(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】板ガラスの製造装置
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
C03B17/06
(21)【出願番号】P 2020550445
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2019038719
(87)【国際公開番号】W WO2020071353
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2018189418
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 正徳
(72)【発明者】
【氏名】小野 和孝
【審査官】中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-076212(JP,A)
【文献】特開2008-290921(JP,A)
【文献】特開2018-062433(JP,A)
【文献】米国特許第05535933(US,A)
【文献】米国特許第02881618(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 17/00-17/06
C03B 18/00-18/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10kg/時間以上のガラスリボンの生産能力を有する、板ガラスの製造装置であって、
原料を溶解し、溶融ガラスを形成する溶解ユニットと、
前記溶融ガラスを成形して、ガラスリボンを形成する成形ユニット
であって、フロートバスを含む、成形ユニットと、
前記ガラスリボンを徐冷する徐冷ユニットと、
前記ガラスリボンを切断する切断ユニットと、
を有し、
前記各ユニットは、それぞれに対応する別のユニットと入れ替え可能である、板ガラスの製造装置。
【請求項2】
前記各ユニットは、上下方向および/または水平方向に、スライド式に移動可能である、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記別のユニットは、対応する前記ユニットと略同じ方向に、スライド式に移動可能である、請求項2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記成形ユニットで成形される前記ガラスリボンの全幅は、200mm以上である、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の製造装置。
【請求項5】
前記溶解ユニットは、原料の入力量と溶融ガラスの出力量を略等しくすることが可能な連続炉を有する、請求項1乃至
4のいずれか一つに記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ガラスの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板ガラスは、主に、ダウンドロー法およびフロート法などの連続成形プロセスにより製造されている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
ダウンドロー法の代表例は、フュージョン法である。
【0004】
この方法では、まずガラス原料を溶解することにより得られた溶融ガラスが、成形用の部材(以下、「成形部材」と称する)の上部に供給される。成形部材は、断面が下向きに尖った略くさび状となっており、溶融ガラスは、この成形部材の対向する2つの側面に沿って流下される。両側面に沿って流下する溶融ガラスは、成形部材の下端(「合流点」という)で合流、一体化され、これによりガラスリボンが成形される。その後、このガラスリボンは、ローラーなどの牽引部材により、徐冷されながら下向きに牽引され、所定の寸法で切断される。
【0005】
一方、フロート法では、溶融ガラスを溶融スズ上で搬送させることにより、ガラスリボンが成形される。その後、ガラスリボンは、徐冷され、所定の寸法で切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-028005号公報
【文献】特公昭48-20761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の板ガラスの製造装置は、同一組成の板ガラスを大量生産することには適しているものの、組成の異なる複数種類の板ガラスを生産することには不向きである。板ガラスは、その組成によって、温度特性および粘度特性などが異なり、それぞれの組成によって、適正な使用設備および製造条件等が異なるためである。
【0008】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、組成の異なる複数種類の板ガラスを適正に製造することが可能な、板ガラスの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、10kg/時間以上のガラスリボンの生産能力を有する、板ガラスの製造装置であって、
原料を溶解し、溶融ガラスを形成する溶解ユニットと、
前記溶融ガラスを成形して、ガラスリボンを形成する成形ユニットと、
前記ガラスリボンを徐冷する徐冷ユニットと、
前記ガラスリボンを切断する切断ユニットと、
を有し、
前記各ユニットは、それぞれに対応する別のユニットと入れ替え可能である、板ガラスの製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、組成の異なる複数種類の板ガラスを適正に製造することが可能な、板ガラスの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による板ガラスの製造装置の模式的なブロック図である。
【
図2】選定されたユニットを既設のユニットと入れ替える際の様子を、模式的に示した図である。
【
図3】選定されたユニットを既設のユニットと入れ替える際の様子を、模式的に示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態による板ガラスの製造装置において、成形ユニットに設けられた成形手段の構成の一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述のように、従来の板ガラスの製造装置では、組成の異なる複数種類の板ガラスを適正に製造することは難しいという問題がある。
【0013】
これに対して、本発明の一実施形態では、
10kg/時間以上のガラスリボンの生産能力を有する、板ガラスの製造装置であって、
原料を溶解し、溶融ガラスを形成する溶解ユニットと、
前記溶融ガラスを成形して、ガラスリボンを形成する成形ユニットと、
前記ガラスリボンを徐冷する徐冷ユニットと、
前記ガラスリボンを切断する切断ユニットと、
を有し、
前記各ユニットは、それぞれに対応する別のユニットと入れ替え可能である、板ガラスの製造装置が提供される。
【0014】
ここで、「各ユニットは、それぞれに対応する別のユニットと入れ替え可能である」とは、ある溶解ユニットを別の溶解ユニットと入れ替えることが可能であり、ある成形ユニットを別の成形ユニットと入れ替えることが可能であり、ある徐冷ユニットを別の徐冷ユニットと入れ替えることが可能であり、ある切断ユニットを別の切断ユニットと入れ替えることが可能であることを意味する。
【0015】
このような板ガラスの製造装置では、溶解ユニット、成形ユニット、徐冷ユニット、および切断ユニットのそれぞれを、製造される板ガラスに応じて、適宜適正なものに切り換えることができる。
【0016】
例えば、ある組成の板ガラスAを製造する際には、溶解ユニットA、成形ユニットA、徐冷ユニットA、および切断ユニットAを使用して製造ラインを構築し、別の組成の板ガラスBを製造する際には、溶解ユニットB、成形ユニットB、徐冷ユニットB、および切断ユニットBを使用して製造ラインを構築するなど、製造される板ガラスに応じて、適切な製造ラインを構築することができる。
【0017】
従って、本発明の一実施形態では、組成の異なる複数種類の板ガラスを適正に製造することが可能となる。
【0018】
(本発明の一実施形態による板ガラスの製造装置)
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による板ガラスの製造装置について、より詳しく説明する。
【0019】
図1には、本発明の一実施形態による板ガラスの製造装置(以下、「第1の製造装置」と称する)の模式的なブロック図を示す。
【0020】
図1に示すように、第1の製造装置100は、溶解ユニット110、成形ユニット130、徐冷ユニット150、および切断ユニット170を有する。溶解ユニット110、成形ユニット130、徐冷ユニット150、および切断ユニット170は、この順に一体化されて板ガラスの製造ライン12を構成する。
【0021】
溶解ユニット110は、第1の製造装置100において、原料を溶解し、溶融ガラスを形成する機能を有する場所である。成形ユニット130は、溶解ユニット110から供給される溶融ガラスを成形して、ガラスリボンを形成する機能を有する場所である。徐冷ユニット150は、成形ユニット130から供給されるガラスリボンを徐冷する機能を有する場所である。また、切断ユニット170は、徐冷されたガラスリボンを切断する機能を有する場所である。
【0022】
ここで、第1の製造装置100において、溶解ユニット110、成形ユニット130、徐冷ユニット150、および切断ユニット170は、それぞれ、製造ライン12から取り外し可能に構成される。
【0023】
また、第1の製造装置100は、溶解ユニット110、成形ユニット130、徐冷ユニット150、および切断ユニット170を、それぞれ複数有する。
【0024】
例えば、
図1に示した例では、第1の製造装置100は、4つの溶解ユニット、すなわち、第1の溶解ユニット110A、第2の溶解ユニット110B、第3の溶解ユニット110C、および第4の溶解ユニット110Dを有する。また、第1の製造装置100は、4つの成形ユニット、すなわち、第1の成形ユニット130A、第2の成形ユニット130B、第3の成形ユニット130C、および第4の成形ユニット130Dを有する。また、第1の製造装置100は、4つの徐冷ユニット、すなわち、第1の徐冷ユニット150A、第2の徐冷ユニット150B、第3の徐冷ユニット150C、および第4の徐冷ユニット150Dを有する。さらに、第1の製造装置100は、4つの切断ユニット、すなわち、第1の切断ユニット170A、第2の切断ユニット170B、第3の切断ユニット170C、および第4の切断ユニット170Dを有する。
【0025】
以下、各ユニットに含まれる候補の数を、「選択数」と称する。上記の例では、溶解ユニット110、成形ユニット130、徐冷ユニット150、および切断ユニット170の選択数は、いずれも4である。
【0026】
ただし、これらの例は、単なる一例であって、各ユニットの選択数は、2以上のいかなる数であっても良い。また、それぞれのユニットにおいて、選択数は異なっていても良い。
【0027】
このような構成の第1の製造装置100は、以下のように使用される。
【0028】
まず、第1の製造装置100を用いて、ある組成を有する第1の板ガラスを製造する場合、溶解ユニット110、成形ユニット130、徐冷ユニット150、および切断ユニット170の各々として、候補の中から最適なユニットが選定される。また、選定されたユニットが相互に組み合わされて、製造ライン12が構築される。
【0029】
例えば、
図1に示した例では、溶解ユニット110として、第1の溶解ユニット110Aが選定され、成形ユニット130として、第1の成形ユニット130Aが選定され、徐冷ユニット150として、第1の徐冷ユニット150Aが選定され、切断ユニット170として、第1の切断ユニット170Aが選定される。
【0030】
次に、選定された各ユニットが相互に組み合わされ、
図1に示すような、第1の板ガラス用の製造ライン12が構築される。
【0031】
なお、必要な場合、隣接するユニットは、相互に「連結」されても良い。
【0032】
本願において、「連結」とは、2つのユニット同士が機械的につなぎ合わされることを意味する。
【0033】
例えば、溶解ユニット110Aが溶融ガラスの排出口を有し、成形ユニット130Aが溶融ガラスの受容部を有する場合、溶解ユニット110Aの排出口と、成形ユニット130Aの受容部とが、相互に「連結」されても良い。また、成形ユニット130Aおよび徐冷ユニット150Aが、それぞれ、ガラスリボンの搬送路を有する場合、両方の搬送路が「連結」されても良い。
【0034】
このような製造ライン12を用いて、第1の板ガラスが製造される。
【0035】
その後、別の組成を有する第2の板ガラスを製造する際には、例えば、溶解ユニット110として、第2の溶解ユニット110Bが選定され、成形ユニット130として、第2の成形ユニット130Bが選定され、徐冷ユニット150として、第2の徐冷ユニット150Bが選定され、切断ユニット170として、第2の切断ユニット170Bが選定される。
【0036】
また、選定されたユニット110B、130B、150B、170Bが相互に組み合わされ、第2の板ガラス用の製造ラインが構築される。そして、この新たに構築された製造ラインを用いて、第2の板ガラスが製造される。
【0037】
このような方法により、第1の製造装置100では、従来は適正に製造することが難しかった、組成の異なる複数種類の板ガラスを適正に製造することができる。
【0038】
ところで、既設の第1の板ガラス用の製造ラインから、新たに第2の板ガラス用の製造ラインを構築するためには、第1の板ガラス用の製造ライン12を構成している各既設のユニット(例えば、第1の溶解ユニット110A、第1の成形ユニット130A、第1の徐冷ユニット150A、第1の切断ユニット170A)を、一度、現位置から移動させる必要がある。また、既設のユニット110A、130A、150A、170Aの移動によって空いたスペースに、新たに選定されたユニット(例えば、第2の溶解ユニット110B、第2の成形ユニット130B、第2の徐冷ユニット150B、第2の切断ユニット170B)を設置する必要がある。
【0039】
以下、
図2および
図3を参照して、このような「入れ替え操作」を実施するための一例について説明する。なお、ここでは、溶解ユニット110を例に、その入れ替え操作について説明する。
【0040】
図2および
図3には、既設のユニットを選定されたユニットと入れ替える際の様子を、模式的に示す。
【0041】
図2に示すように、第1の製造装置100が設置される一画(以下、「区画10」と称する)内に、第1の待機領域115および第2の待機領域117が設けられる。
【0042】
両待機領域115、117は、両者の間に設置領域111が介在されるように配置される。
【0043】
なお、設置領域111は、板ガラスの製造ライン12において、選定された溶解ユニット110が配置される領域である。また、第1の待機領域115および第2の待機領域117は、選定されなかった溶解ユニットを待避させる場所を確保するために設けられた領域である。
【0044】
例えば、
図2に示した例では、第1の溶解ユニット110Aが設置領域111に配置され、その他の溶解ユニット110B~110Dは、いずれも第1の待機領域115に待機されている。
【0045】
区画10内には、第1の待機領域115から第2の待機領域117にわたって(
図2に示した例では、上下方向に沿って)、2本のレール102が相互に平行に配設されている。また、
図2からは明確ではないが、各ユニットには、底部に車輪が取り付けられている。このような車輪によって、該車輪が取り付けられたユニットを、レール102に沿って所定の位置まで移動させたり、所定の位置で停止させたりすることができる。
【0046】
このような状態において、例えば、設置領域111に設置された第1の溶解ユニット110Aを第4の溶解ユニット110Dと入れ替える場合、まず、第1の溶解ユニット110Aが、レール102に沿って、矢印Aの方向に移動され、第2の待機領域117内に移設される。次に、第2の溶解ユニット110Bおよび第3の溶解ユニット110Cも同様に、レール102に沿って、矢印Aの方向に移動され、第1の待機領域115から、第2の待機領域117に移設される。
【0047】
次に、第4の溶解ユニット110Dも、同様にレール102に沿って、矢印Aの方向に移動される。ただし、第4の溶解ユニット110Dは、第2の待機領域117までは移動されず、設置領域111で停止される。これにより、第1の待機領域115にあった第4の溶解ユニット110Dを、設置領域111に移設することができる。
【0048】
図3には、第4の溶解ユニット110Dが、設置領域111に移設された状態を模式的に示す。
【0049】
このようにして、製造ライン12において、第1の溶解ユニット110Aを、第4の溶解ユニット110Dと入れ替えることができる。
【0050】
なお、上記例では、第1の溶解ユニット110Aを第4の溶解ユニット110Dと入れ替える方法について説明したが、別のユニット同士の入れ替えも、同様に行えることは当業者には明らかである。
【0051】
また、成形ユニット130、徐冷ユニット150、および切断ユニット170においても、同様の方法により、既設のユニットと選定ユニットとを入れ替えることができる。
【0052】
ただし、本発明の一実施形態では、入れ替えの際に、必ずしも製造ライン12を構成する4つ全てのユニットを入れ替える必要はない。例えば、製造ライン12を構成するユニットのうち、3つ以下のユニットのみを、選定したものと入れ替えても良い。
【0053】
また、上記入れ替え方法は、単なる一例であって、既設のユニットと選定ユニットは、いかなる方法で入れ替えられても良い。
【0054】
例えば、上記のような、レールを用いたまたは用いない水平方向におけるスライドの代わりに、油圧ジャッキのような、各ユニットを上昇/下降させることが可能な手段を用いて、各ユニットを上下方向にスライドさせることにより、ユニットを入れ替えても良い。あるいは、水平方向と上下方向の移動の組み合わせを利用しても良い。また、ターンテーブルを用いて、各ユニットを水平に回転させることにより、ユニットを入れ替えても良い。
【0055】
(各ユニットについて)
次に、本発明の一実施形態による製造装置に含まれる各ユニットの構成について、より詳しく説明する。なお、ここでは、第1の製造装置100を例に、各ユニットについて説明する。従って、各ユニットを説明する際には、
図1~
図3に使用した参照符号を使用する。
【0056】
(溶解ユニット110)
溶解ユニット110は、前述のように、原料を溶解し、溶融ガラスを形成する機能を有する。溶融ガラスの生成量は、例えば、10kg/時間以上であっても良い。
【0057】
溶解ユニット110は、例えば、原料を溶解する溶解炉を有しても良い。そのような溶解炉は、通常、原料の投与口および溶融ガラスの排出口を有する。
【0058】
溶解炉は、いわゆる「連続炉」であっても良い。ここで、「連続炉」とは、原料の供給量と溶融ガラスの排出量を、略等しくすることができる溶解炉を意味する。
【0059】
各溶解ユニット110A~110Dにおいて、溶解炉の構成、例えば、炉の材質および/または容量などは、異なっていても良い。
【0060】
(成形ユニット130)
成形ユニット130は、前述のように、溶解ユニット110から供給される溶融ガラスを成形して、ガラスリボンを形成する機能を有する。ガラスリボンの生成量は、例えば、10kg/時間以上であっても良い。
【0061】
成形ユニット130は、例えば、従来のフロート法で使用されるような、溶融金属(例えば溶融スズ)が収容されたフロートバスを有しても良い。この場合、成形ユニット130は、さらに、ガラスリボンを溶融金属上で搬送するための搬送手段、フロートバスを含む空間の雰囲気制御手段、および/またはガラスリボンの温度制御手段などを有しても良い。
【0062】
あるいは、成形ユニット130は、例えば従来のフュージョン法で使用されるような、ガラスリボンの成形手段を有しても良い。
【0063】
図4には、そのような成形手段の構成の一例を模式的に示す。
【0064】
図4に示すように、成形手段138は、収容部材140を有する。
【0065】
収容部材140は、上部部材142と、底部部材145とを有する。
【0066】
上部部材142は、上面142aと、該上面142aを取り囲む4つの側面142bとを有する。上面142aには上側が開放された凹部144が形成されている。また、対向する2つの側面142bは、鉛直方向(紙面の下向きの方向)、および紙面に対して垂直な方向に沿って、相互に平行に延在している。
【0067】
一方、収容部材140の底部部材145は、断面略逆三角形状となっており、2つの斜面146a、146bと、両斜面をつなぐ頂点146cとを有する。第1の斜面146a、第2の斜面146b、および頂点146cは、それぞれ、紙面に対して垂直な方向にも延伸しており、従って、収容部材140の下部は、略三角柱形状を有する。
【0068】
第1の斜面146aの上部は、上部部材142の一つの側面142bと接続されており、第2の斜面146bの上部は、上部部材142の一つの側面142bと接続されている。
【0069】
このような成形手段138を有する成形ユニット130を使用して、ガラスリボンを形成する場合、収容部材140の上部部材142の凹部144に、溶融ガラス180が供給される。溶融ガラス180は、溶解ユニット110から供給される。
【0070】
凹部144は、溶融ガラス180を収容する。ただし、凹部144の収容容積を超える溶融ガラス180が供給されると、溶融ガラス180は、収容部材140の対向する側面142bに沿って溢れ出し、第1の溶融ガラス部分182aおよび第2の溶融ガラス部分182bとなる。
【0071】
その後、第1の溶融ガラス部分182aは、収容部材140の第1の斜面146aに沿って、さらに下方に流れる。同様に、第2の溶融ガラス部分182bは、収容部材140の第2の斜面146bに沿って、さらに下方に流れる。
【0072】
その結果、第1の溶融ガラス部分182aおよび第2の溶融ガラス部分182bは、頂点146cに至り、ここで一体化される。
【0073】
その後、合体した溶融ガラスは、ガラスリボン184となり、ローラーなどの牽引手段(図示されていない)によって、さらに鉛直方向に引き延ばされる。その後、ガラスリボン184は、徐冷ユニット150(
図4には示されていない)に供給される。
【0074】
成形ユニット130は、このような構成を有しても良い。
【0075】
この場合、成形ユニット130は、さらに、成形手段138の雰囲気制御手段、および/またはガラスリボン184の温度制御手段などを有しても良い。
【0076】
成形ユニット130で製造されるガラスリボン184の幅は、例えば、200mm以上であっても良い。
【0077】
なお、成形ユニット130A~130Dは、製造される板ガラスの種類(例えば、組成、厚さ、および/または幅)に応じて、付属部品および/または寸法などを変化させても良い。
【0078】
(徐冷ユニット150)
徐冷ユニット150は、前述のように、成形ユニット130から供給されるガラスリボンを徐冷する機能を有する。
【0079】
徐冷ユニット150は、例えば、ガラスリボンを搬送する搬送手段、例えばローラーおよび/またはベルトコンベア等を有しても良い。
【0080】
徐冷ユニット150は、例えば従来のフロート法で使用されるような、略水平方向に延伸する徐冷炉を有しても良い。そのような徐冷炉の全長は、例えば、1000mm~30000mmの範囲であっても良い。あるいは、徐冷ユニット150は、例えば従来のフュージョン法で使用されるような、略鉛直方向に延伸する徐冷炉を有しても良い。そのような徐冷炉の全長は、例えば、1000mm~20000mmの範囲であっても良い。
【0081】
なお、徐冷炉は、製造される板ガラスの種類(例えば、組成、厚さ、および/または幅)に応じて、寸法を変化させても良い。
【0082】
各徐冷ユニット150A~150Dにおいて、搬送手段および/または徐冷炉は、異なっていても良い。
【0083】
(切断ユニット170)
切断ユニット170は、前述のように、徐冷ユニット150から供給される、徐冷後のガラスリボンを切断する機能を有する。
【0084】
切断ユニット170は、ガラスリボンを切断する切断手段を有する。そのような切断手段は、例えば、(上)下方向に移動してガラスリボンを切断する裁断カッター、水平方向に移動してガラスリボンを切断するスライド式カッター、およびレーザ切断機などを備えても良い。
【0085】
各切断ユニット170A~170Dにおいて、これらの切断手段は異なっていても良い。
【0086】
(第1の製造装置100)
第1の製造装置100は、板ガラスを連続的に製造できることが好ましい。
【0087】
第1の製造装置100は、例えば、単位時間当たり、10kg以上の板ガラスの製造能力を有する。第1の製造装置100の製造能力は、40kg/時間以上であっても良い。
【0088】
本願は、2018年10月4日に出願した日本国特許出願2018-189418号に基づく優先権を主張するものであり、同日本国出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0089】
10 区画
12 製造ライン
100 第1の製造装置
102 レール
110 溶解ユニット
110A~110D 第1~第4の溶解ユニット
111 設置領域
115 第1の待機領域
117 第2の待機領域
130 成形ユニット
130A~130D 第1~第4の成形ユニット
138 成形手段
140 収容部材
142 上部部材
142a 上面
142b 側面
144 凹部
145 底部部材
146a、146b 斜面
146c 頂点
150 徐冷ユニット
150A~150D 第1~第4の徐冷ユニット
170 切断ユニット
170A~170D 第1~第4の切断ユニット
180 溶融ガラス
182a 第1の溶融ガラス部分
182b 第2の溶融ガラス部分
184 ガラスリボン