテープ26は、例えば、紙や不織布、あるいは樹脂テープ等からなる。押さえ巻きテープ26は、集合体25の撚りが解けてしまうことを抑制する役割と、シース23の成形時に電線21,22間に樹脂が入り込んでしまうことを抑制し、端末加工時に電線21,22を分離しやすくするセパレータとしての役割を果たす。なお、押さえ巻きテープ26は、金属層を含むものであってもよい。この場合、押さえ巻きテープ26の金属層がシールドの役割を果たし、信号線として用いられる第2電線22に外部から混入するノイズを低減することが可能になる。
【0015】
第1電線21、対撚線24、及び押さえ巻きテープ26の間には、介在27が設けられている。介在27は、例えば糸状体(繊維状体)からなり、第1電線21と対撚線24と押さえ巻きテープ26との間の隙間を埋めるように配置される。介在27は、ケーブル2の断面形状をより円形状に近づける役割を果たす。本実施の形態では、介在27は、第1電線21及び対撚線24と共に撚り合されて集合体25を構成しており、その集合体25の周囲に押さえ巻きテープ26が巻き付けられている。介在27としては、例えば、ポリプロピレンヤーンや、スフ糸(レーヨンステープルファイバー)、アラミド繊維、ナイロン繊維、あるいは繊維系プラスチック、紙、もしくは綿糸等からなる糸状体(繊維状体)を用いることができる。
【0016】
押さえ巻きテープ26の外周には、シース23が設けられている。本実施の形態では、シース23は、ウレタン樹脂からなる。
図1に示すように、シース23の端部からは、2本の第1電線21と、2本の第2電線22(対撚線24)とが延出されており、かつ、第1電線21と第2電線22とが異なる方向に延出されている。
【0017】
(チューブ4)
図1に示すように、チューブ4は、シース23から露出された2本の第2電線22(対撚線24)を覆うように設けられている。チューブ4は、中空円筒状に形成されている。チューブ4は、シース23から露出された第2電線22を保護する役割と、センサ部3のモールド成形体33に対して溶着または密着されセンサ部3内に水が浸入することを抑制する役割とを果たしている。チューブ4は、モールド成形体33のモールド時の熱によりモールド成形体33と溶着または密着される材質から構成される。ここで、溶着とは、互いに溶け合い一体化されることを意味している。本実施の形態では、チューブ4として、モールド成形体33と同じ材質であるウレタン樹脂からなるものを用いた。
【0018】
(センサ部3)
図3は、センサ部3の外観を示す斜視図である。
図4(a)は、
図3においてモールド成形体を省略した斜視図、
図4(b)は
図4(a)においてさらにチューブ4を省略した斜視図である。
【0019】
本実施の形態では、センサ部3は、車輪の回転速度を測定するためのABSセンサを構成するものであり、第2電線22(対撚線24)の端部に設けられている。センサ部3は、磁気検出素子を含むセンサ32と、センサ32及び第2電線22の端部を保持するホルダ31と、センサ32及びホルダ31を覆うように樹脂をモールドしてなるモールド成形体33と、を有している。
【0020】
センサ32は、磁気検出素子を含む板状のセンサ本体32aと、センサ本体32aから延出される一対のリード線32bと、を有している。一対のリード線32bの端部(センサ本体32aと反対側の端部)には、第2電線22の第2導体22aが溶接等により接続され、電気的に接続される。
【0021】
ホルダ31は、センサ32及び第2電線22を保持するホルダ本体部31aと、ホルダ本体部31aから第2電線22の延出方向に沿って突出する突出部31bと、を一体に有している。ホルダ31は、モールド成形体33をモールドする際の樹脂圧からセンサ32、第2電線22、及びセンサ32と第2電線22との接続部を保護する役割を果たす。ホルダ31は、モールド成形体33と同じ樹脂からなることが望ましく、モールド成形体33のモールド時の熱によりモールド成形体33と溶着または密着されることが望ましい。ここでは、ホルダ31として、モールド成形体33と同じ材質であるウレタン樹脂からなるものを用いた。
【0022】
突出部31bは、チューブ4内に挿入される部分である。突出部31bは、チューブ4内へと差し込まれることで、チューブ4の開口を塞ぎ、モールド成形体33のモールド時に樹脂がチューブ4内に侵入してしまうことを抑制する役割を果たす。また、突出部31bは、モールド成形体33のモールド時にチューブ4を押さえ込む金型(不図示)の押圧力に抗して、チューブ4の内側からチューブ4を支持して、チューブ4の変形(凹み)を抑制し、金型とチューブ4との間から樹脂が漏れて成形不良が生じることを抑制する役割も果たしている。
【0023】
突出部31bは、2本の第2電線22を挟み込むように設けられた一対の爪部31cを有している。一対の爪部31cの間には、爪部31cの対向方向と垂直方向に並んだ状態で2本の第2電線22が狭持される。爪部31cは、両爪部31cは、チューブ4への挿入方向に対して垂直な断面形状が、チューブ4の内周面に沿う曲面と、第2電線21を狭持する平面とを有する略半円形状に形成されている。なお、例えば、一対の爪部31cに代えて中空筒状の突出部31bを設けることも考えられるが、この場合、2本の第2電線22の周囲全体に中空筒状体が配置されることになり、チューブ4として大径のものを使用する必要が生じ、大型化及びチューブ4で覆った部分を曲げにくくなる等の不具合が生じるおそれがある。本実施の形態のように、一対の爪部31cで第2電線22を挟み込む構造とすることで、小径のチューブ4を使用可能となり、チューブ4で覆った部分を曲げやすくし、小型で配線しやすいワイヤハーネス1を実現できる。
【0024】
両爪部31cには、突出部31bからチューブ4が脱落してしまうことを抑制するための抜け止めリブ31dが形成されている。抜け止めリブ31dは、爪部31cにおける外周面(チューブ4の内周面に沿う曲面)に径方向外方に突出するように凸状に設けられている。抜け止めリブ31dの外径は、無負荷の自然状態におけるチューブ4の内径よりも大きくされる。より具体的には、抜け止めリブ31dの外径は、無負荷の自然状態におけるチューブ4の内径の1.01倍以上1.20倍以下であるとよい。なお、両爪部31cの間の部分には抜け止めリブ31dが形成されていないが、抜け止めリブ31dの外径とは、抜け止めリブ31dが形成されている部分における外径をいう。チューブ4の脱落をより抑制するために、両爪部31cには、チューブ4の挿入方向に離間して複数の抜け止めリブ31dが形成されていることが望ましい。ここでは、両爪部31cにそれぞれ2つの抜け止めリブ31dが形成されているが、抜け止めリブ31dの数はこれに限定されない。
【0025】
突出部31bの周辺のホルダ本体部31aは、チューブ4の挿入方向に対して垂直な平面31eとなっており、この平面31eにチューブ4の端面が突き当てられている。これにより、チューブ4内に樹脂が入り込むことがより抑制される。
【0026】
モールド成形体33は、センサ32、ホルダ31、及び、チューブ4の端部を一体に覆うように形成されている。本実施の形態では、第2電線22の第2絶縁体22bは、XLPEやETFEからなるため、ウレタン樹脂からなるモールド成形体33を形成した際に第2絶縁体22bとモールド成形体33とが一体とならず、第2絶縁体22bとモールド成形体33との間に隙間が生じてセンサ部3内に水が浸入してしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、第2絶縁体22bを覆うようにチューブ4を設け、モールド成形体33のモールド時の熱により、チューブ4とモールド成形体33とを溶着または密着させることで、外部からセンサ部3内への水の浸入を抑制している。これにより、第2電線22を覆う内部シースを省略しても、センサ部3内への水の浸入を抑制することが可能になり、センサ部3内への水の浸入を十分に抑制しつつも、ケーブル2を細径化することが可能になる。
【0027】
チューブ4は突出部31bの周囲を覆うように配置されるため、モールド成形体33は、チューブ4の端部と共に、突出部31bの少なくとも一部を覆うように形成されることになる。ただし、突出部31bの先端部は、モールド成形体33のモールド時に金型で締め付ける部分となるため、突出部31bの先端部はモールド成形体33よりも若干外方(第2電線22の延出方向)に突出することになる。
【0028】
図3に示すように、モールド成形体33は、ホルダ31の周囲を覆う本体部33aと、本体部33aから突出するように設けられたフランジ部33bと、を一体に有している。フランジ部33bは、ケーブル2の延出方向に対して垂直な方向に突出するように設けられている。フランジ部33bには、センサ部3を周囲の部材に固定するためのボルト(不図示)を通すための貫通孔33cが形成されている。また、貫通孔33cの内周面に沿うように、円筒状の金属であるカラー33dが設けられており、ボルト固定時のクリープ変形による締結の緩みが発生することが抑制されている。
【0029】
(防水部5)
図1に戻り、ワイヤハーネス1では、チューブ4のセンサ部3側とは反対側の端部を覆うように設けられた防水部5が備えられている。防水部5を備えることにより、チューブ4内に水分が浸入することが抑制され、チューブ4内を伝ってセンサ部3内に水が浸入することが抑制される。
【0030】
本実施の形態では、防水部5は、シース23の端部、及びシース23の端部から延出される2本の第1電線21と複数の第2電線22の延出部分を覆うように樹脂をモールドして形成されており、複数の第1電線21及び複数の第2電線22の延出方向を固定するように構成されている。つまり、防水部5は、第1電線21及び第2電線22の延出方向を固定するモールド成形体である延出方向固定部材51から構成されている。防水部5には、防水部5を周囲の部材に固定するための固定金具6が設けられている。固定金具6は、帯状の金属を成形して形成されており、防水部5の周囲に巻き付けられ防水部5を狭持する狭持部61と、狭持部61の一端部から延出された板状の固定部62と、を一体に有している。固定部62には、固定用のボルト(不図示)を通すための貫通孔63が形成されている。
【0031】
防水部5としての延出方向固定部材51は、チューブ4のセンサ部3側とは反対側の端部を覆うように形成されている。チューブ4は、防水部5のモールド時の熱により、延出方向固定部材51と溶着または密着されている。本実施の形態では、延出方向固定部材51は、チューブ4と同じ材質であるウレタン樹脂からなる。これにより、チューブ4内に水が浸入することが抑制され、チューブ4内からセンサ部3内へと水が浸入してしまうことが抑制される。
【0032】
なお、防水部5は、延出方向固定部材51に限定されず、例えば、
図5に示すように、チューブ4の端部(センサ部3とは反対側の端部)とチューブ4から延出される第2電線22とを覆うように熱収縮チューブ52を設け、この熱収縮チューブ52を加熱し収縮させることで、チューブ4内に水が浸入することを抑制する防水部5を構成することもできる。
【0033】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るワイヤハーネス1では、シース23から露出された複数の第2電線22を覆うチューブ4を備え、センサ部3は、チューブ4の端部を一体に覆うモールド成形体33を有している。このように構成することで、センサ部3に水が浸入することを抑制しつつも、第2電線22を被覆する内部シースを省略することが可能になり、ケーブル2の細径化(小径化)が可能になる。また、内部シースを省略することにより、ケーブル2の低コスト化、すなわちワイヤハーネス1の低コスト化も可能になる。
【0034】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0035】
[1]複数の第1電線(21)、複数の第2電線(22)、及び、前記複数の第1電線(21)及び前記複数の第2電線(22)を一括して覆うシース(23)を有するケーブル(2)と、前記複数の第2電線(22)の端部に設けられたセンサ部(3)と、前記シース(23)から露出された前記複数の第2電線(22)を覆うチューブ(4)と、を備え、前記センサ部(3)は、前記チューブ(4)の端部を一体に覆うモールド成形体(33)を有する、ワイヤハーネス(1)。
【0036】
[2]前記センサ部(3)は、前記複数の第2電線(22)を保持するホルダ(31)を有し、前記ホルダ(31)は、前記複数の第2電線(22)の延出方向に沿って突出し、前記チューブ(4)内に挿入される突出部(31b)を有し、前記モールド成形体(33)は、前記突出部(31b)の少なくとも一部を覆うように形成されている、[1]に記載のワイヤハーネス(1)。
【0037】
[3]前記突出部(31b)には、その外周面から径方向外方に突出する凸状に形成され、前記突出部(31b)から前記チューブ(4)が脱落してしまうことを抑制するための抜け止めリブ(31d)が形成されている、[2]に記載のワイヤハーネス(1)。
【0038】
[4]前記抜け止めリブ(31d)の外径は、無負荷の自然状態における前記チューブ(4)の内径よりも大きい、[3]に記載のワイヤハーネス(1)。
【0039】
[5]前記チューブ(4)の前記センサ部(3)側とは反対側の端部を覆うように、前記チューブ(4)内に水分が浸入することを抑制するための防水部(5)が設けられている、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のワイヤハーネス(1)。
【0040】
[6]前記防水部(5)は、前記シース(23)の端部、及び前記シース(23)の端部から延出される前記複数の第1電線(21)と前記複数の第2電線(22)の延出部分を覆うように樹脂をモールドして形成され、前記複数の第1電線(21)及び前記複数の第2電線(22)の延出方向を固定する延出方向固定部材(51)であり、前記延出方向固定部材(51)は、前記チューブ(4)の前記センサ部(3)側とは反対側の端部を覆っている、[5]に記載のワイヤハーネス(1)。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…ワイヤハーネス
2…ケーブル
21…第1電線
22…第2電線
23…シース
3…センサ部
31…ホルダ
31b…突出部
32…センサ
33…モールド成形体
4…チューブ
5…防水部
51…延出方向固定部材