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特許7363789感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品
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  • 特許-感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20231011BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20231011BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20231011BHJP
   C08G 73/12 20060101ALI20231011BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20231011BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231011BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/031
G03F7/027 514
C08G73/12
C08F290/14
G03F7/20 521
G03F7/20 501
G03F7/40 501
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020535765
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2019030771
(87)【国際公開番号】W WO2020031976
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/029468
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398008295
【氏名又は名称】HDマイクロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 篤太郎
(72)【発明者】
【氏名】米田 聡
(72)【発明者】
【氏名】朝田 皓
(72)【発明者】
【氏名】大江 匡之
(72)【発明者】
【氏名】榎本 哲也
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/40
G03F 7/004
G03F 7/031
G03F 7/027
C08G 73/12
C08F 290/14
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重合性の不飽和結合を有するポリイミド前駆体と、
(B)下記式(1)~(4)で表される化合物のうち一以上と、
(C)下記式(11)で表される光重合開始剤と、
(D)トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと
を含有し、
前記(B)成分として、少なくとも前記式(3)で表される化合物を含む感光性樹脂組成物。
【化32】
(式(1)~(4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。sは0~8の整数であり、tは0~4の整数であり、rは0~4の整数である。)
【化33】
(式(11)中、R11は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R12は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R13は、置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフルオレニル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基である。)
【請求項2】
前記(A)成分が、下記式(21)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化34】
(式(21)中、Xは4価の芳香族基である。Yは2価の芳香族基である。R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、下記式(22)で表される基又は炭素数1~4の脂肪族炭化水素基であり、R21及びR22の少なくとも一方は下記式(22)で表される基である。-COOR21基と-CO-基とは、互いにオルト位置にあり、-COOR22基と-CONH-基とは、互いにオルト位置にある。)
【化35】
(式(22)中、R23~R25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の脂肪族炭化水素基である。mは1~10の整数である。)
【請求項3】
11は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)成分を、前記(A)成分100質量部に対して10~10000質量部含む請求項1~3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)成分が、前記式(3)で表される化合物である請求項1~4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに(E)熱重合開始剤を含む請求項1~5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜をパターン露光して、樹脂膜を得る工程と、
前記パターン露光後の樹脂膜を、有機溶剤を用いて現像し、パターン樹脂膜を得る工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、
を含むパターン硬化膜の製造方法。
【請求項8】
前記加熱処理の温度が200℃以下である請求項7に記載のパターン硬化膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜。
【請求項10】
パターン硬化膜である請求項9に記載の硬化膜。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の硬化膜を用いて作製された層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜。
【請求項12】
請求項11に記載の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜を含む電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜及び層間絶縁膜には、優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミドやポリベンゾオキサゾールが用いられている。近年、これらの樹脂自身に感光特性を付与した感光性樹脂組成物が用いられており、これを用いるとパターン硬化膜の製造工程が簡略化でき、煩雑な製造工程を短縮できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、コンピュータの高性能化を支えてきたトランジスタの微細化はスケーリング則の限界に直面しており、さらなる高性能化や高速化のために半導体素子を3次元的に積層する積層デバイス構造が注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。積層デバイス構造の中でも、マルチダイファンアウトウエハレベルパッケージ(Multi-die Fanout Wafer Level Packaging)は、1つのパッケージの中に複数のダイを一括封止して製造するパッケージであり、従来から提案されているファンアウトウエハレベルパッケージ(1つのパッケージの中に1つのダイを封止して製造する)よりも低コスト化及び高性能化が期待できるため注目を集めている。
【0004】
マルチダイファンアウトウエハレベルパッケージの作製においては、ウェハサイズの大口径化に伴ってステッパの露光時間が長時間化している。これに伴い、露光工程を効率化する観点から感光性材料の高感度化が要求されている。
例えば特許文献2には特定のアミド化合物を含むネガ型感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-265520号公報
【文献】特開2016-79340号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】「半導体技術年鑑2013 パッケージング/実装編」、株式会社日経BP、2012年12月、p.41-50
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、従来の感光性樹脂組成物は光感度が十分高いとは言えなかった。本発明の目的は、感度に優れる感光性樹脂組成物、それを用いたパターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品を提供することである。
【0008】
本発明者らは、上記問題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、重合性の不飽和結合を有するポリイミド前駆体に、特定の光重合開始剤と特定の構造を有する化合物とを組み合わせることで、光感度の高い感光性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明によれば、以下の感光性樹脂組成物等が提供される。
1.(A)重合性の不飽和結合を有するポリイミド前駆体と、
(B)下記式(1)~(4)で表される化合物のうち一以上と、
(C)下記式(11)で表される光重合開始剤と、
を含有する感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)~(4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。sは0~8の整数であり、tは0~4の整数であり、rは0~4の整数である。)
【化2】
(式(11)中、R11は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R12は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R13は、置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフルオレニル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基である。)
2.前記(A)成分が、下記式(21)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体である1に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】
(式(21)中、Xは4価の芳香族基である。Yは2価の芳香族基である。R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、下記式(22)で表される基又は炭素数1~4の脂肪族炭化水素基であり、R21及びR22の少なくとも一方は下記式(22)で表される基である。-COOR21基と-CO-基とは、互いにオルト位置にあり、-COOR22基と-CONH-基とは、互いにオルト位置にある。)
【化4】
(式(22)中、R23~R25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の脂肪族炭化水素基である。mは1~10の整数である。)
3.前記(B)成分として、少なくとも前記式(3)で表される化合物を含む1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
4.前記(B)成分を、前記(A)成分100質量部に対して10~10000質量部含む1~3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
5.さらに(D)架橋剤を含む1~4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
6.さらに(E)熱重合開始剤を含む1~5のいずれかに記載の感光性樹脂組成。
7.1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜をパターン露光して、樹脂膜を得る工程と、
前記パターン露光後の樹脂膜を、有機溶剤を用いて現像し、パターン樹脂膜を得る工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、
を含むパターン硬化膜の製造方法。
8.前記加熱処理の温度が200℃以下である7に記載のパターン硬化膜の製造方法。
9.1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜。
10.パターン硬化膜である9に記載の硬化膜。
11.9又は10に記載の硬化膜を用いて作製された層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜。
12.11に記載の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜を含む電子部品。
【0010】
本発明によれば、感度に優れる感光性樹脂組成物、それを用いたパターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品の製造工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
本明細書において「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。本明細書において、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本明細書における「(メタ)アクリル基」とは、「アクリル基」及び「メタクリル基」を意味する。
【0014】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)重合性の不飽和結合を有するポリイミド前駆体(以下、「(A)成分」ともいう。)と、(B)下記式(1)~(4)で表される化合物のうち一以上(以下、「(B)成分」ともいう。)と、(C)下記式(11)で表される光重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)と、を含有する。本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくはネガ型感光性樹脂組成物である。
【化5】
(式(1)~(4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。sは0~8の整数であり、tは0~4の整数であり、rは0~4の整数である。)
【化6】
(式(11)中、R11は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R12は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R13は、置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフルオレニル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基である。)
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記の成分を含有することにより、従来の感光性樹脂組成物と比較して高い光感度を有する。即ち、少ない露光量で高い残膜率のパターンを得ることができる。
以下、各成分について説明する。
【0016】
((A)成分:重合性の不飽和結合を有するポリイミド前駆体)
(A)成分は、重合性の不飽和結合を有するポリイミド前駆体であれば特に限定されないが、パターン露光時の光源にi線を用いた場合の透過率が高く、200℃以下の低温硬化時にも高い硬化膜特性を示すポリイミド前駆体が好ましい。
重合性の不飽和結合としては、炭素原子間の二重結合等が挙げられる。
【0017】
(A)成分は、好ましくは下記式(21)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体である。これにより、i線の透過率が高く、200℃以下の低温で硬化を行った場合であっても良好な硬化膜を形成できる。
【化7】
(式(21)中、Xは4価の芳香族基である。Yは2価の芳香族基である。R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、下記式(22)で表される基又は炭素数1~4の脂肪族炭化水素基であり、R21及びR22の少なくとも一方は下記式(22)で表される基である。-COOR21基と-CO-基とは、互いにオルト位置にあり、-COOR22基と-CONH-基とは、互いにオルト位置にある。)
【化8】
(式(22)中、R23~R25は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の脂肪族炭化水素基である。mは1~10の整数(好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~5の整数、さらに好ましくは2又は3)である。)
【0018】
の4価の芳香族基は、芳香族炭化水素構造を含む4価の基(炭素数は例えば6~20)であってもよく、芳香族複素環構造を含む4価の基(原子数は例えば5~20)であってもよい。Xは芳香族炭化水素構造を含む4価の基が好ましい。
【0019】
の芳香族炭化水素構造を含む4価の基としては、例えば以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化9】
(式中、Z及びZは、それぞれ独立に、各々が結合するベンゼン環と共役しない2価の基又は単結合である。Zは、エーテル結合(-O-)又はスルフィド結合(-S-)である。)
【0020】
及びZの2価の基は、-O-、-S-、メチレン基、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基、又はジフルオロメチレン基であることが好ましく、-O-がより好ましい。
は、-O-が好ましい。
【0021】
の2価の芳香族基は、2価の芳香族炭化水素基(炭素数は例えば6~20)であってもよく、2価の芳香族複素環基(原子数は例えば5~20)であってもよい。Yは2価の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0022】
の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば下記式(23)で表される基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【化10】
(式(23)中、R31~R38は、それぞれ独立に、水素原子、1価の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を有する1価の有機基である。)
【0023】
31~R38の1価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6)としてはメチル基が好ましい。
【0024】
31~R38のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有する1価の有機基は、ハロゲン原子を有する1価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6)が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
【0025】
式(23)において、例えば、R32及びR33が1価の脂肪族炭化水素基(例えばメチル基)であって、かつR31及びR34~R38が水素原子であってもよい。
【0026】
式(21)のR21及びR22の炭素数1~4(好ましくは1又は2)の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基等が挙げられる。
【0027】
式(21)において、R21及びR22の少なくとも一方が式(22)で表される基であり、好ましくはR21及びR22の両方が式(22)で表される基である。
【0028】
式(22)のR23~R25の炭素数1~3(好ましくは1又は2)の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、2-プロピル基等が挙げられる。メチル基が好ましい。
【0029】
式(21)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体は、例えば、下記式(24)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記式(25)で表されるジアミノ化合物とを、N-メチル-2-ピロリドン(以下「NMP」という。)等の有機溶剤中にて反応させてポリアミド酸を製造し、下記式(26)で表される化合物を加え、有機溶剤中で反応させて全体的又は部分的にエステル基を導入することで製造することができる。
【化11】
(式(24)中、Xは式(21)で定義した通りである。式(25)中、Yは式(21)で定義した通りである。式(26)中、R23~R25及びmは式(22)で定義した通りである。)
【0030】
式(24)で表されるテトラカルボン酸二無水物及び式(25)で表されるジアミノ化合物は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
【0031】
式(21)で表される構造単位の含有量は、(A)成分の全構造単位に対して、50%モル以上であることが好ましく、80モル%以上がより好ましい。上限は特に限定されず、100モル%でもよい。
【0032】
(A)成分は、式(21)で表される構造単位以外の構造単位を有してもよい。式(21)で表される構造単位以外の構造単位としては、下記式(27)で表される構造単位等が挙げられる。
【化12】
(式(27)中、Xは4価の芳香族基である。Yは2価の芳香族基である。R41及びR42は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4の脂肪族炭化水素基である。-COOR42基と-CONH-基とは、互いにオルト位置にあり、-COOR41基と-CO-基とは、互いにオルト位置にある。)
【0033】
式(27)のXの4価の芳香族基としては、式(21)のXの4価の芳香族基と同じ基が挙げられる。Yの2価の芳香族基としては、式(21)のYの2価の芳香族基と同じ基が挙げられる。R41及びR42の炭素数1~4の脂肪族炭化水素基としては、式(21)のR21及びR22の炭素数1~4の脂肪族炭化水素基と同じ基が挙げられる。
【0034】
式(21)で表される構造単位以外の構造単位の含有量は、(A)成分の全構造単位に対して50モル%未満であることが好ましい。
式(21)で表される構造単位以外の構造単位は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
【0035】
(A)成分において、ポリイミド前駆体中の全カルボキシ基及び全カルボキシエステルに対して、式(22)で表される基でエステル化されたカルボキシ基の割合が、50モル%以上であることが好ましく、60~100モル%がより好ましく、70~90モル%がより好ましい。
【0036】
(A)成分の分子量は特に限定されないが、数平均分子量で10,000~200,000であることが好ましい。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算することによって求める。具体的には実施例に記載の方法により測定する。
【0037】
((B)成分:式(1)~(4)で表される化合物のうち一以上)
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)成分として式(1)~(4)で表される化合物のうち一以上を含有することにより、高い光感度を有する。
【化13】
(式(1)~(4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。sは0~8の整数であり、tは0~4の整数であり、rは0~4の整数である。)
【0038】
式(1)において、sは、好ましくは0である。
式(2)において、Rの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。tは好ましくは0、1又は2(より好ましくは1)である。
式(3)において、Rの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基である。R及びRの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。
式(4)において、R~Rの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。rは好ましくは0又は1(より好ましくは0)である。
【0039】
(B)成分は、例えば、式(1)、(3)及び(4)で表される化合物のうち1以上であってもよいし、式(3)で表される化合物であってもよい。
【0040】
(B)成分としては、例えば以下の化合物を用いることができる。
【化14】
【0041】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常、10~10000質量部であり、好ましくは10~1000質量部であり、より好ましくは10~500質量部である。
【0042】
(溶剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤(例えば、有機溶剤)を含有してもよい。そのような溶剤としては特に限定はなく、通常用いられるものを使用可能であり、具体例として以下の溶剤が挙げられる。
エステル類として、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルコキシ酢酸アルキル(例えば、アルコキシ酢酸メチル、アルコキシ酢酸エチル、アルコキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-アルコキシプロピオン酸メチル、3-アルコキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-アルコキシプロピオン酸メチル、2-アルコキシプロピオン酸エチル、2-アルコキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
エーテル類として、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類として、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、NMP等が挙げられる。
芳香族炭化水素類として、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等が挙げられる。
スルホキシド類として、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0043】
溶剤として、好ましくは、γ-ブチロラクトン、シクロペンタノン、乳酸エチル等が挙げられる。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物におけるNMPの含有量は、例えば1質量%以下(又は(A)成分100質量部に対して3質量部以下)としてもよい。また、NMPの含有量は0質量%(NMPを含まない)でもよい。このようにすることにより、生殖毒性等の毒性を低減することができる。
【0045】
(B)成分は、通常、本発明の感光性樹脂組成物の他の成分を溶解してワニス状にすることができるため、上記の溶剤は用いても用いなくてもよい。上記の溶剤を用いる場合の(B)成分の含有量は、例えば、(B)成分と溶剤の合計に対して5~100質量%であり、(B)成分と溶剤の合計に対して5~50質量%としてもよい。また、上記の溶剤を用いる場合の(B)成分の含有量は、例えば、(A)成分100質量部に対して10~1000質量部であり、(A)成分100質量部に対して10~100質量部、又は(A)成分100質量部に対して10~50質量部としてもよい。(B)成分の含有量が少量(例えば、(B)成分と溶剤の合計に対して5~50質量%、又は(A)成分100質量部に対して10~50質量部)であっても、本発明の感光性樹脂組成物の感度を向上することができる。
【0046】
((C)成分:式(11)で表される光重合開始剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、式(11)で表される光重合開始剤を含むことにより、(B)成分との相乗効果で光感度がより高いものとなる。
【化15】
(式(11)中、R11は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R12は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であり、R13は、置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフルオレニル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基である。)
【0047】
11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数4~6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることがより好ましく、メチル基、シクロペンチル基、フェニル基又はトリル基であることがさらに好ましい。
13は、後述する式(14)~(20)で表される化合物が有する、式(11)のR13に対応する基であることが好ましい。
【0048】
置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフルオレニル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基の置換基(以下、任意の置換基ともいう。)としては、フェニルチオ基、エチロールオキシ基、炭素数1~20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基)、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)されていてもよい炭素数1~20(好ましくは1~10、より好ましくは1~8)のアルコキシ基、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ基、ベンゾイル基等が挙げられる。
任意の置換基は、さらに上述の任意の置換基を有してもよい。
【0049】
(C)成分は、光硬化性を向上させる観点から、下記式(12)又は式(13)で表される化合物であることが好ましい。
【化16】
式(12)中、R61及びR62は上記式(11)のR11及びR12と同じである。
64は、-H、-OH、-COOH、-O(CH)OH、-O(CHOH、-COO(CH)OH、又は-COO(CHOHであり、-H、-O(CH)OH、-O(CHOH、-COO(CH)OH、又は-COO(CHOHであることが好ましく、-H、-O(CHOH、又は-COO(CHOHであることがより好ましい。
【0050】
【化17】
式(13)中、R61及びR62は上記式(11)のR11及びR12と同じである。
65は、炭素数1~6のアルキル基であり、エチル基であることが好ましい。R66は、炭素数1~12のアルキル基、又はアセタール結合を有する有機基であり、メチル基又は後述する式(17)で表される化合物が有する、式(13)のR66に対応する置換基であることが好ましい。iは1~3の整数であり、1又は2であることが好ましい。
【0051】
上記式(12)で表される化合物としては、例えば、下記式(14)及び下記式(15)で表される化合物が挙げられる。下記式(14)で表される化合物はIRGACURE OXE-01(BASFジャパン株式会社製)として入手可能である。
【化18】
【0052】
上記式(13)で表される化合物としては、例えば、下記式(16)又は(17)で表される化合物が挙げられ、これらはそれぞれ、IRGACURE OXE-02(BASFジャパン株式会社製)、アデカオプトマーN-1919(株式会社ADEKA製)として入手可能である。
【化19】
【0053】
また、(C)成分の光重合開始剤として、下記式(18)~(20)で表される化合物を用いることもできる。
【化20】
【0054】
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、より好ましくは0.1~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~6質量部である。上記範囲内の場合、光架橋が膜厚方向で同程度となりやすく、実用的なレリ-フパターンを得やすくなる。
【0055】
((D)成分:架橋剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに架橋剤(以下、「(D)成分」ともいう。)を含んでもよい。
(D)成分は、重合性の不飽和二重結合含有基を有することが好ましく、架橋密度及び光感度の向上、現像後のパターンの膨潤の抑制のため、重合性の不飽和二重結合含有基を2~6つ有することが好ましく、2~4つ有することがさらに好ましい。(D)成分は、光重合開始剤により重合可能な(メタ)アクリル基を有する化合物であることが好ましい。
【0056】
(D)成分として、具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4-ビニルトルエン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が挙げられる。
【0057】
(D)成分は、重合性の不飽和二重結合含有基を有し、さらに脂肪族環状骨格(好ましくは炭素数4~15、より好ましくは5~12)を有することが好ましい。これにより、形成できる硬化物に疎水性を付与でき、高温多湿条件下での硬化物と基板間の接着性低下を抑制できる。
【0058】
(D)成分は、下記式(31)で表される架橋剤を含むことが好ましい。
【化21】
(式(31)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基又は下記式(32)で表される基である。n1は0又は1であり、n2は0~2の整数であり、n1+n2は1以上(好ましくは2又は3)である。n1個のR51及びn2個のR52の少なくとも1つ(好ましくは2又は3)は、下記式(32)で表される基である。)
【0059】
52が2つの場合、2つのR52は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0060】
【化22】
(式(32)中、R53~R55は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であり、lは0~10の整数(好ましくは0、1又は2)である。)
【0061】
式(31)のR51及びR52の炭素数1~4の脂肪族炭化水素基としては、式(21)のR21及びR22の炭素数1~4の脂肪族炭化水素基と同じ基が挙げられる。
【0062】
(D)成分を含有する場合の含有量は、好ましくは(A)成分100質量部に対して1~100質量部であり、より好ましくは1~75質量部であり、さらに好ましくは1~50質量部である。
【0063】
((E)成分:熱重合開始剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに熱重合開始剤(以下、「(E)成分」ともいう。)を含んでもよい。
(E)成分としては、感光性樹脂膜の成膜時に溶剤を除去するための加熱(乾燥)では分解せず、硬化時の加熱により分解してラジカルを発生し、(D)成分同士、又は(A)成分及び(D)成分の重合反応を促進する化合物が好ましい。そのため、(E)成分は、分解点が110℃以上200℃以下の化合物が好ましく、より低温で重合反応を促進する観点から、110℃以上175℃以下の化合物がより好ましい。
(E)成分としては、ビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシド等が挙げられる。
【0064】
(E)成分を含有する場合の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5~20質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましく、乾燥時の分解による溶解性低下の抑制の観点から、1~10質量部がさらに好ましい。
【0065】
(他の成分)
本発明の感光性樹脂組成物は、上記成分以外に、カップリング剤、界面活性剤又はレベリング剤、防錆剤、及び重合禁止剤等を含有してもよい。
【0066】
(カップリング剤)
カップリング剤は、現像後の加熱処理において、(A)成分と反応して架橋するか、又は加熱処理する工程においてカップリング剤自身が重合する。これにより、得られる硬化膜と基板との接着性をより向上させることができる。
【0067】
カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、ウレア結合(-NH-CO-NH-)を有する化合物が挙げられる。これにより、200℃以下の低温下で硬化を行った場合も、得られる硬化膜と基板との接着性をさらに高めることができる。
低温での硬化を行った際の接着性の発現に優れる点で、下記式(41)で表される化合物がより好ましい。
【化23】
(式(41)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、炭素数1~5のアルキル基である。jは1~10の整数であり、kは1~3の整数である。)
【0068】
式(41)で表される化合物の具体例としては、ウレイドメチルトリメトキシシラン、ウレイドメチルトリエトキシシラン、2-ウレイドエチルトリメトキシシラン、2-ウレイドエチルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、4-ウレイドブチルトリメトキシシラン、4-ウレイドブチルトリエトキシシラン等が挙げられ、好ましくは3-ウレイドプロピルトリエトキシシランである。
【0069】
シランカップリング剤として、ヒドロキシ基又はグリシジル基を有するシランカップリング剤を用いてもよい。ヒドロキシ基又はグリシジル基を有するシランカップリング剤、及び分子内にウレア結合を有するシランカップリング剤を併用すると、さらに低温硬化時の硬化膜の基板への接着性を向上することができる。
【0070】
ヒドロキシ基又はグリシジル基を有するシランカップリング剤としては、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n-プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n-ブチルフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert-ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n-プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n-ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert-ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn-プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n-ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert-ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n-プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n-ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert-ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4-ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジプロピルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4-ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン、及び下記式(42)で表わされる化合物等が挙げられる。中でも、特に、基板との接着性をより向上させるため、式(42)で表される化合物が好ましい。
【0071】
【化24】
(式(42)中、R73はヒドロキシ基又はグリシジル基を有する1価の有機基であり、R74及びR75は、それぞれ独立に、炭素数1~5のアルキル基である。oは1~10の整数であり、pは1~3の整数である。)
【0072】
式(42)で表される化合物としては、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、4-ヒドロキシブチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0073】
ヒドロキシ基又はグリシジル基を有するシランカップリング剤は、さらに窒素原子を有する基(例えばアミノ基又はアミド結合)を含むシランカップリング剤がより好ましい。
さらにアミノ基を有するシランカップリング剤としては、ビス(2-ヒドロキシメチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2-ヒドロキシメチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(2-グリシドキシメチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2-ヒドロキシメチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0074】
さらにアミド結合を有するシランカップリング剤としては、下記式(43)で表される化合物等が挙げられる。
76-(CH-CO-NH-(CH-Si(OR77 (43)
(式(43)中、R76はヒドロキシ基又はグリシジル基であり、q及びuは、それぞれ独立に、1~3の整数であり、R77はメチル基、エチル基又はプロピル基である。)
【0075】
シランカップリング剤を用いる場合、シランカップリング剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.3~10質量部がより好ましく、1~10質量部がさらに好ましい。
【0076】
(界面活性剤又はレベリング剤)
界面活性剤又はレベリング剤を含むことで、塗布性(例えばストリエーション(膜厚のムラ)の抑制)及び現像性を向上させることができる。
【0077】
界面活性剤又はレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等が挙げられ、市販品としては、商品名「メガファックスF171」、「F173」、「R-08」(以上、DIC株式会社製)、商品名「フロラードFC430」、「FC431」(以上、スリーエム ジャパン株式会社製)、商品名「オルガノシロキサンポリマーKP341」、「KBM303」、「KBM403」、「KBM803」(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0078】
界面活性剤又はレベリング剤を含む場合、界面活性剤又はレベリング剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましく、0.05~3質量部がさらに好ましい。
【0079】
(防錆剤)
防錆剤を含むことで、銅及び銅合金の腐食の抑制や変色の防止ができる。
防錆剤としては、例えば、トリアゾール誘導体及びテトラゾール誘導体等が挙げられる。
防錆剤を用いる場合、防錆剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部がさらに好ましい。
【0080】
(重合禁止剤)
重合禁止剤を含有することで、良好な保存安定性を確保することができる。
重合禁止剤としては、ラジカル重合禁止剤、ラジカル重合抑制剤等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ジフェニル-p-ベンゾキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノン、ピロガロール、フェノチアジン、レゾルシノール、オルトジニトロベンゼン、パラジニトロベンゼン、メタジニトロベンゼン、フェナントラキノン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、クペロン、2,5-トルキノン、タンニン酸、パラベンジルアミノフェノール、ニトロソアミン類等が挙げられる。
【0081】
重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量としては、感光性樹脂組成物の保存安定性及び得られる硬化膜の耐熱性の観点から、(A)成分100質量部に対して、0.01~30質量部が好ましく、0.01~10質量部がより好ましく、0.05~5質量部がさらに好ましい。
【0082】
本発明の感光性樹脂組成物は、本質的に、(A)~(C)成分、並びに、溶剤、(D)成分、(E)成分、カップリング剤、界面活性剤、レベリング剤、防錆剤及び重合禁止剤からなる群から選択される1以上の成分からなってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでもよい。
本発明の感光性樹脂組成物の、例えば、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上又は100質量%が、
(A)~(C)成分、
(A)~(C)成分及び溶剤、
(A)~(D)成分及び溶剤、
(A)~(E)成分及び溶剤、又は
(A)~(C)成分、並びに、溶剤、(D)成分、(E)成分、カップリング剤、界面活性剤、レベリング剤、防錆剤及び重合禁止剤からなる群から選択される1以上の成分からなっていてもよい。
【0083】
[硬化膜]
本発明の硬化膜は、上述の感光性樹脂組成物を硬化することで得ることができる。本発明の硬化膜は、パターン硬化膜として用いてもよく、パターンがない硬化膜として用いてもよい。本発明の硬化膜の膜厚は、5~20μmが好ましい。
【0084】
[パターン硬化膜の製造方法]
本発明のパターン硬化膜の製造方法では、上述の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、感光性樹脂膜をパターン露光して、樹脂膜を得る工程と、パターン露光後の樹脂膜を、有機溶剤を用いて現像し、パターン樹脂膜を得る工程と、パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、を含む。これにより、パターン硬化膜を得ることができる。
【0085】
パターンがない硬化膜を製造する方法は、例えば、上述の感光性樹脂膜を形成する工程と加熱処理する工程とを備える。さらに、露光する工程を備えてもよい。
【0086】
基板としては、ガラス基板、Si基板(シリコンウエハ)等の半導体基板、TiO基板、SiO基板等の金属酸化物絶縁体基板、窒化ケイ素基板、銅基板、銅合金基板などが挙げられる。
【0087】
塗布方法は特に限定されないが、スピナー等を用いて行うことができる。
【0088】
乾燥は、ホットプレート、オーブン等を用いて行うことができる。
乾燥温度は90~150℃が好ましく、(D)成分を含有する場合は、溶解コントラスト確保の観点から、(A)成分と(D)成分の反応を抑制するために90~120℃がより好ましい。
乾燥時間は、30秒間~5分間が好ましい。
乾燥は、2回以上行ってもよい。
これにより、上述の感光性樹脂組成物を膜状に形成した感光性樹脂膜を得ることができる。
【0089】
感光性樹脂膜の膜厚は、5~100μmが好ましく、8~50μmがより好ましく、10~30μmがさらに好ましい。
【0090】
パターン露光は、例えばフォトマスクを介して所定のパターンに露光する。
照射する活性光線は、i線等の紫外線、可視光線、放射線などが挙げられるが、i線であることが好ましい。
露光装置としては、平行露光機、投影露光機、ステッパ、スキャナ露光機等を用いることができる。
【0091】
現像することで、パターン形成された樹脂膜(パターン樹脂膜)を得ることができる。一般的に、ネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、未露光部を現像液で除去する。
現像液として用いる有機溶剤は、感光性樹脂膜の良溶媒を単独で、又は良溶媒と貧溶媒を適宜混合して用いることができる。
良溶媒としては、N-メチルピロリドン、N-アセチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
貧溶媒としては、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び水等が挙げられる。
【0092】
現像液に界面活性剤を添加してもよい。添加量としては、現像液100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。
【0093】
現像時間は、例えば感光性樹脂膜を浸漬して溶解するまでの時間の2倍とすることができる。
現像時間は、用いる(A)成分によっても異なるが、10秒間~15分間が好ましく、10秒間~5分間がより好ましく、生産性の観点からは、20秒間~5分間がさらに好ましい。
【0094】
現像後、リンス液により洗浄を行ってもよい。
リンス液としては、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を単独で、又は適宜混合して用いてもよく、また段階的に組み合わせて用いてもよい。
【0095】
パターン樹脂膜を加熱処理することにより、パターン硬化膜を得ることができる。
(A)成分のポリイミド前駆体が、加熱処理工程によって、脱水閉環反応を起こし、対応するポリイミドとなってもよい。
【0096】
加熱処理の温度は、250℃以下が好ましく、120~250℃がより好ましく、200℃以下又は150~200℃がさらに好ましい。
上記範囲内であることにより、基板やデバイスへのダメージを小さく抑えることができ、デバイスを歩留り良く生産することが可能となり、プロセスの省エネルギー化を実現することができる。
【0097】
加熱処理の時間は、5時間以下が好ましく、30分間~3時間がより好ましい。上記範囲内であることにより、架橋反応又は脱水閉環反応を充分に進行することができる。
加熱処理の雰囲気は大気中であっても、窒素等の不活性雰囲気中であってもよいが、パターン樹脂膜の酸化を防ぐことができる観点から、窒素雰囲気下が好ましい。
【0098】
加熱処理のために用いる装置としては、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等が挙げられる。
【0099】
[層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜、電子部品]
本発明の硬化膜は、パッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜等として用いることができる。
上記パッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜、カバーコート層及び表面保護膜等からなる群から選択される1以上を用いて、信頼性の高い、半導体装置、多層配線板、各種電子デバイス等の電子部品などを製造することができる。
【0100】
本発明の電子部品である半導体装置の製造工程の一例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品である多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
図1において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2などで被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成される。その後、前記半導体基板1上に層間絶縁膜4が形成される。
【0101】
次に、塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が、層間絶縁膜4上に形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出するように窓6Aが設けられる。
【0102】
窓6Aが露出した層間絶縁膜4は、選択的にエッチングされ、窓6Bが設けられる。
次いで、窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5を腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5が除去される。
【0103】
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成し、第1導体層3との電気的接続を行う。
3層以上の多層配線構造を形成する場合には、上述の工程を繰り返して行い、各層を形成することができる。
【0104】
次に、上述の感光性樹脂組成物を用いて、パターン露光により窓6Cを開口し、表面保護膜8を形成する。表面保護膜8は、第2導体層7を外部からの応力、α線等から保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
尚、前記例において、層間絶縁膜4を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
【実施例
【0105】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明について具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0106】
合成例1(ポリマーIの合成)
3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA)7.07gと2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン(DMAP)4.12gとをNMP30gに溶解し、30℃で4時間撹拌し、その後室温下で一晩撹拌してポリアミド酸を得た。そこに水冷下で無水トリフルオロ酢酸を9.45g加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)7.08gを加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリイミド前駆体を得た(以下、「ポリマーI」とする)。
GPC法を用いて、標準ポリスチレン換算により、以下の条件でポリマーIの数平均分子量を求めた。ポリマーIの数平均分子量は40,000であった。
数平均分子量は、0.5mgのポリマーIに対して溶剤[テトラヒドロフラン(THF)/ジメチルホルムアミド(DMF)=1/1(容積比)]1mLの溶液を用いて測定した。
【0107】
測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L4000UV
ポンプ:株式会社日立製作所製L6000
データ処理機:株式会社島津製作所製C-R4A Chromatopac
カラム:Gelpack GL-S300MDT-5×2本
溶離液:THF/DMF=1/1(容積比)
LiBr(0.03mol/L)、HPO(0.06mol/L)
流速:1.0mL/分
検出器:UV270nm
【0108】
また、ポリマーIのエステル化率(ODPAのカルボキシ基のHEMAとの反応率)を、以下の条件でNMR測定を行い、算出した。エステル化率は、全カルボキシ基及び全カルボキシエステルに対し80モル%であった(残り20モル%はカルボキシ基であった)。
測定機器:ブルカー・バイオスピン社製 AV400M
磁場強度:400MHz
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
溶媒:ジメチルスルホキシド(DMSO)
【0109】
実施例及び比較例で用いた各成分は以下の通りである。
【0110】
((A)成分:重合性の不飽和結合を有するポリイミド前駆体)
ポリマーI:合成例1で得られたポリマーI
【0111】
((B)成分:式(1)~(4)で表される化合物のうち一以上)
B1:N-ホルミルモルホリン
B2:プロピレンカーボネート
B3:3-メトキシ-N、N-ジメチルプロピオンアミド
B4:1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン
((B’)成分)
B5:γ-ブチロラクトン
B6:NMP
尚、(B’)成分とは、本発明で用いる(B)成分とは異なる成分を意味する。
【化25】
【0112】
((C)成分:光重合開始剤)
C1:「IRGACURE OXE 02」(BASFジャパン株式会社製、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、下記式で表される化合物)
【化26】
C2:「PDO」(ランブソン社製、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、下記式で表される化合物)
【化27】
C3:NCI-930(株式会社ADEKA製、O-アシルオキシム系化合物、下記式で表される化合物)
【化28】
【0113】
((D)成分:架橋剤)
D1:「A-DCP」(新中村化学工業株式会社製、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、下記式で表される化合物)
【化29】
D2:CYMEL 300(オルネクス社製、下記式で表される化合物)
【化30】
【0114】
((E)成分:熱重合開始剤)
E1:パークミルD(日本油脂株式会社製、ビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシド、下記式で表される化合物)
【化31】
【0115】
実施例1~3及び比較例1
[感光性樹脂組成物の調製]
表1に示す成分及び配合量にて実施例1~3及び比較例1の感光性樹脂組成物を調製した。表1の配合量は、100質量部の(A)成分に対する各成分の質量部である。
【0116】
[感度の評価]
得られた感光性樹脂組成物を、塗布装置「Act8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いてシリコンウエハ上にスピンコートし、100℃で2分間乾燥後、110℃で2分間乾燥して乾燥膜厚が13μmの感光性樹脂膜を形成した。得られた感光性樹脂膜をシクロペンタノンに浸漬して完全に溶解するまでの時間の2倍を現像時間として設定した。
上記と同様に感光性樹脂膜を作製し、得られた感光性樹脂膜に、i線ステッパ「FPA-3000iW」(キヤノン株式会社製)を用いて、100~600mJ/cmのi線を、50mJ/cm刻みの照射量で所定のパターンに照射して露光を行った。露光後の樹脂膜を、「Act8」により、シクロペンタノンを用いて上記現像時間でパドル現像した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)でリンス洗浄を行い、パターン樹脂膜を得た。
得られたパターン樹脂膜の膜厚を露光前の感光性樹脂膜の膜厚で除し、百分率とすることで残膜率を算出した。残膜率80%以上のパターン樹脂膜を形成できる露光量を感度として評価した。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例4,5及び比較例2
[感光性樹脂組成物の調製]
架橋剤((D)成分)の配合量を(A)成分100質量部に対して25質量部に変更し、(B)成分又は(B’)成分の種類と配合量を表2に示すように変更した他は実施例1と同じように感光性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
表1及び2より、特定の(B)成分を用いる本発明の感光性樹脂組成物は、低露光量であっても感度よくパターンを作成することができることが分かる。また、実施例4,5より、(B)成分の含有量が少量であっても感度向上効果が得られることが分かる。
【0121】
実施例6及び7
[感光性樹脂組成物の調製及び感度の評価]
表3に示す成分及び配合量にて実施例6及び7の感光性樹脂組成物を調製した。表3の配合量は、100質量部の(A)成分に対する各成分の質量部である。
得られた感光性樹脂組成物について、実施例1~3及び比較例1と同様に、パターン樹脂膜を得た。
得られたパターン樹脂膜について、実施例1~3及び比較例1と同様に、評価した。感度を表3に示す。
【0122】
[硬化膜の製造]
上述のパターン樹脂膜について、縦型拡散炉μ-TF(光洋サーモシステム株式会社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、パターン硬化物(硬化後膜厚10μm)を得た。
【0123】
[硬化膜の外観の評価]
上述のパターン硬化物について、目視にて、ウエハの中心の5cm角の外観を評価した。上述のパターン樹脂膜と比べて、変化しなかったもの又は30未満の気泡が発生したものをAとした。30以上の気泡が発生したものをBとした。結果を表3に示す。
【0124】
[機械特性の評価]
得られたパターン硬化物を、4.9質量%フッ酸水溶液に浸漬して、10mm幅の硬化物をウエハから剥離した。
剥離した10mm幅の硬化物について、オートグラフAGS-X 100 N(株式会社島津製作所製)を用いて、引っ張り試験を行った。チャック間距離20mm、引張速度5mm/分、測定温度を18~25℃とし、各実施例の硬化物ごとに、3回測定し、平均値を求めた。
平均値が、30%以上の場合をAとし、30%未満の場合をBとした。
結果を表3に示す。
【0125】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の感光性樹脂組成物は、層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜等に用いることができ、本発明の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜は、電子部品等に用いることができる。
【0127】
上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献、及び本願のパリ条約による優先権の基礎となる出願の内容を全て援用する。
図1