IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日清フーズ株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】難消化性デキストリン含有ソース
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20231011BHJP
   A23L 7/109 20160101ALN20231011BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L7/109 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020539607
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2019034048
(87)【国際公開番号】W WO2020045605
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2018163135
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 朋恵
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 昭良
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-231517(JP,A)
【文献】特開2008-307016(JP,A)
【文献】特開2016-189763(JP,A)
【文献】特開2016-182077(JP,A)
【文献】特開2014-060960(JP,A)
【文献】特開2006-115714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難消化性デキストリンと、地上系澱粉由来の架橋澱粉と、地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上とを含有するソース。
【請求項2】
前記難消化性デキストリンを0.5~35質量%、前記地上系澱粉由来の架橋澱粉を0.1~15質量%、ならびに前記地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上を合計で0.01~7質量%、を含有する液状部を含む、請求項1記載のソース。
【請求項3】
前記地上系澱粉由来の架橋澱粉がワキシーコーンリン酸架橋澱粉である、請求項1又は2記載のソース。
【請求項4】
前記地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上が、アセチル化タピオカ澱粉、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、及びヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上である、請求項1~3のいずれか1項記載のソース。
【請求項5】
具材をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項記載のソース。
【請求項6】
前記具材の含有量が、液状部100質量部に対して0~70質量部である、請求項5記載のソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難消化性デキストリンを含有するソースに関する。
【背景技術】
【0002】
食物繊維は、ヒトの消化酵素で消化されない成分であり、また消化管内での食品の吸収を遅らせる、腸内細菌叢を整えるなどの生理機能を有することから、健康の維持や増進等の保健機能(機能性)の観点で近年注目されている。水溶性食物繊維の1種である難消化性デキストリンは、澱粉を消化酵素で消化処理した後、焙炒処理して得られる平均分子量2000程度の多糖類である。難消化性デキストリンは、入手しやすく、また水溶性で液状食品にも配合しやすいことから、食品用の機能性素材として多用されている。
【0003】
ソースは、主に他の食品に添加して食する液体状の食品である。ソースには、液状部のみからなる具材を含まないソースや、固形の具材を含むソースがあり、これらは他の食品に対して風味や、食感、色合い等装飾的アクセントなどを与えるために使用される。近年の健康志向の増大に対応して、ソースにも、風味や食感のみならず機能性を有することが望まれる。
【0004】
一方、機能性成分を食品に配合する場合、該食品には、機能性を有するだけでなく、本来有する風味や食感等の性状を維持することが求められる。特許文献1には、難消化性デキストリンを6%以上、油脂を20%以下と、ニンジン及びタマネギを配合する酸性分離液状調味料が記載され、またこの調味料が、食物繊維を多量に配合したものであるにもかかわらず、これをサラダにかけて食した場合には野菜のフレッシュな食味を味わうことができることが記載されている。特許文献2には、難消化性デキストリンとフルボ酸ミネラル調味液を含有する生だしが、焚き上げによる難消化性デキストリンの含量の低下が抑えられており、これにより食物繊維の生理効果を得ることができることが記載されている。特許文献3には、難消化性デキストリンを20~60質量%、蛋白質が0.01~1質量%、及び90%果汁由来のビタミンCを含有し、pHが4以下の液状調味料が、その褐変を防止できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-104003号公報
【文献】特開2017-38540号公報
【文献】特開2017-216943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、難消化性デキストリン含有ソースの開発において、難消化性デキストリン含有ソースが、ベタつきやぬめりによって取扱い性や食感が低下するだけでなく、該ソースを冷凍後に再加熱すると、他の食品に対する付着性の低下や、離水による品質低下が起こることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、難消化性デキストリン含有ソースにおける上記課題を改善すべく検討した結果、所定の種類の加工澱粉を配合した難消化性デキストリン含有ソースが、難消化性デキストリンによるソースのベタつきやぬめりが抑えられ、良好な取扱い性や食感を有することを見出した。また本発明者らは、当該難消化性デキストリン含有ソースにより、冷凍後に再加熱したときの付着性低下や離水が抑えられることを見出した。
【0008】
本発明は、以下を提供する。
〔1〕難消化性デキストリンと、地上系澱粉由来の架橋澱粉と、地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上とを含有するソース。
〔2〕前記難消化性デキストリンを0.5~35質量%、前記地上系澱粉由来の架橋澱粉を0.1~15質量%、ならびに前記地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上を合計で0.01~7質量%、を含有する液状部を含む、〔1〕記載のソース。
〔3〕前記地上系澱粉由来の架橋澱粉がワキシーコーンリン酸架橋澱粉である、〔1〕又は〔2〕記載のソース。
〔4〕前記地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上が、アセチル化タピオカ澱粉、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、及びヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載のソース。
〔5〕具材をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項記載のソース。
〔6〕前記具材の含有量が、液状部100質量部に対して0~70質量部である、〔5〕記載のソース。
〔7〕ソースの製造のための、難消化性デキストリンと、地上系澱粉由来の架橋澱粉と、地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上との使用。
〔8〕前記ソースが、前記難消化性デキストリンを0.5~35質量%、前記地上系澱粉由来の架橋澱粉を0.1~15質量%、ならびに前記地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上を合計で0.01~7質量%、を含有する液状部を含むソースである、〔7〕記載の使用。
〔9〕前記ソースが具材をさらに含む、〔7〕又は〔8〕記載の使用。
〔10〕前記具材の含有量が前記ソースの液状部100質量部に対して0~70質量部である、〔9〕記載の使用。
【発明の効果】
【0009】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースは、難消化性デキストリンの配合に起因して起こる、ソースのベタつきやぬめり、及び冷凍後に再加熱したソースの付着性低下や離水を抑えることができる。したがって、本発明によれば、難消化性デキストリンによる保健機能を享受でき、かつ取り扱い性、食感、及び品質のよい難消化性デキストリン含有ソースを提供することができる。本発明の難消化性デキストリン含有ソースは、冷凍後に再加熱しても品質が低下しにくいので、冷凍食品に用いるソースとしても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、難消化性デキストリン含有ソースを提供する。本発明で用いられる難消化性デキストリンは、天然由来のものでも人工のものでもよい。好ましくは、本発明で用いられる難消化性デキストリンとしては、天然の澱粉から酵素処理や焙炒処理等で製造したもの、又は市販品を用いることができる。本発明で用いられる難消化性デキストリンとしては、食物繊維含量80質量%以上、好ましくは85~95質量%のものを好適に利用することができる。食物繊維含量が高いものを用いることで、良好な保健効果が期待できる。ここで食物繊維含量とは、AOAC 2001.3に準拠し、酵素-HPLC法で定量された値である。
【0011】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースは、さらに地上系澱粉由来の架橋澱粉を含有する。該地上系澱粉は、植物地上部に由来する澱粉であり、例えば小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチなどが挙げられ、このうちワキシーコーンスターチが好ましい。該架橋澱粉としては、澱粉に通常用いられる架橋処理を施されたもの、例えばリン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉などが挙げられる。澱粉の架橋処理は、公知の方法で行うことができる。例えば、リン酸架橋澱粉は、澱粉をトリメタリン酸ナトリウムで処理することで得ることができ、アジピン酸架橋澱粉は、澱粉を無水アジピン酸で処理することで得ることができる。本発明で用いられる該地上系澱粉由来の架橋澱粉の例としては、好ましくはワキシーコーンスターチ由来の架橋澱粉、より好ましくはワキシーコーンリン酸架橋澱粉が挙げられる。
【0012】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースは、さらに地下系澱粉由来の加工澱粉を含有する。本発明で用いられる該地下系澱粉由来の加工澱粉は、地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉からなる群より選択される1種以上である。該地下系澱粉は、植物の地下茎又は根などの地下部器官に由来する澱粉であり、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉などが挙げられ、このうちタピオカ澱粉が好ましい。該エステル化澱粉としては、澱粉に通常用いられるエステル化処理を施されたもの、例えばアセチル化澱粉、オクテニルコハク酸化澱粉などが挙げられる。該エーテル化澱粉としては、澱粉に通常用いられるエーテル化処理を施されたもの、例えばヒドロキシプロピル化澱粉などが挙げられる。澱粉のエステル化及びエーテル化処理は、公知の方法で行うことができる。例えば、アセチル化又はオクテニルコハク酸化澱粉は、澱粉を無水酢酸又は無水オクテニルコハク酸でエステル化することで得ることができ、ヒドロキシプロピル化澱粉は、澱粉を酸化プロピレンでエーテル化することで得ることができる。
【0013】
本発明で用いられる地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉は、それぞれ、エステル化架橋澱粉及びエーテル化架橋澱粉を含んでいてもよい。該架橋処理は上述の方法で行うことができ、好ましくはリン酸架橋である。澱粉に対するエステル化又はエーテル化処理と架橋処理は、同時に行ってもよく、順番に行ってもよい。該地下系澱粉由来のエステル化架橋澱粉及びエーテル化架橋澱粉の例としては、好ましくは、アセチル化架橋タピオカ澱粉、及びヒドロキシプロピル化架橋タピオカ澱粉が挙げられる。
【0014】
本発明で用いられる該地下系澱粉由来の加工澱粉の例としては、好ましくは、エステル化タピオカ澱粉及びエーテル化タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上が挙げられる。該エステル化タピオカ澱粉は、好ましくはアセチル化タピオカ澱粉及びアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上であり、該エーテル化タピオカ澱粉は、好ましくはヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉及びヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上である。したがって、本発明で用いられる該地下系澱粉由来の加工澱粉は、好ましくは、アセチル化タピオカ澱粉、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、及びヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上であり、より好ましくは、アセチル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカ澱粉、又はそれらのいずれか2種以上の組み合わせである。
【0015】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースは、上述した難消化性デキストリン、地上系澱粉由来の架橋澱粉、及び地下系澱粉由来の加工澱粉、を含有する液状部を含むソースであればよい。本明細書において、本発明の難消化性デキストリン含有ソースの液状部とは、該ソースから具材を除いた液状部分をいい、具体的には、該ソース(20℃)を目開き5mmの篩で濾して得られる濾過分をいう。一方、該篩上に残った部分は、該液状食品の具材である。
【0016】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースにおける難消化性デキストリンの含有量は、該ソースの液状部の全質量中、好ましくは0.5~35質量%、より好ましくは1~30質量%、さらに好ましくは1~25質量%、さらに好ましくは3~25質量%、さらに好ましくは3~20質量%、なお好ましくは5~20質量%である。該ソースにおける難消化性デキストリン量が少ないと、食物繊維による保健機能が不充分になることがある。一方で、該ソースにおける難消化性デキストリン量が多すぎると、ソースがベタついて糸曳きが起こったり、ぬめりが強くなることがある。
【0017】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースにおける地上系澱粉由来の架橋澱粉の含有量は、該ソースの液状部の全質量中、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~7質量%である。該ソースにおける該架橋澱粉の量が少ないと、ソースの取り扱い性や、冷凍後の品質が低下することがある。一方で、該ソースにおける該架橋澱粉の量が多すぎると、ソースがぼってりとした性状になり口当たりが低下することがある。
【0018】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースにおける地下系澱粉由来の加工澱粉の含有量は、該地下系澱粉由来のエステル化澱粉及びエーテル化澱粉の合計含有量として、該ソースの液状部の全質量中、好ましくは0.01~7質量%、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.1~3.5質量%である。該ソースにおける該加工澱粉の含有量が少ないと、冷凍後のソースの品質が低下することがある。一方で、該ソースにおける該加工澱粉の含有量が多すぎると、ソースがぼってりとした性状になり口当たりが低下することがある。
【0019】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースの種類は、特に制限されず、例えば、ホワイトソース、クリームソース、カルボナーラソース、オイルソース、トマトソース、バターソース、醤油ソースなどであり得る。例えば、本発明のソースは、ソース含有食品(例えばスープ、シチュー、リゾット、グラタン、パスタ等)に含まれるソースとして、又は単独で食品にかけたりつけたりするためのソース(例えば、フレイバーソース、ディップソース等)として使用され得る。本発明のソースは、通常のソースに使用される材料、例えば、水、出汁、フォン、乳、塩、砂糖、卵、バター、クリーム、油脂、食材(肉、野菜、豆類、穀類等)のペースト又はピューレ状物、穀粉、上述した地上系澱粉由来の架橋澱粉及び地下系澱粉由来の加工澱粉以外の澱粉、醤油、酢、ブイヨン、コンソメなど、及び必要に応じて酸味料、乳化剤、増粘剤、安定剤、着色料等の添加剤、を含有していてもよい。使用する材料の種類及びその配合量は、ソースの種類に応じて適宜選択することができる。
【0020】
本発明のソースは、液状部からなり具材を含まない液状ソースであってもよいが、該液状部以外の具材を含む液状ソースであってもよい。該具材としては、食品として喫食され得るものであればよく、牛肉、豚肉等の肉類、タラ、イカ等の魚介類、ホウレンソウ、ゴボウ、ニンジン等の野菜類、ジャガイモ、サツマイモ等のイモ類、シイタケ、シメジ等のキノコ類、アズキ、エンドウ豆等の豆類、米、麦等の穀類、アーモンド、クルミ等の木の実類、グレープフルーツ、キウイ等の果実類等を例示でき、これらの1種以上を組み合わせて用いることができる。該具材の大きさや形状は、適宜常用のソースの製造方法を参考に決定すればよく、特に限定されない。本発明のソースにおける該具材の含有量は、湿重量基準で、該ソースの液状部100質量部に対して、好ましくは0~70質量部、より好ましくは10~50質量部である。
【0021】
本発明の難消化性デキストリン含有ソースは、20℃における液状部の粘度が100~10000mPa・sであると、口当たりがよく、具材の食感も楽しめる点で好ましい。なお、本発明におけるソースの粘度は、JIS Z 8803「液体の粘度-測定方法」に準拠し、B型粘度計で測定された値である。
【0022】
本発明のソースは、通常のソースの製法に準じて製造することができる。上述した難消化性デキストリン、地上系澱粉由来の架橋澱粉、及び地下系澱粉由来の加工澱粉は、製造の途中や製造後に配合し、必要に応じて加熱や攪拌等の操作を行ってソース全体に行きわたるようにすればよい。
【実施例
【0023】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などによって何ら限定されるものではない。
【0024】
参考例1 難消化性デキストリン含有ホワイトソース
常法に従ってホワイトソースを製造した。深鍋にバターを入れて加熱し、溶けたところで薄力粉(日清フーズ製)を投入し、中火で焦がさないようによく炒めた。これに牛乳を加えてよくのばし、塩で味を調え、ホワイトソースを得た。得られたソースの20℃での粘度は約550mPa・sであった。このソースに難消化性デキストリン(松谷化学工業製ファイバーソル2、食物繊維含量90質量%)を8質量%になるよう加えた。得られた難消化性デキストリン含有ソースは、20℃での粘度は、約750mPa・sと若干増加したもののソースの粘性としては好ましい値であったが、一方で、ソースがベタついで糸曳きが起こったり、ぬめりが見られるようになった。
【0025】
試験例1
参考例1の難消化性デキストリン含有ホワイトソースをベースに、表1の量で難消化性デキストリン及び各種澱粉を含有するソースを製造した。得られた各ホワイトソースの取り扱い性、及び冷凍保存して再加熱した後の品質を下記の手順で評価した。結果を表1に示す。
【0026】
(取り扱い性の評価)
皿に入れたホワイトソースをスプーンですくった際の取り扱い性を、訓練された10名のパネラーにより下記基準で評価し、10名の評価の平均値を求めた。
5:ソースの切れが良く、糸曳きやぬめりが全くなく、非常に良好
4:ソースの切れがあり、糸曳きやぬめりがあまりなく、良好
3:ソースの糸曳き、ぬめりがややあり、やや不良
2:ソースの糸曳き、ぬめりがあるか、ぼってりとした感じがあり、不良
1:ソースの糸曳き、ぬめりが強いか、ぼってりとしており、非常に不良
【0027】
(再加熱後の品質の評価)
ホワイトソース60gを耐熱性の容器にとり、蓋をして冷凍庫内にて-15℃で1週間保存した。保存後のソースを容器ごと電子レンジにて600Wで5分間加熱した。加熱直後のソースの離水の状態を評価した。さらに、該加熱後のソースの全量を茹でスパゲティ100gにかけ、スパゲティに対するソースの付着性を評価した。評価は、訓練された10名のパネラーにより下記基準にて行い、10名の評価の平均値を求めた。
5:加熱直後に離水が全く無く、スパゲティとの絡みも非常によく、非常に良好
4:加熱直後に離水がほとんど無く、スパゲティとの絡みもよく、良好
3:加熱直後に離水がややあり、スパゲティとの絡みがやや悪く、やや不良
2:加熱直後に離水があり、スパゲティとの絡みが悪く、不良
1:加熱直後に離水が著しく、スパゲティとの絡みが非常に悪く、非常に不良
【0028】
【表1】
【0029】
試験例2
難消化性デキストリン又は澱粉の添加量を表2~4のように変えた以外は、試験例1と同様の手順でソースを製造して評価した。結果を表2~4に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】