(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物、及び剥離紙又は剥離フィルム
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20231011BHJP
C09D 183/07 20060101ALI20231011BHJP
C09D 183/05 20060101ALI20231011BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20231011BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20231011BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
C09K3/00 R
C09D183/07
C09D183/05
C08L83/07
C08L83/05
D21H27/00 A
(21)【出願番号】P 2022501774
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2021004007
(87)【国際公開番号】W WO2021166653
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2020024940
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 勇人
(72)【発明者】
【氏名】小林 中
(72)【発明者】
【氏名】中山 健
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-25135(JP,A)
【文献】特開2003-261855(JP,A)
【文献】特開平7-53875(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190012(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/199561(WO,A1)
【文献】特開2011-132532(JP,A)
【文献】特開2011-252142(JP,A)
【文献】特開平4-323284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
C09D 183/00-183/16
C08L 83/00-83/16
D21H 27/00-27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で表され、アルケニル基含有量が0.001~0.03mol/100gであり、25℃での30質量%トルエン希釈粘度が0.01~70Pa・sであるオルガノポリシロキサン:100質量部、
【化1】
(式中、R
1は同一又は異なってもよい、炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基であり、R
2は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基であり、a~dはそれぞれ2≦a≦30、400≦b≦20,000、0≦c≦20、0≦d≦15を満たす整数である。)
(B)下記式(2)で表され、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、アルケニル基含有量が0.1~1.0mol/100gであり、25℃での粘度が0.001~1Pa・sであるオルガノポリシロキサン:0.1~20質量部、
【化2】
(式中、R
3は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基で、R
3の少なくとも2個は炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基であり、R
4は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、e~hはそれぞれ2≦e≦30、0≦f≦60、0≦g≦20、0≦h≦10を満たす整数である。)
(C)ケイ素原子に結合する水素原子を1分子中に3個以上有し、且つアリール基を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)及び(B)成分のアルケニル基の合計個数あたりの(C)成分のSiH基の個数比が0.1~5となる量、
(D)ケイ素原子に結合する水素原子を1分子中に3個以上有し、アリール基を有し、ケイ素原子に結合する全置換基の合計個数に対する該アリール基の合計個数の割合が6~50%であり、且つSiH基量が0.7mol/100g以上2.0mol/100g以下であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)及び(B)成分のアルケニル基の合計個数あたりの(D)成分のSiH基の個数比が0.1~5となる量、
(E)白金族金属系触媒:触媒量、
(F)有機溶剤:50~20,000質量部
を含む付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
【請求項2】
前記(C)成分のSiH基量が、0.7mol/100g以上2.0mol/100g以下である請求項1に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
【請求項3】
前記(A)成分のR
1が、炭素数2~8のアルケニル基である請求項1又は2に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
【請求項4】
前記(A)成分のR
1が、ビニル基である請求項3に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
【請求項5】
更に、(G)帯電防止剤を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
【請求項6】
前記(G)成分が、導電性高分子化合物である請求項5に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
【請求項7】
紙基材又はフィルム基材上に、請求項1~6のいずれか1項に記載のシリコーン組成物の硬化物が形成されてなる剥離紙又は剥離フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物、及び該組成物の硬化物が形成されてなる剥離紙又は剥離フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
剥離紙や剥離フィルムとして、紙やプラスチックフィルム等の基材の表面にシリコーン系剥離剤が塗布され、架橋反応によって硬化皮膜を形成させて、接着性ないし粘着性物質に対する剥離性皮膜を用いることが知られている。
【0003】
基材表面にシリコーン硬化皮膜を形成する方法として、例えば、特許文献1~3には以下の方法が記載されている。
(1)白金系化合物を触媒としてアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させて剥離性皮膜を形成する方法(特許文献1:特開昭47-32072号公報)。
(2)有機金属塩を触媒として、水酸基やアルコキシ基といった官能基を有するオルガノポリシロキサンを縮合反応させて剥離性皮膜を形成する方法(特許文献2:特公昭35-13709号公報)。
(3)紫外線や電子線を用いてアクリル基を含有するオルガノポリシロキサンと光反応開始剤とをラジカル重合させて剥離性皮膜を形成する方法(特許文献3:特開昭54-162787号公報)。
【0004】
光学用途や電子電気部品用途には、透明性や表面平滑性に優れる基材として、プラスチックフィルムを用いた剥離フィルムがよく使用される。プラスチックフィルム基材は紙に比べて耐熱性が劣る欠点があるため、低温での硬化性が要求される。また粘着剤及び接着剤性能の向上や用途が多様化しているため、様々な剥離特性への要求に対応することが必要であり、シリコーン硬化皮膜の形成には付加反応が用いられることが多い。
【0005】
近年では、基材厚みが薄いプラスチックフィルム基材を用いる傾向があり、低温短時間の硬化条件にて皮膜を形成することが必要となり、シリコーン組成物の硬化性向上が強く要求されている。
また、剥離フィルム用途では、シリコーン組成物の硬化皮膜の厚みを薄くする傾向にある。硬化皮膜が薄くなることで、離型性を十分に引き出せない状況になりつつあり、剥離力を小さくすることが必要である。
他にも、硬化条件が低温短時間となることで、密着性も重要になる。プラスチックフィルム基材は表面が平滑であるため、シリコーン組成物は密着しにくく、硬化条件が低温短時間になるに従い、より密着は難しくなる。そのため、密着性の改善も必要である。
【0006】
シリコーン組成物の硬化性及び離型性を改善する提案は、以前からなされており、例えば、シリコーン組成物のベースポリマー構造に改良を加える方法として、RSiO3/2単位(Rは一価炭化水素基等)を含有した分岐構造を持たせるものが、特開平11-193366号公報(特許文献4)に提案されている。これらの方法は、高速で剥離した時の離型性の向上効果を目的としたもので、副次的な効果として硬化性の改善が見られるにとどまっている。
【0007】
特許第6418326号公報(特許文献5)には、末端に不飽和基を有するベースポリマーと、ベースポリマーよりも低分子量の末端に不飽和結合を有するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンを特定量配合することで、良好な硬化性を示し、剥離力の低い硬化皮膜を形成可能としているが、硬化性は更なる向上が必要であり、密着性の向上も必要である。
【0008】
またプラスチック基材は帯電し易く、シリコーン系剥離剤を塗布すると、更に帯電し易くなる傾向にあり、摩擦や剥離により静電気を発生し、粘着剤の帯電、異物の吸着、作業性の低下の問題を引き起こす。そのため電子部品用途では、シリコーン組成物に帯電防止剤を配合し、帯電防止性能を付与する提案もなされている。
【0009】
例えば、特許第6324250号公報(特許文献6)には、π共役系導電性高分子を有機相転相時にオキシラン系あるいはオキセタン系化合物を使用することで、硬化阻害を抑制でき、シリコーン組成物の硬化性が改善されるとしている。しかしながら、帯電防止剤は硬化性に悪影響を与えるだけでなく、密着性の低下をもたらす。剥離剤の使用方法が多様化する中では、このように帯電防止剤を配合した場合においても、優れた密着性を示すことが要求されるが、従来のシリコーン組成物では密着性が不十分であり、シリコーン組成物の密着性改善が強く求められている。
【0010】
このように、今までの技術では、小さな剥離力で、良好な硬化性を示し、密着性に優れるシリコーン組成物はなかった。また剥離剤の使用方法が広がる中で、帯電防止剤を配合しても優れた密着性が得られるシリコーン組成物が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開昭47-32072号公報
【文献】特公昭35-13709号公報
【文献】特開昭54-162787号公報
【文献】特開平11-193366号公報
【文献】特許第6418326号公報
【文献】特許第6324250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、各種粘着剤に対し小さな剥離力を示すとともに、良好な硬化性を示し、密着性に優れた硬化皮膜を与える付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物、及び該組成物を基材へ塗工し、硬化させて得られた剥離紙又は剥離フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するアルケニル基含有量が低いオルガノポリシロキサンと、特定の構造を有するアルケニル基含有量が高いオルガノポリシロキサンと、アリール基を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、アリール基を有しSiH基量の高いオルガノハイドロジェンポリシロキサンを特定の配合比で配合したシリコーン組成物の硬化物は、粘着剤に対して剥離力が小さくなり、硬化性及び密着性に優れることを見出した。また該シリコーン組成物に帯電防止剤を配合しても、優れた密着性を示すことを見出し、本発明をなすに至った。
【0014】
従って、本発明は、下記に示す付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物、及び剥離紙又は剥離フィルムを提供する。
〔1〕
(A)下記式(1)で表され、アルケニル基含有量が0.001~0.03mol/100gであり、25℃での30質量%トルエン希釈粘度が0.01~70Pa・sであるオルガノポリシロキサン:100質量部、
【化1】
(式中、R
1は同一又は異なってもよい、炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基であり、R
2は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基であり、a~dはそれぞれ2≦a≦30、400≦b≦20,000、0≦c≦20、0≦d≦15を満たす整数である。)
(B)下記式(2)で表され、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、アルケニル基含有量が0.1~1.0mol/100gであり、25℃での粘度が0.001~1Pa・sであるオルガノポリシロキサン:0.1~20質量部、
【化2】
(式中、R
3は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基で、R
3の少なくとも2個は炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基であり、R
4は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、e~hはそれぞれ2≦e≦30、0≦f≦60、0≦g≦20、0≦h≦10を満たす整数である。)
(C)ケイ素原子に結合する水素原子を1分子中に3個以上有し、且つアリール基を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)及び(B)成分のアルケニル基の合計個数あたりの(C)成分のSiH基の個数比が0.1~5となる量、
(D)ケイ素原子に結合する水素原子を1分子中に3個以上有し、アリール基を有し、ケイ素原子に結合する全置換基の合計個数に対する該アリール基の合計個数の割合が6~50%であり、且つSiH基量が0.7mol/100g以上2.0mol/100g以下であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)及び(B)成分のアルケニル基の合計個数あたりの(D)成分のSiH基の個数比が0.1~5となる量、
(E)白金族金属系触媒:触媒量、
(F)有機溶剤:50~20,000質量部
を含む付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
〔2〕
前記(C)成分のSiH基量が、0.7mol/100g以上2.0mol/100g以下である〔1〕に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
〔3〕
前記(A)成分のR
1が、炭素数2~8のアルケニル基である〔1〕又は〔2〕に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
〔4〕
前記(A)成分のR
1が、ビニル基である〔3〕に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
〔5〕
更に、(G)帯電防止剤を含有する〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
〔6〕
前記(G)成分が、導電性高分子化合物である〔5〕に記載の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物。
〔7〕
紙基材又はフィルム基材上に、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のシリコーン組成物の硬化物が形成されてなる剥離紙又は剥離フィルム。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシリコーン組成物を用いて得られた剥離紙又は剥離フィルムは、硬化性に優れ、小さな剥離力を得ることができ、密着性も良好である。また帯電防止剤を配合した場合においても、優れた密着性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物(以下、シリコーン組成物と略すこともある。)は、下記(A)~(F)成分を含む組成物であり、付加反応によって硬化するものである。
【0017】
[(A)成分]
(A)成分は、下記式(1)で表され、アルケニル基含有量が0.001~0.03mol/100gで、25℃での30質量%トルエン希釈粘度が0.01~70Pa・sのオルガノポリシロキサンである。
【化3】
(式中、R
1は同一又は異なってもよい、炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基であり、R
2は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基であり、a~dはそれぞれ2≦a≦30、400≦b≦20,000、0≦c≦20、0≦d≦15を満たす整数である。)
【0018】
上記式(1)中、R1は同一又は異なってもよい、炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基である。R2は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基である。
【0019】
上記脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1~6のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5~8のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等の好ましくは炭素数6~10のアリール基、ベンジル基等の好ましくは炭素数7~10のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等から選択される炭素数1~10の1価炭化水素基が挙げられるが、剥離性の観点からアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0020】
炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基としては、-(CH2)n-CH=CH2(nは0~10の整数)で表される基であることが好ましく、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基が挙げられる。また、そのメチレン鎖にエーテル結合を含んでもよく、例えば-(CH2)2-O-CH2-CH=CH2、-(CH2)3-O-CH2-CH=CH2が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、ヘキセニル基、オクテニル基が好ましく、ビニル基が更に好ましい。特にR1としては、炭素数2~8のアルケニル基であることが好ましく、ビニル基であることがより好ましい。
【0021】
(A)成分のアルケニル基含有量は、0.001~0.03mol/100gであり、より好ましくは0.002~0.02mol/100gである。アルケニル基含有量が0.001mol/100g未満では硬化性が低下する場合があり、0.03mol/100gを超えると重剥離化する場合がある。
【0022】
また、(A)成分の25℃における粘度は、30質量%トルエン溶液で0.01~70Pa・sであり、30質量%トルエン溶液で0.02~50Pa・sであることが好ましい。0.01Pa・s未満では組成物としたときの塗工性が十分ではなく、70Pa・sを超えると作業性が低下する。なお、粘度はB型回転粘度計により測定することができ、25℃における絶対粘度の値であり、例えば、BII型粘度計、TVB-10型粘度計(東機産業(株))などを用いて測定した値をいう。また、粘度に応じてローター、回転数及び回転時間は、常法に基づき適宜選定する(以下、同じ)。
【0023】
上記式(1)中のa、b、c、dは、上記粘度の範囲とする正数から選ばれるが、特に、aは2~30、好ましくは2~20の整数、bは400~20,000、好ましくは500~15,000の整数、cは0~20、好ましくは0~10の整数、dは0~15、好ましくは0~5の整数で、402≦a+b+c+d≦20,002であり、好ましくは500≦a+b+c+d≦15,000である。
【0024】
(A)成分の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のMe、Vi、Phはそれぞれメチル基、ビニル基、フェニル基を表す。括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は下記に制限されるものではない。
(Vi3SiO1/2)2(Me2SiO2/2)1000
(Vi3SiO1/2)2(Me2SiO2/2)1000(Ph2SiO2/2)10
(Vi3SiO1/2)3(Me2SiO2/2)2000(MeSiO3/2)1
(Vi3SiO1/2)2(ViMeSiO2/2)24(Me2SiO2/2)4000
(Vi3SiO1/2)2(ViMeSiO2/2)40(Me2SiO2/2)4000(Ph2SiO2/2)10
(Vi3SiO1/2)4(ViMeSiO2/2)40(Me2SiO2/2)8000(MeSiO3/2)2
【0025】
[(B)成分]
(B)成分は、下記式(2)で表され、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、アルケニル基含有量が0.1~1.0mol/100gで、25℃での粘度が0.001~1Pa・sのオルガノポリシロキサンである。
【化4】
(式中、R
3は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基で、R
3の少なくとも2個は炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基であり、R
4は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、e~hはそれぞれ2≦e≦30、0≦f≦60、0≦g≦20、0≦h≦10を満たす整数である。)
【0026】
上記式(2)中、R3は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基、及び炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基で、R3の少なくとも2個は炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基であり、R4は同一又は異なってもよい、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基である。
【0027】
上記脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1~20の非置換又は置換の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1~6のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5~8のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等の好ましくは炭素数6~10のアリール基、ベンジル基等の好ましくは炭素数7~10のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等から選択される炭素数1~10の1価炭化水素基が挙げられるが、特に剥離性の観点からアルキル基、アリール基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0028】
炭素数2~12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基としては、-(CH2)n-CH=CH2(nは0~10の整数)で表される基であることが好ましく、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基が挙げられる。また、そのメチレン鎖にエーテル結合を含んでもよく、例えば-(CH2)2-O-CH2-CH=CH2、-(CH2)3-O-CH2-CH=CH2が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、ヘキセニル基、オクテニル基が好ましく、ビニル基が更に好ましい。
【0029】
(B)成分のオルガノポリシロキサンの1分子中のアルケニル基は2個以上であり、2個未満では硬化後も未架橋分子が残る可能性が高く、硬化性が低下するため望ましくない。好ましくはアルケニル基含有量として、0.1~1.0mol/100gであり、より好ましくは0.15~0.8mol/100gである。この含有量が0.1mol/100g未満では硬化性が低下する場合があり、1.0mol/100gを超えると重剥離化する場合がある。
【0030】
また、(B)成分の25℃における粘度は、0.001~1Pa・sであり、0.002~0.8Pa・sであることが好ましい。25℃における粘度が上記範囲内であると硬化性が良好である。
【0031】
上記式(2)中のe、f、g、hは、上記粘度の範囲とする正数から選ばれるが、特に、eは2~30、好ましくは2~20の整数、fは0~60、好ましくは0~48の整数、gは0~20、好ましくは0~16の整数、hは0~10、好ましくは0~8の整数で、2≦e+f+g+h≦62であり、好ましくは4≦e+f+g+h≦50である。
【0032】
(B)成分の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のMe、Vi、Phはそれぞれメチル基、ビニル基、フェニル基を表す。括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は下記に制限されるものではない。
(ViMe2SiO1/2)3(PhSiO3/2)1
(ViMe2SiO1/2)12(MeSiO3/2)10
(ViMe2SiO1/2)6(SiO4/2)2
(ViMe2SiO1/2)2(Me2SiO2/2)10
(Vi3SiO1/2)2(Me2SiO2/2)15
(ViMe2SiO1/2)3(Me2SiO2/2)20(MeSiO3/2)1
【0033】
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1~20質量部、好ましくは0.3~15質量部、更に好ましくは0.5~10質量部である。(B)成分の配合量が上記範囲より少ないと硬化性が低下する場合があり、多いと剥離力が大きくなる場合がある。
【0034】
[(C)成分]
(C)成分は、ケイ素原子に結合する水素原子を1分子中に3個以上有し、且つアリール基を有さないオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0035】
(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、下記平均組成式(3)で表される。
R5
iHjSiO(4-i-j)/2 (3)
(式中、R5は互いに独立に、水酸基、又は非置換もしくは置換のアルキル基である。i及びjは0より大きい正数であり、0<i+j≦3である。)
【0036】
上記式(3)中、R5の非置換もしくは置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1~6のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5~8のシクロアルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシシリル基、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基、カルボキシル基等で置換した炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。中でもR5は、非置換アルキル基が好ましく、更に付加反応速度を向上させる観点から、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましい。
【0037】
上記式(3)中、iは、i>0、好ましくは0.1~2の正数であり、jは、j>0、好ましくは0.1~3の正数であり、0<i+j≦3、好ましくは0.5<i+j≦2.9を満たす。
【0038】
(C)成分は、25℃における粘度が0.001~10Pa・s、特に0.005~5Pa・sであることが好ましい。粘度が低すぎると硬化性が低下する場合があり、高すぎると作業性が低下する場合がある。
【0039】
(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、また、それらの混合物であってもよい。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、R5HSiO2/2単位、HSiO3/2単位、及びR5
2HSiO1/2単位の少なくとも1種を有し、場合により更にR5
2SiO2/2単位、R5SiO3/2単位、及びR5
3SiO1/2単位の少なくとも1種を含んでなるポリマー又はコポリマーが例示される。R5は上記の通りである。R5HSiO2/2単位又はR5
2HSiO1/2単位を合計して1分子中に少なくとも3個、好ましくは5~300個有するものであることが好ましい。また、SiO4/2単位を含有していてもよく、その量は本発明の効果が損なわれない範囲であればよい。
【0040】
(C)成分は、SiH基量を0.7mol/100g以上2.0mol/100g以下となる個数で有することが好ましく、0.8mol/100g以上1.8mol/100g以下となる個数で有することがより好ましい。SiH基量が上記下限値未満であると、硬化性が低下する場合がある。また上記上限値より大きいと、得られる硬化皮膜の剥離力が大きくなる場合がある。
【0041】
(C)成分としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のMeはメチル基を表す。括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は下記に制限されるものではない。
(Me3SiO1/2)2(MeHSiO2/2)35
(Me3SiO1/2)2(MeHSiO2/2)45(Me2SiO2/2)20
(Me2HSiO1/2)2(MeHSiO2/2)40(Me2SiO2/2)20
(Me3SiO1/2)2(MeHSiO2/2)50(Me2SiO2/2)30
(Me3SiO1/2)5(MeHSiO2/2)60(MeSiO3/2)3
【0042】
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分中のアルケニル基の合計個数に対する(C)成分中のSiH基の個数の比が0.1~5、好ましくは0.3~4、更に好ましくは0.5~3となる量である。上記個数比が上記下限値より小さいと硬化性が低下する。また上記上限値より大きいと、得られる硬化皮膜の剥離力が大きくなる。
【0043】
[(D)成分]
(D)成分は、ケイ素原子に結合する水素原子を1分子中に3個以上有し、アリール基を有し、ケイ素原子に結合する全置換基の合計個数に対する該アリール基の合計個数の割合が6~50%で、且つSiH基量が0.7mol/100g以上2.0mol/100g以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。該アリール基とは、上記の通り、ケイ素原子に結合するアリール基及びケイ素原子に結合するアラルキル基が有するアリール基の少なくとも1つである。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0044】
(D)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、下記平均組成式(4)で表される。
R6
kHlSiO(4-k-l)/2 (4)
(式中、R6は互いに独立に、水酸基、又は非置換もしくは置換の脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、R6の合計個数及びケイ素原子に結合する水素原子の個数の合計に対し6~50%となる数のR6がアリール基であり、k及びlは0より大きい正数であり、0<k+l≦3である。)
【0045】
上記式(4)中、R6の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1~6のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5~8のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等の好ましくは炭素数6~10のアリール基、ベンジル基等の好ましくは炭素数7~10のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシシリル基、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基、カルボキシル基等で置換した炭素数1~10の1価炭化水素基が挙げられる。R6の少なくとも1つはアリール基又はアラルキル基であり、好ましくはアリール基である。中でもR6は、アルキル基、アリール基が好ましく、更にメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましい。
【0046】
上記式(4)中、kは、k>0、好ましくは0.1~2の正数であり、lは、l>0、好ましくは0.1~3の正数であり、0<k+l≦3、好ましくは0.5<k+l≦2.9を満たす。
【0047】
上記式(4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、R6HSiO2/2単位、HSiO3/2単位、及びR6
2HSiO1/2単位の少なくとも1種を有し、場合により更にR6
2SiO2/2単位、R6SiO3/2単位、及びR6
3SiO1/2単位の少なくとも1種を含んでなるポリマー又はコポリマーが例示される。R6は上記した通りである。R6HSiO2/2単位又はR6
2HSiO1/2単位を合計して1分子中に少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個有するものが好ましい。また、SiO4/2単位を含有していてもよく、その量は本発明の効果が損なわれない範囲であればよい。
【0048】
(D)成分は、アリール基を、ケイ素原子に結合する全置換基の合計個数に対するアリール基の個数の割合(%)が6~50%となる量で有する。好ましくは7~40%、更に好ましくは8~30%となる量で有する。上記割合が上記下限値より小さいと密着性が低下する。上記上限値より大きいと、相溶性が悪くなり、硬化性が低下する可能性がある。なお、該アリール基の個数には上記の通りアラルキル基が有するアリール基の個数も含まれる。ケイ素原子に結合する全置換基とは、例えば、ケイ素原子に結合した水素原子、水酸基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子等で置換されたアルキル基等である。
【0049】
(D)成分は、SiH基量を0.7mol/100g以上2.0mol/100g以下となる個数で有し、0.8mol/100g以上1.8mol/100g以下となる個数で有することがより好ましい。SiH基量が上記下限値未満であると、硬化性及び密着性が低下する。また上記上限値より大きいと、得られる硬化皮膜の剥離力が大きくなる。
【0050】
(D)成分は、25℃における粘度が0.001~10Pa・s、特に0.005~5Pa・sであることが好ましい。粘度が低すぎると硬化性が低下する場合があり、高すぎると作業性が低下する場合がある。
【0051】
(D)成分としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のMeはメチル基、Phはフェニル基を表す。括弧内に示される各シロキサン単位の結合順序は下記に制限されるものではない。
(Me3SiO1/2)2(Ph2SiO2/2)10(MeHSiO2/2)35
(Me3SiO1/2)2(MePhSiO2/2)20(MeHSiO2/2)60
(Me3SiO1/2)2(Ph2SiO2/2)5(Me2SiO2/2)5(MeHSiO2/2)40
(Me2HSiO1/2)5(Ph2SiO2/2)7(Me2SiO2/2)5(MeHSiO2/2)40(MeSiO3/2)3
(Me3SiO1/2)3(Ph2SiO2/2)10(MeHSiO2/2)40(PhSiO3/2)1
【0052】
(D)成分の配合量は、(A)及び(B)成分中のアルケニル基の合計個数に対する(D)成分中のSiH基の個数の比が0.1~5、好ましくは0.3~4、更に好ましくは0.5~3となる量である。上記個数比が上記下限値より小さいと硬化性及び密着性が低下する。また上記上限値より大きいと、得られる硬化皮膜の剥離力が大きくなる。
【0053】
また、(A)及び(B)成分中のアルケニル基の合計個数に対する(C)及び(D)成分中のSiH基の個数の比は、0.2~5となる量であることが好ましく、0.3~4となる量であることがより好ましく、0.5~3.5となる量であることが更に好ましい。上記個数比が上記下限値より小さいと硬化性及び密着性が低下する場合がある。また上記上限値より大きいと、得られる硬化皮膜の剥離力が大きくなる場合がある。
【0054】
[(E)成分]
(E)成分の白金族金属系触媒は、上記(A)及び(B)成分と、(C)及び(D)成分との付加反応を促進するための触媒である。所謂ヒドロシリル化反応を促進する触媒であればよく、公知の触媒を使用することができる。白金族金属系触媒としては、例えば白金系、パラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系等の触媒が挙げられ、これらの中で特に白金系触媒が好ましく用いられる。この白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液又はアルデヒド溶液、塩化白金酸又は白金の各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体等が挙げられる。
【0055】
(E)成分の配合量は触媒量であればよい。触媒量とは(A)及び(B)成分と、(C)及び(D)成分との付加反応を促進する量である。良好な硬化皮膜を得るためには(A)成分の質量に対して、白金族金属の質量換算として1~5,000ppm、特に10~1,000ppmの範囲とすることが好ましい。
【0056】
[(F)成分]
本発明のシリコーン組成物は、(F)有機溶剤を含む。有機溶剤で組成物を希釈することで、(A)~(E)成分を均一に混合することが可能となり、塗工作業性の改善、塗工皮膜の厚さや表面の仕上がり状態など塗工皮膜状態の改善など実用上の利点が得られる。
【0057】
使用可能な(F)有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系化合物、ヘキサン、ヘプタン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル化合物が挙げられるが、シリコーンを溶解させることができる化合物であればいずれのものでもよい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0058】
(F)成分の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して50~20,000質量部が好ましく、100~10,000質量部がより好ましい。(F)成分の配合量が50質量部未満では希釈による利点が得られない場合があり、20,000質量部を超えても効果の向上はあまり望めない。
【0059】
本発明のシリコーン組成物は、上記(A)~(F)成分の所定量を配合することによって得られるが、その他の任意成分を必要に応じて本発明の目的、効果を損なわない範囲で添加することができる。シリコーン系剥離剤組成物に通常使用されるものとして公知のものを通常の配合量で添加することができる。
【0060】
[(G)成分]
本発明のシリコーン組成物には、帯電防止や導電性付与を目的として任意で(G)帯電防止剤を含有することができる。(G)成分は、特に限定されないが、イオン性化合物、導電性高分子化合物、導電性フィラー、界面活性剤などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。その中でも、導電性の湿度依存性やブリードアウトがない点から導電性高分子化合物が好ましい。
【0061】
イオン性化合物は、1つ以上のアニオン成分と1つ以上のカチオン成分からなる化合物であり、金属塩、有機塩等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0062】
金属塩としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のカチオン成分とアニオン成分からなる塩が挙げられる。有機塩としては、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン等のカチオン成分とアニオン成分からなる塩が挙げられる。
【0063】
アニオン成分は、無機アニオン及び有機アニオンのいずれでもよいが、帯電防止性能に優れるという点で、フッ素原子を含むアニオン成分が好ましい。フッ素原子を含むアニオン成分としては、例えばヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF6-)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン[(CF3SO2)2N-]、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン[(FSO2)2N-]、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン[(C6F5)4B-]などが挙げられる。
【0064】
導電性高分子化合物は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含有する化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0065】
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。導電性が良好な点および空気中での安定性に優れる点から、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましく、ポリチオフェン類がより好ましい。
【0066】
ポリアニオンは、アニオン基を持ったアニオン性化合物であれば、特に制約なく用いることができる。アニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。
【0067】
導電性高分子化合物の性状は、液体、固体、水溶液、水分散物、有機溶剤溶液等が挙げられるが、本発明のシリコーン組成物への溶解性が優れることから、液体、有機溶剤溶液が好ましく、有機溶剤溶液がより好ましい。
【0068】
このような導電性高分子化合物は、汎用の方法を用いて製造することができるが、市販品も好ましく使用することができる。
【0069】
導電性高分子化合物の市販品として、セプルジーダシリーズ(信越ポリマー(株)製)、デナトロンシリーズ(ナガセケムテックス(株)製)、ベラゾールシリーズ(綜研化学(株)製)、Aedotronポリマー(TDA Research Inc.製)等が例示され、ポリチオフェン類を使用し、有機溶剤溶液で希釈可能である、セプルジーダSAS-Pシリーズ、セプルジーダSAS-Fシリーズ(信越ポリマー(株)製)、デナトロンF-100SL(ナガセケムテックス(株)製)、ベラゾールED-0130-M(綜研化学(株)製)、Aedotron C3-PC(TDA Research Inc.製)が好ましい。
【0070】
導電性フィラーは、金属粉末、金属繊維、金属酸化物、炭素材料などが挙げられる。金属粉末の金属種としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレススチール、鉄、黄銅、クロム、錫などが挙げられ、金属繊維の金属種としては鉄、銅、ステンレススチール、アルミニウム、黄銅などが挙げられる。金属酸化物は、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などが挙げられる。炭素材料は、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー(炭素繊維)、グラフェン等が挙げられる。導電性フィラーを用いる場合、帯電防止性能に優れることから炭素材料が好ましく、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブがより好ましい。
【0071】
界面活性剤は、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0072】
カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルキルピリジニウム塩類等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル燐酸塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0073】
(G)成分の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.1~50質量部が好ましく、0.3~30質量部がより好ましい。(G)成分の配合量が少なすぎると帯電防止効果が得られない場合があり、多すぎると密着性が低下する場合がある。
【0074】
[ポットライフ延長剤]
その他の任意成分としては、例えば、ポットライフ延長剤として、各種有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が公知のものとして使用できる。例えば、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール等のアセチレン系アルコール、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等のアセチレン系化合物、これらのアセチレン系化合物とアルコキシシラン又はシロキサンあるいはハイドロジェンシランとの反応物、テトラメチルビニルシロキサン環状体等のビニルシロキサン、ベンゾトリアゾール等の有機窒素化合物及びその他の有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロム化合物等が挙げられる。
ポットライフ延長剤の配合量は、良好なポットライフが得られる量であればよく、一般に(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部が好ましい。
【0075】
更に、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて、その他の任意の成分として公知の酸化防止剤、軽剥離添加剤、顔料、安定剤、消泡剤、密着向上剤、増粘剤、シリカ等の無機充填剤を配合することができる。
【0076】
[調製方法]
本発明の付加反応硬化型の剥離紙又は剥離フィルム製造用シリコーン組成物の調製は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(F)成分並びに任意成分を予め均一に混合した後、(E)成分を使用直前に添加する方法がポットライフの面で望ましい。また帯電防止剤(G)を配合する場合は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(F)成分並びに任意成分を配合するときに、(G)成分を配合し、混合するのが好ましい。
【0077】
[剥離紙及び剥離フィルム]
剥離紙及び剥離フィルムは、紙基材又はフィルム基材と、この基材に形成された上記シリコーン組成物の硬化物からなる剥離層とを有するものである。剥離層は上記基材の少なくとも1面に形成されていればよく、片面でも両面でもよい。
【0078】
基材の例としては、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、クレーコート紙など各種コート紙、ユポなど合成紙、ポリエチレンフィルム、CPPやOPPなどのポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリフェノールフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。これらの基材と剥離層の密着性を向上させるために、基材面にコロナ処理、エッチング処理、あるいはプラズマ処理したものを用いてもよい。
【0079】
剥離紙及び剥離フィルムの製造方法は、基材の少なくとも1面、例えば、片面又は両面にシリコーン組成物を塗布する工程と、このシリコーン組成物を乾燥し、硬化させ、剥離層を形成する工程とを含む方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター等による塗工、スクリーン塗工、浸漬塗工、キャスト塗工等の塗工方法が挙げられる。この際、上記シリコーン組成物としては、そのまま、あるいは更に上述した希釈用の溶剤や水で上述した範囲にて希釈したものを用いることができる。塗工量は、特に制限はないが、通常は、固形分として、0.01~100g/m2が好ましく、0.03~10g/m2がより好ましい。乾燥方法としては、加熱することにより揮発成分や溶剤成分を除去する方法が挙げられる。具体的には、熱風乾燥機、IR乾燥機等が挙げられる。あるいはそのまま常温で放置してもよい。硬化方法は常法が採用されるが、硬化温度は、50~200℃が好ましく、70~180℃がより好ましい。硬化時間は、1~120秒が好ましく、5~90秒がより好ましい。基材の両面に剥離層を作る場合は、基材の片面ずつ硬化皮膜の形成操作を行なうことが好ましい。
【実施例】
【0080】
以下に、実施例及び比較例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。なお、下記式において、粘度はB型粘度計(東機産業(株)製、機種名:TVB-10M)により測定された値であり、Meはメチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を示す。
【0081】
<使用原料>
[(A)成分]
(A-1)
下記式で示され、30質量%トルエン溶液の25℃での粘度が7Pa・s、アルケニル基含有量が0.01mol/100gのオルガノポリシロキサン:
(Vi3SiO1/2)2(ViMeSiO2/2)24(Me2SiO2/2)4000
(A-2)(比較用)
下記式で示され、30質量%トルエン溶液の25℃での粘度が7Pa・s、アルケニル基含有量が0.01mol/100gのオルガノポリシロキサン:
(ViMe2SiO1/2)2(ViMeSiO2/2)28(Me2SiO2/2)4000
【0082】
[(B)成分]
(B-1)
下記式で示され、25℃での粘度が0.02Pa・s、アルケニル基含有量が0.67mol/100gのオルガノポリシロキサン:
(ViMe2SiO1/2)12(MeSiO3/2)10
(B-2)
下記式で示され、25℃での粘度が0.008Pa・s、アルケニル基含有量が0.22mol/100gのオルガノポリシロキサン:
(ViMe2SiO1/2)2(Me2SiO2/2)10
(B-3)(比較用)
下記式で示され、25℃での粘度が0.06Pa・s、アルケニル基含有量が0.06mol/100gのオルガノポリシロキサン:
(ViMe2SiO1/2)2(Me2SiO2/2)40
【0083】
[(C)成分]
(C-1)
下記式で示され、25℃における粘度が0.09Pa・s、SiH基含有量が1.0mol/100gのオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
(Me3SiO1/2)2(MeHSiO2/2)45(Me2SiO2/2)20
(C-2)
下記式で示され、25℃における粘度が0.02Pa・s、SiH基含有量が1.6mol/100gのオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
(Me3SiO1/2)2(MeHSiO2/2)35
【0084】
[(D)成分]
(D-1)
下記式で示され、25℃における粘度が0.2Pa・s、SiH基含有量が1.0mol/100g、ケイ素原子に結合する全置換基の合計個数に対するアリール基の個数の割合が9.4%のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
(Me3SiO1/2)2(Ph2SiO2/2)5(Me2SiO2/2)5(MeHSiO2/2)40
(D-2)
下記式で示され、25℃における粘度が0.4Pa・s、SiH基含有量が0.8mol/100g、ケイ素原子に結合する全置換基の合計個数に対するアリール基の個数の割合が20.8%のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
(Me3SiO1/2)2(Ph2SiO2/2)10(MeHSiO2/2)35
(D-3)(比較用)
下記式で示され、25℃における粘度が0.5Pa・s、SiH基含有量が0.6mol/100g、ケイ素原子に結合する全置換基の合計個数に対するアリール基の個数の割合が18.9%のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
(Me3SiO1/2)2(Ph2SiO2/2)10(Me2SiO2/2)10(MeHSiO2/2)30
【0085】
[(E)成分]
触媒として、白金-ビニルシロキサン錯体
【0086】
[(F)成分]
トルエンとMEK(メチルエチルケトン)の質量比1:1混合溶剤
【0087】
[(G)成分]
導電性高分子化合物:セプルジーダSAS-F14(信越ポリマー(株)製、ポリチオフェン系導電性高分子のMEK溶液、有効成分量0.8質量%)
【0088】
[任意成分]
ポットライフ延長剤として、3-メチル-1-ブチン-3-オール
【0089】
<実施例1~4、比較例1~10>
上記に示す(A)~(F)成分及び任意成分を原料として使用し、以下の手順で塗工用のシリコーン組成物を調製した。
(A)、(B)、(C)、(D)及び(G)成分を、表1、2の配合比に従いフラスコに取り、(F)成分3,200質量部、任意成分3質量部を添加し、撹拌して溶解した。
得られた溶液に、(E)成分を(A)成分に対して白金質量換算で100ppmになるように添加し、撹拌混合することで塗工用のシリコーン組成物を得た。この組成物を用いて後述の方法で塗工品を作製し、評価した。
【0090】
<評価>
各例の剥離剤について、硬化性、剥離に要する力(以下、「剥離力」という。)、残留接着率、密着性、表面抵抗値を以下の方法により評価又は測定した。結果を表1、2に示す。
【0091】
[硬化性(硬化直後の密着性)]
得られた組成物を、厚さ38μmのPETフィルムに、バーコーターを用いて塗布し、100℃の熱風式乾燥機中で30秒間加熱して剥離層を形成した。この際、塗工量は、固形分で0.2g/m2とした。次いで、その剥離層を、指で10回擦った後、くもり及び脱落の有無を目視により観察し、以下の基準で評価した。
A:くもり及び脱落は見られなかった。
B:わずかにくもり及び脱落が見られた。
C:くもり又は脱落が見られた。
【0092】
[剥離力]
得られた組成物を、厚さ38μmのPETフィルムに、バーコーターを用いて塗布し、120℃の熱風式乾燥機中で30秒間加熱して剥離層を形成した。この際、塗工量は、固形分で0.2g/m2とした。FINAT法に準拠し、以下の手順で評価した。
剥離層の表面に幅25mm粘着テープ(Tesa7475テープ、Tesa Tape.Inc.製商品名)を貼り、25℃の乾燥機中70g/cm2の荷重をかけ20時間処理した。その後、引張試験機((株)島津製作所製 AGS-50G型)を用いて180゜の角度、剥離速度0.3m/分でTesa7475テープを引張り、剥離させるのに要する力(N/25mm)を測定した。剥離力が0.15N/25mm以下であれば、剥離力が小さく良好であると判断できる。
【0093】
[残留接着率]
・Tesa7475テープ
上記剥離力評価と同様にして剥離層を形成し、剥離層の表面に幅25mm粘着テープ(Tesa7475テープ、Tesa Tape.Inc.製商品名)を貼り、25℃の乾燥機中70g/cm2の荷重をかけ20時間加熱処理した。その後、剥離層から幅25mm粘着テープを剥がし、その幅25mm粘着テープをステンレス板に貼り付けた。次いで、引張試験機((株)島津製作所製 AGS-50G型)を用いて、ステンレス板から幅25mm粘着テープを剥離し、剥離強度Xを測定した。
また、剥離層に貼り合せていない幅25mm粘着テープをステンレス板に貼り付け、引張試験機を用いて、ステンレス板から幅25mm粘着テープを剥離し、剥離強度Yを測定した。
そして、(剥離強度X/剥離強度Y)×100(%)の式より、残留接着率を求めた。
【0094】
[密着性]
上記剥離力評価と同様にして形成した剥離層を、60℃、90%RH条件下7日エージング後に取り出し、該剥離層のシリコーン硬化皮膜表面を指の腹で10往復擦り、脱落(皮膜が剥げ落ちること)しないものはA、一部脱落するものをB、完全に脱落するものをCと評価した。
【0095】
[表面抵抗値]
上記剥離力評価と同様に形成した剥離層の表面抵抗値を、表面固有抵抗測定装置〔三菱化学(株)製の「ハイレスタ-up MCP-HT450」(商品名)〕により測定した。印加電圧10V、印加時間10秒の測定条件で実施した。表面抵抗値が1.0×1010Ω/□以下であれば、良好な帯電防止性が得られる。
【0096】
【0097】
【0098】
表1の実施例1及び2に示す通り、本発明のシリコーン組成物は、剥離力が低く、硬化性及び密着性に優れる。また表2の実施例3及び4に示す通り、本発明のシリコーン組成物は、帯電防止剤を配合しても密着性の低下はなく、良好な帯電防止性能を示した。よって、本発明のシリコーン組成物から得られる硬化皮膜は、剥離フィルム等に好適に使用できる。