(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
H01L21/304 643A
H01L21/304 622Q
H01L21/304 644C
(21)【出願番号】P 2018030564
(22)【出願日】2018-02-23
【審査請求日】2020-10-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】230129621
【氏名又は名称】井深 大
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】石橋 知淳
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】市川 武宜
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-135612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0271145(US,A1)
【文献】特開2016-12645(JP,A)
【文献】特開2007-311756(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154673(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させる基板回転機構と、
回転される前記基板に向かって超音波洗浄液を噴射する第1ノズルおよび第2ノズルと、を備え、
前記第1ノズルと前記第2ノズルは、ともに基板に対する離間距離の調整が可能となるように前記基板の側方にある1つの筐体に保持され、
前記第1ノズルと前記第2ノズルは、ともに前記筐体を水平面内で回転させることにより噴射角度の調整が可能であり、
前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、回転される前記基板のベベルに前記基板の接線方向に超音波洗浄液を噴射するように前記基板の側方に前記筐体が支持され、
前記ベベルはエッジより外側の基板表面から角度を有する曲面部あるいは面取り部、および側面部である、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記第1ノズルからの超音波洗浄液と前記第2ノズルからの超音波洗浄液は、互いに混ざり合った後に前記
ベベルに達する、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記第1ノズルは回転される前記基板の第1面に超音波洗浄液を噴射し、
前記第2ノズルは回転される前記基板の前記第1面と反対側の第2面に超音波洗浄液を噴射する、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、回転される前記基板のエッジ部分に超音波洗浄液を噴射する、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記エッジ部分に超音波洗浄液を噴射する前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、超音波洗浄液が、回転される前記基板のベベルには当たらず前記基板のエッジ部分に着液し、その後、エッジ部分から中心に向かうように超音波洗浄液を噴射する、請求項
4に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、鉛直方向にそろえて配置され、
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの位置から前記基板への2つの接線を第1接線および第2接線とし、前記ベベルに超音波洗浄液を噴射する前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、前記基板の水平面内で前記基板の前記第1接線方向および前記第2接線方向の内側の範囲で移動可能に支持され、
超音波洗浄液が、前記基板のベベルに、前記第1接線方向および前記第2接線方向に噴射される、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記基板回転機構の近傍を揺動しながら前記基板のエッジ部分に超音波洗浄液を噴射する、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
基板を回転させる基板回転機構と、
回転される前記基板のベベルに前記基板の接線方向に向かって前記基板の側方から超音波洗浄液を噴射する第1ノズルおよび第2ノズルと、
筐体に接続され、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルに洗浄液を供給する流路と、
前記流路から供給された洗浄液に超音波を付与する振動子と、
前記流路に接続され、洗浄液にマイクロバブルを導入するマイクロバブル供給機構と、を備え、
前記第1ノズルと前記第2ノズルは、1つの筐体に保持され、前記筐体を水平面内で回転させることにより噴射角度の調整が可能であり、
前記ベベルはエッジより外側の基板表面から角度を有する曲面部あるいは面取り部、および側面部である、基板洗浄装置。
【請求項9】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルと、前記マイクロバブル供給機構と、の間に設置され、前記マイクロバブル供給機構により導入されたマイクロバブルを除去するように構成されたフィルタをさらに備える、請求項
8に記載の基板洗浄装置。
【請求項10】
前記第1ノズルと前記第2ノズルは、ともに噴射角度の固定および調整が可能となるように1つの筐体に保持されている、請求項1乃至
9のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【請求項11】
基板を研磨する基板研磨装置と、研磨後の基板を洗浄する複数の基板洗浄装置と、洗浄後の基板を乾燥させる基板乾燥装置と、を備えた基板処理装置であって、
前記複数の基板洗浄装置の1つとして、請求項1~1
0のいずれかに記載された基板洗浄装置を含む、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄液を用いて基板を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波洗浄液を用いて基板を洗浄する基板洗浄装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、洗浄力が高い基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板を回転させる基板回転機構と、回転される前記基板の所定面に向かって超音波洗浄液を噴射する第1ノズルおよび第2ノズルと、を備え、前記第1ノズルと前記第2ノズルは、1つの筐体に保持されている、基板洗浄装置が提供される。
【0006】
前記第1ノズルからの超音波洗浄液と前記第2ノズルからの超音波洗浄液は、互いに混ざり合った後に前記所定面に達してもよいし、前記所定面に達した後に互いに混ざり合ってもよい。
【0007】
前記第1ノズルと前記第2ノズルは旋回軸を中心に旋回するアームの先端に取り付けられ、前記基板の第1面に超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0008】
前記第1ノズルは回転される前記基板の第1面に超音波洗浄液を噴射し、前記第2ノズルは回転される前記基板の前記第1面と反対側の第2面に超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0009】
前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、回転される前記基板のエッジ部分に超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0010】
前記エッジ部分に超音波洗浄液を噴射する前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、超音波洗浄液が、回転される前記基板のべべルには当たらず前記基板のエッジ部分に着液し、その後、エッジ部分から中心に向かうように超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0011】
前記エッジ部分に超音波洗浄液を噴射する前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、超音波洗浄液が、回転される前記基板のエッジ部分より中心側に着液し、その後、エッジ部分に向かうように超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0012】
前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、回転される前記基板のべべルに超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0013】
前記べべルに超音波洗浄液を噴射する前記第1ノズルおよび/または前記第2ノズルは、回転される前記基板の接線方向に超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0014】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記基板回転機構の近傍を揺動しながら前記基板のエッジ部分に超音波洗浄液を噴射するのが望ましい。
【0015】
基板洗浄装置は、前記筐体に接続され、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルに洗浄液を供給する流路と、前記流路から供給された洗浄液に超音波を付与する振動子と、前記流路に接続され、洗浄液にマイクロバブルを導入するマイクロバブル供給機構をさらに備えてもよい。
【0016】
基板洗浄装置は、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルと、前記マイクロバブル供給機構と、の間に設置され、前記マイクロバブル供給機構により導入されたマイクロバブルを除去するように構成されたフィルタをさらに備えてもよい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、基板を回転させながら、前記基板の所定面に向かって、1つの筐体に保持された第1ノズルおよび第2ノズルから超音波洗浄液を噴射する、基板洗浄方法が提供される、
【0018】
前記第1ノズルから噴射される超音波洗浄液と前記第2ノズルから噴射される超音波洗浄液は、超音波洗浄液の周波数、電力、流量、温度および液の種類のうちの少なくとも1つが互いに異なるのが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
洗浄力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置の概略上面図。
【
図4】別の基板洗浄装置4’の概略構成を示す斜視図。
【
図5A】超音波洗浄液供給装置43のヘッド431の断面図。
【
図5B】超音波洗浄液供給装置43のヘッド431の断面図。
【
図6A】基板Wの表面への超音波洗浄液噴射法の一例を示す図。
【
図6B】基板Wの表面への超音波洗浄液噴射法の一例を示す図。
【
図6C】基板Wの表面への超音波洗浄液噴射法の一例を示す図。
【
図7】第2の実施形態におけるノズル12,13の配置を示す図。
【
図8】基板Wとヘッド431の位置関係を上方から見た図。
【
図9A】基板Wの表面および裏面への超音波洗浄液噴射法の一例を示す図。
【
図9B】基板Wの表面および裏面への超音波洗浄液噴射法の別の例を示す図。
【
図9D】基板Wの表面および裏面への超音波洗浄液噴射法の別の例を示す図。
【
図9E】基板Wの表面および裏面への超音波洗浄液噴射法の別の例を示す図。
【
図10】超音波洗浄液供給装置43’の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、一実施形態に係る基板処理装置の概略上面図である。本基板処理装置は、直径300mmあるいは450mmの半導体ウエハ、フラットパネル、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)における磁性膜の製造工程において、種々の基板を処理するものである。また、基板の形状は円形に限られず、矩形形状(角形状)や、多角形形状のものであってもよい。なお、本明細書において、基板の「エッジ」とは基板表面の外周付近の平坦部を指し、より詳細には、基板の縁から所定距離内の平坦部と考えることができる。また、本明細書において、基板の「ベベル」とはエッジより外側の基板表面から角度を有する曲面部あるいは面取り部、および側面部のことを指す。
【0023】
基板処理装置は、略矩形状のハウジング1と、多数の基板をストックする基板カセットが載置されるロードポート2と、1または複数(
図1に示す態様では4つ)の基板研磨装置3と、1または複数(
図1に示す態様では2つ)の基板洗浄装置4と、基板乾燥装置5と、搬送機構6a~6dと、制御部7とを備えている。
【0024】
ロードポート2は、ハウジング1に隣接して配置されている。ロードポート2には、オープンカセット、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッド、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。基板としては、例えば半導体ウエハ等を挙げることができる。
【0025】
基板を研磨する基板研磨装置3、研磨後の基板を洗浄する基板洗浄装置4、洗浄後の基板を乾燥させる基板乾燥装置5は、ハウジング1内に収容されている。基板研磨装置3は、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、基板洗浄装置4および基板乾燥装置5も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。また、基板洗浄装置4および基板乾燥装置5は、それぞれ、図示しない略矩形状の筐体であって、シャッター機構により開閉自在とされ筐体部に設けられた開閉部から被処理対象の基板を出し入れするように構成されていてもよい。あるいは、変形実施例としては、基板洗浄装置4および基板乾燥装置5を一体化し、基板洗浄処理と基板乾燥処理とを連続的に1つのユニット内で行うようにしてもよい。
【0026】
本実施形態では、基板洗浄装置4が、ペン型洗浄具を用いた接触洗浄と、超音波洗浄水を用いた非接触洗浄とを行う。詳細は後述するが、ペン型洗浄具を用いた接触洗浄とは、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペン型洗浄具の下端接触面を基板に接触させ、洗浄具を自転させながら一方向に向けて移動させて、基板の表面をスクラブ洗浄するものである。
【0027】
基板乾燥装置5は、水平に回転する基板に向けて、移動する噴射ノズルからIPA蒸気を噴出して基板を乾燥させ、さらに基板を高速で回転させて遠心力によって基板を乾燥させるスピン乾燥ユニットが使用され得る。
【0028】
ロードポート2、ロードポート2側に位置する基板研磨装置3および基板乾燥装置5に囲まれた領域には、搬送機構6aが配置されている。また、基板研磨装置3ならびに基板洗浄装置4および基板乾燥装置5と平行に、搬送機構6bが配置されている。搬送機構6aは、研磨前の基板をロードポート2から受け取って搬送機構6bに受け渡したり、基板乾燥装置5から取り出された乾燥後の基板を搬送機構6bから受け取ったりする。
【0029】
2つの基板洗浄装置4間に、これら基板洗浄装置4間で基板の受け渡しを行う搬送機構6cが配置され、基板洗浄装置4と基板乾燥装置5との間に、これら基板洗浄装置4と基板乾燥装置5間で基板の受け渡しを行う搬送機構6cが配置されている。
【0030】
さらに、ハウジング1の内部には、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部7が配置されている。本実施形態では、ハウジング1の内部に制御部7が配置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、ハウジング1の外部に制御部7が配置されてもよい。
【0031】
図2および
図3は、それぞれ基板洗浄装置4の概略構成を示す平面図および側面図である。基板洗浄装置4は、基板回転機構41と、ペン洗浄機構42と、超音波洗浄液供給装置43とを備え、これらがシャッタ44aを有する筐体44内に収納されている。また、基板洗浄装置4内の各部は
図1の制御部7により制御される。
【0032】
基板回転機構41は、チャック爪411と、回転駆動軸412とを有する。
チャック爪411は、洗浄対象である基板Wの外周端部(エッジ部分)を把持して基板Wを保持するように設けられた保持部材である。本実施形態では、チャック爪411が4つ設けられており、隣り合うチャック爪411同士の間には、基板Wを搬送するロボットハンド(不図示)の動きを阻害しない間隔が設けられている。チャック爪411は、基板Wの面を水平にして保持できるように、それぞれ回転駆動軸412に接続されている。本実施形態では、基板Wの表面WAが上向きとなるように、基板Wがチャック爪411に保持される。
【0033】
回転駆動軸412は、基板Wの面に対して垂直に延びる軸線まわりに回転することができ、回転駆動軸412の軸線まわりの回転により基板Wを水平面内で回転させることができるように構成されている。回転駆動軸412の回転方向や回転数は制御部7が制御する。回転数は一定でもよいし、可変でもよい。
【0034】
また、後述する洗浄液や超音波洗浄液が飛散するのを防止するために、基板回転機構41(より具体的には、そのチャック爪411)の外側にあって基板Wの周囲を覆い、回転駆動軸412と同期して回転する回転カップを設けてもよい。
また、この回転カップは、図示しない洗浄ユニット上部のFFUからユニット内に供給されるダウンフローの気流が回転カップに設けられた孔を通過して下方に逃げるように構成されていてもよい。このように構成することで、洗浄液や超音波洗浄液が飛散するのをより確実に防止できる。
【0035】
ペン洗浄機構42は、ペン型洗浄具421と、ペン型洗浄具421を支持するアーム422と、アーム422を移動させる移動機構423と、洗浄液ノズル424と、リンス液ノズル425と、クリーニング装置426とを有する。
【0036】
ペン型洗浄具421は、例えば円柱状のPVA(例えばスポンジ)製洗浄具であり、チャック爪411に保持された基板Wの上方に、軸線が基板Wと垂直になるように配設されている。ペン型洗浄具421は、その下面が基板Wを洗浄し、その上面がアーム422に支持されている。
【0037】
アーム422は平棒状の部材であり、典型的には長手方向が基板Wと平行になるように配設されている。アーム422は、一端でペン型洗浄具421をその軸線まわりに回転可能に支持しており、他端に移動機構423が接続されている。
【0038】
移動機構423は、アーム422を鉛直上下に移動させるとともに、アーム422を水平面内で揺動させる。移動機構423によるアーム422の水平方向への揺動は、アーム422の上記他端を中心として、ペン型洗浄具421の軌跡が円弧を描く態様となっている。移動機構423は、矢印Aで示すように、基板Wの中心と基板Wの外側の退避位置との間でペン型洗浄具421を揺動させることができる。移動機構423は制御部7によって制御される。
【0039】
洗浄液ノズル424は、ペン型洗浄具421で基板Wを洗浄する際に、薬液や純水などの洗浄液を供給する。リンス液ノズル425は純水などのリンス液を基板Wに供給する。洗浄液ノズル424およびリンス液ノズル425は、基板Wの表面WA用のもののみならず、裏面WB用のものを設けるのが望ましい。洗浄液やリンス液の供給タイミングや供給量などは、制御部7によって制御される。
【0040】
クリーニング装置426は基板Wの配置位置より外側に配置され、移動機構423はペン型洗浄具421をクリーニング装置426上に移動させることができる。クリーニング装置426はペン型洗浄具421を洗浄する。
【0041】
以上説明したペン洗浄機構42において、基板Wが回転した状態で、洗浄液ノズル424から洗浄液を基板W上に供給しつつ、ペン型洗浄具421の下面が基板Wの表面WAに接触してアーム422を揺動させることで、基板Wが物理的に接触洗浄される。
【0042】
超音波洗浄液供給装置43は、基板Wを挟んで、ペン洗浄機構42とは反対側に配置され超音波が与えられた洗浄液(以下、超音波洗浄液ともいう)を用いて基板Wを非接触洗浄する。
【0043】
超音波洗浄液供給装置43は、ヘッド431、アーム432およびアーム旋回軸433などから構成される。アーム旋回軸433は鉛直方向に延びており、その上端にアーム432の一端が取り付けられている。アーム432は水平方向に延びており、その先端にヘッド431が固定されている。アーム旋回軸433が回転することによりアーム432が旋回し、基板Wの中心から外周にかけてヘッド431が揺動しながら(矢印B)、超音波洗浄液を基板Wに供給する。超音波洗浄液供給装置43については、後により詳しく説明する。
【0044】
図4は、別の基板洗浄装置4’の概略構成を示す斜視図である。基板洗浄装置4’は、スピンドル51と、ペン洗浄機構42と、超音波洗浄液供給装置43とを備えている。この基板洗浄装置4’では、スピンドル51が基板回転機構として機能し、この点が
図2および
図3に示す基板洗浄装置4と異なる。
【0045】
スピンドル51は、表面を上にして基板Wの周縁部を支持し、水平面内で回転させる。より具体的には、スピンドル51の上部に設けたコマ51aの外周側面に形成した把持溝内に基板Wの周縁部を位置させて内方に押し付け、コマ51aを回転(自転)させることにより基板Wが回転する。ここで、「コマ」は基板を把持するための「把持部」と言い換えられる。また、「スピンドル」は「ローラー」と言い換えることもできる。その他は、
図2および
図3に示す基板洗浄装置4と共通するため、詳細な説明を省略する。
【0046】
図5Aおよび
図5Bは、本実施形態におけるヘッド431を模式的に示す断面図である。ヘッド431は、筐体11と、筐体11に保持された2つのノズル12,13と、流路14、振動子15,16とを有する。流路14を介して外部から供給された洗浄液は筐体11内で分岐して、ノズル12,13にそれぞれ供給される。そして、洗浄液は、ノズル12,13の内部にそれぞれ配置された振動子15,16によって超音波が与えられて超音波洗浄液となって、ノズル12,13の先端から噴射される。ノズル12,13は、噴射方向を任意に調整できるように筐体11に保持されるのが望ましい。
【0047】
2つのノズル12、13は筐体11に保持されているので、2つのノズルの位置、角度を正確に定めることで、超音波洗浄液の基板W上の噴射位置、噴射角度が製品ごとにばらつくことを防ぐことができる。
【0048】
なお、
図5Aおよび
図5Bでは、1つの流路14からノズル12,13に分岐する例を示しているが、ノズル12に洗浄液を供給する流路と、ノズル13に洗浄液を供給する流路とを別個に設けてもよい。
【0049】
図5Aは、ノズル12,13から筐体11の外側に超音波洗浄液が噴射される構成例である。
図5Bは、ノズル12,13からC字状の筐体11の内側に超音波洗浄液が噴射される構成例である。
【0050】
また、2つのノズル12,13は、アーム432の長手方向と同じ方向に配置されてもよいし(
図5C)、直交する方向に配置されてもよいし(
図5D)、任意の角度だけ傾斜する方向に配置されてもよい(
図5E)。
【0051】
ここで、2つのノズル12,13から同じ超音波洗浄液が噴射されてもよいし、互いに異なる超音波洗浄液が噴射されてもよい。
【0052】
異なる超音波洗浄液の具体例として、超音波洗浄液の周波数が互いに異なっていてもよい。一例として、ノズル12からの超音波洗浄液の周波数を0.8~1MHz程度とし、ノズル13からの超音波洗浄液の周波数を2~3MHz程度としてもよい。あるいは、前者を450kHz程度とし、後者を1MHz程度としてもよい。
【0053】
一般に超音波洗浄液の周波数が高いほど小さな異物を除去できるため、周波数が異なる超音波洗浄液を噴射することで、大きさが異なる異物を除去できる。
【0054】
別の例として、超音波洗浄液の電力が互いに異なっていてもよい。一例として、ノズル12からの超音波洗浄液を50Wとし、ノズル13からの超音波洗浄液を30Wとしてもよい。
【0055】
一般に、洗浄液中に超音波を照射すると、ある瞬間には減圧力、ある瞬間には圧縮力として作用する。洗浄液に減圧力が作用している瞬間において、気泡が発生し、これにより周囲の洗浄液分子が衝突して、衝撃波を発生することで汚れを破壊するものである。従って、超音波を発生させる電力が大きくなるほど、液粒子の振動が大きくなり、これにより発生する加速度が大きくなって衝撃波も大きくなるため、より小さな異物を除去できる。電力が異なる超音波洗浄液を噴射することで、大きさが異なる異物を除去できる。
【0056】
また別の例として、超音波洗浄液の流量が互いに異なっていてもよい。一例として、ノズル12からの超音波洗浄液を1.0L/秒とし、ノズル13からの超音波洗浄液を2.0L/秒としてもよい。
【0057】
一般に、洗浄液の流量が多いほど、基板に洗浄液が供給される際の打撃力が大きくなるため、基板上により強固に付着していた異物を除去しやすくなる。他方で、洗浄液の流量が少ないほど、基板に洗浄液が供給される際の打撃力が小さくなるため、パターン倒壊の抑制につながる。そのため、流量が異なる超音波洗浄液を噴射することで、基板のパターン倒壊のおそれを抑制しながら、基板に対する付着力が異なる異物をより効果的に除去できる。また、この場合の流量調整機構としては、それぞれのノズルに接続される管に設けられ開度が調整可能とされたバルブ機構が考えられる。
【0058】
また別の例として、超音波洗浄液の温度が互いに異なっていてもよい。一例として、ノズル12からの超音波洗浄液を低温とし、ノズル13からの超音波洗浄液を高温(60~80度)としてもよい。
【0059】
一般に、洗浄液の温度が多いほど、超音波の強さが弱まるので、温度が異なる超音波洗浄液を噴射することで、基板への衝撃力を抑制しながら基板に対する付着力が異なる異物をより効果的に除去できる。温度調整機構としては、公知の冷却装置、あるいは加温装置を設けることが考えられる。
【0060】
また別の例として、液の種類が互いに異なっていてもよい。一例として、ノズル12からは薬液に超音波を与えたものを噴射し、ノズル13からは純水に超音波を与えたものを噴射してもよい。
【0061】
ここで、薬液としては、例えば、クエン酸系、シュウ酸、硝酸などの酸性洗浄液、あるいは有機アルカリ、アンモニア水、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などのアルカリ洗浄液が挙げられる。
【0062】
また、2つのノズル12,13からの超音波洗浄液の噴射法も種々考えられる。なお、以下の図では、超音波洗浄液供給装置43における筐体11、流路14および振動子15,16を省略し、ノズル12,13のみを図示する。
【0063】
図6Aに示すように、2つのノズル12,13からの超音波洗浄液が互いに混ざり合った後に基板Wの表面に達するようにしてもよい。より詳細には、2つのノズル12,13から噴射された超音波洗浄液(の少なくとも一部)が基板Wの上方で合流して混ざり合い、その後に基板Wに落下するようにしてもよい。
【0064】
図6Bに示すように、2つノズル12,13からの超音波洗浄液が基板W上で合流して混ざり合うようにしてもよい。
【0065】
図6Cに示すように、2つのノズル12,13からの超音波洗浄液が基板Wの表面に達した後に互いに混ざり合うようにしてもよい。より詳細には、2つのノズル12,13から噴射された超音波洗浄液が基板W上の互いに離間した異なる2点(領域)に着液し、その後互いに近づく方向に流れてやがて合流して混ざり合うようにしてもよい。
【0066】
このように、第1の実施形態では、2つのノズル12,13から基板Wの表面に互いに異なる超音波洗浄液を噴射してもよい。そのため、種々の異物を除去でき、洗浄力が向上する。
【0067】
なお、基板洗浄装置4の態様は
図2などに示したものに限られない。例えば、ペン型洗浄具421ではなくロール型洗浄具で洗浄するものであってもよい。また、洗浄具を用いることなく超音波洗浄液で洗浄するのみであってもよい。さらに、チャック爪411やスピンドル51で基板Wを回転させるのではなく、基板Wを下方からステージ上に支持してステージを回転させてもよい。また、ノズルの数は2つに限られないし、筐体11によって複数のノズルが保持されるのではなく、互いに独立したノズルであってもよい。
【0068】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、2つのノズル12,13から基板Wの表面に超音波洗浄液を噴射するものであった。次に説明する第2の実施形態は、2つのノズル12,13から基板Wの表面および裏面にそれぞれ超音波洗浄液を噴射するものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
本実施形態においては、
図7および
図8に示すように、ヘッド431における2つのノズル12,13が鉛直方向に配置される。そして、ノズル12は下方に向かって超音波洗浄液を噴射し、ノズル13は上方に向かって超音波洗浄液を噴射する。そして、ノズル12とノズル13との間に基板Wを配置することにより、言い換えると、図示しない取り付け部品により基板Wの側方にヘッド431を配置することにより、ノズル12,13からそれぞれ基板Wの表面および裏面に超音波洗浄液が噴射される。なお、
図8において、ノズル12、13をわずかにずらして図示しているが、発明の理解を助けるためであり、本実施形態においては、ノズル12、13は鉛直方向にそろえて配置される。
【0070】
また、ヘッド431にはアクチュエータ434が連結されており、
図8の矢印Aに示すように、ヘッド431が基板Wの側方に近接、離反する向きに移動できるようになっていることが望ましい。これにより、基板Wの中心からエッジ部分にわたる任意の位置に超音波洗浄液を噴射できる。また、ヘッド431は基板Wの側方から退避することにより、基板回転機構41のチャック爪411で基板を保持する際の基板Wの載置を邪魔しないようになっていることが望ましい。また、矢印Bで示すように、ヘッド431は水平面内で回転可能であるのが望ましい。これにより、上方から見た基板Wに対する超音波洗浄液の噴射角度を任意に調整できたり、基板Wに対して揺動しながら超音波洗浄液を噴射できたりする。さらに、基板回転機構41のチャック爪411を超音波洗浄液で洗浄してもよい。
【0071】
2つのノズル12,13からの超音波洗浄液の噴射法は種々考えられる。
図9Aに示すように、ノズル12,13は基板Wのそれぞれ表面および裏面のエッジ部分に超音波洗浄液を噴射してもよい。より詳しくは、ノズル12は、超音波洗浄液が基板Wの表面のエッジ部分に着液し、その後、基板Wの表面上で超音波洗浄液が着液点から中心に向かうような方向に超音波洗浄液を噴射する。一方、ノズル13は、超音波洗浄液が基板Wの裏面のエッジ部分に着液し、かつ、基板Wの裏面上でエッジ部分から中心に向かう方向に超音波洗浄液を噴射する。これにより、基板Wのエッジ部分から中心までを洗浄できる。
【0072】
なお、この場合、基板Wのべべルには超音波洗浄液が当たらないようにするのが望ましい。基板Wから洗い流されたパーティクル等の異物がエッジ部を含む基板Wの表面および裏面に、付着して汚染することを防ぐためである。
【0073】
図9Bに示すように、ノズル12、13は基板Wのべべルに超音波洗浄液を噴射してもよい。ここで、べべルから洗い流された異物が超音波洗浄液とともに基板Wの表面および裏面にできるだけ達しないよう、ノズル12,13から基板Wの接線方向に超音波洗浄液を噴射するのがよい(
図9C)。これにより、べべルの洗浄によって汚染した超音波洗浄液が基板Wの表面および裏面を汚染してしまうことを抑制できる。なお、べべルの汚染がそれほど問題にならないのであれば(表面および裏面の汚染度と同程度かそれ以下であれば)、ノズル12,13から基板Wの径方向に超音波洗浄液を噴射し、べべルに当たった超音波洗浄液の少なくとも一部が基板Wの中心に向かうようにしてもよい。
【0074】
ここで、基板Wのエッジ部分およびベベルの両方を洗浄する場合、アクチュエータ434を利用して、まずベベルを洗浄し(
図9B)、次いでエッジ部分を洗浄する(
図9A)のが望ましい。ベベル洗浄時に洗浄後の汚染された超音波洗浄液が基板Wの表面に飛散することがあるが、ベベル洗浄後にエッジ部分を洗浄することで基板Wの表面に汚染された超音波洗浄液が残るのを抑制できるためである。
【0075】
なお、
図6Aに示した例と同様に、2つのノズル12,13からの超音波洗浄液が互いに混ざり合った後に基板Wのベベルに当たるようにしてもよく、
図6Bに示した例と同様に、2つノズル12,13からの超音波洗浄液が基板Wのベベルで合流するようにしてもよい。
【0076】
なお、ヘッド431に連結されたアクチュエータ434を駆動させてヘッド431を基板Wの側方に近接、離反する向きに移動させることにより、超音波洗浄液が基板Wに当たる位置を変化させることができる。例えば、超音波洗浄液を供給しながら、基板Wの表面および裏面内で着液位置を変化させることにより、基板をまんべんなく洗浄できる。また、1つのヘッド431で、まず基板Wのベベルに超音波洗浄液を供給してベベル部を洗浄した後、基板Wの表面および裏面に超音波洗浄液を供給して表面および裏面を洗浄してもよい。
【0077】
図9Dに示すように、ノズル12は基板Wの表面のエッジ部分より中心側に着液し、かつ、基板Wの表面上で着液点からエッジ部分に向かう方向に超音波洗浄液を噴射してもよい。同様に、ノズル13は基板Wの裏面のエッジ部分より中心側に着液し、かつ、基板Wの裏面上で着液点からエッジ部分に向かう方向に超音波洗浄液を噴射してもよい。基板Wの表面上でエッジ部分に達した超音波洗浄液は基板Wのべべルを伝って落下する。
【0078】
なお、
図9Dに示すように基板Wの表面に超音波洗浄液を噴射し、次いでベベルを洗浄してもよい(
図9B)し、その逆の順でもよいし、両者を交互に繰り返してもよい。
【0079】
基板Wの表面上で着液した超音波洗浄液は基板Wのエッジ方向に流れるので、超音波洗浄液の排出性が向上する。なお、ノズル12とノズル13は互いに独立したノズルであってもよく、
図5Bに示すようなC字型筐体11を有するヘッド431を使って、筐体11で基板Wのエッジを挟むようにして、超音波洗浄液を基板のエッジに向かう方向に噴射するようにしてもよい。
【0080】
これにより、基板Wの表面および裏面の着液点から外側(エッジ部分を含む)のみならずべべルも洗浄できる。べべルの汚染度が大きい場合には、べべルが最後に洗浄されるこのような洗浄法が有効である。また、
図4に示すコマ51aで基板Wを回転させる基板洗浄装置4’においては、汚染したべべルに接触するコマ51aも汚染する。
図9Dに示す噴射法によれば、超音波洗浄液がコマ51aにも達するため、コマ51a自体も洗浄できる。
【0081】
超音波洗浄液の吐出方向は、平面視で基板中心向きでなくてもよい。さらに、
図9Eに示すように、基板Wのエッジ部分かつコマ51a近傍の上方および下方にて、それぞれノズル12,13を揺動させながら超音波洗浄液を噴射してもよい。このような揺動は、図示しないノズル12、13の支持旋回機構によって実現される。例えば、アクチュエータ434がノズル12、13を揺動してもよい。これによっても、超音波洗浄液がコマ51aに達するため、コマ51a自体を洗浄できる。
【0082】
このように、第2の実施形態によれば、基板Wの表面および裏面を同時に洗浄でき、洗浄力が向上する。特に、基板Wにおける両面のエッジ部分や、べべルの洗浄も可能となる。また、コマ51aで基板Wを回転させる基板洗浄装置4’(
図4)や、基板Wを下面で支持して回転させる基板洗浄装置であれば、基板Wの全周にわたってエッジ部分およびべべルを洗浄できる。チャック爪411で基板Wを回転させる基板洗浄装置4(
図2および
図3)でも、基板Wのチャック爪411で保持される部分を除けばエッジ部分およびべべルを洗浄できる。
【0083】
なお、ノズル12,13が基板Wの異なる位置に向かって超音波洗浄液を噴射してもよい。例えば、ノズル12は基板Wの表面の中心近傍に、ノズル12は基板Wの裏面のエッジ部分に超音波洗浄液を噴射してもよい。また、第1の実施形態と第2の実施形態とを適宜組み合わせてもよい。
【0084】
また、ヘッド431から供給された超音波洗浄液により基板Wのエッジ部あるいはベベル部から洗い流された異物が基板Wの表面あるいは裏面に再付着することを防ぐため、基板Wの表面および裏面を他の洗浄手段で洗浄しながら、ヘッド431を用いた洗浄を行うことが望ましい。他の洗浄手段とは、ロールスポンジまたはペンシル型スポンジによるスクラブ洗浄、2流体洗浄、あるいは他の超音波洗浄液供給ノズルによる洗浄が挙げられる。
【0085】
(第3の実施形態)
次に説明する第3の実施形態は超音波洗浄液にマイクロバブルを導入するものであり、第1の実施形態および/または第2の実施形態と組み合わせることができる。
【0086】
図10は、超音波洗浄液供給装置43’の概略構成を示すブロック図である。なお、
図5Aなどに示した筐体11、流路14および振動子15,16は省略している。
【0087】
超音波洗浄液供給装置43’はマイクロバブル供給機構21を備える。マイクロバブル供給機構21は流路14に接続され、流路14を通じてノズル12,13に供給する洗浄液にマイクロバブルを導入する。マイクロバブルとして導入される気体は、水素、オゾン、二酸化炭素などであり、このような気体を溶存させることによって機能水が生成される。また、マイクロバブル供給機構21は溶存させる気体の濃度を制御してもよい。マイクロバルブの周囲では、溶存気体の濃度が高くなる。しかしながら、マイクロバルブ自体は超音波による洗浄エネルギーを弱めてしまい、洗浄力を低下させる可能性がある。
【0088】
そこで、超音波洗浄液供給装置43’はフィルタ22を備えるのが望ましい。フィルタ22によってマイクロバブルが除去される。なお、フィルタ22のメッシュサイズは、例えば100nm以下あるいは10nm以下が好適である。
【0089】
このような超音波洗浄液供給装置43’が基板洗浄装置に設けられる。そして、生成された、気体を含む超音波洗浄液がノズル12,13に供給され、基板Wに噴射される。
このように、第3の実施形態では、超音波洗浄液に気体を溶存させるため、さらに洗浄力が向上する。特に、キャビテーションを利用した超音波洗浄は、溶存気体を含む液体に超音波を作用させることによる物理洗浄であるため、高濃度の気体が溶存した超音波洗浄液は洗浄力が極めて高くなる。
【0090】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0091】
4,4’ 基板洗浄装置
41 基板回転機構
42 ペン洗浄機構
43 超音波洗浄液供給装置
431 ヘッド
432 アーム
433 アーム旋回軸
51 スピンドル
11 筐体
12,13 ノズル
14 流路
15,16 振動子
21 マイクロバブル供給機構
22 フィルタ