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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】エッジリング及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020002935
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021111702
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 和彦
(72)【発明者】
【氏名】塚原 利也
(72)【発明者】
【氏名】李 星在
(72)【発明者】
【氏名】尹 南虎
(72)【発明者】
【氏名】徐 智洙
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-308079(JP,A)
【文献】特開2019-220497(JP,A)
【文献】特表2001-516948(JP,A)
【文献】特表2011-511475(JP,A)
【文献】特開2008-042139(JP,A)
【文献】特開2010-232694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板の周囲に配置されるエッジリングであって、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、
前記第一上面及び前記第二上面と対向し、かつ、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される下面と、
を有するエッジリング。
【請求項2】
被処理基板の周囲に配置されるエッジリングであって、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、
前記第一上面及び前記第二上面と対向し、かつ、シリコンから形成される下面と、
を有するエッジリング。
【請求項3】
被処理基板の周囲に配置されるエッジリングであって、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、
を有し、
前記第一上面を有する第一部材と、前記第二上面を有する第二部材とを接合して形成されるエッジリング。
【請求項4】
前記第一部材と前記第二部材とは、接着層を介して接合される、
請求項に記載のエッジリング。
【請求項5】
前記接着層は、シリコーン系接着剤を含む、
請求項に記載のエッジリング。
【請求項6】
前記接着層は、導電性フィラーをさらに含む、
請求項に記載のエッジリング。
【請求項7】
前記第一上面を含む外周部と、前記外周部よりも厚さが薄い内周部とを有する第一部材と、
前記内周部の上に配置され、前記第二上面を含む第二部材と、
を具備する請求項1から6のいずれか一項に記載のエッジリング。
【請求項8】
前記第一上面を含む外周部と、前記外周部よりも厚さが薄い内周部とを有する第一部材と、
前記内周部の上に配置され、前記第二上面を含む第二部材と、
を具備し、
前記第一部材は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成され、
前記第二部材は、シリコンから形成される、
請求項1に記載のエッジリング。
【請求項9】
被処理基板の周囲に配置されるエッジリングであって、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、
を有し、
前記第一上面を含む外周部と、前記外周部よりも厚さが薄い内周部とを有する第一部材と、
前記内周部の上に配置され、前記第二上面を含む第二部材と、
を具備し、
前記第一部材と前記第二部材とが接着層を介して接合される、エッジリング。
【請求項10】
前記第一部材は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成され、
前記第二部材は、シリコンから形成される、
請求項に記載のエッジリング。
【請求項11】
前記接着層は、シリコーン系接着剤を含む、
請求項9または10に記載のエッジリング。
【請求項12】
前記接着層は、導電性フィラーをさらに含む、
請求項9から11のいずれか一項に記載のエッジリング。
【請求項13】
被処理基板の周囲に配置されるエッジリングであって、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、
を有し、
前記第一上面を含む第一部材と、
前記第一部材の下に配置され、前記第二上面を含む第二部材と、
を具備するエッジリング。
【請求項14】
前記第一部材は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成され、
前記第二部材は、シリコンから形成される、
請求項13に記載のエッジリング。
【請求項15】
前記第一部材と前記第二部材とが接着層を介して接合される、
請求項13または14に記載のエッジリング。
【請求項16】
前記接着層は、シリコーン系接着剤を含む、
請求項15に記載のエッジリング。
【請求項17】
前記接着層は、導電性フィラーをさらに含む、
請求項16に記載のエッジリング。
【請求項18】
処理空間を提供する処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、かつ、被処理基板が載置される載置台と、
前記被処理基板の周囲を囲むように配置されるエッジリングと、を具備し、
前記載置台は、平面視で前記エッジリングと少なくとも一部重複する領域に前記エッジリングを静電吸着する電極を有し、
前記エッジリングは、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、を有し、
前記第一上面及び前記第二上面と対向し、かつ、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される下面と、
を有する、
基板処理装置。
【請求項19】
処理空間を提供する処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、かつ、被処理基板が載置される載置台と、
前記被処理基板の周囲を囲むように配置されるエッジリングと、を具備し、
前記載置台は、平面視で前記エッジリングと少なくとも一部重複する領域に前記エッジリングを静電吸着する電極を有し、
前記エッジリングは、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、を有し、
前記第一上面及び前記第二上面と対向し、かつ、シリコンから形成される下面と、
を有する、
基板処理装置。
【請求項20】
処理空間を提供する処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、かつ、被処理基板が載置される載置台と、
前記被処理基板の周囲を囲むように配置されるエッジリングと、を具備し、
前記載置台は、平面視で前記エッジリングと少なくとも一部重複する領域に前記エッジリングを静電吸着する電極を有し、
前記エッジリングは、
シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、
前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面と、を有し、
前記第一上面を有する第一部材と、前記第二上面を有する第二部材とを接合して形成される、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッジリング及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対するプラズマ処理において、所定の真空度にされたチャンバ内に配置された基板の外周に沿ってエッジリングを配置することがある。エッジリングを配置することにより、基板の面内で均一にプラズマ処理を行うことができる。
【0003】
従来、シリコンカーバイド(SiC)で形成されたエッジリング(以下では「SiCエッジリング」と呼ぶことがある)が知られている。SiCエッジリングは耐プラズマ性が高いため、エッジリングの交換頻度を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-251723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示では、交換頻度を低減するとともにパーティクルの発生を抑制できるエッジリングを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の態様のエッジリングは、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面と、前記第一上面より低い位置に形成され、前記被処理基板の周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のエッジリングをプラズマ処理に用いることにより、エッジリングの交換頻度を低減するとともにパーティクルの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の基板処理装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施例1のエッジリング及びウエハの一例を示す図である。
図3図3は、実施例1のエッジリングの構成例を示す図である。
図4図4は、実施例2のエッジリングの構成例を示す図である。
図5図5は、実施例3のエッジリングの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の技術の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成には同一の符号を付す。
【0010】
[実施例1]
<基板処理装置の構成>
図1は、実施例1の基板処理装置の構成例を示す図である。
【0011】
図1において、基板処理装置100は、例えばアルミニウムまたはステンレス鋼等からなる金属製の処理容器であるチャンバ10を有する。チャンバ10は保安接地されている。
【0012】
チャンバ10内には、円盤状のサセプタ11が水平に配置されている。サセプタ11は、被処理基板としての半導体基板(以下では「ウエハW」と呼ぶことがある)と、エッジリングERとが載置される静電チャック25の下面に配置される。また、サセプタ11は、高周波電圧が印加される下部電極として機能する。サセプタ11は、例えば、アルミニウムからなり、絶縁性の筒状保持部材12を介して、チャンバ10の底から垂直上方に延びる筒状支持部13に支持されている。
【0013】
チャンバ10の側壁と筒状支持部13との間には排気路14が形成され、排気路14の入口または途中に環状のバッフル板15が配置されるとともに、チャンバ10の底部には排気口16が設けられ、排気口16に排気管17を介して排気装置18が接続されている。排気装置18は、真空ポンプを有し、チャンバ10によって提供される処理空間を所定の真空度まで減圧する。また、排気管17はAPC(Automatic Pressure Control Valve)を有し、APCは自動的にチャンバ10内の圧力制御を行う。また、チャンバ10の側壁には、ウエハWの搬入搬出口19を開閉するゲートバルブ20が取り付けられている。
【0014】
サセプタ11には、高周波電源21-1,21-2が整合器22-1,22-2を介して電気的に接続されている。高周波電源21-1は、プラズマ生成用の高周波電圧をサセプタ11に印加する。高周波電源21-1は、27~100MHzの高周波電圧をサセプタ11に印加し、例えば40MHzの高周波電圧をサセプタ11に印加するのが好ましい。また、高周波電源21-2は、ウエハWにイオンを引き込むための高周波電圧をサセプタ11に印加する。高周波電源21-2は、400kHz~40MHzの高周波電圧をサセプタ11に印加し、例えば3MHzの高周波電圧をサセプタ11に印加するのが好ましい。整合器22-1は、高周波電源21-1の出力インピーダンスとサセプタ11側の入力インピーダンスとを整合させ、整合器22-2は、高周波電源21-2の出力インピーダンスとサセプタ11側の入力インピーダンスとを整合させる。
【0015】
チャンバ10の天井部には、接地電位の上部電極としてのシャワーヘッド24が配置されている。
【0016】
静電チャック25は、サセプタ11の上面に配置され、静電チャック25上に載置されたウエハW及びエッジリングERを静電吸着力で吸着する。静電チャック25は、円板状の中心部25aと、環状の外周部25bとから形成され、中心部25aは外周部25bに対して上方に突出している。中心部25aの上面にはウエハWが載置され、外周部25bの上面には、中心部25aを環状に囲むエッジリングERが載置される。また、中心部25aは、導電膜からなる電極板25cが一対の誘電膜の間に挟み込まれることによって形成される一方で、外周部25bは、導電膜からなる電極板25dが一対の誘電膜の間に挟み込まれることによって形成される。つまり、電極板25c,25dは、静電チャック25の内部に設けられる。また、電極板25cは、静電チャック25の内部においてウエハWと対応する領域に設けられ、電極板25dは、静電チャック25の内部においてエッジリングERと対応する領域に設けられる。電極板25cには直流電源26がスイッチ27を介して電気的に接続されている一方で、電極板25dには直流電源28がスイッチ29を介して電気的に接続されている。そして、静電チャック25は、直流電源26からの直流電圧により発生するクーロン力またはジョンソン・ラーベック力によってウエハWを吸着保持するとともに、直流電源28からの直流電圧により発生するクーロン力またはジョンソン・ラーベック力によってエッジリングERを吸着保持する。つまり、図1を平面視した場合、静電チャック25の内部には、ウエハWと少なくとも一部重複する領域にウエハWを静電吸着する電極が設けられるとともに、エッジリングERと少なくとも一部重複する領域にエッジリングERを静電吸着する電極が設けられる。
【0017】
上記のように、静電チャック25の中心部25aの上面にはウエハWが載置され、静電チャック25の外周部25bの上面には、中心部25aを環状に囲むエッジリングERが載置される。つまり、エッジリングERは、ウエハWの周囲を囲むように静電チャック25上に配置される。また、静電チャック25の下面とサセプタ11の上面とが互いに接している。よって、サセプタ11及び静電チャック25は、ウエハW及びエッジリングERが載置される載置台として形成される。
【0018】
サセプタ11の内部には、円周方向に延在する環状の冷媒室31が設けられている。冷媒室31には、チラーユニット32から配管33,34を介して所定温度の冷媒(例えば、冷却水)が循環供給され、その冷媒の温度によって静電チャック25上のウエハWの処理温度が制御される。さらに、伝熱ガス供給部35から伝熱ガス(例えば、Heガス)が、ガス供給ライン36を介して、静電チャック25の上面とウエハWの下面との間、及び、静電チャック25の上面とエッジリングERの下面との間に供給される。伝熱ガス供給部35からガス供給ライン36を介して供給される伝熱ガスにより、ウエハWと静電チャック25との間の熱伝達性、及び、エッジリングERと静電チャック25との間の熱伝達性が向上する。
【0019】
天井部のシャワーヘッド24は、多数のガス通気孔37aを有する電極板37と、電極板37を支持する電極支持体38とを有する。また、電極支持体38の内部にバッファ室39が設けられ、バッファ室39のガス導入口38aには処理ガス供給部40からのガス供給配管41が接続されている。
【0020】
基板処理装置100にて例えばドライエッチング処理が行われる際には、先ずゲートバルブ20が開状態にされ、ウエハWがチャンバ10内に搬入されて静電チャック25の上に載置される。そして、処理ガス供給部40より、例えば、所定の流量比率のC4F8ガス、O2ガス及びArガスからなる混合ガスが処理ガスとして所定の流量及び流量比でチャンバ10内に導入され、排気装置18によりチャンバ10内の圧力が所定値にされる。また、スイッチ27,29がオンにされ直流電源26より直流電圧が電極板25cに印加されるとともに、直流電源28より直流電圧が電極板25dに印加されることにより、ウエハW及びエッジリングERが静電チャック25上に静電吸着される。そして、高周波電源21-1,21-2より高周波電圧がサセプタ11に印加される。これにより、シャワーヘッド24より吐出される処理ガスがプラズマ化し、このプラズマによって生成されるラジカルやイオンによってウエハWの表面がエッチングされる。
【0021】
<エッジリング及びウエハ>
図2は、実施例1のエッジリング及びウエハの一例を示す図である。
【0022】
図2に示すように、エッジリングERは円環状の形状を有し、エッジリングERの内周部51はエッジリングERの外周部52よりも薄く形成されている。一例では、静電チャック25の外周部25bは、静電チャック25の中心部25aよりも薄く形成されている。静電チャック25の外周部25bにエッジリングERが載置され、静電チャック25の中心部25aにウエハWが載置される。一例では、エッジリングERの内周部51は、エッジリングERの内周部51の上面が静電チャック25の中心部25aの上面よりも低くなるように形成されている。また一例では、エッジリングERの外周部52は、エッジリングERの外周部52の上面がウエハWの上面と略同一の高さになる、または、ウエハWの上面よりも高くなるように形成されている。また、ウエハWは円盤状の形状を有し、ウエハWの直径は、静電チャック25の中心部25aの直径よりも大きい。よって、ウエハWが静電チャック25の中心部25aに載置された際には、ウエハWの周縁部61の下面とエッジリングERの内周部51の上面とが互いに対向する。
【0023】
<エッジリングの構成>
図3は、実施例1のエッジリングの構成例を示す図である。図3に示すエッジリングER1は、図1及び図2に示すエッジリングERに相当する。
【0024】
図3において、エッジリングER1は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド(WC)、酸化マグネシウム(MgO)、または、イットリア(Y)から形成される部材M11と、シリコンから形成される部材M12とが接着層B1を介して接合されることにより形成される。部材M11は、上面S11と、側面S13と、下面S14とを有し、部材M12は、上面S12を有する。また、部材M11は、外周部101と内周部102とを有し、外周部101が上面S11を含む。また、部材M11において、内周部102の厚さT2は、外周部101の厚さT1よりも薄い。部材M12は、部材M11の内周部102の上に配置される。接着層B1は、シリコーン系接着剤を含む。また、接着層B1は、さらに導電性フィラーを含んでも良い。
【0025】
よって、エッジリングER1は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される上面S11と、シリコンから形成される上面S12とを有する。また、上面S12は、上面S11より低い位置に形成され、ウエハWの周縁部61の下面と対向する。また、エッジリングER1は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される側面S13を有し、側面13により、上面S11の端と上面S12の端とが結ばれる。また、エッジリングER1は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される下面S14を有し、下面S14は、上面S11及び上面S12と対向する。
【0026】
[実施例2]
<エッジリングの構成>
図4は、実施例2のエッジリングの構成例を示す図である。図4に示すエッジリングER2は、図1及び図2に示すエッジリングERに相当する。
【0027】
図4において、エッジリングER2は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される部材M21と、シリコンから形成される部材M22とが接着層B2を介して接合されることにより形成される。部材M22は、部材M21の下に配置される。部材M21は、上面S21と、側面S23とを有し、部材M22は、上面S22と、下面S24とを有する。接着層B2は、シリコーン系接着剤を含む。また、接着層B2は、さらに導電性フィラーを含んでも良い。
【0028】
よって、エッジリングER2は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される上面S21と、シリコンから形成される上面S22とを有する。また、上面S22は、上面S21より低い位置に形成され、ウエハWの周縁部61の下面と対向する。また、エッジリングER2は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される側面S23を有し、側面S23により、上面S21の端と上面S22の端とが結ばれる。また、エッジリングER2は、シリコンから形成される下面S24を有し、下面S24は、上面S21及び上面S22と対向する。
【0029】
静電チャック25の外周部25bの上面と接する下面S24が、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、及び、イットリアよりも柔軟性に優れるシリコンから形成されることで、静電チャック25とエッジリングER2との密着性が向上する。
【0030】
[実施例3]
<エッジリングの構成>
図5は、実施例3のエッジリングの構成例を示す図である。図5に示すエッジリングER3は、図1及び図2に示すエッジリングERに相当する。
【0031】
図5において、エッジリングER3は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される部材M31と、シリコンから形成される部材M32とが接着層B3を介して接合されることにより形成される。部材M31は、上面S31と、側面S33とを有し、部材M32は、上面S32と、下面S34とを有する。接着層B3は、シリコーン系接着剤を含む。また、接着層B3は、さらに導電性フィラーを含んでも良い。
【0032】
よって、エッジリングER3は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される上面S31と、シリコンから形成される上面S32とを有する。また、上面S32は、上面S31より低い位置に形成され、ウエハWの周縁部61の下面と対向する。また、エッジリングER3は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される側面S33を有する。また、エッジリングER3は、シリコンから形成される下面S34を有し、下面S34は、上面S31及び上面S32と対向する。
【0033】
静電チャック25の外周部25bの上面と接する下面S34が、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、及び、イットリアよりも柔軟性に優れるシリコンから形成されることで、静電チャック25とエッジリングER3との密着性が向上する。
【0034】
また、図5に示す構成例では、エッジリングERの内周部51において、少なくともウエハWの周縁部61の下面と対向しない部分を、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアにより構成した。このように、ウエハWの周縁部61の下面と対向しない部分をシリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアにより構成することで、プラズマによるエッジリングの消耗をより抑制できるとともに、接着層もプラズマに直接触れないようにすることができる。
【0035】
以上のように、本開示のエッジリング(エッジリングER1,ER2,ER3)は、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成される第一上面(上面S11,S21,S31)と、第一上面より低い位置に形成され、ウエハWの周縁部の下面と対向し、かつ、シリコンから形成される第二上面(上面S12,S22,S32)とを有する。
【0036】
プラズマ処理でプラズマに晒される第一上面が耐プラズマ性を有するシリコンカーバイド、タングステンカーバイド、酸化マグネシウム、または、イットリアから形成されることにより、プラズマ処理によるエッジリングの消耗を抑制できる。一方で、ウエハWの周縁部の下面と対向する第二上面がシリコンから形成されることにより、シリコンとプラズマとの反応生成物はパーティクルとならないため、ウエハWの外周に発生するパーティクルを抑制できる。よって、プラズマ処理に本開示のエッジリングを用いることで、エッジリングの交換頻度を低減するとともにパーティクルの発生を抑制できる。
【0037】
以上、エッジリング及び基板処理装置を上記実施形態により説明したが、本開示に係るエッジリング及び基板処理装置は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。上記複数の実施例に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0038】
例えば、本開示に係るエッジリングは、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)装置だけでなく、その他の基板処理装置にも適用可能である。その他の基板処理装置としては、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)処理装置、ラジアルラインスロットアンテナを用いたプラズマ処理装置、ヘリコン波励起型プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)装置等であっても良い。
【0039】
本明細書では、プラズマ処理の対象として半導体基板について説明したが、プラズマ処理の対象は半導体基板に限定されない。プラズマ処理の対象は、LCD(Liquid Crystal Display)やFPD(Flat Panel Display)等に用いられる各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0040】
W ウエハ
ER エッジリング
S11,S21,S31 第一上面
S12,S22,S32 第二上面
11 サセプタ
25 静電チャック
図1
図2
図3
図4
図5