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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】切削ブレードを取り外す方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20231013BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20231013BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B24B27/06 J
B24B45/00 Z
H01L21/78 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019186979
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021062420
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 文雄
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-010703(JP,A)
【文献】特開2015-023222(JP,A)
【文献】特開2005-191096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
B24B 45/00
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に装着穴を有する円盤状の切削ブレードを回転軸となるスピンドルに装着するためのフランジ機構を有する加工装置における該切削ブレードを取り外す方法であって、
該フランジ機構は、
先端に雄ねじが形成されたボス部と、該ボス部から径方向に突出し、該切削ブレードを支持する支持面を有した固定フランジ部と、
該ボス部に装着される装着穴を有し、該ボス部に装着された切削ブレードを該固定フランジ部との間に挟持する押さえフランジ部と、
該ボス部の雄ねじと螺合する雌ねじが内周に形成され、該ボス部と締結する事で該押さえフランジ部を介して切削ブレードを固定する固定ナットと、を備え、
該固定フランジ部は、
該支持面に形成され、切削ブレードを吸引固定する吸引孔と、
該吸引孔と吸引源とを連通させる吸引路と、
該吸引路に形成されたバルブと、
該バルブを開閉し吸引を制御する制御部と、を含み、
該切削ブレードを取り外す方法は、
該押さえフランジ部を外す時に切削ブレードが落下しないようにバルブを開放して、切削ブレードを該固定フランジ部に吸引保持し、
該押さえフランジ部を取り外した後に該バルブを閉じて、該固定フランジ部の該切削ブレードの吸引保持を停止し該切削ブレードを取り外すことを特徴とする切削ブレードを取り外す方法
【請求項2】
該加工装置は、
フランジ機構に切削ブレードを着脱する切削ブレード交換機構を更に備え、
該切削ブレード交換機構は、
該固定ナットを着脱するナット着脱部と、
該切削ブレードを着脱するブレード着脱部と、
該押さえフランジ部を着脱する押さえフランジ着脱部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の切削ブレードを取り外す方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ機構を有する加工装置における切削ブレードを取り外す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン、ガリウムヒ素、SiC(炭化ケイ素)、サファイアなどからなる半導体基板や樹脂パッケージ基板、セラミックス基板など各種板状の被加工物を切削ブレードで切削する加工装置である加工装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1に示された加工装置は、切り刃のみで構成された所謂ワッシャーブレードと呼ばれる切削ブレードを用いて被加工物を切削する。
【0003】
特許文献2に示された加工装置は、固定フランジとの間に切削ブレードを挟持して固定する押さえフランジを切削ブレードとともに吸引保持して、押さえフランジとともに切削ブレードを交換するブレード交換機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-144838号公報
【文献】特開2016-64450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に示された加工装置では、押さえフランジを固定フランジから取り外す時に、押さえフランジとともに吸引保持したワッシャーブレードが押さえフランジから落下して破損する恐れがあった。特に、特許文献2に示された加工装置のように、ブレード交換機構を備えた加工装置は、押さえフランジを取り外す際に前述した問題が起きやすい。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、交換時の切削ブレードの破損を抑制することができる切削ブレードを取り外す方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の切削ブレードを取り外す方法は、中央に装着穴を有する円盤状の切削ブレードを回転軸となるスピンドルに装着するためのフランジ機構を有する加工装置における該切削ブレードを取り外す方法であって、該フランジ機構は、先端に雄ねじが形成されたボス部と、該ボス部から径方向に突出し、該切削ブレードを支持する支持面を有した固定フランジ部と、該ボス部に装着される装着穴を有し、該ボス部に装着された切削ブレードを該固定フランジ部との間に挟持する押さえフランジ部と、該ボス部の雄ねじと螺合する雌ねじが内周に形成され、該ボス部と締結する事で該押さえフランジ部を介して切削ブレードを固定する固定ナットと、を備え、該固定フランジ部は、該支持面に形成され、切削ブレードを吸引固定する吸引孔と、該吸引孔と吸引源とを連通させる吸引路と、該吸引路に形成されたバルブと、該バルブを開閉し吸引を制御する制御部と、を含み、該切削ブレードを取り外す方法は、該押さえフランジ部を外す時に切削ブレードが落下しないようにバルブを開放して、切削ブレードを該固定フランジ部に吸引保持し、該押さえフランジ部を取り外した後に該バルブを閉じて、該固定フランジ部の該切削ブレードの吸引保持を停止し該切削ブレードを取り外すことを特徴とする。
【0008】
前記切削ブレードを取り外す方法では、加工装置は、該フランジ機構に切削ブレードを着脱する切削ブレード交換機構を更に備え、該切削ブレード交換機構は、該固定ナットを着脱するナット着脱部と、該切削ブレードを着脱するブレード着脱部と、該押さえフランジ部を着脱する押さえフランジ着脱部と、を有しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、交換時の切削ブレードの破損を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された加工装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。
図3図3は、図2に示された切削ユニットの要部の断面図である。
図4図4は、図1に示された加工装置の切削ブレード着脱機構のブレード着脱ユニットを示す斜視図である。
図5図5は、図4に示されたブレード着脱ユニットの押さえフランジ着脱部の要部を示す斜視図である。
図6図6は、図4に示されたブレード着脱ユニットのナット着脱部の要部を示す斜視図である。
図7図7は、図4に示されたブレード着脱ユニットのブレード着脱部の要部を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示された加工装置の押さえフランジの着脱中の状態を切削ユニットを断面で示す押さえフランジ着脱部の側面図である。
図9図9は、図1に示された加工装置の切削ブレードの着脱中の状態を切削ユニットを断面で示すブレード着脱部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示された加工装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。図3は、図2に示された切削ユニットの要部の断面図である。
【0013】
(加工装置)
実施形態1に係る加工装置1は、図1に示す被加工物200を切削加工する切削装置である。実施形態1では、被加工物200は、シリコン、ガリウムヒ素、SiC(炭化ケイ素)又はサファイア、などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物200は、表面201に格子状に形成された複数の分割予定ライン202によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。
【0014】
また、本発明の被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウエーハでもよく、ウエーハの他に、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状の樹脂パッケージ基板、セラミックス基板、フェライト基板、又はニッケル及び鉄の少なくとも一方を含む基板、ガラス基板等でも良い。実施形態1において、被加工物200は、裏面204が外周縁に環状フレーム205が装着された粘着テープ206に貼着されて、環状フレーム205に支持されている。
【0015】
図1に示された加工装置1は、被加工物200をチャックテーブル10で保持し分割予定ライン202に沿って切削ブレード21で切削加工(加工に相当)する切削装置である。加工装置1は、図1に示すように、被加工物200を保持面11で吸引保持するチャックテーブル10と、切削ブレード21でチャックテーブル10に保持された被加工物200を切削する切削ユニット20と、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮影する図示しない撮像ユニットと、切削ブレード交換機構6と、制御部である制御装置100とを備える。
【0016】
また、加工装置1は、図1に示すように、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的に移動させる移動ユニット30を備える。移動ユニット30は、チャックテーブル10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする加工送りユニットであるX軸移動ユニット31と、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りする割り出し送りユニットであるY軸移動ユニット32と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りする切り込み送りユニットであるZ軸移動ユニット33と、チャックテーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット34とを少なくとも備える。
【0017】
X軸移動ユニット31は、チャックテーブル10を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にX軸方向に沿って加工送りするものである。Y軸移動ユニット32は、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にY軸方向に沿って割り出し送りするものである。Z軸移動ユニット33は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にZ軸方向に沿って切り込み送りするものである。
【0018】
X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及びチャックテーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0019】
チャックテーブル10は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面11がポーラスセラミック等から形成されている。また、チャックテーブル10は、X軸移動ユニット31により切削ユニット20の下方の加工領域2と、切削ユニット20の下方から離間して被加工物200が搬入出される搬入出領域3とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転移動ユニット34によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。チャックテーブル10は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引、保持する。実施形態1では、チャックテーブル10は、粘着テープ206を介して被加工物200の裏面204側を吸引、保持する。また、チャックテーブル10の周囲には、図1に示すように、環状フレーム205をクランプするクランプ部12が複数設けられている。
【0020】
切削ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削する切削ブレード21を着脱自在に装着した切削手段である。切削ユニット20は、それぞれ、チャックテーブル10に保持された被加工物200に対して、Y軸移動ユニット32によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0021】
切削ユニット20は、図1に示すように、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33などを介して、装置本体4から立設した支持フレーム5に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33により、チャックテーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0022】
切削ユニット20は、図2に示すように、切削ブレード21と、スピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられたスピンドル23と、ロータリージョイント24と、フランジ機構25とを備える。
【0023】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、切り刃211のみからなる所謂ワッシャ―ブレードである。切り刃213は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定の厚みに形成されている。切削ブレード21は、切り刃211の中央に装着穴212を有する円盤状に形成されている。
【0024】
スピンドルハウジング22は、Z軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動自在に支持され、Z軸移動ユニット33を介してY軸移動ユニット32によりY軸方向に移動自在に支持されている。スピンドルハウジング22は、スピンドル23の先端部を除く部分及び図示しないスピンドルモータ等を収容し、スピンドル23を軸心回りに回転可能に支持する。
【0025】
スピンドル23は、図示しないスピンドルモータにより回転される回転軸となるとともに、先端部がスピンドルハウジング22の先端面221より突出している。スピンドル23の先端部は、先端に向かうにしたがって徐々に細く形成されており、先端面に開口したねじ孔231が設けられている。
【0026】
ロータリージョイント24は、フランジ機構25の固定フランジ26に切削ブレード21を固定するための吸引力を伝達するものである。ロータリージョイント24は、スピンドル23の先端部が内側を通る円環状のフランジ部241と、フランジ部241の内縁から立設した円筒状のボス部242とを一体に備えている。フランジ部241は、内側にスピンドル23の先端部を通した状態でスピンドルハウジング22の先端面221に重ねられる。ロータリージョイント24は、図示しないねじがフランジ部241に設けられた貫通孔243を通り先端面221に設けられたねじ孔222にねじ込まれることで、スピンドルハウジング22に固定される。ロータリージョイント24は、スピンドル23と同軸に配置される。
【0027】
また、ロータリージョイント24のボス部242には、ボス部242を貫通した貫通孔の内縁から立設し、かつバルブである開閉弁40を介して真空ポンプ等で構成された吸引源41と接続された吸引パイプ244が取り付けられている。開閉弁40は、吸引源41とロータリージョイント24のボス部242の内周側との間の連通を開閉するものである。
【0028】
フランジ機構25は、スピンドル23に固定され、切削ブレード21をスピンドル23の先端部に装着するためのものである。フランジ機構25は、図2及び図3に示すように、固定フランジ部である固定フランジ26と、押さえフランジ部である押さえフランジ27と、固定ナット28とを備える。
【0029】
固定フランジ26は、円筒状のボス部43と、ボス部43の軸心方向の中央部から径方向に外周側に突出したフランジ部44とを備えている。ボス部43は、スピンドル23の先端部に固定される。ボス部43は、図3に示すように、内周面に段差部431と、テーパー部432とを備える。段差部431は、フランジ部44よりもスピンドルハウジング22から離れた先端側に設けられ、ボス部43の内径をスピンドルハウジング22から離れた先端からスピンドルハウジング22よりの基端側に向かうにしたがって段階的に小さくしている。段差部431の表面は、ボス部43即ち固定フランジ26の軸心に対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。
【0030】
テーパー部432は、ボス部43の軸心方向の中央から基端に亘って形成され、ボス部43の内径を軸心方向の中央から基端側に向かって徐々に拡大させている。固定フランジ26は、ボス部43の基端側にスピンドル23の先端部が挿入され、段差部431の表面に重ねられたワッシャ291内を通った固定ねじ292がスピンドル23の先端面に設けられたねじ孔231と螺合してスピンドル23の先端部に固定される。固定フランジ26がスピンドル23の先端部に固定されると、テーパー部432がスピンドル23の先端部に密に接触する。
【0031】
ボス部43は、外周面の軸心方向の中央部から外周方向に突出しかつフランジ部44と一体となったブレード支持用ボス部433を備える。ブレード支持用ボス部433は、フランジ部44よりも先端側に設けられ、外径が切削ブレード21の装着穴212の内径と等しく形成されている。ボス部43は、先端側から切削ブレード21の装着穴212に挿通されて、ブレード支持用ボス部433の外周面上に切削ブレード21を支持する。また、ボス部43は、外周面の先端に雄ねじ434が形成されている。
【0032】
フランジ部44は、ボス部43の軸心方向の中央部から径方向外向きに突出する円環状の部材である。フランジ部44の外径は、切削ブレード21の外径よりも小径である。フランジ部44は、ブレード支持用ボス部433により装着穴212の内周面が支持された切削ブレード21と対面する支持面441を有している。支持面441は、先端側即ち切削ブレード21側に突出した支持突起442が外縁の全周に形成されている。支持突起442の端面443は、固定フランジ26の軸心に対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。フランジ部44は、支持突起442の端面443に切削ブレード21を密着させて、切削ブレード21を支持する。
【0033】
また、固定フランジ26は、吸引孔45と、吸引通路46と、前述した開閉弁40と、制御装置100とを含む。吸引孔45は、支持面441に形成され、吸引源41からの吸引力により切削ブレード21を吸引固定するためのものである。実施形態1では、吸引孔45は、支持面441の支持突起442よりも内周側に開口し、周方向に等間隔に複数設けられている。
【0034】
吸引通路46は、固定フランジ26内に形成され、吸引孔45とロータリージョイント24の内周とを連通させる通路である。吸引通路46は、一端が吸引孔45に連通し、他端がボス部43の外周面に開口しかつロータリージョイント24の内周面と対向している。吸引通路46と、ロータリージョイント24の吸引パイプ244は、吸引孔45と吸引源41とを連通させる吸引路47を構成している。このため、開閉弁40は、吸引路47に形成されている。固定フランジ26は、吸引路47を含んでいる。
【0035】
固定フランジ26は、開閉弁40が開放され、吸引路47を介して吸引源41により吸引孔45が吸引されることで、支持面441の支持突起442の端面443上に切削ブレード21を吸引保持する。
【0036】
押さえフランジ27は、中央に固定フランジ26のボス部43に装着される装着穴271を有した円環状に形成されている。押さえフランジ27は、外径が切削ブレード21の外径よりも小径である。押さえフランジ27は、装着穴271内に固定フランジ26のボス部43の先端側を通して、固定フランジ26の支持面441の支持突起442の端面443との間に切削ブレード21を挟持する挟持面272を外縁部の全周に有している。挟持面272は、押さえフランジ27の軸心に対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。押さえフランジ27は、挟持面272が切削ブレード21を固定フランジ26の支持面441の支持突起442との間に挟持する。また、押さえフランジ27は、外周面に全周に亘って嵌合溝273が形成されている。なお、支持面441は、ボス部43の外周から端面443の間に環状に広がる領域をしめす。実施形態1において、吸引孔45は固定フランジ26の支持面441の支持突起442の端面よりも内側に開口しているが、支持面441の他の場所、例えば端面に開口してもよい。
【0037】
固定ナット28は、円環状に形成され、ボス部43の雄ねじ434と螺合する雌ねじ281が内周面に形成されている。固定ナット28は、押さえフランジ27の装着穴271内に固定フランジ26のボス部43が通され、支持突起442の端面443が挟持面272との間に切削ブレード21を挟持した固定フランジ26のボス部43の雄ねじ434に雌ねじ281が螺合して、ボス部43に締結する。固定ナット28は、ボス部43に締結することで、押さえフランジ27を介して固定フランジ26と押さえフランジ27との間に切削ブレード21を固定する。固定ナット28は、図2に示すように、端面に4つのピン嵌合穴282を周方向に等間隔に設けている。
【0038】
このように構成された切削ユニット20は、スピンドルハウジング22の先端面221にロータリージョイント24が固定され、固定フランジ26がボス部43の基端側の内側にスピンドル23の先端部を通して、固定ねじ26等によりスピンドル23の先端部に固定され、切削ブレード21の装着穴212の内周面をブレード支持用ボス部433の外周面上に支持する。切削ユニット20は、固定フランジ26のボス部43の先端側を押さえフランジ27の装着穴271の内側に通して、雄ねじ434に雌ねじ281を螺合させて、固定ナット28で押さえフランジ27及び切削ブレード21をスピンドル23の先端部に固定する。
【0039】
なお、切削ユニット20のスピンドル23、ロータリージョイント24、固定フランジ26、切削ブレード21、押さえフランジ27及び固定ナット28の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0040】
撮像ユニットは、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮影して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御装置100に出力する。
【0041】
また、加工装置1は、チャックテーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、チャックテーブル10のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御装置100に出力する。なお、実施形態1では、加工装置1の各構成要素のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置を基準とした位置で定められる。
【0042】
制御装置100は、加工装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものでもある。即ち、制御装置100は、開閉弁40を開閉し、固定フランジ26の切削ブレード21の吸引を制御するものでもある。なお、制御装置100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御装置100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。
【0043】
制御装置100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0044】
(切削ブレード交換機構)
図4は、図1に示された加工装置の切削ブレード着脱機構のブレード着脱ユニットを示す斜視図である。図5は、図4に示されたブレード着脱ユニットの押さえフランジ着脱部の要部を示す斜視図である。図6は、図4に示されたブレード着脱ユニットのナット着脱部の要部を示す斜視図である。図7は、図4に示されたブレード着脱ユニットのブレード着脱部の要部を示す斜視図である。
【0045】
切削ブレード交換機構6は、切削ユニット20のフランジ機構25の固定フランジ26に切削ブレード21を着脱するものである。実施形態1において、切削ブレード交換機構6は、図1に示すように、装置本体4の搬入出領域3に位置付けられたチャックテーブル10とY軸方向に並ぶ位置に設置されている。切削ブレード交換機構6は、交換前後の切削ブレード21を保持するブレードストッカ70と、切削ユニット20のスピンドル23に切削ブレード21を着脱するとともにブレードストッカ70と切削ユニット20との間で切削ブレード21を搬送するブレード着脱ユニット80とを備える。
【0046】
ブレードストッカ70は、装置本体4から設置されたストッカ本体71と、切削ブレード21を保持するブレード保持部72とを備える。ブレード保持部72は、ストッカ本体71に複数設けられている。ブレードストッカ70は、実施形態1では、ブレード保持部72を2つ備える。なお、ブレードストッカ70のブレード保持部72が保持する切削ブレード21は、未使用のものの他、既使用であるが寿命に達しておらず使用可能なもの、同種類および/または異種類のものを含む。
【0047】
実施形態1では、ブレードストッカ70の2つのブレード保持部72の軸心は、Y軸方向と平行に配置されている。2つのブレード保持部72は、X軸方向に間隔をあけて配置されている。
【0048】
ブレード着脱ユニット80は、切削ユニット20のフランジ機構25の固定フランジ26に切削ブレード21を装着、及び、固定フランジ26から切削ブレード21を離脱させるものある。ブレード着脱ユニット80は、図1に示すように、ユニット本体81と、ユニット本体81をX軸方向に移動させる着脱側移動ユニット82と、押さえフランジ着脱部83と、ナット着脱部84と、一対のブレード着脱部85とを有する。
【0049】
着脱側移動ユニット82は、X軸方向に延在しかつユニット本体81に設けられたナットと螺合するねじ軸と、ねじ軸を軸心回りに回転することでユニット本体81をX軸方向に移動させるモータとを備えて、ユニット本体81、即ち押さえフランジ着脱部83、ナット着脱部84及び一対のブレード着脱部85をX軸方向に移動させる。着脱側移動ユニット82は、ブレード着脱部85を、ブレード保持部72とY軸方向に沿って対面する位置と、切削ユニット20のフランジ機構25とY軸方向に対面する位置とに亘ってX軸方向に移動させる。
【0050】
押さえフランジ着脱部83は、押さえフランジ27を保持して、押さえフランジ27を切削ユニット20のスピンドル23の先端部に固定された固定フランジ26に着脱するものである。押さえフランジ着脱部83の軸心は、Y軸方向と平行に配置されている。押さえフランジ着脱部83は、図5に示すように、ユニット本体81に固定されかつ外観が円筒状に形成された筐体831と、筐体831の先端に伸縮自在に設けられたロッド832と、ロッド832の先端に取り付けられた円盤状の支持基台833と、支持基台833に取り付けられた爪834と、を備える。
【0051】
ロッド832は、筐体831内に設けられた図示しないエアシリンダのロッドであって、伸縮することで、支持基台833及び爪834をY軸方向に移動させる。爪834は、支持基台824のブレードストッカ70のブレード保持部72と対向する端面835の外縁に周方向に間隔をあけて複数配置されている。実施形態1では、爪825は、支持基台824の端面835の外縁に周方向に等間隔に三つ設けられている。複数の爪825は、支持基台824内等に設けられた図示しない駆動機構により、端面835の径方向に移動自在に設けられ、互いに近付くことで押さえフランジ27の嵌合溝273に嵌合して、押さえフランジ27を把持し、互いに離れることで押さえフランジ27の把持を解除する。
【0052】
ナット着脱部84は、固定ナット28を固定フランジ26のボス部242に着脱するものである。ナット着脱部84の軸心は、Y軸方向と平行に配置されている。ナット着脱部84は、押さえフランジ着脱部83とX軸方向に間隔をあけて配置されている。ナット着脱部84は、図6に示すように、ユニット本体81に固定され且つ外観が円筒状に形成された筐体841と、筐体841の先端に伸縮自在に設けられかつ軸心回りに回転自在に設けられたロッド842と、ロッド842の先端に固定された円盤状の支持基台843と、支持基台843に取り付けられた爪844と、支持基台843のブレードストッカ70のブレード保持部72に対面する端面845に設けられた複数の嵌合ピン846とを備える。
【0053】
ロッド842は、筐体841内に設けられた図示しないエアシリンダのロッドであって、伸縮することで、支持基台843、爪844及び嵌合ピン846をY軸方向に移動させる。また、ロッド842は、筐体841内に設けられた図示しないモータにより軸心回りに回転される。
【0054】
爪844は、支持基台843の端面845に周方向に間隔をあけて複数配置されている。実施形態1では、爪844は、支持基台843の端面845に周方向に等間隔に四つ設けられている。複数の爪844は、支持基台843内等に設けられた図示しない駆動機構により、端面845の径方向に移動自在に設けられ、互いに近付くことで固定ナット28の外周面を把持し、互いに離れることで固定ナット28の把持を解除する。
【0055】
嵌合ピン846は、端面845から突没自在に支持基台843に支持され、実施形態1では、端面845に周方向に等間隔に4つ設けられている。嵌合ピン846は、端面845から突出すると固定ナット28のピン嵌合穴282に嵌合可能である。
【0056】
一対のブレード着脱部85は、固定フランジ26に切削ブレード21を着脱するものである。実施形態1では、一方のブレード着脱部85は、ブレードストッカ70に保持された交換用の切削ブレード21をブレードストッカ70から取り外して保持し、他方のブレード着脱部85は、切削ユニット20の固定フランジ26から切削ブレード21を取り外し、切削ユニット20から取り外された交換後の切削ブレード21を保持する。実施形態1では、一対のブレード着脱部85の軸心は、Y軸方向と平行に配置され、互いにX軸方向に間隔をあけて配置されている。また、ブレード着脱部85の軸心のZ軸方向の高さは、ブレードストッカ70の2つのブレード保持部72の軸心のZ軸方向の高さと等しい。
【0057】
ブレード着脱部85は、図7に示すように、ユニット本体81に固定されかつ外観が円筒状に形成された筐体851と、筐体851の先端に伸縮自在に設けられたロッド852と、ロッド852の先端に取り付けられた円盤状の支持基台853と、を備える。
【0058】
ロッド852は、筐体851内に設けられた図示しないエアシリンダのロッドであって、伸縮することで、支持基台853をY軸方向に移動させる。支持基台853は、ブレードストッカ70のブレード保持部72と対向する端面855にリング状の吸引溝854が形成されている。吸引溝854は、支持基台853内等に設けられた吸引路856、開閉弁857を介して吸引源858に接続している。ブレード着脱部85は、吸引源858により吸引溝854内が吸引されることで、支持基台853の端面855に切削ブレード21を吸引保持する。また、実施形態1では、ブレード着脱部85は、端面855の中央にボス部43の先端側が侵入可能なボス部侵入穴859を設けている。
【0059】
(加工装置の加工動作)
加工装置1は、オペレータが、加工内容情報を制御装置100に登録し、切削加工前の被加工物200をチャックテーブル10の保持面11に載置し、切削ブレード交換機構6のブレードストッカ70のブレード保持部72に交換用の切削ブレード21を取り付ける。
【0060】
その後、加工装置1は、オペレータから加工動作の開始指示があった場合に加工動作を開始する。加工装置1は、加工動作を開始すると、粘着テープ206を介して裏面204側をチャックテーブル10の保持面11に吸引保持するとともに、クランプ部12で環状フレーム205をクランプする。
【0061】
加工動作では、加工装置1は、X軸移動ユニット31がチャックテーブル10を加工領域2に向かって移動して、撮像ユニットが被加工物200を撮影して、撮像ユニットが撮影して得た画像に基づいて、アライメントを遂行する。加工装置1は、分割予定ライン202に沿って被加工物200と切削ユニット20とを相対的に移動させながら、切削ブレード21を各分割予定ライン202に切り込ませて被加工物200を個々のデバイス203に分割する。加工装置1は、個々のデバイス203に分割された被加工物200を搬入出領域3に向かって移動して、搬入出領域3において保持面11の吸引保持及びクランプ部12のクランプを解除して、加工動作を終了する。
【0062】
(切削ブレードの着脱動作)
図8は、図1に示された加工装置の押さえフランジの着脱中の状態を切削ユニットを断面で示す押さえフランジ着脱部の側面図である。図9は、図1に示された加工装置の切削ブレードの着脱中の状態を切削ユニットを断面で示すブレード着脱部の側面図である。
【0063】
実施形態1において、加工装置1は、制御装置100が加工動作中に、切削ユニット20の切削ブレード21がブレード交換タイミングであると判定すると切削ブレード21の着脱動作を実施する。ブレード交換タイミングは、切削ユニット20の切削ブレード21を交換するタイミングであることをいう。ブレード交換タイミングは、例えば、予め設定された数の被加工物200を切削する毎等や切削ブレード21の摩耗量が事前に設定された値を超えたタイミングであり、加工内容情報の一部として制御装置100に登録される。また、本発明のブレード交換タイミングは、まさに1枚の被加工物200を加工している途中でも良く、複数の被加工物200を連続して加工する際に、被加工物200を交換するタイミングでも良い。
【0064】
着脱動作は、切削ユニット20の切削ブレード21を取り外し、ブレードストッカ70に保持された交換用の切削ブレード21を切削ユニット20に取り付ける動作である。即ち、切削ブレード21の着脱動作は、ブレードストッカ70に保持された切削ブレード21と、切削ユニット20に装着された切削ブレード21とを交換する動作である。
【0065】
着脱動作では、加工装置1は、切削ユニット20のスピンドル23の回転を停止する。このとき、開閉弁40は、開放して、吸引源41の吸引力により切削ブレード21が固定フランジ26に吸引保持されている。着脱動作では、加工装置1は、着脱側移動ユニット82によりブレード着脱ユニット80をX軸方向に移動して、ブレード着脱ユニット80のブレード着脱部85をブレードストッカ70のブレード保持部72とY軸方向に対向させる。
【0066】
加工装置1は、一方のブレード着脱部85のロッド852を伸張して支持基台853をY軸方向にブレード保持部72に近付けて、端面55を押さえブレード保持部72に保持されている切削ブレード21に密着させ、開閉弁857を開放して、一方のブレード着脱部85に交換用の切削ブレード21を吸引保持する。加工装置1は、一方のブレード着脱部85のロッド852を縮小して支持基台853をブレード保持部72からY軸方向に遠ざけて、ブレード保持部72から切削ブレード21を取り外す。加工装置1は、制御装置100が着脱側移動ユニット82及び移動ユニット30を制御して、ブレード着脱ユニット80のナット着脱部84と切削ユニット20とをY軸方向に対向させる。
【0067】
加工装置1は、ナット着脱部84のロッド842を伸張して支持基台843及び爪844をY軸方向に切削ユニット20に近付けて、ナット着脱部84の爪844で固定ナット28を把持して、ロッド842を固定ナット28が雄ねじ434から外れる方向に軸心回りに回転する。加工装置1は、すると、嵌合ピン846がピン嵌合穴282に嵌合して、ナット着脱部84の支持基台843とともに固定ナット28が回転する。加工装置1は、ロッド842を固定ナット28が雄ねじ434から外れるまで回転させた後、ロッド842の回転を停止し、ロッド842を縮小して、ナット着脱部84の支持基台843及び爪844を切削ユニット20からY軸方向に遠ざけて、固定フランジ26のボス部43から固定ナット28を取り外す。
【0068】
加工装置1は、制御装置100が着脱側移動ユニット82及び移動ユニット30を制御して、ブレード着脱ユニット80の押さえフランジ着脱部83と切削ユニット20とをY軸方向に対向させる。
【0069】
加工装置1は、押さえフランジ着脱部83のロッド832を伸張して支持基台833及び爪834をY軸方向に切削ユニット20に近付けて、押さえフランジ着脱部83の爪834を嵌合溝273に嵌合させて、爪834で押さえフランジ27を把持する。加工装置1は、押さえフランジ着脱部83のロッド832を縮小して支持基台833及び爪834を切削ユニット20からY軸方向に遠ざけて、図8に示すように、切削ユニット20の固定フランジ26から押さえフランジ27を取り外す。このとき、制御装置100は、開閉弁40を開放して、切削ブレード21を固定フランジ26に吸引保持している。このように、制御装置100は、押さえフランジ27を取り外す時に切削ブレード21が落下しないように開閉弁40を開放し、切削ブレード21を固定フランジ26に吸引保持する。
【0070】
加工装置1は、制御装置100が着脱側移動ユニット82及び移動ユニット30を制御して、ブレード着脱ユニット80の他方のブレード着脱部85と固定ナット28及び押さえフランジ27が取り外された切削ユニット20とをY軸方向に対向させる。
【0071】
加工装置1は、他方のブレード着脱部85のロッド852を伸張して支持基台853をY軸方向にブレード保持部72に近付けて、端面55を押さえフランジ27に装着されている切削ブレード21に密着させ、開閉弁857を開放して、他方のブレード着脱部85に押さえフランジ27に装着されている切削ブレード21を吸引保持する。加工装置1は、開閉弁40を閉じて、切削ユニット20の固定フランジ26の切削ブレード21の吸引保持を停止し、他方のブレード着脱部85のロッド852を縮小して支持基台853を切削ユニット20からY軸方向に沿って遠ざけて、図9に示すように、切削ユニット20から切削ブレード21を取り外す。
【0072】
加工装置1は、制御装置100が着脱側移動ユニット82及び移動ユニット30を制御して、交換用の切削ブレード21を保持した一方のブレード着脱部85を、切削ブレード21が取り外された切削ユニット20とY軸方向に対向させる。加工装置1は、一方のブレード着脱部85のロッド852を伸張して、支持基台853を切削ユニット20にY軸方向に沿って近付けて、交換用の切削ブレード21の装着穴212内に固定フランジ26のボス部43及びブレード支持用ボス部433を順に通して、交換用の切削ブレード21を固定フランジ26の支持突起442の端面443に密に接触させる。
【0073】
加工装置1は、制御装置100が開閉弁40を開放して、切削ユニット20の固定フランジ26に交換用の切削ブレード21を吸引保持し、開閉弁857を閉じて一方のブレード着脱部85の交換用の切削ブレード21の吸引保持を解除する。加工装置1は、一方のブレード着脱部85のロッド852を縮小して、一方のブレード着脱部85の支持基台853を切削ユニット20からY軸方向に沿って遠ざけて、切削ユニット20に交換用の切削ブレード21を取り付ける。こうして、着脱動作では、加工装置1は、開閉弁40,857の開閉と連動して、ブレード着脱ユニット80による切削ブレード21を押さえフランジ27に装着及び押さえフランジ27から離脱させる。
【0074】
加工装置1は、制御装置100が着脱側移動ユニット82及び移動ユニット30を制御して、押さえフランジ着脱部83と切削ユニット20とY軸方向に対向させた後、押さえフランジ27を取り外した動作と逆動作を実施して、押さえフランジ27を切削ユニット20に取り付ける。加工装置1は、制御装置100が着脱側移動ユニット82及び移動ユニット30を制御して、ナット着脱部84と切削ユニット20とY軸方向に対向させた後、固定ナット28を取り外した動作と逆動作を実施して、固定ナット28を切削ユニット20に取り付けて、固定ナット28で切削ブレード21をスピンドル23の先端部に固定する。
【0075】
加工装置1は、着脱側移動ユニット82によりブレード着脱ユニット80をX軸方向に移動して、切削ユニット20から取り外された交換後の切削ブレード21を保持した他方のブレード着脱部85をブレードストッカ70のブレード保持部72とY軸方向に対向させる。加工装置1は、他方のブレード着脱部85のロッド852を伸張して、他方のブレード着脱部85の支持基台853をブレード保持部72にY軸方向に沿って近付けて、ブレード保持部72に交換後の切削ブレード21を保持した後、開閉弁857を閉じて他方のブレード着脱部85の交換後の切削ブレード21の吸引保持を解除する。加工装置1は、他方のブレード着脱部85のロッド852を縮小して、支持基台853をブレード保持部72からY軸方向に沿って遠ざけて、着脱動作を完了する。
【0076】
以上説明したように、実施形態1に係る加工装置1は、押さえフランジ27を切削ユニット20の固定フランジ26から取り外す特に、開閉弁40を開放して、固定フランジ26に切削ブレード21を吸引保持する。このために、加工装置1は、押さえフランジ27を切削ユニット20の固定フランジ26から取り外す時に、切削ブレード21が切削ブレード21から脱落(落下)することを抑制することができる。その結果、加工装置1は、交換時の切削ブレード21の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 加工装置
6 切削ブレード交換機構
21 切削ブレード
23 スピンドル
25 フランジ機構
26 固定フランジ(固定フランジ部)
27 押さえフランジ(押さえフランジ部)
28 固定ナット
40 開閉弁(バルブ)
41 吸引源
43 ボス部
45 吸引孔
47 吸引路
83 押さえフランジ着脱部
84 ナット着脱部
85 ブレード着脱部
100 制御装置(制御部)
212 装着穴
271 装着穴
281 雌ねじ
434 雄ねじ
441 支持面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9