(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ドレッサボードの上面高さ測定方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/00 20060101AFI20231011BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20231011BHJP
B24B 53/02 20120101ALI20231011BHJP
【FI】
B24B53/00 A
B24B53/12 Z
B24B53/02
(21)【出願番号】P 2019199778
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川越 大輔
(72)【発明者】
【氏名】万波 秀年
(72)【発明者】
【氏名】中野 恵助
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-023057(JP,A)
【文献】特開2019-123046(JP,A)
【文献】特開2019-141949(JP,A)
【文献】特開2018-058160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B53/00-53/053
B24B53/095-53/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面に被加工物を保持させ該保持面の中心を軸に該保持面を回転させる保持手段と、該保持面に保持された被加工物を研削砥石の研削面により研削する研削手段と、該研削砥石により該保持手段に保持された被加工物を研削する研削位置に該保持手段を位置づける位置づけ手段と、該保持面に保持された被加工物の上面高さを測定するハイトゲージと、を備える研削装置を用いて、該保持面を覆う面積の基板と該基板の上面中央に形成されるドレス砥石とからなるドレッサボードの該基板を該保持面に保持させ該ドレス砥石の上面高さを測定するドレッサボードの上面高さ測定方法であって、
該保持面の中心と該ドレス砥石の中心とをずらして該保持面に該ドレッサボードを保持させる保持工程と、
該保持工程で該保持面に該ドレッサボードを保持した該保持手段を
回転させることにより該保持面の中心を中心として該ドレス砥石を回転させて、該ドレス砥石を該ハイトゲージの下方に位置させ、該ドレッサボードの該ドレス砥石の上面高さを該ハイトゲージで測定可能に位置づける位置づけ工程と、
該位置づけ工程で位置付けられた該保持面に保持された該ドレス砥石の上面高さを、該ハイトゲージで測定する上面高さ測定工程と、
を備えるドレッサボードの上面高さ測定方法。
【請求項2】
該研削装置は、該ドレッサボードを保持する保持部を有し該保持部に保持された該ドレッサボードを該保持面に搬入する搬入手段と、該ドレッサボードを仮置きする仮置きテーブルとを備え、
該保持工程の前に該仮置きテーブルに該ドレッサボードを仮置きさせる仮置き工程を備え、
該保持工程は、該仮置きテーブルに仮置きされた該ドレッサボードを該搬入手段で、該保持面の中心と該ドレス砥石の中心とをずらして該保持面に該ドレッサボードを保持させる、
請求項1記載のドレッサボードの上面高さ測定方法。
【請求項3】
該研削装置は、該保持面に水を供給する水供給ノズルを備え、
該保持工程において、該水供給ノズルから該保持面に水を供給し、該保持面のうち該基板に接触しておらず露出している部分に水シールを形成する、
請求項1または2記載のドレッサボードの上面高さ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレッサボードの上面高さ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を研削する研削装置においては、チャックテーブルの保持面に保持された被加工物を研削砥石を用いて研削している。研削加工を継続的に行うと研削砥石の研削力が低下することがある。研削力が低下する原因には、例えば研削砥石の研削面に研削屑が付着することによって生じる目詰まりや、研削面に表出している砥粒が平坦化される目つぶれ等が有る。
【0003】
そのため、研削面をドレス砥石を用いて研削して新たな研削面を表出させるドレスを行う事により研削砥石の研削力を回復させている。
ドレスは、特許文献1に開示のように、保持面に板状のドレッサボードを保持して、ドレッサボードに配置されるドレス砥石に研削砥石の研削面を接触させて行われる。保持面にドレッサボードを保持する際に研削加工を中断してしまうため、ドレス時間は短いほうがよい。
ドレス時間を短くするために、ドレッサボードのドレス砥石の上面の高さを測定し、ドレス砥石の上面に研削砥石の研削面が接触する高さに研削砥石を素早く位置づけることが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ドレス砥石は基台の中央にのみ配置されているため、被加工物の上面の高さを測定するハイトゲージでは測定できないという問題がある。
従って、ドレッサボードのドレス砥石の上面の高さを測定してドレス時間を短くするという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保持面に被加工物を保持させ該保持面の中心を軸に該保持面を回転させる保持手段と、該保持面に保持された被加工物を研削砥石の研削面で研削する研削手段と、該研削砥石により該保持手段に保持された被加工物を研削する研削位置に該保持手段を位置づける位置づけ手段と、該保持面に保持された被加工物の上面高さを測定するハイトゲージと、を備える研削装置を用いて、該保持面を覆う面積の基盤と該基板の上面中央に形成されるドレス砥石とからなるドレッサボードの該基板を該保持面に保持させ該ドレス砥石の上面高さを測定するドレッサボードの上面高さ測定方法であって、該保持面の中心と該ドレス砥石の中心とをずらして該保持面に該ドレッサボードを保持させる保持工程と、該保持工程で該保持面に該ドレッサボードを保持した該保持手段を回転させることにより該保持面の中心を中心として該ドレス砥石を回転させて、該ドレス砥石を該ハイトゲージの下方に位置させ、該ドレッサボードの該ドレス砥石の上面高さを該ハイトゲージで測定可能に位置づける位置づけ工程と、該位置づけ工程で位置付けられた該保持面に保持された該ドレス砥石の上面高さを、該ハイトゲージで測定する上面高さ測定工程と、を備えるドレッサボードの上面高さ測定方法である。
上記の該研削装置は、該ドレッサボードを保持する保持部を有し該保持部に保持された該ドレッサボードを該保持面に搬入する搬入手段と、該ドレッサボードを仮置きする仮置きテーブルとを備え、該保持工程の前に該仮置きテーブルに該ドレッサボードを仮置きさせる仮置き工程を備えるものであり、上面高さ測定方法に備える該保持工程は、該仮置きテーブルに仮置きされた該ドレッサボードを該搬入手段で該保持面の中心と該ドレス砥石の中心とをずらして該保持面に該ドレッサボードを保持させることが望ましい。
該保持工程において、該水供給ノズルから該保持面に水を供給し、該保持面のうち該基板に接触しておらず露出している部分に水シールを形成することが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本測定方法の上面高さ測定方法を用いることにより、面積の比較的小さなドレス砥石についても、ドレス砥石の上面の高さを測定することができる。そして、ドレス砥石の上面の高さを測定した後、回転軸を軸にして研削砥石を回転させるとともに、測定されたドレス砥石の上面の高さを基にして研削送り手段を用いて研削砥石を降下させて、ドレス砥石の上面に研削砥石の下面を接触させることにより、研削砥石のドレスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】保持面の上にドレッサボードを保持する様子を表す斜視図である。
【
図3】ドレッサボードの上における上面ハイトゲージの接触子の位置について示した斜視図である。
【
図4】ドレス砥石の高さを測定する様子を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 加工装置
図1に示す研削装置1は、研削砥石340を用いて被加工物Wを研削する研削装置である。以下、研削装置1について説明する。
【0010】
図1に示すように、研削装置1は、Y軸方向に延設されたベース10と、ベース10の+Y方向側に立設されたコラム11とを備えている。
【0011】
ベース10の上には、保持手段2が配設されている。保持手段2は円板状の吸引部20と吸引部20を支持する環状の枠体21とを備えている。吸引部20には多数の細孔が形成されており、吸引部20の上面は被加工物Wが保持される保持面20aとなっている。保持面20aと枠体21の上面21aとは面一となっている。
【0012】
保持面20aには吸引源26が接続されている。保持面20aに被加工物Wが載置されている状態で、吸引源26を用いて吸引力を発揮させると、生み出された吸引力が上記の多数の細孔を通じて保持面20aに伝達されて、保持面20aに被加工物Wが吸引保持されることとなる。
【0013】
研削装置1は、位置づけ手段8を備えている。位置づけ手段8は、保持面20aに保持された状態の被加工物Wを、研削砥石340により研削する研削位置に保持手段2を位置づける機能を有している。位置づけ手段8は、水平移動手段80と回転手段81とを備えている。
【0014】
ベース10の内部には、保持手段2をY軸方向に水平移動させる水平移動手段80が配設されている。例えば、被加工物Wが保持手段2に保持されている状態で、水平移動手段80を用いて保持手段2をY軸方向に水平移動させることによって、保持手段2を研削手段3の下方に位置づけることができる。
【0015】
保持手段2には、回転手段81が接続されている。回転手段81は、モータ810とモータ810の回転量を制御するエンコーダ811とを備えている。エンコーダ811から出力される電気信号に基づいてモータ810を用いて保持手段2を適宜の角度回転させることができる。
上記の水平移動手段80及び回転手段81を用いて、保持手段2を水平移動及び回転移動することによって、保持手段2を研削位置に位置づけることが可能となっている。
【0016】
また、保持手段2の周囲にはカバー27及びカバー27に伸縮自在に連結された蛇腹28が配設されている。例えば、水平移動手段80に駆動されて保持手段2がY軸方向に移動すると、カバー27が保持手段2とともにY軸方向に移動して蛇腹28が伸縮することとなる。
【0017】
コラム11の-Y方向側の側面には、研削手段3を昇降可能に支持する研削送り手段4が配設されている。研削手段3は、Z軸方向の回転軸35を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30の下端に接続された円環状のマウント33と、マウント33の下面に着脱可能に装着された研削ホイール34とを備えている。
研削ホイール34は、ホイール基台341と、ホイール基台341の下面に環状に配列された略直方体形状の複数の研削砥石340とを備えており、研削砥石340の下面は被加工物Wを研削する研削面340aとなっている。
【0018】
研削送り手段4は、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ40と、ボールネジ40に対して平行に配設された一対のガイドレール41と、回転軸45を軸にしてボールネジ40を回転させるZ軸モータ42と、内部のナットがボールネジ40に螺合して側部がガイドレール41に摺接する昇降板43と、昇降板43に連結され研削手段3を支持するホルダ44とを備えている。
【0019】
Z軸モータ42によってボールネジ40が駆動されて、ボールネジ40が回転軸45を軸にして回転すると、これに伴って、昇降板43がガイドレール41に案内されながらZ軸方向に昇降移動するとともに、ホルダ44に保持されている研削手段3がZ軸方向に移動することとなる。
【0020】
ベース10の上には、例えば厚み測定手段100が配設されている。厚み測定手段100は、例えば研削装置1のベース10の上の-X方向側に配設された筐体103を備えている。筐体103の側面には、保持面ハイトゲージ101及び上面ハイトゲージ102が配設されている。
保持面ハイトゲージ101は第1接触子101aを備えている。保持面ハイトゲージ101の第1接触子101aを枠体21の上面21aの上に接触させることにより、枠体21の上面21aに面一な吸引部20の保持面20aの高さを測定することができる。
上面ハイトゲージ102は第2接触子102aを備えている。例えば保持面20aに被加工物Wが保持されている状態で、上面ハイトゲージ102の第2接触子102aを被加工物Wの上面Waに接触させることにより、被加工物Wの上面Waの高さを測定することができる。
【0021】
厚み測定手段100の近傍には水供給ノズル90が配設されている。水供給ノズル90は水源9に接続されている。水供給ノズル90は、水源9から供給される水を保持手段2の保持面20aに向けて噴射することができる。
【0022】
ベース10の-Y方向側には、カセット載置部12が設けられている。
カセット載置部12には、カセット70が載置されている。カセット70には、研削加工前の被加工物Wが収容されている。また、カセット70には、研削加工後の被加工物W等を収容することができる。
【0023】
カセット70の+Y方向側には、ロボット71が配設されている。ロボット71は、ロボットハンド710とロボットハンド710を旋回可能に支持する軸部711とを備えている。ロボットハンド710を用いてカセット70に収容されている被加工物Wをカセット70から取り出して、軸部711を軸にしてロボットハンド710を旋回させることにより被加工物Wを搬送することができる。
【0024】
ロボットハンド710の可動域における+X方向側には、研削加工前の被加工物Wが仮置きされる仮置きテーブル13が配設されており、ロボットハンド710の可動域における-X方向側には、研削加工後の被加工物Wを洗浄する洗浄領域14が設けられている。
【0025】
仮置きテーブル13には、位置合わせ手段72が配設されている。カセット70から搬出されて仮置きテーブル13に載置された被加工物Wは、位置合わせ手段72によって所定の位置に位置合わせされることとなる。
【0026】
洗浄領域14には、スピンナ洗浄手段73が配設されている。スピンナ洗浄手段73は、被加工物Wを保持して回転するスピンナテーブル730と、スピンナテーブル730に保持された被加工物Wに向けて洗浄水を噴出する洗浄水供給ノズル731とを備えている。
例えば、スピンナテーブル730に研削加工後の被加工物Wが載置されている状態で、洗浄水供給ノズル731から洗浄水を供給することにより被加工物Wを洗浄することができる。
【0027】
仮置きテーブル13に隣接する位置には搬入手段5Aが配設されている。搬入手段5Aは、仮置きテーブル13において位置合わせされた被加工物W等を保持して保持手段2の保持面20aに搬入する機能を有している。
搬入手段5Aは、リング状の第1保持部50及び第1保持部50を上下自在に吊持するアーム51を備えている。
第1保持部50の中央には円形の開口500が形成されている。第1保持部50の下面50bは、被加工物Wの上面Waを吸引保持する吸引面となっている。
【0028】
アーム51の端部には、Z軸方向の回転軸55を有する軸部510が連結されている。例えば、軸部510には、回転軸55を軸にして軸部510を回転させる図示しない回転手段等が接続されている。
【0029】
アーム51の軸部510に連結されていない側の端部には、環状部材52が連結されている。環状部材52には、例えば3つの貫通孔520が円周上に等間隔に貫通形成されている。
【0030】
搬入手段5Aは、環状部材52の貫通孔520の数に対応する数(例えば3つ)のボルト53を備えている。ボルト53は、貫通孔520に貫通して遊嵌しており、ボルト53の下部は第1保持部50の上面50aに連結されている。ボルト53は、例えばストリッパボルト等であり、第1保持部50の上面50aに形成されている図示しないネジ穴に、ボルト53の下部に形成されている図示しないネジ切りが螺合して、第1保持部50に締結されているものとする。
また、第1保持部50の上部に備えるツバ部は、貫通孔520よりも大径に形成されており、ボルト53の下降範囲を制限している。例えば、第1保持部50に被加工物W等を保持する際に第1保持部50の下面50bが被加工物W等から+Z方向の押力を受けると、第1保持部50及びボルト53が環状部材52に対して一定の距離だけ上昇することができる。
【0031】
搬入手段5Aの-X方向側には搬出手段5Bが配設されている。搬出手段5Bは、研削加工後の被加工物Wを保持手段2から搬出する機能を有している。
搬出手段5Bは、搬入手段5Aに備えるリング状の第1保持部50に代えて、円板状の第2保持部57を備えている。第2保持部57の上面57aに形成されている図示しないネジ穴にボルト53のネジ切りが螺合して、第2保持部57がボルト53に連結されている。第2保持部57の下面57bは被加工物Wの上面Waを吸引保持する吸引面となっている。
搬出手段5Bについてのその他の構成は、搬入手段5Aと同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
カセット70の内部には、例えばドレッサボード6が収容されている。ドレッサボード6は、保持面20aを覆う面積を有する上下面を備える円板状の基板60と、基板60の上面60aの中央に形成された円形状のドレス砥石61とを備えている。ドレス砥石61は基板60よりも小径に形成されている。
回転する研削砥石340をドレッサボード6のドレス砥石61の上面61aに接触させることによって研削砥石340のドレスをすることができる。
【0033】
被加工物Wを研削する際には、まずロボット71を用いて一枚の被加工物Wをカセット70から取り出して、仮置きテーブル13に仮置きする。
【0034】
そして、位置合わせ手段72を用いて位置合わせを行った後、仮置きテーブル13に仮置きされている被加工物Wに第1保持部50の下面50bを接触させて図示しない吸引手段等による吸引力を第1保持部50の下面50bに伝達する。これにより、第1保持部50に被加工物Wが保持される。
【0035】
第1保持部50に被加工物Wが保持されている状態で回転軸55を軸にして軸部510を回転させてアーム51を旋回させることにより、アーム51の可動範囲に予め位置付けられている保持手段2の保持面20aに被加工物Wを載置する。その後、吸引源26を作動させて、生み出された吸引力を保持面20aに伝達することにより、被加工物Wを保持面20aに吸引保持する。
【0036】
次いで、水平移動手段80を用いて保持手段2を+Y方向に移動させて、研削手段3の下方に位置づける。被加工物Wが保持されている保持手段2を研削手段3の下方に位置付けた後、スピンドルモータ32を用いて回転軸35を軸にして研削砥石340を回転させるとともに、図示しないモータ等を用いて回転軸85を軸にして保持手段2及び保持手段2の保持面20aに保持されている被加工物Wを高速回転させる。研削砥石340及び被加工物Wが回転している状態で研削送り手段4を用いて研削手段3を下降させて、研削砥石340の研削面340aを被加工物Wの上面Waに当接させることにより、被加工物Wを研削することができる。
【0037】
2 上面高さ測定方法
(仮置き工程)
上記の研削装置1を用いて、ドレッサボード6のドレス砥石61の上面61aの高さを測定する方法について説明する。まず、
図1に示したロボット71を用いてカセット70からドレッサボード6を引き出して、仮置きテーブル13に仮置きする。
【0038】
(保持工程)
次いで、位置合わせ手段72を用いて、仮置きテーブル13に仮置きされているドレッサボード6の位置合わせをする。
その後、搬入手段5Aの第1保持部50の下面50bにドレッサボード6を接触させる。このとき、第1保持部50の円環の中心とドレス砥石61の上面61aの中心とを一致させて第1保持部50の下面50bに基板60を接触させることにより、第1保持部50の開口500からドレス砥石61が突出する。
【0039】
第1保持部50の下面50bに基板60の上面60aが接触している状態で、図示しない吸引手段等を用いて第1保持部50の下面50bに吸引力を伝達することによって、第1保持部50にドレッサボード6を吸引保持する。
ここで、予め水平移動手段80を用いて保持手段2を-Y方向に移動させて、搬入手段5Aのアーム51の可動域に保持手段2を位置付けておく。
そして、軸部510を軸にしてアーム51を旋回させて、ドレッサボード6を、保持手段2の保持面20aの中心Toとドレス砥石61の上面61aの中心Goとがずれるように保持手段2の保持面20aに載置する。
【0040】
そして、ドレッサボード6が保持面20aに載置されている状態で、吸引源26を作動して生み出された吸引力を保持面20aに伝達する。これにより、ドレッサボード6を保持面20aに保持する。
【0041】
(位置づけ工程)
次に、水平移動手段80を用いて保持面20aにドレッサボード6が保持されている保持手段2を+Y方向に移動させて、
図2に示すようにハイトゲージ102の下方に基板60の上面を位置づける。
このとき、
図2及び
図3に示すように、上面ハイトゲージ102の第2接触子102aの水平位置が、ドレス砥石61の上面61aの中心Goから距離Rだけ離れた点Pに位置づけられる。ただし、ドレス砥石61の上面61aの中心Goから点Pまでの距離Rは、ドレス砥石61の上面61aの直径Dよりも大きいものとする。
【0042】
その後、水供給ノズル90等を制御して、水源9より供給される水Lを水供給ノズル90から保持手段2の保持面20aに向けて噴射する。すると保持面20aのうち基板60の下面60bに接触しておらず露出している部分に水Lが接触して、保持面20aの多数の細孔の内部に進入していく。これにより保持面20aに水膜(水シール)が形成されて、保持面20aのバキュームリークが防止される。
【0043】
次いで、回転手段81のエンコーダ811から出力される信号等に基づいてモータ810を用いてドレッサボード6を回転制御して、回転軸85を軸にしてドレッサボード6を所定の回転角度だけ回転させる。これにより、
図4に示すように、上面ハイトゲージ102の第2接触子102aがドレス砥石61の上面61aに接触する位置に、保持手段2が位置付けられる。
このようにして、水平移動手段80を用いた+Y方向への水平移動及び回転手段81を用いた回転移動によって、ドレッサボード6のドレス砥石61の上面61aの高さが上面ハイトゲージ102によって測定可能となるような位置に保持手段2が位置付けられる。
【0044】
(上面高さ測定工程)
上記のようにドレッサボード6を保持手段2に保持して、上面ハイトゲージ102を用いてドレス砥石61の上面61aの高さを測定できる位置に保持手段2を位置付けた後、上面ハイトゲージ102をドレス砥石61の上面61aに接触させて、ドレス砥石61の上面61aの高さを測定する。
【0045】
本測定方法の上面高さ測定方法を用いることによって、面積の比較的小さなドレス砥石61についても、ドレス砥石61の上面61aの高さを測定することができる。
そして、ドレス砥石61の上面61aの高さを測定した後、回転軸35を軸にして研削砥石340を回転させるとともに、測定されたドレス砥石61の上面61aの高さを基にして研削送り手段4を用いて研削砥石340を降下させて、ドレス砥石61の上面61aに研削砥石340の下面を接触させることにより、研削砥石340のドレスを行うことができる。
【0046】
また、例えば予めドレス砥石61を使用できる限界の高さとしての上面61aの高さを定めておいて、例えば研削砥石340のドレスを行う度に(または所定回数のドレスを行う度に)本測定方法を用いてドレス砥石61の上面61aの高さを測定することによって、研削砥石340のドレスによって摩耗して、ドレス砥石61の上面61aの高さが該限界の高さになったときにドレス砥石61の使用限界に達したことを知ることができる。
【0047】
なお、搬入手段5Aに備える第1保持部50は小径円板状の吸引パッドであってもよい。かかる第1保持部50を用いてドレッサボード6を保持する際には、基板60の中心から離れた位置を第1保持部50に吸着する。これにより、第1保持部50に保持されたドレッサボード6のドレス砥石61の上面61aの中心と第1保持部50の中心とがずれるため、保持面20aにドレッサボード6を載置するときに保持手段2の保持面20aの中心Toと第1保持部50の中心との位置関係を調整することを要さず、素早く載置することが可能となる。これにより、研削砥石340のドレスにかかる時間をより短くすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1:研削装置 10:ベース 11:コラム 12:カセット載置部
13:仮置きテーブル 14:洗浄領域
2:保持手段 20:吸引部 20a:保持面 21:枠体 21a:枠体の上面
26:吸引源 27:カバー 28:蛇腹
3:研削手段 30:スピンドル 31:ハウジング 32:スピンドルモータ
33:マウント 34:研削ホイール 340:研削砥石 340a:研削砥石の下面
341:ホイール基台 35:回転軸
4:研削送り手段 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Z軸モータ
43:昇降板 44:ホルダ 45:回転軸
5A:搬入手段 50:第1保持部 50a:上面 50b:下面 500:開口
51:アーム 510:軸部 52:環状部材 520:貫通孔
53:ボルト 55:回転軸 57:第2保持部57a:上面 57b:下面
6:ドレッサボード 60:基板 60a:基板の上面 61:ドレス砥石
61a:ドレス砥石の上面 70:カセット 71:ロボット
710:ロボットハンド 711:軸部 72:位置合わせ手段
73:スピンナ洗浄手段 730:スピンナテーブル 731:洗浄水供給ノズル
8:位置づけ手段 80:水平移動手段
81:回転手段 810:モータ 811:エンコーダ 85:回転軸
9:水源 90::水供給ノズル
100:厚み測定手段 101:保持面ハイトゲージ 101a:第1接触子
102:上面ハイトゲージ 102a:第2接触子 103:筐体
W:被加工物 Wa:被加工物の上面
D:直径 R:距離 Go:ドレス砥石の上面の中心 To:保持面の中心
P:上面ハイトゲージの第1接触子の位置